1 00:00:02,069 --> 00:02:40,060 ♬~ 2 00:02:49,169 --> 00:02:52,072 <足利義昭の軍 3,700が➡ 3 00:02:52,072 --> 00:02:56,843 宇治の槇島城に籠もって 織田信長の軍を迎え撃ったのは➡ 4 00:02:56,843 --> 00:03:00,113 元亀4年の7月であった。➡ 5 00:03:00,113 --> 00:03:04,451 この一戦を最後に 室町幕府は崩壊し➡ 6 00:03:04,451 --> 00:03:09,122 義昭は 十五代将軍の座を追われた。➡ 7 00:03:09,122 --> 00:03:14,995 7月28日 信長は 義昭が好んだ元亀の年号を➡ 8 00:03:14,995 --> 00:03:18,698 即座に 天正と改元する> 9 00:03:21,702 --> 00:03:24,471 <天正元年8月。➡ 10 00:03:24,471 --> 00:03:28,809 信長は 宿敵 浅井・朝倉両氏の討伐を目指して➡ 11 00:03:28,809 --> 00:03:32,112 近江へ全軍を投入した> 12 00:03:35,148 --> 00:03:39,486 <信長軍は 朝倉義景を追撃して敦賀に至り➡ 13 00:03:39,486 --> 00:03:41,822 一乗ヶ谷を落とす。➡ 14 00:03:41,822 --> 00:03:49,496 義景 41歳。 山田荘賢松寺に包囲され 自刃する。➡ 15 00:03:49,496 --> 00:03:58,205 ここに 越前の守護 朝倉氏十一代 230年の歴史は 終えんを遂げた> 16 00:04:13,687 --> 00:04:16,123 殿! (藤吉郎)あっ? 17 00:04:16,123 --> 00:04:21,461 <朝倉氏を滅ぼした信長の軍2万は 休む間もなく 近江に引き返し➡ 18 00:04:21,461 --> 00:04:27,801 浅井久政 長政親子の主城 小谷城を囲んだ。➡ 19 00:04:27,801 --> 00:04:32,806 先鋒隊は 木下藤吉郎が預かった> 20 00:04:36,143 --> 00:04:44,818 <その陣中へ 堺より 正体不明の荷駄隊が兵糧を運んできた。➡ 21 00:04:44,818 --> 00:04:49,823 天正元年8月26日のことである> 22 00:04:51,691 --> 00:04:56,830 この荷駄隊に ぬしが加わっていようとは 思わんかった。 23 00:04:56,830 --> 00:04:59,833 (助左)大元様に仰せつかりました。 24 00:05:02,636 --> 00:05:07,107 ぬしの主も 非情な男だのう。 25 00:05:07,107 --> 00:05:09,810 ぬしも 気の毒に。 26 00:05:13,980 --> 00:05:17,751 (宗久)今井を辞めるという気持ちには 変わりはないか。 27 00:05:17,751 --> 00:05:23,657 はい。 その気持ちに変わりはございません。 28 00:05:23,657 --> 00:05:27,427 では 最後の奉公をしてくれ。 はい。 29 00:05:27,427 --> 00:05:34,134 近江の虎御前山まで 荷を運んでくれ。 はい。 30 00:05:34,134 --> 00:05:38,004 小谷攻めの先鋒 木下藤吉郎の陣だ。 31 00:05:38,004 --> 00:05:41,474 木下様の…。 32 00:05:41,474 --> 00:05:45,345 その荷駄には 能登屋の幟をつけていけ。 33 00:05:45,345 --> 00:05:48,348 能登屋さんの幟? 34 00:05:48,348 --> 00:05:55,822 今井から出す荷に なぜ よそ様の幟を 立てなければならんのでございますか。 35 00:05:55,822 --> 00:05:58,725 先方からの頼みだ。 36 00:05:58,725 --> 00:06:02,729 それに ぬしも行けば分かる。 37 00:06:09,369 --> 00:06:13,773 ああ~。 よ~し 用意万端整った。 38 00:06:13,773 --> 00:06:16,443 では 早速に 兵糧のお確かめを。 39 00:06:16,443 --> 00:06:19,112 待て待て。 誰も降ろせとは言うとらん。 40 00:06:19,112 --> 00:06:22,449 荷は そのままでええ。 このまま? 41 00:06:22,449 --> 00:06:25,118 (藤吉郎)そのまま。 ⚟(半兵衛)殿!うん。 42 00:06:25,118 --> 00:06:28,788 (半兵衛)やりましたぞ! 外構えの指揮を 執っておりました敵将が2名➡ 43 00:06:28,788 --> 00:06:31,458 たった今 降伏をしてまいりました。 44 00:06:31,458 --> 00:06:35,128 土佐守と三田村左衛門大夫がか? (半兵衛)はい! 45 00:06:35,128 --> 00:06:38,999 半兵衛 ぬしの調略がきいたな。 46 00:06:38,999 --> 00:06:43,270 外構えを切り崩せば 本丸と小丸を真っ二つに遮断できる。 