1 00:00:05,500 --> 00:00:08,333 (徳川家康(とくがわいえやす))こんばんは 徳川家康です 2 00:00:10,033 --> 00:00:15,600 徳川の世が終わって 二十有余年の時が流れましたよ 3 00:00:17,800 --> 00:00:20,500 日本は ようやく近代国家となったが… 4 00:00:21,200 --> 00:00:26,000 ここにきて 日本古来の伝統を 重んじる考えや― 5 00:00:27,000 --> 00:00:30,767 江戸(えど)の世を再評価する 機運が高まりましてね 6 00:00:31,867 --> 00:00:37,500 そう 大日本帝国憲法発布と 同じ年には… 7 00:00:37,800 --> 00:00:42,633 (祝砲の音) 8 00:00:42,700 --> 00:00:45,734 フフフフフフフ… 9 00:00:47,266 --> 00:00:48,400 呼ばれたようだ 10 00:00:51,967 --> 00:00:54,100 (語り)明治(めいじ)22年 夏― 11 00:00:54,767 --> 00:01:00,533 上野(うえの)で 徳川家康が江戸城に入って 300年の節目を祝う― 12 00:01:01,066 --> 00:01:04,500 東京開市三百年祭が 開かれました 13 00:01:05,633 --> 00:01:08,467 (男性)それ よい よい よい! 14 00:01:09,033 --> 00:01:13,600 (語り)このお祭りを企画したのは 旧幕臣たちでした 15 00:01:14,867 --> 00:01:16,100 (猪飼正為(いかいまさため))快なり! 16 00:01:18,433 --> 00:01:19,567 (渋沢栄一(しぶさわえいいち))快なり! 17 00:01:20,033 --> 00:01:21,066 (渋沢喜作(きさく))快なり! 18 00:01:21,133 --> 00:01:22,266 (一同)快なり! 19 00:01:27,000 --> 00:01:31,266 (栗本鋤雲(くりもとじょうん))今は 亡き小栗(おぐり)様に 献杯 20 00:01:32,333 --> 00:01:33,367 (一同)献杯 21 00:01:34,200 --> 00:01:37,967 (田辺(たなべ)太一(たいち))ようやく幕末外交を 評価する声が上がってきたのう 22 00:01:38,166 --> 00:01:40,567 (福地源一郎(ふくちげんいちろう)) えぇ 小栗上野介(こうずけのすけ)様も― 23 00:01:40,633 --> 00:01:44,066 井伊掃部頭(いいかもんのかみ)様も もっと 認められてしかるべきだ! 24 00:01:45,800 --> 00:01:48,233 (猪飼)先日 烈公(れっこう)の肖像画を 25 00:01:48,300 --> 00:01:49,333 見てきた 26 00:01:49,400 --> 00:01:51,333 よく似ておった! 27 00:01:51,400 --> 00:01:53,200 (川村恵十郎(かわむらえじゅうろう)) ほう 肖像画 28 00:01:53,567 --> 00:01:55,066 見てみてぇもんです 29 00:01:55,600 --> 00:01:57,100 あぁ ハハハハハ… 30 00:01:58,033 --> 00:01:59,066 (徳川昭武(あきたけ))渋沢! 31 00:02:01,934 --> 00:02:05,667 (栄一)あぁ 民部公子(みんぶこうし)様! 32 00:02:06,300 --> 00:02:06,800 (男性)民部公子様! 33 00:02:06,800 --> 00:02:07,300 (男性)民部公子様! 34 00:02:06,800 --> 00:02:07,300 (男性) 民部公子様! 35 00:02:07,300 --> 00:02:07,900 (男性) 民部公子様! 36 00:02:09,033 --> 00:02:10,333 (昭武)もう公子ではない 37 00:02:10,867 --> 00:02:12,400 (昭武)齢(よわい)も37だ 38 00:02:14,867 --> 00:02:17,533 ハハハ… エラール殿は息災でしたか 39 00:02:17,934 --> 00:02:22,200 うむ ヴィレットもだ 国は大きく変わっていたが 40 00:02:22,967 --> 00:02:26,467 (向山一履(むこうやまかずふみ))ナポレオン三世の 栄光も 今は昔ですか 41 00:02:27,300 --> 00:02:30,333 (山髙信離(やまたかのぶあきら))今 パリでは再び 万国博覧会が開かれております 42 00:02:30,834 --> 00:02:33,367 我が国の出品物も 更に優れたものになった 43 00:02:33,767 --> 00:02:37,667 (栗本)ところで この上野で 西郷(さいごう)像を作るというが! 44 00:02:37,900 --> 00:02:41,233 (田辺)憲法発布による恩赦が きっかけのようだが… 45 00:02:41,300 --> 00:02:44,467 (昭武)田辺 栗本… そのような話は よい 46 00:02:45,500 --> 00:02:46,533 (2人)ははっ 47 00:02:55,433 --> 00:02:58,400 (喜作) 永井(ながい)様! 凌雲(りょううん)! 48 00:02:58,567 --> 00:02:59,800 (高松(たかまつ)凌雲) 久しぶりだな 49 00:03:01,633 --> 00:03:03,734 (喜作) 永井様 ご息災で 50 00:03:04,133 --> 00:03:06,567 (永井尚志(なおゆき))あぁ 渋沢… 51 00:03:09,066 --> 00:03:10,100 皆も… 52 00:03:14,333 --> 00:03:16,800 徳川 万歳! 53 00:03:23,233 --> 00:03:25,700 徳川 万歳! 54 00:03:28,867 --> 00:03:31,233 (一同)徳川 万歳! 55 00:03:31,300 --> 00:03:33,200 (喜作)徳川 万歳! 56 00:03:33,767 --> 00:03:36,100 (一同)徳川 万歳! 57 00:03:36,333 --> 00:03:38,767 (一同)徳川 万歳! 58 00:03:39,033 --> 00:03:41,400 (一同)徳川 万歳! 59 00:03:41,734 --> 00:03:44,033 (一同)徳川 万歳! 60 00:03:44,600 --> 00:03:47,000 (一同)徳川 万歳! 61 00:03:48,300 --> 00:03:49,834 (平岡(ひらおか)やす)驚きましたよ 62 00:03:51,133 --> 00:03:52,233 (やす) 東京のどこに 63 00:03:52,300 --> 00:03:53,633 あんな たくさんの男女が 64 00:03:53,700 --> 00:03:55,467 隠れてたのかと 思うぐらいの 65 00:03:55,533 --> 00:03:56,667 人だかりで 66 00:03:57,934 --> 00:04:02,967 ご宗家の家達(いえさと)様が通ると かつてのご直参の方々が― 67 00:04:03,700 --> 00:04:07,700 “徳川 万歳”と 涙ながらに祝ってて 68 00:04:10,000 --> 00:04:14,834 (徳川美賀子(みかこ))東京の民は 徳川を忘れておらんのやなぁ 69 00:04:16,400 --> 00:04:17,433 (やす)えぇ 70 00:04:18,133 --> 00:04:19,133 渋沢君も 71 00:04:19,467 --> 00:04:20,467 “御前(ごぜん)様にも” 72 00:04:20,533 --> 00:04:22,033 “来ていただき たかった”と 73 00:04:22,300 --> 00:04:23,767 しきりに 申しておりました 74 00:04:25,200 --> 00:04:28,066 フ… フフッ… 75 00:04:28,967 --> 00:04:32,467 渋沢は 常の商いも忙しいであろうに― 76 00:04:33,500 --> 00:04:36,600 この家のやりくりまで 助言をしてくれるんや 77 00:04:39,133 --> 00:04:43,266 御前も近頃 しきりに つぶやいてる 78 00:04:46,834 --> 00:04:48,767 渋沢を見いだしたのは― 79 00:04:51,200 --> 00:04:53,834 平岡の慧眼(けいがん)であったと… 80 00:05:01,000 --> 00:05:02,300 (徳川厚(あつし))天地が逆さですね 81 00:05:10,033 --> 00:05:14,200 (厚)父上は 何故に 人は描かれないのですか? 82 00:05:23,300 --> 00:05:28,300 明治最初の10年は ただ零細の資本しかなかった 83 00:05:29,567 --> 00:05:33,033 今 明治も 20年の年を重ね― 84 00:05:34,000 --> 00:05:37,934 日本人による 日本の事業が興っております 85 00:05:38,867 --> 00:05:42,133 (語り)栄一は 大きく羽ばたいていました 86 00:05:43,967 --> 00:05:45,633 銀行業を中心に― 87 00:05:46,467 --> 00:05:52,400 製紙 紡績 鉄鋼 建築 食品― 88 00:05:53,000 --> 00:05:57,600 鉄道 鉱山 電力 造船など― 89 00:05:58,000 --> 00:05:59,934 多くの産業に関わり… 90 00:06:01,400 --> 00:06:06,233 また 国際化に対応できる 女性育成のための学校や― 91 00:06:07,000 --> 00:06:09,333 病院 養育院など― 92 00:06:09,900 --> 00:06:14,667 教育施設や福祉施設の充実にも 力を注いでいました 93 00:06:16,000 --> 00:06:18,166 (渋沢兼子(かねこ))端まで縫えたら うち留めしてね 94 00:06:19,333 --> 00:06:23,400 (語り)養育院運営の寄付を募る 慈善会の会長は― 95 00:06:23,834 --> 00:06:25,667 兼子が務めていました 96 00:06:26,133 --> 00:06:27,633 (2人)わぁ~! 97 00:06:31,834 --> 00:06:35,133 (兼子)殿方たち 慈善会のバザーは すぐですからね 98 00:06:36,734 --> 00:06:38,633 (語り)また 渋沢家では… 99 00:06:41,066 --> 00:06:46,333 次女の琴子(ことこ)が 大蔵省に勤める阪谷芳郎(さかたによしろう)と結婚 100 00:06:47,233 --> 00:06:48,567 (阪谷琴子)フフフフフフ… 101 00:06:51,300 --> 00:06:53,233 (語り)くにの 産んだ文子(ふみこ)も 102 00:06:53,600 --> 00:06:55,233 尾高惇忠(おだかじゅんちゅう)の次男 103 00:06:55,600 --> 00:06:58,133 尾高次郎(じろう)との結婚が 決まり… 104 00:07:02,266 --> 00:07:05,467 くには 新たな人生を送りたいと― 105 00:07:06,033 --> 00:07:08,867 渋沢家を 出ていくことになりました 106 00:07:14,100 --> 00:07:17,200 (穂積(ほづみ)歌子(うたこ)) おくにさん 今までありがとう 107 00:07:22,667 --> 00:07:24,367 (渋沢文子)さみしくなります… 108 00:07:28,800 --> 00:07:31,900 (大内(おおうち)くに)くには幸せどす 109 00:07:34,200 --> 00:07:37,734 皆さんの立派に育ったお姿を― 110 00:07:40,200 --> 00:07:42,266 お千代(ちよ)さんに 見せてあげたかった… 111 00:07:48,066 --> 00:07:51,133 大変お世話になりました 112 00:08:04,400 --> 00:08:07,033 (福地)一に渋沢 二にも渋沢と頼られ 113 00:08:07,100 --> 00:08:09,200 渋沢の忙しさは 終わることがない 114 00:08:09,767 --> 00:08:11,400 さまざまな事業に 身を投じ 115 00:08:11,467 --> 00:08:12,500 感服するばかり… 116 00:08:12,567 --> 00:08:13,600 (佐々木(ささき)勇之助(ゆうのすけ)) 篤二(とくじ)さん 117 00:08:19,166 --> 00:08:23,734 失礼いたします 栄一さんの嫡男の篤二さんです 118 00:08:25,100 --> 00:08:30,900 (語り)篤二は 栄一の後継者として 期待されていました 119 00:08:34,567 --> 00:08:39,567 ♪~ 120 00:11:19,967 --> 00:11:24,967 ~♪ 121 00:11:25,567 --> 00:11:26,600 (兼子) さぁ どうぞ 122 00:11:26,667 --> 00:11:28,200 お買い求め くださいませ 123 00:11:28,633 --> 00:11:29,934 慈善会の売り上げは 124 00:11:30,000 --> 00:11:32,367 全て 養育院に 寄付いたします 125 00:11:32,433 --> 00:11:34,633 (井上武子(いのうえたけこ))こちら レース教場より出品の― 126 00:11:34,700 --> 00:11:36,033 ハンケチーフはいかが? 