1 00:00:02,135 --> 00:02:40,827 ♬~ 2 00:03:00,180 --> 00:03:04,051 (中国語) 3 00:03:04,051 --> 00:03:12,192 (中国語で) 4 00:03:12,192 --> 00:03:14,194 (美緒)シェシェ。 5 00:03:16,063 --> 00:03:18,065 いらっしゃい。 6 00:03:24,204 --> 00:03:26,139 キャピタン! 7 00:03:26,139 --> 00:03:31,545 (才蔵)おお 美緒様。 もう 決心はつきましたかな? 8 00:03:31,545 --> 00:03:34,881 何のお話です? おお これは…。 9 00:03:34,881 --> 00:03:40,554 船出の前に この才蔵と琉球へ逃げようと 密談をいたしたではありませぬか。 10 00:03:40,554 --> 00:03:44,424 とりあえず 琉球に 屋敷だけは建てておきましたぞ。 11 00:03:44,424 --> 00:03:47,227 美緒様とわしの2人きりの屋敷を。 12 00:03:47,227 --> 00:03:50,897 ハハハハ! 美緒様 いかがでござります? 13 00:03:50,897 --> 00:03:54,234 そんなお話は いつか2人きりの時に してくださいませ。 ハハハハッ! 14 00:03:54,234 --> 00:03:59,573 そんなことより 今日は この者をお引き合わせに参りました。 15 00:03:59,573 --> 00:04:05,846 本日付けをもって この琉球丸の水夫に 勤め替えになりました者です。 16 00:04:05,846 --> 00:04:08,515 さあ 船長に ご挨拶を。 17 00:04:08,515 --> 00:04:10,851 (助左)助左と申します。 年は…。 18 00:04:10,851 --> 00:04:14,187 ああ~ 聞かずとも分かっておる。 19 00:04:14,187 --> 00:04:17,524 甚九郎のせがれじゃと? はい。 20 00:04:17,524 --> 00:04:21,194 ああ よう似ておる。 21 00:04:21,194 --> 00:04:28,068 ぬしの親父とわしとは 若い時分には 天川 高砂と渡り歩いた仲でな。 22 00:04:28,068 --> 00:04:31,204 美緒様 面白いことに➡ 23 00:04:31,204 --> 00:04:36,076 甚九郎のかかと わしのかかが 同じ年に 身重になりましてな➡ 24 00:04:36,076 --> 00:04:39,880 同じ日に ややこを産み落としましたのじゃ。 25 00:04:39,880 --> 00:04:42,783 まあ 同じ日に ややこを。 26 00:04:42,783 --> 00:04:46,553 だから ぬしと わしのせがれの大助とは 同じ年。 27 00:04:46,553 --> 00:04:50,423 そうじゃなあ 大助の方が もう一回り大きいかな。 28 00:04:50,423 --> 00:04:52,425 頭! 荷揚げが終わりました。 29 00:04:52,425 --> 00:04:54,895 よし すぐ行く! へい。 30 00:04:54,895 --> 00:04:56,830 助左。 へい。 31 00:04:56,830 --> 00:05:01,501 今日からお前の宿は あの船倉だ。 それから もう一つ。 32 00:05:01,501 --> 00:05:06,373 向こう半年間 この船から陸へ上がることは 一切ならん。 33 00:05:06,373 --> 00:05:09,176 い… いつから!? たった今からじゃ。 34 00:05:09,176 --> 00:05:11,845 へい。 35 00:05:11,845 --> 00:05:18,185 美緒様 今度の船出までには 心を決めておいてくだされよ。 36 00:05:18,185 --> 00:05:20,887 フハハハハハッ! 37 00:05:22,522 --> 00:05:27,861 半年 会えませんね。 やっていけますか? 38 00:05:27,861 --> 00:05:30,764 はい! 39 00:05:30,764 --> 00:05:35,735 男に生まれていたら 私も船に乗っていた…。 40 00:05:35,735 --> 00:05:40,440 大助って 船長のせがれさんも この船に乗っているんで? 41 00:05:40,440 --> 00:05:44,411 いいえ。 じゃあ 別の船に? 42 00:05:44,411 --> 00:05:49,883 もう死んでるの 船長のせがれさんは。 えっ…。 43 00:05:49,883 --> 00:05:53,186 去年 土佐沖で。 44 00:05:56,556 --> 00:06:00,827 <永禄11年10月26日。➡ 45 00:06:00,827 --> 00:06:04,497 織田信長は 突如として 京より軍をまとめると➡ 46 00:06:04,497 --> 00:06:07,834 新公方 足利義昭を本圀寺に残し➡ 47 00:06:07,834 --> 00:06:10,170 岐阜へ引き揚げた。➡ 48 00:06:10,170 --> 00:06:17,510 義昭を奉じて 堂々の上洛を果たしてから 僅か ひとつき後のことである。➡ 49 00:06:17,510 --> 00:06:23,817 信長の急の帰国に 近畿の諸将は にわかに ざわめきを見せた> 50 00:06:26,186 --> 00:06:28,855 (宗久)信長公の腹が読めん。 51 00:06:28,855 --> 00:06:31,524 (宗易)岐阜へ引き揚げてしまったことか。 52 00:06:31,524 --> 00:06:35,395 (宗久)新公方は 本圀寺に置き去りの格好。➡ 53 00:06:35,395 --> 00:06:39,866 寺の警固の兵は 僅か2,000しかいないという。➡ 54 00:06:39,866 --> 00:06:41,801 阿波へ追い落とされた三好勢が➡ 55 00:06:41,801 --> 00:06:46,539 もし この機に 軍勢を調え直して 京へ攻め上れば➡ 56 00:06:46,539 --> 00:06:50,410 本圀寺の警固の軍なぞは ひとたまりもあるまい。➡ 57 00:06:50,410 --> 00:06:55,548 信長公にとっては 新公方は 天下布武の旗印だ。 58 00:06:55,548 --> 00:06:59,886 今 三好に討たせるわけにはいくまいて。 59 00:06:59,886 --> 00:07:06,159 (宗易)京の隆佐殿より 面白い手紙が届いた。 