1 00:00:02,135 --> 00:02:40,127 ♬~ 2 00:02:43,764 --> 00:02:47,901 (木づちの音) 3 00:02:47,901 --> 00:02:55,776 (木づちの音) 4 00:02:55,776 --> 00:02:59,913 <天正9年7月。➡ 5 00:02:59,913 --> 00:03:07,187 羽柴秀吉を将とする2万の大兵が 因幡 鳥取城を包囲する。➡ 6 00:03:07,187 --> 00:03:10,090 鳥取の渇泣かし殺しと➡ 7 00:03:10,090 --> 00:03:13,860 後の世までも語り継がれる 秀吉の兵糧攻めが➡ 8 00:03:13,860 --> 00:03:15,862 ここに始まる> 9 00:03:17,531 --> 00:03:19,866 <その陣中で…> 10 00:03:19,866 --> 00:03:23,537 (秀吉)何だと!? 助左が 敵陣に連れ去られた!? 11 00:03:23,537 --> 00:03:25,872 (行長)連れ去られたというより➡ 12 00:03:25,872 --> 00:03:29,209 自分から飛び込んでしまった もののようでございます。 13 00:03:29,209 --> 00:03:31,912 ありゃ~…。 14 00:03:55,435 --> 00:03:59,573 南無阿弥陀仏…。 15 00:03:59,573 --> 00:04:03,176 許せよ 助左。 16 00:04:03,176 --> 00:04:09,483 (泣き声) 17 00:04:13,820 --> 00:04:16,523 ⚟(権六)待て!➡ 18 00:04:16,523 --> 00:04:20,393 米泥棒 待て! (新助)この野郎! 泥棒は わしだけじゃねえぞ! 19 00:04:20,393 --> 00:04:24,197 貴様! 二の丸の道誉様も 三の丸の春続様も➡ 20 00:04:24,197 --> 00:04:26,867 み~んな 己の米を 倉から持ち出しているではないか! 21 00:04:26,867 --> 00:04:29,202 ぬしもな ぬしも わしらなど追い回してないで➡ 22 00:04:29,202 --> 00:04:33,073 己の米のことを心配しろ! やあ~! 23 00:04:33,073 --> 00:04:36,877 ああ~!あっ 米! ああ! 米! 24 00:04:36,877 --> 00:04:39,579 父ちゃん 早く 早く! 25 00:04:41,548 --> 00:04:44,851 やめるんだ! やめるんだよ! 26 00:04:48,221 --> 00:04:52,092 おい! やめんか こら! やめろ~! 27 00:04:52,092 --> 00:04:54,094 (悲鳴) 28 00:04:54,094 --> 00:04:58,865 よすんだ! やめないか! こら! やめろ! 29 00:04:58,865 --> 00:05:01,168 こら! 待て! 30 00:05:01,168 --> 00:05:03,870 やめろ! やめろ! 31 00:05:08,041 --> 00:05:11,178 こなたら 山名衆の兵は➡ 32 00:05:11,178 --> 00:05:14,848 籠城の心得も 知らぬのか。➡ 33 00:05:14,848 --> 00:05:18,185 もっと 兵糧の管理を厳しくし➡ 34 00:05:18,185 --> 00:05:22,856 兵には 籠城の法度を徹底させてもらいたい。 35 00:05:22,856 --> 00:05:27,727 一日一汁一菜の決まりも守れぬようでは 秋まではおろか➡ 36 00:05:27,727 --> 00:05:30,530 ひとつきも持ちこたえることはできぬ! 37 00:05:30,530 --> 00:05:34,201 毛利方よりの兵糧の救援は➡ 38 00:05:34,201 --> 00:05:37,871 いつ届くのでございましょうか。 39 00:05:37,871 --> 00:05:41,741 兵糧の救援を当てにしているのか! 40 00:05:41,741 --> 00:05:46,880 我ら山名衆は 毛利ご一門の盾として➡ 41 00:05:46,880 --> 00:05:49,783 この一戦に臨んでおります。 42 00:05:49,783 --> 00:05:52,752 そのことを お忘れなく。 43 00:05:52,752 --> 00:05:59,226 毛利方より あなた様を この城の将として お迎えいたしましたのは➡ 44 00:05:59,226 --> 00:06:03,530 ただの旗印のためではございませぬ。 45 00:06:07,500 --> 00:06:14,374 (にぎわい) 46 00:06:14,374 --> 00:06:17,844 柵の外は 随分と にぎやかなようだな…。 47 00:06:17,844 --> 00:06:22,182 (孫次郎)敵は 陣地に 楽市を立てた模様でございます。 48 00:06:22,182 --> 00:06:24,117 楽市? 49 00:06:24,117 --> 00:06:26,519 各地より 大勢の商人たちに➡ 50 00:06:26,519 --> 00:06:31,191 乱舞の舞い手や 妓どもまでが 秀吉の命によって招き寄せられ➡ 51 00:06:31,191 --> 00:06:35,528 これらの店が 皆 繁盛している由にございます。 