1 00:00:03,336 --> 00:00:08,341 ♪~ 2 00:01:28,087 --> 00:01:33,092 ~♪ 3 00:01:35,328 --> 00:01:39,265 (足音) 4 00:01:45,305 --> 00:01:49,809 (バルサ)ハァ ハァ ハァ ハァ… 5 00:02:08,328 --> 00:02:10,830 (無宿人)うわっ! 何だよ 6 00:02:11,164 --> 00:02:12,298 (タンダ)バルサか? 7 00:02:15,368 --> 00:02:16,402 遅かったな 8 00:02:17,437 --> 00:02:20,440 宮の者に捕まったんじゃないかと 心配したぞ 9 00:02:20,573 --> 00:02:23,309 (バルサ)チャグムは? (トロガイ)ここにおる 10 00:02:28,648 --> 00:02:31,151 事の子細は聞いた 11 00:02:31,784 --> 00:02:34,521 トウミ村に 直行するほかないね 12 00:02:34,621 --> 00:02:37,190 はい (トロガイ)では急ごう 13 00:02:37,724 --> 00:02:39,259 (チャグム)バルサ 14 00:02:40,226 --> 00:02:44,397 俺は一度 宮に戻って 兄上のことを詳しく知りたい 15 00:02:44,797 --> 00:02:48,468 本当に兄上が 亡くなったというのなら 俺は… 16 00:02:48,768 --> 00:02:52,171 ダメだ お前を宮に 帰すことはできない 17 00:02:52,472 --> 00:02:53,573 あ… 18 00:02:54,207 --> 00:02:55,775 (バルサ)訳はあとで話す 19 00:02:55,875 --> 00:02:59,245 それに今は 追っ手をまくことが先だ 20 00:03:09,355 --> 00:03:11,224 (モン)それで 皇子のご様子は? 21 00:03:11,691 --> 00:03:14,327 (シュガ)すっかり お変わりになられていた 22 00:03:15,895 --> 00:03:19,966 一見したところ 街の子供と 見分けがつかぬほどに 23 00:03:20,400 --> 00:03:25,505 (モン)宮の人間に見つかるまいと あえて身をやつしていたのでしょう 24 00:03:26,239 --> 00:03:29,242 (シュガ)ただ… 以前と変わらず― 25 00:03:29,375 --> 00:03:32,645 はつらつとした 健やかな お顔をしておられた 26 00:03:36,449 --> 00:03:38,351 (足音) (シュガ)ん? 27 00:03:41,588 --> 00:03:43,456 (モン)話はシュガ様から聞いた 28 00:03:43,790 --> 00:03:45,458 で どうだった? 29 00:03:46,593 --> 00:03:49,429 (ジン)扇(おうぎ)の下(しも)を 探し回りましたが… 30 00:03:50,396 --> 00:03:53,800 すまぬ 私が ふがいないばかりに… 31 00:03:54,267 --> 00:03:59,272 まずは ご無事を 確認できただけでも何よりです 32 00:03:59,539 --> 00:04:03,343 大切なのは次の一手を 打ち漏らさぬこと 33 00:04:03,443 --> 00:04:05,278 ゼン (ゼン)はっ! 34 00:04:09,716 --> 00:04:10,683 これは? 35 00:04:10,817 --> 00:04:13,987 頼まれ屋が短槍(たんそう)使いのところに 届けた荷物です 36 00:04:14,554 --> 00:04:17,290 (シュガ)旅支度を していたということか? 