1 00:00:09,722 --> 00:00:11,724 (お登勢)偉そうに。 2 00:00:11,724 --> 00:00:16,195 (玉太郎) <時は元治元年 所は淡路島の洲本➡ 3 00:00:16,195 --> 00:00:22,895 お登勢の奉公先 加納家は れっきとした 80石取りの徳島藩士じゃ> 4 00:00:24,537 --> 00:00:27,006 <お登勢は 加納家のお嬢様が➡ 5 00:00:27,006 --> 00:00:31,210 稲田家の家臣 津田 貢と 恋仲であることを知った。➡ 6 00:00:31,210 --> 00:00:33,546 ところが この津田 貢は➡ 7 00:00:33,546 --> 00:00:38,217 かつて お登勢が 胸をときめかせた相手じゃった> 8 00:00:38,217 --> 00:00:43,556 (志津)どうか ご無事で。 (貢)そなたのことは 生涯忘れん。 9 00:00:43,556 --> 00:00:50,229 (志津)いつまでも… いつまでも お慕いいたしております。 10 00:00:50,229 --> 00:00:55,034 <勤皇の志を抱いて 京へ上った 津田 貢は➡ 11 00:00:55,034 --> 00:01:00,907 池田屋騒動に連座して 重傷を負い 行き方知れずになった。➡ 12 00:01:00,907 --> 00:01:06,712 続いて起こった 蛤御門の戦いで 長州勢は大負けした。➡ 13 00:01:06,712 --> 00:01:10,183 落胆したお嬢様は 親の勧めに従うて➡ 14 00:01:10,183 --> 00:01:16,055 多村慎吾という藩士と お見合いをしなはった> 15 00:01:16,055 --> 00:01:19,525 津田様は 誰よりも お嬢様を好いておいでじゃ。 16 00:01:19,525 --> 00:01:22,361 たとえ そうでも 私は私。 17 00:01:22,361 --> 00:01:25,998 お嬢様は 京へお発ちの津田様と 会いはりました。 18 00:01:25,998 --> 00:01:27,934 それが どうした? 19 00:01:27,934 --> 00:01:31,204 <そして 廻り弁天の祭りの日…> 20 00:01:31,204 --> 00:01:34,504 よっぽど 木偶が好きなんやな。 21 00:01:37,543 --> 00:01:39,543 津田様…。 22 00:01:41,214 --> 00:01:52,558 ♬~ (テーマ音楽) 23 00:01:52,558 --> 00:01:58,231 愛は 何で こんなに悲しい顔しているんやろ…。 24 00:01:58,231 --> 00:03:26,385 ♬~ 25 00:03:26,385 --> 00:03:31,524 (見せ物の声) 26 00:03:31,524 --> 00:03:38,397 ≪(見せ物の声) 27 00:03:38,397 --> 00:03:45,371 あの… 大坂からは いつ お戻りになったんですかいな? 28 00:03:45,371 --> 00:03:51,177 おとといの夜 こっそりとな。 29 00:03:51,177 --> 00:03:54,547 本当に ご無事でよかった。 30 00:03:54,547 --> 00:04:00,886 このザマで 無事とは言えん。 落人のようなもんや。 31 00:04:00,886 --> 00:04:02,886 あ… あっ! 32 00:04:07,693 --> 00:04:09,695 すまん。 33 00:04:09,695 --> 00:04:11,831 いいえ。 34 00:04:11,831 --> 00:04:15,501 志津さんは お変わりないか? 35 00:04:15,501 --> 00:04:21,841 へえ。 津田様のお戻りを お知りになったら きっと喜ばれます。 36 00:04:21,841 --> 00:04:23,776 それは どうやろ…。 37 00:04:23,776 --> 00:04:25,776 えっ? 38 00:04:30,850 --> 00:04:34,186 お前さんは 何という名や? 39 00:04:34,186 --> 00:04:36,856 登勢といいます。 40 00:04:36,856 --> 00:04:39,759 そうやったな…。 41 00:04:39,759 --> 00:04:43,529 船で会うた もう一人の道具方を 覚えておるか? 42 00:04:43,529 --> 00:04:45,529 へえ。 43 00:04:48,868 --> 00:04:54,740 吉田稔麿さんは 京で殺された。 44 00:04:54,740 --> 00:04:57,440 知っております。 45 00:05:01,447 --> 00:05:05,351 私も 京で死んだんや。 46 00:05:05,351 --> 00:05:11,351 ここにおる津田 貢は 抜け殻同然。 47 00:05:14,493 --> 00:05:17,329 やにこいことを言わんでください。 48 00:05:17,329 --> 00:05:23,135 津田様は白足袋も浅葱足袋もない世の中を つくろうとしておいでなんじゃろ? 49 00:05:23,135 --> 00:05:30,509 そうや。 世の中をひっくり返そうと 思えばこそ 京へも上った。 50 00:05:30,509 --> 00:05:35,709 けんど 何一つ 変わりはせんかった。 51 00:05:41,854 --> 00:05:45,858 たとえ 勤皇派が天下を取ったとしても➡ 52 00:05:45,858 --> 00:05:48,194 大した変わりはないかもしれん。 53 00:05:48,194 --> 00:05:52,364 やめてください。 今日の津田様は 変や! 54 00:05:52,364 --> 00:05:54,300 変か…。 55 00:05:54,300 --> 00:05:56,535 へえ…。 56 00:05:56,535 --> 00:06:03,409 いいえ お嬢様に お会いなはったら きっと 元の津田様におなりじゃ。 57 00:06:03,409 --> 00:06:06,212 もう 会えんやろ。 58 00:06:06,212 --> 00:06:08,814 何で そのように ふにゃけておられるのです。 59 00:06:08,814 --> 00:06:12,151 京へ行かれる前は よう会うてはりましたのに…。 60 00:06:12,151 --> 00:06:15,187 お嬢様は 勤皇派の旗色が悪うなったからいうて➡ 61 00:06:15,187 --> 00:06:17,957 会わんようなお方と違います。 62 00:06:17,957 --> 00:06:22,161 お嬢様は 津田様のことを 一日も忘れてはおらんのです。 63 00:06:22,161 --> 00:06:27,032 津田様を 心底 好いておいでや。 64 00:06:27,032 --> 00:06:30,836 お登勢…。 へえ。 