1 00:00:10,758 --> 00:00:14,428 (玉太郎) <津田 貢様と志津お嬢様の婚礼は➡ 2 00:00:14,428 --> 00:00:16,931 初手から因縁つきじゃった。➡ 3 00:00:16,931 --> 00:00:20,801 津田家は 120石じゃが 浅葱足袋しか履けん陪臣じゃ。➡ 4 00:00:20,801 --> 00:00:25,239 加納家は 80石ながら れっきとした徳島藩士じゃ。➡ 5 00:00:25,239 --> 00:00:31,445 身分違いの縁組みは 危うく 血の雨が降るとこやった。➡ 6 00:00:31,445 --> 00:00:35,783 お登勢が気ぃもんだんは せっかく輿入れした お嬢様が➡ 7 00:00:35,783 --> 00:00:41,255 肝心の津田様に置き去りにされて 幸せに見えんかったことや。➡ 8 00:00:41,255 --> 00:00:48,629 お登勢は お嬢様を励まして 津田様がおいでの京へ旅立たせた。➡ 9 00:00:48,629 --> 00:00:55,970 一方 長州藩との戦に敗れて 洲本にお戻りの御嫡男 睦太郎様は➡ 10 00:00:55,970 --> 00:00:57,905 まるで ふぬけのようじゃ。➡ 11 00:00:57,905 --> 00:01:02,476 お登勢は これも 気がかりでならんじゃった> 12 00:01:02,476 --> 00:01:14,755 ♬~ (テーマ音楽) 13 00:01:14,755 --> 00:01:20,428 (お登勢)愛は 何で こんなに悲しい顔しているんやろ…。 14 00:01:20,428 --> 00:02:49,128 ♬~ 15 00:02:55,122 --> 00:02:58,459 いや~ 虹や! 16 00:02:58,459 --> 00:03:02,329 <お登勢は 切ない気分になった。➡ 17 00:03:02,329 --> 00:03:06,267 あの虹の橋は どこまで続いとるんじゃろう。➡ 18 00:03:06,267 --> 00:03:09,069 ひょっとしたら 京かも分からん。➡ 19 00:03:09,069 --> 00:03:16,744 今頃 津田様とお嬢様は 仲むつまじゅう この虹を眺めとるんかなあ…> 20 00:03:16,744 --> 00:03:19,213 (睦太郎)お登勢。 21 00:03:19,213 --> 00:03:21,148 お帰りなされませ。 22 00:03:21,148 --> 00:03:24,752 お前に話がある。 一緒に来い。 23 00:03:24,752 --> 00:03:26,752 へえ。 24 00:03:31,091 --> 00:03:33,091 (儀平)お登勢…。 25 00:03:37,765 --> 00:03:50,778 (鳴き声) 26 00:03:50,778 --> 00:03:55,115 何を びくびくしているのじゃ。 いえ。 27 00:03:55,115 --> 00:03:59,453 俺が怖いのか? ちょっと…。 28 00:03:59,453 --> 00:04:03,791 何でや? 怒ってるように見えるんか? 29 00:04:03,791 --> 00:04:06,694 へえ。 あの~…➡ 30 00:04:06,694 --> 00:04:09,597 徳島から帰された時から…。 31 00:04:09,597 --> 00:04:11,599 あのことか…。 32 00:04:11,599 --> 00:04:13,601 手討ちにする。 33 00:04:13,601 --> 00:04:16,737 ひゃあ~…。 (睦太郎)動くな! 34 00:04:16,737 --> 00:04:20,074 堪忍してくだされ! うっちゃあ 若旦那様の お身の上を案じて…。 35 00:04:20,074 --> 00:04:22,009 いらぬ節介じゃ! 36 00:04:22,009 --> 00:04:27,009 俺は 佐伯織部を暗殺して 腹を切るつもりじゃった! 37 00:04:29,083 --> 00:04:31,018 めっそうもないこと…。 38 00:04:31,018 --> 00:04:33,087 斬るぞ! すんまへん。 39 00:04:33,087 --> 00:04:35,222 お手討ちは 覚悟はしておりました。 40 00:04:35,222 --> 00:04:39,422 ほんなけんど… なるべく 痛うないように…。 41 00:04:42,429 --> 00:04:48,102 (睦太郎)徳島の話は もうええ。 それより…➡ 42 00:04:48,102 --> 00:04:51,972 俺を どない思う? へっ? 43 00:04:51,972 --> 00:04:55,976 俺が嫌いか? めっそうもない。 44 00:04:55,976 --> 00:04:58,976 では 俺の妻になれ。 45 00:05:00,681 --> 00:05:03,450 ご冗談を…。 冗談ではない。 46 00:05:03,450 --> 00:05:06,150 うちは 奉公人ですんじゃ。 47 00:05:08,188 --> 00:05:11,558 <おいおい えらいこっちゃな お登勢…。➡ 48 00:05:11,558 --> 00:05:18,432 一体全体 若旦那様は 何のつもりで こんなことを言いなさるんや…> 49 00:05:18,432 --> 00:05:22,569 お前さえ その気になったら 形は どうにでもつく。 50 00:05:22,569 --> 00:05:24,505 とても そんなこと…。 51 00:05:24,505 --> 00:05:30,444 俺を疑うのか? 例えば 石毛殿に お願いして お前を養女にしてもらう。 52 00:05:30,444 --> 00:05:34,181 そうすれば 立派な士分の娘ということになる。 53 00:05:34,181 --> 00:05:38,752 心配すんな。 俺は 徳島に住む。 54 00:05:38,752 --> 00:05:41,422 向こうでは 誰も お前の素性など知らん。 55 00:05:41,422 --> 00:05:43,457 旦那様が お許しになりません。 56 00:05:43,457 --> 00:05:46,593 それは なんとかなるじゃろう。 志津の例も あることやし。 57 00:05:46,593 --> 00:05:50,431 いいえ お嬢様の御縁組みとは 訳が違います。 58 00:05:50,431 --> 00:05:55,102 父上も母上も 殊の外 お前を気に入っておる。 59 00:05:55,102 --> 00:05:59,773 若旦那様 御本心で言わはるんですか? 60 00:05:59,773 --> 00:06:04,044 本心じゃ。 ほんなけんど…。 61 00:06:04,044 --> 00:06:08,382 お前にしてみたら 唐突に聞こえるかもしれん。 62 00:06:08,382 --> 00:06:12,052 けんど 本当のところ 俺は➡ 63 00:06:12,052 --> 00:06:17,725 お前を初めて見た時から 心を引かれていたんじゃ。 