1 00:00:09,583 --> 00:00:13,854 (玉太郎) <明治2年 幕府を倒した新政府は➡ 2 00:00:13,854 --> 00:00:16,723 これまでの大名を華族とし➡ 3 00:00:16,723 --> 00:00:21,395 その家臣を士族 家臣の家臣を卒族と決めた。➡ 4 00:00:21,395 --> 00:00:26,867 さあ おさまらんのが 稲田家の家臣 2, 500人じゃ。➡ 5 00:00:26,867 --> 00:00:30,237 足軽同然の卒族に 落とされてはたまらんと➡ 6 00:00:30,237 --> 00:00:34,574 かねてより昵懇の大物 佐伯織部様を頼って➡ 7 00:00:34,574 --> 00:00:37,878 分藩独立運動を始めた。➡ 8 00:00:37,878 --> 00:00:40,747 徳島本藩は 断固阻止を図ったが➡ 9 00:00:40,747 --> 00:00:45,886 土壇場で幕府についた悲しさで 新政府の高官に手づるがない。➡ 10 00:00:45,886 --> 00:00:50,724 そこで 加納の旦那様に 白羽の矢が立った。➡ 11 00:00:50,724 --> 00:00:53,627 お登勢は 加納一家と共に➡ 12 00:00:53,627 --> 00:00:57,264 東京の徳島藩邸 御長屋へ移った。➡ 13 00:00:57,264 --> 00:01:05,072 旦那様は 娘婿の佐伯様に平身低頭して 稲田家の不義不忠を訴えた。➡ 14 00:01:05,072 --> 00:01:08,375 新政府の方針は こうじゃ。➡ 15 00:01:08,375 --> 00:01:12,212 稲田家の家臣を士族と 認める代わりに➡ 16 00:01:12,212 --> 00:01:16,049 主従の全てを北海道に 移住させる。➡ 17 00:01:16,049 --> 00:01:19,720 つまり 喧嘩両成敗 じゃな。➡ 18 00:01:19,720 --> 00:01:22,622 そうした折 お嬢様は お登勢に➡ 19 00:01:22,622 --> 00:01:26,860 稲田家の家臣 津田 貢様と会えと おっしゃった。➡ 20 00:01:26,860 --> 00:01:33,633 津田様は お嬢様の最初の夫であり お登勢の心の恋人じゃ> 21 00:01:33,633 --> 00:01:45,746 ♬~ (テーマ音楽) 22 00:01:45,746 --> 00:01:51,618 (お登勢)愛は 何で こんなに悲しい顔しているんやろ…。 23 00:01:51,618 --> 00:03:19,618 ♬~ 24 00:03:21,575 --> 00:03:25,846 <お嬢様のお計らいで 人力車に乗せられた お登勢は➡ 25 00:03:25,846 --> 00:03:30,050 津田様のおんなさる湯島の旅籠へ 向こうた。➡ 26 00:03:30,050 --> 00:03:34,554 とっとっと… おい うっかりしとったら 振り落とされるぞ!➡ 27 00:03:34,554 --> 00:03:37,354 舌を噛むなよ お登勢> 28 00:03:42,062 --> 00:03:44,731 ごめんよ! ≪は~い! 29 00:03:44,731 --> 00:03:49,431 <ひさご家は 湯島聖堂の近くにあった> 30 00:03:57,744 --> 00:04:00,444 津田様。 31 00:04:04,551 --> 00:04:08,688 (荒い息遣い) 32 00:04:08,688 --> 00:04:10,988 津田様…。 33 00:04:33,380 --> 00:04:35,680 登勢で ございます。 34 00:04:48,929 --> 00:04:54,629 死なんといてください 津田様! 今 死にはったら 何もかも ワヤじゃ! 35 00:04:58,238 --> 00:05:20,560 (風の音) 36 00:05:20,560 --> 00:05:22,562 (拍子木の音) 37 00:05:22,562 --> 00:05:25,832 え~ 火の用心! 38 00:05:25,832 --> 00:05:29,369 (拍子木の音) 39 00:05:29,369 --> 00:05:32,272 ≪え~ 火の用心! 40 00:05:32,272 --> 00:05:36,042 ≪(拍子木の音) 41 00:05:36,042 --> 00:05:38,845 ≪え~ 火の用心! 42 00:05:38,845 --> 00:05:42,716 ≪(拍子木の音) 43 00:05:42,716 --> 00:05:46,052 ≪え~ 火の用心! 44 00:05:46,052 --> 00:05:50,752 ≪(拍子木の音) 45 00:06:09,676 --> 00:06:12,376 津田様。 46 00:06:22,822 --> 00:06:27,661 ♬~(三味線) 47 00:06:27,661 --> 00:06:57,057 ♬~ 48 00:06:57,057 --> 00:07:01,057 (貢)ん… あっ…。 49 00:07:03,396 --> 00:07:05,396 津田様? 50 00:07:11,671 --> 00:07:14,674 気ぃ付かれましたか? 51 00:07:14,674 --> 00:07:17,544 お登勢か…。 52 00:07:17,544 --> 00:07:21,044 はい。 登勢でございます。 53 00:07:23,683 --> 00:07:27,554 ここは… どこや? 54 00:07:27,554 --> 00:07:30,754 湯島の旅籠でございます。 55 00:07:34,694 --> 00:07:37,597 あっ… 水を…。 56 00:07:37,597 --> 00:07:39,597 はい。 57 00:07:54,047 --> 00:07:58,384 (貢のせきこみ) 58 00:07:58,384 --> 00:08:01,684 はあはあ… うっ…。 59 00:08:04,657 --> 00:08:46,266 ♬~ 60 00:08:46,266 --> 00:08:51,704 しじみ~ しじみ~。 61 00:08:51,704 --> 00:08:57,377 取れたての~ しじみ~。 62 00:08:57,377 --> 00:09:21,668 ♬~ 63 00:09:21,668 --> 00:09:26,468 ≪(足音) 64 00:09:29,676 --> 00:09:32,579 (三田)どうや? 