1 00:00:02,135 --> 00:00:08,075 ♬~ 2 00:00:08,075 --> 00:00:13,714 (ヨネ子)<北大路魯山人先生が 天下を取ったと言われた星岡茶寮。➡ 3 00:00:13,714 --> 00:00:17,050 ここでのことは 取材を続けるうちに➡ 4 00:00:17,050 --> 00:00:21,889 ようやく ぽつり ぽつりと 話されるようになりました> 5 00:00:21,889 --> 00:00:26,360 ♬~ 6 00:00:26,360 --> 00:00:29,897 (魯山人)んん~…。 7 00:00:29,897 --> 00:00:31,832 はあ…。 先生。うん? 8 00:00:31,832 --> 00:00:34,768 止め椀をお持ちしました。 はい。 9 00:00:34,768 --> 00:00:48,081 ♬~ 10 00:00:53,253 --> 00:00:55,756 よっしゃ ええやろ。 11 00:01:00,527 --> 00:01:07,868 浦田。 今日から この星岡の主任 あんたがやんなさい。 12 00:01:07,868 --> 00:01:13,740 えっ? い… いや… 私は まだ若く 経験も技量も拙く➡ 13 00:01:13,740 --> 00:01:18,211 主任は務まりません。 先生 お考え直しください。 14 00:01:18,211 --> 00:01:25,352 あんたの言うな 技量とか経験 大したことないんや。 なあ? 15 00:01:25,352 --> 00:01:28,889 舌 出してみ? えっ?べろや べろ! 16 00:01:28,889 --> 00:01:31,358 あっ はい! 17 00:01:31,358 --> 00:01:35,729 それや。 それが あんたの宝や。 なっ? 18 00:01:35,729 --> 00:01:40,233 鋭い舌の感覚 あんたには それがあるんや。 19 00:01:40,233 --> 00:01:46,039 私の目と舌に狂いはない。 まっ 私に従いなさい。 20 00:01:46,039 --> 00:01:49,242 しかし… 先輩方が何とおっしゃるか。 21 00:01:49,242 --> 00:01:53,947 そんな 文句を言うやつはクビや。 ねっ いいね? 22 00:01:59,886 --> 00:02:04,725 はい! 精いっぱい務めさせていただきます。 23 00:02:04,725 --> 00:02:07,194 浦田 おめでとう。 24 00:02:07,194 --> 00:02:09,896 ありがとうございます。 うん。 25 00:02:12,866 --> 00:02:16,536 下がっていい。 26 00:02:16,536 --> 00:02:18,538 ん…。 27 00:02:21,875 --> 00:02:27,748 私は 先生の大抜てきにより 星岡茶寮の主任になりました。 28 00:02:27,748 --> 00:02:32,052 それ以来 止め椀の味を見ていただく日々。 29 00:02:32,052 --> 00:02:35,922 どんなにビールを飲まれていても ほんの僅かな味の違いまで感じられる➡ 30 00:02:35,922 --> 00:02:38,358 先生の舌に驚き➡ 31 00:02:38,358 --> 00:02:41,061 一生ついていこうと思ったのです。 32 00:02:41,061 --> 00:02:44,097 (せみの声) 33 00:02:44,097 --> 00:02:50,237 (鳥の鳴き声) 34 00:02:50,237 --> 00:02:55,575 ♬~ 35 00:02:55,575 --> 00:03:03,316 <吉田首相の紹介で 大物政治家たちが 魯山人先生のもとを訪れることになり➡ 36 00:03:03,316 --> 00:03:06,853 私は手伝いに呼ばれました> 37 00:03:06,853 --> 00:03:11,191 ♬~ 38 00:03:11,191 --> 00:03:15,195 (足音) 39 00:03:15,195 --> 00:03:17,864 おはようございます。 40 00:03:17,864 --> 00:03:20,534 これ 履きなさい。 41 00:03:20,534 --> 00:03:22,536 はい…。 42 00:03:25,872 --> 00:03:28,341 どこへ行くのですか? 43 00:03:28,341 --> 00:03:30,710 ついてくれば分かるわ。 44 00:03:30,710 --> 00:03:40,921 ♬~ 45 00:03:53,567 --> 00:03:56,470 ここや。 46 00:03:56,470 --> 00:03:59,439 これが山葵や。 47 00:03:59,439 --> 00:04:03,844 初めて見ました。 うん。 48 00:04:03,844 --> 00:04:08,181 茎や葉や根を 丸ごと採りなさい。 ねっ? 49 00:04:08,181 --> 00:04:10,851 はい。 50 00:04:10,851 --> 00:04:13,186 食べる分だけにしいや。 51 00:04:13,186 --> 00:04:15,522 取り過ぎんと残すんや。 はい。 52 00:04:15,522 --> 00:04:19,392 そしたら 来年も楽しませてくれはる。 53 00:04:19,392 --> 00:04:21,394 はい。 54 00:04:43,350 --> 00:04:49,856 (鳥の鳴き声) 55 00:04:51,892 --> 00:04:56,763 ヨネ子君。 あんた 海ん中 見たことあるか? 56 00:04:56,763 --> 00:05:00,300 いいえ ありません。 うん。 57 00:05:00,300 --> 00:05:06,606 私はね 漁師に頼んで 潜ったことがあるんや。 