1 00:00:11,834 --> 00:00:15,367 (徳川家康(とくがわいえやす)) こんばんは 徳川家康です 2 00:00:17,333 --> 00:00:20,200 今日は まず 日本の歴史です 3 00:00:22,734 --> 00:00:26,834 大和政権が始まり 大化の改新― 4 00:00:27,700 --> 00:00:31,533 そして 平安文化が栄えた頃― 5 00:00:32,300 --> 00:00:35,700 地方では 領地を巡って 争いが増え― 6 00:00:36,500 --> 00:00:40,233 戦いを職業とする武士が 誕生します 7 00:00:41,233 --> 00:00:43,233 我が徳川のルーツだ 8 00:00:45,300 --> 00:00:50,066 源平 北条(ほうじょう) 足利( あしかが)の世 応仁の乱… と― 9 00:00:50,533 --> 00:00:52,166 戦いは激しくなり― 10 00:00:52,734 --> 00:00:55,700 私が生まれた頃には 鉄砲も伝来 11 00:00:56,800 --> 00:01:01,967 私も使いましたよ 信長(のぶなが)様に勧められて 12 00:01:04,266 --> 00:01:09,633 そして そんな戦ばかりの世を どうにか統一したのが― 13 00:01:10,500 --> 00:01:11,934 この私です 14 00:01:14,200 --> 00:01:18,500 私は征夷(せいい)大将軍となり 徳川の世― 15 00:01:20,066 --> 00:01:23,900 今で言う江戸(えど)幕府を作りました 16 00:01:25,133 --> 00:01:27,633 260年も続いた 17 00:01:29,166 --> 00:01:32,800 ここからここまで ずっとです 18 00:01:35,033 --> 00:01:38,433 島原(しまばら)の乱のあとは 戦いもなく― 19 00:01:38,934 --> 00:01:41,166 新しい文化も育ち― 20 00:01:42,133 --> 00:01:45,233 悪くない時代だったと 私は思う 21 00:01:47,633 --> 00:01:50,867 よく 明治維新で 徳川は倒され― 22 00:01:51,667 --> 00:01:55,200 近代日本が生まれたなんて 言われますが― 23 00:01:56,133 --> 00:01:58,934 実は そう単純なものじゃあない 24 00:02:00,633 --> 00:02:02,633 古くなった時代を閉じ― 25 00:02:03,400 --> 00:02:08,033 今につながる日本を 拓(ひら)いた この人物こそ― 26 00:02:09,700 --> 00:02:12,467 我が徳川の家臣であったと― 27 00:02:14,900 --> 00:02:16,367 ご存じだったかな? 28 00:02:32,934 --> 00:02:34,367 (渋沢栄一(しぶさわえいいち))お… 来たど! 29 00:02:44,700 --> 00:02:46,700 (渋沢喜作(きさく))よし 行ぐで! 30 00:02:46,767 --> 00:02:47,767 おぉ! 31 00:02:49,300 --> 00:02:51,533 渋沢栄一でございます! 32 00:02:58,934 --> 00:03:00,567 渋沢栄一でございます! 33 00:03:04,333 --> 00:03:05,333 おい! 34 00:03:07,734 --> 00:03:08,734 栄一! 35 00:03:07,734 --> 00:03:08,734 (栄一)あ… 36 00:03:15,900 --> 00:03:17,200 (いななき) 37 00:03:23,967 --> 00:03:27,867 (栄一) 某(それがし)は渋沢栄一でございます! 38 00:03:30,300 --> 00:03:32,266 渋沢栄一でございます! 39 00:03:35,333 --> 00:03:38,767 (喜作)某は渋沢喜作と申します! 40 00:03:51,033 --> 00:03:55,066 既に! 今 既に 徳川のお命は尽きてございます! 41 00:03:55,567 --> 00:03:57,066 (喜作)バカ 余計なことを! 42 00:03:57,867 --> 00:04:01,066 いかに取り繕おうとも 既に お命は… ああっ 43 00:04:34,533 --> 00:04:35,867 (徳川慶喜(よしのぶ))そなた 今 何と申した? 44 00:04:37,633 --> 00:04:41,266 既に 徳川のお命は 尽きてございます 45 00:04:44,367 --> 00:04:48,066 あなた様は 賢明なる水戸(みと)烈公(れっこう)の御子(おこ) 46 00:04:48,767 --> 00:04:51,734 もし もし 天下に事のあった時― 47 00:04:52,367 --> 00:04:55,400 あなた様が その大事なお役目を 果たされたいとお思いならば― 48 00:04:55,467 --> 00:04:56,467 どうか どうか― 49 00:04:57,967 --> 00:05:00,600 この渋沢を お取り立てくださいませ! 50 00:05:06,100 --> 00:05:07,100 (慶喜)面を上げよ 51 00:05:25,433 --> 00:05:26,800 言いたいことは それだけか 52 00:05:27,300 --> 00:05:29,900 否! まだ 山ほどございまする! 53 00:05:30,200 --> 00:05:31,200 バカ! 54 00:05:33,900 --> 00:05:36,133 円四郎(えんしろう) そなたの仕業か 55 00:05:36,967 --> 00:05:38,033 (平岡(ひらおか)円四郎)はっ! 56 00:05:43,433 --> 00:05:45,767 (慶喜) この者たちを 明日 邸(やしき)へ呼べ 57 00:05:46,834 --> 00:05:49,166 これ以上 馬の邪魔をされては困る 58 00:05:51,266 --> 00:05:52,266 ははっ! 59 00:05:53,300 --> 00:05:55,633 (いななき) 60 00:06:04,900 --> 00:06:07,700 やった! やったど 栄一! 61 00:06:08,433 --> 00:06:09,600 話を聞いてもらえるど! 62 00:06:10,734 --> 00:06:11,734 (栄一)ああ… 63 00:06:13,400 --> 00:06:14,467 おお…! 64 00:06:16,367 --> 00:06:19,700 ああ… あ~ ハハハ! 65 00:06:20,133 --> 00:06:24,300 (語り)渋沢栄一と徳川慶喜の この出会いから― 66 00:06:25,000 --> 00:06:29,600 日本は 近代に向けて 動き出すことになるのです 67 00:06:31,633 --> 00:06:34,667 あれが 一橋(ひとつばし)様か… 68 00:06:39,233 --> 00:06:44,233 ♪~ 69 00:09:25,600 --> 00:09:30,600 ~♪ 70 00:09:30,667 --> 00:09:33,800 (語り)渋沢栄一が 少年時代を送るのは― 71 00:09:34,166 --> 00:09:36,100 ここ 武蔵国(むさしのくに) 72 00:09:37,800 --> 00:09:39,867 (栄一)置いてけぼりは やだ! 73 00:09:42,166 --> 00:09:43,834 (牛の鳴き声) 74 00:09:43,900 --> 00:09:46,934 (栄一)置いてけぼりは やだ! 俺も行ぐ! 75 00:09:47,000 --> 00:09:49,700 (渋沢ゑい) あらまぁ また そんな剛情(ごうじょう)を言って 76 00:09:49,767 --> 00:09:52,500 (渋沢なか)行がなくもよかんべ 栄一が町に出ても― 77 00:09:52,567 --> 00:09:54,600 ちっちぇえべえで 何も手伝えやしねぇんだから 78 00:09:54,667 --> 00:09:57,867 (栄一)やだ! 俺も岡部(おかべ)の町に行ぐに~! 79 00:09:57,934 --> 00:09:59,800 (ゑい) ねえ 栄一 勘弁しとくれえね 80 00:09:59,967 --> 00:10:00,500 晩には ちゃあんと帰ってきますから 81 00:10:00,500 --> 00:10:01,500 晩には ちゃあんと帰ってきますから 82 00:10:00,500 --> 00:10:01,500 (栄一)やだ! 83 00:10:01,500 --> 00:10:01,934 晩には ちゃあんと帰ってきますから 84 00:10:02,000 --> 00:10:03,867 (渋沢市郎右衛門(いちろうえもん))おい まだか そろそろ行ぐぞ 85 00:10:03,934 --> 00:10:07,233 (栄一)置いてけぼりは やだ~! 連れてげ~! 86 00:10:07,567 --> 00:10:09,166 置いてけぼりは やだ~! 87 00:10:09,467 --> 00:10:10,467 (ゑい)お願いね 88 00:10:10,533 --> 00:10:13,033 あと いっときたったら もう一遍 お蚕さまに― 89 00:10:13,100 --> 00:10:14,533 桑の葉あげるの忘れねえでな 90 00:10:14,600 --> 00:10:15,600 (女中・作男(さくおとこ))へぇ 91 00:10:14,600 --> 00:10:15,600 (栄一)やだ! 92 00:10:15,667 --> 00:10:16,400 (ゑい)ああ! 93 00:10:16,400 --> 00:10:16,667 (ゑい)ああ! 94 00:10:16,400 --> 00:10:16,667 (栄一)俺も岡部の 町に行ぐに~! 