1 00:00:02,135 --> 00:02:40,127 ♬~ 2 00:02:50,904 --> 00:02:56,576 <戦国時代の数ある合戦の中でも 特に名人戦として名高い➡ 3 00:02:56,576 --> 00:03:01,848 羽柴秀吉 対 徳川家康の 小牧・長久手の役は➡ 4 00:03:01,848 --> 00:03:06,186 家康の小牧山占拠より その戦端を開く。➡ 5 00:03:06,186 --> 00:03:11,191 時に 天正12年3月15日> 6 00:03:15,195 --> 00:03:21,535 <尾張進攻の最大の要である小牧山城を いち早く 家康に占拠され➡ 7 00:03:21,535 --> 00:03:24,438 布陣では 後手に回った秀吉も➡ 8 00:03:24,438 --> 00:03:29,209 10万の大軍に ものを言わせて 各地に要塞を構え➡ 9 00:03:29,209 --> 00:03:33,080 自らは 最前線の犬山城に本陣を置いて➡ 10 00:03:33,080 --> 00:03:36,083 小牧山城と対峙する> 11 00:03:42,756 --> 00:03:46,560 <両軍は にらみ合いのまま 4月を迎え➡ 12 00:03:46,560 --> 00:03:50,564 戦線は膠着状態に陥った> 13 00:03:56,903 --> 00:04:02,175 (家康)三河へ抜ける道以外は 全て 羽柴勢に囲まれてしまった。 14 00:04:02,175 --> 00:04:05,846 一刻も早く 堺へ帰り着きたい気持ちであろうが➡ 15 00:04:05,846 --> 00:04:07,781 もう しばし待て。 16 00:04:07,781 --> 00:04:12,519 (助左)待てば 戦況が動きましょうか。 17 00:04:12,519 --> 00:04:18,859 我らは動くわけにはいかぬが 敵方が動いてくれる。 18 00:04:18,859 --> 00:04:22,195 ぼつぼつ動き始める。 19 00:04:22,195 --> 00:04:29,503 この戦 先に動いた方が負けだ。 20 00:04:34,207 --> 00:04:41,081 (秀吉)ほう 家康を 小牧山より動かす策があると申すか。 21 00:04:41,081 --> 00:04:44,217 (秀次)されば たった一つございます。 22 00:04:44,217 --> 00:04:46,920 (秀吉)うん。 ご覧ください。 23 00:04:53,226 --> 00:04:57,898 (秀吉)我が陣より… 三河へ? 24 00:04:57,898 --> 00:05:00,800 (秀次)三河の岡崎へ 奇襲をかけます。 25 00:05:00,800 --> 00:05:05,705 何? 家康の本国へ 中入りをするというのか。 26 00:05:05,705 --> 00:05:08,508 御意。 奇策だ。 27 00:05:08,508 --> 00:05:12,379 のるかそるかの奇計奇略は 許さぬ! 28 00:05:12,379 --> 00:05:15,382 (恒興)恐れながら この一策➡ 29 00:05:15,382 --> 00:05:19,152 奇計といえども 必勝の奇計にございます。 30 00:05:19,152 --> 00:05:24,057 勝入 さては これは ぬしの献策か。 31 00:05:24,057 --> 00:05:31,198 家康殿は 目下 三河の全軍を 小牧山本陣に寄せておられます。 32 00:05:31,198 --> 00:05:36,536 恐らく 三河には 僅かの留守居が 残されているのみと存じます。➡ 33 00:05:36,536 --> 00:05:40,207 この機に 進んで三河に進撃し➡ 34 00:05:40,207 --> 00:05:44,077 家康殿の本拠を攪乱いたさば➡ 35 00:05:44,077 --> 00:05:49,549 さしもの家康殿とて 小牧の堅塁を撤収し➡ 36 00:05:49,549 --> 00:05:52,219 三河へ軍を移すよりほかには ございませぬ。 37 00:05:52,219 --> 00:05:56,089 家康が三河へ引いても なお 小牧山には 信雄の兵が残るぞ。 38 00:05:56,089 --> 00:06:02,028 な~に 家康なきあとの信雄など 恐るに足りません。 39 00:06:02,028 --> 00:06:07,701 行軍の途中を敵に知れたら どういうことになるか分かってるのか。 40 00:06:07,701 --> 00:06:11,705 中入りの軍が追撃を受けたら 逃げ道はないんだ。 41 00:06:11,705 --> 00:06:15,175 ぬしら 一人残らず 討ち死にだ。 42 00:06:15,175 --> 00:06:18,845 敵方に知られず 三河へ抜ける策がございます。 43 00:06:18,845 --> 00:06:21,181 あれば申してみよ 長可。 44 00:06:21,181 --> 00:06:25,518 殿に 本陣を 犬山城より 楽田へ お移りいただきます。➡ 45 00:06:25,518 --> 00:06:32,192 本陣の移動に紛れて 中入り隊は 池の内を経て 篠木を駆け抜けます。 46 00:06:32,192 --> 00:06:34,194 いかが!? 47 00:06:40,533 --> 00:06:47,841 わしが楽田へ動けば あるいは…。 48 00:06:55,882 --> 00:06:59,886 <秀吉は この作戦を許した> 49 00:07:02,489 --> 00:07:06,359 <4月7日。 