1 00:00:05,533 --> 00:00:06,600 (渋沢市郎右衛門(しぶさわいちろうえもん))栄一(えいいち) 2 00:00:10,867 --> 00:00:12,367 ありがとう 3 00:00:38,934 --> 00:00:42,266 (語り)渋沢市郎右衛門の 初七日が済み… 4 00:00:43,700 --> 00:00:45,133 (渋沢てい) 才三郎(さいざぶろう)さん 来られたにい 5 00:00:46,834 --> 00:00:47,867 (須永(すなが)才三郎)お邪魔いたします 6 00:00:48,066 --> 00:00:51,567 (語り)ていと めおとになる 須永才三郎が― 7 00:00:51,633 --> 00:00:53,300 挨拶にやって来ました 8 00:00:54,867 --> 00:00:55,900 (才三郎)栄一さん 9 00:01:04,100 --> 00:01:05,133 お父上より 10 00:01:05,934 --> 00:01:07,567 渋沢市郎(いちろう)を 名乗るよう 11 00:01:07,900 --> 00:01:08,934 仰せつかりました 12 00:01:10,233 --> 00:01:12,867 どうぞ よろしく お願いいたします 13 00:01:19,734 --> 00:01:22,600 (てい)喪が明けたら 祝言を挙げることにしたんだに 14 00:01:23,600 --> 00:01:27,333 (渋沢千代(ちよ))そう お義父(とう)様も きっとお喜びだに 15 00:01:30,133 --> 00:01:32,400 (渋沢栄一)どうか この家を― 16 00:01:33,600 --> 00:01:36,433 おていや かっさまを よろしく頼みます 17 00:02:09,300 --> 00:02:10,700 (千代)井上(いのうえ)様からですか? 18 00:02:11,100 --> 00:02:12,133 (栄一)ん? 19 00:02:14,266 --> 00:02:16,066 うん… うん… 20 00:02:16,967 --> 00:02:19,567 まぁ お忙しいこと… 21 00:02:33,133 --> 00:02:34,166 (栄一)お千代 22 00:02:42,433 --> 00:02:46,266 折り入って 話をせねばならんことがある 23 00:02:55,000 --> 00:02:56,033 (栄一)大丈夫かい… 24 00:02:57,834 --> 00:02:58,867 気を付いてな 25 00:03:03,934 --> 00:03:04,967 お千代 26 00:03:12,033 --> 00:03:13,433 あ 実は… 27 00:03:13,500 --> 00:03:14,533 (大内(おおうち)くに)奥様どすか? 28 00:03:17,500 --> 00:03:18,533 堪忍どす! 29 00:03:19,133 --> 00:03:20,166 (栄一)おぉ 危ねぇ! 30 00:03:23,867 --> 00:03:24,900 堪忍どす 31 00:03:26,100 --> 00:03:29,567 迷惑かけるよって 一人で 大阪で産むつもりやったんどす 32 00:03:33,667 --> 00:03:34,700 すまねぇ 33 00:03:36,433 --> 00:03:40,233 は… 腹の子は 俺の子なんだ 34 00:03:42,734 --> 00:03:46,133 くには 大阪で 俺の世話をしてくれていた 35 00:03:46,767 --> 00:03:47,800 身寄りがいねぇ 36 00:03:48,734 --> 00:03:50,834 ほっとくわけにもいかねぇ だから… 37 00:03:50,900 --> 00:03:52,033 (千代)そうでしたか 38 00:03:57,033 --> 00:03:58,166 そうですか 39 00:03:59,967 --> 00:04:01,600 お前様のお子が 40 00:04:06,333 --> 00:04:07,367 そうですか 41 00:04:09,567 --> 00:04:10,600 それなら… 42 00:04:12,900 --> 00:04:13,934 おくにさん 43 00:04:18,700 --> 00:04:21,967 おくにさんも おなかのお子も― 44 00:04:24,066 --> 00:04:26,400 ここで共に 暮らせばよいではありませんか 45 00:04:27,633 --> 00:04:28,667 (くに)え… 46 00:04:29,200 --> 00:04:30,233 (栄一)お千代… 47 00:04:31,433 --> 00:04:32,834 お前様のお子です 48 00:04:34,467 --> 00:04:35,700 共に育てましょう 49 00:04:39,166 --> 00:04:41,367 (くに)あぁ… おおきに 50 00:04:42,367 --> 00:04:43,734 おおきに ありがとうございます! 51 00:04:44,367 --> 00:04:45,400 (栄一)ありがとう… 52 00:04:46,734 --> 00:04:49,233 ありがとう お千代! 恩に着る! 53 00:05:13,000 --> 00:05:15,200 (ため息) 54 00:05:24,667 --> 00:05:29,667 ♪~ 55 00:08:10,066 --> 00:08:15,066 ~♪ 56 00:08:29,000 --> 00:08:31,367 (牢屋(ろうや)番)渋沢成一郎(せいいちろう) 出ろ! 57 00:08:31,900 --> 00:08:32,934 (錠が開く音) 58 00:08:37,066 --> 00:08:38,433 (牢屋番)釈放だとよ 59 00:08:40,433 --> 00:08:46,400 (語り)箱館(はこだて)で戦った成一郎が 2年半ぶりに釈放されました 60 00:08:48,100 --> 00:08:49,467 (おはる) お帰りなさいませ 客間の方に… 61 00:08:49,533 --> 00:08:50,567 (栄一)あぁ 62 00:08:51,233 --> 00:08:52,266 喜作(きさく)! 63 00:09:00,266 --> 00:09:01,300 喜作… 64 00:09:13,233 --> 00:09:14,367 久しぶりだのう 65 00:09:17,800 --> 00:09:18,834 (渋沢成一郎)あぁ 66 00:09:21,567 --> 00:09:23,233 本や金子の差し入れ― 67 00:09:25,333 --> 00:09:26,367 感謝している 68 00:09:28,867 --> 00:09:29,900 うん 69 00:09:49,200 --> 00:09:50,667 共に村を出た時は― 70 00:09:52,166 --> 00:09:56,033 おめぇと こんなに道を違(たが)えるとは 思わなかった 71 00:09:58,100 --> 00:09:59,133 よくもまぁ― 72 00:10:02,266 --> 00:10:03,500 互いに生き延びたもんだ 73 00:10:03,567 --> 00:10:05,934 “死ね”と文をよこしたではないか 74 00:10:09,333 --> 00:10:11,000 いいご身分だのう 75 00:10:12,433 --> 00:10:17,500 俺は おめぇがいなくなった分も 命をかけて奉公してたんだ! 