1 00:00:02,102 --> 00:02:40,794 ♬~ 2 00:02:48,535 --> 00:02:51,872 放て~! (銃声) 3 00:02:51,872 --> 00:02:55,208 <織田信長による 叡山の焼き打ちから間もない➡ 4 00:02:55,208 --> 00:02:57,878 元亀2年10月3日。➡ 5 00:02:57,878 --> 00:03:03,483 関八州の王者とも言うべき 小田原の北条氏康が没す。➡ 6 00:03:03,483 --> 00:03:10,357 氏康の死は その宿敵であった 甲斐の武田信玄に 東海への道を開く。➡ 7 00:03:10,357 --> 00:03:16,063 信長にとって最大最強の敵 武田信玄上洛の時が➡ 8 00:03:16,063 --> 00:03:20,033 今や 刻々と迫りつつある。➡ 9 00:03:20,033 --> 00:03:22,169 その時期…> 10 00:03:22,169 --> 00:03:24,471 放て~! (銃声) 11 00:03:26,506 --> 00:03:31,511 (信長)不発だったものは 列より下げよ! はっ! 12 00:03:33,380 --> 00:03:35,849 宗久。 (宗久)はい。 13 00:03:35,849 --> 00:03:39,186 そちがもとで つくる堺銃は➡ 14 00:03:39,186 --> 00:03:44,057 命中率は 天下一だが 火縄のもちが悪い。 15 00:03:44,057 --> 00:03:46,526 ご指摘のとおりにございます。 16 00:03:46,526 --> 00:03:50,530 更に工夫を重ねよ。 はっ。 17 00:03:56,536 --> 00:03:59,873 信玄入道が動き出す前に➡ 18 00:03:59,873 --> 00:04:04,478 ひねり潰しておかねばならぬ敵が 2つある。 19 00:04:04,478 --> 00:04:09,149 小谷山に籠もる浅井長政めと➡ 20 00:04:09,149 --> 00:04:12,853 伊勢長島の一向宗門徒だ。 21 00:04:15,822 --> 00:04:23,163 伊勢長島の願証寺は 石山本願寺の院家に列します。 22 00:04:23,163 --> 00:04:31,838 恐れながら 本願寺の顕如上人を 調略によって制することができますれば➡ 23 00:04:31,838 --> 00:04:38,712 長島の一向宗門徒も 矛を収めるかと存じまするが。 24 00:04:38,712 --> 00:04:42,849 本願寺は 和睦には応じまい。 25 00:04:42,849 --> 00:04:47,554 信玄に上洛を促しているのは 本願寺だ。 26 00:04:49,523 --> 00:04:53,393 信玄が 西上を開始すれば➡ 27 00:04:53,393 --> 00:04:57,197 この岐阜に 真っ先に攻め上ってくるのは➡ 28 00:04:57,197 --> 00:05:01,067 長島の一揆軍と見ている。 29 00:05:01,067 --> 00:05:05,472 風林火山の旗指し物が 三河を越えぬうちに➡ 30 00:05:05,472 --> 00:05:10,143 長島の一向門徒は 女 子供を問わず➡ 31 00:05:10,143 --> 00:05:13,480 殲滅しておかねばならぬ。 32 00:05:13,480 --> 00:05:15,815 女 子供までも…。 33 00:05:15,815 --> 00:05:17,751 放て~! 34 00:05:17,751 --> 00:05:19,753 (銃声) 35 00:05:46,179 --> 00:05:50,483  心の声  (梢)おかしい 火縄のにおいがする。 36 00:05:57,791 --> 00:06:01,461 (助左)フッ フッフ~。 37 00:06:01,461 --> 00:06:04,798 あ~ 消えてしまった。 38 00:06:04,798 --> 00:06:07,467 (善住坊)こっちは まだまだ。 39 00:06:07,467 --> 00:06:11,137 よく もってるなあ。 フフッ。 40 00:06:11,137 --> 00:06:13,473 毎日 ここに閉じ籠もっていると➡ 41 00:06:13,473 --> 00:06:17,344 こういうことでも考えていないと 気が変になってしまう。 42 00:06:17,344 --> 00:06:21,815 あの… どんな細工をしたんだ 教えてくれ。 43 00:06:21,815 --> 00:06:24,484 木綿を使ってみた。 44 00:06:24,484 --> 00:06:27,153 竹じゃなく 木綿か。 45 00:06:27,153 --> 00:06:32,025 竹は 火先の火移りはいいが 湿気に弱くて 長もちしない。 46 00:06:32,025 --> 00:06:37,497 木綿は 雨や露に当たっても 乾けば 元どおりになる。 