95 00:10:16,667 --> 00:10:18,734 (栄一)俺も岡部の 町に行ぐに~! 96 00:10:18,800 --> 00:10:19,767 (市郎右衛門)おい 剛情もいいかげんにしろ 栄一! 97 00:10:19,767 --> 00:10:21,467 (市郎右衛門)おい 剛情もいいかげんにしろ 栄一! 98 00:10:19,767 --> 00:10:21,467 (栄一) やだ! やだ! 99 00:10:21,467 --> 00:10:21,900 (市郎右衛門)おい 剛情もいいかげんにしろ 栄一! 100 00:10:23,433 --> 00:10:24,500 (悲鳴) 101 00:10:24,734 --> 00:10:25,734 (栄一)やだ! 102 00:10:26,734 --> 00:10:27,734 行ってくんべ 103 00:10:28,166 --> 00:10:29,166 お願いね 104 00:10:29,333 --> 00:10:30,400 (女中)行ってらっしゃいまし 105 00:10:30,600 --> 00:10:31,967 もう 栄一 106 00:10:34,934 --> 00:10:35,934 (女中)行って らっしゃいまし 107 00:10:36,133 --> 00:10:37,767 (栄一) やだ~! 行ぐ~! 108 00:10:37,834 --> 00:10:39,700 俺も行ぐに~! 109 00:10:40,000 --> 00:10:42,834 俺を連れていがなぎゃあ 勘弁しねえぞ! 110 00:10:43,266 --> 00:10:46,100 勘弁しねえ! 勘弁しねえ! 111 00:10:46,400 --> 00:10:48,266 勘弁しねえ! 112 00:10:48,333 --> 00:10:48,667 (作男)坊ちゃん… 113 00:10:48,667 --> 00:10:49,333 (作男)坊ちゃん… 114 00:10:48,667 --> 00:10:49,333 俺も行ぐ~! 115 00:10:49,333 --> 00:10:50,900 俺も行ぐ~! 116 00:10:52,967 --> 00:10:54,834 (語り)その日の夕方 117 00:10:57,233 --> 00:10:58,367 (尾高長七郎(おだかちょうしちろう))あ あにぃだ! 118 00:10:59,133 --> 00:11:00,834 (子供) 新五郎(しんごろう)あにぃ 帰ってきた! 119 00:11:00,900 --> 00:11:01,900 (尾高新五郎)おう! 120 00:11:02,233 --> 00:11:04,233 (喜作)新五郎あにぃ! えれえことだで あにぃ! 121 00:11:04,300 --> 00:11:05,300 (新五郎)どうした? 122 00:11:05,467 --> 00:11:07,066 (喜作)栄一が まあた いなくなったんだに 123 00:11:07,133 --> 00:11:09,967 ええ? あっちの畑は? 124 00:11:10,033 --> 00:11:11,033 (子供たち)いねえ 125 00:11:11,200 --> 00:11:11,834 神社は? 126 00:11:11,834 --> 00:11:12,200 神社は? 127 00:11:11,834 --> 00:11:12,200 (子供たち)いねえ 128 00:11:12,200 --> 00:11:12,867 (子供たち)いねえ 129 00:11:12,967 --> 00:11:13,967 木の上は? 130 00:11:14,033 --> 00:11:15,100 (子供たち)いねえ 131 00:11:16,967 --> 00:11:20,900 あぁ… 栄一ったら どこ行ったんよ 132 00:11:22,400 --> 00:11:25,867 (新五郎)ゑいさん! 栄一が またいなくなったって? 133 00:11:25,934 --> 00:11:29,400 新五郎! いくら 捜してもいないんよ 134 00:11:29,467 --> 00:11:30,467 はあ? 135 00:11:31,900 --> 00:11:33,700 おい いたか! 136 00:11:33,967 --> 00:11:36,033 (ゑい)いいえ 東の家(ひがしんち)も? 137 00:11:36,100 --> 00:11:38,066 (渋沢まさ) うちの方にも来やしなかったよ 138 00:11:39,000 --> 00:11:41,433 (市郎右衛門)何で 誰も 栄一を見張ってなかったんだ! 139 00:11:41,967 --> 00:11:43,033 (作男・女中)すんません! 140 00:11:43,734 --> 00:11:44,734 (なか)ごめんなさい 141 00:11:45,667 --> 00:11:47,500 ちっと 隠れてるだけだと… 142 00:11:47,867 --> 00:11:49,600 (ゑい)あんたが 悪いんじゃないよ 143 00:11:50,166 --> 00:11:53,033 あぁ~ やっぱり あの子を 置いていぐんじゃなかった 144 00:11:53,667 --> 00:11:55,767 あの子は うんと さみしがりやで… 145 00:11:56,066 --> 00:11:57,767 (まさ) さみしがりいうより 146 00:11:58,266 --> 00:12:00,867 剛情っぱり なんだいね 栄一は 147 00:12:02,600 --> 00:12:03,934 (渋沢宗助(そうすけ)) 栄一のやつ 148 00:12:04,867 --> 00:12:05,867 人さらいに 149 00:12:05,934 --> 00:12:07,200 遭ったんじゃ ねえだんべか 150 00:12:07,600 --> 00:12:09,166 (新五郎)え? 人さらい? 151 00:12:09,734 --> 00:12:12,100 (まさ)は~ よしない 縁起でもねぇこと 152 00:12:12,467 --> 00:12:13,767 (なか)栄一… 153 00:12:13,834 --> 00:12:16,000 (泣き声) 154 00:12:16,400 --> 00:12:18,800 おめえたち 泣くんじゃねぇ! 155 00:12:19,834 --> 00:12:21,867 (利吉(りきち)) もう一遍 手分けして捜すだに! 156 00:12:22,033 --> 00:12:23,200 (女中たち)坊ちゃ~ん! 157 00:12:23,367 --> 00:12:24,367 (女中)坊ちゃ~ん! 158 00:12:24,967 --> 00:12:25,967 (作男たち)坊ちゃ~ん! 159 00:12:26,033 --> 00:12:27,100 (おうめ)そっちは? 160 00:12:27,934 --> 00:12:28,934 (おたか)いらっしゃいません! 161 00:12:29,000 --> 00:12:30,600 (おはる)もっぺん 外見てきます! 162 00:12:32,600 --> 00:12:34,800 (なか)栄一! 栄一! 163 00:12:36,166 --> 00:12:37,266 栄一! 164 00:12:49,066 --> 00:12:50,066 栄一! 165 00:12:50,667 --> 00:12:53,767 栄一! 栄一! 栄一! 166 00:13:05,367 --> 00:13:06,367 (ゑい)なか… 167 00:13:06,433 --> 00:13:08,033 (泣き声) 168 00:13:08,767 --> 00:13:09,767 栄一… 169 00:13:11,066 --> 00:13:12,066 ありがと 170 00:13:14,033 --> 00:13:16,467 (市郎右衛門) おい もっぺん 川見てこい 川! 171 00:13:16,533 --> 00:13:18,000 (作男)へえ 行くぞ 172 00:13:20,433 --> 00:13:21,433 (市郎右衛門)頼んだぞ! 173 00:13:21,667 --> 00:13:22,667 (作男たち)へえ 174 00:13:23,667 --> 00:13:24,700 (作男)坊ちゃ~ん! 175 00:13:41,500 --> 00:13:42,500 (市郎右衛門)はあ… 176 00:14:03,567 --> 00:14:08,567 (蚕の音) 177 00:14:23,033 --> 00:14:26,934 ああ 栄一… 178 00:14:38,000 --> 00:14:39,233 (栄一)う~ん… 179 00:14:40,567 --> 00:14:41,567 はあ… 180 00:14:57,667 --> 00:15:00,700 え…? お前さん! 181 00:15:02,333 --> 00:15:02,867 お前さん! お前さん! 182 00:15:02,867 --> 00:15:03,633 お前さん! お前さん! 183 00:15:02,867 --> 00:15:03,633 (市郎右衛門) うん? 184 00:15:03,633 --> 00:15:03,867 (市郎右衛門) うん? 185 00:15:03,867 --> 00:15:04,867 こっち! 186 00:15:04,934 --> 00:15:05,934 (市郎右衛門)どうした! 187 00:15:20,667 --> 00:15:21,667 (栄一)ん? 188 00:15:22,867 --> 00:15:25,300 おぉ かっさま 189 00:15:25,767 --> 00:15:29,734 あぁ 栄一! 