1 00:00:02,102 --> 00:02:41,094 ♬~ 2 00:02:47,534 --> 00:02:51,405 (左吉)刀も奪われてる。 3 00:02:51,405 --> 00:02:53,707 野盗の仕業か…。 4 00:03:06,019 --> 00:03:10,724 無力な老人に 非道なことをする…。 5 00:03:13,493 --> 00:03:22,803 (泣き声) 6 00:03:26,840 --> 00:03:29,509 賊のものか。 7 00:03:29,509 --> 00:03:32,179 (助左)あ… はい。 8 00:03:32,179 --> 00:03:35,082 忍び刀のようだな…。 ちょっと見せろ。 9 00:03:35,082 --> 00:03:37,050 捜してきます 賊を。 10 00:03:37,050 --> 00:03:40,053 手遅れだ。 時がたち過ぎている。 いや ほんの少し この辺りだけでも…。 11 00:03:40,053 --> 00:03:42,522 (たま)おやめなさい。 道に はぐれたら➡ 12 00:03:42,522 --> 00:03:47,227 坂本の浜で落ち合いましょう。 助左 戻れ! 13 00:03:57,070 --> 00:04:01,074 間違いない… 五右衛門のものだ。 14 00:04:16,156 --> 00:04:18,859 桔梗の紋…。 15 00:04:26,166 --> 00:04:34,040 桔梗の紋は 近江坂本が城主 明智光秀様の家紋。 16 00:04:34,040 --> 00:04:38,178 今日 都の南蛮寺で たまたま出会い➡ 17 00:04:38,178 --> 00:04:42,849 帰りの道中を同じゅうしているという 行きずりの関わりなら➡ 18 00:04:42,849 --> 00:04:47,854 お名を知る必要はございませぬ。 19 00:04:49,723 --> 00:04:54,861 しかし このような思わぬ事態に 遭遇した以上➡ 20 00:04:54,861 --> 00:05:02,135 私が あなたをお屋敷まで送り 事の詳細を釈明いたさねばなりませぬ。 21 00:05:02,135 --> 00:05:07,140 どうか ご身分を お明かしくださいますよう…。 22 00:05:11,144 --> 00:05:15,015 ご同行をお願い申したばかりに➡ 23 00:05:15,015 --> 00:05:18,718 ご迷惑をおかけいたします。 いえ。 24 00:05:23,156 --> 00:05:32,832 私めは 明智光秀が娘で たまと申す者にございます。 25 00:05:32,832 --> 00:05:35,836 明智様のご息女…。 26 00:05:38,171 --> 00:05:40,507 知らぬこととは申せ➡ 27 00:05:40,507 --> 00:05:44,844 これまでのご無礼 お許しくださいますよう。 28 00:05:44,844 --> 00:05:50,717 あ… 手前は 長浜城主 羽柴筑前守秀吉が家臣にて➡ 29 00:05:50,717 --> 00:05:53,520 石田左吉と申す者でございます。 30 00:05:53,520 --> 00:05:59,192 坂本のご城下までは 私めが 命に代えて お送り申し上げます。 31 00:05:59,192 --> 00:06:04,998 南蛮寺を出る時より 一身は お預けいたしております。 32 00:06:04,998 --> 00:06:07,467 どうか よろしくお導きくだされ。 33 00:06:07,467 --> 00:06:09,469 はっ! 34 00:06:49,075 --> 00:06:51,378 (小石を投げる音) 35 00:07:28,148 --> 00:07:32,485 ぬしは 山女か? 36 00:07:32,485 --> 00:07:35,155 傀儡女か? 37 00:07:35,155 --> 00:07:39,859 では いずれかの落人の方か? 38 00:07:46,766 --> 00:07:50,470 こ… ここに住んでいるのか? 39 00:07:52,172 --> 00:07:54,874 そうか…。 40 00:07:56,843 --> 00:08:00,113 人を捜しているんだ。 41 00:08:00,113 --> 00:08:07,454 この先の峠で 何者かに輿が襲われて 人が殺されたんだ。 42 00:08:07,454 --> 00:08:14,461 ぬしゃ 知らないか。 24~25の 忍者のように素早い男だ。 43 00:08:19,466 --> 00:08:24,170 じゃあ 明け方まで この辺りをうろついてみるか。 44 00:08:35,815 --> 00:08:38,718 ぬし バテレンか? 45 00:08:38,718 --> 00:08:42,689 いやいや 隠すことはない。 いや バテレンなら なおさらのこと➡ 46 00:08:42,689 --> 00:08:45,825 もう一つ 聞きたいことがあるんだよ。 47 00:08:45,825 --> 00:08:50,130 ぬし 本当に バテレンか? 48 00:08:51,698 --> 00:08:56,169 じゃあ なぜ ロザリオなんぞ 身につけているんだ? 49 00:08:56,169 --> 00:08:59,839 バテレンでない者が なぜ そんなものを身に…。 50 00:08:59,839 --> 00:09:02,842 ああ どこぞで拾うたのか。 51 00:09:05,111 --> 00:09:09,115 ど… どこで どこで拾うた? 52 00:09:10,984 --> 00:09:15,455 すまぬが それ わしに見せてくれないか。 53 00:09:15,455 --> 00:09:19,759 なあ。 それ わしに見せてくれ。 54 00:09:24,464 --> 00:09:26,399 (モニカ)寄らないで! 55 00:09:26,399 --> 00:09:29,335 モニカ様! 56 00:09:29,335 --> 00:09:32,338 モニカ様でございましょう!? いいえ! 57 00:09:32,338 --> 00:09:35,341 モニカ様でございますね!? (モニカ)違う! 58 00:09:37,477 --> 00:09:40,180 モニカ様! 