64 00:06:17,725 --> 00:06:22,896 ただ 侍の身で 下女に魂を奪われる不行儀を恥じて➡ 65 00:06:22,896 --> 00:06:27,401 自分を抑えていたまでのことじゃ。 66 00:06:27,401 --> 00:06:31,205 猪尻の一件では 確かに 腹を立てた。 67 00:06:31,205 --> 00:06:36,043 けんど あれも お前が 俺を助けたい一心でやったことやと➡ 68 00:06:36,043 --> 00:06:40,414 あとから気付いて いとおしくなった。 69 00:06:40,414 --> 00:06:46,286 戦に行っても 心に浮かぶのは お前のことばっかりじゃった。➡ 70 00:06:46,286 --> 00:06:50,758 離れてみて初めて どんなに お前が好きじゃったか➡ 71 00:06:50,758 --> 00:06:53,594 俺には はっきり分かったんや。 72 00:06:53,594 --> 00:07:00,234 それに 今 世の中は 激しい勢いで動きよる。 73 00:07:00,234 --> 00:07:03,437 どう変わっていくのか 見当もつかんが➡ 74 00:07:03,437 --> 00:07:10,044 幕府が 外様大名や浪人どもに 剣が峰まで追い込まれるありさまじゃ。➡ 75 00:07:10,044 --> 00:07:12,379 世の中が ひっくり返らんとも限らん。➡ 76 00:07:12,379 --> 00:07:16,879 そうなれば 身分もない。 格式もない。 77 00:07:19,253 --> 00:07:27,194 果たして 俺が生き残れるかどうか それさえ怪しいもんやが➡ 78 00:07:27,194 --> 00:07:33,067 せめて 今のうちに 自分の気持ちに 正直に生きておきたいと思うんじゃ。 79 00:07:33,067 --> 00:07:35,736 いけません! 何でじゃ? 80 00:07:35,736 --> 00:07:38,205 今日の若旦那様は ふだんと違うてます。 81 00:07:38,205 --> 00:07:40,741 戦に負けなはって お心が乱れておんなさる。 82 00:07:40,741 --> 00:07:43,077 そんなことはない! 83 00:07:43,077 --> 00:07:46,747 うっちゃあ 若旦那様のお嫁さんにはなれません! 84 00:07:46,747 --> 00:07:51,418 やっぱり嫌いなんか? 嫌いやないんですけんど… すんまへん。 85 00:07:51,418 --> 00:07:54,088 今すぐに返事せんでもええ。 86 00:07:54,088 --> 00:07:58,092 明日 俺が徳島に戻るまでに もう一度 よう考えてくれ。 87 00:07:58,092 --> 00:08:00,427 考えたかて おんなじです。 88 00:08:00,427 --> 00:08:05,127 お前には 俺の気持ちが分からんのか! 89 00:08:07,034 --> 00:08:11,534 それとも… ほかに訳があるのか? 90 00:08:13,373 --> 00:08:16,043 答えろ。 91 00:08:16,043 --> 00:08:17,978 お許しくだされ…。 92 00:08:17,978 --> 00:08:21,915 俺は 本気で 妻になれと言うたのだ。 93 00:08:21,915 --> 00:08:24,415 お前も 本気で答えろ! 94 00:08:28,055 --> 00:08:31,391 うっちゃあ もう 娘やないんです。 95 00:08:31,391 --> 00:08:34,591 何!? すんまへん。 96 00:08:38,065 --> 00:08:41,401 相手は誰じゃ!? 97 00:08:41,401 --> 00:08:43,337 言え! 98 00:08:43,337 --> 00:08:47,207 そればっかりは 死んでも言えまへん! 99 00:08:47,207 --> 00:09:11,165 ♬~ 100 00:09:11,165 --> 00:09:15,369 おっ…。 どこまで行っとったんじゃ? 101 00:09:15,369 --> 00:09:21,175 ほれほれほれ 裾が泥だらけやぞ。 102 00:09:21,175 --> 00:09:25,712 何や お前… 泣いとんのか? 103 00:09:25,712 --> 00:09:28,182 ううん…。 えっ? 104 00:09:28,182 --> 00:09:33,387 お前… きつうに怒られたんか? 105 00:09:33,387 --> 00:09:36,056 ううん。 そうか? 106 00:09:36,056 --> 00:09:40,356 あっ うち やります。 おっ そうか…。 107 00:09:43,730 --> 00:09:46,530 かわいそうにのう…。 108 00:09:53,073 --> 00:09:59,773 <明くる朝 若旦那様は 徳島へ お帰りになった> 109 00:10:05,085 --> 00:10:08,085 俺は 諦めておらんぞ。 110 00:10:13,427 --> 00:10:17,427 (はま)気ぃ付けてな。 行ってらっしゃいませ! 111 00:10:24,438 --> 00:10:27,438 <その年の夏> 112 00:10:31,111 --> 00:10:34,014 (足音) 113 00:10:34,014 --> 00:10:35,983 暑いとこを ご苦労さまでした。 114 00:10:35,983 --> 00:10:40,254 (太助)何を水くさい。 あの わしな…➡ 115 00:10:40,254 --> 00:10:44,124 このお屋敷に来るのが… 楽しみなんや。 何で? 116 00:10:44,124 --> 00:10:49,630 何でて… それは…。 117 00:10:49,630 --> 00:10:53,133 あっ… それを わしに言わす気かいな? 118 00:10:53,133 --> 00:10:55,636 それより 太助はん…。 うん? 119 00:10:55,636 --> 00:10:58,472 京都のお二人のこと 何ぞ聞いてはる? 120 00:10:58,472 --> 00:11:00,807 ふっ… また その話かいな。 121 00:11:00,807 --> 00:11:04,578 あっちゃい こっちゃい してるて ほんま? 122 00:11:04,578 --> 00:11:08,415 めったなことは言えん! ほな さいなら。 123 00:11:08,415 --> 00:11:11,918 あっ ちょ ちょ… ちょっと待ちいな お登勢ちゃん。 124 00:11:11,918 --> 00:11:14,421 冷たいやないか…。 125 00:11:14,421 --> 00:11:18,091 うっちゃあ お嬢様のことが 心配でならんのや。 126 00:11:18,091 --> 00:11:20,091 誰にも言うなよ。 