47 00:06:43,270 --> 00:06:46,473 殿の思惑どおりでございます。 うん。 48 00:06:46,473 --> 00:06:48,408 助左! はい! 49 00:06:48,408 --> 00:06:51,144 2~3日は ゆっくり 戦を見物していよ。 50 00:06:51,144 --> 00:06:54,814 働いてもらうのは そのあとだ。 よいしょ。 51 00:06:54,814 --> 00:06:57,717 働くって あの… まだ帰っちゃいけないんでございますか? 52 00:06:57,717 --> 00:07:01,087 帰る? どこへ? どこへって 堺へ…。 53 00:07:01,087 --> 00:07:03,757 今帰っては 何のために来たのか 分からんではないか。 54 00:07:03,757 --> 00:07:06,092 でも 手前は ただ 荷をお届けに来ただけでございます。 55 00:07:06,092 --> 00:07:11,431 じゃあ 何にも聞いておらんのか。 えっ 聞くって 何を? 56 00:07:11,431 --> 00:07:16,102 何のために 今井の荷駄隊が 能登屋の幟を掲げて来たか➡ 57 00:07:16,102 --> 00:07:18,038 考えてみれば分かるだろう。 58 00:07:18,038 --> 00:07:21,441 さあ 分かりません。 私も 妙なことだとは思ってたんですが…。 59 00:07:21,441 --> 00:07:24,110 すぐに分かる。 まあ あまり深く考えずに➡ 60 00:07:24,110 --> 00:07:27,013 その時の来るまで ゆっくり体を休めとけ。 61 00:07:27,013 --> 00:07:29,983 その時が来るまで…? 62 00:07:29,983 --> 00:08:03,983 ♬~ 63 00:08:09,622 --> 00:08:12,625 両名とも 我らが勧告に従って➡ 64 00:08:12,625 --> 00:08:15,395 進んで 降伏をいたしてきた者でございます。 65 00:08:15,395 --> 00:08:19,766 何とぞ ご寛大なる お取り計らいをたまわりますよう➡ 66 00:08:19,766 --> 00:08:22,068 お願い申し上げます。 67 00:08:26,439 --> 00:08:29,142 (信長)首をはねよ。 68 00:08:35,448 --> 00:08:40,153 つば際の降伏 見苦しい。 69 00:09:04,077 --> 00:09:06,413 <明くる27日。➡ 70 00:09:06,413 --> 00:09:11,751 浅井長政の籠もる本丸と 父 久政の陣する小丸の間が➡ 71 00:09:11,751 --> 00:09:14,087 木下軍によって断ち切られ➡ 72 00:09:14,087 --> 00:09:17,957 浅井親子は それぞれに孤立した> 73 00:09:17,957 --> 00:09:42,449 ♬~ 74 00:09:42,449 --> 00:09:47,320 <28日 この日 小丸が落ちる。➡ 75 00:09:47,320 --> 00:09:51,624 長政の父 久政は 自刃した> 76 00:09:55,028 --> 00:10:01,034 <ついに 残るは 長政の籠もる本丸のみとなった> 77 00:10:09,676 --> 00:10:13,680 小丸が燃えている! 大殿様の小丸が落ちる! 78 00:10:15,348 --> 00:10:18,151 お方様! お方様! 79 00:10:18,151 --> 00:10:28,862 (泣き声) 80 00:10:53,853 --> 00:11:01,127 小谷城との攻防も もはや 4年の歳月が流れたちましてございます。 81 00:11:01,127 --> 00:11:05,131 落城は もはや 旦夕に迫っております。 82 00:11:09,002 --> 00:11:14,474 かくなる上は 敵の将士も 命を捨てて かかってくるでありましょう。➡ 83 00:11:14,474 --> 00:11:19,178 そうなれば 味方の損害も 相当の覚悟をいたさねばなりません。 84 00:11:20,813 --> 00:11:24,484 できますことならば 長政殿に 降伏を促し➡ 85 00:11:24,484 --> 00:11:30,823 速やかに 城を明け渡していただくことが 得策かと思いますが。 86 00:11:30,823 --> 00:11:36,529 こちらが降伏を促しても 長政は承知すまい。 87 00:11:38,164 --> 00:11:41,501 ですから 殿が 勧告の書状をお書きくだされば➡ 88 00:11:41,501 --> 00:11:46,372 それがしが 自ら それを携えて 長政殿に お手渡しいたします。 89 00:11:46,372 --> 00:11:50,176 そちが 敵城に赴くというのか。 90 00:11:50,176 --> 00:11:53,513 長政殿を説き 城を開かせ➡ 91 00:11:53,513 --> 00:11:58,851 小谷のお方様を 無事に 城外へ お連れしとうございます。 92 00:11:58,851 --> 00:12:02,121 お市をの。 