1 00:00:09,433 --> 00:00:10,734 (語り)さて今日は… 2 00:00:12,533 --> 00:00:17,233 江戸(えど)へと旅立つことになった 長七郎(ちょうしちろう)の送別会です 3 00:00:17,700 --> 00:00:18,700 (尾高惇忠(おだかじゅんちゅう))みんな! 4 00:00:19,567 --> 00:00:23,767 今から長七郎に… 送別の詩を送りたい 5 00:00:24,100 --> 00:00:25,700 (渋沢喜作(しぶさわきさく))うお~! 6 00:00:25,867 --> 00:00:26,867 (渋沢栄一(えいいち))あにぃの詩だ! 7 00:00:27,700 --> 00:00:28,834 (男性)先生の詩か! 8 00:00:28,900 --> 00:00:30,266 (男性)まことか! 9 00:00:31,033 --> 00:00:33,433 (徳川家康(とくがわいえやす))こんばんは 徳川家康です 10 00:00:35,266 --> 00:00:36,967 いいですね 11 00:00:38,333 --> 00:00:39,533 私の若い頃― 12 00:00:40,233 --> 00:00:43,600 彼らのように楽しい宴(うたげ)は 考えられなかった 13 00:00:45,066 --> 00:00:47,500 生まれてすぐ人質となり― 14 00:00:47,867 --> 00:00:51,033 それからずっと 戦い続けていたからです 15 00:00:52,633 --> 00:00:56,533 そうして 私が作り上げた太平の世では― 16 00:00:57,800 --> 00:01:00,300 文化が一気に発展した 17 00:01:01,166 --> 00:01:02,700 特にブームになったのが― 18 00:01:03,333 --> 00:01:05,767 今 惇忠が読もうとしている― 19 00:01:06,133 --> 00:01:08,967 漢語によるポエム 漢詩です 20 00:01:10,667 --> 00:01:12,100 武士や学者はもちろん― 21 00:01:12,533 --> 00:01:16,233 栄一たちインテリ農民も 漢詩を詠みました 22 00:01:18,166 --> 00:01:21,300 今現在 理解できる方は少ないと思うが― 23 00:01:22,133 --> 00:01:26,433 江戸人の心を知る上で どうしても披露したいので― 24 00:01:27,166 --> 00:01:31,934 今日は特別に 漢詩を今の言葉に訳した形で― 25 00:01:32,000 --> 00:01:33,800 お送りしたいと思います 26 00:01:34,900 --> 00:01:36,433 では どうぞ 27 00:01:40,367 --> 00:01:44,767 “男として 豆と麦の違いの分かるものなら―” 28 00:01:45,533 --> 00:01:48,900 “誰でもすぐれた志士が 遠くへ旅することを―” 29 00:01:49,367 --> 00:01:50,834 “引き止めはしない…” 30 00:01:51,934 --> 00:01:54,367 “弟よ 旅に出ろ” 31 00:01:55,400 --> 00:01:58,333 “孝行も案ずるには及ばぬ” 32 00:01:59,233 --> 00:02:01,266 “家は俺が守る” 33 00:02:02,333 --> 00:02:03,500 “名を高め…” 34 00:02:07,700 --> 00:02:08,900 “名を高め―” 35 00:02:10,100 --> 00:02:13,100 “世に知れ渡る 偉大なる仕事をするのは―” 36 00:02:13,734 --> 00:02:14,867 “お前の役目だ” 37 00:02:17,367 --> 00:02:21,133 “つつましく暮らし 母や家を養うのは―” 38 00:02:21,533 --> 00:02:22,600 “俺が引き受けた” 39 00:02:25,133 --> 00:02:26,133 “行け!” 40 00:02:26,200 --> 00:02:29,300 “そして励め! 学問に武道に―” 41 00:02:29,967 --> 00:02:31,500 “この旅を奔走せよ” 42 00:02:32,567 --> 00:02:34,767 “名のある人士と討論せよ!” 43 00:02:36,333 --> 00:02:37,433 “この兄もまた―” 44 00:02:38,200 --> 00:02:42,133 “目を見開いて お前の帰りを待っていよう” 45 00:02:50,100 --> 00:02:53,000 (物音) 46 00:03:08,567 --> 00:03:09,567 (栄一)あにぃ? 47 00:03:10,567 --> 00:03:15,734 (惇忠)おぉ 目ぇ覚めちまったか 今夜は蒸し暑いな 48 00:03:16,533 --> 00:03:17,533 (栄一)うむ… 49 00:03:25,200 --> 00:03:30,066 本当は あにぃが 行ぎてんじゃねんか 江戸に 50 00:03:32,433 --> 00:03:35,567 ハッ… そりゃ行ぎてぇに 51 00:03:38,233 --> 00:03:41,800 でも誰かが 家を守らなくちゃなんねぇ 52 00:03:43,633 --> 00:03:46,166 村の役目だってある これでいいんだ 53 00:03:50,400 --> 00:03:51,400 そうか 54 00:03:52,500 --> 00:03:54,500 (惇忠)明日も早(はえ)ぇ 明かり消すぞ 55 00:03:54,734 --> 00:03:55,734 うん 56 00:04:07,900 --> 00:04:10,300 (栄一)気張れよ~! 長七郎! 57 00:04:10,900 --> 00:04:13,500 (喜作) 俺もいつか必ず行ぐからな~! 58 00:04:14,000 --> 00:04:18,133 (語り)長七郎は 栄一たちの期待を一身に受け― 59 00:04:18,600 --> 00:04:21,233 江戸へと旅立っていきました 60 00:04:21,800 --> 00:04:26,633 いいなぁ やっぱり長七郎はいい男だのう 61 00:04:27,066 --> 00:04:29,433 (喜作)あぁ 俺らの誇りよ 62 00:04:31,000 --> 00:04:32,000 (惇忠)聞いたぞ 63 00:04:33,567 --> 00:04:36,633 その長七郎に 勝負を挑んだそうだな 喜作 64 00:04:36,900 --> 00:04:39,367 (尾高やへ)はぁ? 勝負だって? 65 00:04:39,700 --> 00:04:43,266 (喜作)ちょっ いや あにぃ 後でちゃんと話そうと… 66 00:04:43,333 --> 00:04:45,800 さぁさぁ 来(き)ない 詳しく話を聞いてやろう 67 00:04:46,400 --> 00:04:48,700 お千代(ちよ)の父親代わりは俺だかんな 68 00:04:48,767 --> 00:04:51,333 (喜作)あにぃ ちっと声がでけえど 69 00:04:51,400 --> 00:04:52,400 (惇忠)ん? 70 00:04:56,800 --> 00:04:58,200 (尾高千代)何の話だんべか? 