1 00:00:01,168 --> 00:00:07,541 (瀧山)こたび 大奥は 薩摩より御台様を迎えることとなった。 2 00:00:07,541 --> 00:00:10,444 (家定)で 薩摩の狙いは? 3 00:00:10,444 --> 00:00:13,213 (正弘)婚儀を好機として➡ 4 00:00:13,213 --> 00:00:17,885 幕政に深く食い込みたい というところではないでしょうか。 5 00:00:17,885 --> 00:00:21,755 私たちが守るべきは上様 徳川家定公…。 6 00:00:21,755 --> 00:00:27,227 <阿部様や大奥の男衆が 敵を迎え撃たんと勇んでいる中…> 7 00:00:27,227 --> 00:00:30,898 我らが大奥だ! (一同)はっ! 8 00:00:30,898 --> 00:00:36,870 <むくつけき男と噂の御台所様が ついに…> 9 00:00:39,239 --> 00:00:43,510 (胤篤)胤篤である。 よろしう頼む。 10 00:00:46,580 --> 00:00:52,252 どうかしたか? い いえ! 11 00:00:52,252 --> 00:00:56,924 以後 何なりとお申しつけ下さいませ! 12 00:01:01,528 --> 00:01:05,399 何だ あの美貌は。 13 00:01:05,399 --> 00:01:08,402 ⚟見たか!? 御台様。 ⚟(池谷)見た見た!➡ 14 00:01:08,402 --> 00:01:12,539 どんないかつい薩摩隼人が来ると 思うたら 随分と男前で! 15 00:01:12,539 --> 00:01:15,876 しかし さすがに瀧山様より 男前ではなかろ? 16 00:01:15,876 --> 00:01:22,149 いやいや それが 伝説のお万の方様とは あのようなお方かと思わんばかりの。 17 00:01:23,750 --> 00:01:30,424 お万の方様は お心ばえまで すばらしきお方であったそうじゃ。 18 00:01:30,424 --> 00:01:35,395 顔形だけで語るとは 愚か者のすることぞ! 19 00:01:37,564 --> 00:01:41,435 (正弘)世にもまれな顔のよい男。 は。 20 00:01:41,435 --> 00:01:44,438 (正弘)そなたよりもか? 21 00:01:44,438 --> 00:01:49,576 どちらの面がよいなど 私には計りかねますが。 22 00:01:49,576 --> 00:01:53,447 フッ。 案ずるな。 23 00:01:53,447 --> 00:01:57,451 私は顔形になど惑わされぬ。 24 00:01:57,451 --> 00:02:01,722 上様! さすがでございます! 25 00:02:13,533 --> 00:02:51,238 ♬~ 26 00:02:51,238 --> 00:02:55,108 上様。 大事ございませぬか。 27 00:02:55,108 --> 00:02:57,577 その 婚礼の場では いささか。 28 00:02:57,577 --> 00:03:01,848 驚いただけじゃ! まぁ 見ておれ! 29 00:03:22,202 --> 00:03:25,872 あ~ 大儀 大儀! 30 00:03:25,872 --> 00:03:29,209 今宵は疲れた! もう休む!➡ 31 00:03:29,209 --> 00:03:33,080 そなたも もう休んでよいぞ。 32 00:03:33,080 --> 00:03:37,350 では 私も休ませて頂きます。 33 00:03:57,571 --> 00:04:00,474 無礼者! 何をいたすか! 34 00:04:00,474 --> 00:04:03,176 (胤篤)何をと仰せになりましても。➡ 35 00:04:03,176 --> 00:04:07,514 一つ床では足に触れてしまうことも ございましょう。 36 00:04:07,514 --> 00:04:10,784 今宵は おとなしく休みますので。 37 00:04:13,186 --> 00:04:16,523 今宵だけではない ずっとじゃ! 38 00:04:16,523 --> 00:04:20,393 え!? ず ずっとにございますか? 39 00:04:20,393 --> 00:04:23,396 (家定)私は体が弱うてのぅ。 40 00:04:23,396 --> 00:04:27,868 子など はらめば 命に関わることになるし 房事も好かぬ。 41 00:04:27,868 --> 00:04:29,803 私をねやにて籠絡し➡ 42 00:04:29,803 --> 00:04:33,540 慶喜を次の将軍にと考えておるのなら 諦めよ。➡ 43 00:04:33,540 --> 00:04:36,443 その筋書きは はなから成り立たぬ。 44 00:04:36,443 --> 00:04:40,881 しかし 慶喜公でなければ どなたをお考えなのですか? 45 00:04:40,881 --> 00:04:44,751 紀州の福子姫あたりに ございますか? 46 00:04:44,751 --> 00:04:47,554 私は慶喜を後継にはせぬ。 47 00:04:47,554 --> 00:04:52,425 (胤篤)随分と切れるお方と お聞きしておりますが。 48 00:04:52,425 --> 00:04:56,229 慶喜には他人を思う心がないのだ。➡ 49 00:04:56,229 --> 00:05:00,834 さような者は どれほど頭がよかろうが 将軍の器ではない。 50 00:05:00,834 --> 00:05:05,705 慶喜を将軍にすれば国が滅ぶ よって 後釜にはせぬ! 51 00:05:05,705 --> 00:05:10,177 以上 明日にでも 薩摩の斉彬に知らせておけ。 52 00:05:10,177 --> 00:05:14,848 はい。 え! も もうよいのか。 53 00:05:14,848 --> 00:05:18,718 はい。 大変よう分かりましたので。 54 00:05:18,718 --> 00:05:21,721 では おやすみなさいませ。 55 00:05:21,721 --> 00:05:40,540 ♬~ 56 00:05:40,540 --> 00:05:46,413 昨夜は ぐっすりとお休みになられたようで。 