47 00:06:37,497 --> 00:06:43,837 戦向きだ。ふ~ん なるほど。 大したもんだ 木綿か。 48 00:06:43,837 --> 00:06:47,140 (お仙)誰か見ているよ 外で。 49 00:07:05,125 --> 00:07:07,460 (兼久)善住坊は生きている。 50 00:07:07,460 --> 00:07:12,132 (梢)船着き場の明かり守の女が 住みかにしている小舟の中に。 51 00:07:12,132 --> 00:07:14,467 信じられん。 52 00:07:14,467 --> 00:07:17,370 きやつは 琉球丸の難破で死んだと 助左が言った。 53 00:07:17,370 --> 00:07:20,373 その助左も 一緒でございました。 54 00:07:23,476 --> 00:07:25,478 助左…。 55 00:07:36,489 --> 00:07:38,491 兼久様! 56 00:07:41,361 --> 00:07:46,499 楽しみだな 死んだと思ったやつに また会えるとは。 57 00:07:46,499 --> 00:07:48,835 善住坊! 58 00:07:48,835 --> 00:07:51,137 お仙 舟を出せ! 59 00:08:06,319 --> 00:08:08,321 ぐっ…! 60 00:08:10,790 --> 00:08:12,726 (銃声) 61 00:08:12,726 --> 00:08:14,728 (兼久)善住坊! 62 00:08:32,479 --> 00:08:36,349 生きていたのか。 はい。 63 00:08:36,349 --> 00:08:41,154 俺を恨んでるか? いえ。 64 00:08:41,154 --> 00:08:45,024 ぬしを殺せと命令したのは 俺の親父 今井宗久だ。 65 00:08:45,024 --> 00:08:48,028 覚悟はしておりました。 66 00:09:01,775 --> 00:09:07,647 これは 親父がキャピタンから譲り受けた 短筒ではないか。 67 00:09:07,647 --> 00:09:10,784 助左。 盗人は ぬしか? 68 00:09:10,784 --> 00:09:12,719 助左ではありません。 (兼久)それでは 誰だ!? 69 00:09:12,719 --> 00:09:15,021 それは…。 兼久様! 70 00:09:16,656 --> 00:09:19,793 善住坊を見逃してやってくださいまし。 71 00:09:19,793 --> 00:09:22,695 善住坊が織田方に追われているのも➡ 72 00:09:22,695 --> 00:09:25,999 元はと言えば あなた様が…。 黙れ! 73 00:09:34,808 --> 00:09:37,477 出過ぎたまねをしよって。 74 00:09:37,477 --> 00:09:40,380 この大騙りめが。 75 00:09:40,380 --> 00:09:42,382 (殴る音) 76 00:09:44,818 --> 00:09:54,127 (泣き声) 77 00:10:13,513 --> 00:10:15,515 (美緒)ありがとう。 78 00:10:23,857 --> 00:10:26,526 (平次)大元様が 岐阜より お帰りになりました。 79 00:10:26,526 --> 00:10:28,528 そう。 80 00:10:30,396 --> 00:10:34,200 ご存じでらっしゃいますか? 善住坊のこと。 81 00:10:34,200 --> 00:10:36,135 いいえ。 82 00:10:36,135 --> 00:10:39,072 ゆうべ 兼久様が 生け捕りになさいました。 83 00:10:39,072 --> 00:10:42,876 なんと生きていたんでございます。 84 00:10:42,876 --> 00:10:46,546 ここの商いには関わりのないことです。 85 00:10:46,546 --> 00:10:50,850 余計なことに 気を取られないでください。へい。 86 00:10:59,893 --> 00:11:02,896 (戸が開く音) 87 00:11:15,842 --> 00:11:17,777 (宗久)寒くはないか。 88 00:11:17,777 --> 00:11:20,513 へっ… いえ。 89 00:11:20,513 --> 00:11:23,816 堺に隠れておったのか。 90 00:11:26,186 --> 00:11:30,056 私が かくまっておりました。 91 00:11:30,056 --> 00:11:33,860 よく今まで見つからなかったものだな。 92 00:11:33,860 --> 00:11:37,197 はあ~。 ついでに これの盗人も 分かりました。 93 00:11:37,197 --> 00:11:39,532 おお あったか。 