127 00:11:24,965 --> 00:11:29,436 お二人はな 京都で➡ 128 00:11:29,436 --> 00:11:31,371 別々に暮らしておんなはる。 129 00:11:31,371 --> 00:11:34,775 別々に!? し~っ し~っ! 130 00:11:34,775 --> 00:11:40,447 何で? 忙しいんや うちの若旦那は…。 131 00:11:40,447 --> 00:11:43,350 なんぼ 忙しい いうたかて…。 132 00:11:43,350 --> 00:11:47,220 <かわいそうになあ。 あの勝ち気なお嬢様は➡ 133 00:11:47,220 --> 00:11:51,020 洲本へ帰ろうにも 帰れんのや> 134 00:12:11,745 --> 00:12:14,045 (志津)貢様…。 135 00:12:20,420 --> 00:12:23,323 (貢)幕府の大政奉還が決まった。 136 00:12:23,323 --> 00:12:27,623 えっ! 摩と長州の力に屈したんじゃ。 137 00:12:36,770 --> 00:12:41,108 私は たった今 土佐の坂本龍馬に会うてきた。 138 00:12:41,108 --> 00:12:44,611 まあ! 言葉こそ 交わさなんだが➡ 139 00:12:44,611 --> 00:12:49,249 さすがに ええ顔してた。 特に あの目や。 140 00:12:49,249 --> 00:12:54,121 私は 池田屋で殺された 吉田稔麿さんを思い出した。 141 00:12:54,121 --> 00:12:56,957 幕府にしても 勤皇派にしても➡ 142 00:12:56,957 --> 00:12:59,860 己のことしか考えん謀略家ばかりやが➡ 143 00:12:59,860 --> 00:13:04,064 中には 坂本さんのような人物もいる。 144 00:13:04,064 --> 00:13:07,934 血を流さんと 大政奉還を成立させた立て役者やのに➡ 145 00:13:07,934 --> 00:13:11,938 自分の出世には 目もくれん。 146 00:13:11,938 --> 00:13:17,077 坂本龍馬の目は 既に 海外に向いてる。 147 00:13:17,077 --> 00:13:21,415 途方もない大物じゃ。 148 00:13:21,415 --> 00:13:25,085 私は やっと勇気が湧いてきた! 149 00:13:25,085 --> 00:13:29,956 ああいう人物がいるなら 政治も捨てたもんではない。 150 00:13:29,956 --> 00:13:32,959 あなたの目も輝いてます。 151 00:13:32,959 --> 00:13:35,729 そうか…。 152 00:13:35,729 --> 00:13:41,635 私の心の闇は 坂本さんのおかげで晴れるかもしれん。 153 00:13:41,635 --> 00:13:43,770 貢様…。 154 00:13:43,770 --> 00:13:49,470 長い間 寂しい思いをさせて すまんかった。 155 00:13:53,780 --> 00:13:55,780 (すすり泣き) 156 00:14:03,790 --> 00:14:07,394 それそれ それそれそれ! ええじゃないか ええじゃないか…。 157 00:14:07,394 --> 00:14:14,067 <このころから 巷は世直しを望む者たちの 踊りで 騒然となり始めた> 158 00:14:14,067 --> 00:14:16,570 ええじゃないか ええじゃないか…。 159 00:14:16,570 --> 00:14:19,406 (市左衛門)陰謀じゃ! んん…。 160 00:14:19,406 --> 00:14:23,910 直ちに兵を挙げて 大政奉還を そそのかしたやつらを討たんならん! 161 00:14:23,910 --> 00:14:26,213 (弥一郎)もう遅い。 何を言うか! 162 00:14:26,213 --> 00:14:30,083 幕府に忠義な諸藩は 会津も桑名も健在じゃ! 163 00:14:30,083 --> 00:14:33,086 長には 歯が立たん。 勝ち負けには関係ない。 164 00:14:33,086 --> 00:14:36,857 ええ年をして 吠えるな。 (市左衛門)何? 165 00:14:36,857 --> 00:14:41,795 今やったら 徳島藩は 勤皇派に鞍替えできる。 166 00:14:41,795 --> 00:14:44,598 二股膏薬は 恥の上塗りじゃ! 167 00:14:44,598 --> 00:14:49,236 (弥一郎)そやから お主は 時代遅れの石頭じゃと言うておる! 168 00:14:49,236 --> 00:14:51,171 石頭? 169 00:14:51,171 --> 00:14:56,443 (はま)それで… 勤皇派が 徳島藩を受け入れるじゃろか。 170 00:14:56,443 --> 00:15:01,248 心配いらん。 徳島藩は 丸ごとの佐幕派やないけん。 171 00:15:01,248 --> 00:15:05,051 稲田家の御一統が 勤皇派と通じておるよって。 172 00:15:05,051 --> 00:15:09,556 浅葱者は浅葱者じゃ。 本藩とは 何の関わりもない。 173 00:15:09,556 --> 00:15:13,393 分からんやつじゃな。 こういう時のために➡ 174 00:15:13,393 --> 00:15:16,196 殿は 稲田家の勤皇を 大目に見てきたんじゃ。 175 00:15:16,196 --> 00:15:21,067 ふん! 今更 浅葱者の尻馬に乗れるか。 この恥知らずが! 176 00:15:21,067 --> 00:15:23,403 何を言うか この世間知らずが! 177 00:15:23,403 --> 00:15:27,574 志津は… 志津は どうなるんやろか。 178 00:15:27,574 --> 00:15:32,913 それじゃ。 当家は 稲田家中と浅からぬ縁があるやないか。 179 00:15:32,913 --> 00:15:37,417 津田 貢は 出世 間違いないぞ。 180 00:15:37,417 --> 00:15:40,086 あさましいことを言うな! 181 00:15:40,086 --> 00:15:43,423 何!? おやめなされませ! 182 00:15:43,423 --> 00:15:45,759 お登勢ちゃん! 太助はん。 183 00:15:45,759 --> 00:15:50,430 はあ…。 お登勢ちゃん 喜べ。 184 00:15:50,430 --> 00:15:54,100 若旦那様と 若奥様は➡ 185 00:15:54,100 --> 00:15:59,439 京で… 京で一緒に… 住んでなさる! 186 00:15:59,439 --> 00:16:01,775 え~っ! 何じゃかんじゃ言うてもやで➡ 187 00:16:01,775 --> 00:16:06,046 若旦那様は 幕府を倒すことで 精いっぱいやったんやな! 188 00:16:06,046 --> 00:16:09,883 ああ… もう これでな 京都のことは心配いらん! 