1 00:00:03,336 --> 00:00:08,341 ♪~ 2 00:01:27,854 --> 00:01:32,859 ~♪ 3 00:01:39,399 --> 00:01:41,534 (バルサ) ジグロのことを語るには― 4 00:01:41,801 --> 00:01:47,173 まず 私の幼いころのことから 話さなきゃならないね 5 00:01:50,343 --> 00:01:55,648 カンバルは ヨゴとは違って 豊かな実りをもたらす田畑はない 6 00:01:56,616 --> 00:02:00,854 あるのは 険しい山と 岩だらけの牧草地帯 7 00:02:01,654 --> 00:02:06,292 人々は痩せた土地を耕し 僅かばかりの穀類や芋を作り― 8 00:02:06,793 --> 00:02:09,562 カンバルヤギを放牧して 暮らしていた 9 00:02:10,396 --> 00:02:13,867 私は そんなところに 生まれ育ったんだ 10 00:02:20,773 --> 00:02:25,345 私の父 カルナ・ヨンサは 王室づきの医者でね 11 00:02:25,778 --> 00:02:29,249 母は 5つのときに 死んでしまったんだけど― 12 00:02:29,382 --> 00:02:31,317 それでも 父のおかげで― 13 00:02:31,417 --> 00:02:36,222 特に 不自由を感じることなく 幸せな暮らしを送っていた 14 00:02:37,857 --> 00:02:42,362 でも 幼い私は 知る由もなかったんだけど― 15 00:02:42,896 --> 00:02:44,731 このとき 父はすでに― 16 00:02:44,831 --> 00:02:47,800 のっぴきならない事態に 巻き込まれていたんだ 17 00:02:50,169 --> 00:02:52,372 カンバル王の主治医だった父は― 18 00:02:52,472 --> 00:02:54,874 王位を狙う 王の弟ログサムに― 19 00:02:55,208 --> 00:02:57,243 王を毒殺するよう 命じられていた 20 00:02:58,378 --> 00:03:01,247 断れば 娘を殺すと脅かされてね 21 00:03:02,515 --> 00:03:05,451 それで 父はしかたなく承諾した 22 00:03:06,519 --> 00:03:11,658 けれど 毒殺に成功したところで その秘密を知る自分と― 23 00:03:11,758 --> 00:03:15,328 娘の命はないことも 理解していた 24 00:03:39,652 --> 00:03:43,790 ログサムの策略にはまり 孤立無援だった父だが― 25 00:03:44,390 --> 00:03:48,728 宮中(きゅうちゅう)において ただ1人 心を許せる友がいた 26 00:03:50,463 --> 00:03:52,365 それが ジグロだった 27 00:03:54,634 --> 00:03:57,503 ジグロは“王の槍(やり)”と呼ばれ― 28 00:03:57,604 --> 00:04:00,473 王に仕える 9人の武人の1人だ 29 00:04:01,674 --> 00:04:03,610 王の槍というのは― 30 00:04:03,710 --> 00:04:07,847 カンバルにある 9つの氏族領の 筆頭によって組織される― 31 00:04:07,981 --> 00:04:10,883 精鋭の短槍(たんそう)使いのことでね 32 00:04:11,618 --> 00:04:15,955 ジグロは その中でも 最年少で王の槍に選ばれた― 33 00:04:16,256 --> 00:04:19,292 カンバル最強と うたわれる英雄だった 34 00:04:20,426 --> 00:04:22,528 父は 恐ろしい策略に― 35 00:04:22,629 --> 00:04:25,865 友人を巻き込んでしまうことを 悔やみながらも― 36 00:04:25,965 --> 00:04:29,936 ジグロに 意を決して ログサムの計画を打ち明けた 37 00:04:30,703 --> 00:04:36,376 (カルナ)私は近いうちに 王に 最後の毒を盛ることになっている 38 00:04:36,676 --> 00:04:38,811 それで 王が死んだあと― 39 00:04:38,911 --> 00:04:41,714 自分は 罰を受けなくてはならない 40 00:04:41,814 --> 00:04:42,682 (ジグロ)え… 41 00:04:42,949 --> 00:04:46,386 しかし 娘には何の罪もない 42 00:04:46,519 --> 00:04:49,656 