1 00:00:02,603 --> 00:00:05,939 (寿恵子)石版印刷機を買うことは できませんでしょうか? 2 00:00:05,939 --> 00:00:09,810 (イチ)えっ!? (大畑)えっ?(万太郎)えっ? 買う!? 3 00:00:09,810 --> 00:00:14,414 私 本気です。 4 00:00:14,414 --> 00:00:20,120 だって どこを どう考えても これが 一番 理にかなってるんです! 5 00:00:20,120 --> 00:00:23,023 万太郎さん 1冊目を出したあとも➡ 6 00:00:23,023 --> 00:00:25,425 続けて出していかれるんでしょう? はい。 7 00:00:25,425 --> 00:00:29,296 しかも 本を出す速さも 大事なんでしょう? 8 00:00:29,296 --> 00:00:36,970 それに うちに印刷機があれば 研究も印刷も その場で できます。 9 00:00:36,970 --> 00:00:41,842 体は 楽になりますし 少しでも時間ができれば➡ 10 00:00:41,842 --> 00:00:47,314 その分 ちょっとでも 眠れると思うんです。 11 00:00:47,314 --> 00:00:51,985 身の丈に合わない買い物なのは 分かります。 12 00:00:51,985 --> 00:00:56,456 でも 私…。 わしも…! 13 00:00:56,456 --> 00:01:01,962 わしも… 欲しい。 14 00:01:03,597 --> 00:01:07,467 いつでも好きな時に使える 印刷機があったら➡ 15 00:01:07,467 --> 00:01:10,771 うちで集中して 下絵を描いて➡ 16 00:01:10,771 --> 00:01:15,609 そのまんまの筆遣いで 石版にも描ける。 17 00:01:15,609 --> 00:01:17,945 けんど その…➡ 18 00:01:17,945 --> 00:01:22,282 ドイツから 石版印刷機を 持ってこんといかんがですよね? 19 00:01:22,282 --> 00:01:27,788 あっ いや… 少し前から 国産の印刷機が出てきたよ。 20 00:01:27,788 --> 00:01:30,824 えっ!? では 国産の印刷機を買うことも? 21 00:01:30,824 --> 00:01:35,963 あ~ だが いまだに… んん… 石は 外国から取り寄せてる。 22 00:01:35,963 --> 00:01:44,304 あ~ 石版印刷というのは 印刷機械よりも石の方が大事なんだよ。 23 00:01:44,304 --> 00:01:48,141 ああ… でも 石があれでも 印刷機があれなら➡ 24 00:01:48,141 --> 00:01:52,012 うちが買った時より あれなんだろう? お前 「あれあれあれ」って 何だよ! 25 00:01:52,012 --> 00:01:55,015 今は いくらで買えるがですか? 26 00:01:55,015 --> 00:02:01,088 あ~… 国産っつっても え~ 石も合わせれば➡ 27 00:02:01,088 --> 00:02:05,592 う~… 1,000円は見とかなきゃいけねえな。 28 00:02:08,395 --> 00:02:11,098 1,000円…。 (大畑)ああ。 29 00:02:17,604 --> 00:02:21,108 出せます。 (大畑 イチ)えっ!? 30 00:02:21,108 --> 00:02:25,278 峰屋が 万太郎さんのために 持たせてくださったお金が➡ 31 00:02:25,278 --> 00:02:27,280 1,000円 あるんです。 32 00:02:27,280 --> 00:02:31,785 でもねえ 所帯持ったばっかりだろう? これから先 何かとね…。 33 00:02:31,785 --> 00:02:33,720 黙ってろよ! 34 00:02:33,720 --> 00:02:38,291 このお金を使えば もう後はなくなります。 35 00:02:38,291 --> 00:02:44,631 これから先 きっと とても苦しくなる。 36 00:02:44,631 --> 00:02:50,437 でも 今 万太郎さんに 入り用なら…! 37 00:02:53,640 --> 00:02:57,444 ハァ… ハァ…。 