1 00:00:02,102 --> 00:02:40,093 ♬~ 2 00:03:24,371 --> 00:03:26,373 (小太郎)母上! 3 00:03:26,373 --> 00:03:29,509 助左衛門殿が 奉行所に連れていかれました。 4 00:03:29,509 --> 00:03:31,445 (美緒)えっ!? 5 00:03:31,445 --> 00:04:03,143 ♬~ 6 00:04:06,646 --> 00:04:09,449 (三成)菓子を食わぬか。 7 00:04:11,151 --> 00:04:16,156 伏見の太閤殿下より 拝領してきた菓子だ。 8 00:04:17,824 --> 00:04:21,495 昨日は 嘉祥の日でな。 9 00:04:21,495 --> 00:04:26,833 嘉祥の日には 中老奉行などの側近が 城中に参賀し➡ 10 00:04:26,833 --> 00:04:30,504 賀を述べるが 吉例となっておる。 11 00:04:30,504 --> 00:04:34,841 本年は 殿下のご容体も思わしゅうないゆえ➡ 12 00:04:34,841 --> 00:04:37,744 取りやめになるかと思うていたが➡ 13 00:04:37,744 --> 00:04:43,517 殿下の たってのご希望にて 例年どおり行われた。 14 00:04:43,517 --> 00:04:49,389 どうだ ひとつ 味おうてみぬか。 15 00:04:49,389 --> 00:04:56,863 (助左衛門)太閤殿下拝領のお菓子を 手前に賞味せよとの仰せでございますか。 16 00:04:56,863 --> 00:05:04,671 殿下は こなたに食させよと仰せになり 下されたものだ。 17 00:05:04,671 --> 00:05:07,674 信じ難いか? 18 00:05:13,813 --> 00:05:17,684 あれは 6年前➡ 19 00:05:17,684 --> 00:05:26,827 肥前国名護屋の城中にて 手前 殿下より つばを吐きかけられ➡ 20 00:05:26,827 --> 00:05:31,498 極刑を言い渡されましてございます。 21 00:05:31,498 --> 00:05:39,372 死んだはずの者が 菓子を食えるはずはございません。 22 00:05:39,372 --> 00:05:42,509 打ち明けたのさ。 23 00:05:42,509 --> 00:05:48,181 こなたを わしの一存で放免したことをな。 24 00:05:48,181 --> 00:05:52,853 殿下は お咎めにはならなかった。 25 00:05:52,853 --> 00:05:55,755 むしろ ほほ笑まれた。 26 00:05:55,755 --> 00:06:00,660 そして ひと言 助左にも食べさせよと➡ 27 00:06:00,660 --> 00:06:05,131 手づかみで その菓子を下されたのだ。 28 00:06:05,131 --> 00:06:09,803 殿下は こなたに会いたいとも仰せになった。 29 00:06:09,803 --> 00:06:14,808 こなたを死なせずによかったと 思うておられるに違いない。 30 00:06:17,477 --> 00:06:22,816 手前を 伏見へお連れになりたい おつもりで? 31 00:06:22,816 --> 00:06:27,153 嫌だとは言うまいの。 32 00:06:27,153 --> 00:06:35,028 お断りをすれば 今度こそ 首が飛びますかな。 33 00:06:35,028 --> 00:06:39,332 殿下と和解をしてもらいたいのだ。 34 00:06:41,167 --> 00:06:45,505 それは 今更 できぬ相談でございましょう。 35 00:06:45,505 --> 00:06:47,841 できぬとは➡ 36 00:06:47,841 --> 00:06:50,176 去年の夏 伏見城中に押し入り➡ 37 00:06:50,176 --> 00:06:53,847 釜ゆでの刑に処せられた…➡ 38 00:06:53,847 --> 00:06:57,717 賊の遺恨を晴らさんがためか。 39 00:06:57,717 --> 00:07:05,125 ♬~ 40 00:07:05,125 --> 00:07:09,796 殿下に 遺恨はございませぬ。 41 00:07:09,796 --> 00:07:20,140 ただ 先に死んでいった者たちの 志を受け継ぎたいだけでございます。 42 00:07:20,140 --> 00:07:24,477 死んだ者の志とは…? 43 00:07:24,477 --> 00:07:31,151 堺の自治と 自由な海の交易を取り戻すため➡ 44 00:07:31,151 --> 00:07:38,825 これまでに 多数の堺衆が 命を捨ててまいりました。 