1 00:00:06,832 --> 00:00:12,538 (内蔵助)赤穂武士の面目を 保つには 一人だけでも・ 2 00:00:12,538 --> 00:00:16,976 生き証人を残しておきたい。 (吉右衛門)生き証人…。 3 00:00:16,976 --> 00:00:22,314 (儀兵衛)瀬尾孫左衛門? 寺坂はん同様 何か 密命を・ 4 00:00:22,314 --> 00:00:26,014 下されたんと違いますか? 密命? 5 00:00:27,653 --> 00:00:30,322 (篠)捨てた女の行く末など・ 6 00:00:30,322 --> 00:00:32,992 どうでもよいと お考えなのですか? 7 00:00:32,992 --> 00:00:35,661 (数之進)わしは お前のおかげで 大恥をかいた。 8 00:00:35,661 --> 00:00:39,531 明日 わしと立ち合え! 心得ました。 9 00:00:39,531 --> 00:00:42,334 ・~(テーマ音楽) 10 00:00:42,334 --> 00:01:18,034 ・~ 11 00:01:24,910 --> 00:01:29,848 やはり お逃げなされませ。 12 00:01:29,848 --> 00:01:34,320 主人は 鐘巻流の使い手です。 13 00:01:34,320 --> 00:01:36,989 もとより承知。 14 00:01:36,989 --> 00:01:42,661 無用な立ち合いで 命を縮める事はありません。 15 00:01:42,661 --> 00:01:44,997 そうはゆかぬ。 16 00:01:44,997 --> 00:01:47,900 またも逃げたと 嘲りを受けます。 17 00:01:47,900 --> 00:01:49,868 おやめなされませ! 18 00:01:49,868 --> 00:01:55,868 あなたは来なくていい。 宝光院で待っていなさい。 19 00:02:10,956 --> 00:02:12,891 ・来たぞ! 20 00:02:12,891 --> 00:02:14,891 (大三郎)数之進! 21 00:02:23,969 --> 00:02:25,904 此度は逃げなんだか。 22 00:02:25,904 --> 00:02:30,642 いま一度 確かめたい。 果たし合いに応じれば・ 23 00:02:30,642 --> 00:02:34,480 篠と離縁するのだな? 申すに及ばず。 24 00:02:34,480 --> 00:02:38,650 (伊兵衛)いかん いかん。 果たし合いは藩の掟にそむく。 25 00:02:38,650 --> 00:02:44,523 これは剣術の稽古じゃ。 おお そうであったな。 26 00:02:44,523 --> 00:02:48,994 我らは 大垣藩士にて 有田数之進の朋輩であるが・ 27 00:02:48,994 --> 00:02:53,332 一切 手出しはせぬ。 心おきなく尋常に試合せよ。 28 00:02:53,332 --> 00:02:57,503 相分かった。 (大三郎)腰のものを預かる。 29 00:02:57,503 --> 00:03:03,308 (数之進)皆 よう聞け。 こやつが 世に名高い瀬尾孫左衛門じゃ。 30 00:03:03,308 --> 00:03:06,945 吉良邸討ち入り前夜に 逐電遁走して・ 31 00:03:06,945 --> 00:03:11,817 恥をさらした臆病者じゃ。 笑うてやれ! はっ! 32 00:03:11,817 --> 00:03:16,955 あいにくだが 私は 瀬尾孫左衛門ではござらん。 33 00:03:16,955 --> 00:03:19,858 (数之進)何!? 赤穂浅野の旧臣にして・ 34 00:03:19,858 --> 00:03:24,830 瀬尾孫左衛門の朋輩 寺坂吉右衛門と申す。 35 00:03:24,830 --> 00:03:27,466 (伊兵衛) 寺坂吉右衛門? まことか? 36 00:03:27,466 --> 00:03:30,369 まことでござる。 おのれ たばかったな! 37 00:03:30,369 --> 00:03:34,239 たばかったのではない。 お主の理不尽な狼藉から・ 38 00:03:34,239 --> 00:03:37,476 篠殿を取り戻さんがための 方便じゃ! 39 00:03:37,476 --> 00:03:39,978 (伊兵衛) 寺坂吉右衛門なら 吉良邸に 討ち入った浪士の一人じゃ…。 40 00:03:39,978 --> 00:03:43,315 たわけを言うな! 討ち入った奴が・ 41 00:03:43,315 --> 00:03:46,218 なぜ ここにおる!? 訳は言えぬ。 42 00:03:46,218 --> 00:03:52,518 ええい よくも愚弄しおったな! かかってこい! 43 00:03:54,660 --> 00:03:57,563 お主 立ち合うのか? 44 00:03:57,563 --> 00:04:00,466 はばかりながら 瀬尾孫左衛門に代わり・ 45 00:04:00,466 --> 00:04:03,936 赤穂武士の意地を見せ申す。 46 00:04:03,936 --> 00:04:06,436 相分かった。 47 00:04:09,808 --> 00:04:33,932 ・~ 48 00:04:33,932 --> 00:04:35,932 やあ~! 49 00:04:49,314 --> 00:05:05,797 ・~ 50 00:05:05,797 --> 00:05:08,800 さあ 来い! 51 00:05:08,800 --> 00:05:45,304 ・~ 52 00:05:45,304 --> 00:05:49,174 (伊兵衛)これまでじゃ! …まだまだ! 53 00:05:49,174 --> 00:05:53,178 引け! 引け! 54 00:05:53,178 --> 00:05:56,315 寺坂殿は捨て身で 相討ちを ねろうておる。・ 55 00:05:56,315 --> 00:05:58,984 それが分かって 数之進は踏み込めぬ。 56 00:05:58,984 --> 00:06:01,887 これでは 日が暮れるか 双方 けがをするかじゃ。 57 00:06:01,887 --> 00:06:06,887 よって 引き分けとする。 異存はあるまいな。 58 00:06:08,594 --> 00:06:12,894 ござらん。 