容体は。 65 00:09:32,579 --> 00:09:35,014 三田様…。 66 00:09:35,014 --> 00:09:38,818 ここで 何をしておる? お見舞いでございます。 67 00:09:38,818 --> 00:09:41,721 いつから ここにおるんじゃ? ゆんべからでございます。 68 00:09:41,721 --> 00:09:45,692 (三田)一人でか? はい。 69 00:09:45,692 --> 00:09:48,992 頼む。 ああ 承知しました。 70 00:09:56,703 --> 00:10:01,841 誰に頼まれた? 加納市左衛門の差し金やな。 71 00:10:01,841 --> 00:10:05,044 めっそうもない。 うそをつくと ためにならんぞ。 72 00:10:05,044 --> 00:10:09,916 うそや ありまへん。 (三田)調べれば すぐ分かる。 73 00:10:09,916 --> 00:10:14,053 お登勢…。 はい。 74 00:10:14,053 --> 00:10:17,753 汗を…。 はい。 75 00:10:20,727 --> 00:10:28,601 三田さん… この娘は 私の味方です。 76 00:10:28,601 --> 00:10:32,071 お登勢…。 はい。 77 00:10:32,071 --> 00:10:35,071 どうして ここが分かったんや? 78 00:10:36,876 --> 00:10:42,682 あの… お嬢様が…。 79 00:10:42,682 --> 00:10:47,620 志津が 「行け」と言うたんか。 はい。 80 00:10:47,620 --> 00:10:52,358 なるほど そういうことか…。 81 00:10:52,358 --> 00:10:56,763 肺の臓をひどく病んでおる。 えっ? 82 00:10:56,763 --> 00:11:05,038 じゃが 峠は越しておりますな。 はあ この娘さんのお手柄でしょう。 83 00:11:05,038 --> 00:11:06,973 (三田)それは ありがたい。 84 00:11:06,973 --> 00:11:13,379 汗は かくほどよい。 この薬を煎じて のませなさい。 85 00:11:13,379 --> 00:11:16,716 おおきに すんまへん。 86 00:11:16,716 --> 00:11:20,516 このまま寝ていれば治るでしょう。 87 00:11:23,856 --> 00:11:27,226 (三田)大事な話があるんや。 少し しゃべってもよいかな。 88 00:11:27,226 --> 00:11:30,730 ああ 聞くだけなら構わんでしょう。 89 00:11:30,730 --> 00:11:34,067 ご苦労じゃった。 毎日 容体を診に来てもらいたい。 90 00:11:34,067 --> 00:11:37,937 はっ 心得ました。 91 00:11:37,937 --> 00:11:41,941 お前も しばらく 座を外してくれ。 92 00:11:41,941 --> 00:11:43,941 はい。 93 00:12:03,830 --> 00:12:07,033 (三田)私は これから洲本へ発つ。➡ 94 00:12:07,033 --> 00:12:09,702 政府の態度が怪しくなった。 95 00:12:09,702 --> 00:12:16,042 稲田家臣を士族として認める代わりに 北海道へ追放するというんじゃ。 96 00:12:16,042 --> 00:12:17,977 北海道…。 97 00:12:17,977 --> 00:12:23,783 これでは 懲罰も同然ではないか。 島流しではないか。 98 00:12:23,783 --> 00:12:26,386 すると 岩倉様は…。 99 00:12:26,386 --> 00:12:29,055 どうやら本藩に丸め込まれたらしい。 100 00:12:29,055 --> 00:12:32,558 東久世も これに同調した。 101 00:12:32,558 --> 00:12:35,461 佐伯さんは 何と? 102 00:12:35,461 --> 00:12:39,961 佐伯さんか…。 あの人も 偉うなったからな。 103 00:12:41,734 --> 00:12:45,605 こうなったら 捨て身でかからんならん。 104 00:12:45,605 --> 00:12:49,876 私が洲本へ戻るのは 稲田家中の結束を固めるためだ。 105 00:12:49,876 --> 00:12:54,414 場合によっては 3, 000の稲田侍が 決起することも考える。 106 00:12:54,414 --> 00:12:56,883 事を起こすのですか? 107 00:12:56,883 --> 00:13:02,255 少なくとも 徳島藩と刺し違える覚悟を 見せる必要があるやろ。➡ 108 00:13:02,255 --> 00:13:07,055 騒動が起きたら政府も困るからな。 109 00:13:12,365 --> 00:13:15,065 (足音) 110 00:13:18,704 --> 00:13:21,607 津田君を頼むぞ。 はい。 111 00:13:21,607 --> 00:13:23,807 見送りはいらん。 112 00:13:50,636 --> 00:13:52,636 あ…。 113 00:13:54,874 --> 00:14:00,674 お前さんには 面倒ばかりかけている。 いえ…。 114 00:14:07,553 --> 00:14:12,253 どうじゃ? 私は変わったか? 115 00:14:19,699 --> 00:14:22,602 だんだん 駄目になっているとは思わないか? 116 00:14:22,602 --> 00:14:25,037 思いません。 117 00:14:25,037 --> 00:14:28,841 正直に言うてくれ。 118 00:14:28,841 --> 00:14:36,582 私は 政の醜さを知りながら… いっそ 侍をやめたいと思いながら…➡ 119 00:14:36,582 --> 00:14:42,388 結局は そういう世界に しがみついてる。 120 00:14:42,388 --> 00:14:45,057 そんな自分が やりきれんのや。 121 00:14:45,057 --> 00:14:49,357 お侍をやめて どうなさるおつもりですか? 122 00:14:51,931 --> 00:14:58,604 そうじゃな… 百姓でもやるか。 