1 00:00:35,331 --> 00:00:44,331 (映写機の音) 2 00:00:51,147 --> 00:00:54,483 ♬~ 3 00:00:54,483 --> 00:01:01,357 四国は 伊予松山に 3人の男がいた。 4 00:01:01,357 --> 00:01:06,495 この ふるい城下町にうまれた 秋山真之は➡ 5 00:01:06,495 --> 00:01:08,998 日露戦争がおこるにあたって➡ 6 00:01:08,998 --> 00:01:10,933 勝利は 不可能に ちかいといわれた➡ 7 00:01:10,933 --> 00:01:14,804 バルチック艦隊を ほろぼすにいたる 作戦をたて➡ 8 00:01:14,804 --> 00:01:18,707 それを実施した。 9 00:01:18,707 --> 00:01:25,448 その兄の秋山好古は 日本の騎兵を育成し➡ 10 00:01:25,448 --> 00:01:29,385 史上最強の騎兵といわれる コサック師団をやぶるという➡ 11 00:01:29,385 --> 00:01:33,122 奇蹟を遂げた。 12 00:01:33,122 --> 00:01:36,992 もうひとりは 俳句 短歌といった➡ 13 00:01:36,992 --> 00:01:39,995 日本のふるい短詩型に 新風を入れて➡ 14 00:01:39,995 --> 00:01:45,995 その中興の祖となった 俳人 正岡子規である。 15 00:01:47,670 --> 00:01:52,475 かれらは 明治という時代人の体質で➡ 16 00:01:52,475 --> 00:01:56,345 前をのみ見つめながら あるく。 17 00:01:56,345 --> 00:02:00,816 のぼってゆく坂の上の青い天に➡ 18 00:02:00,816 --> 00:02:04,687 もし一朶の白い雲が かがやいているとすれば➡ 19 00:02:04,687 --> 00:02:10,826 それのみをみつめて 坂をのぼってゆくであろう。 20 00:02:10,826 --> 00:02:21,526 ♬~ 21 00:02:25,374 --> 00:02:30,374 19世紀は 帝国主義の時代である。 22 00:02:32,448 --> 00:02:38,954 大英帝国は 最大の海軍力と 産業革命以来の工業力で➡ 23 00:02:38,954 --> 00:02:42,825 世界に君臨していた。 24 00:02:42,825 --> 00:02:51,967 (鐘の音) 25 00:02:51,967 --> 00:02:54,470 (汽笛) 26 00:02:54,470 --> 00:02:56,405 (真之)おう! 27 00:02:56,405 --> 00:03:03,405 真之と広瀬は 英国で 久しぶりの 再会を果たすことになった。 28 00:03:07,816 --> 00:03:11,987 広瀬は ロシア駐在武官を つとめていたが➡ 29 00:03:11,987 --> 00:03:16,158 このとき ゆるされて ヨーロッパ視察旅行中であり➡ 30 00:03:16,158 --> 00:03:18,994 イギリス駐在の真之と おちあい➡ 31 00:03:18,994 --> 00:03:21,497 ともに ポーツマスに行って➡ 32 00:03:21,497 --> 00:03:25,167 戦艦 朝日を見学したのである。 33 00:03:25,167 --> 00:03:29,338 速力 18ノット。 装甲は 9インチ。 34 00:03:29,338 --> 00:03:32,608 12インチ砲4門 6インチ砲14門➡ 35 00:03:32,608 --> 00:03:36,779 速射砲32門 魚雷発射管4門。 36 00:03:36,779 --> 00:03:38,714 (広瀬)おう! 37 00:03:38,714 --> 00:03:44,653 日清戦争が終わったあと 日本は ロシアの脅威に対抗して➡ 38 00:03:44,653 --> 00:03:48,290 大規模な海軍拡張を始めた。 39 00:03:48,290 --> 00:03:52,161 むろん 艦船を 国内でつくる能力はなく➡ 40 00:03:52,161 --> 00:03:57,299 その8割まで 英国に注文することになった。 41 00:03:57,299 --> 00:03:59,299 敬礼! 42 00:04:00,970 --> 00:04:05,808 建造費は 膨大な金額に上った。 43 00:04:05,808 --> 00:04:12,108 日本人は 大げさにいえば 飲まず食わずで つくった。 44 00:04:14,516 --> 00:04:18,988 でかい! さすが 世界一の大戦艦じゃ。 45 00:04:18,988 --> 00:04:25,327 英国で建造中の 我が帝国の軍艦を アシは すべて見学した。 46 00:04:25,327 --> 00:04:29,999 この朝日をはじめ 戦艦 敷島 初瀬 三笠は もちろん➡ 47 00:04:29,999 --> 00:04:32,968 新式巡洋艦の 出雲や磐手に至るまで➡ 48 00:04:32,968 --> 00:04:36,772 皆 恐ろしく優秀な性能を 誇っておる。 