94 00:11:39,532 --> 00:11:45,205 すぐに代官所に届けますか? それとも この場で成敗いたしますか? 95 00:11:45,205 --> 00:11:47,507 (宗久)こちらで始末する。 96 00:11:49,876 --> 00:11:51,811 岐阜の殿様がな➡ 97 00:11:51,811 --> 00:11:55,548 ぬしは元気でおるかという お尋ねがあった。 98 00:11:55,548 --> 00:12:00,386 呂宋へ漂着した時のお話を申し上げたら 大変 面白がられてのう。 99 00:12:00,386 --> 00:12:03,823 今度は 是非 岐阜城へ連れてこいとの 仰せであった。 100 00:12:03,823 --> 00:12:10,163 助左。 呂宋の土産話をする時には 用心せねばいかん。 101 00:12:10,163 --> 00:12:14,500 善住坊を連れてったと分かれば その場で首が飛ぶぞ。 102 00:12:14,500 --> 00:12:17,203 ぬしも同罪ではなかったのか。 103 00:12:18,838 --> 00:12:21,741 (ため息) 104 00:12:21,741 --> 00:12:27,513 今井の名を汚すような言動は この男はいたしません。 105 00:12:27,513 --> 00:12:31,851 それほどの恩知らずではない。 106 00:12:31,851 --> 00:12:36,522 善住坊。 そもそも 仕損じた時に➡ 107 00:12:36,522 --> 00:12:39,859 その場で 自害すべきだったのではないのか。 108 00:12:39,859 --> 00:12:43,730 申し訳ございません。 それは勝手だ! 109 00:12:43,730 --> 00:12:46,199 身勝手だ! 110 00:12:46,199 --> 00:12:51,871 父上。 私なら この男も一緒に始末いたしますが。 111 00:12:51,871 --> 00:12:54,207 ぬしの指図は受けん。 112 00:12:54,207 --> 00:12:57,877 指図などと そんな大それたことはできません。 113 00:12:57,877 --> 00:13:01,581 父上が ご存命のうちは。 114 00:13:07,153 --> 00:13:09,489 助左。➡ 115 00:13:09,489 --> 00:13:14,193 ぬしを海へ放り出したままにしておけば よかったのかのう。 116 00:13:15,828 --> 00:13:18,131 (宗久)善住坊。 117 00:13:21,501 --> 00:13:28,174 (宗久)不憫だがな ぬしの命は もらわねばならぬ。 118 00:13:28,174 --> 00:13:31,077 はい。 119 00:13:31,077 --> 00:13:36,049 千草峠の信長公狙撃のことな➡ 120 00:13:36,049 --> 00:13:40,520 あれは 六角承禎殿に頼まれたことにして 死んでくれぬか。 121 00:13:40,520 --> 00:13:43,423 はい。 そのかわり➡ 122 00:13:43,423 --> 00:13:49,429 ぬしに望むことがあるならば どんなことでも聞き届けてやろう。 123 00:13:51,531 --> 00:13:54,200 ございます。 124 00:13:54,200 --> 00:13:59,872 この助左 そして 五右衛門 そして 明かり守のお仙➡ 125 00:13:59,872 --> 00:14:02,775 わしに関わった これらの者たちに➡ 126 00:14:02,775 --> 00:14:05,144 どうか おとがめのないよう➡ 127 00:14:05,144 --> 00:14:09,482 それだけ… それだけ お願いを申し上げます! 128 00:14:09,482 --> 00:14:11,484 うむ。 129 00:14:13,352 --> 00:14:19,492 わしのせがれは 己の罪も 他人に なすりつけようとしておるのに➡ 130 00:14:19,492 --> 00:14:23,796 ぬしらは お互いに かばい合おうとしておる。 131 00:14:25,365 --> 00:14:28,501 なぜ 己の命乞いをせぬ! 132 00:14:28,501 --> 00:14:34,374 大元様は それほど 信長公が怖いんですか!? 133 00:14:34,374 --> 00:14:40,079 善住坊を殺すのなら この私も殺してください。 134 00:14:44,851 --> 00:14:47,553 考えておこう。 135 00:14:58,197 --> 00:15:01,200 (戸が閉まる音) 136 00:15:04,470 --> 00:15:08,775 アホじゃな! あんなこと言うてしもて。 137 00:15:10,343 --> 00:15:16,082 こうしてると 思い出すな。 