こんなことを頼めるのは お前しかいないんだ 43 00:04:50,323 --> 00:04:51,991 無理な頼みとは分かっている 44 00:04:52,325 --> 00:04:54,627 だが 女房が死んでからは― 45 00:04:55,361 --> 00:04:57,897 バルサが 俺の全てなんだ 46 00:04:59,432 --> 00:05:02,001 頼む 娘を連れて逃げてくれ 47 00:05:14,314 --> 00:05:17,917 (バルサ) ジグロは 父の頼みを断ったそうだ 48 00:05:18,985 --> 00:05:20,620 当然だ 49 00:05:21,888 --> 00:05:23,556 ジグロにとって― 50 00:05:23,656 --> 00:05:27,527 いくら親友の頼みとはいえ そいつを引き受けることは― 51 00:05:28,027 --> 00:05:30,797 地位や名誉を 失うばかりでなく― 52 00:05:30,897 --> 00:05:33,533 身の破滅を 意味するんだからね 53 00:05:50,717 --> 00:05:51,584 (バルサ)ん… 54 00:05:52,852 --> 00:05:53,720 あっ! 55 00:05:58,057 --> 00:06:01,694 (バルサ)その日の夕方 宮の兵士が うちにやってきた 56 00:06:03,763 --> 00:06:08,534 恐らく 父の考えは すでに ログサムに気付かれていたんだろう 57 00:06:11,604 --> 00:06:12,872 (兵士たち)うおっ… 58 00:06:22,048 --> 00:06:24,484 お前の父親に 頼まれた 59 00:06:24,984 --> 00:06:27,086 今すぐ 俺と一緒に来い 60 00:06:27,954 --> 00:06:31,390 (バルサ)一度は 父の頼みを 断ったはずのジグロは― 61 00:06:31,491 --> 00:06:35,695 なぜか そう言うと 戸惑う私の手を引き― 62 00:06:35,828 --> 00:06:38,397 故郷カンバルをあとにした 63 00:06:47,006 --> 00:06:47,940 (カルナ)ハッ… 64 00:06:55,681 --> 00:06:58,184 ジグロ… すまない… 65 00:06:58,818 --> 00:07:04,023 (カルナのむせび泣き) 66 00:07:08,427 --> 00:07:11,464 (バルサ)もし あのとき ジグロが来てくれなかったら― 67 00:07:12,565 --> 00:07:15,468 私は 確実に殺されていただろうね 68 00:07:16,869 --> 00:07:18,504 それから 私たちは― 69 00:07:18,604 --> 00:07:22,208 カンバル国境の 長い洞窟を 1日かけて抜け― 70 00:07:22,809 --> 00:07:26,145 ここ 新ヨゴ皇国の領土に 足を踏み入れた 71 00:07:27,447 --> 00:07:29,816 ひどく 疲れていたはずなのに― 72 00:07:29,916 --> 00:07:32,552 その日は 一睡もできなかったよ 73 00:07:32,919 --> 00:07:35,888 詳しいことは 何一つ 知らされていなかったし― 74 00:07:35,988 --> 00:07:39,125 ジグロの ピリピリとした感じが 伝わってきてね 75 00:07:40,059 --> 00:07:43,930 ジグロは追っ手がやってくることを 警戒していたんだ 76 00:07:52,238 --> 00:07:54,740 逃亡を初めて 5日後― 77 00:07:55,508 --> 00:07:57,610 最初の追っ手がやってきた 78 00:07:58,110 --> 00:08:01,113 現れたのは 王の槍の1人だった 79 00:08:05,184 --> 00:08:09,055 私は初め その男が 追っ手だとも思わずにいた 80 00:08:09,755 --> 00:08:12,859 2人が あまりに 落ち着いて話していたからだ 81 00:08:14,694 --> 00:08:17,997 お前を 討っ手として よこしたのはログサムか? 