45 00:07:38,825 --> 00:07:42,162 この助左衛門も 同じでございます。 46 00:07:42,162 --> 00:07:50,036 手前 英雄豪傑になろうなどとは 夢にも思いませぬ。 47 00:07:50,036 --> 00:07:54,507 堺の納屋衆の一人として➡ 48 00:07:54,507 --> 00:07:58,845 守るべきものを守り➡ 49 00:07:58,845 --> 00:08:03,149 果たすべきことを 果たしたいだけでございます。 50 00:08:05,452 --> 00:08:11,324 太閤殿下が 三界に広がる海を➡ 51 00:08:11,324 --> 00:08:18,465 全ての商人たちの自由に 任せてくださいますならば➡ 52 00:08:18,465 --> 00:08:25,138 我らも 矛を収めましょう。 53 00:08:25,138 --> 00:08:30,477 手前も 進んで 伏見へ上がりましょう。 54 00:08:30,477 --> 00:08:35,348 それは なるまいのう。 55 00:08:35,348 --> 00:08:41,488 それらの願いが かなえられぬ限り➡ 56 00:08:41,488 --> 00:08:46,493 手前 断じて 伏見へは伺候いたしませぬ。 57 00:08:59,038 --> 00:09:04,344 では 言うてしまおう。 58 00:09:25,031 --> 00:09:32,138 来年の春には 朱印船は廃止されよう。 59 00:09:32,138 --> 00:09:35,809 海賊禁止令も解かれよう。 60 00:09:35,809 --> 00:09:41,147 堺の堀にも 水が戻ってこよう。 61 00:09:41,147 --> 00:09:45,452 それまでは うかつには動かぬことだ。 62 00:09:47,487 --> 00:09:53,159 それは また 何故? 63 00:09:53,159 --> 00:09:57,030 殿下の寿命は…➡ 64 00:09:57,030 --> 00:10:00,033 秋までも もたぬ。 65 00:10:02,502 --> 00:10:06,172 あと みつき…➡ 66 00:10:06,172 --> 00:10:10,176 みつきほどにて ご他界あそばす。 67 00:10:17,183 --> 00:10:28,795 殿下は 我ら家臣の前で 涙を流された。 68 00:10:28,795 --> 00:10:36,202 涙に潤む声で せめてと仰せになった。 69 00:10:36,202 --> 00:10:45,545 せめて 子の秀頼が15の年になるまで 生きていたいと。 70 00:10:45,545 --> 00:10:50,884 今日のように 秀頼が諸大名を謁見するさまを➡ 71 00:10:50,884 --> 00:10:55,588 この目で見て死にたかったと…。 72 00:10:58,558 --> 00:11:03,163 殿下が…。 73 00:11:03,163 --> 00:11:09,502 天が 殿下を裁く。 74 00:11:09,502 --> 00:11:13,206 余人の手出しは 無用だ。 75 00:11:19,512 --> 00:11:28,521 殿下も 既に 己が死期は悟っておられる。 76 00:11:28,521 --> 00:11:32,192 こなたに会いたいと仰せになったのも➡ 77 00:11:32,192 --> 00:11:38,531 今は ただ 懐かしさからだ。 78 00:11:38,531 --> 00:11:44,871 助左衛門 こなたも 殿下には 積年の恨みがあろう。 79 00:11:44,871 --> 00:11:48,207 会えば 訴えたいことが 山と積もっておろう。 80 00:11:48,207 --> 00:11:52,078 しかし その相手も 今は もう➡ 81 00:11:52,078 --> 00:11:58,551 一夏で 現世より 消え去ってゆくお方なのだ。 82 00:11:58,551 --> 00:12:05,558 恩讐を越えて いとま乞いをする 気持ちにはなれぬものか…。 83 00:12:08,161 --> 00:12:31,184 ♬~ 84 00:12:31,184 --> 00:12:39,525 …不思議なものでございますな。 85 00:12:39,525 --> 00:12:54,540 殿下のことが 急に 懐かしく思い返されました。 86 00:12:54,540 --> 00:13:01,547 なんと 久しぶりの気持ちであろう…。 87 00:13:04,350 --> 00:13:10,490 殿下のことを懐かしく思い返したのは…。 