123 00:14:58,604 --> 00:15:01,874 百姓でも? 124 00:15:01,874 --> 00:15:08,347 これからは 四民平等の世の中やそうだ。 125 00:15:08,347 --> 00:15:13,019 新政府は そう言うている。 126 00:15:13,019 --> 00:15:19,358 百姓仕事は そんな簡単なもんやありまへん。 127 00:15:19,358 --> 00:15:24,697 朝星夜星で 間なしに働かな その日の かゆも すすれまへん。 128 00:15:24,697 --> 00:15:30,369 飢饉になったら 野ねずみやら 松の木の皮やら食べんならんのです。 129 00:15:30,369 --> 00:15:34,369 年寄りや子供は 皆 死んでいきます。 130 00:15:36,175 --> 00:15:38,175 すんまへん。 131 00:15:46,385 --> 00:15:50,256 私には 無理やと言うのか。 132 00:15:50,256 --> 00:15:53,256 そら 分かりまへんけど…。 133 00:15:55,728 --> 00:16:01,428 稲田家の家臣は エゾへ 流されるかもしれん。 134 00:16:04,537 --> 00:16:09,537 知っていたのか。 お嬢様に お聞きしました。 135 00:16:12,678 --> 00:16:17,550 もし エゾへ渡ったら 武士も百姓もない。 136 00:16:17,550 --> 00:16:20,553 荒れ地を開墾して 作物を作らんならん。 137 00:16:20,553 --> 00:16:24,553 そん時は うちも連れてってくだされ。 138 00:16:29,695 --> 00:16:32,365 うっちゃあ 津田様のおそばに おりたいんです。 139 00:16:32,365 --> 00:16:34,400 津田様が エゾで ご苦労なさるかと思うと➡ 140 00:16:34,400 --> 00:16:36,535 うっちゃあ じっとしておれん。 141 00:16:36,535 --> 00:16:40,039 百姓なさるなら うちがお手伝いします。 142 00:16:40,039 --> 00:16:42,739 お供させてくだされ。 143 00:16:45,711 --> 00:16:47,647 お登勢…。 144 00:16:47,647 --> 00:17:07,967 ♬~ 145 00:17:07,967 --> 00:17:11,804 <うれしそうじゃのう お登勢…。➡ 146 00:17:11,804 --> 00:17:15,675 ほんなけんど 高望みはすなよ。➡ 147 00:17:15,675 --> 00:17:22,375 お前は3日たったら 鍛冶橋の御長屋へ戻らないけんのや> 148 00:17:27,019 --> 00:17:29,689 (鳴き声) 149 00:17:29,689 --> 00:17:35,561 <北海道へおいでた旦那様が 東京へお戻りなされたのは➡ 150 00:17:35,561 --> 00:17:38,561 2月の末じゃった> 151 00:17:42,268 --> 00:17:46,706 (市左衛門)ああ… やれやれ…。 152 00:17:46,706 --> 00:17:49,608 はあ~…。 153 00:17:49,608 --> 00:17:53,379 (はま)ほんまに ご苦労さまでした。 154 00:17:53,379 --> 00:17:56,849 ん… うんうん…。 155 00:17:56,849 --> 00:18:00,386 へっ… あの へげたれめが…。 156 00:18:00,386 --> 00:18:03,789 はあ? 儀平のことじゃ。 157 00:18:03,789 --> 00:18:08,160 函館に着いて すぐ 腰の骨をぐねよっての。 158 00:18:08,160 --> 00:18:10,096 まあ! 159 00:18:10,096 --> 00:18:15,501 寒さしのぎに 酒を飲んだはええが 凍りついた道で こけよってな➡ 160 00:18:15,501 --> 00:18:19,004 それっきり動けんのじゃ。 ええ~? 161 00:18:19,004 --> 00:18:25,778 医者を呼ぶやら わしに腰をさすらすやら えらい面倒をかけよった。 162 00:18:25,778 --> 00:18:28,681 どっちが主人か分からん始末じゃ。 163 00:18:28,681 --> 00:18:32,017 それは とんだことでございましたなあ。 164 00:18:32,017 --> 00:18:39,358 はは… 安心せい。 役目は 立派に果たしてきたぞ。 165 00:18:39,358 --> 00:18:43,028 おめでとうございます。 うんうん…。 166 00:18:43,028 --> 00:18:48,228 浅葱者のエゾ追放は 間違いない。 167 00:18:50,703 --> 00:18:52,638 そんなに さぶかったんか? 168 00:18:52,638 --> 00:18:57,576 (儀平)ああ… 寒いも何も 話にならん。 いたたた…。 169 00:18:57,576 --> 00:19:01,046 生きて帰れたんがな 不思議じゃ。 170 00:19:01,046 --> 00:19:05,017 ちょっと うつ伏せにさしてくれ。 わしは その方が楽じゃ。 171 00:19:05,017 --> 00:19:08,320 そ… そっとやぞ… そうそう… そうそう…➡ 172 00:19:08,320 --> 00:19:10,656 そっと そっと そっと… いたた…。 173 00:19:10,656 --> 00:19:13,659 そっと そっと… ああ…。 174 00:19:13,659 --> 00:19:16,996 あっ あっ… ああ~…。 175 00:19:16,996 --> 00:19:19,331 よいしょ…。 176 00:19:19,331 --> 00:19:24,203 お登勢… ちょっと すまんけんど あれ 取ってくれ あれ。 177 00:19:24,203 --> 00:19:27,206 いたたた… おおきに…。 178 00:19:27,206 --> 00:19:32,812 そらな 開拓使のお役所の中は ぬくいわいな。 179 00:19:32,812 --> 00:19:35,714 一日中 薪をくべとるさかいのう。 180 00:19:35,714 --> 00:19:39,518 ほなけんど エゾの奥地の方は➡ 181 00:19:39,518 --> 00:19:41,821 もう ありゃ 地獄じゃ。 