60 00:07:06,159 --> 00:07:12,832 新公方 義昭様が かの信長公に 鼓を打てと ご所望になったそうだ。 61 00:07:12,832 --> 00:07:17,170 22日の本圀寺での祝宴の席で。 62 00:07:17,170 --> 00:07:19,506 で 信長公は 鼓を打ったか? 63 00:07:19,506 --> 00:07:24,177 いや。 公方様の重なるご所望にも 固く辞退したそうだ。 64 00:07:24,177 --> 00:07:28,048 ハハハハ。 それは 所望する方が頓狂だ。 65 00:07:28,048 --> 00:07:32,852 信長公が辞退したものが まだある。 66 00:07:32,852 --> 00:07:36,189 管領 斯波氏の家督。 67 00:07:36,189 --> 00:07:40,860 すなわち 副将軍の位だ。 68 00:07:40,860 --> 00:07:43,763 管領職も辞退したか…。 69 00:07:43,763 --> 00:07:45,765 うん。 70 00:07:47,534 --> 00:07:52,405 そのかわりにと称して 近江の大津と草津➡ 71 00:07:52,405 --> 00:07:56,209 それに この泉州 堺の3つの地に➡ 72 00:07:56,209 --> 00:08:01,481 代官を置かせてほしいと 願い出られたそうだ。代官を? 73 00:08:01,481 --> 00:08:05,819 大津と草津と この堺にか。 74 00:08:05,819 --> 00:08:11,157 この申し出 お許は どう見る。 75 00:08:11,157 --> 00:08:14,828 草津は これは分かる。➡ 76 00:08:14,828 --> 00:08:19,165 草津は 東西の街道を分ける交通の要衝。➡ 77 00:08:19,165 --> 00:08:23,837 軍事上からも かの地に 代官所を構えることは 当然の処置。 78 00:08:23,837 --> 00:08:29,175 まだある。 大津近くの國友村は➡ 79 00:08:29,175 --> 00:08:34,047 種子島銃 渡来以来の鉄砲の産地だ。➡ 80 00:08:34,047 --> 00:08:40,186 國友村でつくられた鉄砲は 全て この堺に流れ込んできて➡ 81 00:08:40,186 --> 00:08:44,524 諸国の大名に売りさばかれている。 82 00:08:44,524 --> 00:08:52,532 國友村と堺を手中に収めれば 日本中の鉄砲は ほとんど独り占めだ。 83 00:08:54,200 --> 00:09:01,808 領土も官位も望まず 鉄砲と黄金を求めてくるとは…。 84 00:09:01,808 --> 00:09:03,743 いや なんと 我らが前にも➡ 85 00:09:03,743 --> 00:09:08,681 銭勘定のできる武将が 現れてきたということか。 86 00:09:08,681 --> 00:09:11,684 なんと 厄介な武将だ。 87 00:09:14,821 --> 00:09:20,493 信長公は まだ この堺を諦めておらぬと見えるな。 88 00:09:20,493 --> 00:09:26,166 機を見て 堺に代官を差し向ける意向であろう。 89 00:09:26,166 --> 00:09:32,505 いや 機を見てというが 堺が局外中立を守っているかぎりは➡ 90 00:09:32,505 --> 00:09:35,842 信長公も うかつに手を出せぬはずだが。 91 00:09:35,842 --> 00:09:41,714 三好勢が このまま 阿波国で おとなしくしていてくれればよいが➡ 92 00:09:41,714 --> 00:09:45,852 再び軍を調えて 海を渡ってこようものなら➡ 93 00:09:45,852 --> 00:09:50,190 その時に 堺は 三好の船を追い返せるか? 94 00:09:50,190 --> 00:09:57,864 信長公の矢銭2万貫の求めを 突き返した時と同様にな。 95 00:09:57,864 --> 00:10:02,535 いや 追い返さなければ 堺の中立は保てぬ。 96 00:10:02,535 --> 00:10:05,438 追い返しはできまい。 97 00:10:05,438 --> 00:10:13,546 会合衆36人中 34人が 港に出迎えることになる。 98 00:10:13,546 --> 00:10:15,882 罠だ。 99 00:10:15,882 --> 00:10:19,552 それは 罠だ。 100 00:10:19,552 --> 00:10:22,889 信長公は 罠を仕掛けたんだ。 101 00:10:22,889 --> 00:10:24,824 (天王寺屋)罠?➡ 102 00:10:24,824 --> 00:10:27,560 本圀寺に公方様を置き去りにし➡ 103 00:10:27,560 --> 00:10:30,230 軍をまとめて 岐阜へ引き揚げていったのは➡ 104 00:10:30,230 --> 00:10:33,566 これ全て 三好勢を阿波より誘い出すための➡ 105 00:10:33,566 --> 00:10:37,237 信長の策略だったと仰せなのですか? 106 00:10:37,237 --> 00:10:41,107 それも 真の目的は 三好を討つことではなくて➡ 107 00:10:41,107 --> 00:10:44,110 この堺を手中に収めることです。➡ 108 00:10:44,110 --> 00:10:50,783 堺を三好勢に加担させ 局外中立という堺の根本を覆し➡ 109 00:10:50,783 --> 00:10:54,587 それを口実に 堺に代官所を設置せんとすることが➡ 110 00:10:54,587 --> 00:10:56,523 信長公のねらいであります。 111 00:10:56,523 --> 00:11:02,862 それが まことのねらいだとすれば 信長は 聞きしに勝る うつけ者だ。 112 00:11:02,862 --> 00:11:06,733 (能登屋)今井さん 三好方は攻め上ってくるよ。 113 00:11:06,733 --> 00:11:12,205 そして 間違いなく 義昭将軍を本圀寺に攻め➡ 114 00:11:12,205 --> 00:11:14,874 弑し奉るでしょう。 115 00:11:14,874 --> 00:11:19,746 その時 堺は 三好方の後ろ盾となる。 116 00:11:19,746 --> 00:11:23,216 (宗久)それこそ信長の思うつぼです。➡ 117 00:11:23,216 --> 00:11:26,119 堺が生き抜く道は 中道しかありません。 118 00:11:26,119 --> 00:11:35,228 いや。 