0 00:00:02,569 --> 00:00:05,905 (寿恵子)石版印刷機を買うことは できませんでしょうか? 1 00:00:05,905 --> 00:00:09,776 (イチ)えっ!? (大畑)えっ? (万太郎)えっ? 買う!? 2 00:00:09,776 --> 00:00:14,381 私 本気です。 3 00:00:14,381 --> 00:00:20,086 だって どこを どう考えても これが 一番 理にかなってるんです! 4 00:00:20,086 --> 00:00:22,989 万太郎さん 1冊目を出したあとも➡ 5 00:00:22,989 --> 00:00:25,392 続けて出していかれるんでしょう? はい。 6 00:00:25,392 --> 00:00:29,262 しかも 本を出す速さも 大事なんでしょう? 7 00:00:29,262 --> 00:00:36,936 それに うちに印刷機があれば 研究も印刷も その場で できます。 8 00:00:36,936 --> 00:00:41,808 体は 楽になりますし 少しでも時間ができれば➡ 9 00:00:41,808 --> 00:00:47,280 その分 ちょっとでも 眠れると思うんです。 10 00:00:47,280 --> 00:00:51,951 身の丈に合わない買い物なのは 分かります。 11 00:00:51,951 --> 00:00:56,423 でも 私…。 わしも…! 12 00:00:56,423 --> 00:01:01,928 わしも… 欲しい。 13 00:01:03,563 --> 00:01:07,434 いつでも好きな時に使える 印刷機があったら➡ 14 00:01:07,434 --> 00:01:10,737 うちで集中して 下絵を描いて➡ 15 00:01:10,737 --> 00:01:15,575 そのまんまの筆遣いで 石版にも描ける。 16 00:01:15,575 --> 00:01:17,911 けんど その…➡ 17 00:01:17,911 --> 00:01:22,248 ドイツから 石版印刷機を 持ってこんといかんがですよね? 18 00:01:22,248 --> 00:01:27,754 あっ いや… 少し前から 国産の印刷機が出てきたよ。 19 00:01:27,754 --> 00:01:30,790 えっ!? では 国産の印刷機を買うことも? 20 00:01:30,790 --> 00:01:35,929 あ~ だが いまだに… んん… 石は 外国から取り寄せてる。 21 00:01:35,929 --> 00:01:44,270 あ~ 石版印刷というのは 印刷機械よりも石の方が大事なんだよ。 22 00:01:44,270 --> 00:01:48,108 ああ… でも 石があれでも 印刷機があれなら➡ 23 00:01:48,108 --> 00:01:51,978 うちが買った時より あれなんだろう? お前 「あれあれあれ」って 何だよ! 24 00:01:51,978 --> 00:01:54,981 今は いくらで買えるがですか? 25 00:01:54,981 --> 00:02:01,054 あ~… 国産っつっても え~ 石も合わせれば➡ 26 00:02:01,054 --> 00:02:05,558 う~… 1,000円は見とかなきゃいけねえな。 27 00:02:08,361 --> 00:02:11,064 1,000円…。 (大畑)ああ。 28 00:02:17,570 --> 00:02:21,074 出せます。 (大畑 イチ)えっ!? 29 00:02:21,074 --> 00:02:25,245 峰屋が 万太郎さんのために 持たせてくださったお金が➡ 30 00:02:25,245 --> 00:02:27,247 1,000円 あるんです。 31 00:02:27,247 --> 00:02:31,751 でもねえ 所帯持ったばっかりだろう? これから先 何かとね…。 32 00:02:31,751 --> 00:02:33,686 黙ってろよ! 33 00:02:33,686 --> 00:02:38,258 このお金を使えば もう後はなくなります。 34 00:02:38,258 --> 00:02:44,597 これから先 きっと とても苦しくなる。 35 00:02:44,597 --> 00:02:50,403 でも 今 万太郎さんに 入り用なら…! 36 00:02:53,606 --> 00:02:57,410 ハァ… ハァ…。 