37 00:04:17,423 --> 00:04:21,828 しかし 私が見たかぎり 皇子は ほんの数刻前まで― 38 00:04:21,961 --> 00:04:26,399 再び追われる身になるとは ついぞ知らぬといった感じだったが 39 00:04:26,666 --> 00:04:30,837 (モン)恐らく短槍使いは シュガ様と遭遇する前から― 40 00:04:30,970 --> 00:04:34,440 どこかに出かけようとしていたのだと 思われます 41 00:04:34,574 --> 00:04:37,910 おかげで行き先を この荷物から探ることができます 42 00:04:38,011 --> 00:04:39,479 (シュガ)なるほど 43 00:04:40,013 --> 00:04:43,016 この量からすると 皇子と2人で3日分 44 00:04:43,316 --> 00:04:46,052 これでは青霧(あおぎり)を 越えることは かなわない 45 00:04:46,352 --> 00:04:48,721 うむ そこで考えられるのは― 46 00:04:48,855 --> 00:04:53,059 都南街道(となんかいどう)を下るか 東の山岳地帯に入るかだ 47 00:04:53,359 --> 00:04:55,962 (シュガ)ロタやサンガルの 可能性はないのか? 48 00:04:56,462 --> 00:05:00,033 (モン)食料を持って 国境を目指すとは考えにくい 49 00:05:00,333 --> 00:05:02,602 途中に いくつも 宿場がございます 50 00:05:02,735 --> 00:05:07,874 なるほど ではまず 都南街道への関門に 伝令を走らせよう 51 00:05:08,007 --> 00:05:13,012 さすれば 海岸部までの一本道 皇子を見つけ出すのは たやすい 52 00:05:13,346 --> 00:05:16,015 あとは東の山間部だな (モン)はい 53 00:05:16,749 --> 00:05:20,520 女用心棒が 東に向かう理由は何だ? 54 00:05:21,788 --> 00:05:24,924 あそこは 青霧ほどの標高はないが― 55 00:05:25,024 --> 00:05:28,394 原生林に覆われた 山々が連なる未踏の地 56 00:05:30,496 --> 00:05:33,866 せいぜいヤクーの集落が 点在しているだけだぞ 57 00:05:36,869 --> 00:05:39,472 そうか ヤクーか! (モン)ん… 58 00:05:39,572 --> 00:05:43,109 女用心棒と会って その言動を不思議に思っていたのだ 59 00:05:43,409 --> 00:05:46,079 ヤツはチャグム皇子に宿った 精霊について― 60 00:05:46,379 --> 00:05:49,649 私よりも詳しく 事情を知っている気配があった 61 00:05:49,782 --> 00:05:52,985 カンバル人であるあの女が なぜと思ったが― 62 00:05:53,453 --> 00:05:55,621 恐らくヤクーより 知識を得たからだ 63 00:05:55,922 --> 00:05:57,390 なるほど 64 00:05:57,523 --> 00:06:02,395 だとしたら青霧の谷で見つかった 皇子と短槍使いの身代わりが― 65 00:06:02,495 --> 00:06:05,031 泥人形であったことにも 合点がいく 66 00:06:06,966 --> 00:06:10,470 (ゼン)初めて あの女と剣を交えた 棚田の先にも― 67 00:06:10,570 --> 00:06:12,939 ヤシロ村という集落があります 68 00:06:13,072 --> 00:06:16,843 頼まれ屋以外にも ヤクーの仲間がいたということか 69 00:06:17,076 --> 00:06:20,580 だが ヤシロ辺りなら 旅支度などは不要 70 00:06:20,980 --> 00:06:24,684 仮に その奥の集落に向かう 腹積もりだったとして― 71 00:06:24,817 --> 00:06:26,552 我らに見つかった以上― 72 00:06:26,686 --> 00:06:29,789 当初の目的地へ向かうとは 思えませんが? 73 00:06:29,989 --> 00:06:32,158 もちろん その可能性も考え― 74 00:06:32,458 --> 00:06:35,394 サンガルやロタへの 関門の監視は強化させる 75 00:06:36,829 --> 00:06:39,699 (モン)シュガ様 ここは今すぐ兵を率い― 76 00:06:39,832 --> 00:06:42,902 すべての街道 さらには光扇京(こうせんきょう)全域を― 77 00:06:43,002 --> 00:06:45,671 くまなく調べるべきでは ありませんか? 