今は いかなる手段を講じても 信長をひねり潰しておくことが先決です。 119 00:11:35,228 --> 00:11:40,567 本圀寺の公方様が 三好勢へ誘い出しの おとりなら おとりで結構。 120 00:11:40,567 --> 00:11:44,904 堂々と誘い出しに応じ 見事 義昭将軍を亡き者とすればよい。 121 00:11:44,904 --> 00:11:47,240 本圀寺の守りは 僅か2,000。 122 00:11:47,240 --> 00:11:49,576 三好勢は 少なく見込んでも1万はくだらぬ。 123 00:11:49,576 --> 00:11:51,511 討ち漏らすはずがない。 124 00:11:51,511 --> 00:11:57,250 ひとまずは 信長から 上洛の大義を取り上げるだけでよい。 125 00:11:57,250 --> 00:12:00,553 あとは 放っておいても 信長は滅びる。 126 00:12:02,088 --> 00:12:04,857 滅ぼさいでか。 127 00:12:04,857 --> 00:12:13,199 ♬~ 128 00:12:13,199 --> 00:12:19,539 <今井宗久の危惧は 早くも その年の冬 現実のものとなる。➡ 129 00:12:19,539 --> 00:12:24,877 それまで 京都回復の機を 虎視眈々とうかがっていた三好3人衆が➡ 130 00:12:24,877 --> 00:12:28,748 阿波国より 海を越えて戻ってきた。➡ 131 00:12:28,748 --> 00:12:34,053 堺の局外中立路線は この朝に崩れた> 132 00:12:36,222 --> 00:12:41,227 ⚟(足音) 133 00:12:45,231 --> 00:12:48,134 何事だ そのいでたちは。 134 00:12:48,134 --> 00:12:51,571 (兼久)今日かぎりで おいとまを頂きます。 135 00:12:51,571 --> 00:12:53,506 堺を出ていくというのか。 136 00:12:53,506 --> 00:12:55,908 はい。 (宗久)どこへ行く。 137 00:12:55,908 --> 00:12:58,811 三好政康様の家臣に 加えていただきました。 138 00:12:58,811 --> 00:13:01,180 何だと!? 139 00:13:01,180 --> 00:13:04,851 三好方では 客将として遇してくださるそうです。 140 00:13:04,851 --> 00:13:08,187 名前も 帯刀左衛門と改め 明朝 出陣いたします。➡ 141 00:13:08,187 --> 00:13:13,860 つきましては 当家の傭兵を若干名と 軍資金を少々拝借していきます。 142 00:13:13,860 --> 00:13:18,197 ならぬ! 父上…。 143 00:13:18,197 --> 00:13:25,538 この秋 信長が堺の町を包囲し 矢銭2万貫を課してきた時➡ 144 00:13:25,538 --> 00:13:29,409 父上お一人が堀を渡り 敵陣に赴き➡ 145 00:13:29,409 --> 00:13:33,880 名物 紹鴎茄子を献上なされて 信長とよしみを結ばれた。 146 00:13:33,880 --> 00:13:38,551 このことは 会合衆なら 誰でも知っていますよ。 147 00:13:38,551 --> 00:13:45,224 堺の中では 父上を信用する者は もはや 誰一人としていない。 148 00:13:45,224 --> 00:13:52,565 今井宗久は 信長の間者 堺の裏切り者だ。 149 00:13:52,565 --> 00:13:58,905 そうか。 お前も 父をそう思うか。 150 00:13:58,905 --> 00:14:02,775 信長の間者 裏切り者だと。 151 00:14:02,775 --> 00:14:07,513 いやいやいや。 俺は 喜んでいますよ。 152 00:14:07,513 --> 00:14:11,317 今まで 何一つとして間違いのなかった父上が➡ 153 00:14:11,317 --> 00:14:13,853 初めて つまずいた。 154 00:14:13,853 --> 00:14:17,724 ようやく この俺にも 番が回ってきたということなのでしょう。 155 00:14:17,724 --> 00:14:23,730 まあ 父上の汚名は この俺が 必ず晴らしてきてさしあげます。 156 00:14:27,200 --> 00:14:29,535 兼久! 157 00:14:29,535 --> 00:14:32,872 行ってはならぬぞ! 158 00:14:32,872 --> 00:14:37,877 フフフフ… ハハハハハハッ! 159 00:14:39,545 --> 00:14:42,248 そこだ。 そこだ。 160 00:14:45,218 --> 00:14:48,121 大事に扱えよ。 161 00:14:48,121 --> 00:14:51,090 兄様…。 おお お前か。 162 00:14:51,090 --> 00:14:53,559 どうだ お前も 都についてこぬか。 163 00:14:53,559 --> 00:14:56,896 兄様 思い直してください。 ふん。 164 00:14:56,896 --> 00:14:59,565 親父殿への義理立ては無用だぞ。 165 00:14:59,565 --> 00:15:01,834 紹鴎茄子のあとは お前だ。➡ 166 00:15:01,834 --> 00:15:05,505 ここにいても 献上品にされるのが落ちだぞ。 167 00:15:05,505 --> 00:15:09,175 父上は そんな非道の方ではありません。 168 00:15:09,175 --> 00:15:13,045 まあ よかろう。 今井も 先が見えてきた。 169 00:15:13,045 --> 00:15:16,048 ハハッ 互い 好きに生きるさ。 170 00:15:16,048 --> 00:15:20,186 お前にも いずれ 父上の正体の分かる時が来るだろう。 171 00:15:20,186 --> 00:15:24,190 兄様! もういい! 邪魔立てするな! 172 00:15:25,858 --> 00:15:29,729 (善住坊)フフフ ククク… おぬしも あほうじゃのう。 173 00:15:29,729 --> 00:15:31,731 あほうとは何だ あほうとは。 174 00:15:31,731 --> 00:15:36,869 命懸けの働きをして その報いが 芋洗いと船掃除とはのう。 175 00:15:36,869 --> 00:15:39,539 こんなつもりではなかっただろう? 176 00:15:39,539 --> 00:15:42,208 そりゃあ 俺だって…。 