1 00:00:02,135 --> 00:02:41,128 ♬~ 2 00:02:45,232 --> 00:02:47,567 <天正2年の春は➡ 3 00:02:47,567 --> 00:02:51,571 織田信長の快進撃とともに明けてゆく> 4 00:02:54,441 --> 00:02:59,913 <木下藤吉郎改め 羽柴筑前守秀吉➡ 5 00:02:59,913 --> 00:03:02,516 累年の戦功を賞せられ➡ 6 00:03:02,516 --> 00:03:09,389 浅井氏の旧領 近江北三郡12万石の大名に 躍り出た この男の➡ 7 00:03:09,389 --> 00:03:13,160 主 信長に対し願い出た最初の注文が➡ 8 00:03:13,160 --> 00:03:16,063 小谷の城替えであった> 9 00:03:16,063 --> 00:03:19,866 (信長)小谷城は 要らぬと申すか。 10 00:03:19,866 --> 00:03:21,802 (秀吉)はい。 11 00:03:21,802 --> 00:03:28,875 (信長)かの城は 山高く 霧深く 難攻不落の聞こえも高い名城ではないか。 12 00:03:28,875 --> 00:03:34,214 小谷山に勝る城地が 近江北三郡の中にあるか。 13 00:03:34,214 --> 00:03:40,887 もし お許しいただければ 今浜の地に 構えとうございます。 14 00:03:40,887 --> 00:03:46,560 今浜に城を移したいという理由は何だ。 15 00:03:46,560 --> 00:03:49,896 されば 理由は 3つございます。 16 00:03:49,896 --> 00:03:51,832 まず1つは➡ 17 00:03:51,832 --> 00:03:56,236 今浜近辺の湖北一向一揆をにらむに 最適の地であること。 18 00:03:56,236 --> 00:04:02,042 同様に 同地が 北国街道に沿うところから 越前の一揆軍への備えにもなること。➡ 19 00:04:02,042 --> 00:04:07,848 2つ目は 同地國友村の鉄砲を掌握すること。 20 00:04:07,848 --> 00:04:11,518 3つ目は 町づくりのことにございます。 21 00:04:11,518 --> 00:04:17,390 ほう 町づくりとは そちは どのような町をつくるつもりか。 22 00:04:17,390 --> 00:04:21,528 恐れながら 当岐阜ご城下のご繁栄にならって➡ 23 00:04:21,528 --> 00:04:25,198 それがしも 商いの盛んなる町を つくりとうございます。 24 00:04:25,198 --> 00:04:27,868 今浜でならば それができるか。 25 00:04:27,868 --> 00:04:29,803 今浜には 湖がございます。 26 00:04:29,803 --> 00:04:35,542 湖上の輸送を生かして 大津や堺 都よりの品物の流れをよくし➡ 27 00:04:35,542 --> 00:04:37,477 城下では 地子や諸役を免除して➡ 28 00:04:37,477 --> 00:04:41,181 諸国より 多くの商人たちを呼び集めます。 29 00:04:42,883 --> 00:04:47,220 もし これらのこと お許しいただければ➡ 30 00:04:47,220 --> 00:04:51,091 町の名も 殿のお名の一字を頂戴して➡ 31 00:04:51,091 --> 00:04:56,229 今浜を 長浜と改めたいと思います。 32 00:04:56,229 --> 00:05:01,835 こやつ 町の名まで決めてくるとは よほどの執着だな。 33 00:05:01,835 --> 00:05:03,770 はい! 34 00:05:03,770 --> 00:05:09,776 そちの才覚で 近江の地にも 堺のごとき富める町をつくってみせるか。 35 00:05:12,846 --> 00:05:14,848 はい! 36 00:05:33,166 --> 00:05:36,870 木綿を? ええ。 37 00:05:39,539 --> 00:05:43,210 木綿を卸してくれと言ってるのかい。 ええ。 38 00:05:43,210 --> 00:05:45,879 銭だけは このとおり…。 39 00:05:45,879 --> 00:05:48,548 行商人には見えないな。 40 00:05:48,548 --> 00:05:51,885 こないだまで 今井に奉公していた者だと 言っておりますが…。 41 00:05:51,885 --> 00:05:55,755 分かったものじゃないね。 品切れだと言って 追い返しなさい。 42 00:05:55,755 --> 00:05:57,757 へえ。 43 00:05:59,759 --> 00:06:02,829 あいにくだが 唐木綿は 品切れでね。 44 00:06:02,829 --> 00:06:05,165 (助左)あっ 唐木綿がなければ➡ 45 00:06:05,165 --> 00:06:07,500 朝鮮木綿でも…。 そっちも品切れだ。 46 00:06:07,500 --> 00:06:10,170 一反でも二反でも結構です。 どうか どうか お譲りください。 47 00:06:10,170 --> 00:06:12,839 ないものを譲れと言われても 困るじゃないか。 48 00:06:12,839 --> 00:06:16,509 はあ。 じゃあ いつごろ伺えば 分けていただけますでしょうか。 49 00:06:16,509 --> 00:06:18,445 お前さんね。 はい。 50 00:06:18,445 --> 00:06:22,849 木綿のような渡来品は そう 誰にも彼にも卸すことはできないんだ。 51 00:06:22,849 --> 00:06:25,185 品物に限りがあるから。➡ 52 00:06:25,185 --> 00:06:28,088 一度 ご主人と出直しておいで。 53 00:06:28,088 --> 00:06:33,860 主人はおりません。 はい 私一人で これから…。 54 00:06:33,860 --> 00:06:37,197 木綿を分けていただいて それを持って 都へ行き➡ 55 00:06:37,197 --> 00:06:40,100 商いをしようと思っておりますんで。 