1 00:00:02,102 --> 00:02:41,194 ♬~ 2 00:02:41,194 --> 00:02:51,204 (波の音) 3 00:02:56,543 --> 00:03:01,381 美緒様とは 前にも一度 ここで➡ 4 00:03:01,381 --> 00:03:05,352 こうして海を眺めたことが ございましたね…。 5 00:03:05,352 --> 00:03:08,822 覚えておられますか。 6 00:03:08,822 --> 00:03:10,757 (美緒)はい。 7 00:03:10,757 --> 00:03:15,162 海を渡りたいとおっしゃった。 あの時は…。 8 00:03:15,162 --> 00:03:22,035 むちゃな相談を持ちかけて 小西様を困らせてしまって➡ 9 00:03:22,035 --> 00:03:27,174 申し訳ありませんでした。 いえ。 10 00:03:27,174 --> 00:03:31,044 悔やんでおりますよ。 11 00:03:31,044 --> 00:03:36,183 好きな方を 海の向こうへ さらってゆけたのに…➡ 12 00:03:36,183 --> 00:03:40,053 みすみす逃してしまった。 13 00:03:40,053 --> 00:03:48,762 お忘れくださいまし。 皆 遠い夢の日のことでございます。 14 00:03:48,762 --> 00:03:51,198 (番頭)船が見えます! 15 00:03:51,198 --> 00:04:00,006 ♬~ 16 00:04:00,006 --> 00:04:02,709 端舟を出せ! (番頭)はっ! 17 00:04:04,744 --> 00:04:08,148 あの船 帆柱が折れてはいませぬか? 18 00:04:08,148 --> 00:04:10,817 船体も傾いているようだ。 これはいかん! 19 00:04:10,817 --> 00:04:14,154 早く引き揚げてやらねば あれは沈んでしまうぞ! 20 00:04:14,154 --> 00:04:16,089 端舟は まだか! 21 00:04:16,089 --> 00:04:18,492 私も参ります! 22 00:04:18,492 --> 00:04:44,718 ♬~ 23 00:04:44,718 --> 00:04:47,854 こら 休むな! 休めば 船が沈むぞ! 24 00:04:47,854 --> 00:04:50,157 下行って 水をくみ出してこい! 25 00:04:54,728 --> 00:04:57,430 やっと着いたか…。 26 00:04:59,199 --> 00:05:03,470 港から 端舟が近づいてきている。 この船に乗り込むつもりらしい。 27 00:05:03,470 --> 00:05:06,139 どうする? 錨を下ろすか? (助左)いや いけません。 28 00:05:06,139 --> 00:05:08,475 錨を下ろしたら 船ごと沈んでしまいます。 29 00:05:08,475 --> 00:05:10,410 それもそうだな。 30 00:05:10,410 --> 00:05:14,347 船倉にいる連中を みんな 上へ引き上げさせてください。 31 00:05:14,347 --> 00:05:17,484 水のくみ出しをやめたら それこそ あっという間に沈んでしまうぞ! 32 00:05:17,484 --> 00:05:21,154 その あっという間に この船を 浜へ乗り上げさせます。 33 00:05:21,154 --> 00:05:23,089 浜へ乗り上げる!? そんなむちゃな! 34 00:05:23,089 --> 00:05:26,827 船を沈ませないためには それしか 術はありません! 35 00:05:26,827 --> 00:05:28,862 私の言うとおりになすってください。 しかし そりゃ…。 36 00:05:28,862 --> 00:05:31,698 私が船長でございます! 37 00:05:31,698 --> 00:05:33,700 よし 分かった。➡ 38 00:05:33,700 --> 00:05:39,172 おい! みんな 小間へ上がれ! 小間へ上がれ~! 39 00:05:39,172 --> 00:05:44,177 よし… さあ 突っ込むぞ! 40 00:05:52,185 --> 00:05:56,856 櫓を止めよ! 錨を下ろさぬつもりだ。 41 00:05:56,856 --> 00:05:59,192 浜へ乗り上げてしまいます。 42 00:05:59,192 --> 00:06:02,796 なんていうことを…! 船を返せ! 追うんだ! 43 00:06:02,796 --> 00:06:32,158 ♬~ 44 00:06:32,158 --> 00:06:36,162 はあ~。 ふう~。 45 00:06:41,167 --> 00:06:43,503 おい! おい! 46 00:06:43,503 --> 00:06:46,840 着いたぞ! おい 大丈夫か!? 47 00:06:46,840 --> 00:06:50,510 おい! おい! 大丈夫か!? 48 00:06:50,510 --> 00:06:54,381 おい! (一松)あっ 船長! 船長! 49 00:06:54,381 --> 00:06:57,384 大丈夫か? 着いたぞ! 50 00:06:57,384 --> 00:07:13,733 ♬~ 51 00:07:13,733 --> 00:07:17,737 お~い! はしごを下ろしてくれ! 52 00:07:21,141 --> 00:07:23,143 はい! 53 00:07:27,480 --> 00:07:29,416 助左! 54 00:07:29,416 --> 00:07:31,351 御寮様…。 55 00:07:31,351 --> 00:07:37,490 小西と今井の者だ。 当船の船主 高槻城主 高山右近太夫様の代理人として➡ 56 00:07:37,490 --> 00:07:39,826 船を受け取りに参った。 57 00:07:39,826 --> 00:07:44,130 はい。 ただいま 縄ばしごを下ろします。 58 00:08:10,457 --> 00:08:15,128 それがし 織田家外様衆の一党 九鬼嘉隆の家臣にて➡ 59 00:08:15,128 --> 00:08:18,998 足軽組頭 山本又一郎と申す者でござる。 