うん? 177 00:15:42,208 --> 00:15:46,546 すぐに 海へ出られると… 思っていたけど…。 178 00:15:46,546 --> 00:15:50,883 ハハハ… 俺や五右衛門のように 銭をもうろときゃ よかったんじゃ。 179 00:15:50,883 --> 00:15:56,556 ああ 銭5貫といえば 大金だぞ。 しっかり蓄えておくんだ。 180 00:15:56,556 --> 00:15:58,891 銭は 使い果たした。 181 00:15:58,891 --> 00:16:02,161 ええ もう!? な… 何に? 182 00:16:02,161 --> 00:16:05,064 それが 自分でも よう分からんのじゃ。 183 00:16:05,064 --> 00:16:08,835 湯屋町で 何気なく 毎晩 ぶらぶらしてるうちに➡ 184 00:16:08,835 --> 00:16:11,737 のうなってしもた。 あきれたやつだ。 185 00:16:11,737 --> 00:16:17,176 のう 兼久様のお誘いじゃが どうお断りしたら よいものかな。 186 00:16:17,176 --> 00:16:21,047 はっきりと言えばよい。 「自分は 侍になるつもりはない。➡ 187 00:16:21,047 --> 00:16:24,517 今の鉄砲鍛冶の仕事を続けたい」と。 188 00:16:24,517 --> 00:16:29,188 鍛冶師もな ずっとやり通したいと 思ったことはないんじゃ。 189 00:16:29,188 --> 00:16:32,091 あれも 今井に雇われて➡ 190 00:16:32,091 --> 00:16:36,062 人手がないから手伝えと言われて 何となく…。 191 00:16:36,062 --> 00:16:39,532 ああ それじゃ 兼久様と共に行け。 なっ。 192 00:16:39,532 --> 00:16:44,203 ぬしの鉄砲の腕前は 天下一じゃ。 鉄砲で名を上げたらよい。 193 00:16:44,203 --> 00:16:48,541 けど 戦には行きとうないし…。 あ そうか。 194 00:16:48,541 --> 00:16:50,877 あ じゃあ この船で 一緒に 海渡るか。 195 00:16:50,877 --> 00:16:53,880 海も怖いからのう…。 勝手にしろよ。 196 00:16:55,548 --> 00:16:58,451 善住坊! あっ 兼久様…! 197 00:16:58,451 --> 00:17:01,354 行くぞ。 あの~ どこへ? 198 00:17:01,354 --> 00:17:04,824 ぬしは 俺に従ってくればよい。 199 00:17:04,824 --> 00:17:10,496 才蔵はおるか? 船長は 浜役所の方へ。 200 00:17:10,496 --> 00:17:14,800 信長の前で相撲を取ったというのは この男か。へい。 201 00:17:16,369 --> 00:17:20,172 俺を知ってるか? はい。 202 00:17:20,172 --> 00:17:24,510 うん 信長への仕官は 断ってよかったぞ。 203 00:17:24,510 --> 00:17:30,383 あれは 成り上がり者だ。 長くは もたん。 204 00:17:30,383 --> 00:17:35,521 侍になる気はないのか。 ございません。 205 00:17:35,521 --> 00:17:40,860 まあ 汝らには分からんだろうがな➡ 206 00:17:40,860 --> 00:17:45,197 これからは 侍になるのが 一番得だぞ。 207 00:17:45,197 --> 00:17:47,867 それも なるなら今のうちだ。 208 00:17:47,867 --> 00:17:50,770 俺についてこないか。 悪いようにはしない。 209 00:17:50,770 --> 00:17:52,772 いえ。 210 00:17:57,877 --> 00:18:01,147 一生 芋の皮むきで満足か? 211 00:18:01,147 --> 00:18:06,018 戦場で 首を拾うて歩くよりは。 212 00:18:06,018 --> 00:18:09,488 残念じゃのう。 213 00:18:09,488 --> 00:18:11,824 善住坊 行くぞ! 214 00:18:11,824 --> 00:18:14,493 あ 善住坊 善住坊。 215 00:18:14,493 --> 00:18:21,200 誰の命でもない。 己の命だぞ。 惜しめよ。 216 00:18:27,506 --> 00:18:33,179 ♬~ 217 00:18:33,179 --> 00:18:37,516 <永禄11年12月24日。➡ 218 00:18:37,516 --> 00:18:41,854 堺で軍備を調えた 三好政康ら3人衆は➡ 219 00:18:41,854 --> 00:18:44,757 1万の軍を率いて出陣。➡ 220 00:18:44,757 --> 00:18:48,728 堺より50町ばかりの 和泉 家原城を攻めて➡ 221 00:18:48,728 --> 00:18:52,031 三好義継を追い落とした> 222 00:19:12,151 --> 00:19:15,821 <明けて 永禄12年正月4日。➡ 223 00:19:15,821 --> 00:19:19,158 三好の大軍は 進んで京を襲い➡ 224 00:19:19,158 --> 00:19:22,862 将軍 義昭を 本圀寺に包囲した> 225 00:19:34,507 --> 00:19:38,177 織田弾正… わしを見捨てたのだ! 226 00:19:38,177 --> 00:19:41,514 わしは 弾正に見捨てられた。 227 00:19:41,514 --> 00:19:45,184 光秀! わしは どうなる!? 228 00:19:45,184 --> 00:19:48,087 ご安心ありますように。 229 00:19:48,087 --> 00:19:50,056 これらのことは とうに予測し➡ 230 00:19:50,056 --> 00:19:53,059 既に 密使も 四方に走らせてございます。 231 00:19:53,059 --> 00:19:57,196 明け方までには お味方が 各地から はせ参じましょう。 232 00:19:57,196 --> 00:20:00,533 我らは それまでに ただ 防ぎに防ぎます。 233 00:20:00,533 --> 00:20:04,870 これも全て 信長公の策のうちにござりますれば➡ 234 00:20:04,870 --> 00:20:08,874 何とぞ お心 安んじられまするよう。 235 00:20:10,543 --> 00:20:16,248 (銃声) 236 00:20:22,154 --> 00:20:25,891 (宗久) 三好方は 六条を落とせなんだか。 