1 00:00:02,202 --> 00:00:05,138 (家斉)男が女と同じ力を持てる➡ 2 00:00:05,138 --> 00:00:11,278 男とて 女を守れる そんな世に➡ 3 00:00:11,278 --> 00:00:13,213 変えたいのだ!➡ 4 00:00:13,213 --> 00:00:19,953 今のままでは 男は種付けしか能のない でくのぼうに甘んずるしかない。 5 00:00:19,953 --> 00:00:22,956 これでは 何もできぬ。 6 00:00:25,292 --> 00:00:32,633 妻や子を守ることすらできぬではないか。 7 00:00:32,633 --> 00:00:36,503 (黒木)よう言うの。 8 00:00:36,503 --> 00:00:43,644 公儀は 青沼先生を罪人に仕立て上げ 打ち首にしたではないか! 9 00:00:43,644 --> 00:00:47,981 ただただ赤面から皆を守ろうとしたお方を 私利私欲の! 10 00:00:47,981 --> 00:00:50,317 醜き政争の贄としたではないか! 11 00:00:50,317 --> 00:00:52,986 しかし こたびは! 12 00:00:52,986 --> 00:00:56,323 こたびは そなたらを守る! 助力を望むなら まず➡ 13 00:00:56,323 --> 00:01:00,327 関わった女どもの首をはねてこい! 話はそれからだ! 14 00:01:13,807 --> 00:01:20,814 (鈴の音) 上様のおなーりー。 15 00:01:42,836 --> 00:01:46,640 黒木は。 16 00:01:46,640 --> 00:01:51,979 (お志賀)黒の打掛はおりませぬが。 17 00:01:51,979 --> 00:01:57,851 はは。 見間違いか。 18 00:01:57,851 --> 00:02:00,253 ⚟(茂姫)お志賀っ!➡ 19 00:02:00,253 --> 00:02:04,925 お志賀 何故 何故 そなたが そこにおる! 20 00:02:04,925 --> 00:02:09,596 お志賀は 母上の肝煎りで 大奥総取締にな。 21 00:02:09,596 --> 00:02:12,899 今は 滝沢と申します。 22 00:02:17,270 --> 00:02:20,607 御台! やめぬか! 御台! 23 00:02:20,607 --> 00:02:24,945 この者は 敦之助を殺したのです! この者が! この者が! 24 00:02:24,945 --> 00:02:28,649 御台! いいかげんにせよ! 25 00:02:33,620 --> 00:02:37,290 ううっ うっうっ。 26 00:02:37,290 --> 00:02:40,627 (滝沢)誰ぞ 御台様をお部屋へ! 御台。 27 00:02:40,627 --> 00:02:42,562 (吉野)御台様。 28 00:02:42,562 --> 00:02:46,967 はなせ! この者が殺した! (家斉)御台。この者が! 29 00:02:46,967 --> 00:02:50,303 (治済) 御台は気が触れてしまったのかのぅ。 30 00:02:50,303 --> 00:02:54,641 (滝沢) あんな女 自害でもすればよいのです。 31 00:02:54,641 --> 00:02:58,979 私の娘を殺しておき いざ 己が子を失えば➡ 32 00:02:58,979 --> 00:03:02,849 今度は悲劇の母として 同情を買おうなど。 33 00:03:02,849 --> 00:03:06,787 嫉妬のあまり そなたの姫に毒を盛るとは。 34 00:03:06,787 --> 00:03:09,589 人の所業とは思えぬな。 35 00:03:09,589 --> 00:03:11,925 総姫ばかりではございません。 36 00:03:11,925 --> 00:03:17,597 敬之助様や ほかのお子様たちも あの女の仕業でございましょう。➡ 37 00:03:17,597 --> 00:03:23,937 上様からのご寵愛を独り占めするため 側室の子を間引いておったのです。 38 00:03:23,937 --> 00:03:28,608 なんと恐ろしい。 滝沢。 そなただけが頼りじゃ。 39 00:03:28,608 --> 00:03:33,480 これ以上 孫たちが殺されぬよう 御台のことを見張っていておくれ。 40 00:03:33,480 --> 00:03:37,617 もちろんにございます。 41 00:03:37,617 --> 00:03:41,321 おお それから この菓子。 42 00:03:43,290 --> 00:03:47,627 毒味してはくれぬか?➡ 43 00:03:47,627 --> 00:03:56,636 そなたを取り立てた私を 御台は逆恨みをしておるかもしれぬでな。 44 00:03:56,636 --> 00:03:59,639 仰せのとおりにございますね。 45 00:04:13,120 --> 00:04:16,123 大事ございません。 46 00:04:20,594 --> 00:04:27,601 皆 皆 私が悪いと言うのです! 47 00:04:34,941 --> 00:04:37,844 私が上様のお子を殺して回り➡ 48 00:04:37,844 --> 00:04:41,148 敦之助が亡くなったのは その報いだと! 49 00:04:45,585 --> 00:04:50,490 私は分かっておる! 分かっておるぞ 御台! 50 00:04:50,490 --> 00:04:57,197 (泣き声) もういやあ! 51 00:04:57,197 --> 00:05:02,102 (泣き声) 52 00:05:02,102 --> 00:05:05,405 (松方)御台様は さようなご様子で。 53 00:05:07,240 --> 00:05:11,578 黒木に もう一度 頼みに参る。 54 00:05:11,578 --> 00:05:14,481 (松方)なりませぬぞ! 上様! 55 00:05:14,481 --> 00:05:19,452 御台は 人痘を後押ししてくれておった。 