くそっ! 59 00:06:15,934 --> 00:06:18,634 寺坂様! 60 00:06:31,283 --> 00:06:39,157 もし 寺坂様に何かあったら 私も死ぬつもりでした。 61 00:06:39,157 --> 00:06:43,295 やすやすと死んではなりません。 62 00:06:43,295 --> 00:06:50,168 生き抜くつもりで死力を尽くせば 道は開けます。 63 00:06:50,168 --> 00:06:54,473 でも これから どうすれば…。 64 00:06:54,473 --> 00:06:57,509 京へ行けば なんとかなります。 65 00:06:57,509 --> 00:07:00,912 赤穂の旧臣が たくさんおりますから。 66 00:07:00,912 --> 00:07:06,612 なんとか つてをたどって 仮住まいを見つけましょう。 67 00:07:09,921 --> 00:07:15,260 私は 夢を見ているのでしょうか。 68 00:07:15,260 --> 00:07:22,260 夢? まさか こうして 寺坂様と…。 69 00:07:24,936 --> 00:07:28,236 私も同じ気持ちです。 70 00:07:51,630 --> 00:07:55,330 ・おいでになりました。 おお 入れ。 71 00:07:58,970 --> 00:08:03,809 進藤様には御機嫌麗しく 恐悦の極みに存じまする。 72 00:08:03,809 --> 00:08:07,779 吉田忠左衛門が家来 寺坂吉右衛門にござりまする。 73 00:08:07,779 --> 00:08:09,915 覚えているぞ。 74 00:08:09,915 --> 00:08:14,786 過日は 天川屋儀兵衛を介し 道中手形を賜りましたる段・ 75 00:08:14,786 --> 00:08:18,924 伏して御礼申し上げ奉ります。 入れと申すに。 76 00:08:18,924 --> 00:08:21,224 ははっ。 77 00:08:27,933 --> 00:08:32,270 残された家族の見舞いは どうじゃ? はかどっているか? 78 00:08:32,270 --> 00:08:37,609 ははっ。 広島 三次 赤穂と ようやく35家族を回りまして・ 79 00:08:37,609 --> 00:08:40,512 残るは 11家族にござりまする。 80 00:08:40,512 --> 00:08:45,951 すまんが 背中をかいてくれぬか。 この辺りじゃ。 はあ…。 81 00:08:45,951 --> 00:08:49,621 かゆいと申しておる! ご無礼致しまする。 82 00:08:49,621 --> 00:08:54,621 ここ ここ… 早う早う…。 83 00:08:57,963 --> 00:09:01,233 グッと。 そうそうそう。 84 00:09:01,233 --> 00:09:05,570 はあ~。 ハハハハ…。 85 00:09:05,570 --> 00:09:07,906 して 何の用じゃ。 はあ…。 86 00:09:07,906 --> 00:09:11,409 頼み事なら手短かに申せ。 実は…。 87 00:09:11,409 --> 00:09:15,247 もっと下。 はっ。 88 00:09:15,247 --> 00:09:17,582 実は何じゃ? 89 00:09:17,582 --> 00:09:20,919 実は 某 昨年の秋から 御公儀隠密に・ 90 00:09:20,919 --> 00:09:23,822 つけ狙われておりまする。 お尋ね者か。 91 00:09:23,822 --> 00:09:27,259 広島の御本家にも 寺坂吉右衛門の行方を・ 92 00:09:27,259 --> 00:09:29,594 問い合わせてきた由…。 もっと強く! 93 00:09:29,594 --> 00:09:31,930 ほとぼりが冷めるまで 身を隠すなら・ 94 00:09:31,930 --> 00:09:35,267 京に限ると存じまして。 おいおい ここは・ 95 00:09:35,267 --> 00:09:38,170 やんごとなき 堂上公卿のお屋敷だぞ。 96 00:09:38,170 --> 00:09:42,607 なんぼなんでも 討ち入りの残党を かくまう訳にはいかぬ。 97 00:09:42,607 --> 00:09:46,478 いえ 市中の片隅に 目立たぬ長屋でもあればと。 98 00:09:46,478 --> 00:09:49,481 それだけか? なら たやすい事じゃ。 99 00:09:49,481 --> 00:09:52,951 心きく者に 早速 申しつける。 100 00:09:52,951 --> 00:09:55,620 かたじけのう存じまする。 101 00:09:55,620 --> 00:09:59,958 あ~ もうよい。 ははっ。 102 00:09:59,958 --> 00:10:02,627 もうよい。 103 00:10:02,627 --> 00:10:05,297 あっ 痛い! 104 00:10:05,297 --> 00:10:08,967 失礼致しました。 ああ~。 105 00:10:08,967 --> 00:10:14,306 隠れ住むならな 大石流が よかろう。 106 00:10:14,306 --> 00:10:19,177 大石流? 女子じゃ。 107 00:10:19,177 --> 00:10:24,950 独り住まいは怪しまれる。 女子を見つけて 一緒に住め。 108 00:10:24,950 --> 00:10:28,854 女子は… おります。 109 00:10:28,854 --> 00:10:35,327 う~ん? フフフフフ。 手回しのよい奴じゃの。 110 00:10:35,327 --> 00:10:40,627 (笑い声) 111 00:10:44,669 --> 00:10:49,669 狭くて申し訳ないが しばらく辛抱して下さい。 112 00:10:54,679 --> 00:10:57,349 一緒に暮らせるのですね? 113 00:10:57,349 --> 00:11:02,187 あなたに… 異存がなければ。 114 00:11:02,187 --> 00:11:06,157 異存など あろうはずがありません。 115 00:11:06,157 --> 00:11:10,295 やっと思いが叶うたのです。 116 00:11:10,295 --> 00:11:15,595 生きて再び会えるとは 思っていませんでした。 