88 00:13:10,490 --> 00:13:46,859 ♬~ 89 00:13:46,859 --> 00:13:54,734 お菓子は ありがたく頂戴いたしました。 90 00:13:54,734 --> 00:14:01,374 お礼に伺候いたしたいと存じます。 91 00:14:01,374 --> 00:14:06,679 伏見には 手前が同道いたす。 92 00:14:10,083 --> 00:14:16,089 よろしくお願い申し上げます。 93 00:14:24,497 --> 00:14:29,802 納屋助左衛門 召し連れましてございます。 94 00:17:19,138 --> 00:17:29,148  心の声 「追放 命ず。 太閤」。 95 00:17:29,148 --> 00:18:39,452 ♬~ 96 00:18:41,153 --> 00:18:44,490 <堺の商人 納屋助左衛門➡ 97 00:18:44,490 --> 00:18:47,159 公儀に対し 不届きの儀あり➡ 98 00:18:47,159 --> 00:18:53,499 よって 家財没収の上 呂宋に追放を命ず。➡ 99 00:18:53,499 --> 00:18:57,837 時に 慶長3年7月> 100 00:18:57,837 --> 00:19:36,542 ♬~ 101 00:19:47,486 --> 00:19:51,190 (信助)助左衛門。 出よ。 102 00:20:20,853 --> 00:20:22,855 (信助)ほれ。 103 00:20:25,524 --> 00:20:27,827 あれを…。 104 00:20:39,538 --> 00:20:41,474 あれは? 105 00:20:41,474 --> 00:20:45,878 この奉行船についてきている 今井の船団だ。 106 00:20:45,878 --> 00:20:48,214 今井様の? 107 00:20:48,214 --> 00:20:52,551 積み荷は 皆 ぬしのものである。 108 00:20:52,551 --> 00:21:15,508 ♬~ 109 00:21:15,508 --> 00:21:18,844 お奉行の計らいじゃ。 ふん! 110 00:21:18,844 --> 00:21:43,836 ♬~ 111 00:21:49,542 --> 00:21:52,845 まずは 首尾よう。 112 00:22:00,820 --> 00:22:05,157 お指図に従い 助左衛門殿のあらかたの財産➡ 113 00:22:05,157 --> 00:22:10,830 今井船の交易品に紛れ込ませて 後を追わせましてございます。 114 00:22:10,830 --> 00:22:13,165 ご苦労でござった。 115 00:22:13,165 --> 00:22:17,036 お礼は 私どもの方が申さねばなりません。 116 00:22:17,036 --> 00:22:20,506 流罪の先も ほかならぬ呂宋。 117 00:22:20,506 --> 00:22:23,842 その上に あれだけの財産があれば➡ 118 00:22:23,842 --> 00:22:28,714 助左衛門殿も 路頭に迷われることはございますまい。 119 00:22:28,714 --> 00:22:31,517 治部様のお心遣い➡ 120 00:22:31,517 --> 00:22:37,189 助左衛門殿に成り代わって お礼を申し上げます。 121 00:22:37,189 --> 00:22:45,531 時に 美緒殿は 確か 助左衛門とは 幼なじみであったと言われたな。 122 00:22:45,531 --> 00:22:53,205 はい。 互いに 童の頃より 知り合うた仲でございました…。 123 00:22:53,205 --> 00:22:55,140 何か? 124 00:22:55,140 --> 00:22:57,843 いや…。 125 00:22:59,545 --> 00:23:04,383 永遠の別れになるやもしれぬ この度の船出➡ 126 00:23:04,383 --> 00:23:08,354 送る方も 送らるる方にも➡ 127 00:23:08,354 --> 00:23:12,124 人には言えぬ つらい思いがあったのではないかと➡ 128 00:23:12,124 --> 00:23:14,493 ふと思うてな…。 129 00:23:14,493 --> 00:23:17,830 それは 身が裂けるほどに…。 130 00:23:17,830 --> 00:23:23,836 これは… 事もなげに言わるるか。 131 00:23:32,845 --> 00:23:41,854 たとえ 永遠の別れになろうとも 堺を守る志は 一つ…。 132 00:23:41,854 --> 00:23:46,525 堺に生まれ 堺に育った男と女の結び付きは➡ 133 00:23:46,525 --> 00:23:52,197 姿が消え 声が届かなくなっても 決して切れることはないと…➡ 134 00:23:52,197 --> 00:23:57,069 己にも言い聞かせております。 