1 00:00:05,500 --> 00:00:06,900 (渋沢篤太夫(しぶさわとくだゆう))西洋でいうところの… 2 00:00:09,066 --> 00:00:11,233 “コンパニー”を始めさせていただきたい 3 00:00:11,867 --> 00:00:16,967 (語り)篤太夫は 駿府(すんぷ)で 新しい道を歩み始めました 4 00:00:18,667 --> 00:00:22,000 (五代才助(ごだいさいすけ))“駿府藩に 渋沢篤太夫というものあり” 5 00:00:24,100 --> 00:00:25,100 (五代) “民部公子(みんぶこうし)に” 6 00:00:25,166 --> 00:00:26,166 “随行したが” 7 00:00:26,333 --> 00:00:27,867 “自分一個の 才覚で” 8 00:00:28,266 --> 00:00:30,200 “4万両の利益を 蓄え” 9 00:00:30,834 --> 00:00:33,200 “この4万両を 駿府藩内に配分” 10 00:00:33,266 --> 00:00:36,467 (大隈重信(おおくましげのぶ))フランスで 4万両の利ば蓄えた!? 11 00:00:39,367 --> 00:00:40,433 渋沢… 12 00:00:40,500 --> 00:00:41,533 (語り)一方… 13 00:00:41,600 --> 00:00:43,834 (渋沢成一郎(せいいちろう))あぁ~! 14 00:00:46,900 --> 00:00:51,266 (語り) 箱館(はこだて)の旧幕府軍と新政府の戦いは― 15 00:00:51,633 --> 00:00:53,066 終結しました 16 00:00:55,834 --> 00:00:58,166 そして 明治(めいじ)二年の夏― 17 00:00:59,133 --> 00:01:01,867 全国の藩が 領地と領民とを― 18 00:01:01,934 --> 00:01:06,033 天皇に返還する版籍奉還が行われ… 19 00:01:06,934 --> 00:01:11,300 篤太夫たちのいる 駿府藩は 静岡藩となりました 20 00:01:12,000 --> 00:01:15,734 (平岡準(ひらおかじゅん)) 渋沢 遠州中泉(えんしゅうなかいずみ)奉行の前島(まえじま)だ 21 00:01:16,567 --> 00:01:18,033 行き場のない 幕臣たちの 22 00:01:18,100 --> 00:01:20,066 働き口や住まいを 与えようと 23 00:01:20,400 --> 00:01:22,133 遠州で 奔走してくれておる 24 00:01:23,133 --> 00:01:27,200 杉浦(すぎうら)君から うわさは聞いております あなた様が… 25 00:01:28,133 --> 00:01:31,233 (前島来輔(らいすけ))私は ペルリを見たことがある 26 00:01:32,667 --> 00:01:34,433 ペルリを じかに見たのですか? 27 00:01:35,533 --> 00:01:40,400 筆耕で 食いつないでいる頃 浦賀(うらが)奉行が 小者(こもの)を募っておったので志願した 28 00:01:41,900 --> 00:01:44,700 黒船とペルリの立派な体躯(たいく)を見て― 29 00:01:45,867 --> 00:01:49,934 このままじゃいかんと 海防を学びに国中を旅し― 30 00:01:50,233 --> 00:01:55,433 いざ国を救おうと直臣(じきしん)になったが 途端に 幕府が転覆 31 00:01:55,500 --> 00:02:00,100 おぉ 私も少々 境遇が似ております 32 00:02:00,567 --> 00:02:02,700 是非 お話を伺いたい 33 00:02:07,200 --> 00:02:09,900 (語り)慶喜(よしのぶ)は 謹慎を解かれ― 34 00:02:11,700 --> 00:02:15,567 1年半ぶりに 自由を得ることになりました 35 00:02:19,967 --> 00:02:22,133 (徳信院(とくしんいん))慶喜殿が赦(ゆる)されたことは― 36 00:02:23,033 --> 00:02:24,467 まこと めでたきこと 37 00:02:26,433 --> 00:02:27,433 (美賀君(みかぎみ))はい 38 00:02:30,033 --> 00:02:31,867 これも 一橋家(ひとつばしけ)の皆や 39 00:02:32,367 --> 00:02:33,700 徳信院様が 40 00:02:34,433 --> 00:02:36,333 寛大なご処置をと 41 00:02:36,867 --> 00:02:38,100 お上(かみ)に 42 00:02:38,166 --> 00:02:40,400 嘆願してくだされた おかげでございます 43 00:02:46,000 --> 00:02:48,500 (徳信院)それでは… 静岡へ? 44 00:02:51,233 --> 00:02:53,400 そのように命が参りましたが― 45 00:02:55,633 --> 00:02:58,533 今更 共に暮らすなどとは― 46 00:03:01,200 --> 00:03:03,433 気恥ずかしいものでございます 47 00:03:04,500 --> 00:03:05,533 (徳信院)フフフフ… 48 00:03:09,266 --> 00:03:13,266 私と慶喜殿の仲を疑い “汚らわしい!” 49 00:03:13,767 --> 00:03:14,433 (美賀君)離せ! 50 00:03:14,433 --> 00:03:14,767 (美賀君)離せ! 51 00:03:14,433 --> 00:03:14,767 (徳信院) 美賀君 何を! 52 00:03:14,767 --> 00:03:15,467 (徳信院) 美賀君 何を! 53 00:03:15,533 --> 00:03:17,300 腹立たしい! 離さぬか! 54 00:03:17,834 --> 00:03:22,367 この殿の汚らわしい恋心に 妾(わらわ)が気付かぬとお思いか! 55 00:03:22,700 --> 00:03:23,700 (徳信院)フフフフ… 56 00:03:23,900 --> 00:03:25,233 徳信院様! 57 00:03:25,834 --> 00:03:28,266 どうか そのころの話は もう… 58 00:03:33,500 --> 00:03:35,033 あなたが そばにいれば― 59 00:03:36,734 --> 00:03:39,633 慶喜殿も どれほど心強いか 60 00:03:51,967 --> 00:03:53,667 どうか お命を大事に― 61 00:03:55,967 --> 00:03:59,033 お健やかにとお伝えくだされ 62 00:04:02,633 --> 00:04:05,066 はい 必ず 63 00:04:08,633 --> 00:04:13,400 (語り)美賀君は 慶喜のいる静岡に 向かうことになりました 64 00:04:14,533 --> 00:04:16,133 その静岡では… 65 00:04:17,333 --> 00:04:19,367 東京に呼び出しでございますか? 66 00:04:19,667 --> 00:04:20,667 (大久保一翁(おおくぼいちおう))さよう 67 00:04:21,133 --> 00:04:22,800 (一翁) 太政官の弁官(べんかん)より 68 00:04:23,233 --> 00:04:25,233 お主に召状(めしじょう)が参った 69 00:04:27,800 --> 00:04:31,333 今は商いが忙しく とても伺えそうにありませぬ 70 00:04:32,367 --> 00:04:34,333 半年ほど先ならば どうにか 71 00:04:34,400 --> 00:04:36,834 (準)いいや 直ちに参れとのこと 72 00:04:37,767 --> 00:04:39,066 仔細(しさい)は分からぬが… 73 00:04:40,433 --> 00:04:41,734 お主に新政府への 74 00:04:41,800 --> 00:04:43,467 出仕を 求めているらしい 75 00:04:44,667 --> 00:04:45,900 出仕? 76 00:04:46,900 --> 00:04:49,100 ハッ… 冗談ではありませぬ 77 00:04:49,800 --> 00:04:53,934 某(それがし)は 前様(さきさま)のおられるこの静岡に 骨をうずめる覚悟 78 00:04:54,000 --> 00:04:58,166 それをなぜ 憎き新政府とやらに 出仕せねばならぬのか 79 00:04:58,333 --> 00:05:00,834 どうか 藩から 御免を願っていただきたい… 80 00:05:00,900 --> 00:05:04,000 (一翁)そうもいくまい こらこら 待て 渋沢! 81 00:05:04,066 --> 00:05:05,533 前様のお言葉じゃ! 