117 00:11:17,636 --> 00:11:24,976 私は 何でも致します。 水汲み 炊事 洗濯 掃除。 118 00:11:24,976 --> 00:11:31,276 あれから3年。 随分 回り道をしたものです。 119 00:11:34,986 --> 00:11:41,286 ずっと お慕いしていました。 120 00:11:43,328 --> 00:11:45,997 お篠殿…。 121 00:11:45,997 --> 00:11:57,008 ・~ 122 00:11:57,008 --> 00:12:00,708 篠と呼んで下さりませ。 123 00:12:02,280 --> 00:12:06,151 辛い思いをさせて すまなかった。 124 00:12:06,151 --> 00:12:19,297 ・~ 125 00:12:19,297 --> 00:12:22,634 もう離しはせぬ。 126 00:12:22,634 --> 00:12:32,934 ・~ 127 00:12:44,889 --> 00:12:50,662 こなたは 大石様の御家来 瀬尾孫左衛門の妹にござります。 128 00:12:50,662 --> 00:12:53,331 (小雪)まあ…。 篠と申します。 129 00:12:53,331 --> 00:12:58,003 こちらは 元勘定方 各務八右衛門様の奥様じゃ。 130 00:12:58,003 --> 00:13:00,905 今は お茶屋の女将どす。 131 00:13:00,905 --> 00:13:06,277 立ち寄りましたのは 孫左衛門の 消息を ご存じではないかと。 132 00:13:06,277 --> 00:13:10,277 ああ… 後ほど。 133 00:13:11,950 --> 00:13:13,885 では 奈良茶を2つ。 134 00:13:13,885 --> 00:13:16,385 毎度おおきに。 135 00:13:18,823 --> 00:13:21,823 何かありそうですね。 136 00:13:23,962 --> 00:13:28,633 各務八右衛門という人は 討ち入り派の中心でしたが・ 137 00:13:28,633 --> 00:13:34,933 大石様のお供をして 京都に 滞在中に 姿をくらましたんです。 138 00:13:36,508 --> 00:13:40,245 家族への分配金をもろうた 翌日でした。 139 00:13:40,245 --> 00:13:45,984 あの奥方は 無一文で取り残されて 途方に暮れました。 140 00:13:45,984 --> 00:13:50,321 不憫に思った大石様は 同志の反対を押し切って・ 141 00:13:50,321 --> 00:13:56,194 50両の見舞い金を届けました。 勘定方の妻が 落ちぶれて・ 142 00:13:56,194 --> 00:14:00,494 遊女にでもなっては 赤穂武士の恥辱じゃと。 143 00:14:03,868 --> 00:14:09,568 ほな お篠はんと うちは おんなじ身の上ですな。 144 00:14:11,276 --> 00:14:14,946 私は 各務様と同類です。 145 00:14:14,946 --> 00:14:18,616 逃亡したと 思われておりますので。 146 00:14:18,616 --> 00:14:21,519 逃げたとか裏切ったとか・ 147 00:14:21,519 --> 00:14:24,956 人様は 好き勝手に 言わはりますけど・ 148 00:14:24,956 --> 00:14:28,626 人には それぞれ 事情がおますのや。 149 00:14:28,626 --> 00:14:33,298 切腹して名をあげはった方々は 本望でしょうが・ 150 00:14:33,298 --> 00:14:39,170 後に残された御家族は どんな大変な事か。 151 00:14:39,170 --> 00:14:45,643 主人は いつも言うてました。 これは無謀な企てであると。 152 00:14:45,643 --> 00:14:50,315 年寄りや子供を抱えた家臣を 巻き込んではならんと。 153 00:14:50,315 --> 00:14:55,987 大石様も そう仰せでした。 生くるも死ぬるも・ 154 00:14:55,987 --> 00:15:00,825 赤穂の旧臣に変わりはない。 ひとしく 身の行く末を・ 155 00:15:00,825 --> 00:15:03,795 考えてやらねばならぬと。 156 00:15:03,795 --> 00:15:11,936 一番可哀想なんは 途中で抜けた 主人や孫左衛門です。 157 00:15:11,936 --> 00:15:17,609 一体 命は誰のもんですか? 158 00:15:17,609 --> 00:15:20,945 主君のもんですか? 159 00:15:20,945 --> 00:15:24,282 その孫左衛門ですが…。 160 00:15:24,282 --> 00:15:29,154 ああ 見かけた者がいてます。 えっ!? 161 00:15:29,154 --> 00:15:34,626 各務家におった中間で 長岡天神の近くで2度ほど。 162 00:15:34,626 --> 00:15:37,962 長岡天神? 職人姿に身をやつして・ 163 00:15:37,962 --> 00:15:39,898 何やら せかせかと 歩いてはったそうだす。 164 00:15:39,898 --> 00:15:44,836 いつの事でしょうか? 討ち入りの 確か 翌年やったと思います。 165 00:15:44,836 --> 00:15:48,606 あっ 人違いやったら堪忍どすえ。 166 00:15:48,606 --> 00:15:50,906 ありがとうございます。 167 00:16:23,942 --> 00:16:27,812 ここだ。 はっ? 168 00:16:27,812 --> 00:16:30,815 大石様の隠れがです。 169 00:16:30,815 --> 00:16:35,815 京に おいでの頃 私は 何度も 使いに来た事があります。 170 00:16:37,956 --> 00:16:43,628 ひょっとして 孫左衛門も ここに来たのでは。 171 00:16:43,628 --> 00:16:46,628 しかし 何のために…。 172 00:16:51,970 --> 00:16:56,307 呼び出したのは ほかでもない。 