1 00:00:35,566 --> 00:00:44,566 (映写機の音) 2 00:00:51,715 --> 00:00:54,618 ♬~ 3 00:00:54,618 --> 00:01:01,725 四国は 伊予松山に 3人の男がいた。 4 00:01:01,725 --> 00:01:06,597 この ふるい城下町にうまれた 秋山真之は➡ 5 00:01:06,597 --> 00:01:09,233 日露戦争がおこるにあたって➡ 6 00:01:09,233 --> 00:01:11,168 勝利は 不可能に ちかいといわれた➡ 7 00:01:11,168 --> 00:01:15,039 バルチック艦隊を ほろぼすにいたる 作戦をたて➡ 8 00:01:15,039 --> 00:01:18,942 それを実施した。 9 00:01:18,942 --> 00:01:25,683 その兄の秋山好古は 日本の騎兵を育成し➡ 10 00:01:25,683 --> 00:01:29,620 史上最強の騎兵といわれる コサック師団をやぶるという➡ 11 00:01:29,620 --> 00:01:33,357 奇蹟を遂げた。 12 00:01:33,357 --> 00:01:37,227 もうひとりは 俳句 短歌といった➡ 13 00:01:37,227 --> 00:01:40,230 日本のふるい短詩型に 新風を入れて➡ 14 00:01:40,230 --> 00:01:46,230 その中興の祖となった 俳人 正岡子規である。 15 00:01:47,905 --> 00:01:52,710 かれらは 明治という時代人の体質で➡ 16 00:01:52,710 --> 00:01:56,580 前をのみ見つめながら あるく。 17 00:01:56,580 --> 00:02:01,051 のぼってゆく坂の上の青い天に➡ 18 00:02:01,051 --> 00:02:04,922 もし一朶の白い雲が かがやいているとすれば➡ 19 00:02:04,922 --> 00:02:11,061 それのみをみつめて 坂をのぼってゆくであろう。 20 00:02:11,061 --> 00:02:21,761 ♬~ 21 00:02:29,446 --> 00:02:32,182 信じがたいことだが➡ 22 00:02:32,182 --> 00:02:35,853 海軍大学校に 戦術講座が設けられたのは➡ 23 00:02:35,853 --> 00:02:40,190 明治35年7月のことである。 24 00:02:40,190 --> 00:02:44,695 真之は その初代教官に えらばれた。 25 00:02:44,695 --> 00:02:46,695 敬礼! 26 00:02:48,565 --> 00:02:50,567 直れ! 27 00:02:50,567 --> 00:02:54,371 海軍の先輩までが 聴講生で入ってきた。 28 00:02:54,371 --> 00:02:56,306 八代六郎などは➡ 29 00:02:56,306 --> 00:02:59,877 真之が兵学校のころの 教官であった。 30 00:02:59,877 --> 00:03:02,379 (真之)楽に。 31 00:03:02,379 --> 00:03:10,053 ここに 戦術の講究を開始するに 先立ち 諸君に明らかにしておく。 32 00:03:10,053 --> 00:03:16,560 アシから戦術を学ぼうと 思わんでください。 33 00:03:16,560 --> 00:03:20,397 学んだ戦術は しょせん 借り物でありますから➡ 34 00:03:20,397 --> 00:03:23,066 いざという時に 応用が利かん。 35 00:03:23,066 --> 00:03:30,240 従って 皆が個々に 自分の戦術を 打ち立てることが肝心であります。 36 00:03:30,240 --> 00:03:33,844 しかるに まず あらゆる戦術書を読み➡ 37 00:03:33,844 --> 00:03:36,346 万巻の戦史を ひもといてみる。 38 00:03:36,346 --> 00:03:42,686 どう戦えばよいか 原理 原則は おのずと引き出されてこよう。 39 00:03:42,686 --> 00:03:45,589 例えば あなたは どんな戦史にあたりましたか? 40 00:03:45,589 --> 00:03:48,859 (飯田)はっ。 わしは さきの 黄海海戦を研究しております。 41 00:03:48,859 --> 00:03:51,528 最新鋭の軍艦による 世界で初めての海戦は➡ 42 00:03:51,528 --> 00:03:56,828 来るべきロシア戦にとって 一番 参考になるはずです。 43 00:04:00,037 --> 00:04:02,706 そこから どんな教訓を得ましたか? 44 00:04:02,706 --> 00:04:06,577 伊東長官は 戦力を分散しました。 それは 決定的な誤りです。 45 00:04:06,577 --> 00:04:08,577 (下村)異議あり! 46 00:04:10,380 --> 00:04:14,251 伊東長官の作戦は 間違っておりません。 47 00:04:14,251 --> 00:04:18,555 現に 我が海軍は 北洋艦隊に完勝したやないか。 48 00:04:18,555 --> 00:04:21,058 それは 結果論じゃ! 結果論ではない! 49 00:04:21,058 --> 00:04:27,731 君らの考えは よう分かった。 答えは 実戦で初めて分かる。 50 00:04:27,731 --> 00:04:30,634 実戦の場は ここじゃ。 51 00:04:30,634 --> 00:04:37,407 ここで アシと皆 全員で 共に戦術を編み出すんじゃ。 52 00:04:37,407 --> 00:04:39,407 (学生たち)はい! 53 00:04:43,680 --> 00:04:50,554 真之が アメリカ海軍で見聞したものの なかで もっとも感心したのは➡ 54 00:04:50,554 --> 00:04:53,690 兵棋演習であった。 55 00:04:53,690 --> 00:04:56,526 こどもの おもちゃのような 各種軍艦を➡ 56 00:04:56,526 --> 00:04:59,029 大図盤のうえに うかべる。 