82 00:05:07,500 --> 00:05:11,066 前様も 新政府の召喚であれば― 83 00:05:11,834 --> 00:05:14,133 受けるべきだと仰せである 84 00:05:18,133 --> 00:05:19,133 前様が… 85 00:05:21,333 --> 00:05:26,333 ♪~ 86 00:08:06,533 --> 00:08:11,533 ~♪ 87 00:08:12,767 --> 00:08:15,500 (渋沢千代(ちよ))あ~ うた 上手にできたいねぇ 88 00:08:15,567 --> 00:08:16,567 (渋沢うた)へぇ 89 00:08:18,200 --> 00:08:22,066 (向山一履(むこうやまかずふみ)) 新政府には 政を支える6つの柱があり― 90 00:08:22,900 --> 00:08:27,200 その中でも 懐をととのえているのが大蔵省だ 91 00:08:28,233 --> 00:08:32,600 今 大蔵省の頭は 宇和島(うわじま)の伊達(だて)様 92 00:08:32,900 --> 00:08:37,934 その下に佐賀の大隈というものと 長州(ちょうしゅう)の伊藤(いとう)というものがおる 93 00:08:38,400 --> 00:08:41,467 長州は分かりますが 佐賀もいるのですか? 94 00:08:42,000 --> 00:08:43,300 (田辺太一(たなべたいち)) 薩長土のみで 95 00:08:43,367 --> 00:08:45,800 中央の政が できるものか 96 00:08:46,967 --> 00:08:49,200 有能な家臣を 抱える越前(えちぜん)や 97 00:08:49,433 --> 00:08:50,834 異国に 詳しい佐賀らが 98 00:08:50,900 --> 00:08:51,934 補っておるのだ 99 00:08:52,900 --> 00:08:53,934 (向山)伊達様は 100 00:08:54,000 --> 00:08:55,867 四賢侯(しけんこう)といわれた お方だが 101 00:08:56,100 --> 00:08:57,700 実際 切り盛り しているのは 102 00:08:57,867 --> 00:09:00,934 きっと この大隈と 伊藤であろう 103 00:09:01,567 --> 00:09:05,400 (杉浦愛蔵(あいぞう))しかし 藩を通して言ってくるとは厄介(やっかい)だな 104 00:09:06,433 --> 00:09:07,433 おいで 105 00:09:07,667 --> 00:09:09,100 (杉浦) 無下(むげ)に断れば 106 00:09:09,467 --> 00:09:11,633 この静岡の立場も 悪くなる 107 00:09:12,266 --> 00:09:12,867 (千代)そうなのですか? 108 00:09:12,867 --> 00:09:13,300 (千代)そうなのですか? 109 00:09:12,867 --> 00:09:13,300 (杉浦)うん 110 00:09:13,300 --> 00:09:13,867 (杉浦)うん 111 00:09:14,033 --> 00:09:16,333 今 僕らの学問所や兵学校に― 112 00:09:16,734 --> 00:09:21,066 最新の西洋の知識を学びたいっていう人材が 全国から集まっているんです 113 00:09:22,333 --> 00:09:25,333 でも それを新政府がよく思っていない 114 00:09:25,967 --> 00:09:28,133 (向山)徳川(とくがわ)は邪魔だと斃(たお)しておきながら― 115 00:09:28,367 --> 00:09:32,000 徳川の直参を頼ってくるとは なんと恥知らずな! 116 00:09:32,066 --> 00:09:37,767 (田辺)しかりだ 我ら直参が 薩長の禄など はめるか! 117 00:09:38,066 --> 00:09:40,066 全くもって そのとおり! 118 00:09:41,033 --> 00:09:44,500 よし 一度 東京に出向き その… 119 00:09:46,800 --> 00:09:50,166 佐賀の大隈殿とやらに お受けできぬと― 120 00:09:50,533 --> 00:09:52,133 じかに返答してまいります 121 00:09:53,166 --> 00:09:55,967 藩から断れば 藩に迷惑がかかるが― 122 00:09:56,033 --> 00:09:59,600 じかに行って きちんと道理を通せば 断れぬことはあるまい 123 00:10:00,233 --> 00:10:02,667 とっさま ちゃんとお帰りになる? 124 00:10:02,734 --> 00:10:04,533 (篤太夫)当たりめえだ おいで 125 00:10:06,100 --> 00:10:11,100 当たりめえだ とっさまはな この地の商いが好きなんだ 126 00:10:12,533 --> 00:10:16,533 作る者と売る者が手を組み よりよいものを作って― 127 00:10:16,600 --> 00:10:19,367 それを工夫して売って もうけを出す 128 00:10:19,934 --> 00:10:22,133 どこか中の家(なかんち)を思い出す 129 00:10:24,400 --> 00:10:29,000 それにな もうじき お前には 弟か妹が出来る 130 00:10:29,066 --> 00:10:30,066 え!? 131 00:10:30,133 --> 00:10:31,133 おぉ そうなのか! 132 00:10:31,200 --> 00:10:33,066 お前様 こんな皆さんのいるところで… 133 00:10:33,133 --> 00:10:35,133 (篤太夫) いいじゃねぇか めでてぇ話だ 134 00:10:36,133 --> 00:10:38,700 俺たち一家は この先も― 135 00:10:38,767 --> 00:10:42,133 この静岡に しっかり根を下ろして 暮らしていくんだい 136 00:10:42,834 --> 00:10:44,800 (千代)でも 断りづれぇのでは? 137 00:10:44,867 --> 00:10:47,133 あぁ 大丈夫ですよ お千代さん 138 00:10:47,767 --> 00:10:50,233 渋沢には その口がある 139 00:10:50,967 --> 00:10:55,700 (向山)さよう 私もパリで どれほど小言を言われてきたことか 140 00:10:55,767 --> 00:10:56,500 まぁ 141 00:10:56,500 --> 00:10:56,900 まぁ 142 00:10:56,500 --> 00:10:56,900 (篤太夫)うむ 143 00:10:56,900 --> 00:10:57,500 (篤太夫)うむ 144 00:10:57,767 --> 00:11:01,667 この口で きっちり断って戻ってまいります 145 00:11:01,734 --> 00:11:02,767 (向山)うむ 146 00:11:03,700 --> 00:11:07,633 (語り)こうして篤太夫は 新政府に乗り込むため― 147 00:11:07,967 --> 00:11:09,767 東京へと向かいました 148 00:11:10,934 --> 00:11:12,100 その途中… 149 00:11:20,166 --> 00:11:23,000 (猪飼勝三郎(いかいかつさぶろう))渋沢! ハハハハ! 150 00:11:23,066 --> 00:11:25,934 (篤太夫)猪飼様! なぜここに? 