栄一… 190 00:15:29,800 --> 00:15:32,433 かっさま 痛(いて)えよ 苦しいって 191 00:15:32,500 --> 00:15:35,734 (ゑい)栄一 よかったよ… 192 00:15:38,900 --> 00:15:40,433 ずっと ここで寝てたのかい 193 00:15:40,967 --> 00:15:42,867 うむ ここで隠れといて― 194 00:15:42,934 --> 00:15:45,133 たまげさせてやるべえと 思ったんだ 195 00:15:45,934 --> 00:15:48,233 そしたら お蚕さんたちが― 196 00:15:48,300 --> 00:15:51,433 サアサア サアサア 桑の葉を食っててなぁ 197 00:15:51,900 --> 00:15:55,834 外からは もずん声が チキチキ チキチキ… 198 00:15:55,900 --> 00:15:56,900 (市郎右衛門)ばかもん! 199 00:15:57,767 --> 00:16:00,166 皆が どれだけ 心配したと思ってんだ! 200 00:16:00,700 --> 00:16:03,900 そんなん とっさまが 俺を置いていぐからいげねんだんべ 201 00:16:04,066 --> 00:16:05,066 (市郎右衛門)何? 202 00:16:05,133 --> 00:16:07,500 置いていぐなというのに 置いていぐんだから― 203 00:16:07,767 --> 00:16:09,400 どんなことになっても 構わねえって… 204 00:16:09,467 --> 00:16:09,934 ふざけんな! 205 00:16:09,934 --> 00:16:10,467 ふざけんな! 206 00:16:09,934 --> 00:16:10,467 (栄一)痛っ! 207 00:16:10,467 --> 00:16:10,767 (栄一)痛っ! 208 00:16:10,767 --> 00:16:10,934 (栄一)痛っ! 209 00:16:10,767 --> 00:16:10,934 こっち来い! 210 00:16:10,934 --> 00:16:11,767 こっち来い! 211 00:16:12,700 --> 00:16:16,000 (栄一)ふざけてはおりません! 勘弁しとくれ! 212 00:16:16,667 --> 00:16:17,834 (ゑい)あれまぁ 213 00:16:18,767 --> 00:16:21,834 あの子の剛情っぱりには あきれたもんだいね 214 00:16:24,367 --> 00:16:26,133 お前は 辛抱が足らん 215 00:16:27,633 --> 00:16:29,800 いいか よく聞け 216 00:16:54,667 --> 00:16:54,834 (栄一)どうしてなん? 217 00:16:54,834 --> 00:16:55,734 (栄一)どうしてなん? 218 00:16:54,834 --> 00:16:55,734 勝つこと… 219 00:16:55,734 --> 00:16:55,834 勝つこと… 220 00:16:56,500 --> 00:16:58,133 どうして 怒りは敵なん? 221 00:16:58,633 --> 00:17:00,266 どうして 怒りは敵なん? 222 00:17:00,433 --> 00:17:01,433 口を挟むな! 223 00:17:03,166 --> 00:17:05,700 東照大権現(とうしょうだいごんげん)様のお言葉なんだ 224 00:17:07,133 --> 00:17:09,967 (栄一)とうしょうだいごん… 225 00:17:12,133 --> 00:17:14,133 (語り)東照大権現とは… 226 00:17:15,033 --> 00:17:16,734 徳川家康です 227 00:17:18,033 --> 00:17:19,033 痛え… 228 00:17:20,400 --> 00:17:23,567 (ゑい)まぁまぁ 畳の跡が きれいにうつって 229 00:17:27,266 --> 00:17:28,266 ああ… 230 00:17:30,867 --> 00:17:32,600 そんでもなぁ かっさま 231 00:17:32,934 --> 00:17:33,934 (ゑい)うん? 232 00:17:34,100 --> 00:17:36,166 俺は ちっとんべぇうれしかったよ 233 00:17:37,033 --> 00:17:40,700 (ゑい) はあ? うれしい? 何が? 234 00:17:41,533 --> 00:17:44,700 みんな 俺を置いていがなきゃ よかったと思ったんべ? 235 00:17:45,166 --> 00:17:46,500 ほれ 見たことかだ 236 00:17:46,767 --> 00:17:48,734 (ゑい)まぁ 何てぇことを 237 00:17:49,734 --> 00:17:51,767 俺も岡部に行きたかったんだよ 238 00:17:53,867 --> 00:17:56,567 それに 目が覚めたら かっさまがいて― 239 00:17:56,633 --> 00:17:58,734 ぎゅ~っとしてくれた 240 00:17:59,700 --> 00:18:01,533 こんなうれしいことはねぇ 241 00:18:01,967 --> 00:18:05,500 何がうれしいだい かっさまは寿命が縮まったよ 242 00:18:06,767 --> 00:18:11,333 寿命? 命って縮むんか そんなん困る 243 00:18:11,533 --> 00:18:15,166 そうだんべ 思い浮かべてみな 244 00:18:16,734 --> 00:18:20,100 とっさまの気持ち かっさまの気持ち 245 00:18:21,667 --> 00:18:26,567 お前を心配してくれた姉さまや 伯父さま 伯母さまや― 246 00:18:27,200 --> 00:18:29,200 働き手みんなの気持ちを 247 00:18:32,767 --> 00:18:36,000 そんなに たくさん 思い浮かべるのは大変だに 248 00:18:36,700 --> 00:18:38,200 思い浮かべんの 249 00:18:41,000 --> 00:18:44,667 人は 生まれてきたその時から 一人でないんだよ 250 00:18:45,467 --> 00:18:47,266 いろんなものと つながってんだよ 251 00:18:48,333 --> 00:18:50,433 それを ここの奥底だって 分かってんだよ 252 00:18:51,600 --> 00:18:52,734 一人じゃないことを 253 00:18:55,467 --> 00:18:58,834 (栄一)おお ここか 254 00:18:59,467 --> 00:19:00,533 ここに聞きな 255 00:19:02,233 --> 00:19:06,633 それが本当に正しいか 正しくないか 256 00:19:08,834 --> 00:19:10,433 あんたが うれしいだけじゃなくて― 257 00:19:11,433 --> 00:19:13,600 みぃんながうれしいのが 一番なんだで 258 00:19:17,000 --> 00:19:18,000 分かったいね 259 00:19:20,066 --> 00:19:23,500 ごめんよ 死なねえどくれ 260 00:19:25,734 --> 00:19:30,567 死にませんて あんたが心配で死ねません 261 00:19:32,767 --> 00:19:33,767 かっさま 262 00:19:34,500 --> 00:19:35,500 はい 263 00:19:37,000 --> 00:19:38,633 ぎゅ~っとしとくれ 264 00:19:39,433 --> 00:19:42,233 ハハ… はいはい 265 00:19:58,166 --> 00:19:59,166 とっさま 266 00:20:00,400 --> 00:20:01,400 (市郎右衛門)うん? 267 00:20:02,934 --> 00:20:04,333 (栄一)おやすみなさいまし 268 00:20:05,967 --> 00:20:06,967 (市郎右衛門)おやすみ 269 00:20:27,200 --> 00:20:33,400 (語り)さて ここは 武蔵国の北にある血洗島(ちあらいじま) 270 00:20:34,633 --> 00:20:39,500 (ゑいたち)ヨィヨィ ヨィヨィ 271 00:20:40,567 --> 00:20:45,500 お蚕様の ご馳走(ちそう)の 272 00:20:46,000 --> 00:20:53,633 桑の葉 頂く ありがたさ ありがたさ 273 00:20:53,800 --> 00:20:55,867 ヨィヨィ 274 00:20:57,033 --> 00:21:02,633 (語り)土の質が稲作に向かないため 畑で麦や野菜を育てたり― 275 00:21:03,133 --> 00:21:07,200 蚕から生糸を取る養蚕をしたりして 暮らしていました 276 00:21:07,266 --> 00:21:11,133 (ゑい)いい子だいね~ た~んと おあがりよ~ 277 00:21:12,066 --> 00:21:19,133 (栄一たち)天とう様と武州(ぶしゅう)の人は 278 00:21:20,100 --> 00:21:23,800 (語り)また この地の 大事な収入源となっていたのが― 279 00:21:24,500 --> 00:21:28,633 衣類を青い色に染めるための 藍作りです 280 00:21:28,700 --> 00:21:30,467 (女中)お茶 入りましたよ 281 00:21:34,233 --> 00:21:41,533 (栄一たち)藍をこなすは すけこ の声で 282 