1 00:00:05,633 --> 00:00:07,333 (渋沢栄一(しぶさわえいいち))あの これは… 2 00:00:08,100 --> 00:00:09,567 (平岡円四郎(ひらおかえんしろう))お主らの俸禄だ 3 00:00:10,200 --> 00:00:11,233 (渋沢喜作(きさく))俸禄! 4 00:00:11,500 --> 00:00:14,166 おぉ 初俸禄だで! 5 00:00:14,734 --> 00:00:17,867 (語り)一橋家(ひとつばしけ)の家臣となって ひとつきがたち― 6 00:00:18,266 --> 00:00:20,433 お百姓の出である栄一たちは― 7 00:00:20,734 --> 00:00:24,667 生まれて初めて 俸禄というものを手にしたのです 8 00:00:25,200 --> 00:00:27,633 (円四郎)4石二人扶持(ににんぶち) そして― 9 00:00:27,900 --> 00:00:31,400 京都滞在中の月手当が 金4両と1分だ 10 00:00:32,367 --> 00:00:34,800 あぁ 米はその手形で 蔵から受け取ってこい 11 00:00:35,266 --> 00:00:38,433 はい! よし 久しぶりに酒でも… 12 00:00:38,500 --> 00:00:39,533 待て 喜作 13 00:00:41,100 --> 00:00:42,767 金は安易に使ってはならねぇ 14 00:00:42,834 --> 00:00:43,867 (喜作)ん? 15 00:00:43,934 --> 00:00:45,533 ん? どうしてだ? 16 00:00:46,100 --> 00:00:49,867 我々は ここに来る以前に 金を使い果たし― 17 00:00:49,934 --> 00:00:54,300 3両 5両と借りてるうちに 今ではもう 25両も借金がございます 18 00:00:54,367 --> 00:00:55,533 えぇ~ 19 00:00:56,000 --> 00:00:58,266 4両1分から 25両を返そうというのは― 20 00:00:58,333 --> 00:00:59,667 骨が折れるが あくまで― 21 00:01:00,467 --> 00:01:04,533 無益なことには一銭たりとも 使わねぇようにして 必ず返すんだ 22 00:01:05,600 --> 00:01:09,700 まぁ 俺は江戸(えど)もんなんで 宵越しの銭は持たねぇがな 23 00:01:10,266 --> 00:01:13,367 我らは江戸もんではなく 岡部(おかべ)もんでございますので 24 00:01:14,100 --> 00:01:17,300 なるほど 見上げた根性だ 25 00:01:19,200 --> 00:01:24,000 あぁ その岡部の安倍家(あんべけ)と 段取りをつけといたぜ 26 00:01:24,767 --> 00:01:26,100 岡部のお殿様? 27 00:01:26,600 --> 00:01:28,100 領主の許しもなく― 28 00:01:28,467 --> 00:01:30,567 百姓を引っこ抜くわけには いかねぇだろう 29 00:01:32,100 --> 00:01:35,767 これで おめえらは 正真正銘の武士だ 30 00:01:36,467 --> 00:01:38,333 (栄一)あ… ありがとうございます! 31 00:01:38,400 --> 00:01:39,633 (喜作)ありがとうございます! 32 00:01:40,300 --> 00:01:41,333 (円四郎)あ そうだ 33 00:01:42,367 --> 00:01:45,000 おめえは ナリが武士っぽくねぇから― 34 00:01:45,400 --> 00:01:47,633 この際 名を武士らしく変えるといい 35 00:01:47,867 --> 00:01:49,300 おお~! 36 00:01:49,367 --> 00:01:50,400 いっそ派手に― 37 00:01:51,600 --> 00:01:55,800 志の篤(あつ)さを示す“篤(とく)”の字を取って… 38 00:02:04,700 --> 00:02:06,867 篤太夫(とくだゆう)ってえのはどうだ? 39 00:02:08,834 --> 00:02:10,934 え とくだゆう? え? 40 00:02:11,300 --> 00:02:15,066 いやぁ 篤太夫とは… ちっとんべ響きがジジイみてぇで 41 00:02:15,133 --> 00:02:17,500 (円四郎)いや 我ながらいい名前(なめえ)だ 42 00:02:18,000 --> 00:02:20,500 ああ よし これで決まった 43 00:02:20,567 --> 00:02:21,600 へ? 44 00:02:23,633 --> 00:02:26,367 某(それがし)は! 某は! 45 00:02:27,967 --> 00:02:29,567 いや おめえ 喜作のままでいいんじゃねえか? 46 00:02:30,000 --> 00:02:31,934 いいや そうおっしゃらず… 47 00:02:34,200 --> 00:02:38,266 じゃあ… いろはにほへとちりぬるを― 48 00:02:38,433 --> 00:02:41,934 わかよたれそつねならむ うゐのおくやまけふこえて― 49 00:02:42,500 --> 00:02:43,567 え~… 50 00:02:44,033 --> 00:02:47,734 あさきゆめみしゑひもせ… 51 00:02:53,800 --> 00:02:56,200 成一郎(せいいちろう)てのは どうだ? 52 00:03:00,400 --> 00:03:04,467 おぉ 武士げだい ありがとうございます! 53 00:03:04,834 --> 00:03:09,834 では 某も円四郎様に 成一郎に― 54 00:03:11,000 --> 00:03:12,033 篤一郎(とくいちろう)では… 55 00:03:12,100 --> 00:03:15,000 いいや おめえは 篤太夫が似合ってる 56 00:03:18,100 --> 00:03:19,133 分かりました… 57 00:03:22,333 --> 00:03:26,433 では篤を持って 人に教えよとのつもりで― 58 00:03:27,033 --> 00:03:29,233 こう名乗らせていただきます 59 00:03:29,300 --> 00:03:30,333 よし 60 00:03:30,834 --> 00:03:32,500 (語り) こうして正式に 61 00:03:33,200 --> 00:03:36,633 一橋家家臣の 渋沢成一郎と… 62 00:03:37,500 --> 00:03:40,734 渋沢篤太夫が 誕生しました 63 00:03:44,100 --> 00:03:49,100 ♪~ 64 00:06:29,400 --> 00:06:34,400 ~♪ 65 00:06:34,967 --> 00:06:37,867 (徳川家康(とくがわいえやす)) こんばんは 徳川家康です 66 00:06:39,200 --> 00:06:44,066 さぁて 年号が文久(ぶんきゅう)から元治(げんじ)にかわり― 67 00:06:44,734 --> 00:06:50,734 栄一… もとい 渋沢篤太夫と 成一郎が― 68 00:06:51,400 --> 00:06:54,633 ようやく我がファミリーに 入ってまいりました! 69 00:06:56,667 --> 00:07:01,934 ちょうど京では 慶喜(よしのぶ)の大愚物騒ぎをきっかけに― 70 00:07:02,867 --> 00:07:07,500 島津久光(しまづひさみつ)ら朝議参与が 勢いを失い始め― 71 00:07:08,734 --> 00:07:12,567 一橋慶喜への期待が 高まっていました 72 00:07:13,567 --> 00:07:14,667 それと同時に― 73 00:07:15,500 --> 00:07:20,400 慶喜の一番の家臣 平岡円四郎の名も― 74 00:07:20,467 --> 00:07:22,967 広く知れ渡るようになります 75 00:07:24,934 --> 00:07:26,533 篤太夫たちは早速― 76 00:07:27,367 --> 00:07:32,633 この慶喜のもとで 働き始めましたよ 77 00:07:38,300 --> 00:07:41,867 (原市之進(はらいちのしん))一橋様の御用留(ごようどめ)は よくまとめられておりますな 78 00:07:42,400 --> 00:07:45,333 (黒川(くろかわ)嘉兵衛(かへい)) そうか? 水戸(みと)はどうなのだ 79 00:07:46,166 --> 00:07:48,800 水戸では 烈公(れっこう)が倹約家でしたので 80 00:07:49,166 --> 00:07:53,233 え? 原市之進様も 水戸のお方なんですか? 