76 00:10:19,133 --> 00:10:21,567 それを 薩長の政府などに勤め― 77 00:10:23,033 --> 00:10:25,133 わざわざ獄に迎えを出すとは― 78 00:10:26,467 --> 00:10:27,633 何の嫌みだ! 79 00:10:31,967 --> 00:10:33,000 何だい 80 00:10:34,800 --> 00:10:37,166 しょげてるかと思えば 威勢がいいじゃねぇか 81 00:10:37,233 --> 00:10:38,266 だったら言ってやるよ 82 00:10:40,300 --> 00:10:41,600 なぜあんなことをした? 83 00:10:45,033 --> 00:10:46,367 何が彰義隊(しょうぎたい)だ 84 00:10:47,300 --> 00:10:49,934 何が振武軍(しんぶぐん)だ 何が箱館軍だ! 85 00:10:50,000 --> 00:10:51,033 うるせぇ! 86 00:10:51,800 --> 00:10:55,266 おめぇに 俺の気持ちが分かってたまるか! 87 00:10:58,066 --> 00:10:59,100 俺は 88 00:11:01,667 --> 00:11:02,967 おめぇとは違う! 89 00:11:08,834 --> 00:11:10,400 たくさんの死を見た 90 00:11:10,467 --> 00:11:11,734 (銃声) 91 00:11:14,600 --> 00:11:15,633 (銃声) 92 00:11:18,600 --> 00:11:20,900 (成一郎)訳も分からねぇうちに 果てたものも 93 00:11:21,533 --> 00:11:23,266 自ら死を選ぶものも… 94 00:11:25,967 --> 00:11:30,600 砲弾で手足が吹っ飛び 頭蓋骨を砕かれた仲間の姿が― 95 00:11:32,500 --> 00:11:34,200 今も頭から消えねぇ 96 00:11:34,533 --> 00:11:37,233 あぁ~! 97 00:11:38,266 --> 00:11:40,800 あぁ~! 98 00:11:52,133 --> 00:11:53,400 平九郎(へいくろう)のことも… 99 00:11:58,000 --> 00:12:03,233 いっそ死ねばよかったんだい 100 00:12:07,500 --> 00:12:08,533 しかし― 101 00:12:12,166 --> 00:12:13,934 日がたてばたつほど― 102 00:12:17,834 --> 00:12:18,867 未練が… 103 00:12:24,300 --> 00:12:25,333 よかった 104 00:12:28,100 --> 00:12:29,400 死なねぇでよかった 105 00:12:31,567 --> 00:12:33,500 生きてれば こうして文句も言い合える 106 00:12:37,867 --> 00:12:38,900 よかった! 107 00:12:41,133 --> 00:12:42,166 うるせぇ 108 00:13:03,467 --> 00:13:04,500 (渋沢よし)お前さん! 109 00:13:07,066 --> 00:13:08,100 (よし)お前さん! 110 00:13:09,800 --> 00:13:10,834 およし! 111 00:13:11,000 --> 00:13:15,367 あぁ お前さんだ よかった… 112 00:13:16,400 --> 00:13:17,433 (成一郎)およし… 113 00:13:30,467 --> 00:13:33,633 (語り) 成一郎は“喜作”と名を戻し― 114 00:13:34,800 --> 00:13:39,400 栄一の推薦で 大蔵省で働くことになりました 115 00:13:41,900 --> 00:13:43,600 このころ 栄一は― 116 00:13:44,000 --> 00:13:47,667 経済の新しい仕組みを 作ろうとしていました 117 00:13:48,934 --> 00:13:50,233 (井上馨(かおる))おぉ 失敬 失敬! 118 00:13:50,900 --> 00:13:52,400 (江藤新平(えとうしんぺい))遅かぞ! 大蔵省 119 00:13:52,600 --> 00:13:56,300 (三条実美(さんじょうさねとみ))こんな時に重臣が そろいもそろって外遊とは… 120 00:13:56,367 --> 00:13:57,400 (大隈重信(おおくましげのぶ))全く… 121 00:13:57,567 --> 00:13:58,600 (井上)大隈さん 122 00:13:58,934 --> 00:14:01,066 鬼のいぬ間に 何とやらじゃ 123 00:14:01,700 --> 00:14:03,533 今のうちに 経済と税制を 124 00:14:03,600 --> 00:14:04,867 見違えるように しちゃる! 125 00:14:04,934 --> 00:14:06,133 (江藤) 何ば言うか! 126 00:14:06,200 --> 00:14:07,233 (井上)は? 127 00:14:07,300 --> 00:14:09,333 (江藤)お主らに そうさせんために 128 00:14:10,066 --> 00:14:12,533 大久保(おおくぼ)さんは 旅立つ時にわざわざ 129 00:14:12,600 --> 00:14:15,100 こがん約定に 判ば押させたとばい 130 00:14:16,200 --> 00:14:17,233 約定? 131 00:14:18,533 --> 00:14:21,567 (大久保(おおくぼ)利通(としみち)) 国内のことは一応任すっが― 132 00:14:22,400 --> 00:14:27,633 使節団派遣の間は 新規の改正をするべからず 133 00:14:29,200 --> 00:14:33,433 留守中は 廃藩置県に関する処理のみ行い― 134 00:14:34,266 --> 00:14:37,567 そのほかは何(ない)もすんな 135 00:14:39,333 --> 00:14:40,367 よかか 136 00:14:41,266 --> 00:14:45,333 (井上)“新規の改正を 要すべからず…” 137 00:14:46,700 --> 00:14:48,734 実に大久保さんらしい 138 00:14:51,066 --> 00:14:53,567 しかしこれは 裏を返せば… 139 00:14:54,467 --> 00:14:56,800 “廃藩置県後の処理であれば―” 140 00:14:56,867 --> 00:14:58,800 “大いにやれ” ということでございますな 141 00:14:58,867 --> 00:15:00,900 (江藤)はぁ? そがん屁理屈(へりくつ)ば… 142 00:15:00,967 --> 00:15:03,133 (井上)おぉ そうじゃ 廃藩置県のあとも― 143 00:15:03,200 --> 00:15:06,800 藩札の回収と 円への統一は 思うように進んじゃおらん 144 00:15:06,867 --> 00:15:08,367 そのためのバンクだ 145 00:15:08,734 --> 00:15:09,767 (重信)バンク? 146 00:15:09,967 --> 00:15:14,633 バンクが 円を国中に広めることで 政府の税収が安定する 147 00:15:14,700 --> 00:15:15,734 のみならず― 148 00:15:16,200 --> 00:15:18,567 新しき商売を始める者を 後押しし― 149 00:15:18,900 --> 00:15:23,834 日本の商業を盛り上げ 国や民を富ませることができる! 