00:21:41,600 --> 00:21:47,767 けったり 忘れて うでっこき 283 00:21:48,834 --> 00:21:52,266 (語り)藍作りは 藍の葉を育てるだけでなく― 284 00:21:52,834 --> 00:21:56,700 それを加工して 藍玉(あいだま)と呼ばれる染料にするまで― 285 00:21:57,166 --> 00:21:59,800 大変 手間のかかる仕事でした 286 00:22:01,834 --> 00:22:06,600 美しい色を出す藍は人気があり 値も高く売れましたので― 287 00:22:07,400 --> 00:22:12,066 この辺りの領主である岡部藩を 支えるほどに もうけるようになり… 288 00:22:13,133 --> 00:22:14,867 (市郎右衛門)いやんばいす 289 00:22:15,433 --> 00:22:18,133 (百姓)おお 市郎右衛門さん おいでなすったか 290 00:22:19,100 --> 00:22:24,533 (語り)栄一の父 渋沢市郎右衛門は 農民として― 291 00:22:25,133 --> 00:22:27,934 また 藍玉作りの職人として― 292 00:22:28,533 --> 00:22:34,200 そして それを売る商人として 一年中 忙しく暮らしていました 293 00:22:34,433 --> 00:22:37,033 (紺屋) いい色が出てるじゃないですか 294 00:22:37,700 --> 00:22:41,667 今年は この上なく ふくよかに仕上がりまして 295 00:22:42,433 --> 00:22:45,133 (紺屋) ひとつ 職人に試させてみましょう 296 00:22:46,367 --> 00:22:47,033 おい 297 00:22:47,033 --> 00:22:47,367 おい 298 00:22:47,033 --> 00:22:47,367 (従業員)へえ 299 00:22:47,367 --> 00:22:47,800 (従業員)へえ 300 00:22:47,800 --> 00:22:48,033 (従業員)へえ 301 00:22:47,800 --> 00:22:48,033 (市郎右衛門) 何とぞ よろしくお願いします 302 00:22:48,033 --> 00:22:50,567 (市郎右衛門) 何とぞ よろしくお願いします 303 00:22:53,433 --> 00:22:56,300 (ゑい)栄一 今日は寒いから! 304 00:22:56,367 --> 00:22:59,333 (語り)そして その息子の栄一は… 305 00:23:00,467 --> 00:23:02,200 (ゑい)栄一! 306 00:23:02,667 --> 00:23:07,367 (語り)人一倍わんぱくで 人一倍おしゃべりでした 307 00:23:07,567 --> 00:23:09,100 ほら おっきくなりなさい 308 00:23:09,834 --> 00:23:12,000 もう食べないの? 全部食べなさい 309 00:23:12,600 --> 00:23:18,300 お蚕 お蚕 柔らか 桑の葉 ホィ ホィ 310 00:23:19,000 --> 00:23:22,266 たんと 食ったら ピチャラ ホィ 311 00:23:22,967 --> 00:23:26,300 たんと 食ったら ピチャラ ホィ 312 00:23:27,166 --> 00:23:29,567 (おうめ)おや 今日は どこへお出かけだい? 313 00:23:29,633 --> 00:23:31,133 新五郎あにぃんところだに! 314 00:23:32,433 --> 00:23:34,166 (市郎右衛門) よくしゃべるところは― 315 00:23:34,734 --> 00:23:36,066 お前に似たんだぞ 316 00:23:37,133 --> 00:23:39,967 はぁ 何をおっしゃいますやら 317 00:23:40,967 --> 00:23:45,200 あの剛情っぱりなところは 誰かさんに そっくりだいねぇ 318 00:23:46,734 --> 00:23:47,734 何か言ったか 319 00:23:48,200 --> 00:23:49,200 いいえ 320 00:23:50,333 --> 00:23:51,600 (栄一)行ってまいりま~す! 321 00:23:51,867 --> 00:23:52,967 (ゑい)気を付いて行きよ! 322 00:23:53,033 --> 00:23:55,600 (作男・女中たち) 行ってらっしゃいまし 323 00:23:55,667 --> 00:23:56,667 (栄一)行ってまいりま~す! 324 00:23:56,734 --> 00:23:58,166 (作男)あっついから気い付いてな! 325 00:23:58,233 --> 00:23:59,233 (栄一)はい! 326 00:24:04,000 --> 00:24:05,000 (喜作)遅(おせ)えど! 327 00:24:05,066 --> 00:24:06,066 (栄一)あ すまねえ! 328 00:24:08,500 --> 00:24:11,033 (語り)栄一と いとこの喜作は― 329 00:24:11,700 --> 00:24:16,166 広い畑を朝から晩まで 駆け回って遊びました 330 00:24:31,233 --> 00:24:33,934 この緑豊かな血洗島から― 331 00:24:34,400 --> 00:24:39,767 東に150キロ離れた常陸国(ひたちのくに) 水戸では 332 00:24:40,166 --> 00:24:42,767 (太鼓の音と掛け声) 333 00:25:00,734 --> 00:25:02,233 (太鼓の音) 334 00:25:08,533 --> 00:25:09,834 (徳川斉昭(なりあき))放て! 335 00:25:10,367 --> 00:25:11,367 (砲声) 336 00:25:12,600 --> 00:25:13,734 (武士たち)放て! 337 00:25:13,800 --> 00:25:15,533 放て! (砲声) 338 00:25:15,600 --> 00:25:16,600 放て! (砲声) 339 00:25:16,667 --> 00:25:17,800 放て! (砲声) 340 00:25:17,867 --> 00:25:19,133 放て! (砲声) 341 00:25:19,200 --> 00:25:22,600 (雄たけび) 342 00:25:43,500 --> 00:25:49,200 (語り)これは 徳川御三家 水戸藩の藩主 徳川斉昭です 343 00:25:51,166 --> 00:25:53,000 (男性)見たこともねえ船だ! 344 00:25:53,300 --> 00:25:57,800 (語り)そのころ 限られた国としか つきあいのなかった日本に― 345 00:25:58,300 --> 00:26:03,133 多くの外国船が 国交を求めて 訪れるようになっていました 346 00:26:05,233 --> 00:26:07,333 斉昭は いち早く― 347 00:26:07,600 --> 00:26:10,333 日本を外国から守ると 立ち上がり― 348 00:26:10,767 --> 00:26:12,667 軍事訓練を始めました 349 00:26:14,667 --> 00:26:19,700 (男性)はぁ 立派な兵 率いとっとは 水戸様は なんともすげぇお方だ 350 00:26:20,300 --> 00:26:22,800 (男性)あ~ あれは七郎麻呂(しちろうまろ)様じゃねえが 351 00:26:23,266 --> 00:26:24,266 (男性)どこだ? 352 00:26:40,133 --> 00:26:41,300 ほぅ 353 00:27:05,300 --> 00:27:06,300 (鳴き声) 354 00:27:09,166 --> 00:27:10,166 (七郎麻呂)はっ! 355 00:27:58,000 --> 00:28:00,533 (いななき) 356 00:28:01,834 --> 00:28:02,867 (鳴き声) 357 00:28:16,300 --> 00:28:17,367 (鳴き声) 358 00:28:22,033 --> 00:28:25,166 (群衆が沸く声) 359 00:28:25,233 --> 00:28:26,967 なんと勇ましい! 