56 00:05:19,452 --> 00:05:23,190 人痘がなれば 気を持ち直すかもしれぬ。 57 00:05:23,190 --> 00:05:27,494 お忍びを重ねれば 程なく 治済様の耳に入りましょう。 58 00:05:31,264 --> 00:05:36,136 ならば 入らぬよう策を打て! 59 00:05:36,136 --> 00:05:41,141 それでも大奥最高の地位にあった男か! 60 00:05:53,286 --> 00:05:55,989 まったく。 61 00:06:01,094 --> 00:06:05,865 ⚟松方様 お捜ししておりました。 62 00:06:05,865 --> 00:06:10,870 田嶋屋という薬種問屋が 薬の売り込みに参っておるのですが。 63 00:06:14,908 --> 00:06:19,913 そなたが田嶋屋か? はい。 64 00:06:22,582 --> 00:06:28,889 松方様 私を覚えておられませぬか? 65 00:06:32,259 --> 00:06:34,594  回想 (僖助)ありがとうございました! 66 00:06:34,594 --> 00:06:37,497 あぁあ! 67 00:06:37,497 --> 00:06:48,808 今は 田嶋屋に養子に入りまして これを。 68 00:06:55,282 --> 00:06:58,285 これは…。 69 00:06:59,953 --> 00:07:04,224 (黒木)「せんだっては わざわざ むさ苦しきところに お渡り頂き➡ 70 00:07:04,224 --> 00:07:10,897 まこと恐悦至極。 ご依頼の件 その後 家中にて激しい論議となりまして」。 71 00:07:10,897 --> 00:07:12,832 (伊兵衛)人痘を広くやろうとすりゃ➡ 72 00:07:12,832 --> 00:07:15,235 お上の力 借りねえわけには いかねえだろうが! 73 00:07:15,235 --> 00:07:18,138 お前は 青沼先生の最期を忘れたのか! 74 00:07:18,138 --> 00:07:21,574 先生 あの時 言ってたじゃねえか! 75 00:07:21,574 --> 00:07:27,580 時が来たら 今度は俺らの手で 人痘を再び始めろって! 76 00:07:29,249 --> 00:07:33,586  回想 (青沼)いつか必ず再び 世が人痘を求める時が来ます。➡ 77 00:07:33,586 --> 00:07:36,890 その時は 皆さん お願いします! 78 00:07:43,263 --> 00:07:46,599 (るい)あの 先生は まさかの折に➡ 79 00:07:46,599 --> 00:07:51,471 私と青史郎に 累が及ぶことを 案じてらっしゃるんですよね。➡ 80 00:07:51,471 --> 00:07:53,940 だったら 離縁しますよ。 81 00:07:53,940 --> 00:07:57,610 るい さようなことを簡単に。 82 00:07:57,610 --> 00:08:00,880 だって 人別だけの話ですし。 83 00:08:00,880 --> 00:08:03,550 (青史郎)うん。 どうせ いなかったし! 84 00:08:03,550 --> 00:08:06,886 青史郎 父は そなたのために。 85 00:08:06,886 --> 00:08:08,822 (青史郎)おいらは最後でいいよ。 86 00:08:08,822 --> 00:08:14,561 その前に みんなまとめて助けてあげて。 おとっつぁん。 87 00:08:14,561 --> 00:08:16,563 青史郎…。 88 00:08:20,433 --> 00:08:27,907 (黒木)「妻も子も友も 私より賢く頼もしく 愚かなるは己ばかり。➡ 89 00:08:27,907 --> 00:08:30,810 無礼千万 深くお詫び申し上げます。➡ 90 00:08:30,810 --> 00:08:35,582 そして もし いまだお考えにお変わりなくば➡ 91 00:08:35,582 --> 00:08:38,485 いま一度 お話を」。 92 00:08:38,485 --> 00:08:40,920 ま… 松方 松方! 93 00:08:40,920 --> 00:08:44,591 (小声で) 田嶋屋なら部屋に待たせております。 94 00:08:44,591 --> 00:08:47,494 紙と筆を! (松方)はっ! 95 00:08:47,494 --> 00:08:51,931 (伊兵衛)これ 幕府のお抱えの 蘭学者になってはどうかってこと?➡ 96 00:08:51,931 --> 00:08:56,269 黒木さんが? (僖助)天文方に翻訳局を新たに設け➡ 97 00:08:56,269 --> 00:09:02,542 黒木さんが そこのお役人となる。 そうすることで 人痘に要するかかりを➡ 98 00:09:02,542 --> 00:09:07,213 表向きは 蘭書翻訳のためとして 求めることができるそうです。 99 00:09:07,213 --> 00:09:11,551 怪しまれず 幕府の金を こちらに流すことができるってことか。 100 00:09:11,551 --> 00:09:14,220 案外やるじゃない あの公方様。 101 00:09:14,220 --> 00:09:18,558 天文方って えっと 確か 千代田じゃねえんだよな。 102 00:09:18,558 --> 00:09:23,229 浅草だそうです。 なので 登城せずともよい。 103 00:09:23,229 --> 00:09:27,100 翻訳局は新設ゆえ そこに詰める蘭学者も➡ 104 00:09:27,100 --> 00:09:31,571 黒木さんが事情を知るものを 集めてよいと。 105 00:09:31,571 --> 00:09:37,911 なるほど。 で いつからなんの? 黒木さんは そのお役人に。 106 00:09:37,911 --> 00:09:44,250 それが 肝心の翻訳局を作ることの了承を まだ得てないそうで。 