173 00:16:56,307 --> 00:17:01,579 苦労ついでに 但馬の豊岡まで 行ってくれぬか。 174 00:17:01,579 --> 00:17:06,251 豊岡まで? りく殿を 京へ お連れするのだ。 175 00:17:06,251 --> 00:17:08,186 ははっ。 176 00:17:08,186 --> 00:17:15,927 実はな 間瀬久太夫の伜 定八が 伊豆大島で死んだ。 177 00:17:15,927 --> 00:17:21,799 先の望みがないまま 島で暮らすのは よほど辛かろう。 178 00:17:21,799 --> 00:17:28,940 いかに公儀の体面ありといえども 親の切腹に連座して・ 179 00:17:28,940 --> 00:17:34,612 子まで流罪というのは 過酷にすぎる。 180 00:17:34,612 --> 00:17:44,289 そこでじゃ。 内蔵助殿の次男 吉千代が 今年15歳になった。 181 00:17:44,289 --> 00:17:50,161 むざむざと島へ流されるのは 親として忍び難い。 182 00:17:50,161 --> 00:17:55,633 お待ち下さりませ。 大石様は 奥様を離縁なされました。 183 00:17:55,633 --> 00:17:58,970 しかも 吉千代様は 仏門に帰依しておいでです。 184 00:17:58,970 --> 00:18:04,776 離縁しようが仏門に入ろうが 幕府は許すまい。 185 00:18:04,776 --> 00:18:09,914 そこでじゃ。 伊豆大島の3人と・ 186 00:18:09,914 --> 00:18:16,788 流刑の沙汰を待つ15人の御赦免を りく殿が 公儀に嘆願する。 187 00:18:16,788 --> 00:18:22,927 その嘆願書を 近衛様が 江戸城 西の丸に取り次ぐ。 188 00:18:22,927 --> 00:18:24,862 西の丸? 189 00:18:24,862 --> 00:18:32,270 よいか。 将軍家のお世継ぎは 甲州 綱豊様と決まった。 190 00:18:32,270 --> 00:18:36,941 その綱豊様が 此度 西の丸に お入りあそばした。 191 00:18:36,941 --> 00:18:40,812 その名も 家宣様となられた。 はっ。 192 00:18:40,812 --> 00:18:46,951 次期将軍 家宣様の御簾中 熈子様は 近衛家の御当主・ 193 00:18:46,951 --> 00:18:52,623 家熈様のお妹君じゃ。 分かるか? はっ。 194 00:18:52,623 --> 00:18:58,296 権勢並ぶ者なき側用人 柳沢吉保といえどもじゃ・ 195 00:18:58,296 --> 00:19:04,569 お世継ぎのお考えには逆らえまい。 ここが つけめじゃ。 196 00:19:04,569 --> 00:19:06,504 ははっ。 197 00:19:06,504 --> 00:19:11,909 豊岡へ行ってくれるな? しかと承りました。 198 00:19:11,909 --> 00:19:15,780 旅の支度ができたら りく殿への書状を取りに来い。 199 00:19:15,780 --> 00:19:19,784 はっ。 あっ 卒爾ながら…。 何じゃ? 200 00:19:19,784 --> 00:19:23,521 別件ではござりまするが 大石様は 長岡天神に・ 201 00:19:23,521 --> 00:19:26,924 寓居を構えておいででした。 ああ わしが世話をしたのじゃ。 202 00:19:26,924 --> 00:19:30,595 そこには うら若き女性が お住まいでしたが…。 203 00:19:30,595 --> 00:19:34,465 一文字屋の娘か? 一文字屋? 204 00:19:34,465 --> 00:19:39,604 二条寺町の筆屋だ。 それが どうかしたか? 205 00:19:39,604 --> 00:19:41,539 いえ。 206 00:19:41,539 --> 00:19:44,942 お可留は死んだぞ。 207 00:19:44,942 --> 00:19:47,278 えっ? 208 00:19:47,278 --> 00:19:52,278 内蔵助殿の後を追うようにな。 209 00:20:13,971 --> 00:20:17,308 (次郎左衛門) 娘は おととし 亡くなりました。 210 00:20:17,308 --> 00:20:23,648 それは お悔やみ申し上げる。 確か お可留さんといいましたな。 211 00:20:23,648 --> 00:20:25,583 失礼ですが どちらさんで? 212 00:20:25,583 --> 00:20:30,583 播州赤穂の浪人 寺坂吉右衛門と申す者です。 213 00:20:33,658 --> 00:20:38,496 ご亭主は 瀬尾孫左衛門を ご存じか? 知りまへんな。 214 00:20:38,496 --> 00:20:42,667 大石様の御家来で 長岡天神の家に 出入りをしていた者だが…。 215 00:20:42,667 --> 00:20:46,537 知りまへん。 では もう一つ 伺いたい。 216 00:20:46,537 --> 00:20:51,342 お可留さんは 3年前 確か みごもっていたと思うが…。 217 00:20:51,342 --> 00:20:55,213 帰っとくなはれ。 お可留の事は すべて忘れました。 218 00:20:55,213 --> 00:20:57,913 話す事は 何もおへん。 219 00:20:59,684 --> 00:21:04,522 豊岡へ? うむ。 進藤様のお申しつけで・ 220 00:21:04,522 --> 00:21:09,494 大石様の奥様を お迎えにいく。 支度もあるから・ 221 00:21:09,494 --> 00:21:12,794 往復10日ほど かかるかもしれん。 222 00:21:20,304 --> 00:21:27,645 留守中 困った事があれば 草の葉の女将に相談すればよい。 223 00:21:27,645 --> 00:21:30,548 女将は また言うておった。 224 00:21:30,548 --> 00:21:35,520 気晴らしに 店で働いてはどうかと。 225 00:21:35,520 --> 00:21:39,220 道中 お気をつけ下さりませ。 226 00:21:42,994 --> 00:21:49,694 そんな顔をするな。 