38 00:02:59,980 --> 00:03:07,254 ♬~ 39 00:03:07,254 --> 00:03:15,595 ♬「言葉足らずの愛を 愛を貴方へ」 40 00:03:15,595 --> 00:03:19,466 ♬「私は決して今を」 41 00:03:19,466 --> 00:03:24,938 ♬「今を憎んではいない」 42 00:03:24,938 --> 00:03:37,517 ♬「命ある日々 静かに誰かを 愛した日々」 43 00:03:37,517 --> 00:03:46,226 ♬「空が晴れたら 愛を、愛を伝えて」 44 00:03:46,226 --> 00:03:54,801 ♬「涙は明日の為 新しい花の種」 45 00:03:54,801 --> 00:03:59,139 ♬「空が晴れたら」 46 00:03:59,139 --> 00:04:03,110 ♬「逢いに、 逢いに来て欲しい」 47 00:04:03,110 --> 00:04:12,119 ♬「涙は枯れないわ 明日へと繋がる輪」 48 00:04:14,087 --> 00:04:16,757 (りん)ええ~っ!? 49 00:04:16,757 --> 00:04:20,927 ちょ… ちょ… 待っとくれよ。 壁を ぶち抜く? 50 00:04:20,927 --> 00:04:27,701 その 印刷の仕事をするには まあ 水場が近い方が 何かと助かります。 51 00:04:27,701 --> 00:04:31,404 ここを戸にしたら 井戸端と近くなりますき。 52 00:04:31,404 --> 00:04:35,108 ここに 石版印刷機を置きたいがです。 53 00:04:35,108 --> 00:04:38,145 印刷機 一畳分ほどの大きさなんです。 54 00:04:38,145 --> 00:04:41,615 あの 研究室に置きたいんですけど そうするとなると➡ 55 00:04:41,615 --> 00:04:44,651 万太郎さんの標本や本が 入らなくなりそうで。 56 00:04:44,651 --> 00:04:50,123 それで 間の壁をぶち抜いて 2部屋を1部屋に? 57 00:04:50,123 --> 00:04:52,626 はい…。 58 00:04:52,626 --> 00:04:56,963 こんなとこだから 好きにしてもらって 構わないんだけどさ…。 59 00:04:56,963 --> 00:04:59,100 でもねえ…。 (丈之助)どうせ もう穴 開いてるでしょ? 60 00:04:59,100 --> 00:05:04,371 それでも ちょっとでも 壁があるってのが肝心なんだよ。 61 00:05:04,371 --> 00:05:09,910 万さんのタヌキの巣穴がさ どんどん どんどん どんど~ん広がっていって➡ 62 00:05:09,910 --> 00:05:12,379 2間 丸ごと タヌキ御殿になっちまうんだよ! 63 00:05:12,379 --> 00:05:15,081 (えい)想像しただけで イラッときます! 64 00:05:15,081 --> 00:05:17,384 片づけても片づけても 終わらないの。 65 00:05:17,384 --> 00:05:20,287 食べるとこと寝るとこは タヌキに来てほしくないですよ! 66 00:05:20,287 --> 00:05:23,590 それに こういうお人は 片づけるとね 文句言うしね! 67 00:05:23,590 --> 00:05:26,927 (えい) それ! 散らかす人が文句言うなってね! 68 00:05:26,927 --> 00:05:29,262 (倉木)ゴチャゴチャうるせえんだよ お前ら!➡ 69 00:05:29,262 --> 00:05:33,133 その印刷機 もう買っちまったんだろう? はい…。 70 00:05:33,133 --> 00:05:36,403 そんなら もう 四の五の言わずに これ ぶち抜くしかねえじゃねえかよ。 71 00:05:36,403 --> 00:05:41,775 あっ 待って…。 えっ? 石版印刷ってさ 確か 印刷機だけじゃないでしょ? 72 00:05:41,775 --> 00:05:44,277 砂とか要るんじゃなかったっけ? (2人)砂!? 73 00:05:44,277 --> 00:05:49,115 あ… はい。 その 石版を磨くのに 砂が必要ながです。 74 00:05:49,115 --> 00:05:54,287 嫌だよ~ 食べるとこに砂なんて…。 お布団も ジャリジャリ…。 嫌だ~。 75 00:05:54,287 --> 00:05:56,623 (倉木)だから うるせえっつってんだ! 76 00:05:56,623 --> 00:06:00,360 もう その砂は 磨く時に使うっつってんじゃねえかよ。 77 00:06:00,360 --> 00:06:06,900 なら その辺に 庇でも張り出して 砂置き場 作りゃあいいじゃねえか。 78 00:06:06,900 --> 00:06:11,571 あ~。 …で その庇の下に 砂置き場と洗い場。 79 00:06:11,571 --> 00:06:15,909 そしたら お前 雨の日でも働けるし 布団もジャリジャリしねえじゃねえかよ。 80 00:06:15,909 --> 00:06:19,779 あ… 倉木さん! (えい)あんた! 81 00:06:19,779 --> 00:06:22,782 (丈之助)兄貴~!アハハ…。 兄貴~! 82 00:06:22,782 --> 00:06:26,253 うるせえ! うるせえよ お前。 もう散れ! 散れ お前! 83 00:06:26,253 --> 00:06:28,588 兄貴~! (丈之助)兄貴~! 84 00:06:28,588 --> 00:06:32,392 庇を張り出す分 今のお家賃と もう一部屋分➡ 85 00:06:32,392 --> 00:06:34,327 お支払いするんで どうでしょう? 86 00:06:34,327 --> 00:06:39,099 いいのかい? こっちは もうありがたいけどさ…。 87 00:06:39,099 --> 00:06:41,034 みんなにも 話しとくしさ。 88 00:06:41,034 --> 00:06:47,407 1部屋50銭で 毎月3部屋で… 1円50銭だよ? 89 00:06:47,407 --> 00:06:50,610 はい! お願いします! 90 00:06:50,610 --> 00:06:52,646 (倉木)6尺 測れ。 (万太郎 丈之助)はい! 91 00:06:52,646 --> 00:06:55,415 もっと 張れ 張れ! (丈之助)張れ? はい! 92 00:06:55,415 --> 00:06:57,350 6尺。6尺。 はい! 93 00:06:57,350 --> 00:06:59,286 張れ。はい! 6尺。 94 00:06:59,286 --> 00:07:01,721 6尺。はい。 6尺!はい? 95 00:07:01,721 --> 00:07:04,224 えっ?6尺。 6尺 はい。 96 00:07:04,224 --> 00:07:08,728 あっ 福治さん! (福治)おお… 何事だい? 97 00:07:08,728 --> 00:07:12,599 身の丈に合わない買い物をしました。 98 00:07:12,599 --> 00:07:15,602 でも 福治さんが 教えてくださってたことも➡ 99 00:07:15,602 --> 00:07:19,439 よくよく分かってはいるんです。 100 00:07:19,439 --> 00:07:23,743 ごめんなさい。 とにかく やってみます。 101 00:07:23,743 --> 00:07:26,646 ああ… 何 謝んだよ。 俺なんか 別に…。 102 00:07:26,646 --> 00:07:29,916 そんなもの 2人がよければ それでいいんだからさ! 103 00:07:29,916 --> 00:07:32,118 ありがとうございます。 104 00:07:33,753 --> 00:07:35,789 ちょっと 何? うん? 105 00:07:35,789 --> 00:07:40,393 あんたも ぶっちゃったんでしょ? 「ぶっちゃった」って 何だよ? 106 00:07:40,393 --> 00:07:43,096 だから 人生の先輩ぶったんでしょ? 107 00:07:43,096 --> 00:07:45,598 何言ったか 教えてよ。 言ってねえ。 108 00:07:45,598 --> 00:07:48,101 (りん)ちょっと…! (福治)言ってねえぞ。 109 00:07:48,101 --> 00:07:52,405 (波多野)こんにちは! 万さん! ああ 波多野 藤丸~! 110 00:07:52,405 --> 00:07:55,608 (藤丸)標本 見に来たぞ。 アハハ…。 111 00:07:55,608 --> 00:07:58,411 あ… 大窪さん。 112 00:08:01,348 --> 00:08:05,218 どうぞ。 どうぞ。 どうも。 113 00:08:05,218 --> 00:08:07,721 どうぞ。 どうも…。 114 00:08:07,721 --> 00:08:11,224 槙野が お世話になっております。 あ…。 115 00:08:11,224 --> 00:08:14,427 では ごゆっくり。 116 00:08:16,096 --> 00:08:18,965 あっ すみません…。 あっ すみません…。失礼いたします。 117 00:08:18,965 --> 00:08:21,267 失礼いたします。 118 00:08:24,771 --> 00:08:27,374 何つう…。 ああ…。 119 00:08:27,374 --> 00:08:29,309 白梅堂の娘さんじゃ。 