107 00:09:44,250 --> 00:09:46,920 何! (伊兵衛)そこ まだなの!? 108 00:09:46,920 --> 00:09:54,260 ち… 近頃➡ 109 00:09:54,260 --> 00:09:58,598 異国船が 我が国近海をうろついておるし➡ 110 00:09:58,598 --> 00:10:05,939 その 幕府も 国の外の事情を もう少し知ったほうがよいと思うのじゃ。 111 00:10:05,939 --> 00:10:10,810 そのためには オランダ語に堪能な学者を幕府で抱え➡ 112 00:10:10,810 --> 00:10:14,114 調べさせるのが上策かと。 113 00:10:17,550 --> 00:10:21,488 (牧野)よろしいのではないでしょうか。 114 00:10:21,488 --> 00:10:29,963 (土井)天文方に属す形であれば かかりも そうはかかりませぬし。 115 00:10:29,963 --> 00:10:36,636 そうか! そうか では➡ 116 00:10:36,636 --> 00:10:40,306 そなたらから 母上に申し上げてみてくれぬか。 117 00:10:40,306 --> 00:10:46,980 男のわしから言うと 角が立つゆえ! の! 118 00:10:46,980 --> 00:10:53,286 ふうん 翻訳局のぅ…。 119 00:10:56,322 --> 00:11:00,927 <こうして 人痘接種のための役所が新設され➡ 120 00:11:00,927 --> 00:11:07,634 家斉公は 治済公の目を欺くことにも 成功なされたのだった> 121 00:11:13,273 --> 00:11:17,143 (家斉)黒木は? もう 天文方近くの役宅に移ったか。 122 00:11:17,143 --> 00:11:20,947 (僖助)はい つつがなく。➡ 123 00:11:20,947 --> 00:11:29,289 蘭学者は 玄白先生の弟子をお借りし 元の治療所は伊兵衛殿に任せました。 124 00:11:29,289 --> 00:11:33,960 (家斉)実はの➡ 125 00:11:33,960 --> 00:11:38,831 隠密を使うてはどうかと 考えておるのじゃが。 どうだ? 126 00:11:38,831 --> 00:11:44,304 隠密!? 例の赤面の熊の村の便りも待ちつつも➡ 127 00:11:44,304 --> 00:11:48,308 そのほかでも探したほうが 早く始められよう。 128 00:11:51,177 --> 00:11:53,313 はっ。 129 00:11:53,313 --> 00:11:56,983 (治済) 家斉が大奥を追われた者と会っている? 130 00:11:56,983 --> 00:12:01,821 は。 先代の大奥で右筆部屋に 勤めておったものが そのように。 131 00:12:01,821 --> 00:12:05,592 ここのところ 隠密を集めたりもしておられ➡ 132 00:12:05,592 --> 00:12:08,895 上様は 何かたくらんでおられるのやも しれませぬ。 133 00:12:13,933 --> 00:12:17,604 (家斉)では 隠密のほうは。 134 00:12:17,604 --> 00:12:23,943 (松方)黒木の指南を受け 各地に散ったと 昨日 僖助より知らせがありました。 135 00:12:23,943 --> 00:12:28,815 (家斉)そうか。 早く見つかるとよいのぅ。 136 00:12:28,815 --> 00:12:32,518 ⚟上様。 治済様がお見えでございます。 137 00:12:42,962 --> 00:12:48,301 家斉 そなた 私に隠しておることはないか? 138 00:12:48,301 --> 00:12:50,970 (家斉)か… 隠しておること? 139 00:12:50,970 --> 00:12:56,309 隠密を集めたり 大奥を追われた者と 会っておるそうではないか! 140 00:12:56,309 --> 00:13:01,581 (家斉)ど… どこから さようなお話を。 141 00:13:01,581 --> 00:13:06,452 私に ひと言もなく 一体 何をやっておるのじゃ! 142 00:13:06,452 --> 00:13:08,454 (松方)治済様。 恐れながら➡ 143 00:13:08,454 --> 00:13:13,593 上様は治済公に奥をご用意できぬかと お考えなのです。➡ 144 00:13:13,593 --> 00:13:20,266 申し訳ございませぬ。 白状してしまいました 上様。 145 00:13:20,266 --> 00:13:23,569 (治済)私に? 奥を? 146 00:13:26,606 --> 00:13:33,946 あ! ひ… 日々 政にご苦労されている母上に➡ 147 00:13:33,946 --> 00:13:36,282 お慰めをご用意できぬかと。➡ 148 00:13:36,282 --> 00:13:43,156 実は 隠密を集めたも 母上に仕える男衆探しでございまして。 149 00:13:43,156 --> 00:13:45,958 (ため息) 150 00:13:45,958 --> 00:13:48,628 なんと くだらぬ。 151 00:13:48,628 --> 00:13:53,499 まぁ そうおっしゃらずに。 152 00:13:53,499 --> 00:13:55,501 (手をたたく音) 153 00:14:06,112 --> 00:14:10,883 (松方)この者たちは それを望んで参った者たち➡ 154 00:14:10,883 --> 00:14:16,255 本日より 早速 選びにかかります。 155 00:14:16,255 --> 00:14:20,593 では 大奥を追われた者と会っていた というのは。 156 00:14:20,593 --> 00:14:26,299 (松方)およそ 集めた者を そう間違えられたのかと。 157 00:14:29,936 --> 00:14:37,276 まったく まことくだらぬ。 158 00:14:37,276 --> 00:15:04,904 ♬~ 159 00:15:04,904 --> 00:15:07,240 (家斉)たまげたぞ 松方。