189 00:16:09,883 --> 00:16:12,385 ほんまに? うん! よかったなあ。 190 00:16:12,385 --> 00:16:14,321 ほんまやで! ほんま…。 191 00:16:14,321 --> 00:16:18,058 長い間の苦労が 実を結んだいうやっちゃな! 192 00:16:18,058 --> 00:16:23,730 見とってみい。 今に 若旦那はな 出世なさるで。 193 00:16:23,730 --> 00:16:30,403 これからはな 加納家よりも 津田家の方が格上じゃ!➡ 194 00:16:30,403 --> 00:16:32,339 なあ お登勢ちゃん…。 195 00:16:32,339 --> 00:16:38,144 もう こんなお屋敷におっても お先 真っ暗やで。 196 00:16:38,144 --> 00:16:44,084 わしが頼んだるさかいな 津田家に奉公せんか? 197 00:16:44,084 --> 00:16:47,420 ほんなけんど うちは…。 お登勢ちゃん! 198 00:16:47,420 --> 00:16:49,923 わしと一緒に働こうな。 199 00:16:49,923 --> 00:16:53,793 それにな 白足袋の身分は もう ぐらぐら ぐらぐら しとんねん。 200 00:16:53,793 --> 00:16:57,097 こら! 何をぬかすんじゃ! こら…。 201 00:16:57,097 --> 00:16:59,032 ああっ! お登勢ちゃん どうや? 俺と一緒に…。 202 00:16:59,032 --> 00:17:04,371 こりゃ…! ようも ぺらぺらと 御藩士の悪口 ぬかしやがったな! 203 00:17:04,371 --> 00:17:08,041 何や ほんまのこと 言うて どこが悪いんじゃい! 204 00:17:08,041 --> 00:17:12,545 もう… 早う帰れ! たたき殺すぞ こら! 205 00:17:12,545 --> 00:17:24,045 ♬~ 206 00:17:32,198 --> 00:17:37,737 ≪(泣き声) 207 00:17:37,737 --> 00:17:40,937 やられたのは まことか!? へえ! 208 00:17:46,746 --> 00:17:51,618 土佐藩のもんや! 2階の奥の部屋です。 209 00:17:51,618 --> 00:18:04,164 ♬~ 210 00:18:04,164 --> 00:18:06,533 ええじゃないか ええじゃないか ええじゃないか! 211 00:18:06,533 --> 00:18:13,039 ええじゃないか ええじゃないか ええじゃないか…。 212 00:18:13,039 --> 00:18:36,062 ♬~ 213 00:18:36,062 --> 00:18:46,062 ♬~ 214 00:18:48,408 --> 00:18:55,181 (頼母)貢の この書状によったら 志津殿が 離別を望んでおられる由。 215 00:18:55,181 --> 00:18:57,584 そんなはずは ありません。 216 00:18:57,584 --> 00:19:03,456 わざわざ 京へ上った志津が 自ら 別れを望むじゃろうか。 217 00:19:03,456 --> 00:19:12,956 貢は 全て自分の不徳と申しております。 私からも 重々 おわびを申し上げる。 218 00:19:15,368 --> 00:19:18,872 (市左衛門)すると 伜殿は➡ 219 00:19:18,872 --> 00:19:22,542 志津を離縁すると言うのか。 220 00:19:22,542 --> 00:19:30,717 ≪(頼母)望みどおりにしてあげたいと。 引き止めるつもりはないと…。 221 00:19:30,717 --> 00:19:33,620 ほかに 懇ろな女が できたんではあるまいな? 222 00:19:33,620 --> 00:19:38,591 (頼母)さあ それは…。 伜の行状も 知らんのか。 223 00:19:38,591 --> 00:19:44,197 推量で ものは言われませんな。 (はま)白々しいこと。 224 00:19:44,197 --> 00:19:49,035 子細は やがて分かりますやろ。 225 00:19:49,035 --> 00:19:53,940 わしには 見当がつく。 はっ? 226 00:19:53,940 --> 00:19:59,212 お主も お主の伜も 勤皇派の羽振りがよいので➡ 227 00:19:59,212 --> 00:20:03,583 藩士を 見くびっておるんじゃ。 いやいや 決して そんな…。 228 00:20:03,583 --> 00:20:09,455 それが証拠に 津田家の奉公人までが 当家の下女に➡ 229 00:20:09,455 --> 00:20:15,295 「これからは浅葱の天下じゃ。 白足袋は奈落の底じゃ」と➡ 230 00:20:15,295 --> 00:20:20,033 大口を たたきよった。 それは 御無礼を…。 231 00:20:20,033 --> 00:20:24,237 よほど斬り捨ててやろうかと思うたが➡ 232 00:20:24,237 --> 00:20:30,109 娘の奉公人でもあると 胸をさすって 我慢をしたんじゃ。➡ 233 00:20:30,109 --> 00:20:38,451 あれは当然 主人の話を聞きかじっての 物言いじゃろう。 234 00:20:38,451 --> 00:20:41,151 ≪ごめんなされませ。 235 00:20:49,796 --> 00:20:55,268 近頃の浅葱者の思い上がりは目に余る。 236 00:20:55,268 --> 00:21:01,140 平身低頭して 藩士の娘を めとっておきながら➡ 237 00:21:01,140 --> 00:21:08,815 幕府が不利と見ると 弊履のごとく 打ち捨てて顧みんとは 到底 許し難い! 238 00:21:08,815 --> 00:21:11,417 その物言いは 承知しかねる。 239 00:21:11,417 --> 00:21:15,922 黙りなされ! 加納家には 加納家の面目があるんじゃ! 240 00:21:15,922 --> 00:21:19,622 刀に懸けても 離縁はさせんからな! 241 00:21:22,695 --> 00:21:29,695 [ 心の声 ] 何でや? お嬢様…。 何があったんですか? 242 00:21:33,106 --> 00:21:39,779 <慶応3年12月7日 朝廷は 王政復古を宣言して➡ 243 00:21:39,779 --> 00:21:46,119 十五代将軍 慶喜公から 地位も 領地も 政権も取り上げると➡ 244 00:21:46,119 --> 00:21:48,819 勅命を下された> 245 00:21:50,623 --> 00:21:52,959 おう お登勢…。 246 00:21:52,959 --> 00:21:56,462 また 戦が始まるらしいで。 え~? 247 00:21:56,462 --> 00:21:58,965 痩せても枯れても 天下の将軍さん。 