120 00:08:29,309 --> 00:08:32,245 ほら わし 大学で 菓子を よう買うてきよったろう? 121 00:08:32,245 --> 00:08:34,748 あのまんじゅうが!? くそっ…! 122 00:08:34,748 --> 00:08:37,784 万さんじゃなくて 俺が菓子を買いに行ってれば…! 123 00:08:37,784 --> 00:08:41,087 万さんも万さんだよ! 僕たちが せっせとお菓子を食べるから➡ 124 00:08:41,087 --> 00:08:43,923 そのお菓子屋に 何度も行けたんだろう? アハッ 確かに…。 125 00:08:43,923 --> 00:08:46,826 つまり 俺たちのおかげじゃないか! そうだよ。 126 00:08:46,826 --> 00:08:48,795 なあ? おいおい…! 俺たちのおかげだよ…。 127 00:08:48,795 --> 00:08:53,099 大窪さんは 初めて いらっしゃいましたのう。 128 00:08:53,099 --> 00:08:56,603 (大窪)お前は ずっと こんなところで…。 129 00:08:56,603 --> 00:09:03,043 アハハ 確かに 狭い部屋ですけんど わしにとったら えい部屋です。 130 00:09:03,043 --> 00:09:08,214 あっ 今度 ここに 石版印刷機が ドンと置きますき! 131 00:09:08,214 --> 00:09:11,518 ほんじゃき この壁を バンッと ぶち破って…。 132 00:09:18,358 --> 00:09:21,261 けしからん穴だな! 133 00:09:21,261 --> 00:09:24,230 この穴をなくすのは 情緒的に惜しい! ああ! 134 00:09:24,230 --> 00:09:26,900 まあ 狭い部屋ですけんど➡ 135 00:09:26,900 --> 00:09:30,737 ええ まあ 精いっぱい ええ やっております。 136 00:09:30,737 --> 00:09:34,073 幸せ者が! 精いっぱい… 何を? 137 00:09:34,073 --> 00:09:36,876 お… 大窪さん? 138 00:09:38,745 --> 00:09:41,047 標本を見せてくれ。 139 00:09:47,087 --> 00:09:50,757 (波多野)よく見つけてきたね! (藤丸)これ 一体 何だろう? 140 00:09:50,757 --> 00:09:56,096 この子は 新種じゃないかと…。 141 00:09:56,096 --> 00:09:58,398 大窪さんは 学会誌で 「まめづたらん」の原稿を➡ 142 00:09:58,398 --> 00:10:04,204 書かれちょりました。 その… どう… 思われます? 143 00:10:06,940 --> 00:10:09,776 槙野。 はい。 144 00:10:09,776 --> 00:10:11,778 俺は…。 145 00:10:17,116 --> 00:10:22,789 口先だけのゲスだと言われた。 え… えっ? 146 00:10:22,789 --> 00:10:26,659 開花した一輪さえ 見つけることができず➡ 147 00:10:26,659 --> 00:10:32,966 金を払い 案内人を雇っても 成果を上げられず…。 148 00:10:36,803 --> 00:10:40,507 お前のように なれないから…。 149 00:10:42,442 --> 00:10:44,811 ふう…。 150 00:10:44,811 --> 00:10:50,683 槙野 この植物が新種なら 自分で発表するのか? 151 00:10:50,683 --> 00:11:00,293 はい。 研究を続けて 確証を得ましたら 自分で発表したいと思うちょります。 152 00:11:00,293 --> 00:11:02,495 はあ…。 153 00:11:04,764 --> 00:11:07,667 手伝わせてくれ。 このとおりだ。 154 00:11:07,667 --> 00:11:11,938 えっ? えっ… 大窪さん! 俺を研究に参加させてくれないか? 155 00:11:11,938 --> 00:11:14,974 ちょっと… やめてください。 頭を上げてください! のう。 156 00:11:14,974 --> 00:11:17,610 あ… そんな みんなあで やったら…。 157 00:11:17,610 --> 00:11:24,951 いや… 万さん 大事な局面だよ。 お金が動く。 