1 00:00:05,005 --> 00:00:10,010 ♪~ 2 00:02:42,363 --> 00:02:47,368 ~♪ 3 00:03:05,819 --> 00:03:07,621 (語り) 紀州(きしゅう) 紀ノ川(きのかわ)の奥 4 00:03:07,955 --> 00:03:09,523 高野山(こうやさん)の山裾に 5 00:03:09,723 --> 00:03:11,659 その小さな村は あった 6 00:03:13,160 --> 00:03:14,995 (竹本義太夫(たけもとぎだゆう))お屋敷の 隣に番所を設けた 7 00:03:15,930 --> 00:03:18,098 お手前方が 村から 一歩でも出れば 8 00:03:18,632 --> 00:03:20,467 こちらに 知らせが 来る事になっておる 9 00:03:21,402 --> 00:03:23,103 (義太夫) 抜け出す事など考えずに 10 00:03:23,537 --> 00:03:25,105 ごゆるりと 余生を送られよ 11 00:03:25,439 --> 00:03:26,807 (真田昌幸(さなだまさゆき))承知致した 12 00:03:27,641 --> 00:03:30,210 九度山村(くどやまむら)のおさは長兵衛(ちょうべえ)という男 13 00:03:31,111 --> 00:03:32,947 挨拶に参るよう 申しつけておるが— 14 00:03:33,914 --> 00:03:36,517 いっそ こちらから出向かれては いかがかな 15 00:03:40,721 --> 00:03:41,755 (昌幸)お前 行ってこい 16 00:03:42,856 --> 00:03:45,092 (真田信繁(のぶしげ))父上が参られた方が よろしいのでは? 17 00:03:48,762 --> 00:03:49,430 任せる 18 00:03:58,339 --> 00:03:59,006 行ってまいる 19 00:03:59,306 --> 00:03:59,974 (春(はる))お気を付けて 20 00:04:04,511 --> 00:04:06,046 何だ? その姿は 21 00:04:07,147 --> 00:04:09,216 (高梨内記(たかなしないき))ぐるりと 辺りを見て回りました 22 00:04:09,483 --> 00:04:12,252 山菜が こんなに! 23 00:04:12,319 --> 00:04:14,288 いずれ ゆっくりと 周囲を歩いてみよう 24 00:04:14,355 --> 00:04:15,022 (内記)ええ 25 00:04:17,558 --> 00:04:18,225 (きり)あっ! 26 00:04:19,727 --> 00:04:20,394 (きり)はい! 27 00:04:21,729 --> 00:04:24,932 村おさに会いに行くんでしょ 手ぶらは まずいと思うの 28 00:04:25,899 --> 00:04:28,869 大坂(おおさか)から持ってきたの 何かの役に立つかなって 29 00:04:35,943 --> 00:04:37,945 (信繁)ボーロと申す南蛮菓子でござる 30 00:04:39,013 --> 00:04:41,915 これから 世話になる よしなに頼みます 31 00:04:44,084 --> 00:04:46,420 (長兵衛)何で ここに来なすった? 32 00:04:48,589 --> 00:04:49,890 何で この村に? 33 00:04:49,957 --> 00:04:51,325 こっちだって すき好んで… 34 00:04:51,392 --> 00:04:52,760 迷惑をかけて すまぬ 35 00:04:53,360 --> 00:04:57,865 一日も早(はよ)う ご赦免となって ここを去って頂きたいと— 36 00:04:59,733 --> 00:05:02,703 皆 祈っております 37 00:05:03,804 --> 00:05:04,471 そうだ! 38 00:05:05,005 --> 00:05:06,507 我らも それは望むところ 39 00:05:06,807 --> 00:05:08,509 (長兵衛)でなければ 一日も早う— 40 00:05:10,344 --> 00:05:11,912 あの世へ行って下され 41 00:05:14,915 --> 00:05:17,084 どのくらい ここにいるんでしょうね? 42 00:05:17,184 --> 00:05:18,652 (信繁)それは 兄上次第 43 00:05:19,520 --> 00:05:20,621 (きり)1年くらい? 44 00:05:21,088 --> 00:05:23,290 (信繁)私は もっと長くなると 踏んでいる 45 00:05:24,525 --> 00:05:26,326 蟄居(ちっきょ)って 縛られたり— 46 00:05:26,393 --> 00:05:28,729 牢屋(ろうや)に入れられたりするのかと 思ってた 47 00:05:29,063 --> 00:05:32,366 村からは出られないが それでも 山歩きはできる 48 00:05:32,900 --> 00:05:36,103 一日 何もせずに ぼ~っと過ごせると思うと— 49 00:05:36,336 --> 00:05:37,337 むしろ 楽しみだ 50 00:05:38,639 --> 00:05:40,307 そこまではないかな 51 00:05:40,741 --> 00:05:43,377 真田の郷(さと)で駆け回っていた頃を 思い出した 52 00:05:44,344 --> 00:05:48,382 楽しかったね… お梅(うめ)ちゃんも いたしね 53 00:05:52,853 --> 00:05:56,023 お前は いっつもいるな 54 00:06:08,902 --> 00:06:12,439 歩いてこよう ふふ~ん 55 00:06:15,075 --> 00:06:16,710 真田の郷の話をしていた 56 00:06:17,811 --> 00:06:19,480 一度 行ってみたいものです 57 00:06:19,680 --> 00:06:22,216 私が生まれ育った土地を お前にも見せてやりたい 58 00:06:22,282 --> 00:06:23,917 すえちゃんにも会いたいです 59 00:06:25,886 --> 00:06:26,553 いずれ 60 00:06:28,922 --> 00:06:30,557 父上様が お呼びですよ 61 00:06:32,993 --> 00:06:34,194 (信繁)よっこいしょ 62 00:06:38,065 --> 00:06:38,732 (佐助(さすけ))きり様! 63 00:06:38,799 --> 00:06:39,833 落ち着きましたか? 