秀吉は 本陣を➡ 50 00:07:06,359 --> 00:07:10,664 犬山城より 楽田の古城に移す> 51 00:07:21,174 --> 00:07:23,109 <同日深夜➡ 52 00:07:23,109 --> 00:07:27,514 三好秀次を総大将とする 1万6,000の遊撃軍が➡ 53 00:07:27,514 --> 00:07:32,185 闇に紛れて 南へ下る> 54 00:07:32,185 --> 00:07:51,471 ♬~ 55 00:07:54,441 --> 00:07:57,210 <明くる8日夜半➡ 56 00:07:57,210 --> 00:08:04,017 秀次隊の隠密行動が 徳川陣の情報網に捉えられる。➡ 57 00:08:04,017 --> 00:08:07,487 家康は狂喜した> 58 00:08:07,487 --> 00:08:16,496 隠密軍は 今夜は 篠木 柏井の一帯で夜を明かしている。➡ 59 00:08:16,496 --> 00:08:21,167 我も 今夜のうちに 小牧山をいで➡ 60 00:08:21,167 --> 00:08:27,507 この小幡城に入りて 一旦 敵をやり過ごす。 61 00:08:27,507 --> 00:08:29,843 すぐには攻めぬ。 62 00:08:29,843 --> 00:08:34,714 できる限り 奥へ奥へと誘い込み➡ 63 00:08:34,714 --> 00:08:39,853 退き口を閉じて じっくり追撃する。 64 00:08:39,853 --> 00:08:43,189 敵兵は 1万6,000。 65 00:08:43,189 --> 00:08:45,492 一兵も逃してはならぬ! 66 00:08:50,864 --> 00:08:55,201 松明は かざすな! 前列に従って ただ進め! 67 00:08:55,201 --> 00:08:57,871 松明を消せ! 松明を消せい! 68 00:08:57,871 --> 00:08:59,806 松明を消せい! どこへ行くんだ? 69 00:08:59,806 --> 00:09:03,476 (定吉)声を立てるな 松明は消せと 下知が飛んでいるところを見ると➡ 70 00:09:03,476 --> 00:09:08,181 奇襲隊のようでございますな。 奇襲? 誰を襲うんだ? 71 00:09:10,350 --> 00:09:13,653 陣笠! えっ? 72 00:09:26,499 --> 00:09:30,837 <その夜のうちに 家康は 9,000の追撃軍を率いて➡ 73 00:09:30,837 --> 00:09:33,173 ひそかに 小牧山を出て➡ 74 00:09:33,173 --> 00:09:38,178 夜明け 矢田川北岸の小幡城へ入る> 75 00:09:45,752 --> 00:09:49,722 夜通し歩かせやがって…。 飯は まだかよ!? 76 00:09:49,722 --> 00:09:54,194 おうおうおう! 誰か ちょっと 飯 催促してこいよ! 何やってんだよ! 77 00:09:54,194 --> 00:09:59,899 ほら 飯だ 飯だ! 一人2個ずつだぞ! 2個ずつ! 78 00:10:06,773 --> 00:10:12,212 いいか! 飯を食ったら 夕暮れまで休め。 79 00:10:12,212 --> 00:10:17,083 出撃は 夜だ! 明朝まで眠れんぞ お前ら! 80 00:10:17,083 --> 00:10:19,886 夜襲か? あんな辺りに 敵がいるのか? 81 00:10:19,886 --> 00:10:24,557 いやいや 三好秀次の兵が 三河へ向けて 中入りをしているんだ。 82 00:10:24,557 --> 00:10:26,893 その三好秀次とは? 83 00:10:26,893 --> 00:10:31,231 奇襲隊の総大将よ。 羽柴秀吉の甥御らしいぞ。 84 00:10:31,231 --> 00:10:35,235 甥御!? そいつは 値打ちのある首だ。 85 00:10:36,903 --> 00:10:40,573 今夜のうちにも➡ 86 00:10:40,573 --> 00:10:44,444 敵は 白山林を通過する。 87 00:10:44,444 --> 00:10:51,150 殿の将 三好秀次とは いかなる人物か。 88 00:10:52,919 --> 00:10:56,256 <三好孫七郎秀次。➡ 89 00:10:56,256 --> 00:11:03,263 尾張国は大高村の 貧しい百姓の小せがれとして生を受ける> 90 00:11:06,866 --> 00:11:14,207 <ところが 母方の親類の中から 突如 おとぎ話のような出世人が現れて➡ 91 00:11:14,207 --> 00:11:18,545 北山2万石の領主の座に 据えてしまった。➡ 92 00:11:18,545 --> 00:11:27,220 英雄 秀吉をおじに持った この若者の 最初の悲劇が ここ白山林で起こる> 93 00:11:27,220 --> 00:11:31,090 (銃声) 94 00:11:31,090 --> 00:11:33,092 (秀次)誰か! 誰か! 95 00:11:33,092 --> 00:11:35,562 敵襲だ! (秀次)誰か! 96 00:11:35,562 --> 00:11:38,898 (不破)徳川方の夜襲にございます。 直ちに お支度を。 97 00:11:38,898 --> 00:11:43,770 おい 吉政を呼べ。 長久手方面の勝入や長可に援軍を求める。 98 00:11:43,770 --> 00:11:47,907 小姓頭の田中吉政殿は 戦の先鋒を承る身。 99 00:11:47,907 --> 00:11:50,243 援軍要請の使者であれば それがしに仰せつけくださりませ。 100 00:11:50,243 --> 00:11:52,178 ああ~! ぬしでは 当てにならぬ! 101 00:11:52,178 --> 00:11:55,181 吉政を呼べ! 早う呼べ! 102 00:11:58,585 --> 00:12:00,587 はっ! 103 00:12:09,862 --> 00:12:12,198 <9日未明。