1 00:00:02,102 --> 00:02:40,093 ♬~ 2 00:02:45,532 --> 00:02:49,870 (信長)「河うち敵城ども 落居の体➡ 3 00:02:49,870 --> 00:02:54,741 其の方へ 相聞こえ候よし候。➡ 4 00:02:54,741 --> 00:02:58,545 慥かに其の分に候。➡ 5 00:02:58,545 --> 00:03:02,816 男女ことごとく 撫切に申しつけ候」…。 6 00:03:02,816 --> 00:03:05,719 <天正2年7月。➡ 7 00:03:05,719 --> 00:03:12,159 伊勢長島の一向一揆軍に対する 織田信長の攻撃は 熾烈を極めた。➡ 8 00:03:12,159 --> 00:03:17,030 戦力を消耗し尽くした一揆勢は 9月29日➡ 9 00:03:17,030 --> 00:03:21,501 老人 婦女子の助命を条件に 降伏を申し出たが➡ 10 00:03:21,501 --> 00:03:23,837 信長は これを拒絶して➡ 11 00:03:23,837 --> 00:03:28,708 老若男女2万人の大虐殺をやってのけた> 12 00:03:28,708 --> 00:03:42,022 ♬~ 13 00:03:55,202 --> 00:03:58,872 (助左)お仙さんが 火縄の煮方を覚えててくれたの 助かった。 14 00:03:58,872 --> 00:04:03,877 (お仙)見よう見まねさ。 善住坊が つくっていたのを見ていたからね。 15 00:04:14,154 --> 00:04:20,026 お仙さん。 俺が 善住坊と一緒に呂宋へ渡る時に➡ 16 00:04:20,026 --> 00:04:22,028 ぬしも 共に来ぬか? 17 00:04:22,028 --> 00:04:25,765 今更 呂宋へ行ってみたいとは 思わないが➡ 18 00:04:25,765 --> 00:04:28,168 ぬしの船になら乗ってみたい。 19 00:04:28,168 --> 00:04:30,837 その船には 善住坊や五右衛門も 乗ってるんだろう? 20 00:04:30,837 --> 00:04:38,512 乗ってるとも。 船出の時には 加賀国から 善住坊を呼び寄せ➡ 21 00:04:38,512 --> 00:04:42,382 五右衛門を捜し出して…。 そうだ。 22 00:04:42,382 --> 00:04:44,851 (小声で)あんまり大きな声じゃ 言えないがね➡ 23 00:04:44,851 --> 00:04:48,188 モニカ様も 望むなら 一緒にお連れしてもいい。 24 00:04:48,188 --> 00:04:51,491 ついでに 今井の御寮さんも さらっていけばよい。 25 00:04:53,059 --> 00:04:56,062 さらっていく度胸がないかえ? 26 00:04:57,864 --> 00:05:02,702 人さらいなんて そんな 大それたことはできない。 27 00:05:02,702 --> 00:05:05,672 少しも大それたことなものか。 28 00:05:05,672 --> 00:05:08,475 あの人が あんなに さらわれたがってるのに➡ 29 00:05:08,475 --> 00:05:10,410 ぬしには 分からぬかえ? 30 00:05:10,410 --> 00:05:15,348 あの御寮さんはね 五右衛門に さらわれていったモニカ様のことが➡ 31 00:05:15,348 --> 00:05:18,485 羨ましくて羨ましくて しょうがないんだ。 32 00:05:18,485 --> 00:05:23,356 だから 家業も ほっぽらかして 今日は高槻 明日は伏見と➡ 33 00:05:23,356 --> 00:05:27,827 モニカ様と五右衛門のことを 追いかけ回してるじゃないか。➡ 34 00:05:27,827 --> 00:05:32,499 美緒様はね さらわれていったモニカ様に➡ 35 00:05:32,499 --> 00:05:36,203 やいてるんだ~。 36 00:05:41,841 --> 00:05:44,844 (鐘の音) 37 00:05:52,853 --> 00:06:05,865 (鐘の音) 38 00:06:10,136 --> 00:06:15,809 (美緒)もう3日… 3日早くに伺っていたら➡ 39 00:06:15,809 --> 00:06:19,479 ここで モニカ様と お会いできたのですね…。 40 00:06:19,479 --> 00:06:24,818 あの日は ひどい嵐でした。 41 00:06:24,818 --> 00:06:28,688 私の目には モニカが➡ 42 00:06:28,688 --> 00:06:32,392 悪魔に連れ去られていくように 見えました。 43 00:06:41,368 --> 00:06:45,839 (嵐の音) 44 00:06:45,839 --> 00:06:48,508 モニカ!➡ 45 00:06:48,508 --> 00:06:52,512 モニカ! モニカ! 46 00:06:57,183 --> 00:07:00,186 (ポルトガル語) 47 00:07:03,456 --> 00:07:08,161 (ポルトガル語) 48 00:07:10,330 --> 00:07:14,100 モニカ! モニカ! モニカ! 49 00:07:14,100 --> 00:07:18,805 (ポルトガル語) 50 00:07:24,744 --> 00:07:31,051 (フロイス)モニカ! モニカ! 行ってはいけない! 行ってはいけない! 51 00:07:35,155 --> 00:07:39,492 連れ去ったのは 五右衛門…? 52 00:07:39,492 --> 00:07:45,165 (フロイス)モニカは 体が弱っていました。➡ 53 00:07:45,165 --> 00:07:50,837 今は それだけが心配です。➡ 54 00:07:50,837 --> 00:07:53,506 モニカが ここにいること➡ 55 00:07:53,506 --> 00:07:58,378 美緒さん 助左に聞いてきましたんですね。 56 00:07:58,378 --> 00:08:03,316 助左が? ここへ来たのでございますか? 57 00:08:03,316 --> 00:08:07,053 助左は 何も言わなかったんですか? 58 00:08:07,053 --> 00:08:09,789 助左は いつ ここへ? 59 00:08:09,789 --> 00:08:12,792 3月ごろでしたか。 60 00:08:14,461 --> 00:08:18,131 私の方は 半年以上も 顔を見ておりませんが➡ 61 00:08:18,131 --> 00:08:20,066 元気に やっておりましたでしょうか。 