71 00:04:58,266 --> 00:04:59,266 え? 72 00:05:01,500 --> 00:05:02,500 いや… 73 00:05:04,033 --> 00:05:05,033 お前に勝って… 74 00:05:06,700 --> 00:05:08,100 お千代を嫁にもらいてぇ 75 00:05:10,400 --> 00:05:11,400 ええっ! 76 00:05:13,567 --> 00:05:14,567 何でもねぇ 77 00:05:23,867 --> 00:05:28,867 ♪~ 78 00:08:09,700 --> 00:08:14,700 ~♪ 79 00:08:14,767 --> 00:08:17,133 (惇忠)ほう 喜作に縁談? 80 00:08:17,633 --> 00:08:18,633 (喜作)ああ 81 00:08:18,700 --> 00:08:21,266 ほら去年 鎮守の宮の祭りで― 82 00:08:21,700 --> 00:08:24,867 西の家(にしんち)と国領の福田(ふくだ)んちで もめ事があったんべえ 83 00:08:25,533 --> 00:08:28,033 あぁ 福田の直三郎(なおさぶろう)か 84 00:08:28,333 --> 00:08:29,333 (喜作)おお そうだ 85 00:08:30,467 --> 00:08:32,467 そのもめ事を仲裁した俺を― 86 00:08:32,967 --> 00:08:35,734 直三郎の姉さまが 見初めたとか何とかで― 87 00:08:36,400 --> 00:08:38,533 うちに嫁に来てぇと 頼み込んできたんだ 88 00:08:39,266 --> 00:08:42,233 (惇忠)それは意気盛んな姉さまだ 年はいくつだい? 89 00:08:42,400 --> 00:08:43,800 いや知らねぇ 90 00:08:44,834 --> 00:08:46,934 でも うちのとっさまも乗り気で― 91 00:08:47,500 --> 00:08:50,133 このままじゃ その話が勝手に進んじまう 92 00:08:51,433 --> 00:08:56,133 そんで その前に俺は 己で嫁を決めてぇと思ったんだに 93 00:08:56,867 --> 00:08:57,934 それでお千代を 94 00:08:59,433 --> 00:09:00,734 それじゃ 母さまに… 95 00:09:00,800 --> 00:09:03,166 いや 喜作 96 00:09:04,467 --> 00:09:05,467 お前は… 97 00:09:08,867 --> 00:09:10,800 お前は うむ― 98 00:09:13,166 --> 00:09:14,166 いい男だに 99 00:09:14,767 --> 00:09:15,767 ん? 100 00:09:15,834 --> 00:09:17,100 お前は何てぇか こう― 101 00:09:17,934 --> 00:09:20,200 男気がある 負けじ魂がある 102 00:09:21,033 --> 00:09:23,100 それに心根があったけぇ 103 00:09:24,867 --> 00:09:25,900 そうよ 104 00:09:25,967 --> 00:09:28,467 俺が3つで疱瘡(ほうそう)にかかった時も おめえ― 105 00:09:28,767 --> 00:09:30,500 うちまで慰めに来てくれたなぁ 106 00:09:30,734 --> 00:09:33,166 ハハハッ そうよ 107 00:09:33,367 --> 00:09:35,867 喜作はいい男だ 108 00:09:38,934 --> 00:09:39,934 しかし… 109 00:09:41,633 --> 00:09:44,033 夫となるとどうだんべなぁ? 110 00:09:44,767 --> 00:09:45,767 え? 111 00:09:46,266 --> 00:09:49,133 (栄一)お前は こう 目立つことは好きだが― 112 00:09:50,000 --> 00:09:51,300 骨を折って真面目に― 113 00:09:51,367 --> 00:09:53,367 こつこつと働くことが 苦手だんべ? 114 00:09:53,433 --> 00:09:54,367 なぬ? 115 00:09:54,433 --> 00:09:56,000 うかつなところもある 116 00:09:56,200 --> 00:09:58,066 ちっとんべ 新しいもんをめっけると― 117 00:09:58,133 --> 00:09:59,967 “お これはいい”と すぅぐ流される― 118 00:10:00,033 --> 00:10:01,166 軽薄なところがある 119 00:10:02,433 --> 00:10:04,734 お千代の夫となるとなぁ 120 00:10:06,066 --> 00:10:06,867 (喜作)どういう意味だ? 121 00:10:06,934 --> 00:10:09,133 (栄一)お前と一緒になったら きっと苦労する 122 00:10:09,567 --> 00:10:10,867 苦労するだんべぇ 123 00:10:10,934 --> 00:10:12,934 (喜作)何だと! この野郎! 124 00:10:13,000 --> 00:10:13,734 (惇忠)おいおい! 125 00:10:13,800 --> 00:10:16,300 お前にはお前の尻を バンバンたたいてくれるような― 126 00:10:16,367 --> 00:10:18,433 意気盛んなおなごの方が 合ってるに 127 00:10:18,900 --> 00:10:20,066 そうだ お前は― 128 00:10:20,333 --> 00:10:22,600 その直三郎の姉さまの方が 合ってるに! 129 00:10:22,667 --> 00:10:26,233 何を おめぇ 何も知らねぇくせに この減らず口が! 130 00:10:26,900 --> 00:10:28,233 (惇忠)おいおい やめねぇか 131 00:10:28,734 --> 00:10:29,734 (渋沢ゑい)はれま? 132 00:10:30,266 --> 00:10:32,600 (渋沢なか)あれ 乗っかってんの喜作かい? 133 00:10:33,266 --> 00:10:34,266 俺はなぁ― 134 00:10:34,333 --> 00:10:36,000 直三郎の姉さまや― 135 00:10:36,200 --> 00:10:38,367 おめえの姉さまみてえな おなごではねえ! 136 00:10:39,433 --> 00:10:40,867 お千代が欲しい! 137 00:10:41,166 --> 00:10:42,800 お千代は駄目だに! 138 00:10:43,400 --> 00:10:46,867 お前は おしゃべりで 威勢のいいおなごにしろ! 139 00:10:46,934 --> 00:10:49,700 威勢のいいおなごなんか くそ食らえだ! 140 00:10:51,166 --> 00:10:52,934 何か言ったかい 喜作 141 00:10:53,467 --> 00:10:54,467 いえ… 142 00:10:55,200 --> 00:10:59,266 全く あんたたちは 相変わらずの子供だいね 143 00:10:59,600 --> 00:11:01,767 嫁の話なんて10年早いんだよ 144 00:11:02,367 --> 00:11:04,033 ほら 顔洗ってきな! 