52 00:06:35,528 --> 00:06:38,832 上方武者のやることは分からぬ。 53 00:06:40,400 --> 00:06:45,205 (経家)…が 秀吉が率いてきた兵は2万。➡ 54 00:06:45,205 --> 00:06:50,543 因幡のどこにも それだけの人間が集まる町はないから➡ 55 00:06:50,543 --> 00:06:53,213 市が繁盛するのも 道理だな。 56 00:06:53,213 --> 00:06:56,883 (孫次郎)まことに いまいましき限りにございます。 57 00:06:56,883 --> 00:07:00,487 10月までの辛抱だ。 58 00:07:00,487 --> 00:07:06,159 秀吉が いくら気勢を上げようと 雪には勝てん。 59 00:07:06,159 --> 00:07:10,163 雪を見るまでは 何としても しのがねば…。 60 00:07:23,510 --> 00:07:26,413 来たぞ! 鉄砲隊! 61 00:07:26,413 --> 00:07:28,848 こら 早うせんか! 急げ! 62 00:07:28,848 --> 00:07:30,784 (銃声) 63 00:07:30,784 --> 00:07:33,720 (助左)とても城抜けは無理だ。 引き返そう。 64 00:07:33,720 --> 00:07:35,722 くそ~! 65 00:07:55,875 --> 00:08:00,480 ハハハハハハハッ! ばか! ばか ばか ばか! 66 00:08:00,480 --> 00:08:04,818 あれほど抜け出せるわけはないと 言ってやったのに。 ええっ!? ばか! 67 00:08:04,818 --> 00:08:10,490 ぬし せっかく塞がった傷口が また開いてきちゃったじゃないか。 68 00:08:10,490 --> 00:08:14,361 おい! 何やってんだ お前。 つげ! こら! 69 00:08:14,361 --> 00:08:17,364 おいおいおい そんなに血が出ちゃって 大丈夫か? 70 00:08:17,364 --> 00:08:22,836 明日から 一日1食だぞ。 取り戻せんぞ。 71 00:08:22,836 --> 00:08:27,173 この城は そんなに食い物が不足してるのか。 72 00:08:27,173 --> 00:08:31,845 (権六)ああ。 米が3千石あるかないかだ。 73 00:08:31,845 --> 00:08:36,182 3千石あれば 4~5か月は もつだろう。 74 00:08:36,182 --> 00:08:39,486 ケッ! もつわけねえだろう。 75 00:08:43,857 --> 00:08:50,730 山名衆は 雑兵 人夫を加えて 3,000 女子供が 3,000。 76 00:08:50,730 --> 00:08:56,436 吉川経家様が石見から率いてこられた 手勢が 8百余騎。➡ 77 00:08:56,436 --> 00:09:03,810 締めて7,000人の有象無象が 3千石の米に群がってんだ。➡ 78 00:09:03,810 --> 00:09:07,680 せいぜい もったとこで ふたつき…。➡ 79 00:09:07,680 --> 00:09:12,819 こんな勝手放題やってたら ひとつき もつかどうかだ…。 80 00:09:12,819 --> 00:09:17,157 ああっ! それは 酒か!? 飲ませろ! 81 00:09:17,157 --> 00:09:19,826 ああ! ああ~っ! 82 00:09:19,826 --> 00:09:24,130 うっ! うう…。 けが人が 先だ! 83 00:09:25,698 --> 00:09:31,438 おい ぬし。 飲めよ なあ。 最後の酒になるぞ おい。 84 00:09:31,438 --> 00:09:34,374 わしゃ… わしゃ 飲めん。 85 00:09:34,374 --> 00:09:38,845 いいんだよ お前。 よそ者だからって 遠慮することねえんだ。 86 00:09:38,845 --> 00:09:41,181 同舟相救うだ。 飲め。 なっ 飲め。 87 00:09:41,181 --> 00:09:46,886 水でいい。 水飲んでくる。 水でいい…。 88 00:09:55,528 --> 00:10:13,546 ♬~ 89 00:10:13,546 --> 00:10:20,420  心の声 木下様… いや 秀吉様➡ 90 00:10:20,420 --> 00:10:23,890 こういうことだったのでございますか。➡ 91 00:10:23,890 --> 00:10:28,761 我らを使って 因幡の米を買い占められたのは…。 92 00:10:28,761 --> 00:10:42,909 ♬~ 93 00:10:42,909 --> 00:10:46,246 <秀吉による兵糧攻めのかがり火が➡ 94 00:10:46,246 --> 00:10:54,254 因幡国の夜空を赤々と染めた 天正9年7月の同じ時…> 95 00:10:57,257 --> 00:11:01,127 <遠く離れた近江国の安土でも➡ 96 00:11:01,127 --> 00:11:08,134 今 織田信長による もう一つの火祭りが 挙行されようとしている> 97 00:11:09,836 --> 00:11:14,140 (番頭)若頭領と御寮人様が ご到着でございます。 