65 00:06:30,836 --> 00:06:35,508 志津さんに会えるやろか…。 66 00:06:35,508 --> 00:06:40,379 いや 会わせてほしい! 一度だけ 会わせてくれ! 67 00:06:40,379 --> 00:06:43,379 頼む… 頼む! 68 00:06:45,184 --> 00:06:48,988 明日の昼 大浜で待ってる。 69 00:06:48,988 --> 00:06:51,488 そう伝えてくれんか? 70 00:06:54,193 --> 00:06:57,863 <そのころ 加納家には 徳島から➡ 71 00:06:57,863 --> 00:07:02,735 御嫡男 睦太郎様が 御帰宅なされておいでじゃった> 72 00:07:02,735 --> 00:07:10,509 (市左衛門)浅葱者は 摩藩の名指しで 蛤御門へ応援に行ったそうじゃが…。 73 00:07:10,509 --> 00:07:13,312 長州も驚いたことでしょう。 74 00:07:13,312 --> 00:07:16,816 昨日までの同志が敵に回ったんやから。 75 00:07:16,816 --> 00:07:21,153 うむ… 稲田殿は 御所に呼ばれて➡ 76 00:07:21,153 --> 00:07:24,490 一橋公の お褒めにあずかったそうじゃのう。 77 00:07:24,490 --> 00:07:27,827 我々が 憤激に堪えんのは そのことです。 78 00:07:27,827 --> 00:07:32,164 もし 稲田殿に手柄があれば それは 徳島藩の手柄であり➡ 79 00:07:32,164 --> 00:07:35,968 お褒めにあずかるべきは 蜂須賀家ではありませんか。 80 00:07:35,968 --> 00:07:39,505 (小川)そのとおりや! あれは 腹に据えかねる。 81 00:07:39,505 --> 00:07:41,841 (市左衛門)うむ… そうじゃ そうじゃ。 82 00:07:41,841 --> 00:07:43,776 お帰りなされ。 83 00:07:43,776 --> 00:07:48,514 おう 少しは 女らしゅうなったか。 はい。 84 00:07:48,514 --> 00:07:51,984 妹の志津じゃ。 あっ…。 85 00:07:51,984 --> 00:07:53,919 おいでなされませ。 86 00:07:53,919 --> 00:07:56,689 こっちは 小川錦次郎じゃ。 87 00:07:56,689 --> 00:07:59,358 はて…? 何じゃ? 88 00:07:59,358 --> 00:08:04,330 あ~ いや お主の妹御に わしは どこかで会うた気がする。 89 00:08:04,330 --> 00:08:08,067 (はま)おや まあ! 90 00:08:08,067 --> 00:08:10,469 他人の空似ではありませんか? 91 00:08:10,469 --> 00:08:12,938 あ~ いや これは御無礼を。 92 00:08:12,938 --> 00:08:17,476 父上 短銃の試し撃ちをなされませんか? 93 00:08:17,476 --> 00:08:19,411 短銃じゃと? 94 00:08:19,411 --> 00:08:24,250 アメリカ製の新式を 横浜の商人から 手に入れました。 95 00:08:24,250 --> 00:08:26,819 恐ろしいこと…。 96 00:08:26,819 --> 00:08:29,655 この度のことで よう分かったんですが➡ 97 00:08:29,655 --> 00:08:35,527 これからの戦は 大砲や鉄砲の撃ち合いで あらかた 勝負がついてしまうんです。 98 00:08:35,527 --> 00:08:38,831 あ~… いや 扱い方が 分からん。 99 00:08:38,831 --> 00:08:42,167 お教えします。 うん? そこの障子を開けよ。 100 00:08:42,167 --> 00:08:44,503 御近所で迷惑せんか? 101 00:08:44,503 --> 00:08:46,839 祭りの花火と思いますやろ。 102 00:08:46,839 --> 00:08:49,174 ん… 何を撃つんじゃ? 103 00:08:49,174 --> 00:08:52,077 石ころでも 木切れでも。 104 00:08:52,077 --> 00:09:12,131 ♬~ 105 00:09:12,131 --> 00:09:14,131 (銃声) 106 00:09:16,802 --> 00:09:18,737 見事じゃ。 107 00:09:18,737 --> 00:09:22,474 どうじゃ? 手応えは。 うん… 悪うない。 108 00:09:22,474 --> 00:09:27,947 新品のままでは実用の役に立たん。 少し 撃ち込んだ方がええじゃろう。 109 00:09:27,947 --> 00:09:30,015 どうですか? 父上。 110 00:09:30,015 --> 00:09:36,689 ん… いや わしは もう年じゃ。 今更… 短銃でもあるまい。 111 00:09:36,689 --> 00:09:40,526 お兄様 私にも撃たせてちょうだい。 何? 112 00:09:40,526 --> 00:09:43,829 おやめなされ! 子供のおもちゃや ないんやぞ。 113 00:09:43,829 --> 00:09:48,701 分かってます。 けんど 一度だけ撃ってみたいんや。 114 00:09:48,701 --> 00:09:51,170 (市左衛門)あ~ もっての外じゃ! 115 00:09:51,170 --> 00:09:53,505 私は 新しいもんが好きやねん。 116 00:09:53,505 --> 00:09:56,408 お前は 言いだしたら聞かんからな。 (はま)これ! 117 00:09:56,408 --> 00:09:59,108 ははは…。 ≪睦太郎! 118 00:10:01,380 --> 00:10:04,683 (障子を開ける音) (睦太郎)おお 多村やないか! 119 00:10:04,683 --> 00:10:08,854 やっぱり 帰っておったか。 久しぶりやのう。 120 00:10:08,854 --> 00:10:11,857 さあ 上がってくれ。 121 00:10:11,857 --> 00:10:16,528 多村様 動くと撃ちますよ。 122 00:10:16,528 --> 00:10:18,864 アホ! 何をするんじゃ! 123 00:10:18,864 --> 00:10:22,735 心配御無用。 弾は入っとらん。 124 00:10:22,735 --> 00:10:24,737 (空撃ちの音) 125 00:10:24,737 --> 00:10:28,437 かっ… へげたれが! 126 00:10:33,412 --> 00:10:35,881 ≪(駆けてくる足音) 127 00:10:35,881 --> 00:10:38,784 すんません…。 (儀平)何じゃい 今時分! 128 00:10:38,784 --> 00:10:41,220 どこを ほっつき歩いてたん! すんまへん。 