1 00:00:02,102 --> 00:02:40,093 ♬~ 2 00:02:44,531 --> 00:02:48,869 <一人の専制君主が描き出す 巨大な悪夢の中に➡ 3 00:02:48,869 --> 00:02:53,540 日本中の民と富が のみ込まれようとしている。➡ 4 00:02:53,540 --> 00:02:56,243 その前夜…> 5 00:03:01,348 --> 00:03:08,355 <一隻の交易船の船長が 天下を相手の大ばくちを打った> 6 00:03:12,025 --> 00:03:15,796 <時代は 小田原の役の1年前➡ 7 00:03:15,796 --> 00:03:19,499 千 利休切腹の2年前➡ 8 00:03:19,499 --> 00:03:22,836 そして 朝鮮の役を3年後に控えた➡ 9 00:03:22,836 --> 00:03:28,708 天正17年春の 嵐の前の出来事である> 10 00:03:28,708 --> 00:03:32,412 (助左衛門)五右衛門。 俺にも 一つ 放ってくれ。 11 00:03:44,124 --> 00:03:46,526 当たって砕けてみるか。 12 00:03:46,526 --> 00:03:48,862 (五右衛門)天下を欺く気か。 13 00:03:48,862 --> 00:03:51,765 やめとけ。 無駄というもんだ。 14 00:03:51,765 --> 00:03:55,068 下手をしたら その首が飛ぶぞ。 15 00:04:03,376 --> 00:04:07,681 助左衛門の船が戻ったと。 (近侍)はあ。 16 00:04:17,824 --> 00:04:21,495 海賊禁止令を犯して帆を上げた船➡ 17 00:04:21,495 --> 00:04:23,830 すぐさま召し捕らねば➡ 18 00:04:23,830 --> 00:04:27,534 ほかへの示しがつかぬのでは ございませぬか。 19 00:04:30,504 --> 00:04:32,839 助左衛門は 今 どこにいる。 20 00:04:32,839 --> 00:04:37,544 (近侍)下船するや 利休宗匠様のお屋敷へ 参ったようです。 21 00:04:39,179 --> 00:04:41,882 利休の屋敷へ? 22 00:04:52,192 --> 00:04:57,063 呂宋より持参いたしましたる真壺➡ 23 00:04:57,063 --> 00:05:02,803 是非とも 宗匠様のお目利きをいただきたく➡ 24 00:05:02,803 --> 00:05:06,139 持参いたしました。 25 00:05:06,139 --> 00:05:09,810 (利休)拝見しよう。 26 00:05:09,810 --> 00:05:12,512 ありがとう存じます。 27 00:06:04,464 --> 00:06:08,168 いかがでございましょう。 28 00:06:14,808 --> 00:06:17,143 (美緒)助左衛門殿…➡ 29 00:06:17,143 --> 00:06:21,481 あなたは 茶の湯の道には 不案内のお方ゆえ➡ 30 00:06:21,481 --> 00:06:25,352 宗匠様も お許しくださると 思いますが➡ 31 00:06:25,352 --> 00:06:28,154 それなる真壺は➡ 32 00:06:28,154 --> 00:06:31,491 宗匠様のお目利きに かなうような道具とは➡ 33 00:06:31,491 --> 00:06:35,161 道具の格が違います。 34 00:06:35,161 --> 00:06:39,833 速やかに おしまいなされるがよい。 35 00:06:39,833 --> 00:06:46,139 美緒様の申されますとおりで ございましょうか。 36 00:06:48,508 --> 00:06:57,183 目利きとは 道具の本物 偽物を 見分ける目のことだが➡ 37 00:06:57,183 --> 00:07:02,989 あいにく この壺は 偽物ですらないゆえ➡ 38 00:07:02,989 --> 00:07:08,461 目利きの必要もあるまいと思う。 39 00:07:08,461 --> 00:07:13,133 目利きが かないませぬならば➡ 40 00:07:13,133 --> 00:07:19,472 目明きを お願いいたしとう存じます。 41 00:07:19,472 --> 00:07:22,809 目明きの意味を知って言うのか。 42 00:07:22,809 --> 00:07:31,151 はい。 かつて 今井の大元様に伺ったことがございます。 43 00:07:31,151 --> 00:07:36,022 宗久殿は 何と言うた。 44 00:07:36,022 --> 00:07:44,497 大元様の茶の湯の師 武野紹鴎様の偉業をたたえていわく➡ 45 00:07:44,497 --> 00:07:49,169 当代千万の道具は これ 全て➡ 46 00:07:49,169 --> 00:07:54,507 紹鴎の目明きによって 召し出されたものであると。 47 00:07:54,507 --> 00:08:03,316 すなわち 目明きとは あらゆる道具の善悪を見極め➡ 48 00:08:03,316 --> 00:08:11,458 無名の雑器の中にも まことの美を見いだす眼力を言うと…。 