360 00:28:37,433 --> 00:28:38,934 (武田耕雲斎(たけだこううんさい))いや~ 361 00:28:39,567 --> 00:28:40,567 (耕雲斎) 評判どおり 362 00:28:40,633 --> 00:28:42,200 見事な腕前ですな 363 00:28:42,400 --> 00:28:44,367 (藤田(ふじた)東湖(とうこ)) えぇ 七郎君は 364 00:28:44,433 --> 00:28:46,500 肝の据わり方が あっぱれです 365 00:28:46,900 --> 00:28:48,867 やがて 名将となられることでしょう 366 00:28:48,934 --> 00:28:49,934 (耕雲斎)ええ 367 00:28:50,000 --> 00:28:52,633 (東湖)しかし… 育て方を間違えれば 368 00:28:53,600 --> 00:28:55,767 手に余ることに なるやもしれませぬ 369 00:29:06,900 --> 00:29:09,500 見事じゃ 七郎麻呂 370 00:29:11,767 --> 00:29:12,767 はっ! 371 00:29:16,066 --> 00:29:17,700 (斉昭)よいか 七郎麻呂 372 00:29:18,467 --> 00:29:23,600 長命の秘訣(ひけつ)は 毎日 黒豆を100粒ずつ食べ― 373 00:29:24,767 --> 00:29:28,433 牛乳を飲むを一生続けること 374 00:29:30,734 --> 00:29:31,734 えい! 375 00:29:32,300 --> 00:29:33,300 (斉昭)湯茶は飲むな 376 00:29:33,367 --> 00:29:34,367 えい! 377 00:29:34,867 --> 00:29:38,567 果物のような水ものも極力控えよ 378 00:29:40,033 --> 00:29:43,066 当主たるもの 常に乾いておらねばならぬ 379 00:29:44,033 --> 00:29:47,533 湿る ぬれるは万病のもと 380 00:29:48,533 --> 00:29:53,333 常にカラカラ カサカサに 乾いておらねばならぬ 381 00:29:53,400 --> 00:29:54,400 えい! 382 00:29:55,033 --> 00:29:59,734 また こうして 中指を立て― 383 00:30:01,734 --> 00:30:03,233 肛門を打てば― 384 00:30:05,400 --> 00:30:07,967 一生 痔(じ)を患うことはない… 385 00:30:08,500 --> 00:30:09,500 はっ 386 00:30:11,934 --> 00:30:16,867 (斉昭)そなたには 人の上に立つ器量がある 387 00:30:19,066 --> 00:30:20,066 いずれは― 388 00:30:21,934 --> 00:30:26,834 この父より 更に多くのものの上に立ち― 389 00:30:29,467 --> 00:30:34,367 その命運を 担うことになるかもしれぬ 390 00:30:36,600 --> 00:30:38,867 太平の世は終わった そなたは… 391 00:30:38,934 --> 00:30:39,934 (耕雲斎)殿! 392 00:30:41,166 --> 00:30:43,066 殿 一大事でございます 393 00:30:43,133 --> 00:30:44,133 (斉昭)何じゃ! 394 00:30:46,166 --> 00:30:50,200 公儀より使いが参りまして 即刻 江戸へ上れとのこと 395 00:30:51,300 --> 00:30:52,333 何じゃと? 396 00:30:54,834 --> 00:30:57,400 (松平頼胤(まつだいらよりたね)) “水戸中納言殿御家政向(ごかせいむき)…” 397 00:30:58,033 --> 00:31:04,000 (語り)幕府は 斉昭に 大砲を連発して 世の中を騒がせたとして― 398 00:31:04,533 --> 00:31:07,867 隠居 謹慎を申しつけました 399 00:31:09,367 --> 00:31:15,266 過激ともいえる思想を持つ斉昭は 幕府から警戒されていたのです 400 00:31:17,967 --> 00:31:19,734 (阿部(あべ)正弘(まさひろ))追鳥狩(おいとりがり)のみならず― 401 00:31:20,567 --> 00:31:23,333 寺からも 公儀に訴えがあったのです 402 00:31:24,834 --> 00:31:29,000 鐘や仏像を召し上げ 大筒を作るとは何事かと 403 00:31:31,667 --> 00:31:35,166 全ては日の本を 404 00:31:35,233 --> 00:31:36,967 守りたいが ためのこと 405 00:31:37,967 --> 00:31:40,100 (阿部)“水戸に 謀反の企てあり” 406 00:31:41,333 --> 00:31:42,800 …との密告も ありましたぞ 407 00:31:43,600 --> 00:31:44,667 謀反!? 408 00:31:47,233 --> 00:31:48,367 何をバカな 409 00:31:50,367 --> 00:31:55,633 この私が どれだけ 日の本のことを案じておるか― 410 00:31:58,066 --> 00:32:01,400 なぜ上様には 分かっていただけぬのか 411 00:32:09,400 --> 00:32:12,367 (井上甚三郎(いのうえじんざぶろう)) これは お父上の命にございます 412 00:32:13,200 --> 00:32:16,433 七郎君は 人の上(かみ)に立たれる身 413 00:32:17,100 --> 00:32:19,633 お休みの時も お気を緩めることなく― 414 00:32:20,133 --> 00:32:21,133 鍛錬されねば… 415 00:32:21,200 --> 00:32:24,333 うるさい 下がれ 416 00:32:26,767 --> 00:32:27,800 (甚三郎)ははっ 417 00:32:39,367 --> 00:32:44,633 (斉昭)“七郎よ ひとときも 天命を忘れることなく―” 418 00:32:45,266 --> 00:32:46,633 “備えねばならん” 419 00:32:48,533 --> 00:32:52,633 “いつか 日の本を守る役目を 果たすため―” 420 00:32:53,767 --> 00:32:56,066 “父は全てを そなたに授ける” 421 00:32:58,133 --> 00:33:00,567 “この身は離れていようとも―” 422 00:33:01,967 --> 00:33:04,667 “心は近くにある” 423 00:33:12,166 --> 00:33:13,367 (2人)“人の初め…” 424 00:33:13,433 --> 00:33:15,600 (語り)6歳となった栄一は― 425 00:33:16,066 --> 00:33:17,934 父 市郎右衛門から― 426 00:33:18,100 --> 00:33:20,934 読み書きを教えてもらうように なっていました 427 00:33:23,633 --> 00:33:26,633 …教えずんば 性乃(すなわ)ち遷(うつ)る 428 00:33:31,734 --> 00:33:33,200 (ゑい)頼まいね 429 00:33:51,667 --> 00:33:53,967 (ゑい)あれまぁ 栄一 はぁ 覚(おべ)えちまったんかい? 430 00:33:54,433 --> 00:33:55,433 へぇ かっさま 431 00:33:55,800 --> 00:33:57,433 “きみをいたす”とは― 432 00:33:57,500 --> 00:34:00,500 卵ん黄身だけ 食べるという意味じゃねえんだで 433 00:34:00,900 --> 00:34:01,900 (市郎右衛門)当たりめえだ 434 00:34:02,967 --> 00:34:07,200 “君を致す”とは 上が正しい政をし― 435 00:34:07,900 --> 00:34:10,300 皆に幸せをもたらすということだ 436 00:34:11,133 --> 00:34:13,233 上とは 金太郎(きんたろう)ですか 437 00:34:13,867 --> 00:34:16,433 お代官様ですか 公方(くぼう)様か 438 00:34:16,500 --> 00:34:22,100 (市郎右衛門)公方様でも 親でも師匠でも 人の上(うえ)に立つものは 皆 上(かみ)だ 439 00:34:23,100 --> 00:34:26,734 上に立つものは 下(しも)のものへの責任がある 440 00:34:27,233 --> 00:34:29,033 せきにんとは何だい? 441 00:34:30,867 --> 00:34:35,433 ほうだな 大事なものを守るつとめだ 442 00:34:36,533 --> 00:34:37,667 大事なもの… 443 00:34:38,066 --> 00:34:42,233 (なか)何なん 栄一が先に 「三字経」を覚えちまうなんて 444 00:34:42,533 --> 00:34:46,300 (ゑい)あぁ 立派だいねぇ この栄一がねぇ 445 00:34:46,367 --> 00:34:49,100 (栄一)そりゃ とっさまの げんこつが おっかねえから― 446 00:34:49,166 --> 00:34:52,066 一生懸命に覚えただけだい 行ってくんべ 447 00:34:52,867 --> 00:34:54,100 (女中)行ってらっしゃいまし 448 00:34:54,166 --> 00:34:56,700 まぁ また あんなそんぶりを 449 00:35:04,100 --> 00:35:06,834 (栄一) 負けるもんか~! や~! 450 00:35:07,333 --> 00:35:08,333 え~い! 451 00:35:10,333 --> 00:35:11,333 や~! 452 00:35:13,066 --> 00:35:15,333 (喜作)強すぎるんだよ 長七郎 453 00:35:15,700 --> 00:35:18,567 (栄一)よ~し 負けるもんか~! 454 00:35:18,633 --> 00:35:20,667 (長七郎)おっ 体当たりはよせ 455 00:35:21,567 --> 00:35:24,600 (朔兵衛(さくべえ))て~っ! 岡部のお代官様だ! 456 00:35:24,967 --> 00:35:26,767 お代官様が通るど~! 