これなら➡ 49 00:04:36,772 --> 00:04:41,443 ウラジオストクや旅順にいるロシア艦隊に 少しは対抗できるようになる。 50 00:04:41,443 --> 00:04:47,316 敷島 初瀬 三笠と 合わせち 5,851万4,000円なり。 51 00:04:47,316 --> 00:04:53,155 皆 国民の血税による 高い買い物じゃ。 52 00:04:53,155 --> 00:04:56,655 大事に使わんといけん。 53 00:04:58,994 --> 00:05:02,131 あ~ ええ眺めじゃ! 54 00:05:02,131 --> 00:05:06,468 その子供じみた興奮が じかに小さな規模の➡ 55 00:05:06,468 --> 00:05:10,639 日本の充実と前進ということに つながるということにおいて➡ 56 00:05:10,639 --> 00:05:15,439 幸福な時代だったという他はない。 57 00:05:17,413 --> 00:05:20,149 ここで ええですか? 58 00:05:20,149 --> 00:05:26,488 これは どえらい記念写真になる。 まず 背景が世界最大の軍港じゃ。 59 00:05:26,488 --> 00:05:30,159 立っとる場所は 日本第一の大艦 朝日じゃし➡ 60 00:05:30,159 --> 00:05:32,594 撮られとる2人は…。 61 00:05:32,594 --> 00:05:37,099 (2人)海軍のホープじゃ! ハハハッ。 62 00:05:37,099 --> 00:05:42,899 (竹下)動かんで! 1 2 3…。 63 00:05:52,281 --> 00:05:56,118 (笛の音) 64 00:05:56,118 --> 00:06:01,924 19世紀から この時代にかけて 世界の国家や地域は➡ 65 00:06:01,924 --> 00:06:05,294 他国の植民地になるか それがいやならば➡ 66 00:06:05,294 --> 00:06:10,632 産業を興して軍事力をもち 帝国主義国の仲間入りするか➡ 67 00:06:10,632 --> 00:06:14,832 その2通りの道しかなかった。 68 00:06:36,792 --> 00:06:42,431 国家間に 陰謀と外交と戦争が おこなわれた。 69 00:06:42,431 --> 00:06:45,934 外交官と軍人が 世界史のなかで➡ 70 00:06:45,934 --> 00:06:49,434 もっとも はなやかだった時代である。 71 00:07:27,676 --> 00:07:29,676 (笑い声) 72 00:07:45,427 --> 00:07:47,427 (笑い声) 73 00:09:41,076 --> 00:09:45,580 「極東を争うものは ロシアと英国である」といわれ➡ 74 00:09:45,580 --> 00:09:50,419 このことは 日露戦争当時まで つづく。 75 00:09:50,419 --> 00:09:52,419 サンキュー。 76 00:09:54,089 --> 00:09:59,594 このころ 英国は 南アフリカの戦いに 40万人もの兵士を出し➡ 77 00:09:59,594 --> 00:10:03,594 極東まで 手が まわらなかったのである。 78 00:10:12,107 --> 00:10:16,807 明日から フランスですけん 重いもんは処分せんと。 79 00:10:19,448 --> 00:10:23,618 よかったら これを進呈します。 世界の軍艦の詳細が➡ 80 00:10:23,618 --> 00:10:26,955 すべて これで分かります。 「ジェーン海軍年鑑」。 いいんか? 81 00:10:26,955 --> 00:10:28,890 ここに 全部 入っとりますけん。 82 00:10:28,890 --> 00:10:33,295 いんや 頭に入っとるもんしか 戦場では使えませんけえ。 83 00:10:33,295 --> 00:10:36,631 兵学書は 読んで読んで 読みまくっとるうちに➡ 84 00:10:36,631 --> 00:10:39,468 自然と原理が見えてくるんじゃ。 85 00:10:39,468 --> 00:10:44,139 流血の最も少ない作戦こそ 最良の作戦である。 86 00:10:44,139 --> 00:10:47,809 その考えは 変わっちょらんか。 87 00:10:47,809 --> 00:10:50,145 運と 大量の兵員の死を➡ 88 00:10:50,145 --> 00:10:55,017 初めから願って立てるような 作戦なら 作戦家は不要である。 89 00:10:55,017 --> 00:10:58,854 よし! わしからも 1冊 進呈しよう。 90 00:10:58,854 --> 00:11:03,492 秋山のことじゃ もう読んだち思うが。 91 00:11:03,492 --> 00:11:09,998 マカロフ「海軍戦術論」! おお! 92 00:11:09,998 --> 00:11:13,502 しかも 写真に 本人の署名が入っとる。 93 00:11:13,502 --> 00:11:16,838 去年 クロンシュタットで お会いしたんじゃ。 