49 00:08:11,458 --> 00:08:17,797 私に 目明きをせよと言うのか。 はい。 50 00:08:17,797 --> 00:08:21,334 なぜ 私のもとへ来た。 51 00:08:21,334 --> 00:08:27,474 利休宗匠様は 関白様のお茶頭であらせられますゆえ。 52 00:08:27,474 --> 00:08:36,816 関白殿下の茶頭に 目明きを強いる魂胆は 何だ。 53 00:08:36,816 --> 00:08:46,826 手前 この度 これと同様の真壺を50個ほど➡ 54 00:08:46,826 --> 00:08:51,164 呂宋より持ち帰りましてございます。 55 00:08:51,164 --> 00:08:56,035 その50個の呂宋壺を残らず➡ 56 00:08:56,035 --> 00:09:04,444 関白様と その麾下の諸大名方に お買い上げ願いたいのでございます。 57 00:09:04,444 --> 00:09:15,455 そなた 私に曲事を頼み 関白殿下より 金銀をくすねようとか。 58 00:09:15,455 --> 00:09:17,791 仰せのとおりで。 59 00:09:17,791 --> 00:09:21,795 助左衛門… なんということを! 60 00:09:23,463 --> 00:09:31,337 天下人より くすね取った銭 どう使う。 61 00:09:31,337 --> 00:09:38,011 関白様は 己が意のままにならぬ堺を潰し➡ 62 00:09:38,011 --> 00:09:41,481 博多 長崎を富ませ➡ 63 00:09:41,481 --> 00:09:49,355 更に 南蛮交易の利益を 独占しているばかりか➡ 64 00:09:49,355 --> 00:09:52,826 それら 九州の港を➡ 65 00:09:52,826 --> 00:10:01,167 朝鮮 呂宋に出兵させる 足掛かりにしようとしておられます。 66 00:10:01,167 --> 00:10:05,505 堺を滅ぼさぬ道は ただ一つ➡ 67 00:10:05,505 --> 00:10:10,844 南蛮交易の灯を消さぬことでございます。 68 00:10:10,844 --> 00:10:18,518 そのためには 関白様の御朱印船に対抗できるだけの➡ 69 00:10:18,518 --> 00:10:23,389 交易船団をつくらねばなりません。 70 00:10:23,389 --> 00:10:27,861 堺を滅ぼさぬための➡ 71 00:10:27,861 --> 00:10:33,166 自由な交易を守るための船団を…。 72 00:10:34,734 --> 00:10:40,874 かかる願いを込めまして 持参いたしました壺でございます。 73 00:10:40,874 --> 00:10:48,748 何とぞ… 何とぞ 宗匠様のご眼力をもちまして➡ 74 00:10:48,748 --> 00:10:55,054 目明きのほどを お願いいたしとう存じます。 75 00:10:56,890 --> 00:12:26,846 ♬~ 76 00:12:26,846 --> 00:12:32,185  回想 (宗易)この葉茶壺で 堺を救えぬかのう。➡ 77 00:12:32,185 --> 00:12:35,088 織田上総介殿が➡ 78 00:12:35,088 --> 00:12:38,858 もし 噂どおりの ひとかどの数寄者であれば➡ 79 00:12:38,858 --> 00:12:43,196 この葉茶壺 2万貫と引き換えても 惜しゅうはないと➡ 80 00:12:43,196 --> 00:12:46,099 思うてくれるかもしれぬ。 81 00:12:46,099 --> 00:12:51,537 (宗久)この松島を 信長に献上すると。 82 00:12:51,537 --> 00:12:54,440 (宗易)安いものではないか。 83 00:12:54,440 --> 00:13:01,447 葉茶壺一つで 町一つ 戦火にさらさずに済めば。 84 00:13:07,020 --> 00:13:11,024 松島の葉茶壺…。 85 00:13:14,761 --> 00:13:21,167 あの時も 葉茶壺が 堺を救った。 86 00:13:21,167 --> 00:13:25,838 宗久殿も お元気だった。 87 00:13:25,838 --> 00:13:30,510 今思えば あの包囲網の中を➡ 88 00:13:30,510 --> 00:13:37,183 信長公の陣中まで よく たどりつけたものだ。 89 00:13:37,183 --> 00:13:47,527 あの時は 助左衛門殿も 志願して 父の供をいたしました。 90 00:13:47,527 --> 00:13:50,196 そなたも…? 91 00:13:50,196 --> 00:13:59,906 はい。 松島の葉茶壺を背に 堺の堀を渡りましてございます。 92 00:14:01,808 --> 00:14:06,479 そうか…。 93 00:14:06,479 --> 00:14:10,817 そなたは あの時も…。 94 00:14:10,817 --> 00:14:17,156 まだ 19でございました。 