248 00:21:58,965 --> 00:22:03,469 あの~ 大坂に立てこもってな 朝廷方と白黒つけるらしい。 249 00:22:03,469 --> 00:22:05,405 えらいこっちゃなあ。 250 00:22:05,405 --> 00:22:10,576 会津も桑名も 江戸の直参も わ~っと 上方へ向こうとるらしい。 251 00:22:10,576 --> 00:22:14,447 徳島は どっちの味方? そら 将軍様じゃろう。 252 00:22:14,447 --> 00:22:18,318 稲田様は? かっ… 朝廷じゃろう。 253 00:22:18,318 --> 00:22:22,088 ほんな 敵味方やがな。 んん~ かっ! 254 00:22:22,088 --> 00:22:24,991 もう はがいたらしいこっちゃ…。 255 00:22:24,991 --> 00:22:28,428 戦は どこで始まるのん? んな わしが知るかいな。 256 00:22:28,428 --> 00:22:32,298 おおかた 京か それとも大坂か…。 257 00:22:32,298 --> 00:22:34,300 ほんな お嬢様は…? 258 00:22:34,300 --> 00:22:37,937 あっ… それや。 早いとこ帰ってきなさらんと➡ 259 00:22:37,937 --> 00:22:40,606 旦那どころか 命を失うがな。 260 00:22:40,606 --> 00:22:44,406 どないした? 何や どないした? えっ? 261 00:22:46,112 --> 00:22:48,114 お前が 京へ? 262 00:22:48,114 --> 00:22:53,987 へえ。 どないしてでも お嬢様を 洲本へ連れ戻しますよって。 263 00:22:53,987 --> 00:22:58,691 お願いでございます! 戦が 始まってしもうたら えらいこっちゃ! 264 00:22:58,691 --> 00:23:03,463 お登勢…。 あの御気性やさかい 帰るに帰れんのです。 265 00:23:03,463 --> 00:23:08,301 うち お嬢様のお気持ちを思うたら…。 266 00:23:08,301 --> 00:23:11,270 たわけ。 267 00:23:11,270 --> 00:23:15,074 んん… お前が行っても… 役に立ちゃあせん。 268 00:23:15,074 --> 00:23:17,076 ほんなけんど…。 269 00:23:17,076 --> 00:23:20,880 お前の気持ちは よう分かるが…➡ 270 00:23:20,880 --> 00:23:25,418 志津は… まだ津田家の嫁じゃ。 271 00:23:25,418 --> 00:23:28,321 お嬢様が どないなっても かまんのですか!? 272 00:23:28,321 --> 00:23:32,592 大声を出すな…。 273 00:23:32,592 --> 00:23:37,096 津田家の中間が 明朝 京へ発つ。 274 00:23:37,096 --> 00:23:40,099 太助さんが? ああ。 275 00:23:40,099 --> 00:23:44,599 2度目じゃから 道も心得ておるじゃろう。 276 00:23:51,444 --> 00:23:55,248 <朝廷につくか 将軍につくか。➡ 277 00:23:55,248 --> 00:23:58,618 徳島城内では連日の大評定じゃ。➡ 278 00:23:58,618 --> 00:24:03,456 ところが 御主君の蜂須賀斉裕公は 御病気じゃし➡ 279 00:24:03,456 --> 00:24:06,426 重臣たちは なかなか意見を言わん。➡ 280 00:24:06,426 --> 00:24:10,196 はがいたらしいことに どないすれば ええのか➡ 281 00:24:10,196 --> 00:24:14,734 皆目 見当がつかんのじゃ。➡ 282 00:24:14,734 --> 00:24:19,572 そして 津田頼母様が 再び 加納家を訪れたのは➡ 283 00:24:19,572 --> 00:24:22,272 大晦日じゃった> 284 00:24:24,077 --> 00:24:27,080 かいつまんで申し上げる。 285 00:24:27,080 --> 00:24:32,585 志津殿は 当分 洲本へは戻ってこんそうです。 286 00:24:32,585 --> 00:24:37,090 ええっ? 話が違うではないか。 287 00:24:37,090 --> 00:24:41,427 貢と志津殿との仲は もはや 見込みはござらん。 288 00:24:41,427 --> 00:24:43,463 見込みなどは聞いておらん! 289 00:24:43,463 --> 00:24:49,168 戦が始まろうとしているのに 何で 連れて帰ってくださらんのです。 290 00:24:49,168 --> 00:24:53,773 さしあたって 身の危険はないじゃろ。 291 00:24:53,773 --> 00:24:57,643 (市左衛門)お主に 何で分かる? 292 00:24:57,643 --> 00:25:01,114 志津殿は 一人ではない。 293 00:25:01,114 --> 00:25:03,449 何? 294 00:25:03,449 --> 00:25:10,149 これは 太助が預かってまいった書状でござる。 295 00:25:25,404 --> 00:25:54,100 ♬~ 296 00:25:54,100 --> 00:25:57,770 (市左衛門)何たる不始末か…。 297 00:25:57,770 --> 00:26:04,043 まさしく… 武家の娘に あるまじき振る舞い…。 298 00:26:04,043 --> 00:26:12,718 はあ~… ここまで性根が 腐っていようとは…。 299 00:26:12,718 --> 00:26:14,654 いかがなされます? 300 00:26:14,654 --> 00:26:17,654 こと ここに至っては しかたあるまい。 301 00:26:20,393 --> 00:26:25,064 今宵限り… 義絶 勘当する。 302 00:26:25,064 --> 00:26:28,401 義絶 勘当…!? 303 00:26:28,401 --> 00:26:32,071 (市左衛門) もう 娘とは思わん。 お前も諦めよ。 304 00:26:32,071 --> 00:26:35,074 お待ちくだされ! 加納の家名は 守らなあかん! 305 00:26:35,074 --> 00:26:39,579 年が明けたら 私が 志津に会うてまいります。 306 00:26:39,579 --> 00:26:41,779 もう遅い! 307 00:26:47,220 --> 00:26:51,090 なあ 儀平さん。 うん? 308 00:26:51,090 --> 00:26:54,961 勘当いうたら 親子の縁を切ることやろ? 309 00:26:54,961 --> 00:26:59,765 ほうじゃ! お嬢様が 何をしはったんや? 310 00:26:59,765 --> 00:27:10,042 さあ…? そんでも 旦那様の ごたてぶりは もう普通やなかった。 