もう お前さんの相手はしてられないんだ。 56 00:06:40,100 --> 00:06:43,069 この銭も… この銭も 今井を辞める時に頂戴した銭で➡ 57 00:06:43,069 --> 00:06:45,538 決して 不審な銭では…。 帰った 帰った!どうか! 58 00:06:45,538 --> 00:06:48,441 いらっしゃいませ。 おおっ! これは…➡ 59 00:06:48,441 --> 00:06:50,877 今井の御寮様 お待ち申し上げておりました。 60 00:06:50,877 --> 00:06:53,546 さあ どうぞ。 さあ。 61 00:06:53,546 --> 00:06:56,449 (老番頭)ああ これはこれは…。➡ 62 00:06:56,449 --> 00:07:00,353 わざわざ お呼び立ていたしまして 申し訳もございません。 63 00:07:00,353 --> 00:07:03,356 礼拝堂で 主人も お待ち申し上げております。➡ 64 00:07:03,356 --> 00:07:07,093 ささ どうぞ こちらから。 あっ 御寮様。 65 00:07:07,093 --> 00:07:10,096 あの者をお見知りでございますか? 66 00:07:14,167 --> 00:07:16,836 どうしたんだな? いえいえ ちょうど➡ 67 00:07:16,836 --> 00:07:23,176 元今井様の奉公人だったという者が 木綿を求めて参っておりますので。 68 00:07:23,176 --> 00:07:27,514 (美緒)今井の奉公人に相違ございません。 69 00:07:27,514 --> 00:07:32,185 確か 名は 助左とか申しました。 70 00:07:32,185 --> 00:07:37,857 木綿の行商を志しているようですから どうぞ お引き立てくださいまし。 71 00:07:37,857 --> 00:07:42,195 かしこまりました。 おい ご注文のものをお持ちしろ。へい。 72 00:07:42,195 --> 00:07:45,098 アハハ… 少々お待ちを。 73 00:07:45,098 --> 00:07:49,869 (老番頭)では 御寮様 どうぞ こちらの方から。 74 00:07:49,869 --> 00:08:23,503 ♬~ 75 00:08:23,503 --> 00:08:28,375 (梢)助左さん! 梢さん。 76 00:08:28,375 --> 00:08:30,377 これ…。 77 00:08:30,377 --> 00:08:34,147 御寮様が 日比屋の番頭さんに頼んで 借りてくださったの。➡ 78 00:08:34,147 --> 00:08:38,051 持っておいき。 借りてもいいのかい? 79 00:08:38,051 --> 00:08:41,521 (梢)その格好では 堺の商人に見えないばかりか➡ 80 00:08:41,521 --> 00:08:44,424 盗人と間違えられても 文句が言えないよ。 81 00:08:44,424 --> 00:08:47,861 さあ 大事な木綿を千朶櫃に入れて。 82 00:08:47,861 --> 00:08:50,163 ありがたい。 じゃあ 早速。 83 00:08:51,731 --> 00:08:56,870 いや~ 道中 途中で 雨にでも降られたら どうしようかと思ってたんだ。 84 00:08:56,870 --> 00:08:59,773 これで 大丈夫だ。 ありがたい。 85 00:08:59,773 --> 00:09:03,676 都へ行くの? うん そのつもりだ。 86 00:09:03,676 --> 00:09:07,814 都へ行ったら 四条の南蛮寺に 立ち寄ってみるといい。 87 00:09:07,814 --> 00:09:10,483 思わぬ人に出会えるかもしれないよ。 88 00:09:10,483 --> 00:09:14,154 南蛮寺で 誰に? 89 00:09:14,154 --> 00:09:17,057 (小声で)日比屋のモニカ様が 神隠しに遭ったって話➡ 90 00:09:17,057 --> 00:09:19,492 耳に届いてるかい? 91 00:09:19,492 --> 00:09:21,828 モニカ様がいなくなられた? 92 00:09:21,828 --> 00:09:25,698 五右衛門がさらっていったんだ。 そうに決まってる。 93 00:09:25,698 --> 00:09:27,700 あいつが そんな…。 94 00:09:27,700 --> 00:09:32,172 モニカ様は 春には 天王寺屋さんに輿入れなさるはずだった。 95 00:09:32,172 --> 00:09:36,509 そうはさせまいと 五右衛門が連れ去ったんだろうね。 96 00:09:36,509 --> 00:09:39,846 今日 美緒様が 日比屋様に呼ばれたのも➡ 97 00:09:39,846 --> 00:09:42,515 実は モニカ様と五右衛門のことで…。 98 00:09:42,515 --> 00:09:47,387 南蛮寺とは そこに 2人が逃げ込んでるとでもいうのかい? 99 00:09:47,387 --> 00:09:50,090 勘だけれどね 私の。 100 00:09:51,858 --> 00:09:55,528 あっ… 暇があったら 寄ってみる。 101 00:09:55,528 --> 00:09:57,530 ありがとう。 102 00:10:01,401 --> 00:10:06,406 ありがとう。 いや~ 助かった。 ありがとう。 103 00:10:09,075 --> 00:10:12,879 みんなが 堺を出ていってしまうのね。 104 00:10:12,879 --> 00:10:19,552 善住坊も 五右衛門も お前様も。 105 00:10:19,552 --> 00:10:25,225 梢さん お前も そろそろ おいとまを頂いて➡ 106 00:10:25,225 --> 00:10:29,562 三河へ引き揚げた方がいいんじゃないか? 107 00:10:29,562 --> 00:10:32,899 なぜ 私が? 108 00:10:32,899 --> 00:10:40,907 俺は知ってたんだ。 