237 00:20:25,891 --> 00:20:29,562 (五右衛門)明け方には 芥川城より 和田惟政様が➡ 238 00:20:29,562 --> 00:20:35,234 大津方面より 丹羽長秀様ら 公方様のお味方が 次々に参集。 239 00:20:35,234 --> 00:20:41,107 三好勢は 一挙に 桂川まで追い落とされ 四散し果てました。 240 00:20:41,107 --> 00:20:46,112 兼久様の行方は 今は知れません。 241 00:20:47,813 --> 00:20:54,253 そうか 公方様を討ち漏らしたか。 242 00:20:54,253 --> 00:20:58,591 全ては 信長公の思惑どおりだ。➡ 243 00:20:58,591 --> 00:21:04,196 勝負はついた。 堺は負けた。 244 00:21:04,196 --> 00:21:09,068 兼久様の行方 至急にお捜しします。 245 00:21:09,068 --> 00:21:11,871 あれのことはいい。 246 00:21:11,871 --> 00:21:17,209 今 知らなければならぬことは 信長公再上洛の日取りだ。 247 00:21:17,209 --> 00:21:23,082 六条合戦の報は 明日中にも 清洲へ届くだろう。 248 00:21:23,082 --> 00:21:29,789 軍備に2日 岐阜より都までの行程を3日として➡ 249 00:21:29,789 --> 00:21:32,792 13日には来着か。 250 00:21:34,560 --> 00:21:36,562 雪が降っております。 251 00:21:39,899 --> 00:21:44,570 <信長は 宗久の予想よりも はるかに早く 京へ入る。➡ 252 00:21:44,570 --> 00:21:48,240 一旗駆けに 大雪の中をしのぎうちたち➡ 253 00:21:48,240 --> 00:21:50,910 3日路のところを 2日で駆け抜き➡ 254 00:21:50,910 --> 00:21:56,582 六条へ駆け込んだ時には 僅か10旗の供しか従っていなかったと➡ 255 00:21:56,582 --> 00:21:59,485 「信長公記」は記している。➡ 256 00:21:59,485 --> 00:22:04,390 正月10日 信長は 振り絞った矢を放つがごとき威勢で➡ 257 00:22:04,390 --> 00:22:06,692 堺に 使者を送る> 258 00:22:08,527 --> 00:22:13,866 (信長)堺衆が三好方へ加担したることは まことに許し難い。 259 00:22:13,866 --> 00:22:17,736 堺は 三好同罪の逆徒である。 260 00:22:17,736 --> 00:22:21,540 よって 近日 速やかに 軍を差し遣わし➡ 261 00:22:21,540 --> 00:22:27,213 堺の南北一宇も残さず 焼き払って ただ一帯の赤土となし➡ 262 00:22:27,213 --> 00:22:30,883 男女老若一人残らず なで切りに首をはねて➡ 263 00:22:30,883 --> 00:22:36,222 後世の見せしめにすると そう申し渡せ。 264 00:22:36,222 --> 00:22:38,524 (友閑)かしこまりました。 265 00:22:43,562 --> 00:22:49,435 <町の焼却 住民の全員虐殺という 前代未聞の信長の威嚇の前に➡ 266 00:22:49,435 --> 00:22:51,904 堺は動転した。➡ 267 00:22:51,904 --> 00:22:57,243 ポルトガル宣教師 ルイス・フロイスは この時のありさまを こう伝えている。➡ 268 00:22:57,243 --> 00:23:01,847 「堺の市民は 信長が令を下して 市民を襲い➡ 269 00:23:01,847 --> 00:23:05,517 町を掃討するやもしれずと 恐れおののいた。➡ 270 00:23:05,517 --> 00:23:09,388 堺市は 日本における最も優秀な都市の一つで➡ 271 00:23:09,388 --> 00:23:13,392 町は富み 交易の盛んなる所であったから➡ 272 00:23:13,392 --> 00:23:16,161 その恐怖も また 甚だ大きく➡ 273 00:23:16,161 --> 00:23:20,866 市民は いずれも 一身と財産との安全を求めて➡ 274 00:23:20,866 --> 00:23:24,870 ここにかしこにと 町を逃れていった」> 275 00:23:30,209 --> 00:23:39,218 能登屋 べに屋のご老人らは 今なお 堀に 櫓を築けと叫んでいるが➡ 276 00:23:39,218 --> 00:23:42,921 もはや 誰もついていく者はいない。 277 00:23:45,891 --> 00:23:49,561 堺を助けてもらいたい。 278 00:23:49,561 --> 00:23:53,432 それができるのは こなた一人だけだ。 279 00:23:53,432 --> 00:23:59,238 信長公の本意は 先刻ご承知のはず。 280 00:23:59,238 --> 00:24:05,945 条件を打診し 全てを 受け入れるよりほかにはございますまい。 281 00:24:07,513 --> 00:24:12,384 よろしく お計らいくだされ。 282 00:24:12,384 --> 00:24:14,386 お任せ申す。 283 00:24:14,386 --> 00:24:17,389 承知いたしました。 284 00:24:21,060 --> 00:24:28,534 <信長の侵出は 堺の新旧勢力を 一瞬にして交代させた。➡ 285 00:24:28,534 --> 00:24:33,405 全ての情勢が 急速な勢いで転換してゆく。➡ 286 00:24:33,405 --> 00:24:37,209 信長は 松井友閑を代官として差し向け➡ 287 00:24:37,209 --> 00:24:40,546 堺に対して 3つの条件を出した。➡ 288 00:24:40,546 --> 00:24:44,416 一つは 今後 三好方へは一味しないこと。➡ 289 00:24:44,416 --> 00:24:48,887 二つ 町の武装を解除し 浪人を抱えぬこと。➡ 290 00:24:48,887 --> 00:24:54,226 三つ 矢銭2万貫を献納すること。➡ 291 00:24:54,226 --> 00:25:00,032 これに対し 堺は 会合衆36人の連判で恭順を誓い➡ 292 00:25:00,032 --> 00:25:04,737 かくして 堺は 破壊を免れた> 293 00:25:09,508 --> 00:25:15,180 (鼻歌) 294 00:25:15,180 --> 00:25:17,483 (猫の鳴き声) 295 00:25:21,053 --> 00:25:23,355 チッ チッ。 