127 00:11:36,233 --> 00:11:39,200 (益田(ますだ)栄子(えいこ))横山町(よこやまちょう) 播磨屋(はりまや)の小間物もございましてよ 128 00:11:39,266 --> 00:11:41,400 (栄一)お~ ハハハハハハハ… 129 00:11:41,900 --> 00:11:43,233 (琴子)あ 父さまだわ! 130 00:11:43,533 --> 00:11:44,567 (栄一)おぉ 131 00:11:47,467 --> 00:11:49,400 (井上馨(かおる))こりゃ 盛大なバザーじゃのう 132 00:11:49,600 --> 00:11:51,100 えぇ 井上様も是非 133 00:11:51,166 --> 00:11:52,200 おう 134 00:11:56,400 --> 00:11:58,266 よぉし 買った買った 135 00:11:59,400 --> 00:12:03,133 では私は この見事な扇と― 136 00:12:03,633 --> 00:12:06,200 この精巧なるレースを え~… 137 00:12:08,300 --> 00:12:09,667 50円で買おう 138 00:12:09,734 --> 00:12:11,567 (歓声) 139 00:12:11,633 --> 00:12:13,767 (大倉喜八郎(おおくらきはちろう)) はっはぁ 50円ときたか 140 00:12:13,834 --> 00:12:16,133 (福地)渋沢が そんなに金を出したら― 141 00:12:16,200 --> 00:12:19,867 我々も思い切って出さぬわけには いかないではないか 142 00:12:20,200 --> 00:12:22,500 バザーですから お釣りは出しませんことよ 143 00:12:22,834 --> 00:12:24,533 (大倉)あ ハハハハ… 144 00:12:24,600 --> 00:12:27,066 (井上)おぉ こりゃ ええ品じゃ 145 00:12:28,300 --> 00:12:32,000 よし! ここの商品 全て頂こう 146 00:12:32,367 --> 00:12:32,533 (文子)え? 147 00:12:32,533 --> 00:12:33,367 (文子)え? 148 00:12:32,533 --> 00:12:33,367 (井上)いくらじゃ 149 00:12:33,367 --> 00:12:33,533 (井上)いくらじゃ 150 00:12:34,867 --> 00:12:35,900 いくらじゃ 151 00:12:37,433 --> 00:12:39,700 に… 200円になります! 152 00:12:40,400 --> 00:12:41,433 に… 200!? 153 00:12:44,066 --> 00:12:45,667 よし 買った! ハハハハ… 154 00:12:46,166 --> 00:12:47,166 ありがとうございます! 155 00:12:47,233 --> 00:12:48,233 (恵十郎)渋沢! 156 00:12:49,066 --> 00:12:50,433 おぉ ハハハ… 157 00:12:55,300 --> 00:12:56,333 あぁ… 158 00:13:01,467 --> 00:13:04,133 私は そのうち 今の職を辞し― 159 00:13:05,100 --> 00:13:10,200 日光東照宮(にっこうとうしょうぐう)で 徳川のお家に 奉仕いたしたいと思っている 160 00:13:10,467 --> 00:13:15,166 あぁ そうですか それは御前様もお喜びだ 161 00:13:16,834 --> 00:13:21,433 でも こんなに世の中が 変わった今でも― 162 00:13:22,700 --> 00:13:24,533 時々考えちまうのさ 163 00:13:26,100 --> 00:13:31,400 今の御前様を見たら 平岡はどう思うだろうってね 164 00:13:35,667 --> 00:13:41,467 ほら あの人はとことん あのお方に ほれてたからさ 165 00:13:42,834 --> 00:13:46,367 それが “逃げた将軍”とか― 166 00:13:47,500 --> 00:13:49,767 “徳川を 終わりにしちまった”とか― 167 00:13:51,033 --> 00:13:54,667 さんざん汚名を被ったっきり 引きこもっちまって… 168 00:13:57,767 --> 00:13:58,800 えぇ 169 00:14:01,000 --> 00:14:05,166 もし 御前様や平岡様であれば― 170 00:14:06,400 --> 00:14:10,066 どんなおかしれぇ日本を 作ろうとしたでしょうな 171 00:14:12,367 --> 00:14:15,900 (平岡円四郎(えんしろう))ハハハハハ… 172 00:14:15,967 --> 00:14:17,000 (徳川慶喜(よしのぶ))フフ… 173 00:14:19,367 --> 00:14:20,400 (やす)ありがとう 174 00:14:23,266 --> 00:14:24,900 忘れないでいてくれて… 175 00:14:33,800 --> 00:14:34,834 ありがとう 176 00:14:52,633 --> 00:14:55,633 (斎藤(さいとう))ハハハハハハ… いや~ 愉快 愉快 177 00:14:55,834 --> 00:14:58,900 いや~ 篤二君は すばらしい父上をお持ちだ 178 00:14:59,100 --> 00:15:04,367 まさしく! 渋沢栄一といえば 名士中の名士じゃないか 179 00:15:04,433 --> 00:15:06,166 (宮崎(みやざき))ブラザアだって 実にエリートさ 180 00:15:07,133 --> 00:15:09,433 (宮崎)法学の第一人者の穂積先生に― 181 00:15:09,667 --> 00:15:13,367 大蔵省の主計局に勤める 阪谷芳郎氏ときている 182 00:15:13,433 --> 00:15:14,467 (山中(やまなか))まぁ待て 183 00:15:14,800 --> 00:15:17,433 (山中)その義理の兄たちは いくら優秀でも― 184 00:15:17,867 --> 00:15:20,033 所詮 実業には縁がない 185 00:15:21,266 --> 00:15:24,967 あの偉大なる渋沢家のビジネスを 継ぐのは― 186 00:15:25,633 --> 00:15:27,200 篤二君ということだ! 