唐天竺まで行く訳ではないぞ。 227 00:21:53,004 --> 00:22:01,004 お許し下さい。 篠は独りになると 不安で体が震えます。 228 00:22:03,948 --> 00:22:06,284 すぐに戻ってくる。 229 00:22:06,284 --> 00:22:25,284 ・~ 230 00:22:34,312 --> 00:22:39,012 おおきに おおきに。 231 00:22:40,651 --> 00:22:44,522 儀兵衛殿。 これは これは…。 232 00:22:44,522 --> 00:22:48,326 日頃からのお気遣い かたじけのうござりまする。 233 00:22:48,326 --> 00:22:51,662 寺坂はんも あちこち お役目 ご苦労さまでござります。 234 00:22:51,662 --> 00:22:54,565 よう まあ ご無事で 何よりでござりました。 235 00:22:54,565 --> 00:22:59,337 して 今日は…。 へえ 残された御家族様の・ 236 00:22:59,337 --> 00:23:03,608 お集まりやそうで。 そうそう 吉田忠左衛門様の奥様を・ 237 00:23:03,608 --> 00:23:06,944 ご案内して参りましたで。 えっ? 238 00:23:06,944 --> 00:23:11,644 (せきこみ) おお 天川屋か 近う近う。 239 00:23:13,818 --> 00:23:19,523 ああ~ お目通りの首尾は 上々であった。 240 00:23:19,523 --> 00:23:22,960 近衛様は やがて 江戸へ下向し・ 241 00:23:22,960 --> 00:23:28,633 遠島御赦免の仲立ちをして下さる。 ありがたい事でございます。 242 00:23:28,633 --> 00:23:32,970 (りく)天川屋殿 お久しゅうござります。 へへ。 243 00:23:32,970 --> 00:23:38,643 そなたには 大石のみならず 家臣の端々まで・ 244 00:23:38,643 --> 00:23:42,980 手厚い気配りを頂きました。 大石に成り代わって・ 245 00:23:42,980 --> 00:23:45,316 心より御礼申し上げます。 246 00:23:45,316 --> 00:23:49,654 滅相もございません。 手前は ただ お預かりした大金を・ 247 00:23:49,654 --> 00:23:53,324 お指図どおり 御用立てさせて頂いたまでの事。 248 00:23:53,324 --> 00:23:57,662 すべては 大石様の御遺徳に よるものでござります。 249 00:23:57,662 --> 00:24:02,933 大石は申しておりました。 赤穂藩が 殊の外 潤うたのは・ 250 00:24:02,933 --> 00:24:06,437 天川屋の手引きによる 塩の売買によると。 251 00:24:06,437 --> 00:24:08,939 いかにも そのとおり。 いえいえ。 252 00:24:08,939 --> 00:24:13,811 天川屋が今日あるのは 大石様のお引き立てあっての事。 253 00:24:13,811 --> 00:24:16,614 持ちつ持たれつじゃ。 そして ただいまは・ 254 00:24:16,614 --> 00:24:20,484 進藤様の後ろ盾で 大きな商いをさせてもろてます。 255 00:24:20,484 --> 00:24:23,954 そうじゃ 内蔵助殿も偉いが わしも偉いな。 256 00:24:23,954 --> 00:24:28,826 恐れ入ります。 戸山局もな わしの親戚で・ 257 00:24:28,826 --> 00:24:32,630 今は 近衛家の奥向きを 取りしきっておる。 258 00:24:32,630 --> 00:24:36,967 大石瀬左衛門の母でござります。 259 00:24:36,967 --> 00:24:40,304 (りく)源四郎殿は 赤穂の旧臣を・ 260 00:24:40,304 --> 00:24:43,340 60人も 公卿侍に 取り立てて下さった。 261 00:24:43,340 --> 00:24:45,476 60人! 262 00:24:45,476 --> 00:24:49,980 討ち入りを中途で脱落した 罪滅ぼしでござる。 263 00:24:49,980 --> 00:24:52,650 いえいえ それも ご忠義。 264 00:24:52,650 --> 00:24:56,987 ああ もう一人は 吉田忠左衛門の妻女じゃ。 265 00:24:56,987 --> 00:24:59,323 菊でございます。 266 00:24:59,323 --> 00:25:05,129 菊殿は 夫と長男を失い 次男は伊豆大島じゃ。 267 00:25:05,129 --> 00:25:10,935 その胸中たるや 察するに余りある。 268 00:25:10,935 --> 00:25:16,635 奥様 寺坂吉右衛門にござります。 269 00:25:19,944 --> 00:25:23,280 主人が 世話をかけましたな。 270 00:25:23,280 --> 00:25:28,152 滅相もない。 長きにわたり 大恩を受けながら・ 271 00:25:28,152 --> 00:25:33,924 いまだ お見舞いに伺えませず 申し訳ござりませぬ。 272 00:25:33,924 --> 00:25:37,628 うちは 46番目でよい。 273 00:25:37,628 --> 00:25:40,297 ははっ。 274 00:25:40,297 --> 00:25:45,636 お役目が済んだら 大和郡山へ来やれ。 275 00:25:45,636 --> 00:25:51,336 草深い田舎ではあるが 住めば都じゃ。 276 00:25:53,310 --> 00:25:57,181 ありがたき幸せ…。 277 00:25:57,181 --> 00:26:05,256 さて 御一同 図らずも この6月 将軍家に御不幸がござった。 278 00:26:05,256 --> 00:26:10,928 申すまでもなく 御生母 桂昌院様の御逝去でござる。 279 00:26:10,928 --> 00:26:15,800 これによって 近く 大赦令が発せらるるは必定。 