81 00:07:54,400 --> 00:07:55,467 (川村恵十郎(かわむらえじゅうろう))知らぬのか 82 00:07:56,533 --> 00:08:02,100 原様は藤田(ふじた)東湖(とうこ)先生亡きあと 水戸弘道館(こうどうかん)の訓導を務められ― 83 00:08:02,166 --> 00:08:03,867 水戸学に大変通じておられる 84 00:08:04,367 --> 00:08:08,800 水戸学? ということは 根っからの攘夷(じょうい)のお考えでは… 85 00:08:09,000 --> 00:08:10,066 (猪飼勝三郎(いかいかつさぶろう))そのとおり 86 00:08:10,834 --> 00:08:11,867 (小声で)なんと 87 00:08:11,934 --> 00:08:13,734 大橋何某(おおはしなにがし)とか 申すものと 88 00:08:14,100 --> 00:08:15,567 安藤対馬守(あんどうつしまのかみ)様の 89 00:08:15,633 --> 00:08:17,433 襲撃を謀ったことも あるらしい 90 00:08:17,934 --> 00:08:20,567 (小声で)大橋って… 訥庵(とつあん)先生か 91 00:08:20,934 --> 00:08:23,133 (小声で)あぁ 長七郎(ちょうしちろう)と同じだい 92 00:08:24,533 --> 00:08:25,600 (恵十郎)しかし 93 00:08:25,967 --> 00:08:27,934 原様は 一橋様に出会い 94 00:08:28,767 --> 00:08:30,467 本当の尊王(そんのう)攘夷の ためには 95 00:08:30,800 --> 00:08:32,333 異国に 乗っ取られぬよう 96 00:08:32,700 --> 00:08:34,266 日の本を強く することが 97 00:08:34,333 --> 00:08:36,100 肝要と 考えを改められた 98 00:08:36,166 --> 00:08:37,200 俺も同じだ 99 00:08:37,567 --> 00:08:39,467 え 川村様も? 100 00:08:40,333 --> 00:08:43,667 (猪飼)川村殿は もとは 小仏(こぼとけ)関所の関守でな 101 00:08:44,467 --> 00:08:45,633 あっちの黒川様は 102 00:08:45,700 --> 00:08:47,333 もとは ご公儀のお旗本 103 00:08:48,033 --> 00:08:49,934 ここにおるもので 私のように 104 00:08:50,200 --> 00:08:51,400 代々 一橋家に 105 00:08:51,467 --> 00:08:52,967 勤めるものは もう少ない 106 00:08:53,300 --> 00:08:54,900 (篤太夫)お 猪飼様は― 107 00:08:54,967 --> 00:08:56,934 ずっと 一橋家におられるのですね 108 00:08:57,333 --> 00:09:01,266 うむ かつて 一橋様の小姓だった頃― 109 00:09:01,867 --> 00:09:06,667 佃島(つくだじま)の花火をご覧に入れようと 火の見の階段をご先導していて― 110 00:09:07,233 --> 00:09:11,233 誤って 足が殿のお顔に当たってしまい… 111 00:09:11,300 --> 00:09:12,367 (篤太夫)え? 112 00:09:11,300 --> 00:09:12,367 (成一郎)え? 113 00:09:12,433 --> 00:09:14,467 すぐに小姓頭取に報告し― 114 00:09:15,200 --> 00:09:17,533 腹を切っておわびいたすと 申し出たのだ 115 00:09:18,333 --> 00:09:19,367 しかし 殿は… 116 00:09:20,400 --> 00:09:22,000 (徳川慶喜)勝三郎の過ちではない 117 00:09:22,500 --> 00:09:26,000 (慶喜)私があまり急いだために 手すりに当たり鼻血が出ただけだ 118 00:09:26,467 --> 00:09:27,567 もう何ともない 119 00:09:28,967 --> 00:09:30,000 は… 120 00:09:30,467 --> 00:09:34,266 (猪飼)…と ご自分の過ちと 仰せになってくださった 121 00:09:34,900 --> 00:09:36,800 へぇ~ あのお方が… 122 00:09:37,600 --> 00:09:41,233 (猪飼)またある時は 殿のお髷(まげ)を上げ奉った際に― 123 00:09:41,300 --> 00:09:46,233 ふと剃刀(かみそり)で あっ… お怪我(けが)をさせてしまった 124 00:09:46,300 --> 00:09:48,100 えぇ!? また怪我を? 125 00:09:48,166 --> 00:09:50,934 (猪飼)それゆえ また小姓頭取と おわび申し上げたが… 126 00:09:51,266 --> 00:09:53,233 (慶喜) 私の不注意で脇目をした時に― 127 00:09:53,300 --> 00:09:54,800 少し刃が当たったようだが― 128 00:09:55,166 --> 00:09:56,333 大した傷ではない 129 00:09:56,867 --> 00:09:57,900 (小姓頭取)し しかし… 130 00:09:57,967 --> 00:09:59,200 (慶喜)痛くも何ともない! 131 00:09:59,834 --> 00:10:01,133 申し立てるには及ばぬ 132 00:10:01,200 --> 00:10:02,266 (小姓頭取)ははっ… 133 00:10:05,133 --> 00:10:07,200 (猪飼)その時 私は誓ったのだ… 134 00:10:08,100 --> 00:10:10,900 一生 殿のおそばでお仕えすると 135 00:10:11,400 --> 00:10:13,266 (市之進) 一橋家では そのようなことが… 136 00:10:13,800 --> 00:10:16,600 私がペルリの対応を していた頃かな? 137 00:10:17,633 --> 00:10:18,700 (猪飼)さようでございましょう 138 00:10:19,166 --> 00:10:22,233 その後 平岡殿が この家の小姓に入られ― 139 00:10:22,600 --> 00:10:25,533 給仕も髷結いも 平岡殿の務めとなった 140 00:10:25,734 --> 00:10:28,467 平岡殿は農人形も大切に扱われ… 141 00:10:28,533 --> 00:10:30,867 農人形! 某も持っておる! 142 00:10:32,433 --> 00:10:33,834 (猪飼)おお~! 143 00:10:33,900 --> 00:10:36,967 (市之進)思えば烈公は 百姓のことを大切に思っていた 144 00:10:37,400 --> 00:10:39,367 (篤太夫)話が盛りだくさんで ついていげねぇ 145 00:10:40,166 --> 00:10:43,500 まぁとにかく この一橋家には もう既に― 146 00:10:43,667 --> 00:10:45,567 身分の別はねえってわけだい 147 00:10:46,500 --> 00:10:50,133 関守だろうが百姓だろうが 有能な者(もん)を集めてるんだんべ 148 00:10:51,533 --> 00:10:57,000 しかし原様も川村様も もとは攘夷だったとはなあ 149 00:10:57,500 --> 00:10:59,934 平岡様もその考えだと おっしゃっていたし… 150 00:11:00,333 --> 00:11:03,033 そんな中にあっても 俺たちだけは決して― 151 00:11:03,400 --> 00:11:05,633 攘夷の志を 忘れねぇようにすんべぇ 152 00:11:06,233 --> 00:11:07,300 あぁ 153 00:11:07,934 --> 00:11:11,500 (篤太夫)この一橋で働きながら 世の中の動きをつかみ― 154 00:11:11,567 --> 00:11:17,100 何なら ここの連中や一橋の殿や 平岡様をも巻き込んで― 155 00:11:17,700 --> 00:11:19,433 立ち上がる機会を探るんだい 156 00:11:19,500 --> 00:11:22,667 そうよ! 薩摩(さつま)が攘夷を捨てたとしても― 157 00:11:23,400 --> 00:11:25,834 水戸や長州(ちょうしゅう)が このまま終わるはずはねえ 158 00:11:30,200 --> 00:11:31,266 そろそろだい… 159 00:11:34,467 --> 00:11:35,500 開けるぞ 160 00:11:35,567 --> 00:11:36,600 おう 来い! 161 00:11:36,834 --> 00:11:37,867 よ~し… 162 00:11:39,500 --> 00:11:40,967 (篤太夫・成一郎)おぉ~! 163 00:11:41,033 --> 00:11:42,533 うまく炊けてらい! 