57 00:04:59,029 --> 00:05:01,865 練習者は 敵味方にわかれ➡ 58 00:05:01,865 --> 00:05:07,037 教官の統裁のもとに 作戦の演習をするわけである。 59 00:05:07,037 --> 00:05:11,208 兵棋を うごかすにあたって 重責を帯びて➡ 60 00:05:11,208 --> 00:05:16,880 それぞれが 艦隊司令官 参謀長 艦長のつもりになって➡ 61 00:05:16,880 --> 00:05:22,052 真剣に運用し それを くりかえし 鍛錬することによって➡ 62 00:05:22,052 --> 00:05:25,555 いかなるときでも 自信と沈着さをうしなわぬ➡ 63 00:05:25,555 --> 00:05:31,428 第二の天性をつくりだすことが できる というのである。 64 00:05:31,428 --> 00:05:37,628 第7動 定遠 主砲発砲 赤軍 砲戦開始! 65 00:05:44,675 --> 00:05:46,675 1発命中。 66 00:05:49,012 --> 00:05:53,012 船体 全部 大破孔。 67 00:05:56,687 --> 00:05:59,022 吉野 大破。 68 00:05:59,022 --> 00:06:00,958 吉野 大破。 69 00:06:00,958 --> 00:06:06,763 この学生たちが 日露戦争とともに 各戦隊の参謀として配属され➡ 70 00:06:06,763 --> 00:06:08,732 真之の指示のもと➡ 71 00:06:08,732 --> 00:06:13,570 ほとんど 一糸みだれずに 全軍が動くという結果を得た。 72 00:06:13,570 --> 00:06:18,408 第9動 時間 12 09。 73 00:06:18,408 --> 00:06:21,278 高千穂 大破。 秋津洲 小破。 74 00:06:21,278 --> 00:06:24,181 浪速 大破。 75 00:06:24,181 --> 00:06:29,086 第26動 時間 12 43。 76 00:06:29,086 --> 00:06:32,823 松島 中破。 千代田 中破。 77 00:06:32,823 --> 00:06:35,023 戻れ。 78 00:06:46,336 --> 00:06:50,007 日清両軍とも 被害は甚大。 79 00:06:50,007 --> 00:06:55,345 残念ながら 諸君は 指揮官や参謀として失格です。 80 00:06:55,345 --> 00:06:59,683 目まぐるしく変わる状況に 冷静な判断ができなくなりました。 81 00:06:59,683 --> 00:07:06,556 君らは戦史を読み その結果だけで 判断しとらんかったか? 82 00:07:06,556 --> 00:07:10,856 それでは 単なる批評にすぎない。 83 00:07:14,698 --> 00:07:21,571 飯田君 この艦には 何名が乗員しておる? 84 00:07:21,571 --> 00:07:23,707 それは…。 85 00:07:23,707 --> 00:07:27,044 吉野1隻で 乗員385名。 86 00:07:27,044 --> 00:07:31,344 そのことを しっかり考えましたか? 87 00:07:35,318 --> 00:07:41,191 実に 我々 指揮官が 乗員全員の命を預かっておる。 88 00:07:41,191 --> 00:07:48,491 すなわち 我々が判断一つ間違えば 無益に多くの血が流れる。 89 00:07:51,668 --> 00:07:54,004 実戦ともなれば➡ 90 00:07:54,004 --> 00:07:58,004 指揮官は 身を切るような判断を 次々と迫られる。 91 00:07:59,676 --> 00:08:01,611 [ 回想 ] 花田! 92 00:08:01,611 --> 00:08:04,611 苦闘の連続です。 93 00:08:06,349 --> 00:08:13,223 アシ自身 己の足らざるに 時として戦慄します。 94 00:08:13,223 --> 00:08:17,923 無識の指揮官は 殺人犯なり。 95 00:08:20,697 --> 00:08:27,370 我々を信頼して 死を顧みず働く部下たちを➡ 96 00:08:27,370 --> 00:08:31,670 決して 犬死にさせては ならんのであります。 97 00:08:33,643 --> 00:08:39,516 もし 自分が その場の 指揮官だったら どうするのか。 98 00:08:39,516 --> 00:08:44,988 いかにすれば 正しい判断が 下せるようになるのか。 99 00:08:44,988 --> 00:08:53,330 その答えを求めて 皆と一緒に 考えていくんが アシの授業です。 100 00:08:53,330 --> 00:08:55,665 本日は以上! 101 00:08:55,665 --> 00:08:58,568 (学生たち) ありがとうございました! 102 00:08:58,568 --> 00:09:01,338 (拍手) 103 00:09:01,338 --> 00:09:06,676 (高橋)兵のお命を預かる司令官は 大変なもんですなあ。 104 00:09:06,676 --> 00:09:09,579 腰抜けのわしには 到底 務まりそうにもない。 105 00:09:09,579 --> 00:09:12,349 是清先生! いや いや いや。 106 00:09:12,349 --> 00:09:17,020 学生諸君 ご苦労さまです。 107 00:09:17,020 --> 00:09:23,693 頭が疲れたでしょう。 ちょっと 楽しい所へでも行きませんか? 108 00:09:23,693 --> 00:09:40,177 ♬~ 109 00:09:40,177 --> 00:09:43,980 どの女性も 華族の才媛たちです。 