➡ 104 00:12:12,198 --> 00:12:18,071 家康の追撃軍が 白山林に駐屯していた 秀次の軍に襲いかかる。➡ 105 00:12:18,071 --> 00:12:22,208 不意を打たれた秀次軍は 狼狽なすところを知らず➡ 106 00:12:22,208 --> 00:12:25,878 さんざんに蹴散らされて敗走する。➡ 107 00:12:25,878 --> 00:12:29,215 勢いを得た家康軍は 更に➡ 108 00:12:29,215 --> 00:12:33,886 池田恒興 森 長可らの本隊にも 一挙に攻めかかり➡ 109 00:12:33,886 --> 00:12:39,559 長久手のはざまに追い込んで これを討ち平らげる。➡ 110 00:12:39,559 --> 00:12:45,264 池田恒興 元助親子 討ち死に> 111 00:12:46,899 --> 00:12:50,570 <森 長可 討ち死に。➡ 112 00:12:50,570 --> 00:12:59,579 時に 午後1時 家康軍の勝ちどきが 長久手の冨士ヶ根山に こだました> 113 00:13:21,200 --> 00:13:24,871 羽柴方の武将の方と お見受けいたしますが…。 114 00:13:24,871 --> 00:13:26,806 ち… 違う! 115 00:13:26,806 --> 00:13:29,742 では 徳川方で? 116 00:13:29,742 --> 00:13:31,744 そうだ。 117 00:13:31,744 --> 00:13:36,049 しからば ご身分をお明かしくださいませ。 118 00:13:38,418 --> 00:13:40,720 下郎! 推参! 119 00:13:49,562 --> 00:13:52,231 待った! 待った! ちょっと…。 120 00:13:52,231 --> 00:13:54,233 助けてくれ。 121 00:13:55,902 --> 00:13:57,904 ぬっ! うっ! 122 00:14:06,846 --> 00:14:09,749 助けてくれ! 助けてくれ…。 123 00:14:09,749 --> 00:14:14,520 おお… 恩賞は 思いのままに取らす。 124 00:14:14,520 --> 00:14:18,191 あなた様が羽柴方の方なれば➡ 125 00:14:18,191 --> 00:14:20,493 楽田まで お供いたします。 126 00:14:22,862 --> 00:14:26,733 ぬしは 何者だ。 徳川の者ではないのか。 127 00:14:26,733 --> 00:14:32,205 いえ 手前は… 手前は 堺の商人でございます。 128 00:14:32,205 --> 00:14:36,542 徳川様の足軽隊に紛れ込んで➡ 129 00:14:36,542 --> 00:14:40,213 追撃をお知らせしようと思って 来たんですが 間に合いませんでした。 130 00:14:40,213 --> 00:14:45,918 この上は 秀吉様の本陣へ 走り込む所存でございます。 131 00:14:47,887 --> 00:14:49,822 逃げ道はあるか!? 132 00:14:49,822 --> 00:14:53,826 いや… 駆け抜けるだけでございます。 133 00:14:57,563 --> 00:15:02,168 よし ぬしを信じよう。 134 00:15:02,168 --> 00:15:05,171 案内いたせ。 はい。 135 00:15:06,839 --> 00:15:08,841 おお…。 136 00:15:11,511 --> 00:15:18,184 ご装束のもの 陣羽織 太刀など 全て お脱ぎ捨てくださいまし。 137 00:15:18,184 --> 00:15:23,523 たわけ! この鳥毛の陣羽織はな 天下に二つとないもの。 138 00:15:23,523 --> 00:15:28,394 太刀は 名刀 備前長船だぞ。 捨てていけるか! 139 00:15:28,394 --> 00:15:30,396 あっ。 140 00:15:33,533 --> 00:15:35,468 何をする! 141 00:15:35,468 --> 00:15:39,472 武具と命を引き換えになさるおつもりか! 142 00:15:49,081 --> 00:15:51,551 待てと申すに! まだか! 143 00:15:51,551 --> 00:15:56,222 もうすぐ 殿が来られるのだ!早うせい! もう少しだ!➡ 144 00:15:56,222 --> 00:15:59,559 待てと申すに! 145 00:15:59,559 --> 00:16:01,494 孫七郎! 146 00:16:01,494 --> 00:16:03,830 おじ上! 147 00:16:03,830 --> 00:16:09,502 孫七郎 生きておる! おじ上~! おじ上~! 148 00:16:09,502 --> 00:16:13,372 孫七郎 よう生きて戻った。 (泣き声) 149 00:16:13,372 --> 00:16:17,376 よう生きて戻った 孫七郎! (泣き声) 150 00:16:25,051 --> 00:16:27,353 助左…? 151 00:16:29,822 --> 00:16:34,527 助左じゃないか! ええっ!? 152 00:16:34,527 --> 00:16:40,867 (秀吉)武士ならば 恥を知れ 恥を! このたわけ者が! 153 00:16:40,867 --> 00:16:43,536 大体 一軍の総大将ともあろう者が➡ 154 00:16:43,536 --> 00:16:49,208 戦列を外れ 隊を見捨てて逃げ回るとは 何事であるか!➡ 155 00:16:49,208 --> 00:16:56,549 池田も森も みんな ぬしの犠牲となって 死んでしまったではないか!