98 00:11:19,512 --> 00:11:22,215 (兼久)お招きにあずかりまして…。 99 00:11:22,215 --> 00:11:26,553 (宗久)そろうて よう来たな。 間もなく 祭りも始まる。 100 00:11:26,553 --> 00:11:28,488 くつろいでくれ。 101 00:11:28,488 --> 00:11:31,424 安土の方角は どちらでございますか。 102 00:11:31,424 --> 00:11:36,896 安土は この方角だ。 103 00:11:36,896 --> 00:11:42,569 はて 明かり一つ見えませぬが…。 104 00:11:42,569 --> 00:11:45,905 信長公ご自慢 お城の灯も見えぬ。 105 00:11:45,905 --> 00:11:49,576 まるで 滅び去った町のように 静まり返って➡ 106 00:11:49,576 --> 00:11:52,478 とても祭りが行われるようには 見えませぬが…。 107 00:11:52,478 --> 00:11:56,249 それも 信長公のご命令でな。 108 00:11:56,249 --> 00:12:03,856 今日一日は 町じゅうの灯を ともしてはならぬという触れが出ている。 109 00:12:03,856 --> 00:12:10,730 町の明かりを消せとは また 奇妙なお触れを出されたものですな。➡ 110 00:12:10,730 --> 00:12:17,403 祭りというより まるで 葬式でも始まりそうな静けさだ。 111 00:12:17,403 --> 00:12:22,542 (宗久)今日はな 2人に祭りを見せるほかに➡ 112 00:12:22,542 --> 00:12:30,216 もう一つ してしまわなければならぬ用があってな。 113 00:12:30,216 --> 00:12:32,552 御用とおっしゃいますと。 114 00:12:32,552 --> 00:12:34,854 つれてこい。 はっ! 115 00:12:37,223 --> 00:12:39,926 おい つれてこい。 はっ! 116 00:12:41,561 --> 00:12:43,563 (美緒)梢! 117 00:12:48,234 --> 00:12:52,105 何のおつもりですか。 118 00:12:52,105 --> 00:12:58,411 梢 お許の口から言うてやるか。 119 00:13:00,179 --> 00:13:06,853 梢にはな 今日より 暇を出すことにした。 120 00:13:06,853 --> 00:13:11,724 兼久に 何か 言い残すことはないか。 121 00:13:11,724 --> 00:13:13,726 (梢)何もございませぬ。 122 00:13:13,726 --> 00:13:18,464 この女が どんな不始末をしでかしましたので。 123 00:13:18,464 --> 00:13:24,203 まず ぬしを徳川びいきにしてしもうた。 124 00:13:24,203 --> 00:13:26,139 徳川? 125 00:13:26,139 --> 00:13:29,075 実に長年にわたって じわじわと ぬしは➡ 126 00:13:29,075 --> 00:13:35,214 この女から 家康公の偉大さについて 吹き込まされてきた。 127 00:13:35,214 --> 00:13:38,117 梢は くノ一だ。 128 00:13:38,117 --> 00:13:41,554 徳川様の間者だ。 129 00:13:41,554 --> 00:13:43,856 まさか…。 130 00:13:45,892 --> 00:13:49,562 梢 まことか!? 131 00:13:49,562 --> 00:13:53,232 (宗久)目が覚めたか 兼久! 132 00:13:53,232 --> 00:13:55,568 おのれ! 133 00:13:55,568 --> 00:13:58,905 うろたえるな! 134 00:13:58,905 --> 00:14:02,608 ここは 船の上 琵琶湖の真ん中だ。 135 00:14:04,711 --> 00:14:07,013 梢。 136 00:14:10,183 --> 00:14:13,519 徳川様は お味方。 137 00:14:13,519 --> 00:14:17,390 ぬしも この今井に 害を及ぼしたわけではない。 138 00:14:17,390 --> 00:14:23,529 だがな 間者が ひとたび その正体を暴露されたからには➡ 139 00:14:23,529 --> 00:14:29,202 まず 生きて 再び三河に帰れようとは 思うまいのう。 140 00:14:29,202 --> 00:14:32,538 (梢)覚悟はできております。 141 00:14:32,538 --> 00:14:37,410 ここから この水の下に消えてくれるか。 142 00:14:37,410 --> 00:14:40,213 そう お許しいただけますならば…。 143 00:14:40,213 --> 00:14:47,086 手かせ足かせは要らぬか。 無用に存じます。 