57 00:05:46,413 --> 00:05:53,386 (胤篤)瀧山 上様は実にすばらしいお方であるな! 58 00:05:57,090 --> 00:06:00,493 (家定)この上は自分をうまく使ってくれ? 59 00:06:00,493 --> 00:06:04,364 はい。 上様のご慧眼に感服したと。 60 00:06:04,364 --> 00:06:09,169 ついては よりよい国づくりに お力添えいたしたいと。 61 00:06:09,169 --> 00:06:15,041 それは まぁいい笑顔で。 はぁ…。 62 00:06:15,041 --> 00:06:21,514 まずは そう考えるに至ったいきさつを お話ししたいと仰せなのですが。 63 00:06:21,514 --> 00:06:29,389 ふん では 今宵の夜伽の折にでも 聞いてやると伝えておけ。 64 00:06:29,389 --> 00:06:33,126 恐れながら それでは 明らかに 向こうの手に乗ってやることに…。 65 00:06:33,126 --> 00:06:35,061 それも一興。 66 00:06:35,061 --> 00:06:40,533 ふん 面白くなってきたではないか。➡ 67 00:06:40,533 --> 00:06:42,469 郷中の教育。 68 00:06:42,469 --> 00:06:45,405 薩摩の武士は その教えにより育ちます。 69 00:06:45,405 --> 00:06:48,408 ふーん。 それはいかなるものなのじゃ。 70 00:06:48,408 --> 00:06:52,545 例えば 年かさの者から かように尋ねられるのです。 71 00:06:52,545 --> 00:06:56,416 「もし そなたが 1人で道の端を歩いていて➡ 72 00:06:56,416 --> 00:07:01,354 ある屋敷にいた武士から 唾を吐きかけられたらどげんする!」。 73 00:07:01,354 --> 00:07:03,823 例えば こう答えます。 74 00:07:03,823 --> 00:07:07,494 「そのふらちもんの屋敷に押し入って 成敗いたしもす!」。 75 00:07:07,494 --> 00:07:11,164 しかし 1人で押し入ったところで 逆に成敗されてしまおう。 76 00:07:11,164 --> 00:07:16,036 いかにも! そう告げられれば ほかの手を考えねばならなくなります。 77 00:07:16,036 --> 00:07:22,175 「ぐっとこらえて 我慢しもす!」。 それでは また同じことが起こりもす! 78 00:07:22,175 --> 00:07:30,050 では 唾を吐きかけられぬよう 次からは道の真ん中を通りもす! 79 00:07:30,050 --> 00:07:33,520 よき「解」かと。 ふっ。 80 00:07:33,520 --> 00:07:35,455 のせられておるではないですか。 81 00:07:35,455 --> 00:07:38,191 (胤篤)かように 「もし ならば」と問うことを繰り返し➡ 82 00:07:38,191 --> 00:07:44,064 よき解を見つける。 これが薩摩の郷中教育なのです。 83 00:07:44,064 --> 00:07:48,835 なるほど 薩摩者は 常に現に即して考えることを➡ 84 00:07:48,835 --> 00:07:52,205 すり込まれるということか。 はい。 85 00:07:52,205 --> 00:08:01,481 つまり 私は上様が実にご慧眼 その現に即し考えた場合➡ 86 00:08:01,481 --> 00:08:04,818 もはや 薩摩は水戸を介することなく➡ 87 00:08:04,818 --> 00:08:11,491 将軍家と じかに手を組むが最もよかろう という解に至ったわけにございます。 88 00:08:16,162 --> 00:08:20,033 仰せのとおり 薩摩の狙いは 政に食らい込むこと。 89 00:08:20,033 --> 00:08:23,503 その一点がかなえられるのならば。 90 00:08:23,503 --> 00:08:28,174 薩摩は 水戸から はしごを外すということか。 91 00:08:28,174 --> 00:08:37,450 はい。 そのために 私をうまく使って下さいということです。 92 00:08:47,527 --> 00:08:51,865 おっ しゃれた懐紙入れじゃな。 93 00:08:51,865 --> 00:08:57,203 (仲野)はい! 御台様に すてきですねと 申し上げたら下さいました! 94 00:08:57,203 --> 00:08:59,472 御台様? 95 00:09:02,475 --> 00:09:06,813 それは 西洋の懐中時計なるものにございますか。 96 00:09:06,813 --> 00:09:11,484 (胤篤)あぁ。 時々 巻いてやらねば 止まってしまうのでな。 97 00:09:13,486 --> 00:09:20,160 薩摩は まことに裕福。 密貿易さまさまにございますね。 98 00:09:25,832 --> 00:09:29,169 御台様のお持ち物には百歩譲って 目をつむりましょう。 99 00:09:29,169 --> 00:09:32,505 しかし 大奥の男衆は将軍に仕える者。 100 00:09:32,505 --> 00:09:37,177 密貿易にて得たものを下賜なさるのは ご遠慮頂きたい! 101 00:09:37,177 --> 00:09:43,516 では そちらも今後は 添い寝を遠慮願えるか? 102 00:09:43,516 --> 00:09:46,186 添い寝は 大奥のしきたりにございますゆえ…。 103 00:09:46,186 --> 00:09:51,858 いや 添い寝のしきたりは 側室との夜伽の折のみのはず。 104 00:09:51,858 --> 00:09:55,728 そもそも側室が寝所で 上様に不届きなおねだりをせぬように➡ 105 00:09:55,728 --> 00:09:58,398 始まったものだからな。 106 00:10:00,867 --> 00:10:04,204 隠密? 107 00:10:04,204 --> 00:10:06,873 外様が あそこまで大奥の事情に詳しいのは➡ 108 00:10:06,873 --> 00:10:08,808 おかしゅうございます。 