311 00:27:10,042 --> 00:27:13,913 何で 実の親子が 縁を切らないかんのや? 312 00:27:13,913 --> 00:27:16,816 今に分かるわい…。 313 00:27:16,816 --> 00:27:20,553 下手に尋ねたりしたら 後で えらい目に遭うわい。 314 00:27:20,553 --> 00:27:23,389 ≪(鐘の音) 315 00:27:23,389 --> 00:27:28,689 ああ… もう除夜の鐘か~。 316 00:27:32,064 --> 00:27:38,364 正月やいうのに 一人で心細いやろなあ。 317 00:27:46,612 --> 00:27:51,217 あの…。 うち 登勢と申します。 318 00:27:51,217 --> 00:27:54,754 お前の顔と 私の顔が 重なって見える。 319 00:27:54,754 --> 00:27:57,089 すんまへん。 320 00:27:57,089 --> 00:28:01,789 お前… かわいい顔してるのね。 321 00:28:03,429 --> 00:28:07,129 上へ はねて。 そう…。 322 00:28:09,168 --> 00:28:12,538 しっかり止めて… うん。 323 00:28:12,538 --> 00:28:15,374 まあ! 見違えるようじゃ。 324 00:28:15,374 --> 00:28:18,044 うっちゃあ 何をしたらよろしいのや? 325 00:28:18,044 --> 00:28:21,881 お客様に 木偶を遣うて見せるのじゃ。 いいえ いけません! 326 00:28:21,881 --> 00:28:26,385 お兄様に 恥をかかせる気? 327 00:28:26,385 --> 00:28:29,188 南蛮の塗り薬じゃ。 お嬢様 そんな…。 328 00:28:29,188 --> 00:28:32,091 黙って おつけ。 329 00:28:32,091 --> 00:28:34,091 おおきに…。 330 00:28:38,731 --> 00:28:45,204 <明ければ 慶応4年の春じゃ。 お嬢様が気がかりな お登勢は➡ 331 00:28:45,204 --> 00:28:52,004 正月早々 津田家の中間 太助を 町なかで ひっつかまえた> 332 00:28:55,748 --> 00:28:58,784 尋ねたいことがあるんやけんど…。 あっ いかん いかん! 333 00:28:58,784 --> 00:29:01,554 京の話はな 口止めされとるんや。 334 00:29:01,554 --> 00:29:05,358 お嬢様は 津田様と別れはったんやろ? 知らん。 335 00:29:05,358 --> 00:29:09,161 おなご一人で暮らし向きは どないなっとるんじゃ。 知らん! 336 00:29:09,161 --> 00:29:11,097 津田様は 知らん顔かいな? 337 00:29:11,097 --> 00:29:15,034 お忙しいんじゃ。 何せ 稲田家は➡ 338 00:29:15,034 --> 00:29:20,172 岩倉具視様のお名指しで 御所の守りを命じられたんじゃ。 339 00:29:20,172 --> 00:29:23,075 津田様は 自分勝手じゃ。 (太助)何やと? 340 00:29:23,075 --> 00:29:25,978 ひょっとして ほかに 好きな人がでけたんやないの? 341 00:29:25,978 --> 00:29:28,381 アホぬかせ! 342 00:29:28,381 --> 00:29:31,381 ほんまのこと言うて! 343 00:29:33,552 --> 00:29:38,724 ふん! 好きな人 でけたんはな 若奥様の方じゃ。 344 00:29:38,724 --> 00:29:41,627 えっ? (太助)言うたら悪いが➡ 345 00:29:41,627 --> 00:29:47,400 若奥様は ほかに男をつくって 一緒に住んでなさるんや。 346 00:29:47,400 --> 00:29:50,736 うそや! うそなもんかい! 347 00:29:50,736 --> 00:29:54,073 あっ…。 相手は誰じゃ!? 痛い痛い…。 348 00:29:54,073 --> 00:29:59,412 言うてみんかい! さ さ… 佐伯… 織部…。 349 00:29:59,412 --> 00:30:02,314 佐伯織部? 350 00:30:02,314 --> 00:30:06,314 お公家さんの家来じゃ。 351 00:30:09,088 --> 00:30:11,757 (佐伯)はははは…。 352 00:30:11,757 --> 00:30:15,227 そんなアホな! 353 00:30:15,227 --> 00:30:17,163 ああ…。 354 00:30:17,163 --> 00:30:19,932 <こら びっくりしたわい!➡ 355 00:30:19,932 --> 00:30:26,705 佐伯織部様いうたら 勤皇派のお公家 東久世の側近じゃ。➡ 356 00:30:26,705 --> 00:30:32,645 ほんなけんど 何で お嬢様が 津田様と別れて…。 えっ?➡ 357 00:30:32,645 --> 00:30:40,319 んん… 旦那様が「勘当じゃ」と ごたてなさるのも 無理ないこっちゃ。➡ 358 00:30:40,319 --> 00:30:43,956 お登勢は だんだん腹が立ってきた。➡ 359 00:30:43,956 --> 00:30:46,258 お嬢様は アホや。➡ 360 00:30:46,258 --> 00:30:49,458 津田様も アホや。 へげたれや> 361 00:30:57,002 --> 00:30:59,638 <1月3日 とうとう➡ 362 00:30:59,638 --> 00:31:03,142 鳥羽と伏見で合戦が始まった。➡ 363 00:31:03,142 --> 00:31:10,416 京都突入を図る幕府軍 1万5, 000 これを阻止する長連合 4, 500。➡ 364 00:31:10,416 --> 00:31:15,087 戦いは夜まで続いて 幕府軍の惨敗に終わり➡ 365 00:31:15,087 --> 00:31:23,787 将軍 慶喜公は 大坂城を6日に脱出。 船で 江戸へ逃げ帰りなさった> 366 00:31:26,699 --> 00:31:31,437 <そして 9日 長を中心とする官軍は➡ 367 00:31:31,437 --> 00:31:38,210 錦の御旗をいただいて 江戸へ 徳川征伐の進軍を始めた。➡ 368 00:31:38,210 --> 00:31:43,616 一方 徳島藩は 6日に御主君が亡くなり➡ 369 00:31:43,616 --> 00:31:49,121 御嫡男が家督を継いで ようやく 勤皇方につくことを決めたが➡ 370 00:31:49,121 --> 00:31:52,791 もはや 大勢は決しておった。➡ 371 00:31:52,791 --> 00:31:58,464 まあ 早い話が 時代に乗り遅れたんじゃ> 372 00:31:58,464 --> 00:32:03,269 何じゃい! 