はい。 93 00:12:02,121 --> 00:12:05,792 城内へ入れるのか。 94 00:12:05,792 --> 00:12:09,495 もはや 策は練ってございます。 95 00:12:11,464 --> 00:12:17,337 稲葉山攻略の頃とは そちも 身分が違うのだ。 96 00:12:17,337 --> 00:12:19,339 むちゃはするな。 97 00:12:19,339 --> 00:12:22,342 はい 心得ております。 98 00:12:44,163 --> 00:12:49,502 長政に 書状をしたためてみるか。 99 00:12:49,502 --> 00:12:54,207 お… お聞き届け かたじけのうございました! 100 00:12:57,176 --> 00:13:00,446 (藤吉郎)半兵衛! 半兵衛! はい! 101 00:13:00,446 --> 00:13:03,349 殿より下知が下った。 参るぞ。 ははっ! 102 00:13:03,349 --> 00:13:06,319 おい 助左。 はい。ぬしも 荷駄隊の進発の➡ 103 00:13:06,319 --> 00:13:09,455 支度にかかってくれ。 進発? どこへ? 104 00:13:09,455 --> 00:13:11,391 小谷城の本丸へ出かけるんだ。 105 00:13:11,391 --> 00:13:13,326 小谷!? (藤吉郎)おう。 106 00:13:13,326 --> 00:13:17,797 わしも 荷駄隊の人足に加えてもらうからな。 107 00:13:17,797 --> 00:13:20,133 人足!? ちょちょちょっ… 待ってください。 108 00:13:20,133 --> 00:13:22,802 これは一体どういうことになってるんで? 私には さっぱり訳が分かりません。 109 00:13:22,802 --> 00:13:25,138 簡単なことさ 命さえ惜しまなければ。 へっ? 110 00:13:25,138 --> 00:13:27,473 敵城へ潜入するだけのことだ。 111 00:13:27,473 --> 00:13:32,812 浅井家とよしみの深い 能登屋の荷駄隊に偽装してな。 ハハハ。 112 00:13:32,812 --> 00:13:35,481 殿 これ お召し替え。 はい はい。 113 00:13:35,481 --> 00:13:41,154 あれ こりゃ… 何となく懐かしいな。 ハッハッハッハ! 114 00:13:41,154 --> 00:13:43,089 早くやれ ほら! 115 00:13:43,089 --> 00:13:46,793 大元様に してやられたか…。 116 00:13:58,171 --> 00:14:00,773 よ~し ここらで待とうか。 はい。 117 00:14:00,773 --> 00:14:04,477 みんな ちょっと休もう。 (一同)へい。 118 00:14:06,446 --> 00:14:10,316 戦場とは思えぬほどの 静けさでございますね。 119 00:14:10,316 --> 00:14:14,787 これ 書状だ。 手はずどおり 頼むぞ。 120 00:14:14,787 --> 00:14:17,790 かしこまりました。 うん。 121 00:14:27,800 --> 00:14:30,470 やるか? あ 頂きます。 122 00:14:30,470 --> 00:14:32,472 やれ。 はい。 123 00:14:39,145 --> 00:14:41,080 助左。 はい。 124 00:14:41,080 --> 00:14:46,486 ぬしゃ 今井 辞めるそうだな。 どうして それを…。 125 00:14:46,486 --> 00:14:50,156 宗久殿の手紙に書き添えてあった。 126 00:14:50,156 --> 00:14:53,493 大元様が そんなことまで…。 127 00:14:53,493 --> 00:14:56,395 あるのか 辞めたあとの当ては。 128 00:14:56,395 --> 00:15:02,402 ええ 行商をやってみようかと。 米か 油の。 129 00:15:05,772 --> 00:15:09,776 ぬしゃ わしの家来にならんか。 130 00:15:11,444 --> 00:15:15,314 海を渡りたいから やはり…。 131 00:15:15,314 --> 00:15:18,117 呂宋か。 はい。 132 00:15:18,117 --> 00:15:21,988 己の船を持ちたいです 早く。 133 00:15:21,988 --> 00:15:24,791 一人で やれるのか。 134 00:15:24,791 --> 00:15:31,130 何年かかっても やってみます。 それよりほか しょうがありませんから。 135 00:15:31,130 --> 00:15:33,800 行商より わしの家来になれ。 136 00:15:33,800 --> 00:15:37,470 侍になっても 海は渡れる。 137 00:15:37,470 --> 00:15:42,341 わしも そのつもりだ いずれは…。 138 00:15:42,341 --> 00:15:44,644 (半兵衛)殿! 139 00:15:49,482 --> 00:15:52,819 追っ手の用意が整いました。 