144 00:14:47,086 --> 00:14:50,857 では…➡ 145 00:14:50,857 --> 00:14:52,859 行け! 146 00:15:01,501 --> 00:15:03,503 梢…。 147 00:15:14,080 --> 00:15:16,382 梢。 148 00:15:19,519 --> 00:15:22,221 死ぬことはない。 149 00:15:24,190 --> 00:15:27,493 いずこかの地で生き延びよ。 150 00:15:31,063 --> 00:15:33,199 ううっ…。 151 00:15:33,199 --> 00:15:35,201 うっ! 152 00:15:47,547 --> 00:15:49,882 ごめんくださいまし!いけない! 153 00:15:49,882 --> 00:15:54,587 お離しくださいまし! なりませぬ! 死んではならぬ! 154 00:15:56,222 --> 00:15:58,157 おなかの子に罪はない。 155 00:15:58,157 --> 00:16:00,159 おなかの子? 156 00:16:01,828 --> 00:16:05,498 子を みごもっております。 157 00:16:05,498 --> 00:16:07,433 何!? 158 00:16:07,433 --> 00:16:10,169 (宗久)偽りではないのか。 159 00:16:10,169 --> 00:16:12,872 偽りではございませぬ。 160 00:16:14,507 --> 00:16:17,210 兼久の子か? 161 00:16:23,182 --> 00:16:27,053 梢 答えろ! 162 00:16:27,053 --> 00:16:31,524 (泣き声) 163 00:16:31,524 --> 00:16:34,427 俺の子だ…。 164 00:16:34,427 --> 00:16:39,198 なぜ それを前に言わない。 165 00:16:39,198 --> 00:16:43,069 兼久の子は…➡ 166 00:16:43,069 --> 00:16:46,072 今井の子だ。 167 00:16:46,072 --> 00:17:02,088 (花火の音) 168 00:17:07,360 --> 00:17:18,504 ♬~(聖歌) 169 00:17:18,504 --> 00:17:20,840 お城が…。 170 00:17:20,840 --> 00:17:23,843 あっ ご天主に…。 171 00:17:27,513 --> 00:17:30,182 信長公…。 172 00:17:30,182 --> 00:17:36,522 (花火の音) 173 00:17:36,522 --> 00:18:13,359 ♬~ 174 00:18:13,359 --> 00:18:19,098 夢だ…。 これは夢だ。 175 00:18:19,098 --> 00:18:43,389 ♬~ 176 00:18:56,202 --> 00:19:02,808 <9月。 鳥取城への救援物資を満載した 毛利方の小荷駄舟70艘が➡ 177 00:19:02,808 --> 00:19:06,679 日本海を回って 鳥取へ突入してきた> 178 00:19:06,679 --> 00:19:09,682 (銃声) ああ~! 179 00:19:09,682 --> 00:19:12,151 <しかし 毛利の船団は➡ 180 00:19:12,151 --> 00:19:16,489 秀吉の二重三重の包囲線を 突破することができず➡ 181 00:19:16,489 --> 00:19:24,196 70艘の兵糧は 一艘残らず 秀吉方の手に奪われてしまった> 182 00:19:26,165 --> 00:19:30,036 おのれ… 筑前守! 183 00:19:30,036 --> 00:19:41,714 (かゆをかき込む音) 184 00:19:41,714 --> 00:19:43,716 ああ~! 185 00:19:47,453 --> 00:19:52,191 本日は これで ご辛抱くださいませ。 186 00:19:52,191 --> 00:19:54,193 むうっ! 187 00:19:55,861 --> 00:19:57,863 (椀をたたき割る音) 188 00:20:09,208 --> 00:20:12,878 はい 次。 189 00:20:12,878 --> 00:20:15,214 はい 次。 190 00:20:15,214 --> 00:20:18,117 一人1杯だよ。 191 00:20:18,117 --> 00:20:20,886 はい 次。 192 00:20:20,886 --> 00:20:28,761 はい 次。 はい 次。 193 00:20:28,761 --> 00:20:31,897 米のかけらも残ってねえじゃねえか。 194 00:20:31,897 --> 00:20:34,900 これで 1日分か…。 195 00:20:37,236 --> 00:20:40,139 ねずみだ! 俺のねずみだ! 196 00:20:40,139 --> 00:20:42,441 俺のねずみだぞ~! 197 00:20:44,110 --> 00:20:46,912 この野郎! 