1 00:00:36,068 --> 00:00:45,068 (映写機の音) 2 00:00:51,884 --> 00:00:55,220 ♬~ 3 00:00:55,220 --> 00:01:02,094 四国は 伊予松山に 3人の男がいた。 4 00:01:02,094 --> 00:01:07,232 この ふるい城下町にうまれた 秋山真之は➡ 5 00:01:07,232 --> 00:01:09,735 日露戦争がおこるにあたって➡ 6 00:01:09,735 --> 00:01:11,670 勝利は 不可能に ちかいといわれた➡ 7 00:01:11,670 --> 00:01:15,541 バルチック艦隊を ほろぼすにいたる 作戦をたて➡ 8 00:01:15,541 --> 00:01:19,444 それを実施した。 9 00:01:19,444 --> 00:01:26,185 その兄の秋山好古は 日本の騎兵を育成し➡ 10 00:01:26,185 --> 00:01:30,122 史上最強の騎兵といわれる コサック師団をやぶるという➡ 11 00:01:30,122 --> 00:01:33,859 奇蹟を遂げた。 12 00:01:33,859 --> 00:01:37,729 もうひとりは 俳句 短歌といった➡ 13 00:01:37,729 --> 00:01:40,732 日本のふるい短詩型に 新風を入れて➡ 14 00:01:40,732 --> 00:01:46,732 その中興の祖となった 俳人 正岡子規である。 15 00:01:48,407 --> 00:01:53,212 かれらは 明治という時代人の体質で➡ 16 00:01:53,212 --> 00:01:57,082 前をのみ見つめながら あるく。 17 00:01:57,082 --> 00:02:01,553 のぼってゆく坂の上の青い天に➡ 18 00:02:01,553 --> 00:02:05,424 もし一朶の白い雲が かがやいているとすれば➡ 19 00:02:05,424 --> 00:02:11,563 それのみをみつめて 坂をのぼってゆくであろう。 20 00:02:11,563 --> 00:02:22,263 ♬~ 21 00:02:30,249 --> 00:02:35,249 宣戦布告は まだ おこなわれていない。 22 00:02:38,056 --> 00:02:40,859 しかし 海上では➡ 23 00:02:40,859 --> 00:02:43,859 最初の砲煙があがった。 24 00:02:47,432 --> 00:02:54,539 この日 早朝 朝鮮西岸の豊島沖で 日本艦隊は 清国艦隊と遭遇し➡ 25 00:02:54,539 --> 00:02:58,877 戦闘の火蓋が切られた。 26 00:02:58,877 --> 00:03:04,549 さらに 午前10時 敵艦を 追いかけていた巡洋艦 浪速は➡ 27 00:03:04,549 --> 00:03:08,220 べつの目標を発見した。 28 00:03:08,220 --> 00:03:11,890 大型汽船であった。 29 00:03:11,890 --> 00:03:15,560 マストに 英国旗をかかげているが➡ 30 00:03:15,560 --> 00:03:20,560 清国陸軍の将兵を 満載していることがわかった。 31 00:03:23,435 --> 00:03:28,140 浪速は この英国汽船 高陞号に対し➡ 32 00:03:28,140 --> 00:03:34,046 「本艦につづいて来たれ」と命じた。 33 00:03:34,046 --> 00:03:39,046 ところが 事態は 容易には進まなかった。 34 00:03:41,186 --> 00:03:47,486 浪速の艦長は東郷平八郎であった。 35 00:03:52,197 --> 00:03:58,197 浪速から ボートが出 士官が派遣された。 36 00:04:04,209 --> 00:04:06,609 (清国兵の声) 37 00:04:13,885 --> 00:04:16,085 カモン。 38 00:04:59,364 --> 00:05:01,964 (騒ぐ声) 39 00:05:14,346 --> 00:05:18,346 (騒ぐ声) 40 00:05:31,830 --> 00:05:34,830 (広瀬)清国兵の様子が どうも 変です。 41 00:06:13,772 --> 00:06:19,044 (人見)清国兵は 明らかに イギリス船長を脅迫しています。➡ 42 00:06:19,044 --> 00:06:21,947 強いて 我が命に従わそうとすれば➡ 43 00:06:21,947 --> 00:06:27,247 イギリス船員に危害を加える 公算大です。 44 00:06:35,494 --> 00:06:39,494 (東郷)船長の要求には応じられん。 45 00:06:42,400 --> 00:06:47,506 高陞号に信号を。 「直ちに その船を見捨てよ」。 46 00:06:47,506 --> 00:06:51,476 (志津田)はっ! 「直ちに その船を見捨てよ」。 送ります。 47 00:06:51,476 --> 00:06:54,212 ♬~ 48 00:06:54,212 --> 00:07:01,212 (騒ぐ声) 49 00:07:32,450 --> 00:07:36,988 (信号兵)高陞号に旗旒。 出帆F。 50 00:07:36,988 --> 00:07:43,728 出帆F。 