140 00:15:52,819 --> 00:15:54,821 プッ! 141 00:15:56,689 --> 00:15:58,691 おい みんな! みんな よく聞け。 142 00:15:58,691 --> 00:16:01,627 いいか? これから 小谷の城 目がけて 一気に走るんだ。 143 00:16:01,627 --> 00:16:05,097 ほかのことは 何も考えずに ただ逃げることだけ考えて 走れ。 144 00:16:05,097 --> 00:16:09,969 ひたすら走れ。 ぐずぐずしてると 後ろから 鉄砲玉が飛んでくるでよ! 145 00:16:09,969 --> 00:16:13,773 半兵衛 半兵衛 半兵衛! 合図 合図 合図! (半兵衛)承知! 146 00:16:13,773 --> 00:16:15,775 (藤吉郎)合図 合図! 147 00:16:19,111 --> 00:16:22,415 (銃声) 逃げろ~! ほら~! 148 00:16:28,120 --> 00:16:31,991 能登屋の荷駄隊だ! 逃がすな! 能登屋の荷駄隊が 小谷へ駆け込むぞ! 149 00:16:31,991 --> 00:16:34,293 逃がすな! 逃がすな! 150 00:16:38,130 --> 00:16:41,033 おい 少し 本気で狙い過ぎだぞ! 151 00:16:41,033 --> 00:16:45,471 本気で撃ちかけよと 命じておきましたので。 はい。 152 00:16:45,471 --> 00:16:47,406 味方に追われて逃げるのは 初めてだ。 153 00:16:47,406 --> 00:16:49,342 のう。 なるほど。 154 00:16:49,342 --> 00:16:51,644 (銃声) 155 00:18:10,423 --> 00:18:14,126 何者だ! 名乗れ! 156 00:18:15,761 --> 00:18:20,099 我ら 堺の能登屋の… 能登屋の者でございます。 157 00:18:20,099 --> 00:18:23,769 浅井家の窮状を見かねて 兵糧をお届けに参ったのでございます。 158 00:18:23,769 --> 00:18:26,472 何とぞ お取り次ぎを! 159 00:18:31,444 --> 00:18:35,781 (長政)堺の能登屋の者とな。 はるばると よう来た。 160 00:18:35,781 --> 00:18:38,117 よう来てくれた。 161 00:18:38,117 --> 00:18:43,122 荷駄の目録 何とぞ お目通し願います。 162 00:18:48,461 --> 00:18:51,163 大儀であった。 163 00:19:03,943 --> 00:19:07,747 ♬~ 164 00:19:07,747 --> 00:19:10,082 (信長)「合戦のならい➡ 165 00:19:10,082 --> 00:19:15,755 已むことを得ずして 是までに及ぶこと武門の常➡ 166 00:19:15,755 --> 00:19:20,426 弓箭の意地 是非なきことに候。➡ 167 00:19:20,426 --> 00:19:27,299 義景勅命に背き 天誅を蒙り すでに亡び候。➡ 168 00:19:27,299 --> 00:19:34,774 備前守のことは 我がもとより懇望して 縁者となりしほどの義なり。➡ 169 00:19:34,774 --> 00:19:37,677 唯今 かくの如くに及ぶと雖も➡ 170 00:19:37,677 --> 00:19:41,447 聊か以て疎意に存ぜず候。➡ 171 00:19:41,447 --> 00:19:47,319 願はくば 居城退出ありて 存命させ給ふべし。➡ 172 00:19:47,319 --> 00:19:52,792 所領のこと 追って沙汰いたし参らすべく候。➡ 173 00:19:52,792 --> 00:19:57,463 左候はば 浅井の家名も断絶せず➡ 174 00:19:57,463 --> 00:20:03,135 信長の本意も また 大慶 これに過ぎず候」。 175 00:20:03,135 --> 00:20:11,811 ♬~ 176 00:20:11,811 --> 00:20:16,148 酒を持て。 はっ。 177 00:20:16,148 --> 00:20:19,051 まずは 一献。 178 00:20:19,051 --> 00:20:21,020 (藤吉郎)はっ! 179 00:20:21,020 --> 00:20:27,026 ♬~ 180 00:20:29,161 --> 00:20:34,033 ♬「浅井が城を茶の子とおしやる」 181 00:20:34,033 --> 00:20:39,505 ♬「赤飯 茶の子 強い茶の子」 182 00:20:39,505 --> 00:20:45,377 ♬「信長どのは 橋の下の土亀」 183 00:20:45,377 --> 00:20:55,521 (騒ぎ声) 184 00:20:55,521 --> 00:20:59,391 酒が 気前よく 振る舞われているじゃないか。 185 00:20:59,391 --> 00:21:06,398 こりゃ どうやら 長政殿には 城を枕に討ち死にの お覚悟と見える。 