110 00:09:43,980 --> 00:09:46,280 (拍手) 111 00:09:47,851 --> 00:09:53,323 ♬「袖にたきたる」 112 00:09:53,323 --> 00:09:57,194 ♬「名香の」 113 00:09:57,194 --> 00:10:01,998 (拍手) 114 00:10:01,998 --> 00:10:06,698 先生 アシには場違いです。 1杯飲んだら 引き揚げますけん。 115 00:10:08,338 --> 00:10:10,273 (季子)あ! 116 00:10:10,273 --> 00:10:13,210 失礼しました。 こちらこそ。 117 00:10:13,210 --> 00:10:15,679 (八代)宮内省御用掛➡ 118 00:10:15,679 --> 00:10:19,849 稲生真履氏の三女 季子様です。 119 00:10:19,849 --> 00:10:23,687 卒業生として これから 舞台に立たれます。 120 00:10:23,687 --> 00:10:25,722 はじめまして。 121 00:10:25,722 --> 00:10:32,862 こちらは 海軍の秋山真之少佐です。 122 00:10:32,862 --> 00:10:42,162 (司会)次は 「伊東祐亨海軍大将」。 ふんするは 稲生季子さん。 123 00:10:44,474 --> 00:10:47,711 ♬~ 124 00:10:47,711 --> 00:10:52,048 (高橋)いいのう 季子さんとやら。 125 00:10:52,048 --> 00:10:55,248 まるで 湯島の白梅のようじゃ。 126 00:10:57,721 --> 00:11:03,593 (拍手) 127 00:11:03,593 --> 00:11:06,229 惚けとる 惚けとる。 128 00:11:06,229 --> 00:11:11,101 先生が 一番 惚けとるように 見えますが。 そうですか? 129 00:11:11,101 --> 00:11:15,238 (拍手) 130 00:11:15,238 --> 00:11:22,979 いや~ 私が もう少し若かったら 真っ先に手を挙げるところですが。 131 00:11:22,979 --> 00:11:27,279 秋山君 そう思いませんか? 132 00:11:29,753 --> 00:11:34,024 (拍手) 133 00:11:34,024 --> 00:11:41,698 ♬~ 134 00:11:41,698 --> 00:11:47,203 (拍手) 135 00:11:47,203 --> 00:11:59,382 ♬~ 136 00:11:59,382 --> 00:12:02,052 わしは 「花より団子」。 137 00:12:02,052 --> 00:12:04,387 金策に忙しい。 この辺で失礼します。 138 00:12:04,387 --> 00:12:06,423 えっ 何ですか? まだ 始まったばかりじゃ…。 139 00:12:06,423 --> 00:12:08,892 後のことは 八代君に任せてありますから➡ 140 00:12:08,892 --> 00:12:12,395 大船に乗ったつもりで。 店の方も押さえてありますから。➡ 141 00:12:12,395 --> 00:12:15,231 それじゃあ。 142 00:12:15,231 --> 00:12:18,134 先生! 143 00:12:18,134 --> 00:12:44,260 ♬~ 144 00:12:44,260 --> 00:12:47,960 (八代)いや~ お待たせ お待たせ。 145 00:12:52,702 --> 00:12:55,402 季子さんは そこへ。 146 00:12:57,040 --> 00:13:00,543 こちらは かねてから お父上に お伝えしていた➡ 147 00:13:00,543 --> 00:13:05,043 海軍三羽ガラスの一人 秋山真之君です。 148 00:13:08,718 --> 00:13:12,389 真之の初めてのお見合いは➡ 149 00:13:12,389 --> 00:13:18,589 是清と八代の思惑通りには いかなかった。 150 00:13:20,130 --> 00:13:23,130 お帰りなさいまし。 151 00:13:31,674 --> 00:13:37,547 (多美)あら 遅いお帰りですね。 お母様。 淳さん 帰られました。 152 00:13:37,547 --> 00:13:42,852 (貞)お帰り。 おなか すいたじゃろ。 153 00:13:42,852 --> 00:13:45,188 母さん 無理せんでええ 言うたじゃろ。 154 00:13:45,188 --> 00:13:48,988 具合は どうじゃ? ウチは 大丈夫じゃ。 155 00:13:50,693 --> 00:13:54,364 お母様とね 淳さんの大好物➡ 156 00:13:54,364 --> 00:13:57,867 松山のもぶり飯 作って 待ってたんですよ。 157 00:13:57,867 --> 00:13:59,903 淳さんが お艦に乗らんうちに➡ 158 00:13:59,903 --> 00:14:03,373 話しておきたいこと たくさんありますもんねえ。 159 00:14:03,373 --> 00:14:08,878 今日は ちゃんと 返事をもらわんとな。 160 00:14:08,878 --> 00:14:11,781 どうせ また いつもの話じゃろ。 161 00:14:11,781 --> 00:14:15,218 旗本のお姫様のにおいが プンプンしとるわ。 162 00:14:15,218 --> 00:14:19,055 淳さん 主人が 清国に行っている間は➡ 163 00:14:19,055 --> 00:14:22,355 私が 兄さんの代わりですからね。 164 00:14:23,927 --> 00:14:28,398 「淳 そろそろ 身を固めよ。➡ 165 00:14:28,398 --> 00:14:34,003 お前も アシと同じ35までに 嫁取りをせにゃいかん」。 166 00:14:34,003 --> 00:14:36,673 きっと そう言われるに 違いありません。 167 00:14:36,673 --> 00:14:39,673 おう うまそうじゃのう。 168 00:14:45,014 --> 00:14:47,714 いただきます。 