182 00:19:41,821 --> 00:19:45,191 とても 人間の 住む所やない。 183 00:19:45,191 --> 00:19:50,062 お役所に 尻 たたかれて 開拓に入った百姓は➡ 184 00:19:50,062 --> 00:19:54,700 凍え死んだり 飢え死にしたり…。➡ 185 00:19:54,700 --> 00:19:58,204 毎日 泣いて頼んどるんじゃ。 186 00:19:58,204 --> 00:20:07,713 ♬~ 187 00:20:07,713 --> 00:20:12,384 (儀平)「国へ いなしてくれ~」ちゅうて…。 188 00:20:12,384 --> 00:20:14,720 そら そうじゃろう。 189 00:20:14,720 --> 00:20:19,420 あれは お前 死ねと言うのと おんなじじゃ。 190 00:20:21,594 --> 00:20:25,731 お… お登勢 ちょっと厠へ 行かしてくれるか? 191 00:20:25,731 --> 00:20:28,234 お登勢…。 あれ? 192 00:20:28,234 --> 00:20:31,734 おい お登勢? いたたた…。 193 00:20:33,739 --> 00:20:38,878 <病み上がりの津田様が 心配でならん お登勢は➡ 194 00:20:38,878 --> 00:20:44,683 思い切って お使いの帰りに 旅籠へ立ち寄ってみた。➡ 195 00:20:44,683 --> 00:20:52,983 ほんなけんど 恋しい津田様は 5日ほど前 洲本に旅立ったということやった> 196 00:21:02,902 --> 00:21:07,373 佐伯織部殿によれば 来月にも 政府の使者を 徳島に遣わし➡ 197 00:21:07,373 --> 00:21:09,842 稲田家の北海道移住を通告する由。 198 00:21:09,842 --> 00:21:12,211 (六車)理不尽な…! (丹羽)断固 はねつけるべし! 199 00:21:12,211 --> 00:21:15,247 (内藤)待て待て! (藤木)仮にも 政府の使者やぞ。 200 00:21:15,247 --> 00:21:19,084 (三善)岩倉公は 徳島藩の申し立てを うのみにしております! 201 00:21:19,084 --> 00:21:22,721 はなから 決めてかかるな。 まずは 使者の口上を聞いてからじゃ。 202 00:21:22,721 --> 00:21:24,723 (六車)聞いてからでは遅い! そうじゃ! 203 00:21:24,723 --> 00:21:29,395 事前に 我らの決意を示しましょう。 決意とは? 204 00:21:29,395 --> 00:21:33,866 稲田藩は 淡路島全島をもって 徳島藩から独立する。 205 00:21:33,866 --> 00:21:36,769 それは無理だ。 いっぺんで 心証を悪うする。 206 00:21:36,769 --> 00:21:39,405 (頼母)あいや しばらく。➡ 207 00:21:39,405 --> 00:21:44,276 稲田藩は 勅命を受けて 幕府と戦うてきました。 208 00:21:44,276 --> 00:21:47,746 いわば 朝廷の家臣じゃ。 209 00:21:47,746 --> 00:21:49,748 そうじゃ。 そのとおりじゃ! 210 00:21:49,748 --> 00:21:54,887 じゃからこそ 政府は 我らを士族と認めたのじゃ。 211 00:21:54,887 --> 00:21:59,258 「士族」を餌に 北海道へ追いやられるとは…。 212 00:21:59,258 --> 00:22:01,760 北海道でも よいやないか! 何じゃと? 213 00:22:01,760 --> 00:22:05,631 本藩と袂を分かち 分藩独立を果たすには それしかあるまい! 214 00:22:05,631 --> 00:22:07,566 黙れ! 黙れとは何じゃ! 215 00:22:07,566 --> 00:22:10,369 先祖代々の土地を捨てて おめおめと エゾへなんか行けるか! 216 00:22:10,369 --> 00:22:13,706 そうじゃ! さりとて本藩の同意なくして➡ 217 00:22:13,706 --> 00:22:15,641 稲田家の独立は ありえん。 218 00:22:15,641 --> 00:22:18,844 同意は 得られますまい。 ならば 一戦交えようぞ! 219 00:22:18,844 --> 00:22:20,913 おう! おう! 控えい! 220 00:22:20,913 --> 00:22:24,216 今こそ 稲田武士の意気を 天下に示す時です! 221 00:22:24,216 --> 00:22:26,251 (内藤)軽々に言うな! 222 00:22:26,251 --> 00:22:29,855 三田様の御意向を伺いたい。 そうじゃ! 223 00:22:29,855 --> 00:22:35,227 意見は いろいろあるやろう。 しかし 家中一同➡ 224 00:22:35,227 --> 00:22:37,730 稲田家への忠誠を誓うことに 異存は あるまい。 225 00:22:37,730 --> 00:22:40,566 もちろんです! しからば これより➡ 226 00:22:40,566 --> 00:22:45,237 分藩独立の血判状を作り 稲基神社で 結束を誓おうやないか! 227 00:22:45,237 --> 00:22:47,272 おう! そうや! 一致団結や! 228 00:22:47,272 --> 00:22:49,972 血判状じゃ! おう! 229 00:22:56,749 --> 00:23:06,358 <3月 新政府の大立者 岩倉具視公の使者が 徳島に到着した> 230 00:23:06,358 --> 00:23:12,231 (小室)「一つ 稲田九郎兵衛主従を 北海道に移住せしむること。➡ 231 00:23:12,231 --> 00:23:18,704 一つ 移住地は 日高静内 および 根室志古丹島とすること。➡ 232 00:23:18,704 --> 00:23:23,842 一つ 右 移住地の開拓が その実を挙げるまでの間➡ 233 00:23:23,842 --> 00:23:31,216 開拓費用として 1万3, 500石を 毎年 徳島藩から稲田に給付すること」。 234 00:23:31,216 --> 00:23:36,722 お待ちください! 