62 00:08:20,066 --> 00:08:26,806 はい。 銭を蓄えて 交易船を買いたいと言っていましたよ。 63 00:08:26,806 --> 00:08:32,679 とっても元気に これからの夢を語っていきました。 64 00:08:32,679 --> 00:08:38,418 どうしても 海を渡りたいのですね。 65 00:08:38,418 --> 00:08:44,724 彼なら きっと いつか 自分の船を持つかもしれないね。 66 00:08:48,828 --> 00:08:52,132 (爆発音) 67 00:09:07,781 --> 00:09:10,683 どうした… どうした? え? 68 00:09:10,683 --> 00:09:14,687 これ こうしてるうちに… バ~ン。 69 00:09:16,456 --> 00:09:20,326 あっ 分量 間違えた。 分量 間違えちゃった…。 70 00:09:20,326 --> 00:09:25,031 あっ 火! 水 水! 早く 早く! 水! 71 00:09:27,100 --> 00:09:30,804 水! 水 くんできて! ああ~! 72 00:09:30,804 --> 00:09:33,506 これ! これ 早く! えっ? 73 00:09:35,141 --> 00:09:37,477 早く 早く! 74 00:09:37,477 --> 00:09:40,480 早く 消して 消して! そっち そっち そっち! 75 00:09:46,152 --> 00:09:50,023 わあ~! どっち まいて…。 あっち。 76 00:09:50,023 --> 00:09:59,499 ♬~ 77 00:09:59,499 --> 00:10:03,803 <助左の木綿が 火縄に化けた> 78 00:10:05,371 --> 00:10:07,674 あ~ 助かった。 79 00:10:09,509 --> 00:10:13,179 よし もう この辺でいいよ。 どうもありがとう。さよなら! 80 00:10:13,179 --> 00:10:17,517 さよなら。 仲よくな 仲よくな。 元気でな。 81 00:10:17,517 --> 00:10:19,452 ハハッ。 82 00:10:19,452 --> 00:11:09,168 ♬~ 83 00:11:09,168 --> 00:11:13,039 <木綿の火縄は 堺をたって 琵琶湖へ乗り出し➡ 84 00:11:13,039 --> 00:11:16,042 長浜へ運ばれてゆく> 85 00:11:16,042 --> 00:11:26,052 ♬~ 86 00:11:37,864 --> 00:11:45,205 <長浜は 羽柴藤吉郎秀吉という 江北三郡の新しい支配者を迎えて➡ 87 00:11:45,205 --> 00:11:49,208 大がかりな町づくりに 沸き返っている> 88 00:11:54,547 --> 00:11:57,550 ちょ ちょ… ちょっと ちょっと…。 89 00:12:13,833 --> 00:12:16,736 (銃声) 90 00:12:16,736 --> 00:12:19,739 (秀吉)どうだ どうだ? どうだ 具合は? 91 00:12:21,507 --> 00:12:25,178 (半兵衛)使えます。 ほう~ 使えるか! 92 00:12:25,178 --> 00:12:28,081 今井のものと ほとんど差はございません。 93 00:12:28,081 --> 00:12:35,188 助左 ぬしがつくった火縄は 今井のもんと比べても 差がねえそうだ。 94 00:12:35,188 --> 00:12:38,524 おい 大したもんではないか。 アッハッハッハ! 95 00:12:38,524 --> 00:12:40,860 今井様のものと同じと…。 96 00:12:40,860 --> 00:12:44,530 では もう既に 今井様では あの…➡ 97 00:12:44,530 --> 00:12:47,200 火縄に 木綿をご使用に なってらっしゃるんでございますか? 98 00:12:47,200 --> 00:12:51,070 あれ! 今井から教わったんではないのか この火縄は。 99 00:12:51,070 --> 00:12:53,072 えっ!? (半兵衛)今井のものは➡ 100 00:12:53,072 --> 00:12:57,543 更に これに 漆を塗っている。 漆? 101 00:12:57,543 --> 00:13:01,814 火縄に漆を塗るというのは どういうことで? 102 00:13:01,814 --> 00:13:04,150 雨よけ 露よけ。 103 00:13:04,150 --> 00:13:09,822 この火縄を 雨や露から防ぐために 宗久が工夫してくれたんだ。 104 00:13:09,822 --> 00:13:13,493 いや~ しかし ぬしも よくぞ一人で ここまで つくり上げた! 105 00:13:13,493 --> 00:13:18,364 なに 今井は大所帯だ。 財力も ぬしとは比べ物にならん。➡ 106 00:13:18,364 --> 00:13:21,367 漆ほどの差で劣っても 恥ではない。 107 00:13:21,367 --> 00:13:25,104 よし! ぬしがつくった火縄 わしが 全部買い受けよう! 半兵衛。 108 00:13:25,104 --> 00:13:27,807 (半兵衛)はっ。(秀吉)来い。 あ… はい。 109 00:13:34,180 --> 00:13:36,516 あ… ありがとうございました。 110 00:13:36,516 --> 00:13:38,851  心の声 さすがは 今井だ。➡ 111 00:13:38,851 --> 00:13:42,555 俺なんぞより はるかに先を走っている…。 112 00:13:53,866 --> 00:13:56,769 (秀吉)いいなあ 商いで もうけるというのは。➡ 113 00:13:56,769 --> 00:13:59,205 ハッハッハッハッハ! 114 00:13:59,205 --> 00:14:02,809 おい どうだ? 初めて 商いで もうかった気分は。 115 00:14:02,809 --> 00:14:05,478 いいもんだろう。 フフフフフ! 116 00:14:05,478 --> 00:14:09,148 気分はと言われましても…。 遠慮するな。 117 00:14:09,148 --> 00:14:11,484 いくら もうかった? もうけ? 118 00:14:11,484 --> 00:14:14,153 もうけは いくらもないんじゃないですか? 119 00:14:14,153 --> 00:14:17,490 何だ わしは 値切らんかったぞ。 それは そうですが…。 120 00:14:17,490 --> 00:14:19,425 もうけがねえはずは ねえだろう。 はあ…。 