1 00:00:05,606 --> 00:00:08,642 (万太郎)ここが 東京大学…。 2 00:00:08,642 --> 00:00:12,946 植物学を志して上京した万太郎。 3 00:00:12,946 --> 00:00:18,285 ついに 東京大学植物学教室の門をたたき…。 4 00:00:18,285 --> 00:00:20,220 (田邊)Good morning,gentlemen. 5 00:00:20,220 --> 00:00:23,156 (一同)おはようございます。 6 00:00:23,156 --> 00:00:26,026 ん~…。 Let’s see. 7 00:00:26,026 --> 00:00:30,330 初代教授 田邊と出会いました。 8 00:00:32,299 --> 00:00:39,806 ♬~ 9 00:00:39,806 --> 00:00:48,148 ♬「言葉足らずの愛を 愛を貴方へ」 10 00:00:48,148 --> 00:00:52,019 ♬「私は決して今を」 11 00:00:52,019 --> 00:00:57,157 ♬「今を憎んではいない」 12 00:00:57,157 --> 00:01:10,103 ♬「命ある日々 静かに誰かを 愛した日々」 13 00:01:10,103 --> 00:01:18,412 ♬「空が晴れたら 愛を、愛を伝えて」 14 00:01:18,412 --> 00:01:26,954 ♬「涙は明日の為 新しい花の種」 15 00:01:26,954 --> 00:01:31,425 ♬「空が晴れたら」 16 00:01:31,425 --> 00:01:35,629 ♬「逢いに、 逢いに来て欲しい」 17 00:01:35,629 --> 00:01:44,838 ♬「涙は枯れないわ 明日へと繋がる輪」 18 00:01:51,111 --> 00:01:57,818 Who are you? 君は 誰だね? 19 00:01:57,818 --> 00:02:01,688 あ… 私は 槙野万太郎と申します。 20 00:02:01,688 --> 00:02:05,559 田邊教授に お目にかかりとうて 土佐から参りました。 21 00:02:05,559 --> 00:02:09,262 あ… これ 紹介状ですき! 22 00:02:23,276 --> 00:02:29,149 野田さんは 君が熱意ある若者だと褒めている。 23 00:02:29,149 --> 00:02:34,287 「便宜を図ってやってほしい」とあるが…➡ 24 00:02:34,287 --> 00:02:36,289 君の「便宜」とは? 25 00:02:36,289 --> 00:02:39,426 (英語で) 26 00:02:39,426 --> 00:02:43,430 あ… いや… わしは その…。 27 00:02:45,966 --> 00:02:51,304 え… どこから話したら えいか…。 28 00:02:51,304 --> 00:02:53,306 あっ…。 29 00:02:55,142 --> 00:02:58,445 土佐から 植物標本を持ってまいりました。 30 00:02:58,445 --> 00:03:02,315 今日 お持ちしたもんは 私が これまで集めてきた中で➡ 31 00:03:02,315 --> 00:03:04,584 特に 珍しいと思うもんです。 32 00:03:04,584 --> 00:03:10,257 こちらをご覧いただけたら 私のことをお分かりいただけるかと。 33 00:03:10,257 --> 00:03:15,762 私に 君を理解してもらいたい? はい。 34 00:03:15,762 --> 00:03:18,598 (徳永)教授 時間の無駄です。 彼の相手は 私が。➡ 35 00:03:18,598 --> 00:03:21,635 総会の資料が届いておりますので 目を通してください。 36 00:03:21,635 --> 00:03:23,770 (細田)教授 私も質問があるんです。 37 00:03:23,770 --> 00:03:26,773 待ってください! 少しでも これを…。 38 00:03:29,276 --> 00:03:31,778 えっ? (大窪)押し売りは やめたまえ! 39 00:03:31,778 --> 00:03:33,814 えっ? お… 押し売り!? 40 00:03:33,814 --> 00:03:35,949 (大窪)珍しい標本とかたり 売りつける気だろう? 41 00:03:35,949 --> 00:03:38,985 いやいやいや… 違います! これは… これは わしのもんです…! 42 00:03:38,985 --> 00:03:42,689 だったら なおさらだ! なぜ 君のものを 教授が見なくてはならない? 43 00:03:44,424 --> 00:03:48,128 それは… 珍しいもんですき。 44 00:03:48,128 --> 00:03:50,130 ハッ! 45 00:03:51,798 --> 00:03:55,302 珍しいとは 誰が判断した? 46 00:03:55,302 --> 00:03:57,237 私が 判断いたしました。 