高陞号より 「ボートを送られたし」。 51 00:07:43,728 --> 00:07:46,998 ボートを出すことは できもはん。 52 00:07:46,998 --> 00:07:50,735 みすみす 人質を渡すだけでごわす。 53 00:07:50,735 --> 00:07:53,538 もう一度 信号を送りゃんせ。 54 00:07:53,538 --> 00:07:57,175 了解。 「ボートを送りがたし。➡ 55 00:07:57,175 --> 00:08:00,175 直ちに その船を見捨てよ」。 送ります。 56 00:08:17,195 --> 00:08:23,535 (志津田)高陞号より 「貴 命令に従うことは➡ 57 00:08:23,535 --> 00:08:25,835 許されず」! 58 00:08:44,155 --> 00:08:46,655 撃沈する。 59 00:08:58,169 --> 00:09:01,072 赤旗 揚げい。 60 00:09:01,072 --> 00:09:06,511 東郷は マストに 危険をしらせる赤旗をかかげた。 61 00:09:06,511 --> 00:09:09,414 (信号兵)いっぱ~い 赤! 62 00:09:09,414 --> 00:09:13,614 (騒ぐ声) 63 00:09:18,723 --> 00:09:22,360 右 戦闘。 目標 高陞号。 64 00:09:22,360 --> 00:09:26,564 右 戦闘! 目標 高陞号! 右 戦闘! 目標 高陞号! 65 00:09:26,564 --> 00:09:45,517 ♬~ 66 00:09:45,517 --> 00:09:47,452 装填 よ~し! 67 00:09:47,452 --> 00:09:56,161 ♬~ 68 00:09:56,161 --> 00:10:00,331 主砲 側砲 射撃用意よろし。 69 00:10:00,331 --> 00:10:05,170 側砲 撃ち方 始め。 70 00:10:05,170 --> 00:10:12,844 (広瀬)中央 喫水線を狙え。 右側砲 撃ち方 始め! 71 00:10:12,844 --> 00:10:19,044 (大砲の音) 72 00:10:26,191 --> 00:10:29,527 高陞号は しずんだ。 73 00:10:29,527 --> 00:10:33,398 船長以下 数名の船員は 救助されたが➡ 74 00:10:33,398 --> 00:10:37,398 清国兵は ほとんど溺死した。 75 00:10:39,537 --> 00:10:43,408 この事件は すぐに 上海電報によって➡ 76 00:10:43,408 --> 00:10:46,878 英国に打電された。 77 00:10:46,878 --> 00:10:49,214 (伊藤) イギリスの船を沈めた? 78 00:10:49,214 --> 00:10:52,550 (陸奥)はい。 詳しいことは 今 調査中です。 79 00:10:52,550 --> 00:10:55,153 なんちゅうことを してくれたんじゃ! 80 00:10:55,153 --> 00:10:58,356 艦長の… 何ちゅうた? 81 00:10:58,356 --> 00:11:02,227 (山本権兵衛)東郷平八郎でごわす。 (伊藤)直ちに罷免じゃ。 82 00:11:02,227 --> 00:11:07,098 待ってください。 イギリス商船は➡ 83 00:11:07,098 --> 00:11:10,101 清国の陸兵を 輸送中でごわした。 84 00:11:10,101 --> 00:11:15,306 イギリスを敵に回して この戦に 勝ち目などあるか! 85 00:11:15,306 --> 00:11:22,113 東郷は イギリス商船学校の出。 国際法にも精通しちょりもす。 86 00:11:22,113 --> 00:11:27,786 決して 軽率な行動を とるような男では ありもはん。 87 00:11:27,786 --> 00:11:32,590 (陸奥)閣下。 ここは 様子を見ましょう。 88 00:11:32,590 --> 00:11:35,593 調べもつかぬうちに 東郷の首を切ったりすれば➡ 89 00:11:35,593 --> 00:11:41,293 かえって イギリスから 未熟な国と思われますぞ。 90 00:11:52,076 --> 00:11:54,746 このとき 北京では➡ 91 00:11:54,746 --> 00:12:02,446 24歳になった光緒帝の誕生祝いが 盛大に行われていた。 92 00:12:13,798 --> 00:12:18,236 (小村寿太郎) おう! ハハハッ エクセレント! 93 00:12:18,236 --> 00:12:20,538 北京の代理公使として➡ 94 00:12:20,538 --> 00:12:23,775 日清戦争の開戦前夜の 外交処理をしたのが➡ 95 00:12:23,775 --> 00:12:25,743 小村寿太郎であった。 96 00:12:25,743 --> 00:12:28,580 見てみろ! (久保)ソーリー ソーリー。 もう戻りましょう。 97 00:12:28,580 --> 00:12:31,816 よし 飲もう。 ほれ 飲め。 あんまり…。 98 00:12:31,816 --> 00:12:34,719 かまわん かまわん! さあ 飲め。 