138 00:15:16,082 --> 00:15:24,490 あの南海の島で ラカンドーラたちに捕まった時のことを。 139 00:15:24,490 --> 00:15:30,363 あの時だって もう駄目かと思ったけれど➡ 140 00:15:30,363 --> 00:15:35,501 こうやって 無事に 生きて帰ってこられたじゃないか。 141 00:15:35,501 --> 00:15:42,375 あの時に比べたら 言葉は通じるし➡ 142 00:15:42,375 --> 00:15:51,083 敵といったって 皆 日本の 同じ国の人間じゃないか。 143 00:15:53,519 --> 00:15:56,522 諦めるのは早いよ。 144 00:16:02,795 --> 00:16:05,097 どうした? 145 00:16:08,134 --> 00:16:14,473 ノーラのこと マリキットのこと➡ 146 00:16:14,473 --> 00:16:18,344 呂宋のことを思い出すと 悲しい。 147 00:16:18,344 --> 00:16:32,358 ♬~ 148 00:16:37,496 --> 00:16:39,799 (五右衛門)美緒さん。 149 00:16:42,368 --> 00:16:47,373 お前の腕が借りたい。 手伝ってくれますね。 150 00:16:59,185 --> 00:17:02,188 (戸が開く音) 151 00:17:36,489 --> 00:17:39,825 塀の外で 五右衛門が待っています。 152 00:17:39,825 --> 00:17:43,496 あとは 五右衛門が 小舟で堀を渡らせてくれるでしょう。 153 00:17:43,496 --> 00:17:45,798 助けてくださるんですか? 154 00:17:47,366 --> 00:17:51,837 もう二度と 堺へは 足を踏み入れぬように。 155 00:17:51,837 --> 00:17:54,540 どうして こんなことを…。 156 00:18:00,446 --> 00:18:06,118 いつかの珊瑚珠のお礼とでも 思いなさい。 157 00:18:06,118 --> 00:18:09,422 これは 当座の路銀に。 158 00:18:15,127 --> 00:18:17,430 御寮様…。 159 00:18:20,466 --> 00:18:23,769 さあ 急いで。 はい。 160 00:18:36,482 --> 00:18:38,484 (水音) 161 00:18:43,155 --> 00:18:45,491 (水音) 162 00:18:45,491 --> 00:18:47,426 五右衛門。 163 00:18:47,426 --> 00:18:49,729 ⚟(宗久)五右衛門なら こっちだ! 164 00:18:51,364 --> 00:18:53,366 うっ! 165 00:19:00,773 --> 00:19:03,776 ほら 返してやるぞ! 166 00:19:05,444 --> 00:19:07,446 五右衛門。 167 00:19:10,783 --> 00:19:12,785 美緒。 168 00:19:18,658 --> 00:19:22,128 善住坊。 169 00:19:22,128 --> 00:19:24,063 これを受け取れ。➡ 170 00:19:24,063 --> 00:19:26,065 助左。 171 00:19:28,000 --> 00:19:30,803 今井の鑑札。 172 00:19:30,803 --> 00:19:36,676 堺の外は 松永弾正が 三好勢に寝返りを打って以来➡ 173 00:19:36,676 --> 00:19:40,146 和田惟政殿も討ち死になされ➡ 174 00:19:40,146 --> 00:19:45,818 近在の織田の諸城は ことごとく 三好・松永勢の手に落ち➡ 175 00:19:45,818 --> 00:19:48,721 織田勢の旗色は すこぶる悪い。 176 00:19:48,721 --> 00:19:54,827 しかしな まあ おぬしたちが 堺の者であるということが分かれば➡ 177 00:19:54,827 --> 00:20:00,166 どの陣の関所も とがめ立てはすまい。 178 00:20:00,166 --> 00:20:02,835 助左。 はい。 179 00:20:02,835 --> 00:20:07,707 おぬしは しまという女を覚えておるか。 180 00:20:07,707 --> 00:20:13,012 北ノ庄村で わしの子を産んで 育てていた女がおったろうが。 181 00:20:14,847 --> 00:20:16,782 あ… はい。 182 00:20:16,782 --> 00:20:19,518 桔梗という名を付けてやったんだが➡ 183 00:20:19,518 --> 00:20:24,857 息災ならば 確か 4つになっているはずだ。➡ 184 00:20:24,857 --> 00:20:27,193 善住坊。 