82 00:08:20,533 --> 00:08:23,536 ログサムは 想像以上の横逆者だな 83 00:08:23,836 --> 00:08:24,971 (王の槍)確かに 84 00:08:25,505 --> 00:08:27,039 だが そのおかげで― 85 00:08:27,139 --> 00:08:30,109 積年の思いを 果たせる機会を得た 86 00:08:30,643 --> 00:08:33,813 俺は ずっと もの足りなさを感じてきた 87 00:08:33,913 --> 00:08:36,616 お前が 王の槍の 最高位を得てから― 88 00:08:36,716 --> 00:08:40,086 一度として 優劣を争う機会が なかったことにな 89 00:08:40,720 --> 00:08:43,289 そして 命のやり取りに― 90 00:08:43,623 --> 00:08:46,859 本当に槍舞が 必要なのかということも! 91 00:08:46,959 --> 00:08:48,094 そうか… 92 00:08:51,597 --> 00:08:54,133 俺にも 同じ思いがあったからこそ― 93 00:08:54,534 --> 00:08:57,069 俺は今ここにいるのかもしれんな… 94 00:08:57,870 --> 00:08:59,572 フゥ… 95 00:09:00,907 --> 00:09:03,009 ん… 何のつもりだ 96 00:09:03,309 --> 00:09:04,977 俺を バカにしているのか! 97 00:09:05,311 --> 00:09:09,549 いや 命を懸けた真剣勝負だ 98 00:09:17,757 --> 00:09:18,624 やああっ! 99 00:09:25,731 --> 00:09:28,267 (王の槍)あ… あ… あっ… 100 00:09:31,003 --> 00:09:33,039 うあ… あ… 101 00:09:34,140 --> 00:09:35,174 すまん 102 00:09:36,108 --> 00:09:38,778 二度と カンバルには戻れん俺だ 103 00:09:39,845 --> 00:09:42,748 故郷の土に帰してやることは できない… 104 00:09:43,883 --> 00:09:44,750 あ… 105 00:09:51,657 --> 00:09:52,658 (ジグロ)行くぞ 106 00:09:58,598 --> 00:10:00,166 (バルサ)あのときの ジグロは― 107 00:10:00,266 --> 00:10:03,703 明らかに 戦うことを 避けようとはしていなかった 108 00:10:04,270 --> 00:10:06,739 その理由は 今もって 分からないけど― 109 00:10:06,839 --> 00:10:09,675 若くして 頂点を極めたがゆえに― 110 00:10:09,775 --> 00:10:14,680 一度は 自分の本当の力を試してみたいと 思ったのかもしれないね 111 00:10:15,648 --> 00:10:17,783 それも あの一瞬の戦いが― 112 00:10:17,883 --> 00:10:20,052 自分とは関係ないと信じたい― 113 00:10:20,152 --> 00:10:23,055 私の思い込みだったのかも しれないけど… 114 00:10:24,690 --> 00:10:28,394 ただ 同時に 私は自分の置かれた立場が― 115 00:10:28,694 --> 00:10:33,232 想像以上に過酷なものだってことを 感じ取っていたんだ 116 00:10:34,000 --> 00:10:35,635 どうやら自分は― 117 00:10:35,735 --> 00:10:39,639 この男に ついていくしか 生きる道はないんだってね 118 00:10:40,239 --> 00:10:43,776 その後 私たちは ヨゴの街に入った 119 00:10:44,010 --> 00:10:47,947 ジグロの 折れた槍の穂先を 新調するためにね 120 00:10:53,052 --> 00:10:56,422 あの刀鍛冶は 昔から頑固な男だった 121 00:10:56,922 --> 00:11:00,192 初めは 頑として 首を縦に振らなくてね 122 00:11:02,028 --> 00:11:06,399 (ジグロ)できれば これから先 1人も斬らずに済ませたいが― 123 00:11:07,033 --> 00:11:09,435 恐らく 何人斬ればいいのか 想像もつかない 124 00:11:09,735 --> 00:11:10,436 あっ… 125 00:11:11,837 --> 00:11:16,275 (ジグロ)あなたの腕を見込んで ヨゴ刀に勝るとも劣らぬ槍を一振り― 126 00:11:16,409 --> 00:11:18,711 どうしても 作ってほしいのだ 127 00:11:19,378 --> 00:11:23,249 (バルサ)私は ジグロの 言葉の意味を知るのが怖くて― 128 00:11:23,349 --> 00:11:26,452 それ以上 2人の話を 