60 00:08:18,998 --> 00:08:23,002 昨日よりの大坂 木津川沖の 毛利水軍との合戦のさなか➡ 61 00:08:23,002 --> 00:08:27,707 これなる船が紛れ込み あわや 本願寺衆に乗っ取られんとするところを➡ 62 00:08:27,707 --> 00:08:32,479 我らが乗り込み 敵を一掃して ここまで導いてきた次第でござる。 63 00:08:32,479 --> 00:08:35,982 (彦助)偉そうに…。 我らを毛利の船と間違えて➡ 64 00:08:35,982 --> 00:08:38,818 大筒 撃ち込んできたのは どちら様でございましたかね。 65 00:08:38,818 --> 00:08:41,721 ほざくな! 助けたには変わりはない! 黙っておれ! 66 00:08:41,721 --> 00:08:44,491 どちらも お役目 ご苦労でござった。 67 00:08:44,491 --> 00:08:48,361 さて 助左という船長は どちらに? 68 00:08:48,361 --> 00:08:52,365 この者が 助左でございます。 69 00:08:52,365 --> 00:08:54,501 はあ。 70 00:08:54,501 --> 00:08:58,371 おお 右近様のお話どおり 確かに 見覚えがある。 71 00:08:58,371 --> 00:09:02,776 かつて 信長公の御前で 陣中相撲を披露した あの時の男。 72 00:09:02,776 --> 00:09:10,116 はい。 右近様の仰せを受け 尼崎の浜より この船を運んでまいりましたが➡ 73 00:09:10,116 --> 00:09:14,788 不覚にも かく破損いたしてしまいました。 74 00:09:14,788 --> 00:09:16,723 申し訳もございません。 75 00:09:16,723 --> 00:09:20,460 木津川沖の海戦に遭遇したのは 不運であった。 76 00:09:20,460 --> 00:09:22,796 おことのせいではない。 77 00:09:22,796 --> 00:09:28,668 それにしても 船が港へぶつかるように 進んできたので びっくりいたしました。 78 00:09:28,668 --> 00:09:33,139 (弥九郎)しかし これで 沈没だけは免れたのだから➡ 79 00:09:33,139 --> 00:09:36,142 船長の機転というべきでしょう。 80 00:09:37,811 --> 00:09:39,746 助左。 はい。 81 00:09:39,746 --> 00:09:44,684 右近様の船 この小西が 確かに受け取った。 82 00:09:44,684 --> 00:09:47,487 ありがとうございました! 83 00:09:47,487 --> 00:09:51,357 (文次)船長 よかったな~! 船長~! 84 00:09:51,357 --> 00:09:55,361 船長! 腹が減った…。 85 00:09:57,497 --> 00:09:59,833 俺も 腹減った。 86 00:09:59,833 --> 00:10:05,138 (泣き声) 87 00:10:07,707 --> 00:10:12,412 <同じ日 摂津郡山の織田方の陣営に➡ 88 00:10:12,412 --> 00:10:16,716 高山右近が 城を捨てて投降してくる> 89 00:10:25,859 --> 00:10:27,861 (信長)近う。 90 00:10:30,530 --> 00:10:35,401 吉則の一振りだ。 受けてくれ。 91 00:10:35,401 --> 00:10:39,539 (右近)恐れながら 頂戴はできませぬ。 92 00:10:39,539 --> 00:10:41,875 なぜ できぬ。 93 00:10:41,875 --> 00:10:45,745 それがし 我が城を捨ててまいりましたのは➡ 94 00:10:45,745 --> 00:10:49,549 バテレンへの出家を 決心いたしましたゆえでございます。 95 00:10:49,549 --> 00:10:51,551 出家は許さぬ。 96 00:10:53,219 --> 00:11:01,928 しからば 即刻 その太刀にて この首を お打ち落としくださいませ。 97 00:11:03,830 --> 00:11:11,170 右近… わしに仕えて いま一度 高槻領を治めよ。 98 00:11:11,170 --> 00:11:16,843 知行も 旧に倍する4万石を与えよう。 99 00:11:16,843 --> 00:11:18,778 なんと…! 100 00:11:18,778 --> 00:11:23,183 (信長)己一人が 武士の面目にこだわって 死をとるよりは➡ 101 00:11:23,183 --> 00:11:27,854 生きて 領内の数万のキリシタンを 守ってやる方が➡ 102 00:11:27,854 --> 00:11:32,158 理にかなったことだとは思わぬか。 103 00:11:34,727 --> 00:11:40,433 村重への義理立てなどに 思いを及ぼす必要はない。 104 00:11:40,433 --> 00:11:47,874 村重めは わしを極悪非情の者として 反旗を翻した。 105 00:11:47,874 --> 00:11:50,543 しかし 顧みてみよ。 106 00:11:50,543 --> 00:11:53,446 村重の周囲に及ぼす温情は➡ 107 00:11:53,446 --> 00:11:58,885 あらゆる物事を 下劣下等なものに 変えてしまってはいないか。 108 00:11:58,885 --> 00:12:04,157 きやつは しばしば 敵にも情を施し 己も 敵に情を求めた。 109 00:12:04,157 --> 00:12:09,162 そういうことが どれほど 戦の節理を汚してきたか。 110 00:12:19,172 --> 00:12:24,510 きやつのごとき 愚劣な者には構わず おことは 更に先へ進め。 111 00:12:24,510 --> 00:12:30,516 十字の旗をかざして もっと戦う者となれ! 112 00:12:33,186 --> 00:12:58,411 ♬~ 113 00:12:58,411 --> 00:13:04,484 <織田信長の中国進攻作戦が開始されて 1年がたっている。