109 00:10:08,808 --> 00:10:13,546 これは中に必ずや 隠密がおると見て 間違いはございませぬ! 110 00:10:13,546 --> 00:10:18,218 それほど油断ならぬお方なのか? あの御台所は。 111 00:10:18,218 --> 00:10:24,891 あの隙のない かわいげのなさは 陰間茶屋でも天下を取りましょうぞ! 112 00:10:26,893 --> 00:10:28,828 あい分かった。 113 00:10:28,828 --> 00:10:32,232 近々 上様に折り入って ご相談事がある。 114 00:10:32,232 --> 00:10:36,202 その折にでも お話ししてみましょう。 115 00:10:39,906 --> 00:10:43,576 ⚟(中澤)では うまくいきましたので。 116 00:10:43,576 --> 00:10:48,448 (胤篤) まこと 薩摩の隠密の優れたることよ。➡ 117 00:10:48,448 --> 00:10:51,451 そなたのほうはどうだ? ⚟(中澤)こたびのことで➡ 118 00:10:51,451 --> 00:10:54,587 胤篤様付きの部屋子は 入れ替えられましょう。 119 00:10:54,587 --> 00:11:00,860 ただいま その代わりに私が入れるよう 図っておるさなかで。 120 00:11:00,860 --> 00:11:03,530 それは頼もしい。 121 00:11:03,530 --> 00:11:07,200 ⚟(中澤)これからも 何なりとお申しつけ下さいませ。➡ 122 00:11:07,200 --> 00:11:11,538 胤篤様の命は太守様の命。 123 00:11:11,538 --> 00:11:18,211 で 徳川の寝首をかくのは いつごろで。 124 00:11:20,213 --> 00:11:23,183 そうだなぁ。 125 00:11:35,228 --> 00:11:40,900 (家定)すまぬの。 御台が一度 そなたに挨拶をしたいと言うもので。 126 00:11:40,900 --> 00:11:43,570 (正弘)いえ。 127 00:11:43,570 --> 00:11:46,472 では 上様 私はこれにて。 128 00:11:46,472 --> 00:11:49,442 (家定)よい。 御台もここにおれ。 129 00:11:49,442 --> 00:11:53,246 しかし。 表のお話となるのでございましょう。 130 00:11:53,246 --> 00:11:56,149 薩摩の者は密貿易の達人じゃ。 131 00:11:56,149 --> 00:12:01,854 ぜひ意見を賜りたいところじゃ。 の。 132 00:12:01,854 --> 00:12:04,123 (正弘)はい。 133 00:12:09,529 --> 00:12:15,201 メリケンは必ずや 再び通商を求めてまいりましょう。➡ 134 00:12:15,201 --> 00:12:20,873 我らが特に留め置いたがよきところなど ございましょうか。 135 00:12:20,873 --> 00:12:24,544 やはり アヘンにございますかね。 136 00:12:24,544 --> 00:12:26,479 清が エゲレスの支配を 受けるようになったのは➡ 137 00:12:26,479 --> 00:12:30,883 アヘンをばらまかれたゆえにございます。 138 00:12:30,883 --> 00:12:34,554 正弘 その辺りの考えはどうじゃ。 139 00:12:34,554 --> 00:12:39,425 私も それはせねばならぬと 考えておりました。 140 00:12:39,425 --> 00:12:43,229 ほかには何かございますか。 141 00:12:43,229 --> 00:12:45,565 武器の取り引きに関しては➡ 142 00:12:45,565 --> 00:12:50,236 相手は幕府のみとされたほうが よいかもしれませぬ。➡ 143 00:12:50,236 --> 00:12:55,575 例えば 水戸 攘夷派などが 勝手に 武器を手に入れられるようになっては➡ 144 00:12:55,575 --> 00:12:59,245 国内の騒乱は 避けられぬことになりましょう。 145 00:13:01,848 --> 00:13:05,184 正弘 事ほどさように➡ 146 00:13:05,184 --> 00:13:10,056 御台は もはや水戸 一橋を 推したいというわけではないというのだ。 147 00:13:10,056 --> 00:13:15,328 薩摩が政に加わることができる というのであれば。 148 00:13:19,532 --> 00:13:24,203 お似合いの2人ではないか とは。 149 00:13:24,203 --> 00:13:28,875 ええ 慶喜公のことは もう諦めたと言うておられたし。 150 00:13:28,875 --> 00:13:30,810 甘うございます! 151 00:13:30,810 --> 00:13:36,549 そう見せかけ 懐に入り込む魂胆かも しれぬではないですか! 152 00:13:36,549 --> 00:13:39,218 (ため息) 153 00:13:39,218 --> 00:13:41,888 そうじゃないとよいですねぇ。 154 00:13:44,090 --> 00:13:48,561 誰よりも頼りになるお相手が御台所様。 155 00:13:48,561 --> 00:13:52,231 そうなれば 上様にとって この上ないことであろう? 156 00:13:52,231 --> 00:13:56,102 頼りになる相手は伊勢守様で いいのではないですか? 157 00:13:56,102 --> 00:13:59,105 まぁ 多いに越したことはなかろう。 158 00:13:59,105 --> 00:14:03,376 それはそうですが…。 159 00:14:23,863 --> 00:14:26,532 かような時に。 160 00:14:40,880 --> 00:14:47,220 (堀田)ああっ… 伊勢守様! 161 00:14:47,220 --> 00:14:50,123 市中にて 謎の疫病が。 162 00:14:50,123 --> 00:14:54,560 え 疫病!? それはどのような。 