135 00:23:57,069 --> 00:24:05,377 今までも 何度となく そう言い聞かせてまいりました。 136 00:24:16,822 --> 00:24:20,159 <慶長3年7月。➡ 137 00:24:20,159 --> 00:24:25,497 豊臣家の前途と 世継ぎ 秀頼の将来を憂慮する秀吉は➡ 138 00:24:25,497 --> 00:24:31,370 伏見の病床より 新たなる法規遺令を発する。➡ 139 00:24:31,370 --> 00:24:35,841 五大老と五奉行の制度が制定されたのは➡ 140 00:24:35,841 --> 00:24:37,843 この月であった> 141 00:24:39,511 --> 00:24:42,181 <五奉行に任命されたのは➡ 142 00:24:42,181 --> 00:24:47,052 浅野長政 前田玄以 長束正家➡ 143 00:24:47,052 --> 00:24:51,357 増田長盛と石田三成> 144 00:24:55,527 --> 00:25:03,335 <五大老には 関東6か国 270万石の大名 徳川家康を筆頭に➡ 145 00:25:03,335 --> 00:25:08,474 加賀 能登 越中 100万石の前田利家➡ 146 00:25:08,474 --> 00:25:13,345 備前 美作 57万石の宇喜多秀家➡ 147 00:25:13,345 --> 00:25:19,118 中国地方7か国 150万石を領する 毛利輝元➡ 148 00:25:19,118 --> 00:25:25,024 奥州 会津 130万石の上杉景勝。➡ 149 00:25:25,024 --> 00:25:31,330 これら5人の大名たちが 秀吉の病床に 顔を並べた> 150 00:25:33,165 --> 00:25:54,153 (鉄を打つ音) 151 00:26:04,129 --> 00:26:10,803 (宗薫)堺の鉄砲 弾薬は 一丁残らず この今井が押さえてございます。 152 00:26:10,803 --> 00:26:13,472 治部少輔様などには渡しませぬ。 153 00:26:13,472 --> 00:26:17,342 (家康)うん。 宗薫。 はい。 154 00:26:17,342 --> 00:26:21,146 江戸に移ってこぬか。 江戸へ? 155 00:26:21,146 --> 00:26:23,449 いずれさ。 156 00:26:25,484 --> 00:26:29,154 江戸で 手前に何をせよと…。 157 00:26:29,154 --> 00:26:32,825 商いに決まっておるよ。 158 00:26:32,825 --> 00:26:39,164 江戸は 潮入りの葦原ばかりの土地と 聞いておりまするが…。 159 00:26:39,164 --> 00:26:43,035 それは わしが 江戸に移封を命ぜられた頃の話だ。 160 00:26:43,035 --> 00:26:45,838 今の江戸は違う。 161 00:26:45,838 --> 00:26:52,511 丘の土をならし 谷をうずめ 水よけの土居を築き➡ 162 00:26:52,511 --> 00:26:56,849 葦原には 船入りの川を開いた。 163 00:26:56,849 --> 00:27:00,719 武蔵野ケ原も おいおい開墾し➡ 164 00:27:00,719 --> 00:27:05,123 田畑も 8年前に比べて 十層倍にはなったであろう。 165 00:27:05,123 --> 00:27:10,129 あとは 人手だ。 江戸に 人を集めたい。 166 00:27:11,797 --> 00:27:16,468 大坂を潰しておしまいになることです。 167 00:27:16,468 --> 00:27:24,476 大坂の関を切り崩せば 西のものは 一挙に 東に流れ込むでしょう。 168 00:27:26,145 --> 00:27:29,815 しばらく わしも 伏見にとどまる。 169 00:27:29,815 --> 00:27:34,152 堺のこと こなたに任したぞ。 170 00:27:34,152 --> 00:27:37,055 来年の春が待ち遠しゅうございます。 171 00:27:37,055 --> 00:27:43,161 長い坂道を 重荷を背負うて歩いているのだ。 172 00:27:43,161 --> 00:27:46,165 急ぐまいぞ 宗薫。 173 00:28:09,788 --> 00:28:17,663 (秀吉)「秀頼事 成りたち候ように➡ 174 00:28:17,663 --> 00:28:26,338 この書付の衆として 頼み申し候。