150 00:15:31,533 --> 00:15:32,533 (大隈綾子(あやこ))どうぞ 151 00:15:32,600 --> 00:15:35,033 おぉ… あっ 152 00:15:35,100 --> 00:15:36,200 ありがとうございます 153 00:15:37,233 --> 00:15:38,266 しかし― 154 00:15:39,100 --> 00:15:41,500 大隈さんは なぜ 日本に残ったんです? 155 00:15:42,834 --> 00:15:45,200 政府の使節は もとはと言えば― 156 00:15:45,633 --> 00:15:48,066 大隈さんが建議したのが 始まりのはず 157 00:15:50,533 --> 00:15:51,567 (井上) 大久保さんじゃ 158 00:15:53,100 --> 00:15:55,834 これ以上 外交で大隈さんに 出しゃばられちゃ困ると― 159 00:15:56,233 --> 00:15:57,533 使節団から外したんじゃ 160 00:15:57,967 --> 00:16:01,066 夫は よほど 大久保様に疎まれているようで― 161 00:16:02,834 --> 00:16:05,633 五代(ごだい)様も案じて 文を下さいました 162 00:16:06,066 --> 00:16:07,100 五代さんが? 163 00:16:09,667 --> 00:16:10,700 (五代友厚(ともあつ)) “この友厚…” 164 00:16:11,900 --> 00:16:14,033 “これまでの恩に 報いるため” 165 00:16:15,066 --> 00:16:16,433 “閣下の欠点を” 166 00:16:16,934 --> 00:16:19,166 “あえて述べるので お許しを” 167 00:16:21,734 --> 00:16:26,333 “一つ 人の話に我慢して 耳を傾けよ” 168 00:16:27,033 --> 00:16:32,166 “一つ 己の主張のみならず 他人の意見を褒めよ” 169 00:16:32,233 --> 00:16:33,467 (笑い声) 170 00:16:34,000 --> 00:16:37,633 (栄一)“大声で どなるな せっかちは厳禁―” 171 00:16:38,633 --> 00:16:41,700 “嫌いな人とも きちんとつきあえ…” 172 00:16:41,767 --> 00:16:43,400 (笑い声) 173 00:16:43,467 --> 00:16:44,633 (井上)よう人を見ちょる 174 00:16:46,066 --> 00:16:47,100 (重信)渋沢! 175 00:16:47,767 --> 00:16:48,800 はい! 176 00:16:48,967 --> 00:16:50,166 (重信)名前はどがんすっか? 177 00:16:50,233 --> 00:16:50,667 (栄一)はい? 178 00:16:50,667 --> 00:16:51,266 (栄一)はい? 179 00:16:50,667 --> 00:16:51,266 (重信) この“ナショナル バンク”の 180 00:16:51,266 --> 00:16:52,767 (重信) この“ナショナル バンク”の 181 00:16:52,834 --> 00:16:54,033 我が国での 呼び名たい 182 00:16:54,400 --> 00:16:56,433 あぁ… “ナショナル”は 183 00:16:56,500 --> 00:16:57,800 “国”の 意味ですから 184 00:16:58,133 --> 00:17:00,500 役割でいえば “国立為替会社”か 185 00:17:00,633 --> 00:17:02,133 “国立両替商”で よいのでは? 186 00:17:02,200 --> 00:17:03,600 (井上) いや そんでは 187 00:17:03,667 --> 00:17:05,066 いかにも 締まりが悪い 188 00:17:06,467 --> 00:17:09,967 福地(ふくち)は確か “バンク”を “銀舗(ぎんぽ)”と訳していましたが 189 00:17:09,967 --> 00:17:10,033 福地(ふくち)は確か “バンク”を “銀舗(ぎんぽ)”と訳していましたが 190 00:17:09,967 --> 00:17:10,033 銀舗? 191 00:17:10,033 --> 00:17:10,900 銀舗? 192 00:17:10,900 --> 00:17:10,967 銀舗? 193 00:17:10,900 --> 00:17:10,967 (井上) では 金子を扱うから“金舗(きんぽ)”か… 194 00:17:10,967 --> 00:17:13,300 (井上) では 金子を扱うから“金舗(きんぽ)”か… 195 00:17:13,367 --> 00:17:16,967 (栄一)いや “金舗”よりも “金子のことを行う”の意で― 196 00:17:17,200 --> 00:17:18,667 “金行(きんこう)”は いかがですか 197 00:17:19,433 --> 00:17:21,633 “行”は清国で“店舗”を意味する 198 00:17:21,867 --> 00:17:23,233 金行? 199 00:17:24,000 --> 00:17:26,934 ばってん 今 我が国で使(つこ)うとっとは 金より銀ばい 200 00:17:27,000 --> 00:17:28,133 おぉ そうじゃ そうじゃ 201 00:17:29,934 --> 00:17:31,600 銀… 行? 202 00:17:36,533 --> 00:17:39,400 (小野(おの)善右衛門(ぜんえもん)) “国立ぎん… ぎょう…” 203 00:17:39,800 --> 00:17:41,100 銀行です 204 00:17:41,600 --> 00:17:43,100 (三野村(みのむら)利左衛門(りざえもん))ああ 銀行 205 00:17:43,500 --> 00:17:47,467 (栄一)名は国立銀行だが あくまで民(みん)による会社にしたい 206 00:17:48,233 --> 00:17:51,967 よって 早急に 小野組 三井(みつい)組の両者合同で― 207 00:17:52,266 --> 00:17:54,266 銀行設立の支度にかかってほしい 208 00:17:55,300 --> 00:17:56,967 (三野村) しかし渋沢様 209 00:17:57,633 --> 00:17:59,400 井上様にも 再三 210 00:17:59,467 --> 00:18:01,433 申し上げて おりますが 211 00:18:01,734 --> 00:18:04,734 三井の望みは 合同ではなく 212 00:18:04,800 --> 00:18:07,867 三井のみのバンク 銀行でござんす 213 00:18:08,567 --> 00:18:13,433 どうか この国最初の銀行は 三井組に仰せつけを 214 00:18:13,800 --> 00:18:14,834 (小野)はぁ? 215 00:18:15,967 --> 00:18:19,300 三井は また出し抜く気ぃかいな 216 00:18:20,000 --> 00:18:21,467 御一新当初 217 00:18:21,834 --> 00:18:23,834 三井を口説き 島田(しまだ)を口説き 218 00:18:23,900 --> 00:18:26,433 新政府様を お助けしたのは 219 00:18:27,000 --> 00:18:28,934 この小野組です なぁ? 220 00:18:29,200 --> 00:18:32,633 小野さんには 銀行はまだ… 221 00:18:32,700 --> 00:18:36,433 (栄一)銀行は 必ず合同でやってもらいたい 222 00:18:40,333 --> 00:18:44,600 確かに 御一新がなったのは あなた方 商人の力です 223 00:18:45,567 --> 00:18:48,367 あれほど金もまとまりもねぇ 薩長の政府を― 224 00:18:48,433 --> 00:18:51,133 よくぞ ここまで 支えてくれたもんだと頭が下がる 225 00:18:53,266 --> 00:18:54,834 そんな商人の力を― 226 00:18:55,300 --> 00:18:57,800 もっと大きくするために 銀行を作る 227 00:18:59,066 --> 00:19:01,834 政府ではなく 商人が作るんだ 228 00:19:03,266 --> 00:19:06,133 その仕組みが 合本です 229 00:19:08,834 --> 00:19:09,867 ガッポ? 230 00:19:10,166 --> 00:19:11,200 カッパだよ 231 00:19:12,133 --> 00:19:13,367 が… 合本です 232 00:19:14,166 --> 00:19:15,200 ガッポンだ… 233 00:19:16,233 --> 00:19:19,266 (栄一)ですからまずは 三井組と小野組が― 234 00:19:19,834 --> 00:19:21,200 手を合わせていただきたい 235 00:19:21,266 --> 00:19:22,300 (三野村)すばらしい! 236 00:19:22,567 --> 00:19:26,300 商人を さように 大切に考えていただくことは― 237 00:19:26,367 --> 00:19:29,333 まことにもって ありがたいですが― 238 00:19:30,367 --> 00:19:33,467 そのありがたいお話を 239 00:19:33,533 --> 00:19:36,667 果たして誰が理解できるものか 240 00:19:38,100 --> 00:19:43,333 まぁ どうしても渋沢様が 合同でと言うのなら― 241 00:19:43,400 --> 00:19:47,333 そりゃ いずれはお受けいたしますが 242 00:19:48,400 --> 00:19:52,200 いろいろと手筈(てはず)が… なぁ 243 00:19:54,900 --> 00:19:55,934 そうか 244 00:19:57,266 --> 00:19:58,867 二組は 仲は悪いが― 245 00:19:59,600 --> 00:20:03,700 合同銀行の依頼を受ける気がない ということは一致しておるようだ 246 00:20:05,767 --> 00:20:08,667 いたずらに遅れれば 国の損失となる… 247 00:20:11,700 --> 00:20:12,734 やむをえぬ 248 00:20:13,300 --> 00:20:15,633 大蔵省は 三井組 小野組の 249 00:20:15,700 --> 00:20:17,333 官金取り扱いを 取りやめる 250 00:20:17,600 --> 00:20:18,066 おい! 251 00:20:18,066 --> 00:20:18,633 おい! 252 00:20:18,066 --> 00:20:18,633 (小野)は? いや それはどういう… 253 00:20:18,633 --> 00:20:20,500 (小野)は? いや それはどういう… 254 00:20:20,500 --> 00:20:20,667 (小野)は? いや それはどういう… 255 00:20:20,500 --> 00:20:20,667 (栄一)大蔵省は 新しく作る合同銀行に― 256 00:20:20,667 --> 00:20:23,333 (栄一)大蔵省は 新しく作る合同銀行に― 257 00:20:23,400 --> 00:20:25,467 為替御用掛(がかり)を命じるつもりだ 258 00:20:26,533 --> 00:20:28,633 三井 小野が 小競り合いを繰り返し― 259 00:20:28,834 --> 00:20:31,300 銀行一つ まとまらぬというのであれば― 260 00:20:31,367 --> 00:20:33,633 官金を扱うような大事は 任せられぬ 261 00:20:34,367 --> 00:20:37,300 双方 今 預けている官金を 全て返納せよ 262 00:20:37,467 --> 00:20:42,333 (小野)おおっ… 官金の返納? そないなこと できるはずが… 263 00:20:42,400 --> 00:20:44,266 お待ちください! 渋沢様! 264 00:20:46,100 --> 00:20:50,266 いやはや 政府様が そこまでお急ぎとは― 265 00:20:50,500 --> 00:20:52,834 失礼いたしました 266 00:20:53,967 --> 00:20:56,734 しからば三井 万障繰り合わせ― 267 00:20:57,233 --> 00:21:01,000 明日にでも 小野組と合同の銀行を作ること― 268 00:21:01,367 --> 00:21:03,000 その手筈を整えまする! 269 00:21:03,166 --> 00:21:05,533 ははっ 同じく! 270 00:21:06,266 --> 00:21:08,834 (三野村)この先も 不都合筋は― 271 00:21:08,900 --> 00:21:12,000 “これこれ よろしからず”と おっしゃっていただければ― 272 00:21:12,066 --> 00:21:16,400 もう全て 思(おぼ)し召しのとおりにいたしまする 273 00:21:27,367 --> 00:21:31,400 (語り)喜作は 大蔵省から富岡(とみおか)に派遣され― 274 00:21:32,333 --> 00:21:36,567 製糸場の開業準備を 手伝うことになりました 275 00:21:41,100 --> 00:21:42,967 (フランス語で) 工場は間もなく 完成するので 276 00:21:43,233 --> 00:21:46,734 来月には 試運転を始める 277 00:21:47,500 --> 00:21:48,667 (通訳)極めて順調だと 278 00:21:48,867 --> 00:21:49,900 (尾高惇忠(おだかじゅんちゅう))あぁ 279 00:21:49,967 --> 00:21:52,166 資材や人足(にんそく)に不足はないか? 