1 00:00:03,671 --> 00:00:05,606 (唯幸)桜の木は欲しくないが 桜子は欲しい。 2 00:00:05,673 --> 00:00:08,609 (唯幸)そっちの返事しだいじゃ 息の根すぐに止めたるわ。 3 00:00:08,676 --> 00:00:11,612 (郁造)桜子今夜お父さんと 付き合ってくれるか? 4 00:00:11,679 --> 00:00:14,615 (桜子)わたし 結婚するつもりなんかありません。 5 00:00:14,682 --> 00:00:17,618 (唯幸)あんたが この見合いの席ぶち壊したら→ 6 00:00:17,685 --> 00:00:20,688 お父さん 首くくって死なんならんのじゃぞ。 7 00:00:49,717 --> 00:00:53,654 (唯幸)わしらはあんたが欲しい。 嫁に来るのか来ないのか→ 8 00:00:53,721 --> 00:00:55,723 返事しなさい。 9 00:01:04,665 --> 00:01:06,600 (桜子)失礼します。 10 00:01:06,667 --> 00:01:09,670 (郁造)桜子。桜子。 11 00:01:11,672 --> 00:01:16,610 お~芯の強い子や。→ 12 00:01:16,677 --> 00:01:20,614 いさみ酒造さん わしゃますます気に入ったぞ。 13 00:01:20,681 --> 00:01:26,687 (3人の笑い声) 14 00:01:31,692 --> 00:01:33,694 (勝)桜子? 15 00:01:35,696 --> 00:01:47,708 (桜子泣き声) 16 00:01:49,710 --> 00:01:51,712 \(郁造)入っていいか? 17 00:01:51,712 --> 00:02:11,665 ♪~ 18 00:02:11,665 --> 00:02:13,667 (郁造)桜子。 19 00:02:19,673 --> 00:02:24,678 (郁造)悪かったな だまし討ちみたいなことして。 20 00:02:26,680 --> 00:02:33,621 (桜子)わたしぬくぬくと何の心配もなく 暮らしてきたけど→ 21 00:02:33,687 --> 00:02:37,625 酒蔵は 大変なことになっとったんやね。 22 00:02:37,691 --> 00:02:41,629 (郁造)そこまでお前に 知られたくはなかったがな。 23 00:02:41,695 --> 00:02:48,636 (桜子)いいえお父さまだけが苦しんで わたしが知らん顔してるなんて→ 24 00:02:48,702 --> 00:02:51,639 そんなことできません。 25 00:02:51,705 --> 00:02:58,646 でもでもそのためにわたしが→ 26 00:02:58,712 --> 00:03:01,649 好きでもない人のところへ お嫁に行くなんて→ 27 00:03:01,715 --> 00:03:03,584 まるで身売りみたいやないの。 (郁造)桜子。 28 00:03:03,651 --> 00:03:05,586 (桜子)そんなんは嫌です。 29 00:03:05,653 --> 00:03:07,588 お父さま→ 30 00:03:07,655 --> 00:03:11,592 どこに出しても恥ずかしいない お婿さん見つけてやるって→ 31 00:03:11,659 --> 00:03:13,594 そう言ってくださったやないの。 32 00:03:13,661 --> 00:03:19,600 なのにあんな人ですか? あんな金貸しの息子ですか。 33 00:03:19,667 --> 00:03:24,672 (泣き声) 34 00:03:26,674 --> 00:03:32,680 お前が比呂人を好いてることは 分かっとる。 35 00:03:35,683 --> 00:03:38,619 (桜子)比呂人さんのことは 関係ありません。 36 00:03:38,686 --> 00:03:42,623 いや お前がそこまで強く言えるのは→ 37 00:03:42,690 --> 00:03:45,626 比呂人が好きやからや。 38 00:03:45,693 --> 00:03:50,631 けどな お前たちは結婚はできんのじゃ。 39 00:03:50,698 --> 00:03:53,701 (桜子)結婚なんて。 40 00:03:55,703 --> 00:04:01,642 お前と比呂人は同じ父親の子や。 41 00:04:01,709 --> 00:04:04,578 血のつながった きょうだいなんや。 42 00:04:04,645 --> 00:04:07,581 (桜子)えっ? >>わしはお前を→ 43 00:04:07,648 --> 00:04:12,586 兵庫県の田舎の寺の 住職からもらい受けた。 