58 00:05:09,843 --> 00:05:13,847 あんた ちょっと 目 つむってみ。 59 00:05:17,184 --> 00:05:19,186 はい…。 60 00:05:21,521 --> 00:05:25,725 海ん中 想像してみるんや。 61 00:05:29,396 --> 00:05:39,072 なら… 海辺の浅い所には 昆布やら 海藻が生えとるやろ。 62 00:05:39,072 --> 00:05:41,074 はい。 63 00:05:43,210 --> 00:05:46,546 人間が知らん 海ん中にはな➡ 64 00:05:46,546 --> 00:05:52,219 海藻が茂っとって 森の中みたいなんや。 65 00:05:52,219 --> 00:05:58,892 鯛は その体に 光る宝玉をちりばめて突き進みよる。 66 00:05:58,892 --> 00:06:03,496 イカはな 透き通って 妖しい光を放ちながら➡ 67 00:06:03,496 --> 00:06:08,168 レースのハンカチで 口元を押さえた貴婦人のように➡ 68 00:06:08,168 --> 00:06:10,503 優雅に踊るんや。 69 00:06:10,503 --> 00:06:19,212 ♬~ 70 00:06:19,212 --> 00:06:24,517 あ~ 生きてるものは何でも美しい。 71 00:06:24,517 --> 00:06:29,189 彼らは 生きんがための 果てしない戦いを続け➡ 72 00:06:29,189 --> 00:06:33,193 美しい物語をつづっていくんや。 73 00:06:39,532 --> 00:06:41,568 あっ 生きとる 生きとる。 74 00:06:41,568 --> 00:06:43,703 透き通っとるわ。 ハハハハ…。 75 00:06:43,703 --> 00:06:47,874 お帰りなさい。 ああ ただいま。 76 00:06:47,874 --> 00:06:51,745 まあ…。 先生 本日もよろしくお願いいたします。 77 00:06:51,745 --> 00:06:54,214 浦田 挨拶はええ。 78 00:06:54,214 --> 00:06:56,216 これ スズキ これ 刺身な。 79 00:06:56,216 --> 00:06:59,552 イカ 私がやる。 山葵 私がする。 80 00:06:59,552 --> 00:07:02,989 え~っと 止め椀の味は 私が見る。 はい。 81 00:07:02,989 --> 00:07:05,825 ほいで 食器頼むで 春子。 はい!なっ? 82 00:07:05,825 --> 00:07:07,761 畑 行くで。 はい! 83 00:07:07,761 --> 00:07:10,163 はいはい はいはい…。 84 00:07:10,163 --> 00:07:25,712 (せみの声) 85 00:07:25,712 --> 00:07:28,548 野菜は そのつど取られるのですか? 86 00:07:28,548 --> 00:07:34,754 ああ。 天のなせる美味は 新鮮なもののみに宿る。 87 00:07:36,389 --> 00:07:38,858 ああ これや! はい これ! 88 00:07:38,858 --> 00:07:40,860 あっ はい。 89 00:07:48,535 --> 00:07:51,871 何を作るか 決めておられないのですか? 90 00:07:51,871 --> 00:07:56,743 そうや。 野菜の顔を見てから決めるんや。 91 00:07:56,743 --> 00:08:23,737 ⚟(鳥の鳴き声) 92 00:08:26,506 --> 00:08:32,512 <先生の手にかかると 床の間の空気も一変する> 93 00:08:35,515 --> 00:08:37,851 (せみの声) 94 00:08:37,851 --> 00:08:42,522 やあやあ! 今日はよろしく。 95 00:08:42,522 --> 00:08:45,558 吉田首相の紹介だ。 うまいもん食わせてくれよ。 96 00:08:45,558 --> 00:08:49,863 はい! 先生も準備万端で お待ちしております。 97 00:08:49,863 --> 00:08:53,166 そりゃ 楽しみだ。 ハハハハ…。 98 00:09:04,277 --> 00:09:09,115 春子 ドラ鉢とアワビの皿や。 はい。 99 00:09:09,115 --> 00:09:11,117 ヨネ子さん。 100 00:09:26,499 --> 00:09:31,838 食器は濡らして よく絞ったお布巾で拭くといいのよ。 101 00:09:31,838 --> 00:09:36,543 本当ですわ。 食器が生き生きとしてきました! 102 00:09:40,847 --> 00:09:44,184 今日の料理はな 芝居や。 103 00:09:44,184 --> 00:09:46,119 芝居? 104 00:09:46,119 --> 00:09:50,957 ああ。 大芝居を打って 金を出させる。 105 00:09:50,957 --> 00:09:54,694 そやけどな 三文芝居とちゃうで。 106 00:09:54,694 --> 00:09:57,030 取れたばっかりの野菜に➡ 107 00:09:57,030 --> 00:10:01,034 イカやスズキの名優たちの 言うたら 名芝居や。 108 00:10:03,203 --> 00:10:05,872 金づるは驚くで。 アハハハ…。 109 00:10:05,872 --> 00:10:09,742 金づる…。 110 00:10:09,742 --> 00:10:18,218 ヨネ子君。 料理屋の料理はな 芝居や。 うん。 111 00:10:18,218 --> 00:10:22,522 私も芝居をするから 楽しんでいきなさい。 112 00:10:25,091 --> 00:10:27,093 はい。 