186 00:21:17,143 --> 00:21:22,148 (半兵衛)この城が落ちるまでには 一人も生きてはいまい…。 187 00:21:26,152 --> 00:21:30,022 おう! 陽気に パ~ッと飲め! わしは…。 188 00:21:30,022 --> 00:21:33,025 え~い 悲しい面はいかんぞ! 189 00:21:33,025 --> 00:21:36,729 パ~ッと グッと 飲め 一気に! 190 00:21:38,497 --> 00:21:43,369 よ~し! ほれ ぬしも来い! 191 00:21:43,369 --> 00:21:51,510 ♬~(歌声) 192 00:21:51,510 --> 00:22:33,819 ♬~ 193 00:22:43,162 --> 00:22:54,506 ♬~(笛) 194 00:22:54,506 --> 00:23:22,201 (長政の謡) 195 00:23:24,470 --> 00:23:34,480 (すすり泣き) 196 00:23:42,021 --> 00:24:00,105 ♬~ 197 00:24:00,105 --> 00:24:03,442 <長政は 降伏をしない。➡ 198 00:24:03,442 --> 00:24:11,116 代わりに 妻 お市と3人の子供の扶助を 藤吉郎に託した> 199 00:24:11,116 --> 00:24:20,125 ♬~ 200 00:24:20,125 --> 00:24:23,996 <「絵本太閤記」は記す。➡ 201 00:24:23,996 --> 00:24:30,469 「小谷の方は途方に暮れ 泣くに涙なく 叫ぶに声出ず➡ 202 00:24:30,469 --> 00:24:34,807 夫 長政の活命を 兄 信長に願わんものと➡ 203 00:24:34,807 --> 00:24:41,146 それを心の力にて 城外へこそ出られけれ」と。➡ 204 00:24:41,146 --> 00:24:48,020 この夜 藤吉郎に背負われて 夜の山路を駆け下りた茶々姫こそ➡ 205 00:24:48,020 --> 00:24:52,758 後に 太閤 秀吉の愛妾として 権勢を振るう➡ 206 00:24:52,758 --> 00:24:57,062 淀君の幼き日の姿であった> 207 00:25:03,102 --> 00:25:06,772 (銃声) 208 00:25:06,772 --> 00:25:11,443 <明くる29日。 本丸の攻撃が開始された。➡ 209 00:25:11,443 --> 00:25:16,782 木下藤吉郎 柴田勝家 丹羽長秀らの 攻撃軍に対し➡ 210 00:25:16,782 --> 00:25:20,652 長政の籠城軍は 僅か200の手勢だったが➡ 211 00:25:20,652 --> 00:25:26,658 それでも 城は1日は持ちこたえて 2日目に あえぎ落ちた> 212 00:25:28,394 --> 00:25:36,402 <若き名将とうたわれた浅井長政も 29歳の命を 自らの手で絶った> 213 00:25:40,472 --> 00:25:59,158 ♬~ 214 00:25:59,158 --> 00:26:01,093 助左。 はい。 215 00:26:01,093 --> 00:26:03,429 宗久殿を恨むなよ。 216 00:26:03,429 --> 00:26:09,768 いえ。 独り立ちの門出に よい仕事を下さったと思ってます。 217 00:26:09,768 --> 00:26:13,439 このまま わしについてこないか。 218 00:26:13,439 --> 00:26:15,774 藤吉郎様。 うん? 219 00:26:15,774 --> 00:26:20,112 小谷城で死んでいった 私と同じような連中を見て➡ 220 00:26:20,112 --> 00:26:23,015 私は 自分というものが 分かってきたような気がします。 221 00:26:23,015 --> 00:26:32,458 私は 船となら死ねても 城を守るために死ぬことはできません。 222 00:26:32,458 --> 00:26:37,329 宗久殿の思惑とは 逆になってしまったな。➡ 223 00:26:37,329 --> 00:26:39,798 まあ よかろう。 224 00:26:39,798 --> 00:26:45,137 おい どうせ 行商するんなら➡ 225 00:26:45,137 --> 00:26:47,473 木綿を扱ってみないか。 226 00:26:47,473 --> 00:26:51,343 あっ やっぱり 木綿ですか。 うん。 227 00:26:51,343 --> 00:26:54,813 雑兵の小袖も これから 木綿にしようと思ってるんだ。 228 00:26:54,813 --> 00:26:57,149 麻より 安くて丈夫だからな。 229 00:26:57,149 --> 00:27:01,019 ああ。 ありがとうございます。 230 00:27:01,019 --> 00:27:04,423 行く末 楽しみにしてるぞ。 231 00:27:04,423 --> 00:27:08,093 ご武運をお祈りいたしております。 232 00:27:08,093 --> 00:27:10,095 さらばだ。 