44 00:04:12,653 --> 00:04:21,595 お前も比呂人も母親は違うけど その住職の子供なんや。 45 00:04:21,662 --> 00:04:24,598 (桜子)住職の? 46 00:04:24,665 --> 00:04:28,602 慈慧寺という寺のな。 47 00:04:28,669 --> 00:04:34,608 うちの裏庭の桜の木は 元はその寺の境内にあったんや。 48 00:04:34,675 --> 00:04:41,615 比呂人も小さいころは あの桜の木を見て育ったんやろ。 49 00:04:41,682 --> 00:04:43,684 (桜子)そのお寺で。 50 00:04:45,686 --> 00:04:48,622 お前と比呂人が引かれ合うのも→ 51 00:04:48,689 --> 00:04:50,624 桜の縁が あってのことかもしれんな。 52 00:04:50,691 --> 00:04:55,629 けどなそれは兄と妹の血が 呼び合っとるだけで→ 53 00:04:55,696 --> 00:04:58,632 男女の恋にはならんのや。 54 00:04:58,699 --> 00:05:02,636 (桜子)そんなら わたしのお母さんは誰なんです? 55 00:05:04,638 --> 00:05:07,574 秀ふじという女じゃ。 56 00:05:07,641 --> 00:05:12,579 一時 慈慧寺の和尚と同棲しとった。 57 00:05:12,646 --> 00:05:14,581 お前が生まれる前→ 58 00:05:14,648 --> 00:05:20,587 秀ふじは小さいころの比呂人を 寺で育てたそうや。 59 00:05:20,654 --> 00:05:25,592 (桜子)そうそれじゃ比呂人さんが お母さんって言ってるのは。 60 00:05:25,659 --> 00:05:31,598 その女のことや。育ての母親じゃ。 61 00:05:31,665 --> 00:05:34,601 比呂人は 奥飛騨に会いに行っとった。 62 00:05:34,668 --> 00:05:38,605 (桜子)その人が わたしのお母さんでもあるのね? 63 00:05:38,672 --> 00:05:41,608 そうや。 64 00:05:41,675 --> 00:05:45,612 お前たちの父親は慈慧寺の和尚。 65 00:05:45,679 --> 00:05:48,682 兄と妹なんじゃ。 66 00:05:54,688 --> 00:05:59,626 実の子やないけどな わしはお前を→ 67 00:05:59,693 --> 00:06:03,564 目に入れても痛くないくらいに 思って育ててきた。 68 00:06:03,630 --> 00:06:08,569 そんな娘を櫛山にやるなんて→ 69 00:06:08,635 --> 00:06:11,638 お父さんとしては 忍びないんやけど。 70 00:06:13,640 --> 00:06:17,578 これ以上はわしも言えん。 71 00:06:17,644 --> 00:06:19,646 後はお前の一存に任す。 72 00:06:21,648 --> 00:06:23,650 (桜子)お父さま。 73 00:06:26,653 --> 00:06:31,592 (桜子)わたしが雄一さんと結婚すれば→ 74 00:06:31,658 --> 00:06:33,660 酒蔵は つぶさなくて済むんですね? 75 00:06:35,662 --> 00:06:41,602 櫛山の方でちゃんと 援助してくれるんですね? 76 00:06:41,668 --> 00:06:44,605 許してくれ。 77 00:06:44,671 --> 00:06:49,610 こんなことを言いだすなんて お父さんは父親じゃない。 78 00:06:49,676 --> 00:06:51,612 鬼じゃ。 79 00:06:51,678 --> 00:06:54,681 許してくれ許してくれ。 80 00:06:54,681 --> 00:07:08,629 ♪~ 81 00:07:08,629 --> 00:07:12,566 {\an8}(勝)桜子 ゆうべはどうしたんや? 82 00:07:12,633 --> 00:07:15,569 {\an8}親父と何かあったんか? 83 00:07:15,636 --> 00:07:17,571 {\an8}(桜子)いえ。 84 00:07:17,638 --> 00:07:21,575 {\an8}親父もお前も何か変やったぞ。 85 00:07:21,642 --> 00:07:23,644 {\an8}(桜子)別にいいの。 