お前が 徳川様の間者だってことを。 109 00:10:42,575 --> 00:10:50,283 今井の大元様や兼久様に知れたら 命はないものと思わなきゃならぬ…。 110 00:10:52,252 --> 00:10:56,556 よくよく思案した方がいい。 111 00:11:00,527 --> 00:11:04,197 御寮様には お礼を申し上げといてくれ。 112 00:11:04,197 --> 00:11:07,500 なあ。 それじゃ。 113 00:11:14,541 --> 00:11:20,413 (了慶)天王寺屋さんとの婚姻の話は ひとまず 破談ということにしました。 114 00:11:20,413 --> 00:11:24,884 いや 天王寺屋さんとも 円満に話し合った上のことですから➡ 115 00:11:24,884 --> 00:11:27,220 これはもう これで…。 116 00:11:27,220 --> 00:11:31,090 ただ モニカ様を連れ去ったのが➡ 117 00:11:31,090 --> 00:11:36,563 本当に うちの使用人の 五右衛門だということになりますと➡ 118 00:11:36,563 --> 00:11:43,236 今井が天王寺屋さんに恨まれても 致し方がないことだと存じます。 119 00:11:43,236 --> 00:11:48,575 五右衛門は 天王寺屋さんに 殺生を企てた者でもございますので。 120 00:11:48,575 --> 00:11:53,246 ところが その五右衛門のことも 不問に付そうと➡ 121 00:11:53,246 --> 00:11:55,915 天王寺屋さんは言われるんですよ。➡ 122 00:11:55,915 --> 00:12:02,522 不思議に お思いでしょう。 あの 蛇のように執念深いお方が。 123 00:12:02,522 --> 00:12:06,192 裏に 何か 訳でも…。 124 00:12:06,192 --> 00:12:08,861 宗易殿のおかげなのです。 125 00:12:08,861 --> 00:12:11,764 千家の宗易様が…。 126 00:12:11,764 --> 00:12:15,535 あの方は こなた様のお父上と同じ➡ 127 00:12:15,535 --> 00:12:18,871 信長公のお茶頭を務めておられる。 128 00:12:18,871 --> 00:12:22,542 その立場で にらみを利かせば➡ 129 00:12:22,542 --> 00:12:26,846 今は 大抵の無理も まかり通ります。 130 00:12:43,229 --> 00:12:47,567 (宗易)なんと気品に満ちた 茶入れであることか…。 131 00:12:47,567 --> 00:12:52,238 (天王寺屋)銘は 初花と申します。 132 00:12:52,238 --> 00:12:56,909 義政将軍の東山御物に 加えられてよりこの方➡ 133 00:12:56,909 --> 00:13:01,748 貴品中の貴品として 茶人 垂涎の的となっております➡ 134 00:13:01,748 --> 00:13:04,517 肩衝の茶入れにございます。 135 00:13:04,517 --> 00:13:12,225 が ほかならぬ宗易殿のお眼鏡に留まり 光栄に存じます。 136 00:13:14,193 --> 00:13:20,867 この茶入れ それがしに お譲りくだされ。 137 00:13:20,867 --> 00:13:25,872 そ… それは いかにも唐突な…。 138 00:13:27,540 --> 00:13:31,844 是非にも お譲りいただきたい。 139 00:13:38,885 --> 00:13:43,222 (信長)見事な茶入れだ。 140 00:13:43,222 --> 00:13:48,561 欲しい。 無理でも 値をつけてくれぬか。 141 00:13:48,561 --> 00:13:53,900 値踏みは無用と存じまするが。 無用とは…。 142 00:13:53,900 --> 00:13:59,238 これなる肩衝茶入れは 殿への献上物として それがしが預かり➡ 143 00:13:59,238 --> 00:14:01,507 持参したものにござりますれば。 144 00:14:01,507 --> 00:14:05,178 ほう 奇特な者のいることよ。 145 00:14:05,178 --> 00:14:09,048 して その者の名は。 146 00:14:09,048 --> 00:14:14,754 天王寺屋 津田宗及殿にござりまする。 147 00:14:18,524 --> 00:14:22,195 宗易…。 はい。 148 00:14:22,195 --> 00:14:30,536 天王寺屋は 先年 この手で滅ぼした 三好・松永の一党に一味してきた商人だ。 149 00:14:30,536 --> 00:14:35,208 遠からず 首をはねるつもりでいたのだぞ。 150 00:14:35,208 --> 00:14:41,547 されば この肩衝茶入れの値は➡ 151 00:14:41,547 --> 00:14:45,418 天王寺屋 宗及の一命と一対に➡ 152 00:14:45,418 --> 00:14:48,421 値踏みいたしとう存じまする。 153 00:14:59,098 --> 00:15:03,803 謀りおったな 宗易。 154 00:15:03,803 --> 00:15:08,174 なぜ 天王寺屋の命乞いをする。 155 00:15:08,174 --> 00:15:15,515 そちや 宗久にとって きやつは 長年の宿敵ではなかったのか。 156 00:15:15,515 --> 00:15:20,186 仰せのとおり かの御仁とは➡ 157 00:15:20,186 --> 00:15:24,056 所見 ことごとく 相いれぬ仲ではござりましたが➡ 158 00:15:24,056 --> 00:15:30,196 しかしながら 我も彼も 共に堺の会合衆でございます。 159 00:15:30,196 --> 00:15:33,099 会合衆とは 堺の舵取り➡ 160 00:15:33,099 --> 00:15:37,537 羅針盤を操る按針の役目も 果たさねばなりませぬ。 