280 00:26:15,800 --> 00:26:19,937 また 桂昌院様とは 不仲が取り沙汰された・ 281 00:26:19,937 --> 00:26:25,609 家宣様のお立場が がぜん際立つものと察せられる。 282 00:26:25,609 --> 00:26:28,512 秋には よい風が吹きましょうな。 283 00:26:28,512 --> 00:26:32,283 赤穂藩にゆかりの者は この機を逃さず・ 284 00:26:32,283 --> 00:26:36,620 残された家族ともども 結束して・ 285 00:26:36,620 --> 00:26:40,491 流罪の早い御赦免を 図りとう存ずる。 286 00:26:40,491 --> 00:26:44,491 くれぐれも 御精進あるべし。 287 00:26:58,642 --> 00:27:02,913 どうも 解しかねる。 え? 288 00:27:02,913 --> 00:27:07,585 一文字屋の主人は 何も話してはくれぬ。 289 00:27:07,585 --> 00:27:10,487 お可留様は 女中に産ませた娘ゆえ・ 290 00:27:10,487 --> 00:27:14,458 家族の手前を気にしてるようだ。 291 00:27:14,458 --> 00:27:18,596 そのお可留様は 大石様の思い人で・ 292 00:27:18,596 --> 00:27:21,498 恐らく みごもっておった。 293 00:27:21,498 --> 00:27:26,798 大石様は 京を離れる時 断腸の思いをなされたであろう。 294 00:27:28,939 --> 00:27:34,278 そこで 討ち入りの前夜 孫左衛門に金子を託して・ 295 00:27:34,278 --> 00:27:37,615 お可留様と 生まれてくるお子の行く末を・ 296 00:27:37,615 --> 00:27:41,915 見届けるように 頼んだとは考えられまいか。 297 00:27:44,288 --> 00:27:49,159 ところが お可留様は その翌年に亡くなったという。 298 00:27:49,159 --> 00:27:54,859 子供は 生まれたのか 生まれなかったのか…。 299 00:27:57,301 --> 00:28:02,601 そして 孫左衛門は どこに消えたのか…。 300 00:28:05,910 --> 00:28:11,248 お可留さんは 本当に 亡くなったのでしょうか? 301 00:28:11,248 --> 00:28:14,151 うん? 302 00:28:14,151 --> 00:28:20,925 亡くなったとすれば どこかに お墓があるはずです。 303 00:28:20,925 --> 00:28:25,225 そうか… 墓か。 304 00:28:26,797 --> 00:28:32,269 しつこいお方ですなあ。 死んだものは死んだんや。 305 00:28:32,269 --> 00:28:35,606 お墓は どこに? ええ加減にしとくなはれ! 306 00:28:35,606 --> 00:28:40,306 花を手向けたいのだ。 決して迷惑はかけぬ。 307 00:28:50,621 --> 00:28:53,621 あった。 308 00:28:56,493 --> 00:29:02,793 「二条寺町 一文字屋可留」。 309 00:29:24,922 --> 00:29:30,594 二十か…。 久右衛門というのは? 310 00:29:30,594 --> 00:29:35,894 大石様の別名だ。 京都では池田久右衛門と。 311 00:29:37,935 --> 00:29:41,235 このお花は 誰が? 312 00:29:51,482 --> 00:29:54,482 「刈谷孫兵衛」。 313 00:29:57,287 --> 00:29:59,957 ひょっとして…。 314 00:29:59,957 --> 00:30:06,957 孫左衛門ではないか… いや 孫左衛門に相違ない。 315 00:30:09,633 --> 00:30:12,536 (住職) どこにも記帳されてませんなあ。 316 00:30:12,536 --> 00:30:17,374 刈谷孫兵衛から 供養料は 届けられていますか? 317 00:30:17,374 --> 00:30:23,647 詳しい事は申し上げられません。 口止めをされているんですか? 318 00:30:23,647 --> 00:30:26,647 それも申し上げられません。 319 00:30:29,319 --> 00:30:33,657 あの住職も 一文字屋の主人も・ 320 00:30:33,657 --> 00:30:38,957 御公儀の目を恐れて 赤穂浪士とは係わりたくないのだ。 321 00:30:42,666 --> 00:30:48,539 待ち伏せするしかないな。 待ち伏せ? 322 00:30:48,539 --> 00:30:53,010 毎月 3日の命日に 上善寺の墓地で待てば・ 323 00:30:53,010 --> 00:30:57,010 いつか 孫左衛門が 現れるのではないか。 324 00:30:58,882 --> 00:31:03,954 もう捜すのは やめましょう。 うん? 325 00:31:03,954 --> 00:31:07,624 私は だんだん 腹が立ってきました。 326 00:31:07,624 --> 00:31:11,295 何の便りもなく ただ逃げ隠れするのは・ 327 00:31:11,295 --> 00:31:18,635 身内を見限ったという事です。 私は 捨てられたのです。 328 00:31:18,635 --> 00:31:22,506 そうとは言えまい。 329 00:31:22,506 --> 00:31:29,646 兄は いなくとも 私には あなたという人がいます。 330 00:31:29,646 --> 00:31:46,946 ・~ 331 00:31:56,874 --> 00:31:59,943 ・吉右衛門に ござります。 332 00:31:59,943 --> 00:32:01,943 うむ 入れ。 333 00:32:20,964 --> 00:32:24,964 近う寄れ。 ははっ。 334 00:32:30,641 --> 00:32:35,979 いや 世の中 一筋縄ではいかんわい。 335 00:32:35,979 --> 00:32:39,850 嘆願書は あれっきり なしのつぶてじゃ。 336 00:32:39,850 --> 00:32:46,623 赦免の沙汰どころか 我が身を 守るのに汲々の柳沢吉保は・ 337 00:32:46,623 --> 00:32:51,995 家宣様に贈り物と供応の限りを 尽くしているそうな。 