95 00:14:17,156 --> 00:14:44,851 ♬~ 96 00:14:44,851 --> 00:14:49,188 明のものでは ないようだが➡ 97 00:14:49,188 --> 00:14:53,059 呂宋の土で 焼いたのかな。 98 00:14:53,059 --> 00:14:57,530 マニラ政庁の敵➡ 99 00:14:57,530 --> 00:15:02,835 アゴーの村人たちの 手によるものでございます。 100 00:15:14,480 --> 00:15:17,383 逆賊の壺か…。 101 00:15:17,383 --> 00:15:25,691 ♬~ 102 00:15:41,707 --> 00:15:46,179 (秀吉)盛阿弥の真の台子…➡ 103 00:15:46,179 --> 00:15:52,852 与次郎作の切合丸釜に 唐金鬼面風炉か…。 104 00:15:52,852 --> 00:15:58,524 ふ~ん。 さすがに よい道具を持っておる。 105 00:15:58,524 --> 00:16:00,526 うん。 106 00:16:18,477 --> 00:16:21,147 (秀吉)ああ これなる葉茶壺は? 107 00:16:21,147 --> 00:16:29,489 はい。 呂宋より渡来いたしました 真壺にございます。 108 00:16:29,489 --> 00:16:32,391 呂宋の壺じゃと? 109 00:16:32,391 --> 00:16:38,164 堺の納屋助左衛門より 買い受けました。 110 00:16:38,164 --> 00:16:42,835 助左衛門? あの身の程知らずめが➡ 111 00:16:42,835 --> 00:16:46,505 天下の宗匠に 茶道具を売りつけおったか。 112 00:16:46,505 --> 00:16:51,177 それがしの方より 無理に買い上げました。 113 00:16:51,177 --> 00:16:55,181 酔狂も ほどほどにすることだな。 114 00:16:57,516 --> 00:17:02,355 こんな雑器を 利休が銭を出して買うたと知れたら➡ 115 00:17:02,355 --> 00:17:04,323 世間に笑われる。 116 00:17:04,323 --> 00:17:08,127 利休宗匠の名にも 傷がつくぞ。 117 00:17:08,127 --> 00:17:16,469 お言葉なれど それがしには これが それほど悪しき壺には見えませぬ。 118 00:17:16,469 --> 00:17:20,806 もっとも 近頃は にわか数寄者の間で➡ 119 00:17:20,806 --> 00:17:26,679 名物に似たものを好む目利きが もてはやされておりますが➡ 120 00:17:26,679 --> 00:17:32,418 まあ たとえ いかほど 形や景色を似せましょうとも➡ 121 00:17:32,418 --> 00:17:38,157 まがい物は 最後まで まがい物。 122 00:17:38,157 --> 00:17:44,030 それに比ぶれば この壺の景色は 独特にして➡ 123 00:17:44,030 --> 00:17:48,334 温かい強さに あふれております。 124 00:17:50,503 --> 00:17:59,512 殿下ご秘蔵の四十石の壺にも劣らぬ壺と 目利きをいたしました。 125 00:17:59,512 --> 00:18:06,118 天下一と称される 我が四十石の壺にも劣らぬ名器だと…。 126 00:18:06,118 --> 00:18:08,054 はい。 127 00:18:08,054 --> 00:18:12,992 利休… おことは 予をからこうておるのか。 128 00:18:12,992 --> 00:18:18,130 いいえ… 真面目でございます。 129 00:18:18,130 --> 00:18:23,803 では 予の眼力では この壺の目利きはできぬと言いたいのか。 130 00:18:23,803 --> 00:18:30,476 殿下のお好みに添いませぬことは 致し方もないことにございます。 131 00:18:30,476 --> 00:18:33,379 お目利きのことは 申してはおりませぬ。 132 00:18:33,379 --> 00:18:35,348 黙れ! 133 00:18:35,348 --> 00:18:39,819 おことには見えて 予には見えぬものがあるとすれば➡ 134 00:18:39,819 --> 00:18:41,754 いや それは認めよう。 135 00:18:41,754 --> 00:18:45,157 しかし おことは 今 うそをついておる。➡ 136 00:18:45,157 --> 00:18:48,494 この壺が 四十石にも劣らぬ名器だと? 137 00:18:48,494 --> 00:18:52,164 こんな土器のどこに そんな値打ちがある! 愚弄は許さん! 138 00:18:52,164 --> 00:18:54,867 銭5千貫。 139 00:18:58,504 --> 00:19:03,109 5千貫で買い取りました壺にございます。 140 00:19:03,109 --> 00:19:08,781 まず 5千貫を お支払いいただきとう存じます。 141 00:19:08,781 --> 00:19:11,684 ほう 面白い。 