➡ 156 00:16:56,549 --> 00:16:59,452 助左よ。 はい。 157 00:16:59,452 --> 00:17:03,356 ぬしは この者が わしの甥っ子であることを知って➡ 158 00:17:03,356 --> 00:17:06,158 助けてくれたのか? 159 00:17:06,158 --> 00:17:11,030 こちらへ たどりつくまで 全く存じ上げませんでした。 160 00:17:11,030 --> 00:17:15,835 こやつは 腹を切ろうとしてるところを ぬしに いさめられたと申しておるが➡ 161 00:17:15,835 --> 00:17:19,505 それは まことか? は…。 162 00:17:19,505 --> 00:17:22,174 はい。 163 00:17:22,174 --> 00:17:27,046 切らしてやりゃあよかったんだ いっそのこと。➡ 164 00:17:27,046 --> 00:17:30,516 孫七郎! はい。 165 00:17:30,516 --> 00:17:35,187 大体 このごろ ぬしは 秀吉の甥っ子であることを鼻にかけて➡ 166 00:17:35,187 --> 00:17:37,857 他人に対して しばしば 慮外の振る舞いが多い。➡ 167 00:17:37,857 --> 00:17:40,192 実に もっての外だ!➡ 168 00:17:40,192 --> 00:17:44,864 秀吉の甥っ子なら甥っ子らしく 身の行いを慎んで➡ 169 00:17:44,864 --> 00:17:48,734 あ~あ さすがは 秀吉様の甥御様だと➡ 170 00:17:48,734 --> 00:17:53,039 人からあがめられるように 心掛けてくれよ。 171 00:17:55,207 --> 00:18:01,814 いいか これから後 わしゃ そちに容赦はせん。 172 00:18:01,814 --> 00:18:04,717 わしゃ もともと 人を斬るのは嫌いな性分だが➡ 173 00:18:04,717 --> 00:18:10,489 ぬしの性根が 今のようでは 一門の恥さらしになるだけだから➡ 174 00:18:10,489 --> 00:18:15,828 人手にはかけず わしが自ら 手討ちにしてくれる! 175 00:18:15,828 --> 00:18:23,169 そう覚悟を決めて 十分のたしなみを持つように 心せよ! 176 00:18:23,169 --> 00:18:27,473 仰せのとおり 心掛けましょう。 177 00:18:29,842 --> 00:18:33,512 全く… 腹の立つ! 178 00:18:33,512 --> 00:18:37,216 助左 行こう! はい…。 179 00:18:45,524 --> 00:18:49,395 ぬしに 礼をしたい。 いや 恩賞は ご無用に存じます。 180 00:18:49,395 --> 00:18:54,200 礼といっても 銭ではない。 人を一人 引き合わせたいんだ。 181 00:18:54,200 --> 00:18:59,071 お人を? 何万貫にも値する御仁だ。 182 00:18:59,071 --> 00:19:02,808 ここだ。 はあ これは…。 183 00:19:02,808 --> 00:19:05,711 かような戦場の陣中に 数寄屋とは…。 184 00:19:05,711 --> 00:19:10,149 フフ… 大坂から運んでまいった。 アハハハ。 185 00:19:10,149 --> 00:19:12,084 この数寄屋を運んで…。 うん。 186 00:19:12,084 --> 00:19:18,824 屋根 壁 床 全て組み立て式なのだ。 だから どこへでも運べる仕掛けだ。 187 00:19:18,824 --> 00:19:22,495 工夫だな。 ハハハハ。 ハハハハ。 188 00:19:22,495 --> 00:19:25,164 お入り。 いえ 殿…。 189 00:19:25,164 --> 00:19:29,168 殿から お先に。お入り。 さようで…。 190 00:19:38,711 --> 00:19:41,013 (戸を閉める音) 191 00:19:47,420 --> 00:19:50,189 (ふすまが開く音) 192 00:19:50,189 --> 00:19:52,491 ヘヘヘヘ…。 193 00:19:54,860 --> 00:19:56,796 さあ そちらへ。 194 00:19:56,796 --> 00:20:00,499 いや それは…。 いやいや ほれ! ほら! 195 00:20:44,210 --> 00:20:50,116 この者は 堺の商人で 助左と申す者でござる。 196 00:20:50,116 --> 00:20:53,886 この度 我が甥の孫七郎秀次を➡ 197 00:20:53,886 --> 00:20:57,256 白山林の負け戦より 救い出してきてくれた。 198 00:20:57,256 --> 00:21:00,860 その功を賞して ここへ連れてまいった。 199 00:21:00,860 --> 00:21:06,532 助左よ ぬしも 堺衆なら お顔ぐらいは存じ上げておろう。➡ 200 00:21:06,532 --> 00:21:08,868 堺の納屋衆のお一人だが➡ 201 00:21:08,868 --> 00:21:12,538 今は 茶湯者としての名の方が 天下に通りがいい。➡ 202 00:21:12,538 --> 00:21:15,241 千 宗易殿だ。 203 00:21:16,876 --> 00:21:22,748 助左と申します。 お見知り置きくださいますように。 204 00:21:22,748 --> 00:21:29,755 (宗易)はて おこととは 既に 顔なじみのはずだが…。 