280 00:21:52,800 --> 00:21:56,133 (フランス語) 281 00:21:56,533 --> 00:21:58,367 (フランス語で) 何の問題もない 282 00:21:58,667 --> 00:22:00,667 惇忠 君の― 283 00:22:01,066 --> 00:22:02,800 リーダーシップの おかげだ 284 00:22:03,033 --> 00:22:04,100 (惇忠)メルシー ブリュナ 285 00:22:04,367 --> 00:22:05,400 (ポール・ブリュナ)メルシー 286 00:22:09,100 --> 00:22:10,734 すまん 待たせたな 287 00:22:13,300 --> 00:22:17,500 狐狸(こり)の住みかだった富岡に こんなのが建つとは 288 00:22:18,266 --> 00:22:21,367 (惇忠)この工場も ここまで来るのに苦労した 289 00:22:22,000 --> 00:22:26,967 最初は メートル法も 煉瓦(れんが)の作り方も分からなかった 290 00:22:27,834 --> 00:22:30,834 監督のブリュナたちを 富岡に呼ぶだけでも― 291 00:22:31,100 --> 00:22:34,667 この地の住民たちから “神仏のたたりが起こる!”と― 292 00:22:35,467 --> 00:22:36,567 大反対された 293 00:22:38,934 --> 00:22:41,133 だが 気持ちは分かる 294 00:22:41,967 --> 00:22:43,900 昔の俺たちも変わらねぇ 295 00:22:46,800 --> 00:22:48,066 そうだな… 296 00:22:51,066 --> 00:22:54,533 あのあにぃが フランス人と働いているとは 297 00:22:55,300 --> 00:22:56,333 ハハ… 298 00:22:56,934 --> 00:23:01,734 腹を割って向き合ってみれば 結局は 人と人だった 299 00:23:03,867 --> 00:23:05,967 さすがだのう 300 00:23:08,633 --> 00:23:10,633 よかった… 元気そうで 301 00:23:11,233 --> 00:23:13,300 なかなか似合うでねえか 断髪も 302 00:23:13,667 --> 00:23:18,166 いやぁ いまだ浦島太郎(うらしまたろう)の気分だ 303 00:23:18,400 --> 00:23:19,433 ハハ… 304 00:23:19,900 --> 00:23:24,667 (渋沢喜作)獄にいた2年半で こんなに世が変わっちまうとは 305 00:23:26,567 --> 00:23:29,166 パリから戻った栄一も そんなことを言っていた 306 00:23:31,133 --> 00:23:33,967 変わったのは… 栄一だ 307 00:23:36,767 --> 00:23:40,266 あいつは バンクだ カッパだと指図し― 308 00:23:40,600 --> 00:23:45,100 俺なんか その下の下の 憎き薩長の政府の7等出仕だい 309 00:23:47,400 --> 00:23:49,633 パリと獄とでは 雲泥の差だ 310 00:23:51,533 --> 00:23:52,633 雲泥の差か 311 00:23:53,867 --> 00:23:55,533 俺も似たようなことを感じた 312 00:23:56,867 --> 00:23:57,900 だがな 喜作― 313 00:23:59,233 --> 00:24:04,200 生き残った以上 俺たちも 前に進まぬわけにはいがねえ 314 00:24:17,767 --> 00:24:24,066 (語り)この年の夏 三井組が 新しい建物を完成させました 315 00:24:43,066 --> 00:24:44,066 (清水(しみず)喜助(きすけ))三野村さん 316 00:24:44,133 --> 00:24:46,533 (三野村)清水さん 317 00:24:46,600 --> 00:24:48,200 (清水) 実に めでてえこってございやす 318 00:24:48,266 --> 00:24:50,900 いやいや いやいや もう 棟梁(とうりょう)のおかげでござんす 319 00:24:50,900 --> 00:24:51,166 いやいや いやいや もう 棟梁(とうりょう)のおかげでござんす 320 00:24:50,900 --> 00:24:51,166 いやいや 321 00:24:51,166 --> 00:24:51,633 いやいや 322 00:24:51,633 --> 00:24:51,934 いやいや 323 00:24:51,633 --> 00:24:51,934 いずれ ここはね 東京の新名所になりやすよ ハハハハ… 324 00:24:51,934 --> 00:24:55,367 いずれ ここはね 東京の新名所になりやすよ ハハハハ… 325 00:24:55,433 --> 00:24:56,467 (手代)三野村さん 326 00:24:56,500 --> 00:24:56,767 え? 327 00:24:56,767 --> 00:24:57,467 え? 328 00:24:56,767 --> 00:24:57,467 (手代) 井上様がお見えです 329 00:24:57,467 --> 00:24:58,000 (手代) 井上様がお見えです 330 00:24:58,867 --> 00:24:59,700 井上… 331 00:24:59,700 --> 00:24:59,900 井上… 332 00:24:59,700 --> 00:24:59,900 (井上)ハハハハ! ここじゃ 333 00:24:59,900 --> 00:25:01,667 (井上)ハハハハ! ここじゃ 334 00:25:01,700 --> 00:25:06,333 井上様! 三井組ハウスへようこそ 335 00:25:06,400 --> 00:25:09,266 三野村! こりゃ立派なハウスじゃ 336 00:25:09,333 --> 00:25:10,433 ありがとうございます 337 00:25:10,500 --> 00:25:14,266 ここが 日本初の 銀行となるんじゃな? ハハハ… 338 00:25:14,333 --> 00:25:16,200 銀行? いやいやいや… 339 00:25:16,500 --> 00:25:20,800 ここは ほら 駿河町(するがちょう)の両替店を 移す予定でござんす 340 00:25:21,233 --> 00:25:23,467 ご存じじゃござんせんか 341 00:25:23,533 --> 00:25:24,700 そうか? 342 00:25:24,767 --> 00:25:27,400 両替店が こねえな 西洋造りである必要があるまい 343 00:25:27,467 --> 00:25:31,133 おい 三野村 見事じゃ 344 00:25:32,233 --> 00:25:35,300 両替店にするにゃ もったいないハウスじゃ! 345 00:25:37,066 --> 00:25:39,100 立派な銀行になりそうじゃ! 346 00:25:41,900 --> 00:25:45,033 三井組ハウスを合同銀行に 使えとおっしゃったのは― 347 00:25:45,100 --> 00:25:46,266 まことでございますか! 