121 00:14:19,425 --> 00:14:24,163 売り物にならなくなった木綿を 自分の手で 火縄につくり替えて➡ 122 00:14:24,163 --> 00:14:26,833 飲まず食わずで ここまで やって来たんだ。 123 00:14:26,833 --> 00:14:30,503 今井のものより 元手は だいぶん安く上がってるはずだ。 124 00:14:30,503 --> 00:14:35,174 何もかも 己一人でやったのが かえって 高くついてしまったようです。 125 00:14:35,174 --> 00:14:39,045 半焼けにしてしまった あの屋形船の 弁償もしなければなりませんから。 126 00:14:39,045 --> 00:14:42,849 われ 船まで焼いたのか。 はい。 127 00:14:42,849 --> 00:14:46,185 せっかく お買い上げ願ったのに どうもすいませんでした。 128 00:14:46,185 --> 00:14:48,855 別に わしに謝ることはないが。 129 00:14:48,855 --> 00:14:51,524 あ あの…。 はい? ちょっと。 130 00:14:51,524 --> 00:14:53,860 はい はい。ちょっと。 はい。 131 00:14:53,860 --> 00:14:58,731 かといって 今井のものより 高く買うわけにはいかんからな。 132 00:14:58,731 --> 00:15:03,136 しかし 大損をしなかっただけでも 上出来だったと思ってます。 133 00:15:03,136 --> 00:15:10,843 しかし… しかし 助左 商いは もうけなくちゃいかん。 134 00:15:12,478 --> 00:15:17,350 実はな ぬしを ここへ連れてきたのは➡ 135 00:15:17,350 --> 00:15:21,154 ぬしに買うてもらいたいもんがあってな。 136 00:15:21,154 --> 00:15:24,490 殿様… 私に何を買えと? 137 00:15:24,490 --> 00:15:29,162 な~に 今 ここにある銭で買える値段に まけておくから。 138 00:15:29,162 --> 00:15:31,497 買っておいて 絶対 損はしませんよ。 139 00:15:31,497 --> 00:15:35,368 そこは わしを信用して。 まあ 実物を見てやってちょ。 140 00:15:35,368 --> 00:15:38,671 はい こっち。 はい こっち。 141 00:15:41,174 --> 00:15:43,843  心の声 あれで 一国一城の主か?➡ 142 00:15:43,843 --> 00:15:46,746 まるで 立ち売りの商人じゃないか。 143 00:15:46,746 --> 00:15:49,182 (秀吉)何 ぼんやり突っ立っとるんだ。➡ 144 00:15:49,182 --> 00:15:52,084 早く乗れ 早く! はい すいません。 145 00:15:52,084 --> 00:15:54,854 ハハハ。 146 00:15:54,854 --> 00:15:58,524 どうだ いい買い物だろう。 うん? 147 00:15:58,524 --> 00:16:03,129 いや あの~ 殿様 それで その品物… 品物は? 148 00:16:03,129 --> 00:16:06,799 何を言うとるんだ。 149 00:16:06,799 --> 00:16:09,802 これだよ。 これ これ! 150 00:16:11,671 --> 00:16:14,140 これ? これ! 151 00:16:14,140 --> 00:16:17,043 この舟? うん! この舟。 152 00:16:17,043 --> 00:16:19,812 この石舟を買えと仰せなんで…? 153 00:16:19,812 --> 00:16:24,484 己の船を持つのが夢だと言うていたな。 今こそ 今こそ 夢がかなうんだ。 154 00:16:24,484 --> 00:16:27,386 この舟を買うて 船長になれ。 船長! いや… 船を持つといったって➡ 155 00:16:27,386 --> 00:16:31,157 私が乗りたいのは 海を越える交易船のことでございます。 156 00:16:31,157 --> 00:16:35,495 琵琶湖の船頭になるために 今井を辞めたんじゃございません。 はい。 157 00:16:35,495 --> 00:16:38,397 せっかくですが ご遠慮申し上げます。 ちょ… 待て 待て 待て。 158 00:16:38,397 --> 00:16:41,167 待て。 いや…。 159 00:16:41,167 --> 00:16:43,503 殿様…。 そう むきになるから。 160 00:16:43,503 --> 00:16:48,174 いいか? 己の大望が分からずに 言うてるんではないんだ。 161 00:16:48,174 --> 00:16:52,511 わしゃ おぬしに 一日も早く 千石船の船主になってもらいたいから➡ 162 00:16:52,511 --> 00:16:56,382 陸路の行商よりは実入りのいい商いを 勧めているんだ。 163 00:16:56,382 --> 00:16:58,384 第一 ぬしには➡ 164 00:16:58,384 --> 00:17:02,321 ものを値切ったり ふっかけたりして もうけていく才覚はない。 165 00:17:02,321 --> 00:17:07,793 だから ここよりは 体使って…。 166 00:17:07,793 --> 00:17:10,463 体使って ほら こうやって…➡ 167 00:17:10,463 --> 00:17:15,334 えっさこら えっさこら 地道に蓄えを増やしていった方がいい。 168 00:17:15,334 --> 00:17:18,137 その方が ぬしの性にも合うてる。 169 00:17:18,137 --> 00:17:23,009 助左 わしの言うてることに間違いはない。 170 00:17:23,009 --> 00:17:25,011 はあ…。 171 00:17:25,011 --> 00:17:33,152 しかし 殿様 こんな舟で 一体 どんな商いをせよと仰せになります? 172 00:17:33,152 --> 00:17:39,825 この… この指の先をまっすぐに行けば どこへ突き当たるか。 173 00:17:39,825 --> 00:17:47,700 近江国滋賀郡 明智光秀殿が領地 叡山の門前町 坂本の港へ行き着く。 174 00:17:47,700 --> 00:17:49,835 坂本…。 175 00:17:49,835 --> 00:17:55,508 いいか 坂本までは 舟で行きゃあ半日だ。 歩きゃあ それが1日かかるんだ。 