161 00:15:37,537 --> 00:15:42,208 堺という 大きな船の針路を 誤らせぬためにも➡ 162 00:15:42,208 --> 00:15:49,081 会合衆が 私利私欲で反目を重ねる愚は 避けねばなりませぬ。 163 00:15:49,081 --> 00:15:52,218 (信長)宗易。 164 00:15:52,218 --> 00:15:57,890 そちのような商人が 舵を取っている間は➡ 165 00:15:57,890 --> 00:16:03,162 いかなる嵐にも 堺の船は沈むまい。 166 00:16:03,162 --> 00:16:09,035 ♬~ 167 00:16:09,035 --> 00:16:15,741 これは 信長公より頂戴いたしました 黄金の一部。➡ 168 00:16:15,741 --> 00:16:21,514 心ばかりではございますが お納めいただきとう存じます。 169 00:16:21,514 --> 00:16:24,851 せっかくだが 頂く道理がござらぬ。 170 00:16:24,851 --> 00:16:28,521 いや それでは 手前の気が…。 宗及殿。 171 00:16:28,521 --> 00:16:34,861 黄金を頂く代わりに ひとつ お願いしたいことがござる。 172 00:16:34,861 --> 00:16:37,530 何なりと。 173 00:16:37,530 --> 00:16:42,869 それがしの望みは 会合衆の結束よりほかにござらぬ。 174 00:16:42,869 --> 00:16:46,205 我ら会合衆さえ 心を一つに合わせておれば➡ 175 00:16:46,205 --> 00:16:50,543 堺の太平は保てます。 176 00:16:50,543 --> 00:16:56,215 まあ そういう思いの中で このところ気になっていたのが➡ 177 00:16:56,215 --> 00:16:59,118 こなたと 今井家➡ 178 00:16:59,118 --> 00:17:05,491 そして 日比屋を巡って 取り沙汰されている とかくの醜聞です。 179 00:17:05,491 --> 00:17:08,394 はい。 180 00:17:08,394 --> 00:17:11,364 これまでのいきさつの一切➡ 181 00:17:11,364 --> 00:17:17,503 こなたの方から水に流してもらうわけには いかんだろうか。 182 00:17:17,503 --> 00:17:20,406 なるほど…。 183 00:17:20,406 --> 00:17:24,844 いや 仰せのとおりにいたしましょう。 184 00:17:24,844 --> 00:17:30,182 かのことも 手前の不徳が もとでござりました。 185 00:17:30,182 --> 00:17:33,853 誰を責めるつもりもございません。 186 00:17:33,853 --> 00:17:39,191 では お聞き届けくださるか。 187 00:17:39,191 --> 00:17:44,864 ご配慮 痛み入り申す。 188 00:17:44,864 --> 00:17:52,738 ♬~ 189 00:17:52,738 --> 00:17:58,878 宗易様が 陰で それほどまでに ご心配くださっているとは➡ 190 00:17:58,878 --> 00:18:01,147 存じませんでした。 191 00:18:01,147 --> 00:18:05,484 事の元凶は 私にあります。 192 00:18:05,484 --> 00:18:09,822 天王寺屋さんとの婚姻を 無理強いしようとしたのが➡ 193 00:18:09,822 --> 00:18:12,491 間違いだったのです。 194 00:18:12,491 --> 00:18:16,162 お力を落とされなさいますな。 195 00:18:16,162 --> 00:18:18,831 モニカ様の探索は➡ 196 00:18:18,831 --> 00:18:22,501 私どもも お手伝いをさせていただきます。 197 00:18:22,501 --> 00:18:26,205 きっと お捜しいたします。 198 00:18:28,841 --> 00:18:33,713 <この年 信長は 天下一の絵師 狩野永徳に➡ 199 00:18:33,713 --> 00:18:36,716 「洛中洛外図屏風」を描かせ➡ 200 00:18:36,716 --> 00:18:41,020 これを 上杉謙信に寄贈する> 201 00:18:47,860 --> 00:18:50,563 (鐘の音) 202 00:18:55,735 --> 00:18:59,438 (鐘の音) 203 00:19:01,140 --> 00:19:03,075 助左! 204 00:19:03,075 --> 00:19:07,013 パーデレ お久しゅうございます。 よく訪ねてきましたね。はい。 205 00:19:07,013 --> 00:19:11,150 元気でしたか? はい。 ご覧のとおり 元気でございます。 206 00:19:11,150 --> 00:19:14,820 いくつになりましたか? 24になりました。 207 00:19:14,820 --> 00:19:19,492 立派な大人になりましたね。 パーデレにも お変わりなく。 208 00:19:19,492 --> 00:19:25,831 都には やはり 商いで来ましたか? はい。 木綿を売りに参りました。 209 00:19:25,831 --> 00:19:30,169 これが 私の初めての商いでございます。 210 00:19:30,169 --> 00:19:33,072 ほう 木綿を。 はい。 211 00:19:33,072 --> 00:19:41,180 助左 あなたは 海を渡って 外国と交易する夢は 諦めましたか? 212 00:19:41,180 --> 00:19:46,519 いえ。 いずれ 己の船を持ち 海を渡りたいと思っております。 213 00:19:46,519 --> 00:19:49,188 その船を買う銭を蓄えるために➡ 214 00:19:49,188 --> 00:19:52,525 このような行商を 始めましたんでございます。 215 00:19:52,525 --> 00:19:57,863 己の銭で 船を買うつもりなのですか? はい。 