➡ 114 00:13:04,484 --> 00:13:11,157 この時期 織田軍は 4方面の敵と 同時に戦いを展開している。➡ 115 00:13:11,157 --> 00:13:17,030 その一つは 明智光秀を将とする丹波攻略。➡ 116 00:13:17,030 --> 00:13:21,501 摂津の荒木村重に対する包囲戦。➡ 117 00:13:21,501 --> 00:13:25,838 大坂 石山本願寺に対する包囲戦。➡ 118 00:13:25,838 --> 00:13:32,178 羽柴秀吉が指揮する 播州 三木城の兵糧攻め。➡ 119 00:13:32,178 --> 00:13:40,053 そして これらの敵の向こうには 西国の王者 毛利氏がそびえ立っている。➡ 120 00:13:40,053 --> 00:13:44,524 山陽道と山陰道に広がる これらの戦いは➡ 121 00:13:44,524 --> 00:13:49,228 いずれも 信長の毛利攻略への布石でもある> 122 00:13:50,863 --> 00:13:56,536 <毛利攻略の布石は 別の一方からも打たれようとしている。➡ 123 00:13:56,536 --> 00:14:03,142 右近の船が 助左衛門によって 堺の港へ運び込まれた翌日➡ 124 00:14:03,142 --> 00:14:11,017 入れ代わるように 小西行長が 備前岡山へ旅立っていく> 125 00:14:11,017 --> 00:14:15,488 備前岡山といえば 毛利方の陣営ではございませんか? 126 00:14:15,488 --> 00:14:19,158 いかにも 国主の宇喜多直家公は 毛利方だが➡ 127 00:14:19,158 --> 00:14:24,497 実は 我が小西の家も 直家公とは 因縁浅からぬ間柄でな。 128 00:14:24,497 --> 00:14:29,168 岡山の城下には 小西の店も開かせてもらっている。 129 00:14:29,168 --> 00:14:33,506 故あって 来年の春までは かの地で暮らすことになるので➡ 130 00:14:33,506 --> 00:14:39,846 右近様の船の修理 管理一切は 今井の美緒殿に お願いしていく。 131 00:14:39,846 --> 00:14:42,749 こなたも 安心して 長浜へ帰るがいい。 132 00:14:42,749 --> 00:14:45,184 はっ。 ありがとうございます。 133 00:14:45,184 --> 00:14:50,857 ただ 小西様が備前へ行かれたことを 羽柴様がお聞きになったら➡ 134 00:14:50,857 --> 00:14:53,192 さぞ ご心配になられることでございましょう。 135 00:14:53,192 --> 00:14:57,530 羽柴軍は 目下 播磨に向けて進攻中でございます。 136 00:14:57,530 --> 00:15:01,400 播磨が落ちれば 次は お隣の備前。 137 00:15:01,400 --> 00:15:07,807 備前が戦場になれば 小西様と羽柴様は 攻める方と守る方とに➡ 138 00:15:07,807 --> 00:15:10,143 分かれておしまいになるのでは ございませぬか? 139 00:15:10,143 --> 00:15:18,017 そう… 今度会う時は 敵味方に分かれて まみえることになるかもしれんな。 140 00:15:18,017 --> 00:15:22,722 それじゃあ それをご承知の上で 宇喜多様のご領内に? 141 00:15:24,490 --> 00:15:30,363 私が備前へ赴くのは さるお方のご依頼によるものだ。 142 00:15:30,363 --> 00:15:34,500 さるお方とは…? 143 00:15:34,500 --> 00:15:36,836 これ以上は 今は言えぬ。 144 00:15:36,836 --> 00:15:43,142 全ては ゼウスの御心に従って動くだけだ。 145 00:15:45,178 --> 00:15:49,182 また会おう。 はっ。 146 00:15:54,520 --> 00:15:56,823 ご無事で。 147 00:16:06,466 --> 00:16:11,337 <天正4年正月から始まった 安土城の築城工事は➡ 148 00:16:11,337 --> 00:16:17,810 3年の歳月を要して 天正7年春に完成する。➡ 149 00:16:17,810 --> 00:16:25,151 5層7階 本丸地表より天主最上階まで 46メートル。➡ 150 00:16:25,151 --> 00:16:29,455 我が国最初の高層建築である> 151 00:16:31,824 --> 00:16:34,727 <その復元図を見ると➡ 152 00:16:34,727 --> 00:16:38,164 最上階は 3間四方の平面で➡ 153 00:16:38,164 --> 00:16:43,503 金色まばゆいばかりの室内は 狩野永徳によって描かれた➡ 154 00:16:43,503 --> 00:16:51,377 道教 儒教の思想を表す金碧障壁画の 豪壮華麗な意匠である。➡ 155 00:16:51,377 --> 00:16:54,514 5階八角の段は➡ 156 00:16:54,514 --> 00:17:01,787 釈尊成道説法図 釈門十大弟子 天人影向の図など➡ 157 00:17:01,787 --> 00:17:06,659 極彩色豊かな 仏教的世界が広がっている。➡ 158 00:17:06,659 --> 00:17:09,662 そして 何よりも注目すべきは➡ 159 00:17:09,662 --> 00:17:14,367 3階から地階まで 4階分の吹き抜けの空間が➡ 160 00:17:14,367 --> 00:17:17,803 中央にとられていることである。➡ 161 00:17:17,803 --> 00:17:23,476 この吹き抜けの空間上部 信長の居住部分には➡ 162 00:17:23,476 --> 00:17:29,815 北から南へ 橋が架けられ 2階には 能舞台が張り出し➡ 163 00:17:29,815 --> 00:17:34,153 地階には 法華経にいう 宇宙の中枢である➡ 164 00:17:34,153 --> 00:17:38,824 須弥山の宝塔が安置されている。