64 00:06:40,100 --> 00:06:42,102 (佐助)なんとか 住めるようにはなりました 65 00:06:43,704 --> 00:06:47,608 これ 一日で作ってしまうんだから びっくり 66 00:06:48,575 --> 00:06:50,010 何でもできるんですね 67 00:06:50,344 --> 00:06:51,378 素(す)っ破(ぱ)ですから! 68 00:06:52,513 --> 00:06:54,782 佐助さんって 頼りになるわよね 69 00:06:58,786 --> 00:07:00,220 あの これ… 70 00:07:08,729 --> 00:07:09,396 私? 71 00:07:13,767 --> 00:07:14,768 絵も上手… 72 00:07:19,606 --> 00:07:20,374 素っ破ですから 73 00:07:21,074 --> 00:07:24,778 先ほど 浅野(あさの)の番人が届けてきた 74 00:07:25,646 --> 00:07:26,513 兄上から! 75 00:07:32,753 --> 00:07:35,756 兄上 名前を変えられたのですね 76 00:07:36,557 --> 00:07:39,626 わしが与えた“幸”の字を 捨ておった 77 00:07:39,927 --> 00:07:42,696 徳川に対する忠義を 示したのでしょう 78 00:07:47,467 --> 00:07:48,135 源次郎(げんじろう)… 79 00:07:48,402 --> 00:07:49,069 はい 80 00:07:50,737 --> 00:07:55,309 源三郎(げんざぶろう)が捨てた“幸”の字 もろうてくれんか? 81 00:07:57,277 --> 00:07:58,178 私がですか? 82 00:07:58,312 --> 00:07:58,979 うん 83 00:08:01,582 --> 00:08:02,850 真田… 84 00:08:04,651 --> 00:08:07,754 幸信繁(ゆきのぶしげ)… 85 00:08:09,623 --> 00:08:10,657 考えておきます 86 00:08:12,726 --> 00:08:14,228 (矢沢三十郎頼幸(やざわさんじゅうろうよりゆき)) 九度山という所は 87 00:08:14,394 --> 00:08:15,495 寒いのでしょうか? 88 00:08:15,796 --> 00:08:17,064 (真田信之(のぶゆき))紀伊の国だからな 89 00:08:18,131 --> 00:08:20,367 (信之)むしろ ここよりは暖かいのではないか 90 00:08:20,434 --> 00:08:23,737 大殿や源次郎様は そこで 何をしておられるのですか? 91 00:08:24,271 --> 00:08:26,607 何もせず ゆっくりしておられるようだ 92 00:08:27,074 --> 00:08:29,009 (小山田茂誠(おやまだしげまさ)) よい事ずくめではないですか 93 00:08:30,344 --> 00:08:33,714 丸一日 誰かに見張られておるのだぞ 94 00:08:36,183 --> 00:08:38,585 とにかく 今は 内府(だいふ)様に— 95 00:08:39,086 --> 00:08:41,488 ご赦免を願い続けるよりほかに 道はない 96 00:08:41,722 --> 00:08:43,190 すぐに 伏見(ふしみ)へ届けまする 97 00:08:46,026 --> 00:08:47,060 母上のご様子は? 98 00:08:47,861 --> 00:08:49,997 相変わらず 伏せっておられます 99 00:08:51,365 --> 00:08:55,569 (信之)母上 召し上がらねば お元気になりませんよ 100 00:08:56,136 --> 00:08:59,573 (薫(かおる))何も食べたいとは 思わないのです 101 00:08:59,873 --> 00:09:01,708 (信之)早う お元気になって下され 102 00:09:02,175 --> 00:09:05,412 母上には 父上たちが戻ってこられた時に— 103 00:09:05,646 --> 00:09:08,949 元気なお姿で お迎えする役目がございますゆえ 104 00:09:12,019 --> 00:09:13,520 新しいかゆを持ってきてやれ 105 00:09:13,687 --> 00:09:14,788 (こう)かしこまりました 106 00:09:18,592 --> 00:09:19,793 (松(まつ))行かれましたよ 107 00:09:28,769 --> 00:09:32,606 (薫)何か おなかに入れておかないと 死んでしまうから 108 00:09:32,806 --> 00:09:34,975 甘いものばかり 召し上がってるから— 109 00:09:35,042 --> 00:09:37,244 お食事がとれないのでは? 110 00:09:43,250 --> 00:09:43,917 (薪(まき)を割る音) 111 00:09:45,018 --> 00:09:47,854 (春)う~! う~ん! 112 00:09:48,121 --> 00:09:49,890 (きり) 源次郎様にやって頂いたら? 113 00:09:49,957 --> 00:09:51,625 (春)これは 私の仕事です 114 00:09:53,694 --> 00:09:55,262 あっ ちょっと ちょっと… 115 00:09:55,896 --> 00:10:00,100 私もね そんなに知らないんだけど 腰がね 腰が大事! 116 00:10:02,936 --> 00:10:03,670 頑張って 117 00:10:07,975 --> 00:10:08,675 きりさん 118 00:10:08,909 --> 00:10:09,576 (きり)うん 119 00:10:09,910 --> 00:10:13,513 これからも 源次郎様の事 よろしくお願いしますね 120 00:10:14,081 --> 00:10:15,682 それは あなたの役目でしょ 121 00:10:16,717 --> 00:10:20,287 不安なんです 一緒にいられて うれしいけど— 122 00:10:20,988 --> 00:10:23,457 いつか 嫌われてしまうんじゃないかって 123 00:10:23,523 --> 00:10:27,694 大丈夫! あの人は あなたの事 大好きだから 124 00:10:31,732 --> 00:10:33,567 お梅さんに似ているからですか? 125 00:10:35,268 --> 00:10:38,672 似てるっていうか… お梅ちゃんも あなたも— 126 00:10:38,872 --> 00:10:41,742 こう 私みたいに 垢抜(あかぬ)けていないでしょう 127 00:10:42,576 --> 00:10:44,745 源次郎さんは そういう人が好みなの 128 00:10:47,481 --> 00:10:48,582 自信 持ちなさい 129 00:11:02,996 --> 00:11:03,997 (春)悔しいんです 130 00:11:04,431 --> 00:11:05,165 悔しい? 131 00:11:05,265 --> 00:11:07,601 (春)源次郎様は 私の夫です 132 00:11:07,968 --> 00:11:10,537 私は 源次郎様の妻です 133 00:11:11,371 --> 00:11:14,274 きりに 何か言われたのか? 