1 00:00:03,336 --> 00:00:08,341 ♪~ 2 00:01:28,087 --> 00:01:33,092 ~♪ 3 00:01:54,481 --> 00:01:55,348 (チャグム)あっ! 4 00:02:23,510 --> 00:02:24,577 おはよう 5 00:02:25,445 --> 00:02:26,312 (バルサ)やっと起きたか 6 00:02:27,380 --> 00:02:30,717 まず顔を洗ってきな 朝ごはんにするからね 7 00:02:31,184 --> 00:02:32,285 あっ うん 8 00:02:36,389 --> 00:02:38,858 (バルサ)その後で 今日は行く所があるからね 9 00:02:39,159 --> 00:02:39,826 えっ? 10 00:02:39,926 --> 00:02:43,863 お前も 街の暮らしぶりを 覚えていく必要がある 11 00:02:44,898 --> 00:02:48,735 こいつを見てもらいに行くから 扇(おうぎ)の下(しも)まで ついておいで 12 00:02:49,769 --> 00:02:50,770 分かった 13 00:02:50,870 --> 00:02:54,440 で 槍(やり)を見てもらうには どこへ行けばよいのだ? 14 00:02:55,742 --> 00:02:56,910 鍛冶屋さ 15 00:03:23,803 --> 00:03:25,405 (チャグム)光扇京(こうせんきょう)の中に― 16 00:03:25,638 --> 00:03:28,241 これほど鍛冶屋があるとは 知らなかった 17 00:03:29,342 --> 00:03:31,778 (バルサ) ヨゴの鉄は ロタやサンガル― 18 00:03:31,878 --> 00:03:33,913 それに 私の故郷のカンバルにまで― 19 00:03:34,213 --> 00:03:36,749 その名が 知れ渡っているくらいだからね 20 00:03:37,684 --> 00:03:39,652 そんなことも知らなかったのかい? 21 00:03:40,453 --> 00:03:43,223 ヨゴ鉄が 我が国の交易品として― 22 00:03:43,323 --> 00:03:45,925 とても重要だということは 教わっていたが 23 00:03:46,226 --> 00:03:49,662 実際に 鉄を溶かしたり 打ったりしているところは― 24 00:03:49,762 --> 00:03:52,232 あまり見るものではないと 言われたのじゃ 25 00:03:54,267 --> 00:03:59,305 そういや ヨゴの貴族の間には 刀を打つところを見た武人は 26 00:03:59,405 --> 00:04:02,275 強くなれないっていう 言い伝えがあったね 27 00:04:04,777 --> 00:04:05,678 それじゃ― 28 00:04:05,778 --> 00:04:09,616 お前も これから 刀を打つところを 見ることになるから― 29 00:04:09,716 --> 00:04:11,484 もう強くはなれないね 30 00:04:14,020 --> 00:04:16,522 では バルサは どうなのじゃ? 31 00:04:16,623 --> 00:04:19,492 バルサは刀を打つところを 見たことがないのか? 32 00:04:19,759 --> 00:04:23,630 私は子供のころから 真っ赤に焼けた鉄や― 33 00:04:23,730 --> 00:04:27,333 飛び散る火花なんかを見るのが 大好きだったからね 34 00:04:28,301 --> 00:04:30,036 今までに何度も見てるよ 35 00:04:32,639 --> 00:04:35,875 もっとも 私はヨゴ人じゃないし 貴族でもないから― 36 00:04:35,975 --> 00:04:38,344 関係ないのかもしれないけど 37 00:04:38,444 --> 00:04:40,847 (チャグム)えっ? あっ… 38 00:04:45,852 --> 00:04:48,621 (バルサ)お前はまだ 街の 子供みたいにしゃべれないから― 39 00:04:48,721 --> 00:04:51,024 中に入ったら 口を利かずに見ておいで 40 00:04:51,324 --> 00:04:51,991 (チャグム)分かった 41 00:04:52,358 --> 00:04:54,727 (金属を打つ音) 42 00:05:00,300 --> 00:05:02,869 (戸の開く音) 43 00:05:09,676 --> 00:05:10,910 (鍛冶)バルサ… 44 00:05:15,448 --> 00:05:17,884 (バルサ) しばら ヨゴを離れていました 45 00:05:17,984 --> 00:05:21,087 相変わらず 危ない橋を渡っていますが― 46 00:05:21,387 --> 00:05:24,424 悪運が強いせいか どうにか生き延びております 47 00:05:25,758 --> 00:05:27,093 (鍛冶)そうですか 48 00:05:32,565 --> 00:05:36,035 早速ですが 見ていただけますか? 