163 00:14:54,560 --> 00:14:58,231 市中では あっけなく人が死ぬので➡ 164 00:14:58,231 --> 00:15:02,835 「コロリ」などと 呼ばれだしておるようですが。 165 00:15:02,835 --> 00:15:05,104 コロリ…。 166 00:15:07,173 --> 00:15:15,148 <コロリ 後にいう コレラは 異国船により持ち込まれたものであった> 167 00:15:19,185 --> 00:15:22,522 天罰じゃ! 168 00:15:22,522 --> 00:15:26,192 開国などするから 天がお怒りなのじゃ! 169 00:15:26,192 --> 00:15:29,095 今すぐ 夷狄を追い出せ! 170 00:15:29,095 --> 00:15:31,063 斉昭公。 171 00:15:31,063 --> 00:15:34,867 確かに コロリと開国は因果にございますが➡ 172 00:15:34,867 --> 00:15:39,205 今更 条約を破棄したところで コロリを追い出せはしませぬ…。 173 00:15:39,205 --> 00:15:44,544 我が国は かつて赤面を駆逐した 神国ではないか!➡ 174 00:15:44,544 --> 00:15:50,216 よき行いをしておれば 神がお助け下さる! 175 00:15:50,216 --> 00:15:56,088 そなたが ご政道を違えるから かようなことになるのじゃ! 176 00:15:56,088 --> 00:15:59,759 とにかく打ち払え! 分かったな! 177 00:16:06,699 --> 00:16:10,169 (ため息) 178 00:16:10,169 --> 00:16:15,508 堀田殿 コロリの対策をいま一度。 179 00:16:15,508 --> 00:16:18,411 伊勢守様。 180 00:16:18,411 --> 00:16:22,849 ⚟だから 早々に手を切れと言ったのだ。➡ 181 00:16:22,849 --> 00:16:28,521 攘夷派のバカどもなど。 井伊掃部頭様! 182 00:16:28,521 --> 00:16:31,424 <井伊掃部頭直弼様。➡ 183 00:16:31,424 --> 00:16:37,864 徳川四天王・井伊直政を祖とする井伊家は 家臣の中でも別格であった> 184 00:16:37,864 --> 00:16:45,538 (直弼) そなた どう この責を負うつもりじゃ。 185 00:16:45,538 --> 00:16:47,473 責? 186 00:16:47,473 --> 00:16:50,877 (直弼)そもそも そなたが考えなしに➡ 187 00:16:50,877 --> 00:16:57,550 大名や旗本の意見を求めるからこその この混乱! 188 00:16:57,550 --> 00:17:01,821 徳川の威光は 地に落ちるばかりではないか!➡ 189 00:17:01,821 --> 00:17:08,160 そなた その座を退け。 190 00:17:08,160 --> 00:17:14,133 この国難を ナヨナヨと 女のやり方で乗り切るのは無理じゃ! 191 00:17:18,170 --> 00:17:21,507 だからダメなのですよ。 192 00:17:21,507 --> 00:17:24,844 あなたのようなお考えが この国を滅ぼすのです! 193 00:17:24,844 --> 00:17:28,514 はははははっ…!➡ 194 00:17:28,514 --> 00:17:35,388 お主。 阿部ごときが ようも井伊に さような口をきいたな! 195 00:17:35,388 --> 00:17:40,526 そなた 家格を 何と心得る! 196 00:17:40,526 --> 00:17:45,398 ですから もはや家格に縛られておる 余裕はないと申し上げております! 197 00:17:45,398 --> 00:17:47,400 何を言っておるのだ! 198 00:17:47,400 --> 00:17:51,871 そなただって 先祖の働きで 今 その座に座っておるのだろうが! 199 00:17:51,871 --> 00:17:55,541 ですから! 私は この国難に立ち向かっていける➡ 200 00:17:55,541 --> 00:17:58,210 新たな仕組みを作ろうとしているのです! 201 00:17:58,210 --> 00:18:03,049 そのために 国中から人を求めておるのです! 202 00:18:03,049 --> 00:18:08,020 それさえ やり遂げれば どなたかが やり遂げて下さるのなら➡ 203 00:18:08,020 --> 00:18:10,690 いつでも この座を退きます! 204 00:18:17,163 --> 00:18:24,503 お忙しい中 わざわざ かようなところにお運び頂き➡ 205 00:18:24,503 --> 00:18:27,406 ありがとうございました。 206 00:18:27,406 --> 00:18:55,201 ♬~ 207 00:18:55,201 --> 00:19:01,474 (家定)正弘が見ておるのは 遠い遠い この国の行く末よ。➡ 208 00:19:01,474 --> 00:19:05,811 あやつの目指すところは 身分出自にかかわらず➡ 209 00:19:05,811 --> 00:19:11,684 国を導くにふさわしい人物が かじを取れるようにすることじゃ。 210 00:19:11,684 --> 00:19:16,155 しかし この理屈 突き詰めていけば➡ 211 00:19:16,155 --> 00:19:19,492 徳川の血を引くものだけが かじを取るのは➡ 212 00:19:19,492 --> 00:19:22,395 おかしいというところに行き着く。 213 00:19:22,395 --> 00:19:27,366 そこは上様としては いかがお考えに。 214 00:19:27,366 --> 00:19:29,835 よいのではないかと思うぞ。 215 00:19:29,835 --> 00:19:34,707 何も徳川は太古の昔から この国を治めてきたわけではない。 216 00:19:34,707 --> 00:19:40,980 メリケンなどは入れ札にて 国の主を選んでいると漏れ聞くしな。 