気にする事は全くないから 134 00:11:18,311 --> 00:11:19,980 きりには 上田(うえだ)に帰ってもらおう 135 00:11:20,414 --> 00:11:22,682 内記の世話のために いてもらおうと思ったが— 136 00:11:22,916 --> 00:11:24,184 お前の気持ちの方が大事だ 137 00:11:24,251 --> 00:11:28,822 あの人は どうでもいいんです 私 負ける気がしないから 138 00:11:30,991 --> 00:11:31,658 では…? 139 00:11:39,199 --> 00:11:40,133 お梅さんです 140 00:11:40,534 --> 00:11:41,201 お梅? 141 00:11:41,535 --> 00:11:45,639 源次郎様の心の中で 今でも お梅さんは生きている 142 00:11:46,706 --> 00:11:48,008 勝てる訳がありませぬ 143 00:11:50,877 --> 00:11:53,313 (破る音) 144 00:11:53,914 --> 00:11:55,449 や… やめなさい 隙間風が 145 00:11:55,515 --> 00:11:59,753 (破る音) 146 00:12:14,167 --> 00:12:16,503 (語り) 一方 上杉景勝(うえすぎかげかつ)は 147 00:12:16,570 --> 00:12:18,472 徳川家康(とくがわいえやす)に謝罪し 148 00:12:18,872 --> 00:12:22,375 会津(あいづ)120万石から 米沢(よねざわ)30万石に 149 00:12:22,442 --> 00:12:24,277 減封(げんぽう)される事となった 150 00:12:27,881 --> 00:12:32,519 いずれは 上杉を頼るつもりだった 昌幸の思いは 潰(つい)えた 151 00:12:55,008 --> 00:12:59,613 この年 春は 信繁との最初の子を みごもっている 152 00:13:00,413 --> 00:13:01,114 源次郎様 153 00:13:01,181 --> 00:13:01,848 (信繁)ん? 154 00:13:03,183 --> 00:13:06,253 もし この子が女の子なら— 155 00:13:07,154 --> 00:13:09,489 名は 私が付けても ようございますか? 156 00:13:10,624 --> 00:13:11,892 もう決めてあるのか? 157 00:13:13,093 --> 00:13:13,760 お梅 158 00:13:16,496 --> 00:13:22,302 そうすれば この先 源次郎様が お梅の名を口にする時— 159 00:13:23,537 --> 00:13:25,438 それは この子の事になるから 160 00:13:31,711 --> 00:13:32,946 (語り)慶長(けいちょう)8年 161 00:13:33,580 --> 00:13:36,383 家康は 征夷大将軍に任ぜられた 162 00:13:37,484 --> 00:13:42,389 同じ年 孫娘 千(せん)姫を 豊臣秀頼(とよとみひでより)に輿入(こしい)れさせ— 163 00:13:42,556 --> 00:13:45,659 その権勢は 絶頂を迎えようとしている 164 00:13:46,860 --> 00:13:49,262 (信繁)征夷大将軍になったという事は— 165 00:13:49,563 --> 00:13:52,699 全ての武士の棟梁(とうりょう)として 名乗りを上げたという事 166 00:13:53,200 --> 00:13:56,403 (内記)いよいよ 徳川の世になるのですか 167 00:13:56,937 --> 00:14:00,907 これで 秀頼様のお立場は 更に弱くなりました 168 00:14:01,408 --> 00:14:02,809 運が向いてきたぞ 169 00:14:04,144 --> 00:14:05,612 家康は 今 浮かれとる 170 00:14:06,713 --> 00:14:08,848 我らの赦免も そう遠くないと見た 171 00:14:10,050 --> 00:14:11,585 上田へ帰れるかもしれんぞ 172 00:14:13,353 --> 00:14:14,888 ここで駄目なら もう 後はない 173 00:14:16,256 --> 00:14:19,392 源三郎に ひとふんばりしてもらわんとな 174 00:14:23,530 --> 00:14:26,132 これを本多佐渡守(ほんださどのかみ)殿に届けるのだ 175 00:14:26,199 --> 00:14:26,866 (河原綱家(かわらつないえ))はっ 176 00:14:26,933 --> 00:14:27,867 本多様に? 177 00:14:28,535 --> 00:14:29,970 源次郎から 文が届いた 178 00:14:30,637 --> 00:14:33,540 本多殿は ああ見えて 心優しきお方 179 00:14:33,974 --> 00:14:35,842 きっと 力になってくれるはずだと 180 00:14:36,876 --> 00:14:38,745 いよいよ ご赦免となりましょうか? 181 00:14:38,878 --> 00:14:39,813 祈るしかない 182 00:14:40,680 --> 00:14:42,616 (本多正信(まさのぶ)) 真田伊豆守(いずのかみ)より 183 00:14:43,550 --> 00:14:45,352 書状が届きました 184 00:14:51,291 --> 00:14:55,428 (徳川家康)中身は 分かっておる 185 00:14:59,532 --> 00:15:02,769 九度山に追いやってから はや2年 186 00:15:04,070 --> 00:15:07,474 赦免を考えてやるには よい機会 187 00:15:07,540 --> 00:15:08,808 ならぬ! 188 00:15:10,310 --> 00:15:16,082 安房守(あわのかみ)は 死ぬまで あそこにおるのだ 189 00:15:18,518 --> 00:15:19,886 (語り)更に 2年後 190 00:15:20,754 --> 00:15:24,891 家康は征夷大将軍を 秀忠(ひでただ)に譲った 191 00:15:27,093 --> 00:15:30,630 (信繁)将軍の位を 息子に譲ったという事は— 192 00:15:31,464 --> 00:15:35,468 今後は 徳川が政を行うと 世に知らしめたという事だ 193 00:15:36,269 --> 00:15:37,270 (内記)という事は? 194 00:15:37,470 --> 00:15:41,808 秀頼公が天下人となる目は 失われました 195 00:15:42,742 --> 00:15:44,844 今 家康は 浮かれておる 196 00:15:46,246 --> 00:15:47,714 最後の機会じゃ 197 00:15:49,182 --> 00:15:52,819 ここで 赦免がならねば 後は もうないぞ! 