94 00:11:16,838 --> 00:11:20,509 おう! それは 捨てちゃいけんで! 95 00:11:20,509 --> 00:11:23,178 ロシア海軍の… いや 世界の海軍で➡ 96 00:11:23,178 --> 00:11:26,081 これだけの戦術論を書ける提督は ほかには おらんけん。 97 00:11:26,081 --> 00:11:28,850 広瀬さん だんだん。 98 00:11:28,850 --> 00:11:36,658 翌日から 2人は 40日にわたる ヨーロッパ旅行を ともにしている。 99 00:11:36,658 --> 00:11:43,799 その時 2人は 極東からの 驚嘆すべきニュースに接した。 100 00:11:43,799 --> 00:11:48,136 シナでは いわゆる義和団が蜂起し➡ 101 00:11:48,136 --> 00:11:52,007 さわぎが またたくまに 北シナの天地をおおった。 102 00:11:52,007 --> 00:11:54,810 拳匪ともいう。 103 00:11:54,810 --> 00:12:00,148 各地で 外国人を襲い 外国商社を焼き 鉄道をこわし➡ 104 00:12:00,148 --> 00:12:04,486 電信所を襲った。 105 00:12:04,486 --> 00:12:07,389 連合軍を組織したのは➡ 106 00:12:07,389 --> 00:12:13,662 英 独 米 仏 伊 襖の6か国と➡ 107 00:12:13,662 --> 00:12:16,565 日本とロシアである。 108 00:12:16,565 --> 00:12:21,765 日露両国が もっとも人数が多く 主力をなした。 109 00:12:23,371 --> 00:12:27,509 しかし 入城後に かれらがやった➡ 110 00:12:27,509 --> 00:12:35,209 無差別殺戮と 掠奪のすさまじさは 近代史上 類を絶している。 111 00:12:36,785 --> 00:12:41,957 日本国は 条約改正という 難問題をかかえており➡ 112 00:12:41,957 --> 00:12:45,627 「文明国」であることを 世界に誇示せねばならず➡ 113 00:12:45,627 --> 00:12:52,968 そのため 国際法や国際道義の 忠実な まもり手であろうとした。 114 00:12:52,968 --> 00:12:54,903 (銃声) 115 00:12:54,903 --> 00:12:57,903 (悲鳴) 116 00:13:05,981 --> 00:13:07,981 (銃声) 117 00:13:51,293 --> 00:13:53,993 (爆発音) 118 00:14:26,995 --> 00:14:28,995 (銃声) 119 00:14:30,665 --> 00:14:32,665 (銃声) 120 00:14:37,439 --> 00:14:39,939 (銃声) 121 00:14:59,694 --> 00:15:02,694 (銃声) 122 00:15:05,967 --> 00:15:12,967 (オルゴールの音) 123 00:15:18,980 --> 00:15:26,980 (オルゴールの音) 124 00:15:28,690 --> 00:15:33,261 (子供たち)シュッシュッ ポッポッ…。 125 00:15:33,261 --> 00:15:38,433 真之が 外国勤務を解かれて 帰ってきたのは➡ 126 00:15:38,433 --> 00:15:42,270 明治33年秋である。 127 00:15:42,270 --> 00:15:48,070 帰国後 常備艦隊参謀に 補せられていた。 128 00:15:49,778 --> 00:15:56,951 子規は あいかわらず 根岸の里で病を養っている。 129 00:15:56,951 --> 00:16:00,822 かといって 寝ているばかりではない。 130 00:16:00,822 --> 00:16:05,126 新聞「日本」から 30円の給料を もらっている以上➡ 131 00:16:05,126 --> 00:16:07,462 原稿を かかねばならない。 132 00:16:07,462 --> 00:16:12,801 義務というより 俳論 歌論を 「日本」に かきつづけることが➡ 133 00:16:12,801 --> 00:16:15,704 子規一生の大事業になっていた。 134 00:16:15,704 --> 00:16:17,704 (律)は~い。 135 00:16:20,475 --> 00:16:23,978 (子規)誰ぞ おいでか? 136 00:16:23,978 --> 00:16:27,478 淳さんが おいでじゃ。 137 00:16:34,923 --> 00:16:38,923 兄さん。 大丈夫じゃ。 138 00:16:40,595 --> 00:16:47,595 淳さん 帰りを待っとったぞなもし。 139 00:16:53,308 --> 00:16:56,611 兄さんは 本当 運がええ。 140 00:16:56,611 --> 00:17:01,449 夏目さんが英国に行った思うたら 淳さんが帰ってきておくれたけん。 141 00:17:01,449 --> 00:17:07,122 おかげで 今日は 調子がええぞな。 それは 何よりじゃな。 