違う! 59 00:09:44,350 --> 00:09:47,487 モニカ様! 違う! 60 00:09:47,487 --> 00:09:52,826 ♬~ 61 00:09:52,826 --> 00:09:57,163 寄らないで! 違う! 62 00:09:57,163 --> 00:10:01,167 違う! 63 00:10:08,174 --> 00:10:11,511 五右衛門。 64 00:10:11,511 --> 00:10:13,446 (五右衛門)驚いたか。 65 00:10:13,446 --> 00:10:26,526 ♬~ 66 00:10:26,526 --> 00:10:28,828 (五右衛門)刺し殺せよ! 67 00:10:30,396 --> 00:10:34,868 その醜い顔を 見られてしまったんだろうが。➡ 68 00:10:34,868 --> 00:10:38,538 今 殺しておかんと お前の その変わりぶりを➡ 69 00:10:38,538 --> 00:10:41,875 堺の町じゅうに言い触らされるぞ! 70 00:10:41,875 --> 00:10:44,577 五右衛門 離せ! 71 00:10:51,217 --> 00:10:53,219 (刀を投げ捨てる音) 72 00:11:04,497 --> 00:11:06,799 痛ましい…。 73 00:11:09,369 --> 00:11:14,173 漆にかぶれるわ 蛇の肉を食わせたら熱を出すわで➡ 74 00:11:14,173 --> 00:11:17,844 あの顔になってしもうた。 75 00:11:17,844 --> 00:11:20,747 いっそ自害してはどうだと言ったら➡ 76 00:11:20,747 --> 00:11:24,183 バテレンは 自害してはならんのだそうだ。 77 00:11:24,183 --> 00:11:29,522 あんな目に遭わせたのは 誰だ! かどわかしたのは 誰だ!? 78 00:11:29,522 --> 00:11:34,861 こいつとも長いつきあいだったが わざわざ届けに来てくれたのか。 ええ? 79 00:11:34,861 --> 00:11:38,197 ここまで落ちるくらいなら なぜ もっと早くに➡ 80 00:11:38,197 --> 00:11:40,533 モニカ様だけでも 堺へ連れ帰らなかったんだ! 81 00:11:40,533 --> 00:11:43,236 帰れと言ったんだ! 82 00:11:45,872 --> 00:11:50,743 誰が あんな女を引き連れて 逃げ回りたいもんか。 83 00:11:50,743 --> 00:11:55,748 振り払っても 振り払っても つきまとってきたのは あの女の方だ! 84 00:11:58,217 --> 00:12:04,524 今は 毎晩 殺すことを考えてる。 85 00:12:22,175 --> 00:12:26,846 こんな山中 迷わず ここに たどりつけたのも➡ 86 00:12:26,846 --> 00:12:30,149 神仏のお導きだろう。 87 00:12:33,720 --> 00:12:39,859 モニカ様は 俺がもろうていく。 88 00:12:39,859 --> 00:12:46,165 ぬしに それができればな… 俺も救われる。 89 00:12:58,878 --> 00:13:03,883 堺へ帰りましょう。 90 00:13:06,486 --> 00:13:11,357 どうしても 堺へ帰るのが お嫌なら➡ 91 00:13:11,357 --> 00:13:16,362 都のフロイス様のもとへ 参りましょうか。 92 00:13:19,065 --> 00:13:23,036 それもお嫌と おっしゃるなら➡ 93 00:13:23,036 --> 00:13:30,710 いっそのこと 私と一緒に 長浜という町へ いらっしゃいませんか。 94 00:13:30,710 --> 00:13:36,182 坂本から 湖を北へ渡ります。 95 00:13:36,182 --> 00:13:39,852 ご領主も 羽柴様に代わって➡ 96 00:13:39,852 --> 00:13:45,725 今 盛んに 新しい町づくりが行われています。 97 00:13:45,725 --> 00:13:50,863 人も町も 皆 新しいから➡ 98 00:13:50,863 --> 00:13:58,738 誰に気兼ねすることもなく 生まれ変わることができます。 99 00:13:58,738 --> 00:14:04,444 渡ってみませんか 私の小舟で。 100 00:14:07,346 --> 00:14:10,350 (五右衛門)助左と行ってくれ。 101 00:14:13,820 --> 00:14:16,522 お前は…? 102 00:14:20,493 --> 00:14:25,832 来るとも。 なあ 五右衛門 ぬしも来るな。 103 00:14:25,832 --> 00:14:30,169 行くとも 後からな。 104 00:14:30,169 --> 00:15:12,478 ♬~ 105 00:15:16,482 --> 00:15:23,356 あれは もしや夢ではなかったのかと 思い直すことがございます。 106 00:15:23,356 --> 00:15:28,828 それほどに 楽しい日々でございました。 107 00:15:28,828 --> 00:15:33,499 もう一度 あの南海の島へ渡りたい。 108 00:15:33,499 --> 00:15:40,373 五右衛門や モニカ様や 善住坊や 明かり守のお仙も連れて➡ 109 00:15:40,373 --> 00:15:45,077 呂宋へ渡るのが 望みでございます。 110 00:15:58,524 --> 00:16:04,330 大海原を越えて 呂宋へ渡る船が欲しい。 111 00:16:04,330 --> 00:16:10,136 船の名も 呂宋丸と決めています。 112 00:16:10,136 --> 00:16:18,845 私が船長になったら モニカ様は 私の船に 一緒に乗ってくださいますか? 