142 00:19:11,684 --> 00:19:18,457 どうしても この真壺に 5千貫もの値をつけたいのか。 143 00:19:18,457 --> 00:19:22,161 (利休)お買い上げいただけますので…? 144 00:19:27,466 --> 00:19:31,804 助左衛門が呂宋より持ち帰りたる壺は これ一個ではあるまい。 145 00:19:31,804 --> 00:19:34,140 全部で いくつある。 146 00:19:34,140 --> 00:19:38,010 50個ほどは 持ち帰った由にございます。 147 00:19:38,010 --> 00:19:43,816 よかろう。 予が 壺売りの市をたててつかわす。 148 00:19:43,816 --> 00:19:48,688 大坂城中 西の丸の広間辺りでは どうじゃ。 149 00:19:48,688 --> 00:19:54,160 城中の広間で 市をたてるなどとは 前代未聞のこと。 150 00:19:54,160 --> 00:19:57,830 あまりにも恐れ多きことにござりまする。 151 00:19:57,830 --> 00:20:01,167 アハハハハ。 臆することはなかろう。 152 00:20:01,167 --> 00:20:05,037 客は 予が 諸国より 大名を集めてつかわす。 153 00:20:05,037 --> 00:20:09,508 これなる真壺が 5千貫で売れていく様を➡ 154 00:20:09,508 --> 00:20:12,845 是非是非 この目で見てみたい。 155 00:20:12,845 --> 00:20:14,780 フッフッフッフッフ…。 156 00:20:14,780 --> 00:20:20,719 どうじゃ 今の間に 値を下げぬか。 157 00:20:20,719 --> 00:20:23,856 こうしたものの値は➡ 158 00:20:23,856 --> 00:20:28,194 買い手に決めていただいた方が よろしいかと存じます。 159 00:20:28,194 --> 00:20:32,064 それがしの 値の押しつけになりましても…。 160 00:20:32,064 --> 00:20:36,535 ふ~ん。 競り売りに任せて 逃げようという手か。 161 00:20:36,535 --> 00:20:44,844 こちらで押しつけずとも 5千貫を下ることはあるまいと存じます。 162 00:20:48,881 --> 00:20:52,551 強気じゃのう…。 163 00:20:52,551 --> 00:20:59,892 強気はいいが これが おことの目利きどおりの値に売れぬ時➡ 164 00:20:59,892 --> 00:21:07,700 あるいは 50個のうち一個でも売れ残った時➡ 165 00:21:07,700 --> 00:21:12,404 その時の覚悟はできていようの。 166 00:21:14,406 --> 00:21:18,177 5千貫とは➡ 167 00:21:18,177 --> 00:21:27,520 それがしの命の値段も加えた上での 値にございます。 168 00:21:27,520 --> 00:21:37,530 ♬~ 169 00:21:37,530 --> 00:21:47,873 ♬「うき世は車の輪のごとく」 170 00:21:47,873 --> 00:21:55,548 ♬「ここな鴉はどこがらす どこがらす」 171 00:21:55,548 --> 00:22:00,152 ♬「いなばの鴉が恋というてなく」 172 00:22:00,152 --> 00:22:04,490 ♬「恋というてなく」 173 00:22:04,490 --> 00:22:14,500 ♬「あの花みさい この花みさい」 174 00:22:14,500 --> 00:22:21,841 ♬「みなさきつれた花どもを 花どもを」 175 00:22:21,841 --> 00:22:24,176 裏に 客人だ。 176 00:22:24,176 --> 00:22:26,111 誰だ? 177 00:22:26,111 --> 00:22:29,515 せがまれて連れてきた。 うん? 178 00:22:29,515 --> 00:22:35,187 ♬~(歌声) 179 00:22:35,187 --> 00:22:38,090 桔梗様! 180 00:22:38,090 --> 00:22:41,527 (桔梗)呼び捨てにして 前と同じに。 181 00:22:41,527 --> 00:22:46,398 いや 今は 今井様のお嬢様です。 前とは違う。 182 00:22:46,398 --> 00:22:50,870 いや。 そんな他人みたいに…。 183 00:22:50,870 --> 00:22:54,540 お忍びで抜け出してきたんですね。 184 00:22:54,540 --> 00:22:57,443 ⚟♬~(歌声) 185 00:22:57,443 --> 00:22:59,879 ひとまず お上がんなさい。 186 00:22:59,879 --> 00:23:03,749 明日 大坂城へ行くのね。 187 00:23:03,749 --> 00:23:05,684 商いに出向く。 188 00:23:05,684 --> 00:23:11,156 ただの商いではないのでしょう? ただの商いではないとは? 