142 00:17:07,122 --> 00:17:10,122 アメリカ土産じゃ。 143 00:17:12,460 --> 00:17:20,335 珍しいね。 うわ~! こりゃ 何ぞね? 144 00:17:20,335 --> 00:17:23,104 ドリームキャッチャーいうてな➡ 145 00:17:23,104 --> 00:17:25,974 アメリカの原住民が 魔よけに使うとる。 146 00:17:25,974 --> 00:17:31,780 これを枕もとに置くと クモの糸が 悪夢を絡め取ってくれるそうな。 147 00:17:31,780 --> 00:17:36,780 それは ええ! 兄さん 最近 よう うなされとるけん。 148 00:17:40,088 --> 00:17:44,926 どうした? ノボさん。 149 00:17:44,926 --> 00:17:50,598 淳さん だんだん。 150 00:17:50,598 --> 00:17:56,104 アシにとって この病床6尺こそ 悪夢じゃ。 151 00:17:56,104 --> 00:18:00,775 毎日 苦しゅうて 涙が出る。 152 00:18:00,775 --> 00:18:04,446 この悪夢を ドリームキャッチャーとやらが➡ 153 00:18:04,446 --> 00:18:07,949 きれいさっぱり 絡め取ってくれんかのう。 154 00:18:07,949 --> 00:18:11,286 そしたら アシは こう 自分の足で立ち上がり➡ 155 00:18:11,286 --> 00:18:15,156 淳さんと一緒に 西洋でも アメリカでも どこでも➡ 156 00:18:15,156 --> 00:18:19,656 旅に出かけるのにのう。 ノボさん…。 157 00:18:21,463 --> 00:18:23,398 いや 愚痴じゃ。 愚痴じゃ。 158 00:18:23,398 --> 00:18:28,803 律。 3年ぶりの淳さんじゃ。 松山名物を作っておあげ。 159 00:18:28,803 --> 00:18:31,306 はい。 160 00:18:31,306 --> 00:18:37,306 律。 その前に 包帯を取り替えてくれんかの。 161 00:18:39,414 --> 00:18:41,749 ええじゃろう。 162 00:18:41,749 --> 00:18:46,421 きれいさっぱりして 淳さんと ゆっくり 話がしたいんじゃ。 163 00:18:46,421 --> 00:18:48,356 淳さん 悪いがの➡ 164 00:18:48,356 --> 00:18:53,294 しばらく 台所にでも おってくれんかなもし。 ああ。 165 00:18:53,294 --> 00:18:58,933 淳さん すみません。 10分ほどで済みますけん。 166 00:18:58,933 --> 00:19:20,788 ♬~ 167 00:19:20,788 --> 00:19:22,724 (律)兄さん。 168 00:19:22,724 --> 00:19:29,024 (子規)ええ ええ。 我慢するけん 構わず おやり。 169 00:19:31,399 --> 00:19:38,273 (子規の苦しむ声) 170 00:19:38,273 --> 00:19:51,419 ああ… あ… あ…。 171 00:19:51,419 --> 00:19:56,291 痛い… あ~! 172 00:19:56,291 --> 00:20:24,953 (苦しむ声) 173 00:20:24,953 --> 00:20:29,824 (鳥の鳴き声) 174 00:20:29,824 --> 00:20:37,465 ♬~ 175 00:20:37,465 --> 00:20:40,368 (虚子)アシは その意見には反対じゃ。➡ 176 00:20:40,368 --> 00:20:42,971 あの句は 肝心な写生が できとらん。➡ 177 00:20:42,971 --> 00:20:46,007 あるんは 自分の意見だけじゃ。 178 00:20:46,007 --> 00:20:49,477 松山出身の虚子と碧梧桐は➡ 179 00:20:49,477 --> 00:20:52,380 俳句雑誌「ほととぎす」の 編集のため➡ 180 00:20:52,380 --> 00:20:54,349 子規庵に出入りしていた。 181 00:20:54,349 --> 00:20:56,351 淳さんじゃ。 182 00:20:56,351 --> 00:20:59,821 淳さんが帰ってきておいでじゃ! (碧梧桐)ああ! 183 00:20:59,821 --> 00:21:02,724 (2人)お久しゅうございます。 184 00:21:02,724 --> 00:21:06,424 (碧梧桐)律さん ごきげんよう。 185 00:21:09,163 --> 00:21:14,335 お見苦しいところを。 許してつかあさい。 186 00:21:14,335 --> 00:21:17,171 いや。 187 00:21:17,171 --> 00:21:23,511 兄さんは 病気と闘うとります。 188 00:21:23,511 --> 00:21:30,018 歯 食いしばって 毎日 闘うとります。 189 00:21:30,018 --> 00:21:33,788 (子規)淳さん もうええぞな。 