1 00:00:38,681 --> 00:00:44,319 こんばんは。 徳川家康です。 2 00:00:44,319 --> 00:00:49,825 今日は まず日本の歴史です。 3 00:00:49,825 --> 00:00:59,334 大和政権が始まり 大化の改新 そして平安文化が栄えた頃➡ 4 00:00:59,334 --> 00:01:08,343 地方では 領地を巡って争いが増え 戦いを職業とする武士が誕生します。 5 00:01:08,343 --> 00:01:12,214 我が徳川のルーツだ。 6 00:01:12,214 --> 00:01:19,855 源平 北条 足利の世 応仁の乱… と 戦いは激しくなり➡ 7 00:01:19,855 --> 00:01:23,726 私が生まれた頃には 鉄砲も伝来。 8 00:01:23,726 --> 00:01:31,300 私も使いましたよ 信長様に勧められて。 9 00:01:31,300 --> 00:01:41,009 そして そんな戦ばかりの世を どうにか統一したのが この私です。 10 00:01:41,009 --> 00:01:52,154 私は征夷大将軍となり 徳川の世 今で言う江戸幕府を作りました。 11 00:01:52,154 --> 00:01:56,024 260年も続いた。 12 00:01:56,024 --> 00:02:02,164 ここからここまで ずっとです。 13 00:02:02,164 --> 00:02:05,968 島原の乱のあとは 戦いもなく➡ 14 00:02:05,968 --> 00:02:14,676 新しい文化も育ち 悪くない時代だったと私は思う。 15 00:02:14,676 --> 00:02:23,185 よく 明治維新で徳川は倒され 近代日本が生まれたなんて言われますが➡ 16 00:02:23,185 --> 00:02:27,523 実は そう単純なものじゃあない。 17 00:02:27,523 --> 00:02:30,425 古くなった時代を閉じ➡ 18 00:02:30,425 --> 00:02:36,632 今につながる日本を拓いた この人物こそ➡ 19 00:02:36,632 --> 00:02:44,632 我が徳川の家臣であったと ご存じだったかな? 20 00:02:59,855 --> 00:03:01,855 (渋沢栄一)お… 来たど! 21 00:03:11,834 --> 00:03:14,634 (渋沢喜作)よし 行ぐで! おぉ! 22 00:03:16,338 --> 00:03:19,538 渋沢栄一でございます! 23 00:03:25,981 --> 00:03:28,481 渋沢栄一でございます! 24 00:03:31,787 --> 00:03:34,456 おい! 25 00:03:34,456 --> 00:03:36,456 栄一! あ…。 26 00:03:42,931 --> 00:03:45,431 (いななき) 27 00:03:50,806 --> 00:03:55,106 某は渋沢栄一でございます! 28 00:03:57,512 --> 00:04:00,212 渋沢栄一でございます! 29 00:04:02,284 --> 00:04:07,956 某は渋沢喜作と申します! 30 00:04:07,956 --> 00:04:18,166 ♬~ 31 00:04:18,166 --> 00:04:22,671 既に! 今 既に 徳川のお命は尽きてございます! 32 00:04:22,671 --> 00:04:24,973 バカ 余計なことを! 33 00:04:24,973 --> 00:04:28,773 いかに取り繕おうとも 既にお命は… ああっ。 34 00:05:01,476 --> 00:05:04,513 (徳川慶喜)そなた今 何と申した? 35 00:05:04,513 --> 00:05:11,186 既に 徳川のお命は尽きてございます。 36 00:05:11,186 --> 00:05:15,657 あなた様は 賢明なる水戸烈公の御子。 37 00:05:15,657 --> 00:05:19,494 もし もし天下に事のあった時➡ 38 00:05:19,494 --> 00:05:22,531 あなた様が その大事なお役目を 果たされたいとお思いならば➡ 39 00:05:22,531 --> 00:05:27,831 どうか どうか この渋沢をお取り立てくださいませ! 40 00:05:32,607 --> 00:05:34,807 面を上げよ。 41 00:05:39,381 --> 00:05:51,994 ♬~ 42 00:05:51,994 --> 00:05:54,296 言いたいことは それだけか。 43 00:05:54,296 --> 00:05:57,332 否! まだ山ほどございまする! 44 00:05:57,332 --> 00:06:00,802 バカ! 45 00:06:00,802 --> 00:06:03,638 円四郎 そなたの仕業か。 