187 00:15:27,266 --> 00:15:28,300 (斎藤)よっ! 188 00:15:28,367 --> 00:15:29,400 よっ! 189 00:15:31,367 --> 00:15:33,834 (豆千代(まめちよ)) 篤二さんのお唄を お聞きしたいわ 190 00:15:34,066 --> 00:15:35,567 (斎藤)そうさ さあ 191 00:15:35,734 --> 00:15:36,767 よっ! 192 00:15:36,834 --> 00:15:39,467 (渋沢篤二) おやおや 皆が そう言うなら 193 00:15:41,767 --> 00:15:53,033 (篤二)水の出端(でばな)と 194 00:15:53,934 --> 00:16:03,467 二人が仲は 195 00:16:04,200 --> 00:16:05,433 (芸者)いいお声 196 00:16:08,000 --> 00:16:10,600 (篤二)せかれ 197 00:16:10,967 --> 00:16:13,934 篤二さんったら… 酔っ払っちゃって 198 00:16:14,000 --> 00:16:16,033 (篤二) そんな飲んだか? ハハハハ… 199 00:16:21,734 --> 00:16:22,767 姉さん… 200 00:16:25,633 --> 00:16:26,667 (豆千代)こんばんは 201 00:16:29,066 --> 00:16:32,567 (歌子)一体 何度 同じことを繰り返すのですか 202 00:16:34,900 --> 00:16:37,133 あれほどの仕事を なすった父さまなら― 203 00:16:38,333 --> 00:16:39,967 品行上の欠点があっても― 204 00:16:40,900 --> 00:16:43,066 時代の通弊として 致し方ありません 205 00:16:46,867 --> 00:16:50,033 しかし その子たるものは違います 206 00:16:53,133 --> 00:16:56,600 この家は あなたが継いで 支えていくのですよ 207 00:16:59,967 --> 00:17:03,166 お願いだから 自覚を持ってちょうだい 208 00:17:05,867 --> 00:17:10,000 (語り)明治二十三年 国会の開設に向け― 209 00:17:10,333 --> 00:17:12,400 衆議院議員総選挙と― 210 00:17:12,567 --> 00:17:15,500 貴族院議員の任命が 行われました 211 00:17:16,233 --> 00:17:17,367 (穂積陳重(のぶしげ))お義父(とう)さんが議員に? 212 00:17:17,433 --> 00:17:20,467 えぇ 貴族院議員に選ばれたのよ 213 00:17:20,533 --> 00:17:23,200 私は一生 政治に関わらぬと 決めておるのに― 214 00:17:23,266 --> 00:17:24,767 勝手に選ばれて困ったもんだ 215 00:17:25,333 --> 00:17:27,166 一刻も早く辞任せねば 216 00:17:27,600 --> 00:17:28,734 で 今日はどうした? 217 00:17:29,500 --> 00:17:30,967 実は ご相談がありまして… 218 00:17:36,400 --> 00:17:37,867 篤二君の学校ですが… 219 00:17:39,133 --> 00:17:41,867 熊本の第五高等中学校に 決めたいと 220 00:17:42,567 --> 00:17:43,600 (兼子)熊本? 221 00:17:44,367 --> 00:17:46,500 教師は一流ではあるが なぜ… 222 00:17:47,667 --> 00:17:49,834 私たちの 不徳の致すところですが― 223 00:17:51,133 --> 00:17:55,200 何度厳しく注意しても 篤二君の遊び癖が抜けません 224 00:17:57,300 --> 00:17:58,734 歌子も困り果てている 225 00:18:00,433 --> 00:18:04,266 一度 生活を 変えてみてはどうかと思うんです 226 00:18:08,533 --> 00:18:09,633 そうか… 227 00:18:10,834 --> 00:18:12,033 わ~! 228 00:18:13,233 --> 00:18:14,767 ほら~ 捕まえた 229 00:18:14,834 --> 00:18:15,834 (渋沢正雄(まさお))あ~ 230 00:18:16,133 --> 00:18:17,166 (篤二)行くぞ! 231 00:18:17,734 --> 00:18:19,600 (兼子)篤二さん 時間ですよ 232 00:18:22,433 --> 00:18:23,467 はい 233 00:18:24,233 --> 00:18:26,967 (渋沢武之助(たけのすけ)) 篤二兄さま どこに行くの? 234 00:18:27,333 --> 00:18:28,400 (正雄)遊ぼうよ 235 00:18:33,667 --> 00:18:34,700 ごめんな 236 00:18:36,600 --> 00:18:37,633 また遊ぼう 237 00:18:45,834 --> 00:18:50,867 (語り)篤二は 熊本で 寮生活を送ることになりました 238 00:18:56,767 --> 00:18:57,800 乳がん? 239 00:18:59,133 --> 00:19:00,233 (凌雲)はい 240 00:19:01,400 --> 00:19:04,934 適切に切除をすれば 望みはございます 241 00:19:07,266 --> 00:19:10,467 奥方様を 東京にお連れしたいと思います 242 00:19:14,667 --> 00:19:15,700 そうか… 243 00:19:24,333 --> 00:19:26,233 どうか よろしく頼む 244 00:19:38,800 --> 00:19:40,433 (徳川鏡子(きょうこ))久(ひさし) これ どうぞ 245 00:19:44,533 --> 00:19:46,533 (須磨(すま))あ! あぁ~… 246 00:20:20,300 --> 00:20:25,633 水道管は 国産品より 舶来品を使った方がよい 247 00:20:28,133 --> 00:20:29,166 (鉄工業者)はい? 248 00:20:29,233 --> 00:20:30,967 (鉄工業者)渋沢さんともあろうお方が― 249 00:20:31,166 --> 00:20:32,800 古くさいことをおっしゃる 250 00:20:33,767 --> 00:20:37,000 我が国が 外国の猿まねをしていた時代は とうに終わった 251 00:20:37,567 --> 00:20:40,100 今や 海外に負けない製品を 作っております 252 00:20:40,166 --> 00:20:44,600 そうです 日本人なら 日本の製品を使うべきだ 253 00:20:44,834 --> 00:20:45,867 (栄一)駄目だ 254 00:20:46,066 --> 00:20:49,433 国産品か否かにこだわるより 大事なのは安全だろう! 