169 00:14:55,358 --> 00:14:59,028 多美さんも心配しとるんじゃけん。 170 00:14:59,028 --> 00:15:04,728 お酒 おつけしますね。 だんだん。 171 00:15:11,040 --> 00:15:13,943 (貞)淳 淳… 恥ずかしいけん おやめ。 172 00:15:13,943 --> 00:15:20,717 かまわんよ 母さん。 アシが背負うのは ごく当然じゃ。 173 00:15:20,717 --> 00:15:24,554 人に頼めば 金がかかるしの。 174 00:15:24,554 --> 00:15:28,224 それに アシに もう少し 甲斐性がありゃあ➡ 175 00:15:28,224 --> 00:15:31,060 風呂付きの家に 住まわせてやれるんじゃが。 176 00:15:31,060 --> 00:15:34,060 そんなこと 気にせんでええ。 177 00:15:35,665 --> 00:15:39,002 淳。 178 00:15:39,002 --> 00:15:43,339 何ぞね? 母さん。 179 00:15:43,339 --> 00:15:50,013 淳も 早う 所帯を持つ 覚悟をしなさらんと。 180 00:15:50,013 --> 00:15:51,948 淳の嫁に➡ 181 00:15:51,948 --> 00:15:59,689 ウチが もぶり飯の作り方を 教えられんようになってしまう。 182 00:15:59,689 --> 00:16:07,363 ウチの先行きも もう長うはないけん。 183 00:16:07,363 --> 00:16:10,199 何を言うとる。 ほれ これ。 184 00:16:10,199 --> 00:16:14,699 何ぞね? お守り。 185 00:16:20,710 --> 00:16:27,050 母さんには まだまだ 長生きしてもらわんと。 186 00:16:27,050 --> 00:16:32,488 淳。 何ぞね? 母さん。 187 00:16:32,488 --> 00:16:40,663 もしかして お前 誰ぞ ええ人がおるんかなもし? 188 00:16:40,663 --> 00:16:45,001 おるわけがなかろう。 (花火の音) 189 00:16:45,001 --> 00:16:49,505 そうじゃろなあ。 190 00:16:49,505 --> 00:16:56,012 おるわけは ないじゃろなあ。 191 00:16:56,012 --> 00:16:58,012 (笑い声) 192 00:17:00,350 --> 00:17:05,021 (子規)アシが こげん 既成歌壇を 根こそぎ批判しても➡ 193 00:17:05,021 --> 00:17:08,858 世間の連中が 我慢してくれとるんは➡ 194 00:17:08,858 --> 00:17:11,694 アシが病人だからじゃ。 (笑い声) 195 00:17:11,694 --> 00:17:19,569 これが 達者な男なら 世間は とても我慢はすまいぞの。 196 00:17:19,569 --> 00:17:25,041 それを思うと 病人は 得なもんぞなあ。 197 00:17:25,041 --> 00:17:28,041 (笑い声) 198 00:17:29,712 --> 00:17:34,550 子規は 自分の死を知っている。 199 00:17:34,550 --> 00:17:37,320 激痛が おそってくるたびに➡ 200 00:17:37,320 --> 00:17:39,822 叫び声をあげはするが➡ 201 00:17:39,822 --> 00:17:43,326 しかし 自分の死期のちかいことを➡ 202 00:17:43,326 --> 00:17:46,996 悲しむというふうなところは なかった。 203 00:17:46,996 --> 00:17:48,931 あっ 痛~い! 204 00:17:48,931 --> 00:17:52,335 乱暴じゃ。 もっと 優しゅうできんのか。 205 00:17:52,335 --> 00:17:55,004 (律)そんなこと言うても きつうに縛らな➡ 206 00:17:55,004 --> 00:17:56,939 すぐ ユルユルになって しまうんじゃけん。 207 00:17:56,939 --> 00:17:59,876 あっ… 痛い! 208 00:17:59,876 --> 00:18:03,179 なら お気に入りの清さんに やってもろたらええ。 209 00:18:03,179 --> 00:18:07,179 今 「ホトトギス」の編集会議中じゃ。 210 00:18:09,352 --> 00:18:13,690 (子規)「律は 理詰めの女なり。➡ 211 00:18:13,690 --> 00:18:20,363 同感同情のなき 木石のごとき女なり。 強情なり」。 212 00:18:20,363 --> 00:18:22,298 律さん。 213 00:18:22,298 --> 00:18:25,868 (子規) 「人間に向かって 冷淡なり。➡ 214 00:18:25,868 --> 00:18:32,308 特に 男に向かって シャイなり。➡ 215 00:18:32,308 --> 00:18:38,815 到底 配偶者として 世に立つに能はざるなり。➡ 216 00:18:38,815 --> 00:18:42,685 しかも そのことが原因となり➡ 217 00:18:42,685 --> 00:18:47,990 ついに 兄の看病人となれり」。 218 00:18:47,990 --> 00:18:55,865 随筆「仰臥漫録」で 子規は 妹 律を そう描いた。 219 00:18:55,865 --> 00:18:59,335 ふつうのひとの 病床生活とはちがい➡ 220 00:18:59,335 --> 00:19:03,206 子規は 死が予定されている 病人でありながら➡ 221 00:19:03,206 --> 00:19:07,009 その身辺は 事が多かった。 222 00:19:07,009 --> 00:19:11,180 俳句会や 「ホトトギス」編集会議➡ 223 00:19:11,180 --> 00:19:15,685 それに 送別会といったたぐいの にぎやかなことまで➡ 224 00:19:15,685 --> 00:19:21,357 この病室でおこなわれるのが ふつうであった。 