113 00:10:50,917 --> 00:10:53,253 (客たち)おお~! 114 00:10:53,253 --> 00:10:57,757 星岡茶寮の料理を食ったやつがいるか? 115 00:10:57,757 --> 00:10:59,792 いえ…。 116 00:10:59,792 --> 00:11:05,865 星岡の会員にあらざれば 名士にあらず!➡ 117 00:11:05,865 --> 00:11:14,874 星岡茶寮 北大路魯山人の料理を 口にできるのは 我々の特権だ。 118 00:11:14,874 --> 00:11:19,045 私たちは 皆 名士というわけですな。 119 00:11:19,045 --> 00:11:22,549 (笑い声) 120 00:11:22,549 --> 00:11:25,451 女中さん べっぴんさんだね。 121 00:11:25,451 --> 00:11:30,290 ほら 大河原さんに お酌して。 122 00:11:30,290 --> 00:11:32,292 ありがとう。 123 00:11:35,228 --> 00:11:38,565 お嬢ちゃん いくつだよ~。 124 00:11:38,565 --> 00:11:43,903 お酌ぐらい できなきゃ駄目だよ! ハハハ…。 125 00:11:43,903 --> 00:11:46,206 こっちもだ。 ほれ。 126 00:11:48,575 --> 00:11:51,911 僕も お嬢さんのお酌がよかったなあ。 127 00:11:51,911 --> 00:11:54,914 そんなことをおっしゃらずに どうぞ。 128 00:11:56,583 --> 00:12:01,187 おおっ 女中さん! 後ろ姿も色っぽいね。 129 00:12:01,187 --> 00:12:03,122 ⚟(笑い声) 130 00:12:03,122 --> 00:12:05,525 (激しく置く音)あっ! もう嫌! 131 00:12:05,525 --> 00:12:08,861 ヨネ子さん 真に受けては駄目よ。 132 00:12:08,861 --> 00:12:12,732 あんな品のない者たちに 先生の料理は もったいない! 133 00:12:12,732 --> 00:12:17,570 松山 金が座ってると思えばええ。 134 00:12:17,570 --> 00:12:20,473 金づるでも 言ってよくないこともあります! 135 00:12:20,473 --> 00:12:26,879 ヨネ子君 今日は芝居や。 我慢 我慢や。 なっ? 136 00:12:26,879 --> 00:12:30,550 (せきばらい) もう…。 137 00:12:30,550 --> 00:12:32,885 はい。 138 00:12:32,885 --> 00:12:52,238 ♬~ 139 00:12:52,238 --> 00:12:55,908 うわっ きれいですわ。 140 00:12:55,908 --> 00:13:01,180 イカはな 海の中では もっともっと美しいんや。 141 00:13:01,180 --> 00:13:05,184 せめて 美しく料理してやらんとな…。 142 00:13:05,184 --> 00:13:08,388 ほら 泳いどる 泳いどる。 143 00:13:11,824 --> 00:13:15,528 お皿の中が 海の中のようです。 144 00:13:22,468 --> 00:13:30,543 さっきまで透き通って泳いどったのに 白うなってきたわ…。 145 00:13:30,543 --> 00:13:37,050 人の都合に合わさせて… 堪忍な。 146 00:13:44,724 --> 00:13:47,760 今日の先生 穏やかですね。 147 00:13:47,760 --> 00:13:52,231 あの者たちに お金を借りるおつもりなのです。 148 00:13:52,231 --> 00:13:54,901 今日だけは怒らないでほしいわ。 149 00:13:54,901 --> 00:13:57,904 我慢されているのですね。 150 00:14:02,709 --> 00:14:07,013 ヨネ子さんも春子さんも 笑顔になって。 151 00:14:12,385 --> 00:14:16,889 さあ お芝居の幕が上がります。 152 00:14:19,859 --> 00:14:23,863 (談笑する声) 153 00:14:28,334 --> 00:14:33,139 おお…。 おっ おお おお… うわ~! 154 00:14:36,209 --> 00:14:39,712 うわ~ これは…! 155 00:14:41,547 --> 00:14:45,218 よっ 北大路魯山人! よっ 天才芸術家! 156 00:14:45,218 --> 00:14:50,890 フフッ…。 え~ お忙しいところ➡ 157 00:14:50,890 --> 00:14:55,361 このような片田舎まで おいでくださいまして➡ 158 00:14:55,361 --> 00:14:58,898 ありがとうございます。 159 00:14:58,898 --> 00:15:03,870 今日はですね もう 万国の美味を味わってこられた➡ 160 00:15:03,870 --> 00:15:11,544 皆様方の舌を喜ばせられるよう 一生懸命やらせていただきます。 161 00:15:11,544 --> 00:15:15,848 どうぞ ごゆるりと お過ごしください。 162 00:15:15,848 --> 00:15:18,551 浦田。 はい。 163 00:15:20,186 --> 00:15:22,488 ちょっと失礼します。 164 00:15:35,334 --> 00:15:38,538 あら… いい香りですこと。 165 00:15:38,538 --> 00:15:40,740 う~ん! 166 00:15:46,212 --> 00:15:53,886 戦争に負けても 我々は こうして うまい料理が食えるのだ! 