129 00:10:41,220 --> 00:10:45,090 さっさと手伝いなされ。 今 お前を怒ってる暇はない。 130 00:10:45,090 --> 00:10:47,090 へえ。 131 00:10:50,896 --> 00:10:54,733 お客様ですか? (儀平)若旦那様の お戻りじゃ。 132 00:10:54,733 --> 00:10:56,668 若旦那様? 133 00:10:56,668 --> 00:11:01,040 ん~ おかげで わしは 料理こしらえたり 酒つけたり… 大汗かいたわい。 134 00:11:01,040 --> 00:11:03,575 えらい すんまへん。 覚悟せえよ。 135 00:11:03,575 --> 00:11:06,875 これで当分 暇は もらえんぞ。 136 00:11:10,349 --> 00:11:13,185 てんごうでは済まんぞ。 137 00:11:13,185 --> 00:11:15,854 その場で斬り捨てられても 文句は言えん。 138 00:11:15,854 --> 00:11:19,858 いや 父上。 志津は 多村の心を射止めようとしたんや。 139 00:11:19,858 --> 00:11:22,995 ふっ それは ええ! ズド~ンとか。 140 00:11:22,995 --> 00:11:29,201 めっそうもない! おてんばがすぎると 多村様に愛想を尽かされますよ。 141 00:11:29,201 --> 00:11:33,872 それは それ。 その時は この小川錦次郎が あとを引き受けます。 142 00:11:33,872 --> 00:11:39,211 まあ。 何を言うんや。 まだ お主の出る幕やない。 143 00:11:39,211 --> 00:11:43,882 ははははは…! まあ 飲め。 おう。 144 00:11:43,882 --> 00:11:50,756 よう聞けよ 志津。 多村慎吾というのはな 学問もできるし 腕も立つ。 145 00:11:50,756 --> 00:11:55,894 見たとおり 人品も卑しからず しかも 150石の当主じゃ。 146 00:11:55,894 --> 00:11:59,765 惜しむらくは 堅物すぎて 面白みに欠ける。 のう? 147 00:11:59,765 --> 00:12:03,702 (睦太郎)水をさすな。 ははははは…! 148 00:12:03,702 --> 00:12:10,175 あっ そういや 津田 貢が 洲本へ戻ってきたらしい。 149 00:12:10,175 --> 00:12:13,846 (睦太郎)何? 津田の伜が…? 150 00:12:13,846 --> 00:12:19,351 はい。 聞けば すごすごと 尾羽打ち枯らして…。 151 00:12:19,351 --> 00:12:23,188 あやつは 斬らんならん。 152 00:12:23,188 --> 00:12:25,124 どうしてですか? 153 00:12:25,124 --> 00:12:30,863 津田は 蛤御門で 「洲本藩」と書いた旗を 立てておったそうじゃ。 154 00:12:30,863 --> 00:12:34,867 それを咎めるために 稲田家の屯営に どなり込むと➡ 155 00:12:34,867 --> 00:12:40,372 あいつは 卑怯にも 「そんな旗は 立てておらん」と言い訳をしよった。 156 00:12:40,372 --> 00:12:42,708 目玉まで 浅葱色にしてな。 157 00:12:42,708 --> 00:12:47,546 (小川)ははははは! よっぽど その場で斬り捨てようと思うたが➡ 158 00:12:47,546 --> 00:12:50,582 御所の間近では 刀を抜くわけにもいかん。 159 00:12:50,582 --> 00:12:56,722 そこで河原へ引っ張り出そうとしたんやが うもう逃げられてしもた。 160 00:12:56,722 --> 00:12:59,422 (市左衛門)腰抜けが…。 161 00:13:07,366 --> 00:13:09,968 おい 錦次郎 飲まんか。 162 00:13:09,968 --> 00:13:12,337 (障子を閉める音) 163 00:13:12,337 --> 00:13:14,840 思い出した! 164 00:13:14,840 --> 00:13:16,775 うん? 165 00:13:16,775 --> 00:13:19,775 ああ いや… まさかのう…。 166 00:13:22,714 --> 00:13:25,851 お酒を。 167 00:13:25,851 --> 00:13:27,851 お嬢様…。 168 00:13:30,722 --> 00:13:34,359 明日のお昼 大浜まで お出かけくだされ。 169 00:13:34,359 --> 00:13:39,198 えっ? 津田様が お待ちです。 170 00:13:39,198 --> 00:13:41,133 何で お前が? 171 00:13:41,133 --> 00:13:45,971 あの… 祭りを見物しよったら 後ろから 声をかけられて…。 172 00:13:45,971 --> 00:13:49,875 どんな様子やった? 大層 おやつれじゃった。 173 00:13:49,875 --> 00:13:51,877 あ… あっ! 174 00:13:51,877 --> 00:13:56,548 お顔を布で巻いて 杖をついて…。 175 00:13:56,548 --> 00:13:58,548 すまん。 176 00:14:00,419 --> 00:14:05,824 けんど お嬢様が励ましてあげれば きっと お元気になられます。 177 00:14:05,824 --> 00:14:10,324 あの方が 私に会いたいと? へえ。 178 00:14:13,498 --> 00:14:15,798 お嬢様…。 179 00:14:19,371 --> 00:14:38,671 ♬~(慎吾と小川の歌声) 180 00:14:41,526 --> 00:14:43,862 (睦太郎)多村の どこが気に入らん? 181 00:14:43,862 --> 00:14:46,365 気に入らんとは 申しません。 182 00:14:46,365 --> 00:14:51,236 お前 まさか… 津田のことが 気にかかるのではあるまいな? 183 00:14:51,236 --> 00:14:54,239 えっ? アホなことを! 184 00:14:54,239 --> 00:14:59,378 お前は この春 八幡宮の境内で 津田と会うていたはずじゃ。 185 00:14:59,378 --> 00:15:01,313 八幡宮? 186 00:15:01,313 --> 00:15:06,151 雨の中で 2人寄り添うているのを 小川が見たんじゃ! 187 00:15:06,151 --> 00:15:08,086 ふっ…。 188 00:15:08,086 --> 00:15:11,823 (睦太郎)何が おかしい! そういえば そんなことが…。 189 00:15:11,823 --> 00:15:15,694 えっ? 