78 00:06:45,772 --> 00:06:48,441 それでは あまりに 時間が かかりすぎる 79 00:06:48,541 --> 00:06:50,810 それにな モン 80 00:06:50,977 --> 00:06:54,113 私はどうも あの女用心棒が― 81 00:06:54,447 --> 00:06:57,850 私と同じことを 考えているような気がしてならないのだ 82 00:06:58,050 --> 00:07:01,854 ん? (シュガ)ヤツも私と同じく― 83 00:07:01,988 --> 00:07:05,925 新たな知識を 必要としているのではないか とな 84 00:07:19,872 --> 00:07:25,812 (チャグム)ハァ ハァ ハァ ああ… 85 00:07:25,912 --> 00:07:27,013 (タンダ)大丈夫か? 86 00:07:27,113 --> 00:07:30,149 (タンダ)おぶってやろう 87 00:07:32,452 --> 00:07:34,587 ほら 遠慮するな 88 00:07:34,720 --> 00:07:37,623 (バルサ)自分で歩くんだ チャグム (チャグム)あ… 89 00:07:38,458 --> 00:07:40,993 (タンダ)いいんだ バルサ 俺は大丈夫だから 90 00:07:41,861 --> 00:07:45,865 あんたを背負ったら 誰がタンダの荷物を持つんだい? 91 00:07:45,965 --> 00:07:48,534 トロガイ師かい? 私かい? 92 00:07:48,868 --> 00:07:52,872 それともタンダが あんたをおぶって 自分の荷物も持つのかい? 93 00:07:53,005 --> 00:07:55,675 (タンダ) なにも そんな言い方しなくても 94 00:07:56,476 --> 00:07:58,911 (チャグム) 分かった 自分で歩く 95 00:07:59,011 --> 00:08:01,647 だから 歩きながらでいいから― 96 00:08:01,747 --> 00:08:05,184 俺の中に宿っている 卵の事情というのを話してくれ 97 00:08:06,486 --> 00:08:09,989 兄上が死んだことよりも 大事な事情というものを! 98 00:08:10,156 --> 00:08:11,791 今は その暇はない 99 00:08:12,758 --> 00:08:13,826 ん… 100 00:08:18,564 --> 00:08:21,267 (タンダ)ん? どうしたんです? 101 00:08:21,601 --> 00:08:24,871 (トロガイ)うーむ 迷った 102 00:08:25,137 --> 00:08:26,105 (タンダ)え… 103 00:08:33,980 --> 00:08:37,083 (タンダ)そうか トーヤがな 104 00:08:38,117 --> 00:08:41,621 (バルサ)ああ あの子が 体を張ってくれなかったら― 105 00:08:41,721 --> 00:08:45,191 今頃 私は ここに いなかったろうよ 106 00:08:48,928 --> 00:08:50,630 遅いな 師匠 107 00:08:50,730 --> 00:08:54,634 師匠もトウミに行くのは 相当 久しぶりだろうからな 108 00:08:55,234 --> 00:08:56,669 (バルサ)違うね 109 00:08:56,802 --> 00:08:59,539 あれはトロガイ師なりに チャグムを気遣ったのさ 110 00:09:01,207 --> 00:09:02,808 そうか 111 00:09:03,009 --> 00:09:06,279 俺も一度だけ トウミには 行ったことがあるんだがな― 112 00:09:06,579 --> 00:09:10,583 でも もう まったく行き方を 覚えていなくってさ 113 00:09:10,883 --> 00:09:12,818 チャグムより小さかったころ― 114 00:09:12,952 --> 00:09:14,921 伯父さんに 連れられて行ったもんだから 115 00:09:15,555 --> 00:09:16,889 (バルサ)しょうがないね 116 00:09:18,324 --> 00:09:21,327 俺の母方のばあさんが トウミ村出身でね 117 00:09:21,627 --> 00:09:24,897 最初はトウミから じいさんのところに 嫁に来たんだけど 118 00:09:25,831 --> 00:09:27,567 おふくろが嫁いだあとは― 119 00:09:27,700 --> 00:09:30,736 じいさん ともども トウミに隠とんしたらしいんだ 120 00:09:30,836 --> 00:09:34,707 前に話したか? (バルサ)いや 今も健在なのかい? 