徳島藩から 開拓の費用を出せと? 235 00:23:36,722 --> 00:23:38,657 (小室)いかにも。 236 00:23:38,657 --> 00:23:44,229 ちなみに 開拓の実を挙げるまでとは どのぐらいの間でしょうか? 237 00:23:44,229 --> 00:23:49,568 (立木)政府の見込みでは 約10年です。 10年! 238 00:23:49,568 --> 00:23:54,740 それは 莫大な支出ですな。 藩の財政が破綻します! 239 00:23:54,740 --> 00:23:57,409 岩倉大納言の内命じゃ。 240 00:23:57,409 --> 00:24:02,748 これでは どちらが懲罰を受けているのか 分からん。 241 00:24:02,748 --> 00:24:06,448 到底 承服しかねます! 242 00:24:12,357 --> 00:24:17,696 <続いて 洲本の御城代 稲田九郎兵衛邦稙様が➡ 243 00:24:17,696 --> 00:24:22,896 呼び出され 同文の覚書が読み上げられた> 244 00:24:25,571 --> 00:24:30,709 これは 異な事を承る。 かねがね嘆願の分藩独立については➡ 245 00:24:30,709 --> 00:24:32,644 全く触れられておりません! 246 00:24:32,644 --> 00:24:36,048 (小室)不服があると申すか。 不服じゃ。 247 00:24:36,048 --> 00:24:40,219 分藩を許すどころか 開拓費用を 本藩より支給されるのでは➡ 248 00:24:40,219 --> 00:24:42,154 話になりません! 249 00:24:42,154 --> 00:24:45,557 稲田家は引き続き 徳島本藩に 従属することになります。 250 00:24:45,557 --> 00:24:48,060 従属しても 士族に列せられる。 251 00:24:48,060 --> 00:24:54,233 我々の望みは 稲田藩の独立じゃ! 断じて 本藩には従属しません! 252 00:24:54,233 --> 00:24:58,871 申し渡しは終わった。 抗弁したければ書面にて届けよ。 253 00:24:58,871 --> 00:25:03,242 しばらく! 書面による抗弁は これに…。 254 00:25:03,242 --> 00:25:14,887 ♬~ 255 00:25:14,887 --> 00:25:18,724 <血判状には ただならぬ誓いが したためてあった。➡ 256 00:25:18,724 --> 00:25:24,563 稲田家の家臣一同は 分藩独立のために命を懸けること…> 257 00:25:24,563 --> 00:25:26,832 (小室)まさか 本気ではあるまいな。 258 00:25:26,832 --> 00:25:29,701 (三田)本気です。 259 00:25:29,701 --> 00:25:33,705 これを 岩倉大納言に届ければ 分藩も独立もない。 260 00:25:33,705 --> 00:25:38,005 稲田家は廃絶の上 お主らは打ち首だぞ! 261 00:25:47,719 --> 00:25:54,059 <志津お嬢様が 芝居見物の帰りとかで ひょっくり 御長屋に立ち寄られたのは➡ 262 00:25:54,059 --> 00:25:57,396 4月の半ばごろじゃった> 263 00:25:57,396 --> 00:26:02,234 へえ~ 浅草で買うたんか…。 264 00:26:02,234 --> 00:26:06,805 それにしても 菊五郎という人は えらい人気らしいねえ。 265 00:26:06,805 --> 00:26:09,675 (志津)お母様も 一度 お出かけになってはいかがですか? 266 00:26:09,675 --> 00:26:12,344 佐伯に言って いい席を 取らせますから。 267 00:26:12,344 --> 00:26:19,117 ん… そうもいくまい。 お父様の ご苦労を思えば 芝居見物なんぞ。 268 00:26:19,117 --> 00:26:23,822 それより 早う お役目を終えて 淡路へ帰りたい。 269 00:26:23,822 --> 00:26:27,693 (志津)いいえ 淡路は ものすごく危険です。 270 00:26:27,693 --> 00:26:32,564 政府の仲裁が 失敗に終わって 対立が激しくなっています。 271 00:26:32,564 --> 00:26:34,566 (はま)やはり…。 272 00:26:34,566 --> 00:26:40,706 稲田家は 分藩独立を言い立て しかも エゾ行きを断りました。 273 00:26:40,706 --> 00:26:44,376 そんな 虫のええ話がありますか。 274 00:26:44,376 --> 00:26:51,250 徳島の藩士たちは 憤慨して 逆賊 稲田を取り潰せと騒いでいます。➡ 275 00:26:51,250 --> 00:26:55,020 誰かが止めないと 内乱が起きるでしょう。 276 00:26:55,020 --> 00:26:57,923 (はま)睦太郎は 大丈夫やろか? 277 00:26:57,923 --> 00:27:03,061 銃士たちは 血気盛んですからね きっと 先頭に立ちます。 278 00:27:03,061 --> 00:27:05,664 ≪ごめんなされませ。 279 00:27:05,664 --> 00:27:13,171 はがいたらしいこと! 稲田家は 何で エゾへ行かんのや。 280 00:27:13,171 --> 00:27:19,671 浅葱足袋の意地でしょう。 藩士への怨念は 根が深いのです。 281 00:27:26,351 --> 00:27:31,690 お嬢様 先日は ほんまに ありがとうございました。 282 00:27:31,690 --> 00:27:35,560 楽しかった? 283 00:27:35,560 --> 00:27:38,030 おかげさまで…。 284 00:27:38,030 --> 00:27:42,834 (はま)それで 佐伯様は 何と お言いやった? 285 00:27:42,834 --> 00:27:47,205 (志津)もう どうにもならないと。 (はま)殺生な…! 286 00:27:47,205 --> 00:27:52,077 考えてもみてください。 両方の顔を立てるのが難しかったら➡ 287 00:27:52,077 --> 00:27:54,846 両方を潰すしかないでしょう。 