草履の鼻緒が切れて困ってたら➡ 190 00:15:15,694 --> 00:15:19,498 通りすがりの若侍が 声をかけてくれたんです。 191 00:15:19,498 --> 00:15:23,835 それが 津田 貢様やった。 (睦太郎)偶然だったんか? 192 00:15:23,835 --> 00:15:26,838 もちろんです。 それから どうしたん? 193 00:15:26,838 --> 00:15:31,343 見たら 浅葱足袋なんで 親切を振り切って 駆け戻りました。 194 00:15:31,343 --> 00:15:33,845 それだけか? それだけです。 195 00:15:33,845 --> 00:15:35,781 (睦太郎)うそでは ないやろな? 196 00:15:35,781 --> 00:15:40,781 私も 藩士の娘です。 それなりの分は わきまえてます。 197 00:15:43,355 --> 00:15:49,155 あいつは 生かしておけん。 いずれ 刀のサビにしてやる。 198 00:15:50,862 --> 00:15:52,798 どうぞ 御存分に。 199 00:15:52,798 --> 00:15:59,498 では 多村様のお話は お受けするんですね? 200 00:16:01,873 --> 00:16:07,679 (はま)今更 迷うことはないやろ!? 多村様は れっきとした藩士じゃ。 201 00:16:07,679 --> 00:16:13,151 お家柄といい 人物といい 申し分ないじゃろう。 202 00:16:13,151 --> 00:16:16,488 俺の立場も考えよ! 203 00:16:16,488 --> 00:16:21,827 (あくび) 204 00:16:21,827 --> 00:16:24,730 あ~…。 205 00:16:24,730 --> 00:16:27,430 盆栽に 水やったか? 206 00:16:51,857 --> 00:16:56,728 ♬~ 207 00:16:56,728 --> 00:16:58,730 (足音) 208 00:16:58,730 --> 00:17:03,802 お嬢様… どうぞ 早う。 209 00:17:03,802 --> 00:17:05,737 何のことじゃ? 210 00:17:05,737 --> 00:17:09,737 お約束は お昼です。 約束? 211 00:17:11,676 --> 00:17:14,146 あの… 津田様が…。 212 00:17:14,146 --> 00:17:16,481 約束など 知らん。 213 00:17:16,481 --> 00:17:21,319 えっ? (志津)お前が 勝手に聞いてきたことじゃ。 214 00:17:21,319 --> 00:17:23,955 お心にもないことを 言わんといてください。 215 00:17:23,955 --> 00:17:26,825 今頃 津田様は 大浜で お待ちかねですやろ。 216 00:17:26,825 --> 00:17:31,963 負け犬を見物してこいと言うの? 負け犬…? 217 00:17:31,963 --> 00:17:34,833 何じゃ? その目は…。 218 00:17:34,833 --> 00:17:38,503 お嬢様は 津田様を お慕いしてはったんと違いますか? 219 00:17:38,503 --> 00:17:42,974 お前は 主人に指図する気? 220 00:17:42,974 --> 00:17:46,678 津田様に会いたいのは お前の方ではないのか? 221 00:17:46,678 --> 00:17:49,714 めっそうもない! お下がり! 222 00:17:49,714 --> 00:18:21,714 ♬~ 223 00:18:24,816 --> 00:19:17,068 ♬~ 224 00:19:17,068 --> 00:19:19,068 (志津)お登勢。 225 00:19:21,806 --> 00:19:23,806 どこへ行くの? 226 00:19:27,479 --> 00:19:34,152 お前は 加納家の奉公人です。 主人の許しもなく出かけてはならん。 227 00:19:34,152 --> 00:19:37,152 そやかて 津田様が…。 228 00:19:40,825 --> 00:19:44,162 うちが うそをついたと思われます。 229 00:19:44,162 --> 00:19:48,500 ほな 勝手に行きなされ。 230 00:19:48,500 --> 00:19:54,200 そのかわり 二度と 加納家の敷居は またがせません! 231 00:20:01,513 --> 00:20:11,189 (泣き声) 232 00:20:11,189 --> 00:20:16,061 ど… どないしたんや? お登勢。 (泣き声) 233 00:20:16,061 --> 00:20:18,530 誰に 怒られたんや? 234 00:20:18,530 --> 00:20:20,865 (泣き声) 235 00:20:20,865 --> 00:20:44,565 ♬~ 236 00:21:26,731 --> 00:21:28,731 (銃声) 237 00:21:32,871 --> 00:21:36,541 志津! アホ! 何をするんじゃ! 238 00:21:36,541 --> 00:21:40,011 はははは… あはははは…! 239 00:21:40,011 --> 00:21:46,217 あ~ 胸が スッとした! あはははは…! 240 00:21:46,217 --> 00:21:48,153 何事じゃ? 241 00:21:48,153 --> 00:21:52,090 お父様 安心してくだされ。 242 00:21:52,090 --> 00:21:57,829 志津は たった今 多村様のもとへ嫁ぐことを決めました。 243 00:21:57,829 --> 00:22:13,978 ♬~ 244 00:22:13,978 --> 00:22:17,682 (弥一郎) ははははは…! それは めでたい! 245 00:22:17,682 --> 00:22:23,555 (市左衛門)ああ… ついては 多村家に 縁組み承知の返事をしてくれんかのう。 246 00:22:23,555 --> 00:22:29,194 分かった。 これで わしも仲立ちをしたかいがあったわい。 247 00:22:29,194 --> 00:22:34,065 まあ よろしゅう 頼む。 …して 祝言の日取りは? 248 00:22:34,065 --> 00:22:40,538 まあ いずれにしても 来年 長州征伐が済んでからじゃのう。 249 00:22:40,538 --> 00:22:42,874 長州征伐が済んでから? 250 00:22:42,874 --> 00:22:49,013 それまでは 志津を 徳島に預けようと思うが どうじゃ? 251 00:22:49,013 --> 00:22:51,716 徳島? いや 実はのう➡ 252 00:22:51,716 --> 00:22:56,020 睦太郎が 常三島の御長屋を 拝領することになっての。 