348 00:25:46,333 --> 00:25:47,367 (栄一)これを 349 00:25:48,033 --> 00:25:50,934 合同銀行の建物は いずれ小野組と― 350 00:25:51,400 --> 00:25:53,834 新たに普請するよう 申し合わせておりまする 351 00:25:54,633 --> 00:26:00,500 であるのに 三井組ハウスを まさか譲れなどとは… 352 00:26:00,567 --> 00:26:04,400 いや 井上さんは 確かにおっしゃっておられました 353 00:26:05,033 --> 00:26:08,166 三井は 駿河町に 立派な両替店があるゆえ― 354 00:26:08,333 --> 00:26:10,166 新しきハウスの方は いかようにしようが― 355 00:26:10,233 --> 00:26:11,800 差し支えないと申すであろうと 356 00:26:12,233 --> 00:26:12,900 (部下)渋沢さん 357 00:26:12,900 --> 00:26:13,266 (部下)渋沢さん 358 00:26:12,900 --> 00:26:13,266 私も拝見いたしましたが― 359 00:26:13,266 --> 00:26:14,400 私も拝見いたしましたが― 360 00:26:14,667 --> 00:26:17,734 あのように立派な建物が 初の銀行となれば― 361 00:26:17,934 --> 00:26:19,467 日本の新しき顔となる 362 00:26:20,300 --> 00:26:22,667 今から新規に 建物を普請していても― 363 00:26:23,066 --> 00:26:24,300 時も費用ももったいねぇ 364 00:26:24,567 --> 00:26:26,367 合同銀行は 是非あのハウスでいきたい 365 00:26:26,567 --> 00:26:28,767 いやいや いやいや いやいや 三井は 既に― 366 00:26:28,967 --> 00:26:31,166 両替店の移転を始めておりまする 367 00:26:31,667 --> 00:26:33,867 あのハウスは これからの三井の顔 368 00:26:34,500 --> 00:26:39,033 小野組との合同銀行は 別に普請させていただきたい 369 00:26:41,233 --> 00:26:42,266 そうか 370 00:26:44,166 --> 00:26:46,600 なら 無理にとは言わぬが… 371 00:26:48,467 --> 00:26:53,266 三井一門が 政府を敵のようにして断るとは― 372 00:26:54,300 --> 00:26:55,333 いかがなものか 373 00:26:58,133 --> 00:27:02,000 こちらは 三井のためにも なると思って言っておるのだ 374 00:27:03,800 --> 00:27:09,767 ハウスを提供するか 政府御用から 一切手を引くかってことですか 375 00:27:28,533 --> 00:27:29,567 よござんす 376 00:27:30,734 --> 00:27:35,533 それでは 重役どもを説得してまいります 377 00:27:43,300 --> 00:27:46,100 しかし 渋沢様も― 378 00:27:47,033 --> 00:27:50,700 やはり お上(かみ)の お役人様でございますな 379 00:27:53,700 --> 00:27:58,533 あれほど“商人の力 商人の力”と おっしゃっていても― 380 00:27:59,433 --> 00:28:02,800 所詮 私たちとは 立ってる場所が違う 381 00:28:03,266 --> 00:28:06,967 いや 違う 私は皆さんと力を合わせたいと… 382 00:28:07,033 --> 00:28:11,533 そうそう そうそう こう… 合本でした… 合本 ね 383 00:28:12,900 --> 00:28:16,000 まぁ 私は学がないゆえ 文字が読めませぬ 384 00:28:16,767 --> 00:28:17,767 え? 385 00:28:17,834 --> 00:28:19,834 しかしながら これだけは分かる 386 00:28:21,066 --> 00:28:26,433 私ら商人が手を組んで 力をつけるどころか― 387 00:28:26,867 --> 00:28:31,633 これから先も 地面に はいつくばったまま 388 00:28:33,033 --> 00:28:36,300 あなた方 お上の顔色をうかがうのみ 389 00:28:48,500 --> 00:28:51,300 徳川(とくがわ)の世と何も変わりませぬな 390 00:28:57,367 --> 00:28:58,433 (利根吉春(とねよしはる))たわけおって! 391 00:28:58,600 --> 00:29:00,700 お上が100人出せと言ったら 出すのだ! 392 00:29:01,166 --> 00:29:02,200 (市郎右衛門)ははっ! 393 00:29:02,633 --> 00:29:05,100 (栄一)それが 我々百姓の銭にございます! 394 00:29:06,700 --> 00:29:09,400 朝から晩まで働き その小さな銭が… 395 00:29:42,433 --> 00:29:43,467 (尾高ゆう)父さま 396 00:29:45,266 --> 00:29:47,900 (尾高きせ) お前様 お帰りなさいませ 397 00:29:52,767 --> 00:29:55,600 ゆう お前に… 398 00:30:02,500 --> 00:30:04,767 富岡の伝習工女(こうじょ)になってほしい 399 00:30:06,266 --> 00:30:07,300 (ゆう)え? 400 00:30:09,500 --> 00:30:12,834 製糸場は 建物はどうにか完成したが― 401 00:30:14,066 --> 00:30:17,066 そこで働く工女が 一人も集まらねぇ 402 00:30:17,734 --> 00:30:18,767 一人も? 403 00:30:20,300 --> 00:30:21,600 (きせ)うわさは聞きました 404 00:30:22,734 --> 00:30:26,900 若い娘だけ集めるのは 娘の生き血を取るためだとか― 405 00:30:28,166 --> 00:30:31,800 糸を取る腰掛けの下に 油を搾る仕掛けがあるとか… 406 00:30:31,867 --> 00:30:33,300 (惇忠)無論 出任せだ 407 00:30:34,934 --> 00:30:38,467 しかし 手を尽くして説明したが― 408 00:30:39,700 --> 00:30:41,500 疑いを解くことができねぇ 409 00:30:42,967 --> 00:30:46,166 誰かが 現にやって見せなくては… 410 00:30:46,233 --> 00:30:48,033 (きせ)だからといって ゆうを… 411 00:30:48,100 --> 00:30:53,567 (惇忠)ゆうは幼い頃から 蚕の扱いも糸繰りもうまかった 412 00:30:57,266 --> 00:30:58,300 ゆうならきっと― 413 00:30:59,800 --> 00:31:03,500 皆の手本となるような 工女になることができる 414 00:31:06,367 --> 00:31:08,867 どうか 頼む 415 00:31:15,667 --> 00:31:17,166 (尾高やへ) 行ってやったらどうだい? 