46 00:06:03,638 --> 00:06:05,638 (平岡円四郎)はっ! 47 00:06:10,412 --> 00:06:13,815 (慶喜)この者たちを 明日 邸へ呼べ。 48 00:06:13,815 --> 00:06:18,320 これ以上 馬の邪魔をされては困る。 49 00:06:18,320 --> 00:06:20,255 ははっ! 50 00:06:20,255 --> 00:06:22,958 (いななき) 51 00:06:22,958 --> 00:06:31,666 ♬~ 52 00:06:31,666 --> 00:06:35,437 やった! やったど 栄一! 53 00:06:35,437 --> 00:06:37,773 話を聞いてもらえるど! 54 00:06:37,773 --> 00:06:43,445 ああ… おお…! 55 00:06:43,445 --> 00:06:47,115 ああ… あ~ ハハハ! 56 00:06:47,115 --> 00:06:51,920 (語り) 渋沢栄一と徳川慶喜のこの出会いから➡ 57 00:06:51,920 --> 00:06:58,627 日本は 近代に向けて 動き出すことになるのです。 58 00:06:58,627 --> 00:07:02,927 あれが 一橋様か…。 59 00:07:06,368 --> 00:08:36,091 ♬~ 60 00:08:36,091 --> 00:09:56,905 ♬~ 61 00:09:56,905 --> 00:10:01,109 渋沢栄一が 少年時代を送るのは➡ 62 00:10:01,109 --> 00:10:04,913 ここ 武蔵国。 63 00:10:04,913 --> 00:10:09,284 ≪置いてけぼりは やだ! 64 00:10:09,284 --> 00:10:11,219 (牛の鳴き声) 65 00:10:11,219 --> 00:10:13,922 置いてけぼりは やだ! 俺も行ぐ! 66 00:10:13,922 --> 00:10:16,791 (渋沢ゑい) あらまぁ またそんな剛情を言って。 67 00:10:16,791 --> 00:10:19,461 (渋沢なか)行がなくもよかんべ。 栄一が町に出ても➡ 68 00:10:19,461 --> 00:10:21,796 ちっちぇえべえで 何も手伝えやしねぇんだから。 69 00:10:21,796 --> 00:10:24,799 やだ! 俺も岡部の町に行ぐに~! 70 00:10:24,799 --> 00:10:26,935 ねえ 栄一。 勘弁しとくれえね。 71 00:10:26,935 --> 00:10:29,004 晩には ちゃあんと帰ってきますから。 やだ! 72 00:10:29,004 --> 00:10:31,139 (渋沢市郎右衛門)おい。 まだか。 そろそろ行ぐぞ。 73 00:10:31,139 --> 00:10:36,645 置いてけぼりは やだ~! 連れてげ~! 置いてけぼりは やだ~! 74 00:10:36,645 --> 00:10:40,148 お願いね。 あといっときたったら もう一遍お蚕さまに➡ 75 00:10:40,148 --> 00:10:42,484 桑の葉あげるの忘れねえでな。 (女中 作男)へぇ。 76 00:10:42,484 --> 00:10:45,820 やだ! (ゑい)ああ! 俺も岡部の町に行ぐに~! 77 00:10:45,820 --> 00:10:50,659 おい 剛情もいいかげんにしろ 栄一! やだ! やだ! 78 00:10:50,659 --> 00:10:53,695 (悲鳴) やだ! 79 00:10:53,695 --> 00:10:57,532 行ってくんべ。 お願いね。 行ってらっしゃいまし。 80 00:10:57,532 --> 00:10:59,532 もう 栄一。 81 00:11:01,970 --> 00:11:04,873 (女中)行ってらっしゃいまし。 ≪やだ~! 行ぐ~! 82 00:11:04,873 --> 00:11:10,345 俺も行ぐに~! 俺を連れていがなぎゃあ勘弁しねえぞ! 83 00:11:10,345 --> 00:11:13,381 勘弁しねえ! 勘弁しねえ! 84 00:11:13,381 --> 00:11:18,081 勘弁しねえ! 坊ちゃん…。 俺も行ぐ~! 85 00:11:19,988 --> 00:11:22,688 その日の夕方。 86 00:11:24,359 --> 00:11:26,294 (尾高長七郎)あ あにぃだ! 87 00:11:26,294 --> 00:11:29,197 (子供)新五郎あにぃ 帰ってきた! (尾高新五郎)おう! 88 00:11:29,197 --> 00:11:31,633 (子供)新五郎あにぃ! えれえことだで あにぃ! 89 00:11:31,633 --> 00:11:34,302 どうした? 栄一が まあた いなくなったんだに。 90 00:11:34,302 --> 00:11:38,139 ええ? あっちの畑は? (子供たち)いねえ。 91 00:11:38,139 --> 00:11:40,075 神社は? (子供たち)いねえ。 