233 00:27:27,779 --> 00:27:32,651 <河内の若江城に追放された足利義昭は➡ 234 00:27:32,651 --> 00:27:36,788 中国の毛利氏に援助を求める。➡ 235 00:27:36,788 --> 00:27:42,461 そのため 織田方から 木下藤吉郎 朝山日乗➡ 236 00:27:42,461 --> 00:27:46,131 毛利氏からは 安国寺恵瓊が それぞれ使者となり➡ 237 00:27:46,131 --> 00:27:51,003 義昭の処遇に関する交渉を開始した。➡ 238 00:27:51,003 --> 00:27:56,475 毛利氏の方針は 義昭の下向を あくまでも拒み➡ 239 00:27:56,475 --> 00:28:02,281 京都にとどまることができるように 信長に斡旋することであった。➡ 240 00:28:02,281 --> 00:28:07,419 恵瓊は 上洛前に 藤吉郎のもとへ書状を送り➡ 241 00:28:07,419 --> 00:28:12,758 義昭が京都に戻れるように 信長に とりなしてほしいと伝えた。➡ 242 00:28:12,758 --> 00:28:18,463 藤吉郎からは 同意する旨の返書があった> 243 00:28:22,100 --> 00:28:25,437 <11月4日に上洛した恵瓊は➡ 244 00:28:25,437 --> 00:28:29,775 翌日 藤吉郎 日乗と共に 堺に至り➡ 245 00:28:29,775 --> 00:28:34,112 若江城から出向いた義昭と会見した。➡ 246 00:28:34,112 --> 00:28:37,983 ところが 毛利氏の軍事力を頼みにして➡ 247 00:28:37,983 --> 00:28:41,787 あくまでも 信長を屈服させようとする義昭は➡ 248 00:28:41,787 --> 00:28:44,456 信長に人質を要求したため➡ 249 00:28:44,456 --> 00:28:48,160 交渉は 決裂に終わった> 250 00:28:50,796 --> 00:28:54,466 <その安国寺恵瓊。➡ 251 00:28:54,466 --> 00:28:58,337 後に 石田三成 小西行長らと共に➡ 252 00:28:58,337 --> 00:29:02,274 関ヶ原の合戦における 西軍の首謀者となり➡ 253 00:29:02,274 --> 00:29:06,078 その罪を問われて 斬首された。➡ 254 00:29:06,078 --> 00:29:10,949 この人物は 安芸国安国寺に入って得度し➡ 255 00:29:10,949 --> 00:29:15,420 毛利氏の外交僧として 機知縦横の才を振るい➡ 256 00:29:15,420 --> 00:29:23,095 豊臣秀吉に重用され 伊予6万石を与えられた禅僧である。➡ 257 00:29:23,095 --> 00:29:27,432 しかし こうした華やかな活躍よりも➡ 258 00:29:27,432 --> 00:29:31,103 恵瓊の名を 後世にまで高からしめたのは➡ 259 00:29:31,103 --> 00:29:35,440 彼が この時期 吉川家に宛てて書き送った➡ 260 00:29:35,440 --> 00:29:39,311 信長と秀吉の人物評である。➡ 261 00:29:39,311 --> 00:29:42,314 この書状の中で 恵瓊は➡ 262 00:29:42,314 --> 00:29:48,987 7年後に待ち受けている信長の非業の死と 秀吉の台頭を予言している。➡ 263 00:29:48,987 --> 00:29:54,793 すなわち 「信長は 仰のけに高転びに転び➡ 264 00:29:54,793 --> 00:30:00,465 秀吉は さりとてはの者にて候」と> 265 00:30:00,465 --> 00:30:08,340 ほう。 信長公は 高転びに 仰のけに転ばれますか。 266 00:30:08,340 --> 00:30:15,013 (恵瓊)さよう。 信長公は 公家になられたらよいように思うがの。 267 00:30:15,013 --> 00:30:19,818 公家にでもなられて 絵をたしなまれるもよし➡ 268 00:30:19,818 --> 00:30:24,156 能を楽しまれるもよし 茶を極められるのもよい。 269 00:30:24,156 --> 00:30:26,825 いずれも 天下一になられよう。 270 00:30:26,825 --> 00:30:35,500 だが そのご器量がありすぎて 災いしているふうに見えるがのう。 271 00:30:35,500 --> 00:30:40,839 うん。 確かに ご慧眼かもしれませぬ。 272 00:30:40,839 --> 00:30:46,178 なるほど かの人は 武将にしては あまりにも 美しきもの 新しいものに➡ 273 00:30:46,178 --> 00:30:50,048 お心が向き過ぎるきらいは ございますが…。 274 00:30:50,048 --> 00:30:57,522 ハハッ それで 信長公が 高転びに転ばれたあとで➡ 275 00:30:57,522 --> 00:31:04,129 起き上がってくる者は 誰でございましょうか。 276 00:31:04,129 --> 00:31:06,965 わしは 木下藤吉郎と見ている。 