189 00:23:11,156 --> 00:23:14,827 お城から生きて戻れないこともあると…。 190 00:23:14,827 --> 00:23:17,496 誰が… 誰がそんなことを。 191 00:23:17,496 --> 00:23:21,166 五右衛門さんから…。 192 00:23:21,166 --> 00:23:24,837 それほどのことはない。 関白様を だますのでしょう? 193 00:23:24,837 --> 00:23:26,839 手を。 194 00:23:31,510 --> 00:23:34,413 行かないで。 舟を降りて。 195 00:23:34,413 --> 00:23:37,182 大坂へは行かないで! 196 00:23:37,182 --> 00:23:40,853 それを言いに来たのか。 197 00:23:40,853 --> 00:23:43,188 お前を失いたくない。 198 00:23:43,188 --> 00:23:48,060 ♬~(手拍子) 199 00:23:48,060 --> 00:24:30,369 ♬~(歌声) 200 00:24:39,178 --> 00:24:41,113 治部様…。 201 00:24:41,113 --> 00:24:46,118 これより先は 身共が案内いたそう。 202 00:24:56,729 --> 00:25:00,132 踊らされたのう 利休居士に。 203 00:25:00,132 --> 00:25:06,472 いいえ。 宗匠様には 手前の方より持ちかけましたことで。 204 00:25:06,472 --> 00:25:09,808 こなたの側からは そうでも➡ 205 00:25:09,808 --> 00:25:14,680 利休宗匠には ただただ 殿下の鼻を明かしたいだけだ。 206 00:25:14,680 --> 00:25:20,152 年寄り同士の意地の張り合いに 巻き込まれおって。 207 00:25:20,152 --> 00:25:22,821 巻き込まれたのではなく➡ 208 00:25:22,821 --> 00:25:26,492 便乗させていただきましたので ございます。 209 00:25:26,492 --> 00:25:31,497 なんたる茶番だ。 もう知らぬぞ。 210 00:25:39,071 --> 00:25:45,778  心の声  これが噂に高い 黄金の茶室か…。 211 00:25:59,858 --> 00:26:08,133 一別来 絶えて久しき対面じゃのう 助左。 212 00:26:08,133 --> 00:26:10,469 はっ。 213 00:26:10,469 --> 00:26:14,807 よう参った。 214 00:26:14,807 --> 00:26:22,681 この度は 手前の呂宋壺に 格別のお目利きを賜り➡ 215 00:26:22,681 --> 00:26:25,150 恐悦に存じます。 216 00:26:25,150 --> 00:26:30,489 利休好みだったようじゃのう。 おことの土器は。 217 00:26:30,489 --> 00:26:35,828 5千貫文にて お買い上げをいただきました。 218 00:26:35,828 --> 00:26:40,499 うむ。 どうじゃ 助左。 219 00:26:40,499 --> 00:26:47,506 銭千貫で 50個の壺 全部 予が買い取ってつかわそう。 220 00:26:49,508 --> 00:26:55,814 5千貫より 安く売るつもりはございませぬ。 221 00:26:57,382 --> 00:27:02,788 利休を死なせてもよいのか。 222 00:27:02,788 --> 00:27:06,658 利休は 50個のうち一個でも売れ残ったら➡ 223 00:27:06,658 --> 00:27:09,461 腹を切ると言いだしおった。➡ 224 00:27:09,461 --> 00:27:12,798 一旦 口に出してしまった 言葉というものは➡ 225 00:27:12,798 --> 00:27:16,134 なかなか 後へは引けぬものだ。 226 00:27:16,134 --> 00:27:23,475 利休も 内心では むきになったことを 悔やんでるに違いないが➡ 227 00:27:23,475 --> 00:27:27,346 相手が予だと 意地でも折れてこぬ。➡ 228 00:27:27,346 --> 00:27:30,816 あの壺の持ち主は もともと おことだ。➡ 229 00:27:30,816 --> 00:27:35,487 おことが じかに 予に売ってしまったと言えば➡ 230 00:27:35,487 --> 00:27:39,491 利休は死なずに済むのだぞ 助左。 231 00:27:41,159 --> 00:27:46,498 恐れながら 男子たるもの➡ 232 00:27:46,498 --> 00:27:53,171 勝敗のいかんを問わず 戦わねばならぬ戦もございます。 233 00:27:53,171 --> 00:27:59,511 利休様が 死出の旅路につかれます時は➡ 234 00:27:59,511 --> 00:28:04,116 手前も 三途の川の渡し舟の➡ 235 00:28:04,116 --> 00:28:08,120 舵取りをいたすつもりでございます。 