255 00:20:51,166 --> 00:20:52,166 (ノック) 256 00:20:52,500 --> 00:20:53,533 (勇之助)失礼いたします 257 00:20:57,700 --> 00:20:58,700 篤二が? 258 00:20:58,767 --> 00:20:59,800 (勇之助)はい… 259 00:21:04,500 --> 00:21:06,200 すまぬ 失礼する 260 00:21:07,033 --> 00:21:09,166 は? お待ちください! 261 00:21:11,934 --> 00:21:12,967 篤二さんは? 262 00:21:18,934 --> 00:21:20,166 “ダイシッサク”? 263 00:21:21,700 --> 00:21:22,734 まさか また… 264 00:21:24,633 --> 00:21:29,066 (歌子)熊本からの電報では おなごを連れて大阪に逃げたと 265 00:21:30,000 --> 00:21:31,033 (陳重)なぜだ… 266 00:21:32,100 --> 00:21:33,834 一度 旦那様にご相談を… 267 00:21:33,900 --> 00:21:38,667 (歌子)いいえ これは 私たちきょうだいの失策です 268 00:21:40,734 --> 00:21:44,700 お忙しい父さまの手を 煩わせるわけにはまいりません 269 00:21:49,867 --> 00:21:54,367 (陳重)篤二君は いかなるご処分が あっても怨(うら)みなしと 270 00:21:56,166 --> 00:21:58,967 まことに 申し訳ございません 271 00:22:01,433 --> 00:22:02,467 いや 272 00:22:04,667 --> 00:22:10,100 陳重君や熊本の先生方には まことに申し訳ないことをした 273 00:22:14,700 --> 00:22:15,734 はぁ 274 00:22:18,400 --> 00:22:22,700 学校は 退学にするより ほかにない 275 00:22:26,133 --> 00:22:27,166 謹慎させよう 276 00:22:29,033 --> 00:22:31,200 中の家(なかんち)と尾高にも相談する 277 00:22:34,033 --> 00:22:36,667 (阪谷芳郎)篤二君は 今 飛鳥山(あすかやま)におりますが… 278 00:22:41,333 --> 00:22:43,567 (栄一)篤二が このようになった責任は― 279 00:22:44,300 --> 00:22:45,867 明らかに私にあるが… 280 00:22:51,333 --> 00:22:54,266 私は 会わぬ方がよいだろう 281 00:23:00,667 --> 00:23:03,000 (篤二)それで 父さまは? 282 00:23:04,900 --> 00:23:07,567 鉄道会社の集会に お出ましになられました 283 00:23:10,700 --> 00:23:15,867 (琴子)篤二さん 父さまは あなたを愛しているからこそ― 284 00:23:16,200 --> 00:23:18,467 面会を お許しにならなかったのよ 285 00:23:19,533 --> 00:23:20,567 分かるわよね 286 00:23:25,533 --> 00:23:26,567 はい… 287 00:23:32,333 --> 00:23:36,166 私などに このように 慈愛の思(おぼ)し召しを頂き― 288 00:23:36,667 --> 00:23:37,700 痛み入ります 289 00:23:39,333 --> 00:23:42,367 よくよく謹慎し おわび申し上げます 290 00:23:47,367 --> 00:23:51,100 (渋沢てい)そんなに そろって恐縮することねぇにい 291 00:23:51,166 --> 00:23:52,200 ていねえさま! 292 00:23:53,166 --> 00:23:55,433 でも… そうだいねえ 293 00:23:56,300 --> 00:23:58,000 兄さまは いつの間にか― 294 00:23:58,633 --> 00:24:01,734 歌子や琴子や篤二だけの とっさまではなく― 295 00:24:02,133 --> 00:24:05,266 もっと でっけえもののとっさまに なっちまったのかもしんねぇねぇ 296 00:24:08,700 --> 00:24:12,433 あ… よし これが小松菜だ 297 00:24:14,000 --> 00:24:18,333 これは… 篤二が好きな かぶだぞ な 298 00:24:19,400 --> 00:24:23,767 服と似てるぞ 顔も似てるし ん? そうだろ ハハハ… 299 00:24:24,767 --> 00:24:29,133 (語り)ていは 篤二を 血洗島(ちあらいじま)に連れて帰りました 300 00:24:58,033 --> 00:25:01,800 明日は藍葉を刈るかんね 手伝っておくれ 301 00:25:03,100 --> 00:25:04,133 藍葉… 302 00:25:05,967 --> 00:25:07,133 そうだで 303 00:25:08,900 --> 00:25:13,266 兄さまも私も ずっと あの畑で育ったんだに 304 00:25:16,166 --> 00:25:19,033 かっさまの話じゃ 兄さまは― 305 00:25:19,100 --> 00:25:22,300 とっさまに叱られるたんびに 畑ん中 逃げ込んで― 306 00:25:23,734 --> 00:25:27,133 いつかなんか 人さらいに 遭ったんじゃねぇかって― 307 00:25:27,200 --> 00:25:30,233 大騒ぎになったって フフ… 308 00:25:41,967 --> 00:25:43,200 10歳の時… 309 00:25:47,800 --> 00:25:51,100 父と 初めて草むしりをしたんです 310 00:26:18,834 --> 00:26:19,867 やるぞ 311 00:26:23,667 --> 00:26:26,200 (篤二) 父が… “よいことをすれば―” 312 00:26:27,233 --> 00:26:30,133 “きっと 母さまの病は よくなるよ”と言われるので― 313 00:26:31,600 --> 00:26:33,200 精を出して草をむしった 314 00:26:35,100 --> 00:26:40,700 どうにかして 母さまの病が よくなるようにと 一生懸命に… 315 00:27:08,300 --> 00:27:11,100 母さまの病は 悲しかった… 316 00:27:14,266 --> 00:27:18,066 でも ふだん ほとんど家にいない父が― 317 00:27:18,633 --> 00:27:21,066 ずっと家にいるのが うれしくてたまらなかった 318 00:27:35,333 --> 00:27:37,767 母さまも治ることはなかった… 319 00:27:39,233 --> 00:27:40,266 (栄一)逝くな… 320 00:27:45,200 --> 00:27:46,834 逝かないでくれ! 