277 00:31:06,965 --> 00:31:10,001 ほう。 藤吉郎を ご存じか? 278 00:31:10,001 --> 00:31:12,471 存じ上げておりますが➡ 279 00:31:12,471 --> 00:31:17,142 あの方は 要領がよすぎるきらいがございますが…。 280 00:31:17,142 --> 00:31:22,481 いや あの男は なかなかの利き者だぞ。 281 00:31:22,481 --> 00:31:25,150 うん…。 282 00:31:25,150 --> 00:31:30,021 恵瓊様のお目利き 手前ども 肝に銘じておきまする。 283 00:31:30,021 --> 00:31:35,494 あ~ なんの なんの。 凡僧の戯れ言と お聞き流しくだされ。 284 00:31:35,494 --> 00:31:42,834 ところで 義昭様は すぐには若江城には戻られずに➡ 285 00:31:42,834 --> 00:31:45,504 紀州へ お入りとか…。 はい。 286 00:31:45,504 --> 00:31:50,842 明日 手前どもの船でお送りする 準備はいたしておりまする。 287 00:31:50,842 --> 00:31:53,178 うん。 288 00:31:53,178 --> 00:31:58,850 ハハハ… あの方も 将軍の座を降りられてからが➡ 289 00:31:58,850 --> 00:32:02,120 よいお顔になられた。 290 00:32:02,120 --> 00:32:06,992 まあ 本当は 元の僧侶に戻られるのが 一番なんだがな…。 291 00:32:06,992 --> 00:32:10,295 ハハハ…。 ははあ。 292 00:32:43,728 --> 00:32:53,839 ♬~(ミサ曲) 293 00:32:53,839 --> 00:33:42,854 ♬~ 294 00:34:25,130 --> 00:34:44,115 ♬~ 295 00:34:49,821 --> 00:35:11,810 (笑い声) 296 00:35:14,980 --> 00:35:17,282 (戸が開く音) 297 00:35:20,118 --> 00:35:22,454 (梢)せっかく牢から出されても➡ 298 00:35:22,454 --> 00:35:26,791 お屋敷から 外へ出ていけないのでは つまらないでしょう。 299 00:35:26,791 --> 00:35:33,665 飛脚番の仕事も取り上げられて 毎日 まき割りと 庭掃除ばかりで➡ 300 00:35:33,665 --> 00:35:36,968 よく嫌にならないもんだ。 301 00:35:39,804 --> 00:35:44,109 (小声で)モニカ様の天王寺屋への お輿入れ日が決まったようです。 302 00:35:46,144 --> 00:35:50,482 婚礼日は 来年の4月5日。 303 00:35:50,482 --> 00:35:52,784 ⚟五右衛門。 304 00:35:54,819 --> 00:36:00,091 五右衛門 これで おいとまする。 305 00:36:00,091 --> 00:36:03,428 (五右衛門)そうか… とうとう行くのか。 306 00:36:03,428 --> 00:36:07,298 これからは ぬしも あんまり むちゃすんなよ。 307 00:36:07,298 --> 00:36:09,768 人のことが言えるのか。 あ? 308 00:36:09,768 --> 00:36:12,437 当てもないのに 飛び出していくやつが。 309 00:36:12,437 --> 00:36:14,372 俺は 何も むちゃしてはいないさ。 310 00:36:14,372 --> 00:36:20,311 俺は 頂いた餞別や ためといた銭で 日比屋さんから木綿を卸してもらって➡ 311 00:36:20,311 --> 00:36:24,616 行商をするつもりだ。 都へ行く。 312 00:36:26,985 --> 00:36:32,991 ぬしも元気でな。 なあ。 313 00:37:03,088 --> 00:37:05,757 助左でございます。 314 00:37:05,757 --> 00:37:10,061 おいとまのご挨拶に参りました。 315 00:37:22,774 --> 00:37:30,482 長い間 お世話にあずかりまして ありがとうございました。 316 00:37:32,784 --> 00:37:35,687 ⚟(宗久)行商をやるそうだな。 317 00:37:35,687 --> 00:37:42,127 はい! 木綿の行商から始めてみます! 318 00:37:42,127 --> 00:37:46,131 ぬしの裁量では 行商は難しかろう。 319 00:37:47,999 --> 00:37:51,803 ぬしは 商人には向いていない。 320 00:37:51,803 --> 00:37:57,108 気性が一本気だから 商人よりは 侍の方が向いている。 321 00:37:58,676 --> 00:38:05,383 その道を開いてやろうと思って 小谷へやったんだが 無駄だった。 322 00:38:22,433 --> 00:38:27,772 傷つかぬうちに 己の分に合った方法を探せ。 323 00:38:27,772 --> 00:38:29,774 助左。 