侍のくせに 最後の最後に寝返りかい! 373 00:32:03,269 --> 00:32:07,139 これやったら お前 将軍様は ええ面の皮じゃ。 ふんだ! 374 00:32:07,139 --> 00:32:10,910 いててて…。 痛いことあるかい! 375 00:32:10,910 --> 00:32:14,747 徳島藩士は皆 腹切って 死んだらええんじゃ! 376 00:32:14,747 --> 00:32:17,416 座敷に聞こえるがな。 聞こえたって構わん! 377 00:32:17,416 --> 00:32:21,587 わしは ほんまのこと言うとるんじゃ。 378 00:32:21,587 --> 00:32:23,923 何や 焦げ臭いな。 379 00:32:23,923 --> 00:32:27,426 そら焦げ臭いわ。 世の中が ひっくり返るんじゃから。 380 00:32:27,426 --> 00:32:31,297 ああっ! そこや そこや。 熱っ! あたた… 水 水 水 水! 381 00:32:31,297 --> 00:32:33,299 あっ あちちち…! 382 00:32:33,299 --> 00:32:37,102 それ~! あっ! 383 00:32:37,102 --> 00:32:40,102 アホ! ムチャすな お前…。 384 00:32:42,775 --> 00:32:48,247 <3月。 有栖川宮熾仁親王率いる官軍は➡ 385 00:32:48,247 --> 00:32:55,988 勝 海舟と西郷隆盛の斡旋で 江戸城を無血占領した。➡ 386 00:32:55,988 --> 00:33:02,628 遅まきながら 6月 徳島藩も 600の軍勢を 江戸へ送り込んだ。➡ 387 00:33:02,628 --> 00:33:07,628 幕府に味方する 東北の諸藩を討つためじゃ> 388 00:33:10,369 --> 00:33:17,369 やれやれ… 幕府を見限って 今度は 官軍か。 389 00:33:19,078 --> 00:33:22,581 (市左衛門)睦太郎も 切ないじゃろう。 390 00:33:22,581 --> 00:33:24,581 (はま)ほんに…。 391 00:33:26,418 --> 00:33:30,222 今日あたり 江戸へ着くかもしれんな。 392 00:33:30,222 --> 00:33:34,760 志津は もう着いております。 393 00:33:34,760 --> 00:33:38,597 何…? 江戸から 届け物がありました。 394 00:33:38,597 --> 00:33:44,770 お登勢。 引き出物を これへ。 へえ。 395 00:33:44,770 --> 00:33:48,107 ちょっと待て。 引き出物とは 何のことじゃ? 396 00:33:48,107 --> 00:33:55,447 はい。 志津は 佐伯織部様と 祝言を挙げたようですのや。 397 00:33:55,447 --> 00:33:58,350 恥知らずめが…。 398 00:33:58,350 --> 00:34:03,188 考えてみたら 大層な出世です。 399 00:34:03,188 --> 00:34:06,558 もう 許してもよいではありませんか? 400 00:34:06,558 --> 00:34:12,064 許すも許さんもない。 勘当したからには 赤の他人じゃ。 401 00:34:12,064 --> 00:34:15,567 何をしようと どうなろうと 知ったことか。 402 00:34:15,567 --> 00:34:19,071 強情を張らんと…。 黙れ! 403 00:34:19,071 --> 00:34:24,576 はあ~ 志津は 親きょうだいに背き 家名を汚した。 404 00:34:24,576 --> 00:34:27,413 まあ 御覧くだされ! 405 00:34:27,413 --> 00:34:31,216 由緒ありげな茶壺ではありませんか。 406 00:34:31,216 --> 00:34:33,752 はあ…。 バカ者が…。 407 00:34:33,752 --> 00:34:38,424 囲われの身で祝言とは 笑止千万。 408 00:34:38,424 --> 00:34:44,724 いいえ 志津は 佐伯様の正妻ですんや。 409 00:34:46,298 --> 00:34:50,102 正妻? (はま)佐伯様は➡ 410 00:34:50,102 --> 00:34:55,240 先日 奥方と離別なされたんじゃ。 411 00:34:55,240 --> 00:34:59,111 何で お前が それを知っておる? 412 00:34:59,111 --> 00:35:06,852 さては… あれほど戒めておったのに 文のやり取りをしておったな! 413 00:35:06,852 --> 00:35:09,555 志津は娘です! 414 00:35:09,555 --> 00:35:12,191 けしからん! なにが 引き出物じゃ! 415 00:35:12,191 --> 00:35:16,395 旦那様…! あなた ちょっと…! こら 何をする! 416 00:35:16,395 --> 00:35:19,064 やめんか… やめ…! 417 00:35:19,064 --> 00:35:22,401 おっと… あっ ああっ! 418 00:35:22,401 --> 00:35:26,739 たわけ~! 419 00:35:26,739 --> 00:35:28,739 すんまへん! 420 00:35:37,082 --> 00:35:39,382 ≪お登勢…。 421 00:35:55,234 --> 00:35:58,604 (せきこみ) ひゃあ~ びっくりした! 422 00:35:58,604 --> 00:36:02,474 えっ? 人形に 声かけられたかと思た。 423 00:36:02,474 --> 00:36:06,345 へへへ… まさか…。 424 00:36:06,345 --> 00:36:10,249 やっぱり 空耳かいな。 425 00:36:10,249 --> 00:36:13,051 人形は好きか? 426 00:36:13,051 --> 00:36:18,190 大好きじゃ! うちも 娘頭を1つ 持ってる。 427 00:36:18,190 --> 00:36:21,894 何で そんなもん持ってるんや? 親の形見。 428 00:36:21,894 --> 00:36:23,829 へえ~。 429 00:36:23,829 --> 00:36:27,199 うちの父親はな おっちゃんと おんなじ 箱廻しやってん。 430 00:36:27,199 --> 00:36:31,069 ほう! はは…。 とっくに死んだけんどな。 431 00:36:31,069 --> 00:36:33,739 どこで? 知らんわ。 432 00:36:33,739 --> 00:36:38,076 お母ちゃんと うちを捨てて ほかのおなごと逃げてしもたんや。 433 00:36:38,076 --> 00:36:41,079 ほな 生きてるかも分からんぞ。 434 00:36:41,079 --> 00:36:44,579 生きとったら うちに 会いに来るはずや。 