225 00:19:21,357 --> 00:19:26,028 (子規)「律は看護婦であると同時に お三どんなり」。 226 00:19:26,028 --> 00:19:28,931 (子規)律。 はい! 227 00:19:28,931 --> 00:19:34,303 (子規)「お三どんであると同時に 一家の整理役なり。➡ 228 00:19:34,303 --> 00:19:36,806 一家の整理役であると同時に…」。 229 00:19:36,806 --> 00:19:41,978 律。 …はい! 230 00:19:41,978 --> 00:19:44,647 (子規)「余の秘書なり。➡ 231 00:19:44,647 --> 00:19:49,819 原稿の清書も 不完全ながら なしいるなり」。 232 00:19:49,819 --> 00:19:51,819 駄目じゃ。 233 00:19:53,656 --> 00:19:56,993 何でじゃ? 間違えだらけじゃ。 234 00:19:56,993 --> 00:20:01,864 (子規)「故に 余は 自分の病気が いかように募ろうとも➡ 235 00:20:01,864 --> 00:20:07,637 ただ 律に 病なきことを祈れり。➡ 236 00:20:07,637 --> 00:20:14,343 律に病あらんよりは 余に死あらんことを望めり」。 237 00:20:14,343 --> 00:20:16,843 (子規)律! 238 00:20:19,015 --> 00:20:22,351 律。 239 00:20:22,351 --> 00:20:24,351 律! 240 00:20:31,694 --> 00:20:33,629 …はい。 241 00:20:33,629 --> 00:20:39,329 「はい」ではない。 「はい!」じゃ。 242 00:20:41,704 --> 00:20:44,704 (律)はい! 243 00:20:49,045 --> 00:20:53,045 ≪(子供たち)お邪魔いたします。 244 00:20:56,719 --> 00:21:02,592 兄さん。 兄さん。 245 00:21:02,592 --> 00:21:05,061 何じゃ? 246 00:21:05,061 --> 00:21:09,761 あれ 持ってきていただきました。 247 00:21:24,413 --> 00:21:29,085 やはり 思ったとおりの 見事な朝顔じゃ。 248 00:21:29,085 --> 00:21:31,020 (陸)そこでいいでしょう。 249 00:21:31,020 --> 00:21:34,690 (2人)はい お父様。 250 00:21:34,690 --> 00:21:39,362 新聞「日本」の主筆 陸 羯南は➡ 251 00:21:39,362 --> 00:21:42,198 子規にとって 生涯の恩人だった。 252 00:21:42,198 --> 00:21:45,701 (2人)正岡先生 ごきげんよう。 253 00:21:45,701 --> 00:21:50,573 はい ごきげんよう。 だんだん。 254 00:21:50,573 --> 00:21:55,711 羯南翁 無理言うて すいません。 255 00:21:55,711 --> 00:21:59,048 草花帖の完結に➡ 256 00:21:59,048 --> 00:22:03,386 ふさわしい花が欲しかったんです。 257 00:22:03,386 --> 00:22:08,257 (八重)おはようございます。 おはようございます。 258 00:22:08,257 --> 00:22:13,396 (子規)朝方から 羯南翁の 読書の声を聞いとるうちに➡ 259 00:22:13,396 --> 00:22:20,169 翁のお庭には きっと 見事な朝顔が咲いておる。 260 00:22:20,169 --> 00:22:22,738 そんな気がして。 261 00:22:22,738 --> 00:22:28,611 「芭蕉破れて 書読む君の声近し」。➡ 262 00:22:28,611 --> 00:22:34,684 昔 隣同士になった時 そんな名句を詠んでくれました。➡ 263 00:22:34,684 --> 00:22:42,858 今日は さしずめ 「朝顔咲いて 書読む君の声近し」ですか?➡ 264 00:22:42,858 --> 00:22:47,697 そうですか。 草花帖 いよいよ 完成ですか。➡ 265 00:22:47,697 --> 00:22:50,997 それは 楽しみです。 266 00:22:57,373 --> 00:23:01,243 子規の生涯を通じ その収入は➡ 267 00:23:01,243 --> 00:23:08,718 この新聞「日本」から入る 安い給料のほか なかった。 268 00:23:08,718 --> 00:23:13,389 (陸)「病牀六尺」 今日の原稿です。 269 00:23:13,389 --> 00:23:17,727 (古島)ありがたいなあ。 正岡が 毎日➡ 270 00:23:17,727 --> 00:23:20,629 命を削って書いてくれる 「病牀六尺」のおかげで➡ 271 00:23:20,629 --> 00:23:23,232 新聞「日本」は もっとるようなもんです。 272 00:23:23,232 --> 00:23:30,406 編集主任は 古島一念という この当時の名記者であった。 273 00:23:30,406 --> 00:23:33,676 今日ので めでたく100回です。 274 00:23:33,676 --> 00:23:38,180 この状袋 正岡は 100部刷ればええ 言うとんなったけど➡ 275 00:23:38,180 --> 00:23:42,351 300部刷っといて よかったです。 この勢いで あと100部➡ 276 00:23:42,351 --> 00:23:45,187 ほんで また100部と 書き続けとったら➡ 277 00:23:45,187 --> 00:23:49,687 来年 梅が咲くのを 見ることだって…。 278 00:23:51,527 --> 00:23:55,698 (福本)「僕の今日の生命は 『病牀六尺』にあるのです。