92 00:11:40,075 --> 00:11:42,275 木の上は? (子供たち)いねえ。 93 00:11:43,945 --> 00:11:49,484 あぁ… 栄一ったら どこ行ったのよ。 94 00:11:49,484 --> 00:11:53,154 ゑいさん! 栄一が またいなくなったって? 95 00:11:53,154 --> 00:11:58,326 新五郎! いくら捜してもいないんよ。 はあ? 96 00:11:58,326 --> 00:12:03,198 おい いたか! いいえ。 東の家も? 97 00:12:03,198 --> 00:12:05,500 (渋沢まさ) うちの方にも来やしなかったよ。 98 00:12:05,500 --> 00:12:10,372 何で誰も栄一を見張ってなかったんだ! (作男 女中)すんません! 99 00:12:10,372 --> 00:12:14,976 ごめんなさい。 ちっと隠れてるだけだと…。 100 00:12:14,976 --> 00:12:17,345 あんたが悪いんじゃないよ。 101 00:12:17,345 --> 00:12:20,682 あぁ~ やっぱり あの子を置いていぐんじゃなかった。 102 00:12:20,682 --> 00:12:23,351 あの子は うんと さみしがりやで…。 103 00:12:23,351 --> 00:12:28,151 さみしがりいうより 剛情っぱりなんだいね 栄一は。 104 00:12:29,858 --> 00:12:34,629 栄一のやつ 人さらいに遭ったんじゃねえだんべか。 105 00:12:34,629 --> 00:12:36,664 え? 人さらい? 106 00:12:36,664 --> 00:12:39,467 (まさ)は~ よしない 縁起でもねぇこと。 107 00:12:39,467 --> 00:12:43,338 栄一…。 (泣き声) 108 00:12:43,338 --> 00:12:47,142 おめえたち 泣くんじゃねぇ! 109 00:12:47,142 --> 00:12:49,077 もう一遍 手分けして捜すだに! 110 00:12:49,077 --> 00:12:53,014 坊ちゃ~ん! 坊ちゃ~ん! 坊ちゃ~ん! 111 00:12:53,014 --> 00:12:56,151 (おうめ)そっちは? (おたか)いらっしゃいません! 112 00:12:56,151 --> 00:12:58,151 (おはる)もっぺん 外見てきます! 113 00:12:59,821 --> 00:13:05,321 栄一! 栄一! 栄一! 114 00:13:15,970 --> 00:13:17,906 栄一! 115 00:13:17,906 --> 00:13:21,606 栄一! 栄一! 栄一! 116 00:13:32,287 --> 00:13:35,790 なか…。 (泣き声) 117 00:13:35,790 --> 00:13:38,126 栄一…。 118 00:13:38,126 --> 00:13:41,029 ありがと。 119 00:13:41,029 --> 00:13:43,465 (市郎右衛門) おい もっぺん川見てこい 川! 120 00:13:43,465 --> 00:13:48,803 へえ。 行くぞ。 (市郎右衛門)頼んだぞ! 121 00:13:48,803 --> 00:13:53,141 へえ。 坊ちゃ~ん! 122 00:13:53,141 --> 00:14:02,441 ♬~ 123 00:14:08,490 --> 00:14:11,190 はあ…。 124 00:14:30,745 --> 00:14:50,098 (蚕の音) 125 00:14:50,098 --> 00:14:55,598 ああ 栄一…。 126 00:15:05,146 --> 00:15:08,946 ≪う~ん…。 127 00:15:24,532 --> 00:15:27,969 え…? お前さん! 128 00:15:27,969 --> 00:15:31,272 ≪(ゑい)お前さん! お前さん! うん? 129 00:15:31,272 --> 00:15:33,608 こっち! (市郎右衛門)どうした! 130 00:15:33,608 --> 00:15:47,622 ♬~ 131 00:15:47,622 --> 00:15:52,794 ん? おぉ かっさま。 132 00:15:52,794 --> 00:15:56,664 あぁ 栄一! 栄一…。 133 00:15:56,664 --> 00:16:00,134 かっさま 痛えよ 苦しいって。 134 00:16:00,134 --> 00:16:03,834 栄一 よかったよ…。 135 00:16:05,940 --> 00:16:08,009 ずっと ここで寝てたのかい。 136 00:16:08,009 --> 00:16:12,814 うむ。 ここで隠れといて たまげさせてやるべえと思ったんだ。 