何してんだ! どけ 貴様! 198 00:20:46,912 --> 00:20:51,250 何してんだ おい! おい よせ! おい! みんな よせ! 199 00:20:51,250 --> 00:20:55,121 離れんか! 列に戻れ! 列に戻れ! 200 00:20:55,121 --> 00:20:59,425 よせ! たたき斬るぞ! 一人1杯だ! 一人1杯だぞ! 201 00:21:02,862 --> 00:21:05,164 あ~ うまそうだな。 202 00:21:09,535 --> 00:21:11,537 ああ~。 203 00:21:13,873 --> 00:21:19,211 そろそろ降伏してきても よさそうなもんだが。 204 00:21:19,211 --> 00:21:21,547 敵は どんな様子だ。 205 00:21:21,547 --> 00:21:24,884 初めの程は 5日に一度 3日に一度➡ 206 00:21:24,884 --> 00:21:29,555 鐘を合図に 雑兵ことごとく 柵際まで まかり出て➡ 207 00:21:29,555 --> 00:21:32,892 草木の葉 稲かぶなどを 取りに来ておりました。 208 00:21:32,892 --> 00:21:36,562 う~ん 稲かぶは食えるからなあ。 209 00:21:36,562 --> 00:21:39,465 今では これも こと尽きて➡ 210 00:21:39,465 --> 00:21:43,235 城内の牛馬を 食らっているもようでございます。 211 00:21:43,235 --> 00:21:45,171 馬まで食ってるのか。 212 00:21:45,171 --> 00:21:47,907 (行長)飢え死にも 際限なく出ているようでございます。 213 00:21:47,907 --> 00:21:52,778 柵際へ 餓鬼のごとく痩せ衰えた男女が もだえ焦がれ➡ 214 00:21:52,778 --> 00:21:58,784 食い物をくれと泣き叫ぶありさまは 目も当てられませぬ。 215 00:22:02,421 --> 00:22:05,858 う~ん。 216 00:22:05,858 --> 00:22:09,528 経家に降伏を促そう。 217 00:22:09,528 --> 00:22:12,431 こっちは 城さえもらえば ほかに条件はない。 218 00:22:12,431 --> 00:22:18,537 経家殿も 無傷で 毛利本国へ引き揚げられるがよい。 219 00:22:18,537 --> 00:22:23,876 因幡の国侍どもも同様 無事に それぞれの村へ帰ってよろしい。 220 00:22:23,876 --> 00:22:28,547 ただ… ただ 中村春続と森下道誉➡ 221 00:22:28,547 --> 00:22:31,884 あの両名には 腹を切ってもらわねばなるまいのう。 222 00:22:31,884 --> 00:22:37,223 何せ あの2人は 主君 山名豊国を追い出した逆臣だからの。 223 00:22:37,223 --> 00:22:40,893 以上のこと 文書にして 経家に送ってくれ。 224 00:22:40,893 --> 00:22:43,896 早速。 あ~ うまい。 225 00:22:46,565 --> 00:22:52,571 <しかし 経家は 降伏開城を拒絶した> 226 00:22:54,440 --> 00:22:58,177  心の声  あと ひとつき待てば 雪が降る…。➡ 227 00:22:58,177 --> 00:23:01,080 雪さえ降れば…。 228 00:23:01,080 --> 00:23:13,092 ♬~ 229 00:23:56,235 --> 00:24:01,240 まだ 食えん。 まだ… 食えん。 230 00:24:26,198 --> 00:24:29,501 何だ? 何してんだ? 231 00:24:32,538 --> 00:24:35,441 く… 食い物か!? 232 00:24:35,441 --> 00:24:40,412 松の甘肌だ。 なんとかして食えんものかと思うて。 233 00:24:40,412 --> 00:24:42,414 あっ…。 234 00:24:44,883 --> 00:24:48,587 あ~あ 食っちまいやがった。 235 00:24:50,556 --> 00:24:53,859 ぺっ! まだ食えんのだよ。 236 00:24:56,428 --> 00:25:04,436 (泣き声) 237 00:25:20,519 --> 00:25:23,222 ふう~ ふう~。 238 00:25:28,193 --> 00:25:31,530 何すんだ おい! 俺のだんごだ! 返せ。 239 00:25:31,530 --> 00:25:38,537 返せ。 俺のだ。 返せ! ほら 返すんだ! 240 00:25:46,078 --> 00:25:50,382 返せ 返せ。 おい! 241 00:26:12,504 --> 00:27:08,193 ♬~ 242 00:27:17,169 --> 00:27:19,505 風が冷たくなってきたな。 243 00:27:19,505 --> 00:27:22,407 (彦助)一日一日 寒くなってまいります。 244 00:27:22,407 --> 00:27:26,845 (一松)本当なら この風に乗って 呂宋へ渡ってる頃というのに…。 245 00:27:26,845 --> 00:27:30,182 (文次)呂宋どころじゃなくなったよ。 