37 00:02:59,946 --> 00:03:07,220 ♬~ 38 00:03:07,220 --> 00:03:15,562 ♬「言葉足らずの愛を 愛を貴方へ」 39 00:03:15,562 --> 00:03:19,432 ♬「私は決して今を」 40 00:03:19,432 --> 00:03:24,904 ♬「今を憎んではいない」 41 00:03:24,904 --> 00:03:37,483 ♬「命ある日々 静かに誰かを 愛した日々」 42 00:03:37,483 --> 00:03:46,192 ♬「空が晴れたら 愛を、愛を伝えて」 43 00:03:46,192 --> 00:03:54,767 ♬「涙は明日の為 新しい花の種」 44 00:03:54,767 --> 00:03:59,105 ♬「空が晴れたら」 45 00:03:59,105 --> 00:04:03,076 ♬「逢いに、 逢いに来て欲しい」 46 00:04:03,076 --> 00:04:12,085 ♬「涙は枯れないわ 明日へと繋がる輪」 47 00:04:14,053 --> 00:04:16,723 (りん)ええ~っ!? 48 00:04:16,723 --> 00:04:20,893 ちょ… ちょ… 待っとくれよ。 壁を ぶち抜く? 49 00:04:20,893 --> 00:04:27,667 その 印刷の仕事をするには まあ 水場が近い方が 何かと助かります。 50 00:04:27,667 --> 00:04:31,371 ここを戸にしたら 井戸端と近くなりますき。 51 00:04:31,371 --> 00:04:35,074 ここに 石版印刷機を置きたいがです。 52 00:04:35,074 --> 00:04:38,111 印刷機 一畳分ほどの大きさなんです。 53 00:04:38,111 --> 00:04:41,581 あの 研究室に置きたいんですけど そうするとなると➡ 54 00:04:41,581 --> 00:04:44,617 万太郎さんの標本や本が 入らなくなりそうで。 55 00:04:44,617 --> 00:04:50,089 それで 間の壁をぶち抜いて 2部屋を1部屋に? 56 00:04:50,089 --> 00:04:52,592 はい…。 57 00:04:52,592 --> 00:04:56,929 こんなとこだから 好きにしてもらって 構わないんだけどさ…。 58 00:04:56,929 --> 00:04:59,966 でもねえ…。 (丈之助)どうせ もう穴 開いてるでしょ? 59 00:04:59,966 --> 00:05:04,337 それでも ちょっとでも 壁があるってのが肝心なんだよ。 60 00:05:04,337 --> 00:05:09,876 万さんのタヌキの巣穴がさ どんどん どんどん どんど~ん広がっていって➡ 61 00:05:09,876 --> 00:05:12,345 2間 丸ごと タヌキ御殿になっちまうんだよ! 62 00:05:12,345 --> 00:05:15,048 (えい)想像しただけで イラッときます! 63 00:05:15,048 --> 00:05:17,350 片づけても片づけても 終わらないの。 64 00:05:17,350 --> 00:05:20,253 食べるとこと寝るとこは タヌキに来てほしくないですよ! 65 00:05:20,253 --> 00:05:23,556 それに こういうお人は 片づけるとね 文句言うしね! 66 00:05:23,556 --> 00:05:26,893 (えい) それ! 散らかす人が文句言うなってね! 67 00:05:26,893 --> 00:05:29,228 (倉木)ゴチャゴチャうるせえんだよ お前ら!➡ 68 00:05:29,228 --> 00:05:33,099 その印刷機 もう買っちまったんだろう? はい…。 69 00:05:33,099 --> 00:05:36,369 そんなら もう 四の五の言わずに これ ぶち抜くしかねえじゃねえかよ。 70 00:05:36,369 --> 00:05:41,741 あっ 待って…。 えっ? 石版印刷ってさ 確か 印刷機だけじゃないでしょ? 71 00:05:41,741 --> 00:05:44,243 砂とか要るんじゃなかったっけ? (2人)砂!? 72 00:05:44,243 --> 00:05:49,082 あ… はい。 その 石版を磨くのに 砂が必要ながです。 73 00:05:49,082 --> 00:05:54,253 嫌だよ~ 食べるとこに砂なんて…。 お布団も ジャリジャリ…。 嫌だ~。 74 00:05:54,253 --> 00:05:56,589 (倉木)だから うるせえっつってんだ! 75 00:05:56,589 --> 00:06:00,326 もう その砂は 磨く時に使うっつってんじゃねえかよ。 76 00:06:00,326 --> 00:06:06,866 なら その辺に 庇でも張り出して 砂置き場 作りゃあいいじゃねえか。 77 00:06:06,866 --> 00:06:11,537 あ~。 …で その庇の下に 砂置き場と洗い場。 78 00:06:11,537 --> 00:06:15,875 そしたら お前 雨の日でも働けるし 布団もジャリジャリしねえじゃねえかよ。 79 00:06:15,875 --> 00:06:19,746 あ… 倉木さん! (えい)あんた! 80 00:06:19,746 --> 00:06:22,749 (丈之助)兄貴~! アハハ…。 兄貴~! 81 00:06:22,749 --> 00:06:26,219 うるせえ! うるせえよ お前。 もう散れ! 散れ お前! 82 00:06:26,219 --> 00:06:28,554 兄貴~! (丈之助)兄貴~! 83 00:06:28,554 --> 00:06:32,358 庇を張り出す分 今のお家賃と もう一部屋分➡ 84 00:06:32,358 --> 00:06:34,293 お支払いするんで どうでしょう? 85 00:06:34,293 --> 00:06:39,065 いいのかい? こっちは もうありがたいけどさ…。 86 00:06:39,065 --> 00:06:41,000 みんなにも 話しとくしさ。 87 00:06:41,000 --> 00:06:47,373 1部屋50銭で 毎月3部屋で… 1円50銭だよ? 88 00:06:47,373 --> 00:06:50,576 はい! お願いします! 89 00:06:50,576 --> 00:06:52,612 (倉木)6尺 測れ。 (万太郎 丈之助)はい! 90 00:06:52,612 --> 00:06:55,381 もっと 張れ 張れ! (丈之助)張れ? はい! 91 00:06:55,381 --> 00:06:57,316 6尺。 6尺。 はい! 92 00:06:57,316 --> 00:06:59,252 張れ。 はい! 6尺。 93 00:06:59,252 --> 00:07:01,687 6尺。 はい。 6尺! はい? 94 00:07:01,687 --> 00:07:04,190 えっ? 6尺。 6尺 はい。 95 00:07:04,190 --> 00:07:08,694 あっ 福治さん! (福治)おお… 何事だい? 96 00:07:08,694 --> 00:07:12,565 身の丈に合わない買い物をしました。 97 00:07:12,565 --> 00:07:15,568 でも 福治さんが 教えてくださってたことも➡ 98 00:07:15,568 --> 00:07:19,405 よくよく分かってはいるんです。 99 00:07:19,405 --> 00:07:23,709 ごめんなさい。 とにかく やってみます。 100 00:07:23,709 --> 00:07:26,612 ああ… 何 謝んだよ。 俺なんか 別に…。 101 00:07:26,612 --> 00:07:29,882 そんなもの 2人がよければ それでいいんだからさ! 102 00:07:29,882 --> 00:07:32,084 ありがとうございます。 103 00:07:33,719 --> 00:07:35,755 ちょっと 何? うん? 104 00:07:35,755 --> 00:07:40,359 あんたも ぶっちゃったんでしょ? 「ぶっちゃった」って 何だよ? 105 00:07:40,359 --> 00:07:43,062 だから 人生の先輩ぶったんでしょ? 106 00:07:43,062 --> 00:07:45,565 何言ったか 教えてよ。 言ってねえ。 107 00:07:45,565 --> 00:07:48,067 (りん)ちょっと…! (福治)言ってねえぞ。 108 00:07:48,067 --> 00:07:52,371 (波多野)こんにちは! 万さん! ああ 波多野 藤丸~! 109 00:07:52,371 --> 00:07:55,575 (藤丸)標本 見に来たぞ。 アハハ…。 110 00:07:55,575 --> 00:07:58,377 あ… 大窪さん。 111 00:08:01,314 --> 00:08:05,184 どうぞ。 どうぞ。 どうも。 112 00:08:05,184 --> 00:08:07,687 どうぞ。 どうも…。 113 00:08:07,687 --> 00:08:11,190 槙野が お世話になっております。 あ…。 114 00:08:11,190 --> 00:08:14,393 では ごゆっくり。 115 00:08:16,062 --> 00:08:18,931 あっ すみません…。 あっ すみません…。 失礼いたします。 116 00:08:18,931 --> 00:08:21,234 失礼いたします。 117 00:08:24,737 --> 00:08:27,340 何つう…。 ああ…。 118 00:08:27,340 --> 00:08:29,275 白梅堂の娘さんじゃ。 