99 00:12:34,719 --> 00:12:38,719 おう すごいの! 100 00:12:49,033 --> 00:12:52,333 (外交官たちの笑い声) 101 00:12:57,642 --> 00:13:00,542 (笑い声) 102 00:13:02,480 --> 00:13:08,480 何だ? この刺すような視線は。 イギリスの連中です。 103 00:13:14,092 --> 00:13:16,592 おかんむりだな。 104 00:13:26,137 --> 00:13:43,521 (拍手) 105 00:13:43,521 --> 00:13:46,321 李鴻章です。 106 00:13:50,662 --> 00:13:53,998 当時 北京の代表的政治家は➡ 107 00:13:53,998 --> 00:13:56,901 李鴻章であった。 108 00:13:56,901 --> 00:14:00,905 北京にいる 列強外交団などは 彼をおだて➡ 109 00:14:00,905 --> 00:14:03,675 「東洋のビスマルク」と ほめたし➡ 110 00:14:03,675 --> 00:14:08,675 日本の外務省などでは 「夷人ころばしの名人」ともいった。 111 00:15:39,804 --> 00:15:41,739 (久保)せっかく お会いできたので この機に➡ 112 00:15:41,739 --> 00:15:44,539 お聞きしたいことがあると おっしゃってます。 113 00:16:01,159 --> 00:16:06,664 見渡したところ 閣下の背丈が 一番小さいようですが➡ 114 00:16:06,664 --> 00:16:12,864 貴国では そのように 皆さんは小さいのかと。 115 00:16:49,073 --> 00:16:52,073 (笑い声) 116 00:17:42,793 --> 00:17:48,499 ♬~ 117 00:17:48,499 --> 00:17:51,969 英国汽船撃沈事件をめぐっては➡ 118 00:17:51,969 --> 00:17:55,339 当初 英国の各紙は これを批判し➡ 119 00:17:55,339 --> 00:18:01,145 英国外相は 日本政府の責任を追及した。 120 00:18:01,145 --> 00:18:05,149 だが結局 事態があきらかになるとともに➡ 121 00:18:05,149 --> 00:18:09,320 浪速の処置は 国際法上 合法であることがわかって➡ 122 00:18:09,320 --> 00:18:12,720 英国側の態度も冷静になった。 123 00:18:15,126 --> 00:18:19,864 しかし 海軍主事 山本権兵衛は➡ 124 00:18:19,864 --> 00:18:24,235 東郷を そのままにしなかった。 125 00:18:24,235 --> 00:18:32,376 わざわざ 戦場から浪速を帰国させ 東郷を海軍省によびだした。 126 00:18:32,376 --> 00:18:35,012 権兵衛と東郷とは➡ 127 00:18:35,012 --> 00:18:40,251 おなじく戊辰戦争に参加した 薩摩の復員兵仲間だが➡ 128 00:18:40,251 --> 00:18:48,551 東郷のほうが5つ年上で 一時 おなじ軍艦に乗ったこともある。 129 00:18:50,728 --> 00:18:55,866 すごか決断じゃったなあ。 東郷さぁのおかげで➡ 130 00:18:55,866 --> 00:19:01,505 成歓での初戦は 日本の勝利じゃ。➡ 131 00:19:01,505 --> 00:19:07,311 陸軍省からも えらく感謝されもした。 132 00:19:07,311 --> 00:19:13,851 じゃっどん 心配性の伊藤閣下は 大変じゃった。 133 00:19:13,851 --> 00:19:16,520 「一軍艦の艦長は➡ 134 00:19:16,520 --> 00:19:20,858 その責務において 国家を代表するものである。➡ 135 00:19:20,858 --> 00:19:29,200 今度の処置は 周到な考慮を 経たうえでの決断とは思われん」。 136 00:19:29,200 --> 00:19:35,473 おはんの用意周到さは おいが一番よう知っちょ。 137 00:19:35,473 --> 00:19:40,611 国際法の研究が 趣味じゃっちゅうこつもな。 138 00:19:40,611 --> 00:19:45,449 じゃっどん 東郷さを監督せんにゃ ならん立場じゃって➡ 139 00:19:45,449 --> 00:19:50,354 ひと言 言わせてもらう。 140 00:19:50,354 --> 00:19:56,054 他に方法は ほんのこて なかったとか? 141 00:19:57,828 --> 00:20:00,498 もし 高陞号撃沈に際し➡ 142 00:20:00,498 --> 00:20:03,434 おはんが 英国国旗を降ろすこつを 命じたなら➡ 143 00:20:03,434 --> 00:20:08,973 英国世論は こげん 騒がんかったとじゃなかか? 144 00:20:08,973 --> 00:20:14,779 更に おいなら 別の処置をとったかもしれん。 145 00:20:14,779 --> 00:20:19,717 撃沈せんで 拿捕する。 どげんじゃ? 