➡ 160 00:15:07,240 --> 00:15:10,910 まさか まことに 男まで用意しておったとは。 161 00:15:10,910 --> 00:15:14,914 大奥の最高位におった 男の知恵にござります。 162 00:15:16,582 --> 00:15:23,456 そなたにも 危ない橋を渡らせておるな。 163 00:15:23,456 --> 00:15:31,597 振り返れば 私も治済卿には 随分といいように使われてまいりました。 164 00:15:31,597 --> 00:15:38,471 所詮 男の人生とは さようなものかと 諦めてもおりましたが➡ 165 00:15:38,471 --> 00:15:43,609 上様のお言葉に不覚にも心打たれ。 166 00:15:43,609 --> 00:15:46,512 不覚? (松方)仰せのとおり➡ 167 00:15:46,512 --> 00:15:50,950 男子が死なぬようになれば➡ 168 00:15:50,950 --> 00:15:56,622 女ばかりが のさばる世も 終わるのではないか と。 169 00:15:56,622 --> 00:16:08,234 ♬~ 170 00:16:08,234 --> 00:16:13,239 (茂姫)はい。 敦之助 あーん。 あーん。 171 00:16:14,907 --> 00:16:18,578 はい。 あーん。 あーん。 172 00:16:18,578 --> 00:16:20,913 <御台様は その後 あわれにも➡ 173 00:16:20,913 --> 00:16:25,251 家斉公を息子の敦之助様だと 思うようになり> 174 00:16:25,251 --> 00:16:28,921 (家斉)母上。➡ 175 00:16:28,921 --> 00:16:34,594 実は今 父上は母上に 贈り物をこしらえておるらしいのですよ。 176 00:16:34,594 --> 00:16:39,599 はい あーん。 あーん。 177 00:16:42,268 --> 00:16:44,937 あーん。 178 00:16:44,937 --> 00:16:47,640 <そんな日々の中> 179 00:16:49,609 --> 00:16:52,311 お~ どいた どいた どいた…! 180 00:16:59,285 --> 00:17:01,220 黒木さ~ん! 181 00:17:01,220 --> 00:17:04,557 おい 黒木さん! 黒木さん! おい! 182 00:17:04,557 --> 00:17:07,226 (黒木)何だ。 いかがした? 黒木さん! 黒木さん! 183 00:17:07,226 --> 00:17:10,530 診療所のほうに こいつが! 184 00:17:17,570 --> 00:17:21,874 種が 来る…! 185 00:17:25,244 --> 00:17:27,914 (隠密) なんとか種をついでまいったのですが➡ 186 00:17:27,914 --> 00:17:31,250 熊痘は あっという間に治ってしまうもので。 187 00:17:31,250 --> 00:17:35,121 あっという間。 発疹の翌日には引いてしまうもので➡ 188 00:17:35,121 --> 00:17:41,894 継ぐ者の数が足りず 治りきる前の 痘からとったかさぶたを せめて。 189 00:17:41,894 --> 00:17:44,597 申し訳ございませぬ! 190 00:17:46,799 --> 00:17:50,269 かさぶたでも いけるかね。 分からぬ。 191 00:17:50,269 --> 00:17:55,141 だが 種がつかねばつかなかったで 終わるだけの話だ。 192 00:17:55,141 --> 00:17:58,144 よし 青史郎。 うん。 193 00:17:58,144 --> 00:18:16,228 ♬~ 194 00:18:16,228 --> 00:18:19,131 いくぞ。 うん。 195 00:18:19,131 --> 00:18:34,914 ♬~ 196 00:18:34,914 --> 00:18:40,920 先生 これ… 先生 これ! 赤面ですか? 197 00:18:47,927 --> 00:18:53,799 無事 種がついた。 198 00:18:53,799 --> 00:18:58,938 ⚟上様! 松方様! 199 00:18:58,938 --> 00:19:03,542 急ぎ お伝えしたき儀がございます! 200 00:19:03,542 --> 00:19:05,478 何じゃ? 201 00:19:05,478 --> 00:19:10,216 市中にて 赤面が発生いたしたようにございます。 202 00:19:10,216 --> 00:19:16,555 赤面! そ… それはいつもの赤面か!? 203 00:19:16,555 --> 00:19:20,426 いつもの? (松方)よい。 さようなことより➡ 204 00:19:20,426 --> 00:19:23,429 急ぎ 若君様 中奥の若い者たちらにも伝えよ。 205 00:19:23,429 --> 00:19:25,431 は。 206 00:19:30,569 --> 00:19:36,442 人の道にはもとりますが 我らには追い風でございますな。 207 00:19:36,442 --> 00:19:40,146 人痘を望む者は増えるじゃろうな…。 208 00:19:46,585 --> 00:19:49,255 そうじゃ 松方! 209 00:19:49,255 --> 00:19:51,590 かような手は どうであろうか! 210 00:19:51,590 --> 00:19:53,926 (読売師)皆様 皆様 お立ち会い!➡ 211 00:19:53,926 --> 00:20:01,600 なんとなんと 赤面大流行の このご時世に 救いの神が現れたって話だ! 212 00:20:01,600 --> 00:20:06,272 「熊痘」 「熊痘接種」ってな 秘策がお出ましだよ! 