113 00:16:24,484 --> 00:16:30,156 何年先になるか分かりませんが。 114 00:16:30,156 --> 00:16:33,826 何年でも待ちましょう。 115 00:16:33,826 --> 00:16:41,701 この身が朽ち果てた時は 魂だけでも連れていってください。 116 00:16:41,701 --> 00:16:44,704 縁起でもないことをおっしゃいます。 117 00:16:53,846 --> 00:17:10,863 (せみの声) 118 00:17:16,802 --> 00:17:18,804 モニカ様! 119 00:17:20,673 --> 00:17:23,676 モニカ様! 120 00:17:26,479 --> 00:17:28,481 モニカ様! 121 00:17:30,149 --> 00:17:32,151 モニカ様! 122 00:17:40,493 --> 00:17:44,797 五右衛門… モニカ様…。 123 00:17:59,512 --> 00:18:02,782 助左! 124 00:18:02,782 --> 00:18:05,117 心配したぞ。 125 00:18:05,117 --> 00:18:10,790 あっ これな 明智様から頂戴した 酒と肴だ。 126 00:18:10,790 --> 00:18:14,126 ぬしが帰ってくるまで辛抱していた。 127 00:18:14,126 --> 00:18:18,798 さあ 頂戴しよう。 ハハハ…。 128 00:18:18,798 --> 00:18:50,796 ♬~ 129 00:19:00,106 --> 00:19:02,441 (秀吉)堺へ帰りてえというのか。 130 00:19:02,441 --> 00:19:07,780 はい。 借財の返済など 二 三の用事もありますんで。 131 00:19:07,780 --> 00:19:10,683 (秀吉)ふ~ん。 あっ よし。 はっ。 132 00:19:10,683 --> 00:19:13,452 (秀吉)何だ ぬしには 頼みたいことが 山ほどあるんだ。 133 00:19:13,452 --> 00:19:17,790 堺へ行くことは許すから 必ず帰ってこいよ。 134 00:19:17,790 --> 00:19:20,092 ハハッ。 135 00:19:21,660 --> 00:19:24,664 堺は 居心地がいいからな。 136 00:19:24,664 --> 00:19:28,434 居座ってしまいそうで 心配だ。 アッハッハッハ。 137 00:19:28,434 --> 00:19:33,439 必ず帰ってまいります。 うん。 フフフフ…。 138 00:19:36,809 --> 00:19:38,744 (せきばらい) 139 00:19:38,744 --> 00:19:41,480 ぬしは知らんか。 140 00:19:41,480 --> 00:19:44,383 こっから湖岸沿いに 9里ほど東へ行った所に➡ 141 00:19:44,383 --> 00:19:49,822 豊浦庄という村がある。 ああ はい。 142 00:19:49,822 --> 00:19:53,492 あの入り江に ぬっと突き出した格好で➡ 143 00:19:53,492 --> 00:19:59,165 湖に そっくり影を映した 小高い山があるじゃろ。 144 00:19:59,165 --> 00:20:02,168 安土山という…。 145 00:20:04,837 --> 00:20:06,772 来年 元旦を期して➡ 146 00:20:06,772 --> 00:20:09,708 大がかりな城づくりの普請が 開始されよう。 147 00:20:09,708 --> 00:20:14,513 そして 我が上様も 岐阜より ここへ お移りになる。 148 00:20:14,513 --> 00:20:20,853 建てば… 建てば 恐らく 古今未曽有の巨城になるであろう。 149 00:20:20,853 --> 00:20:24,523 そして 安土の山下には…。 フフフ。 150 00:20:24,523 --> 00:20:28,394 わしも 館を建てねばならん。 151 00:20:28,394 --> 00:20:33,866 周りには 織田家ご一党の館 徳川様の館などが並び立つ。 152 00:20:33,866 --> 00:20:38,737 わしも… わしも建てるんなら➡ 153 00:20:38,737 --> 00:20:42,441 人より目立つものを建ててみたい。 154 00:20:44,210 --> 00:20:49,081 目立たぬ程度に 南蛮趣味も取り入れてな。 155 00:20:49,081 --> 00:20:53,219 ぬしは堺で育った上に 呂宋へ行ったこともある男だ。 156 00:20:53,219 --> 00:21:00,826 その目を買うて 南蛮品の買い付けを任せたいんだ。 157 00:21:00,826 --> 00:21:04,830 どうだ やってみるか。 158 00:21:07,166 --> 00:21:09,101 はい。 159 00:21:09,101 --> 00:21:11,103 ハッハッハッハッハッハ! 160 00:21:14,507 --> 00:21:17,843 パーデレ フロイスの言ったとおりだ。 161 00:21:17,843 --> 00:21:22,848 信長公が 安土へ来る…。 162 00:21:24,717 --> 00:21:27,853 (信長)山裾一帯には 既に➡ 163 00:21:27,853 --> 00:21:35,528 2年ほど前より 黄金百両 米500石を投じて 道をつくらせてある。➡ 164 00:21:35,528 --> 00:21:41,200 大道は 道幅3間半 小路3間で 縦横に走らせ➡ 165 00:21:41,200 --> 00:21:44,870 同じく 湖岸の船着き場も拡張した。 166 00:21:44,870 --> 00:21:48,541 これらの道と舟を使って➡ 167 00:21:48,541 --> 00:21:53,212 東西より ありとあらゆる築城の物資を 運び込ませる。 