121 00:09:35,241 --> 00:09:38,311 どうかな 多分もう… 122 00:09:41,147 --> 00:09:43,716 チャグムには どう話すつもりなんだ? 123 00:09:43,849 --> 00:09:45,318 卵食いのこと 124 00:09:45,618 --> 00:09:48,054 難しいね こればっかりは 125 00:09:48,621 --> 00:09:51,691 お兄さんが 亡くなったとかって話もある 126 00:09:51,791 --> 00:09:54,193 少し落ち着くまで 待ったほうがいいのかな? 127 00:09:54,293 --> 00:09:56,996 いや どうせ いずれは話すんだ 128 00:09:57,129 --> 00:09:59,031 いつまでも黙っていて いいことはない 129 00:09:59,699 --> 00:10:03,636 真実を知って自分で 強くなっていくしかないしね 130 00:10:05,271 --> 00:10:07,139 だから トウミに着いて― 131 00:10:07,273 --> 00:10:10,843 何らかの対処方法が 見つかったら話すよ 132 00:10:11,877 --> 00:10:15,381 (トロガイ) 喜べ 抜け道を見つけた 133 00:10:17,083 --> 00:10:20,720 それに食い物だ 134 00:10:21,354 --> 00:10:22,388 ん? 135 00:10:24,323 --> 00:10:28,728 (ライ)ここを ねぐらにしている 無宿人らが見ていたようです 136 00:10:29,295 --> 00:10:31,964 恐らく皇子で間違いないでしょう 137 00:10:32,064 --> 00:10:36,936 うむ そのヤクーの男と老婆も 短槍使いの仲間だろう 138 00:10:37,370 --> 00:10:38,337 (モン)うむ… 139 00:10:39,772 --> 00:10:43,643 たった今 ゼン ユンからの のろしを確認しました 140 00:10:43,776 --> 00:10:48,080 トカル村には短槍使いが 立ち寄った形跡はなかったようです 141 00:10:48,180 --> 00:10:51,083 (ヒョク)他の集落を調べていた タガとスンからも― 142 00:10:51,183 --> 00:10:52,318 同様の のろしが 143 00:10:53,052 --> 00:10:56,188 となると残りはトウミか 144 00:10:56,322 --> 00:11:01,761 トウミは昔ながらのヤクーの 暮らしが残る数少ない村だと聞く 145 00:11:02,194 --> 00:11:03,896 よし 我々は先に出かけよう 146 00:11:04,196 --> 00:11:06,966 お待ちください ここからトウミへは― 147 00:11:07,066 --> 00:11:10,936 馬は おろか徒歩でも 分け入るのが困難な地形となります 148 00:11:11,070 --> 00:11:13,806 まずは私とジンが先発します 149 00:11:13,939 --> 00:11:15,708 シュガ様は残りの者と合流し― 150 00:11:15,808 --> 00:11:18,277 あとから いらしてくださったほうが 安全かと 151 00:11:18,978 --> 00:11:20,813 馬は無理か 152 00:11:22,448 --> 00:11:25,384 分かった では私は あとから向かう 153 00:11:25,684 --> 00:11:27,953 だが皇子の姿を確認しても― 154 00:11:28,087 --> 00:11:30,856 事に及ぶのは 私の到着を待ってからにしてくれ 155 00:11:31,090 --> 00:11:32,058 (ジン)ん… 156 00:11:32,425 --> 00:11:36,395 女用心棒らに直接 聞いてみたいことがあるのだ 157 00:11:39,098 --> 00:11:42,334 分かりました 仰せのとおりに 158 00:11:44,236 --> 00:11:45,971 あっ うん… 159 00:11:46,272 --> 00:11:47,306 うっ! 160 00:11:49,775 --> 00:11:53,879 (タンダ)師匠 この道って 本当に近道なんですか? 