217 00:19:44,183 --> 00:19:50,523 要するに 正弘の目指しておるものの 最後を邪魔するのは➡ 218 00:19:50,523 --> 00:19:55,194 実は 正弘自身の徳川への忠義。 219 00:19:55,194 --> 00:20:01,167 ほかならぬ私なのではないかと 思うことがある…。 220 00:20:02,868 --> 00:20:05,538 理屈は分かりますが➡ 221 00:20:05,538 --> 00:20:09,408 一足飛びに さようなやり方が できうるわけもございますまい。 222 00:20:09,408 --> 00:20:12,411 してみたところで 徳川様に入れ札が集まって➡ 223 00:20:12,411 --> 00:20:15,881 終わりにございましょう。 ふん。 224 00:20:15,881 --> 00:20:19,752 薩摩者は とことん 現しか見ぬな。 225 00:20:19,752 --> 00:20:25,891 まぁ 上様 伊勢守様の理想を かなえたいとお思いなら➡ 226 00:20:25,891 --> 00:20:29,562 まずは 私と そぞろ歩きをいたしましょう。 227 00:20:29,562 --> 00:20:33,532 は? 意味が分からぬ。 228 00:20:38,904 --> 00:20:42,575 日の光とは かようにまぶしいものであったか! 229 00:20:42,575 --> 00:20:46,245 (胤篤)座敷牢ででもお育ちに。 230 00:20:50,916 --> 00:20:56,789 (家定)御台。 何だか妙に温かいぞ。 まだ さように暖かい季節ではないのに。 231 00:20:56,789 --> 00:21:01,193 (胤篤)上様が お体を動かされたせいでございましょう。 232 00:21:01,193 --> 00:21:06,866 身のうちから 温まっておるのでございます。 233 00:21:06,866 --> 00:21:09,535 そうなのか…。 234 00:21:09,535 --> 00:21:47,907 ♬~ 235 00:21:47,907 --> 00:21:51,577 瀧山。 御膳所の料理人が変わったか? 236 00:21:51,577 --> 00:21:54,914 いえ。 何も変わりはございませぬが。 237 00:21:54,914 --> 00:22:00,186 そうか。 今日の飯は とりわけうまく。 238 00:22:00,186 --> 00:22:04,857 この羹のお代わりを! はい! 239 00:22:04,857 --> 00:22:16,869 ♬~ 240 00:22:16,869 --> 00:22:41,894 ♬~(お囃子) 241 00:22:41,894 --> 00:22:47,233 (胤篤)ほう~ これが噂の 城内での祭り見物にございますか。 242 00:22:47,233 --> 00:22:52,905 (家定)五代綱吉公の父上 桂昌院様が 始めなさってな。➡ 243 00:22:52,905 --> 00:22:55,874 民と共に楽しめと。 244 00:23:10,856 --> 00:23:14,126 私も担いではいけませぬか? 245 00:23:16,729 --> 00:23:19,865 このあと 慶喜と福子が来る。 246 00:23:19,865 --> 00:23:25,537 会ってみるか? もちろん! もちろんにございます! 247 00:23:30,876 --> 00:23:33,145 (家定)面を上げよ。 248 00:23:38,550 --> 00:23:41,887 (家定)久方ぶりじゃの 慶喜。 249 00:23:41,887 --> 00:23:45,758 ここにおるが 新しく来た御台じゃ。 250 00:23:45,758 --> 00:23:51,563 養父の斉彬から ご評判を聞いております。 大層 英明なお方であると。 251 00:23:51,563 --> 00:23:57,236 (慶喜) 過分なお言葉 恐悦至極にございます。 252 00:23:57,236 --> 00:24:04,043 しかしながら 英明とは 御台様にこそ ふさわしいお言葉にございましょう。➡ 253 00:24:04,043 --> 00:24:07,513 分家筋にありながら 斉彬様のお目に留まり➡ 254 00:24:07,513 --> 00:24:13,185 こうして 御台所にまで栄達されたのですから。 255 00:24:13,185 --> 00:24:16,855 (家定)単刀直入に参ろう。 慶喜➡ 256 00:24:16,855 --> 00:24:21,727 そなたは メリケンとの通商条約を 調印すべきか否か➡ 257 00:24:21,727 --> 00:24:25,864 いかがに考えておる? 258 00:24:25,864 --> 00:24:29,201 特にございませぬ。 259 00:24:29,201 --> 00:24:32,104 何の考えもないわけなかろう。 260 00:24:32,104 --> 00:24:37,543 次の将軍とも噂される そなたが。 261 00:24:37,543 --> 00:24:41,880 私ごときが次の将軍など。 262 00:24:41,880 --> 00:24:47,553 将軍につくのは 僅かな例を除き 女ばかり。 263 00:24:47,553 --> 00:24:55,227 男である私には とてもとても 将軍職などつとまりませぬ ご勘弁を。 264 00:25:01,834 --> 00:25:04,737 (家定)の 驚いたであろ? 265 00:25:04,737 --> 00:25:11,510 はい。 慇懃無礼が衣を着て 歩いておるようにございました。 266 00:25:11,510 --> 00:25:15,180 やつは 水戸学どっぷりの尊王論者。 267 00:25:15,180 --> 00:25:21,520 己に帝と同じ血が流れていることを 何より誇りに思っているような男よ。 268 00:25:21,520 --> 00:25:25,391 己が徳川を継ぐのは当然➡ 269 00:25:25,391 --> 00:25:32,364 今更 女の将軍などと 私のことも腹の内ではバカにしておる。 