216 00:19:57,863 --> 00:20:01,534 一人でできますか? はい。 217 00:20:01,534 --> 00:20:05,871 たとえ 5年かかっても 10年かかっても➡ 218 00:20:05,871 --> 00:20:10,543 己の船を持つまでは 多少の辛抱はしようと思っております。 219 00:20:10,543 --> 00:20:14,413 すばらしい夢だ。 220 00:20:14,413 --> 00:20:22,154 助左。 私に黄金があれば あなたの木綿を買ってあげたいのだが➡ 221 00:20:22,154 --> 00:20:25,091 バテレンには 銭が寄ってこない。 222 00:20:25,091 --> 00:20:27,093 あ いえ パーデレ… ここには 私は➡ 223 00:20:27,093 --> 00:20:29,228 木綿を売りに参ったんじゃ ございませんから。 224 00:20:29,228 --> 00:20:32,565 もう分かっています。 225 00:20:32,565 --> 00:20:39,271 さあ 一緒に食事をしましょう。 堺の話を聞かせてください。 226 00:20:40,906 --> 00:20:46,245 パーデレ あの… こちらに➡ 227 00:20:46,245 --> 00:20:52,585 日比屋のモニカ様が お立ち寄りに なりませんでしたでしょうか。 228 00:20:52,585 --> 00:20:56,455 五右衛門という男と一緒に。 229 00:20:56,455 --> 00:21:02,862 助左…。 モニカの魂は 病に侵されている。 230 00:21:02,862 --> 00:21:06,732 そう 悪魔が取りついている。 231 00:21:06,732 --> 00:21:10,202 では やはり おられるんですか。 232 00:21:10,202 --> 00:21:13,906 はい。 ついていらっしゃい。 233 00:21:16,876 --> 00:21:24,183 (せきこみ) 234 00:21:26,886 --> 00:21:29,555 モニカ様…。 235 00:21:29,555 --> 00:21:33,893 (フロイス)まだ 熱が下がっていません。 236 00:21:33,893 --> 00:21:37,229 10日前 雨にぬれて ここへ来た時には➡ 237 00:21:37,229 --> 00:21:44,103 もう助からないかと思うほど 高い熱を出していましたが。 238 00:21:44,103 --> 00:21:46,238 五右衛門は 一緒じゃないんですか? 239 00:21:46,238 --> 00:21:50,576 五右衛門が背負ってきたのです。 で… やつは 今 どこに? 240 00:21:50,576 --> 00:21:53,245 (モニカ)五右衛門を責めないでください。 241 00:21:53,245 --> 00:21:55,581 (せきこみ) 242 00:21:55,581 --> 00:22:03,189 私が あの人についてきたのです。 243 00:22:03,189 --> 00:22:08,527 決して かどわかされたのではありませんから…。 244 00:22:08,527 --> 00:22:14,200 モニカ。 助左は あなたを連れに来たのではありません。 245 00:22:14,200 --> 00:22:19,205 (せきこみ) 安心して休みなさい。 246 00:22:25,544 --> 00:22:29,248 助左 こっちへ。 247 00:22:32,218 --> 00:22:34,220 助左。 248 00:22:37,089 --> 00:22:43,562 五右衛門に会ったら 伝えてほしい。 249 00:22:43,562 --> 00:22:45,497 (せきこみ) 250 00:22:45,497 --> 00:22:51,203 いつまでも 待っていると。 251 00:23:00,846 --> 00:23:21,533 ♬~ 252 00:23:21,533 --> 00:23:24,203 では 五右衛門は ここにはいないんですね。 253 00:23:24,203 --> 00:23:28,073 私が出ていくようにと言ったのです。 254 00:23:28,073 --> 00:23:32,077 モニカを地獄へ落としたくなければ➡ 255 00:23:32,077 --> 00:23:36,782 苦しくても モニカのもとより去るべきだと。 256 00:23:36,782 --> 00:23:39,551 で 五右衛門は 言うことを聞いたんですね。 257 00:23:39,551 --> 00:23:43,222 彼は よく聞いてくれました。 258 00:23:43,222 --> 00:23:50,562 しかし 今は モニカの方が苦しんでいる。 259 00:23:50,562 --> 00:24:21,193 ♬~ 260 00:24:21,193 --> 00:24:28,534 (にぎわい) 261 00:24:28,534 --> 00:24:30,869 あっ いらっしゃい。 どうぞ。 262 00:24:30,869 --> 00:24:35,207 堺の唐木綿。 いかがです? 色 柄 いろいろあります。 263 00:24:35,207 --> 00:24:38,544 どうぞ お手に取って。 ねえ お願いします お客さん。 264 00:24:38,544 --> 00:24:42,247 いかがですか? ねえ! 堺の唐木綿…。 265 00:24:44,883 --> 00:24:49,555 威勢の割には 品物がさばけないね。 266 00:24:49,555 --> 00:24:55,227 今朝から一反も売れやしないんだ。 売り方を間違ってるのかな? 267 00:24:55,227 --> 00:24:57,896 品物はいいはずなんだがね…。 268 00:24:57,896 --> 00:25:02,167 お食べ。 ああ いけません。 そんな商売道具を。 269 00:25:02,167 --> 00:25:06,038 いいから。 お前 見てると 朝から 何にも 口にしてないふうじゃないか。 270 00:25:06,038 --> 00:25:08,040 ほら。 