246 00:27:30,182 --> 00:27:36,522 城のかがり火が こっちから見ていると だんだん増えていくような気がしないか。 247 00:27:36,522 --> 00:27:42,861 (末蔵)ありゃ かがり火じゃねえ。 人だまだ。人だま? 248 00:27:42,861 --> 00:27:47,733 かわいそうに。 土の中にも うずめてもらえねえで…。 249 00:27:47,733 --> 00:27:51,737 あっ 本丸の方で また一つ 光った。 250 00:27:53,872 --> 00:27:57,543 (文次)ホタルみてえだ。 251 00:27:57,543 --> 00:28:01,146 助左は生きているだろうか。 252 00:28:01,146 --> 00:28:06,018 生きてますとも! 呂宋へ渡るまでは 死なねえでしょう 決して。 253 00:28:06,018 --> 00:28:10,489 いつまで続くのでごぜえますか。 この地獄は。 254 00:28:10,489 --> 00:28:13,825 経家は雪を待っているのだ。 255 00:28:13,825 --> 00:28:20,832 因幡に雪を見るまで 経家は 城を開くまい。 256 00:29:01,807 --> 00:29:03,809 殿様! 257 00:29:05,477 --> 00:29:10,349 おお… ぬしは 若狭の商人。 258 00:29:10,349 --> 00:29:13,352 ぬしも もうしばらく辛抱してくれ。 259 00:29:13,352 --> 00:29:16,488 おっ 今 うまいもの作ってやるからな。 260 00:29:16,488 --> 00:29:21,360 これだ。 食えるかどうか 試してみるからな。 261 00:29:21,360 --> 00:29:23,829 食えます。 262 00:29:23,829 --> 00:29:26,732 やってみたのか。 はい。 263 00:29:26,732 --> 00:29:31,503 粉にして ふかしてみました。 264 00:29:31,503 --> 00:29:34,840 これに ほんの少しの米と にんじんでもあれば➡ 265 00:29:34,840 --> 00:29:37,175 言うことないんですが。 266 00:29:37,175 --> 00:29:42,881 う~ん 米は一粒もないな。 野菜もない。 267 00:29:45,050 --> 00:29:53,759 いや 殿様 甘肌だけでも食えますから。 欲を言えば 切りがありませんから。 268 00:29:55,527 --> 00:29:58,430 商人のくせに 妙なことを知っているな。 269 00:29:58,430 --> 00:30:05,537 はい。 堺で 兵糧丸を作ったことがあります。 270 00:30:05,537 --> 00:30:08,440 堺? はい。 271 00:30:08,440 --> 00:30:13,412 ぬしは 若狭の商人ではなかったのか。 はい。 272 00:30:13,412 --> 00:30:18,550 ふ~ん。 それは 遠路から来たものだ。 273 00:30:18,550 --> 00:30:26,558 そう 堺か。 一度は訪ねてみたい町だったが…。 274 00:30:28,894 --> 00:30:31,797 わざわざ 堺から商いに来たのに➡ 275 00:30:31,797 --> 00:30:36,234 こんな城に閉じ込められて 気の毒をしたな。 276 00:30:36,234 --> 00:30:39,137 いや…。 277 00:30:39,137 --> 00:30:42,908 秀吉の包囲も 見事だった。 278 00:30:42,908 --> 00:30:50,248 3里四方の包囲に 一か所の緩みもない。 兵の統率も 行き届いている。 279 00:30:50,248 --> 00:30:54,119 さすが 信長公が見込んだ武将だ。 280 00:30:54,119 --> 00:30:58,123 敵ながら あっぱれの城攻めだが…➡ 281 00:30:58,123 --> 00:31:02,527 我らが苦戦のもとは それだけではない。 282 00:31:02,527 --> 00:31:06,398 秀吉には 運もついていた。 283 00:31:06,398 --> 00:31:12,204 あの北陸の飢饉さえなければ 若狭の米商人たちも あれほど大挙して➡ 284 00:31:12,204 --> 00:31:16,074 因幡に米を買いあさりに来ることも なかっただろう。 285 00:31:16,074 --> 00:31:23,215 彼らが 米を買い占めさえしなければ 兵糧米の蓄えなど 何でもなかったのだ。 286 00:31:23,215 --> 00:31:29,888 あと千石…。 あと千石の米さえあれば➡ 287 00:31:29,888 --> 00:31:33,759 我らは負けはしなかった。 288 00:31:33,759 --> 00:31:36,762 秀吉は 運がいい。 289 00:31:39,231 --> 00:31:46,238 北陸の飢饉というのは あれは 作り事でございます。 290 00:31:47,906 --> 00:31:49,841 何? 291 00:31:49,841 --> 00:31:56,248 米の買い占めも 秀吉様の策略でございます。 