145 00:11:10,900 --> 00:11:14,367 (平岡(ひらおか)やす)あれま 川路(かわじ)様じゃありませんか 146 00:11:16,066 --> 00:11:18,266 (川路聖謨(としあきら))ご新造 円四郎(えんしろう)はおるか? 147 00:11:18,433 --> 00:11:20,066 (やす)えぇえぇ おりますとも 148 00:11:20,834 --> 00:11:21,834 (やす)何やら どなたかから― 149 00:11:21,900 --> 00:11:24,200 大事な書き物を 頼まれたとか何とかで 150 00:11:25,467 --> 00:11:26,600 ちょいと お前さん 151 00:11:27,667 --> 00:11:28,667 (平岡円四郎)え? 152 00:11:28,734 --> 00:11:30,200 (やす) 川路様がお見えだよ 153 00:11:30,967 --> 00:11:34,000 (円四郎)おっと こりゃ珍しいこって 154 00:11:35,367 --> 00:11:36,367 (川路)熱心だな 155 00:11:36,667 --> 00:11:37,667 (円四郎)ええ 156 00:11:38,233 --> 00:11:41,166 うちのお殿様は えれぇお方だ 157 00:11:41,233 --> 00:11:43,033 伊勢守(いせのかみ)様が亡くなられた 158 00:11:44,934 --> 00:11:45,934 え? 159 00:11:46,600 --> 00:11:47,200 (阿部(あべ)正弘(まさひろ))うぅ… 160 00:11:47,200 --> 00:11:47,600 (阿部(あべ)正弘(まさひろ))うぅ… 161 00:11:47,200 --> 00:11:47,600 (堀田正睦(ほったまさよし)) は? えっ… 162 00:11:47,600 --> 00:11:49,400 (堀田正睦(ほったまさよし)) は? えっ… 163 00:11:50,433 --> 00:11:51,433 (川路)伊勢守様! 164 00:11:51,500 --> 00:11:52,500 ううっ… 165 00:11:52,567 --> 00:11:53,567 (川路)伊勢守様! 166 00:11:55,633 --> 00:11:57,667 今まで 公方(くぼう)様 大奥 167 00:11:58,400 --> 00:11:59,900 諸大名の御用向き― 168 00:12:00,400 --> 00:12:03,500 勝手方(かってがた) 諸外国との応対まで― 169 00:12:03,567 --> 00:12:06,767 全て伊勢守様が お一人で引き受けてこられたのだ 170 00:12:10,667 --> 00:12:13,000 これから天下は大いに荒れるぞ 171 00:12:22,166 --> 00:12:26,467 私は… 誰かさまと共に一度― 172 00:12:27,166 --> 00:12:29,567 ご公儀で 働いてみたかった気もします 173 00:12:38,533 --> 00:12:39,667 (徳川慶喜(よしのぶ))伊勢守殿… 174 00:12:43,033 --> 00:12:46,333 ハルリスは なお強く 江戸への出府(しゅっぷ)を求めております 175 00:12:46,934 --> 00:12:50,834 (語り)亡くなった阿部に代わって 権力の座についたのは… 176 00:12:51,767 --> 00:12:52,767 (堀田)川路 177 00:12:52,834 --> 00:12:53,834 (川路)はっ 178 00:12:54,000 --> 00:12:57,467 通商の儀を進めるべく 取り調べをいたせ 179 00:12:58,867 --> 00:12:59,867 (2人)ははっ 180 00:13:00,133 --> 00:13:01,734 (語り) 開国派の老中 181 00:13:02,066 --> 00:13:03,734 堀田正睦でした 182 00:13:06,133 --> 00:13:09,033 強硬に通商を求める ハリスに対し― 183 00:13:09,700 --> 00:13:13,300 幕府は重い扉を 開こうとしていました 184 00:13:14,266 --> 00:13:18,000 (円四郎)するってぇと 国は開く方に進んでるんで? 185 00:13:19,100 --> 00:13:21,533 大名の意見は賛同が7割 186 00:13:21,900 --> 00:13:22,900 しかし― 187 00:13:22,967 --> 00:13:25,834 朝廷に勅許(ちょっきょ)を求めるべきとの 意見も出ておる 188 00:13:26,867 --> 00:13:28,433 それに 我が父も… 189 00:13:28,500 --> 00:13:31,467 そりゃあご老公も 黙っちゃあいねぇでしょうねぇ 190 00:13:32,600 --> 00:13:36,600 しかし 異国も大事ですが 天下太平のためには― 191 00:13:37,600 --> 00:13:39,700 誰が 次の将軍になるかってえことも― 192 00:13:39,767 --> 00:13:41,166 一大事でございます 193 00:13:41,633 --> 00:13:42,900 またその話か 194 00:13:43,834 --> 00:13:45,467 私は徳信院(とくしんいん)様にも― 195 00:13:45,533 --> 00:13:46,533 この一橋(ひとつばし)を― 196 00:13:46,600 --> 00:13:48,133 出ていってほしくないと 言われておる 197 00:13:48,200 --> 00:13:50,066 (円四郎)あなた様のためじゃぁ ございません 198 00:13:50,600 --> 00:13:53,333 越前(えちぜん)様も某(それがし)も 天下のためを思ってのこと 199 00:13:54,233 --> 00:13:58,066 殿は こんな天下大変の状況を ご覧になりながら― 200 00:13:58,467 --> 00:14:03,533 本当に10万石の禄を受けるだけで ご満足なのでございますか? 201 00:14:13,867 --> 00:14:19,300 (語り)慶喜の案じていたとおり 斉昭(なりあき)は またもや朝廷に― 202 00:14:19,567 --> 00:14:23,100 幕府を非難する手紙を 送ってしまいました 203 00:14:30,834 --> 00:14:31,934 (徳川斉昭)何故参った? 204 00:14:32,734 --> 00:14:35,300 全ては堀田備中(びっちゅう)の不届きぞ! 