➡ 165 00:17:38,824 --> 00:17:47,166 実に 儒教 道教 仏教 神道 そして 新来のキリスト教をも含めた➡ 166 00:17:47,166 --> 00:17:51,837 東西の宗教と芸術を 混然として統合する➡ 167 00:17:51,837 --> 00:17:56,175 信長の天道思想の象徴たる 天主閣であった> 168 00:17:56,175 --> 00:18:12,458 ♬~(謡) 169 00:18:12,458 --> 00:18:16,329 三木城の包囲に 抜かりはないか。 170 00:18:16,329 --> 00:18:20,800 (秀吉)走獣飛鳥も逃れ難い陣立てに 包囲いたしてございます。 171 00:18:20,800 --> 00:18:25,137 城中の兵糧は まだ 底をつかぬか。 172 00:18:25,137 --> 00:18:30,009 兵糧攻めに入ります前に 堺の小西隆佐に手を回させ➡ 173 00:18:30,009 --> 00:18:35,481 城中の米を 残らず買い集めてございます。 174 00:18:35,481 --> 00:18:40,820 今頃は 城内の糧米も 尽きている頃と存じ上げます。 175 00:18:40,820 --> 00:18:45,491 糧米を買い占めさせたのか。 はい。 176 00:18:45,491 --> 00:18:49,362 それで 城は いつ落ちる。 177 00:18:49,362 --> 00:18:53,366 1年 お待ちくださりませ。 178 00:18:53,366 --> 00:18:56,669 播磨のあとは 備前か。 179 00:18:59,505 --> 00:19:04,777 備前の宇喜多直家は 悪評紛々たる曲者らしいが➡ 180 00:19:04,777 --> 00:19:08,447 これは どう攻める。 181 00:19:08,447 --> 00:19:12,318 直家公には 調略をもって当たります。 182 00:19:12,318 --> 00:19:18,457 煮ても焼いても食えぬ美作の佞人を どう 毛利から寝返らせる。 183 00:19:18,457 --> 00:19:22,795 ただ ただ威嚇をもちまして…。 184 00:19:22,795 --> 00:19:25,698 ただの脅しで 寝返るのか。 185 00:19:25,698 --> 00:19:28,134 寝返らせます。 186 00:19:28,134 --> 00:19:32,471 直家ほどの者ならば 寝返ると見せて➡ 187 00:19:32,471 --> 00:19:36,809 そのまた裏をかくぐらいの芸当は 造作もなかろう。 188 00:19:36,809 --> 00:19:40,679 直家の腹の中を どう読み取るつもりだ。 189 00:19:40,679 --> 00:19:44,150 実は そのことにつきまして➡ 190 00:19:44,150 --> 00:19:52,024 直家公の腹の中を探る鏡を 既に去年のうちより 直家公の懐の中に➡ 191 00:19:52,024 --> 00:19:55,494 忍び込ませてございます。 鏡とは 間者のことか。 192 00:19:55,494 --> 00:19:57,430 間者ではござりませぬ。 193 00:19:57,430 --> 00:20:02,835 小西隆佐の一子で 弥九郎と申し 知謀 衆に秀でたる者にて➡ 194 00:20:02,835 --> 00:20:07,707 前より 直家公とは ゆかりの深い商人でございます。 195 00:20:07,707 --> 00:20:10,709 隆佐の息子か…。 196 00:20:10,709 --> 00:20:13,479 直家公も いずれ 小西の背後に➡ 197 00:20:13,479 --> 00:20:16,382 それがしの影を 察知いたすでありましょう。 198 00:20:16,382 --> 00:20:21,854 直家公が この小西を 寝返りの使者として立てますならば➡ 199 00:20:21,854 --> 00:20:26,525 まず 籠絡は 脈ありと見て しかるべきと存じます。 200 00:20:26,525 --> 00:20:28,861 筑前。 はっ。 201 00:20:28,861 --> 00:20:33,532 勝負は もう既に ついておるではないか。 202 00:20:33,532 --> 00:20:35,534 はい。 203 00:20:42,208 --> 00:20:45,111 放て~! (銃声) 204 00:20:45,111 --> 00:20:47,079 (銃声) 205 00:20:47,079 --> 00:20:49,081 それ~! 206 00:20:50,883 --> 00:20:53,219 (銃声) うわ~! 207 00:20:53,219 --> 00:20:57,223 <それから1か月後の2月6日> 208 00:20:59,558 --> 00:21:04,163 <三木城の将兵2,500が 一挙に雌雄を決しようと➡ 209 00:21:04,163 --> 00:21:09,034 平井山の秀吉の本陣 目がけて 力押しに打って出たが➡ 210 00:21:09,034 --> 00:21:14,807 この一戦も 逆に秀吉勢に押し返されて 惨敗に終わる> 211 00:21:14,807 --> 00:21:16,809 (銃声) 212 00:21:21,714 --> 00:21:23,849 <三木城の落城が➡ 213 00:21:23,849 --> 00:21:27,520 誰の目にも明らかになった6月の半ば➡ 214 00:21:27,520 --> 00:21:31,857 隣国 備前から 宇喜多直家の使者が➡ 215 00:21:31,857 --> 00:21:36,162 播州 平井山の秀吉の陣を訪ねてくる> 216 00:21:38,197 --> 00:21:40,533 (弥九郎)織田上総介殿には➡ 217 00:21:40,533 --> 00:21:43,869 いずれ 西国 九州までも お仕置きある由➡ 218 00:21:43,869 --> 00:21:50,209 直家が その先鋒を承りたく その使者として参上いたしました。 219 00:21:50,209 --> 00:21:54,880 筑前守殿は 中国の探題でおわしませば➡ 220 00:21:54,880 --> 00:22:01,153 その儀 よろしくおとりなしのほどを お願い申し上げます。 