321 00:27:48,667 --> 00:27:49,700 お千代! 322 00:27:58,000 --> 00:27:59,600 今でも 夏は苦手です 323 00:28:07,767 --> 00:28:08,800 そうかい 324 00:28:24,633 --> 00:28:26,100 (渋沢市郎(いちろう))篤二 大丈夫かい 325 00:28:26,567 --> 00:28:27,600 はい 326 00:28:27,667 --> 00:28:32,667 (笛の演奏) 327 00:28:33,467 --> 00:28:38,266 (男性)く ゥゥろ くう もを 328 00:28:38,333 --> 00:28:42,133 ただ おいィ かァけ て 329 00:28:42,667 --> 00:28:47,100 (男性たち)み ちィの こか げで 330 00:28:47,166 --> 00:28:51,066 たつが まァき そお ろ 331 00:28:52,433 --> 00:28:53,567 (男性)篤二 もっと気張れ! 332 00:28:54,100 --> 00:28:55,133 はい! 333 00:28:55,433 --> 00:28:57,800 (語り)篤二は 謹慎の後― 334 00:28:58,934 --> 00:29:04,967 東京に戻り 華族の娘 敦子(あつこ)と 結婚することとなりました 335 00:29:14,567 --> 00:29:16,100 (いななき) 336 00:29:19,000 --> 00:29:20,033 (男性)うっ… 337 00:29:24,333 --> 00:29:25,367 (喜十郎(きじゅうろう))売国奴! 338 00:29:26,100 --> 00:29:27,300 (喜十郎)渋沢め! 339 00:29:33,800 --> 00:29:34,834 あ~! 340 00:29:36,066 --> 00:29:37,100 あ…! 341 00:29:49,000 --> 00:29:50,033 栄一! 342 00:29:50,734 --> 00:29:51,767 おう 343 00:29:53,367 --> 00:29:56,934 何だい おめぇは いっつも いっつも! 344 00:30:01,100 --> 00:30:06,367 爆弾で襲われた大隈(おおくま)さんみてぇに 大怪我(おおけが)したかと思ったで! 345 00:30:06,567 --> 00:30:09,433 すみません 犯人も無事に捕まりました 346 00:30:09,500 --> 00:30:10,533 あぁ 347 00:30:10,600 --> 00:30:11,667 そうなんだ 348 00:30:13,667 --> 00:30:17,200 考えてみるに まことに殺す気であれば― 349 00:30:18,000 --> 00:30:20,767 あの暴漢も こんな手ぬるい襲い方は しねぇはずだ 350 00:30:21,500 --> 00:30:22,533 (喜作)ん? 351 00:30:23,834 --> 00:30:25,033 身に覚えはある 352 00:30:25,734 --> 00:30:26,800 水道管のことだ 353 00:30:28,333 --> 00:30:32,367 舶来品より質で劣る 国産の水道管を使いたい誰かが― 354 00:30:33,166 --> 00:30:34,934 人を使って脅そうとしたんだ 355 00:30:39,734 --> 00:30:44,166 俺は 水を清潔にしたかっただけだ 356 00:30:46,734 --> 00:30:49,533 コレラの蔓延(まんえん)は まだ続いてる 357 00:30:55,800 --> 00:30:59,500 過去の過ちは 忘れてはならない 358 00:31:32,867 --> 00:31:35,367 (語り)慶喜の妻 美賀子は― 359 00:31:36,667 --> 00:31:41,667 東京の徳川家達邸(てい)で 息を引き取りました 360 00:31:48,600 --> 00:31:51,800 美賀子様が お隠れに… 361 00:31:55,633 --> 00:31:56,667 (凌雲)うむ 362 00:31:59,066 --> 00:32:02,066 慶喜(けいき)様も 随分 寂しくなられたに違いない 363 00:32:05,300 --> 00:32:09,200 御前様は… 東京に 戻られるわけにはいかねぇのか 364 00:32:09,500 --> 00:32:11,433 (喜作)あぁ その方がよい 365 00:32:12,800 --> 00:32:17,400 男爵となっている息子の 厚様だって東京にお住まいだ 366 00:32:20,166 --> 00:32:24,934 うむ 慶喜(けいき)様も 近頃 ご不調が多い 367 00:32:26,133 --> 00:32:31,100 本当は 東京の病院に近い方が 何かと都合がよいのだが… 368 00:32:34,000 --> 00:32:37,300 今も 朝敵だった過去を― 369 00:32:37,367 --> 00:32:41,800 忘れてはならぬと 強く思われておる 370 00:32:42,834 --> 00:32:44,834 何だい それは 371 00:32:45,934 --> 00:32:49,767 俺は御前様が 朝廷と戦う気など― 372 00:32:49,834 --> 00:32:54,467 一切お持ちでなかったことを よく知っておる 373 00:32:55,500 --> 00:32:58,867 幕末維新だって 昔のことじゃねぇか! 374 00:32:59,533 --> 00:33:00,967 (家臣)薩摩(さつま)を討つべし! 375 00:33:01,033 --> 00:33:02,033 (家臣)薩摩を討つべし! 376 00:33:02,100 --> 00:33:03,600 (家臣たち)薩摩を討つべし! 薩摩を討つべし! 377 00:33:03,667 --> 00:33:05,233 薩摩を討つべし! 378 00:33:05,500 --> 00:33:08,200 薩摩を討つべし! 薩摩を討つべし! 