146 00:20:19,717 --> 00:20:25,523 こいなら 外交上 いささかの問題も起こらんじゃろ。 147 00:20:25,523 --> 00:20:30,928 あん場合 英国国旗を降ろすこつは➡ 148 00:20:30,928 --> 00:20:35,766 清国兵の妨害に遭い できんかったでしょう。 149 00:20:35,766 --> 00:20:44,442 また あいだけの大型船を 拿捕するこつは 無理でごわす。 150 00:20:44,442 --> 00:20:49,246 じゃっどん 東郷さぁ➡ 151 00:20:49,246 --> 00:20:56,520 英国海軍の論調の中には こげなものも あったど。 152 00:20:56,520 --> 00:21:02,426 「東郷は 波間に浮き沈みする 1,000人の清国兵を➡ 153 00:21:02,426 --> 00:21:06,197 一兵だに救わなかった。➡ 154 00:21:06,197 --> 00:21:10,568 無力化した敵兵を救助するのが➡ 155 00:21:10,568 --> 00:21:14,905 ネルソン以来 英国海軍の伝統である。➡ 156 00:21:14,905 --> 00:21:24,005 日本人には 戦時の人道についての 知識がないのではないか」ち。 157 00:21:29,920 --> 00:21:36,320 軍人は みすみす 敵を逃がすことは できもはん。 158 00:21:38,295 --> 00:21:42,867 おいは 決めたこつに 責任をば持つ。 159 00:21:42,867 --> 00:21:48,867 必要ならば 腹も切る。 じゃっどん 後悔は しもはん。 160 00:21:51,575 --> 00:22:00,975 戊辰の戦以来 おいは そげんして 刀を抜き 戦ってきもした。 161 00:22:07,858 --> 00:22:12,458 用意周到なうえに しぶとか。 162 00:22:14,498 --> 00:22:21,572 一軍の将たる者 そのしぶとさが必要でごわす。 163 00:22:21,572 --> 00:22:31,072 今度の戦は おはんの力をば 頼りとしておいもす。 164 00:22:33,918 --> 00:22:36,821 子規の根岸の里にも➡ 165 00:22:36,821 --> 00:22:41,625 たたかいの あら風は おしよせている。 166 00:22:41,625 --> 00:22:44,895 戦地から送られてくる 従軍記事で➡ 167 00:22:44,895 --> 00:22:49,400 新聞「日本」の紙面も 大活況を呈するようになり➡ 168 00:22:49,400 --> 00:22:54,205 社の連中が 従軍記者として どんどん出ていった。 169 00:22:54,205 --> 00:22:56,140 行ってまいります。 170 00:22:56,140 --> 00:22:58,776 (陸)弾に当たらないよう 気をつけてください。 171 00:22:58,776 --> 00:23:03,047 はい。 お心遣い ありがとうございます。 172 00:23:03,047 --> 00:23:07,218 正岡 あとは頼んだぞ。 173 00:23:07,218 --> 00:23:09,153 (子規)ああ。 174 00:23:09,153 --> 00:23:12,356 清国に着いたら よい記事を どしどし送るからな➡ 175 00:23:12,356 --> 00:23:14,758 楽しみに待っておれ。 176 00:23:14,758 --> 00:23:20,458 それでは 陸先生 失礼します。 177 00:23:22,500 --> 00:23:30,100 (一同)万歳 万歳! 178 00:23:40,351 --> 00:23:44,451 先生。 アシも…。 179 00:23:46,857 --> 00:23:49,760 アシも 従軍させてもらえんじゃろか? 180 00:23:49,760 --> 00:23:55,199 正岡君。 分かっとります。 181 00:23:55,199 --> 00:23:57,868 アシの体のことを 心配していただけるんは➡ 182 00:23:57,868 --> 00:24:03,207 ありがたく思うとります。 じゃが…➡ 183 00:24:03,207 --> 00:24:10,207 一人 また一人 同僚が戦場へ旅立つ。 184 00:24:12,550 --> 00:24:15,452 アシ一人だけが…。 185 00:24:15,452 --> 00:24:21,152 君には 蕪村の発掘という 大仕事があるではないですか。 186 00:24:22,893 --> 00:24:27,231 古い句に 光を当てるいう仕事は➡ 187 00:24:27,231 --> 00:24:32,503 土蔵の暗がりを はいずり回るようなもんです。 188 00:24:32,503 --> 00:24:36,203 そこが あなたの戦場です。 189 00:24:44,582 --> 00:24:51,922 「五月雨を あつめて早し 最上川」。 芭蕉の この句より➡ 190 00:24:51,922 --> 00:24:59,763 「五月雨や 大河を前に 家二軒」。 蕪村の この句の方が➡ 191 00:24:59,763 --> 00:25:03,167 情景が生き生きと目に浮かび 優れている。 