➡ 175 00:28:26,338 --> 00:28:37,349 何事も このほかには 思い残すことなく候」…。 176 00:28:55,167 --> 00:29:04,776 (秀吉)「返す返す 秀頼事 頼み申し候。➡ 177 00:29:04,776 --> 00:29:12,651 五人の衆 頼み申し上げ候。➡ 178 00:29:12,651 --> 00:29:18,323 頼み申し上げ候。➡ 179 00:29:18,323 --> 00:29:30,002 委細 五人の者に申し渡し候。➡ 180 00:29:30,002 --> 00:29:40,012 な… 名残惜しく候」。 181 00:29:42,481 --> 00:29:47,352 <死に神は 秀吉が この遺書をしたためてから➡ 182 00:29:47,352 --> 00:29:51,056 13日後に訪れる> 183 00:29:54,092 --> 00:29:59,831 <その日 慶長3年8月18日。➡ 184 00:29:59,831 --> 00:30:05,137 助左衛門は マニラ市郊外のディラオにいた> 185 00:30:30,529 --> 00:30:35,233 ディラオの日本町は とうとう消えてしまった。 186 00:30:36,868 --> 00:30:41,206 まず 日本町を再建しなければ。 187 00:30:41,206 --> 00:30:47,546 呂宋の奥地に散っていった人々を 一人ずつ呼び戻すんだ。 188 00:30:47,546 --> 00:30:49,481 このディラオの地に。 189 00:30:49,481 --> 00:30:54,219 堺の町をつくるのですね。 呂宋の堺を。 190 00:30:54,219 --> 00:30:59,891 そうだとも。 呂宋にも 堺の町をつくるんだ。 191 00:30:59,891 --> 00:31:03,762 そのうち 大勢のキリシタンたちが 日本を逃げ出してきます。 192 00:31:03,762 --> 00:31:07,699 私の母と高山右近様が組んで 仕立てた逃亡船で。 193 00:31:07,699 --> 00:31:13,438 その人々も加えて みんなで一緒に つくり上げよう。 194 00:31:13,438 --> 00:31:18,377 昔の堺のように 自由で 活気のある町を。 195 00:31:18,377 --> 00:31:20,379 はい! 196 00:31:26,051 --> 00:31:31,189 船着き場には 遙明台も つくろうか。 197 00:31:31,189 --> 00:31:34,860 その時には お仙も呼んでやろう。 198 00:31:34,860 --> 00:31:38,196 母も呼んでやってください。 199 00:31:38,196 --> 00:31:42,534 母も 己に忠実に生きてゆけばいい。 200 00:31:42,534 --> 00:31:44,870 母は 呂宋へ来たかったのです。 201 00:31:44,870 --> 00:31:47,873 母の夢を かなえてやってください。 202 00:31:51,209 --> 00:31:57,916 ぬしの母上は 恐らく 堺に残られるであろう。 203 00:31:59,551 --> 00:32:05,857 キリシタンの逃亡船を 日本から送り出すために。 204 00:32:07,359 --> 00:32:09,828 (弥次郎)船長。➡ 205 00:32:09,828 --> 00:32:13,698 やっぱり 見張りは立てましょう。 どうも心配だ。 206 00:32:13,698 --> 00:32:16,168 どうしてだ? 207 00:32:16,168 --> 00:32:19,838 マニラの港に 原田船が入っている。 208 00:32:19,838 --> 00:32:23,175 原田喜右衛門が マニラに!? いや それは知っているが➡ 209 00:32:23,175 --> 00:32:26,845 やつらは わしらの所在を知らぬはずだ。 分かったもんじゃありません。 210 00:32:26,845 --> 00:32:31,716 相手は 船長の首に 銀5貫の賞金まで懸けてる野郎ですぜ。 211 00:32:31,716 --> 00:32:34,519 いっそ こっちから 攻めだしてやろうか。 よせよせ。 212 00:32:34,519 --> 00:32:37,422 異国での日本人同士のいざこざは もう たくさんだ。 213 00:32:37,422 --> 00:32:40,859 わざわざ パシグ川を上ってくるとは 思われないが➡ 214 00:32:40,859 --> 00:32:43,762 しっかり見張りを頼む。 はい。 215 00:32:43,762 --> 00:32:46,531 船長を守ってろよ。 はい。 