253 00:22:56,020 --> 00:23:00,859 ところが あいにく 身の回りの世話をする者がおらん。 254 00:23:00,859 --> 00:23:03,561 下女を雇えばええじゃろう。 255 00:23:03,561 --> 00:23:06,965 下女を雇えば 1両2分じゃ。 しかし…。 256 00:23:06,965 --> 00:23:15,707 実はの 睦太郎は新式の短銃を買うて すっからかんじゃ。 257 00:23:15,707 --> 00:23:20,845 御長屋の調度を整えるのに 20両➡ 258 00:23:20,845 --> 00:23:26,518 志津の婚礼にも 20両は… かかるじゃろう? 259 00:23:26,518 --> 00:23:32,390 ん… お主 いくらか 用立てしてくれんかのう? 260 00:23:32,390 --> 00:23:34,392 いくらかとは? 261 00:23:34,392 --> 00:23:38,229 ん…。 その…➡ 262 00:23:38,229 --> 00:23:40,365 50両ぐらい…。 263 00:23:40,365 --> 00:23:46,004 50両…? ええかげんにせえ! そんな金が どこにある!? 264 00:23:46,004 --> 00:23:50,375 大体 仲立ちをしてやった人間に 金まで借りるなど➡ 265 00:23:50,375 --> 00:23:54,712 お主は 昔から 虫が よすぎるんじゃ! ったく…。 266 00:23:54,712 --> 00:24:11,162 ♬~ 267 00:24:11,162 --> 00:24:14,833 おい 居間で 奥方様がお呼びやぞ。 268 00:24:14,833 --> 00:24:16,833 へえ! 269 00:24:19,704 --> 00:24:25,176 近頃は 反物も値上がりして おいそれとは 新調できません。 270 00:24:25,176 --> 00:24:27,846 もうちょっと辛抱してもらわんと。 271 00:24:27,846 --> 00:24:32,517 これで 十分です。 母上のお心が こもっていますから…。 272 00:24:32,517 --> 00:24:35,420 そう思うてくれれば ありがたい。 273 00:24:35,420 --> 00:24:38,857 志津も 早う 来いよ。 はい。 274 00:24:38,857 --> 00:24:43,728 多村との縁談を承知したからには 過ぎたことを とやかく詮索はせん。 275 00:24:43,728 --> 00:24:48,199 しかし 手負いの浅葱者が 洲本を うろついていては➡ 276 00:24:48,199 --> 00:24:50,535 父上も 母上も ご心配じゃろう。 277 00:24:50,535 --> 00:24:57,876 そうです。 何かあったら 睦太郎の出世にも響きますからね。 278 00:24:57,876 --> 00:25:01,576 ≪お呼びでございますか? お入り。 279 00:25:03,681 --> 00:25:07,318 お前も徳島へ連れていくぞ。 えっ? 280 00:25:07,318 --> 00:25:12,824 すぐにとは言わん。 月が替わってから 志津の供をしてこい。 281 00:25:12,824 --> 00:25:15,493 (志津)私が お願いしたん。 282 00:25:15,493 --> 00:25:21,493 お登勢がおらんと 御長屋の お掃除も お炊事も できんからね。 283 00:25:23,167 --> 00:25:25,970 嫌なんか? 284 00:25:25,970 --> 00:25:27,970 いえ! 285 00:25:32,744 --> 00:25:39,350 <徳島は にぎやかじゃぞ。 何せ 25万7, 000石の御城下じゃ。➡ 286 00:25:39,350 --> 00:25:45,150 人も多いし 町も広い。 また迷子にならんようにな> 287 00:25:54,532 --> 00:25:59,203 <何じゃ その顔は… えっ? 洲本を離れとうないんか?➡ 288 00:25:59,203 --> 00:26:05,003 ははあ~ 津田様のことが 心残りなんじゃな?> 289 00:26:07,812 --> 00:26:11,683 ほんまに 何で こないなことになるんやろ…。 290 00:26:11,683 --> 00:26:16,154 何をぶつぶつ 言うとるんじゃ? 291 00:26:16,154 --> 00:26:20,325 儀平さん うっちゃあ 徳島行きを代わってほしい。 292 00:26:20,325 --> 00:26:22,827 わ… わしにか? うん。 293 00:26:22,827 --> 00:26:27,527 ア… アホか! そないなことができるかいな! 294 00:26:29,701 --> 00:26:32,837 ええか? 295 00:26:32,837 --> 00:26:36,674 若旦那様は ようできた お人やけんど➡ 296 00:26:36,674 --> 00:26:42,180 一つ間違うたらば とことん絞られるよって 気ぃ付けや。 297 00:26:42,180 --> 00:26:48,052 うん まあ お前なら 誰にでも 気に入られるよって 心配ないがな。 298 00:26:48,052 --> 00:26:51,689 そうじゃろか…。 うん そうじゃ。 299 00:26:51,689 --> 00:26:55,560 あっ そうそう その小汚い人形はいかん。 300 00:26:55,560 --> 00:26:58,463 それ もう ええかげんに ほかしてしもたら どないじゃ? 301 00:26:58,463 --> 00:27:01,399 うん… そうせい そうせい! うん! 302 00:27:01,399 --> 00:27:05,803 <ほっとけ くそじじい。 小汚いとは なんちゅう言いぐさや。➡ 303 00:27:05,803 --> 00:27:11,803 お登勢を一人で行かせられるか。 のう? お登勢> 304 00:27:24,822 --> 00:27:27,725 <冬の気配の迫る11月。➡ 305 00:27:27,725 --> 00:27:30,328 お登勢は お嬢様のお供をして➡ 306 00:27:30,328 --> 00:27:33,664 生まれて初めて 淡路島を離れた。➡ 307 00:27:33,664 --> 00:27:37,335 寝た間も忘れんと 思い焦がれた津田様が➡ 308 00:27:37,335 --> 00:27:43,335 海を隔てて 千里も遠くへ離れていくようじゃった> 309 00:27:46,044 --> 00:27:50,515 <船は 徳島の港から 津田川を遡り➡ 310 00:27:50,515 --> 00:27:54,515 お城の見える 福島口に着いた> 311 00:28:06,464 --> 00:28:12,336 <船着き場には 若旦那様の差し向けた 若党が 迎えに来とった。