164 00:11:42,700 --> 00:11:45,367 粥(かゆ)のようなものが出来たり ガチガチの飯になったり― 165 00:11:45,433 --> 00:11:49,300 何度も失敗したが ようやく慣れてきたのう 166 00:11:49,367 --> 00:11:50,400 ああ そうだい 167 00:11:50,867 --> 00:11:54,600 こう とぎ上げた米の上に そっと手を置いて― 168 00:11:54,667 --> 00:11:57,066 少ぉし水が乗るぐれえにすりゃあ ほら… 169 00:11:57,867 --> 00:11:59,433 よい塩梅(あんべえ)にできるんだい 170 00:12:00,066 --> 00:12:02,500 わ~ おお… 171 00:12:02,567 --> 00:12:03,600 熱っ… 172 00:12:05,367 --> 00:12:06,400 お~! 173 00:12:06,633 --> 00:12:06,934 (成一郎)おお! 174 00:12:06,934 --> 00:12:07,667 (成一郎)おお! 175 00:12:06,934 --> 00:12:07,667 (語り)そのころ… 176 00:12:07,667 --> 00:12:07,967 (語り)そのころ… 177 00:12:11,000 --> 00:12:13,233 (尾高惇忠(おだかじゅんちゅう))長七郎… 長七郎! 178 00:12:16,266 --> 00:12:17,300 (尾高長七郎)あにぃ! 179 00:12:20,834 --> 00:12:22,400 あにぃ あぁ… 180 00:12:27,900 --> 00:12:30,667 すまねぇ あにぃ… 181 00:12:33,834 --> 00:12:35,300 あにぃ すまねぇ… 182 00:12:35,900 --> 00:12:37,734 (惇忠)長七郎は 今は― 183 00:12:38,533 --> 00:12:41,900 咎(とが)なき人を殺(あや)めてしまったことを 深く後悔している 184 00:12:42,767 --> 00:12:45,900 しかし 気の迷いとはいえ 人殺しは人殺し… 185 00:12:46,900 --> 00:12:48,767 幕吏も長七郎を怪しみ― 186 00:12:49,467 --> 00:12:51,600 たやすく許されることはなさそうだ 187 00:12:57,700 --> 00:12:59,200 (吉五郎(きちごろう))旦那さん お帰りです 188 00:13:03,800 --> 00:13:04,834 (渋沢市郎右衛門(いちろうえもん))帰(けえ)ったぞ 189 00:13:04,900 --> 00:13:06,767 (渋沢ゑい) あぁ お前様 お帰りなさいまし 190 00:13:07,266 --> 00:13:08,567 で どうだったんですか? 191 00:13:09,066 --> 00:13:11,500 (ゑい)ご陣屋からのお呼び出しは 何だったんですか? 192 00:13:11,834 --> 00:13:14,700 (渋沢よし)おじさま 栄一さんと うちの人のことで呼ばれたって 193 00:13:14,767 --> 00:13:15,800 (渋沢千代(ちよ))えぇ 194 00:13:15,867 --> 00:13:17,967 まさか 栄一と喜作も… 195 00:13:18,433 --> 00:13:19,633 (渋沢てい) 捕まっちまったんだんべか? 196 00:13:19,700 --> 00:13:20,734 あ? 197 00:13:20,800 --> 00:13:23,800 (てい)2人とも 八州廻(はっしゅうまわ)りのお縄に かかっちまったんだ 198 00:13:24,000 --> 00:13:25,867 あぁ 嫌だ そんな… 199 00:13:25,934 --> 00:13:27,033 (千代)およしさん 落ち着いて 200 00:13:27,233 --> 00:13:30,533 (市郎右衛門)おい おてい お前はちっと黙ってろ 201 00:13:31,800 --> 00:13:36,266 どうやら 栄一も喜作も無事らしい 202 00:13:37,166 --> 00:13:38,200 (千代)無事… 203 00:13:38,867 --> 00:13:41,667 あぁ~ よかったぁ~ 204 00:13:42,367 --> 00:13:43,800 生きてるんならよかったぁ~ 205 00:13:44,467 --> 00:13:46,800 でも おじさま それなら今 2人は? 206 00:13:47,367 --> 00:13:51,233 岡部に 一橋家から 掛け合いがあったらしい 207 00:13:51,300 --> 00:13:52,734 一橋家から? 208 00:13:53,333 --> 00:13:55,667 (市郎右衛門)詳しいことは 教えてもらえなかったが― 209 00:13:55,834 --> 00:14:01,200 栄一も喜作も この岡部の領分からは外れた 210 00:14:02,467 --> 00:14:07,600 お代官様は 二度とあの2人を この村に入れるなと― 211 00:14:08,033 --> 00:14:09,667 えらくご立腹だ 212 00:14:09,734 --> 00:14:11,300 二度と村に入れるなって… 213 00:14:11,567 --> 00:14:12,867 (ゑい)まぁ 何でそんなことに… 214 00:14:13,467 --> 00:14:17,033 2人と一橋家に 何の関わりが… 215 00:14:20,333 --> 00:14:21,367 (尾高平九郎(へいくろう))毎度 216 00:14:21,433 --> 00:14:22,467 (女性)また来ます! 217 00:14:25,400 --> 00:14:29,533 (平九郎)はあ 売り切れだに 218 00:14:29,867 --> 00:14:30,900 (女性たち)え~… 219 00:14:31,367 --> 00:14:33,300 今日は もう店じまいなんで 220 00:14:33,900 --> 00:14:35,300 (女性)お会いできただけで もう… 221 00:14:35,700 --> 00:14:36,734 (平九郎)すまねぇな 222 00:14:37,333 --> 00:14:38,367 毎度! 223 00:14:38,433 --> 00:14:39,467 (女性)ありがとうございます! 224 00:14:46,633 --> 00:14:47,667 (てい)平九郎さん? 225 00:14:48,333 --> 00:14:51,467 (平九郎)あぁ おてい 油 買いに来たんか? 226 00:14:52,266 --> 00:14:55,367 うん でも今 もう売り切れって聞いて… 227 00:14:56,567 --> 00:15:00,066 いいよ おていの分ぐれぇ 俺がどうにかしてやる 228 00:15:09,100 --> 00:15:11,300 (平九郎)何だか 張り合いがなくなっちまってなぁ 229 00:15:12,000 --> 00:15:15,000 俺も 北武蔵(きたむさし)の天狗(てんぐ)と呼ばれた あにぃみてぇに― 230 00:15:15,567 --> 00:15:16,734 江戸や京に出て― 231 00:15:17,400 --> 00:15:19,400 天下のために 働いてみたかったんだい 232 00:15:24,066 --> 00:15:25,567 きっと俺はこのまま― 233 00:15:26,300 --> 00:15:28,734 油売りの平九郎で 終わるんだんべなぁ 234 00:15:30,500 --> 00:15:31,533 (てい)ていは… 235 00:15:32,066 --> 00:15:34,333 平九郎さんが どっかに行ったりすりゃあ… 236 00:15:35,667 --> 00:15:36,700 寂しい 237 00:15:38,900 --> 00:15:40,867 いや 分かんないけんど… 238 00:15:41,400 --> 00:15:44,400 ていは 昔っから 平九郎さんに会えると― 239 00:15:44,467 --> 00:15:46,367 思い浮かべるだけで うれしいんだに 240 00:15:46,834 --> 00:15:52,300 ていは 里見(さとみ)の八犬士よりも 油売りの平九郎さんのことが… 241 00:15:54,800 --> 00:15:59,533 はあぁ~! はぁ もう 嫌だ 242 00:16:02,500 --> 00:16:04,066 あぁ 油… 243 00:16:04,633 --> 00:16:05,667 (平九郎)あ… 244 00:16:08,100 --> 00:16:09,133 家まで手伝うよ 245 00:16:10,333 --> 00:16:13,834 (てい) 大丈夫 大丈夫… 大丈夫です 246 00:16:14,233 --> 00:16:16,200 ていは なっから力持ちだから! 