は… はい。 185 00:20:27,193 --> 00:20:31,530 (宗久)ぬしはな 伊勢へ落ちよ。 186 00:20:31,530 --> 00:20:34,433 助左。 はい。ぬしはな➡ 187 00:20:34,433 --> 00:20:38,404 善住坊を連れて 伊勢の長島まで行け。 188 00:20:38,404 --> 00:20:42,875 そこでな しまと桔梗を連れて この堺に帰ってこい。 189 00:20:42,875 --> 00:20:44,810 えっ! 190 00:20:44,810 --> 00:20:51,550 2人はな 確か 伊勢長島の多度村という所にいるはずだ。 191 00:20:51,550 --> 00:20:54,453 五右衛門。 確かに そうであったな。 192 00:20:54,453 --> 00:20:57,423 はい。 それは確かに。 193 00:20:57,423 --> 00:21:01,127 (宗久)どうだ やってくれるか。 194 00:21:02,828 --> 00:21:05,731 かしこまりました。 195 00:21:05,731 --> 00:21:09,702 では 善住坊は? 196 00:21:09,702 --> 00:21:13,839 善住坊はな 伊勢で暮らせ。 197 00:21:13,839 --> 00:21:20,513 よいか。 おぬしが運がよければな このわしよりも 長生きをするはずだ。 198 00:21:20,513 --> 00:21:23,415 お… 大元様…。 199 00:21:23,415 --> 00:21:26,418 (宗久)夜明けとともに たて。 200 00:21:29,188 --> 00:21:31,891 ありがとうございました。 201 00:21:38,864 --> 00:21:40,800 あの…。 202 00:21:40,800 --> 00:21:44,737 どうした? お仙の所に 忘れ物をしてきたんだが➡ 203 00:21:44,737 --> 00:21:47,873 木綿の火縄を。 ここで待ってる。 204 00:21:47,873 --> 00:21:50,576 すぐ戻る。 すぐに。 205 00:21:53,746 --> 00:21:58,517 かわいそうにな…。 地獄へ追いやられたとも知らずに。 206 00:21:58,517 --> 00:22:01,153 伊勢が地獄だというのか。 207 00:22:01,153 --> 00:22:04,823 伊勢長島の一揆軍と共に死ね ということなんだよ。 208 00:22:04,823 --> 00:22:07,493 今 あそこへ行けということは。 209 00:22:07,493 --> 00:22:14,833 信長の長島討伐は 叡山焼き打ちにも勝る この世の地獄をつくり出すだろう。 210 00:22:14,833 --> 00:22:17,503 大元様には それが分かってるから➡ 211 00:22:17,503 --> 00:22:22,374 しまと我が子だけは かの地から救い出しておきたいのさ。 212 00:22:22,374 --> 00:22:25,844 今 命をつないで 堺を出ていけるだけでも➡ 213 00:22:25,844 --> 00:22:28,147 十分と思わねば。 214 00:22:30,516 --> 00:22:35,854 俺も 生きて堺を出ていけるかどうか。 215 00:22:35,854 --> 00:22:40,192 相手が 日比屋了慶の一人娘ときてだな…。 216 00:22:40,192 --> 00:22:44,530 五右衛門 ぬし…。 217 00:22:44,530 --> 00:22:47,433 懇ろになってしまったよ。 218 00:22:47,433 --> 00:22:51,136 どうやら 俺も命懸けだ。 219 00:23:00,479 --> 00:23:03,382 (善住坊)一緒に来てくれ。 220 00:23:03,382 --> 00:23:06,385 お前とは行けない。 221 00:23:09,488 --> 00:23:12,157 俺が嫌いか? 222 00:23:12,157 --> 00:23:16,495 ご覧。 お前の行く末が出ている。 223 00:23:16,495 --> 00:23:19,398 どう出ているというんだ。 224 00:23:19,398 --> 00:23:26,505 そんなはずはないのに 何度やっても これだけは変わらない。 225 00:23:26,505 --> 00:23:29,508 お前の死に方が…。 226 00:23:33,846 --> 00:23:36,749 (善住坊)どんな死に方をする!? 227 00:23:36,749 --> 00:23:42,521 女の手で 息の根を止められると出ている。 228 00:23:42,521 --> 00:23:45,858 女に殺されるだと? 229 00:23:45,858 --> 00:23:51,563 それも 天文19年 戌年生まれの女に。 