270 00:25:34,533 --> 00:25:37,870 ⚟紀州徳川福子姫が参られました。 271 00:25:37,870 --> 00:25:40,539 通せ。 ⚟は。 272 00:25:42,541 --> 00:25:47,413 福子にございます。 本日はお会いできてうれしうございます。 273 00:25:47,413 --> 00:25:50,416 随分 待たせてしもうたの 福子姫。 274 00:25:50,416 --> 00:25:55,888 (福子)いえ 天下祭が長く楽しめ ようございました。 275 00:25:55,888 --> 00:25:58,223 そうか。 祭りは楽しかったか。 276 00:25:58,223 --> 00:26:03,195 はい。 私も皆と一緒に担ぎとうなりました。 277 00:26:07,032 --> 00:26:13,172 福子姫。 実は今 わしは悩んでおっての。 278 00:26:13,172 --> 00:26:16,842 メリケンと交易をする条約を 結ぶかどうか。 279 00:26:16,842 --> 00:26:19,511 姫はどうするがよいと思う? 280 00:26:19,511 --> 00:26:22,414 上様。 そのような難しい話は。 281 00:26:22,414 --> 00:26:25,851 もし断れば どうなるのですか? 282 00:26:25,851 --> 00:26:30,122 (家定) メリケンは 力ずくで来るであろうの。 283 00:26:32,724 --> 00:26:36,195 力ずく…。 284 00:26:36,195 --> 00:26:40,866 まことにそうなりましょうか? ほう。 285 00:26:40,866 --> 00:26:47,206 (福子)力を振るうというのは 実のところ 相手も骨折りなことかと思うのです。 286 00:26:47,206 --> 00:26:49,541 (家定)確かに。 287 00:26:49,541 --> 00:26:51,877 その辺りを腹の内に留め置き➡ 288 00:26:51,877 --> 00:26:59,218 とことん話し合い よき落としどころを探る というのは。➡ 289 00:26:59,218 --> 00:27:02,821 あ。 あの 考え足らずで。 290 00:27:02,821 --> 00:27:08,794 いや ためになった。 意見ありがたいぞ。 291 00:27:16,835 --> 00:27:23,809 (家定)どうぞ召し上がれ。 はい! いただきます。 292 00:27:33,852 --> 00:27:37,122 なかなかの器であろ? はい。 293 00:27:42,528 --> 00:27:48,200 (家定)どうした? 口に合わぬか? いえ。 294 00:27:50,869 --> 00:27:56,208 姫 構わぬ! 吐き出せ! 姫! (胤篤)誰か! 匙を呼べ! 295 00:27:56,208 --> 00:27:59,111 ⚟はっ! 姫! 姫! 296 00:27:59,111 --> 00:28:06,485 幸い 大事には至らず 紀州からは あまり騒ぎ立てたくないと言ってきた。 297 00:28:06,485 --> 00:28:11,823 紀州の中にも 水戸の手の者が 入り込んでいるのかもしれぬ。 298 00:28:11,823 --> 00:28:17,496 こたびのことは 水戸の仕業で。 証拠はないがな。 299 00:28:19,498 --> 00:28:25,771 ああっ! もう この手のことは いつも闇の中になるのじゃ。 300 00:28:28,507 --> 00:28:32,778 上様 一つお願いがございます。 301 00:28:35,380 --> 00:28:41,086 私とのお子を お考え頂けませぬか? 302 00:28:41,086 --> 00:28:43,055 え? 303 00:28:45,057 --> 00:28:48,827 上様は お体が弱く お子は望めない。 304 00:28:48,827 --> 00:28:55,200 その前置きをもとに 諸藩も 幕閣も思惑を巡らせている。➡ 305 00:28:55,200 --> 00:28:59,871 ならば その話を 根こそぎ 吹っ飛ばしてしまいませぬか? 306 00:28:59,871 --> 00:29:06,144 今のご丈夫になられた上様なら それが おできになるのでは? 307 00:29:06,144 --> 00:29:10,482 し しかし どんな子が生まれるか 分かったものではないぞ。 308 00:29:10,482 --> 00:29:13,151 目も当てられぬ ど阿呆かもしれぬ。 309 00:29:13,151 --> 00:29:17,823 もちろん 生まれついて上に立つ 器量を持つお方など➡ 310 00:29:17,823 --> 00:29:22,494 よほどの運がない限り望めぬでしょう。 311 00:29:22,494 --> 00:29:31,837 しかし 人というのは教育です。➡ 312 00:29:31,837 --> 00:29:35,173 生まれた子に私たちが教えればいい。 313 00:29:35,173 --> 00:29:39,511 上様は国を民を思う心を➡ 314 00:29:39,511 --> 00:29:45,183 私は 現に即し 物を考える術を。 315 00:29:45,183 --> 00:29:47,853 その子が後継ならば➡ 316 00:29:47,853 --> 00:29:54,726 伊勢守様の目指すところにも 多少は近づきやすうもなりましょう。 317 00:29:54,726 --> 00:30:01,867 これは 最もよい解ではございませんか? 318 00:30:01,867 --> 00:30:04,536 ⚟上様 御台様! 319 00:30:07,539 --> 00:30:11,209 お散歩中 申し訳ございませぬ。 火急の要件にございまして! 320 00:30:11,209 --> 00:30:13,545 何じゃ。 321 00:30:13,545 --> 00:30:20,519 伊勢守様が急な患いにて 明日から登城かなわずと。 322 00:30:34,232 --> 00:30:42,908 (正弘)まぁ カステラ。 323 00:30:42,908 --> 00:30:45,811 はい。 