247 00:16:23,867 --> 00:16:24,900 (平九郎)おてい! 248 00:16:27,967 --> 00:16:29,000 ありがとう 249 00:16:43,767 --> 00:16:48,367 お主に頼みたいのは いわば隠密だ 250 00:16:49,800 --> 00:16:50,967 隠密!? 251 00:16:52,000 --> 00:16:53,033 ご公儀は 今 252 00:16:55,200 --> 00:16:57,166 天子様の お膝元の摂海(せっかい)を 253 00:16:58,066 --> 00:17:00,200 異国の船から 守らねばならぬ 254 00:17:01,033 --> 00:17:02,800 そこで 台場を 築くことになり 255 00:17:03,367 --> 00:17:05,233 海岸防備に 詳しいと評判の 256 00:17:05,800 --> 00:17:07,367 折田要蔵(おりたようぞう)という者が 257 00:17:07,934 --> 00:17:10,200 御台場築造掛(おだいばちくぞうがかり)に 抜擢(ばってき)された 258 00:17:10,600 --> 00:17:12,834 折田要蔵は薩摩人だ 259 00:17:13,600 --> 00:17:15,967 おめえに その折田を調べてほしい 260 00:17:17,266 --> 00:17:20,166 薩摩人を? いや しかし 何ゆえ… 261 00:17:21,600 --> 00:17:25,967 我が殿は 近いうちに 将軍後見職を降りられる 262 00:17:28,200 --> 00:17:31,367 まあ公方(くぼう)様も もう19になられた 263 00:17:32,166 --> 00:17:35,900 この先 江戸の政は 公方様にお任せして― 264 00:17:36,767 --> 00:17:42,033 殿には禁裏を この京を守ることに 専念していただきたいのだ 265 00:17:43,000 --> 00:17:46,934 そのため もし折田の評判が まことであれば手なずけ― 266 00:17:47,934 --> 00:17:49,467 薩摩から引き抜きたい 267 00:17:51,000 --> 00:17:52,033 ほほう… 268 00:17:53,266 --> 00:17:55,867 今 折田は台場御用で大坂(おおさか)におる 269 00:17:56,867 --> 00:17:58,800 お主は なんとかそこに入り込み― 270 00:18:00,934 --> 00:18:03,767 折田がどんな人物か 探ってきてほしい 271 00:18:04,900 --> 00:18:05,934 できるか? 272 00:18:09,667 --> 00:18:10,700 ははっ 273 00:18:11,567 --> 00:18:14,800 まあ こそこそ隠密とは 性に合いませんが― 274 00:18:17,233 --> 00:18:20,967 薩摩の腹の内を知るは 至極大事な務めであると存じます 275 00:18:21,033 --> 00:18:22,066 (円四郎)うむ 276 00:18:22,133 --> 00:18:25,400 向こうは何かありゃあ 即斬っちまうような― 277 00:18:26,233 --> 00:18:28,767 血のっ気の多い薩摩隼人(はやと)だ 278 00:18:30,600 --> 00:18:35,500 ひょっとすると やられちまうかもしれねぇがよ? 279 00:18:36,000 --> 00:18:37,033 え… 280 00:18:38,967 --> 00:18:41,467 あ いえ! そう やすやすとはやられません 281 00:18:42,834 --> 00:18:46,033 日の本の役に立ちてぇと 幼い頃から鍛錬してまいりました 282 00:18:46,233 --> 00:18:49,100 ハハハ ハハ それだ それだ 283 00:18:49,600 --> 00:18:52,834 俺はおめえの その性根の 据わったところが好きなんだ 284 00:18:55,233 --> 00:18:57,367 しからば 頼んだぞ 285 00:18:59,033 --> 00:19:01,533 ははっ しかと承りました! 286 00:19:11,533 --> 00:19:13,133 (篤太夫)折田要蔵… 287 00:19:19,867 --> 00:19:21,100 渋沢栄… 288 00:19:24,800 --> 00:19:26,200 篤太夫と申します 289 00:19:27,934 --> 00:19:29,133 よろしくお願いします! 290 00:19:29,533 --> 00:19:30,567 (折田要蔵)うむ 291 00:19:30,834 --> 00:19:36,600 摂海防禦(ぼうぎょ) 御台場築造御用掛 292 00:19:36,834 --> 00:19:39,467 折田要蔵じゃ 293 00:19:41,834 --> 00:19:42,867 来(け)え! 294 00:19:43,967 --> 00:19:45,000 (篤太夫)ははっ 295 00:19:46,133 --> 00:19:47,333 ほあ こっちじゃ 296 00:19:47,400 --> 00:19:48,433 (篤太夫)はっ 297 00:19:53,834 --> 00:19:55,667 (三島通庸(みしまみちつね))おい あいは何じゃ? 298 00:19:56,533 --> 00:19:58,033 (川村純義(すみよし))一橋の家臣じゃ 299 00:19:58,100 --> 00:19:59,533 (三島)一橋じゃと? 300 00:20:00,266 --> 00:20:02,967 かあ~ 怪しかね 301 00:20:03,800 --> 00:20:10,000 (折田)摂海防禦 御台場築造御用掛の台場作りは― 302 00:20:10,300 --> 00:20:12,367 海をこん目で見ず― 303 00:20:12,433 --> 00:20:16,467 砂を手に取らずして 学ぶもんじゃあなか 304 00:20:16,934 --> 00:20:19,633 はぁ それでは 早速 海岸に… 305 00:20:19,700 --> 00:20:22,266 (折田)うんにゃ まずは掃除じゃ 306 00:20:23,300 --> 00:20:25,967 そいが終わったら この― 307 00:20:26,633 --> 00:20:30,400 おいが書いた文書と― 308 00:20:31,667 --> 00:20:35,900 下絵図を 全て書き写せ 309 00:20:36,066 --> 00:20:39,166 え? え… これを全て? 310 00:20:41,200 --> 00:20:42,533 (せきこみ) 311 00:20:49,967 --> 00:20:51,000 (篤太夫)あ~! 312 00:20:53,767 --> 00:20:56,667 (篤太夫)あぁ! まぁた曲がっちまった 313 00:20:57,300 --> 00:21:00,066 図を引く稽古など したことがねぇからなぁ… 314 00:21:01,567 --> 00:21:05,333 ぶんとへ! また大事な紙が 315 00:21:05,734 --> 00:21:08,600 ちんがらじゃ! やい直し! 316 00:21:09,166 --> 00:21:10,200 すみません! 317 00:21:11,000 --> 00:21:14,867 (語り)折田要蔵のもとには 薩摩藩はもちろん― 318 00:21:15,333 --> 00:21:20,066 幕府の役人や 会津(あいづ) 備中(びっちゅう) 土佐(とさ)など― 319 00:21:20,467 --> 00:21:24,400 台場作りを学ぶ多くの武士が 出入りしていました 320 00:21:24,667 --> 00:21:29,867 摂海防禦御台場築造御用掛の― 321 00:21:30,066 --> 00:21:31,433 おいの見たとこじゃ― 322 00:21:31,967 --> 00:21:33,800 こん摂海ん湾は― 323 00:21:34,033 --> 00:21:37,800 かごんまや横浜(よこはま)に比べて 大いに内湾であり― 324 00:21:38,233 --> 00:21:41,100 ざざ~っと見積もって 台場は14― 325 00:21:41,166 --> 00:21:45,133 大砲もざざっと810門は 入り用と心得ちょ 326 00:21:46,000 --> 00:21:50,500 大砲は 810門は入り用と… 327 00:21:51,066 --> 00:21:56,400 摂海防禦御台場築造御用掛の おいは― 328 00:21:56,600 --> 00:21:59,200 おはんらに… わっぜ期待しちょ 329 00:21:59,700 --> 00:22:01,467 摂海防禦御台… 330 00:22:01,533 --> 00:22:03,867 (会津藩士) かごんまとか わっぜとか― 331 00:22:04,066 --> 00:22:06,166 おいら 先生の話よぐ分がんねぇ 332 00:22:06,800 --> 00:22:09,667 あぁ “かごんま”は“鹿児島”です 333 00:22:10,233 --> 00:22:14,333 “わっぜぇ”は まあ… “なっから”というか― 334 00:22:15,000 --> 00:22:16,633 “大いに”という意味で… 335 00:22:17,367 --> 00:22:19,934 はぁ おめ よぐ分がんなぁ 336 00:22:20,367 --> 00:22:23,200 故郷じゃ 薩摩やいろんな国のお方が― 337 00:22:23,266 --> 00:22:24,500 なっから出入りしてたもんで 338 00:22:25,033 --> 00:22:26,734 (岡山(おかやま)藩士) いや なまりのせえだけじゃねえ 339 00:22:27,100 --> 00:22:30,667 (岡山藩士)折田先生は 話も大風呂敷広げとるばぁで― 340 00:22:30,734 --> 00:22:31,834 あんま信用できん 341 00:22:32,000 --> 00:22:35,867 んだ 今日も宿のおなごと 酒飲んでるっつう話だ 342 00:22:35,934 --> 00:22:37,200 はあ ほいですか 343 00:22:38,233 --> 00:22:39,633 (三島)おい そこの 344 00:22:40,300 --> 00:22:42,166 わいは 一橋から来たんじゃってな 345 00:22:44,834 --> 00:22:45,867 (純義)ほんのこて― 346 00:22:46,100 --> 00:22:47,633 台場んこつが知りたくて 来たとか? 347 00:22:48,567 --> 00:22:50,066 いや それは… 348 00:22:50,467 --> 00:22:52,266 (中原猶介(なかはらなおすけ))おい 大変じゃ! 349 00:22:53,166 --> 00:22:54,600 (中原)けんかが始まってしもた! 350 00:22:54,667 --> 00:22:55,233 (篤太夫)へ? 351 00:22:55,233 --> 00:22:55,834 (篤太夫)へ? 352 00:22:55,233 --> 00:22:55,834 (三島)はぁ 何じゃち! 353 00:22:55,834 --> 00:22:56,133 (三島)はぁ 何じゃち! 354 00:22:56,133 --> 00:22:56,467 (三島)はぁ 何じゃち! 355 00:22:56,133 --> 00:22:56,467 (中原)こっちじゃ 356 00:22:56,467 --> 00:22:57,166 (中原)こっちじゃ 357 00:22:59,667 --> 00:23:00,767 (西郷吉之助(さいごうきちのすけ))待て! 358 00:22:59,667 --> 00:23:00,767 (折田)あ~! 359 00:23:01,066 --> 00:23:02,533 負けんど! 負けんど! 360 00:23:03,200 --> 00:23:04,233 折田さあ! 361 00:23:05,000 --> 00:23:06,033 (吉之助)ふん! 362 00:23:06,633 --> 00:23:07,667 (折田)あっ… 363 00:23:08,400 --> 00:23:10,500 (純義)ん? 吉之助さあじゃごわはんか! 364 00:23:10,700 --> 00:23:12,500 いつ かごんまから 大坂に 365 00:23:12,567 --> 00:23:13,767 出てきやっとで ごわすか? 366 00:23:14,200 --> 00:23:17,567 与十郎(よじゅうろう)に 三島じゃなかか! 367 00:23:17,900 --> 00:23:21,266 吉之助? まさか薩摩の西郷… 368 00:23:21,767 --> 00:23:24,000 こん折田の大法螺(おおぼら)吹きが― 369 00:23:24,667 --> 00:23:27,533 台場こしらえるなんて 口達者に話しっせぇ― 370 00:23:28,200 --> 00:23:30,800 ここで偉そうに 旗本顔をしちょっち聞いて― 371 00:23:31,333 --> 00:23:34,367 喉でも絞めちやろうかち思うて 来たとこ… 372 00:23:38,500 --> 00:23:39,800 あん若(わ)っかとは誰(だい)じゃ? 373 00:23:40,100 --> 00:23:41,734 (折田)ん~… 374 00:23:41,800 --> 00:23:42,834 (吉之助)痛か! 375 00:23:43,500 --> 00:23:44,533 (折田)負けんど! 376 00:23:45,166 --> 00:23:47,834 あ~ わっぜ 喉がいったか! 377 00:23:48,100 --> 00:23:50,033 おはんは腕をかんだどが 378 00:23:50,100 --> 00:23:51,133 ハハハハハ… 379 00:23:51,200 --> 00:23:54,033 ハハハ… 渋沢っち言(ゆ)うたか 380 00:23:54,433 --> 00:23:57,200 おはんもこげんとを 信じちゃいかんど 381 00:23:57,767 --> 00:24:01,667 もっと学ぶべきこつは 大いにあっど 382 00:24:02,033 --> 00:24:03,066 はぁ 383 00:24:03,133 --> 00:24:06,700 (折田)なんち おいは 摂海防禦御台場築造御用掛じゃ! 384 00:24:07,467 --> 00:24:08,500 わいが― 385 00:24:09,633 --> 00:24:11,133 島に流されちょ間に― 386 00:24:11,367 --> 00:24:14,600 幕府にも国父様にも わっぜ重宝がられちょ 387 00:24:15,033 --> 00:24:18,133 もはや国父様と お公家様を 388 00:24:18,200 --> 00:24:19,800 きびっこっが できったぁ 389 00:24:20,000 --> 00:24:21,633 おいだけじゃ 390 00:24:22,300 --> 00:24:23,900 国父様とお公家様… 391 00:24:24,600 --> 00:24:27,033 (吉之助) じゃっで口達者ち 言わるっとよ 392 00:24:28,100 --> 00:24:31,800 おはんに比べたら エゲレス船に乗り込んだ― 393 00:24:31,867 --> 00:24:33,600 五代(ごだい)ん方が まだましじゃ 394 00:24:34,100 --> 00:24:36,266 (折田)五代才助(さいすけ)は まだけ死んじょらんとか? 395 00:24:37,400 --> 00:24:38,433 (吉之助) 小松(こまつ)様ん話じゃ 396 00:24:38,834 --> 00:24:39,900 もう武州(ぶしゅう)から 397 00:24:39,967 --> 00:24:41,567 長崎に 入ったそうじゃ 398 00:24:42,033 --> 00:24:45,000 おぉ! 武州とは 俺の故郷です 399 00:24:45,266 --> 00:24:47,900 おお ほうか ハハ 400 00:24:48,900 --> 00:24:51,767 え~っと 渋沢… 401 00:24:51,834 --> 00:24:54,400 ああ… 渋沢篤太夫と申します 402 00:24:54,800 --> 00:24:55,900 篤太夫? 403 00:24:55,967 --> 00:24:57,000 (篤太夫)はっ 404 00:24:57,433 --> 00:24:59,867 顔ん割に派手な名じゃ ハハハ 405 00:25:00,467 --> 00:25:02,734 (純義)あげな吉之助さあに 近づっきょって… 406 00:25:03,166 --> 00:25:07,000 やっぱい あの渋沢は 一橋の回しもんじゃ 407 00:25:07,633 --> 00:25:11,533 (吉之助)おはんほど調子よかもん おいは知らんど 408 00:25:12,500 --> 00:25:13,533 おっ すまねえ 409 00:25:14,667 --> 00:25:18,967 (語り)それから篤太夫は 折田の使い走りをしたり… 410 00:25:20,400 --> 00:25:25,033 書類や絵図を描いたりと 数週間 真面目に働いて… 411 00:25:25,734 --> 00:25:29,233 休みの日に 一旦 京へと戻ってきました 412 00:25:31,033 --> 00:25:33,300 (篤太夫)これが写した文書で… 413 00:25:34,767 --> 00:25:37,800 これが 和泉灘(いずみなだ)の台場の絵図面です 414 00:25:39,333 --> 00:25:43,367 (円四郎) おっと 腕のいい隠密じゃねぇか 415 00:25:43,433 --> 00:25:46,700 (篤太夫)ははっ… まあ隠密で学んだにしては― 416 00:25:46,767 --> 00:25:49,000 ようやく ちったぁ満足な図になり… 417 00:25:50,834 --> 00:25:54,100 あ しかし 某には― 418 00:25:54,300 --> 00:25:58,000 折田様は さほど海岸防備に 才のある方とは思われません 419 00:25:58,967 --> 00:26:01,367 へ? そうなのか? 