176 00:17:55,508 --> 00:18:00,346 1日がかりのところを 僅か半日で行けるんだぞ 舟で行けば。 177 00:18:00,346 --> 00:18:02,782 都は 坂本と目の鼻の先だ。 178 00:18:02,782 --> 00:18:07,653 都の珍しい品物を 坂本から この長浜へ運ぶんだ。 179 00:18:07,653 --> 00:18:11,791 同じように 長浜の物産を 坂本へ運ぶんだ。 180 00:18:11,791 --> 00:18:13,726 両方の問屋には 渡りをつけておくから➡ 181 00:18:13,726 --> 00:18:16,128 ぬしは 品物を こう交換してくるだけでいいんだ。 182 00:18:16,128 --> 00:18:18,464 まあ 理屈から言やあ 交易業だ。 183 00:18:18,464 --> 00:18:23,135 どうだ これ やってみねえか? はあ…。 184 00:18:23,135 --> 00:18:29,008 アハハ それと あの これは たまにでいいんだが…➡ 185 00:18:29,008 --> 00:18:36,148 わしが都へ赴く時なんか ちょっと ちょっと使わしてもらいたいんだ。 186 00:18:36,148 --> 00:18:38,484 この舟を。 うん この舟。 187 00:18:38,484 --> 00:18:42,355 いや しかし 殿様には 立派な軍船が…。 いやいや それが…➡ 188 00:18:42,355 --> 00:18:45,157 忍びで ちょっと 行かねばならん時があるんだ。 189 00:18:45,157 --> 00:18:49,829 そういう時にね…。 し… 忍びの御用? 190 00:18:49,829 --> 00:18:54,166 忍びの御用といわれますと…。 最後まで言わせるなよ。 191 00:18:54,166 --> 00:18:57,837 察して。 察して! 分かるでしょう。 192 00:18:57,837 --> 00:19:01,707 分からないです。 ああ… そう。 193 00:19:01,707 --> 00:19:03,642 ハッハッハッハッハ! 194 00:19:03,642 --> 00:19:06,646 分からんきゃ分からんでよろしい。 は? 195 00:19:06,646 --> 00:19:12,118 おい どうだ やってみねえか!? 196 00:19:12,118 --> 00:19:18,791 はあ… そりゃあ 陸よりも 水の上の方が面白いですし。 197 00:19:18,791 --> 00:19:23,129 呂宋との交易 やってみるか! 198 00:19:23,129 --> 00:19:26,465 はい やってみます! 199 00:19:26,465 --> 00:19:30,803 話は決まった! よし! じゃあ 早速だが 銭もらおうか。 200 00:19:30,803 --> 00:19:33,139 はい? 舟の代金。今? 201 00:19:33,139 --> 00:19:35,808 今 今! 今なら ほら 火縄の代金があるだろう。 202 00:19:35,808 --> 00:19:38,711 あれ こっちへ。 ああ そうか…。 203 00:19:38,711 --> 00:19:42,481 せっかくもらった銭が行って来いだ。 アッハッハッハ! はい! 204 00:19:42,481 --> 00:19:46,352 さあ これで この舟の主は おぬしだ! 205 00:19:46,352 --> 00:19:49,155 なあ! 舟の主だ! 待ちに待った 船長だ! 206 00:19:49,155 --> 00:19:51,824 よかったなあ。 よかった 助左! いや しかし…。 207 00:19:51,824 --> 00:19:54,493 おめでとう。 おめでとう 船長! 頑張れ! 208 00:19:54,493 --> 00:19:59,165 あ~ 殿様…。 頑張れ。 頑張れよ~! アハハ! 209 00:19:59,165 --> 00:20:01,834 あ…。 210 00:20:01,834 --> 00:20:30,863 ♬~ 211 00:20:30,863 --> 00:20:34,200 船長か…。 212 00:20:34,200 --> 00:20:36,535 悪くないな。 213 00:20:36,535 --> 00:21:01,160 ♬~ 214 00:21:01,160 --> 00:21:09,502 <長浜から坂本までは 陸路で23里 3日の行程である。➡ 215 00:21:09,502 --> 00:21:15,374 湖上の輸送は この距離と時間を 6分の1に短縮した。➡ 216 00:21:15,374 --> 00:21:21,847 助左衛門の舟は 長浜と坂本の間を 2日で一往復というリズムで➡ 217 00:21:21,847 --> 00:21:25,518 振り子のように往来した。➡ 218 00:21:25,518 --> 00:21:31,390 新天地の生活は 眠る時のほかは 湖の上だった。➡ 219 00:21:31,390 --> 00:21:35,861 黙々と ただ機械のような正確さで➡ 220 00:21:35,861 --> 00:21:41,200 決められた水の道を往復する日々が 続いていった> 221 00:21:41,200 --> 00:21:55,214 ♬~ 222 00:21:55,214 --> 00:21:57,550 (ほら貝の音) 223 00:21:57,550 --> 00:22:00,820 <天正3年4月21日。➡ 224 00:22:00,820 --> 00:22:06,692 甲斐の武田勝頼が 大兵を率いて 三河の長篠城を包囲した。➡ 225 00:22:06,692 --> 00:22:10,496 長篠城は 徳川家康の支城で➡ 226 00:22:10,496 --> 00:22:15,167 武田軍の三河侵入を防御するための 要衝であった。➡ 227 00:22:15,167 --> 00:22:19,038 信長は ただちに戦備を整え 三河に進軍し➡ 228 00:22:19,038 --> 00:22:24,510 家康と連合して 5月21日 長篠城外の設楽ヶ原で➡ 229 00:22:24,510 --> 00:22:27,513 武田軍と決戦を交えた> 230 00:22:29,381 --> 00:22:33,185 <天下に勇名をとどろかす 甲州の騎馬軍団と➡ 231 00:22:33,185 --> 00:22:35,521 信長軍の鉄砲隊が➡ 232 00:22:35,521 --> 00:22:41,393 真正面から激突して雌雄を決した 長篠の役である。➡ 233 00:22:41,393 --> 00:22:46,532 勝頼は 1万5,000の武田軍を 13段に構え➡ 234 00:22:46,532 --> 00:22:50,402 織田・徳川の陣地に向かって 突撃を開始した。