168 00:21:53,212 --> 00:21:59,552 資材の輸送が早ければ 普請場の士気は おのずと上がるものだ。 169 00:21:59,552 --> 00:22:04,823 (宗久)これだけの巨城 10年は要しましょう。 170 00:22:04,823 --> 00:22:10,830 普請奉行の丹羽長秀には 5年で仕上げよと命じてある。 171 00:22:12,498 --> 00:22:14,833 僅かに5年で…。 172 00:22:14,833 --> 00:22:18,704 そちが力を貸せば できる。 173 00:22:18,704 --> 00:22:23,409 私でできますことならば 何なりと。 174 00:22:25,477 --> 00:22:28,848 この図面を見てくれ。 175 00:22:28,848 --> 00:22:31,750 石蔵の高さは 12間。 176 00:22:31,750 --> 00:22:35,521 石蔵の内を 一重土蔵に用い➡ 177 00:22:35,521 --> 00:22:40,392 ここに 五層七重の天主を築く。 178 00:22:40,392 --> 00:22:45,531 この図面の上だけでは なかなか…➡ 179 00:22:45,531 --> 00:22:48,200 納得がいきかねまするが➡ 180 00:22:48,200 --> 00:22:50,870 七重の天主閣なぞ➡ 181 00:22:50,870 --> 00:22:55,207 いまだ 見たことも聞いたことも ございませぬゆえ。 182 00:22:55,207 --> 00:22:58,878 図面の上の理屈に狂いはない。 183 00:22:58,878 --> 00:23:02,481 あとは 優れた大工がいれば建つ。 184 00:23:02,481 --> 00:23:04,416 宗久。 はい。 185 00:23:04,416 --> 00:23:09,355 奈良と堺の大工を 安土に呼び寄せてくれぬか。 186 00:23:09,355 --> 00:23:16,829 はい。 奈良の法隆寺の番匠 中井孫太夫➡ 187 00:23:16,829 --> 00:23:22,701 それから 堺の岸上家の代々の名工なぞ 数々ございます。 188 00:23:22,701 --> 00:23:24,703 それらの者どもに 当たりをつけまして➡ 189 00:23:24,703 --> 00:23:30,843 堺 奈良の大工ことごとくを 安土に集めて ご覧に入れまする。 190 00:23:30,843 --> 00:23:35,514 更にある。 天主の各層の壁と金具を➡ 191 00:23:35,514 --> 00:23:41,387 天下一の絵師と金工の作で飾りたい。 (宗久)はい。 192 00:23:41,387 --> 00:23:46,158 更に肝心なのは 天主の屋根瓦だ。 193 00:23:46,158 --> 00:23:49,528 これらも 天下一の瓦師に焼かせ➡ 194 00:23:49,528 --> 00:23:56,402 それらは 断じて ほかに類のないものでなければならぬ。 195 00:23:56,402 --> 00:24:04,043 これらの人材を そちの眼力で選んでくれ。 196 00:24:04,043 --> 00:24:06,745 かしこまりました。 197 00:24:23,162 --> 00:24:25,097 (宗久)ここにおったか。 198 00:24:25,097 --> 00:24:30,502 (美緒)いかがでございました 会合衆の方々のご意見は。 199 00:24:30,502 --> 00:24:37,176 うん 絵師はな 狩野永徳 金工は 後藤平四郎か 台阿弥➡ 200 00:24:37,176 --> 00:24:41,847 漆は 刑部 屋根瓦は 奈良の沢 秋斉と➡ 201 00:24:41,847 --> 00:24:45,517 まあ 見るところは 誰も同じだな。 202 00:24:45,517 --> 00:24:48,187 だいぶ お疲れのようですね。 203 00:24:48,187 --> 00:24:54,059 うん…。 信長公はな 魔王の変化だと申す者もいるが➡ 204 00:24:54,059 --> 00:24:56,862 わしも どうやら その魔王に見込まれたのが➡ 205 00:24:56,862 --> 00:24:59,865 運の尽きだったかな…。 206 00:25:01,700 --> 00:25:07,139 美緒… 安土に行かぬか。 207 00:25:07,139 --> 00:25:12,478 安土築城の際はな 出先の館を設けるつもりだ。 208 00:25:12,478 --> 00:25:15,814 そこへ出向いてくれ。 209 00:25:15,814 --> 00:25:22,688 兼久は 相変わらずの放蕩三昧。 夫婦と申しても 形ばかり。 210 00:25:22,688 --> 00:25:27,826 外で働いた方が 何かと 気が紛れるのではないかと思うてな。 211 00:25:27,826 --> 00:25:32,164 どうだ 行ってくれるか。 212 00:25:32,164 --> 00:25:35,467 まあ 考えておいてくれ。 213 00:25:42,808 --> 00:25:47,112 よいしょ! よ~し 頑張っていこう! 214 00:25:56,188 --> 00:25:59,091 助左…。 215 00:25:59,091 --> 00:26:01,994 ご無沙汰をいたしております。 216 00:26:01,994 --> 00:26:03,996 誰かと思った…。 217 00:26:03,996 --> 00:26:07,466 お久しゅうございます。 218 00:26:07,466 --> 00:26:11,336 町でも見かけないけれど ずっと行商をしているの? 219 00:26:11,336 --> 00:26:15,340 はい。 今は 琵琶湖で小舟を持ち➡ 220 00:26:15,340 --> 00:26:19,812 長浜を根城に 荷駄の運搬などをしております。 221 00:26:19,812 --> 00:26:23,148 元気でやっていれば 何よりです。 