151 00:11:26,367 --> 00:11:28,300 前様の御台(みだい)様と駿府に向かっておる 152 00:11:28,367 --> 00:11:29,400 (篤太夫)おぉ 153 00:11:29,467 --> 00:11:33,400 お主 今は 駿府の懐を潤しておると聞いたぞ 154 00:11:33,467 --> 00:11:34,633 (篤太夫)ハハハ… 155 00:11:35,066 --> 00:11:37,066 川村(かわむら)様や 昔なじみの皆様と 156 00:11:37,133 --> 00:11:38,166 励んでおります 157 00:11:38,233 --> 00:11:40,433 そうであったか! 158 00:11:42,600 --> 00:11:45,900 あちらが御台様だ 159 00:11:47,467 --> 00:11:51,734 (篤太夫)おぉ あのお方が上様の… 160 00:12:12,033 --> 00:12:15,800 (語り)かつて 徳川幕府の 象徴だった江戸城(えどじょう)は― 161 00:12:16,266 --> 00:12:19,734 新政府の拠点として使われていました 162 00:12:21,967 --> 00:12:23,533 (伊藤博文(ひろぶみ))わしゃ大蔵少輔(しょうゆう)の伊藤じゃ 163 00:12:24,233 --> 00:12:26,667 お主は大隈さんとわしの下で 働くことになる 164 00:12:27,467 --> 00:12:29,900 わしもエゲレスで学んだが お主はパリと聞いたぞ 165 00:12:31,166 --> 00:12:33,633 その西洋の知識を この新政府で生かすとええ 166 00:12:33,700 --> 00:12:38,033 否 某は御一新があり 多く学べぬまま帰国しました 167 00:12:39,066 --> 00:12:41,600 また 洋行前は― 168 00:12:42,300 --> 00:12:45,200 異人商館の焼き討(う)ちを企てていた身 169 00:12:45,433 --> 00:12:46,467 (博文)お? 170 00:12:46,533 --> 00:12:50,767 そんな己が新政府様などで 働くとは畏れ多いことと… 171 00:12:50,834 --> 00:12:52,166 で どこをやった? 172 00:12:52,867 --> 00:12:53,867 (篤太夫)あ? 173 00:12:54,033 --> 00:12:55,166 焼き討ちじゃ 174 00:12:56,066 --> 00:12:57,700 そうか 君もやったんか! 175 00:12:58,100 --> 00:13:00,700 そりゃあ スッとしたじゃろう で どこをやった? 176 00:13:01,667 --> 00:13:02,700 どこ? 177 00:13:04,166 --> 00:13:07,233 まぁ 横浜(よこはま)を焼き討ちにしてやろうと… 178 00:13:07,300 --> 00:13:10,467 そりゃ豪気なもんじゃ! わしゃ品川(しながわ)じゃ 179 00:13:10,900 --> 00:13:13,333 御殿山(ごてんやま)のエゲレス公使館に 焼玉(やきだま)をぶち込んじゃった 180 00:13:13,867 --> 00:13:17,333 え… エゲレス公使館を 焼き討ちにしたんですか? 181 00:13:17,400 --> 00:13:20,767 そうじゃ 井上(いのうえ)さんなんか 火薬の勢いに たまげあげて― 182 00:13:21,033 --> 00:13:22,533 空濠(からほり)に落っこってしもうた 183 00:13:22,600 --> 00:13:24,367 おぉ なんと! 184 00:13:25,133 --> 00:13:28,633 いや 貴公はエゲレスの公使館を 燃やしておきながら― 185 00:13:28,700 --> 00:13:30,400 エゲレスに学びに行ったのですか? 186 00:13:30,467 --> 00:13:34,066 おう そねえなことじゃ 今はすっかり異国びいきよ 187 00:13:34,734 --> 00:13:38,767 頭は柔らこういかんにゃなぁ ハハハハハハ… 188 00:13:39,934 --> 00:13:40,967 (三条実美(さんじょうさねとみ))あぁ~ 189 00:13:41,567 --> 00:13:42,600 (博文)あっ… 下がれ 190 00:13:43,100 --> 00:13:46,066 (三条)あぁ~ 忙しや 忙しや 191 00:13:51,066 --> 00:13:53,734 (博文) 新政府右大臣の三条実美様じゃ 192 00:13:54,767 --> 00:13:58,433 (篤太夫)なんと あのお方が新政府の頭? 193 00:13:59,567 --> 00:14:00,767 はぁ~ 194 00:14:01,834 --> 00:14:02,867 いや 違う! 195 00:14:06,433 --> 00:14:08,300 大隈様は いずこに? 196 00:14:10,900 --> 00:14:12,767 手ごわいぞ~ 197 00:14:15,233 --> 00:14:16,266 なぬ 198 00:14:24,633 --> 00:14:25,667 結構 199 00:14:26,867 --> 00:14:28,000 (大隈綾子(あやこ))失礼いたしました 200 00:14:35,734 --> 00:14:40,800 (小声で)刀ん代わりに 算盤(そろばん)でん携えた おとなしか男かと 201 00:14:41,600 --> 00:14:44,967 (博文) 気を付けれ 斬られるかもしれんぞ 202 00:14:45,367 --> 00:14:48,433 (いななき) 203 00:14:50,967 --> 00:14:52,300 (博文)あ~ ちょちょちょ 204 00:14:52,533 --> 00:14:54,567 (綾子) あなたがお呼びになったんでしょ 205 00:15:02,233 --> 00:15:03,367 (せきばらい) 206 00:15:18,533 --> 00:15:22,233 某は 渋沢篤太夫と申す 207 00:15:25,200 --> 00:15:29,533 お… 大蔵大輔(だゆう) 大隈重信ばい! 208 00:15:30,200 --> 00:15:31,800 やや お待ちしとった 209 00:15:31,967 --> 00:15:35,166 (篤太夫) 本題の前に 一つお伺いしたい 210 00:15:35,400 --> 00:15:36,433 (重信)ん? 211 00:15:36,967 --> 00:15:38,500 表につないであった馬 212 00:15:39,100 --> 00:15:44,100 あの馬は ナポレオン三世から 先の上様に贈られたはずのもの 213 00:15:44,533 --> 00:15:47,567 それが何故 貴公の邸(やしき)にあるのですか? 