➡ 235 00:22:50,402 --> 00:22:54,873 地鳴りを上げて押し寄せる 甲州騎馬軍団の正面には➡ 236 00:22:54,873 --> 00:22:59,211 信長勢3,000丁の鉄砲が待ち構えている。➡ 237 00:22:59,211 --> 00:23:04,049 騎馬軍団の突撃は 戦術的には 必ずしも無謀とは言えない。➡ 238 00:23:04,049 --> 00:23:08,821 敵が鉄砲隊の場合には 最初の一発さえ外せば➡ 239 00:23:08,821 --> 00:23:15,160 次の弾薬の詰め替えまで 鉄砲隊は 戦闘不能の状態となるからである。➡ 240 00:23:15,160 --> 00:23:18,063 その間隙につけ込んで 突進すれば➡ 241 00:23:18,063 --> 00:23:23,836 馬防ぎの柵木などは ひともみに 押し潰すことができるはずであった。➡ 242 00:23:23,836 --> 00:23:29,508 ところが 信長は 鉄砲隊の宿命 ともいうべき 玉込めの空間を➡ 243 00:23:29,508 --> 00:23:33,846 彼の新戦法で 埋めてしまっていたのである。➡ 244 00:23:33,846 --> 00:23:38,517 すなわち 3,000丁の鉄砲を3隊に分け➡ 245 00:23:38,517 --> 00:23:41,420 1,000丁ずつ 代わる代わるに撃ち続けるという➡ 246 00:23:41,420 --> 00:23:46,392 3段構えの一斉射撃法が それであった。➡ 247 00:23:46,392 --> 00:23:50,129 玉込めの空間を目がけて ばく進してきた騎馬兵団は➡ 248 00:23:50,129 --> 00:23:53,532 一瞬の隙間もない弾丸雨飛の中で➡ 249 00:23:53,532 --> 00:23:56,435 みるみる屍を積み重ねた。➡ 250 00:23:56,435 --> 00:24:02,141 実に 信玄以来の手だれの強者や 名だたる武将たちが➡ 251 00:24:02,141 --> 00:24:05,477 まるで 狩り場の罠にかかった鹿のように➡ 252 00:24:05,477 --> 00:24:09,148 なすすべもなく討ち取られていった。➡ 253 00:24:09,148 --> 00:24:16,488 信長の鉄砲を主体とする近代戦術の 完全なる勝利であった。➡ 254 00:24:16,488 --> 00:24:24,363 片や 武田1万余の騎馬隊は その真価を発揮することもなく壊滅し➡ 255 00:24:24,363 --> 00:24:32,371 東国の覇者 武田家は この日を境に 天下取りの座から滑り落ちていく> 256 00:24:54,526 --> 00:24:57,429 (左吉)お~い 頼む。 へい。 257 00:24:57,429 --> 00:25:00,132 はあ~! 258 00:25:00,132 --> 00:25:04,003 都まで乗せてってくれないか。 はい…。 259 00:25:04,003 --> 00:25:09,475 当家中の近侍で 石田左吉と申す者だが➡ 260 00:25:09,475 --> 00:25:14,146 この米を 都のフロイスという パーデレまで 寄進に赴きたいんだ。 261 00:25:14,146 --> 00:25:17,850 フロイス様!? ああ。 262 00:25:57,723 --> 00:26:01,126 こなた様は キリシタンでいらっしゃいますか? 263 00:26:01,126 --> 00:26:03,062 いや。 264 00:26:03,062 --> 00:26:07,466 では フロイス様のお知り合いで? いや。 265 00:26:07,466 --> 00:26:11,136 では なぜ 米などを ご寄進なさるんです? 266 00:26:11,136 --> 00:26:13,439 しかも それも 1俵も。 267 00:26:15,007 --> 00:26:19,812 ぬし 都へは よく行くんだろ? はい。 268 00:26:19,812 --> 00:26:24,149 ならば 今 都で普請中の南蛮寺のことは 存じておるか? 269 00:26:24,149 --> 00:26:27,820 噂では聞いておりますが まだ この目で見たことはございません。 270 00:26:27,820 --> 00:26:29,755 私は 図面も見ている。 271 00:26:29,755 --> 00:26:35,694 バテレンたちが建設の許可を得るために 信長公に差し出した南蛮寺の図面だが➡ 272 00:26:35,694 --> 00:26:39,832 ああ それは いかにも不思議な格好の建物でな➡ 273 00:26:39,832 --> 00:26:45,504 建て始めたら 是非にも見物に行こうと その時から決めていた。 274 00:26:45,504 --> 00:26:49,374 図面を岐阜城で見たのが 去年の話だが➡ 275 00:26:49,374 --> 00:26:53,178 いまだに 完成したという話を聞かぬ。 276 00:26:53,178 --> 00:26:56,515 何でも 都の僧侶や町衆が➡ 277 00:26:56,515 --> 00:26:59,852 3階建ての天主堂を2階建てにしろと 騒ぎ立てているために➡ 278 00:26:59,852 --> 00:27:02,754 普請が遅れている様子なのだ。 ほう。 279 00:27:02,754 --> 00:27:04,690 どうして 都の人たちは➡ 280 00:27:04,690 --> 00:27:07,459 3階建てはならぬと 言っておるんでございましょう。 281 00:27:07,459 --> 00:27:12,798 寺や民家を見下ろす格好になるのが 我慢できぬということらしいな。 282 00:27:12,798 --> 00:27:15,701 つまらぬ理由でございますな。 ハハッ…。 283 00:27:15,701 --> 00:27:19,671 ああ この分では いつ完成するか 知れたもんではないから➡ 284 00:27:19,671 --> 00:27:23,442 見切りをつけて 今のうちに見学に行くところさ。 285 00:27:23,442 --> 00:27:31,149 ハッ この米な…。 これは まあ いわば見物料のつもりだ。 286 00:27:31,149 --> 00:27:35,821 フロイス様も ご心労なことでございますな。 287 00:27:35,821 --> 00:27:39,158 ぬし パーデレと懇意なのか。 288 00:27:39,158 --> 00:27:44,029 出が堺でございますんで いつからともなく存じ上げております。 