137 00:16:12,814 --> 00:16:15,316 そしたら お蚕さんたちが➡ 138 00:16:15,316 --> 00:16:18,953 サアサア サアサア 桑の葉を食っててなぁ➡ 139 00:16:18,953 --> 00:16:22,824 外からは もずん声が チキチキ チキチキ…。 140 00:16:22,824 --> 00:16:24,826 (市郎右衛門)ばかもん! 141 00:16:24,826 --> 00:16:27,662 皆が どれだけ心配したと思ってんだ! 142 00:16:27,662 --> 00:16:32,100 そんなん とっさまが 俺を置いていぐからいげねんだんべ。 何? 143 00:16:32,100 --> 00:16:34,769 置いていぐなというのに 置いていぐんだから➡ 144 00:16:34,769 --> 00:16:36,704 どんなことになっても構わねえって…。 145 00:16:36,704 --> 00:16:39,641 ふざけんな! 痛っ! こっち来い! 146 00:16:39,641 --> 00:16:43,778 ふざけてはおりません! 勘弁しとくれ! 147 00:16:43,778 --> 00:16:49,578 あれまぁ あの子の剛情っぱりには あきれたもんだいね。 148 00:16:51,285 --> 00:16:54,622 お前は 辛抱が足らん。 149 00:16:54,622 --> 00:16:58,422 いいか よく聞け。 150 00:17:21,716 --> 00:17:23,685 勝つこと…。 どうしてなん? 151 00:17:23,685 --> 00:17:25,687 どうして 怒りは敵なん? 152 00:17:25,687 --> 00:17:29,524 どうして 怒りは敵なん? 口を挟むな! 153 00:17:29,524 --> 00:17:34,095 東照大権現様のお言葉なんだ。 154 00:17:34,095 --> 00:17:38,766 とうしょうだいごん…。 155 00:17:38,766 --> 00:17:41,669 東照大権現とは…。 156 00:17:41,669 --> 00:17:44,439 徳川家康です。 157 00:17:44,439 --> 00:17:46,908 痛え…。 158 00:17:46,908 --> 00:17:51,608 まぁまぁ 畳の跡が きれいにうつって。 159 00:17:54,115 --> 00:17:57,919 ああ…。 160 00:17:57,919 --> 00:18:01,122 そんでもなぁ かっさま。 うん? 161 00:18:01,122 --> 00:18:04,025 俺は ちっとんべぇうれしかったよ。 162 00:18:04,025 --> 00:18:08,629 はい? うれしい? 何が? 163 00:18:08,629 --> 00:18:12,133 みんな 俺を 置いていがなきゃよかったと思ったんべ? 164 00:18:12,133 --> 00:18:16,637 ほれ 見たことかだ。 まぁ 何てぇことを。 165 00:18:16,637 --> 00:18:20,942 俺も岡部に行きたかったんだよ。 166 00:18:20,942 --> 00:18:26,748 それに 目が覚めたら かっさまがいて ぎゅ~っとしてくれた。 167 00:18:26,748 --> 00:18:28,816 こんなうれしいこたあねぇ。 168 00:18:28,816 --> 00:18:32,887 何がうれしいだい。 かっさまは寿命が縮まったよ。 169 00:18:32,887 --> 00:18:38,593 寿命? 命って縮むんか。 そんなん困る。 170 00:18:38,593 --> 00:18:43,765 そうだんべ。 思い浮かべてみな。 171 00:18:43,765 --> 00:18:48,603 とっさまの気持ち かっさまの気持ち➡ 172 00:18:48,603 --> 00:18:54,275 お前を心配してくれた姉さまや 伯父さま 伯母さまや➡ 173 00:18:54,275 --> 00:18:57,575 働き手みんなの気持ちを。 174 00:19:00,081 --> 00:19:03,785 そんなに たくさん 思い浮かべるのは大変だに。 175 00:19:03,785 --> 00:19:05,985 思い浮かべんの。 176 00:19:08,122 --> 00:19:12,460 人は 生まれてきたその時から 一人でないんだよ。 177 00:19:12,460 --> 00:19:15,129 いろんなものと つながってんだよ。 178 00:19:15,129 --> 00:19:18,633 それを ここの奥底だって分かってんだよ。 179 00:19:18,633 --> 00:19:22,470 一人じゃないことを。 180 00:19:22,470 --> 00:19:26,340 おお ここか。 181 00:19:26,340 --> 00:19:29,143 ここに聞きな。 