379 00:33:08,266 --> 00:33:09,433 薩摩を討つべし! 380 00:33:10,333 --> 00:33:13,400 政権を帝(みかど)に返上する 381 00:33:15,967 --> 00:33:17,000 (渋沢篤太夫(とくだゆう))上様! 382 00:33:21,333 --> 00:33:23,633 どんなにご無念だったことで ございましょう 383 00:33:33,367 --> 00:33:37,400 世間の風当たりは まだまだ御前様に厳しい 384 00:33:47,300 --> 00:33:48,700 俺が気に入らぬのは― 385 00:33:50,066 --> 00:33:54,867 御前様が 幕府の終わりになさった 数々のご偉業まで― 386 00:33:55,700 --> 00:33:59,233 まるでなかったことのように 消し去られ 押し込められ― 387 00:34:00,266 --> 00:34:02,600 そこに 別の輩(やから)がどんどんと現れて― 388 00:34:02,867 --> 00:34:06,433 己こそが 日本を作ったというような顔を しておることだ 389 00:34:07,300 --> 00:34:08,333 しかりだ 390 00:34:08,867 --> 00:34:12,700 歴史の上から見ても 御前様が 新しい日本を作ろうと― 391 00:34:12,767 --> 00:34:15,700 流れを変えた人物であることは 間違いない 392 00:34:17,166 --> 00:34:18,200 あぁ 393 00:34:21,867 --> 00:34:25,667 俺たちはそれを… 忘れさせてはならねぇ 394 00:34:31,834 --> 00:34:32,834 (砲声) 395 00:34:33,834 --> 00:34:38,700 (語り)明治以降 本格的に 富国強兵を進めてきた日本は― 396 00:34:39,400 --> 00:34:43,066 大国 清と 戦闘状態に入りました 397 00:34:43,867 --> 00:34:47,467 (新聞屋)日本軍が 平壌(へいじょう)を占拠! 398 00:34:47,800 --> 00:34:51,266 (新聞屋)海軍は 黄海海戦に勝利した! 399 00:34:51,333 --> 00:34:52,767 (歓声) 400 00:34:53,900 --> 00:34:54,967 (男性)帝国万歳… 401 00:34:55,867 --> 00:34:57,100 帝国万歳! 402 00:34:58,400 --> 00:35:01,700 (語り)栄一は 東京商業会議所 403 00:35:01,767 --> 00:35:04,934 および関東銀行会の 代表として 404 00:35:05,767 --> 00:35:07,300 天皇が陣を置く 405 00:35:07,600 --> 00:35:10,700 広島大本営に 赴きました 406 00:35:11,233 --> 00:35:12,266 (栄一) “天皇陛下に” 407 00:35:12,333 --> 00:35:13,567 “おかせられ ましては” 408 00:35:14,500 --> 00:35:17,834 “ますますご機嫌の 麗しきことと存じ” 409 00:35:18,467 --> 00:35:19,600 “慶賀に 堪えません” 410 00:35:21,200 --> 00:35:25,066 “この度の 陸海軍の勝利につきまして―” 411 00:35:26,266 --> 00:35:29,900 “衷心より お祝いを申し上げます” 412 00:35:33,533 --> 00:35:36,767 (慶喜)広島の道中 立ち寄ってくれるとはありがたい 413 00:35:37,266 --> 00:35:38,300 (栄一)はい 414 00:35:39,066 --> 00:35:44,266 続々と 日本軍勝利の報が届き めでたいことです 415 00:35:45,000 --> 00:35:49,000 しかし 陛下が自ら陣を構えられるとは… 416 00:35:49,600 --> 00:35:50,633 (栄一)はい 417 00:35:51,934 --> 00:35:56,100 戦争は あえて望むものでは ございませんが― 418 00:35:57,533 --> 00:36:01,233 陛下のもと 挙国一致して事に当たるは― 419 00:36:02,900 --> 00:36:06,967 東湖(とうこ)先生の教えにあった 尊王(そんのう)の志そのもの 420 00:36:09,266 --> 00:36:13,133 草莽(そうもう)の志士であった 若き日を思い出します 421 00:36:20,400 --> 00:36:21,900 この先はいよいよ― 422 00:36:23,100 --> 00:36:27,033 我らの次の世代が 気張ってゆく世となりましょう 423 00:36:31,700 --> 00:36:32,734 そこで… 424 00:36:35,000 --> 00:36:37,367 この世が すっかりと変わってしまう前に― 425 00:36:38,500 --> 00:36:41,000 御前様にお願いがございます 426 00:36:46,200 --> 00:36:49,633 あなた様を 世に知らしめたい 427 00:36:52,767 --> 00:36:57,867 今 元外国方で 新聞社を営んでいる福地殿と― 428 00:36:59,100 --> 00:37:02,600 御前様の伝記を 作りたいと考えております 429 00:37:05,066 --> 00:37:10,900 我々は このまま あなた様に 世に埋もれていただきたくない 430 00:37:11,934 --> 00:37:15,467 あなた様は ただの逃げた暗君(あんくん)ではない 431 00:37:15,533 --> 00:37:17,567 私たちは それをよく知っております 432 00:37:19,266 --> 00:37:24,533 どうか あなた様のお考えを ご偉業を― 433 00:37:26,166 --> 00:37:27,934 後世に残させてください 434 00:37:28,400 --> 00:37:32,467 (慶喜)何度も言うが 話すことは何もない 435 00:37:35,567 --> 00:37:36,600 しかし… 436 00:37:40,633 --> 00:37:41,800 (慶喜)何が偉業だ 437 00:37:44,867 --> 00:37:47,133 私は 誰に忘れ去られようが― 438 00:37:48,300 --> 00:37:52,633 たとえ ただの趣味に生きる 世捨て人と思われようが構わぬ 439 00:38:02,233 --> 00:38:03,266 諦めません 440 00:38:07,767 --> 00:38:11,133 