420 00:26:01,600 --> 00:26:05,800 はい 地図を見れば分かることを 大げさに語る割に― 421 00:26:05,867 --> 00:26:07,767 中身がぞんざいで 大したことがねぇ 422 00:26:09,000 --> 00:26:11,233 ご公儀から 大事な御用を頂いたことで― 423 00:26:11,300 --> 00:26:13,333 鼻を高くし 名乗る時も― 424 00:26:13,533 --> 00:26:16,367 “摂海防禦御台場築造御用掛―” 425 00:26:16,433 --> 00:26:18,367 “摂海防禦御台場築造御用掛…” 426 00:26:18,433 --> 00:26:19,800 摂海 摂海― 427 00:26:19,867 --> 00:26:21,600 摂海防禦… 428 00:26:21,667 --> 00:26:24,433 毎度わざわざ言って 威張り散らしているような 429 00:26:24,633 --> 00:26:27,500 ほほう うわさと違うなぁ 430 00:26:27,767 --> 00:26:30,200 宮様にもあまり 相手にされていなかったし… 431 00:26:31,567 --> 00:26:34,567 折田は… 宮家に出入りしているのか? 432 00:26:35,700 --> 00:26:38,200 はい 島津の殿様の使いで― 433 00:26:38,266 --> 00:26:40,800 しばしば 山階宮(やましなのみや)様のもとへ参殿し― 434 00:26:41,100 --> 00:26:43,800 某も何度か 文を渡す使いに行かされました 435 00:26:47,800 --> 00:26:50,567 まあ あくまで 某の判断ではございますが― 436 00:26:50,900 --> 00:26:55,300 折田は 一橋家で召し抱えるほどの ものではないといって憚(はばか)りません 437 00:26:56,200 --> 00:26:58,166 うん なるほど… 438 00:26:59,467 --> 00:27:02,200 よぉし よくやった! 439 00:27:03,233 --> 00:27:07,500 もう十分だ お前は荷物をまとめて帰ってこい 440 00:27:07,667 --> 00:27:09,433 え? では もう隠密は… 441 00:27:09,500 --> 00:27:12,266 (円四郎) まあ もうしまいだ お疲れさん 442 00:27:14,200 --> 00:27:15,233 (篤太夫)あの 443 00:27:15,900 --> 00:27:16,934 (円四郎)ん? 444 00:27:19,066 --> 00:27:22,333 平岡様に重ねて 建言したいことがございます 445 00:27:28,300 --> 00:27:31,000 この一橋家は 既に我々のごとき― 446 00:27:31,233 --> 00:27:33,533 草莽(そうもう)の者を お召し抱えになっております 447 00:27:34,066 --> 00:27:36,500 もし 少しでも某が― 448 00:27:36,667 --> 00:27:38,667 お役に立ったと お考えであれば… 449 00:27:39,600 --> 00:27:45,033 この先 更に広く天下の志士を 抱えられてはいかがかと存じます 450 00:27:45,533 --> 00:27:49,166 それってえのは おめえの昔の仲間のことか? 451 00:27:50,100 --> 00:27:55,300 はい 関東の仲間には 相当な者が なっからおります 452 00:27:56,266 --> 00:27:59,433 大坂から戻りましたら その者たちの人選のため― 453 00:27:59,667 --> 00:28:03,900 某と喜作… 成一郎を― 454 00:28:04,767 --> 00:28:07,867 関東へと差し遣わせては いただけませんでしょうか 455 00:28:07,934 --> 00:28:09,166 いや 実はこっちも― 456 00:28:09,700 --> 00:28:14,000 優秀な家臣や兵を 増やさねばとは常々思っている 457 00:28:15,333 --> 00:28:17,934 しかし… 金がねぇ 458 00:28:18,700 --> 00:28:19,734 へ? 459 00:28:19,800 --> 00:28:23,000 さほど高い禄や 高い身分を望まずに― 460 00:28:23,900 --> 00:28:27,433 一橋家に仕えてやろうという 了見の者がいると思うか? 461 00:28:28,467 --> 00:28:30,633 おります 必ずおります 462 00:28:35,233 --> 00:28:36,266 分かった 463 00:28:37,433 --> 00:28:40,400 お主がそう言うなら 殿に建言してみよう 464 00:28:43,000 --> 00:28:44,033 ありがとうございます! 465 00:28:46,066 --> 00:28:48,934 (語り)薩摩は 朝廷と深く関わり 466 00:28:49,266 --> 00:28:51,934 政治の表舞台に 再び立とうと 467 00:28:52,000 --> 00:28:53,066 もくろみました 468 00:28:54,000 --> 00:28:55,700 そのため 禁裏 469 00:28:56,066 --> 00:28:58,533 つまり 京都御所を 警護する 470 00:28:58,800 --> 00:29:01,200 禁裏御守衛総督の 座を 471 00:29:01,367 --> 00:29:03,300 手に入れようと したのです 472 00:29:04,033 --> 00:29:06,066 薩摩が山階宮様に!? 473 00:29:06,266 --> 00:29:07,300 はい 474 00:29:07,800 --> 00:29:10,133 そうか… やはり薩摩が― 475 00:29:10,200 --> 00:29:13,767 禁裏御守衛総督の座を狙っている という流言は まことであったか 476 00:29:14,567 --> 00:29:17,867 もしそうなれば 薩摩は正式に朝廷を取り込み― 477 00:29:18,433 --> 00:29:20,367 京で政を始めることになる 478 00:29:22,400 --> 00:29:26,033 つまりこの日の本に 薩摩77万石の― 479 00:29:26,700 --> 00:29:28,967 もう一つの政府が出来ると同じ 480 00:29:29,834 --> 00:29:33,200 その謀(はかりごと)は… 何としても止めねばならぬ 481 00:29:35,700 --> 00:29:38,000 元はと言えば 私を担ぎ出したのも― 482 00:29:38,066 --> 00:29:40,333 天子様を担ぎ出したのも 薩摩ではあるが… 483 00:29:41,033 --> 00:29:43,400 今 天子様に信が厚いのは ご公儀と― 484 00:29:43,800 --> 00:29:46,166 京を守っている会津殿と そして私だ 485 00:29:46,600 --> 00:29:47,633 ごもっとも 486 00:29:48,100 --> 00:29:49,233 ご安心あれ 殿 487 00:29:49,834 --> 00:29:52,834 某と黒川殿で 更に公家方を回り― 488 00:29:53,734 --> 00:29:56,467 “是非何としても 禁裏御守衛総督は―” 489 00:29:57,166 --> 00:29:59,734 “一橋中納言様へ 仰せつけられたし”と― 490 00:30:00,600 --> 00:30:01,800 内願(ないがん)してまいります 491 00:30:02,066 --> 00:30:03,333 あぁ 頼んだぞ 492 00:30:04,633 --> 00:30:05,667 (円四郎・黒川)ははっ 493 00:30:07,300 --> 00:30:09,567 (円四郎)いや~ 頼もしいぜ 494 00:30:10,400 --> 00:30:14,467 昔は あれだけ政への関わりを 嫌がっていた殿が― 495 00:30:15,467 --> 00:30:17,233 今では生き生きとしてやがる! 496 00:30:18,133 --> 00:30:19,166 (黒川)うむ 497 00:30:21,033 --> 00:30:23,033 (語り)3月25日― 498 00:30:24,100 --> 00:30:27,667 慶喜は将軍後見職を免じられ… 499 00:30:30,133 --> 00:30:32,667 それと同時に朝廷から― 500 00:30:33,033 --> 00:30:36,433 禁裏御守衛総督に 任命されました 501 00:30:38,400 --> 00:30:39,734 京都守護職は 502 00:30:40,000 --> 00:30:43,367 会津藩主の 松平容保(まつだいらかたもり)が再任 503 00:30:44,166 --> 00:30:47,233 京都所司代は 容保の弟の 504 00:30:47,567 --> 00:30:51,100 桑名(くわな)藩主 松平定敬(さだあき)が就任 505 00:30:52,333 --> 00:30:54,867 京で一橋慶喜のもと― 506 00:30:55,100 --> 00:30:59,700 朝廷を取り込む 新しい体制が始まったのです 507 00:31:08,400 --> 00:31:10,667 (島津久光) くそ! 