435 00:36:47,085 --> 00:36:51,957 はあ… あんた 生まれは どこ? 黒岩村。 436 00:36:51,957 --> 00:36:56,595 ふ~ん。 父親を恨んでるか? 437 00:36:56,595 --> 00:37:00,465 別に。 何で 恨まへんのや? 438 00:37:00,465 --> 00:37:06,165 何でて 捨てられた子より 捨てた親の方が つらいんと違う? 439 00:37:09,041 --> 00:37:12,544 死んだお母ちゃんが いつも言うとった。 440 00:37:12,544 --> 00:37:14,744 そうか…。 441 00:37:16,715 --> 00:37:19,618 ほな さいなら。 442 00:37:19,618 --> 00:37:23,055 あっ… 娘さん。 443 00:37:23,055 --> 00:37:26,391 浜の方に寄って 帰りなされ。 444 00:37:26,391 --> 00:37:28,727 何で? 445 00:37:28,727 --> 00:37:32,197 きっと ええことがある。 446 00:37:32,197 --> 00:37:41,406 ♬~ 447 00:37:41,406 --> 00:37:46,745 (鳴き声) 448 00:37:46,745 --> 00:37:59,045 ♬~ 449 00:38:09,701 --> 00:38:11,701 津田様! 450 00:38:16,041 --> 00:38:19,912 お久しゅうございます。 お前さんか…。 451 00:38:19,912 --> 00:38:22,714 いつ お戻りになったんですか? 452 00:38:22,714 --> 00:38:24,650 おとといかな。 453 00:38:24,650 --> 00:38:28,520 江戸においでとばかり思うていました。 454 00:38:28,520 --> 00:38:31,390 休みを もろうたのだ。 455 00:38:31,390 --> 00:38:35,193 お体の具合でも…? 456 00:38:35,193 --> 00:38:37,993 少し疲れた。 457 00:38:44,403 --> 00:38:48,073 当分は 何にも しとうない。 458 00:38:48,073 --> 00:39:01,073 (波の音) 459 00:39:06,158 --> 00:39:11,964 この度は おめでとうございます。 何が? 460 00:39:11,964 --> 00:39:19,371 ご苦労のかいあって あの… 世の中が変わるそうで…。 461 00:39:19,371 --> 00:39:24,543 これからは ええ思いをなさるんと違いますか? 462 00:39:24,543 --> 00:39:29,043 何で そんな寂しい顔をしてはるんですか? 463 00:39:30,716 --> 00:39:33,016 傷のせいじゃろう。 464 00:39:40,058 --> 00:39:44,258 ひょっとして 津田様は お嬢様のことを…。 465 00:39:53,605 --> 00:39:56,608 あの人とは別れた。 466 00:39:56,608 --> 00:40:02,908 それは知っています。 ほんなけんど 何で そんなことに? 467 00:40:04,750 --> 00:40:07,450 もう済んだことや。 468 00:40:09,087 --> 00:40:13,087 お嬢様が かわいそうとは お思いにならんのですか? 469 00:40:14,960 --> 00:40:16,962 かわいそう? 470 00:40:16,962 --> 00:40:19,798 お嬢様が ほんまに好きなんは 津田様だけです。 471 00:40:19,798 --> 00:40:24,102 志津は 今の境遇に満足している。 472 00:40:24,102 --> 00:40:26,938 佐伯様のことですね? 473 00:40:26,938 --> 00:40:31,777 そうじゃ。 佐伯さんの仕える東久世は➡ 474 00:40:31,777 --> 00:40:38,650 今や 岩倉 三条と並んで 朝廷を牛耳る中心人物になった。 475 00:40:38,650 --> 00:40:43,350 ほんで 津田様のお気持ちは 何ともないんですか? 476 00:40:47,125 --> 00:40:50,996 志津は もともと 私と結婚したのではない。 477 00:40:50,996 --> 00:40:54,296 勤皇派の未来と結婚したんじゃ。 478 00:41:03,675 --> 00:41:07,212 <すまん… すまん お登勢。➡ 479 00:41:07,212 --> 00:41:14,419 どうやら 津田様は 舞中島の出来事を 忘れてしもうたらしいなあ> 480 00:41:14,419 --> 00:41:35,119 ♬~ 481 00:41:40,445 --> 00:41:43,482 <お登勢の恋い焦がれる津田 貢様は➡ 482 00:41:43,482 --> 00:41:48,320 舞中島での出来事をよそに お嬢様と結ばれた。➡ 483 00:41:48,320 --> 00:41:53,024 ところが あれほど ごたくりまわして 輿入れなさった お嬢様は➡ 484 00:41:53,024 --> 00:41:56,261 2年も たたんうちに 夫婦別れして➡ 485 00:41:56,261 --> 00:42:02,467 今度は 公家侍の佐伯織部様と ひっついてしもた。➡ 486 00:42:02,467 --> 00:42:06,071 折しも 世は激動の真っただ中。➡ 487 00:42:06,071 --> 00:42:09,908 幕府を倒した新政府は 江戸城へ 天子様をお移しして➡ 488 00:42:09,908 --> 00:42:14,746 東京城と改めた。 年号は 明治に変わり➡ 489 00:42:14,746 --> 00:42:20,418 将軍様の世の中は とうとう ひっくり返ってしもうたんや。➡ 490 00:42:20,418 --> 00:42:26,224 この先 お登勢は 加納一家と共に 江戸へ移り住むこととなった。➡ 491 00:42:26,224 --> 00:42:32,030 大名の直接の家臣でなければ 士族と認めないという新政府に対して➡ 492 00:42:32,030 --> 00:42:35,233 稲田家が分藩独立を訴え➡ 493 00:42:35,233 --> 00:42:41,106 それを阻止せんとする徳島本藩が 旦那様に 白羽の矢を立てたのじゃ。➡ 494 00:42:41,106 --> 00:42:44,910 一旦は 親子の縁を切られたお嬢様は➡ 495 00:42:44,910 --> 00:42:50,448 今や 政府の一員である佐伯織部様の 奥方じゃ。➡ 496 00:42:50,448 --> 00:42:55,620 はてさて お登勢の行く末は どうなる どうなる?➡ 497 00:42:55,620 --> 00:42:59,120 末は どうなる?>