私は 諦めません 441 00:38:17,600 --> 00:38:19,367 (語り)翌年(よくとし)の3月… 442 00:38:27,000 --> 00:38:31,700 日清戦争が 日本の勝利で終結しました 443 00:38:32,600 --> 00:38:34,767 (男性)日本 万歳! 444 00:38:35,400 --> 00:38:40,533 (民衆たち)万歳 万歳 万歳! 445 00:38:40,600 --> 00:38:44,734 安城(あんじょう)の 名は徒(いたず)らのものなるか 446 00:38:45,033 --> 00:38:47,800 敵の撃ち出す弾丸に 447 00:38:48,066 --> 00:38:50,433 波は怒りて水騒ぎ 448 00:38:50,667 --> 00:39:01,100 (篤二)せかれ 逢(あ)はれぬ 449 00:39:02,000 --> 00:39:09,033 身の因果 450 00:39:10,533 --> 00:39:19,867 たとえ どなたの意見でも 451 00:39:21,467 --> 00:39:23,333 (伊藤博文(いとうひろぶみ))戦争中 寝込んどったそうじゃないか 452 00:39:23,967 --> 00:39:27,867 あぁ いろんなところに がたが出てくる 453 00:39:27,934 --> 00:39:29,200 もう すっかり年寄りだ 454 00:39:30,100 --> 00:39:32,533 (博文)なんの まだ気張ってもらわんといかん 455 00:39:34,033 --> 00:39:35,600 戦争で金を使(つこ)うた分― 456 00:39:36,100 --> 00:39:38,533 こっから うんと 産業を盛り上げんにゃならん 457 00:39:41,033 --> 00:39:45,066 この戦争の費用は 約2億円に上ると聞きました 458 00:39:46,800 --> 00:39:49,367 政府予算が 年8000万だというのに― 459 00:39:49,433 --> 00:39:50,467 どういうことです? 460 00:39:51,633 --> 00:39:55,734 その分は 負けた清国から どうにか ぶんどれそうじゃ 461 00:39:56,300 --> 00:39:57,834 おぉ 賠償金か! 462 00:39:57,900 --> 00:39:58,934 (博文)そうじゃ 463 00:39:59,667 --> 00:40:00,734 ええか 渋沢君 464 00:40:00,800 --> 00:40:01,800 清国に 465 00:40:01,867 --> 00:40:03,066 勝ったっちゅう ことは 466 00:40:03,133 --> 00:40:04,166 日本は もはや 467 00:40:04,233 --> 00:40:05,734 アジアの 三等国じゃあない 468 00:40:06,667 --> 00:40:09,467 一等国への確かな道が 見えてきたっちゅうことじゃ 469 00:40:10,667 --> 00:40:13,900 御一新から30年足らずで 今や日本は― 470 00:40:13,967 --> 00:40:16,633 西洋列強と並ぶ 文明国になろうとしとる 471 00:40:17,467 --> 00:40:19,300 この先も イギリスを味方につけ― 472 00:40:19,967 --> 00:40:23,800 アメリカとも うまくやって 欧米に日本を認めさせ― 473 00:40:25,033 --> 00:40:28,233 一刻も早(はよ)う 一等国の仲間入りを せんにゃならんのじゃ 474 00:40:29,400 --> 00:40:33,633 おぉ… ようやく そこまで来たか! 475 00:40:33,834 --> 00:40:36,367 そうじゃ 年を取ってる場合じゃない 476 00:40:36,800 --> 00:40:40,266 そこまで来たからには… 伊藤さん 477 00:40:41,100 --> 00:40:42,867 御前様が東京に戻っても― 478 00:40:42,934 --> 00:40:44,800 もう文句を言う者は おりませんな? 479 00:40:45,300 --> 00:40:46,333 は? 480 00:40:47,100 --> 00:40:49,233 御前様とは 慶喜さんのことか? 481 00:40:50,867 --> 00:40:53,834 お主 まだ そねえな昔の主(あるじ)を 慕っとるんか 482 00:40:53,900 --> 00:40:55,066 当ったり前だ 483 00:40:56,166 --> 00:40:59,100 御前様なくして 今の日本はありませんよ! 484 00:41:02,066 --> 00:41:04,000 (語り)そして 2年後… 485 00:41:07,867 --> 00:41:08,900 (男性) お待ちくださいませ 486 00:41:28,667 --> 00:41:29,767 お帰りなさいませ 487 00:41:31,567 --> 00:41:32,900 (渋沢敦子・篤二・兼子) お帰りなさいませ 488 00:41:33,900 --> 00:41:39,400 (語り)慶喜が およそ30年ぶりに 東京に戻ってきました 489 00:41:42,834 --> 00:41:43,867 (慶喜)うむ 490 00:41:54,433 --> 00:41:56,033 そちらが篤二君か 491 00:41:57,133 --> 00:41:58,166 はい 492 00:42:00,266 --> 00:42:04,333 (栄一)嫡男の篤二と その妻の敦子でございます 493 00:42:06,400 --> 00:42:08,900 (慶喜)そうか よろしく頼む 494 00:42:33,867 --> 00:42:37,633 (猪飼)本当に 前様(さきさま)が 昔のことをお話しになるのか 495 00:42:39,300 --> 00:42:41,433 (栄一) 私が目指していたものは これか? 496 00:42:41,934 --> 00:42:43,300 (暴徒)売国奴め! 497 00:42:43,500 --> 00:42:47,000 (慶喜)人は 戦争をしたくなれば 必ずするのだ 498 00:42:47,333 --> 00:42:48,400 (せきこみ) 499 00:42:48,467 --> 00:42:49,533 (男性)医者を 呼んでください! 500 00:42:50,500 --> 00:42:51,600 (篤二) 僕も逃げたい… 501 00:42:52,633 --> 00:42:53,867 僕も逃げたい! 502 00:42:54,934 --> 00:42:55,967 (慶喜)生きてくれ 503 00:42:56,967 --> 00:42:58,000 何でも話そう