一橋が! 508 00:31:12,700 --> 00:31:15,533 一橋の悪辣(あくらつ)さは侮り難か 509 00:31:16,800 --> 00:31:19,333 まだ兵馬を持っとらんだけで― 510 00:31:20,834 --> 00:31:22,667 こんまま ほっておけば― 511 00:31:24,767 --> 00:31:29,033 天子様を擁して 天下に号令する勢いにないかねん 512 00:31:30,867 --> 00:31:33,033 (大久保一蔵(おおくぼいちぞう)) 平岡の力でございましょう 513 00:31:34,767 --> 00:31:35,800 (大久保) ちまたでは 514 00:31:36,333 --> 00:31:37,367 “天下の権” 515 00:31:37,667 --> 00:31:38,700 “朝廷に” 516 00:31:38,767 --> 00:31:40,166 “在るべくして 在らず” 517 00:31:40,567 --> 00:31:41,600 “幕府に在り” 518 00:31:41,900 --> 00:31:42,934 “幕府に” 519 00:31:43,000 --> 00:31:44,433 “在るべくして 在らず” 520 00:31:44,867 --> 00:31:46,233 “一橋に在り” 521 00:31:46,533 --> 00:31:47,667 “一橋に” 522 00:31:47,734 --> 00:31:49,133 “在るべくして 在らず” 523 00:31:49,467 --> 00:31:52,600 “平岡に在り”と 評されちょいもす 524 00:31:55,000 --> 00:31:58,467 今ん一橋は破れもはん 525 00:32:11,533 --> 00:32:13,200 国に戻いもんそ 526 00:32:13,667 --> 00:32:17,800 何? わしに 負けを認めっちゅうとか! 527 00:32:17,867 --> 00:32:19,533 いえ とんでもあいもはん 528 00:32:20,734 --> 00:32:25,233 異国との交易を盛んにし 富を得 兵を整え… 529 00:32:26,433 --> 00:32:29,333 将来の戦に備ゆっとでございもす 530 00:32:32,166 --> 00:32:35,734 (語り)久光は 西郷たちを藩邸に残し… 531 00:32:36,967 --> 00:32:42,133 側役(そばやく)の大久保一蔵らと 京を去ることになりました 532 00:32:45,767 --> 00:32:49,633 そして この時から… 薩摩藩の方針は― 533 00:32:50,033 --> 00:32:53,867 打倒徳川へと向かい始めたのです 534 00:32:59,133 --> 00:33:00,700 (慶喜)“重大の 任務を頂き” 535 00:33:01,500 --> 00:33:03,000 “父 烈公の 遺志を継ぎ” 536 00:33:03,400 --> 00:33:05,433 “何としても 尊攘(そんじょう)の志を” 537 00:33:05,700 --> 00:33:08,000 “貫き通すべしと 固く誓い候” 538 00:33:09,900 --> 00:33:11,533 “しかし兵に 不足しており” 539 00:33:12,367 --> 00:33:14,367 “水戸家の援助にて 勤め上げたく” 540 00:33:14,967 --> 00:33:16,834 “そこもとの都合が よろしければ” 541 00:33:17,400 --> 00:33:19,133 “200~300人 ばかり相率い” 542 00:33:19,300 --> 00:33:20,333 “京に出てきて” 543 00:33:20,400 --> 00:33:22,033 “私を扶助して いただきたく” 544 00:33:22,300 --> 00:33:23,667 “御願い入り候” 545 00:33:25,467 --> 00:33:29,433 (武田耕雲斎(たけだこううんさい)) 一橋様 今すぐ… 546 00:33:30,767 --> 00:33:32,233 (足音) 547 00:33:32,300 --> 00:33:33,333 (水戸家臣)耕雲斎様! 548 00:33:33,400 --> 00:33:35,333 ああ 何用じゃ? 549 00:33:35,734 --> 00:33:37,266 (水戸家臣)藤田(ふじた)小四郎(こしろう)以下62人― 550 00:33:37,700 --> 00:33:40,567 攘夷を唱え 筑波山(つくばさん)にて挙兵いたしました! 551 00:33:40,834 --> 00:33:41,867 何!? 552 00:33:54,333 --> 00:33:55,367 (藤田小四郎) 今より 553 00:33:55,433 --> 00:33:57,400 烈公のご遺志を 受け継ぎ 554 00:33:59,567 --> 00:34:01,967 幕府に 攘夷実行を迫る! 555 00:34:02,633 --> 00:34:04,133 (水戸藩士たち) おお~! 556 00:34:04,200 --> 00:34:06,333 (語り)そのころ 大坂では… 557 00:34:06,867 --> 00:34:09,533 これまで ありがとうございました 558 00:34:09,934 --> 00:34:12,834 おはんは大食らいで 飯代はかさんだどん ハハ… 559 00:34:13,200 --> 00:34:17,033 薩摩や上州信州(じょうしゅうしんしゅう)の言葉も よお理解し― 560 00:34:17,266 --> 00:34:20,133 皆ん間に入って 話をまとめっくれた 561 00:34:20,467 --> 00:34:22,233 大いに役に立ったど 562 00:34:22,500 --> 00:34:23,533 お そうだ 563 00:34:24,567 --> 00:34:27,667 薩摩の言葉を 一覧にしてまとめてみました 564 00:34:28,600 --> 00:34:31,867 置き土産として 何かのお役に立ててください 565 00:34:32,467 --> 00:34:33,500 偉か! 566 00:34:37,100 --> 00:34:38,734 (岡山藩士)おお こりゃあ ありがてえ 567 00:34:38,800 --> 00:34:41,967 (会津藩士)これなら きづい薩摩なまりも 一目(いちもぐ)瞭然だべ 568 00:34:42,033 --> 00:34:44,867 (薩摩藩士) なんち きつかとは北ん言葉じゃ 569 00:34:44,934 --> 00:34:48,800 (会津藩士)ハハハ 篤太夫 あんべえよかったべ 570 00:34:49,367 --> 00:34:50,400 ありがどなし 571 00:34:50,567 --> 00:34:51,600 そりゃあよかった 572 00:34:52,400 --> 00:34:56,066 一橋家に戻っ前に 殺しちょかんなならんど 573 00:34:57,166 --> 00:34:58,200 あぁ 574 00:35:00,967 --> 00:35:02,400 ん? 吉之助さあ? 575 00:35:08,333 --> 00:35:09,367 渋沢 576 00:35:10,767 --> 00:35:12,266 あ… はっ 577 00:35:16,000 --> 00:35:17,300 ちいっとやらんか? 578 00:35:26,633 --> 00:35:28,834 これが薩摩の豚ですか 579 00:35:30,867 --> 00:35:32,600 何とも言えねぇ香りだ 580 00:35:35,200 --> 00:35:38,800 おはん… 薩摩をどげん思うたか? 581 00:35:43,300 --> 00:35:46,233 どうせ平岡殿ん命で― 582 00:35:46,467 --> 00:35:48,567 こっちん様子でも 見に来たんじゃっどが? 583 00:35:49,734 --> 00:35:50,767 それは… 584 00:35:55,200 --> 00:35:57,700 平岡様の命もございます しかし― 585 00:35:58,633 --> 00:36:02,266 某は百姓から 武士になったばかりで― 586 00:36:02,600 --> 00:36:04,066 まだ多くを知らず― 587 00:36:04,133 --> 00:36:06,800 何でも学んでやろうという気概で 参りました 588 00:36:08,266 --> 00:36:10,633 正直なお人じゃ 589 00:36:13,967 --> 00:36:16,300 そいなら おはんは こん先… 590 00:36:19,033 --> 00:36:20,934 こん世は どげんなるち思う? 