324 00:38:39,384 --> 00:38:45,123 ぬしのようなせがれが欲しかった…。 325 00:38:45,123 --> 00:39:00,405 (雨の音) 326 00:39:00,405 --> 00:39:11,749 ♬~ 327 00:39:11,749 --> 00:39:14,652 (美緒)持っておいきなさい。 328 00:39:14,652 --> 00:39:21,092 新しい門出が雨にぬれては 縁起が悪いから…。 329 00:39:21,092 --> 00:39:23,394 御寮様…。 330 00:39:25,964 --> 00:39:32,437 今井を出ていくのは… 私のせいですか? 331 00:39:32,437 --> 00:39:35,106 もし 私のために出ていくというのなら…。 332 00:39:35,106 --> 00:39:41,412 こちらを出ていくのは 己のためでございます。 333 00:39:44,115 --> 00:39:48,453 そう…。 334 00:39:48,453 --> 00:39:51,122 では 傘を…。 335 00:39:51,122 --> 00:40:02,734 ♬~ 336 00:40:02,734 --> 00:40:05,436 体をいといなさい。 337 00:40:10,475 --> 00:40:13,144 お世話になりました。 338 00:40:13,144 --> 00:40:25,456 ♬~ 339 00:40:27,158 --> 00:40:29,160 (梢)五右衛門さん。 340 00:40:30,828 --> 00:40:37,535 (雷鳴) 341 00:40:42,840 --> 00:40:45,176  心の声 商人には不向きでも➡ 342 00:40:45,176 --> 00:40:48,846 もう 歩いていくしかないじゃないか。➡ 343 00:40:48,846 --> 00:40:53,184 船よ 待っていてくれ。➡ 344 00:40:53,184 --> 00:40:55,853 お前は いつかは 俺のものだ。➡ 345 00:40:55,853 --> 00:40:59,724 行商で銭を蓄え 買いに来てやる。➡ 346 00:40:59,724 --> 00:41:05,663 海よ しばらくの別れだが 俺のことは忘れるな。➡ 347 00:41:05,663 --> 00:41:10,134 風よ 俺が船出の帆を上げる時には➡ 348 00:41:10,134 --> 00:41:13,037 それまでの苦労を 一緒に吹き飛ばしてやってくれ。 349 00:41:13,037 --> 00:41:25,683 (雨の音) 350 00:41:25,683 --> 00:41:27,685 (義昭)そなた…。 351 00:41:27,685 --> 00:41:29,821 はい。 352 00:41:29,821 --> 00:41:36,127 そなたの手に持っている それは 唐の傘というものではないのか。 353 00:41:37,695 --> 00:41:40,465 さようでございます。 354 00:41:40,465 --> 00:41:46,838 それが 唐傘か。 初めて見る。 355 00:41:46,838 --> 00:41:49,540 触らせてくれぬか。 356 00:41:51,175 --> 00:41:53,845 よろしゅうございます。 357 00:41:53,845 --> 00:41:56,547 わしが そちらへ行く。 358 00:42:05,456 --> 00:42:12,130 ああ… 見た目より軽い。 ハッハッハッハ。 359 00:42:12,130 --> 00:42:18,436 どうだろう 望みの金子を取らすゆえ わしに譲ってはくれまいか。 360 00:42:26,477 --> 00:42:30,148 よろしゅうございます。 そんなに お気に召したなら➡ 361 00:42:30,148 --> 00:42:32,083 差し上げます。 362 00:42:32,083 --> 00:42:35,019 ただでもろうては 心苦しい。 いえ どうぞ。 363 00:42:35,019 --> 00:42:38,022 差し上げたいんです。 364 00:42:38,022 --> 00:42:41,159 もろうてよいのか 本当に。 はい。 365 00:42:41,159 --> 00:42:44,829 どちらのお公家様かは存じませんが➡ 366 00:42:44,829 --> 00:42:50,501 私が持っているよりも あなた様の方が ずっとお似合いです。 367 00:42:50,501 --> 00:43:16,127 ♬~ 368 00:43:16,127 --> 00:43:23,801 <助左は それが 室町幕府最後の将軍 義昭とは知る由もない。➡ 369 00:43:23,801 --> 00:43:27,472 今や消え去らんとする中世の権威と➡ 370 00:43:27,472 --> 00:43:31,342 同じ日に旅立っていった 近世の落とし子との➡ 371 00:43:31,342 --> 00:43:35,146 つかの間の出会いと別れであった> 372 00:43:35,146 --> 00:43:44,155 ♬~