192 00:25:03,167 --> 00:25:06,971 そう評した君は 卓越でした。 193 00:25:06,971 --> 00:25:09,471 アシは…。 194 00:25:18,215 --> 00:25:25,115 「春の水 山なき国を 流れけり」。 これは どうです? 195 00:25:34,198 --> 00:25:39,436 その「山なき国」というのは いけません。 何故? 196 00:25:39,436 --> 00:25:45,676 「山なき国」とは何でしょう? 関東の武蔵野辺りかもしれんが➡ 197 00:25:45,676 --> 00:25:51,048 そういう地理的観念に頼るんは いかんと思います。 198 00:25:51,048 --> 00:25:56,520 俳句いうもんは 読み上げた時に すぐ情景が浮かんでこんと。 199 00:25:56,520 --> 00:26:03,293 つまり 俳句とは… 写生です。 200 00:26:03,293 --> 00:26:07,698 写生ですか? はい。 201 00:26:07,698 --> 00:26:12,569 ほ~ら 君も 戦っているじゃないですか。 202 00:26:12,569 --> 00:26:47,569 ♬~ 203 00:26:55,846 --> 00:26:58,182 秋山好古が➡ 204 00:26:58,182 --> 00:27:03,854 第二軍の騎兵第一大隊長として 遼東半島に上陸したのは➡ 205 00:27:03,854 --> 00:27:07,954 10月24日である。 206 00:27:10,094 --> 00:27:18,202 好古の騎兵大隊は 旅順要塞の 敵情を偵察するために前進した。 207 00:27:18,202 --> 00:27:20,871 好古にとっても➡ 208 00:27:20,871 --> 00:27:23,207 日本騎兵にとっても➡ 209 00:27:23,207 --> 00:27:26,207 これは初陣というべきであった。 210 00:27:29,079 --> 00:27:31,949 (好古) 第ニ軍 大山司令官宛 上申書。 211 00:27:31,949 --> 00:27:34,049 (稲垣)はい。 212 00:27:36,153 --> 00:27:41,959 当捜索隊の情報によれば 敵が 旅順城を死守することは確実なり。 213 00:27:41,959 --> 00:27:46,497 はっ。 旅順攻撃の最も有効な方法は➡ 214 00:27:46,497 --> 00:27:52,369 夜明けに乗じ 軍の主力をもって 旅順本道から 水師営を経て➡ 215 00:27:52,369 --> 00:27:56,140 旅順市街へ 素早く 飛び込むことにあり。 はっ。 216 00:27:56,140 --> 00:28:01,945 (沢田)入ります! 大隊長殿 驚くべき情報が入りました。 217 00:28:01,945 --> 00:28:04,515 旅順要塞の最高指揮官 ロウ・ショウヨが➡ 218 00:28:04,515 --> 00:28:07,851 船で 芝罘に脱出したとの うわさが広がっております。 219 00:28:07,851 --> 00:28:09,787 信じられん…。 220 00:28:09,787 --> 00:28:13,524 おい 確認してこい。 はっ。 221 00:28:13,524 --> 00:28:17,524 (稲垣)一体 どういうことじゃ? (沢田)わしにも分かりません。 222 00:28:22,199 --> 00:28:25,099 (熊谷)おっ 待っとったばい。 223 00:28:29,740 --> 00:28:33,477 大隊長殿 活力のもとば 調達いたしました。 224 00:28:33,477 --> 00:28:35,477 来たか。 225 00:28:37,147 --> 00:28:44,621 おう じいさん いつも すまんな。 ほい 取っといてくれ。 226 00:28:44,621 --> 00:28:48,521 しばらく この家も 使わしてもらうぞな。 227 00:29:15,185 --> 00:29:19,022 こんじいさん 「軍人は好かん」と言うとります。 228 00:29:19,022 --> 00:29:22,993 そうか。 そりゃそうじゃろうのう。 229 00:29:22,993 --> 00:29:27,731 じいさんにしてみりゃ 迷惑千万じゃ。 230 00:29:27,731 --> 00:29:30,531 おう! おい 手伝わんか。 231 00:29:45,148 --> 00:29:49,386 大隊長殿! なんばしよるとですか!? 232 00:29:49,386 --> 00:29:53,824 あ~ うまい! 毒は ないようじゃ。 233 00:29:53,824 --> 00:29:57,461 大隊長殿! 毒味は 僕が仕事ですけん! 234 00:29:57,461 --> 00:30:01,064 そうじゃったの。 つい 待ち切れんでの。 235 00:30:01,064 --> 00:30:04,935 (笑い声) 236 00:30:04,935 --> 00:30:08,805 熊谷。 はっ。 じいさんに言うてやれ。 237 00:30:08,805 --> 00:30:13,805 「もうすぐ 戦が始まる。 うまく逃げるんじゃ」と。 