161 00:11:54,146 --> 00:11:56,348 (トロガイ)これで半日は 稼いだはずじゃ 162 00:11:56,449 --> 00:11:58,851 ペッ まだ早かったか 163 00:12:06,859 --> 00:12:11,497 (チャグムの荒い息遣い) 164 00:12:36,188 --> 00:12:37,323 フゥ… 165 00:13:07,486 --> 00:13:10,289 山の天気は変わりやすいですね 166 00:13:10,556 --> 00:13:13,159 なら じきにやむわい 167 00:13:18,931 --> 00:13:22,401 痕跡はないが それが かえって不自然に思える 168 00:13:22,501 --> 00:13:24,303 (モン)同感だな 169 00:13:25,337 --> 00:13:27,273 だが手がかりもない 170 00:13:30,342 --> 00:13:34,413 (トロガイ)おお 2日ぶりに まともなものが食えそうだ 171 00:13:34,947 --> 00:13:37,983 ああ… チャグムも 腹が減っただろう 172 00:13:45,024 --> 00:13:45,925 (物音) 173 00:13:46,392 --> 00:13:47,293 あっ! (タンダ)あっ? 174 00:13:48,994 --> 00:13:50,329 あ… 猿か? 175 00:13:50,429 --> 00:13:52,131 いや 人だ 176 00:13:58,237 --> 00:13:59,305 (ニムカ)あっ 177 00:14:00,372 --> 00:14:05,311 ハッ! ハァ ハァ… 178 00:14:05,978 --> 00:14:08,280 あんた この辺りの子かい? 179 00:14:08,881 --> 00:14:11,250 (ニムカ)あ… あ… 180 00:14:14,286 --> 00:14:15,187 あっ 181 00:14:15,955 --> 00:14:16,922 あ… 182 00:14:18,257 --> 00:14:19,358 あの… 183 00:14:20,459 --> 00:14:21,427 ん? 184 00:14:21,994 --> 00:14:24,330 (ニムカ) あなた クンダさんの? 185 00:14:24,430 --> 00:14:26,332 (タンダ)あ… (一同)んん? 186 00:14:29,468 --> 00:14:30,469 (タンダ)そうか 187 00:14:31,203 --> 00:14:33,873 君は俺のじいさんのことを 知っているんだね 188 00:14:34,006 --> 00:14:36,075 (ニムカ)はい 私の家族は― 189 00:14:36,175 --> 00:14:39,078 クンダさんにずいぶん お世話になっていましたから 190 00:14:39,178 --> 00:14:44,216 それで タンダさんがクンダさんの 家系の方だって すぐに分かったんです 191 00:14:44,316 --> 00:14:46,018 なるほどな 192 00:14:46,151 --> 00:14:48,621 お前は じいさん似ってわけか 193 00:14:48,921 --> 00:14:51,457 ところで そいつは もしや? 194 00:14:52,024 --> 00:14:56,028 ああ これは私が 山で集めたマシラ酒です 195 00:14:56,161 --> 00:14:58,197 (トロガイ)やはり そうか! (タンダ)師匠! 196 00:14:58,297 --> 00:15:00,900 ふふふ あ… 197 00:15:10,609 --> 00:15:11,644 んっ 198 00:15:14,079 --> 00:15:16,348 んっ! (道切り縄が鳴る音) 199 00:15:17,316 --> 00:15:18,350 (ニムカ)ふふ 200 00:15:22,588 --> 00:15:25,357 (トロガイ)これは 道切り縄といってな― 201 00:15:25,457 --> 00:15:29,328 ここに