236 00:28:12,791 --> 00:28:19,464 今の言葉に 二言はないか。 237 00:28:19,464 --> 00:28:21,400 ございませぬ。 238 00:28:21,400 --> 00:28:26,138 しからば 勝負じゃのう。 239 00:28:26,138 --> 00:28:29,141 参ろうか 西の丸へ。 240 00:28:48,827 --> 00:28:51,830 一同 待たせたのう。 241 00:28:53,498 --> 00:28:56,835 いやいや 本日は 無礼講でいこう。 242 00:28:56,835 --> 00:28:59,504 面を上げられよ。 243 00:28:59,504 --> 00:29:04,810 治部。 助左衛門を これへ控えさせよ。 (三成)はっ。 244 00:29:06,311 --> 00:29:11,450 はあ~ いやいや これは壮観な。 245 00:29:11,450 --> 00:29:14,353 アッハッハッハッハ。 246 00:29:14,353 --> 00:29:18,123 さて 一同 あれに控えおる男が➡ 247 00:29:18,123 --> 00:29:23,996 この真壺を はるばる 呂宋の地より持ち帰りたる商人で➡ 248 00:29:23,996 --> 00:29:27,132 名を助左衛門と申す。 249 00:29:27,132 --> 00:29:31,803 助左衛門 挨拶を許す。 250 00:29:31,803 --> 00:29:37,676 堺の商人 納屋助左衛門にございます。 251 00:29:37,676 --> 00:29:42,147 以後 お見知り置きのほどを。 252 00:29:42,147 --> 00:29:48,487 利家。 本日のこれらの壺を どう見る。 253 00:29:48,487 --> 00:29:53,825 ほかならぬ利休宗匠の お目利きにかないたる葉茶壺➡ 254 00:29:53,825 --> 00:29:59,698 是非とも 一つは譲り受け 我が前田家の 末代までの家宝といたしたく存じまする。 255 00:29:59,698 --> 00:30:03,835 全く 利休には これら50個の呂宋壺を➡ 256 00:30:03,835 --> 00:30:07,706 我が四十石にも劣らぬ名器だと 目利きしおってのう➡ 257 00:30:07,706 --> 00:30:13,845 してみると 我が天下一の壺も 随分と値が落ちたものじゃよ。➡ 258 00:30:13,845 --> 00:30:16,515 アハハハハハハ。 259 00:30:16,515 --> 00:30:20,852 元親。 いくらの値をつける。 260 00:30:20,852 --> 00:30:30,195 はっ…。 さしあたって 銭千貫文ほどに。 261 00:30:30,195 --> 00:30:32,864 ほう はずんだのう。 262 00:30:32,864 --> 00:30:36,535 いや~ 見れば 大小あるようでござる。 263 00:30:36,535 --> 00:30:40,872 それがし 大の方に 2千貫の値をつけましょう。 264 00:30:40,872 --> 00:30:45,210 まあ 妥当なところでしょうな その辺りが。 265 00:30:45,210 --> 00:30:47,546 (秀吉)う~む…。 266 00:30:47,546 --> 00:30:54,252 2千貫以上は出ないのか。 利休の目利きだぞ。 267 00:30:55,887 --> 00:31:02,194 (利家)わしは 2千5百貫でもらおう。 それで 2つ頂こうか。 268 00:31:03,695 --> 00:31:06,164 (小声で)言わぬことではない。 269 00:31:06,164 --> 00:31:11,837 2千5百貫か。 もう一声 どうじゃ。 270 00:31:11,837 --> 00:31:16,508 3千貫文は 少々…。 はずみ過ぎだのう。 271 00:31:16,508 --> 00:31:20,379 2千貫がよいところでしょう。 272 00:31:20,379 --> 00:31:23,381 (恵瓊)待たれい! 273 00:31:25,851 --> 00:31:31,156 それがし 一壺1万貫で買い受けよう。 274 00:31:34,526 --> 00:31:39,398 恵瓊殿 今 いくらで買うと仰せになった。 275 00:31:39,398 --> 00:31:41,867 1万貫と言うたさ。 276 00:31:41,867 --> 00:31:44,536 お目は確かでござるか 恵瓊殿。 277 00:31:44,536 --> 00:31:48,407 そこもとこそ お耳は確かなのかな。 278 00:31:48,407 --> 00:31:54,212 そこもとたちには 関白殿下のお言葉が 耳に入らなかったと見えるから➡ 279 00:31:54,212 --> 00:31:57,883 拙僧が いま一度 繰り返してやろう。 280 00:31:57,883 --> 00:32:05,490 利休宗匠は この壺を 四十石の壺と同等だと目利きされたのだ。 