47 00:03:57,237 --> 00:04:00,907 悪いが 君の名は聞いたこともない。 君の師は 誰だ? 48 00:04:00,907 --> 00:04:06,246 佐川では 池田蘭光先生… そして 去年 一度 上京した際に➡ 49 00:04:06,246 --> 00:04:10,750 博物館の野田先生 里中先生に 教わりました。 50 00:04:10,750 --> 00:04:14,588 去年 一度? 去年 一度…。 51 00:04:14,588 --> 00:04:19,092 その… 佐川の池田先生という方には いつまで師事を? 52 00:04:19,092 --> 00:04:22,129 12歳まで。 そのあとは? 53 00:04:22,129 --> 00:04:28,268 誰にも。 わしは 小学校も中退しちょりますき。 54 00:04:28,268 --> 00:04:32,105 (笑い声) 55 00:04:32,105 --> 00:04:36,977 ほ… ほんじゃけんど! 本は 読んでまいりました。 56 00:04:36,977 --> 00:04:39,980 あらゆる書物が わしの先生ですき。 57 00:04:39,980 --> 00:04:44,818 (柴)そうか。 偉いな! (笑い声) 58 00:04:44,818 --> 00:04:49,523 あのなあ 小学校中退の君が 珍しいと持ってきたものを➡ 59 00:04:49,523 --> 00:04:52,292 なぜ教授が見なくちゃならない? 60 00:04:52,292 --> 00:04:57,164 いいか? 教授と話したければ 順序というものがある。 61 00:04:57,164 --> 00:05:02,569 まず 中学を出て 東京大学予備門を受験。 予備門を卒業してから➡ 62 00:05:02,569 --> 00:05:05,605 改めて 東京大学に入学してきなさい。 63 00:05:05,605 --> 00:05:08,909 あ… そんな遠回りは できませんき。 64 00:05:08,909 --> 00:05:13,380 (藤丸)でも 俺たちは その遠回りをして ここにいますよ。 65 00:05:13,380 --> 00:05:17,384 (波多野) 無論 進学できなかったやつも います。 66 00:05:20,754 --> 00:05:22,789 (田邊)OK. 67 00:05:22,789 --> 00:05:24,791 「土佐から来た」と言ったね? 68 00:05:26,560 --> 00:05:29,930 はい。 69 00:05:29,930 --> 00:05:33,400 よろしい。 中身を見よう。 教授! 70 00:05:33,400 --> 00:05:38,772 私は 土佐の人には ちょっとした恩義があってね。 71 00:05:38,772 --> 00:05:40,774 (英語で) 72 00:05:54,120 --> 00:05:58,992 ほんなら 結構ですき。 73 00:05:58,992 --> 00:06:00,994 (英語で) 74 00:06:09,569 --> 00:06:13,740 確かに わしは 小学校も出ちゃあせん。 75 00:06:13,740 --> 00:06:19,079 けんど 子供の頃から 植物が好きゆう気持ちは➡ 76 00:06:19,079 --> 00:06:25,852 誰にも… あなた方にも引けはとらん! 77 00:06:25,852 --> 00:06:29,356 土佐の野山が わしの血肉じゃ! 78 00:06:32,392 --> 00:06:36,763 わしは この国の植物学のことは➡ 79 00:06:36,763 --> 00:06:40,634 いつまでも外国のお人らに 任せちゃあおれん。 80 00:06:40,634 --> 00:06:47,474 日本人の手で この国の植物を 全て明らかにしたいと思うちょります。 81 00:06:47,474 --> 00:06:52,946 その第一歩として まずは ふるさと 土佐の植物を採集し➡ 82 00:06:52,946 --> 00:06:56,416 植物相… floraを完成させました。 83 00:06:56,416 --> 00:07:02,555 今日は その 土佐植物目録を持参したがです。 84 00:07:02,555 --> 00:07:06,226 植物目録? そして こっちは➡ 85 00:07:06,226 --> 00:07:09,729 どんなに調べても分からんかった➡ 86 00:07:09,729 --> 00:07:12,365 新種かもしれん植物です。 87 00:07:12,365 --> 00:07:15,902 新種? フッ…。 88 00:07:15,902 --> 00:07:20,740 植物学に尽くしたいゆう思い➡ 89 00:07:20,740 --> 00:07:25,078 この思いに 偽りはありません。 90 00:07:25,078 --> 00:07:28,114 これが 証しです。 