296 00:25:59,758 --> 00:26:05,063 (宗久)お許 公方様に お仕えしてみる気はないか。 297 00:26:06,832 --> 00:26:09,735 わしが見るところ あの坊主上がりの将軍様は➡ 298 00:26:09,735 --> 00:26:13,705 なかなか策略好きであらせられるようだ。 299 00:26:13,705 --> 00:26:18,710 おそばに仕えて 時々の情勢を送ってほしい。 300 00:26:20,379 --> 00:26:25,184 (宗久)お許は もともと公家の娘だ。 301 00:26:25,184 --> 00:26:28,086 都の水も合っている。 302 00:26:28,086 --> 00:26:30,522 行ってくれるな? 303 00:26:30,522 --> 00:26:48,207 ♬~ 304 00:27:02,154 --> 00:27:05,824 お仙ちゃん。 305 00:27:05,824 --> 00:27:10,496 寒くなりましたね。 306 00:27:10,496 --> 00:27:15,167 風が寒いと 灯明台の明かりが きれいに見える。 307 00:27:15,167 --> 00:27:21,473 (お仙)珍しいこともあるもんだ。 あんたの方から声をかけてくれるなんて。 308 00:27:23,041 --> 00:27:26,178 あなたと私をつないだ荒縄は➡ 309 00:27:26,178 --> 00:27:32,851 きっと 死ぬまで切れはしないわ。 310 00:27:32,851 --> 00:27:36,722 こうして ここにたたずむと➡ 311 00:27:36,722 --> 00:27:44,196 また あの時の 人買い船が 闇の底から私を連れに戻ってくるようで。 312 00:27:44,196 --> 00:27:47,099 涙が出るほど怖くなる。 313 00:27:47,099 --> 00:27:55,807 フフ… 7つの時の思い出を まだ忘れ切れないでいるとは お気の毒。 314 00:27:55,807 --> 00:28:00,679 いっそ あの時 あんたも 私と一緒に 安南まで売られていけばよかったのに。 315 00:28:00,679 --> 00:28:07,819 安南からシャム シャムから高砂 高砂から琉球へ。 316 00:28:07,819 --> 00:28:13,492 船底いっぱいに詰め込まれた 童の顔や泣き声 覚えているだろ。 317 00:28:13,492 --> 00:28:17,162 戻ってきたのは 私が一人さ。 318 00:28:17,162 --> 00:28:20,499 その私より あんた もっと運がよかった。 319 00:28:20,499 --> 00:28:26,805 だって 船出の前に 宗久様のような お大尽に買われていったのだもの。 320 00:28:28,840 --> 00:28:31,176 買われた…。 321 00:28:31,176 --> 00:28:33,512 いくらで買われたんだろう? 322 00:28:33,512 --> 00:28:35,847 思い出すのは およし。 人買い船のことは。 323 00:28:35,847 --> 00:28:38,183 いくらで売られて いくらで買われたんだろう。 324 00:28:38,183 --> 00:28:40,519 やっと 地獄から はい出してきたんじゃないか。 325 00:28:40,519 --> 00:28:46,858 いいえ。 私の身は まだ 人買い船の中にいる。 326 00:28:46,858 --> 00:28:50,862 また振り出しに戻る気かい この人。 327 00:28:53,732 --> 00:28:58,203 船を降りなければ…。 328 00:28:58,203 --> 00:29:01,807 もう売られてなるものか! 329 00:29:01,807 --> 00:29:03,809 売られはせぬ! 330 00:29:28,033 --> 00:29:40,512 (鐘の音) 331 00:29:40,512 --> 00:29:43,215 美緒様だ やっぱり。 332 00:29:46,852 --> 00:29:50,188 やめな。 五右衛門。 333 00:29:50,188 --> 00:29:53,091 あの女には寄りつかん方が 身のためだ。 334 00:29:53,091 --> 00:29:56,862 こんなとこで 何をしてるんだ。 335 00:29:56,862 --> 00:29:59,197 美緒様を守ってるのさ。 336 00:29:59,197 --> 00:30:01,867 大元様のお言いつけだ。 337 00:30:01,867 --> 00:30:03,802 守るとは? 338 00:30:03,802 --> 00:30:09,741 美緒様は いずれ 公方様への献上品になるお方だからな。 339 00:30:09,741 --> 00:30:12,210 献上品? ばかをぬかせ。 340 00:30:12,210 --> 00:30:16,081 たとえ 養女にもせよ 大元様と美緒様は 親子だ。 341 00:30:16,081 --> 00:30:19,551 プッ! 親子だから どうしたっていうんだ。 342 00:30:19,551 --> 00:30:23,221 実の子でも見捨ててしまうお方だ。 343 00:30:23,221 --> 00:30:27,092 そうとも 兼久だって➡ 344 00:30:27,092 --> 00:30:30,562 ほっとけば 今夜のうちに死ぬかもしれない。 345 00:30:30,562 --> 00:30:33,231 兼久? 346 00:30:33,231 --> 00:30:36,134 ようやく 行方を突き止めてやったのに➡ 347 00:30:36,134 --> 00:30:38,904 助けに行くには及ばぬそうだ。 348 00:30:38,904 --> 00:30:41,807 兼久様は どこにいるんだ。 349 00:30:41,807 --> 00:30:44,242 ぬしが知って どうする。 350 00:30:44,242 --> 00:30:46,945 善住坊も一緒のはずだ。 351 00:30:50,115 --> 00:30:53,585 それじゃあ 善住坊も死ぬかもしれんな。何!? 352 00:30:53,585 --> 00:30:59,257 やつら 尼崎の浜で陣取ってる。尼崎!? 353 00:30:59,257 --> 00:31:04,863 尼崎の町は 今 信長3,000の軍に囲まれて➡ 354 00:31:04,863 --> 00:31:08,734 戦の最中だ。 