➡ 312 00:28:12,336 --> 00:28:15,807 こら お登勢 キョロキョロするな! とっと とっと…> 313 00:28:15,807 --> 00:28:17,809 わあ…! あっ! 314 00:28:17,809 --> 00:28:21,612 <あた… あ~! 何しとんねん!> 315 00:28:21,612 --> 00:28:24,315 ああ ああ ああ…! すんまへん! 316 00:28:24,315 --> 00:28:27,819 ああ ああ ああ… こっちもや! 317 00:28:27,819 --> 00:28:35,960 <若旦那様御拝領の御長屋は お城に近い常三島にござった> 318 00:28:35,960 --> 00:29:01,853 ♬~ 319 00:29:01,853 --> 00:29:04,122 (睦太郎)どうじゃ? 徳島は。 320 00:29:04,122 --> 00:29:07,792 (志津)やっぱり 町じゅうが にぎやかで 生き生きしてますねえ。 321 00:29:07,792 --> 00:29:10,795 そうやろう。 洲本とは 大違いじゃ。 322 00:29:10,795 --> 00:29:16,134 道行く人の歩き方まで せわしのうて 息が詰まりますわ。 323 00:29:16,134 --> 00:29:19,470 な~に すぐ慣れるわい。 324 00:29:19,470 --> 00:29:25,810 ここは 稲田の浅葱足袋が 目につかんだけでも 気ぃが晴れるぞ。 325 00:29:25,810 --> 00:29:28,310 ははははは! 326 00:29:32,950 --> 00:29:35,019 長州征伐は どうなりました? 327 00:29:35,019 --> 00:29:40,691 長州か。 どうやら一戦も交えずに 幕府の軍門に下りそうや。 328 00:29:40,691 --> 00:29:44,162 一戦も交えずに…。 うむ。 329 00:29:44,162 --> 00:29:48,966 長州は 福原越後など 3人の家老を切腹させて➡ 330 00:29:48,966 --> 00:29:52,837 その首を 征伐軍の総督府に差し出した。 331 00:29:52,837 --> 00:29:55,339 降参したんですか? 332 00:29:55,339 --> 00:30:01,145 ならば 事は簡単なんじゃがな… まだまだ 油断はならん。 333 00:30:01,145 --> 00:30:05,049 尊皇攘夷を唱えるやつらは 蛇のようにしぶとい。 334 00:30:05,049 --> 00:30:09,187 なかんずく 高杉晋作という男は➡ 335 00:30:09,187 --> 00:30:14,358 長州藩を脱藩して あくまで幕府に盾つく構えじゃ。 336 00:30:14,358 --> 00:30:18,358 今のうちに たたき潰しておかんと…。 337 00:30:22,700 --> 00:30:26,204 (睦太郎)登勢。 茶をくれ! ≪へえ! 338 00:30:26,204 --> 00:30:31,075 <座敷と 居間と 台所と 納戸を兼ねた 奉公人部屋か。➡ 339 00:30:31,075 --> 00:30:33,077 狭っ苦しいのう。➡ 340 00:30:33,077 --> 00:30:36,881 何? 湯殿もないのか? はあ~> 341 00:30:36,881 --> 00:30:40,381 (せきこみ) 342 00:30:43,554 --> 00:30:46,854 (雷鳴) 343 00:30:49,026 --> 00:30:54,726 <お登勢は 徳島の御長屋で 17の春を迎えた> 344 00:30:59,770 --> 00:31:03,241 お帰りなされませ。 志津は? 345 00:31:03,241 --> 00:31:05,209 お出かけになりました。 346 00:31:05,209 --> 00:31:10,009 また見物か。 よう飽きもせんと 毎日毎日。 347 00:31:12,049 --> 00:31:15,353 たまには お前も供をしたら どうや。 348 00:31:15,353 --> 00:31:19,190 眉山からは 淡路島が よう見える。 349 00:31:19,190 --> 00:31:22,526 ありがとうございます。 350 00:31:22,526 --> 00:31:26,226 煤がついとるぞ。 へっ? 351 00:31:28,866 --> 00:31:32,370 ふっ ははははは…! 352 00:31:32,370 --> 00:31:35,406 (戸を閉める音) 353 00:31:35,406 --> 00:31:40,878 (鳴き声) 354 00:31:40,878 --> 00:31:44,178 <そして 2月のある日> 355 00:31:45,750 --> 00:31:51,222 (小野)話というのは ほかでもない。 お主の妹 志津殿を借りたいんじゃ。 356 00:31:51,222 --> 00:31:53,724 志津を… ですか? 357 00:31:53,724 --> 00:31:57,228 (南)尾関様のお名指しじゃ。 御家老様の!? 358 00:31:57,228 --> 00:32:02,900 うむ。 才色兼備で ものおじせん娘 ということで 白羽の矢が立った。 359 00:32:02,900 --> 00:32:07,505 はて…? 順を追うて話さんと分かるまいが➡ 360 00:32:07,505 --> 00:32:09,540 幕府は 長州の毛利親子と➡ 361 00:32:09,540 --> 00:32:14,178 追放された5人の公家を 厳しゅう罰するという噂がある。 362 00:32:14,178 --> 00:32:18,683 そこで 公家たちの側近が 幕府へのとりなしをしてほしいと➡ 363 00:32:18,683 --> 00:32:22,186 摩や肥後や土佐などに働きかけておる。 364 00:32:22,186 --> 00:32:27,525 そして当藩には 東久世通禧の用人が 乗り込んできた。 365 00:32:27,525 --> 00:32:29,860 追い返すべきでしょう。 いや…➡ 366 00:32:29,860 --> 00:32:34,999 何というても東久世の用人やからな 粗略には扱えん。 367 00:32:34,999 --> 00:32:38,536 すると 殿様は お目通りを お許しになるんじゃろか? 368 00:32:38,536 --> 00:32:42,873 それも できん。 朝廷を追われて太宰府に流された相手や。 369 00:32:42,873 --> 00:32:46,544 御公儀の手前もある。 当然でしょうな。 370 00:32:46,544 --> 00:32:49,880 ≪ごめんなされませ。 371 00:32:49,880 --> 00:32:54,385 そこで ここ数日は 尾関様のお屋敷に逗留させ➡ 372 00:32:54,385 --> 00:32:58,222 様子を見ることになった。 なるほど…。 