591 00:36:28,533 --> 00:36:32,800 某は… そのうち幕府が倒れ― 592 00:36:33,934 --> 00:36:38,266 どこかしらの強い豪族による 豪族政治が始まると思います 593 00:36:39,500 --> 00:36:41,734 幕府には はぁもう力がねぇし― 594 00:36:42,300 --> 00:36:45,333 天子様のおわす朝廷には 兵力がありません 595 00:36:46,633 --> 00:36:49,734 徳川の代わりに 誰かが治めるべきです 596 00:36:49,800 --> 00:36:54,166 それには 一橋様が よろしいのではないかと考えます 597 00:36:59,133 --> 00:37:02,000 たまがっほど正直じゃのう 598 00:37:05,200 --> 00:37:08,400 あいちゃ 酒がなか 599 00:37:19,066 --> 00:37:21,934 薩摩が治めっとじゃ いけもはんか? 600 00:37:27,633 --> 00:37:32,233 薩摩の今のお殿様には その徳は おありですか? 601 00:37:44,166 --> 00:37:47,100 おありなら それもよいと思います 602 00:37:48,100 --> 00:37:52,367 某は 徳ある方に 才ある者を用いて― 603 00:37:52,900 --> 00:37:54,834 この国を 一つにまとめてもらいてぇ 604 00:37:56,867 --> 00:38:02,734 しかし一橋の殿も ああ見えて なかなかのお方で… 605 00:38:09,233 --> 00:38:10,800 これはもう煮えていますか? 606 00:38:12,867 --> 00:38:16,800 ああ… おぉ よかよか 607 00:38:18,300 --> 00:38:19,333 食(た)もいやんせ 608 00:38:20,233 --> 00:38:21,266 では 609 00:38:34,500 --> 00:38:38,633 おぉ… 舌がとろけるようだ 610 00:38:38,700 --> 00:38:40,667 うまいです ハハハ 611 00:38:40,734 --> 00:38:41,767 そうじゃろう 612 00:38:45,400 --> 00:38:49,834 平岡殿も 面白かお人を 拾うてきたもんじゃ 613 00:38:50,967 --> 00:38:52,967 うまい ハハハハ 614 00:38:53,967 --> 00:38:55,000 そうだ 615 00:38:56,100 --> 00:38:59,467 平岡様も もしまた西郷様に会えたら― 616 00:38:59,734 --> 00:39:01,800 よろしく伝えてくれと 言っておりました 617 00:39:02,433 --> 00:39:03,467 ほうか 618 00:39:05,066 --> 00:39:06,867 誰が言うたか忘れたが― 619 00:39:07,967 --> 00:39:13,700 “円四郎は智弁俊逸(ちべんしゅんいつ) 左内(さない)は才識高邁(さいしきこうまい)”ちゅうてな 620 00:39:14,600 --> 00:39:15,900 3人で気張っちょったが― 621 00:39:16,767 --> 00:39:20,767 3人そろって 井伊(いい)の赤鬼にやられてしもた 622 00:39:22,066 --> 00:39:27,100 平岡殿も 一を聞いて十を知る男じゃっで― 623 00:39:27,867 --> 00:39:29,000 気を付けんといかん 624 00:39:30,734 --> 00:39:31,767 はい? 625 00:39:32,166 --> 00:39:35,000 あまい先んこつが 見え過ぎる人間は― 626 00:39:36,300 --> 00:39:40,433 往々にして 非業の最期を遂げてしまうとじゃ 627 00:39:46,967 --> 00:39:51,900 まぁ 戦も政も 何事(ないごと)もまずは腹ごしらえからじゃ 628 00:39:52,433 --> 00:39:54,633 ハッ… 大いに食もいやんせ 629 00:39:55,800 --> 00:39:56,834 はい! 630 00:40:02,066 --> 00:40:07,133 うまい 薩摩を見直しました! ハハハ 631 00:40:07,200 --> 00:40:09,166 今まで薩摩をどげん思っとったか 632 00:40:09,233 --> 00:40:10,300 ハハハハハ… 633 00:40:10,367 --> 00:40:11,400 ハハハハハハ… 634 00:40:31,133 --> 00:40:32,166 (篤太夫)誰だ? 635 00:40:35,734 --> 00:40:36,767 何か御用か? 636 00:40:40,333 --> 00:40:42,166 (恵十郎)ちょっと追ってくる 先に入っていろ 637 00:40:42,467 --> 00:40:43,500 ははっ 638 00:40:49,834 --> 00:40:53,633 (2人)一橋家家老並ご昇進 おめでとうございます 639 00:40:53,700 --> 00:40:54,934 おう… 640 00:40:55,667 --> 00:40:59,433 おい お主らの建白が 聞き届けられたぞ 641 00:41:00,066 --> 00:41:01,100 (篤太夫)おお! 642 00:41:01,734 --> 00:41:04,934 お主らを 関東の人選御用とした場合― 643 00:41:05,667 --> 00:41:08,000 どのぐらいの兵を 連れてくる自信があるんだ? 644 00:41:08,400 --> 00:41:14,233 まずは撃剣家(げきけんか)や漢学書生の中から 共に戦うに足る者を― 645 00:41:14,533 --> 00:41:17,500 30~40人は伴って 帰りたいと思います 646 00:41:17,934 --> 00:41:20,667 それ以外にも 義あるところであらば― 647 00:41:20,867 --> 00:41:24,667 命を捨てるも厭(いと)わぬ者を きっと多く集めてまいります 648 00:41:25,700 --> 00:41:28,066 うん よかろう 649 00:41:32,266 --> 00:41:33,633 渋沢篤太夫 650 00:41:34,100 --> 00:41:35,133 はい! 651 00:41:35,433 --> 00:41:36,734 渋沢成一郎 652 00:41:37,300 --> 00:41:38,333 はい! 653 00:41:39,033 --> 00:41:40,533 関東に出張を命ずる! 654 00:41:42,567 --> 00:41:45,100 一橋領 その他附近(ふきん)の諸村より― 655 00:41:45,767 --> 00:41:49,734 身元確かで人物堅固なる者を 召し抱えてこい! 656 00:41:51,133 --> 00:41:52,166 (2人)ははっ! 657 00:41:55,467 --> 00:41:57,166 (2人)ハハハハハハ… 658 00:41:57,233 --> 00:42:00,967 やったのう 久方ぶりの関東だい 659 00:42:01,033 --> 00:42:02,467 (成一郎) おう きっとやってやんべぇ 660 00:42:02,533 --> 00:42:04,433 (篤太夫)おう ハハハハハ… 661 00:42:05,767 --> 00:42:07,300 よし! 662 00:42:10,934 --> 00:42:12,266 (吉之助)あまい先んこつが― 663 00:42:12,333 --> 00:42:13,567 見え過ぎる人間は 664 00:42:14,233 --> 00:42:18,100 往々にして 非業の最期を遂げてしまうとじゃ 665 00:42:20,100 --> 00:42:21,133 (円四郎)フフ… 666 00:42:22,233 --> 00:42:25,133 (語り)順風満帆に見えた一橋家に― 667 00:42:25,734 --> 00:42:29,266 思いも寄らぬ波乱が 待ち受けていました 668 00:42:34,700 --> 00:42:37,533 (円四郎)一途(いちず)に 国のことを考えているかどうか 669 00:42:38,333 --> 00:42:41,400 まっとうに正直に 生きているかどうか 670 00:42:43,533 --> 00:42:46,600 おめえは おめえのまま生き抜け 671 00:42:49,266 --> 00:42:50,300 必ずだ 672 00:42:51,533 --> 00:42:52,533 はい 673 00:42:53,333 --> 00:42:56,967 どうして… どうして…