213 00:20:06,272 --> 00:20:08,207 (ざわめき) 214 00:20:08,207 --> 00:20:10,943 (読売師)一度かかりゃあ 二度とかからねえってのが➡ 215 00:20:10,943 --> 00:20:13,279 この赤面疱瘡!➡ 216 00:20:13,279 --> 00:20:18,150 だったら その軽いものに 一度かかってみろってのが この秘策だ! 217 00:20:18,150 --> 00:20:20,953 (ざわめき) 218 00:20:20,953 --> 00:20:23,622 (読売師) 眉唾じゃねえ 眉唾じゃねえぞ!➡ 219 00:20:23,622 --> 00:20:29,295 何てったって この秘策 編み出したのが 天文方のお役人。➡ 220 00:20:29,295 --> 00:20:34,967 自分の息子にやったってんだから 大したもんだ!➡ 221 00:20:34,967 --> 00:20:38,304 その息子なんて 赤面にかかってんのに➡ 222 00:20:38,304 --> 00:20:43,976 ピンピン 跳びはね回ってるってんだから こりゃ大したもんだ!➡ 223 00:20:43,976 --> 00:20:48,314 うそだと思うなら うそだと思うなら 浅草の天文方へ行って➡ 224 00:20:48,314 --> 00:20:52,618 ひとつ この一部始終 見て聞いてくるがいい! 225 00:20:56,655 --> 00:21:02,261 (家斉)そうか。 さように人が詰めかけ。 226 00:21:02,261 --> 00:21:05,598 (牧野)はい。 大評判にございまして。➡ 227 00:21:05,598 --> 00:21:07,933 赤面がはやっておる中を➡ 228 00:21:07,933 --> 00:21:12,605 この熊痘を受けた男子は もろともせずに走り回っておりまして。 229 00:21:12,605 --> 00:21:18,477 で これをいっそ 公儀の事業にできぬかと。 230 00:21:18,477 --> 00:21:21,280 は!? (牧野)大名からも➡ 231 00:21:21,280 --> 00:21:26,152 己が子息らにも受けさせたいとの声も 上がってきておりまして。 232 00:21:26,152 --> 00:21:31,924 そもそも 公儀の役人たちが 考えついたものにございますし。 233 00:21:31,924 --> 00:21:36,295 しかし 母上は いかがするのじゃ。 234 00:21:36,295 --> 00:21:39,198 異を唱えられるかもしれぬぞ。 235 00:21:39,198 --> 00:21:47,640 今や 政には興味を持たれぬご様子ゆえ 先に事を進めてしまおうかと。 236 00:21:47,640 --> 00:21:50,976 そうか。 237 00:21:50,976 --> 00:21:56,315 そなたらが それがよいと言うなら わしは構わぬぞ。 238 00:21:56,315 --> 00:21:58,317 (一同)ははぁ。 239 00:22:12,264 --> 00:22:18,137 (せきこみ) 240 00:22:18,137 --> 00:22:21,607 (治済) 当たりの杯を引き当てたのは永野か。➡ 241 00:22:21,607 --> 00:22:24,610 めでたいの 永野。 242 00:22:26,478 --> 00:22:32,618 生き残れば その金は そなたのものじゃぞ。 ふふふふ。 243 00:22:32,618 --> 00:22:35,521 ほれ 皆も祝わぬか。 244 00:22:35,521 --> 00:22:39,525 おめでとうございます。 永野殿 お見事。永野殿 大当たりじゃ。 245 00:22:47,967 --> 00:22:52,671 (治済) 何か飽きてきたのぅ。 美食も美男も。 246 00:22:56,642 --> 00:23:00,512 母上。 覚えておられますか? 247 00:23:00,512 --> 00:23:06,452 父上が以前 人痘を再び始めたいと言ったこと。 248 00:23:06,452 --> 00:23:11,924 あれをなんと 公儀の役人が成功させたのですよ。➡ 249 00:23:11,924 --> 00:23:15,794 こたびは 人痘ではなく 熊痘というそうなのですが。 250 00:23:15,794 --> 00:23:21,500 まぁあ では そなたも もう赤面で亡くなることはないのですか? 251 00:23:24,503 --> 00:23:26,939 はい。 252 00:23:26,939 --> 00:23:30,609 なんと ありがたい! 253 00:23:30,609 --> 00:23:33,512 母は そなたが いつ赤面で亡くなるかと思うと➡ 254 00:23:33,512 --> 00:23:38,817 胸が潰れる思いでございました! ありがたい。 255 00:23:49,628 --> 00:23:55,501 (茂姫)これからもずっと 共にいられるのですね。 256 00:23:55,501 --> 00:24:01,240 父上は なんてご立派なのでしょう。 257 00:24:01,240 --> 00:24:06,245 これで どれほどの母親が救われることか。 258 00:24:07,913 --> 00:24:10,616 御台。 259 00:24:14,787 --> 00:24:18,490 (治済)折り入って話とは何じゃ。 家慶。 260 00:24:21,460 --> 00:24:26,598 (家慶)おばば様。 私は 熊痘なるものを受けたくございます。 261 00:24:26,598 --> 00:24:28,934 ユウトウとは何じゃ? 262 00:24:28,934 --> 00:24:34,239 ご城下で はやっておる 赤面を防ぐ秘術でございます。 263 00:24:43,949 --> 00:24:46,852 (家慶) 何でも その秘術を編み出したのは➡ 264 00:24:46,852 --> 00:24:51,824 父上が作った 天文方の翻訳局の役人らしく。 265 00:24:51,824 --> 00:24:54,293 家斉が作った翻訳局? 