はっ。 238 00:30:23,287 --> 00:30:27,387 稲垣。 はい。 報告の続きじゃ。 239 00:30:29,826 --> 00:30:37,826 好古は 第ニ軍司令官 大山 巌にあて 意見書を送った。 240 00:30:40,570 --> 00:30:44,708 大山は 西郷隆盛の 従弟であり➡ 241 00:30:44,708 --> 00:30:48,008 少年のころから その影響をうけた。 242 00:30:49,546 --> 00:30:52,449 いかにも薩摩型の指揮官で➡ 243 00:30:52,449 --> 00:30:54,885 大将になるために うまれてきたような➡ 244 00:30:54,885 --> 00:30:57,985 大雅量をもっている。 245 00:31:00,424 --> 00:31:03,360 第一師団長は 隻眼のため➡ 246 00:31:03,360 --> 00:31:08,165 独眼竜といわれた 中将 山地元治である。 247 00:31:08,165 --> 00:31:11,668 その傘下に ふたつの旅団があり➡ 248 00:31:11,668 --> 00:31:16,968 旅団長のひとりは 少将 乃木希典であった。 249 00:31:29,086 --> 00:31:33,390 (大山 巌) みんな 読んでくれたか? 250 00:31:33,390 --> 00:31:41,131 さすが 秋山。 まっこて見事な上申書じゃ。 251 00:31:41,131 --> 00:31:48,939 敵兵の配置情報 状況分析 攻略法 ともに明解じゃ。 252 00:31:48,939 --> 00:31:54,678 おいは こん上申書を基にして 作戦を立てもした。 253 00:31:54,678 --> 00:31:59,349 おはんらに聞いてもらいたか。 254 00:31:59,349 --> 00:32:06,490 旅順要塞防衛線の北 我が方の右翼に➡ 255 00:32:06,490 --> 00:32:10,193 敵主力が構えちょっとは 明らかじゃ。 256 00:32:10,193 --> 00:32:18,568 我が軍の精鋭部隊を ここに置きたか。 ついては…。 257 00:32:18,568 --> 00:32:26,343 (乃木希典)我が第一旅団を 右翼攻撃に お命じいただきたい。 258 00:32:26,343 --> 00:32:31,214 我が旅団は 金州攻撃の先鋒として➡ 259 00:32:31,214 --> 00:32:36,653 わずか一日で 金州城を陥落させております。 260 00:32:36,653 --> 00:32:41,491 この勢いをもってすれば 旅順城は敵ではありません。 261 00:32:41,491 --> 00:32:47,264 乃木さぁ おはんは 7日の砲台攻撃でも➡ 262 00:32:47,264 --> 00:32:53,070 師団長の裁可なしに 一気に攻略したち 聞いちょる。 263 00:32:53,070 --> 00:32:56,973 う~ん その気概や よし。 264 00:32:56,973 --> 00:33:02,679 何とぞ 我が旅団を右翼に。 265 00:33:02,679 --> 00:33:07,217 う~ん… まあ おいの作戦も➡ 266 00:33:07,217 --> 00:33:11,417 ちっとは聞いてくれても よかじゃろ。 267 00:33:13,824 --> 00:33:18,628 (一同の笑い声) 268 00:33:18,628 --> 00:33:25,528 旅順攻撃開始は 11月21日 ということに きめられた。 269 00:33:27,904 --> 00:33:33,376 好古の隊は 意見書を出した翌日の朝7時➡ 270 00:33:33,376 --> 00:33:38,515 宿営地を出発し 前進した。 271 00:33:38,515 --> 00:33:42,452 ところが 午前10時ごろ➡ 272 00:33:42,452 --> 00:33:45,622 水師営方面から 前進してきたらしい➡ 273 00:33:45,622 --> 00:33:52,322 おびただしい敵と遭遇し 全面衝突となった。 274 00:33:54,865 --> 00:33:57,165 (大砲の音) 275 00:33:59,202 --> 00:34:02,539 戦況は のっけから不利である。 276 00:34:02,539 --> 00:34:04,875 (稲垣)大隊長殿!➡ 277 00:34:04,875 --> 00:34:10,747 大隊長殿 ここは危険です。 もう少し お下がりください。 278 00:34:10,747 --> 00:34:13,047 お前も飲むか? 279 00:34:16,453 --> 00:34:19,089 ああっ…。 (笑い声) 280 00:34:19,089 --> 00:34:22,089 こ~は? 支那の酒じゃ。 281 00:34:23,927 --> 00:34:26,627 飲まんのなら 返せ。 282 00:34:30,834 --> 00:34:34,571 1つ お伺いして よろしいでしょうか? 283 00:34:34,571 --> 00:34:36,606 ああ? 284 00:34:36,606 --> 00:34:39,706 大隊長殿の指揮刀ですが…。 