聞かないようにしていた 129 00:11:27,420 --> 00:11:31,257 しばらくして 鍛冶屋は こうジグロに言った 130 00:11:31,957 --> 00:11:35,094 “7日後に またおいでください”とね 131 00:11:35,895 --> 00:11:40,066 それからの7日間は とてつもなく 長く感じられたよ 132 00:11:40,299 --> 00:11:44,770 なにせジグロは ひと言も 話をしようとしなかったんだから 133 00:11:46,038 --> 00:11:48,007 (タンダ) とうとう 降ってきましたよ 134 00:11:51,444 --> 00:11:54,380 (トロガイ)フーッ… そうかい 135 00:11:55,448 --> 00:11:57,750 どうりで 冷えると思った 136 00:11:58,150 --> 00:12:01,087 (タンダ)お茶でも入れましょう 2人は上ですか? 137 00:12:01,987 --> 00:12:02,855 ん? 138 00:12:07,259 --> 00:12:08,160 あ… 139 00:12:17,970 --> 00:12:23,442 (雷鳴) 140 00:12:25,478 --> 00:12:28,380 ジグロ! どうせ もう びしょびしょだよ 141 00:12:28,481 --> 00:12:30,216 ここで 少し休もうよ 142 00:12:30,850 --> 00:12:33,486 ダメだ! 風邪をひいたら どうする 143 00:12:33,819 --> 00:12:35,921 いいから街まで走るんだ 144 00:12:36,255 --> 00:12:37,123 ハッ… 145 00:12:38,958 --> 00:12:40,092 どうしたの? 146 00:12:41,093 --> 00:12:42,495 ここに いろ 147 00:12:43,362 --> 00:12:45,264 (走るジグロの足音) 148 00:12:51,804 --> 00:12:52,905 (ジグロ)そうか… 149 00:12:54,073 --> 00:12:55,908 2番手は やはり… 150 00:13:02,815 --> 00:13:03,816 タグル 151 00:13:04,416 --> 00:13:06,986 お前が ここに来るのは 分かっていた 152 00:13:09,488 --> 00:13:11,824 ログサムに何と言われた? 153 00:13:12,124 --> 00:13:15,094 王を毒殺した 医者の仲間を殺してこい― 154 00:13:15,194 --> 00:13:16,362 とでも言われたか 155 00:13:16,795 --> 00:13:17,563 (タグル)む… 156 00:13:21,967 --> 00:13:25,070 “耳なし口なしの誓い”か… 157 00:13:26,572 --> 00:13:30,075 お前が戦いを 好まぬ男だということは― 158 00:13:30,309 --> 00:13:32,311 誰よりも この俺がよく知っている 159 00:13:33,345 --> 00:13:35,314 妻子を人質に取られたんだな…? 160 00:13:35,414 --> 00:13:36,282 (タグル)ぬうっ! 161 00:13:42,254 --> 00:13:43,322 (タグル)ふんっ! (ジグロ)はあっ! 162 00:13:45,157 --> 00:13:47,092 (2人が戦う音) 163 00:14:05,377 --> 00:14:07,146 ううっ! やあっ! 164 00:14:12,251 --> 00:14:13,185 (ジグロ)でやあああっ! 165 00:14:13,352 --> 00:14:14,520 (タグル)ぐおっ… 166 00:14:23,028 --> 00:14:27,333 ハァ ハァ ハァ ハァ… 167 00:14:28,968 --> 00:14:29,902 タグル… 168 00:14:31,403 --> 00:14:33,172 お前にも― 169 00:14:33,606 --> 00:14:37,943 守るべきものが… できたか… 170 00:14:40,212 --> 00:14:45,584 ああ… う… 171 00:14:50,923 --> 00:14:52,024 タグル… 172 00:15:00,232 --> 00:15:03,535 (ジグロの泣き声) 173 00:15:09,308 --> 00:15:12,578 (バルサ) 私は ジグロが泣き崩れる姿に― 174 00:15:12,978 --> 00:15:15,347 どうしていいか 