119 00:08:29,275 --> 00:08:32,211 ほら わし 大学で 菓子を よう買うてきよったろう? 120 00:08:32,211 --> 00:08:34,714 あのまんじゅうが!? くそっ…! 121 00:08:34,714 --> 00:08:37,750 万さんじゃなくて 俺が菓子を買いに行ってれば…! 122 00:08:37,750 --> 00:08:41,053 万さんも万さんだよ! 僕たちが せっせとお菓子を食べるから➡ 123 00:08:41,053 --> 00:08:43,890 そのお菓子屋に 何度も行けたんだろう? アハッ 確かに…。 124 00:08:43,890 --> 00:08:46,792 つまり 俺たちのおかげじゃないか! そうだよ。 125 00:08:46,792 --> 00:08:48,761 なあ? おいおい…! 俺たちのおかげだよ…。 126 00:08:48,761 --> 00:08:53,065 大窪さんは 初めて いらっしゃいましたのう。 127 00:08:53,065 --> 00:08:56,569 (大窪)お前は ずっと こんなところで…。 128 00:08:56,569 --> 00:09:03,009 アハハ 確かに 狭い部屋ですけんど わしにとったら えい部屋です。 129 00:09:03,009 --> 00:09:08,180 あっ 今度 ここに 石版印刷機が ドンと置きますき! 130 00:09:08,180 --> 00:09:11,484 ほんじゃき この壁を バンッと ぶち破って…。 131 00:09:18,324 --> 00:09:21,227 けしからん穴だな! 132 00:09:21,227 --> 00:09:24,196 この穴をなくすのは 情緒的に惜しい! ああ! 133 00:09:24,196 --> 00:09:26,866 まあ 狭い部屋ですけんど➡ 134 00:09:26,866 --> 00:09:30,703 ええ まあ 精いっぱい ええ やっております。 135 00:09:30,703 --> 00:09:34,040 幸せ者が! 精いっぱい… 何を? 136 00:09:34,040 --> 00:09:36,842 お… 大窪さん? 137 00:09:38,711 --> 00:09:41,013 標本を見せてくれ。 138 00:09:47,053 --> 00:09:50,723 (波多野)よく見つけてきたね! (藤丸)これ 一体 何だろう? 139 00:09:50,723 --> 00:09:56,062 この子は 新種じゃないかと…。 140 00:09:56,062 --> 00:09:58,364 大窪さんは 学会誌で 「まめづたらん」の原稿を➡ 141 00:09:58,364 --> 00:10:04,170 書かれちょりました。 その… どう… 思われます? 142 00:10:06,906 --> 00:10:09,742 槙野。 はい。 143 00:10:09,742 --> 00:10:11,744 俺は…。 144 00:10:17,083 --> 00:10:22,755 口先だけのゲスだと言われた。 え… えっ? 145 00:10:22,755 --> 00:10:26,626 開花した一輪さえ 見つけることができず➡ 146 00:10:26,626 --> 00:10:32,932 金を払い 案内人を雇っても 成果を上げられず…。 147 00:10:36,769 --> 00:10:40,473 お前のように なれないから…。 148 00:10:42,408 --> 00:10:44,777 ふう…。 149 00:10:44,777 --> 00:10:50,650 槙野 この植物が新種なら 自分で発表するのか? 150 00:10:50,650 --> 00:11:00,259 はい。 研究を続けて 確証を得ましたら 自分で発表したいと思うちょります。 151 00:11:00,259 --> 00:11:02,461 はあ…。 152 00:11:04,730 --> 00:11:07,633 手伝わせてくれ。 このとおりだ。 153 00:11:07,633 --> 00:11:11,904 えっ? えっ… 大窪さん! 俺を研究に参加させてくれないか? 154 00:11:11,904 --> 00:11:14,940 ちょっと… やめてください。 頭を上げてください! のう。 155 00:11:14,940 --> 00:11:17,576 あ… そんな みんなあで やったら…。 156 00:11:17,576 --> 00:11:24,917 いや… 万さん 大事な局面だよ。 お金が動く。 