198 00:15:58,625 --> 00:16:00,393 くどい~ 199 00:16:00,560 --> 00:16:04,230 真田安房守 流罪となって はや4年 200 00:16:05,031 --> 00:16:08,301 もはや 牙を抜かれた狼(おおかみ) 野に… 201 00:16:08,368 --> 00:16:11,504 あれが九度山を離れるのは— 202 00:16:12,939 --> 00:16:15,175 骨になった時じゃ 203 00:16:16,276 --> 00:16:17,077 (徳川秀忠)佐渡守 204 00:16:18,144 --> 00:16:22,882 (秀忠)もう 安房守の事は 一切 我らの耳に入れるな 205 00:16:25,585 --> 00:16:27,087 あの男は もう死んだのだ 206 00:16:29,122 --> 00:16:30,657 かしこまりました 207 00:16:31,324 --> 00:16:31,991 (扇を開く音) 208 00:16:34,494 --> 00:16:37,330 いつになったら 殿は ご赦免されるのですか! 209 00:16:37,464 --> 00:16:39,399 いろいろ 手は尽くしておりまする 210 00:16:39,466 --> 00:16:42,936 (松)源次郎なんて 向こうで 2人も 子どもをもうけてるんですよ 211 00:16:43,103 --> 00:16:45,505 皆で一緒に暮らす訳には いかないのですか? 212 00:16:45,572 --> 00:16:49,209 それだけ 大御所様の お怒りは大きかったという事だ 213 00:16:49,642 --> 00:16:51,911 (松)誰よ? 大御所様って 214 00:16:52,946 --> 00:16:55,382 今は 家康公は そう呼ばれてるんだ 215 00:16:56,316 --> 00:16:59,686 私たち みんなで 大御所様に直訴してみては どう? 216 00:16:59,919 --> 00:17:01,121 ばかを言わんで下さい! 217 00:17:01,187 --> 00:17:03,656 みんなで頼めば なんとかして下さるかも 218 00:17:04,290 --> 00:17:06,626 それしかありませんね さっ 参りましょう! 219 00:17:06,693 --> 00:17:07,360 (松)はい! 220 00:17:08,228 --> 00:17:11,731 (稲(いな))母上様! いい加減になさいませ 221 00:17:12,198 --> 00:17:14,501 父上様のご赦免は もう お諦め下さい! 222 00:17:14,567 --> 00:17:16,436 そういう訳にはいきません! 223 00:17:16,503 --> 00:17:19,472 (稲)夫は 父上様とは 縁を絶ったのです 224 00:17:19,873 --> 00:17:22,142 もう二度と この城の中で— 225 00:17:22,275 --> 00:17:25,178 真田安房守様のお話をする事は なりませぬ 226 00:17:25,245 --> 00:17:27,414 私が 許しませぬ! 227 00:17:28,348 --> 00:17:29,482 え~… 228 00:17:29,682 --> 00:17:31,418 (稲)殿も殿でございます 229 00:17:31,851 --> 00:17:34,020 何のために 御名(おな)まで変えたのですか! 230 00:17:34,521 --> 00:17:37,424 我が家まで お取り潰しになっても よろしいのですか? 231 00:17:38,458 --> 00:17:41,828 全ては 真田のためでございます! 232 00:17:48,601 --> 00:17:51,070 これ以上 大御所様が ご機嫌を損ねれば— 233 00:17:51,638 --> 00:17:55,341 大殿様も源次郎様も お命が危のうございます 234 00:17:55,542 --> 00:17:58,945 奥方様は それを心配しておられるのです 235 00:17:59,312 --> 00:18:01,514 だったら そう言えばよいではないですか 236 00:18:02,682 --> 00:18:03,349 ねえ 237 00:18:12,892 --> 00:18:13,827 (昌幸)源次郎… 238 00:18:17,764 --> 00:18:19,833 これは ひょっとすると… 239 00:18:22,168 --> 00:18:26,239 わしは もう ここから出られんのかもしれんな 240 00:18:37,417 --> 00:18:38,852 (語り)慶長11年 241 00:18:39,519 --> 00:18:41,488 豊臣秀頼主催による 242 00:18:41,588 --> 00:18:43,923 大がかりな鷹狩(たかが)りが 催された 243 00:18:45,058 --> 00:18:50,096 (片桐且元(かたぎりかつもと))右大臣 豊臣秀頼公の おなりである! 244 00:18:59,405 --> 00:19:02,008 (豊臣秀頼)皆 支度は整っておるか? 245 00:19:02,609 --> 00:19:04,477 (且元) いつでも出立できまする 246 00:19:10,783 --> 00:19:11,784 では 参るぞ! 247 00:19:14,654 --> 00:19:15,522 (加藤清正(かとうきよまさ))ご出立じゃ! 248 00:19:15,855 --> 00:19:16,723 (一同)はっ! 249 00:19:40,046 --> 00:19:41,347 江雪斎(こうせつさい)殿! 250 00:19:52,325 --> 00:19:54,527 (板部岡(いたべおか)江雪斎)北条氏直(ほうじょううじなお)様の御霊(みたま)が— 251 00:19:55,428 --> 00:19:59,265 高野山で眠っておられるので 弔いに参った 252 00:19:59,899 --> 00:20:00,800 さようでしたか 253 00:20:02,502 --> 00:20:05,772 (江雪斎)これで 気兼ねなく 身を引く事ができる 254 00:20:08,474 --> 00:20:10,076 ご隠遁(いんとん)なされるのですか? 