205 00:14:36,367 --> 00:14:40,367 ははっ ご老公のご意見は― 206 00:14:40,633 --> 00:14:44,834 上様も常々 殊の外 頼りにされておりますものの― 207 00:14:45,066 --> 00:14:47,333 備中守(びっちゅうのかみ)様はご多用にて寸暇なく… 208 00:14:47,400 --> 00:14:48,400 (斉昭)何を言うか 209 00:14:49,567 --> 00:14:54,066 (斉昭)先日も何か意見があれば 申せと言うから 210 00:14:55,133 --> 00:14:57,633 “私をメリケンに派遣しろ”と 言ったのだ 211 00:14:58,433 --> 00:15:02,734 そのような急務を 申しつけてやったのに― 212 00:15:03,633 --> 00:15:09,066 その返答は一切なく 今更何事ぞ! 213 00:15:10,700 --> 00:15:13,900 言語道断! 不埒千万(ふらちせんばん)じゃ! 214 00:15:19,200 --> 00:15:20,300 備中は腹を切れぃ 215 00:15:22,333 --> 00:15:25,734 ハルリスは首をはねて当然しかり 216 00:15:26,266 --> 00:15:28,667 (永井尚志(ながいなおゆき))お 仰せのとおりでは ございますが… 217 00:15:29,400 --> 00:15:32,467 そうまで言われたら 何を申し上げてよいのやら… 218 00:15:33,934 --> 00:15:35,433 どうか おとりなしを 219 00:15:36,300 --> 00:15:38,700 (徳川慶篤(よしあつ)) いや 私は… 220 00:15:41,200 --> 00:15:42,533 (川路)それでは― 221 00:15:43,767 --> 00:15:48,066 これより今後のご処置は 備中守様が取り計らい― 222 00:15:48,700 --> 00:15:50,867 その節は もうご意見はなしとのことで― 223 00:15:50,934 --> 00:15:52,266 結構でございましょうか 224 00:15:52,333 --> 00:15:53,333 知るか! 225 00:15:55,133 --> 00:15:56,133 勝手にしろ! 226 00:16:03,133 --> 00:16:06,533 (武田耕雲斎(たけだこううんさい))ご老公 ご老公 お待ちを 227 00:16:07,500 --> 00:16:08,500 ご老公! 228 00:16:10,000 --> 00:16:14,000 (斉昭) あの2人に 酒でも出してやれ 229 00:16:14,500 --> 00:16:17,200 (耕雲斎)は? いや しかし… 230 00:16:19,100 --> 00:16:22,100 私とて分かっておる… 231 00:16:24,767 --> 00:16:27,934 もう私の役目は 終わったということぐらい― 232 00:16:30,200 --> 00:16:31,300 分かっておるのだ 233 00:16:33,767 --> 00:16:34,800 (耕雲斎)ご老公… 234 00:16:47,200 --> 00:16:50,233 七郎(しちろう)! よう来た 今 吉子(よしこ)が… 235 00:16:50,900 --> 00:16:54,800 昨日 登城しました折に 備中殿から伺いました 236 00:16:57,333 --> 00:16:59,667 “ハルリスの首をはねよ”と 言ったことか? 237 00:16:59,734 --> 00:17:02,834 そのこともさることながら あれほど申したにもかかわらず― 238 00:17:03,100 --> 00:17:06,800 京の鷹司家(たかつかさけ)に対し ご公儀の方針とは異なる意見を― 239 00:17:06,867 --> 00:17:08,533 文にて申し立てたとのこと 240 00:17:09,100 --> 00:17:12,300 京の都は今 “攘夷(じょうい) 攘夷”と お父上の論を伝聞して― 241 00:17:12,367 --> 00:17:13,900 過激な行動をなす者が多くなり― 242 00:17:14,300 --> 00:17:16,367 公儀の諸役人は 皆困り果てております 243 00:17:16,567 --> 00:17:18,967 また そのことで 天子様を惑わせたとしたら― 244 00:17:19,233 --> 00:17:20,333 父上のなされることは― 245 00:17:20,400 --> 00:17:22,500 本当に忠義に かなっておられるのでしょうか 246 00:17:28,333 --> 00:17:31,300 分かった もうせぬ 247 00:17:36,533 --> 00:17:37,533 もうせぬ 248 00:17:39,300 --> 00:17:42,000 あとは そなたに任せる 249 00:17:42,166 --> 00:17:43,200 (慶喜)それでは… 250 00:17:43,266 --> 00:17:45,800 今後は京への文は 一切書かぬとの一筆を― 251 00:17:46,233 --> 00:17:48,166 備中守に宛てて 書いていただきたい 252 00:17:49,800 --> 00:17:53,467 備中にだと? そんなもの書けるか! 253 00:17:53,900 --> 00:17:56,800 (吉子)慶喜殿のおっしゃることが 理にかなっております 254 00:17:57,433 --> 00:17:58,667 お前まで言うか 255 00:17:58,734 --> 00:18:02,200 どうか どうか ご公儀におわびなされませ 256 00:18:23,967 --> 00:18:26,100 (阿部) この国は変わろうとしている 257 00:18:27,567 --> 00:18:29,767 お父君や我らの世が終わり 258 00:18:31,567 --> 00:18:34,600 新しい世が 始まろうとしているのです 259 00:18:53,567 --> 00:18:56,567 (美賀君(みかぎみ)) 一つお伺いしてよろしい? 260 00:18:58,433 --> 00:18:59,433 何じゃ 261 00:19:01,300 --> 00:19:02,300 (美賀君)殿は― 262 00:19:02,867 --> 00:19:05,967 いずれ将軍になる おつもりであらしゃるか? 263 00:19:08,166 --> 00:19:09,700 なぜそのようなことを聞く? 264 00:19:11,033 --> 00:19:14,166 (美賀君)うもじの心構えとして 知っておきたかったのみ 265 00:19:15,066 --> 00:19:17,266 深い意味などあらしゃりませぬ 266 00:19:19,333 --> 00:19:20,333 ふむ 267 00:19:22,200 --> 00:19:26,266 私の器量では この一橋家でさえ荷が重い 268 00:19:28,066 --> 00:19:32,166 まして天下を取ったりすれば 公儀滅亡のもとだ 269 00:19:43,400 --> 00:19:45,567 (美賀君) それは建て前であらしゃるな 270 00:19:52,133 --> 00:19:53,467 承知いたしました 271 00:19:54,467 --> 00:19:58,367 それでは妾(わらわ)も そのように覚悟をいたしましょう 272 00:20:18,633 --> 00:20:23,367 (語り)血洗島(ちあらいじま)では 栄一の姉 なかが― 273 00:20:23,734 --> 00:20:26,567 同じ村の家に嫁いでいきました 274 