292 00:31:56,248 --> 00:31:58,183 何を言いだすんだ。 293 00:31:58,183 --> 00:32:01,520 手前も 初めは気が付きませんでしたが➡ 294 00:32:01,520 --> 00:32:08,393 若狭と鳥取の間を往復しているうちに 次第に分かってまいりました。 295 00:32:08,393 --> 00:32:16,535 若狭の米買い船は 全て 秀吉様に買い上げられておりました。 296 00:32:16,535 --> 00:32:23,408 北陸の飢饉の流言も 米の値をつり上げるための口実として➡ 297 00:32:23,408 --> 00:32:28,146 秀吉様の陣から 流されたものでございました。 298 00:32:28,146 --> 00:32:36,555 因幡の米は 全て 安土や長浜に運び込まれておりました。 299 00:32:36,555 --> 00:32:41,426 ぬしは 何者だ。 なぜ そのような偽り事を吐く! 300 00:32:41,426 --> 00:32:43,895 いや 偽り事ではございません。 301 00:32:43,895 --> 00:32:50,235 かく申す この私も 秀吉様ご自身から➡ 302 00:32:50,235 --> 00:32:58,543 因幡の米を買い付けに行けと 勧められて参った者の一人でございます。 303 00:33:00,846 --> 00:33:04,149 うそ偽りではございません。 304 00:33:17,863 --> 00:33:23,201 米の買い占めも 計略だったと…。 305 00:33:23,201 --> 00:33:25,871 ハハハハハ…。 306 00:33:25,871 --> 00:33:32,210 ハハ… そんな兵法があるか。 307 00:33:32,210 --> 00:33:38,083 米の買い占めから戦を始めるなど どこの兵書兵法にある! 308 00:33:38,083 --> 00:33:44,089 殿様 手前も ご成敗なさいますか。 309 00:33:45,757 --> 00:33:51,563 いや ぬしに恨みはない。 310 00:33:51,563 --> 00:33:55,901 秀吉を見事と言うよりほかにあるまい。 311 00:33:55,901 --> 00:34:02,173 では いまひとつ お聞きいただきたいことがございます。 312 00:34:02,173 --> 00:34:05,510 申せ。 313 00:34:05,510 --> 00:34:12,183 殿様 この籠城 いつまで お続けになるお気持ちでございますか。 314 00:34:12,183 --> 00:34:15,086 何度も言うておるではないか。 315 00:34:15,086 --> 00:34:19,858 冬が来て 雪の援軍が 秀吉の寄せ手を追い散らすまで➡ 316 00:34:19,858 --> 00:34:22,761 しのがねばならぬ。 317 00:34:22,761 --> 00:34:26,731 私…➡ 318 00:34:26,731 --> 00:34:30,201 ゆうべ 恐ろしいものを この目で見てしまいました。 319 00:34:30,201 --> 00:34:35,540 これ! 怪不思議は言うべからざること。 籠城の法度ぞ! 320 00:34:35,540 --> 00:34:40,211 怪不思議 もののけの類いより もっと恐ろしいものでございます。 321 00:34:40,211 --> 00:34:43,114 人が…➡ 322 00:34:43,114 --> 00:34:47,552 人の肉を食ろうておりました。 323 00:34:47,552 --> 00:34:50,221 まさか! 324 00:34:50,221 --> 00:34:54,893 敵の鉄砲を受け 片息したる者のそばへ➡ 325 00:34:54,893 --> 00:34:58,229 てんでに 刀を持った男女が集まり➡ 326 00:34:58,229 --> 00:35:02,100 手足を切り落とし その肉を➡ 327 00:35:02,100 --> 00:35:04,035 奪い争っておりました。 328 00:35:04,035 --> 00:35:07,505 言うな! もういい! 329 00:35:07,505 --> 00:35:26,524 (泣き声) 330 00:35:26,524 --> 00:35:33,398 もういい…。 私の負けだ。 331 00:35:33,398 --> 00:35:48,413 ♬~ 332 00:35:52,751 --> 00:35:57,055 おお… おい 飯だ! 333 00:36:02,160 --> 00:36:06,031 飯! 飯! おい! 向こうへ! 334 00:36:06,031 --> 00:36:12,504 <10月24日 鳥取城は陥落した。➡ 335 00:36:12,504 --> 00:36:16,841 秀吉方は 城の麓に いくつもの大釜を据え➡ 336 00:36:16,841 --> 00:36:20,712 かゆの用意をして 飢えた籠城兵らを迎えたが➡ 337 00:36:20,712 --> 00:36:25,850 ここでも 一度に食い過ぎた者たちが 多く頓死したと➡ 338 00:36:25,850 --> 00:36:29,154 「信長公記」は報じている> 339 00:36:54,879 --> 00:36:59,217 (末蔵)船長! (文次)親方!