214 00:15:48,066 --> 00:15:50,000 (いななき) 215 00:15:50,633 --> 00:15:55,834 あぁ~ ありゃあ 皇城(こうじょう)の西ん丸の厩(うまや)に つながれたままになっとったけん― 216 00:15:56,834 --> 00:15:59,767 大蔵省の重役として 某が もらい受けた 217 00:16:01,567 --> 00:16:03,633 実に よか馬ばい 218 00:16:15,000 --> 00:16:16,700 そうだ 酒でもいかがかな 綾子… 219 00:16:16,767 --> 00:16:18,033 (篤太夫)結構でござる 220 00:16:19,700 --> 00:16:22,266 先ほど 太政官にて― 221 00:16:22,333 --> 00:16:26,233 民部・大蔵省租税司の正(かみ)という職を 仰せつけられましたが― 222 00:16:27,000 --> 00:16:30,867 早速 辞任いたしたく こちらに参りました 223 00:16:34,033 --> 00:16:37,967 某には 静岡での務めがあります 224 00:16:39,133 --> 00:16:43,133 また 大蔵省とやらに 一人の知人もおらず― 225 00:16:43,800 --> 00:16:47,000 租税司の職とて 何一つ知らぬところ 226 00:16:47,767 --> 00:16:50,000 この任は お門違いでありましょう 227 00:16:52,333 --> 00:16:55,100 (重信)うむ いや しかし… 228 00:16:55,166 --> 00:16:56,800 (篤太夫)また 本音を申せば― 229 00:16:57,300 --> 00:17:02,033 先の上様から 卑怯(ひきょう)にも政を奪った薩長の新政府に― 230 00:17:02,500 --> 00:17:05,333 どうして元幕臣の某が 勤めることができましょうか 231 00:17:06,967 --> 00:17:08,300 武士の情けとして― 232 00:17:08,834 --> 00:17:13,000 その辺りの人の真心も 重々ご理解いただきたい 233 00:17:13,834 --> 00:17:15,900 誰かさんに負けず劣らずの減らず口じゃ 234 00:17:16,166 --> 00:17:17,467 えぇ まことに 235 00:17:23,333 --> 00:17:24,367 渋沢君 236 00:17:26,233 --> 00:17:31,200 君は “某は少しも知らぬ”と 言うとうばってん… 237 00:17:32,100 --> 00:17:36,533 すっと おいが“何でん知っとう”と 思うとるのであるか? 238 00:17:37,333 --> 00:17:38,367 (篤太夫)ん? 239 00:17:38,433 --> 00:17:39,633 そいこそ お門違いばい 240 00:17:40,200 --> 00:17:41,934 おいも 何(なぁ)も知らん 241 00:17:42,100 --> 00:17:42,233 (篤太夫)え? 242 00:17:42,233 --> 00:17:43,133 (篤太夫)え? 243 00:17:42,233 --> 00:17:43,133 (重信)いっちょん いっちょん 何も知らん 244 00:17:43,133 --> 00:17:44,834 (重信)いっちょん いっちょん 何も知らん 245 00:17:45,233 --> 00:17:49,734 そがんじゃろ 徳川が260年続く間に 世界は こがん変わり― 246 00:17:50,233 --> 00:17:53,400 ヨーロッパや 生まれて100年ばかりの メリケンばかり栄え― 247 00:17:53,667 --> 00:17:56,600 唐土(もろこし)三千年の歴史とゆうても あのありさまばい 248 00:17:56,834 --> 00:18:01,367 そがん中(なか) 全くもって 新しか世ば始めようとすっとに― 249 00:18:01,433 --> 00:18:05,200 そんやり方ば知る者など おいも含め一人もおらん 250 00:18:05,433 --> 00:18:08,066 知らんから辞むっちゅうんでは 皆が辞めねばならん 251 00:18:08,266 --> 00:18:11,400 みんなが辞めてしもうたら この国は どがんなる? 252 00:18:11,900 --> 00:18:13,600 誰(だい)かが やらんばならんばい 253 00:18:14,233 --> 00:18:16,967 新政府においては 全てが新規に― 254 00:18:17,567 --> 00:18:21,033 種のまき直しなのであ~る! 255 00:18:21,200 --> 00:18:22,867 あ~る! あ~る! 256 00:18:26,567 --> 00:18:27,633 (篤太夫)なんと… 257 00:18:28,300 --> 00:18:30,934 そんなありさまで御一新をしたとは 258 00:18:32,500 --> 00:18:37,767 某は静岡にて“新政府は何をしている”と 不審に思っておりました 259 00:18:37,834 --> 00:18:43,400 太政官札にしろ税にしろ 朝令暮改で少しも制度が定まらず― 260 00:18:43,834 --> 00:18:46,133 民は振り回され 天子様の世になっても― 261 00:18:46,200 --> 00:18:49,367 何一つよいことがないと 悲憤慷慨(ひふんこうがい)しておりました 262 00:18:51,333 --> 00:18:53,467 まことに国のためを思うなら― 263 00:18:54,166 --> 00:18:57,867 新政府とやらは 徳川を切るべきではなかった 264 00:18:59,900 --> 00:19:03,567 天子様のもと 世界の知識を第一に持ちえた― 265 00:19:03,633 --> 00:19:06,834 徳川と諸侯が一体となり 政をするべきだったんだ 266 00:19:07,066 --> 00:19:09,467 上様には そのお覚悟があられた 267 00:19:09,533 --> 00:19:11,533 だから政を返したんだ! 268 00:19:12,500 --> 00:19:17,700 にもかかわらず 薩摩(さつま)や長州が 徳川憎しと戦を仕掛け… 269 00:19:17,767 --> 00:19:20,000 さもありなん! さもありなん! さもありなん! 270 00:19:20,066 --> 00:19:21,800 じゃがしかし! それについては― 271 00:19:21,867 --> 00:19:24,700 おいのあずかり知るところでは ないのである! 272 00:19:24,767 --> 00:19:25,834 はぁ? 273 00:19:25,900 --> 00:19:27,300 (重信)おいは長崎におった 274 00:19:27,367 --> 00:19:31,367 何やら奉行所が せからしかけん “何かにゃ~”と思うたら― 275 00:19:31,600 --> 00:19:36,967 京で 幕府と薩長が戦をしたっちゅうんで おいも長崎の異人もびっくいした 276 00:19:37,033 --> 00:19:39,567 は? なんという責任逃れ… 277 00:19:39,633 --> 00:19:43,166 (重信)あいは岩倉(いわくら)様と薩摩と長州が 勝手に始め― 278 00:19:43,333 --> 00:19:45,900 勝手に慶喜公が逃げたと 279 00:19:46,100 --> 00:19:47,667 おいはあずかり知らん 280 00:19:47,900 --> 00:19:48,500 (篤太夫)ちょ… 281 00:19:48,500 --> 00:19:48,900 (篤太夫)ちょ… 282 00:19:48,500 --> 00:19:48,900 (博文)そねえな言い方はなかろう 大隈さん 283 00:19:48,900 --> 00:19:50,300 (博文)そねえな言い方はなかろう 大隈さん 284 00:19:50,734 --> 00:19:53,100 佐賀にしても 上野(うえの)や会津(あいづ)の戦にゃ― 285 00:19:53,166 --> 00:19:55,100 アームストロング砲を どかんどかん やっちょったじゃないか 286 00:19:55,166 --> 00:19:56,166 そいも知らん 287 00:19:57,200 --> 00:19:59,100 戦は おいの領分ではなか 288 00:20:00,133 --> 00:20:04,433 ばってん とにもかくにも いろいろあって 今 王政は復古した 289 00:20:04,700 --> 00:20:06,100 そいは めでたか 290 00:20:06,734 --> 00:20:10,934 佐賀で学んだおいは とにかく今ん世ば ぶっ壊さねばと思うとった 291 00:20:11,533 --> 00:20:13,433 そいが まことにぶち壊れた 292 00:20:14,066 --> 00:20:15,433 じゃが壊しただけではいかん 293 00:20:15,800 --> 00:20:21,200 更に先に進み 真に新しか国家ば作らんばならん 294 00:20:21,600 --> 00:20:22,633 君は… 295 00:20:24,567 --> 00:20:28,233 新しか世ば 作りたいと思うたことはなかか? 