00:20:27,333 --> 00:20:32,767 とっさま かっさま 大変お世話になりました 275 00:20:35,000 --> 00:20:36,000 (渋沢市郎右衛門(いちろうえもん))あぁ 276 00:20:37,266 --> 00:20:39,467 体だけは大事にね 277 00:20:40,166 --> 00:20:41,166 (なか)はい 278 00:20:41,233 --> 00:20:42,100 (渋沢まさ)あんたは― 279 00:20:42,166 --> 00:20:43,834 気ぃの強いとこが あるから― 280 00:20:44,300 --> 00:20:46,233 愛想尽かされねぇように しねぇと 281 00:20:46,700 --> 00:20:47,700 はい 282 00:20:47,900 --> 00:20:49,967 (栄一) まぁた おばさん 余計なことを 283 00:20:50,367 --> 00:20:53,133 (まさ)何だ 栄一 お前に言われたくねぇよ 284 00:20:53,200 --> 00:20:54,200 (栄一)ん? 285 00:20:54,266 --> 00:20:55,367 (渋沢てい)そうだに 286 00:20:55,533 --> 00:20:57,533 兄さまはいつも口が過ぎるだんべ 287 00:20:57,867 --> 00:20:58,900 よくぞ言った おてい 288 00:20:58,967 --> 00:21:00,734 (笑い声) 289 00:21:00,934 --> 00:21:02,533 (渋沢宗助(そうすけ))ああ そういえば― 290 00:21:02,934 --> 00:21:05,266 お千代も 喜作と一緒になるってか? 291 00:21:05,667 --> 00:21:07,934 ん? そんな話があるのか? 292 00:21:08,200 --> 00:21:09,200 (ゑい)ええ… 293 00:21:09,767 --> 00:21:11,533 (なか)喜作が お千代を好いてたことぐらい― 294 00:21:11,600 --> 00:21:12,633 分かってたいねぇ 295 00:21:12,867 --> 00:21:15,066 (まさ)尾高の家も乗り気らしいよ 296 00:21:15,333 --> 00:21:18,667 渋沢の新屋敷なら 申し分ねえだんべぇって 297 00:21:18,900 --> 00:21:22,200 (ゑい)あらそうですか それはおめでたいこと 298 00:23:04,433 --> 00:23:06,066 (尾高平九郎(へいくろう))あ 栄一さん! 299 00:23:08,433 --> 00:23:09,533 (栄一)平九郎 300 00:23:11,467 --> 00:23:12,700 おめえ また背伸びたな 301 00:23:13,900 --> 00:23:14,900 (平九郎)そうか? 302 00:23:16,000 --> 00:23:18,367 あ 姉さま! 栄一さん 来てるで 303 00:23:20,333 --> 00:23:21,333 (千代)栄一さん 304 00:23:24,066 --> 00:23:25,066 おう… 305 00:23:32,333 --> 00:23:34,700 なあ お千代 おめえ… 306 00:23:37,567 --> 00:23:38,734 喜作と一緒になんのか? 307 00:23:41,967 --> 00:23:45,867 あぁ そういうお話があるみたいで 308 00:23:48,400 --> 00:23:49,967 おめえは それで… 309 00:24:00,500 --> 00:24:04,033 へぇ ありがてぇお話です 310 00:24:08,500 --> 00:24:12,133 うちは… 今 兄さまたちがあんなで― 311 00:24:12,934 --> 00:24:15,400 ちっとんべ お金に困ってるもんだから― 312 00:24:16,467 --> 00:24:21,000 きっと どこか遠くの商売人に 嫁ぐことになると― 313 00:24:21,400 --> 00:24:22,633 覚悟してたんだに 314 00:24:23,867 --> 00:24:27,600 それが 喜作さんとこなら安心だ 315 00:24:28,700 --> 00:24:33,000 小せぇ頃からよく知ってるし うちからも近(ちけ)ぇし― 316 00:24:34,033 --> 00:24:35,900 こんなありがてぇお話はねぇ 317 00:24:40,600 --> 00:24:42,433 喜作さんは優しいし… 318 00:24:44,300 --> 00:24:48,967 栄一さんとも 中の家(なかんち)の方々とも― 319 00:24:50,100 --> 00:24:53,600 ずっとこうして お近くにいられるんだから 320 00:25:07,967 --> 00:25:08,967 (栄一)そうだいな 321 00:25:14,033 --> 00:25:15,033 そうだいな… 322 00:25:18,533 --> 00:25:19,533 よかった 323 00:25:32,600 --> 00:25:33,600 へぇ 324 00:25:48,166 --> 00:25:49,166 そんじゃ 325 00:26:10,500 --> 00:26:12,700 あっつ… 326 00:26:33,266 --> 00:26:37,100 (松平慶永(まつだいらよしなが))ハルリスなんかよりも 一橋様のことじゃ! 327 00:26:37,734 --> 00:26:38,734 (橋本左内(はしもとさない))ははっ 328 00:26:38,800 --> 00:26:41,800 (語り)開国に揺らぐ幕府を 立て直すべく― 329 00:26:42,300 --> 00:26:45,667 慶喜を 次期将軍に推す声が再燃 330 00:26:46,700 --> 00:26:50,467 (左内)平岡殿 一橋様への至誠あふれる― 331 00:26:50,734 --> 00:26:52,233 すばらしいご文章でした 332 00:26:54,133 --> 00:26:56,433 少し手を入れ このようにまとめました 333 00:26:57,800 --> 00:26:58,800 へぇ 334 00:26:59,867 --> 00:27:02,266 (語り)円四郎が まとめた手記をもとに… 335 00:27:03,000 --> 00:27:04,133 お納めください 336 00:27:04,734 --> 00:27:09,900 (語り)松平慶永は 世継ぎを一橋慶喜に定めるよう― 337 00:27:10,266 --> 00:27:13,066 幕府に建白書を提出しました 338 00:27:14,367 --> 00:27:19,066 上様には 私から取り計らいましょう 339 00:27:21,800 --> 00:27:22,800 何とぞ 340 00:27:25,266 --> 00:27:28,967 (徳川家定(いえさだ))なぜそのように 急いで世継ぎを決めねばならぬ 341 00:27:30,633 --> 00:27:35,000 わしはまだ若く 篤(あつ)を御台(みだい)に迎えたばかりじゃぞ 342 00:27:35,767 --> 00:27:36,767 (篤君(あつぎみ))えぇ 343 