281 00:32:05,490 --> 00:32:11,163 天下一の宗匠が 天下一の葉茶壺と 同等だと目利きされた以上➡ 282 00:32:11,163 --> 00:32:14,499 二千や三千の はした銭で買い取ることは➡ 283 00:32:14,499 --> 00:32:18,370 殿下の四十石の壺に対しても 無礼ということになるでござろう。 284 00:32:18,370 --> 00:32:21,373 いや 予が申したのは そういうことでは…。 285 00:32:21,373 --> 00:32:24,176 殿下も ご遠慮なさることはございませぬ。 286 00:32:24,176 --> 00:32:29,514 かの四十石の壺には 既に 1万貫の値がつけられていることは➡ 287 00:32:29,514 --> 00:32:31,850 天下周知のこと。 288 00:32:31,850 --> 00:32:35,720 従って この呂宋の壺も➡ 289 00:32:35,720 --> 00:32:40,025 1万貫より安くは買い受けられませぬ! 290 00:32:42,494 --> 00:32:49,201 それがし 1万貫文にて もらい受け申す。 291 00:32:49,201 --> 00:33:02,480 ♬~ 292 00:33:02,480 --> 00:33:05,383 (利家) 恵瓊殿の申さるること もっともなり。 293 00:33:05,383 --> 00:33:09,154 それがしも 1万貫で買い受け申す。 294 00:33:09,154 --> 00:33:49,461 ♬~ 295 00:34:26,164 --> 00:34:30,835 3つ残った。 296 00:34:30,835 --> 00:34:34,539 売れ残ったぞ 利休。 297 00:34:36,708 --> 00:34:39,711 本望でございます。 298 00:34:46,851 --> 00:34:53,725 恐れながら 3個の壺 私に お譲りくださりませ。 299 00:34:53,725 --> 00:34:56,528 治部様…。 300 00:34:56,528 --> 00:35:01,366 3万貫を出せるのか 左吉。 301 00:35:01,366 --> 00:35:04,336 なんとか 工面いたします。 302 00:35:04,336 --> 00:35:08,473 無理をするな。 303 00:35:08,473 --> 00:35:11,142 それは 予が買い取る! 304 00:35:11,142 --> 00:35:34,366 ♬~ 305 00:35:34,366 --> 00:35:41,373 一朝にして 大徳人じゃのう 助左衛門。 306 00:35:44,509 --> 00:35:49,381 おかげをもちまして。 307 00:35:49,381 --> 00:36:29,087 ♬~ 308 00:36:36,161 --> 00:36:38,463 助左衛門。 309 00:36:40,498 --> 00:36:43,835 恵瓊様。 310 00:36:43,835 --> 00:36:47,706 話がある。 これへ。 311 00:36:47,706 --> 00:36:49,707 はい。 312 00:37:00,318 --> 00:37:05,457 先刻は ありがとう存じました。 313 00:37:05,457 --> 00:37:07,459 礼は要らぬ。 314 00:37:17,469 --> 00:37:19,471 (壺を割る音) 315 00:37:22,140 --> 00:37:26,478 わしの目は 節穴じゃないぞ。 316 00:37:26,478 --> 00:37:32,817 誰が こんなガラクタに 1万貫の銭を出すもんか。 317 00:37:32,817 --> 00:37:40,158 1万貫はな 壺にではのうて おぬしに投じたのだ。 318 00:37:40,158 --> 00:37:42,861 手前に? 319 00:38:00,111 --> 00:38:02,447 もうかったのう。 320 00:38:02,447 --> 00:38:09,320 ざっと50万貫 転がり込んだ計算だ。 321 00:38:09,320 --> 00:38:11,456 その銭 何に使う。 322 00:38:11,456 --> 00:38:16,161 志あっての大ばくちと見たが どうだ。 323 00:38:18,329 --> 00:38:20,465 はい。 324 00:38:20,465 --> 00:38:22,767 聞かせろ。 325 00:38:24,802 --> 00:38:29,674 手前 船団をつくります。 326 00:38:29,674 --> 00:38:34,379 交易船団か。 はい。 327 00:38:42,153 --> 00:38:46,024 思ったとおりだ。 328 00:38:46,024 --> 00:38:52,163 いや~ 伊予国の僅か2万3千石の知行じゃ➡ 329 00:38:52,163 --> 00:38:56,501 1万貫の出費は痛かったが➡ 330 00:38:56,501 --> 00:39:02,774 どうやら これで取り戻せそうだぞ。 331 00:39:02,774 --> 00:39:08,112 何か 取り引きをお望みのようで…。 