91 00:07:28,114 --> 00:07:31,418 どうぞ 見ちゃってください。 92 00:07:36,690 --> 00:07:38,992 (藤丸)うわ~! 93 00:07:42,095 --> 00:07:44,931 何だ? これは。 見たことがない! 94 00:07:44,931 --> 00:07:48,601 これは… ムラサキシキブに似てるが…。 95 00:07:48,601 --> 00:07:52,772 (飯島)いや 別物だ。 シキブじゃない。 これは 何だ? 96 00:07:52,772 --> 00:07:58,478 そして これが 土佐植物目録ですき。 97 00:08:07,420 --> 00:08:13,093 これだけ知るとは 君の言葉に嘘はないな。 98 00:08:13,093 --> 00:08:17,731 この国で手に入る植物の本は あらかた読んできたか。 99 00:08:17,731 --> 00:08:22,569 はい。 一字残らず 書き写してきましたき。 100 00:08:22,569 --> 00:08:25,572 (藤丸)うげえ…。 見せてください! 101 00:08:29,075 --> 00:08:34,581 教授 私は 今日お持ちした こちらの標本とは別に➡ 102 00:08:34,581 --> 00:08:39,252 今まで 土佐で集めてきた およそ500種類の標本を➡ 103 00:08:39,252 --> 00:08:41,254 東京に持ってまいりました。 104 00:08:41,254 --> 00:08:43,256 (一同)500!? 105 00:08:43,256 --> 00:08:49,396 この教室には 植物標本が 3,000種類以上あると伺いました。 106 00:08:49,396 --> 00:08:53,600 その標本を見せてもらえるがやったら わしの持ってきた標本も➡ 107 00:08:53,600 --> 00:08:57,103 何もんか 検定できるはずです。 108 00:08:57,103 --> 00:09:01,074 それでも分からんかったら その時こそ…。 109 00:09:01,074 --> 00:09:03,276 新種ですね! 110 00:09:04,911 --> 00:09:11,217 そちらの標本と 私の標本 突き合わせたら きっと分かることもあるはずです。 111 00:09:11,217 --> 00:09:16,723 どうか 私に 標本を見せてもらえんでしょうか? 112 00:09:18,358 --> 00:09:20,293 いや… 3,000以上あると言っても➡ 113 00:09:20,293 --> 00:09:22,562 うちだって 検定できていない標本は たくさんある。 114 00:09:22,562 --> 00:09:25,598 ほんなら そちらの標本で分からんもんがあったら➡ 115 00:09:25,598 --> 00:09:28,234 私が突き止めます。 116 00:09:28,234 --> 00:09:32,238 自分の標本を検定するついでですき 苦労は ありません。 117 00:09:32,238 --> 00:09:34,574 助かる! 先輩! 118 00:09:34,574 --> 00:09:38,244 作業は 彼に任せ 自分の研究に打ち込める…。 119 00:09:38,244 --> 00:09:42,949 そうです! 僕たちが講義を受けてる間も 作業してもらえたら…! 120 00:09:48,888 --> 00:09:50,824 (机をたたく音) 121 00:09:50,824 --> 00:09:55,662 こちらの標本も検定するから 自分を出入りさせろ? 122 00:09:55,662 --> 00:09:59,866 小学校中退の分際で 交換条件を持ちかけるのか…。 123 00:10:01,468 --> 00:10:03,937 あさましい! 124 00:10:03,937 --> 00:10:08,408 諸君に 問う。 ここは どこだ? 125 00:10:08,408 --> 00:10:10,944 東京大学! 126 00:10:10,944 --> 00:10:16,616 ここへ通う者は 日本各地から 将来を期待され 送り出された者ばかり! 127 00:10:16,616 --> 00:10:22,789 ここは 我が国最高の学府であると同時に 国家の機関である! 128 00:10:22,789 --> 00:10:26,960 交換条件なぞ はなから成り立たん。 129 00:10:26,960 --> 00:10:28,895 お引き取りを。 えっ? あ… 待ってください…! 130 00:10:28,895 --> 00:10:33,700 そうだな! 成り立たん。 131 00:10:39,539 --> 00:10:45,812 交換条件なぞ 確かに成り立たん。 132 00:10:45,812 --> 00:10:50,517 そんなものは なくても こちらは 折れざるをえまい。 133 00:11:00,159 --> 00:11:02,128 四国は温暖で 雨も多い。 