288 00:27:54,846 --> 00:27:58,050 (はま)両方を潰す? 289 00:27:58,050 --> 00:28:02,387 政府にとっては 内乱が起きた方が好都合なんです。 290 00:28:02,387 --> 00:28:05,290 そんな アホな…。 291 00:28:05,290 --> 00:28:08,660 徳島や淡路の人は どないなってもええんですか? 292 00:28:08,660 --> 00:28:12,531 自業自得でしょう。 自業自得? 293 00:28:12,531 --> 00:28:15,534 お前は 誰の心配をしているの? 294 00:28:15,534 --> 00:28:18,337 (はま)睦太郎に決まってるやないか。 295 00:28:18,337 --> 00:28:20,337 そうかしら…。 296 00:28:22,207 --> 00:28:25,010 <いかん いかん! 何も言うな!➡ 297 00:28:25,010 --> 00:28:28,210 お嬢様の御気性は分かっとるじゃろ?> 298 00:28:29,881 --> 00:28:33,681 ≪(市左衛門)お登勢! へえ! 299 00:28:42,194 --> 00:28:44,129 (駆けてくる足音) 300 00:28:44,129 --> 00:28:47,532 お帰りなされませ。 志津が来ておるのか? 301 00:28:47,532 --> 00:28:51,703 はい。 稲田の浅葱者が騒ぎを起こすそうで…。 302 00:28:51,703 --> 00:28:54,373 分かっておる! 御機嫌斜めですな。 303 00:28:54,373 --> 00:28:56,308 お登勢…。 へえ。 304 00:28:56,308 --> 00:29:01,713 あのな 隣の空き家をな 人が住めるように掃除しておけ。 305 00:29:01,713 --> 00:29:03,982 かしこまりました。 306 00:29:03,982 --> 00:29:05,917 どなたか お見えになるんですか? 307 00:29:05,917 --> 00:29:12,324 ああ ああ。 若手の藩士が10人ほど 上京して 朝廷に直訴するらしい。 308 00:29:12,324 --> 00:29:15,227 (はま)まあ… 睦太郎は? 309 00:29:15,227 --> 00:29:17,662 知らん! 310 00:29:17,662 --> 00:29:20,565 ちょっと… 出かけてくる。 311 00:29:20,565 --> 00:29:27,172 <徳島を出立した藩士団は 総代 兼松又三郎以下10名。➡ 312 00:29:27,172 --> 00:29:31,676 これに取締役として 学問所学頭 新居与一助➡ 313 00:29:31,676 --> 00:29:37,349 槍術師範 小倉富三郎がつけられた。➡ 314 00:29:37,349 --> 00:29:42,521 4月21日 東京に到着した藩士団は➡ 315 00:29:42,521 --> 00:29:49,694 用意した嘆願書を その日のうちに朝廷へ提出した。➡ 316 00:29:49,694 --> 00:29:54,032 江戸藩邸の指示で 加納家を宿舎としたのは➡ 317 00:29:54,032 --> 00:29:56,835 取締役の新居与一助。➡ 318 00:29:56,835 --> 00:30:02,335 隣の長屋には そのほかの藩士たち 数名が入った> 319 00:30:04,576 --> 00:30:09,381 お役目 ご苦労さまです。 (新居)やっかいをかけますな。 320 00:30:09,381 --> 00:30:16,721 あ~ めっそうもない。 私どもの陋屋に 御宿泊いただけるとは恐悦至極。 321 00:30:16,721 --> 00:30:19,724 格別の心遣いは 御無用に。 (市左衛門)はっ。 322 00:30:19,724 --> 00:30:24,596 ただいま お酒を…。 あっ 私は 飲みません。 323 00:30:24,596 --> 00:30:30,068 あっ… さようですか。 では お食事の用意を…。 324 00:30:30,068 --> 00:30:32,268 (新居)かたじけない。 325 00:30:33,939 --> 00:30:37,242 碁は お好きですか? はっ。 326 00:30:37,242 --> 00:30:42,747 <知っとるじゃろうが 新居先生は 徳島藩きっての学者での。➡ 327 00:30:42,747 --> 00:30:49,047 高潔な人格と合わせて 藩士たちの人望を 一身に集めとるお方じゃ> 328 00:30:53,758 --> 00:30:58,263 お酒は 要らんそうや。 えっ? な… 何でじゃい。 329 00:30:58,263 --> 00:31:05,263 先生は 召し上がらんのやと。 ほうか… さすがじゃな! 330 00:31:23,221 --> 00:31:26,057 ≪(門をたたく音) 331 00:31:26,057 --> 00:31:29,728 ≪(阿部)夜分に恐れ入ります。 阿部興人にござります!➡ 332 00:31:29,728 --> 00:31:33,228 火急の用件にて まかり越しました! 333 00:31:36,601 --> 00:31:40,071 何事じゃ!? (阿部)星合様のお使いで参りました。 334 00:31:40,071 --> 00:31:43,108 うむ。 ただいま 12名の藩士団に➡ 335 00:31:43,108 --> 00:31:45,744 朝廷より禁足令が下されました。 336 00:31:45,744 --> 00:31:47,746 何…? 337 00:31:47,746 --> 00:31:51,550 追って 御沙汰のあるまで 藩邸内に差し控え➡ 338 00:31:51,550 --> 00:31:55,250 謹慎すべしとの御通達にござります。 339 00:32:02,761 --> 00:32:05,030 (小川)禁足令じゃと? 340 00:32:05,030 --> 00:32:09,201 (南)足止めじゃ。 藩邸から 一歩も外に出るなということや! 341 00:32:09,201 --> 00:32:13,838 (慎吾)理不尽な! 朝廷は 我々の嘆願書が気に入らんのか! 342 00:32:13,838 --> 00:32:17,375 そんなはずはありません。 逆臣 稲田の処分を➡ 343 00:32:17,375 --> 00:32:19,844 本藩が願い出て どこが悪い! 