00:27:37,066 --> 00:27:39,367 今日も上様のお芋は 344 00:27:39,433 --> 00:27:40,667 おいしゅう ございもす 345 00:27:41,333 --> 00:27:42,333 そうよのう 346 00:27:43,600 --> 00:27:44,633 慶喜のような 347 00:27:44,700 --> 00:27:46,934 年寄り息子など 要らぬわ 348 00:27:48,734 --> 00:27:50,667 (歌橋(うたはし)) それだけではありませんよ 上様 349 00:27:51,667 --> 00:27:56,400 (歌橋)越前様は メリケンの ハルリスとやらの拝謁を― 350 00:27:57,500 --> 00:28:00,900 上様の代わりに一橋様に― 351 00:28:00,967 --> 00:28:02,867 受けさせてはどうかと 申しておるのです 352 00:28:02,934 --> 00:28:04,000 慶喜に? 353 00:28:04,567 --> 00:28:07,100 はら 代わりにお会いくださると? 354 00:28:07,834 --> 00:28:12,433 ようございもした 上様 異人に会わずに済むなんて 355 00:28:14,767 --> 00:28:19,133 そうよのう それはよいのう 356 00:28:20,100 --> 00:28:24,100 (歌橋)一橋様なら… 日の本の代表として― 357 00:28:24,433 --> 00:28:28,700 異人に会わせるのに 恥ずかしくないお方だと 358 00:28:28,867 --> 00:28:32,600 何? 慶喜なら 恥ずかしくなくて― 359 00:28:33,367 --> 00:28:35,767 わしでは恥ずかしいと申すか!? 360 00:28:36,266 --> 00:28:37,266 あいちゃ~ 361 00:28:37,700 --> 00:28:40,934 (歌橋)大奥では 水戸(みと)のご老公が ご子息を― 362 00:28:41,000 --> 00:28:43,800 次の公方様にするたくらみで 動いているとの― 363 00:28:44,333 --> 00:28:46,066 専らのうわさでございます 364 00:28:50,100 --> 00:28:51,433 ハルリスには わしが会う 365 00:28:53,500 --> 00:28:56,767 わしは越前も慶喜も好かぬ! 366 00:29:03,967 --> 00:29:08,033 (尾高長七郎)うわ… すごい行列だで どこの大名だい? 367 00:29:08,867 --> 00:29:10,467 (真田(さなだ)範之助(はんのすけ))あの珍妙な旗を見ろ 368 00:29:12,133 --> 00:29:13,333 ありゃメリケンの旗だ 369 00:29:14,133 --> 00:29:15,133 (長七郎)何? 370 00:29:15,734 --> 00:29:18,367 かごの中身は メリケンの使者のハルリスよ 371 00:29:19,333 --> 00:29:21,800 城に入って 公方様にお目通りするのだ 372 00:29:22,567 --> 00:29:25,400 なんと… 幕吏は何を考えておる! 373 00:29:25,767 --> 00:29:27,433 (範之助)尾高 下がれ! 374 00:29:27,500 --> 00:29:29,967 (長七郎)あにぃが聞いたら どれほど嘆くことか… 375 00:29:30,333 --> 00:29:31,333 分かった… 376 00:29:33,934 --> 00:29:37,033 そこで お主を 連れていきたい所がある 377 00:29:37,300 --> 00:29:38,300 こっちだ 378 00:29:43,200 --> 00:29:47,567 (大橋訥庵(おおはしとつあん)) 西洋では既に大きな罰を受け― 379 00:29:48,433 --> 00:29:50,767 罪を償っておる者たちの… 380 00:29:50,834 --> 00:29:51,834 (長七郎)ここは… 381 00:29:53,700 --> 00:29:57,333 (訥庵)肉を刻み 骨を砕き… 382 00:29:57,834 --> 00:29:58,834 (長七郎)おぉ! 383 00:29:58,900 --> 00:30:01,633 (訥庵) それが肝要であるかのごとく… 384 00:30:02,900 --> 00:30:03,900 (小声で)おい… 385 00:30:06,166 --> 00:30:10,000 (訥庵) もはや人のなすべき業ではない 386 00:30:10,900 --> 00:30:15,300 すなわち 夷狄(いてき)の民は禽獣(きんじゅう)のごとき― 387 00:30:16,500 --> 00:30:18,233 人にあらず! 388 00:30:18,967 --> 00:30:20,300 (志士たち)人にあらず! 389 00:30:21,266 --> 00:30:22,900 (小声で)あれが大橋訥庵先生じゃ 390 00:30:23,400 --> 00:30:25,767 この塾で早くから 尊王(そんのう)攘夷を唱えていらっしゃる 391 00:30:27,200 --> 00:30:29,800 (訥庵)狼(おおかみ)というも 過言ではない 392 00:30:29,867 --> 00:30:30,867 ゆえに 393 00:30:31,667 --> 00:30:34,266 はらわねば ならぬのである! 394 00:30:36,367 --> 00:30:36,767 (志士たち)そうじゃ! 395 00:30:36,767 --> 00:30:37,367 (志士たち)そうじゃ! 396 00:30:36,767 --> 00:30:37,367 (志士) そのとおりだ! 397 00:30:37,367 --> 00:30:37,767 (志士) そのとおりだ! 398 00:30:38,200 --> 00:30:41,166 夷狄をはらう… もっと話が聞きてぇ! 399 00:30:41,233 --> 00:30:43,767 (長州(ちょうしゅう)藩士)おい 誰じゃ! 400 00:30:44,467 --> 00:30:47,367 怪しい者ではねぇ 先生のお話を伺いてぇと… 401 00:30:47,700 --> 00:30:51,533 (水戸藩士)待て! はっ 百姓か 402 00:30:51,600 --> 00:30:52,600 (薩摩(さつま)藩士)はっ 403 00:30:52,800 --> 00:30:55,533 わいのようなもんが 出入りする場所じゃなか 404 00:30:55,934 --> 00:30:56,934 出ていけ! 405 00:30:57,967 --> 00:30:59,000 (志士)何じゃ… 406 00:31:00,133 --> 00:31:01,266 (志士)曲者(くせもの)ぜよ! 407 00:31:01,333 --> 00:31:03,700 (水戸藩士) おい 田舎もんが… 立て! 408 00:31:03,767 --> 00:31:04,900 (志士たち)立て! 立て! 409 00:31:07,967 --> 00:31:08,967 ああ… 410 00:31:21,467 --> 00:31:22,467 や~! 