324 00:30:45,811 --> 00:30:48,780 もしや これは。 325 00:30:48,780 --> 00:30:53,452 はい。 上様が御自ら。 326 00:31:02,194 --> 00:31:07,866 上様は 近頃は いかがなご様子じゃ。 327 00:31:07,866 --> 00:31:13,739 それが目をみはるがごとく お元気になられ。 328 00:31:13,739 --> 00:31:19,211 実は お散歩が肝でして。 ほぉ。 329 00:31:19,211 --> 00:31:26,084 お散歩をする すると 腹が減る すると お食事をよう召し上がられる➡ 330 00:31:26,084 --> 00:31:30,822 すると ますます お散歩ができる すると ますます腹が減り➡ 331 00:31:30,822 --> 00:31:36,495 ますます召し上がられ すると ますます。 分かりやすい。 332 00:31:55,914 --> 00:32:06,525 こうしておると思い出すの。 そなたと初めて会った日のことを。 333 00:32:06,525 --> 00:32:16,201 確か お役目に疲れ 愚痴をそなたに聞いてもろうた。 334 00:32:16,201 --> 00:32:23,074 違いますよ。 伊勢守様は 愚痴など ひと言もおっしゃりませんでした。 335 00:32:23,074 --> 00:32:25,544 あれ そうであったか? 336 00:32:25,544 --> 00:32:29,214 私が花魁の成り立ちなどをしゃべり➡ 337 00:32:29,214 --> 00:32:32,117 学問をしたいなどと 夢のようなことを申し。 338 00:32:32,117 --> 00:32:37,088 あぁ そうじゃ そうじゃ あの時 そなたは➡ 339 00:32:37,088 --> 00:32:45,564 あそこを出たら 今度こそ己の翼で飛びたいと言って。 340 00:32:45,564 --> 00:32:49,234 私は そのとおりじゃと勝手に合点し。 341 00:32:49,234 --> 00:32:51,570 おやめ下さい! 342 00:32:51,570 --> 00:32:58,243 私はまだ あなたと思い出話など したくはござりませぬ! 343 00:33:02,180 --> 00:33:09,054 そう申すな 瀧山➡ 344 00:33:09,054 --> 00:33:12,724 私だって 悔しいのだ。 345 00:33:16,528 --> 00:33:22,400 あのころの私は 広い空さえあれば➡ 346 00:33:22,400 --> 00:33:30,375 自分は どこまでも 羽ばたいていけるものと考えておった。 347 00:33:34,079 --> 00:33:39,551 まさか 己の翼が折れて➡ 348 00:33:39,551 --> 00:33:48,894 飛べぬようになる日が来るなど➡ 349 00:33:48,894 --> 00:33:54,566 夢にも思わなんだ…。 350 00:33:54,566 --> 00:34:16,187 ♬~ 351 00:34:16,187 --> 00:34:19,524 瀧山。 これはどういうことじゃ。 352 00:34:19,524 --> 00:34:23,495 今日は天気もようございますので。 353 00:34:33,538 --> 00:34:35,807 ⚟(家定)正弘! 354 00:34:49,888 --> 00:34:52,791 正弘 見ておれ! 355 00:34:52,791 --> 00:34:54,759 はっ。 356 00:34:54,759 --> 00:34:59,898 あの上様が… 馬に? 357 00:34:59,898 --> 00:35:01,866 ええ。 358 00:35:04,169 --> 00:35:06,838 はっ。 359 00:35:06,838 --> 00:35:16,181 全ては あの日 伊勢守様が 上様をお救いになられたからです。 360 00:35:16,181 --> 00:35:22,454 あのすばらしい上様は 伊勢守様がお作りになられたのです。 361 00:35:30,729 --> 00:35:32,697 はっ。 362 00:35:40,405 --> 00:35:46,544 (家定) よい 正弘! そのまま! そのままじゃ! 363 00:35:46,544 --> 00:35:51,416 見たか? 本当は柵を飛び越えるところも 見せたかったのだが➡ 364 00:35:51,416 --> 00:35:55,086 それでは曲芸になってしまうと 言われてな。 365 00:36:02,027 --> 00:36:04,496 こちらのことは案ずるな。 366 00:36:04,496 --> 00:36:10,368 そなたの代わりとまではいかぬが 今度は私が そなたの身代わりを務める。 367 00:36:10,368 --> 00:36:15,507 だから じっくりと治し 戻ってこい。 368 00:36:15,507 --> 00:36:33,858 ♬~ 369 00:36:33,858 --> 00:36:41,733 いいえ。 いいえ 上様。 370 00:36:41,733 --> 00:36:47,405 身代わりは阿部のお役目➡ 371 00:36:47,405 --> 00:36:56,381 最後まで 私にお役目を全うさせて下さいませ。 372 00:37:01,019 --> 00:37:12,697 上様の過去も病も 私が全て あの世に。 373 00:37:12,697 --> 00:37:17,368 私にお運びさせて下さいませ。 374 00:37:25,844 --> 00:37:40,859 実のところ 病になってから こちら 私 恨んでばかりおりました。 375 00:37:40,859 --> 00:37:46,197 何故 私が。 376 00:37:46,197 --> 00:37:55,540 何一つ成し遂げられぬままで 一体 何のために生まれてきたのかと。 377 00:37:55,540 --> 00:38:03,148 けれど やっと分かりました。 378 00:38:03,148 --> 00:38:08,820 いいえ 思い出しました。 379 00:38:17,162 --> 00:38:25,837 (正弘)私は そもそも 上様を生かすための者にございました。 