266 00:24:54,293 --> 00:24:59,598 あぁ 父上が老中たちに作れと 命じたらしいですよ。 267 00:25:01,900 --> 00:25:03,836  回想 翻訳局のぅ…。➡ 268 00:25:03,836 --> 00:25:07,239 家斉が大奥を追われた者と会っている? 269 00:25:07,239 --> 00:25:12,244  回想 (家斉)隠密を集めたも 母上に仕える男衆探しでございまして。 270 00:25:15,114 --> 00:25:22,588 これは… 仕置きせねばな。 271 00:25:22,588 --> 00:25:54,953 ♬~ 272 00:25:54,953 --> 00:25:57,656 (滝沢)よろしうございます。 273 00:26:02,561 --> 00:26:08,901 どうした そなたらのために 特に作らせた菓子じゃ。➡ 274 00:26:08,901 --> 00:26:13,238 遠慮のう食せ。 275 00:26:13,238 --> 00:26:16,141 は…。 276 00:26:16,141 --> 00:26:24,583 しかし あいにく腹がすいておらず。 恐らく 御台もかと。 277 00:26:24,583 --> 00:26:28,454 (治済)そうか。➡ 278 00:26:28,454 --> 00:26:34,460 では 先に話をするかの。 279 00:26:48,273 --> 00:26:55,948 家斉 そなた 大奥を追放された蘭学者らを ひそかに抱え直しておったそうじゃの。 280 00:26:55,948 --> 00:27:00,786 え? 何のことにございましょう。 281 00:27:00,786 --> 00:27:05,757 (治済)翻訳局筆頭の黒木 田嶋屋の僖助。➡ 282 00:27:05,757 --> 00:27:12,431 調べてみると 全て 昔 大奥を 追われたものたちだそうではないか。 283 00:27:12,431 --> 00:27:16,568 これは 一体 どういうことじゃ。 284 00:27:16,568 --> 00:27:20,439 (家斉)申し訳ございませぬ。 私には 何のことやら さっぱり。 285 00:27:20,439 --> 00:27:23,442 これは お上が罪人を雇ったということじゃ! 286 00:27:23,442 --> 00:27:29,148 かようなことをして そなた 民に示しがつかぬとは思わぬのか! 287 00:27:29,148 --> 00:27:33,919 あ…! (治済)だから あれほど言うたであろう。 288 00:27:33,919 --> 00:27:39,224 そなたは政には手を出すなと。 289 00:27:43,595 --> 00:27:49,902 (泣き声) (家斉)は… 母上。 290 00:28:00,546 --> 00:28:08,253 そなたは上様。 そなたを裁ける者など誰もおらぬ。 291 00:28:10,889 --> 00:28:17,229 これではもう 母が➡ 292 00:28:17,229 --> 00:28:21,934 母が そなたを手にかけるしか のうなってしまった! 293 00:28:25,904 --> 00:28:34,913 せめて そなたの好きな甘いもので 送ってやるゆえな。➡ 294 00:28:37,249 --> 00:28:39,952 召し上がりゃ。 295 00:28:41,920 --> 00:28:44,590 さぁ。 296 00:28:44,590 --> 00:28:56,935 ♬~ 297 00:28:56,935 --> 00:29:01,540 そもそも 彼らは罪人ではございませぬし➡ 298 00:29:01,540 --> 00:29:05,244 彼らを憎んでおる民もおりませぬ。 299 00:29:08,213 --> 00:29:16,088 母上が私に手をかけると言うのなら! 300 00:29:16,088 --> 00:29:24,229 ほ ほほ。 なんと母を斬ると。 301 00:29:24,229 --> 00:29:28,934 この母を斬ると。 斬れると! 302 00:29:33,238 --> 00:29:42,914 (せきこみ) 303 00:29:42,914 --> 00:29:48,787 食うてしまったのか! 御台! 御台! 304 00:29:48,787 --> 00:29:52,591 かわいそうにのぅ。 305 00:29:52,591 --> 00:29:59,931 御台は そなたと添うたがゆえに狂った。 かわいそうに。➡ 306 00:29:59,931 --> 00:30:06,605 そんな御台を一人で逝かせる気か!?➡ 307 00:30:06,605 --> 00:30:12,477 ほれほれ どうする? 死んでしまうぞ? 308 00:30:12,477 --> 00:30:45,777 ♬~ 309 00:30:57,889 --> 00:31:00,592 え? 310 00:31:00,592 --> 00:31:03,295 母上。 311 00:31:06,465 --> 00:31:12,938 母上… た… 誰か! 312 00:31:12,938 --> 00:31:15,607 誰も呼んではなりませぬ! 313 00:31:15,607 --> 00:31:19,945 (家斉)御台? (滝沢)御台様。 314 00:31:19,945 --> 00:31:25,817 さすがに 何も盛らぬわけにはまいらず 少々 吐き気を催す薬を。 315 00:31:25,817 --> 00:31:32,524 大事のうございますか? ええ。 お志賀こそ。 316 00:31:35,494 --> 00:31:37,796 どういうことじゃ? 317 00:31:40,265 --> 00:31:42,567 どういうことじゃ これは。 318 00:31:49,307 --> 00:31:56,982 全て 狂言でございました。➡ 319 00:31:56,982 --> 00:32:03,789 敦之助を亡くした私は お志賀の毒殺を疑い 部屋にどなり込み。 