つるされたナージの骨を カラカラと鳴らすことで― 202 00:15:29,528 --> 00:15:33,032 魔物が入ってくるのを防ぐ まじないじゃ 203 00:15:34,333 --> 00:15:37,136 (チャグム)ヨゴの村でも 時折 見かけた 204 00:15:37,937 --> 00:15:41,373 あれはヤクーの風習を ヨゴ人たちが まねたものだよ 205 00:15:41,473 --> 00:15:45,644 こうやって 村の入り口に つるしておくのが正しい形なんだ 206 00:15:46,345 --> 00:15:47,346 ふふ 207 00:15:48,080 --> 00:15:48,948 あ… 208 00:15:52,217 --> 00:15:56,322 行こう あの丘を越えたところが トウミ村らしい 209 00:15:59,224 --> 00:16:01,527 (道切り縄が鳴る音) 210 00:16:06,966 --> 00:16:09,501 (チャグム)ううっ! (道切り縄が鳴る音) 211 00:16:21,480 --> 00:16:24,316 (トロガイ)まさに ヨゴ人がやってくる以前の― 212 00:16:24,416 --> 00:16:27,753 暮らしぶりが 残っているということか 213 00:16:28,187 --> 00:16:30,723 (鶏の鳴き声) 214 00:16:33,492 --> 00:16:36,295 (村人たちの声) 215 00:16:36,996 --> 00:16:40,265 さすがに私とチャグムが 珍しいみたいだね 216 00:16:40,399 --> 00:16:41,467 そのようだな 217 00:16:41,567 --> 00:16:44,303 (ソウヤ)いやあ よう来られましたな 218 00:16:44,670 --> 00:16:46,672 村長(むらおさ)のソウヤです 219 00:16:47,006 --> 00:16:50,309 外の方が来るなど 何年ぶりのことでしょうか 220 00:16:51,477 --> 00:16:55,381 あんたかい? クンダさんのお孫さんというのは 221 00:16:56,015 --> 00:16:59,651 確かに よう似とる (村人たちの笑い声) 222 00:16:59,752 --> 00:17:05,090 だが残念ながらクンダさんは 2年前に亡くなられてしまったが… 223 00:17:07,359 --> 00:17:11,163 実は俺たちは じいさんにではなく― 224 00:17:11,263 --> 00:17:14,099 あなたたちの古い知恵を お借りしたくて来たんです 225 00:17:15,034 --> 00:17:18,537 ニュンガ・ロ・チャガのことについて いろいろ伺いたいのです 226 00:17:18,637 --> 00:17:20,472 (村人たちのざわめき) 227 00:17:21,040 --> 00:17:25,744 ん… まあ こんなところで 立ち話をしていても しかたがない 228 00:17:26,045 --> 00:17:28,047 まずは うちに来てくだされ 229 00:17:28,147 --> 00:17:30,115 話は それからだ 230 00:17:37,790 --> 00:17:40,759 どうしてまた そんな大昔のことを聞きに― 231 00:17:41,060 --> 00:17:44,063 わざわざ おいでに なられたのですかな? 232 00:17:44,196 --> 00:17:48,700 (トロガイ)いや なに… ちょっと込み入った事情があって 233 00:17:48,801 --> 00:17:50,836 できれば ここの語り部に― 234 00:17:51,136 --> 00:17:54,339 100年前のニュンガ・ロ・イムの 代替わりについて― 235 00:17:54,473 --> 00:17:57,076 詳しく話を聞きたいと思ってな 236 00:17:57,609 --> 00:18:02,548 もしや そろそろ水の守り手の 代替わりの時期でしたかな? 