190 00:21:33,788 --> 00:21:35,723 おう! 191 00:21:35,723 --> 00:21:38,723 (2人)お頼み! 192 00:21:45,400 --> 00:21:50,400 はあ はあ…。 193 00:21:53,141 --> 00:21:55,141 ノボさん。 194 00:21:58,479 --> 00:22:08,656 疲れた。 アシは 少し眠るけん… 帰らんでおってくれ。 195 00:22:08,656 --> 00:22:11,492 切り抜きでも見とっておくれ。 196 00:22:11,492 --> 00:22:15,492 清さん 秉公。 (2人)はい。 197 00:22:24,005 --> 00:22:38,653 ♬~ 198 00:22:38,653 --> 00:22:44,325 なんにしても 病床についてからの 子規の文筆活動は凄まじく➡ 199 00:22:44,325 --> 00:22:47,962 その名は天下に響いていた。 200 00:22:47,962 --> 00:22:52,133 子規の名が とどろくとともに そのまわりにいる➡ 201 00:22:52,133 --> 00:22:55,470 「清サン」「秉公」と 子規が よんでいる➡ 202 00:22:55,470 --> 00:22:58,372 虚子と碧梧桐のような 若者の名も➡ 203 00:22:58,372 --> 00:23:03,811 ひとかどの名士のような名で 世間に とおりはじめていた。 204 00:23:03,811 --> 00:23:27,835 ♬~ 205 00:23:27,835 --> 00:23:33,107 真之は 1時間ばかり それを読んだ。 206 00:23:33,107 --> 00:23:38,913 ほとんどが 俳句と短歌の革新論に 関するものばかりであり➡ 207 00:23:38,913 --> 00:23:44,118 読みすすむにつれて 子規の革新精神のすさまじさと➡ 208 00:23:44,118 --> 00:23:50,792 その たけだけしい戦闘精神に 酔ったがごとくになった。 209 00:23:50,792 --> 00:23:57,992 (子規)何ぞ 感想が おありか? おう。 210 00:24:01,969 --> 00:24:07,475 いや~ ノボさんには どうも…。 211 00:24:07,475 --> 00:24:10,175 「どうも」 何だ? 212 00:24:13,981 --> 00:24:17,485 驚いたな。 213 00:24:17,485 --> 00:24:24,659 この闘志は そこら辺の軍人など 足もとにも及ぶもんじゃない。 214 00:24:24,659 --> 00:24:28,496 ほうか! 一語一語の強さが➡ 215 00:24:28,496 --> 00:24:33,334 あたかも 百発百中の砲門から 撃ち出される砲弾のようじゃ。 216 00:24:33,334 --> 00:24:40,107 だんだん。 アシは 後がないけん 生きとるうちに➡ 217 00:24:40,107 --> 00:24:43,945 日本の今の俳句 短歌の思想を 一変させて➡ 218 00:24:43,945 --> 00:24:50,117 なんとか 清さんや秉公や 次の代に引き継がせたいと➡ 219 00:24:50,117 --> 00:24:54,288 せっぱ詰まった気持ちで おるけんの。 アシも同じじゃ。 220 00:24:54,288 --> 00:24:58,159 海軍兵学の既成概念を ひっくり返せなければ➡ 221 00:24:58,159 --> 00:25:06,634 戦は確実に負け 多くの将兵を犠牲にせにゃならん。 222 00:25:06,634 --> 00:25:09,134 じゃがのう…。 223 00:25:10,972 --> 00:25:20,147 こうして 世間と闘っておると その反面…➡ 224 00:25:20,147 --> 00:25:28,823 「のどかな」というふうな趣に 強く引かれる時がある。 225 00:25:28,823 --> 00:25:31,158 ある。 226 00:25:31,158 --> 00:25:35,429 ほら アシの玄祖父の… あの…。 227 00:25:35,429 --> 00:25:39,767 松山藩の茶坊主だった一甫さん? そうじゃ! 228 00:25:39,767 --> 00:25:43,437 一枝の寒梅を袖にして➡ 229 00:25:43,437 --> 00:25:46,274 「のどかな春でございます」と➡ 230 00:25:46,274 --> 00:25:49,944 初春の回礼に 回っておったという! 231 00:25:49,944 --> 00:25:52,446 (笑い声) 232 00:25:52,446 --> 00:25:58,252 残念ながら 淳さんのは のどかな趣に ちと欠けるがのう。 233 00:25:58,252 --> 00:26:00,187 (笑い声) ほうか? 234 00:26:00,187 --> 00:26:03,958 (笑い声) 235 00:26:03,958 --> 00:26:08,796 清さん。 淳さんにも 見せてやっておくれんかなもし。 