86 00:07:27,648 --> 00:07:34,588 {\an8}(桜子)この桜の木のために お父さまずいぶんお金を使って→ 87 00:07:34,655 --> 00:07:38,659 {\an8}うちの財産をすり減らして おしまいになったのね。 88 00:07:45,666 --> 00:07:47,668 桜子。 89 00:07:53,674 --> 00:07:57,611 (まりえ)ねえあなた 何があったんです? 90 00:07:57,678 --> 00:07:59,613 何がって? 91 00:07:59,680 --> 00:08:01,615 (まりえ)ゆうべ 桜子と外に出たとき→ 92 00:08:01,682 --> 00:08:04,551 何かあったんでしょ違うの? 93 00:08:04,618 --> 00:08:08,555 何もない 変わったことは何もない。 94 00:08:08,622 --> 00:08:10,557 (まりえ)あなた。 95 00:08:10,624 --> 00:08:16,563 (勝)⟨結局桜子の 櫛山家との見合いのことは→ 96 00:08:16,630 --> 00:08:19,566 わたしと母には 知らされないままで→ 97 00:08:19,633 --> 00:08:22,569 わたしが知れば また一騒動になると→ 98 00:08:22,636 --> 00:08:24,571 思ったのでしょうか⟩ 99 00:08:24,638 --> 00:08:26,573 ⟨でも→ 100 00:08:26,640 --> 00:08:31,578 桜子がわたしとの結婚話を断った いきさつを知った以上→ 101 00:08:31,645 --> 00:08:34,581 そんな がむしゃらな暴発をする勇気は→ 102 00:08:34,648 --> 00:08:36,650 わたしにはなかった⟩ 103 00:08:38,652 --> 00:08:40,587 ⟨人間たちの葛藤をよそに→ 104 00:08:40,654 --> 00:08:45,592 酒蔵では微生物の活動は 1日も休まないのです⟩ 105 00:08:45,659 --> 00:08:50,664 ⟨それは嵐の前の静けさにも 似ていました⟩ 106 00:08:58,672 --> 00:09:01,608 (郁造)桜子には むごいことを言うてしもうた。 107 00:09:01,675 --> 00:09:05,679 (秀ふじ)桜子は 言うことを聞くでしょうね。 108 00:09:07,681 --> 00:09:11,618 (郁造)手塩にかけて 育ててきた娘を→ 109 00:09:11,685 --> 00:09:15,622 借金のかたに 嫁にやるようなことをして。 110 00:09:15,689 --> 00:09:19,626 わしは地獄に落ちるわ。 111 00:09:19,693 --> 00:09:22,629 (秀ふじ)あんさんが 地獄に落ちるんやったら→ 112 00:09:22,696 --> 00:09:24,698 うちも同じです。 113 00:09:28,702 --> 00:09:30,704 2人で落ちるか。 114 00:09:34,708 --> 00:09:37,711 (秀ふじ)あんさんはもう うちだけのもんや。 115 00:09:39,713 --> 00:09:46,653 (郁造)結局あの桜が わしの運命を決めたんじゃ。 116 00:09:46,720 --> 00:09:52,659 桜子はあの桜の木のまたから 生まれた子じゃ。 117 00:09:52,726 --> 00:09:56,663 (秀ふじ)うちが産んだんです。 118 00:09:56,730 --> 00:10:03,604 そうやお前たち親子は あの桜そのものなんや。 119 00:10:03,670 --> 00:10:07,607 その桜を移植するために→ 120 00:10:07,674 --> 00:10:12,612 わしゃいくら金をつぎ込んでも 惜しくないと思った。 121 00:10:12,679 --> 00:10:15,615 40tもある桜を→ 122 00:10:15,682 --> 00:10:19,619 クレーンとブルドーザーで 引き上げた。 123 00:10:19,686 --> 00:10:22,622 それを縄で固め→ 124 00:10:22,689 --> 00:10:27,628 周囲3mある幹にも 丹念に縄巻きして→ 125 00:10:27,694 --> 00:10:31,631 さらに大きな枝にも縄を巻いた。 126 00:10:31,698 --> 00:10:35,635 それで高山まで どうやって運んだんです? 