285 00:34:41,378 --> 00:34:45,849 これか? 皆が心配しております。 286 00:34:45,849 --> 00:34:48,752 大隊長殿は なぜ 戦時になっても 刀を差さず➡ 287 00:34:48,752 --> 00:34:51,588 その指揮刀のままなのかと。 288 00:34:51,588 --> 00:34:57,160 突撃の指揮を執る者が これでは不安か? 289 00:34:57,160 --> 00:34:59,095 いや。 290 00:34:59,095 --> 00:35:03,700 ええんじゃ これで。 291 00:35:03,700 --> 00:35:06,800 (大砲の音) 292 00:35:10,040 --> 00:35:11,975 馬を引け! ≪はっ! 293 00:35:11,975 --> 00:35:15,245 (稲垣)どちらへ? 大隊長殿! 294 00:35:15,245 --> 00:35:19,182 ♬~ 295 00:35:19,182 --> 00:35:23,086 兵が萎縮しておる。 前へ出る! 296 00:35:23,086 --> 00:35:27,424 むちゃは おやめください! 危険です! 297 00:35:27,424 --> 00:35:30,460 大隊長殿 おやめください! 298 00:35:30,460 --> 00:35:33,163 行くぞ! 299 00:35:33,163 --> 00:35:35,098 大隊長殿! 300 00:35:35,098 --> 00:35:41,698 (大砲の音) 301 00:35:44,874 --> 00:35:47,174 (稲垣)大隊長殿! 302 00:35:49,012 --> 00:35:51,248 (大砲の音) 303 00:35:51,248 --> 00:36:03,460 ♬~ 304 00:36:03,460 --> 00:36:08,198 ええか!? よう聞け! 305 00:36:08,198 --> 00:36:11,534 アシは 旅順へ行けと言われとるんじゃ。 306 00:36:11,534 --> 00:36:18,275 退却という命令は受けておらん。 一歩も引きはせんぞな! 307 00:36:18,275 --> 00:36:24,080 ♬~ 308 00:36:24,080 --> 00:36:29,886 去る者は去れ。 責めはせん。 309 00:36:29,886 --> 00:36:36,159 じゃが アシ一人でも 旅順へ行くぞ! 310 00:36:36,159 --> 00:36:39,963 ♬~ 311 00:36:39,963 --> 00:36:42,063 (熊谷)大隊長殿! 312 00:36:46,736 --> 00:36:48,936 (笑い声) 313 00:36:55,011 --> 00:36:57,011 あ~! 314 00:36:59,015 --> 00:37:01,618 熊谷。 はい。 315 00:37:01,618 --> 00:37:07,424 通訳は要るけんの お前だけは ついてこい。 316 00:37:07,424 --> 00:37:09,424 はっ! 317 00:37:11,194 --> 00:37:13,129 前進! 318 00:37:13,129 --> 00:37:18,301 (稲垣)行け~! (一同)オ~! 319 00:37:18,301 --> 00:37:33,201 ♬~ 320 00:37:38,021 --> 00:37:45,221 (ラッパの音) 321 00:37:51,267 --> 00:37:57,407 騎兵の到着じゃ。 我らも行くぞ! 322 00:37:57,407 --> 00:38:00,807 構え! 323 00:38:05,982 --> 00:38:08,485 撃て! 324 00:38:08,485 --> 00:38:11,685 (銃声) 325 00:38:14,758 --> 00:38:24,033 敵襲 敵襲 敵襲 敵襲 敵襲! 326 00:38:24,033 --> 00:38:27,704 旅順本道の両翼より 新たな敵を発見! 327 00:38:27,704 --> 00:38:30,673 我が軍を包囲すべく こちらに向かっております。 328 00:38:30,673 --> 00:38:33,673 その数 およそ3,000。 329 00:38:41,351 --> 00:38:43,686 敵の主力ではないか! 330 00:38:43,686 --> 00:38:47,857 たかが 200の斥候部隊に そんな大軍が どうして? 331 00:38:47,857 --> 00:38:50,560 清国軍は 一体 なんば考えとるとか? 332 00:38:50,560 --> 00:38:54,264 こりゃ 進軍どころの騒ぎじゃ ありゃせんぞな。 333 00:38:54,264 --> 00:38:56,299 (稲垣)そのとおりです。 334 00:38:56,299 --> 00:38:58,935 前進命令 中止! はっ! 335 00:38:58,935 --> 00:39:04,174 後方部隊 直ちに退却準備じゃ。 (伝令)はっ! 退却準備! 336 00:39:04,174 --> 00:39:07,076 稲垣。 はっ! 337 00:39:07,076 --> 00:39:11,047 戦で最も難しいんは 退却戦じゃ。 