➡ 279 00:23:55,698 --> 00:23:59,368 毎朝 寝起きに 死するほど苦しいのです。➡ 280 00:23:59,368 --> 00:24:02,872 その中で 新聞を開けて 『病牀六尺』を見ると➡ 281 00:24:02,872 --> 00:24:05,708 わずかに よみがえるのです」。➡ 282 00:24:05,708 --> 00:24:12,008 新聞「日本」のおかげで 子規が生き延びとるともいえる。 283 00:24:15,885 --> 00:24:20,723 (国分)正岡の様子は どうですか? 284 00:24:20,723 --> 00:24:28,230 今日 私とは かなり長い時間 話し そのあと 朝顔の花を写生し➡ 285 00:24:28,230 --> 00:24:32,101 草花帖も ついに完成した。 (2人)そりゃ よかった。 286 00:24:32,101 --> 00:24:36,801 ただし 麻酔剤が効いている間だけです。 287 00:24:38,507 --> 00:24:46,707 雨が降れば また死ぬほどの痛みが 正岡君を苦しめる。 288 00:24:50,219 --> 00:24:56,358 (子規)あ~ 痛い 痛い…。➡ 289 00:24:56,358 --> 00:25:07,369 律… 母上… 痛いよ~。 290 00:25:07,369 --> 00:25:15,711 痛いよ 痛い 痛い…。 291 00:25:15,711 --> 00:25:22,384 淳さん… 夏目…。 292 00:25:22,384 --> 00:25:27,556 誰か 助けておくれ…。 293 00:25:27,556 --> 00:25:33,362 みんな どこにおるんじゃ…。 294 00:25:33,362 --> 00:25:47,877 律 律 律 律 律 律…! 295 00:25:47,877 --> 00:25:53,182 ああ… ああ…。 296 00:25:53,182 --> 00:26:04,693 (うめき声) 297 00:26:04,693 --> 00:26:08,693 律…。 298 00:26:12,568 --> 00:27:21,036 ♬~ 299 00:27:21,036 --> 00:27:33,616 (泣き声) 300 00:27:33,616 --> 00:27:36,916 ≪(八重)ただいま。 301 00:27:40,389 --> 00:27:43,689 降られてしもた。 302 00:28:03,345 --> 00:28:05,345 リーさんは? 303 00:28:08,017 --> 00:28:10,919 あ~ お帰りなさい。 304 00:28:10,919 --> 00:28:16,219 律は まだじゃよ。 305 00:28:26,702 --> 00:28:30,572 (子規) 「死は 恐ろしくないのであるが➡ 306 00:28:30,572 --> 00:28:33,976 苦しみが 恐ろしいのだ。➡ 307 00:28:33,976 --> 00:28:36,879 病苦でさえ 耐えきれぬのに➡ 308 00:28:36,879 --> 00:28:44,379 このうえ 死に損なうと思うと 恐ろしい」。 309 00:28:46,155 --> 00:28:50,025 (広瀬) 旗艦レトビザン 戦艦ペレスヴェート…。 310 00:28:50,025 --> 00:28:56,332 海軍少佐 広瀬武夫は ロシア駐在武官の任を解かれて➡ 311 00:28:56,332 --> 00:29:01,203 ウラジオストク 旅順経由で 日本に帰ってきた。 312 00:29:01,203 --> 00:29:06,975 (広瀬)以上が 旅順港における ロシア艦隊じゃ。 313 00:29:06,975 --> 00:29:09,345 佐世保から2日の距離に➡ 314 00:29:09,345 --> 00:29:12,247 これだけの敵の大艦隊が 控えちょるのを見るのは➡ 315 00:29:12,247 --> 00:29:17,019 なかなか ええ気分じゃった。 (笑い声) 316 00:29:17,019 --> 00:29:21,690 ウラジオストク艦隊でさえ これだけの 威容を誇っちょったんで➡ 317 00:29:21,690 --> 00:29:25,561 余計 ゾクゾクしたわい。 318 00:29:25,561 --> 00:29:32,634 更に この はるか北方 ロシアのバルト海には➡ 319 00:29:32,634 --> 00:29:37,973 旅順艦隊に勝る バルチック艦隊が控えちょる。 320 00:29:37,973 --> 00:29:45,147 その艦隊も 遠路 日本海にやっち来るおそれがある。 321 00:29:45,147 --> 00:29:52,447 対する我が国の艦隊は ただ一つ。 連合艦隊じゃ。 322 00:29:54,156 --> 00:29:58,660 教官と生徒の立場の差が あるとはいえ➡ 323 00:29:58,660 --> 00:30:02,331 満座の席で その時 秋山は 何と 言って わしを愚弄したと思う? 324 00:30:02,331 --> 00:30:06,168 「愚劣極まる。 八代という人は もっと偉い人かと思っていたが➡ 325 00:30:06,168 --> 00:30:09,204 これしきのことが分からぬとは 驚き入ったことだ」。 326 00:30:09,204 --> 00:30:14,343 それはいかん。 戦術家として 八代さんは はるかに先輩じゃあ。 327 00:30:14,343 --> 00:30:19,681 それに 少佐の肩章をつけた男が 大佐に向こうち言う言葉ではない。 328 00:30:19,681 --> 00:30:22,017 豪傑肌の八代さんのことだ。 329 00:30:22,017 --> 00:30:25,854 一歩 間違えれば 秋山と つかみ合いにもなりかねんで。 330 00:30:25,854 --> 00:30:27,790 お持ちします。 331 00:30:27,790 --> 00:30:29,725 なったんですか? 332 00:30:29,725 --> 00:30:35,564 いや 俺も戦術家だ。 