157 00:11:24,917 --> 00:11:27,753 えっ? お… お金? 158 00:11:27,753 --> 00:11:31,090 大窪さんと 共同で研究するなら➡ 159 00:11:31,090 --> 00:11:36,595 実質的に 大学植物学教室と 共同で研究するということだろう? 160 00:11:36,595 --> 00:11:42,468 つまり これが新種だった暁には 大学の実績になる。 161 00:11:42,468 --> 00:11:45,271 万さん一人の功績じゃ なくなるんだよ。 162 00:11:48,107 --> 00:11:52,945 大窪さん もしかして 田邊教授の差し金じゃないですか? 163 00:11:52,945 --> 00:11:55,848 違う! そんなつもりはない。 164 00:11:55,848 --> 00:11:58,617 誰かの命令で来たわけじゃない。 俺が自分で…! 165 00:11:58,617 --> 00:12:01,520 それこそ 口では 何とでも言えますよ。 166 00:12:01,520 --> 00:12:05,725 教授が焦ってることは 俺らも知ってます。 167 00:12:07,727 --> 00:12:09,929 はあ…。 168 00:12:13,899 --> 00:12:20,072 信じてもらえんかもしれんが… 俺は…➡ 169 00:12:20,072 --> 00:12:23,576 今 初めて植物学を学びたいと…。 170 00:12:23,576 --> 00:12:27,913 はっ…? 何を言ってるんです? 「初めて」って…。 171 00:12:27,913 --> 00:12:31,417 だって 大窪さん もう助教授になる…! 藤丸。 172 00:12:35,087 --> 00:12:40,760 大窪さん ここは わしの家ですき。 173 00:12:40,760 --> 00:12:44,630 ここで お話しされたことは 誰にも言いません。 174 00:12:44,630 --> 00:12:47,933 何でも言うてください。 175 00:12:47,933 --> 00:12:53,239 そのあとで… 決めますき。 176 00:13:06,318 --> 00:13:11,891 植物学に来たことを ずっと恥じていたんだ。 177 00:13:11,891 --> 00:13:13,826 恥じる? 178 00:13:13,826 --> 00:13:17,763 俺の父は 旗本の出で その後 東京府知事となり➡ 179 00:13:17,763 --> 00:13:20,900 今は 元老院の議官だ。 180 00:13:20,900 --> 00:13:25,237 東京府知事? 元老院議官? 181 00:13:25,237 --> 00:13:32,745 俺は三男で 留学してさえ 職場も見つからなかった。 182 00:13:32,745 --> 00:13:38,384 しばらく 父の使い走りをしていたが 何の当てもなく➡ 183 00:13:38,384 --> 00:13:40,920 父が 勝先生に頼み込んでくれて➡ 184 00:13:40,920 --> 00:13:44,790 ようやく 植物学教室の御用掛に採用された。 185 00:13:44,790 --> 00:13:50,396 か… 勝先生? 勝 海舟。 ほ~ん…。 186 00:13:50,396 --> 00:13:54,767 植物学教室なぞ 聞いたこともなかった。 187 00:13:54,767 --> 00:13:57,102 屈辱だと思った。 188 00:13:57,102 --> 00:14:01,340 留学もして 勝先生の口利きがあってさえ➡ 189 00:14:01,340 --> 00:14:08,113 そんなところにしか 職がなく 情けなくて たまらなかった。 190 00:14:08,113 --> 00:14:11,884 でも 勝先生の顔に 泥を塗れば➡ 191 00:14:11,884 --> 00:14:15,754 父に 今度こそ 見限られる。 だからこそ 必死にやってきたんだ。 192 00:14:15,754 --> 00:14:19,625 植物園に通い 「覚えろ」と言われたものは 頭に たたき込んだ! 193 00:14:19,625 --> 00:14:25,364 毎日 断崖絶壁にいる心持ちで この仕事は 決して失敗できない➡ 194 00:14:25,364 --> 00:14:32,671 田邊教授にも 気に入られなくてはならないと…。 195 00:14:35,741 --> 00:14:43,048 はあ… なのに… お前が来たせいで…。 196 00:14:45,751 --> 00:14:52,057 わしが その… 何か しましたでしょうか?