221 00:22:01,153 --> 00:22:06,025 この旨は いささかもって偽りではございませぬ。 222 00:22:06,025 --> 00:22:09,028 ええい! 聞こえぬわ! 223 00:22:09,028 --> 00:22:11,163 へへぇ…。 224 00:22:11,163 --> 00:22:14,500 立ち帰りて ぬしの主に言うがよい。 225 00:22:14,500 --> 00:22:18,838 直家は 毛利をそそのかして 上月を攻めさせ➡ 226 00:22:18,838 --> 00:22:22,708 尼子勝久兄弟を切腹させしにあらずや。 227 00:22:22,708 --> 00:22:27,179 されば 別所を滅ぼして後 作州より備前に討ち入り➡ 228 00:22:27,179 --> 00:22:33,519 まず一番に 直家を討ち滅ぼさんと 思い定めしところである。➡ 229 00:22:33,519 --> 00:22:37,857 直家は このことを推察し さよう言うのであろうが➡ 230 00:22:37,857 --> 00:22:40,759 実に 心中は量るべからず。➡ 231 00:22:40,759 --> 00:22:43,729 我が先鋒に加えることは なかなかに許し難い! 232 00:22:43,729 --> 00:22:47,867 お言葉を返すようで恐れ入りますが➡ 233 00:22:47,867 --> 00:22:51,203 申さねば お心が解けぬでありましょう。 234 00:22:51,203 --> 00:22:56,876 直家は 備前美作を領し しばらくは 毛利に従う身でありますから➡ 235 00:22:56,876 --> 00:22:59,211 一旦は 敵にも相なりました。 236 00:22:59,211 --> 00:23:05,017 しかし 上月出張の時は 毛利の催促 断るわけにもいきませんので➡ 237 00:23:05,017 --> 00:23:10,155 人数は出しましたが 直家は 出陣いたしておりません。 238 00:23:10,155 --> 00:23:13,826 また 尼子と毛利が 久しき怨敵であることは➡ 239 00:23:13,826 --> 00:23:16,161 誰もが ご存じのことにて➡ 240 00:23:16,161 --> 00:23:21,500 直家が 別に すすめたわけでもございません。 241 00:23:21,500 --> 00:23:26,372 (秀吉) それも 聞く耳持たぬと申したら…。 242 00:23:26,372 --> 00:23:32,144 まことに不審を被るべき身を 特別に お許しなさいますならば➡ 243 00:23:32,144 --> 00:23:39,051 これは 中国探題たる筑前守殿の おんためにもなることでございます。 244 00:23:39,051 --> 00:23:41,520 直家を許すことが なぜ わしの得となるのか。 245 00:23:41,520 --> 00:23:44,423 されば 備前より先の国人ども➡ 246 00:23:44,423 --> 00:23:47,860 直家さえ許され ご先鋒に加えられるほどなれば➡ 247 00:23:47,860 --> 00:23:51,196 いわんや 己においては なお子細なしと安堵し➡ 248 00:23:51,196 --> 00:23:53,866 御旗を迎えるでありましょう。 249 00:23:53,866 --> 00:24:02,474 さすれば 直家こそ 中国征伐のお先手と なさせたもうべき人であります。 250 00:24:02,474 --> 00:24:06,345 直家は そりゃ 本心かな。 251 00:24:06,345 --> 00:24:11,483 直家の二心なきしるしに 最愛の子息 今年7歳になりました者を➡ 252 00:24:11,483 --> 00:24:14,153 陣頭に参らせおくとも申しております。 253 00:24:14,153 --> 00:24:17,489 まずまず本心でございましょう。 254 00:24:17,489 --> 00:24:22,361 ふ~ん。 弥九郎よ。 はい。 255 00:24:22,361 --> 00:24:26,498 いや~ わしゃ つくづく おぬしを見直した。 256 00:24:26,498 --> 00:24:30,369 僅かの間に よくも ああ佞智の邪将を そこまで籠絡したのう。 257 00:24:30,369 --> 00:24:34,840 あっぱれ あっぱれ。 はい はい。 狂言は これまで。 258 00:24:34,840 --> 00:24:37,743 おい 宴じゃ 宴じゃ~! 259 00:24:37,743 --> 00:24:42,514 <会談は 初めから八百長であった。➡ 260 00:24:42,514 --> 00:24:46,385 小西行長と秀吉の2人がかりの策略に➡ 261 00:24:46,385 --> 00:24:51,523 西国一の曲者として聞こえた宇喜多直家も 手玉に取られ➡ 262 00:24:51,523 --> 00:24:56,862 備前一国が 秀吉の懐に転がり込む。➡ 263 00:24:56,862 --> 00:25:02,668 この功により 小西行長は 2百石をもらって 士分となり➡ 264 00:25:02,668 --> 00:25:09,975 以後 秀吉幕下の若き参謀として 縦横の活躍をしていくことになる> 265 00:25:11,810 --> 00:25:15,514 ああ~。 ハッハッハッハ! 266 00:25:17,683 --> 00:25:21,487 <天正7年9月2日 夜。➡ 267 00:25:21,487 --> 00:25:26,158 荒木村重が 有岡城の籠城衆を見捨てて➡ 268 00:25:26,158 --> 00:25:32,164 一人 尼崎へ逃走してしまうという 意外な事件が起こった> 269 00:25:34,033 --> 00:25:41,173 <主を失った有岡城は それから2か月後の11月19日➡ 270 00:25:41,173 --> 00:25:44,176 降伏 開城する> 271 00:25:54,520 --> 00:25:59,525 村重 汚し! 272 00:26:04,797 --> 00:26:09,468 <信長は 天下統一を目指す炎の道の途上で➡ 273 00:26:09,468 --> 00:26:13,806 3度の大量虐殺を敢行している。➡ 274 00:26:13,806 --> 00:26:19,678 その一つは 僧俗3,000人を皆殺しにした 叡山焼き打ち。➡ 275 00:26:19,678 --> 00:26:25,417 次いで 伊勢長島の一向宗徒2万人の大殺戮。➡ 276 00:26:25,417 --> 00:26:30,823 そして 最後が 荒木村重が有岡城に見捨てていった➡ 277 00:26:30,823 --> 00:26:35,160 妻子眷属600人の処刑であった> 278 00:26:35,160 --> 00:26:56,849 ♬~ 279 00:26:56,849 --> 00:27:03,121 <摂津国が 再び信長の陣営に戻った その4か月後の➡ 280 00:27:03,121 --> 00:27:08,994 天正8年正月17日 三木城が陥落。➡ 281 00:27:08,994 --> 00:27:14,466 城主 別所長治は 23歳の生涯を閉じて➡ 282 00:27:14,466 --> 00:27:20,172 播磨国もまた 信長の軍門に下った> 283 00:27:32,017 --> 00:27:34,720 ⚟梢。 284 00:27:45,430 --> 00:27:47,733 お離し。 285 00:29:00,439 --> 00:29:03,342 (兼久)お許…➡ 286 00:29:03,342 --> 00:29:08,046 御寮人様に 毒でも盛ってみたいと 思うたことはないか。 287 00:29:09,781 --> 00:29:13,452 俺にも気付かぬようにできれば やってみてもいいぞ。 288 00:29:13,452 --> 00:29:29,468 ♬~ 289 00:29:29,468 --> 00:29:33,338 真面目な顔で にらむな。 290 00:29:33,338 --> 00:29:36,341 分かって わざと言ってみたのだ。 291 00:29:40,479 --> 00:29:42,414 どうでしょうか…。 292 00:29:42,414 --> 00:30:07,506 ♬~ 293 00:30:07,506 --> 00:30:11,843 火事見物に連れてってやる。 馬の支度を。 294 00:30:11,843 --> 00:30:33,131 ♬~ 295 00:30:46,211 --> 00:30:49,548 何が燃えているか 分かるか。 296 00:30:49,548 --> 00:30:52,884 (梢)あちらは 大坂の方角では…。 297 00:30:52,884 --> 00:30:57,222 石山本願寺が燃えているんだ。 298 00:30:57,222 --> 00:31:05,030 昨日から燃え続けている。 きっと 明日も燃えているだろう。 299 00:31:05,030 --> 00:31:08,033 本願寺が とうとう…。 300 00:31:11,503 --> 00:31:18,176 信長め とうとう天下を取りおった…。 301 00:31:18,176 --> 00:31:23,048 これで 俺も 生涯 すね者で終わるのか…。 302 00:31:23,048 --> 00:31:29,521 銭も要らぬ。 夢も要らぬ。 303 00:31:29,521 --> 00:31:34,192 天下は まだ 信長様のものと 決まったわけではございませぬ。 304 00:31:34,192 --> 00:31:37,863 西には毛利 東には…。 305 00:31:37,863 --> 00:31:43,201 家康がいたか。 はい。 306 00:31:43,201 --> 00:31:51,877 徳川家康… 一度は相まみえたい人物だが。 307 00:31:51,877 --> 00:31:54,546 お会いになられますとも。 308 00:31:54,546 --> 00:31:56,882 そう遠くない時期に。 309 00:31:56,882 --> 00:32:01,486 信長を倒す者とあれば 誰でも構わぬ。 310 00:32:01,486 --> 00:32:06,825 その者のために 全てをなげうってみたい。 311 00:32:06,825 --> 00:32:14,132 どうせなら 家康のような男に天下を取らせてみたい。 312 00:32:24,376 --> 00:32:30,515 <全国数百万の門徒に君臨する 本願寺門主 顕如と➡ 313 00:32:30,515 --> 00:32:33,418 天下制覇を目指す織田信長とが➡ 314 00:32:33,418 --> 00:32:37,389 10年にわたって繰り広げた石山合戦も➡ 315 00:32:37,389 --> 00:32:45,063 天正8年8月2日の本願寺炎上で 終えんを迎える。➡ 316 00:32:45,063 --> 00:32:49,534 石山の壮大なる伽藍は 3日燃え続けて➡ 317 00:32:49,534 --> 00:32:53,538 一宇も残さず 灰燼に帰した> 318 00:33:00,478 --> 00:33:05,817 戦は終わったよ! 槍を持ってる場合じゃないんだ。 319 00:33:05,817 --> 00:33:08,720 いかがですか? 川下りには 無用の長物だ。 320 00:33:08,720 --> 00:33:11,690 それと米1升。 米1升と お取り替えいたします。 321 00:33:11,690 --> 00:33:13,692 いかがですか? 322 00:33:13,692 --> 00:33:17,429 川下りの邪魔になるばっかりです。 ねえ。 323 00:33:17,429 --> 00:33:20,832 替えてくれ。 ありがとうございます。 324 00:33:20,832 --> 00:33:25,170 さあ いかがですか? 米1升! 米1升と 槍 刀 鉄砲 鎧…。 325 00:33:25,170 --> 00:33:27,839 あっ お替えになりますか。 ありがとうございます。 326 00:33:27,839 --> 00:33:29,841 ありがとうございます。 どうも。 327 00:33:31,509 --> 00:33:35,514 はい はい お客さん お客さん! はい はい はい 鎧 鎧!おっ 鎧! 328 00:33:37,849 --> 00:33:39,784 さあ いかがですか? 