237 00:18:02,648 --> 00:18:04,483 (トロガイ)んっ? まあな… 238 00:18:04,616 --> 00:18:07,319 なら ある意味ちょうどいい 239 00:18:07,519 --> 00:18:10,355 わしの親父(おやじ)の 早死にした兄さんが― 240 00:18:10,489 --> 00:18:12,858 ニュンガ・ロ・チャガだったと 聞いています 241 00:18:13,492 --> 00:18:16,361 それは本当ですか? (ソウヤ)ええ 242 00:18:16,495 --> 00:18:18,197 ただ わしのばあさんが― 243 00:18:18,297 --> 00:18:21,533 その話をすると ひどく悲しんだもんで― 244 00:18:21,633 --> 00:18:24,403 あまり詳しくは 覚えておらんのです 245 00:18:25,104 --> 00:18:29,208 しかも村の語り部は わしの母が最後で― 246 00:18:29,308 --> 00:18:31,610 それも昨年 亡くなってしまったから― 247 00:18:31,710 --> 00:18:36,515 この村でもニュンガ・ロ・チャガについて 詳しい話ができる者は― 248 00:18:36,648 --> 00:18:39,618 もうほとんど おらんのですよ (一同)えっ 249 00:18:39,718 --> 00:18:42,421 (トロガイ)なぜ語り部の風習を やめたりした! 250 00:18:42,788 --> 00:18:45,190 あんたも ご存じとは思うが 251 00:18:45,290 --> 00:18:48,794 語り部の修行というのは そりゃ過酷なもんでな 252 00:18:49,294 --> 00:18:51,563 幼いころから朝な夕なに― 253 00:18:51,663 --> 00:18:55,367 幾千もの伝承を ただひたすら覚え込まされる 254 00:18:55,601 --> 00:18:59,671 それを1人に押しつけるのは あまりにも ふびんだし― 255 00:18:59,771 --> 00:19:03,609 わしは そういったことが あまり好きではなかったので― 256 00:19:03,709 --> 00:19:06,545 後継者は 作らんことにしたんです 257 00:19:06,678 --> 00:19:11,717 それに今は建国正史(けんこくせいし)なんてものも 入ってきているので… 258 00:19:12,151 --> 00:19:16,255 (トロガイ)なんと! 結局 ここも宮と同じか 259 00:19:21,160 --> 00:19:22,594 うう… 260 00:19:22,694 --> 00:19:26,565 (ニムカ)あの… 私 おばあちゃんから 261 00:19:26,665 --> 00:19:29,168 ニュンガ・ロ・チャガの話 聞いているから― 262 00:19:29,301 --> 00:19:32,237 いくらかなら話せると思うけど… (一同)えっ 263 00:19:32,337 --> 00:19:34,840 (ソウヤ)そういや お前 ヤマビメ持っちゃ― 264 00:19:35,174 --> 00:19:38,177 おふくろのところに 遊びに行ってたっけなあ 265 00:19:38,310 --> 00:19:40,212 (バルサ)どんなことでもいい 266 00:19:40,312 --> 00:19:43,282 おばあさんから聞いたことを 話してくれるかい? 267 00:19:44,183 --> 00:19:45,184 (ニムカ)うん 268 00:19:49,655 --> 00:19:51,456 おばあちゃんが言うには― 269 00:19:51,557 --> 00:19:55,527 ひいおじいちゃんの 早くに死んだお兄さんの体に― 270 00:19:55,627 --> 00:19:58,897 ある日突然 ニュンガ・ロ・イムの 卵が入ったんだって 271 00:20:00,232 --> 00:20:04,536 ニュンガ・ロ・イムはナユグの 深い水の底に住む精霊で― 272 00:20:04,636 --> 00:20:07,606 大きな貝みたいな姿をしているの 273 00:20:08,273 --> 00:20:13,345 口から吐き出す精気は サグの雲になって雨を作る 274 00:20:13,478 --> 00:20:16,481 でもニュンガ・ロ・イムは 100年に1度― 275 00:20:16,615 --> 00:20:18,984 卵を産んで死んでしまう… 276 00:20:20,485 --> 00:20:23,989 そうすると今度は 空から雲が消えていって― 277 00:20:24,289 --> 