222 00:26:23,148 --> 00:26:29,154 今日は… 日比屋のモニカ様について お知らせしたいことがございまして。 223 00:26:30,823 --> 00:26:34,493 逢坂山で会うたと…。 はい。 224 00:26:34,493 --> 00:26:39,364 古代人の墓跡を住みかに 隠れておいででした。 225 00:26:39,364 --> 00:26:43,502 なんと おいたわしい…。 226 00:26:43,502 --> 00:26:47,840 五右衛門も一緒だったのですか? はい。 227 00:26:47,840 --> 00:26:53,512 一旦は 私が モニカ様を背負って 山里まで下りたんですが➡ 228 00:26:53,512 --> 00:26:56,181 少し目を離している間に 再び➡ 229 00:26:56,181 --> 00:27:00,786 五右衛門のもとへ 引き返されてしまいました。 230 00:27:00,786 --> 00:27:07,459 すぐに捜したんですが もはや 見つけることはできませんでした。 231 00:27:07,459 --> 00:27:12,331 ご存命と分かっただけでも 日比屋の皆様には励ましになるでしょう。 232 00:27:12,331 --> 00:27:15,334 早速 お知らせしなくては…。 233 00:27:18,103 --> 00:27:23,475 モニカ様は さぞ おやつれだったでしょうね。 234 00:27:23,475 --> 00:27:25,410 はい。 235 00:27:25,410 --> 00:27:28,147 身も細って…。 236 00:27:28,147 --> 00:27:34,853 はい。 まるで 別の人のようでした。 237 00:27:37,823 --> 00:27:41,493 別の人…。 238 00:27:41,493 --> 00:27:46,365 あれほど 敬けんなキリシタンであられた方が…。 239 00:27:46,365 --> 00:27:53,505 情欲とは それほど 人を変えてしまうものなのか…。 240 00:27:53,505 --> 00:27:56,175 悪いのは 五右衛門です。 241 00:27:56,175 --> 00:28:01,446 五右衛門が モニカ様を狂わせてしまったのです。 242 00:28:01,446 --> 00:28:04,349 五右衛門は 地獄へ落ちます。 243 00:28:04,349 --> 00:28:06,652 地獄へ落ちればいい! 244 00:28:08,320 --> 00:28:13,325 五右衛門が地獄へ落ちれば モニカ様もついていらっしゃいましょう。 245 00:28:24,469 --> 00:28:26,471 助左。 246 00:28:30,142 --> 00:28:33,445 よく知らせてくれました。 247 00:28:59,171 --> 00:29:09,448 (波の音) 248 00:29:09,448 --> 00:29:12,784 お仙さん! (お仙)助左! 249 00:29:12,784 --> 00:29:17,456 いや~ 長い間 銭 借りっ放しで 申し訳ない。 250 00:29:17,456 --> 00:29:19,391 私が いつ 銭など貸した。 251 00:29:19,391 --> 00:29:23,128 屋形船の修理代と火縄の加工賃 まだだった。 252 00:29:23,128 --> 00:29:26,465 そんなもの要らない。 いや そうはいかないよ。 253 00:29:26,465 --> 00:29:29,134 もうかったんだよ あの火縄で。 254 00:29:29,134 --> 00:29:31,069 売れたの? あれが。 255 00:29:31,069 --> 00:29:35,007 売れたんだ。 羽柴様が 全部買い取ってくださって➡ 256 00:29:35,007 --> 00:29:38,810 舟と交換してくださった。 すごいね! 舟と? 257 00:29:38,810 --> 00:29:42,681 うん! 琵琶湖の小舟。 何だ…。 258 00:29:42,681 --> 00:29:45,684 それで 戻ってくるのが遅くなっちまって どうもすまぬ。 259 00:29:45,684 --> 00:29:49,988 私の舟においで。 一杯やろう。 ああ。 260 00:29:52,357 --> 00:30:01,066 あの灯を見ると 胸が熱くなる…。 堺の灯だな。 261 00:30:01,066 --> 00:30:05,504 ゆうべは 五右衛門も同じこと言ってた。 262 00:30:05,504 --> 00:30:08,173 五右衛門!? 263 00:30:08,173 --> 00:30:13,879 今 ぬしが言ったとおりのことを ここから あの灯を眺めて…。 264 00:30:16,048 --> 00:30:21,753  回想  (五右衛門)久しぶりに あの灯を見ると 胸の底が熱くなる…。 265 00:30:24,189 --> 00:30:28,894 (お仙)モニカ様は 堺にはいないよ。 266 00:30:33,865 --> 00:30:37,736 どこ行くの。 267 00:30:37,736 --> 00:30:42,207 どこへ行けばいい。 教えてくれ。 268 00:30:42,207 --> 00:30:46,878 助左がモニカ様を連れて 堺へ向かったというのは➡ 269 00:30:46,878 --> 00:30:49,548 確かなのかい? ああ。 270 00:30:49,548 --> 00:30:52,217 初めは 長浜だと言ってた。 271 00:30:52,217 --> 00:30:56,088 だから 長浜へ行ってみたんだが あの町には見つからん。 272 00:30:56,088 --> 00:30:59,558 それから 都の南蛮寺へも行ってみた。 273 00:30:59,558 --> 00:31:04,396 高槻がキリシタンの町だと聞いて そこへも足を運んだんだが➡ 274 00:31:04,396 --> 00:31:06,364 やはり見つからん。 