338 00:32:51,995 --> 00:32:55,666 無論 上様は 柳沢の言いなりじゃ。・ 339 00:32:55,666 --> 00:33:01,471 こうなったら 別の矢を放たねばならぬ。 340 00:33:01,471 --> 00:33:05,275 赤穂武士の面目をかけて・ 341 00:33:05,275 --> 00:33:09,613 柳沢吉保に喧嘩を売るのじゃ。 342 00:33:09,613 --> 00:33:11,548 喧嘩を…。 343 00:33:11,548 --> 00:33:13,483 天川屋。 へい。 344 00:33:13,483 --> 00:33:16,954 吉右衛門に そちの存念を 聞かせてやれ。 345 00:33:16,954 --> 00:33:19,254 かしこまりました。 346 00:33:24,828 --> 00:33:29,533 実はな 寺坂はん 幕府の隠密が・ 347 00:33:29,533 --> 00:33:33,503 今も あんたの足取りを 探り続けております。 348 00:33:33,503 --> 00:33:37,975 この天川屋にも来て 何やかんやと 尋ねていきよりました。 349 00:33:37,975 --> 00:33:41,845 恐らく 柳沢様は 浅野家仕置きの不始末を・ 350 00:33:41,845 --> 00:33:45,849 このまま知らん顔して済ませたい。 そのためには・ 351 00:33:45,849 --> 00:33:52,990 寺坂はんを 闇に葬らねばなりまへん。 352 00:33:52,990 --> 00:33:55,659 そこでや。 なあ 寺坂はん。 353 00:33:55,659 --> 00:34:00,497 いっその事 大目付に名乗り出たら どないやろか? 354 00:34:00,497 --> 00:34:02,933 名乗り出るとは? 355 00:34:02,933 --> 00:34:07,633 自首するという事です。 えっ!? 356 00:34:09,273 --> 00:34:14,611 生き残りの47人目が 堂々と名乗り出たら・ 357 00:34:14,611 --> 00:34:22,486 世間は騒ぎますわな。 御公儀は扱いに困りますわな。 358 00:34:22,486 --> 00:34:26,957 何と言うても 3年前と違うて やれ義士や やれ忠臣やと・ 359 00:34:26,957 --> 00:34:29,626 赤穂浪士の評判は上々や。 360 00:34:29,626 --> 00:34:33,964 もし寺坂はんを 前の46人同様 無残に切腹させたら・ 361 00:34:33,964 --> 00:34:38,835 柳沢様は非難ごうごう 立場を なくしますわな。 362 00:34:38,835 --> 00:34:43,307 というて 寺坂はんを 無罪放免にしたら・ 363 00:34:43,307 --> 00:34:47,978 それこそ 一大事や。 大石様以下46人の切腹は・ 364 00:34:47,978 --> 00:34:51,648 果たして正しかったのかどうか 論議が再燃しますわな。 365 00:34:51,648 --> 00:34:58,322 沸騰しますわな。 柳沢様は 追い込まれますわな。 366 00:34:58,322 --> 00:35:06,930 そこでや。 御公儀のとる道は たった一つしかおまへん。 367 00:35:06,930 --> 00:35:11,601 大赦令を発して 寺坂はんの罪を許し・ 368 00:35:11,601 --> 00:35:18,475 なおかつ 遠島処分の御家族を 解き放つに違いない。 369 00:35:18,475 --> 00:35:21,278 …と まあ こういう事です。 370 00:35:21,278 --> 00:35:27,617 寺坂はん 辛いやろうが もう一汗かいてもらえまへんか? 371 00:35:27,617 --> 00:35:31,288 赤穂の旧臣 多しといえども・ 372 00:35:31,288 --> 00:35:34,988 これは あんたにしか できん事です。 373 00:35:40,964 --> 00:35:44,634 しかと心得ました。 374 00:35:44,634 --> 00:35:47,537 まあまあ 待て待て。 375 00:35:47,537 --> 00:35:51,308 天川屋のもくろみは 外れるかもしれぬ。 376 00:35:51,308 --> 00:35:56,980 折角 自首しても あの柳沢吉保の事だ・ 377 00:35:56,980 --> 00:36:01,818 事を公にせず 殺してしまうおそれがある。 378 00:36:01,818 --> 00:36:05,255 そんな事はさせまへん。 寺坂はんが名乗り出はったら・ 379 00:36:05,255 --> 00:36:07,591 すぐさま 江戸中 触れて回ります。 380 00:36:07,591 --> 00:36:12,262 ともかくも 命は捨ててかからねばならぬ。 381 00:36:12,262 --> 00:36:16,133 これまで苦労に苦労を重ねた 吉右衛門に・ 382 00:36:16,133 --> 00:36:21,938 かかる役目を押しつけるのは 情においても忍び難い。 383 00:36:21,938 --> 00:36:27,811 恐れながら 一度は捨てた命にござります。 384 00:36:27,811 --> 00:36:33,283 というてもじゃな…。 吉良邸討ち入りが 46士ではなく・ 385 00:36:33,283 --> 00:36:36,620 47士であった事を 広く世に知らしめ・ 386 00:36:36,620 --> 00:36:42,292 その末席に名を連ねるは 願ってもない誉れ。 387 00:36:42,292 --> 00:36:46,963 この身は どうなろうと 悔いはござりませぬ。 388 00:36:46,963 --> 00:36:50,634 そうか やってくれるか。 389 00:36:50,634 --> 00:36:54,304 赤穂武士の面目にかけて。 390 00:36:54,304 --> 00:36:57,207 祝着なり 吉右衛門。 