00:20:26,458 日照りが続くようになる 278 00:20:27,226 --> 00:20:30,629 だから次の精霊の卵が 無事かえるように― 279 00:20:30,762 --> 00:20:34,466 ヤクーは大昔から精霊の守り人を 大事にしたんだって 280 00:20:35,234 --> 00:20:37,836 でも普通 それは 卵が育つまでで― 281 00:20:38,370 --> 00:20:40,372 精霊の守り人は― 282 00:20:40,505 --> 00:20:43,575 ニュンガ・ロ・イムの 卵が かえる時期になると― 283 00:20:43,976 --> 00:20:46,411 たった1人で 宴(うたげ)の地に行ってしまい― 284 00:20:46,511 --> 00:20:47,813 二度と帰ってこないの 285 00:20:50,382 --> 00:20:54,786 ひいおじいちゃんのお母さんは それが悲しくて悲しくて― 286 00:20:54,920 --> 00:20:56,788 村の人に お願いして― 287 00:20:56,888 --> 00:20:59,658 精霊の守り人になった 自分の子供も― 288 00:20:59,791 --> 00:21:02,761 一緒に守ってもらうことにしたんだって 289 00:21:03,795 --> 00:21:07,399 その話は わしも覚えているなあ 290 00:21:17,409 --> 00:21:20,279 シュガ様 お頭からの合図です 291 00:21:20,879 --> 00:21:24,449 どうやら あの方向に進むのが 近道のようです 292 00:21:24,549 --> 00:21:28,453 そうか あの先がトウミか 293 00:21:28,553 --> 00:21:30,589 (タンダ) で そのニュンガ・ロ・チャガを― 294 00:21:30,689 --> 00:21:31,990 村の人は どうしたんだい? 295 00:21:32,557 --> 00:21:36,395 春の等しき日が近づくと ニュンガ・ロ・チャガは― 296 00:21:36,495 --> 00:21:39,765 まるで鳥が渡りを始めるように 村を出― 297 00:21:39,865 --> 00:21:43,802 大人たちも そのあとを追って 長い旅に出た 298 00:21:44,303 --> 00:21:46,838 そして青弓川(あおゆみがわ)の水源― 299 00:21:46,972 --> 00:21:51,009 シグ・サルアの咲き乱れる 大きな泉に着いた 300 00:21:51,777 --> 00:21:57,449 精霊の守り人は そこで 卵をナユグに返す準備に入った 301 00:21:57,582 --> 00:22:01,320 だけど そこには 鳥の卵を狙う蛇のように― 302 00:22:01,453 --> 00:22:03,322 ニュンガ・ロ・チャガを狙って― 303 00:22:03,422 --> 00:22:05,957 ラルンガもナユグから やってきていた 304 00:22:06,325 --> 00:22:09,361 そして大人たちが 見ている目の前で― 305 00:22:09,594 --> 00:22:13,732 人には見ることも 触ることもできない大きな爪で― 306 00:22:13,932 --> 00:22:17,769 ニュンガ・ロ・チャガを 真っ二つに引き裂いてしまったの 307 00:22:17,869 --> 00:22:21,340 ああっ! ハァッ ハァッ (バルサ)ハッ 308 00:22:25,777 --> 00:22:30,682 (チャグムの荒い息遣い) 309 00:22:33,018 --> 00:22:36,688 俺も そうやって死ぬのか? 310 00:22:36,788 --> 00:22:39,691 バルサ… あ… 311 00:22:40,759 --> 00:22:41,860 あ… 312 00:22:42,627 --> 00:22:45,831 死ぬって いったい その子は? 313 00:22:50,535 --> 00:22:54,806 実は この子が今度の ニュンガ・ロ・チャガなのです 314 00:22:55,040 --> 00:22:57,375 え? (ニムカ)ハッ! 315 00:23:08,487 --> 00:23:13,492 ♪~ 316 00:24:37,075 --> 00:24:42,080 ~♪