289 00:27:44,029 --> 00:27:50,168 ああ そうか。 だったら ぬしに頼んで 連れてってもらうんだったな。 290 00:27:50,168 --> 00:27:54,039 そうすれば こんな米など 運んでくることはなかったんだ。 291 00:27:54,039 --> 00:27:59,511 いえいえ パーデレたちの暮らしは 貧しゅうございますから➡ 292 00:27:59,511 --> 00:28:04,349 フロイス様も さぞ お喜びのことでございましょう。 293 00:28:04,349 --> 00:28:08,120 おぬし 名を聞かせてくれぬか。 294 00:28:08,120 --> 00:28:11,456 助左と申します。 助左。 295 00:28:11,456 --> 00:28:14,760 生国は 堺か。 はい。 296 00:28:23,068 --> 00:28:26,805 おぬしも 我が殿に 無理やり引き止められた口か? 297 00:28:26,805 --> 00:28:31,143 ハハッ この舟も 強引に買わされてしまいました。 298 00:28:31,143 --> 00:28:35,013 俺も そうだ。 石田村の寺に➡ 299 00:28:35,013 --> 00:28:38,817 殿が たか狩りに来られた時に 茶を差し上げたのが縁で➡ 300 00:28:38,817 --> 00:28:41,720 どこが気に入られたのか その場で召し抱えられてしまった。 301 00:28:41,720 --> 00:28:45,490 人さらいでございますね 殿様は。 302 00:28:45,490 --> 00:28:49,161 人だけならまだしも 小谷のご城下からは➡ 303 00:28:49,161 --> 00:28:53,498 大勢の商人や職人たちを 町ぐるみ 長浜へ移し替えられてしまわれた。 304 00:28:53,498 --> 00:28:56,401 ハハッ 人さらいではのうて 町さらいだな。 305 00:28:56,401 --> 00:28:58,370 (2人の笑い声) 306 00:28:58,370 --> 00:29:03,108 しかし 新しい町が出来るというのは 楽しい話でございますな。 307 00:29:03,108 --> 00:29:09,448 摂津の高槻でも 高山右近様が 地上の神の国を目指して➡ 308 00:29:09,448 --> 00:29:12,351 キリシタンの町づくりに 精を出しておられますとか。 309 00:29:12,351 --> 00:29:19,458 また近々 岐阜の信長公も 湖岸のいずれかの地に 城を築き➡ 310 00:29:19,458 --> 00:29:23,328 天下一の町を おつくりになるおつもりとか。 311 00:29:23,328 --> 00:29:27,332 そういう うれしい噂が 飛び交っております。 312 00:29:27,332 --> 00:29:32,471 う~ん 春を待つつぼみが 一輪ずつ 花開くように➡ 313 00:29:32,471 --> 00:29:37,142 新しい町が 次々に生まれ育っていけばいい…。 314 00:29:37,142 --> 00:29:39,077 忙しくなるな この舟も。 315 00:29:39,077 --> 00:29:47,486 羽柴様の長浜 明智様の坂本 高山様の高槻 そして 堺。 316 00:29:47,486 --> 00:29:54,159 蝶のように飛び交いましょう。 花から花 町から町へと。 317 00:29:54,159 --> 00:30:00,032 うん。 フフッ フハハハ! 318 00:30:00,032 --> 00:30:20,185 ♬~ 319 00:30:20,185 --> 00:30:27,059 <京都・姥柳町に建てられた イエズス会の教会 南蛮寺。➡ 320 00:30:27,059 --> 00:30:30,195 この会堂建設に尽力したのが➡ 321 00:30:30,195 --> 00:30:32,531 高山右近である。➡ 322 00:30:32,531 --> 00:30:36,401 領地 高槻から 多くの大工や石工を引き連れて➡ 323 00:30:36,401 --> 00:30:38,870 京へ乗り込んできた右近は➡ 324 00:30:38,870 --> 00:30:41,773 自ら工事現場の指揮を執り➡ 325 00:30:41,773 --> 00:30:47,479 山中に入っては 木材の切り出し 運搬まで引き受けたという> 326 00:30:53,218 --> 00:30:55,554 普請はやっているようでございますね。 ああ。 327 00:30:55,554 --> 00:30:58,457 いや~ なんと見事な建物じゃな。 328 00:30:58,457 --> 00:31:01,460 中 入ってみましょうか。 うん。 329 00:31:03,361 --> 00:31:06,832 (右近)そなた 堺の今井の人…。 330 00:31:06,832 --> 00:31:08,767 右近様! 331 00:31:08,767 --> 00:31:11,470 おお やはり そうだった。 332 00:31:13,171 --> 00:31:16,074 高槻のご城主が なぜ このような所に? 333 00:31:16,074 --> 00:31:19,044 いや 南蛮寺の普請が てこずってると聞いたので➡ 334 00:31:19,044 --> 00:31:21,847 高槻城下の大工らを引き連れて 手伝いに来てるところだ。 335 00:31:21,847 --> 00:31:25,183 では 右近様が こちらのご普請を。 力強いことだ。 336 00:31:25,183 --> 00:31:28,086 おぬしは 米の行商か? あ? 337 00:31:28,086 --> 00:31:30,522 いえいえ こちら この米は➡ 338 00:31:30,522 --> 00:31:34,192 この方が パーデレ フロイス様に ご寄進なさろうと持ってこられたもので。 339 00:31:34,192 --> 00:31:36,128 手前は そのお供で参りました。 340 00:31:36,128 --> 00:31:38,530 おお それはご奇特な。 いや…。 341 00:31:38,530 --> 00:31:44,202 拙者 羽柴筑前守秀吉の近侍にて 石田左吉と申す者。 342 00:31:44,202 --> 00:31:47,539 お見知り置きのほどを。 いや ご挨拶 痛み入る。 343 00:31:47,539 --> 00:31:53,211 手前は 荒木村重が家臣にて 高槻城下を預かりおる高山右近と申す者。 344 00:31:53,211 --> 00:31:57,883 羽柴筑前守様のご家来中の方なれば 共に 信長公幕下の仲。