338 00:39:11,047 --> 00:39:14,184 勢いに乗った敵は こちらが逃げ足と見れば➡ 339 00:39:14,184 --> 00:39:16,119 どっと来るぞな。 340 00:39:16,119 --> 00:39:19,522 それを食い止め 整然と引き揚げるんじゃ。 341 00:39:19,522 --> 00:39:21,522 はっ! 342 00:39:24,394 --> 00:39:26,394 あ~。 343 00:39:28,198 --> 00:39:32,068 よ~し! アシが殿軍を務める。 344 00:39:32,068 --> 00:39:34,871 バカなことを おっしゃらないでください。 345 00:39:34,871 --> 00:39:38,741 アシがやらんで 誰がやるんじゃ!? 346 00:39:38,741 --> 00:39:42,679 退却準備! ≪撃ち方 やめ! 347 00:39:42,679 --> 00:39:45,148 大隊長殿! 大隊長殿! 348 00:39:45,148 --> 00:39:48,051 大隊長殿! 349 00:39:48,051 --> 00:39:50,487 援護射撃 用意! 350 00:39:50,487 --> 00:39:53,187 (中隊長)構え! 351 00:39:55,992 --> 00:40:00,163 撃て! (銃声) 352 00:40:00,163 --> 00:40:02,098 大隊長殿! 353 00:40:02,098 --> 00:40:07,837 下がれ! (中隊長)下がれ! 下がれ! 354 00:40:07,837 --> 00:40:10,507 下がれ! 355 00:40:10,507 --> 00:40:31,528 ♬~ 356 00:40:31,528 --> 00:40:33,463 手馬! はっ! 357 00:40:33,463 --> 00:40:37,066 好古は 同時代の あらゆるひとびとから➡ 358 00:40:37,066 --> 00:40:43,172 最後の古武士とか 戦国の豪傑の再来などといわれた。 359 00:40:43,172 --> 00:40:48,645 しかし 本来は どうなのであろう。 360 00:40:48,645 --> 00:40:52,815 かれが 松山で おくった少年のころや➡ 361 00:40:52,815 --> 00:40:55,752 大阪で くらした教員時代➡ 362 00:40:55,752 --> 00:41:00,690 ひとびとは かれから およそ 豪傑を想像しなかった。 363 00:41:00,690 --> 00:41:08,932 おだやかで 親切な少年であり 青年であったにすぎない。 364 00:41:08,932 --> 00:41:12,769 勇気は あるいは 固有のものではなく➡ 365 00:41:12,769 --> 00:41:18,942 かれの 自己教育の 所産であったように おもわれる。 366 00:41:18,942 --> 00:41:22,912 ♬~ 367 00:41:22,912 --> 00:41:31,521 第ニ軍の旅順攻撃は 21日の払暁 寒気をついて行われた。 368 00:41:31,521 --> 00:41:37,860 ♬~ 369 00:41:37,860 --> 00:41:41,664 「半年はかかる」といわれた 旅順要塞は➡ 370 00:41:41,664 --> 00:41:47,971 おどろくべきことに まる一日で陥ちてしまった。 371 00:41:47,971 --> 00:41:51,274 ♬~ 372 00:41:51,274 --> 00:41:57,547 勝利の最大の原因は 日本軍のほうにない。 373 00:41:57,547 --> 00:42:03,219 清国兵の士気の低さにあった。 374 00:42:03,219 --> 00:42:09,919 要塞守備兵の大部分は 金州方面に逃げた。 375 00:42:12,629 --> 00:42:15,298 乃木希典。 376 00:42:15,298 --> 00:42:20,136 のちに 日露戦争のときの 第三軍司令官として➡ 377 00:42:20,136 --> 00:42:24,936 旅順攻略の担当者になった。 378 00:42:32,782 --> 00:42:37,520 (子規)従軍が決まりました。 やった~! 従軍じゃ。 379 00:42:37,520 --> 00:42:40,289 大阪師団と共に 海を渡るんじゃ。 380 00:42:40,289 --> 00:42:43,026 戦は恐ろしい。 381 00:42:43,026 --> 00:42:48,765 さっきまで隣におった奴が 一瞬にして死んでしもた。 382 00:42:48,765 --> 00:44:26,165 ♬~ 383 00:45:35,097 --> 00:45:39,869 日本百名山一筆書き踏破 「グレートトラバース」。 384 00:45:39,869 --> 00:45:44,740 登山家で作家の深田久弥が選んだ 日本百名山。 385 00:45:44,740 --> 00:45:49,545 その100の頂を 自分の足だけを 頼りに踏破しようという➡ 386 00:45:49,545 --> 00:45:53,382 前人未到の挑戦だ。 387 00:45:53,382 --> 00:45:56,886 スタートは 屋久島 宮之浦岳。