236 00:26:08,796 --> 00:26:13,134 いや… 淳さんに あれを見せるのは お恥ずかしい。 237 00:26:13,134 --> 00:26:15,469 (碧梧桐)清さん! 238 00:26:15,469 --> 00:26:19,307 (拍手) 239 00:26:19,307 --> 00:26:21,307 (碧梧桐)よっ 清! 240 00:26:24,478 --> 00:26:29,350 一枝の寒梅を袖にして➡ 241 00:26:29,350 --> 00:26:33,754 「のどかな春でございます」。 242 00:26:33,754 --> 00:26:37,754 それでは 幇間じゃ。 243 00:26:39,627 --> 00:26:43,931 (虚子)お粗末でした。 確かに のどかじゃがのう。 244 00:26:43,931 --> 00:26:46,834 お待たせしました。 245 00:26:46,834 --> 00:26:53,441 もぶり御飯ですよ。 待ってました 大統領! 246 00:26:53,441 --> 00:27:00,314 いや~ この駘蕩とした城下の春の 幾分 こっけいなエピソードには➡ 247 00:27:00,314 --> 00:27:04,785 アシは とても救われる思いがする。 248 00:27:04,785 --> 00:27:07,455 待ち望んだ春が来て➡ 249 00:27:07,455 --> 00:27:13,127 その のどかな趣を 十分 楽しんでいるが➡ 250 00:27:13,127 --> 00:27:15,463 もしかしたら 来年は➡ 251 00:27:15,463 --> 00:27:20,163 春を迎えることが できないかもしれん。 252 00:27:24,472 --> 00:27:49,597 ♬~ 253 00:27:49,597 --> 00:27:52,933 (3人)のどかな春でございます。 254 00:27:52,933 --> 00:27:56,771 (一甫)のどかな春でございます。 255 00:27:56,771 --> 00:28:06,947 ♬~ 256 00:28:06,947 --> 00:28:13,120 (一甫)のどかな春でございます。 257 00:28:13,120 --> 00:28:20,628 ほうですの。 だんだん。 258 00:28:20,628 --> 00:28:26,133 のどかな春でございます。 259 00:28:26,133 --> 00:28:33,407 ♬~ 260 00:28:33,407 --> 00:28:38,579 さあ た~んと 食べておくれんかなもし。 261 00:28:38,579 --> 00:28:45,252 淳さんがおいでるんで 特別じゃ。 だんだん。 だんだん リーさん。 262 00:28:45,252 --> 00:28:52,426 ♬~ 263 00:28:52,426 --> 00:28:58,766 清。 酒を飲むんは 写生が利いた 句が出来てからにせえや。 264 00:28:58,766 --> 00:29:03,437 偉そうな顔をしとるが まだまだ 修業が足らんけん。 265 00:29:03,437 --> 00:29:07,308 (笑い声) 266 00:29:07,308 --> 00:29:16,808 ♬~ 267 00:29:22,289 --> 00:29:27,128 ロシアは 北清事変の終息後に 兵力を増強し➡ 268 00:29:27,128 --> 00:29:30,030 満州侵略を進めた。 269 00:29:30,030 --> 00:29:34,735 8月30日 黒龍江省城を占領。 270 00:29:34,735 --> 00:29:39,406 10月2日には 満州最大の都市 奉天を占領し➡ 271 00:29:39,406 --> 00:29:43,577 満州に 居座り続けた。 272 00:29:43,577 --> 00:29:50,251 ♬~ 273 00:29:50,251 --> 00:29:54,088 「アジアにおける20世紀は➡ 274 00:29:54,088 --> 00:29:56,023 北清事変の砲煙が➡ 275 00:29:56,023 --> 00:29:58,259 静まるとともに ひらけた」と➡ 276 00:29:58,259 --> 00:30:02,096 天津在留の外国人たちは いった。 277 00:30:02,096 --> 00:30:06,433 中国にとっては さんざんな年であったが➡ 278 00:30:06,433 --> 00:30:10,304 中国利権で飽食しようとする 西洋列強にとっては➡ 279 00:30:10,304 --> 00:30:16,304 これほど ありがたい夜明けは なかったであろう。 280 00:30:18,145 --> 00:30:23,784 「広瀬さん ここ旅順は 既に清国ではのうて➡ 281 00:30:23,784 --> 00:30:27,655 ロシア帝国の 版図の一部となってしもうた。➡ 282 00:30:27,655 --> 00:30:31,959 ロシアは ここに 総額9,000万ルーブルを投資し➡ 283 00:30:31,959 --> 00:30:37,464 ロシア文化を持ち込んで 永久に居座るつもりらしい」。 284 00:30:37,464 --> 00:30:44,338 真之は 常備艦隊の参謀として 旅順に偵察にはいった。 