411 00:31:22,533 --> 00:31:23,533 (訥庵)待ちなさい! 412 00:31:33,934 --> 00:31:35,300 ほう 413 00:31:38,000 --> 00:31:39,266 この者… 414 00:31:41,967 --> 00:31:45,166 実によい目をしておる 415 00:31:55,200 --> 00:31:57,834 (須永伝蔵(すながでんぞう))あにきは もうじき また藍売りだんべなぁ 416 00:31:57,900 --> 00:31:58,934 (栄一)おう 417 00:31:59,000 --> 00:32:01,734 今年はとっさまではなく あにぃと一緒だから― 418 00:32:01,934 --> 00:32:04,200 詩でも詠んで 楽しめればよかんべぇ 419 00:32:04,734 --> 00:32:08,467 へぇ~ 詩かぁ いいなぁ 420 00:32:08,533 --> 00:32:09,533 (栄一)おう 421 00:32:09,600 --> 00:32:10,700 や~! 422 00:32:16,900 --> 00:32:21,467 (惇忠)おい みんな! 長七郎から文が来たぞ! 423 00:32:22,000 --> 00:32:23,333 (一同)おぉ! 424 00:32:24,433 --> 00:32:28,667 (惇忠)今は真田と千葉(ちば)道場で 武芸に励んでいるそうだ 425 00:32:30,033 --> 00:32:33,100 江戸には今 尊王攘夷の志士が― 426 00:32:33,567 --> 00:32:36,467 あまたの国から集まっていると 書いてある 427 00:32:37,333 --> 00:32:39,400 (一同)おぉ! 428 00:32:40,533 --> 00:32:41,900 それと 喜作 429 00:32:42,600 --> 00:32:43,600 え? 430 00:32:45,033 --> 00:32:46,033 (惇忠)栄一 431 00:32:47,867 --> 00:32:50,166 これはお前たち宛てだで 432 00:32:50,867 --> 00:32:51,867 俺たちに? 433 00:32:55,967 --> 00:32:57,600 (長七郎) “江戸で出会う仲間たちは―” 434 00:32:58,000 --> 00:32:59,367 “まっさか気持ちがよい” 435 00:33:00,467 --> 00:33:03,100 “皆 己の志を見つけ―” 436 00:33:03,467 --> 00:33:05,800 “それに向かって まっすぐに生きておる” 437 00:33:10,200 --> 00:33:11,467 志か… 438 00:33:13,934 --> 00:33:16,233 (てい)ねぇ 何が書いてあるん? 439 00:33:16,467 --> 00:33:17,467 (栄一)は? 440 00:33:18,367 --> 00:33:20,467 えぇと… 441 00:33:21,033 --> 00:33:24,367 (長七郎)“それから俺は お千代と一緒になるのは―” 442 00:33:24,667 --> 00:33:27,200 “お前かと思ってたぞ 栄一” 443 00:33:29,467 --> 00:33:30,533 “お前とお千代は―” 444 00:33:30,600 --> 00:33:32,567 “思い合っているもんだと 思っていた” 445 00:33:33,667 --> 00:33:36,133 “無論 喜作でも構わねぇんだがな” 446 00:33:36,567 --> 00:33:37,700 ねぇ 何て? 447 00:33:37,767 --> 00:33:38,734 え? 448 00:33:38,734 --> 00:33:38,767 え? 449 00:33:38,734 --> 00:33:38,767 (てい)え… 450 00:33:38,767 --> 00:33:39,500 (てい)え… 451 00:33:39,500 --> 00:33:39,734 (てい)え… 452 00:33:39,500 --> 00:33:39,734 (栄一)子供は向こう行ってろ 453 00:33:39,734 --> 00:33:40,767 (栄一)子供は向こう行ってろ 454 00:33:41,200 --> 00:33:42,400 はあ? 455 00:33:42,567 --> 00:33:43,834 (栄一)いいから行っとれ 456 00:33:45,000 --> 00:33:47,300 何だんべ? もう 457 00:33:56,166 --> 00:34:00,600 (長七郎)“なあ栄一 お前の欲しいものは何だ?” 458 00:34:02,266 --> 00:34:04,000 “お前の志は何だ?” 459 00:34:07,867 --> 00:34:10,467 “本当にお前は このままでいいのか…” 460 00:34:12,934 --> 00:34:16,266 “いま一度 その胸によぉく聞いてみろ” 461 00:34:26,033 --> 00:34:27,033 よし 462 00:34:27,400 --> 00:34:28,400 (市郎右衛門)栄一 463 00:34:30,000 --> 00:34:34,900 それでは商いに行くというより まるで風流人の格好じゃねぇか 464 00:34:35,200 --> 00:34:36,900 え? そうかい? 465 00:34:37,467 --> 00:34:42,700 くれぐれも道中 本を読んだり 詩を書いたりに明け暮れて― 466 00:34:43,433 --> 00:34:45,667 大事な商い 忘れるんじゃねぇで 467 00:34:45,967 --> 00:34:47,400 わ… 分かっておりますよ 468 00:34:47,600 --> 00:34:48,734 (惇忠)ハハ… 469 00:34:48,800 --> 00:34:49,800 (栄一)あにぃ 470 00:34:53,834 --> 00:34:55,300 (惇忠)だいぶ高くなってきたな 471 00:34:55,600 --> 00:34:59,934 (語り)栄一は 惇忠と出かけた藍売りの旅で― 472 00:35:00,934 --> 00:35:05,200 この時の気持ちを 詩にしたためています 473 00:35:08,734 --> 00:35:12,633 (栄一)“旅支度を整えると もう心は浮き立ってくる” 474 00:35:14,200 --> 00:35:17,033 “ほんの短い旅だが それがちょうど―” 475 00:35:17,100 --> 00:35:20,166 “野や山の最も美しい時期に あたるなんて―” 476 00:35:20,934 --> 00:35:22,100 “誰が知っているだろう” 477 00:35:23,300 --> 00:35:25,166 (惇忠)栄一 いいの書けそうか? 478 00:35:25,767 --> 00:35:28,600 あ~ よいかどうかは分かんねぇが― 479 00:35:28,667 --> 00:35:29,667 いろいろ出てくる 480 00:35:31,467 --> 00:35:34,266 “さぁ これから 先達のあとについて―” 481 00:35:34,333 --> 00:35:35,834 “信州(しんしゅう)へと旅立つ” 482 00:35:37,133 --> 00:35:40,066 “夜ごと旅の宿で その土地の風情を―” 483 00:35:40,133 --> 00:35:41,800 “詩に うたっていくことにしよう” 484 00:35:43,867 --> 00:35:47,600 あにぃ! 