158 00:11:24,951 --> 00:11:27,787 えっ? お… お金? 159 00:11:27,787 --> 00:11:31,124 大窪さんと 共同で研究するなら➡ 160 00:11:31,124 --> 00:11:36,629 実質的に 大学植物学教室と 共同で研究するということだろう? 161 00:11:36,629 --> 00:11:42,502 つまり これが新種だった暁には 大学の実績になる。 162 00:11:42,502 --> 00:11:45,305 万さん一人の功績じゃ なくなるんだよ。 163 00:11:48,141 --> 00:11:52,979 大窪さん もしかして 田邊教授の差し金じゃないですか? 164 00:11:52,979 --> 00:11:55,882 違う! そんなつもりはない。 165 00:11:55,882 --> 00:11:58,651 誰かの命令で来たわけじゃない。 俺が自分で…! 166 00:11:58,651 --> 00:12:01,554 それこそ 口では 何とでも言えますよ。 167 00:12:01,554 --> 00:12:05,758 教授が焦ってることは 俺らも知ってます。 168 00:12:07,760 --> 00:12:09,963 はあ…。 169 00:12:13,933 --> 00:12:20,106 信じてもらえんかもしれんが… 俺は…➡ 170 00:12:20,106 --> 00:12:23,610 今 初めて植物学を学びたいと…。 171 00:12:23,610 --> 00:12:27,947 はっ…? 何を言ってるんです? 「初めて」って…。 172 00:12:27,947 --> 00:12:31,451 だって 大窪さん もう助教授になる…! 藤丸。 173 00:12:35,121 --> 00:12:40,793 大窪さん ここは わしの家ですき。 174 00:12:40,793 --> 00:12:44,664 ここで お話しされたことは 誰にも言いません。 175 00:12:44,664 --> 00:12:47,967 何でも言うてください。 176 00:12:47,967 --> 00:12:53,273 そのあとで… 決めますき。 177 00:13:06,352 --> 00:13:11,924 植物学に来たことを ずっと恥じていたんだ。 178 00:13:11,924 --> 00:13:13,860 恥じる? 179 00:13:13,860 --> 00:13:17,797 俺の父は 旗本の出で その後 東京府知事となり➡ 180 00:13:17,797 --> 00:13:20,933 今は 元老院の議官だ。 181 00:13:20,933 --> 00:13:25,271 東京府知事? 元老院議官? 182 00:13:25,271 --> 00:13:32,779 俺は三男で 留学してさえ 職場も見つからなかった。 183 00:13:32,779 --> 00:13:38,418 しばらく 父の使い走りをしていたが 何の当てもなく➡ 184 00:13:38,418 --> 00:13:40,953 父が 勝先生に頼み込んでくれて➡ 185 00:13:40,953 --> 00:13:44,824 ようやく 植物学教室の御用掛に採用された。 186 00:13:44,824 --> 00:13:50,430 か… 勝先生? 勝 海舟。ほ~ん…。 187 00:13:50,430 --> 00:13:54,801 植物学教室なぞ 聞いたこともなかった。 188 00:13:54,801 --> 00:13:57,136 屈辱だと思った。 189 00:13:57,136 --> 00:14:01,374 留学もして 勝先生の口利きがあってさえ➡ 190 00:14:01,374 --> 00:14:08,147 そんなところにしか 職がなく 情けなくて たまらなかった。 191 00:14:08,147 --> 00:14:11,918 でも 勝先生の顔に 泥を塗れば➡ 192 00:14:11,918 --> 00:14:15,788 父に 今度こそ 見限られる。 だからこそ 必死にやってきたんだ。 193 00:14:15,788 --> 00:14:19,659 植物園に通い 「覚えろ」と言われたものは 頭に たたき込んだ! 194 00:14:19,659 --> 00:14:25,398 毎日 断崖絶壁にいる心持ちで この仕事は 決して失敗できない➡ 195 00:14:25,398 --> 00:14:32,705 田邊教授にも 気に入られなくてはならないと…。 196 00:14:35,775 --> 00:14:43,082 はあ… なのに… お前が来たせいで…。 197 00:14:45,785 --> 00:14:52,091 わしが その… 何か しましたでしょうか?