182 00:19:29,143 --> 00:19:35,750 それが本当に正しいか 正しくないか。 183 00:19:35,750 --> 00:19:41,550 あんたがうれしいだけじゃなくて みぃんながうれしいのが一番なんだで。 184 00:19:44,091 --> 00:19:46,894 分かったいね。 185 00:19:46,894 --> 00:19:51,094 ごめんよ。 死なねえどくれ。 186 00:19:52,700 --> 00:19:59,774 死にませんて。 あんたが心配で死ねません。 187 00:19:59,774 --> 00:20:04,111 かっさま。 はい。 188 00:20:04,111 --> 00:20:06,447 ぎゅ~っとしとくれ。 189 00:20:06,447 --> 00:20:10,117 ハハ… はいはい。 190 00:20:10,117 --> 00:20:25,466 ♬~ 191 00:20:25,466 --> 00:20:27,401 とっさま。 192 00:20:27,401 --> 00:20:29,337 うん? 193 00:20:29,337 --> 00:20:32,940 おやすみなさいまし。 194 00:20:32,940 --> 00:20:35,810 おやすみ。 195 00:20:35,810 --> 00:20:54,195 ♬~ 196 00:20:54,195 --> 00:21:01,936 さて ここは武蔵国の北にある血洗島。 197 00:21:01,936 --> 00:21:07,508 ♬「ヨィヨィ ヨィヨィ」 198 00:21:07,508 --> 00:21:12,980 ♬「お蚕様の ご馳走の」 199 00:21:12,980 --> 00:21:20,855 ♬「桑の葉 頂く ありがたさ ありがたさ」 200 00:21:20,855 --> 00:21:23,991 ♬「ヨィヨィ」 201 00:21:23,991 --> 00:21:30,197 土の質が稲作に向かないため 畑で麦や野菜を育てたり➡ 202 00:21:30,197 --> 00:21:34,168 蚕から生糸を取る養蚕をしたりして 暮らしていました。 203 00:21:34,168 --> 00:21:39,307 (ゑい)いい子だいね~。 た~んと おあがりよ~。 204 00:21:39,307 --> 00:21:46,480 ♬「天とう様と武州の人は」 205 00:21:46,480 --> 00:21:51,652 また この地の 大事な収入源となっていたのが➡ 206 00:21:51,652 --> 00:21:55,823 衣類を青い色に染めるための藍作りです。 207 00:21:55,823 --> 00:21:58,623 お茶 入りましたよ。 208 00:22:01,329 --> 00:22:08,669 ♬「藍をこなすは すけこ の声で」 209 00:22:08,669 --> 00:22:15,843 ♬「けったり 忘れて うでっこき」 210 00:22:15,843 --> 00:22:19,847 藍作りは 藍の葉を育てるだけでなく➡ 211 00:22:19,847 --> 00:22:24,185 それを加工して 藍玉と呼ばれる染料にするまで➡ 212 00:22:24,185 --> 00:22:28,856 大変手間のかかる仕事でした。 213 00:22:28,856 --> 00:22:34,462 美しい色を出す藍は人気があり 値も高く売れましたので➡ 214 00:22:34,462 --> 00:22:40,134 この辺りの領主である岡部藩を 支えるほどに もうけるようになり…。 215 00:22:40,134 --> 00:22:42,470 (市郎右衛門)いやんばいす。 216 00:22:42,470 --> 00:22:46,140 (百姓)おお 市郎右衛門さん おいでなすったか。 217 00:22:46,140 --> 00:22:55,316 栄一の父 渋沢市郎右衛門は 農民として また 藍玉作りの職人として➡ 218 00:22:55,316 --> 00:23:01,655 そして それを売る商人として 一年中忙しく暮らしていました。 219 00:23:01,655 --> 00:23:04,692 (紺屋)いい色が出てるじゃないですか。 220 00:23:04,692 --> 00:23:09,397 今年は この上なく ふくよかに仕上がりまして。 221 00:23:09,397 --> 00:23:14,835 (紺屋)ひとつ 職人に試させてみましょう。 おい。 へえ。 222 00:23:14,835 --> 00:23:18,535 何とぞ よろしくお願いします。 223 00:23:20,508 --> 00:23:23,344 栄一 今日は寒いから! 224 00:23:23,344 --> 00:23:27,515 そして その息子の栄一は…。 225 00:23:27,515 --> 00:23:29,550 (ゑい)栄一! 226 00:23:29,550 --> 00:23:34,622 人一倍わんぱくで 人一倍おしゃべりでした。 