205 00:21:31,423 --> 00:21:33,425 え… えっ? 206 00:21:33,425 --> 00:21:40,099 それとも 私の方が 記憶違いをしているのかな。 207 00:21:40,099 --> 00:21:46,238 では 10年前 河内の山家でのことを➡ 208 00:21:46,238 --> 00:21:48,574 いまだに覚えていてくださいましたんで ございますか? 209 00:21:48,574 --> 00:21:54,446 覚えていますとも。 まだ それほど もうろくはしていないつもりだ。 210 00:21:54,446 --> 00:21:58,250 これは ご無礼つかまつりました。 211 00:21:58,250 --> 00:22:03,522 ハハ… 何だ 初対面じゃなかったのか。 アッハッハッハ! 212 00:22:03,522 --> 00:22:05,858 おことの名は その後も➡ 213 00:22:05,858 --> 00:22:09,528 今井宗久殿の口の端で しばしば 耳にしていた。 214 00:22:09,528 --> 00:22:13,866 宗久殿には おことを育てたことが 自慢の種でね。 215 00:22:13,866 --> 00:22:16,769 (秀吉)それよそれよ 宗久よ。 216 00:22:16,769 --> 00:22:20,206 いや わしも この男を 第2の今井宗久にしてやろうと➡ 217 00:22:20,206 --> 00:22:23,542 大坂へ来いよ来いよと 鉦や太鼓で呼んでおるんだが➡ 218 00:22:23,542 --> 00:22:25,477 見向きもしてくれん。 219 00:22:25,477 --> 00:22:30,216 宗易殿からも 誘うてやってくだされ。 220 00:22:30,216 --> 00:22:34,553 大坂へは なぜ行きたくない。 221 00:22:34,553 --> 00:22:41,227 はい… 堺を捨てて行く気にはなれません。 222 00:22:41,227 --> 00:22:45,898 (秀吉)ぬしの頭の中には 堺と呂宋しかないのか。 ええ? 223 00:22:45,898 --> 00:22:47,833 あ…。 224 00:22:47,833 --> 00:22:51,570 (宗易)尾張には 商いで来たのか。 225 00:22:51,570 --> 00:22:54,240 はい。 おお それよそれよ。 226 00:22:54,240 --> 00:22:59,578 つい聞きそびれていた。 ぬしは 何で 白山林なんぞへ出かけたんだ。 227 00:22:59,578 --> 00:23:06,385 はい。 秀次様の中入り隊が 夜営をしていると伺いましたので。 228 00:23:06,385 --> 00:23:09,855 どこで それ聞いた。 はい。 229 00:23:09,855 --> 00:23:12,191 小幡城で。 230 00:23:12,191 --> 00:23:14,526 徳川方の城じゃないか。 231 00:23:14,526 --> 00:23:16,462 はい。 232 00:23:16,462 --> 00:23:19,398 徳川の陣中に おったのか。 233 00:23:19,398 --> 00:23:22,201 はい。 234 00:23:22,201 --> 00:23:24,203 何で? 235 00:23:26,071 --> 00:23:31,210 小牧山城の修復の資材を 運搬してまいりましたので。 236 00:23:31,210 --> 00:23:33,145 小牧山といえば お前➡ 237 00:23:33,145 --> 00:23:36,548 わしら さんざん苦しめてる 家康の本陣じゃないかね! 238 00:23:36,548 --> 00:23:38,884 そこへ お前 荷駄運んだっちゅうのか? 239 00:23:38,884 --> 00:23:43,756 それは お前 家康とわしらが戦ってるのを 承知の上でか!? 240 00:23:43,756 --> 00:23:47,893 これは 商いでございます。 241 00:23:47,893 --> 00:23:54,566 手前の商いには 戦も主君もございません。 242 00:23:54,566 --> 00:23:57,469 ぬしゃ…!(宗易)筑前殿。 うん!? 243 00:23:57,469 --> 00:24:03,375 フフフ… お怒りがあれば 堺をお怒りくださいませ。 244 00:24:03,375 --> 00:24:11,050 助左が申しましたことは 堺の商法。 この者は まことに堺の子でございます。 245 00:24:11,050 --> 00:24:13,052 むう…。 246 00:24:15,187 --> 00:24:54,860 ♬~ 247 00:24:54,860 --> 00:25:02,167 <長久手の一戦のあとも 家康と秀吉のにらみ合いは続いた> 248 00:25:44,877 --> 00:25:48,881 帰ってきました! 帰ってきました。 249 00:25:51,216 --> 00:25:56,522 どうも ご苦労さまでした。 ご苦労さまでした。 ご苦労さまでした。 250 00:26:04,163 --> 00:26:08,500 御寮様! (美緒)定吉! ご苦労さまでした。 251 00:26:08,500 --> 00:26:12,838 ご心配をおかけして 申し訳ございません。 えらい目に遭いました。 252 00:26:12,838 --> 00:26:17,509 よく無事で帰ってきてくれました。 253 00:26:17,509 --> 00:26:21,213 助左は? へえ。 助左殿は…。 254 00:26:23,849 --> 00:26:26,518 助左! 255 00:26:26,518 --> 00:26:29,421 (桔梗 銭丸)助左! おお 桔梗! 256 00:26:29,421 --> 00:26:31,390 (銭丸)助左! 