一晩 寝ずに考えた。 333 00:30:35,564 --> 00:30:40,035 残念ながら 秋山の方が正しかった。 334 00:30:40,035 --> 00:30:44,373 次の日の講義の時間に 恥を忍んで 大声で謝った。 335 00:30:44,373 --> 00:30:47,042 「秋山 君の方が正しい」。➡ 336 00:30:47,042 --> 00:30:49,378 そしたら 秋山 にべもなく こう答えた。➡ 337 00:30:49,378 --> 00:30:54,249 「そうでしょう」。 アハハハハハッ 秋山らしい。 338 00:30:54,249 --> 00:30:58,053 愛きょうも何もない。 (おなら) 339 00:30:58,053 --> 00:31:00,556 戦術に 愛きょうは いりませんけん。 340 00:31:00,556 --> 00:31:05,427 だから 人に こう言われる。 「どうも天才だが 人徳がない」。➡ 341 00:31:05,427 --> 00:31:08,730 かわいい女子にも そんなことだから 嫌われる。➡ 342 00:31:08,730 --> 00:31:12,601 広瀬 席 取ってある。 はい。 343 00:31:12,601 --> 00:31:16,301 秋山教官も どうぞ。 344 00:31:18,740 --> 00:31:25,614 秋山 かわいい女子に 嫌われたんか? 345 00:31:25,614 --> 00:31:30,352 アシは 海軍を 一生の大道楽と思うとります。 346 00:31:30,352 --> 00:31:36,352 末は戦場で死ぬけん 結婚などは よう思い至りません。 347 00:31:38,026 --> 00:31:41,326 武夫さんは? 348 00:31:43,699 --> 00:31:48,537 俺の新しい勤務が決まった。 349 00:31:48,537 --> 00:31:51,306 朝日に乗る。 朝日! 350 00:31:51,306 --> 00:31:54,743 あのポーツマスで 一緒に 写真撮った 戦艦 朝日か? そうじゃ。 351 00:31:54,743 --> 00:31:57,546 そりゃええ! 世界一の戦艦じゃ。 352 00:31:57,546 --> 00:32:03,846 うむ。 今度 会う時は 互いに 艦隊勤務じゃのう。 353 00:32:06,221 --> 00:32:09,421 戦争に突入しておるかもしれんな。 354 00:32:16,665 --> 00:32:22,070 北清事変がおわってから 列強は 清国に駐屯軍をおいた。 355 00:32:22,070 --> 00:32:27,409 名目は 居留民の生命財産の保護 ということであった。 356 00:32:27,409 --> 00:32:31,909 無論 権益の保護もする。 357 00:32:33,682 --> 00:32:37,553 各国とも なかば 恒久的な駐屯であった。 358 00:32:37,553 --> 00:32:40,355 天津における日本の司令部は➡ 359 00:32:40,355 --> 00:32:44,226 「清国駐屯軍守備隊司令部」と 呼称された。 360 00:32:44,226 --> 00:32:46,695 司令官に任命されたのは➡ 361 00:32:46,695 --> 00:32:53,395 すでに 大佐に進級している 秋山好古である。 362 00:32:59,274 --> 00:33:02,711 (好古)どうも陰鬱な眺めですなあ。 363 00:33:02,711 --> 00:33:08,050 (伊集院) 隣のフランスやら イギリスの租界は 既に 洋風の建物が立ち並び➡ 364 00:33:08,050 --> 00:33:11,386 日本との 文明の落差は 歴然でごわす。 365 00:33:11,386 --> 00:33:14,586 日本とは つらい国ですな。 366 00:33:16,592 --> 00:33:21,063 せめて 道普請でも しましょうか。 367 00:33:21,063 --> 00:33:26,401 簡単ではなかど。 経費は かさむし 人手も足りもはん。 368 00:33:26,401 --> 00:33:28,904 日本人は 金より 体を使うて➡ 369 00:33:28,904 --> 00:33:31,673 なんとか やっていく以外 ありません。 370 00:33:31,673 --> 00:33:33,673 うわっ! 371 00:33:47,155 --> 00:33:51,560 体 使うんは 気持ちええじゃろ? (兵たち)はい! 372 00:33:51,560 --> 00:33:57,760 (馬のいななき) 373 00:34:02,037 --> 00:34:07,542 ♬~ 374 00:34:07,542 --> 00:34:12,047 (兵たち)止まれ 止まれ~! 375 00:34:12,047 --> 00:34:14,950 (袁克定) 停! 376 00:34:14,950 --> 00:34:21,390 直隷総督ならびに 北洋大臣 袁世凱閣下である。 377 00:34:21,390 --> 00:34:27,590 日本駐屯軍司令官にお会いしたい。 案内を頼む。 378 00:34:36,705 --> 00:34:39,005 アシが ご案内しよう。 379 00:34:41,343 --> 00:34:50,343 ♬~ 380 00:35:07,335 --> 00:35:13,335 日本駐屯軍司令官 秋山好古です。 381 00:35:18,847 --> 00:35:22,217 好古は 日本人だけでなく➡ 382 00:35:22,217 --> 00:35:28,490 天津駐在の欧州各国の軍人や 清国の官民にも人気があった。 383 00:35:28,490 --> 00:35:34,296 好古の ごく自然な 東洋豪傑風の人格に安心したり➡ 384 00:35:34,296 --> 00:35:37,666 なついたりしたのであろう。 385 00:35:37,666 --> 00:35:45,006 その評判は 当然 直隷総督の 袁世凱の耳にも入っていた。 