216 00:32:46,531 --> 00:32:52,237 ⚟(銃声) ⚟(水夫たち)盗賊だ~! 盗賊だ~! 217 00:33:06,017 --> 00:33:08,720 殺すな! 生け捕りにしろ! 218 00:33:14,159 --> 00:33:16,461 殺すな~! 生け捕りにしろ! 219 00:33:46,091 --> 00:33:48,093 ええいっ! 220 00:34:18,023 --> 00:34:20,025 女です。 221 00:34:26,731 --> 00:34:30,735 ほかの仲間は 皆 捕まったぞ。 222 00:34:35,173 --> 00:34:38,076 (短剣を捨てる音) 223 00:34:38,076 --> 00:34:41,079 ぬしらは 何者だ。 224 00:34:42,847 --> 00:34:46,184 タガログ人か? 225 00:34:46,184 --> 00:34:51,189 日本語を解するようだな。 日本人か? 226 00:34:52,857 --> 00:34:55,760 日本語を解して 日本人じゃない。 227 00:34:55,760 --> 00:34:59,197 タガログ人の格好をして タガログ人でない。 228 00:34:59,197 --> 00:35:03,802 答えよ。 どこの国の者だ。 229 00:35:03,802 --> 00:35:07,138 (ツル)フィリピン人。 230 00:35:07,138 --> 00:35:09,441 フィリピン人? 231 00:35:17,148 --> 00:35:20,151 何が欲しいというのだ? 232 00:35:23,021 --> 00:35:26,725 わしの命を 取りに来たのか? 233 00:35:28,493 --> 00:35:32,364 原田喜右衛門の 手の者か? 234 00:35:32,364 --> 00:35:37,502 うん? 原田を知っているようだな。 235 00:35:37,502 --> 00:35:41,172 原田に命じられて来たのか? 236 00:35:41,172 --> 00:35:46,044 (弥次郎)船長。 こいつら 鉄砲を盗みに来たと言ってます。 237 00:35:46,044 --> 00:35:48,513 ほかの仲間が白状しました。 238 00:35:48,513 --> 00:35:50,448 鉄砲を…。 239 00:35:50,448 --> 00:35:53,852 原田喜右衛門の船を襲撃するためだと 言っています。 240 00:35:53,852 --> 00:35:58,523 原田船には 銀と交換された タガログ人の奴隷たちが➡ 241 00:35:58,523 --> 00:36:01,426 詰め込まれているようです。 242 00:36:01,426 --> 00:36:05,130 まだ 人買いなどをやっておるのか きやつらめ! 243 00:36:05,130 --> 00:36:07,465 明日 天川へ運ばれていく仲間たちを➡ 244 00:36:07,465 --> 00:36:10,368 今夜のうちに 助け出しに行くつもりだったようです。 245 00:36:10,368 --> 00:36:16,374 その武器を手に入れるために この船に押し入ったというのか。 246 00:36:18,810 --> 00:36:23,148 夫や妻や兄弟が 売られていこうとしています! 247 00:36:23,148 --> 00:36:28,019 私の兄も イスパニア人から 原田の船に売り渡されました。 248 00:36:28,019 --> 00:36:30,488 今夜 助け出さなければ➡ 249 00:36:30,488 --> 00:36:33,158 もう二度と この世では会えません! 250 00:36:33,158 --> 00:37:16,167 ♬~ 251 00:37:22,474 --> 00:37:24,409 (タガログ語) 252 00:37:24,409 --> 00:37:26,344 (タガログ語で) 253 00:37:26,344 --> 00:37:32,650 (笑い声) 254 00:37:32,650 --> 00:37:38,823 (喜右衛門)動くな!(タガログ語) うん? まぬけ。 ばかが…。 255 00:37:38,823 --> 00:37:41,726 逃亡者は死罪だと決まっているところ➡ 256 00:37:41,726 --> 00:37:45,497 壺に命中したらば 命を助けてやるというのに…。 257 00:37:45,497 --> 00:37:50,368 動いたらば 狙いが狂うてしまうじゃろが。 (笑い声) 258 00:37:50,368 --> 00:37:53,171 ほら いくぞ。 259 00:37:53,171 --> 00:37:55,840 (青年)ツル~! 