167 00:15:53,886 --> 00:15:58,724 星岡茶寮 ばんざ~い! (客たち)ばんざ~い! 168 00:15:58,724 --> 00:16:02,695 ばんざ~い! (客たち)ばんざ~い! 169 00:16:02,695 --> 00:16:07,834 この美しい白さを見ろ。➡ 170 00:16:07,834 --> 00:16:14,307 この美しい白さこそ 星岡のイカなのだ。➡ 171 00:16:14,307 --> 00:16:20,847 さすがは魯山人 さすがは星岡茶寮! 172 00:16:20,847 --> 00:16:27,320 よっ 大河原角造!よっ 陰の総理! (笑い声) 173 00:16:27,320 --> 00:16:29,822 この刺身 下げえ。 174 00:16:34,527 --> 00:16:37,430 あんたは食べんでええ。 175 00:16:37,430 --> 00:16:40,867 何!? わしは客だぞ! 176 00:16:40,867 --> 00:16:45,538 衆議院議員 大河原角造だ。 知っとろうが! 177 00:16:45,538 --> 00:16:51,344 それが どうした! あんた 海の中 見たことあるか? 178 00:16:51,344 --> 00:16:54,247 はあ? 海の中のイカはな➡ 179 00:16:54,247 --> 00:16:58,117 その透明な体から 光を発して➡ 180 00:16:58,117 --> 00:17:01,153 貴婦人のように優雅に泳ぐんや。 181 00:17:01,153 --> 00:17:05,291 けどな 人間に食われるために死んで➡ 182 00:17:05,291 --> 00:17:08,194 悲しいかな 刻々と白うなっていくんや。 183 00:17:08,194 --> 00:17:10,663 その どこが美しげだ? ええ? 184 00:17:10,663 --> 00:17:13,100 笑止千万! へそで茶が沸くわ。 この…。 185 00:17:13,100 --> 00:17:17,303 あんたみたいにな 美の分からんやつは さっさと帰れ! 186 00:17:17,303 --> 00:17:20,206 大河原角造だぞ わしは! 187 00:17:20,206 --> 00:17:25,011 それが どうした! 私は北大路魯山人や! 188 00:17:25,011 --> 00:17:28,314 この家畜どもめ! か か か… 家畜!? 189 00:17:28,314 --> 00:17:30,249 貴様など潰してやる! 190 00:17:30,249 --> 00:17:32,518 先生… 先生! 大河原先生! 191 00:17:32,518 --> 00:17:37,189 どこのお名士様か存じませんが 先生にもイカにも失礼です! 192 00:17:37,189 --> 00:17:40,693 謝ってください! な… 何だと!? この小娘が! 193 00:17:40,693 --> 00:17:42,628 キャッ! 194 00:17:42,628 --> 00:17:45,564 あっ… やめてください 先生! 195 00:17:45,564 --> 00:17:47,566 あっ! 離せ! 196 00:17:47,566 --> 00:17:49,702 ちょ… 先生 やめてください! 197 00:17:49,702 --> 00:17:51,637 まっ…! 先生! 198 00:17:51,637 --> 00:17:53,873 ああっ! 199 00:17:53,873 --> 00:17:55,808 この~! 200 00:17:55,808 --> 00:17:58,711 先生 やめてください! 先生! 201 00:17:58,711 --> 00:18:07,153 ⚟(騒ぐ声) 202 00:18:07,153 --> 00:18:27,306 (せみの声) 203 00:18:27,306 --> 00:18:30,509 (ため息) 204 00:18:30,509 --> 00:18:33,412 誰も手をつけていないわね。 205 00:18:33,412 --> 00:18:35,715 どうしましょう…。 206 00:18:38,384 --> 00:18:42,121 捨てたらあかん。 残ったもん全部持ってきい。 207 00:18:42,121 --> 00:18:45,324 はい。 あっ… 残ったセンナもや。 208 00:18:45,324 --> 00:18:47,259 はい。 209 00:18:47,259 --> 00:19:25,831 ♬~ 210 00:19:25,831 --> 00:19:28,668 よ~し…。 211 00:19:28,668 --> 00:20:12,878 ♬~ 212 00:20:12,878 --> 00:20:18,217 茄子はな ヘタまで使うんやで。 213 00:20:18,217 --> 00:20:59,592 ♬~ 214 00:20:59,592 --> 00:21:01,594 よっしゃ ええやろ。 215 00:21:03,863 --> 00:21:07,533 ほな 頂きます。 216 00:21:07,533 --> 00:21:09,535 (一同)頂きます。 217 00:21:12,404 --> 00:21:16,909 あ… 浦田も頂きや。 はい。 218 00:21:19,879 --> 00:21:23,549 残り物は 捨てたらあかん。 なあ? 219 00:21:23,549 --> 00:21:28,220 皮でもアラでも おいしいところが いっぱい残っとるんや。 220 00:21:28,220 --> 00:21:36,362 命あるものな 人生を全うさせてやらんと あかんのです。 ハッ。 221 00:21:36,362 --> 00:21:39,565 魚も野菜も 人と同じですのね。 222 00:21:39,565 --> 00:21:44,069 そや もう人間は無駄ばっかりやけどな➡ 223 00:21:44,069 --> 00:21:50,242 野菜や この魚の方が よっぽど 美しい人生を全うしよる。 