380 00:38:25,837 --> 00:38:27,805 正弘。 381 00:38:31,176 --> 00:38:36,147 ありがとうございました。 上様! 382 00:38:39,050 --> 00:38:42,720 (正弘)私と巡り会って下さって…。 383 00:38:47,525 --> 00:38:52,797 (正弘)思い切り 空を飛ばせて下さって。 384 00:38:55,867 --> 00:39:08,813 上様 どうか これよりは 誰よりも お幸せになって下さいませ。 385 00:39:08,813 --> 00:39:15,486 阿部正弘 最後の願いにございます! 386 00:39:25,363 --> 00:39:27,498 何が身代わりじゃ! 387 00:39:27,498 --> 00:39:30,835 上様! さような理屈で生き死が動くなら➡ 388 00:39:30,835 --> 00:39:34,706 わしは 毒くらいくろうてやるわ。 離せ! 389 00:39:34,706 --> 00:39:37,675 上様! 離せ! 390 00:39:39,844 --> 00:39:48,519 (泣き声) 391 00:39:48,519 --> 00:39:56,861 御台。 私は幼き頃より 父の慰み者であったのだ。 392 00:39:56,861 --> 00:40:03,534 そのせいで 母には毒を盛られ 身も心も病んでおってな。 393 00:40:03,534 --> 00:40:11,876 いつ死んでもおかしくはない 私自身 いつ死んでも構わぬと。 394 00:40:11,876 --> 00:40:17,749 そこから救い出してくれたのは 正弘じゃ。➡ 395 00:40:17,749 --> 00:40:20,885 あやつの言うとおりなのだ。 396 00:40:20,885 --> 00:40:27,558 あやつは 私に 己の命をよこしたのだ。 397 00:40:27,558 --> 00:40:34,232 (泣き声) 398 00:40:34,232 --> 00:40:40,104 (胤篤)人は 悲しいにせよ 楽しいにせよ➡ 399 00:40:40,104 --> 00:40:44,575 己の来し方を一つの物語に編めた時➡ 400 00:40:44,575 --> 00:40:48,446 どこか心安らぐものです。 401 00:40:48,446 --> 00:40:55,586 伊勢守様は 見違えるように お元気になられた上様を見て➡ 402 00:40:55,586 --> 00:41:03,394 ご自分の一生を美しい物語にすることが できたのではないでしょうか。 403 00:41:03,394 --> 00:41:06,064 詭弁じゃ! 404 00:41:08,866 --> 00:41:14,539 正弘… 正弘。 405 00:41:20,878 --> 00:41:23,548  回想 (正弘)上様。➡ 406 00:41:23,548 --> 00:41:32,824 どうか これよりは 誰よりも お幸せになって下さいませ。 407 00:41:36,561 --> 00:41:38,896 上様? 408 00:41:38,896 --> 00:41:49,907 ♬~ 409 00:41:49,907 --> 00:41:52,577 上様。 410 00:41:52,577 --> 00:42:01,185 もし 私に あやつにしてやれることが あるとするならば それは➡ 411 00:42:01,185 --> 00:42:06,057 私が誰よりも幸せになることだ。 412 00:42:06,057 --> 00:42:10,194 私にとって幸せとは! 413 00:42:10,194 --> 00:42:17,869 今度は私が… あやつの身代わりになって 飛ぶことじゃ! 414 00:42:17,869 --> 00:42:44,896 ♬~ 415 00:42:44,896 --> 00:42:47,799 勅許…? 416 00:42:47,799 --> 00:42:52,770 そなたら 通商条約の調印には 帝の許しがいるゆえ➡ 417 00:42:52,770 --> 00:42:55,907 しばし待てとメリケンに言うたのか? 418 00:42:55,907 --> 00:43:00,745 それを理由に 内容の変更に持ち込めるかと。 419 00:43:00,745 --> 00:43:02,713 バカか! 420 00:43:02,713 --> 00:43:07,185 これすなわち 朝廷が国の政に口出しすることを許した➡ 421 00:43:07,185 --> 00:43:11,522 いや 自ら口を出してくれと 頼んだことになるのだぞ! 422 00:43:11,522 --> 00:43:16,861 (堀田)そこは… 見落としており。 423 00:43:16,861 --> 00:43:22,200 で いつ出るのだ。 その勅許とやらは。 424 00:43:22,200 --> 00:43:30,541 それが 京の公家たちも攘夷を唱え 勅許などありえぬと。 425 00:43:30,541 --> 00:43:38,216 では 条約は結べぬ 勅許は下りぬということか? 426 00:43:41,552 --> 00:43:51,229 上様。 こたびの失策 重大なるものかと。 427 00:43:51,229 --> 00:43:56,567 堀田正睦… そなたの処分 追って沙汰…。 428 00:43:56,567 --> 00:44:00,438 (一同)上様! 429 00:44:00,438 --> 00:44:03,407 匙を! 匙を呼べ~! はっ。 430 00:44:06,177 --> 00:44:09,080 はらんだとて 無事に生まれるかどうかなど➡ 431 00:44:09,080 --> 00:44:11,048 分からぬではないか。 432 00:44:11,048 --> 00:44:13,518 待て井伊! 御台様。 433 00:44:13,518 --> 00:44:17,388 今 徳川がすがれるものは…。 434 00:44:17,388 --> 00:44:21,192 奥でも 表でも 共に時を刻むのじゃ。 435 00:44:21,192 --> 00:44:25,162 あの言葉は まことなのでしょうかね。