344 00:32:19,844 --> 00:32:22,747 (南)どうも おかしい。 何が? 345 00:32:22,747 --> 00:32:27,586 東京へ来て分かったことやが 我が藩に対する政府役人の態度は➡ 346 00:32:27,586 --> 00:32:30,388 必ずしも よくない。 (小川)気のせいやろ? 347 00:32:30,388 --> 00:32:36,194 (南)いやいや 国元で考えていたのとは 大違いや。 348 00:32:36,194 --> 00:32:40,732 どうします? もちろん 朝廷に抗議する。 349 00:32:40,732 --> 00:32:43,735 いや それでは 事をこわす。 (慎吾)しかしやな…! 350 00:32:43,735 --> 00:32:48,935 しばらく 黙って様子を見る。 これが新居先生の仰せや。 351 00:32:50,742 --> 00:32:53,645 (鳴き声) 352 00:32:53,645 --> 00:32:56,645 お帰りなさいませ。 353 00:33:03,688 --> 00:33:06,591 容易ならんことになりました。 354 00:33:06,591 --> 00:33:10,562 たった今 藩邸で耳にしたんじゃが 朝廷から 我が殿に対して➡ 355 00:33:10,562 --> 00:33:14,332 上京命令が下されたそうです。 ほう…。 356 00:33:14,332 --> 00:33:19,037 しかも 驚いたことに 稲田邦稙を同伴せよと。 357 00:33:19,037 --> 00:33:25,377 何!? これは 一体 どうしたことじゃろうか。 358 00:33:25,377 --> 00:33:28,213 よい知らせでは ないな。 359 00:33:28,213 --> 00:33:30,248 あっ やはり…。 360 00:33:30,248 --> 00:33:35,854 つまり 朝廷が 事を 稲田家の反逆と見るならば➡ 361 00:33:35,854 --> 00:33:41,226 稲田殿のみを召し出して詰問に及ぶはず。 あっ いかにも…。 362 00:33:41,226 --> 00:33:49,100 あるいは 我が殿のみを召し出して 稲田家の処罰を御下命になるはず。 363 00:33:49,100 --> 00:33:51,870 う~ん 仰せ ごもっとも。 364 00:33:51,870 --> 00:33:56,708 しかるに 稲田邦稙殿の同伴を 求めらるるは➡ 365 00:33:56,708 --> 00:34:03,081 蜂須賀家と稲田家を 同列の責任者と 見なすことに ほかならず…。 366 00:34:03,081 --> 00:34:05,684 一大事ですな。 367 00:34:05,684 --> 00:34:08,184 一大事じゃ。 368 00:34:31,910 --> 00:34:35,213 ≪(慎吾)ついに 稲田を討つ時が来たな。 369 00:34:35,213 --> 00:34:37,849 ≪(小川) 即刻 国表へ帰って 事を起こそう。 370 00:34:37,849 --> 00:34:44,622 そうや。 殿の御上京中に 稲田の害虫を取り除けば 徳島藩は無傷。 371 00:34:44,622 --> 00:34:47,225 この機を逸しては 取り返しがつかんぞ。 372 00:34:47,225 --> 00:34:49,861 しかし 御家老衆が何と言うか…。 373 00:34:49,861 --> 00:34:52,731 アホ! じゃから こっそりやるのだ。 374 00:34:52,731 --> 00:34:55,233 新居先生に背くことにはなりませんか? 375 00:34:55,233 --> 00:35:00,872 心配すんな。 新居先生は 我々の心中を 誰よりも よくご存じや。 376 00:35:00,872 --> 00:35:03,875 江戸を脱出できるかどうか。 377 00:35:03,875 --> 00:35:09,347 闇に乗じて 一人ずつ バラバラに出よう。 378 00:35:09,347 --> 00:35:14,018 浅葱足袋め。 こたびこそ 目にもの見せてくれるわ! 379 00:35:14,018 --> 00:35:16,688 皆殺しじゃ! 380 00:35:16,688 --> 00:35:37,375 ♬~ 381 00:35:37,375 --> 00:35:39,310 旦那様! ≪(市左衛門)んん…。 382 00:35:39,310 --> 00:35:45,049 大変なことになりました。 ≪(市左衛門)はあ… 何じゃ? 383 00:35:45,049 --> 00:35:46,985 お隣の…。 384 00:35:46,985 --> 00:35:50,388 痛っ… すんまへん。 385 00:35:50,388 --> 00:35:55,088 はあ… 厠ぐらい ゆっくりさせい! 386 00:36:01,866 --> 00:36:05,870 かかる暴挙は 主命に背くものと心得ます。 387 00:36:05,870 --> 00:36:09,007 ただちに お差し止めください。 388 00:36:09,007 --> 00:36:14,179 某とて 稲田を憎む思いは 同じでございます。 389 00:36:14,179 --> 00:36:20,685 されど 藩の存亡を 危ううする振る舞いは…。 390 00:36:20,685 --> 00:36:25,356 市左衛門殿…。 はっ。 391 00:36:25,356 --> 00:36:31,656 人の人たるゆえんは 「義」の一字を知ることにある。 392 00:36:33,698 --> 00:36:40,038 奸物ありて 藩律を妨ぐ。 藩律は すなわち朝命なり。 393 00:36:40,038 --> 00:36:47,038 朝命を妨ぐる者は 除かずんば あるべからず。 394 00:36:49,047 --> 00:36:53,551 もはや 若い者を 思いとどまらせることはできまい。 395 00:36:53,551 --> 00:36:56,588 見逃せば 内乱になりますぞ。 396 00:36:56,588 --> 00:37:02,560 しかたがなかろう。 300年の恩を仇で返す逆賊を討たぬは➡ 397 00:37:02,560 --> 00:37:04,496 武門の恥辱じゃ! 398 00:37:04,496 --> 00:37:08,366 新居先生は 藩士団の お目付け役にございます! 