➡ 345 00:31:57,883 --> 00:32:01,153 以後 ご昵懇に。 (左吉)いや 恐れ入ります。 346 00:32:01,153 --> 00:32:05,490 (右近)さあ ひとまず 中で おくつろぎあれ。 さあ 助左も。 347 00:32:05,490 --> 00:32:07,426 あっ 手前は この米俵 運んでまいりますんで➡ 348 00:32:07,426 --> 00:32:09,361 どうぞ お先へ いらしてくださいまし。 349 00:32:09,361 --> 00:32:13,832 フフフフ…。 おぬしが 信長公の御前で取った相撲ぶりは➡ 350 00:32:13,832 --> 00:32:16,501 今も 目に焼き付いているぞ。 351 00:32:16,501 --> 00:32:20,172 あの時は 信長公が 侍にしてやると申されたのを断って➡ 352 00:32:20,172 --> 00:32:22,107 商人になりたいと言い切ったが➡ 353 00:32:22,107 --> 00:32:24,509 どうやら 立派に その初志を貫いているようだな。 354 00:32:24,509 --> 00:32:27,846 はい。 今は 琵琶湖の船頭をいたしております。 355 00:32:27,846 --> 00:32:32,717 ああ 何であれ 己の信念を貫いて 生きるということは大事だ。 356 00:32:32,717 --> 00:32:37,422 さあ 石田殿には パーデレ フロイスを お引き合わせいたそう。 さあ。 357 00:32:42,394 --> 00:32:45,397 織田家の仕官を断ったという話 本当か? 358 00:32:45,397 --> 00:32:50,101 はい。 もう7年も前の話になります。 359 00:32:50,101 --> 00:32:53,071 大した男だな。 360 00:32:53,071 --> 00:32:55,540 はっ? 361 00:32:55,540 --> 00:32:59,411 ♬~(オルガン) 362 00:32:59,411 --> 00:33:10,488 それは 今までに見たことのない 大きな宮殿の断面図だった。 363 00:33:10,488 --> 00:33:17,362 信長公は 私一人を 奥の書院に招き入れると➡ 364 00:33:17,362 --> 00:33:23,068 宮殿の図面を見せて 意見を求められました。 365 00:33:23,068 --> 00:33:29,174 私は 何も答えることができなかった。➡ 366 00:33:29,174 --> 00:33:38,516 その宮殿は あまりにも巨大で あまりにも統一に欠けて➡ 367 00:33:38,516 --> 00:33:42,187 混沌としている。➡ 368 00:33:42,187 --> 00:33:45,524 ある部分は 西洋的だが➡ 369 00:33:45,524 --> 00:33:54,533 別の部分は 禅寺のような雰囲気を 持っているといった具合に…。 370 00:33:54,533 --> 00:34:01,139 つまり 全体は 謎に満ち➡ 371 00:34:01,139 --> 00:34:05,844 全体は… 不気味だった。 372 00:34:10,815 --> 00:34:17,489 (フロイス)その時 すぐに感じたことを すぐに口に出していたら➡ 373 00:34:17,489 --> 00:34:21,826 信長公は きっと怒ったに違いない。 374 00:34:21,826 --> 00:34:27,699 なぜなら 私の目には あの宮殿は➡ 375 00:34:27,699 --> 00:34:31,403 悪魔の住みかに見えたのですから。 376 00:34:36,841 --> 00:34:41,179 (信長)天守閣は 五層七重とし➡ 377 00:34:41,179 --> 00:34:46,518 地下の1階より3階までを 吹き抜けにする。➡ 378 00:34:46,518 --> 00:34:50,855 地階には 仏教の宝塔を安置し➡ 379 00:34:50,855 --> 00:34:57,195 2階3階の天主より 眼下に見下ろせるようにする。 380 00:34:57,195 --> 00:35:03,468 すなわち 宝塔は あがめるためにではなく➡ 381 00:35:03,468 --> 00:35:10,342 これによって 己をあがめさせるために 足元に置く。 382 00:35:10,342 --> 00:35:16,047 王城楽土 極まれりだ。 383 00:35:16,047 --> 00:35:25,056 ハッハッハッハッハッハ! 384 00:35:27,158 --> 00:35:29,494 七重の天主…。 385 00:35:29,494 --> 00:35:33,832 お話だけでは どのような形の城か 想像もできませんね。 386 00:35:33,832 --> 00:35:39,170 恐らく 史上かつてない 雄大無比の巨城でありましょう。 387 00:35:39,170 --> 00:35:44,509 しかも その威信は 地上にとどまらず 天に挑んでいくつもりだ。 388 00:35:44,509 --> 00:35:47,846 天主の吹き抜けの構造は➡ 389 00:35:47,846 --> 00:35:57,856 多分 信長公は 我らの教会の天主堂を 思いに描いたでしょう。 うん。 390 00:35:57,856 --> 00:36:00,759 それだけならいいが➡ 391 00:36:00,759 --> 00:36:05,463 彼自らが 今は ゼウス…➡ 392 00:36:05,463 --> 00:36:08,133 神になろうとしている。 393 00:36:08,133 --> 00:36:11,803 天道 恐るべし…。 394 00:36:11,803 --> 00:36:16,474 信長様は その城を どの地に築かれるおつもりなんでしょう。 395 00:36:16,474 --> 00:36:23,815 近江の豊浦庄の山頂に建てたいと 申されました。 396 00:36:23,815 --> 00:36:29,154 山の名は 確か➡ 397 00:36:29,154 --> 00:36:31,089 安土山とか…。 398 00:36:31,089 --> 00:36:33,024 安土山…。 399 00:36:33,024 --> 00:36:41,499 ♬~(オルガン) 400 00:36:41,499 --> 00:36:45,170 う~ん 安土か…。 401 00:36:45,170 --> 00:36:48,840 やはり 琵琶湖の一角でございましたね。 うん。 402 00:36:48,840 --> 00:36:51,142 フロイス様。 