255 00:20:12,879 --> 00:20:17,450 最後は 出家らしゅう終わりたい 256 00:20:19,052 --> 00:20:22,889 私も 蟄居暮らしに すっかり慣れました 257 00:20:27,393 --> 00:20:28,227 おぬしは いかん 258 00:20:29,262 --> 00:20:30,897 ほかに やりたい事もありませんし 259 00:20:34,300 --> 00:20:36,436 板部岡江雪斎を侮るな 260 00:20:39,839 --> 00:20:45,144 おぬしのまなざしの奥に くすぶっている燠火(おきび)が見える 261 00:20:47,213 --> 00:20:48,615 今更 さようなものは… 262 00:20:49,449 --> 00:20:53,786 いずれ 誰(たれ)かが その火を求めに来よう 263 00:20:57,056 --> 00:20:58,524 楽しみにしておるぞ 264 00:21:01,027 --> 00:21:03,830 真田左衛門佐(さえもんのすけ) 265 00:21:10,169 --> 00:21:12,905 (村人たち)お願いでございます! 266 00:21:13,439 --> 00:21:14,307 真田様! 267 00:21:24,017 --> 00:21:24,684 (信繁)父上 268 00:21:25,852 --> 00:21:26,519 入れ 269 00:21:30,890 --> 00:21:32,125 何の騒ぎだ? 270 00:21:32,892 --> 00:21:35,361 (内記)村人たちが 表に集まっております 271 00:21:35,595 --> 00:21:37,797 どうやら 隣村と もめており— 272 00:21:38,364 --> 00:21:41,134 これから 喧嘩(けんか)を仕掛けに参るようです 273 00:21:41,367 --> 00:21:44,370 村おさが 父上と話したがっております 274 00:21:45,872 --> 00:21:47,140 (長兵衛)学文路村(かむろむら)のやつら— 275 00:21:47,774 --> 00:21:50,476 わしらの山の薪を 勝手に取っていきよるんじゃ 276 00:21:51,277 --> 00:21:53,546 何度 追い払っても やって来る 277 00:21:54,847 --> 00:21:56,849 もう我慢できねえと みんな 怒ってる! 278 00:21:58,451 --> 00:22:00,586 わしに 何を望む? 279 00:22:00,887 --> 00:22:05,858 徳川様相手に 2度も勝った すごいお侍さんと聞いた 280 00:22:07,760 --> 00:22:11,431 わしらに 戦のしかたを教えて頂きたい 281 00:22:12,632 --> 00:22:13,800 いかがなさいます? 282 00:22:18,938 --> 00:22:19,939 手勢は? 283 00:22:20,606 --> 00:22:21,340 20人! 284 00:22:22,442 --> 00:22:23,109 (昌幸)敵は? 285 00:22:28,448 --> 00:22:29,215 50! 286 00:22:30,149 --> 00:22:33,052 倍以上の敵と戦う時は— 287 00:22:34,220 --> 00:22:37,190 真っ正面から攻めても 勝ち目はない 288 00:22:39,926 --> 00:22:46,199 その時は 20の兵を 二手に分け… 289 00:22:49,969 --> 00:22:50,737 (ため息) 290 00:22:53,873 --> 00:22:55,108 (内記)いかがなされました? 291 00:23:00,246 --> 00:23:01,047 村おさ殿 292 00:23:02,181 --> 00:23:06,319 村同士の勝手な喧嘩は 太閤(たいこう)殿下が禁じられた 293 00:23:06,786 --> 00:23:07,453 聞いた事があろう 294 00:23:09,155 --> 00:23:09,822 まあ… 295 00:23:10,523 --> 00:23:15,361 (信繁)村と村の喧嘩で死人(しびと)を出せば どちらの村おさも磔(はりつけ)にされる 296 00:23:15,828 --> 00:23:16,562 磔! 297 00:23:16,829 --> 00:23:20,600 ここは まず 浅野のお殿様に 話を持っていきなさい 298 00:23:21,634 --> 00:23:25,104 九度山村は 我らの見張り役を しかと務めておる 299 00:23:25,838 --> 00:23:27,740 きっと 親身になって下さるはず 300 00:23:29,275 --> 00:23:32,311 という訳だ 帰るがよい 301 00:23:59,739 --> 00:24:02,308 (蝉(せみ)の鳴き声) (本多忠勝(ほんだただかつ))う~ん! 302 00:24:06,479 --> 00:24:09,382 ほれ 出来たぞ 百助(ひゃくすけ)! 303 00:24:09,649 --> 00:24:11,017 さあ 飛ばしてみよ! 304 00:24:11,083 --> 00:24:11,751 (百助)はい! 305 00:24:11,851 --> 00:24:14,187 (忠勝)よしよし よしよし! う~ん 306 00:24:15,555 --> 00:24:18,291 お~! ハハハハハ! 307 00:24:19,325 --> 00:24:21,794 分かっておる 分かっておる 308 00:24:22,395 --> 00:24:25,131 これは 仙千代(せんちよ)の分じゃ 309 00:24:25,298 --> 00:24:26,699 待っておれ! のう? 310 00:24:26,799 --> 00:24:27,466 (仙千代)はい! 311 00:24:28,034 --> 00:24:29,135 よ~しよし 312 00:24:31,370 --> 00:24:36,409 たとえ 稲の子でなくとも わしの孫には変わりはない 313 00:24:36,475 --> 00:24:37,143 ハハハ! 314 00:24:44,383 --> 00:24:47,320 (家康)隠居? どういう事じゃ? 315 00:24:47,420 --> 00:24:52,425 (忠勝)それがし 一度たりとも 手傷を負うた事がないのが— 316 00:24:52,491 --> 00:24:54,427 自慢でございました 317 00:24:55,695 --> 00:24:59,232 本多平八郎(へいはちろう) 一生の不覚— 318 00:24:59,599 --> 00:25:00,399 ハハハハ… 319 00:25:00,700 --> 00:25:02,134 かすり傷ではないか 320 00:25:03,502 --> 00:25:06,405 既に 世は太平 321 00:25:07,440 --> 00:25:09,575 平八郎の出番はございませぬ 322 00:25:09,642 --> 00:25:11,110 分からんぞ 323 00:25:12,378 --> 00:25:18,484 まだまだ 西の方角で 一波乱あるやもしれぬ 324 00:25:19,719 --> 00:25:26,092 その時には我が槍(やり) 蜻蛉切(とんぼきり)を片手に 真っ先に駆けつけまする 325 00:25:27,526 --> 00:25:31,464 この老いぼれ たとえ 手柄は立てられずとも— 326 00:25:31,898 --> 00:25:36,602 命尽き果てるまで 殿に尽くす所存 327 00:25:37,270 --> 00:25:42,708 それこそが もののふの務めでござる 328 00:25:50,416 --> 00:25:52,151 よう分かった 329 00:25:53,119 --> 00:25:59,859 では それまで 桑名(くわな)で ゆっくり養生せい 330 00:26:01,928 --> 00:26:02,995 ははっ! 331 00:26:09,135 --> 00:26:13,673 (語り)その一生を家康のために尽くした 本多忠勝は— 332 00:26:14,440 --> 00:26:19,845 大坂の陣を待たず 慶長15年 この世を去る 333 00:26:24,216 --> 00:26:26,986 (三十郎)北政所(きたのまんどころ)様は 髪を下ろされて 334 00:26:27,053 --> 00:26:28,688 今は京にお住まいとの事 335 00:26:31,190 --> 00:26:33,092 なんとか お会いする事はできんのか? 336 00:26:33,492 --> 00:26:35,995 あのお方なら 大御所様を説得できる 337 00:26:36,062 --> 00:26:37,563 難しいやもしれませぬ 338 00:26:38,664 --> 00:26:42,168 帝(みかど)や徳川様のお使者とは お会いになるそうですが… 339 00:26:44,704 --> 00:26:48,441 実は 北政所様の下(もと)で かつて— 340 00:26:48,741 --> 00:26:51,010 侍女たちの指南役を やっていた者が一人— 341 00:26:51,410 --> 00:26:53,279 京の町におると 耳にしました 342 00:26:55,147 --> 00:26:58,551 かなわぬまでも あたってみますか 343 00:26:59,552 --> 00:27:00,219 頼む 344 00:27:12,398 --> 00:27:14,200 (お通(つう))失礼致します 345 00:27:32,585 --> 00:27:34,253 (お通)通と申します 346 00:27:35,654 --> 00:27:38,157 (語り)書をたしなみ 和歌にも通じ 347 00:27:38,391 --> 00:27:40,226 当時 一流の文化人として 348 00:27:40,292 --> 00:27:41,761 知られた この女性は 349 00:27:42,128 --> 00:27:44,663 名を小野(おのの)お通という 350 00:27:48,267 --> 00:27:49,835 (清正) 家康殿に会ってきてくれ 351 00:27:50,603 --> 00:27:51,670 (且元)大御所様に? 352 00:27:52,505 --> 00:27:55,508 秀頼公は 立派な若者に ご成長なされた 353 00:27:56,208 --> 00:27:59,412 あのお姿を一度 家康殿に ご覧頂く 354 00:28:00,679 --> 00:28:03,716 さすれば 家康殿は 秀頼公に一目置くはず 355 00:28:05,117 --> 00:28:07,386 豊臣家の扱いも 変わってくると思うのだ 356 00:28:08,421 --> 00:28:11,323 よい考えだ すぐに参ろう 357 00:28:12,091 --> 00:28:14,560 片桐のねらいは 何だ? 358 00:28:15,194 --> 00:28:18,431 (本多正純(まさずみ))しかとは分かりませぬが わざわざ 大御所様が— 359 00:28:18,497 --> 00:28:22,501 ご上洛(じょうらく)なされてまで 秀頼に会う事もありますまい 360 00:28:22,968 --> 00:28:23,702 追い返しましょう 361 00:28:24,670 --> 00:28:25,738 いや 待て 362 00:28:26,338 --> 00:28:27,506 上洛はする 363 00:28:28,174 --> 00:28:29,075 大御所様! 364 00:28:29,208 --> 00:28:34,447 上洛はするが そのかわり 対面の場は 二条(にじょう)城 365 00:28:35,247 --> 00:28:36,215 二条城… 366 00:28:37,016 --> 00:28:40,820 わしが建て直した わしの城に 秀頼を呼ぶのだ 367 00:28:41,887 --> 00:28:43,422 世間は 豊臣が— 368 00:28:43,556 --> 00:28:46,826 徳川の臣下となったと 思うであろう 369 00:28:47,860 --> 00:28:49,061 これで どうじゃ? 370 00:28:56,602 --> 00:28:59,371 (清正)そもそも 徳川は 豊臣の家臣ではないか 371 00:29:00,272 --> 00:29:01,774 向こうから来るのが道理 372 00:29:02,108 --> 00:29:04,310 しかし それが向こうの言い分なのだ 373 00:29:04,510 --> 00:29:05,878 私は構わぬぞ 374 00:29:06,112 --> 00:29:06,879 (清正)若君! 375 00:29:06,946 --> 00:29:09,348 向こうは わざわざ 駿府(すんぷ)から参るのだ 376 00:29:10,116 --> 00:29:11,383 出向いてやろうではないか 377 00:29:11,684 --> 00:29:12,351 しかし… 378 00:29:12,418 --> 00:29:17,823 どんな形であれ 大事なのは 私と家康が会う事 379 00:29:18,991 --> 00:29:19,925 そうではないのか 380 00:29:20,359 --> 00:29:21,227 (且元)もう一つ 381 00:29:21,560 --> 00:29:23,696 “対面は2人きりで”との事 382 00:29:24,063 --> 00:29:26,098 いかん! 