分からなくなってしまった 175 00:15:15,648 --> 00:15:18,117 今は この人しか頼れないのに― 176 00:15:18,217 --> 00:15:20,486 どうしたらいいの? ってね 177 00:15:21,287 --> 00:15:26,425 そして そのあとで ジグロが泣いた 本当の訳を知った 178 00:15:27,192 --> 00:15:29,628 ログサムが放った2番目の男は― 179 00:15:29,929 --> 00:15:34,400 王の槍の中でも 特に ジグロと親しい友人だったんだ… 180 00:15:34,600 --> 00:15:35,935 (チャグム)そんな! 181 00:15:36,368 --> 00:15:39,672 (バルサ)ログサムって男は つくづく恐ろしい― 182 00:15:40,005 --> 00:15:43,409 そして つくづく汚い男だった 183 00:15:45,477 --> 00:15:48,380 いったん ヨゴの街に 戻った私たちは― 184 00:15:48,480 --> 00:15:51,317 カンバルから 出稼ぎに来ていた男から― 185 00:15:51,417 --> 00:15:54,053 父が殺されたという話を聞いた 186 00:15:57,723 --> 00:16:00,726 いつかまた 父に会えるだろうと 思っていた私は― 187 00:16:01,360 --> 00:16:04,196 カンバルを出てから 初めて泣いた 188 00:16:04,663 --> 00:16:07,166 それは子供の私には あまりにも― 189 00:16:07,266 --> 00:16:08,734 むごい話だったからね 190 00:16:09,034 --> 00:16:15,007 (バルサの泣き声) 191 00:16:15,107 --> 00:16:17,476 (バルサ)ジグロは まるで大人に話すように― 192 00:16:17,576 --> 00:16:20,212 全ての事情を話してくれたよ 193 00:16:21,480 --> 00:16:23,682 なぜ 父が殺されたのか― 194 00:16:24,049 --> 00:16:27,686 なぜ 私がジグロと 逃げなければならなかったのかをね 195 00:16:28,988 --> 00:16:32,691 あのとき 心に芽生えた憎しみは― 196 00:16:33,092 --> 00:16:35,694 今も 心の底に しこりとなって残っている 197 00:16:36,595 --> 00:16:41,667 いつか 必ずログサムに 復讐(ふくしゅう)するという あの思いは… 198 00:16:43,068 --> 00:16:47,573 それで私は ジグロに 武術を教えてくれと頼んだよ 199 00:16:50,075 --> 00:16:53,345 ジグロ! 私に武術を教えて! 200 00:16:53,445 --> 00:16:57,216 (バルサ)でも ジグロは 首を縦には振らなかった 201 00:16:57,583 --> 00:16:58,517 ダメだ 202 00:17:01,253 --> 00:17:03,188 武術は 男のものだ 203 00:17:03,522 --> 00:17:08,560 どんなに頑張ってみても 女の筋肉では大したことはできない 204 00:17:09,128 --> 00:17:12,431 それに 何よりお前は子供だ 205 00:17:13,432 --> 00:17:17,469 (バルサ)そうはっきり言われても 私は諦められなかった 206 00:17:18,704 --> 00:17:23,108 それからは 事あるごとに ジグロの稽古を盗み見して― 207 00:17:23,342 --> 00:17:26,345 なんとか 短槍の使い方を 学ぼうとした 208 00:17:27,479 --> 00:17:31,350 その後 ジグロは 隊商の護衛をすることになった 209 00:17:31,450 --> 00:17:35,621 それは私たちに 一石三鳥の 利益を もたらしてくれた 210 00:17:35,821 --> 00:17:40,759 1つは ジグロの武術の 腕を生かして生計を立てられたこと 211 00:17:41,060 --> 00:17:46,198 2つ目は ジグロの実戦を 絶えず目の当たりにできたこと 212 00:17:46,432 --> 00:17:49,401 これは本当に 武術の勉強になったよ 213 00:17:49,701 --> 00:17:51,070 そして 3つ目は― 214 00:17:51,203 --> 00:17:55,641 私たちを追っている者たちの情報を いち早く得られたこと 215 00:17:56,708 --> 00:17:59,411 俺たちを捜しているらしい6人…? 