416 00:31:19,834 --> 00:31:22,800 おゆう 私らはね― 417 00:31:23,967 --> 00:31:26,333 ずうっと 男たちを見ているだけだった 418 00:31:28,300 --> 00:31:32,934 何をたくらんでいるかも 外で何が行われているかも― 419 00:31:34,000 --> 00:31:38,367 何も知らせてもらえねぇで ただ黙って 420 00:31:42,633 --> 00:31:43,734 その惇忠が― 421 00:31:44,867 --> 00:31:49,367 娘のあんたに頭を下げて 助けてくれと頼んでるんだ 422 00:31:53,333 --> 00:31:56,834 何だか うれしいじゃねぇか 423 00:32:13,633 --> 00:32:19,567 (語り)10月 官営富岡製糸場が 操業を開始しました 424 00:32:53,400 --> 00:32:59,000 ゆうの決心がきっかけとなり 多くの工女が集まりました 425 00:33:03,700 --> 00:33:07,066 翌年(よくとし)には 工女は500人を超え― 426 00:33:07,967 --> 00:33:09,400 富岡製糸場は― 427 00:33:09,767 --> 00:33:14,033 女性の社会進出の 先駆けの場となったのです 428 00:33:30,834 --> 00:33:33,233 (喜作)やっぱり あにぃはすげぇ 429 00:33:35,500 --> 00:33:39,700 昔の俺たちみてぇに 工女たちに 読み書きも教えているらしい 430 00:33:40,467 --> 00:33:41,467 (栄一)そうか 431 00:33:41,533 --> 00:33:42,533 (喜作)うん 432 00:33:43,233 --> 00:33:44,934 (栄一)皆 よい顔をしておった 433 00:33:46,367 --> 00:33:47,734 (喜作)あのおなごたちは― 434 00:33:48,567 --> 00:33:52,233 若いながらも この国を支える 立派な富岡工女だい 435 00:33:54,100 --> 00:33:57,700 俺も もっと気張らねばのう 436 00:33:58,166 --> 00:34:00,600 (栄一)おう それでこそ喜作だ 437 00:34:02,100 --> 00:34:05,166 俺は イタリアに行ってくる 438 00:34:05,734 --> 00:34:06,734 イタリア? 439 00:34:06,800 --> 00:34:07,834 (喜作)おう 440 00:34:08,200 --> 00:34:12,900 今 政府はイタリアの製糸の商いを 学ぶものを募っておる 441 00:34:14,467 --> 00:34:18,233 俺も いっちょ 異国で学んでくらい! 442 00:34:22,600 --> 00:34:23,633 そうか 443 00:34:34,934 --> 00:34:39,500 (語り)その秋… 千代は男の子を産みました 444 00:34:40,834 --> 00:34:44,000 (千代) 篤二(とくじ) ばあさまですよ フフフ 445 00:34:45,166 --> 00:34:49,567 (渋沢ゑい)まぁ 立派な男の子だに 446 00:34:53,500 --> 00:34:55,133 おば様 頂きます 447 00:34:55,900 --> 00:34:57,100 (ゑい)いっぱいお食べ 448 00:34:59,700 --> 00:35:03,734 正直言うと私 男の子を生んだんが あの人でなく― 449 00:35:03,800 --> 00:35:05,233 お千代ちゃんでホッとしてんだに 450 00:35:08,467 --> 00:35:11,333 およしも こっちの暮らしには慣れたかい? 451 00:35:11,800 --> 00:35:16,166 はい せっかく来たっつんに 喜作さんは異国に行っちまって 452 00:35:17,033 --> 00:35:18,767 お千代ちゃんと 仲よくやっております 453 00:35:20,066 --> 00:35:22,333 えぇ 頼りになります 454 00:35:23,100 --> 00:35:25,667 (ゑい)そうかい… それはよかったい 455 00:35:28,467 --> 00:35:30,233 (よし・千代)頂きます 456 00:35:33,767 --> 00:35:34,867 (江藤)おいの調べでは― 457 00:35:34,934 --> 00:35:38,300 今や官の中にも 不当な権力ば用い― 458 00:35:38,600 --> 00:35:40,667 私腹ば肥やしとお者(もん)が見らるっ 459 00:35:41,133 --> 00:35:42,900 (語り)このころ 政府では― 460 00:35:43,367 --> 00:35:47,233 予算を握る大蔵省と 各省との間で― 461 00:35:47,667 --> 00:35:50,233 対立が深刻になっていました 462 00:35:51,300 --> 00:35:52,166 (江藤)何ば言うか! 463 00:35:52,166 --> 00:35:52,333 (江藤)何ば言うか! 464 00:35:52,166 --> 00:35:52,333 (三条) 落ち着きなされ… 465 00:35:52,333 --> 00:35:52,867 (三条) 落ち着きなされ… 466 00:35:52,867 --> 00:35:53,567 (三条) 落ち着きなされ… 467 00:35:52,867 --> 00:35:53,567 (江藤) 近頃の大蔵省ん横暴は目に余る! 468 00:35:53,567 --> 00:35:55,200 (江藤) 近頃の大蔵省ん横暴は目に余る! 469 00:35:56,133 --> 00:35:58,033 カ~ッ! せからしか! 470 00:35:58,500 --> 00:36:00,567 さっきから わいらは そん議論ん繰り返しじゃなかか! 471 00:36:00,567 --> 00:36:00,967 さっきから わいらは そん議論ん繰り返しじゃなかか! 472 00:36:00,567 --> 00:36:00,967 ♪「トコトン ヤレ節」 473 00:36:00,967 --> 00:36:01,033 ♪「トコトン ヤレ節」 474 00:36:01,033 --> 00:36:03,767 ♪「トコトン ヤレ節」 475 00:36:01,033 --> 00:36:03,767 (江藤)大隈! わいは 長州(ちょうしゅう)ん味方ばすっつもりか! 476 00:36:03,767 --> 00:36:03,834 ♪「トコトン ヤレ節」 477 00:36:03,834 --> 00:36:05,467 ♪「トコトン ヤレ節」 478 00:36:03,834 --> 00:36:05,467 (重信)また そがんこつば― 479 00:36:05,467 --> 00:36:05,533 ♪「トコトン ヤレ節」 480 00:36:05,533 --> 00:36:07,500 ♪「トコトン ヤレ節」 481 00:36:05,533 --> 00:36:07,500 だけん あんたは嫌わるっとたい! 