373 00:32:58,222 --> 00:33:01,726 その接待役を 志津殿に頼みたい。 374 00:33:01,726 --> 00:33:05,596 あいにくやが 志津には 多村慎吾という許嫁がおりまして…。 375 00:33:05,596 --> 00:33:10,968 心配すんな。 公家の側近が滞在中の 話し相手になるだけじゃ。 376 00:33:10,968 --> 00:33:14,839 志津殿にも箔が付くぞ。 しかし 私の一存では…。 377 00:33:14,839 --> 00:33:17,742 (小野)それだけではない。 志津殿には➡ 378 00:33:17,742 --> 00:33:23,180 5人の公家と長州の動きを 探り出してもらいたいんじゃ。 379 00:33:23,180 --> 00:33:26,380 ≪(志津)お引き受けいたします。 380 00:33:28,352 --> 00:33:30,388 おお! やってくれるか! 381 00:33:30,388 --> 00:33:34,225 私で お役に立つのなら。 これは ありがたい。 382 00:33:34,225 --> 00:33:38,062 志津は田舎娘です。 公家侍の接待などできません。 383 00:33:38,062 --> 00:33:40,698 隊長様の御命令ですよ。 384 00:33:40,698 --> 00:33:43,200 しくじれば 藩の体面に関わる。 385 00:33:43,200 --> 00:33:48,072 お兄様は 隊長様に 短銃のお代を お借りしています。 386 00:33:48,072 --> 00:33:51,709 つまらんことを言うな! (笑い声) 387 00:33:51,709 --> 00:33:56,509 おい! 何をしてるんや 酒や酒! へえ! 388 00:33:58,883 --> 00:34:02,553 ≪ははは… さあ 今日は飲んでくだされ。 389 00:34:02,553 --> 00:34:05,823 ≪いや ほんまに 今回は志津殿のおかげで助かった。 390 00:34:05,823 --> 00:34:08,123 ごめんなされませ。 391 00:34:18,836 --> 00:34:23,707 それはそうと 洲本から 三田昂馬が来たそうじゃ。 392 00:34:23,707 --> 00:34:25,709 徳島へですか? 393 00:34:25,709 --> 00:34:30,981 ああ。 例の津田 貢を連れて 猪尻の役宅へ入ったらしい。 394 00:34:30,981 --> 00:34:33,281 津田 貢…? 395 00:34:35,519 --> 00:34:39,857 そうか… すると三田昂馬は 閉門を解かれたんですか? 396 00:34:39,857 --> 00:34:44,528 ああ もともと 殿様が目をかけてた男やからな。 397 00:34:44,528 --> 00:34:46,528 さあ。 398 00:34:48,866 --> 00:34:51,769 しかし 何のために徳島へ? 399 00:34:51,769 --> 00:34:56,607 (小野)蛤御門の旗の一件を 藩庁へ弁明のためという触れ込みじゃ。 400 00:34:56,607 --> 00:35:00,211 遅すぎる! 弁明なら とっくに出頭すべきじゃった。 401 00:35:00,211 --> 00:35:05,049 (南)そのとおり! 大体 東久世の使者と 時を同じゅうして➡ 402 00:35:05,049 --> 00:35:07,318 徳島入りするのが どうも気に食わん! 403 00:35:07,318 --> 00:35:10,518 ≪(小野)そう いきりたつな。 さあ 飲め。 404 00:35:16,827 --> 00:35:33,177 ♬~ 405 00:35:33,177 --> 00:35:36,680 <おうおう 現金なこっちゃ。➡ 406 00:35:36,680 --> 00:35:40,980 全く お前は うそのつけん おなごじゃの> 407 00:35:48,192 --> 00:35:53,063 <明くる日になると お嬢様は お迎えの駕籠に乗せられて➡ 408 00:35:53,063 --> 00:35:58,763 御家老 尾関源左衛門様の お屋敷へ向かいなさった> 409 00:36:02,540 --> 00:36:06,340 ≪(睦太郎)登勢! へえ! 410 00:36:13,484 --> 00:36:17,154 どこにおるんじゃ! こっちへ来い! 411 00:36:17,154 --> 00:36:19,490 ああっ! アホ! 412 00:36:19,490 --> 00:36:23,327 お帰りなされませ。 えらいことになった! 413 00:36:23,327 --> 00:36:28,165 お前は 古い木偶を持っているそうじゃな。 414 00:36:28,165 --> 00:36:31,835 これから すぐ それを持って 尾関様のお屋敷へ行くんや。 415 00:36:31,835 --> 00:36:33,771 えっ? うっちゃがですか? 416 00:36:33,771 --> 00:36:40,511 そうじゃ! 全く志津のやつ 何を考えとるのか さっぱり分からん!➡ 417 00:36:40,511 --> 00:36:44,181 早うせえよ! へえ。 418 00:36:44,181 --> 00:36:56,760 ♬~ 419 00:36:56,760 --> 00:37:00,631 <おいおい お登勢 どういうことになるんじゃ。 えっ?➡ 420 00:37:00,631 --> 00:37:03,667 わしゃ知らんぞ> 421 00:37:03,667 --> 00:37:06,303 ≪(睦太郎)登勢! まだか!? 422 00:37:06,303 --> 00:37:08,803 へえ! ただいま…。 423 00:37:14,478 --> 00:37:17,815 ≪(笑い声) 424 00:37:17,815 --> 00:37:21,485 <おお 「馬子にも衣装」とは よう言うた。➡ 425 00:37:21,485 --> 00:37:26,357 生まれて初めての振り袖が よう似合うとる。 はははは。➡ 426 00:37:26,357 --> 00:37:29,660 ほんなけんど お登勢は それどころやない。➡ 427 00:37:29,660 --> 00:37:36,360 何ぞ めんどいことが起きるんやないかと 心の内は あっちゃい こっちゃいじゃ> 428 00:37:39,336 --> 00:37:43,841 あっ お嬢様…。 まあ! 見違えるようじゃ。 429 00:37:43,841 --> 00:37:46,343 うっちゃあ 何をしたらよろしいのや? 430 00:37:46,343 --> 00:37:48,846 お客様に 木偶を遣うて見せるのじゃ。 431 00:37:48,846 --> 00:37:52,349 いいえ いけません! とても人様の前では…。 432 00:37:52,349 --> 00:37:55,252 (志津)ただの お慰みじゃ。 ほんなけんど…。 