224 00:21:50,242 --> 00:21:53,145 そやろ? 浦田。 はい。 225 00:21:53,145 --> 00:21:57,383 残り物が こんなにも美しく おいしいとは。 226 00:21:57,383 --> 00:22:00,286 先生 勉強になります。 ハハッ いやいや…。 227 00:22:00,286 --> 00:22:05,090 勉強せんで 楽しみや ホンマ。 ハハハ…。 はい。 228 00:22:08,527 --> 00:22:12,198 松山。 はい。 229 00:22:12,198 --> 00:22:15,534 遠慮したらあかん。 食べや。 230 00:22:15,534 --> 00:22:18,537 椀。 はい。 231 00:22:22,308 --> 00:22:28,113 ここにな 頭が残っとるで。 これ あんたのもんや。 なあ? 232 00:22:32,952 --> 00:22:36,255 あ~ おいしそうや。 233 00:22:39,558 --> 00:22:41,493 ほれ… 食べや。 234 00:22:41,493 --> 00:22:45,197 はい。 ありがとうございます。 235 00:22:55,574 --> 00:22:59,078 はあ… おいしいです。 236 00:22:59,078 --> 00:23:01,880 フッ ハハハ…。 237 00:23:04,516 --> 00:23:08,687 あんた 勇ましい人やなあ。 おいしいか? 238 00:23:08,687 --> 00:23:11,323 おいひいです。 (笑い声) 239 00:23:11,323 --> 00:23:15,861 ホンマ 食いしん坊やな。 ええ ニコニコ顔や。 240 00:23:15,861 --> 00:23:20,199 そうれすか? (笑い声) 241 00:23:20,199 --> 00:23:32,211 ♬~ 242 00:23:32,211 --> 00:23:38,083 料理いうのはな 仲のええ家族が ニコニコして食べるもんや。 243 00:23:38,083 --> 00:23:41,553 それが 何より おいしなる。 244 00:23:41,553 --> 00:23:45,224 先生のお料理 本当においしいです! 245 00:23:45,224 --> 00:23:51,363 これはな 芝居やないで。 みんなで食べよう思って作ったんやから。 246 00:23:51,363 --> 00:23:54,733 なあ 松山? んっ! んん…。 247 00:23:54,733 --> 00:24:00,239 おいひいです! おいひいです! (笑い声) 248 00:24:11,183 --> 00:24:16,188 ⚟(風鈴の音) 249 00:24:23,529 --> 00:24:29,234 ⚟(風鈴の音) 250 00:24:32,871 --> 00:24:36,175 (鳥の鳴き声) 251 00:24:40,212 --> 00:24:45,351 (せみの声) 252 00:24:45,351 --> 00:24:47,419 こんにちは~。 253 00:24:47,419 --> 00:25:06,505 (せみの声) 254 00:25:06,505 --> 00:25:08,440 春子さん こんにちは。 255 00:25:08,440 --> 00:25:12,311 あら ヨネ子さん。 先生はお昼寝中。 256 00:25:12,311 --> 00:25:15,814 畑に行きましょ。 はい! 257 00:25:19,084 --> 00:25:23,522 ♬ 桑港(サンフランシスコ)の チャイナタウン 258 00:25:23,522 --> 00:25:28,193 ♬ 夜霧に濡れて 259 00:25:28,193 --> 00:25:32,531 ♬ 夢紅く誰を待つ 260 00:25:32,531 --> 00:25:37,336 ♬ 柳の小窓 261 00:25:37,336 --> 00:25:41,874 ♬ 泣いている 泣いている 262 00:25:41,874 --> 00:25:46,345 ♬ おぼろな瞳 263 00:25:46,345 --> 00:25:51,183 ♬ 花やさし霧の街 264 00:25:51,183 --> 00:25:56,188 ♬ チャイナタウンの 恋の夜 265 00:26:00,492 --> 00:26:04,196 おいしいでしょ? うん… はい! 266 00:26:06,365 --> 00:26:08,667 先生も よく ここに座って➡ 267 00:26:08,667 --> 00:26:12,304 一番うまいのは畑で食うキュウリだって おっしゃるのよ。 268 00:26:12,304 --> 00:26:17,176 んっ…! のどが渇いた時は キュウリですな! 269 00:26:17,176 --> 00:26:20,045 松山さん これ 何ですか? 270 00:26:20,045 --> 00:26:22,314 焼き物の土ですよ。 うん? 271 00:26:22,314 --> 00:26:26,185 ヨネ子さんがもらった湯飲みも この土から出来ています。 272 00:26:26,185 --> 00:26:28,120 そうだったんですか! うん。 273 00:26:28,120 --> 00:26:31,323 私 何も知らないですね。 274 00:26:31,323 --> 00:26:33,826 おお~。 275 00:26:37,529 --> 00:26:40,532 うん! うまい! 276 00:26:44,203 --> 00:26:49,074 春子さん… 弱りましたなあ。 277 00:26:49,074 --> 00:26:55,547 電気代も たまっているし 税金の督促状も来ているの。 278 00:26:55,547 --> 00:27:01,286 富山の田山さんに お借りできないか 当たってみますよ。 