➡ 340 00:36:59,217 --> 00:37:01,152 本当 生きてんだろうな!? (彦助)助左! 341 00:37:01,152 --> 00:37:03,822 ゆっくり食べろ! 落ち着いて食べるんだぞ! 342 00:37:03,822 --> 00:37:06,491 おい ついでやれ! おい ゆっくり食べろ! 343 00:37:06,491 --> 00:37:09,394 慌てると死ぬぞ! ゆっくり食べろよ! 344 00:37:09,394 --> 00:37:12,831 どんどん食え! まだ お代わりはあるぞ! 345 00:37:12,831 --> 00:37:17,535 船長…。 船長! 346 00:37:19,170 --> 00:37:23,508 飯だ…。 飯だ! 飯だ! 347 00:37:23,508 --> 00:37:25,810 船長! 348 00:37:45,530 --> 00:37:47,465 船は…。 349 00:37:47,465 --> 00:37:50,769 無事ですとも 船長。 350 00:37:52,403 --> 00:37:54,706 よかった。 351 00:37:57,876 --> 00:38:00,778 おっ 船長! 船長~! 352 00:38:00,778 --> 00:38:05,150 大丈夫ですか? 生きてた~! 生きてた~! 353 00:38:05,150 --> 00:38:17,162 ♬~ 354 00:38:17,162 --> 00:38:19,464 よかったな。 355 00:38:23,034 --> 00:38:27,172 行長。 はい。 356 00:38:27,172 --> 00:38:32,510 あの男は 何と言うたかのう。 ほれ あの船乗りじゃ。 357 00:38:32,510 --> 00:38:37,382 助左でございますか? そう。 そう 助左。 358 00:38:37,382 --> 00:38:41,186 あいつが生きて出てきたら 船の旗 作ってやってくれ。 359 00:38:41,186 --> 00:38:45,056 呂宋へ行くまでに間に合うように。 こう大きな旗をな。 360 00:38:45,056 --> 00:38:47,058 かしこまりました。 うん。 361 00:38:47,058 --> 00:38:52,797 それと やはり 按針が要るだろう。 南の海へ乗り出すには。 362 00:38:52,797 --> 00:38:55,733 いい按針も 世話してやってくれ。 363 00:38:55,733 --> 00:38:58,436 心得ました。 うん。 364 00:39:01,472 --> 00:39:06,344 あやつは… あやつは生きておるだろう。 365 00:39:06,344 --> 00:39:23,061 ♬~ 366 00:39:25,697 --> 00:39:31,169 <その日 中村春続 森下道誉の両家臣は➡ 367 00:39:31,169 --> 00:39:35,039 それぞれの陣所で 切腹を命ぜられる> 368 00:39:35,039 --> 00:39:47,051 (カラスの鳴き声) 369 00:39:50,188 --> 00:39:52,857 <明くる25日。➡ 370 00:39:52,857 --> 00:39:57,528 吉川経家も 久松山 真教寺において自刃し➡ 371 00:39:57,528 --> 00:40:01,232 35歳の生涯を閉じる> 372 00:40:03,868 --> 00:40:06,204 殿。 373 00:40:06,204 --> 00:40:08,907 雪が降ってまいりました。 374 00:40:11,075 --> 00:40:39,771 ♬~ 375 00:40:43,107 --> 00:40:51,115 <助左衛門の船は 冬の因幡から 秋の堺へ戻ってきた> 376 00:40:53,584 --> 00:41:05,863 (鼻歌) 377 00:41:05,863 --> 00:41:09,167 うん? 何だよ これは。 378 00:41:12,737 --> 00:41:17,442 金だ。 それは お前にあげよう。 379 00:41:19,210 --> 00:41:22,213 私の頼みを聞いてくれるなら。 380 00:41:30,822 --> 00:41:33,558 帆を上げろ! (一同)おお~! 381 00:41:33,558 --> 00:41:40,231 (掛け声) 382 00:41:40,231 --> 00:41:53,945 (見送る人々の声) 383 00:41:56,581 --> 00:41:59,484 <天正9年の晩秋。➡ 384 00:41:59,484 --> 00:42:06,190 呂宋丸と命名された助左の船が 南海を目指して出帆してゆく> 385 00:42:06,190 --> 00:42:16,200 (見送る人々の声) 386 00:42:25,543 --> 00:43:10,054 ♬~ 387 00:43:10,054 --> 00:43:12,857 大元様…。 388 00:43:12,857 --> 00:43:47,158 ♬~