296 00:20:32,967 --> 00:20:36,000 (渋沢栄一(えいいち)) 俺が守ってやんべぇ この国を 297 00:20:36,867 --> 00:20:39,300 百姓といえども大いに戦って― 298 00:20:40,600 --> 00:20:44,233 俺は… この世を変えたい 299 00:20:45,667 --> 00:20:48,867 幕府を変えるには この世を変えるには… 300 00:20:49,100 --> 00:20:52,700 天子様を戴(いただ)き 王道をもって天下を治める 301 00:20:53,233 --> 00:20:55,100 やむをえねぇ やっちまいましょう! 302 00:20:55,433 --> 00:20:57,867 この一橋が天下を治めるのです! 303 00:20:58,133 --> 00:21:00,333 (フランス語で) どんなことになっても この手で 304 00:21:00,500 --> 00:21:03,600 日本のために 尽くします 305 00:21:06,000 --> 00:21:07,000 いや しかし某は… 306 00:21:07,066 --> 00:21:09,100 (重信)今 国は荒れ― 307 00:21:10,400 --> 00:21:14,266 各地で 百姓の一揆が起き パークスら外国公使も― 308 00:21:14,467 --> 00:21:17,100 “ホワット? これが新しい日本か?” 309 00:21:17,700 --> 00:21:20,266 “全く信用できん”と ぶつくさ言うとる 310 00:21:20,333 --> 00:21:21,333 (博文)そのとおり 311 00:21:21,667 --> 00:21:24,233 外国から新政府の評判は いよっいよ悪い 312 00:21:24,500 --> 00:21:29,567 (重信)君ん言うとおり 岩倉様や 大久保(おおくぼ)さんが いくら張り切ろうと その実― 313 00:21:29,867 --> 00:21:32,000 新政府は まことに名ばかり 314 00:21:33,200 --> 00:21:35,433 恥ずかしか限りである 315 00:21:37,967 --> 00:21:39,166 御一新は終わりじゃなか 316 00:21:40,433 --> 00:21:42,867 国ば一つに まとめるとは こいからばい 317 00:21:44,066 --> 00:21:46,533 法律 軍事 教育… 318 00:21:47,033 --> 00:21:51,000 我ら大蔵省においては 貨幣の制度 税の取り立て― 319 00:21:51,200 --> 00:21:54,266 通信 度量の単位の制定や制度もまだばい 320 00:21:55,667 --> 00:22:00,367 全て古き因襲(いんしゅう)ば打破し 知識ば海外に求め― 321 00:22:00,700 --> 00:22:04,667 西洋にも負けん 新しか制度ば作らんばならん 322 00:22:05,467 --> 00:22:11,133 そんためには 外国の事情に通じたる 優秀なもんば 一刻も早(はよ)う政府に網羅し― 323 00:22:11,333 --> 00:22:17,233 それぞれ非常の奮励努力ばもって 協力同心するほかはないのである 324 00:22:17,867 --> 00:22:23,133 すなわち 日本中から 八百万(やおよろず)の神々ば集むるも同じ 325 00:22:27,100 --> 00:22:28,500 八百万の神? 326 00:22:28,900 --> 00:22:29,967 (重信)さよう 327 00:22:30,033 --> 00:22:32,967 君も神 おいも神ばい 328 00:22:33,900 --> 00:22:36,233 日本ば思う神々が寄り集まり― 329 00:22:37,166 --> 00:22:41,900 こいから いかにし 新しか国ば作ろうかと思案する 330 00:22:42,633 --> 00:22:43,800 君も そん一人 331 00:22:45,667 --> 00:22:48,700 八百万の神の一柱ばい 332 00:22:53,667 --> 00:22:56,734 いやいや 某が神の一柱とは… 333 00:22:56,800 --> 00:22:59,400 (重信)しかり 我こそが国のために― 334 00:22:59,734 --> 00:23:02,133 これをやってやりたいと 思うことはなかか? 335 00:23:05,233 --> 00:23:08,900 皆で骨ば折り 新しか国ば作ろうではないか 336 00:23:11,166 --> 00:23:12,667 おいは渋沢君に 今日にでも… 337 00:23:14,367 --> 00:23:18,300 一柱として 日本を作る場に― 338 00:23:18,734 --> 00:23:21,233 立ってほしいのであ~る! 339 00:23:30,967 --> 00:23:34,100 はぁ はぁ はぁ… 340 00:23:34,667 --> 00:23:35,700 おい… 341 00:23:58,934 --> 00:23:59,967 (千代)お前様? 342 00:24:04,600 --> 00:24:05,667 完全に言い負けた 343 00:24:08,066 --> 00:24:13,200 (千代)まぁ お前様より 口の立つ方がおられるとは 344 00:24:14,800 --> 00:24:15,834 そう言うなよ 345 00:24:16,767 --> 00:24:20,734 すぐに荷物をまとめて 一家で東京に来いと言われた 346 00:24:23,400 --> 00:24:24,734 なんという横暴だ 347 00:24:26,133 --> 00:24:30,500 くそぉ… どうしてこうなる? 348 00:24:32,133 --> 00:24:34,100 俺の道は行き止まりばかりだ 349 00:24:36,734 --> 00:24:38,967 命をかけた焼き討ちは中止 350 00:24:39,734 --> 00:24:42,033 倒幕を目指せば一橋に仕え― 351 00:24:42,567 --> 00:24:46,367 己の道を見つけたかと思えば 幕臣となり― 352 00:24:46,433 --> 00:24:49,133 あげく 主(あるじ)まで失った 353 00:24:51,867 --> 00:24:53,633 それで ようやくだ 354 00:24:54,400 --> 00:24:59,433 ようやく安住の地を 見つけたと思っていたのに もう… 355 00:24:59,834 --> 00:25:03,333 あぁ~ またこれだ! 