銭丸 元気だったか? 257 00:26:31,390 --> 00:26:36,528 (3人の笑い声) 258 00:26:36,528 --> 00:26:44,870 ♬~ 259 00:26:44,870 --> 00:26:48,540 助左! (桔梗)助左!➡ 260 00:26:48,540 --> 00:26:52,411 助左 おなか減ってるだろ。 ねえ おなかすいてるよね。➡ 261 00:26:52,411 --> 00:26:55,214 うちへ帰ろう。 ちょっと…。 262 00:26:55,214 --> 00:27:12,231 ♬~ 263 00:27:31,049 --> 00:27:38,190 本日より 父 宗久に代わり 不肖 この兼久が 名も宗薫と改め➡ 264 00:27:38,190 --> 00:27:41,093 今井の大元方を務める。 265 00:27:41,093 --> 00:27:45,531 ついては なお一層の忠勤を励むよう。 266 00:27:45,531 --> 00:27:47,833 (一同)はっ! 267 00:28:07,786 --> 00:28:13,492 (宗薫)おお これが 助左の呂宋丸か。 268 00:28:13,492 --> 00:28:20,198 う~ん… 修復 終わって いよいよ秋には船出か。 269 00:28:24,136 --> 00:28:27,839 荷駄の運び賃は 受け取ってくれたそうだな。 270 00:28:27,839 --> 00:28:31,710 はい。 船の修理代に使わせていただきました。 271 00:28:31,710 --> 00:28:36,848 うん。 小牧山では 家康公には会うたか。 272 00:28:36,848 --> 00:28:38,784 お会いいたしました。 273 00:28:38,784 --> 00:28:41,186 どんな気持ちがした。 274 00:28:41,186 --> 00:28:45,857 家康公は 立派な武将であらせられました。 275 00:28:45,857 --> 00:28:50,162 秀吉とは 人品人柄共に 比ぶべきもあるまい。 276 00:28:54,866 --> 00:28:59,538 徳川につけ。 わしの味方になれ。 277 00:28:59,538 --> 00:29:04,376 そうすれば 桔梗を 今井に引き取ってやってもいいぞ。 278 00:29:04,376 --> 00:29:10,816 いえ 桔梗様のことは もう結構でございます。 279 00:29:10,816 --> 00:29:14,486 今井の身代 諦めたか。 ご当人が…➡ 280 00:29:14,486 --> 00:29:18,190 そちら様へは行きたくないと 申されますんで。 281 00:29:28,033 --> 00:29:33,839 助左。 船は修理できても 積んでいく荷がなければ➡ 282 00:29:33,839 --> 00:29:36,842 船出はできんのではないか? 283 00:29:38,710 --> 00:29:42,848 呂宋から持ち帰った荷は さばいているのか?➡ 284 00:29:42,848 --> 00:29:49,187 聞くところでは いまだに ぬしの店先に 積んで置いてあるそうではないか。 285 00:29:49,187 --> 00:29:55,060 それらが さばけなければ 呂宋へ持ち込む品々の仕入れもできまい。 286 00:29:55,060 --> 00:30:00,799 あっ それとも 今年の船出は見合わせるか。 287 00:30:00,799 --> 00:30:03,535 船は出します。 288 00:30:03,535 --> 00:30:09,207 秋には 散っていった水夫たちも 戻ってきてくれますので。 289 00:30:09,207 --> 00:30:13,879 わしに任せれば 呂宋品をさばいてやってもいいぞ。 290 00:30:13,879 --> 00:30:16,581 それぐらいはしてやろう。 291 00:30:23,221 --> 00:30:25,157 ハハハ…。 292 00:30:25,157 --> 00:30:30,862 ハッハッハッハッハッハ! 293 00:30:44,242 --> 00:30:46,945 暗いんだな。 294 00:30:53,585 --> 00:30:56,488 番頭さん こっちおいで。 295 00:30:56,488 --> 00:30:59,491 へい。 腹減った~。 296 00:31:01,193 --> 00:31:03,128 番頭さんは 後。 297 00:31:03,128 --> 00:31:06,832 だって 来ないもん。 待つの。 298 00:31:10,535 --> 00:31:13,205 こら! 299 00:31:13,205 --> 00:31:15,207 駄目。 300 00:31:18,076 --> 00:31:21,079 汚いんだ そんなことしちゃ! イテッ! 301 00:31:21,079 --> 00:31:23,548 返しなさい! これ! 302 00:31:23,548 --> 00:31:27,219 おい 店先 つくり替えるぞ。 え…。 303 00:31:27,219 --> 00:31:29,554 この工夫は 前代未聞だ。 304 00:31:29,554 --> 00:31:32,891 ああ 飯 先に済ませといてくれ。 (桔梗)どこへ? 305 00:31:32,891 --> 00:31:35,227 材木 買ってくる。 306 00:31:35,227 --> 00:31:51,777 ♬~ 307 00:31:51,777 --> 00:31:54,246 これ! 308 00:31:54,246 --> 00:32:06,825 ♬~ 309 00:32:06,825 --> 00:32:10,729 これじゃ 外から丸見えじゃないか。 