355 00:31:08,734 --> 00:31:13,538 あの町も 信長に矢銭を課せられて それを突き返した。 356 00:31:13,538 --> 00:31:20,879 兼久も 三好の残党と尼崎に立てこもって かなわぬ戦をやってる。 357 00:31:20,879 --> 00:31:26,218 (銃声) 358 00:31:26,218 --> 00:31:28,220 うわっ! 359 00:31:29,888 --> 00:31:32,591 (銃声) 360 00:31:35,560 --> 00:31:39,431 放て! (銃声) 361 00:31:39,431 --> 00:31:43,235 (喚声) 362 00:31:43,235 --> 00:31:45,537 (銃声) 363 00:31:54,579 --> 00:31:59,284 ああっ! 若! 若! 364 00:32:04,856 --> 00:32:08,160 おお 酒を持ってきてやったぞ。 365 00:32:10,729 --> 00:32:13,865 ぬし 船を降りる気か? 366 00:32:13,865 --> 00:32:17,536 尼崎まで 朋輩を 連れ戻しに行ってまいります。 367 00:32:17,536 --> 00:32:19,871 尼崎だと? はい。 368 00:32:19,871 --> 00:32:24,543 わしは許した覚えはないぞ。 半年までは まだ ふたつきもあるではないか。 369 00:32:24,543 --> 00:32:27,546 行かせてください。 すぐ戻ってきますから。 370 00:32:29,414 --> 00:32:31,416 戻ることはない。 えっ? 371 00:32:31,416 --> 00:32:34,886 行くのは勝手だが。 372 00:32:34,886 --> 00:32:39,758 いいか 助左。 船は浜に着いていても➡ 373 00:32:39,758 --> 00:32:44,229 この半年の船の暮らしは お前にとっては 航海なんだ。 374 00:32:44,229 --> 00:32:48,567 僅か半年の船旅もできぬやつが➡ 375 00:32:48,567 --> 00:32:52,904 交易船の水夫が勤まると思うか! 376 00:32:52,904 --> 00:32:55,607 どこへでも好きな所へ行くがいい。 377 00:32:57,242 --> 00:33:00,946 ⚟どなたか おられるか。 378 00:33:08,186 --> 00:33:11,089 おお 宗易様では? 379 00:33:11,089 --> 00:33:15,861 おう 才蔵殿がおられたか。 これは好都合であった。 380 00:33:15,861 --> 00:33:20,198 (才蔵)ははっ。 この才蔵に 何用でござります。 381 00:33:20,198 --> 00:33:22,868 そちらへ 上がらせてもらえるかな? 382 00:33:22,868 --> 00:33:28,206 ああ どうぞ。 助左 雪で お足元が危ない。 手をお貸ししろ。 383 00:33:28,206 --> 00:33:32,544 あ… あの 船から降りても? あ? 384 00:33:32,544 --> 00:33:35,881 ばかもん! わしがよいと言うことは よいんだ! 385 00:33:35,881 --> 00:33:37,883 はい… はい。 386 00:33:43,755 --> 00:33:45,757 お手を。 387 00:33:48,226 --> 00:33:50,228 すまぬのう。 388 00:34:11,449 --> 00:34:14,386 中は むさくるしゅうございますゆえ まず これへ。 389 00:34:14,386 --> 00:34:17,389 助左 お傘を。 はい。 390 00:34:17,389 --> 00:34:22,093 この雪の夜に 宗易様じきじきのお出ましとは➡ 391 00:34:22,093 --> 00:34:24,062 何用でござりまするか。 392 00:34:24,062 --> 00:34:33,204 うん。 まあ これも 何気なくと言えば かえって ご不審を招くかもしれんが➡ 393 00:34:33,204 --> 00:34:39,878 実は 彦八郎… いや 宗久殿のせがれのことでな。 394 00:34:39,878 --> 00:34:42,547 兼久様に 何か? 395 00:34:42,547 --> 00:34:46,885 尼崎へ商いに出していた うちの手代どもが➡ 396 00:34:46,885 --> 00:34:52,223 当地で 宗久殿の息子を見たというんだ。 397 00:34:52,223 --> 00:35:00,498 ご承知のとおり 尼崎は 目下 信長公の軍と合戦をいたしておる。 398 00:35:00,498 --> 00:35:03,401 当地へ至る街道は 皆 封鎖されていて➡ 399 00:35:03,401 --> 00:35:06,171 入ることも出ることも かなわない。 400 00:35:06,171 --> 00:35:10,041 このままでは やがて町は火をかけられ➡ 401 00:35:10,041 --> 00:35:13,044 人々は 海に追われる。 402 00:35:13,044 --> 00:35:19,718 (才蔵)で この才蔵に どうせよと仰せられます。 403 00:35:19,718 --> 00:35:23,421 退路も 海に求めるしかない。 404 00:35:28,860 --> 00:35:31,863 尼崎に船を出せと? 405 00:35:33,732 --> 00:35:40,205 宗久殿とは わしもお許も 長いよしみだ。 406 00:35:40,205 --> 00:35:45,543 決して 己の息子のことで 頭を下げる男ではない。 407 00:35:45,543 --> 00:35:52,217 それが分かっているだけに かえって あの親子のことが 不憫に思えてきてね。 408 00:35:52,217 --> 00:35:58,890 宗易様 この才蔵は 一艘の船を守るために➡ 409 00:35:58,890 --> 00:36:05,163 たった一人の おのがせがれを 見殺しにしてきた男でござります。 410 00:36:05,163 --> 00:36:09,834 大元様も わしに よく似ておいでなさる。 411 00:36:09,834 --> 00:36:16,174 あのお方は おのがせがれなど 見殺しにできるお方でござります。➡ 412 00:36:16,174 --> 00:36:21,513 また そうでのうては 人も船も動かせるものではござりません。 