279 00:27:01,286 --> 00:27:04,790 先生 お金がないのですか? 280 00:27:06,825 --> 00:27:11,163 電気 また止められちゃう。 281 00:27:11,163 --> 00:27:15,501 弱りましたなあ…。 282 00:27:15,501 --> 00:27:17,836 困ったわねえ…。 283 00:27:17,836 --> 00:27:21,840 (食べる音) 284 00:28:01,146 --> 00:28:05,484 先生 お一人で ごはんを食べられるんですか? 285 00:28:05,484 --> 00:28:11,156 そうね。 大体 一人ね。 どうかした? 286 00:28:11,156 --> 00:28:14,493 みんなで食べた方がいいのに。 287 00:28:14,493 --> 00:28:17,796 20年前から ずっと そうよ。 288 00:28:35,514 --> 00:28:38,417 ありがとう。 289 00:28:38,417 --> 00:28:42,854 先生! えっ 何や? 290 00:28:42,854 --> 00:28:47,326 取材旅行に行きませんか? 291 00:28:47,326 --> 00:28:52,531 お金は うちの出版社で なんとかします。 292 00:28:52,531 --> 00:28:55,567 先生のことを もっと書きたいんです。 293 00:28:55,567 --> 00:29:00,339 ⚟(鳥の鳴き声) 294 00:29:00,339 --> 00:29:03,809 もうすぐ お盆やなあ。 295 00:29:03,809 --> 00:29:06,144 はい…。 296 00:29:06,144 --> 00:29:08,814 うん…。 297 00:29:08,814 --> 00:29:12,150 あっ…。 298 00:29:12,150 --> 00:29:14,086 はあ~…。 299 00:29:14,086 --> 00:29:16,288 京都へ行くで。 300 00:29:17,956 --> 00:29:20,025 はい! 301 00:29:20,025 --> 00:29:46,852 ♬~ 302 00:29:46,852 --> 00:29:49,321 先生のお生まれは この辺りですね。 303 00:29:49,321 --> 00:29:53,525 よう調べとるなあ。 一応 記者ですから。 304 00:29:53,525 --> 00:29:56,528 そやったな。 ハハハ…。 305 00:29:58,864 --> 00:30:02,200 いろんなうわさ 聞いとるやろ。 306 00:30:02,200 --> 00:30:04,202 はい…。 307 00:30:06,204 --> 00:30:08,340 お母様は…。 308 00:30:08,340 --> 00:30:12,544 トメや。 トメは 御師の血筋や。 309 00:30:12,544 --> 00:30:14,579 御師? 310 00:30:14,579 --> 00:30:18,417 陰陽師につながる荒ぶる血筋や。 311 00:30:18,417 --> 00:30:26,558 この私の中にも その血ぃが流れとって 時々暴れよる。 312 00:30:26,558 --> 00:30:31,430 お父様は上賀茂神社の神職 北大路家ですね? 313 00:30:31,430 --> 00:30:34,299 あのお方は禰宜や。 314 00:30:34,299 --> 00:30:39,504 私は故あって 24歳で北大路家を継いだ。 315 00:30:41,373 --> 00:30:48,246 私がトメのおなかにいた時な あのお方は 思い当たる節がのうて➡ 316 00:30:48,246 --> 00:30:51,583 誰の子やと問い詰めたんやろうな…。 317 00:30:51,583 --> 00:30:57,923 で ホンマの父の名前を知った時 あのお方は腹を切らはった。 318 00:30:57,923 --> 00:31:01,526 でも 上手に切れへんかったらしい。 319 00:31:01,526 --> 00:31:08,233 あのお方は はらわたを引きずりながら 井戸に身を投げて死んだ。 320 00:31:09,868 --> 00:31:12,571 その井戸 のぞいてみ。 321 00:31:21,046 --> 00:31:24,082 (水滴が落ちる音) 322 00:31:24,082 --> 00:31:28,920 井戸は 真っ赤になって 血なまぐそうて➡ 323 00:31:28,920 --> 00:31:33,925 今でも丑三つ時になると うめき声が聞こえる。 324 00:31:36,361 --> 00:31:38,897 その井戸がな それや。 わっ! 325 00:31:38,897 --> 00:31:46,772 うそや うそ! 冗談や。 ハハハハハ…! 326 00:31:46,772 --> 00:31:54,246 う~ん…。 意外と怖がりなんやな。 ハハハ…! 327 00:31:54,246 --> 00:32:00,185 でもな 腹切って死んだのはホンマや。 328 00:32:00,185 --> 00:32:03,855 本当のお父様は どなただったのですか? 329 00:32:03,855 --> 00:32:07,692 知らん。 どなたなのか 気になりませんか? 330 00:32:07,692 --> 00:32:10,495 知らんと言うとるやろう。 331 00:32:16,868 --> 00:32:20,739 あんた 昭子と そっくりや。 332 00:32:20,739 --> 00:32:23,742 えっ 昭子さんって? 333 00:32:23,742 --> 00:32:28,880 娘や。 あんた おいくつ? 26です。 