329 00:33:39,784 --> 00:33:41,720 もう 戦は終わりましたよ。 戦は終わりました。 330 00:33:41,720 --> 00:33:44,523 槍 刀 鉄砲 持ってたって もう 何の得にもなりません。 ねえ。 331 00:33:44,523 --> 00:33:47,826 それよりも 米! 米 いかがですか? ねえ! 槍…。 332 00:33:49,394 --> 00:33:54,866 そ… それと米を 替えるのかい? 333 00:33:54,866 --> 00:33:58,737 誰の位牌だい? 父様…。 334 00:33:58,737 --> 00:34:02,474 父様…。 335 00:34:02,474 --> 00:34:06,811 父様を米に替えちゃいけないよ。 なあ。 336 00:34:06,811 --> 00:34:10,482 よし。 よしよし…。 これはな 大事にしまっときなさい。 337 00:34:10,482 --> 00:34:13,151 ねえ 大事にしまっといて。 はい そうだ。 338 00:34:13,151 --> 00:34:15,820 これ やるから。 これ やるから。 どこまで行くんだい? 339 00:34:15,820 --> 00:34:19,157 淡路。 淡路か…。 340 00:34:19,157 --> 00:34:22,827 え~ どなたか 淡路へいらっしゃる方 いらっしゃいませんか? お客様の中に。 341 00:34:22,827 --> 00:34:26,698 淡路まで。 あの~ どなたか 淡路へ行く方 いらっしゃいませんか? 342 00:34:26,698 --> 00:34:29,167 もし いらっしゃいましたら この子供 一緒に➡ 343 00:34:29,167 --> 00:34:32,837 連れっていただきたいんでございますが。 淡路なら 私が…。 344 00:34:32,837 --> 00:34:36,174 いらっしゃいます? じゃあ すみませんが 一緒に連れてってやってください。 345 00:34:36,174 --> 00:34:38,510 気を付けて。ありがとうございます。 気を付けて行くんだよ。 346 00:34:38,510 --> 00:34:42,847 お~い 舟が出るぞ~! 347 00:34:42,847 --> 00:34:46,151 お願いします。 348 00:34:53,491 --> 00:34:59,864 <安土城下に 楽市楽座が制定されてから 3年がたつ。➡ 349 00:34:59,864 --> 00:35:04,703 楽市楽座とは 城下で商いをする商人たちに対する➡ 350 00:35:04,703 --> 00:35:08,473 免税 および 諸役の免除である。➡ 351 00:35:08,473 --> 00:35:11,376 信長は 楽市楽座のほかにも➡ 352 00:35:11,376 --> 00:35:17,816 13か条から成る 掟書きを定めて 城下の掟を厳しくする一方➡ 353 00:35:17,816 --> 00:35:23,688 商人たちに対しては 普請役や伝馬役を免除する特典を与え➡ 354 00:35:23,688 --> 00:35:30,395 行商人には 街道の通行に便宜を与えて 市街繁栄の策とした> 355 00:35:30,395 --> 00:35:33,832 米3升と取り替えたけども そいつが言うにはな これは➡ 356 00:35:33,832 --> 00:35:39,170 雑賀孫市が使った鉄砲だって。 雑賀孫市が使った…。 357 00:35:39,170 --> 00:35:44,042 さあ 鉄砲だ 鉄砲だ! 雑賀孫市が使った鉄砲だ! 百発百中! 358 00:35:44,042 --> 00:35:46,344 どうだい? 鉄砲! 359 00:35:48,179 --> 00:35:52,517 いかがですか? 鉄砲ですよ! ねえ 雑賀孫市が使った鉄砲! 360 00:35:52,517 --> 00:35:54,519 百発…。 361 00:35:56,855 --> 00:35:59,190 右近様…! 362 00:35:59,190 --> 00:36:03,461 捜していた…。 会いたかったぞ! はい。 363 00:36:03,461 --> 00:36:05,397 いつ この安土へ? 364 00:36:05,397 --> 00:36:09,401 来てくれ。 見てもらいたいものがある。 はい。 365 00:36:11,336 --> 00:36:15,040 おっ! 行っちゃった…。 366 00:36:16,808 --> 00:36:19,711 さあ 助左! 見てくれ! 367 00:36:19,711 --> 00:36:24,149 こなたの足元を。 この埋め立て地を。 368 00:36:24,149 --> 00:36:30,488 この土地… この土地が何か? 369 00:36:30,488 --> 00:36:32,424 この春のことだ。 370 00:36:32,424 --> 00:36:37,829 パーデレ オルガンチノが 上様の招きで 安土城天主の拝観に伺候された折➡ 371 00:36:37,829 --> 00:36:40,165 バテレンの御堂とセミナリオを➡ 372 00:36:40,165 --> 00:36:44,169 安土の城下に建てさせてほしいと お願いになった。 373 00:36:45,837 --> 00:36:52,510 やがて 天下の中心地となる この安土を キリシタン布教の根拠地にすることが➡ 374 00:36:52,510 --> 00:36:55,413 パーデレの前からの望みだった。 375 00:36:55,413 --> 00:36:58,183 上様は 即座に これをお許しになり➡ 376 00:36:58,183 --> 00:37:03,455 この埋め立て地を 御堂と セミナリオ建立の敷地として 下された。 377 00:37:03,455 --> 00:37:10,128 はあ~ そういう土地でございましたか。 ここに バテレンの御堂を。 378 00:37:10,128 --> 00:37:12,797 まあ ここまでの話は➡ 379 00:37:12,797 --> 00:37:16,668 キリシタンではない おことには 無縁のこととしか思えんだろう。 