49 00:05:52,719 --> 00:05:55,788 (鍛冶) 新しい物を打つしかありませんね 50 00:05:56,723 --> 00:05:57,957 そうですか 51 00:05:58,057 --> 00:06:01,527 では 急いで 一振りお願いしたいんですが 52 00:06:05,064 --> 00:06:06,032 (鍛冶)その前に― 53 00:06:06,132 --> 00:06:09,368 1つ聞いておかなければ ならないことがあります 54 00:06:09,802 --> 00:06:10,737 はい 55 00:06:12,638 --> 00:06:15,475 街でのウワサは 耳にしていますね? 56 00:06:16,576 --> 00:06:17,877 大体は 57 00:06:18,511 --> 00:06:22,615 私はウワサされていることが 真実とは思いたくない 58 00:06:22,982 --> 00:06:24,617 しかし 万が一― 59 00:06:24,717 --> 00:06:28,688 あなたが宮に弓を引いたという ウワサが本当ならば― 60 00:06:28,788 --> 00:06:33,626 宮中(きゅうちゅう)に剣を納める者として あなたに味方することはできません 61 00:06:33,893 --> 00:06:37,563 弁明がおありなら まず それを聞かせてください 62 00:06:40,533 --> 00:06:44,137 いえ 宮に弓を引いたというのは本当です 63 00:06:45,471 --> 00:06:50,109 とすれば あなたが生きていることを 宮に伝えなければなりませんが 64 00:06:50,910 --> 00:06:53,513 それが道理でしょうね 65 00:06:53,946 --> 00:06:56,449 では あなたは どうしますか? 66 00:06:56,549 --> 00:06:59,519 私を斬ってでも それを止めますか? 67 00:06:59,852 --> 00:07:02,188 報告するというなら しかたない 68 00:07:02,722 --> 00:07:07,493 でも 私は打っていただけるまで ここで こうさせてもらいます 69 00:07:10,096 --> 00:07:11,831 困りましたね 70 00:07:12,098 --> 00:07:15,835 あなたが頑固だということは 重々(じゅうじゅう) 承知しているが― 71 00:07:15,935 --> 00:07:18,604 私も それ以上に頑固者だ 72 00:07:18,704 --> 00:07:21,007 事のてんまつが 分からないことには― 73 00:07:21,107 --> 00:07:23,576 あなたの頼みも聞けません 74 00:07:29,215 --> 00:07:30,917 そちらの方は? (チャグム)あっ… 75 00:07:33,886 --> 00:07:36,856 ある事情で 預かることになりました 76 00:07:37,190 --> 00:07:38,658 ほう 77 00:07:52,205 --> 00:07:56,542 時に今 街のウワサ好きたちが― 78 00:07:56,642 --> 00:07:58,911 バルサのことを 何と言っているか知っていますか? 79 00:07:59,679 --> 00:08:00,847 さあ? 80 00:08:01,647 --> 00:08:04,684 “金のためなら 何だってやる極悪人” 81 00:08:05,651 --> 00:08:07,587 “皇子様が亡くなられたのも―” 82 00:08:07,687 --> 00:08:10,756 “本当は 女用心棒の手にかかったからだ―” 83 00:08:10,857 --> 00:08:12,558 と触れ回っていますよ 84 00:08:12,658 --> 00:08:14,894 無礼な! バルサは そのようなことを一切… 85 00:08:14,994 --> 00:08:15,862 おやめ! 86 00:08:45,224 --> 00:08:46,659 実は もうすぐ― 87 00:08:46,759 --> 00:08:51,230 別の客が 出来上がった刀を 取りに来ることになっている 88 00:08:54,200 --> 00:08:56,836 どうしても 動かないというのなら― 89 00:08:56,936 --> 00:09:00,706 せめて隣の部屋に 移っていてはくれませんか? 