457 00:35:26,834 --> 00:35:28,700 (長七郎)え? おい おしめえだ 458 00:35:28,767 --> 00:35:30,500 (朔兵衛)かがめ かがめ かがめ… 459 00:35:31,734 --> 00:35:34,133 栄一 お前 何やってんだ… かがめよ 早く ほら 460 00:35:38,033 --> 00:35:39,100 (役人)脇へ寄れぃ 461 00:35:39,533 --> 00:35:40,533 (役人)脇へ寄れぃ 462 00:35:42,834 --> 00:35:44,133 (役人)脇へ寄れぃ 463 00:35:46,133 --> 00:35:47,166 (役人)脇へ寄れぃ 464 00:35:49,667 --> 00:35:50,834 (役人)脇へ寄れぃ 465 00:35:54,033 --> 00:35:55,033 (役人)脇へ寄れぃ 466 00:35:56,667 --> 00:35:57,834 脇へ寄れぃ 467 00:35:58,367 --> 00:35:59,467 脇へ寄れぃ 468 00:35:59,967 --> 00:36:01,300 脇へ寄れぃ 469 00:36:01,500 --> 00:36:02,500 脇へ寄れぃ 470 00:36:03,700 --> 00:36:04,767 頭下げんか 471 00:36:08,033 --> 00:36:11,533 (利根(とね)吉春(よしはる))ふん たるんどるな 472 00:36:12,266 --> 00:36:13,266 よう励め 473 00:36:16,633 --> 00:36:17,633 (役人)脇へ寄れぃ 474 00:36:21,600 --> 00:36:22,600 (役人)脇へ寄れぃ 475 00:36:24,066 --> 00:36:25,600 (役人)脇へ寄らんか 476 00:36:45,200 --> 00:36:46,133 (役人)おい! 477 00:37:00,767 --> 00:37:03,467 (栄一) 最後のかご ありゃ 何だんべ? 478 00:37:04,266 --> 00:37:05,867 (長七郎)江戸から来た罪人だ 479 00:37:06,934 --> 00:37:07,934 (栄一)罪人? 480 00:37:08,333 --> 00:37:10,467 ご陣屋の牢(ろう)に入れられるんだんべ 481 00:37:11,500 --> 00:37:13,834 (栄一) 牢に入れられて どうなるん? 482 00:37:15,600 --> 00:37:20,367 それは… むち打ちか 打ち首か 483 00:37:21,500 --> 00:37:22,600 (喜作)打ち首… 484 00:37:22,867 --> 00:37:25,200 何で? 何で打ち首になるん? 485 00:37:26,100 --> 00:37:27,266 (長七郎)そんなん分かるか 486 00:37:28,100 --> 00:37:30,300 (喜作)きっと鬼みてえなやつに違(ちげ)えねえ 487 00:37:30,834 --> 00:37:32,133 (長七郎)おう 鬼じゃ 488 00:37:34,367 --> 00:37:36,800 栄一 さあ そろそろ帰(けえ)るべ 489 00:37:44,867 --> 00:37:47,166 えい! えい! 490 00:37:47,233 --> 00:37:49,133 (語り) ここ 尾高の家は― 491 00:37:49,500 --> 00:37:52,000 渋沢の親戚にあたります 492 00:37:52,400 --> 00:37:54,767 (長七郎)えい! えい! 493 00:37:55,834 --> 00:37:56,834 (尾高やへ)お千代(ちよ) 494 00:37:57,600 --> 00:37:59,600 お前 もういいから 遊んでおいで 495 00:38:00,133 --> 00:38:01,133 (尾高千代)いいえ 496 00:38:02,867 --> 00:38:03,967 ありがとうね 497 00:38:07,033 --> 00:38:10,266 (宗助)水戸様の追鳥狩は そのように立派であったか 498 00:38:10,467 --> 00:38:13,433 はい まっさか 胸が震えました 499 00:38:14,300 --> 00:38:16,033 あの大筒の響き… 500 00:38:18,433 --> 00:38:24,133 一方 道中では“水戸様が あれだけ 国を守ることをお考えなのに―” 501 00:38:24,700 --> 00:38:29,233 “江戸の公方様は何もせず 太平の眠りについたままだ”という― 502 00:38:29,300 --> 00:38:31,033 不平も耳にしました 503 00:38:32,567 --> 00:38:33,667 (宗助)公方様のう 504 00:38:35,500 --> 00:38:36,934 水戸様はすばらしい! 505 00:38:37,934 --> 00:38:41,300 私も これからは 水戸の教えを学び― 506 00:38:41,900 --> 00:38:44,767 自分なりに 日の本のことを考えたいんです 507 00:38:46,834 --> 00:38:49,567 (喜作)新五郎あにぃは立派だな 508 00:38:50,433 --> 00:38:52,166 何が 俺たちと違うんだがね? 509 00:38:53,300 --> 00:38:56,300 俺はともかく お前は寂しがりだし― 510 00:38:56,667 --> 00:39:00,200 甘ったれだし 相撲も弱(よえ)えし しかたねえだんべ 511 00:39:01,100 --> 00:39:04,166 なぬ? 体当たりなら負けねえ! 512 00:39:05,066 --> 00:39:08,000 (喜作)それに そもそも おしゃべりな男は― 513 00:39:08,066 --> 00:39:09,367 おなごに好かれねぇだに 514 00:39:10,333 --> 00:39:12,300 男は黙っているのが いいんだかんな 515 00:39:12,800 --> 00:39:14,033 (栄一)まことか! 516 00:39:14,300 --> 00:39:16,967 (喜作)そうだに そうに決まってるだんべ 517 00:39:17,033 --> 00:39:18,033 (栄一)お千代! 518 00:39:18,567 --> 00:39:21,100 お千代も おしゃべりな男は嫌なん? 519 00:39:21,467 --> 00:39:23,200 おい! 何でもない! 520 00:39:23,967 --> 00:39:25,600 (小声で)男同士の話だかんな 521 00:39:26,066 --> 00:39:27,066 そうなん? 522 00:39:27,300 --> 00:39:28,300 そうなんだ 523 00:39:33,767 --> 00:39:34,767 (栄一)お千代 524 00:39:36,200 --> 00:39:38,266 お千代は あまりしゃべらねぇなぁ 525 00:39:39,667 --> 00:39:40,800 俺とは反対だ 526 00:39:42,100 --> 00:39:43,100 へぇ 527 00:39:45,300 --> 00:39:46,533 (喜作)よぉし お千代 来(き)ない! 528 00:39:46,834 --> 00:39:48,834 (栄一)え? どご行ぐん? 529 00:39:52,233 --> 00:39:53,266 どれ好き? 530 00:39:53,333 --> 00:39:54,500 (なか)う~ん これかな 531 00:39:54,934 --> 00:39:57,667 そうやんね 私も好きなん こっちもきれいだいね 532 00:39:57,734 --> 00:39:58,734 (なか)ね… 533 00:40:01,200 --> 00:40:02,266 (千代)影で見えるかな 534 00:40:02,333 --> 00:40:03,500 (なか)ね 見えるかな 535 00:40:09,667 --> 00:40:10,667 あっ 536 00:40:10,834 --> 00:40:11,834 くしが! 537 00:40:16,266 --> 00:40:20,033 あ~ぁ 行っちまったい 残念だけど… 538 00:40:23,333 --> 00:40:25,033 (栄一)ん? お千代? 539 00:40:25,033 --> 00:40:25,400 (栄一)ん? お千代? 540 00:40:25,033 --> 00:40:25,400 (なか)お千代! お千代 541 00:40:25,400 --> 00:40:26,033 (なか)お千代! お千代 542 00:40:26,100 --> 00:40:27,433 危ねえから よしなって! 543 00:40:32,166 --> 00:40:34,533 (栄一)駄目だで 危ねえことしちゃあ 544 00:40:34,800 --> 00:40:36,600 すんません でも… あれは― 545 00:40:36,800 --> 00:40:39,734 死んだとっさまが買ってくれた たった一つのもんで… 546 00:40:46,300 --> 00:40:47,300 栄一? 547 00:40:47,467 --> 00:40:48,467 (千代)栄一さん! 548 00:40:48,533 --> 00:40:50,166 (なか)どこ行くん 栄一! 549 00:40:50,333 --> 00:40:51,333 (千代)栄一さん! 550 00:40:51,400 --> 00:40:52,400 (なか)栄一 どこ行くん! 551 00:40:52,467 --> 00:40:53,300 (千代)栄一さん! 552 00:40:53,300 --> 00:40:53,667 (千代)栄一さん! 553 00:40:53,300 --> 00:40:53,667 (なか)栄一! 554 00:40:53,667 --> 00:40:54,300 (なか)栄一! 555 00:40:54,767 --> 00:40:55,133 (千代)栄一さん! 556 00:40:55,133 --> 00:40:55,900 (千代)栄一さん! 557 00:40:55,133 --> 00:40:55,900 (なか)栄一 戻っておいで! 558 00:40:55,900 --> 00:40:56,600 (なか)栄一 戻っておいで! 