127 00:10:35,702 --> 00:10:42,642 (郁造)うん 桜を横に倒してな鉄そりに載せ→ 128 00:10:42,709 --> 00:10:44,644 その下に丸太をかませた。 129 00:10:44,711 --> 00:10:47,647 丸太ですて。 130 00:10:47,714 --> 00:10:52,652 ゆっくりゆっくり 引っ張るもんやから→ 131 00:10:52,719 --> 00:10:54,721 1日いくらも進まん。 132 00:10:56,723 --> 00:11:00,660 桜はミシミシ音を立てて→ 133 00:11:00,727 --> 00:11:07,601 わしにはそれが 悲鳴のように聞こえてきた。 134 00:11:07,667 --> 00:11:13,607 道幅の狭い 山際の道を通るときにはな→ 135 00:11:13,673 --> 00:11:17,611 ブルドーザーで山の斜面を→ 136 00:11:17,677 --> 00:11:20,681 削り取るようなことまでして 運んだ。 137 00:11:22,682 --> 00:11:26,620 面白いように金が出ていきよった。 138 00:11:26,686 --> 00:11:32,626 わしは湯水のように 使うて使うて使いまくった。 139 00:11:32,692 --> 00:11:35,695 あんさんやからできたんです。 140 00:11:37,697 --> 00:11:41,635 たった1本の桜の古木のために→ 141 00:11:41,701 --> 00:11:46,640 愚かにもほどがあると 世間の笑いものにはなるし→ 142 00:11:46,706 --> 00:11:48,642 植木屋の中には→ 143 00:11:48,708 --> 00:11:51,645 そんなことをしても 活着するはずがないと→ 144 00:11:51,711 --> 00:11:54,648 言う者もおったんだが→ 145 00:11:54,714 --> 00:11:58,718 桜は見事に根付いた。 146 00:12:00,720 --> 00:12:06,660 あんさんの執念です。 執念が実ったんです。 147 00:12:08,662 --> 00:12:15,602 毎年春になると 奇麗に花を咲かせる。 148 00:12:15,669 --> 00:12:19,606 それもただの奇麗さやないぞ。 149 00:12:19,673 --> 00:12:26,613 怪しいような 狂おしいような咲き方じゃ。 150 00:12:26,680 --> 00:12:30,617 ええええ。 151 00:12:30,684 --> 00:12:36,690 わしにはな 桜の声が聞こえるんじゃ。 152 00:12:38,692 --> 00:12:41,695 ミシミシミシミシ。 153 00:12:43,697 --> 00:12:48,635 わしにだけは あのときの声が聞こえる。 154 00:12:48,702 --> 00:12:50,704 ええ。 155 00:12:54,708 --> 00:13:00,647 秀ふじ わしはちっとも後悔しとらんぞ。 156 00:13:00,714 --> 00:13:03,583 わしはな→ 157 00:13:03,650 --> 00:13:07,654 あの桜と心中するつもりで やったんじゃ。 158 00:13:09,656 --> 00:13:14,594 あんさん心中するんやったら→ 159 00:13:14,661 --> 00:13:18,665 桜子の代わりに わたしを道連れにしてください。 160 00:13:21,668 --> 00:13:24,604 わたしは桜子の母親です。 161 00:13:24,671 --> 00:13:29,609 心中の相手として 不足はないでしょ? 162 00:13:29,676 --> 00:13:31,678 一緒に死にましょ。 163 00:13:34,681 --> 00:13:36,683 思い残すことはない。 164 00:13:39,686 --> 00:13:43,623 西行さんと同じ気持ちじゃ。 165 00:13:43,690 --> 00:13:47,694 あの桜の下で死にたい。 166 00:13:50,697 --> 00:13:54,701 西行さんの歌のとおり。 167 00:13:56,703 --> 00:14:02,642 わしの気持ちは この歌のとおりや。 168 00:14:05,645 --> 00:14:19,659 願わくば桜の下で我死なん この如月の望月の頃。 