310 00:32:10,729 --> 00:32:13,532 盗人に入られるぞ。 311 00:32:13,532 --> 00:32:27,879 ♬~ 312 00:32:27,879 --> 00:32:32,217 よし 出来た。 あそこへ 立てかけてみようか。 313 00:32:32,217 --> 00:32:34,219 それ。 はい。 314 00:32:36,555 --> 00:32:41,560 これをね はめ込んでみてくれないか。 えっ ここに?ここへ。 そうそう。 315 00:32:44,896 --> 00:32:47,232 こうか? そう。 316 00:32:47,232 --> 00:32:49,534 よし! 出来た。 317 00:32:51,903 --> 00:32:54,606 そうだったのか! 318 00:33:02,180 --> 00:33:04,182 ありがとう。 319 00:33:05,851 --> 00:33:09,721 よし。 これでよし。 はあ~。 320 00:33:09,721 --> 00:33:13,725 あっ 銭丸 表から のぞいてみてくれ。 へい! 321 00:33:21,199 --> 00:33:29,074 これなら 中が よう見える。 面白い工夫を思いついたもんだな。 322 00:33:29,074 --> 00:33:31,843 宗易様…。 323 00:33:31,843 --> 00:33:36,214 どうぞ! どうぞ お入りくださいまし。 どうぞ。 銭丸 腰掛け 持っといで。 324 00:33:36,214 --> 00:33:38,516 へい! どうぞ。 325 00:33:53,565 --> 00:33:57,435 大事なお客だよ きっと。 分かってる。 326 00:33:57,435 --> 00:34:02,374 ほう 納屋をつくり替えて…。 はい。 327 00:34:02,374 --> 00:34:06,845 光も よく入って 品物も きれいに見える。 328 00:34:06,845 --> 00:34:13,184 外を通る者は 誰も きっと 中を のぞき込んでいくだろうね。 329 00:34:13,184 --> 00:34:19,691 はい。 商いには工夫をせよと 昔 宗易様から教えられました。 330 00:34:19,691 --> 00:34:23,862 いや~ 大した工夫だ。 ハッハッハ。 ありがとうございます。 331 00:34:23,862 --> 00:34:26,531 感心な番頭さんだな。 332 00:34:26,531 --> 00:34:31,236 どうぞ。 どうぞ お掛けくださいまし。 ああ。 はい。 333 00:34:37,175 --> 00:34:44,549 さて… 今日は 商いの相談で来たのだが。 334 00:34:44,549 --> 00:34:47,886 て… 手前に? (宗易)ああ。 335 00:34:47,886 --> 00:34:53,224 見たところ ここには 葡萄酒もある 鹿革もある。 336 00:34:53,224 --> 00:34:55,894 それに 珊瑚…。 蜂蜜もございます! 337 00:34:55,894 --> 00:35:00,732 シッ! 余計な口を出すんじゃない。 そうか 蜂蜜もあったか。 338 00:35:00,732 --> 00:35:05,704 それら一切を うちに譲ってもらいたいのだが。 339 00:35:05,704 --> 00:35:09,174 一切と申されますと? 340 00:35:09,174 --> 00:35:13,044 おぬしが商っている 呂宋品の全てをだ。 341 00:35:13,044 --> 00:35:16,848 それじゃ この店の品物を 全部 お買い上げくださると➡ 342 00:35:16,848 --> 00:35:18,783 そう おっしゃっているんで ございますか? 343 00:35:18,783 --> 00:35:22,721 おぬしの方が 私の相談に乗ってくれたらの話だが。 344 00:35:22,721 --> 00:35:25,523 ええ そりゃもう どんなお話でも…。 345 00:35:25,523 --> 00:35:29,194 いや~ こういうことなのだ。 はい。 346 00:35:29,194 --> 00:35:35,066 この秋 私も 安南へ交易船を出すつもりで➡ 347 00:35:35,066 --> 00:35:42,741 搬出用として 蒔絵 屏風 家具類や刀剣などを仕込んでいたのだが➡ 348 00:35:42,741 --> 00:35:47,212 ここに至って 急に 船出ができなくなってしまってね。 349 00:35:47,212 --> 00:35:51,549 それらの品物が無用になってしまった。 350 00:35:51,549 --> 00:35:57,222 まあ 量にして 千石船1艘分はあるだろう。 351 00:35:57,222 --> 00:36:03,495 これと おことの呂宋品とを 引き換えてもらえないだろうか。 352 00:36:03,495 --> 00:36:06,164 そういう相談なのだが…。 353 00:36:06,164 --> 00:36:08,500 願ってもない お話でございます。 354 00:36:08,500 --> 00:36:14,839 手前も この品物がさばけなければ 船出を諦めるつもりでございました。 355 00:36:14,839 --> 00:36:17,742 では 受けてもらえますか。 356 00:36:17,742 --> 00:36:21,179 はい! 是非とも お願いいたします。 357 00:36:21,179 --> 00:36:25,483 これは うれしい。 ハッハッハッハ。 358 00:36:30,522 --> 00:36:34,392 どうぞ。 これ! 