320 00:32:03,789 --> 00:32:06,792  回想 (茂姫)そなたが送ってきた カステラじゃろうが! 321 00:32:13,932 --> 00:32:21,239 (茂姫)しかし そのうちに ある考えがよぎったのです。 322 00:32:23,608 --> 00:32:27,946 では 敬之助殿は? と。➡ 323 00:32:27,946 --> 00:32:32,617 そして 敬之助殿が亡くなった時のことを お宇多に確かめると➡ 324 00:32:32,617 --> 00:32:35,954 敬之助殿にも➡ 325 00:32:35,954 --> 00:32:39,624 誰かが 私の名で毒入りのようかんを 送っていたらしいことが分かり。 326 00:32:39,624 --> 00:32:47,499  回想 私の名で姫に ちまきが? はい。 姫は それを食べ➡ 327 00:32:47,499 --> 00:32:50,969 風邪のようになったあげく 亡くなりました。 328 00:32:50,969 --> 00:32:55,640 そこに治済様から➡ 329 00:32:55,640 --> 00:33:00,912 御台様が私に嫉妬していたと聞かされ。 330 00:33:00,912 --> 00:33:04,583 そして私のところには➡ 331 00:33:04,583 --> 00:33:09,888 あなたが送った覚えのない 毒入りのカステラが来た…。 332 00:33:15,594 --> 00:33:19,464 (茂姫)私たちは 私たちの名をかたり➡ 333 00:33:19,464 --> 00:33:24,169 毒入り菓子をばらまいている者がいると 確信したのでございます。 334 00:33:29,140 --> 00:33:37,148 そして そんな化け物は成敗せねばならぬと。 335 00:33:41,620 --> 00:33:48,293 私は狂ったふりをし お志賀は 義母上に取り入り➡ 336 00:33:48,293 --> 00:33:51,997 毎日 少しずつ毒を盛りました。 337 00:33:58,937 --> 00:34:05,243 はい。 しかし お体がお強いのか なかなか効かず。 338 00:34:05,243 --> 00:34:11,917 そこに お二人を弑し奉らんとなさったので➡ 339 00:34:11,917 --> 00:34:15,220 先ほど 強い毒を。 340 00:34:19,591 --> 00:34:25,463 お志賀! お志賀! お志賀! お志賀!➡ 341 00:34:25,463 --> 00:34:29,935 お志賀! お志賀! 342 00:34:29,935 --> 00:34:35,273 こうなるは覚悟の上の毒味役。 343 00:34:35,273 --> 00:34:41,613 なれど! なれど! 344 00:34:41,613 --> 00:34:46,484 ふふ。 でもね 御台様。 345 00:34:46,484 --> 00:34:56,494 これで やっと… やっと 姫に。 346 00:35:07,772 --> 00:35:12,777 お志賀! お志賀! 347 00:35:33,598 --> 00:35:39,471 上様。 いかなる理由があったとて➡ 348 00:35:39,471 --> 00:35:44,943 私は 上様の母君を 弑し奉ったる身にございます。 349 00:35:44,943 --> 00:35:50,281 どのようなおとがめでも受ける覚悟は できております。 350 00:35:50,281 --> 00:35:54,986 どうぞ 一息に。 351 00:36:02,560 --> 00:36:10,235 そなたをとがめることなど➡ 352 00:36:10,235 --> 00:36:12,937 できるはずがないであろう。 353 00:36:16,908 --> 00:36:27,252 ただ 人を…➡ 354 00:36:27,252 --> 00:36:30,555 匙を呼ばせてくれ。 355 00:36:40,799 --> 00:36:46,604 だって まだ息がある!➡ 356 00:36:46,604 --> 00:36:53,945 たとえ化け物でも 母は母じゃ! 357 00:36:53,945 --> 00:37:01,953 御台 すまぬ。 すまぬ…。 358 00:37:04,222 --> 00:37:11,529 だが 頼む! 頼む! 御台! 頼む! 359 00:37:16,568 --> 00:37:20,572 あなた様は そういうお方ですものね。 360 00:37:26,578 --> 00:37:28,513 誰か お匙を! 361 00:37:28,513 --> 00:37:32,517 治済様が急な発作で お倒れじゃ! 362 00:37:45,597 --> 00:37:49,934 <治済公は 一命はお取り留めになったものの➡ 363 00:37:49,934 --> 00:37:54,606 お体もお言葉もきかぬようになられた。➡ 364 00:37:54,606 --> 00:38:02,213 大奥は 御台所様によって 再び光を取り戻したのであった> 365 00:38:02,213 --> 00:38:05,884 (家斉)かねてよりの案件➡ 366 00:38:05,884 --> 00:38:10,755 天文方翻訳局の黒木良順らが編み出し 熊痘であるが➡ 367 00:38:10,755 --> 00:38:16,895 これを本日この場より 正式に公儀じきじきの施策とすること➡ 368 00:38:16,895 --> 00:38:20,565 諸大名たちに直ちに申し伝えよ。 369 00:38:20,565 --> 00:38:22,901 直ちにでございますか? 370 00:38:22,901 --> 00:38:30,241 我が国沿岸に外国船が出没する昨今 男の数を増やすことは急務! 371 00:38:30,241 --> 00:38:34,913 たとえ 幕府の金銀が尽きようとも➡ 372 00:38:34,913 --> 00:38:39,250 男を女と同じ数まで増やすのだ! 