391 00:36:57,207 --> 00:37:03,113 浅野家を取りつぶし 46人を切腹させた柳沢に・ 392 00:37:03,113 --> 00:37:07,113 此度こそ 吠え面をかかせようぞ。 393 00:37:11,254 --> 00:37:14,591 孫左衛門。 (孫左衛門)来るな 吉右衛門。 394 00:37:14,591 --> 00:37:17,260 なぜ逃げる? 死にとうないのだ。 395 00:37:17,260 --> 00:37:20,931 卑怯者! 卑怯者で結構。 396 00:37:20,931 --> 00:37:24,601 一つしかない命を むざむざと捨てる事はない。 397 00:37:24,601 --> 00:37:27,938 お前も 江戸へは行くな。 何? 398 00:37:27,938 --> 00:37:31,608 きっと 命を落とすぞ。 もとより承知じゃ。 399 00:37:31,608 --> 00:37:36,947 自分を偽るな。 恐ろしさに 足が震えておるではないか。 400 00:37:36,947 --> 00:37:39,947 黙れ! 俺は侍だ! 401 00:37:44,621 --> 00:37:47,524 待て! 孫左衛門! 402 00:37:47,524 --> 00:37:50,961 待て! 403 00:37:50,961 --> 00:37:52,896 孫左衛門…。 404 00:37:52,896 --> 00:37:56,596 もし いかがなされました? 405 00:38:10,914 --> 00:38:13,583 自首? 406 00:38:13,583 --> 00:38:16,486 御公儀に名乗り出るのだ。 407 00:38:16,486 --> 00:38:20,257 寺坂吉右衛門は 私でございますと。 408 00:38:20,257 --> 00:38:25,595 何のために? 柳沢吉保を追いつめ・ 409 00:38:25,595 --> 00:38:28,932 流罪の家族を救う手だては これしかない。 410 00:38:28,932 --> 00:38:32,602 とんでもない その場で殺されますよ! 411 00:38:32,602 --> 00:38:38,275 覚悟の上じゃ。 篠は どうなるのですか! 412 00:38:38,275 --> 00:38:42,612 すまぬが こらえてくれ。 413 00:38:42,612 --> 00:38:46,449 その言葉は 3年前にも聞きました。 414 00:38:46,449 --> 00:38:50,287 武士の本分は 大義を貫く事にある。 415 00:38:50,287 --> 00:38:54,157 女を泣かせる事が 大義でしょうか!? 篠…。 416 00:38:54,157 --> 00:38:58,962 断って下さい! あなたは 十分に忠節を尽くしました! 417 00:38:58,962 --> 00:39:02,232 ここで逃げては男がすたる。 418 00:39:02,232 --> 00:39:06,570 あなたは言いました。 やすやすと死んではならぬと。 419 00:39:06,570 --> 00:39:09,239 死ぬとは限らぬ。 420 00:39:09,239 --> 00:39:14,110 無事に帰ってきたら 一緒に大和郡山へ行こう。 421 00:39:14,110 --> 00:39:18,582 今度こそ祝言を挙げて 安穏に暮らすのだ。 422 00:39:18,582 --> 00:39:22,282 絵空事は聞きたくありません! 423 00:39:25,455 --> 00:39:33,129 まあ聞いてくれ。 私とて 木石ではない。 424 00:39:33,129 --> 00:39:39,269 今になって 大石様のお気持ちが 手に取るように分かるのだ。 425 00:39:39,269 --> 00:39:41,938 惚れ抜いた お可留様を・ 426 00:39:41,938 --> 00:39:45,275 一人 京に残すのは どれだけ辛かったか。 427 00:39:45,275 --> 00:39:51,147 それは 男の身勝手です! 一人の殿様のために・ 428 00:39:51,147 --> 00:39:55,619 なぜ多くの家臣が 命を 捨てなければならないのですか! 429 00:39:55,619 --> 00:39:58,919 侍とは そういうものだ! 430 00:40:01,291 --> 00:40:05,629 侍は 嫌いです! 何をする! 431 00:40:05,629 --> 00:40:09,499 江戸へは行かせませぬ。 どうしても行くというなら・ 432 00:40:09,499 --> 00:40:12,799 あなたを殺して私も死にます! 篠! 433 00:40:14,971 --> 00:40:19,843 うそつき! もう離さないと 言うたではありませんか! 434 00:40:19,843 --> 00:40:22,143 落ち着け! 435 00:40:28,985 --> 00:40:35,325 私は 弱い女です。 一人では生きていけませぬ。 436 00:40:35,325 --> 00:40:54,325 ・~ 437 00:41:19,836 --> 00:42:54,136 ・~ 438 00:45:01,891 --> 00:45:10,600 ・~ 439 00:45:10,600 --> 00:45:14,037 港の奥に 山が どっかり。 440 00:45:14,037 --> 00:45:17,037 韓国の港町 プサン。 441 00:45:21,344 --> 00:45:23,746 山が迫ってるなあ。 442 00:45:23,746 --> 00:45:27,246 家並みが 斜面に へばりついている。 443 00:45:30,553 --> 00:45:32,555 (汽笛) 444 00:45:32,555 --> 00:45:37,360 あっ 「はまゆう」! 下関から到着したんだ。 445 00:45:37,360 --> 00:45:40,196 フェリーは 一晩かけて やって来るけど・ 446 00:45:40,196 --> 00:45:43,833 高速船なら 福岡から3時間ほど。 447 00:45:43,833 --> 00:45:46,533 ほんと 日本から近い。 448 00:45:49,639 --> 00:45:53,409 あれが ヨンド大橋か。 449 00:45:53,409 --> 00:45:56,809 あそこから 街が よく見えそうだな。