271 00:25:08,040 --> 00:25:11,744 そうですか? じゃあ すいません どうも。 頂きます。 272 00:25:13,779 --> 00:25:17,516 うん うまい! 都の味だ。 273 00:25:17,516 --> 00:25:20,853 どうもありがとうございました。 おかげで また 元気が出てきました。 274 00:25:20,853 --> 00:25:25,190 売れないわけさ。 お前の木綿は 値が高いもの。 275 00:25:25,190 --> 00:25:29,528 値が高い? そんなはずありませんよ! 276 00:25:29,528 --> 00:25:31,463 掛値を少なくするために➡ 277 00:25:31,463 --> 00:25:35,868 堺から都までの今井船にも乗らずに 歩いてきたんです。 278 00:25:35,868 --> 00:25:39,204 そりゃ 卸値より安くするってことは できないけれども➡ 279 00:25:39,204 --> 00:25:42,107 よそと比べて 決して高いはずありませんよ。 280 00:25:42,107 --> 00:25:45,544 そんなこと言うなら 上の方へ行って 見てきてごらん。 281 00:25:45,544 --> 00:25:47,479 ここの半値で売ってるから。 282 00:25:47,479 --> 00:25:51,483 半値? ほら そこだよ。 283 00:25:58,123 --> 00:26:03,028 (にぎわい) 284 00:26:03,028 --> 00:26:35,194 ♬~ 285 00:26:35,194 --> 00:26:37,196 ああ…。 286 00:26:43,068 --> 00:26:45,204 もし。 うううう…。 287 00:26:45,204 --> 00:26:49,875 お前さん 木綿を あんなに投げ売りして 勘定合うんですか? 288 00:26:49,875 --> 00:26:52,778 誰も 投げ売りなどしてねえ。 289 00:26:52,778 --> 00:26:55,747 でも あんな値段じゃ もうけがないでしょう。 290 00:26:55,747 --> 00:27:00,152 あるさ。 商いをするのに もうけがなくて何とする。 291 00:27:00,152 --> 00:27:04,490 ちょ… ちょっと待ってください。 お前さんの木綿は どこの品物です? 292 00:27:04,490 --> 00:27:07,826 私のは 堺の問屋から仕入れてきたものだけど。 293 00:27:07,826 --> 00:27:10,729 わしも 堺から仕入れてきた。 294 00:27:10,729 --> 00:27:12,698 堺? ああ。 295 00:27:12,698 --> 00:27:16,168 それじゃ 元値は同じはずだ。 そうかね。 296 00:27:16,168 --> 00:27:18,837 あの… 問屋は 日比屋さんでしょ? 297 00:27:18,837 --> 00:27:22,708 いや わしは 宗易様から譲ってもらった。 298 00:27:22,708 --> 00:27:25,511 宗易様…。 299 00:27:25,511 --> 00:27:27,846 宗易様っていうと あの➡ 300 00:27:27,846 --> 00:27:31,517 信長様のお茶頭を務められる あの 千 宗易様…。 301 00:27:31,517 --> 00:27:33,852 そうだとも。 うそだ! 302 00:27:33,852 --> 00:27:38,724 千家は 昔から 魚屋業が主で 木綿や軽物なぞ扱ってないはずだ。 303 00:27:38,724 --> 00:27:41,193 ねえ 本当のことを教えてください。 そうじゃないでしょ。 304 00:27:41,193 --> 00:27:43,862 うそだと思うのは勝手だ。 どどど… どいてくれ! 305 00:27:43,862 --> 00:27:46,165 ちょっと ねえ 教えてくださ…。 306 00:27:50,202 --> 00:28:02,147 (雨の音) 307 00:28:02,147 --> 00:28:28,140 ♬~(歌声) 308 00:28:29,841 --> 00:28:32,144 呂宋…。 309 00:29:11,450 --> 00:29:13,819 わあ~っ! 310 00:29:13,819 --> 00:29:15,754 あ~ 何するんだ! 311 00:29:15,754 --> 00:29:18,690 何するんだ! やめてくれ! 312 00:29:18,690 --> 00:29:21,994 おい! 何するんだ! やめてくれ! 313 00:29:28,834 --> 00:29:31,169 女…!? 314 00:29:31,169 --> 00:29:34,172 おい! おい! 315 00:29:40,178 --> 00:29:42,180 わあ~っ! 316 00:29:43,849 --> 00:29:46,518 ああ~っ! 317 00:29:46,518 --> 00:29:49,221 うわ~! ああ~! 318 00:30:02,534 --> 00:30:04,536 五右衛門。 319 00:30:07,406 --> 00:30:12,544 モニカ様を連れて 堺へ帰れ。 320 00:30:12,544 --> 00:30:15,447 (五右衛門)南蛮寺へ寄ったのか。 321 00:30:15,447 --> 00:30:19,885 ぬしの来るのを待っていると言った。 322 00:30:19,885 --> 00:30:23,188 俺たちのことは放っておいてくれ。 323 00:30:46,578 --> 00:31:14,740 ♬~ 324 00:31:14,740 --> 00:31:17,876 (番頭)宗易様は 河内へ行かれて お留守だ。 325 00:31:17,876 --> 00:31:21,747 あ… お差し支えなければ お教えいただけませんでしょうか。 326 00:31:21,747 --> 00:31:25,050 河内のどちらへ行かれたか。 