334 00:32:28,880 --> 00:32:33,752 あ~ 同い年。 ハハッ。 335 00:32:33,752 --> 00:32:37,222 昭子さんは どうされて…。 言いとうない。 336 00:32:37,222 --> 00:32:51,770 (せみの声) 337 00:32:51,770 --> 00:32:58,376 ここにはな めいめいが会いたい人が いはるらしいで。 338 00:32:58,376 --> 00:33:00,378 探してみい。 339 00:33:00,378 --> 00:33:39,551 (せみの声) 340 00:33:39,551 --> 00:33:45,257 (鳥の鳴き声) 341 00:33:51,897 --> 00:33:58,904 (鳥の鳴き声) 342 00:34:11,249 --> 00:34:14,152 お母ちゃんに そっくりです。 343 00:34:14,152 --> 00:34:17,522 ほうか。 344 00:34:17,522 --> 00:34:22,327 お母ちゃんは 戦争中も 毎日 ごはんを作ってくれて…。 345 00:34:24,396 --> 00:34:29,534 粗末でも おいしいごはんでした。 346 00:34:29,534 --> 00:34:32,037 会えてよかったな。 347 00:34:37,409 --> 00:34:39,411 はい。 348 00:34:41,546 --> 00:34:43,882 行こか。 349 00:34:43,882 --> 00:34:45,817 はい。 350 00:34:45,817 --> 00:35:00,365 (せみの声) 351 00:35:00,365 --> 00:35:06,671 夏いうても 盛りを過ぎて もう名残やなあ。 352 00:35:12,043 --> 00:35:17,182 先生。うん。 お料理は どこで勉強されたのですか? 353 00:35:17,182 --> 00:35:24,522 それや。 あのな 内貴清兵衛はんいう お方が いはってな。 354 00:35:24,522 --> 00:35:28,326 呉服屋さんですね。 そや。 よう勉強してるな。 355 00:35:28,326 --> 00:35:33,531 そこで 私は 台所係をしとったんや。 356 00:35:33,531 --> 00:35:36,201 おさんどん。 ああ。 357 00:35:36,201 --> 00:35:39,204 内貴はんのとこには そのお金目当てで➡ 358 00:35:39,204 --> 00:35:43,875 政治家やら文化人やらが 毎日 集まりよる。 359 00:35:43,875 --> 00:35:50,048 お土産も 明石の鯛やら 房総の鮑 富山の香箱蟹やら➡ 360 00:35:50,048 --> 00:35:52,884 おいしいものが ぎょうさん届く。 361 00:35:52,884 --> 00:35:58,356 そやけどな みんな それを食い散らかしてな 残しよる。 362 00:35:58,356 --> 00:36:02,360 それを また作り直すのが 楽しみやった。 363 00:36:02,360 --> 00:36:05,830 残り物の料理ですね。 ああ。 364 00:36:05,830 --> 00:36:12,504 内貴はんはな 残り物の料理を 喜んで食べてくれはってな。 365 00:36:12,504 --> 00:36:15,006 捨て子でも ええやないか➡ 366 00:36:15,006 --> 00:36:21,179 めいめいが めいめいらしく生きたら ええんや… そう言わはった。 367 00:36:21,179 --> 00:36:24,849 めいめいが めいめいらしく…。 368 00:36:24,849 --> 00:36:30,021 ほんでな 料理も芸術やで言わはった。 ハハハハ! 369 00:36:30,021 --> 00:36:33,324 料理も芸術。 ああ もう雷に打たれたみたいに➡ 370 00:36:33,324 --> 00:36:35,393 びっくりしたわ。 371 00:36:35,393 --> 00:36:39,030 希代の美食家 内貴清兵衛が➡ 372 00:36:39,030 --> 00:36:43,234 捨て子の料理を おいしい言うて 芸術や言うんや。 373 00:36:45,336 --> 00:36:53,078 もう 私は 捨て子の房次郎やない。 なあ? 374 00:36:53,078 --> 00:36:58,783 私は芸術に生きるんやって その時 決めたんや。 375 00:37:01,152 --> 00:37:06,858 何や もう… 思い出して 泣けてきたわ。 ハハハハハ! 376 00:37:09,828 --> 00:37:14,666 それからは 美しいもん いっぱい見て回ってな。 377 00:37:14,666 --> 00:37:20,305 もう美しいもん見ると 体が震えよる。 378 00:37:20,305 --> 00:37:27,178 美しいもんが体の中にあるとな 生きる覚悟もできる。 379 00:37:27,178 --> 00:37:31,983 私は 美しいもんに救われたんや。 380 00:37:34,519 --> 00:37:37,422 内貴はんのもと 離れる時な➡ 381 00:37:37,422 --> 00:37:42,694 お前は 本当に 芸術家になりたいんか聞かれてな➡ 382 00:37:42,694 --> 00:37:48,333 私が「本物の芸術家になりたいと思います」 言うとな➡ 383 00:37:48,333 --> 00:37:54,139 あのお方 私の顔をじ~っと見て こう言わはった。 384 00:37:54,139 --> 00:38:01,880 「芸術家になるんやったら お金とか 名誉とかとは縁を切らんとあかん。➡ 385 00:38:01,880 --> 00:38:05,483 そんなとこに芸術はない」。 