356 00:25:05,967 --> 00:25:07,000 えぇ 357 00:25:08,433 --> 00:25:13,700 そうやってお蚕様みてぇに 何度も何度も脱皮しながら― 358 00:25:14,700 --> 00:25:17,967 よくぞ生き残ってくださいました 359 00:25:30,033 --> 00:25:32,500 喜作(きさく)も 生きていた 360 00:25:34,100 --> 00:25:35,133 え? 361 00:25:42,767 --> 00:25:46,567 (篤太夫)東京の軍務官糾問所に 投獄されているそうだ 362 00:25:50,667 --> 00:25:54,266 このまま 打ち首の可能性もある 363 00:25:59,834 --> 00:26:03,600 あいつは もとより 死は覚悟していたんだろう 364 00:26:06,467 --> 00:26:07,500 俺も あの時― 365 00:26:10,367 --> 00:26:12,767 日本にいれば 同じ目に遭っていてもおかしくねぇ 366 00:26:18,033 --> 00:26:19,600 あいつは もう一人の俺だ 367 00:26:27,633 --> 00:26:29,900 (徳川慶喜) 八百万の神とは恐れ多いことを 368 00:26:30,700 --> 00:26:31,700 (篤太夫)ははっ 369 00:26:33,066 --> 00:26:37,633 新しき政府は 思い描いていた以上に混乱の極み 370 00:26:38,633 --> 00:26:40,367 むちゃくちゃなありさまでございました 371 00:26:43,400 --> 00:26:49,133 某は 新政府は そう遠くない未来に 必ず崩れると考えております 372 00:26:51,600 --> 00:26:53,800 第一に 人材がおりません 373 00:26:55,100 --> 00:26:59,900 薩長の政権かと思えば 島津(しまづ)や毛利(もうり)の殿様に力がなく― 374 00:27:01,333 --> 00:27:05,934 世間知らずの公家や田舎侍 草莽(そうもう)の成り上がりなんかが威張るばかり 375 00:27:07,533 --> 00:27:12,533 大隈という方もおっしゃっていたが 新政府とは名ばかり 376 00:27:12,800 --> 00:27:14,500 御一新は始まってもおりませぬ 377 00:27:18,834 --> 00:27:23,533 某は この上は ここ静岡で力を貯(たくわ)え― 378 00:27:23,867 --> 00:27:26,233 新政府が転覆したその時こそ― 379 00:27:26,567 --> 00:27:30,333 我らで 新しい日本を守るべきだと存じます 380 00:27:33,567 --> 00:27:36,367 (慶喜) ここはよいが 外では気を付けよ 381 00:27:39,200 --> 00:27:40,233 知らぬのか 382 00:27:41,166 --> 00:27:45,300 今 静岡には 岩倉殿の密偵が多く紛れ込んでいる 383 00:27:46,834 --> 00:27:49,734 徳川が 朝廷に 恭順しているように見せかけ― 384 00:27:50,333 --> 00:27:52,767 陰謀を企てていると怪しんでいるのだ 385 00:27:54,033 --> 00:27:56,967 そなたのような 威勢のよいことを考えるものが― 386 00:27:57,033 --> 00:27:58,633 まだ少なからずおるからな 387 00:28:00,700 --> 00:28:02,467 しかし私には その気はない 388 00:28:05,100 --> 00:28:09,066 そなたも とやかく言わず 東京に行ったらどうだ? 389 00:28:11,800 --> 00:28:14,233 まだ日本は 危急存亡のときだ 390 00:28:16,567 --> 00:28:18,066 こうなって つくづく思う 391 00:28:19,200 --> 00:28:21,100 東照神君(とうしょうしんくん)は偉大であった 392 00:28:22,333 --> 00:28:23,767 260年だ 393 00:28:25,200 --> 00:28:29,266 あのような国づくりをできるお方は 千年に一人もおらぬであろう 394 00:28:31,367 --> 00:28:34,000 東照神君なくして国をつくるなら― 395 00:28:35,166 --> 00:28:39,233 八百万とは言わずとも 多くが力を合わせるしかない 396 00:28:45,734 --> 00:28:47,166 (篤太夫)承服できませぬ 397 00:28:49,600 --> 00:28:55,100 某には 上様が何をお考えなのか分かりません 398 00:28:57,600 --> 00:28:59,233 ひと事のように言われては困る 399 00:29:03,834 --> 00:29:08,266 上様ならできた 上様は消えるべきではなかった 400 00:29:08,333 --> 00:29:09,367 あなたこそが― 401 00:29:10,400 --> 00:29:14,467 朝廷や大名たちをまとめ 新しい日本を作るべきだったんです! 402 00:29:14,533 --> 00:29:16,266 行きたいと思っておるのであろう? 403 00:29:18,266 --> 00:29:21,400 日本のため その腕を振るいたいと 404 00:29:25,333 --> 00:29:27,100 ならば 私のことは忘れよ 405 00:29:28,834 --> 00:29:32,500 私は御台を呼び寄せ このように邸を構え― 406 00:29:33,066 --> 00:29:38,200 時には西洋の絵を学び 碁を打ち 心穏やかに過ごしている 407 00:29:49,433 --> 00:29:50,700 これが最後の命だ 408 00:29:54,233 --> 00:29:55,233 渋沢― 409 00:29:58,166 --> 00:29:59,967 この先は日本のために尽くせ 410 00:30:20,200 --> 00:30:21,233 (篤太夫)ははっ 411 00:30:24,667 --> 00:30:25,667 (慶喜)うむ 412 00:30:37,333 --> 00:30:41,166 では 士分となった際に― 413 00:30:42,100 --> 00:30:45,834 平岡(ひらおか)様から頂いた “篤太夫”の名をお返しし― 414 00:30:47,700 --> 00:30:49,500 もとの名に戻したいと存じます 415 00:30:50,934 --> 00:30:52,133 もとの名とは何だ? 416 00:30:57,667 --> 00:31:00,867 渋沢栄一と申します 417 00:31:04,166 --> 00:31:05,600 渋沢栄一… 418 00:31:12,900 --> 00:31:16,800 (栄一)某は渋沢栄一でございます! 419 00:31:19,266 --> 00:31:21,100 渋沢栄一でございます! 420 00:31:24,567 --> 00:31:27,433 フッ… そんな名であったかなぁ 421 00:31:39,633 --> 00:31:45,066 今まで ありがとうございました 422 00:31:50,066 --> 00:31:51,133 (慶喜)渋沢栄一 423 00:31:54,934 --> 00:31:55,967 ははっ 424 00:31:58,100 --> 00:31:59,133 (慶喜)大儀であった 425 00:32:01,700 --> 00:32:02,767 息災を祈る 426 00:32:14,266 --> 00:32:15,300 ははっ! 427 00:32:51,367 --> 00:32:52,400 (篤太夫)申し訳ない 428 00:32:56,033 --> 00:32:59,300 新政府など ぶっ潰れてしまえと俺も思う 429 00:33:01,233 --> 00:33:03,600 しかし… 俺は今― 430 00:33:05,600 --> 00:33:10,266 上様のためにも 捕まっている成一郎たちのためにも― 431 00:33:11,900 --> 00:33:17,400 徳川をぶっ潰したやつらに お前たちだけではできなかっただろうと― 432 00:33:18,000 --> 00:33:20,934 徳川があってよかったと 徳川なしには― 433 00:33:22,834 --> 00:33:27,667 日本は守れなかったと 思い知らせてやりてぇんだ 434 00:33:34,567 --> 00:33:35,600 見せてやれ 435 00:33:38,367 --> 00:33:39,800 幕臣の意地を! 436 00:33:42,934 --> 00:33:43,967 どこにいても― 437 00:33:47,400 --> 00:33:49,734 僕は渋沢の友だ 438 00:33:54,433 --> 00:33:55,734 あ~! 439 00:33:58,934 --> 00:33:59,967 あ~! 