275 00:31:06,364 --> 00:31:10,836 最後は親元へ戻ったかと思うて 来てみたんだが➡ 276 00:31:10,836 --> 00:31:13,739 堺へも帰ってない。 277 00:31:13,739 --> 00:31:18,510 となると もう 行く当てがないんだ…。 278 00:31:18,510 --> 00:31:23,849 一度は捨てた女を どうして いつまでも嗅ぎ回すのさ。 279 00:31:23,849 --> 00:31:26,752 未練… じゃないかい。 280 00:31:26,752 --> 00:31:31,189 連れ戻しに来たんじゃない。 281 00:31:31,189 --> 00:31:38,063 うまく地獄から這い上がったかどうか 一目 見届けたいだけさ。➡ 282 00:31:38,063 --> 00:31:45,737 ひょっとすれば 俺と会う前の 昔の姿に戻ってくれてるかもしれぬ。 283 00:31:45,737 --> 00:31:51,209 (お仙)おあいにくだが まだ 昔には お戻りでないようだね。➡ 284 00:31:51,209 --> 00:31:57,215 今頃は あちら様も ぬしを捜して歩いておいでだよ。 285 00:32:00,819 --> 00:32:04,156 今 どこにいるんだ。 286 00:32:04,156 --> 00:32:07,459 あの山に もう一度戻ってみるか。 287 00:32:09,828 --> 00:32:13,165 あんな山奥に 一人で待ってるはずはない。 288 00:32:13,165 --> 00:32:19,504 ハッ… あいつは ねずみも殺せない女だ。 289 00:32:19,504 --> 00:32:25,377 都か…。 都へ戻ってみるか…。 290 00:32:25,377 --> 00:32:34,519 ♬~ 291 00:32:34,519 --> 00:32:37,422 気の毒に…。 292 00:32:37,422 --> 00:32:43,128 ♬~ 293 00:32:45,163 --> 00:32:52,070 そうか… 2人は一緒じゃなかったのか。 294 00:32:52,070 --> 00:33:00,478 別れたいと思いながら 捜し歩くのかね。 つらいねえ…。 295 00:33:00,478 --> 00:33:03,181 不憫な…。 296 00:33:04,816 --> 00:33:09,821 さあ 行こう。 う… うん。 297 00:33:19,164 --> 00:33:22,834 あっ 屋根 直したのか…。 298 00:33:22,834 --> 00:33:28,506 何だ この屋根は…? か… 瓦じゃないか。 299 00:33:28,506 --> 00:33:32,844 変だろう? やっぱりね。 300 00:33:32,844 --> 00:33:38,183 屋形船に屋根瓦ってのは 少々 ばさらが過ぎやしないかい? 301 00:33:38,183 --> 00:33:43,054 それに この瓦 青い色してるじゃないか。 焼き損ないかい? 302 00:33:43,054 --> 00:33:49,194 あの~ 悪いやつをつかんでしまったんだよね…。 303 00:33:49,194 --> 00:33:52,097 悪いやつ? 304 00:33:52,097 --> 00:33:55,867 泊めたやつがね 文無しでね➡ 305 00:33:55,867 --> 00:33:58,770 銭の代わりに これ置いてったんだ。 306 00:33:58,770 --> 00:34:02,140 ああ 泊まり賃の代わりに 瓦を? 307 00:34:02,140 --> 00:34:08,847 瓦焼きなんだよ 明国の。 唐人さん…。 へえ~。 308 00:34:10,482 --> 00:34:12,817 あ~ また来てる! 309 00:34:12,817 --> 00:34:15,921 (いびき) ああ 唐人さん? 310 00:34:18,156 --> 00:34:21,059 あら こいつまで飲んでしまって…。 311 00:34:21,059 --> 00:34:23,495 こら 起きろ! 312 00:34:23,495 --> 00:34:27,832 (中国語で) 313 00:34:27,832 --> 00:34:30,168 (一観)泊まるとこないよ。 銭は? 314 00:34:30,168 --> 00:34:33,071 瓦 持ってきた。 瓦は要らないの もう! 315 00:34:33,071 --> 00:34:35,040 お入りよ。 うん。 316 00:34:35,040 --> 00:34:37,509 (中国語で) 317 00:34:37,509 --> 00:34:42,380 あっ 私 一観。 どうぞ どうぞ。はい はい。 318 00:34:42,380 --> 00:34:46,518 さあ ちょっと おどきよ そこ! ほら! 319 00:34:46,518 --> 00:34:51,189 妙国寺の屋根瓦を請け負ってね 奈良から 瓦を運んできたらしいんだけど➡ 320 00:34:51,189 --> 00:34:53,858 焼いて持ってきた瓦が 注文の形や色と違うんで➡ 321 00:34:53,858 --> 00:34:55,794 突っ返されたんだって。 322 00:34:55,794 --> 00:34:58,730 あんな焼け損ないじゃね 突っ返されたって 文句言えないよ。 323 00:34:58,730 --> 00:35:01,666 焼け損ないじゃないよ! じゃあ 何だよ あの青色は! 324 00:35:01,666 --> 00:35:04,135 あの青色出すの 苦労したよ。 325 00:35:04,135 --> 00:35:07,472 瓦はね 昔から 黒一色と決まってるの。 326 00:35:07,472 --> 00:35:10,809 青いのあって いいではないか。 形も おかしいんだよ。 327 00:35:10,809 --> 00:35:14,145 何だか 顎のとがったような 飾り板みたいの つけたりして。 328 00:35:14,145 --> 00:35:17,816 あれ 端平瓦という明国式。 