危なすぎる 383 00:29:26,165 --> 00:29:27,233 (秀頼)肥後守(ひごのかみ) 384 00:29:27,700 --> 00:29:28,868 (清正)罠(わな)かもしれませぬ 385 00:29:29,502 --> 00:29:31,971 差し向かいで話したいなら そうすればよい 386 00:29:33,405 --> 00:29:34,507 それを怖がる— 387 00:29:36,275 --> 00:29:37,443 私ではないぞ 388 00:29:41,780 --> 00:29:44,517 (語り) 慶長16年4月8日 389 00:29:45,284 --> 00:29:48,420 家康は 秀頼と二条城で会見した 390 00:29:53,192 --> 00:29:56,462 (石田三成(いしだみつなり))もし 私が 志半ばで倒れたら— 391 00:29:57,963 --> 00:30:01,734 豊臣家の事 おぬしに託す 392 00:30:02,234 --> 00:30:02,902 何? 393 00:30:03,502 --> 00:30:08,073 命に代えて 秀頼様をお守りしろ 394 00:30:12,878 --> 00:30:19,418 (正信)肥後守様 ここから先は ご遠慮頂きたく存じまする 395 00:30:20,085 --> 00:30:21,187 そうはいかぬ 396 00:30:21,320 --> 00:30:22,755 取り決めでございます 397 00:30:22,888 --> 00:30:26,258 それがしは 大御所様の警護のために参るのだ 398 00:30:27,726 --> 00:30:29,295 そうは見えませんな 399 00:30:30,196 --> 00:30:32,731 案ずるな どけ 400 00:30:33,032 --> 00:30:33,699 (正信)おおっ! 401 00:30:56,655 --> 00:30:59,525 (家康)下がれ 肥後守 402 00:31:40,833 --> 00:31:44,770 豊臣秀頼である 403 00:31:49,675 --> 00:31:51,944 ご無沙汰致しておりまする 404 00:31:57,650 --> 00:32:00,586 (家康)あれは 本当に太閤の子か? 405 00:32:01,053 --> 00:32:04,823 (正信)なかなかの若武者ぶりで ございましたな 406 00:32:05,257 --> 00:32:07,393 いかんのう… 407 00:32:07,726 --> 00:32:09,295 いけませんな 408 00:32:14,800 --> 00:32:15,834 しかたあるまい 409 00:32:18,937 --> 00:32:21,840 豊臣家も つくづく 運がない 410 00:32:22,975 --> 00:32:29,848 秀頼公が凡庸な二代目であれば しぶとく生き延びられたものを 411 00:32:30,582 --> 00:32:33,786 その前に あの髭面(ひげづら)じゃ 412 00:32:34,620 --> 00:32:37,823 服部半蔵(はっとりはんぞう)の出番でございますな 413 00:32:39,058 --> 00:32:40,659 あれは 死んだのでは? 414 00:32:40,893 --> 00:32:44,163 ようできた二代目がおります 415 00:33:00,179 --> 00:33:05,217 (語り)加藤清正は この会見後 肥後へ戻る船の中で発病し— 416 00:33:05,651 --> 00:33:07,353 2か月後に死んだ 417 00:33:22,101 --> 00:33:22,768 大助(だいすけ) 418 00:33:23,936 --> 00:33:24,703 (大助)父上 419 00:33:27,373 --> 00:33:29,274 村の子どもに何と言われたのだ? 420 00:33:32,444 --> 00:33:34,279 いいから 申してみなさい 421 00:33:35,180 --> 00:33:35,948 大助 422 00:33:37,816 --> 00:33:39,184 (大助)罪人の息子 423 00:33:42,354 --> 00:33:43,355 (信繁)いいか 大助 424 00:33:43,822 --> 00:33:48,293 父も じじ様も 決して 罪人ではない 425 00:33:49,128 --> 00:33:50,763 流れで こうなっただけの事 426 00:33:56,301 --> 00:33:56,969 よいか 427 00:33:58,237 --> 00:34:03,308 この世の中で 徳川の軍勢を相手に 2度も勝ったのは じじ様だけだ 428 00:34:04,410 --> 00:34:06,712 お前には その じじ様の血が流れている 429 00:34:08,480 --> 00:34:09,281 誇りを持て 430 00:34:17,589 --> 00:34:18,257 大助 431 00:34:21,160 --> 00:34:25,130 今度 何か言われたら こうするのじゃ 432 00:34:28,700 --> 00:34:32,938 まず 相手の前で膝をつき— 433 00:34:34,940 --> 00:34:36,074 頭を下げる 434 00:34:37,342 --> 00:34:42,014 そして 謝るふりをして— 435 00:34:43,115 --> 00:34:43,916 噛(か)みつけ 436 00:34:46,251 --> 00:34:49,788 喧嘩に 卑怯(ひきょう)も何もあるか 勝ったもん勝ちよ 437 00:34:56,161 --> 00:35:00,365 そして 手には常に 小枝を隠し持っておく 438 00:35:01,099 --> 00:35:02,634 手で握りしめた時— 439 00:35:03,335 --> 00:35:06,205 この先っぽの硬い所を ちょっとだけ出しておく 440 00:35:07,639 --> 00:35:08,507 これで突くのだ 441 00:35:09,575 --> 00:35:12,845 拳固(げんこ)より よほど役に立つ ほれ やってみろ 442 00:35:14,079 --> 00:35:16,014 突くのじゃ しゅっと 443 00:35:17,349 --> 00:35:20,452 (春)大助 いい事 教えて頂きましたね 444 00:35:20,619 --> 00:35:21,687 (昌幸)これは効くぞ 445 00:35:25,057 --> 00:35:27,125 私も昔 教えてもらった 446 00:35:27,593 --> 00:35:28,794 役に立ちましたか? 447 00:35:28,861 --> 00:35:31,797 兄上に止められた あのやり方は卑怯だと 448 00:35:34,132 --> 00:35:36,702 兄上は 父上の教えを嫌がってましたね 449 00:35:37,402 --> 00:35:39,771 常に正々堂々とあるべきだって 450 00:35:40,739 --> 00:35:41,406 父上! 451 00:35:41,473 --> 00:35:42,140 (春)父上様! 452 00:35:54,486 --> 00:35:55,153 そこを… 453 00:35:56,688 --> 00:35:57,356 はい? 454 00:35:58,223 --> 00:35:59,791 そこを開けてみよ 455 00:36:10,035 --> 00:36:13,772 孫子(そんし)に倣って わしも書いてみた 456 00:36:16,241 --> 00:36:21,747 戦場(いくさば)で わしが学んだ事の 全てが そこにある… 457 00:36:22,881 --> 00:36:23,882 お前にやる 458 00:36:24,516 --> 00:36:25,284 