559 00:40:57,000 --> 00:40:58,033 栄一! 560 00:40:58,600 --> 00:40:59,934 栄一 戻っておいで! 561 00:41:00,834 --> 00:41:01,834 (千代)もういいから! 562 00:41:08,133 --> 00:41:10,200 栄一さん もういいから! 563 00:41:14,500 --> 00:41:16,667 (なか)栄一! どこ行くん 栄一! 564 00:41:16,734 --> 00:41:17,734 (喜作)戻ってこい! 565 00:41:18,767 --> 00:41:19,767 危ねえよ! 566 00:41:20,500 --> 00:41:21,500 (長七郎)戻ってこい! 567 00:41:31,266 --> 00:41:32,266 栄一さん! 568 00:41:34,166 --> 00:41:37,834 栄一さん 千代は一人で捜せます 569 00:41:38,533 --> 00:41:39,667 栄一さんは もう… 570 00:41:48,233 --> 00:41:49,633 俺は お千代が大事だ 571 00:41:51,266 --> 00:41:52,934 お千代を幸せにしてぇ 572 00:41:54,633 --> 00:41:59,567 俺が年も上だから 上に立って きっと お千代を守ってやんべ 573 00:42:32,734 --> 00:42:34,900 (栄一)やめろ! お千代に近づくな! 574 00:42:49,734 --> 00:42:51,667 (役人)いたぞ! 逃がすな! 575 00:42:51,734 --> 00:42:52,900 (役人)急げ! 576 00:42:54,100 --> 00:42:55,100 (役人)追え! 577 00:42:55,166 --> 00:42:56,467 (役人)急げ! 578 00:42:58,333 --> 00:42:59,333 (役人)待て! 579 00:42:59,400 --> 00:43:02,800 (役人)高島秋帆(たかしましゅうはん) 観念せえ! 580 00:43:10,233 --> 00:43:11,233 捕らえい! 581 00:43:11,300 --> 00:43:12,300 (役人たち)はっ! 582 00:43:19,166 --> 00:43:20,166 (役人)引っ立てい! 583 00:43:20,367 --> 00:43:21,367 (役人たち)はっ! 584 00:43:27,100 --> 00:43:29,667 (栄一)あれは 逃げた鬼かい? 585 00:43:31,467 --> 00:43:33,467 いいえ いいお方です 586 00:43:48,066 --> 00:43:49,633 (御典医)お願いいたします 587 00:43:54,133 --> 00:43:56,934 (語り)江戸幕府 第十二代将軍 588 00:43:57,266 --> 00:43:59,066 徳川家慶(いえよし)です 589 00:44:02,100 --> 00:44:07,100 このころ 幕府は 外国の脅威を 恐れていただけでなく― 590 00:44:07,600 --> 00:44:11,033 内側にも 大きな心配を抱えていました 591 00:44:11,100 --> 00:44:14,500 (歌橋(うたはし))家祥(いえさち)様は ほんに お料理がお上手じゃ 592 00:44:15,967 --> 00:44:17,667 まあ… 593 00:44:17,967 --> 00:44:22,166 (語り)息子 家祥に子ができず このままでは― 594 00:44:22,233 --> 00:44:25,233 将軍を継ぐ者が いなくなるのでした 595 00:44:34,700 --> 00:44:36,333 (御典医)お隠れあそばされました 596 00:44:36,600 --> 00:44:39,400 (直子(つねこ))ああ… 殿! 597 00:44:39,734 --> 00:44:43,967 (語り)将軍に 最も 近い家柄といえる一橋家でも― 598 00:44:44,333 --> 00:44:47,734 跡継ぎのないまま 当主が亡くなることが続き― 599 00:44:48,400 --> 00:44:51,200 家の存続が 危ぶまれておりました 600 00:44:54,500 --> 00:44:55,533 (阿部)つきましては― 601 00:44:56,300 --> 00:44:57,734 水戸様のご子息を― 602 00:44:57,800 --> 00:45:00,967 一橋家のお世継ぎに 推挙いたします 603 00:45:01,834 --> 00:45:03,633 (徳川家慶)斉昭の子じゃと? 604 00:45:04,900 --> 00:45:07,900 まさか 一橋の跡継ぎを 605 00:45:08,200 --> 00:45:11,667 いや 水戸から選ぶことなど ありえぬ 606 00:45:14,533 --> 00:45:17,033 水戸から 選ぶわけではございません 607 00:45:18,166 --> 00:45:22,200 武芸に秀で 英邁(えいまい)と専らご評判の― 608 00:45:22,500 --> 00:45:25,333 七郎麻呂様を 選びたいのでございます 609 00:45:26,767 --> 00:45:27,934 七郎麻呂? 610 00:45:31,000 --> 00:45:32,166 お断りいたす 611 00:45:38,767 --> 00:45:44,000 私は常々 七郎だけは養子には出さず― 612 00:45:45,100 --> 00:45:48,033 手元に置くと所望しておる 613 00:45:50,867 --> 00:45:57,066 しかし… 七郎麻呂様に限るとは 上様の思(おぼ)し召し 614 00:45:59,166 --> 00:46:01,567 上様のご尊慮と申すか 615 00:46:02,233 --> 00:46:06,033 (阿部)さよう 上様は ほかのご子息ではなく― 616 00:46:06,967 --> 00:46:10,333 七郎麻呂様でなければと 仰せなのでございます 617 00:46:18,333 --> 00:46:19,333 あい分かった 618 00:46:22,934 --> 00:46:23,934 御免 619 00:46:34,400 --> 00:46:36,367 吉子(よしこ) 聞いたか 620 00:46:37,400 --> 00:46:40,467 七郎が一橋家に入れば― 621 00:46:42,633 --> 00:46:46,433 我が息子は 水戸から初めて出る― 622 00:46:47,667 --> 00:46:51,867 征夷大将軍に なれるやもしれぬぞ! 623 00:46:52,166 --> 00:46:53,166 (吉子)えぇ えぇ 624 00:46:53,233 --> 00:46:57,900 ハハハハ… 快なり! 625 00:46:58,367 --> 00:47:01,033 快なり 快なり 快なり! 626 00:47:17,734 --> 00:47:19,333 よっこらせっと… 627 00:47:22,300 --> 00:47:27,633 (長七郎)あ~ あのかごの罪人は 今頃 どうしておるだろう 628 00:47:28,734 --> 00:47:30,633 (喜作)もう打ち首になったかなあ 629 00:47:32,834 --> 00:47:33,834 なぁ 長七郎 630 00:47:34,600 --> 00:47:38,100 岡部のご陣屋に忍び込んで のぞいてきてみねえか 631 00:47:38,400 --> 00:47:39,400 岡部? 632 00:47:39,467 --> 00:47:40,934 (長七郎) おう 行ぐべえ 行ぐべえ! 633 00:47:41,133 --> 00:47:44,000 鬼は岡部にいるんか 俺も行ぐ! 634 00:47:44,600 --> 00:47:46,533 (喜作) おめえは ちっちぇえから駄目だ 635 00:47:46,967 --> 00:47:49,633 (長七郎)そうそう お役人が いっぺえいんだから 636 00:47:50,934 --> 00:47:51,934 (喜作)そうだいな~ 637 00:47:52,600 --> 00:47:54,400 そんなら 夜は どうだい? 638 00:47:55,233 --> 00:47:56,500 今夜は満月だから― 639 00:47:57,000 --> 00:47:59,367 ぬすっとみてえに 月明かりで忍び込むべ 640 00:47:59,767 --> 00:48:01,266 (長七郎)おお それはいいにい 641 00:48:01,333 --> 00:48:02,600 (栄一)よし そうすんべえ! 642 00:48:03,166 --> 00:48:04,700 は? だから お前はちっちぇえから… 643 00:48:04,767 --> 00:48:06,266 俺が言ったんだかんな 644 00:48:07,066 --> 00:48:09,000 俺も連れていがなきゃ なんねえだんべ! 645 00:48:40,800 --> 00:48:41,800 (喜作)遅いぞ 646 00:48:41,867 --> 00:48:42,867 (栄一)あ~ すまねえ 647 00:48:43,333 --> 00:48:44,333 (長七郎)よし 行くべ 648 00:48:44,900 --> 00:48:45,900 (栄一)おう 649 00:48:50,400 --> 00:48:51,800 お化けが出そうだい 650 00:48:52,000 --> 00:48:54,000 (長七郎)何だ おっかねんか? 