90 00:09:13,686 --> 00:09:16,989 双方から 話を伺ってみることにいたします 91 00:09:25,898 --> 00:09:28,734 (モン)失礼する (鍛冶)どうぞ 92 00:09:31,904 --> 00:09:32,872 (モン)ごめん 93 00:09:44,283 --> 00:09:45,685 時間どおりですね 94 00:09:46,352 --> 00:09:49,021 (モン)仕事の途中だったようだな 95 00:09:52,758 --> 00:09:53,826 あっ… 96 00:09:54,026 --> 00:09:57,129 (鍛冶)迷信など 気になさらぬ お二人ですが― 97 00:09:57,229 --> 00:09:59,699 一応 礼儀と思いまして 98 00:09:59,799 --> 00:10:01,634 (モン)かまわん 続けてくれ 99 00:10:03,302 --> 00:10:07,607 この度の山狩りは 大変な骨折りだったようですね 100 00:10:07,907 --> 00:10:10,176 うん? なぜ そのように思う? 101 00:10:10,810 --> 00:10:14,747 (鍛冶)お預かりした刀 相当 傷んでおりましたから 102 00:10:16,082 --> 00:10:17,350 そうか 103 00:10:17,650 --> 00:10:20,853 だが 私たちは宮に仕える近衛士(このえじ) 104 00:10:20,953 --> 00:10:25,825 女用心棒は 山を狩った農兵たちに 殺されたと聞く 105 00:10:25,925 --> 00:10:29,261 その刀は 訓練で使い込んだためのものだ 106 00:10:29,795 --> 00:10:31,197 そうでしたか 107 00:10:31,297 --> 00:10:34,066 あの具合からすると 近衛士の中には― 108 00:10:34,166 --> 00:10:37,670 まだまだ 私の知らない使い手が いるようですね 109 00:10:39,338 --> 00:10:41,040 それ故 この度は― 110 00:10:41,140 --> 00:10:45,911 縁の部分に 通常よりも粘りの強い 玉鋼を用いた一振りを― 111 00:10:46,012 --> 00:10:47,847 打ってほしいと お願いした 112 00:10:48,681 --> 00:10:51,150 (ジン)早速だが 刀を見せてほしい 113 00:10:53,019 --> 00:10:54,220 はい 114 00:10:55,187 --> 00:10:58,758 刀は あちらの部屋に 用意してあります 115 00:10:58,858 --> 00:10:59,792 あっ… 116 00:11:29,321 --> 00:11:30,389 お待ちください! 117 00:11:40,366 --> 00:11:42,368 刀を見ていただく前に― 118 00:11:42,468 --> 00:11:45,938 是非 お二人に お聞きしたいことがあるのですが 119 00:11:46,972 --> 00:11:48,808 何だ? あらたまって 120 00:11:51,277 --> 00:11:54,346 ヨゴ刀の良さとは いったい何でしょうか? 121 00:11:54,847 --> 00:11:56,048 (モン)うん? 122 00:11:56,148 --> 00:12:00,352 そのようなこと そなたが 十分に承知しているはずであろう 123 00:12:04,156 --> 00:12:08,828 ありていに言えば ヨゴ刀は 折れにくさと切れ味という― 124 00:12:08,928 --> 00:12:13,299 本来なら矛盾し合う2つの性質を 両立することに成功した― 125 00:12:13,399 --> 00:12:16,335 世界に まれなる刀剣と 認識している 126 00:12:17,937 --> 00:12:23,409 さらに言えば その形状 重量 寸法 反り 127 00:12:23,509 --> 00:12:27,012 その全てが 1000年をかけ洗練され 128 00:12:27,113 --> 00:12:30,149 すでに 使い手のために完結されている 129 00:12:30,449 --> 00:12:32,451 我ら武人は 今更ながら― 130 00:12:32,751 --> 00:12:35,187 それを得物としているにすぎない 131 00:12:35,287 --> 00:12:39,325 うん… どちらの意見も もっともですな 132 00:12:40,793 --> 00:12:42,962 (モン) そなた自身は どう思われる? 133 00:12:43,062 --> 00:12:45,531 ヨゴ刀の良さは どこにあると? 