216 00:18:00,079 --> 00:18:01,480 (バルサ)ジグロ 見て! 217 00:18:01,814 --> 00:18:03,415 ジグロの構え! 218 00:18:05,084 --> 00:18:06,785 (男性たちの笑い) 219 00:18:08,854 --> 00:18:12,591 (バルサ)周りの大人たちが 喜ぶのを見て調子に乗っちゃってね 220 00:18:14,827 --> 00:18:18,831 あのとき ジグロの槍を 持つ手を狙ってきたでしょう? 221 00:18:19,164 --> 00:18:22,367 そしたら ジグロは いったん槍を離してかわし… 222 00:18:22,468 --> 00:18:23,368 ハッ… 223 00:18:23,602 --> 00:18:24,470 はっ! 224 00:18:29,675 --> 00:18:31,343 ふふっ 225 00:18:32,744 --> 00:18:37,816 (歓声と拍手) 226 00:18:43,555 --> 00:18:45,791 ん… え… 227 00:18:46,725 --> 00:18:49,561 二度とやるんじゃない 分かったな! 228 00:18:50,129 --> 00:18:51,463 あ… 229 00:18:53,599 --> 00:18:55,767 (チャグム) なぜ そんなことをしたの? 230 00:18:56,268 --> 00:18:58,871 さあ どうしてかね 231 00:18:59,705 --> 00:19:04,776 ジグロの心配そうな顔を見て 自分も力になりたかったのか 232 00:19:04,910 --> 00:19:09,781 ひょっとしたら 少し困らせて やろうと思ったのかもしれないね 233 00:19:10,315 --> 00:19:13,519 なんせ 何にも 話してくれない人だったから… 234 00:19:14,153 --> 00:19:14,853 あ… 235 00:19:16,455 --> 00:19:18,757 (バルサ) でも それからしばらくして― 236 00:19:18,857 --> 00:19:21,460 ジグロが武術を 教えてくれるようになったんだ 237 00:19:21,560 --> 00:19:23,762 え…? どうして? 238 00:19:24,229 --> 00:19:28,467 1つは 私のパフォーマンスに 感心したからだと思う 239 00:19:30,235 --> 00:19:34,439 当時は それがすごいことだなんて 全然分からなかったけど― 240 00:19:34,540 --> 00:19:38,510 どうやら 私には 武術の才能があったらしい 241 00:19:38,710 --> 00:19:41,947 なにせ 私は ジグロの戦い方を― 242 00:19:42,281 --> 00:19:45,217 ほとんど そのまま 暗記していたんだからね 243 00:19:45,751 --> 00:19:49,488 それに もう1つ 別の理由もあった 244 00:19:49,922 --> 00:19:51,924 別の… 理由…? 245 00:19:52,691 --> 00:19:54,359 (バルサ)はっ! ふっ! 246 00:19:54,927 --> 00:19:55,794 はっ! 247 00:19:56,662 --> 00:19:57,863 はっ! ふっ! 248 00:19:57,963 --> 00:20:00,299 (ジグロ) 今日から これで練習しろ 249 00:20:00,766 --> 00:20:03,869 短槍は 体に合わせて作らない 250 00:20:04,203 --> 00:20:06,405 体を短槍に合わせるんだ 251 00:20:08,307 --> 00:20:10,409 (トロガイ) どういう風の吹き回しだい 252 00:20:10,809 --> 00:20:13,612 その娘には 血まみれの人生を― 253 00:20:13,712 --> 00:20:16,381 歩ませたくなかったんじゃ ないのかい? 