413 00:36:21,513 --> 00:36:29,187 だからこそ 数ある今井船の中から この船を選んで 来たのだ。 414 00:36:29,187 --> 00:36:37,529 今の宗久殿の心中は お許が 一番よく分かってくれるはずと思ってね。 415 00:36:37,529 --> 00:36:41,399 フフ…。 助左。 はい。 416 00:36:41,399 --> 00:36:46,204 ぬしは 宗易様に お礼が言いたいのであろう。 417 00:36:46,204 --> 00:36:49,541 はい。 ありがとうございます。 418 00:36:49,541 --> 00:36:52,444 (才蔵)ハッハッハッハ! 419 00:36:52,444 --> 00:36:58,550 いや この水夫め たった今 尼崎へ出向こうとしていたところで。 420 00:36:58,550 --> 00:37:02,420 そうか。 421 00:37:02,420 --> 00:37:06,157 行ってくれるか。 はい。 422 00:37:06,157 --> 00:37:13,031 (才蔵)ああ… 夜の船出は御法度だが 致し方あるまい。 423 00:37:13,031 --> 00:37:18,670 集められるだけの水夫を かき集めて 帆を上げるか。はい。 424 00:37:18,670 --> 00:37:20,705 帆を上げろ~! 425 00:37:20,705 --> 00:37:37,055 ♬~ 426 00:37:37,055 --> 00:37:41,526 動いてる 尼崎を目指して。 427 00:37:41,526 --> 00:37:46,831 針も 船も 俺も。 428 00:37:51,536 --> 00:38:40,552 ♬~(ミサ曲) 429 00:38:44,189 --> 00:38:46,191 尼崎だ! 430 00:38:50,862 --> 00:38:55,200 一つ間違えば 堺も このとおりになっていたところだ。 431 00:38:55,200 --> 00:38:58,102 よ~し 船を浜へ着けろ! (一同)お~! 432 00:38:58,102 --> 00:39:02,006 いいか みんな! 海に動くものを見たら 片っ端から引き上げろ! 433 00:39:02,006 --> 00:39:04,008 (一同)お~! 434 00:39:06,811 --> 00:39:11,683 (宗久)琉球丸が消えうせた? 船長も 水夫もか? 435 00:39:11,683 --> 00:39:15,820 はい。 湾内のどこにも見当たりません。 436 00:39:15,820 --> 00:39:19,157 琉球丸の船長は 才蔵…。 437 00:39:19,157 --> 00:39:24,162 きやつめ どこへ消えうせたか。 438 00:39:30,768 --> 00:39:32,770 よし 来い! 439 00:39:44,382 --> 00:39:47,685 (悲鳴) 440 00:40:05,203 --> 00:40:10,208 兼久様~! 善住坊~! 441 00:40:11,876 --> 00:40:14,212 (銃声) 442 00:40:14,212 --> 00:40:17,215 (喚声) 443 00:40:28,559 --> 00:40:33,865 (善住坊)若 下りましょう! (兼久)ばか! もう手遅れだ。 444 00:40:35,900 --> 00:40:40,905 ジタバタするな! 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏…。 445 00:40:57,188 --> 00:40:59,190 助左! 446 00:41:13,204 --> 00:41:15,206 早く! 447 00:41:46,571 --> 00:41:50,274 若 若 早う! 448 00:41:55,246 --> 00:41:58,950 (喚声) 449 00:42:01,853 --> 00:42:03,855 よし! 450 00:42:05,523 --> 00:42:08,860 若 若! 451 00:42:08,860 --> 00:42:10,862 頑張ってくれ。 452 00:42:20,204 --> 00:42:24,208 よし 引き揚げだ~! (一同)お~! 453 00:42:39,557 --> 00:42:41,559 水です。 454 00:42:44,896 --> 00:42:48,199 さあ 善住坊 水だ。 455 00:42:56,908 --> 00:43:02,180 五右衛門。 船は戻ってくると思うか。 456 00:43:02,180 --> 00:43:04,115 はい。 457 00:43:04,115 --> 00:43:10,054 どこへ行ったのかも分からんくせに 戻ってくることだけは分かるか。 458 00:43:10,054 --> 00:43:16,761 堺は… この町は いつか 元に戻りますか? 459 00:43:23,201 --> 00:43:31,876 五右衛門。 汝らは 堺が信長に負けたとは思うなよ。 460 00:43:31,876 --> 00:43:36,214 我らは 信長という新装の船に乗り換えて➡ 461 00:43:36,214 --> 00:43:40,084 かなたの海へ乗り出していくのだと思え。 462 00:43:40,084 --> 00:43:52,230 ♬~ 463 00:43:52,230 --> 00:43:56,901 <乱世の変革者 信長と 商業都市 堺の結束は➡ 464 00:43:56,901 --> 00:44:01,506 応仁の乱以来の合戦の常識を 一変させている。➡ 465 00:44:01,506 --> 00:44:06,377 すなわち 鉄砲を主体とした 集団型の戦法を生む一方➡ 466 00:44:06,377 --> 00:44:10,515 金銀による 財源の確保と拡張を目的とした➡ 467 00:44:10,515 --> 00:44:13,851 経済戦争への転換である。➡ 468 00:44:13,851 --> 00:44:19,524 彼らの敵は 朝倉 武田 上杉 毛利らの伝統的諸将と➡ 469 00:44:19,524 --> 00:44:25,863 石山本願寺を頂点とする一向宗門徒軍 そして 近江の叡山。➡ 470 00:44:25,863 --> 00:44:30,735 これら いずれも 中世社会を支えてきた 強大な権威と力が➡ 471 00:44:30,735 --> 00:44:35,873 やがて 大津波となって 堺の港へ押し寄せてくる。➡ 472 00:44:35,873 --> 00:44:41,212 その中で 助左衛門は 19歳を迎えた> 473 00:44:41,212 --> 00:44:49,220 ♬~