230 00:23:53,198 --> 00:23:57,069 私も 戌年 天文19年の生まれなんだよ。 231 00:23:57,069 --> 00:23:59,071 へっ? 232 00:24:09,481 --> 00:24:13,352 厄払いだよ。 お吸い。 233 00:24:13,352 --> 00:24:15,654 厄払い…。 234 00:24:21,093 --> 00:24:30,502 ♬~ 235 00:24:30,502 --> 00:24:33,405 (お仙)私とは別れた方がいい。➡ 236 00:24:33,405 --> 00:24:37,109 お行き 一人で。 237 00:24:43,849 --> 00:24:45,851 お仙。 238 00:24:48,721 --> 00:24:50,723 早く。 239 00:24:50,723 --> 00:25:24,423 ♬~ 240 00:25:26,158 --> 00:25:30,028 <長島は 伊勢と尾張国の境にあり➡ 241 00:25:30,028 --> 00:25:34,833 木曽川と長良川の河口に出来た デルタ地帯の集落である。➡ 242 00:25:34,833 --> 00:25:39,505 水路が縦横に走り 天然の要害を成す この一帯は➡ 243 00:25:39,505 --> 00:25:44,376 伊勢 尾張にかけて蜂起した 一向一揆軍の砦ともなっていたため➡ 244 00:25:44,376 --> 00:25:49,381 地元の織田軍との戦いは 絶えることがなかった> 245 00:26:02,728 --> 00:26:09,468 伊勢で別れたら ぬしとも もう この世で会うことはあるまいな。 246 00:26:09,468 --> 00:26:11,470 ああ。 247 00:26:16,141 --> 00:26:23,482 大元様は しまさんを堺に呼んで 女房になさるおつもりかな。 248 00:26:23,482 --> 00:26:26,819 そうだといいな。 249 00:26:26,819 --> 00:26:30,155 しまさんは 心の優しい人だった。 250 00:26:30,155 --> 00:26:32,825 あんないい人 いつまでも不幸にしていたんでは➡ 251 00:26:32,825 --> 00:26:36,495 大元様も 罰が当たるというもんだ。 252 00:26:36,495 --> 00:26:44,503 あれは どういうものか 心根の優しい人ほど 不幸せに見える。 253 00:26:46,505 --> 00:26:49,408 誰のことを言ったんだ? 254 00:26:49,408 --> 00:26:51,376 誰の? 255 00:26:51,376 --> 00:26:54,379 (善住坊)ぬしは 美緒様のことを考えていたな。 256 00:26:54,379 --> 00:26:57,149 ばかを言え。 (善住坊)ぬしは 美緒様に懸想している。➡ 257 00:26:57,149 --> 00:26:59,518 美緒様も ぬしが好きだ。 258 00:26:59,518 --> 00:27:02,421 ところが お互いは それに気が付いていない。 259 00:27:02,421 --> 00:27:05,123 わしも 今までは気付かなかったが➡ 260 00:27:05,123 --> 00:27:07,059 今朝方のことで よ~く分かった。 261 00:27:07,059 --> 00:27:09,795 戯れ言も大概にしないと しまいには怒るぞ。 262 00:27:09,795 --> 00:27:12,698 あの方は 今井の御寮人様だ。 263 00:27:12,698 --> 00:27:20,139 あの方が わしらを助けてくださったのは あの方の心根が優しいからだ。 264 00:27:20,139 --> 00:27:23,809 男と女の気持ちからではない。 265 00:27:23,809 --> 00:27:29,481 そう思い込むしか しかたがないな。 不幸せなやつだよ おぬしも。 266 00:27:29,481 --> 00:27:31,416 まだ言うか。 267 00:27:31,416 --> 00:27:33,719 もう言わん。 268 00:27:40,492 --> 00:29:07,779 ♬~ 269 00:29:17,122 --> 00:29:19,424 (銃声) 270 00:29:21,994 --> 00:29:25,464 ぎゃ~! うわ~っ! 271 00:29:25,464 --> 00:29:27,466 ああ~! 272 00:29:31,136 --> 00:29:36,141 (悲鳴) 273 00:29:46,151 --> 00:29:48,453 (悲鳴) 274 00:30:04,169 --> 00:30:06,171 女か。 275 00:30:09,841 --> 00:30:12,144 フフフフフ…。 