327 00:31:33,425 --> 00:31:47,139 (物音) 328 00:31:53,245 --> 00:32:02,053 (物音) 329 00:32:02,053 --> 00:32:32,551 (機を織る音) 330 00:32:32,551 --> 00:32:35,253 どなたかな? 331 00:32:36,888 --> 00:32:42,227 行商人のようだが 道にでも踏み迷われたか。 332 00:32:42,227 --> 00:32:44,229 宗易様…。 333 00:32:46,097 --> 00:32:50,569 ほう… わしを見知ってか。 334 00:32:50,569 --> 00:32:53,472 宗易様。 335 00:32:53,472 --> 00:32:57,242 続けなさい。 336 00:32:57,242 --> 00:33:01,847 わしに会いに来た人なら 遠慮はいらぬ。 上がるがよい。 337 00:33:01,847 --> 00:33:04,149 はい! 338 00:33:32,544 --> 00:33:34,846 どうかな。 339 00:34:06,411 --> 00:34:10,382 ただの白湯だが。 340 00:34:10,382 --> 00:34:12,684 頂戴いたします。 341 00:34:32,537 --> 00:34:36,541 あ~ 温まります。 342 00:34:44,883 --> 00:34:48,887 どうも ごちそうさまでした。 343 00:34:50,755 --> 00:34:55,527 見かけたところ 行商人のようだが 何を商っておる。 344 00:34:55,527 --> 00:34:59,898 はい 木綿を扱っております。 345 00:34:59,898 --> 00:35:06,504 そうか。 では ここへも 木綿のことで来たのか。 346 00:35:06,504 --> 00:35:13,845 恐れながら 手前 宗易様に 直談判をしに参りました。 347 00:35:13,845 --> 00:35:17,182 談判とは穏やかではないな。 348 00:35:17,182 --> 00:35:21,186 まず お目にかけたいものがございます。 349 00:35:29,194 --> 00:35:33,198 これ ご覧くださいまし。 350 00:35:38,536 --> 00:35:41,539 これは痛ましい…。 351 00:35:45,410 --> 00:35:53,551 これなる木綿 是非とも 宗易様のもとへ お買い上げ願いとう存じます。 352 00:35:53,551 --> 00:35:57,422 私に これを買い上げよという訳は? 353 00:35:57,422 --> 00:36:04,162 はい。 これなるものは 都の市にて➡ 354 00:36:04,162 --> 00:36:09,501 宗易様を通したといわれる 安い木綿と売り競い➡ 355 00:36:09,501 --> 00:36:16,174 売り負けました 高い木綿の成れの果てでございます。 356 00:36:16,174 --> 00:36:22,847 それも 私が法外な値をつけて 売り負けましたんではございません。 357 00:36:22,847 --> 00:36:29,521 堺での卸値に ほんの僅かの飯代を 乗せただけの値段でございました。 358 00:36:29,521 --> 00:36:34,392 ところが 宗易様を通したという その商人は➡ 359 00:36:34,392 --> 00:36:37,195 その商人が売る木綿の値は➡ 360 00:36:37,195 --> 00:36:41,533 堺の卸値よりも まだ安いんでございます。 361 00:36:41,533 --> 00:36:45,870 卸値よりも安く売られたんでは 勝負のしようがございません。 362 00:36:45,870 --> 00:36:53,545 卸値は… 卸値は 商人の命綱でございます。 363 00:36:53,545 --> 00:36:58,416 私は 堺の定めた卸値を命に➡ 364 00:36:58,416 --> 00:37:02,353 こうして 都まで上ってまいったんでございます。 365 00:37:02,353 --> 00:37:07,826 あなた様は 堺の商人 堺の会合衆でおられます。 366 00:37:07,826 --> 00:37:13,698 そのあなた様が 堺の定めた卸値を 自ら進んで崩されるということは➡ 367 00:37:13,698 --> 00:37:16,501 どういうことでございましょう。 368 00:37:16,501 --> 00:37:22,373 ご心底を伺いとう存じます。 369 00:37:22,373 --> 00:37:29,848 こなたとは 前にも一度 どこかで会うたことがあるようだ。 370 00:37:29,848 --> 00:37:37,188 はい。 今井船の水夫をしておりました折に。 371 00:37:37,188 --> 00:37:40,091  回想 お手を。 372 00:37:40,091 --> 00:37:42,393 すまぬな。 373 00:37:50,535 --> 00:37:54,539 ああ あの時の…。 374 00:37:56,407 --> 00:38:00,145 船は降りたのか。 はい。 375 00:38:00,145 --> 00:38:05,016 今井も辞めて。 はい。 376 00:38:05,016 --> 00:38:08,019 一人で行商を始めたのか。 377 00:38:08,019 --> 00:38:17,695 はい。 これが 手前の初めての商いでございました。 378 00:38:17,695 --> 00:38:25,370 なるほど。 こなたの初めての商いを 私の木綿が邪魔をしてしまったのなら➡ 379 00:38:25,370 --> 00:38:28,506 それは 相すまぬことであった。 380 00:38:28,506 --> 00:38:34,846 この唐木綿 こなたの売値で買い取ろう。 381 00:38:34,846 --> 00:38:38,516 えっ? う… 売値で買い取られると。 382 00:38:38,516 --> 00:38:41,186 こなたが そうしろと言ったのではないか。 