386 00:38:05,483 --> 00:38:09,354 その言葉で 生きてこれたんや。 387 00:38:09,354 --> 00:38:12,657 内貴さんは大切な方なのですね。 388 00:38:12,657 --> 00:38:21,166 そやなあ… 今から考えたら あの方は 私の父親代わりだったのかもしれんなあ。 389 00:38:21,166 --> 00:38:25,837 よ~う来はりましたな。 ご苦労さまどした。 390 00:38:25,837 --> 00:38:28,740 ご住職も お元気そうで。 391 00:38:28,740 --> 00:38:34,012 今日は お盆やから お二人の大事なお精霊さんも➡ 392 00:38:34,012 --> 00:38:36,047 おそばに いてはります。 393 00:38:36,047 --> 00:38:39,317 大切に もてなしてあげてください。 394 00:38:39,317 --> 00:38:42,520 そばに いるのですか? はい。 395 00:38:42,520 --> 00:38:58,069 (せみの声) 396 00:38:58,069 --> 00:39:04,375 お精霊さんは お料理の香りを喜んで食べはるんです。 397 00:39:07,679 --> 00:39:14,452 魯山人はん あるもん何でも使て 喜ばせてあげてください。 398 00:39:14,452 --> 00:39:16,754 いつもありがとう。 399 00:39:24,829 --> 00:39:27,498 はい。 あっ すいません。 400 00:39:27,498 --> 00:39:31,369 さあ お精霊さんの好きなもん作ろうか。 401 00:39:31,369 --> 00:39:33,371 はい。 402 00:39:33,371 --> 00:39:36,841 お母ちゃん 何が好きやった? 403 00:39:36,841 --> 00:39:39,310 がんもどき。 ほう~! 404 00:39:39,310 --> 00:39:44,015 内貴はんも ひろうずが大好物やったなあ。 ひろうず? 405 00:39:44,015 --> 00:39:48,853 あ~ おんなじや。 京都では ひろうず言うんや。 406 00:39:48,853 --> 00:39:50,855 はあ…。 407 00:40:06,404 --> 00:40:12,710 お料理はな 差し上げる相手に 真心を尽くすんやで。 408 00:40:12,710 --> 00:40:18,216 そしたら 気持ちは通じるさかいな。 409 00:40:18,216 --> 00:40:20,218 はい。 410 00:40:31,362 --> 00:40:34,232 いい香り~。 411 00:40:34,232 --> 00:40:37,135 うん…。 412 00:40:37,135 --> 00:40:42,106 「私が作り あなたが食べる」ですね! 413 00:40:42,106 --> 00:40:46,811 そや。 「ヨネ子が作り お母ちゃんが食べる」や。 414 00:40:46,811 --> 00:40:50,114 ハハ…。 はい。 415 00:41:23,881 --> 00:41:29,220 お母ちゃん 喜んでくれはると うれしいな。 416 00:41:29,220 --> 00:41:33,091 ん… 食べや。 417 00:41:33,091 --> 00:41:35,393 頂きます。 うん。 418 00:41:52,377 --> 00:41:55,179 お母ちゃんの味がします。 419 00:41:56,914 --> 00:42:02,520 あんたはな お母ちゃんの愛情を食べて 大きいなったんやで。 420 00:42:02,520 --> 00:42:04,555 (はなをすする音) 421 00:42:04,555 --> 00:42:07,859 お母ちゃん ありがとう。 422 00:42:07,859 --> 00:42:12,563 私は お母ちゃんの味 知らんけどな。 ハハッ…。 423 00:42:17,201 --> 00:42:20,104 夏の名残や。 なあ? 424 00:42:20,104 --> 00:42:24,876 亡くなった人と食べるのも ええもんやろう。 425 00:42:24,876 --> 00:42:27,545 はい。 うん。 426 00:42:27,545 --> 00:43:04,315 ♬~ 427 00:43:04,315 --> 00:43:07,852 お母ちゃんが帰っていかはるで。 428 00:43:07,852 --> 00:43:18,563 ♬~ 429 00:43:18,563 --> 00:43:22,867 また 来年 いらしてください。 430 00:43:30,541 --> 00:43:32,844 真っ赤や。 431 00:43:38,416 --> 00:43:44,922 この赤が 私に まとわりついとる。 432 00:43:48,359 --> 00:43:53,898 <先生が どうして 赤い色に こだわっておられるのか➡ 433 00:43:53,898 --> 00:43:57,768 私には分からなかった> 434 00:43:57,768 --> 00:44:03,174 北大路魯山人先生を 人間国宝に 推薦しようと考えていまして。 435 00:44:03,174 --> 00:44:08,846 私はね 名誉とか勲章とは 無縁でありたいんや。 436 00:44:08,846 --> 00:44:13,518 魯山人先生 会いたくて来ました。 437 00:44:13,518 --> 00:44:15,453 昭子さんって ご存じですか? 438 00:44:15,453 --> 00:44:18,389 先生の娘さんよ。 どうして知ってるの? 439 00:44:18,389 --> 00:44:22,860 私は 北大路魯山人や! 出てけ! 440 00:44:22,860 --> 00:44:27,164 (すすり泣き)