276 00:30:13,712 --> 00:30:15,714 (しま)舌をかみます! 277 00:30:15,714 --> 00:30:18,517 子供の命だけは助けてやる。 278 00:30:18,517 --> 00:30:21,520 そのかわり 言いなりになれ。 279 00:30:24,189 --> 00:30:28,060 では 先に この子を逃がしてください。 280 00:30:28,060 --> 00:30:30,362 好きにしろ。 281 00:30:34,199 --> 00:30:40,872 桔梗。 母さんとは ここでお別れじゃ。 282 00:30:40,872 --> 00:30:42,808 まっすぐに お逃げ。➡ 283 00:30:42,808 --> 00:30:45,544 ここよりも できるだけ遠くへ。 284 00:30:45,544 --> 00:30:47,546 (桔梗)嫌~! 285 00:30:49,214 --> 00:30:54,086 聞き分けのないことを言って 母さんを困らせるのか。 286 00:30:54,086 --> 00:30:56,555 早う お行き! 287 00:30:56,555 --> 00:30:59,891 (泣き声) 288 00:30:59,891 --> 00:31:03,161 お行き。 後ろを振り返ってはならぬ。 289 00:31:03,161 --> 00:31:05,097 戻ってもならぬ。 290 00:31:05,097 --> 00:31:09,034 足の続く限り 前に走っておいき。➡ 291 00:31:09,034 --> 00:31:11,503 さあ! 292 00:31:11,503 --> 00:31:33,759 ♬~ 293 00:31:33,759 --> 00:31:35,761 はっ! 294 00:31:51,176 --> 00:31:53,111 (刺す音) うっ! 295 00:31:53,111 --> 00:31:56,415 うっ うう…。 296 00:32:03,155 --> 00:32:05,157 あっ! 297 00:32:20,172 --> 00:32:29,181 ♬~ 298 00:32:29,181 --> 00:32:31,483 桔梗! 299 00:32:36,521 --> 00:32:39,224 桔梗~! 300 00:32:55,874 --> 00:33:00,712 血止めを… 血止めをしなければ…。 301 00:33:00,712 --> 00:33:15,427 ♬~ 302 00:33:20,832 --> 00:33:23,502 多度村の辺りらしいな。 えらい燃え方だ。 303 00:33:23,502 --> 00:33:25,504 急ごう。 304 00:33:44,189 --> 00:33:46,124 疲れたのか!? 305 00:33:46,124 --> 00:33:48,126 いや。 306 00:33:54,833 --> 00:33:58,536 イタタタ…。 まだか!? 遠いな。 307 00:33:58,536 --> 00:34:01,439 織田勢の焼き打ちに違いない。 急ごう。 308 00:34:01,439 --> 00:34:03,375 何か…。 309 00:34:03,375 --> 00:34:06,378 ぬしも聞こえたか。 聞こえた。 310 00:34:08,346 --> 00:34:10,649 桔梗…。 311 00:34:18,023 --> 00:34:20,158 こ これは…! あっ しまさん! 312 00:34:20,158 --> 00:34:23,061 しまさん! わしだ! 堺の助左と善住坊だ! 313 00:34:23,061 --> 00:34:27,065 しまさん! ほら この顔 しっかり見て! 314 00:34:30,802 --> 00:34:33,171 き… 桔梗。 315 00:34:33,171 --> 00:34:37,475 桔梗が? 桔梗さん どこにいるんです!? 316 00:34:39,044 --> 00:34:41,046 桔梗…。 317 00:34:43,515 --> 00:34:45,850 あの子だ! 318 00:34:45,850 --> 00:34:49,187 急いで血止めをするんだ。 桔梗を連れてくる! 319 00:34:49,187 --> 00:35:18,183 ♬~ 320 00:35:32,497 --> 00:35:34,499 桔梗。 321 00:35:38,370 --> 00:35:43,074 覚えてるかい? 俺を。 322 00:35:48,513 --> 00:35:51,516 助左だ。 323 00:35:56,187 --> 00:35:58,857 こっちへおいで。 324 00:35:58,857 --> 00:36:01,559 母さんとこへ帰ろう。 325 00:36:08,133 --> 00:36:11,469 母さんが待ってるよ。 326 00:36:11,469 --> 00:36:13,772 おいで。 