440 00:34:04,133 --> 00:34:05,233 渋沢! 441 00:34:06,066 --> 00:34:07,100 杉浦! 442 00:34:09,033 --> 00:34:10,166 杉浦! 443 00:34:10,700 --> 00:34:13,100 (うた)また おうちがかわるの? 444 00:34:13,967 --> 00:34:17,333 せっかく友達もできたんに 勘弁してくれいな 445 00:34:18,166 --> 00:34:21,500 東京は ここよりずっと 血洗島(ちあらいじま)と近(ちけ)ぇから― 446 00:34:22,000 --> 00:34:24,066 きっと じいさま ばあさまとも 会えますよ 447 00:34:24,133 --> 00:34:25,367 やった~! 448 00:34:25,433 --> 00:34:28,333 ハハハ 早速 文で知らせねぇと 449 00:34:28,934 --> 00:34:30,066 (男性)渋沢さ~ん! 450 00:34:32,767 --> 00:34:34,200 後ろ髪を引かれますが― 451 00:34:35,200 --> 00:34:38,667 この先は皆さんに お願いするよりほかはありませぬ 452 00:34:41,266 --> 00:34:45,433 (準)聞いたぞ 渋沢 渋沢がおらねば困る 453 00:34:45,600 --> 00:34:47,567 (篤太夫)あぁ まことに申し訳ない… 454 00:34:47,934 --> 00:34:49,333 (川村恵十郎(えじゅうろう))何を困っておられる 455 00:34:49,900 --> 00:34:50,900 (準)え? 456 00:34:51,800 --> 00:34:57,467 (恵十郎)もうここは 静岡藩の手を離れた立派なコンパニーだ 457 00:34:59,100 --> 00:35:00,200 (萩原四郎兵衛(はぎわらしろべえ))さよう 458 00:35:00,767 --> 00:35:03,567 (萩原)これっからも我々が 静岡を盛り上げていかまいや! 459 00:35:03,633 --> 00:35:04,633 (商人)おう! 460 00:35:04,700 --> 00:35:05,834 (商人)任しよ~! 461 00:35:06,100 --> 00:35:09,033 おぉ 頼もしい 頼みましたぞ 462 00:35:09,567 --> 00:35:10,633 (一同)はい! 463 00:35:11,100 --> 00:35:12,100 (商人)おし! やるぞ! 464 00:35:12,166 --> 00:35:13,166 (商人)おう! 465 00:35:13,233 --> 00:35:14,266 (商人)仕事に戻るぞ! 466 00:35:24,500 --> 00:35:26,100 (美賀君)お久しゅうございます 467 00:35:28,467 --> 00:35:29,500 (慶喜)うむ 468 00:35:30,433 --> 00:35:35,266 上野におった折 寝具や衣類を 運び入れてくれたこと 感謝しておる 469 00:35:46,934 --> 00:35:47,967 何だ? 470 00:35:49,734 --> 00:35:55,333 (美賀君)あまりに久しぶりの お目もじで このようなお顔やったかしらと… 471 00:35:56,200 --> 00:35:58,367 京からホトガラフを送ったであろう 472 00:36:02,800 --> 00:36:07,700 あれなら 一橋のお屋敷を出された時に 置いてまいりました 473 00:36:08,834 --> 00:36:12,700 後には 天璋院(てんしょういん)様が入られたゆえ― 474 00:36:14,200 --> 00:36:17,867 きっと すぐに お捨てにならしゃられたことでしょう 475 00:36:53,900 --> 00:36:54,900 よく… 476 00:36:58,166 --> 00:37:03,000 よく生きていてくださりました 477 00:37:18,734 --> 00:37:23,033 (美賀君)妾はどうしても 御前(ごぜん)の子が欲しい 478 00:37:25,667 --> 00:37:29,400 天璋院様や静寛院宮(せいかんいんのみや)様は― 479 00:37:30,500 --> 00:37:32,233 何度も妾に― 480 00:37:34,033 --> 00:37:38,633 “慶喜に腹を切るよう勧めろ”と おっしゃった 481 00:37:42,767 --> 00:37:46,800 それでも御前は今 こうして生きおおせたのじゃ 482 00:37:50,033 --> 00:37:55,300 妾は 何としてでも 御前のお子を残してみせる 483 00:37:59,000 --> 00:38:00,100 そして… 484 00:38:05,033 --> 00:38:07,400 立派に育ててみせる 485 00:38:32,033 --> 00:38:34,667 (岩倉具視(ともみ))お上は 東京の暮らしにも慣れられ― 486 00:38:34,734 --> 00:38:38,934 勉学のみならず もうお馬にも上手にお乗りになられる 487 00:38:39,367 --> 00:38:43,834 んまぁ 外の風に当たることも 稀(まれ)であったお上が… 488 00:38:44,066 --> 00:38:45,533 (大久保利通(としみち))すばらしかこと 489 00:38:46,300 --> 00:38:48,600 (利通)新しき世の 天子様には 490 00:38:48,967 --> 00:38:52,533 全ての民の父たる 天賦の御職掌を 491 00:38:52,600 --> 00:38:54,200 重んじて いただきとう 492 00:38:54,266 --> 00:38:55,633 お頼みもしゃげもす 493 00:38:55,700 --> 00:38:58,834 (岩倉)うむ この先は王土王臣(おうどおうみん) 494 00:38:59,266 --> 00:39:00,633 土地も人民も 495 00:39:00,700 --> 00:39:02,166 お上の下に あることを 496 00:39:02,233 --> 00:39:03,767 しかと 知らしめねばのう 497 00:39:04,900 --> 00:39:10,033 ばってん 肝心の長州と薩摩が 当てにならんとはのう 498 00:39:10,333 --> 00:39:13,467 (松平春嶽(まつだいらしゅんがく)) さよう 島津殿がへそを曲げ― 499 00:39:13,734 --> 00:39:18,300 維新の立て役者であった西郷(さいごう)殿までが 国に帰ってしまうとは 500 00:39:19,433 --> 00:39:20,967 (伊達宗城(むねなり))五代も 去ってしまい 501 00:39:21,033 --> 00:39:23,633 木戸(きど)も長州の騒動で 手いっぱいだ 502 00:39:24,800 --> 00:39:26,600 そいより 榎本(えのもと)らの 503 00:39:26,667 --> 00:39:27,700 処分で ございもすが… 504 00:39:27,767 --> 00:39:29,333 (春嶽) いや それよりも 505 00:39:29,500 --> 00:39:32,266 我が越前の三岡(みつおか)が 作った太政官札に 506 00:39:32,333 --> 00:39:33,333 まだ文句を 507 00:39:33,400 --> 00:39:34,600 言うものがおると 聞いた 508 00:39:34,667 --> 00:39:35,667 けしからん 509 00:39:35,734 --> 00:39:36,433 (重信)いえ そいは… 510 00:39:36,433 --> 00:39:36,767 (重信)いえ そいは… 511 00:39:36,433 --> 00:39:36,767 (栄一) 失礼つかまつります 512 00:39:36,767 --> 00:39:37,567 (栄一) 失礼つかまつります 513 00:39:37,633 --> 00:39:38,767 (岩倉)ん? 