380 00:37:16,668 --> 00:37:20,672 しかし これから先の話は➡ 381 00:37:20,672 --> 00:37:25,810 もしかすると おことの一生を 左右することになるかもしれぬ話だ。 382 00:37:25,810 --> 00:37:30,482 まるで見当がつきませぬが…。 383 00:37:30,482 --> 00:37:38,156 上様がな 青瓦の使用をお許しになった。 384 00:37:38,156 --> 00:37:40,492 青瓦!? 385 00:37:40,492 --> 00:37:42,427 うん。 386 00:37:42,427 --> 00:37:44,829 かつて 高槻のセミナリオ建立の際には➡ 387 00:37:44,829 --> 00:37:49,501 あれほど固く禁じられた 唐人 一観の青瓦を➡ 388 00:37:49,501 --> 00:37:54,172 この安土のセミナリオには使用を許すと ご自分から申し出された。 389 00:37:54,172 --> 00:37:57,842 あ… あの天主閣に用いた青瓦と同じものを➡ 390 00:37:57,842 --> 00:38:01,713 他にも用いてよいと 信長様が!? 391 00:38:01,713 --> 00:38:07,452 せっかく 高槻まで運んできながら 長浜へ引き返させてしまった あの青瓦➡ 392 00:38:07,452 --> 00:38:09,387 今は どこにある? 393 00:38:09,387 --> 00:38:15,326 はい 長浜の浜の納屋で ほこりをかぶって 眠っております。 394 00:38:15,326 --> 00:38:21,100 そのほこりを払って この安土へ運んできてくれ。 395 00:38:21,100 --> 00:38:24,002 まことでございますか? 396 00:38:24,002 --> 00:38:27,138 (右近)偽りではない。 397 00:38:27,138 --> 00:38:30,041 かしこまりました。 398 00:38:30,041 --> 00:38:33,811 (右近)瓦の代金も 覚えておるか。 399 00:38:33,811 --> 00:38:37,148 はい! 銀で20貫。 400 00:38:37,148 --> 00:38:42,020 その20貫と 私の五百石船とを 引き換えてくれぬかと➡ 401 00:38:42,020 --> 00:38:46,825 こなたに頼んだことは…。 忘れてはおりません。 402 00:38:46,825 --> 00:38:52,497 あの船こそ こなたが 必死で 尼崎から堺の港まで運び込んでくれた➡ 403 00:38:52,497 --> 00:38:55,400 あの船だ。 はい! 404 00:38:55,400 --> 00:39:02,307 では 改めて頼むが こなたの瓦と あの船とを➡ 405 00:39:02,307 --> 00:39:04,442 引き換えてはくれまいか。 406 00:39:04,442 --> 00:39:09,781 はい。 思いは 今も変わりません。 407 00:39:09,781 --> 00:39:13,651 ありがとうございました。 408 00:39:13,651 --> 00:39:18,122 このとおりでございます。 いや 助左。はい。 409 00:39:18,122 --> 00:39:24,128 礼ならば あの方角にするがいい。 410 00:39:35,473 --> 00:40:07,472 ♬~ 411 00:40:15,146 --> 00:40:18,049 あ~ ハハッ 俺の船だ。 412 00:40:18,049 --> 00:40:21,853 あ~ 俺の船だ! 413 00:40:21,853 --> 00:40:26,524 やっと持てた! やっと船が持てた! 414 00:40:26,524 --> 00:40:30,395 ああ~っ! 俺の船だ 俺の船だ 俺の船だ~! 415 00:40:30,395 --> 00:40:32,864 わあ~っ! ハッハッハッハ! 416 00:40:32,864 --> 00:40:35,566 俺の船だ~! 417 00:40:37,535 --> 00:40:40,438 俺の船だ~! 418 00:40:40,438 --> 00:40:42,407 俺の船だ~! 419 00:40:42,407 --> 00:40:46,711 俺の… 俺の船だ 俺の船だ~! 420 00:40:49,147 --> 00:40:56,154 俺の船だ! 俺の… 俺の船だ! 俺の船だ~! 俺は船長だ~! 421 00:41:21,846 --> 00:41:28,519 やっと 俺の船が持てたのに…➡ 422 00:41:28,519 --> 00:41:34,192 遅すぎたよな 善住坊。 423 00:41:34,192 --> 00:41:41,199 ぬしが生きてたら 誰よりも喜んでくれていたろうに…。 424 00:41:45,203 --> 00:41:51,876 おい 五右衛門。 ぬしも どこ行っちまったんだ。 425 00:41:51,876 --> 00:41:55,546 せっかく船長になれたのに➡ 426 00:41:55,546 --> 00:42:02,253 ぬしたちが いなくちゃ 張り合いがないじゃないか…。 427 00:42:04,355 --> 00:42:14,665 おい… 善住坊 五右衛門。 428 00:42:26,511 --> 00:42:32,850 親父… 見てくれ。 429 00:42:32,850 --> 00:42:40,191 俺が この手で得た船だ。 430 00:42:40,191 --> 00:42:46,531 俺の初めての船だ。 431 00:42:46,531 --> 00:42:51,402 見てくれ 親父。 432 00:42:51,402 --> 00:43:11,689 (泣き声) 433 00:43:11,689 --> 00:43:17,829 <助左衛門が 初めて今井の千石船に 水夫として乗り込み➡ 434 00:43:17,829 --> 00:43:24,135 雪の夜の船出をした日から 12年の歳月が流れていた> 435 00:43:26,504 --> 00:43:34,178 <今 助左衛門 30歳にして 五百石船の船長となる> 436 00:43:34,178 --> 00:43:46,190 ♬~