遅(おせ)ぇぞ 日ぃ暮れちまうぞ 485 00:35:49,400 --> 00:35:52,300 “山はうねうねと波のごとき姿で―” 486 00:35:53,033 --> 00:35:56,934 “西は浅間山(あさまやま)に接して 2つ向かい合っている” 487 00:36:03,967 --> 00:36:07,066 “天然の石や岩が ごろごろした岩肌は―” 488 00:36:08,133 --> 00:36:11,734 “人が削って作ったかのように 鋭く険しい” 489 00:36:12,000 --> 00:36:12,700 あにぃ 490 00:36:12,700 --> 00:36:13,000 あにぃ 491 00:36:12,700 --> 00:36:13,000 おう すまん… 492 00:36:13,000 --> 00:36:13,934 おう すまん… 493 00:36:17,300 --> 00:36:20,867 (栄一)“一巻の書を肩に 険しい峰をよじ登る” 494 00:36:21,900 --> 00:36:26,400 “やがて 谷を歩くも峰をよじ登るも―” 495 00:36:27,066 --> 00:36:28,800 “ますます深く険しくなり―” 496 00:36:29,934 --> 00:36:33,867 “見たこともないような 大きな岩や石が横たわっている” 497 00:36:34,867 --> 00:36:39,266 “私は 青天を衝(つ)く勢いで…” 498 00:36:40,166 --> 00:36:42,800 “白雲を突き抜けるほどの 勢いで進む!” 499 00:38:44,533 --> 00:38:47,300 あぁ 栄一 帰(けえ)ってきたんか 500 00:38:47,667 --> 00:38:50,200 (ゑい)えぇ 帰ってくるなり駆けだしていって 501 00:38:58,367 --> 00:39:00,533 (平九郎) 栄一さん 戻ってきたんか 502 00:39:00,767 --> 00:39:02,266 (栄一)おお 平九郎 お千代は? 503 00:39:02,800 --> 00:39:05,800 先に帰った 神社に寄るって言ってたで 504 00:39:06,333 --> 00:39:07,333 ありがとう! 505 00:39:17,567 --> 00:39:18,567 お千代! 506 00:39:22,033 --> 00:39:23,033 栄一さん 507 00:39:31,000 --> 00:39:32,734 (栄一)はぁ… はぁ… 508 00:39:40,200 --> 00:39:41,200 お千代 509 00:39:42,900 --> 00:39:43,900 俺は… 510 00:39:46,433 --> 00:39:47,433 俺は― 511 00:39:50,166 --> 00:39:51,166 お前が欲しい 512 00:40:15,133 --> 00:40:19,600 (家定)堀田から 自分には老中首座は重荷ゆえ― 513 00:40:20,600 --> 00:40:23,734 越前を大老にしてはどうかと 薦められた 514 00:40:24,800 --> 00:40:26,000 (歌橋)越前様を? 515 00:40:26,433 --> 00:40:30,700 わしは嫌じゃ 越前は嫌いじゃ 516 00:40:32,200 --> 00:40:33,734 あいつは前々から 517 00:40:33,800 --> 00:40:36,166 わしを見下すような 目をしておった 518 00:40:36,633 --> 00:40:39,700 あのお方が大老になれば 毎日のように― 519 00:40:39,900 --> 00:40:43,266 “お世継ぎには一橋様を 一橋様を”と― 520 00:40:43,333 --> 00:40:45,033 言い続けるに違いありませぬ 521 00:40:45,533 --> 00:40:47,266 はっはぁ~ 522 00:40:49,266 --> 00:40:52,100 待ち切れぬのう 523 00:40:53,433 --> 00:40:56,533 誰か 阿部や堀田に代わって― 524 00:40:56,600 --> 00:40:59,800 わしを支えるよい重臣は おらぬのか 525 00:41:03,967 --> 00:41:05,900 (井伊(いい)直弼(なおすけ))失礼つかまつりまする 526 00:41:08,133 --> 00:41:11,934 (直弼)本日は 上様のお茶会に お招きをいただき― 527 00:41:12,000 --> 00:41:15,233 恐悦至極に存じ奉りまする 528 00:41:17,700 --> 00:41:18,967 (小声で)誰だったかのう 529 00:41:19,700 --> 00:41:23,200 (小声で)彦根(ひこね)の 井伊掃部頭(かもんのかみ)様でございまする 530 00:41:23,734 --> 00:41:26,633 (直弼)僭越(せんえつ)ながら 某も茶の湯は 531 00:41:27,000 --> 00:41:28,133 いささか たしなんで 532 00:41:28,200 --> 00:41:29,367 おりまするゆえ… 533 00:41:31,033 --> 00:41:35,967 おぉ これは珍しい茶菓子 534 00:41:36,033 --> 00:41:37,867 わしがこしらえた菓子じゃ 535 00:41:37,934 --> 00:41:39,600 ははぁ 536 00:41:49,233 --> 00:41:50,300 そうか… 537 00:42:01,100 --> 00:42:02,100 あぁ… 538 00:42:18,567 --> 00:42:24,000 うん… おいしゅうございます 539 00:42:26,867 --> 00:42:27,867 井伊か 540 00:42:31,333 --> 00:42:32,333 は? 541 00:42:33,633 --> 00:42:37,467 百姓といえども大いに戦って この世を変えたい 542 00:42:37,967 --> 00:42:39,266 備中! 543 00:42:39,333 --> 00:42:40,333 (中根長十郎(なかねちょうじゅうろう))大老をお屋敷に― 544 00:42:40,400 --> 00:42:41,700 お呼びつけになるなど 先例がございませぬ 545 00:42:41,767 --> 00:42:43,266 父より先に話がしたいのだ 546 00:42:43,333 --> 00:42:45,433 (円四郎) 皆 ああた様に日の本を― 547 00:42:45,500 --> 00:42:47,633 まとめていただきたいと 望んでいるんですぜ! 548 00:42:48,333 --> 00:42:49,333 頼む 549 00:42:49,400 --> 00:42:50,700 (徳川慶福(よしとみ))ご機嫌よろしゅう 550 00:42:51,767 --> 00:42:54,000 (喜作)栄一 俺と勝負しろ