134 00:12:46,332 --> 00:12:48,968 私は こう思っています 135 00:12:49,068 --> 00:12:52,404 他国において 刀剣は ただ人を傷つけ― 136 00:12:52,505 --> 00:12:55,908 殺すための道具としてしか 考えられていない 137 00:12:56,142 --> 00:13:01,881 しかし ヨゴでは 武人と鍛冶が 互いの信頼に基づいて刀を作り― 138 00:13:01,981 --> 00:13:04,950 そして 使うという伝統がある 139 00:13:05,050 --> 00:13:09,488 そこに 究極の名刀が 生まれる余地があると思うのです 140 00:13:10,089 --> 00:13:12,791 (ジン)究極の名刀? (鍛冶)はい 141 00:13:12,892 --> 00:13:15,394 (ジン) なるほど そなたの打つ刀は― 142 00:13:15,494 --> 00:13:18,931 どれも 名刀中の名刀と うたわれているからな 143 00:13:19,365 --> 00:13:21,834 名刀など とんでもない 144 00:13:21,967 --> 00:13:26,805 私の刀は “つかを握れば 人を斬ってみたくなる” 145 00:13:26,906 --> 00:13:28,374 などと言われる 146 00:13:28,474 --> 00:13:31,010 所詮は 妖刀(ようとう)のたぐい 147 00:13:31,110 --> 00:13:35,080 人を斬らず ただ人の業だけを断ち切る 148 00:13:35,181 --> 00:13:39,251 これこそが 私が考える究極の名刀です 149 00:13:39,518 --> 00:13:43,122 いつの日か そのような一振りを打ちたいと 150 00:13:43,222 --> 00:13:45,090 常々 考えております 151 00:13:46,825 --> 00:13:50,462 しかし これが なかなか難しい 152 00:13:51,130 --> 00:13:54,466 名刀とは 武人と鍛冶の双方が 153 00:13:54,567 --> 00:13:58,938 互いに最高の境地に至ってこそ 完成するもの 154 00:13:59,038 --> 00:14:01,874 その調和が崩れてしまったとき 155 00:14:01,974 --> 00:14:04,476 妖刀などと呼ばれるものが 生まれるのです 156 00:14:07,346 --> 00:14:11,250 だからこそ 私は人を選んで刀を打つ 157 00:14:11,350 --> 00:14:13,552 いや そうせざるをえないのです 158 00:14:15,554 --> 00:14:21,260 しかしだ 究極の名刀を打ちたいと そなたに思わせるような武人が― 159 00:14:21,360 --> 00:14:24,463 果たして この世に何人いるものだろうか 160 00:14:27,132 --> 00:14:28,634 そうですね… 161 00:14:28,934 --> 00:14:32,271 今までの人生において たった1人だけ― 162 00:14:32,371 --> 00:14:35,040 そういう境地に 達しているかもしれないと― 163 00:14:35,140 --> 00:14:36,442 思った方は おります 164 00:14:38,477 --> 00:14:41,513 ほう そなたの目に かなった武人が いたというのか 165 00:14:42,147 --> 00:14:44,216 そして その方に― 166 00:14:44,316 --> 00:14:49,588 当時の私の持てる力の 全てを出し切った刀を打ちました 167 00:14:49,889 --> 00:14:52,124 (ジン) それは どのような人物なのだ? 168 00:14:52,892 --> 00:14:56,262 同じ刀剣を握る身として興味深い 169 00:14:56,362 --> 00:14:58,497 是非 教えていただけぬか? 170 00:15:00,633 --> 00:15:03,202 あれは 24年前 171 00:15:04,270 --> 00:15:07,139 その方は 遠い異国の武人で― 172 00:15:07,239 --> 00:15:10,910 あちらこちらの国を 旅して回っておられました 173 00:15:11,443 --> 00:15:15,581 武器の扱いに関しては ちょっと それまでに見たことがない― 174 00:15:15,681 --> 00:15:17,483 というくらいの腕前で― 175 00:15:17,983 --> 00:15:24,356 その風貌には不似合いな子供を1人 絶えず そばに連れておいででした 176 00:15:28,260 --> 00:15:29,495 (モン)子供を? 177 00:15:30,162 --> 00:15:35,668 (鍛冶)なんでも 宮廷内の抗争に 巻き込まれた友人の子供を― 178 00:15:35,968 --> 00:15:38,037 託されたのだそうです 179 00:15:38,270 --> 00:15:43,475 武人は そのことが原因で 国を追われることとなった 180 00:15:45,110 --> 00:15:52,117 その直後 武人を殺そうと 何人もの刺客が放たれたそうです 181 00:15:53,986 --> 00:15:56,689 そして その刺客と戦うために― 182 00:15:56,989 --> 00:16:01,660 私に 一振りの刀を 打ってほしいと頼んできました 183 00:16:02,227 --> 00:16:04,296 初めは お断りしました 184 00:16:04,396 --> 00:16:07,566 ヨゴ刀の何たるかが 分からない異国の人間に― 185 00:16:07,666 --> 00:16:09,969 刀など打ちたくはないと 186 00:16:10,069 --> 00:16:14,206 だが なぜか気が変わった (鍛冶)はい 187 00:16:14,306 --> 00:16:17,376 その武人を殺すために 放たれた刺客が― 188 00:16:17,476 --> 00:16:22,648 どのような者たちか 話を聞いて心が動いたのです 189 00:16:23,248 --> 00:16:27,219 国中の つわものを集めて 最強の暗殺者を送り込んだのか? 190 00:16:27,619 --> 00:16:32,191 いえ つわものは つわものでも 送り込まれてきたのは― 191 00:16:32,291 --> 00:16:37,196 全て その武人と 苦楽を 共にしてきた友人たちだったのです 192 00:16:39,398 --> 00:16:45,037 武人は 子供を守りながら かつての親友を 1人 また1人― 193 00:16:45,137 --> 00:16:47,740 自らの手で 殺さなければならなかった 194 00:16:48,374 --> 00:16:51,643 その武人が どうすれば 一番 苦しむか― 195 00:16:51,744 --> 00:16:56,315 刺客を放った人間は それを熟知していたのでしょう 196 00:16:56,415 --> 00:17:01,086 その刺客たちも 決して 武人を追いたくなどなかったのです 197 00:17:01,453 --> 00:17:06,325 しかし 彼らもまた 家族を人質に取られていたのです 198 00:17:06,425 --> 00:17:09,461 それで しかたなく武人を殺しに来た 199 00:17:10,029 --> 00:17:12,031 なんと卑劣な 200 00:17:12,264 --> 00:17:15,067 (鍛冶) その話を聞き 私は思いました 201 00:17:15,167 --> 00:17:18,437 この方に究極の名刀を打ちたいと 202 00:17:18,704 --> 00:17:24,376 過酷な運命を抱えている業を 断ち切ってほしいと 203 00:17:24,476 --> 00:17:28,814 だからこそ 特別な思いを込めて 一振りの刀を打ったのです 204 00:17:30,049 --> 00:17:35,154 それで その武人は 己が抱えた業を 断ち切ることができたのか? 205 00:17:38,190 --> 00:17:42,161 今 思えば 私の腕も まだまだ未熟だった 206 00:17:42,261 --> 00:17:44,196 その方は 結局のところ― 207 00:17:44,296 --> 00:17:48,300 親友だった追っ手を 全員 斬ってしまいました 208 00:17:48,767 --> 00:17:51,170 私の打った その刀で 209 00:17:54,239 --> 00:17:57,309 その武人は 今 どうしているのだ? 210 00:17:57,743 --> 00:18:00,546 もう この世には おりません 211 00:18:00,646 --> 00:18:04,416 死ぬ間際まで 自分がした行為に苦しみながら― 212 00:18:04,516 --> 00:18:07,119 この世を去っていきました 213 00:18:07,386 --> 00:18:09,088 で 子供のほうは? 214 00:18:10,122 --> 00:18:13,826 (鍛冶)大人になるまで 武人が大切に育て上げ― 215 00:18:14,126 --> 00:18:16,295 今も元気に暮らしています 216 00:18:16,395 --> 00:18:17,529 (モン)そうか 217 00:18:18,864 --> 00:18:24,336 しかし なぜ その武人は そこまでして子供を守ったのだ? 218 00:18:25,170 --> 00:18:29,141 そもそも 子供を連れて 国を逃げること自体― 219 00:18:29,241 --> 00:18:32,411 その武人にとって 身の破滅を意味していたはず 220 00:18:33,145 --> 00:18:37,416 まして 預けられたのは 知人の子とはいえ 赤の他人 221 00:18:37,516 --> 00:18:41,386 その武人は その頼みを 断ることはできなかったのか? 