403 00:36:54,179 --> 00:36:56,514 おやかましゅうございました。 404 00:36:56,514 --> 00:36:59,184 今日は これにて 失礼させていただきます。 405 00:36:59,184 --> 00:37:04,789 (フロイス)たまさん お迎えは まだでしょう。 どうぞ こちらへ。 406 00:37:04,789 --> 00:37:08,093 表で待たせていただきます。 407 00:37:11,463 --> 00:37:14,132 オルガンを習いに来ています。 408 00:37:14,132 --> 00:37:18,002 では 先ほどから かすかに聞こえていた オルガンの調べは➡ 409 00:37:18,002 --> 00:37:20,805 あの方が奏でておられたものか。 410 00:37:20,805 --> 00:37:23,475 どちらのご息女でしょう? 411 00:37:23,475 --> 00:37:28,813 残念ながら お約束で 身分を明かすことができませんが➡ 412 00:37:28,813 --> 00:37:32,817 由緒ある家柄の姫君です。 413 00:37:39,457 --> 00:37:41,459 (せきばらい) 414 00:38:08,453 --> 00:38:30,141 ♬~ 415 00:38:31,676 --> 00:38:34,379 パーデレ…。 416 00:38:37,816 --> 00:38:45,490 助左 どうしても帰りますか。 泊まっていってもいいのに。 417 00:38:45,490 --> 00:38:49,160 また いずれ お邪魔いたします。 418 00:38:49,160 --> 00:38:54,032 パーデレ… モニカ様と五右衛門の消息ですが➡ 419 00:38:54,032 --> 00:38:56,834 その後 何か…。 420 00:38:56,834 --> 00:39:02,440 2人とも 行方が全く分からない。 421 00:39:02,440 --> 00:39:09,781 助左。 今井の美緒さんも 2人の行方を捜しています。 422 00:39:09,781 --> 00:39:13,117 はい それは存じております。 423 00:39:13,117 --> 00:39:15,787 あなたも捜してくれますか? 424 00:39:15,787 --> 00:39:19,657 はい 捜します。 必ず捜し出します。 425 00:39:19,657 --> 00:39:22,460 私は いずれ あの2人を➡ 426 00:39:22,460 --> 00:39:27,131 呂宋へ連れていこうと思っています。 427 00:39:27,131 --> 00:39:29,467 許していただけますか? 428 00:39:29,467 --> 00:39:39,477 助左… その日は一日も早く来ることを 神に祈っています。 429 00:39:39,477 --> 00:39:41,412 ありがとうございます。 430 00:39:41,412 --> 00:39:43,348 (鐘の音) 431 00:39:43,348 --> 00:39:46,050 はい ごめんよ。 ごめんよ 危ないよ。 432 00:39:51,823 --> 00:39:54,158 ヒュ~ッ! それ行け! 433 00:39:54,158 --> 00:39:56,160 (たま)もし。 434 00:40:00,832 --> 00:40:04,702 あの… 坂本までいらっしゃいますか? 435 00:40:04,702 --> 00:40:08,506 あ いや…。 坂本へ参ります。 436 00:40:08,506 --> 00:40:11,843 坂本まで 連れていっていただけませんでしょうか。 437 00:40:11,843 --> 00:40:14,178 はっ いや…。 お連れします。 438 00:40:14,178 --> 00:40:16,514 ありがとうございます。 439 00:40:16,514 --> 00:40:19,417 とっくに来ていなければならない 迎えの輿が➡ 440 00:40:19,417 --> 00:40:21,853 いくら待っても参りません。 441 00:40:21,853 --> 00:40:24,756 これ以上待っていては 日が暮れてしまいますし➡ 442 00:40:24,756 --> 00:40:29,527 もし ご迷惑でなければ ご一緒させてくださいませ。 443 00:40:29,527 --> 00:40:32,864 どうぞ どうぞ。 どうぞ。 444 00:40:32,864 --> 00:40:35,767 さあ ご遠慮なく。 445 00:40:35,767 --> 00:40:42,540 ♬~ 446 00:40:42,540 --> 00:40:48,413 <破壊と建設が 同時に進行していく時の流れの中で➡ 447 00:40:48,413 --> 00:40:53,184 中世の殻を抜け出した町が 生まれていく。➡ 448 00:40:53,184 --> 00:40:57,555 新しい町には新しい人々が育ち➡ 449 00:40:57,555 --> 00:41:05,163 彼らの出会いが 近世という新世界を 華やかに描き出していくことになる。➡ 450 00:41:05,163 --> 00:41:09,500 助左も 三成も 荷車の女が➡ 451 00:41:09,500 --> 00:41:14,172 明智光秀の娘 たまであることを 知らない。➡ 452 00:41:14,172 --> 00:41:19,510 ましてや このたまが 後の細川ガラシヤとなり➡ 453 00:41:19,510 --> 00:41:23,181 石田三成の手で 死に追い込まれていく運命が➡ 454 00:41:23,181 --> 00:41:26,484 待っていようなどとは…> 455 00:41:41,532 --> 00:41:45,403 はあ…。 いや~ すっかり暮れてしまったな。 456 00:41:45,403 --> 00:41:49,874 坂本は この逢坂山の峠を越えれば もうすぐですから。 457 00:41:49,874 --> 00:41:53,544 お二人とも 歩きずくめで さぞかし お疲れでございましょう。 458 00:41:53,544 --> 00:41:55,880 少し休んでまいりましょう。 459 00:41:55,880 --> 00:42:00,718 ここまで来たら もう一息ですから。 行きましょう。 460 00:42:00,718 --> 00:42:02,720 ああ。 461 00:42:46,531 --> 00:42:49,233 人が殺されている! 462 00:42:59,877 --> 00:43:04,182 これは!? 手前の家の者…。 463 00:43:18,362 --> 00:43:45,056 ♬~