父上… 459 00:36:26,118 --> 00:36:32,691 願わくば もう一度 戦に出たかった… 460 00:36:34,793 --> 00:36:36,595 そのような弱気な事を 461 00:36:37,262 --> 00:36:38,297 源次郎 462 00:36:40,866 --> 00:36:44,770 遺言じゃ しかと聞け 463 00:36:48,941 --> 00:36:54,179 いずれ 必ず 豊臣と徳川は ぶつかる 464 00:36:57,182 --> 00:36:59,651 その時は ここを抜け出し— 465 00:37:00,519 --> 00:37:04,022 お前は 豊臣につけ 466 00:37:05,757 --> 00:37:06,425 はい 467 00:37:07,793 --> 00:37:09,394 これより話すは— 468 00:37:10,696 --> 00:37:14,166 徳川に勝てる ただ一つの道 469 00:37:18,236 --> 00:37:21,306 10年かけて わしが考えた策じゃ 470 00:37:22,474 --> 00:37:23,342 お願いします 471 00:37:24,509 --> 00:37:28,614 まず 手持ちの軍勢をもって— 472 00:37:29,615 --> 00:37:33,719 真っ先に尾張(おわり)を制する 473 00:37:34,186 --> 00:37:34,853 尾張 474 00:37:35,954 --> 00:37:38,190 徳川が攻めてきたら— 475 00:37:39,257 --> 00:37:43,395 頃合いを見て 尾張を捨てる 476 00:37:44,162 --> 00:37:44,896 捨てる!? 477 00:37:45,631 --> 00:37:49,401 一旦 近江(おうみ)まで引く 478 00:37:52,304 --> 00:37:58,010 一時(いっとき)でも 尾張を抑えたという事が大事よ 479 00:38:00,812 --> 00:38:05,417 これで 日の本中の— 480 00:38:06,385 --> 00:38:10,756 徳川に不満を持つ大名の 心をつかむ 481 00:38:12,124 --> 00:38:12,791 なるほど 482 00:38:13,225 --> 00:38:18,330 (昌幸)更に 瀬田(せた)と宇治(うじ)の橋を落とし— 483 00:38:18,797 --> 00:38:20,732 敵の追撃を阻む 484 00:38:22,601 --> 00:38:27,439 その間に 二条城を焼き払う 485 00:38:29,241 --> 00:38:35,747 そうなれば 徳川勢は 大坂に攻めかかるしかない 486 00:38:37,716 --> 00:38:42,788 それを大坂城で迎え討つのだ 487 00:38:45,424 --> 00:38:49,061 戦は 長引かせるだけ 長引かせよ 488 00:38:50,762 --> 00:38:53,465 その間に 各地で— 489 00:38:53,532 --> 00:38:55,801 徳川に対して 反旗が上がる 490 00:38:57,002 --> 00:38:58,437 反旗が上がれば— 491 00:39:00,305 --> 00:39:04,943 敵は 大坂攻めだけに 関わってはおられん 492 00:39:08,780 --> 00:39:13,485 やがては 引くしかなくなる 493 00:39:17,422 --> 00:39:18,623 負ける気がせん 494 00:39:21,593 --> 00:39:25,864 しかし 父上なら きっと うまく運ぶでしょうが— 495 00:39:27,332 --> 00:39:28,667 私では 難しいのでは? 496 00:39:29,401 --> 00:39:30,235 (昌幸)何で? 497 00:39:31,803 --> 00:39:33,405 私には 場数が足りません 498 00:39:34,039 --> 00:39:37,776 わしの立てる策に場数などいらん 499 00:39:38,810 --> 00:39:40,412 心得は 一つ 500 00:39:42,948 --> 00:39:43,715 お教え下さい 501 00:39:45,450 --> 00:39:49,888 軍勢を一つの塊と思うな 502 00:39:53,458 --> 00:39:55,727 一人一人が生きておる 503 00:39:59,698 --> 00:40:02,968 一人一人が思いを持っておる 504 00:40:07,572 --> 00:40:13,178 それを ゆめゆめ忘れるな 505 00:40:14,679 --> 00:40:15,580 かしこまりました 506 00:40:21,052 --> 00:40:22,120 疲れた… 507 00:40:50,615 --> 00:40:55,487 信濃(しなの)に 帰りたかった… 508 00:40:59,524 --> 00:41:01,159 上田の城に… 509 00:41:21,079 --> 00:41:23,582 (いななき) 510 00:41:24,883 --> 00:41:27,986 (馬が走る音) 511 00:41:28,053 --> 00:41:28,954 御屋形(おやかた)様… 512 00:41:32,757 --> 00:41:33,992 (いななき) 513 00:41:37,596 --> 00:41:38,763 御屋形様! 514 00:42:26,378 --> 00:42:30,248 (語り)紀州 紀ノ川の奥 高野山の山裾に— 515 00:42:30,548 --> 00:42:32,550 その小さな村は あった 516 00:42:34,920 --> 00:42:39,457 その外れで 一人の戦国武将が— 517 00:42:41,426 --> 00:42:42,193 死んだ 518 00:42:43,995 --> 00:42:46,531 (信繁)借金が かさみ 暮らしは きついです 519 00:42:46,798 --> 00:42:48,600 (たか)側室です マハル キタ! 520 00:42:48,600 --> 00:42:49,000 (たか)側室です マハル キタ! 521 00:42:48,600 --> 00:42:49,000 (信繁)ちょっと! 522 00:42:49,000 --> 00:42:49,267 (信繁)ちょっと! 523 00:42:49,334 --> 00:42:51,836 自分に正直にならないと 損するよ 524 00:42:52,270 --> 00:42:55,073 (佐助)俺 あの人が本気出すなら やりますよ 525 00:42:55,840 --> 00:42:59,477 (信繁)これぞ 真田紐(さなだひも)! 必ず もうかる 526 00:43:00,512 --> 00:43:01,479 全部 こんな感じか? 527 00:43:01,646 --> 00:43:02,948 全部 こんな感じです