222 00:18:42,688 --> 00:18:45,757 そうですね… それが不思議でなりません 223 00:18:47,192 --> 00:18:49,228 確かに不思議だ 224 00:18:51,163 --> 00:18:55,567 実はな 偶然ながら その武人に よく似た人物を― 225 00:18:55,667 --> 00:18:57,736 私も1人 知っているのだ 226 00:18:58,871 --> 00:19:03,442 その者は 自分に 一切 関わりがない人の子を― 227 00:19:03,542 --> 00:19:07,179 ある日 突然 託されて 追っ手から逃げた 228 00:19:07,279 --> 00:19:09,882 そして 一度は 奪い返された その子供を― 229 00:19:10,649 --> 00:19:15,254 自らの命を 危険にさらしながらも 取り返していったのだ 230 00:19:15,721 --> 00:19:17,723 しかも 驚くべきことに― 231 00:19:17,823 --> 00:19:21,260 自分を殺そうと 迫り来る幾人もの追っ手を― 232 00:19:22,227 --> 00:19:26,298 その者は ただの1人として 殺しはしなかった 233 00:19:27,299 --> 00:19:31,203 その者が なぜ人の子供を 預かる気になったのか― 234 00:19:31,303 --> 00:19:34,540 その心持ちは 私などには察するべくもない 235 00:19:34,640 --> 00:19:35,741 ヤツは ただ― 236 00:19:35,841 --> 00:19:39,244 目の前で散りゆこうとしている か弱い命を― 237 00:19:39,344 --> 00:19:42,814 黙って見過ごすことが できなかっただけなのかもしれん 238 00:19:43,715 --> 00:19:45,350 それ故に― 239 00:19:45,450 --> 00:19:49,888 誰をも殺(あや)めることのない 至高の剣を振るった 240 00:19:50,722 --> 00:19:53,592 実に興味深い話ですね 241 00:19:53,692 --> 00:19:56,962 ちなみに その方は今 どうされているのです? 242 00:19:59,698 --> 00:20:03,569 残念ながら つい先日 この世を去ってしまった 243 00:20:06,972 --> 00:20:08,640 そうですか 244 00:20:09,374 --> 00:20:12,244 今 そなたの話を聞きながら― 245 00:20:12,344 --> 00:20:16,415 その者なら あるいは そなたの打つ究極の名刀を― 246 00:20:16,515 --> 00:20:20,385 手にする資格が あったのかもしれんと思ったが 247 00:20:21,520 --> 00:20:23,488 つまらぬ話をした 248 00:20:23,889 --> 00:20:29,394 とんでもない こちらこそ ずいぶん お引き止めしてしまいました 249 00:20:38,003 --> 00:20:38,870 あっ… 250 00:20:40,005 --> 00:20:40,872 あっ… 251 00:21:04,963 --> 00:21:08,700 では 我らは これにて失礼させていただく 252 00:21:08,800 --> 00:21:10,869 この度も 大変世話になった 253 00:21:13,472 --> 00:21:14,640 うん? 254 00:21:17,709 --> 00:21:20,946 もしや 先客が来ていたのではないか? 255 00:21:22,447 --> 00:21:23,515 なぜです? 256 00:21:25,617 --> 00:21:27,286 ああ それですか 257 00:21:28,520 --> 00:21:31,290 確かに 槍を預かっております 258 00:21:31,523 --> 00:21:36,061 そなたほどの鍛冶が 槍ごとき 雑兵の武器も打つのだな 259 00:21:36,895 --> 00:21:40,499 気が向けば 槍だろうが打たせていただきます 260 00:21:42,801 --> 00:21:44,469 実に そなたらしい 261 00:21:44,836 --> 00:21:45,971 失礼する 262 00:21:48,540 --> 00:21:52,544 (戸の開閉音) 263 00:22:05,324 --> 00:22:08,894 (バルサ)私の悪運も とうとう尽きたかと思いました 264 00:22:11,330 --> 00:22:13,598 どうぞ このまま お帰りなさい 265 00:22:16,501 --> 00:22:19,705 双方から 話は聞かせてもらいました 266 00:22:20,372 --> 00:22:23,408 7日後に また おいでください 267 00:22:46,832 --> 00:22:47,966 はっ! 268 00:22:57,943 --> 00:22:59,111 はっ! 269 00:23:08,520 --> 00:23:13,525 ♪~ 270 00:24:37,475 --> 00:24:42,480 ~♪