386 00:35:45,006 --> 00:35:49,344 袁世凱は 病没した李鴻章に代わって➡ 387 00:35:49,344 --> 00:35:54,344 声望を高め始めていた。 388 00:35:58,353 --> 00:36:02,653 それでこそ 袁世凱閣下じゃ! 389 00:36:10,365 --> 00:36:13,365 (笑い声) 390 00:36:36,992 --> 00:36:41,092 アシが そんな人間に 見えますかのう。 391 00:36:58,280 --> 00:37:00,849 分かりました。 392 00:37:00,849 --> 00:37:07,649 日本租界の行政権は そっくり 閣下に お返ししましょう。 393 00:37:10,559 --> 00:37:15,359 …と 本当は 言いたいところなんだがのう。 394 00:37:18,867 --> 00:37:23,705 我が国は 連合国の中では 一番 格下じゃ。 395 00:37:23,705 --> 00:37:30,378 それでは 列強が黙ってはいまい。 行政権の返還は➡ 396 00:37:30,378 --> 00:37:35,878 連合国の合意がなければ 実現せんでしょう。 397 00:37:37,485 --> 00:37:41,485 閣下を愚弄するのか! 398 00:38:00,408 --> 00:38:02,508 (笑い声) 399 00:38:09,217 --> 00:38:11,917 (笑い声) 400 00:38:16,358 --> 00:38:19,261 閣下が 必ず お訪ねになると思い➡ 401 00:38:19,261 --> 00:38:22,230 口を開けずに 我慢しとりました。 402 00:38:22,230 --> 00:38:25,230 アシも これを飲んだら やめられん。 403 00:39:21,222 --> 00:39:25,222 (笑い声) 404 00:39:31,833 --> 00:39:37,973 いや~ ええ眺めじゃ。 アシの騎兵隊も こんな所で➡ 405 00:39:37,973 --> 00:39:41,309 伸び伸び 訓練させてやりたいもんじゃ。 406 00:39:41,309 --> 00:39:46,109 酒が切れたようじゃな。 ほい。 407 00:40:06,468 --> 00:40:11,468 閣下も なかなかのもんじゃ。 408 00:40:31,726 --> 00:40:35,926 意地でも 清国人には負けられんわ。 409 00:40:48,376 --> 00:40:55,376 おう。 すまん。 すまん すまん。 410 00:41:04,392 --> 00:41:07,729 袁世凱が いかに食えぬ男であるかは➡ 411 00:41:07,729 --> 00:41:11,399 北清事変のときの挙動でもわかる。 412 00:41:11,399 --> 00:41:15,070 あのとき 清国は 義和団と連合して➡ 413 00:41:15,070 --> 00:41:18,406 ついに 列国に宣戦布告するにいたるが➡ 414 00:41:18,406 --> 00:41:24,279 袁世凱は その軍隊を 最後まで 山東半島にとどめて うごかさず➡ 415 00:41:24,279 --> 00:41:27,749 清軍および 義和団が潰滅すると➡ 416 00:41:27,749 --> 00:41:32,587 無傷の軍隊をひきいて 戦後経営にのりだした。 417 00:41:32,587 --> 00:41:56,911 ♬~ 418 00:41:56,911 --> 00:42:00,611 閣下の精鋭ですな。 419 00:42:13,895 --> 00:42:20,668 袁世凱は のちに 清王朝をたおし 初代の中華民国大総統になる。 420 00:42:20,668 --> 00:42:24,405 その袁世凱が はた目にも おかしいほど➡ 421 00:42:24,405 --> 00:42:28,405 好古を信頼したのである。 422 00:42:32,680 --> 00:42:36,351 アシは 俳句を詠む。 423 00:42:36,351 --> 00:42:40,755 まだまだ ええ句が 浮かんできよるんじゃ。 424 00:42:40,755 --> 00:42:43,455 どんなに苦しゅうても 生きようとするんじゃ。 425 00:42:46,294 --> 00:42:48,963 兄さん 戻ってきてくだされ! 426 00:42:48,963 --> 00:42:54,369 ♬「希望のつぼみが」 427 00:42:54,369 --> 00:43:01,142 ♬「遠くを見つめていた」 428 00:43:01,142 --> 00:43:08,416 ♬「迷い悩むほど」 429 00:43:08,416 --> 00:43:15,757 ♬「人は強さを掴むから」 430 00:43:15,757 --> 00:43:18,660 ♬「夢をみる」 431 00:43:18,660 --> 00:43:25,767 ♬「凛として旅立つ」 432 00:43:25,767 --> 00:43:33,575 ♬「一朶の雲を目指し」 433 00:43:33,575 --> 00:44:01,236 ♬~ 434 00:44:01,236 --> 00:44:08,576 ♬「凛として旅立つ」 435 00:44:08,576 --> 00:44:20,288 ♬「一朶の雲を目指し」 436 00:44:20,288 --> 00:44:25,588 ♬~ 437 00:45:33,628 --> 00:45:41,703 ♬~ 438 00:45:41,703 --> 00:45:45,039 (エマ)ニンジン 嫌! (エリー)何でも食べなきゃ駄目! 439 00:45:45,039 --> 00:45:47,942 何で? お母さんの言う事が聞けない? 440 00:45:47,942 --> 00:45:49,911 (戸が開く音) ≪(政春)ただいま! 441 00:45:49,911 --> 00:45:52,380 お父さんや! どうしたんじゃ? 442 00:45:52,380 --> 00:45:55,283 エマが また ニンジン食べない。 443 00:45:55,283 --> 00:45:57,251 お父ちゃんが 半分食べたろか?