285 00:30:44,338 --> 00:30:49,176 日本軍は 諜報は 諜報屋にまかせることをせず➡ 286 00:30:49,176 --> 00:30:53,013 参謀将校のなかから もっとも優秀な者をえらび➡ 287 00:30:53,013 --> 00:30:57,013 敵地に潜入させた。 288 00:30:59,486 --> 00:31:03,157 「清国人は 居住の自由を奪われ➡ 289 00:31:03,157 --> 00:31:06,827 低賃金で 要塞の建設に 使役させられとる。➡ 290 00:31:06,827 --> 00:31:10,027 まるで ロシアの新しい農奴のようじゃ」。 291 00:31:13,000 --> 00:31:17,871 「その湾口には 戦艦レトビザン ペトロパブロフスク➡ 292 00:31:17,871 --> 00:31:21,675 巡洋艦パルラーダ ノーウィック➡ 293 00:31:21,675 --> 00:31:26,875 そのほか 多くの駆逐艦 水雷艇が 浮かんどる」。 294 00:31:29,350 --> 00:31:34,121 「広瀬さんに その性能を 教示してもろた敵艦ばかり➡ 295 00:31:34,121 --> 00:31:36,156 おびただしい数だが➡ 296 00:31:36,156 --> 00:31:41,795 これでも 旅順艦隊の ほんの 一部にしかすぎんのだろう」。 297 00:31:41,795 --> 00:31:45,795 (時報を告げる音) 298 00:32:05,986 --> 00:32:26,674 (鐘の音) 299 00:32:26,674 --> 00:32:29,674 タケオ。 300 00:32:45,959 --> 00:32:50,959 ああ… 朝日。 301 00:32:53,634 --> 00:32:58,334 アサヒ。 アサヒ? 302 00:33:08,649 --> 00:33:26,949 ♬~ 303 00:33:55,963 --> 00:33:57,898 アサギリ。 304 00:33:57,898 --> 00:33:59,833 アケボノ。 305 00:33:59,833 --> 00:34:02,333 ムラサメ。 306 00:35:02,129 --> 00:35:14,141 ♬~ 307 00:35:14,141 --> 00:35:17,044 (銃声) 308 00:35:17,044 --> 00:35:24,044 (鳥の鳴き声) 309 00:35:48,976 --> 00:35:52,276 タケオ! ボリス! 310 00:36:09,129 --> 00:36:13,129 (ロシア語) 311 00:36:55,108 --> 00:36:57,608 ボリス…。 312 00:37:00,280 --> 00:37:02,580 ボリス! 313 00:37:31,578 --> 00:37:36,750 9月7日 連合国と清国の間で➡ 314 00:37:36,750 --> 00:37:40,621 北清事変の 講和条約が 調印された。 315 00:37:40,621 --> 00:37:45,092 連合国間を調整し この条約を まとめあげたのは➡ 316 00:37:45,092 --> 00:37:50,964 特命全権公使 小村寿太郎であった。 317 00:37:50,964 --> 00:37:54,964 (大砲の音) 318 00:37:58,939 --> 00:38:03,610 (大砲の音) 319 00:38:03,610 --> 00:38:06,279 よ~い 撃て! (大砲の音) 320 00:38:06,279 --> 00:38:10,784 調印を終えた小村は 礼砲に迎えられ➡ 321 00:38:10,784 --> 00:38:15,455 巡洋艦「千歳」に乗り込んだ。 322 00:38:15,455 --> 00:38:22,329 桂内閣の外務大臣に 就任するためである。 323 00:38:22,329 --> 00:38:31,405 ♬~ 324 00:38:31,405 --> 00:38:38,178 (寺垣)お疲れさまでした。 司令官 諸岡少将が お待ちです。 325 00:38:38,178 --> 00:38:43,878 (小村)秋山君は どこにおる? 一緒に 吾妻で来たはずじゃが。 326 00:38:53,260 --> 00:38:57,960 (ノック) ≪秋山です。 どうぞ。 327 00:38:59,599 --> 00:39:03,270 おう 来たか。 はい。 328 00:39:03,270 --> 00:39:07,107 居留民保護のため 吾妻を 北清に回航してきました。 329 00:39:07,107 --> 00:39:09,943 外務大臣に ご就任されるそうですね。 330 00:39:09,943 --> 00:39:11,978 おめでとうございます。 331 00:39:11,978 --> 00:39:17,617 わしの名前なんぞ 国民の誰一人 知らんだろう。 332 00:39:17,617 --> 00:39:21,288 どうだ? 一緒に。 久しぶりの海軍のカレーライスだ。 333 00:39:21,288 --> 00:39:23,288 はっ。 