651 00:48:54,900 --> 00:48:56,133 (栄一)おっかねくなんかねぇ 652 00:49:00,967 --> 00:49:02,500 あ へび踏んだ! 653 00:49:03,400 --> 00:49:05,233 (喜作)ひえ~ くわばら くわばら 654 00:49:05,400 --> 00:49:06,433 (長七郎)よっ 655 00:49:08,367 --> 00:49:09,367 (栄一)あぁ~ 656 00:49:35,734 --> 00:49:38,033 (喜作)ここが岡部のご陣屋か 657 00:49:44,333 --> 00:49:46,533 ここに 鬼がおるんか 658 00:49:50,834 --> 00:49:53,467 (栄一) あれは 逃げた鬼かい? 659 00:49:54,633 --> 00:49:56,567 (千代)いいえ いいお方です 660 00:50:00,533 --> 00:50:01,533 (喜作)栄一 661 00:50:05,200 --> 00:50:06,200 (長七郎)気い付けろ 662 00:50:07,734 --> 00:50:11,033 (犬の鳴き声) 663 00:50:11,100 --> 00:50:12,100 (舟田兵衛門(ふなだひょうえもん))何やつじゃ? 664 00:50:15,700 --> 00:50:16,700 曲者(くせもの)じゃ! 665 00:50:28,100 --> 00:50:29,100 おらぬ 666 00:50:30,867 --> 00:50:31,867 (役人)あちらか 667 00:50:45,600 --> 00:50:46,600 喜作 668 00:50:50,100 --> 00:50:51,100 長七郎 669 00:50:55,433 --> 00:51:00,633 (小さな声) 670 00:51:37,367 --> 00:51:42,533 (オランダ語) 671 00:51:50,667 --> 00:51:54,567 (オランダ語) 672 00:52:02,567 --> 00:52:05,033 (栄一)何だい? お念仏かい? 673 00:52:08,000 --> 00:52:09,200 (高島秋帆)そこに誰かおるのか? 674 00:52:10,600 --> 00:52:11,600 誰もおらん 675 00:52:14,700 --> 00:52:17,367 (秋帆)そうか 誰もおらぬか 676 00:52:18,834 --> 00:52:23,734 (栄一)あ だけんど… 髪飾りをありがとう 677 00:52:25,734 --> 00:52:27,367 何で逃げてたん? 678 00:52:28,433 --> 00:52:30,200 (秋帆)牢の戸が開いておってな 679 00:52:31,367 --> 00:52:34,734 少し この地を見物して そっと戻ろうと思ったのだ 680 00:52:35,867 --> 00:52:37,533 海でも見えはせぬかと… 681 00:52:38,333 --> 00:52:40,266 岡部に海はねえぞ 682 00:52:41,567 --> 00:52:45,600 (秋帆)そうだな 何にもない所だな ここは 683 00:52:46,934 --> 00:52:50,967 それは失礼な話だに お蚕さまがいるだんべ 684 00:52:51,767 --> 00:52:53,200 フフ… 685 00:52:57,467 --> 00:52:59,600 この国は どうなるのだろうなぁ 686 00:53:00,467 --> 00:53:03,934 (栄一) この国とは何だい? 武蔵国か? 687 00:53:04,000 --> 00:53:05,100 日の本だ 688 00:53:07,300 --> 00:53:08,533 (栄一)ひのもと? 689 00:53:10,233 --> 00:53:11,934 (秋帆)私は 長崎で生まれた 690 00:53:13,367 --> 00:53:15,033 出島(でじま)で砲術を学び 691 00:53:15,533 --> 00:53:16,800 シーボルトや スチュルレルから 692 00:53:16,867 --> 00:53:18,300 ナポレオンの 話を聞き 693 00:53:18,834 --> 00:53:20,333 ゲベール銃や モルチール砲を 694 00:53:20,400 --> 00:53:23,000 取り寄せ 肥後(ひご)や薩摩(さつま) 695 00:53:23,700 --> 00:53:26,633 ひいては 江戸でも オンテレーレンした 696 00:53:32,700 --> 00:53:36,567 このままでは この国は終わる 697 00:53:37,667 --> 00:53:40,700 (栄一)何で? 何で 日の本は終わるんだ? 698 00:53:41,800 --> 00:53:43,200 どうしたら助けられる? 699 00:53:43,967 --> 00:53:45,667 それは 私にも分からぬ 700 00:53:47,600 --> 00:53:51,433 皆が それぞれ 自分の胸に聞き 動くしかないのだ 701 00:53:53,433 --> 00:53:54,433 むね? 702 00:53:56,767 --> 00:53:59,533 おぉ ここか 703 00:54:01,767 --> 00:54:02,834 (秋帆)そうだ 704 00:54:03,867 --> 00:54:07,133 誰かが守らなくてはな この国は… 705 00:54:13,433 --> 00:54:14,433 ここに聞きな 706 00:54:15,533 --> 00:54:17,100 あんたが うれしいだけじゃなくて― 707 00:54:18,100 --> 00:54:20,233 みぃんながうれしいのが 一番なんだで 708 00:54:22,200 --> 00:54:25,800 (市郎右衛門)上に立つものは 下のものへの責任がある 709 00:54:27,333 --> 00:54:30,066 大事なものを守るつとめだ 710 00:54:35,700 --> 00:54:36,700 (秋帆)行け! 711 00:54:41,266 --> 00:54:44,300 俺が守ってやんべぇ この国を 712 00:54:53,600 --> 00:54:58,700 (オランダ語で) 我は憂国の士である 713 00:55:02,900 --> 00:55:08,467 しかし囚われの 身では何もできない 714 00:55:10,400 --> 00:55:15,066 清がエゲレスに 負けた今こそ 715 00:55:15,700 --> 00:55:18,166 “日の本”を 守らねば 716 00:55:34,800 --> 00:55:35,834 (喜作)どうした? 717 00:55:38,333 --> 00:55:42,400 見てみない… 夜明けだで! 718 00:55:44,266 --> 00:55:45,266 (喜作・長七郎)おお 719 00:56:08,233 --> 00:56:09,834 (徳信院(とくしんいん))徳信院でございます 720 00:56:10,800 --> 00:56:14,200 どうぞ この私を 本当の母と思い― 721 00:56:15,500 --> 00:56:17,800 何事も お話しくださいますよう 722 00:56:19,800 --> 00:56:21,133 面を上げよ 723 00:56:28,700 --> 00:56:34,400 ほう そなた 初之丞(はつのじょう)によう似ておる 724 00:56:35,700 --> 00:56:41,100 いや 14で亡くなった わしの息子じゃ 725 00:56:43,266 --> 00:56:49,400 (語り)一橋家に入った七郎麻呂は 将軍 家慶の“慶”の字を賜り― 726 00:56:50,066 --> 00:56:52,500 徳川慶喜となりました 727 00:56:57,667 --> 00:57:02,767 さて 時は江戸時代 1847年 728 00:57:03,800 --> 00:57:06,934 今からたった 174年前… 729 00:57:08,166 --> 00:57:09,834 (市郎右衛門)ええ色だいね 730 00:57:10,734 --> 00:57:12,867 (栄一)やあ~! 731 00:57:12,934 --> 00:57:13,934 (市郎右衛門)こら! 732 00:57:14,000 --> 00:57:16,233 (栄一)やあ~! 733 00:57:19,600 --> 00:57:24,000 (語り)栄一の物語は まだまだ始まったばかりです 734 00:57:24,600 --> 00:57:26,300 (なか)もう 栄一 735 00:57:28,767 --> 00:57:31,734 (栄一)この日の本は きっと もっとよい国になるはずだ 736 00:57:34,100 --> 00:57:36,500 (家康)渋沢栄一 737 00:57:36,600 --> 00:57:38,000 (喜作)黒船来たり! 738 00:57:38,233 --> 00:57:41,400 (慶喜)私には この先 将軍になる望みはございませぬ 739 00:57:41,734 --> 00:57:42,767 (語り)幕末から 740 00:57:42,834 --> 00:57:46,367 明治 大正 昭和を駆け抜ける 741 00:57:46,734 --> 00:57:48,800 その破天荒な人生 742 00:57:49,367 --> 00:57:52,033 (栄一)俺は 己の力で立っている 743 00:57:52,834 --> 00:57:55,100 青い天に 拳を突き上げている 744 00:57:55,633 --> 00:57:57,500 (語り)大河ドラマ 「青天を衝(つ)け」 745 00:57:57,934 --> 00:57:59,033 ご期待ください