169 00:14:26,666 --> 00:14:28,602 (郁造)《お前と比呂人が 引かれ合うのも→ 170 00:14:28,668 --> 00:14:32,606 桜の縁が あってのことかもしれんな》→ 171 00:14:32,672 --> 00:14:37,611 《けどなそれは兄と妹の血が 呼び合っとるだけで→ 172 00:14:37,677 --> 00:14:41,615 男女の恋にはならんのや》 173 00:14:41,681 --> 00:14:43,683 (桜子)比呂人さん。 174 00:14:53,693 --> 00:14:57,631 えっ? ⟨その事実を知ったのは→ 175 00:14:57,697 --> 00:14:59,633 お決まりのように 警察からの電話です⟩ 176 00:14:59,699 --> 00:15:04,638 分かりました すぐにすぐに行きます。 177 00:15:07,641 --> 00:15:11,578 心中? 心中ってどういうことなんや! 178 00:15:11,645 --> 00:15:14,581 女の人と死んだんじゃ。 179 00:15:14,648 --> 00:15:16,650 女と? 180 00:15:19,653 --> 00:15:25,659 (まりえの泣き声) 181 00:15:31,665 --> 00:15:33,600 (警察官)けさ 瑞郷の女将から電話があって→ 182 00:15:33,667 --> 00:15:36,603 署員が急行しました。 男の方はすでに死亡。→ 183 00:15:36,670 --> 00:15:40,607 女性は意識不明の重体で。 (まりえ)生きとるんですか? 184 00:15:40,674 --> 00:15:43,610 (警察官)助かるかどうか 分からんけど。 185 00:15:43,677 --> 00:15:45,612 秀ふじいう芸者や。 186 00:15:45,679 --> 00:15:47,614 秀ふじ? 187 00:15:47,681 --> 00:15:49,683 (警察官)おい君。 (警察官)はい。 188 00:15:51,685 --> 00:15:53,687 (警察官)これ遺書やろ。 189 00:15:55,689 --> 00:15:59,626 (郁造)「願わくば 桜の下にて我死なん→ 190 00:15:59,693 --> 00:16:02,629 この如月の望月の頃」→ 191 00:16:02,696 --> 00:16:05,632 「儂の気持はこの歌の通りです」→ 192 00:16:05,699 --> 00:16:08,635 「せめて儂等の骨だけでも→ 193 00:16:08,702 --> 00:16:10,637 あの桜の木の根元に 散骨して下さい」→ 194 00:16:10,704 --> 00:16:14,641 「お願いします。郁造」→ 195 00:16:14,708 --> 00:16:19,646 「まりえ殿勝殿桜子殿」 196 00:16:19,713 --> 00:16:23,650 散骨やなんて→ 197 00:16:23,717 --> 00:16:26,653 女の骨も 一緒にまけいうことやろか? 198 00:16:26,720 --> 00:16:29,656 親父がそう望んでるんやから。 199 00:16:29,723 --> 00:16:32,592 けどまだ死ぬかどうか。 200 00:16:32,659 --> 00:16:36,596 どうせ悪運は強いんやろうから。 201 00:16:36,663 --> 00:16:40,600 (桜子)わたしお父さまが→ 202 00:16:40,667 --> 00:16:46,606 裏の桜の木の下で 死になさってる夢見たんです。 203 00:16:46,673 --> 00:16:49,609 (まりえ)夢で? (桜子)ええ→ 204 00:16:49,676 --> 00:16:53,680 この春桜が満開だったころに。 205 00:16:55,682 --> 00:17:00,620 《お父さまお父さま どうしたんよお父さま》 206 00:17:00,687 --> 00:17:04,624 《お父さま。お父さま!》 207 00:17:04,691 --> 00:17:10,630 お父さまこの裏の桜の木の下で 死にたかったのね。 208 00:17:10,697 --> 00:17:14,634 人に言えんような苦労 背負い込んで。 209 00:17:14,701 --> 00:17:22,642 金策も大変やったやろうけど 何で芸者なんかと? 210 00:17:22,709 --> 00:17:25,645 (桜子)相手の人芸者なの? 211 00:17:25,712 --> 00:17:30,650 そうや ひいきにしてた秀ふじいう芸者や。 