誰や? 514 00:39:38,834 --> 00:39:43,100 おぉ 渋沢君 来てくるっと思うとったぞ! 515 00:39:43,300 --> 00:39:43,800 渋沢? 516 00:39:43,800 --> 00:39:44,300 渋沢? 517 00:39:43,800 --> 00:39:44,300 (栄一)ははっ 518 00:39:44,300 --> 00:39:44,800 (栄一)ははっ 519 00:39:46,266 --> 00:39:49,166 大隈様 本日より出仕し― 520 00:39:49,233 --> 00:39:53,834 江戸城… ではなく 皇城をぐるりと回り― 521 00:39:54,066 --> 00:39:56,967 政をつぶさに観察しておりましたが… 522 00:39:58,767 --> 00:40:00,500 こりゃあ駄目でございます 523 00:40:00,800 --> 00:40:01,834 ん? 駄目? 524 00:40:01,900 --> 00:40:04,333 (栄一)あまりに何もできていない むちゃくちゃだ 525 00:40:04,834 --> 00:40:05,934 むちゃくちゃ! 526 00:40:06,000 --> 00:40:08,367 (重信)いや… そがんなことはなか 527 00:40:08,567 --> 00:40:09,600 とりあえず あっちへ… 528 00:40:10,100 --> 00:40:11,133 いたたたたた… 529 00:40:12,533 --> 00:40:15,467 城にいる者は確かに皆 励んではいます 530 00:40:15,834 --> 00:40:19,266 しかし 目の前のことをこなすことに 精いっぱいで― 531 00:40:19,500 --> 00:40:24,500 東照大権現様のように この先5年 10年 100年先の日本が― 532 00:40:24,567 --> 00:40:27,133 どうなるかを考えて励んでる者が 一人もいない 533 00:40:27,734 --> 00:40:28,734 (重信)痛か~! 534 00:40:28,800 --> 00:40:29,800 いや… いや…! 535 00:40:29,867 --> 00:40:33,867 (栄一)このままでは 新政府は あっという間に破綻します 536 00:40:33,934 --> 00:40:34,934 は? 537 00:40:35,000 --> 00:40:37,133 (利通)おい おはんは何(ない)を! 538 00:40:37,367 --> 00:40:39,533 あ… あんたは どこの誰や! 539 00:40:40,133 --> 00:40:43,033 一橋に仕えておりました 渋沢栄一と申します 540 00:40:46,033 --> 00:40:51,433 まことに新しい国を作るなら 高所から 何をどうすべきか― 541 00:40:51,500 --> 00:40:54,433 きちんと道筋を立てて 考えねばなりません 542 00:40:55,667 --> 00:40:59,033 そのためにも 民部・大蔵省に― 543 00:40:59,400 --> 00:41:02,100 新しき一柱を立てていただきたい 544 00:41:03,533 --> 00:41:04,700 新しい一柱? 545 00:41:04,767 --> 00:41:05,800 (栄一)ははっ 546 00:41:06,900 --> 00:41:09,467 未来を見通す優秀な人材を集め― 547 00:41:09,700 --> 00:41:13,600 順序よく次々と 国の中身を改めていく一柱 548 00:41:17,000 --> 00:41:18,033 言うならば… 549 00:41:18,533 --> 00:41:19,567 失礼 550 00:41:20,667 --> 00:41:21,667 えっ… 551 00:41:28,900 --> 00:41:33,166 正しく改める掛(かかり) すなわち… 552 00:41:34,867 --> 00:41:36,934 改正掛でございます! 553 00:41:40,567 --> 00:41:41,700 (足音) 554 00:41:41,767 --> 00:41:43,133 (博文)ここにおったんか 渋沢! 555 00:41:43,633 --> 00:41:45,033 捜しちょったんじゃ 556 00:41:49,266 --> 00:41:50,767 ここは大蔵省じゃないぞ 557 00:42:03,266 --> 00:42:05,200 大変失礼いたしました! 558 00:42:06,500 --> 00:42:08,333 大隈様がいたもんだから つい… 559 00:42:08,800 --> 00:42:09,834 (宗城)早く連れていけ 560 00:42:09,900 --> 00:42:10,900 (重信)はっ! 561 00:42:10,967 --> 00:42:11,734 (栄一)失礼しました! 562 00:42:11,734 --> 00:42:12,066 (栄一)失礼しました! 563 00:42:11,734 --> 00:42:12,066 (博文)ささささ… 564 00:42:12,066 --> 00:42:12,133 (博文)ささささ… 565 00:42:12,133 --> 00:42:12,767 (博文)ささささ… 566 00:42:12,133 --> 00:42:12,767 あぁ… 567 00:42:12,767 --> 00:42:13,133 あぁ… 568 00:42:13,200 --> 00:42:14,200 何しとんじゃ 569 00:42:15,367 --> 00:42:16,834 なぜ こんなことに… 570 00:42:17,400 --> 00:42:18,433 (三条)はぁ… 571 00:42:18,500 --> 00:42:21,233 (岩倉)何や 今の失礼な男は… 572 00:42:21,967 --> 00:42:24,233 (語り)明治2年11月 573 00:42:24,800 --> 00:42:28,834 渋沢篤太夫改め 渋沢栄一は― 574 00:42:29,266 --> 00:42:31,967 明治新政府に出仕しました 575 00:42:32,033 --> 00:42:33,433 (栄一) ひと言 言えたでしょう! 576 00:42:33,500 --> 00:42:35,834 この国に急ぎ入り用なものとは… 577 00:42:35,900 --> 00:42:37,333 (赤松則良(あかまつのりよし))正しい丈量(じょうりょう)でございましょう 578 00:42:37,400 --> 00:42:38,900 メートリックを試してみたらええ! 579 00:42:38,967 --> 00:42:39,800 (杉浦)郵便 580 00:42:39,800 --> 00:42:40,233 (杉浦)郵便 581 00:42:39,800 --> 00:42:40,233 (前島密(ひそか))郵便だ 582 00:42:40,233 --> 00:42:40,800 (前島密(ひそか))郵便だ 583 00:42:40,867 --> 00:42:43,200 (重信)養蚕のことは君に任す! 584 00:42:43,266 --> 00:42:44,266 (渋沢市郎右衛門(いちろうえもん)) いいから… 585 00:42:44,333 --> 00:42:45,734 (千代) 私がやりますから 586 00:42:45,800 --> 00:42:47,467 出過ぎたまねは すんな! 587 00:42:47,533 --> 00:42:49,000 (井上馨(かおる)) また異国に行くんか 588 00:42:49,066 --> 00:42:50,233 (尾高惇忠(おだかじゅんちゅう)) 平九郎は新政府に 589 00:42:50,300 --> 00:42:51,300 殺されたんだ! 590 00:42:51,367 --> 00:42:54,033 西郷は まだ 出てきぃひんのか? 591 00:42:54,100 --> 00:42:56,266 お通り~ 592 00:42:56,333 --> 00:42:57,800 時が足りねぇ!