433 00:37:55,252 --> 00:37:59,052 お兄様に 恥をかかせる気? 434 00:38:01,525 --> 00:38:06,325 <どないするんじゃ お登勢。 三味線も語りもないのに…> 435 00:38:08,799 --> 00:38:12,469 さすがは 音に聞こえた徳島藩の銃士。 436 00:38:12,469 --> 00:38:15,305 面構えからして勇ましい。 437 00:38:15,305 --> 00:38:18,809 (原)早う 長州をたたき斬りとうて 腕が鳴っております。 438 00:38:18,809 --> 00:38:22,479 ははは… これは 最初から手厳しいな。 439 00:38:22,479 --> 00:38:26,650 (原)私見を申し上げれば 幕府は 毛利親子を召し捕り➡ 440 00:38:26,650 --> 00:38:29,687 5人の公家ともども 江戸へ護送すべきかと存じます。 441 00:38:29,687 --> 00:38:35,959 そんなことをすれば 毛利家は 防長二国を 焼け野原にしてでも手向かうだろうし➡ 442 00:38:35,959 --> 00:38:39,663 そのため 不測の大乱が起きぬとも限りませんよ。 443 00:38:39,663 --> 00:38:41,699 望むところじゃ! 444 00:38:41,699 --> 00:38:45,469 尊皇攘夷を唱える亡者どもを 根こそぎ絶やすには➡ 445 00:38:45,469 --> 00:38:47,838 それぐらいの荒療治が必要じゃろう。 446 00:38:47,838 --> 00:38:50,674 若さというのは 諸刃の剣でな…。 447 00:38:50,674 --> 00:38:55,179 (小野)いえ それが徳島藩士の大方の考えやけん。 448 00:38:55,179 --> 00:38:58,515 困った家臣を持ったものだ。 何…? 449 00:38:58,515 --> 00:39:00,815 ≪(志津)失礼します。 450 00:39:02,853 --> 00:39:07,291 徳島藩には 蜂須賀斉裕公という 名君が おいでだ。 451 00:39:07,291 --> 00:39:11,161 なかなか会わせてもらえんのが 玉にきずだが➡ 452 00:39:11,161 --> 00:39:15,032 諸藩に先がけて 兵士の洋式訓練をされるほどだから➡ 453 00:39:15,032 --> 00:39:20,003 世の中の移り変わりが お読みになれぬはずはない。 454 00:39:20,003 --> 00:39:22,773 どういう意味かいの? 455 00:39:22,773 --> 00:39:25,676 遠からず 幕府は崩壊する。 何やと!? 456 00:39:25,676 --> 00:39:30,814 今は 鳴りを潜めているが そのうち 尊皇攘夷の風が吹きます。 457 00:39:30,814 --> 00:39:34,485 バカなことを! (笹原)お控えなされ! 458 00:39:34,485 --> 00:39:39,356 佐伯殿は 尾関家のお客人ですぞ。 459 00:39:39,356 --> 00:39:43,160 (佐伯)あ~ よいよい。 お互い 忌憚のない意見を交換する約束じゃ。 460 00:39:43,160 --> 00:39:48,332 あなたは 東久世の 寛大な処分を頼むために➡ 461 00:39:48,332 --> 00:39:51,835 当藩へ乗り込まれたはずじゃ。 462 00:39:51,835 --> 00:39:57,174 幕府が崩壊するなどと 不穏な言辞を弄するのは けしからん! 463 00:39:57,174 --> 00:40:05,516 はははは… いや これは一本 参ったな。 だが 今に事情は変わってくる。 464 00:40:05,516 --> 00:40:10,988 徳島藩も 日和見がすぎると 後悔することになりますよ。 465 00:40:10,988 --> 00:40:12,923 そんなことを言われる筋合いはない! 466 00:40:12,923 --> 00:40:15,826 さあ そろそろ 木偶の支度ができた頃です。 467 00:40:15,826 --> 00:40:19,196 難しいお話は 後回しにしはっては いかがでしょう? 468 00:40:19,196 --> 00:40:21,999 うんうん 動く人形か。 469 00:40:21,999 --> 00:40:25,536 あ~ どうです? 君たちも 一緒に見物しませんか。 うん?➡ 470 00:40:25,536 --> 00:40:28,536 はははは…。 471 00:40:31,408 --> 00:40:35,212 <よっしゃ お登勢! こうなったら しゃあない。➡ 472 00:40:35,212 --> 00:40:38,549 心の中で 弾き語りをせい。 うん!➡ 473 00:40:38,549 --> 00:40:42,549 「朝顔日記」の「大井川」で どうじゃ?> 474 00:40:46,890 --> 00:40:48,826 ♬~ 475 00:40:48,826 --> 00:40:53,664 <力も落ちて伏しまろい➡ 476 00:40:53,664 --> 00:41:11,081 前後不覚に泣きけるが➡ 477 00:41:11,081 --> 00:41:17,688 また起き上がって見えぬ目に➡ 478 00:41:17,688 --> 00:41:26,363 空を睨んで➡ 479 00:41:26,363 --> 00:41:29,199 「天道様➡ 480 00:41:29,199 --> 00:41:35,005 ええ 聞こえませぬ➡ 481 00:41:35,005 --> 00:41:39,710 聞こえませぬ 聞こえませぬ➡ 482 00:41:39,710 --> 00:41:49,910 聞こえませぬ 聞こえませぬ 聞こえませぬわいな」> 483 00:41:52,422 --> 00:41:57,561 <アホ! 目をパチパチさすな。 深雪は盲目やぞ> 484 00:41:57,561 --> 00:42:18,849 ♬~ 485 00:42:18,849 --> 00:42:25,649 ♬~ 486 00:42:29,192 --> 00:42:31,128 お前は 私が好きか? 487 00:42:31,128 --> 00:42:35,866 好きです。 ほんまに そう思うてくれるのか? 488 00:42:35,866 --> 00:42:39,369 へえ。 私も登勢が好きじゃ。 489 00:42:39,369 --> 00:42:41,705 津田 貢は 俺が殺す。 490 00:42:41,705 --> 00:42:47,210 その儀は 重々…。 志津さんに殺されるなら本望ですな。 491 00:42:47,210 --> 00:42:49,146 来い! 若旦那様! 492 00:42:49,146 --> 00:42:52,716 いけません 若旦那様! あの へげたれが! 493 00:42:52,716 --> 00:42:57,016 東久世道禧の使者を 闇討ちにしようとしよった!