212 00:17:30,717 --> 00:17:35,722 (桜子)秀ふじ。 >>情けないホントに情けない。 213 00:17:37,724 --> 00:17:41,661 何でそんなもんと一緒に 死ななあかんのや。 214 00:17:41,728 --> 00:17:45,732 またわたしが世間の人に 何言われるか分からんやない。 215 00:17:47,734 --> 00:17:49,669 (まりえ)あんた→ 216 00:17:49,736 --> 00:17:53,740 死ぬときは自分のことしか 考えられへんのかい。 217 00:18:00,747 --> 00:18:04,684 (看護師)あっ駄目。 動いたら駄目。 218 00:18:04,751 --> 00:18:07,687 (秀ふじ)あの人は?宗形社長は? 219 00:18:07,754 --> 00:18:14,694 (看護師)あっ その人は亡くなったそうよ。 220 00:18:14,761 --> 00:18:17,697 亡くなった。 221 00:18:17,764 --> 00:18:21,701 (勝)お母さんって桜子の? 222 00:18:21,768 --> 00:18:24,704 (桜子)実の母です。 223 00:18:24,771 --> 00:18:29,709 奥飛騨にいる秀ふじって人やって お父さまが。 224 00:18:29,776 --> 00:18:31,711 親父がそう言ったんか? 225 00:18:34,714 --> 00:18:36,649 (桜子)ええ。 226 00:18:36,716 --> 00:18:40,653 そんならそんなら親父は→ 227 00:18:40,720 --> 00:18:43,723 桜子のお母さんと 心中したいうわけか? 228 00:18:46,726 --> 00:18:50,730 黙っとけよ。 そのことはしゃべったらあかん。 229 00:18:52,732 --> 00:18:54,734 (桜子)お兄ちゃん。 230 00:18:59,739 --> 00:19:01,674 (平岡)ほんなら酒造りは→ 231 00:19:01,741 --> 00:19:04,677 このまま続けさせてもろて よろしいんやな。 232 00:19:04,744 --> 00:19:08,681 (勝)そうしてください。 (深浦)蔵元が女と心中やて。 233 00:19:08,748 --> 00:19:10,683 (種村)おう。 (深浦)しかも相手は→ 234 00:19:10,750 --> 00:19:13,686 奥飛騨の芸者やで。 235 00:19:13,753 --> 00:19:18,691 (勝)みんなの給料は 俺が何とかして絶対払うから。 236 00:19:18,758 --> 00:19:22,695 (平岡)ほんならそれで決まった。 みんな持ち場へ戻ってくれ。 237 00:19:22,762 --> 00:19:24,697 (3人)へい。 238 00:19:24,764 --> 00:19:26,766 (勝)お願いします。 239 00:19:31,704 --> 00:19:33,640 どうしたんや比呂人。 240 00:19:33,706 --> 00:19:37,644 (比呂人)あの 相手の人も死んだんですか? 241 00:19:37,710 --> 00:19:42,715 芸者のことか? 何でそんなこと聞くんや? 242 00:19:44,717 --> 00:19:49,722 (比呂人)あっいやすいません。 243 00:19:54,727 --> 00:19:56,663 \(鈴の音) 244 00:19:56,729 --> 00:20:01,734 ⟨通夜葬儀は 内輪だけで行いました⟩ 245 00:20:15,748 --> 00:20:47,714 ♪~ 246 00:20:47,714 --> 00:20:50,650 今病院から連絡があった。 247 00:20:50,717 --> 00:20:52,719 (桜子)えっ? 248 00:20:52,719 --> 00:21:12,739 ♪~ 249 00:21:12,739 --> 00:21:14,674 \(桜子)待って! 250 00:21:14,741 --> 00:21:17,744 比呂人さん待って。 251 00:21:23,750 --> 00:21:26,753 (桜子)お母さんは無事です。 252 00:21:31,691 --> 00:21:34,627 (比呂人)桜子さん。 253 00:21:34,694 --> 00:21:38,698 (桜子)無事なのよ助かったのよ。 254 00:21:38,698 --> 00:22:12,732 ♪~