134 00:11:02,128 --> 00:11:05,398 植生も多彩だろう。 135 00:11:05,398 --> 00:11:11,771 君が この教室に持ち込む標本は 私たちにとっても 大いに値打ちがある。 136 00:11:11,771 --> 00:11:20,413 西日本 九州 奄美… 今後の植物採集の足がかりとなるだろう。 137 00:11:20,413 --> 00:11:24,117 教授… すると 彼の出入りを許すということですか? 138 00:11:24,117 --> 00:11:27,954 ありえません。 出入りを許せば 大学の権威が揺らぎます! 139 00:11:27,954 --> 00:11:35,128 徳永君 君は 本当に旧幕時代の化石だね。 さっさと留学しておいで。 140 00:11:35,128 --> 00:11:40,300 チッ… ったく! 確かに 彼は 本学の学生ではない。 141 00:11:40,300 --> 00:11:46,806 だが 今 植物学教室における核心は 一つだ。 142 00:11:46,806 --> 00:11:49,442 東京大学開学から5年。 143 00:11:49,442 --> 00:11:55,815 理学部の15名の教授のうち 日本人は 私も含め たったの3名しかいない。 144 00:11:55,815 --> 00:11:58,718 これが 今の日本だ。 145 00:11:58,718 --> 00:12:04,390 実際に この教室も コーネル大学の足元にも及ばない。 146 00:12:04,390 --> 00:12:12,098 日本では 植物学教室を始める以前に 標本の数が あまりにも少なすぎるのだ。 147 00:12:12,098 --> 00:12:17,604 うん…。 ほんじゃき 日本人は 日本の植物を知るために➡ 148 00:12:17,604 --> 00:12:21,274 ロシアのマキシモヴィッチ博士に 植物を送りゆう。 149 00:12:21,274 --> 00:12:29,415 ああ。 権威をかざして 門を閉ざすより もっと重要なことがある。 150 00:12:29,415 --> 00:12:34,721 一刻も早く 充実した研究の場を作り出すこと。 151 00:12:36,789 --> 00:12:39,292 今 この時 この場において➡ 152 00:12:39,292 --> 00:12:47,433 更に言えば 植物学教室 初代教授である 私という人間において…。 153 00:12:47,433 --> 00:12:58,177 You see,at the heart of the matter, only one thing is important. 154 00:12:58,177 --> 00:13:02,181 「核心は ただ一つ」…。 155 00:13:04,384 --> 00:13:06,886 Mr.MAKINO. 156 00:13:11,591 --> 00:13:13,793 あ…。 157 00:13:20,299 --> 00:13:23,936 君を歓迎する。 158 00:13:23,936 --> 00:13:27,407 あ… きょ きょ… 教授! えっ…。 159 00:13:27,407 --> 00:13:29,942 本館へ行ってまいります! あ…。 160 00:13:29,942 --> 00:13:32,145 私も行きます。 161 00:13:33,780 --> 00:13:35,782 ありがとうございます! (田邊)うん。 162 00:13:38,418 --> 00:13:41,287 はあ…。 163 00:13:41,287 --> 00:13:44,957 なにが 化石… なにが 留学しておいで…。 164 00:13:44,957 --> 00:13:48,294 徳永さんの意見に 賛同します。 徳永さんは 何一つ 間違っておりません。 165 00:13:48,294 --> 00:13:52,298 外国かぶれが。 やつは小学校中退だぞ! ありえんだろうが! 166 00:13:52,298 --> 00:13:54,434 そのとおりです! 教授には ついていけません! 167 00:13:54,434 --> 00:13:58,438 ここは 東京大学なんだぞ~! 168 00:14:02,909 --> 00:14:05,244 あいつは きっと 火種になる。 169 00:14:05,244 --> 00:14:17,757 ♬~ 170 00:14:17,757 --> 00:14:20,093 どうぞ。 171 00:14:20,093 --> 00:14:22,762 あ…。 172 00:14:22,762 --> 00:14:28,101 この時 日本の植物学は まだ黎明期でした。 173 00:14:28,101 --> 00:14:37,610 万太郎は 特別に 東京大学の植物学教室に 出入りを許されることになったのです。 174 00:14:37,610 --> 00:14:42,415 皆さん よろしゅうお願いいたします! 175 00:14:42,415 --> 00:14:55,228 ♬~