329 00:35:17,816 --> 00:35:20,485 (お仙)ここは 日本なの! 日本のお寺 無慈悲! 330 00:35:20,485 --> 00:35:22,821 お金 払ってくれない! (お仙)聞いてないよ!➡ 331 00:35:22,821 --> 00:35:26,157 ぬしがね 言われたとおりのものを つくってこなきゃいけないんだろ。 332 00:35:26,157 --> 00:35:28,493 さあ 出直しておいで! 早く! 333 00:35:28,493 --> 00:35:32,364 あれ売れないと 私 奈良へ帰れない。 334 00:35:32,364 --> 00:35:36,368 あんた 瓦 買わないか? お安くしとく。 335 00:35:36,368 --> 00:35:39,504 この人はね 瓦を商う人じゃないんだよ! 336 00:35:39,504 --> 00:35:43,842 ああ… その瓦 どのくらい運んできたんだい? 337 00:35:43,842 --> 00:35:48,179 買う気なの? お寺建てるだけの分 瓦 持ってきた。 338 00:35:48,179 --> 00:35:51,850 妙国寺の境内 野ざらしに置いてある。 339 00:35:51,850 --> 00:35:55,854 もう一度 見せてもらえないか。 どうぞ どうぞ! 340 00:36:00,558 --> 00:36:03,128 (瓦をたたく音) 341 00:36:03,128 --> 00:36:06,798 鋼のような音だ。 分かるか! 342 00:36:06,798 --> 00:36:11,669 青い瓦 黒い瓦より 硬い! 割れない! 343 00:36:11,669 --> 00:36:15,974 ああ… 照りもいい。 344 00:36:18,143 --> 00:36:22,814 買ってくれ! 一生 恩に着るよ! 345 00:36:22,814 --> 00:36:30,488 安くするかい? しよう。 元手さえ返れば 文句ないよ。 346 00:36:30,488 --> 00:36:35,160 だが ここには銭がない。 長浜まで来てもらわなければ。 347 00:36:35,160 --> 00:36:38,830 行きましょう。 長浜 知ってるのかい? 348 00:36:38,830 --> 00:36:43,501 いずこか知らねど 渡りに船。 共に行くべし。 349 00:36:43,501 --> 00:36:49,207 う~ん… なんとか 気に入ってもらえるだろう。 350 00:36:51,843 --> 00:36:54,746 誰に売るか? 351 00:36:54,746 --> 00:37:03,121 長浜の城主に売るつもりだ。 羽柴秀吉というお方だ。 352 00:37:03,121 --> 00:37:06,991 気に入るとも。 私 ついていく。 353 00:37:06,991 --> 00:37:11,796 とりあえず 俺の舟に乗る分だけを運ぼう。 354 00:37:11,796 --> 00:37:15,667 たったそれだけ? まずは 売り込みの見本だけでいい。 355 00:37:15,667 --> 00:37:18,470 見本ね。 356 00:37:18,470 --> 00:37:23,141 もし お取り上げが決まったら 今ある数では とても足りないぞ。 357 00:37:23,141 --> 00:37:29,013 長浜に焼き窯をつくって どんどん焼いてもらうことになるぞ。 358 00:37:29,013 --> 00:37:31,015 (中国語で) 359 00:37:31,015 --> 00:37:35,720 何? 私 いい人に出会った。 360 00:37:35,720 --> 00:37:40,158 シェシェ! シェシェ! シェシェ…。 シェシェ。 361 00:37:40,158 --> 00:37:46,030 (笑い声) 362 00:37:46,030 --> 00:37:52,504 ♬~(歌声) 363 00:37:52,504 --> 00:38:04,782 ♬~ 364 00:38:04,782 --> 00:38:07,452 <唐人 一観。➡ 365 00:38:07,452 --> 00:38:16,461 「信長公記」に その名をとどめるのみの 生没不詳 身元不詳の謎の瓦物焼き師。➡ 366 00:38:16,461 --> 00:38:23,134 この夜 堺の町の片隅で 助左衛門は 幸運を拾った> 367 00:38:23,134 --> 00:38:42,487 ♬~ 368 00:38:42,487 --> 00:38:45,156 (左吉)う~ん…➡ 369 00:38:45,156 --> 00:38:50,829 で 買うと約束してしまったのか。 ええ。 370 00:38:50,829 --> 00:38:54,699 もし 殿が お気に召さぬとおっしゃった時には➡ 371 00:38:54,699 --> 00:38:57,168 どうするつもりだったのだ。 372 00:38:57,168 --> 00:39:00,071 そこまでは考えませんでした。 373 00:39:00,071 --> 00:39:05,777 ハッ 乱暴な商いをする男だ。 374 00:39:05,777 --> 00:39:11,449 ああ… 殿には 本当のことを申し上げぬことだな。 375 00:39:11,449 --> 00:39:13,384 えっ? 376 00:39:13,384 --> 00:39:18,323 堺の寺で断られたものを 引き取ってくれと頼む方が無理だ。 377 00:39:18,323 --> 00:39:24,796 俺なら まず この一枚を残して あとの瓦は 全部 湖底に沈めてしまう。 378 00:39:24,796 --> 00:39:27,699 せっかく運んできたものを なぜ 捨てよと? 379 00:39:27,699 --> 00:39:31,669 たとえ 見本にもせよ それが壊れてしまったら 代わりが…。 380 00:39:31,669 --> 00:39:35,440 いやいや 代わりがないというところが ミソではないか。 381 00:39:35,440 --> 00:39:37,375 はあ? いいか? 382 00:39:37,375 --> 00:39:40,144 茶器や葉茶壺と同じように扱うんだ。 