宗易様に 不作法な! 359 00:36:34,392 --> 00:36:38,396 いやいや 頂きましょう。 360 00:36:45,870 --> 00:36:47,806 これは…? 361 00:36:47,806 --> 00:36:51,209 茶がないもんで 蜂蜜を白湯で溶かしました。 362 00:36:51,209 --> 00:36:55,080 これ! なんてことを…。 どうりで甘い…。 363 00:36:55,080 --> 00:36:58,083 これも 呂宋の味か。 364 00:37:01,820 --> 00:37:10,495 ああ… 南国の花畑が 目の前に 広がってゆくような香りがするよ。 365 00:37:10,495 --> 00:37:41,459 ♬~ 366 00:37:41,459 --> 00:37:46,397 (宗易)港の納屋に納めてある品物を 検分してもらいたいのだが➡ 367 00:37:46,397 --> 00:37:49,534 明朝にでも どうだろう。 368 00:37:49,534 --> 00:37:53,838 かしこまりました。 港へ伺います。 369 00:38:06,484 --> 00:38:09,187 宗易様…。 370 00:38:30,508 --> 00:38:33,411 このいでたちに 驚かれたか。 371 00:38:33,411 --> 00:38:41,519 はい。 昨日とは別人のような お変わりようなので…。 372 00:38:41,519 --> 00:38:44,422 今日より 商人を捨てた。 373 00:38:44,422 --> 00:38:47,392 商人を捨てて 大坂へたつ。 374 00:38:47,392 --> 00:38:51,196 このいでたちは その証しだ。 375 00:38:51,196 --> 00:38:54,499 商人を捨てると…。 376 00:38:56,534 --> 00:39:04,542 堺を捨てる時は 商人の道も捨てる時だと 心に決めていたのでな。 377 00:39:08,479 --> 00:39:16,821 さあ これが 納屋の鍵だ。 378 00:39:16,821 --> 00:39:23,127 我が納屋の戸は おことが 自らの手で開けるがよい。 379 00:39:24,696 --> 00:39:27,465 でも これは…。 380 00:39:27,465 --> 00:39:31,169 中の品物と共に 納屋も差し上げよう。 381 00:39:31,169 --> 00:39:34,839 えっ! と同様に➡ 382 00:39:34,839 --> 00:39:39,844 私の納屋の姓も譲りたい。 383 00:39:41,512 --> 00:39:45,383 納屋助左と…。 384 00:39:45,383 --> 00:39:51,856 そうなれば 助左衛門の方が聞こえがいいか。 385 00:39:51,856 --> 00:39:57,195 どうだろう? 名乗ってもらえるだろうか。 386 00:39:57,195 --> 00:40:04,068 納屋の姓 継いでもらえるかな。 387 00:40:04,068 --> 00:40:08,539 なぜ 手前に…。 388 00:40:08,539 --> 00:40:13,411 納屋の姓は 堺にとどまる者に譲り渡していきたい。 389 00:40:13,411 --> 00:40:16,214 それだけの気持ちだ。 390 00:40:16,214 --> 00:40:21,552 はっ…。 まだ よく飲み込めませんが➡ 391 00:40:21,552 --> 00:40:23,888 ともかく この納屋の鍵だけは お返しいたします。 392 00:40:23,888 --> 00:40:30,228 これは 私が頼んでいることなのだ。 私の頼みを聞き入れてもらいたい。 393 00:40:30,228 --> 00:40:35,900 手前に 何をせよと…。 394 00:40:35,900 --> 00:40:40,772 堺を守っていってもらいたい。 395 00:40:40,772 --> 00:40:44,575 堺の行く末を…。 396 00:40:44,575 --> 00:40:50,448 宗易様ほどのお方が どうして 手前のような者に…。 397 00:40:50,448 --> 00:40:57,155 しかも 手前のことなど 何一つ ご存じないはずでございますのに。 398 00:40:57,155 --> 00:41:03,061 いや… おことのことは 10年見てきた。 399 00:41:03,061 --> 00:41:06,364 決して気まぐれではない。 400 00:41:10,535 --> 00:41:14,405 私の用は済んだ。 401 00:41:14,405 --> 00:41:18,209 私の最後の商いの相手が➡ 402 00:41:18,209 --> 00:41:22,547 おことのような若者であったことが うれしかった。 403 00:41:22,547 --> 00:41:38,096 ♬~ 404 00:41:38,096 --> 00:41:41,566 (宗易)さらばじゃ。 405 00:41:41,566 --> 00:41:44,469 宗易様! 406 00:41:44,469 --> 00:41:48,239 来年の春 また会おう。 407 00:41:48,239 --> 00:41:51,242 納屋助左衛門殿。 408 00:41:59,250 --> 00:42:14,198 ♬~ 409 00:42:14,198 --> 00:42:19,537 納屋助左衛門…。 410 00:42:19,537 --> 00:42:37,221 ♬~ 411 00:43:04,515 --> 00:43:36,214 ♬~ 412 00:43:36,214 --> 00:43:43,221 <この秋 助左衛門は 再び呂宋へ渡った>