482 00:36:09,367 --> 00:36:11,533 客? こんな夜中にか 483 00:36:11,834 --> 00:36:15,367 へぇ 帰るまで 待たせてほしいと 客間に 484 00:36:19,100 --> 00:36:21,033 (栄一)このでけぇ下駄(げた)は… 485 00:36:29,233 --> 00:36:31,900 (西郷隆盛(さいごうたかもり))おはんと こげんして飲むのは― 486 00:36:32,567 --> 00:36:34,100 久しぶいじゃっでな 487 00:36:34,433 --> 00:36:38,266 はい あの時は… そう― 488 00:36:39,834 --> 00:36:44,633 平岡(ひらおか)様の命で折田(おりた)先生の塾を 探りに入っておりました 489 00:36:46,567 --> 00:36:49,400 (隆盛)やっぱい密偵じゃったか 490 00:36:49,467 --> 00:36:50,500 ハハハハ… 491 00:36:51,500 --> 00:36:53,033 平岡殿が 492 00:36:54,333 --> 00:36:56,934 あの時の豚鍋はうまかった 493 00:37:00,266 --> 00:37:02,533 (隆盛)近頃 思うとじゃ 494 00:37:04,100 --> 00:37:06,266 左内(さない)殿や平岡殿と― 495 00:37:07,700 --> 00:37:11,433 “慶喜(よしのぶ)公を将軍に”と 働いちょったあんころが― 496 00:37:12,300 --> 00:37:13,934 一番よかったち 497 00:37:18,000 --> 00:37:19,333 おいが動けば― 498 00:37:20,600 --> 00:37:25,767 こん国はきっと もっと よか国になっち信じちょった 499 00:37:28,200 --> 00:37:31,533 じゃっどん 廃藩もなったどん― 500 00:37:33,934 --> 00:37:37,467 こん先 何も よかこっが なか気がしてならん 501 00:37:41,133 --> 00:37:42,867 おいのしてきたことは… 502 00:37:44,166 --> 00:37:46,867 ほんのこて 正しかったんじゃろかい 503 00:37:51,834 --> 00:37:55,934 いつか平岡殿に 叱らるっとじゃなかかち 504 00:38:00,633 --> 00:38:01,667 お察しします 505 00:38:03,900 --> 00:38:04,934 私も… 506 00:38:08,033 --> 00:38:12,467 私も偉くなりたかったわけでは ありません 507 00:38:15,233 --> 00:38:18,200 静岡を離れ 政府に入ったのは― 508 00:38:19,567 --> 00:38:21,934 新しい日本を作りたかったからだ 509 00:38:24,767 --> 00:38:25,800 なのに… 510 00:38:32,967 --> 00:38:36,900 高い所から物言うだけの己が― 511 00:38:38,367 --> 00:38:39,400 どうも― 512 00:38:41,333 --> 00:38:42,367 心地が悪い… 513 00:38:46,367 --> 00:38:47,600 おかしろくねぇ 514 00:38:54,333 --> 00:38:55,367 ハッ… 515 00:38:56,433 --> 00:39:01,233 おいや あんころの 慶喜公からしてみたら― 516 00:39:01,934 --> 00:39:03,700 何てことぁなかどが 517 00:39:06,233 --> 00:39:07,700 慶喜公など― 518 00:39:08,900 --> 00:39:11,333 あげな時分に将軍となって― 519 00:39:12,233 --> 00:39:17,700 そいでも そん重荷をものともせず 徳川を立て直した 520 00:39:19,333 --> 00:39:22,500 まっこて化け物(もん)のようじゃった 521 00:39:24,667 --> 00:39:29,967 おいも一蔵(いちぞう)どんも恐ろしくなって 必死で潰した 522 00:39:33,567 --> 00:39:39,767 (雨の音) 523 00:39:39,834 --> 00:39:41,967 (隆盛)よう降るのう 524 00:39:50,166 --> 00:39:51,533 ほうじゃな 525 00:39:53,767 --> 00:39:58,667 今んままでは 慶喜公にも申し訳が立たん 526 00:40:02,066 --> 00:40:04,533 おはんは おいとは違(ちご)っ 527 00:40:06,333 --> 00:40:09,400 まだ いろんな道が開いちょ 528 00:40:11,200 --> 00:40:12,233 ハハハ… 529 00:40:13,400 --> 00:40:16,000 おはんも 後悔せんようにな 530 00:40:55,934 --> 00:40:56,967 (徳川慶喜)渋沢 531 00:40:58,400 --> 00:41:00,233 (慶喜) この先は日本のために尽くせ 532 00:41:23,700 --> 00:41:24,734 (栄一)お千代 533 00:41:28,333 --> 00:41:29,367 俺は… 534 00:41:31,800 --> 00:41:32,934 大蔵省を辞める 535 00:41:35,166 --> 00:41:36,200 え? 536 00:41:38,367 --> 00:41:43,200 “過ちて改めざる これを過ちという” 537 00:41:46,033 --> 00:41:51,433 とはいえ まことに 何度も何度も違えて すまねぇ 538 00:41:54,834 --> 00:41:55,867 しかし… 539 00:41:59,667 --> 00:42:02,567 やはり俺の道は官ではない 540 00:42:04,433 --> 00:42:05,533 一人の民(みん)なんだ 541 00:42:14,300 --> 00:42:15,333 えぇ 542 00:42:20,533 --> 00:42:21,934 今度こそ最後の… 543 00:42:24,867 --> 00:42:26,467 最後の変身だ 544 00:42:34,600 --> 00:42:36,400 日本のバンクの第一歩だ! 545 00:42:36,700 --> 00:42:37,900 (猪飼勝三郎(いかいかつさぶろう)) ここは危のうございます! 546 00:42:38,200 --> 00:42:40,500 (五代)魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈(ばっこ)しておる 547 00:42:40,934 --> 00:42:43,934 (ゑい) 近くにいる者(もん)を大事にすんのを― 548 00:42:44,300 --> 00:42:45,567 忘れちゃあいげねぇよ 549 00:42:46,233 --> 00:42:47,166 (三野村) よっぽど 何でも 550 00:42:47,233 --> 00:42:48,367 合本させるのが 551 00:42:48,433 --> 00:42:49,467 お好きと見える 552 00:42:50,333 --> 00:42:51,900 (重信) あん2人め… 553 00:42:52,767 --> 00:42:54,133 (岩崎弥太郎(いわさきやたろう)) この弥太郎が 554 00:42:54,200 --> 00:42:55,433 行っちゃるき 555 00:42:57,000 --> 00:42:58,033 ありがとう 556 00:42:58,667 --> 00:43:01,367 (弥太郎) ハハハハハハハハ…