383 00:38:41,186 --> 00:38:44,088 はっ… いえ それにしても これは➡ 384 00:38:44,088 --> 00:38:47,058 野良着にするにしても 汚れ過ぎておりますから あの~➡ 385 00:38:47,058 --> 00:38:49,060 売値ではなく 卸値にしておき…。 386 00:38:49,060 --> 00:38:56,534 まあ いいから。 買う以上は 私も 損をしない工夫を考えてみるよ。 387 00:38:56,534 --> 00:39:00,805 小袖にはできなくとも 何か ほかに 使いみちがあるかもしれないからね。 388 00:39:00,805 --> 00:39:03,141 工夫によっては。 389 00:39:03,141 --> 00:39:05,810 工夫…。 うん。 390 00:39:05,810 --> 00:39:07,812 あっ。 391 00:39:11,149 --> 00:39:13,852 これを見てごらん。 392 00:39:18,489 --> 00:39:22,827 昨日までは 一本のただの竹であった。 393 00:39:22,827 --> 00:39:26,497 が 今日は 花入れになった。 394 00:39:26,497 --> 00:39:29,200 これが工夫だ。 395 00:39:30,835 --> 00:39:37,709 商人ならば なおのこと こういう工夫を 一度はしてみることだ。 396 00:39:37,709 --> 00:39:42,447 東のものを西に運ぶだけが商いだとは 思わない。 397 00:39:42,447 --> 00:39:49,187 そこで 私も ああいうものを ひそかに始めてみたのだが…。 398 00:39:49,187 --> 00:39:52,890 あそこで織っているものが分かるかな? 399 00:39:55,526 --> 00:39:58,863 木綿を織っているのだ。 400 00:39:58,863 --> 00:40:01,866 木綿を!? 401 00:40:10,208 --> 00:40:12,543 木綿だ。 402 00:40:12,543 --> 00:40:17,882 まあ 木綿といえば 唐か朝鮮の渡来品しかないと➡ 403 00:40:17,882 --> 00:40:20,551 決めてかかることはないのだ。 404 00:40:20,551 --> 00:40:26,891 種から育てて 綿を紡いで糸とし 綿布に織ってみると➡ 405 00:40:26,891 --> 00:40:30,895 こうして 河内の山奥ででも 木綿は出来る。 406 00:40:34,232 --> 00:40:37,902 今 出回っている 唐や朝鮮のものと比べると➡ 407 00:40:37,902 --> 00:40:42,240 まだまだ 質は及ばないが そのうちに追いつくかもしれん。 408 00:40:42,240 --> 00:40:44,943 これも 工夫のうちだ。 409 00:40:46,911 --> 00:40:52,583 これを始めて2年目だが まだ 売り物にはならん。 410 00:40:52,583 --> 00:40:57,922 こなたが 都で かち合うた男というのは 元うちにいた奉公人だ。 411 00:40:57,922 --> 00:41:02,193 まあ 自分たちで着る分には 構わんだろうと思って➡ 412 00:41:02,193 --> 00:41:05,863 ここの木綿を 土産代わりに持たせてやったのだが➡ 413 00:41:05,863 --> 00:41:09,534 あれを売り物にしてしまったのだな。 414 00:41:09,534 --> 00:41:14,839 いや そなたには とんだ迷惑をかけてしまった。 415 00:41:22,113 --> 00:41:25,550 世に価値あるものというのは➡ 416 00:41:25,550 --> 00:41:31,889 いずれも そこにしかない光を放つものだ。 417 00:41:31,889 --> 00:41:37,895 ものの価値とは そのものが放つ光のことだ。 418 00:41:39,564 --> 00:41:45,236 さて これは いくらで買い取ろう。 419 00:41:45,236 --> 00:41:57,248 ♬~ 420 00:41:57,248 --> 00:41:59,917 工夫か…。 421 00:41:59,917 --> 00:42:05,189 なるほど。 木綿は 着るだけのものとは限らない。 422 00:42:05,189 --> 00:42:07,125 木綿…。 423 00:42:07,125 --> 00:42:09,861  回想 (善住坊)木綿の火縄。 424 00:42:09,861 --> 00:42:12,530 (善住坊)木綿を使ってみた。 425 00:42:12,530 --> 00:42:15,199 竹じゃなく 木綿か! 426 00:42:15,199 --> 00:42:20,071 竹は 火先の火移りはいいが 湿気に弱くて 長もちしない。 427 00:42:20,071 --> 00:42:26,811 木綿は 雨や露に当たっても 乾けば 元どおりになる。 戦向きだ。 428 00:42:26,811 --> 00:42:29,213 木綿の火縄! 429 00:42:29,213 --> 00:42:41,793 ♬~ 430 00:42:41,793 --> 00:42:43,761 宗易様! 431 00:42:43,761 --> 00:42:48,566 (老婆)旦那様なら 裏山へ 竹を切りに行かれましたが。 432 00:42:48,566 --> 00:42:52,570 あ… あの 木綿は もろうて帰ります。 木綿は もろうて帰ります。 433 00:42:57,241 --> 00:42:59,577 あっ 宗易様が戻られたら 言うてくだされ。 434 00:42:59,577 --> 00:43:04,182 工夫の道が見つかりましたし 引き取って帰りますと。 ごめん! 435 00:43:04,182 --> 00:43:30,208 ♬~ 436 00:43:30,208 --> 00:43:34,078 <歴史は 近世に向かって 駆け出していた。➡ 437 00:43:34,078 --> 00:43:41,085 天正という新しい時代を 一人の若者が追いかけてゆく>