334 00:39:24,958 --> 00:39:32,065 旅順は どうなった? 旅順に 諜報に入ったそうだな。 335 00:39:32,065 --> 00:39:36,570 もはや 旅順は 清国の領土とは言えません。 336 00:39:36,570 --> 00:39:42,370 ルーブルが飛び交い 清国人は 居住地すら制限されとります。 337 00:39:46,580 --> 00:39:51,918 旅順どころか大連にも ロシア風の 大都市が出来つつあります。 338 00:39:51,918 --> 00:39:57,424 この勢いでは 満州全体が ロシアの植民地に…。 339 00:39:57,424 --> 00:40:05,165 うまい。 巡洋艦 千歳のカレーは なかなか いけるよ 秋山。 340 00:40:05,165 --> 00:40:08,165 いただきます。 341 00:40:11,605 --> 00:40:21,281 秋山君 帝国主義に もともと 道義などありゃせんよ。 342 00:40:21,281 --> 00:40:28,981 あるのは 弱肉強食のおきてだけだ。 343 00:40:30,624 --> 00:40:36,324 そんなことは 君も 百も承知のはずだ。 344 00:40:42,636 --> 00:40:46,139 拳匪事件の本題は➡ 345 00:40:46,139 --> 00:40:55,649 西洋列強の侵略に対する 中国民衆の反抗的暴動だ。 346 00:40:55,649 --> 00:40:59,519 日本は 英国の意向を受け➡ 347 00:40:59,519 --> 00:41:04,019 それを鎮圧し 特別な戦功をあげた。 348 00:41:07,661 --> 00:41:12,461 「Japan now a menace」。 349 00:41:14,167 --> 00:41:17,504 日本 恐るべし。 350 00:41:17,504 --> 00:41:23,009 ヨーロッパ諸国の新聞が 盛んに 日本を持ち上げた。 351 00:41:23,009 --> 00:41:27,180 英国は ますます 確信しとるだろう。 352 00:41:27,180 --> 00:41:34,621 極東の問題は 日本を差し置いては 何事も立ち行かんいうことをな。 353 00:41:34,621 --> 00:41:43,964 ♬~ 354 00:41:43,964 --> 00:41:52,973 わしは 君に ニューヨークで イロコワ族になりなさいと言ったな。 355 00:41:52,973 --> 00:41:54,973 はい。 356 00:41:56,843 --> 00:42:00,714 ついに 機は熟した。 357 00:42:00,714 --> 00:42:04,985 今こそ 日英同盟を➡ 358 00:42:04,985 --> 00:42:08,855 国運を賭して進むべきだ。 359 00:42:08,855 --> 00:42:16,329 英国と組んで 極東から ロシアを排除する。 360 00:42:16,329 --> 00:42:28,329 (小村の笑い声) 361 00:42:32,445 --> 00:42:36,616 (伊藤)英国以外の国と 同盟を結ぶ手はないか➡ 362 00:42:36,616 --> 00:42:39,452 それを提案したい。 (広瀬)大蔵大臣のウィッテは➡ 363 00:42:39,452 --> 00:42:42,252 既に 皇帝の信を失っております。 364 00:42:45,959 --> 00:42:48,461 (伊藤)恐ろしいことになる。 365 00:42:48,461 --> 00:42:50,397 広瀬さん。 366 00:42:50,397 --> 00:42:52,966 ♬「希望のつぼみが」 367 00:42:52,966 --> 00:42:59,839 ♬「遠くを見つめていた」 368 00:42:59,839 --> 00:43:07,147 ♬「迷い悩むほど」 369 00:43:07,147 --> 00:43:14,487 ♬「人は強さを掴むから」 370 00:43:14,487 --> 00:43:17,390 ♬「夢をみる」 371 00:43:17,390 --> 00:43:24,497 ♬「凛として旅立つ」 372 00:43:24,497 --> 00:43:32,305 ♬「一朶の雲を目指し」 373 00:43:32,305 --> 00:43:59,966 ♬~ 374 00:43:59,966 --> 00:44:07,307 ♬「凛として旅立つ」 375 00:44:07,307 --> 00:44:19,019 ♬「一朶の雲を目指し」 376 00:44:19,019 --> 00:44:25,319 ♬~ 377 00:45:33,393 --> 00:45:41,468 ♬~ 378 00:45:41,468 --> 00:45:46,806 ウイスキー工場が完成した日 エリーの妊娠を知ったマッサン。 379 00:45:46,806 --> 00:45:50,477 (エリー)大丈夫! 私 病気じゃない。 380 00:45:50,477 --> 00:45:52,412 夕飯の支度するね。 381 00:45:52,412 --> 00:45:56,149 (政春) わしがやるけん 座っとってくれ。 もう バラずし作ってある。