260 00:37:55,840 --> 00:38:01,112 つる? 今 つるって言ったな。 261 00:38:01,112 --> 00:38:05,784 つるってのは 鳥の鶴か? 262 00:38:05,784 --> 00:38:09,454 ええっ!? つるとは 何なんだ? 263 00:38:09,454 --> 00:38:11,789 わしの妹の名だ。 264 00:38:11,789 --> 00:38:15,660 日本語をしゃべった。 (笑い声) 265 00:38:15,660 --> 00:38:18,129 ぬしは 日本人か? 266 00:38:18,129 --> 00:38:20,798 いや タガログ人だ。 そうやろ? 267 00:38:20,798 --> 00:38:23,468 わしは フィリピン人だ。 268 00:38:23,468 --> 00:38:27,138 タガログ人か 日本人かと 尋ねとるとよ。 269 00:38:27,138 --> 00:38:29,073 わしは フィリピン人だ。 270 00:38:29,073 --> 00:38:31,809 そんな人種は この世にはない。 271 00:38:31,809 --> 00:38:36,147 ぬしは タガログ人か 日本人か。 どっちかで答えろ。 272 00:38:36,147 --> 00:38:39,484 わしは フィリピン人だ。 273 00:38:39,484 --> 00:38:43,488 命が惜しくなかと? 殺されても よかとか? 274 00:38:46,357 --> 00:38:50,829 わしは フィリピン人だ! 275 00:38:50,829 --> 00:38:53,731 日本人と言えば 命は助けてやる。 276 00:38:53,731 --> 00:38:55,700 (青年)わしは フィリピン人だ! 277 00:38:55,700 --> 00:38:58,169 日本人か! 278 00:38:58,169 --> 00:39:01,439 (青年)わしは フィリピン人だ! タガログ人か! 279 00:39:01,439 --> 00:39:03,775 わしは フィリピン人だ! 280 00:39:03,775 --> 00:39:06,678 日本人か! タガログ人か! 日本人か! タガログ人か! 281 00:39:06,678 --> 00:39:10,114 日本人か! タガログ人か! フィリピン人だ! 282 00:39:10,114 --> 00:39:12,116 (銃声) 283 00:39:15,453 --> 00:39:17,789 フィリピン人? 284 00:39:17,789 --> 00:39:21,793 そがん えたいの知れん者ば 生かしておけるか…。 285 00:39:29,400 --> 00:39:32,337 ツル…。 286 00:39:32,337 --> 00:39:38,810 ツルという名は 母者が付けてくだされたのか? 287 00:39:38,810 --> 00:39:45,683 そうか。 母者が日本人 父親がタガログ人。 288 00:39:45,683 --> 00:39:49,454 で フィリピン人というのは…。 289 00:39:49,454 --> 00:39:52,357 自分たちで付けた。 290 00:39:52,357 --> 00:39:54,659 自分たちで? 291 00:39:56,828 --> 00:40:03,501 そうか…。 ああ そうか。 292 00:40:03,501 --> 00:40:07,171 日本人でもない タガログ人でもない➡ 293 00:40:07,171 --> 00:40:12,510 イスパニア人でも 明国人でもない 新しい人々が➡ 294 00:40:12,510 --> 00:40:17,815 この呂宋島に わしらの知らぬ間に 生まれ育っていたんだ。 295 00:40:25,089 --> 00:40:29,861 小太郎 弥次郎。 296 00:40:29,861 --> 00:40:35,199 わしらも フィリピン人に一味しよう。 297 00:40:35,199 --> 00:40:37,135 (小太郎)船長! 298 00:40:37,135 --> 00:40:44,142 我らは これより 原田船を襲い フィリピン人を救出する。 299 00:40:47,545 --> 00:40:51,416 戦の用意だ! はい! 300 00:40:51,416 --> 00:41:04,429 ♬~ 301 00:41:07,498 --> 00:41:10,802 <その同じ夜…> 302 00:42:27,512 --> 00:43:10,088 ♬~ 303 00:43:10,088 --> 00:43:15,493 <この日 豊臣秀吉が死んだ> 304 00:43:15,493 --> 00:43:29,507 ♬~