399 00:37:08,366 --> 00:37:12,670 もとより承知。 わしも腹を切る。 400 00:37:12,670 --> 00:37:17,370 (雷鳴) 401 00:37:29,687 --> 00:37:32,590 (小倉)いかにも 8名は脱走したが➡ 402 00:37:32,590 --> 00:37:36,361 藩邸に届けるのは しばらく待ってもらいたい。 403 00:37:36,361 --> 00:37:41,199 それは できん。 太政官命令に違反します。 404 00:37:41,199 --> 00:37:45,036 (兼松)違反は 百も承知。 しかし 私の役目は…。 405 00:37:45,036 --> 00:37:48,706 監禁されたと言うてください。 406 00:37:48,706 --> 00:37:51,376 監禁…? 407 00:37:51,376 --> 00:37:56,376 すまぬが 2日ばかり 長屋を出ないでほしい。 408 00:37:58,149 --> 00:38:14,999 (カラスの鳴き声) 409 00:38:14,999 --> 00:38:17,802 お登勢…。 410 00:38:17,802 --> 00:38:21,602 頼みがある。 へえ。 411 00:38:23,608 --> 00:38:27,545 日が暮れたら すぐ 洲本へ発ってもらいたい。 412 00:38:27,545 --> 00:38:30,348 洲本…? しっ! 413 00:38:30,348 --> 00:38:35,687 旦那様の書状を 石毛様に届けるのじゃ。 414 00:38:35,687 --> 00:38:37,622 一人でですか? 415 00:38:37,622 --> 00:38:42,827 旦那様は 身動きが取れぬ。 儀平は 役に立たん。➡ 416 00:38:42,827 --> 00:38:48,527 藩士団を追い抜いて なんとか 戦を止めな いかんのや。 417 00:38:52,570 --> 00:38:55,707 うちに できますやろか? 418 00:38:55,707 --> 00:38:58,610 お前なら きっとできる。 419 00:38:58,610 --> 00:39:01,579 かしこまりました。 420 00:39:01,579 --> 00:39:05,316 行ってくれるかえ? はい。 421 00:39:05,316 --> 00:39:10,488 ほんな 書状を 襟に縫い付けて➡ 422 00:39:10,488 --> 00:39:15,994 新橋の馬車宿までは駕籠で走りなされ。 423 00:39:15,994 --> 00:39:18,796 馬車で 品川へ着いたら 大坂までの船便がある。 424 00:39:18,796 --> 00:39:20,732 はい。 425 00:39:20,732 --> 00:39:25,670 大坂の藩邸で こっちの書状を見せたら➡ 426 00:39:25,670 --> 00:39:30,341 洲本まで 船を仕立ててもらえるはずや。 427 00:39:30,341 --> 00:39:33,678 分かりました。 428 00:39:33,678 --> 00:39:35,613 頼みますぞ。 429 00:39:35,613 --> 00:40:19,057 ♬~ 430 00:40:19,057 --> 00:40:26,230 <徳島藩の存亡も 稲田家の運命も お登勢の頭にはあらへん。➡ 431 00:40:26,230 --> 00:40:33,871 ただ 恋しい津田様を死なせてはならん。 何としてでも助けないかん。➡ 432 00:40:33,871 --> 00:40:38,671 それだけが お登勢の全てやった> 433 00:40:45,416 --> 00:40:51,589 <一方 8名の脱走を知った 徳島藩江戸藩邸は 真っ青になり➡ 434 00:40:51,589 --> 00:40:55,760 残った者たちを藩邸内に幽閉した。➡ 435 00:40:55,760 --> 00:41:00,431 太政官命令に背いて 国元で 騒ぎでも起こそうもんなら➡ 436 00:41:00,431 --> 00:41:03,131 どえらいことになる> 437 00:41:09,240 --> 00:41:15,847 <先発の藩士団に 丸1日遅れて お登勢が洲本に たどりついたんは➡ 438 00:41:15,847 --> 00:41:20,047 5月12日の夕方やった> 439 00:41:45,743 --> 00:41:47,678 (弥一郎)前川! (前川)はっ! 440 00:41:47,678 --> 00:41:50,081 (弥一郎)早船を仕立てて徳島表まで行け! (前川)はっ! 441 00:41:50,081 --> 00:41:53,951 (弥一郎)この書状を このまま 藩庁の重役に届けるのじゃ。 442 00:41:53,951 --> 00:41:55,951 (前川)はっ! 443 00:42:00,424 --> 00:42:02,894 いかがした? 登勢? 444 00:42:02,894 --> 00:42:06,764 (いびき) 445 00:42:06,764 --> 00:42:09,367 大手柄じゃ。 446 00:42:09,367 --> 00:42:18,667 (いびき) 447 00:42:22,914 --> 00:42:25,817 や~っ! やめんか! 448 00:42:25,817 --> 00:42:28,052 (銃声) あっ…。 449 00:42:28,052 --> 00:42:29,987 恥を知れ! 450 00:42:29,987 --> 00:42:31,923 (銃声) ああっ! 451 00:42:31,923 --> 00:42:36,727 <なんということじゃ! お登勢の必死の祈りにもかかわらず➡ 452 00:42:36,727 --> 00:42:39,397 藩士たちは 決起してしもた。➡ 453 00:42:39,397 --> 00:42:44,735 津田様を追っ手から逃すため お登勢は お屋敷へと走ったんじゃが…> 454 00:42:44,735 --> 00:42:47,071 裏切り者! 455 00:42:47,071 --> 00:42:49,407 切腹…!? お主のせいじゃ! 456 00:42:49,407 --> 00:42:51,342 死んではならんぞ…。 457 00:42:51,342 --> 00:42:54,278 せめて お前だけは 死んではならん! 458 00:42:54,278 --> 00:42:57,578 <お登勢 死ぬなよ!>