332 00:39:08,112 --> 00:39:14,786 船団をつくるには 船と船乗りが要るだろう。はい。 333 00:39:14,786 --> 00:39:19,090 伊予の海賊を ぬしに売りたい。 334 00:39:21,659 --> 00:39:23,795 海賊? 335 00:39:23,795 --> 00:39:28,132 伊予国の我が領内の海賊衆なんだが➡ 336 00:39:28,132 --> 00:39:31,803 関白殿下が発令した 例の海賊禁止令のおかげで➡ 337 00:39:31,803 --> 00:39:36,674 みんな 干上がってしまってな 領内でも持て余しているんだ。 338 00:39:36,674 --> 00:39:41,145 公儀の禁令は守らにゃならんが➡ 339 00:39:41,145 --> 00:39:48,820 領主としては やつらの先行きのことも 考えてやらなくちゃならん。 340 00:39:48,820 --> 00:40:00,164 そこでだ 船ごと おぬしに 買い上げてもらいたいという相談だが。 341 00:40:00,164 --> 00:40:03,167 乗ってくれんか。 342 00:40:06,504 --> 00:40:10,842 お引き受けするのは いといませぬが➡ 343 00:40:10,842 --> 00:40:18,716 手前のつくる船団は 朱印状を頂戴せぬ船団でございますぞ。 344 00:40:18,716 --> 00:40:25,857 いつ 逆賊の汚名を 着せられるやもしれませぬ。 345 00:40:25,857 --> 00:40:30,862 それを ご承知の上でございましたら。 346 00:40:33,531 --> 00:40:39,203 いい度胸をしとる。 ますます気に入った。 347 00:40:39,203 --> 00:40:44,876 1万貫 投じたかいがあったぞ。 348 00:40:44,876 --> 00:40:48,212 ハッハッハッハ…。 349 00:40:48,212 --> 00:40:54,519 ハッハッハッハッハッハッハ! 350 00:41:02,493 --> 00:41:05,830 お帰りなさいませ。 351 00:41:05,830 --> 00:41:08,733 美緒殿…。 352 00:41:08,733 --> 00:41:12,503 助左衛門は 勝った。 353 00:41:12,503 --> 00:41:44,802 ♬~ 354 00:41:51,209 --> 00:41:57,882 <助左衛門の名は たちまち 堺の南北に広まった> 355 00:41:57,882 --> 00:42:02,487 名前は!? 何!? まさ!まさ? 356 00:42:02,487 --> 00:42:10,161 (弥次郎)まさ いいか! 9月になったら これ持って また来てくれ。 よし! 357 00:42:10,161 --> 00:42:12,497 押すなってんだ おら! 358 00:42:12,497 --> 00:42:15,400 一人残らず 雇い入れてやるから 慌てるな! 359 00:42:15,400 --> 00:42:18,169 一人残らず雇うったって そんなに船があるのかよ!? 360 00:42:18,169 --> 00:42:20,505 (一同)そうだ! 361 00:42:20,505 --> 00:42:23,174 何十隻だって 何百隻だってあるさ。 362 00:42:23,174 --> 00:42:26,844 それでも足りなきゃ 要るだけ造るまでよ! 363 00:42:26,844 --> 00:42:28,780 文句あるか! 364 00:42:28,780 --> 00:42:31,482 (吾助)さあ 2列に並んで! 365 00:42:35,520 --> 00:42:39,190 ♬~ 366 00:42:39,190 --> 00:42:44,529 <関白 秀吉が 聚楽第に 一族 公家 諸大名を集め➡ 367 00:42:44,529 --> 00:42:48,399 黄金6千枚に 銀2万5千枚をばらまいた➡ 368 00:42:48,399 --> 00:42:51,202 世に言う 金賦りを行ったのは➡ 369 00:42:51,202 --> 00:42:54,505 この年の5月20日である> 370 00:42:56,073 --> 00:43:02,814 <秀吉の側室 淀殿が 秀吉待望の嗣子 鶴松を産んだのは➡ 371 00:43:02,814 --> 00:43:07,485 それより7日後の27日であった> 372 00:43:07,485 --> 00:43:12,824 ♬~ 373 00:43:12,824 --> 00:43:19,497 <同じ頃 四国は伊予国の海賊を 丸ごと買い上げた助左衛門の船団が➡ 374 00:43:19,497 --> 00:43:24,202 瀬戸内を渡って 堺の港を目指している> 375 00:43:26,170 --> 00:43:28,840 <秀吉の朱印船団と➡ 376 00:43:28,840 --> 00:43:33,511 助左衛門率いる 自由交易船団の海の戦いが➡ 377 00:43:33,511 --> 00:43:36,414 ここに始まっていく> 378 00:43:36,414 --> 00:43:46,124 ♬~