327 00:36:17,142 --> 00:36:57,782 ♬~ 328 00:36:57,782 --> 00:36:59,784 さあ。 329 00:37:02,120 --> 00:37:04,422 もう…。 330 00:37:11,129 --> 00:37:13,465 お迎えに来たんです。 331 00:37:13,465 --> 00:37:19,337 大元様が お二人を堺へ連れてこいと ご命じになって。 332 00:37:19,337 --> 00:37:24,042 晴れて 親子の対面ができますよ。 333 00:37:27,479 --> 00:37:34,185 堺へは… 行きません。 334 00:37:36,821 --> 00:37:44,496 堺は 信長の蔵入り地。 335 00:37:44,496 --> 00:37:55,840 信長は 宗門の敵です。 336 00:37:55,840 --> 00:38:07,452 桔梗は… 加賀の尾山御坊へ。 337 00:38:07,452 --> 00:38:09,454 加賀へ? 338 00:38:11,789 --> 00:38:20,465 加賀は 百姓の持ちたる国。 339 00:38:20,465 --> 00:38:26,771 我ら一向宗の領国です。 340 00:38:33,811 --> 00:38:41,686 どうか 桔梗を➡ 341 00:38:41,686 --> 00:38:48,159 加賀へ お連れくださいまし。➡ 342 00:38:48,159 --> 00:38:51,863 どうか…。 加賀へ…。 343 00:39:22,460 --> 00:39:42,480 ♬~ 344 00:39:42,480 --> 00:39:47,785 母ちゃん。 母ちゃん。 345 00:39:50,822 --> 00:39:57,695 (桔梗)母ちゃん 母ちゃん。 346 00:39:57,695 --> 00:40:05,169 あの子は 加賀国の尾山御坊へ わしが連れていく。 347 00:40:05,169 --> 00:40:09,841 しまさんに そうしてくれと頼まれた。 348 00:40:09,841 --> 00:40:15,513 ぬしが何と言おうと 堺へは行かせぬぞ。 349 00:40:15,513 --> 00:40:18,416 じゃあ それがいい。 350 00:40:18,416 --> 00:40:21,853 皆 それぞれ 好きな所へ行くがいい。 351 00:40:21,853 --> 00:40:30,194 ましてや それが 遺言であれば 誰が引き止めることができよう。 352 00:40:30,194 --> 00:40:47,211 ♬~ 353 00:40:51,482 --> 00:41:28,486 ♬~(しまの子守歌) 354 00:41:40,198 --> 00:42:08,359 ♬~ 355 00:42:08,359 --> 00:42:12,830 これ 木綿の火縄。 356 00:42:12,830 --> 00:42:15,500 俺に くれるのか? 357 00:42:15,500 --> 00:42:21,372 こいつで ぬし 銭もうけをしてくれよ。 やってみよう。 358 00:42:21,372 --> 00:42:26,844 ぬしなら きっと 会合衆にも負けぬ商人になれる。 359 00:42:26,844 --> 00:42:29,147 なるとも。 360 00:42:34,185 --> 00:42:36,521 世話になった。 361 00:42:36,521 --> 00:42:39,857 善住坊! 362 00:42:39,857 --> 00:42:45,196 呂宋へ渡る夢は まだ捨ててはおらんからな。 363 00:42:45,196 --> 00:42:49,534 いつか 必ず もう一度 呂宋へ渡ってみせるからな。 364 00:42:49,534 --> 00:42:52,437 その時は ぬしも一緒だぞ。 365 00:42:52,437 --> 00:42:54,405 本当か? 366 00:42:54,405 --> 00:42:57,208 呂宋へ行くと決まった時には➡ 367 00:42:57,208 --> 00:43:00,111 必ず ぬしを迎えに行く。 368 00:43:00,111 --> 00:43:03,014 加賀へでも どこへでも。 369 00:43:03,014 --> 00:43:06,017 待ってる。 370 00:43:06,017 --> 00:43:09,487 いつまでも 待っている。 371 00:43:09,487 --> 00:43:11,789 きっとだぞ! 372 00:43:15,159 --> 00:43:17,495 助左…。 373 00:43:17,495 --> 00:43:24,802 ♬~ 374 00:43:36,180 --> 00:43:40,518 善住坊~! 375 00:43:40,518 --> 00:43:43,521 (やまびこ)善住坊~!