254 00:20:16,715 --> 00:20:17,583 あ… 255 00:20:19,818 --> 00:20:23,989 確かに 武術を知る者は それを極めれば極めるほど― 256 00:20:24,289 --> 00:20:26,592 戦う相手を 吸い寄せてしまう 257 00:20:27,292 --> 00:20:30,696 でも この先 こいつが生きていかれる道は― 258 00:20:30,796 --> 00:20:32,764 残念ながら これしかない… 259 00:20:33,765 --> 00:20:38,337 ハァ… 気付いちまったのかい そのことに… 260 00:20:39,404 --> 00:20:40,839 (バルサ)あのとき ジグロは― 261 00:20:40,939 --> 00:20:45,477 残りの王の槍が 一団となって 私たちを捜しているってウワサを― 262 00:20:45,577 --> 00:20:47,980 すでに 耳にしていたんだろうね 263 00:20:48,647 --> 00:20:51,617 それで もし 自分が死んだとしても― 264 00:20:51,717 --> 00:20:56,288 私が1人で生きていけるようにと 武術を教え始めた 265 00:20:58,757 --> 00:21:02,261 それでも ジグロは慎重な男だからね 266 00:21:02,794 --> 00:21:06,498 できれば 仲間との殺し合いは 避けたいと考えていたから― 267 00:21:06,598 --> 00:21:09,434 あまり大っぴらに 用心棒の仕事はせず― 268 00:21:09,534 --> 00:21:14,473 金がなくなるまではヨゴの山の中で 暮らすようにしていたのさ 269 00:21:14,606 --> 00:21:17,776 (チャグム)そのころに タンダや トロガイ師と出会ったんだね 270 00:21:18,343 --> 00:21:21,346 (バルサ) ああ おかげで私たちは― 271 00:21:21,446 --> 00:21:25,017 それから 10年近くは 王の槍の追跡をやり過ごし― 272 00:21:25,550 --> 00:21:30,389 危険だが 結構楽しい暮らしを 続けることができたんだ 273 00:21:34,326 --> 00:21:37,696 でも… 6人の王の槍が来たのか…? 274 00:21:38,730 --> 00:21:39,598 (バルサ)ああ 275 00:21:42,067 --> 00:21:44,336 なにせ 若い女を連れた― 276 00:21:44,436 --> 00:21:47,973 腕利きの短槍使いが 用心棒を続けてりゃ― 277 00:21:48,307 --> 00:21:50,909 嫌でも ウワサは 広まっちまうからね 278 00:21:52,444 --> 00:21:54,946 大きな仕事を終えた帰り道― 279 00:21:55,047 --> 00:21:59,518 とうとう 私たちの行動範囲を 調べ続けていた王の槍たちに― 280 00:21:59,618 --> 00:22:01,453 見つかっちまったのさ 281 00:22:03,689 --> 00:22:06,992 (ジグロ) お前は 向こうの岩場に隠れていろ 282 00:22:09,561 --> 00:22:10,495 行け! 283 00:22:11,630 --> 00:22:13,465 (バルサ)私は 不本意だった 284 00:22:13,565 --> 00:22:16,368 少しは ジグロを 助けられると思っていたのに― 285 00:22:16,868 --> 00:22:21,106 いざ 王の槍と対峙(たいじ)したとき 何もできなかったんだからね 286 00:22:21,773 --> 00:22:24,743 いや 仮に何かできたとしても― 287 00:22:24,843 --> 00:22:26,912 ジグロが そうさせなかったのかもしれない 288 00:22:29,014 --> 00:22:31,750 (ジグロ) よせ! こんなことは無益だ! 289 00:22:38,090 --> 00:22:41,493 (バルサ)ジグロは あのとき すでに覚悟を決めていたんだ 290 00:22:41,860 --> 00:22:44,863 王の槍とは 自分1人で戦おうって 291 00:22:45,464 --> 00:22:46,998 (ジグロ)悪いことは言わん! 292 00:22:47,399 --> 00:22:49,835 今すぐ槍を収めてカンバルへ帰れ! 293 00:22:50,502 --> 00:22:53,405 こんな不毛なことを いつまで続ける気だ! 294 00:22:56,541 --> 00:22:57,409 (王の槍)うおっ… 295 00:22:59,644 --> 00:23:04,015 (バルサ)ジグロは 私の手を 無益な殺し合いで汚させまいと― 296 00:23:04,116 --> 00:23:06,151 そう決めていたんだよ… 297 00:23:08,520 --> 00:23:13,525 ♪~ 298 00:24:37,075 --> 00:24:42,080 ~♪