383 00:39:40,144 --> 00:39:43,047 見本というものには そのぐらいの威厳があった方がよい。 384 00:39:43,047 --> 00:39:49,821 差し出す時も 桐の箱に入れて 絹の布で包んで 恭しく差し出す。 385 00:39:49,821 --> 00:39:54,158 分かるか?はあ~。 ハッハ…。 386 00:39:54,158 --> 00:40:00,031 ああ あの一観もな まだ 長浜へは来ていないことにした方がいい。 387 00:40:00,031 --> 00:40:02,033 殿が会いたいと仰せられるまでは➡ 388 00:40:02,033 --> 00:40:05,503 こちらから お目通りを願うようなまねは せぬことだ。 389 00:40:05,503 --> 00:40:07,839 名人が尻軽では困る。➡ 390 00:40:07,839 --> 00:40:12,510 名人には 名人の風格こそが必要だ。 うん? 391 00:40:12,510 --> 00:40:17,181 石田様は なかなかの策略家でいらっしゃいますね。 392 00:40:17,181 --> 00:40:21,519 どうだ 俺の策に乗ってみないか。 393 00:40:21,519 --> 00:40:24,188 面白そうでございますね。 394 00:40:24,188 --> 00:40:27,859 (一観のあくび) 395 00:40:27,859 --> 00:40:31,729 腹減ったなあ。 ああ 今食わせる。 396 00:40:31,729 --> 00:40:33,731 風格がないなあ…。 397 00:40:33,731 --> 00:40:37,535 いや 存外 本物の名人とは ああいうものかもしれんな。 398 00:40:37,535 --> 00:40:42,540 真実 名人であってほしいのだが…。 399 00:41:02,694 --> 00:41:06,397 ああ… アッハッハッハ! 400 00:41:08,166 --> 00:41:10,101 (せきばらい) 401 00:41:10,101 --> 00:41:14,038 ふ~ん…。 ほう これが 唐人が焼いた瓦か。 402 00:41:14,038 --> 00:41:18,176 確かに 色も形も変わってるな。 403 00:41:18,176 --> 00:41:22,046 はい。 端平瓦と申しまして➡ 404 00:41:22,046 --> 00:41:26,351 我が国では いまだ 誰も使用しておりません。 405 00:41:29,187 --> 00:41:33,858 左吉。はっ。 こなたは これ どう見る? 406 00:41:33,858 --> 00:41:37,528 さすが 異国の趣はございまするが➡ 407 00:41:37,528 --> 00:41:41,866 その色 姿 少々奇抜に過ぎるように 拝見いたします。 408 00:41:41,866 --> 00:41:45,203 奇抜… 奇抜か。 409 00:41:45,203 --> 00:41:50,875 焼いた唐人は 一観とか申したな。 はい。 410 00:41:50,875 --> 00:41:56,748 今 その者は どこにいる。 はい 奈良の山中に籠もっております。 411 00:41:56,748 --> 00:42:04,422 かの者は 異国人の上に 気性も気難しく 変わり者の風評がございます。 412 00:42:04,422 --> 00:42:11,162 また めったに人に会わぬという 奇人だそうでございます。 413 00:42:11,162 --> 00:42:14,499 奇人…。 はい。 414 00:42:14,499 --> 00:42:17,168 (せきばらい) 415 00:42:17,168 --> 00:42:20,838 わしが会いたいと言っても会えぬか。 416 00:42:20,838 --> 00:42:24,709 殿のお召しがあれば すぐに 縄つけて… 首に縄をつけて これへ連れてまいります。 417 00:42:24,709 --> 00:42:27,178 会いたい! 会いたい すぐ連れてきて。 418 00:42:27,178 --> 00:42:30,515 は… はい! では その瓦の件は? 419 00:42:30,515 --> 00:42:33,418 この青瓦に決めた! 420 00:42:33,418 --> 00:42:35,386 ありがとうございます! 421 00:42:35,386 --> 00:42:37,855  心の声 やった! 422 00:42:37,855 --> 00:42:41,526 左吉。 はっ。 423 00:42:41,526 --> 00:42:45,396 奇抜というのは 決して欠点ではない。 424 00:42:45,396 --> 00:42:50,535 むしろ 何事にも 多少の奇抜さは不可欠のことです。 425 00:42:50,535 --> 00:42:54,405 以後 心しておきなさい。 はっ。 426 00:42:54,405 --> 00:42:56,407 助左。 はい。 427 00:42:56,407 --> 00:43:00,812 ぬしは さすがに 堺の子だ。 目が利く 目が。 428 00:43:00,812 --> 00:43:05,483 瓦の調達は ぬしに任せよう! 429 00:43:05,483 --> 00:43:08,186 ありがたき幸せ。 430 00:43:10,354 --> 00:43:14,158 <この日 11月28日。➡ 431 00:43:14,158 --> 00:43:20,031 岐阜では 織田信長が 岐阜城と家督一切を 嫡子 信忠に譲り➡ 432 00:43:20,031 --> 00:43:25,503 自らは 家臣 佐久間信盛の屋敷に移り住む。➡ 433 00:43:25,503 --> 00:43:29,173 明けて 天正4年正月中旬。➡ 434 00:43:29,173 --> 00:43:33,044 安土築城が開始された> 435 00:43:33,044 --> 00:43:48,059 ♬~