373 00:38:39,250 --> 00:38:41,586 よいな! 374 00:38:41,586 --> 00:38:44,289 (一同)は ははぁ! 375 00:38:51,930 --> 00:38:57,602 これでやっと お上の認めるモンになったな。 376 00:38:57,602 --> 00:39:02,307 おい おいどうしたんだよ 黒木さん。 377 00:39:06,211 --> 00:39:15,887 最後に源内殿をたずねた時 あの人が言ったのだ。 378 00:39:15,887 --> 00:39:22,560 人痘は 公儀の認めるものとなり 私は大奥を出➡ 379 00:39:22,560 --> 00:39:27,865 そこの頭となったのだろうと。 380 00:39:31,569 --> 00:39:36,574 やっぱ 天才だな! 381 00:39:38,910 --> 00:39:47,585 ああ 天才だ! 382 00:39:47,585 --> 00:39:52,457 「よくやった」って言ってくれてますよ。 383 00:39:52,457 --> 00:39:59,464 源内さんも 青沼先生も 田沼様も。 384 00:40:04,602 --> 00:40:08,473 <この後 家斉公は まこと➡ 385 00:40:08,473 --> 00:40:13,278 お金蔵が尽きることもかえりみぬ勢いで 熊痘を推し進められ➡ 386 00:40:13,278 --> 00:40:19,984 男子の数は増え 赤面を恐れることなく 動けるようにもなった> 387 00:40:22,620 --> 00:40:29,494 <それに伴い 男が家の稼ぎを担い 女は家内のことをこなし➡ 388 00:40:29,494 --> 00:40:33,631 子どもを生み育てるが役目 という形も広まり➡ 389 00:40:33,631 --> 00:40:39,504 家斉公は 男子による家督相続を推奨した。➡ 390 00:40:39,504 --> 00:40:46,978 だが 新たな役目をすんなりとは 受け入れられぬ男女が現れた。 例えば> 391 00:40:46,978 --> 00:40:51,849 (正寧)私には 表働きなど無理じゃ!➡ 392 00:40:51,849 --> 00:40:59,991 そもそも 種をつけ 妻に尽くせと 教えられてきたのじゃ! そなたがやれ! 393 00:40:59,991 --> 00:41:07,598 (正弘)兄上。 近頃は一家に男がおるのに もはや女の家督は許されぬのです。 394 00:41:07,598 --> 00:41:11,302 わしはもう登城はせぬ! 395 00:41:15,473 --> 00:41:20,945 病。 まことのところは➡ 396 00:41:20,945 --> 00:41:26,818 阿部の家名を背負いかねると 逃げ出しただけであろう。 397 00:41:26,818 --> 00:41:35,827 臆病風邪という風邪をひいた というところで いかがでございましょう。 398 00:41:38,496 --> 00:41:42,633 皮肉なものよの。 399 00:41:42,633 --> 00:41:47,305 男が家督を継ぐことを 推し進めたがために➡ 400 00:41:47,305 --> 00:41:56,647 今度は そなたのような才のある女が 表に出ることが難しくなってしまった。 401 00:41:56,647 --> 00:42:01,252 赤面の世では その才を生かせず➡ 402 00:42:01,252 --> 00:42:06,591 生涯を終えた男が あまたいたことにございましょう。 403 00:42:06,591 --> 00:42:10,928 しかしながら 我が兄には➡ 404 00:42:10,928 --> 00:42:15,233 赤面の世のほうが 生きやすかったようにございます。 405 00:42:17,802 --> 00:42:21,939 (正弘)上様。 阿部は➡ 406 00:42:21,939 --> 00:42:25,610 神君家康公の身代わりと ならんとしたことで➡ 407 00:42:25,610 --> 00:42:29,280 名をなした一門。 408 00:42:29,280 --> 00:42:34,619 この身をなげうち お仕えする覚悟にございますゆえ➡ 409 00:42:34,619 --> 00:42:38,489 何とぞ 私めによる家督相続を➡ 410 00:42:38,489 --> 00:42:42,493 お認め頂けませぬでしょうか! 411 00:42:50,968 --> 00:42:57,842 阿部の正勝 襲われし折 大権現様の身代わりにならんと➡ 412 00:42:57,842 --> 00:43:00,778 同じ輿に乗り込む。 413 00:43:00,778 --> 00:43:03,915 (襖が開く音) 414 00:43:03,915 --> 00:43:07,585 父上。 今日はおいでとは。 415 00:43:07,585 --> 00:43:09,887 (家慶)ふふ。 416 00:43:11,456 --> 00:43:16,761 もう人払いは済ませた。 417 00:43:21,132 --> 00:43:23,601 誰か! 418 00:43:23,601 --> 00:43:26,270 無駄なことじゃ 祥子。 419 00:43:26,270 --> 00:43:33,144 父には そなただけ。 そなただけじゃ。 420 00:43:33,144 --> 00:43:44,622 ♬~ 421 00:43:44,622 --> 00:43:50,495 そなただけじゃぞ 祥子。 422 00:43:50,495 --> 00:44:09,580 ♬~ 423 00:44:09,580 --> 00:44:11,516 お見事。 424 00:44:11,516 --> 00:44:13,918 今日はもうよい! ノロマッ! 帰れ! 425 00:44:13,918 --> 00:44:17,588 このままでは済まさぬからな! 426 00:44:17,588 --> 00:44:21,259 そなたのために将軍になった。 427 00:44:21,259 --> 00:44:24,562 千代田ぁ!? 我らが大奥だ!