227 00:23:34,622 --> 00:23:39,794 ほら おっきくなりなさい。 もう食べないの? 全部食べなさい。 228 00:23:39,794 --> 00:23:45,933 ♬「お蚕 お蚕 柔らか 桑の葉 ホィ ホィ」 229 00:23:45,933 --> 00:23:49,804 ♬「たんと 食ったら ピチャラ ホィ」 230 00:23:49,804 --> 00:23:53,808 ♬「たんと 食ったら ピチャラ ホィ」 231 00:23:53,808 --> 00:23:58,479 おや 今日は どこへお出かけだい? 新五郎あにぃんところだに! 232 00:23:58,479 --> 00:24:03,951 (市郎右衛門)よくしゃべるところは お前に似たんだぞ。 233 00:24:03,951 --> 00:24:07,822 はぁ 何をおっしゃいますやら。 234 00:24:07,822 --> 00:24:13,694 あの剛情っぱりなところは 誰かさんに そっくりだいねぇ。 235 00:24:13,694 --> 00:24:17,331 何か言ったか。 いいえ。 236 00:24:17,331 --> 00:24:19,967 行ってまいりま~す! (ゑい)気を付いて行きよ! 237 00:24:19,967 --> 00:24:23,671 (作男 女中たち)行ってらっしゃいまし。 行ってまいりま~す! 238 00:24:23,671 --> 00:24:26,671 あっついから気い付いてな! はい! 239 00:24:31,112 --> 00:24:33,312 遅えど! あ すまねえ! 240 00:24:35,449 --> 00:24:38,786 栄一と いとこの喜作は➡ 241 00:24:38,786 --> 00:24:43,457 広い畑を 朝から晩まで駆け回って遊びました。 242 00:24:43,457 --> 00:24:58,005 ♬~ 243 00:24:58,005 --> 00:25:07,148 この緑豊かな血洗島から 東に150キロ離れた 常陸国 水戸では。 244 00:25:07,148 --> 00:25:25,648 (太鼓の音と掛け声) 245 00:25:27,468 --> 00:25:31,468 (太鼓の音) 246 00:25:35,309 --> 00:25:37,444 (徳川斉昭)放て! 247 00:25:37,444 --> 00:25:39,780 (砲声) 248 00:25:39,780 --> 00:25:42,283 放て! 放て! (砲声) 249 00:25:42,283 --> 00:25:44,785 放て! 放て! (砲声) 250 00:25:44,785 --> 00:25:47,288 放て! (砲声) 251 00:25:47,288 --> 00:26:02,788 (雄たけび) 252 00:26:10,311 --> 00:26:16,817 これは 徳川御三家 水戸藩の藩主 徳川斉昭です。 253 00:26:16,817 --> 00:26:20,321 見たこともねえ船だ! 254 00:26:20,321 --> 00:26:25,192 そのころ 限られた国としか つきあいのなかった日本に➡ 255 00:26:25,192 --> 00:26:31,966 多くの外国船が 国交を求めて 訪れるようになっていました。 256 00:26:31,966 --> 00:26:37,605 斉昭は いち早く 日本を外国から守ると立ち上がり➡ 257 00:26:37,605 --> 00:26:41,775 軍事訓練を始めました。 258 00:26:41,775 --> 00:26:47,114 はぁ 立派な兵 率いとっとは 水戸様は なんともすげぇお方だ。 259 00:26:47,114 --> 00:26:52,314 あ~ あれは七郎麻呂様じゃねえが。 どこだ? 260 00:27:07,434 --> 00:27:10,304 ほぅ。 261 00:27:10,304 --> 00:27:32,259 ♬~ 262 00:27:32,259 --> 00:27:34,259 (鳴き声) 263 00:27:36,597 --> 00:27:38,532 (七郎麻呂)はっ! 264 00:27:38,532 --> 00:28:25,012 ♬~ 265 00:28:25,012 --> 00:28:28,816 (いななき) 266 00:28:28,816 --> 00:28:31,085 (鳴き声) 267 00:28:31,085 --> 00:28:43,263 ♬~ 268 00:28:43,263 --> 00:28:45,263 (鳴き声) 269 00:28:49,069 --> 00:28:51,905 (群衆が沸く声) 270 00:28:51,905 --> 00:28:55,105 なんと勇ましい! 271 00:29:04,451 --> 00:29:09,323 いや~ 評判どおり 見事な腕前ですな。 272 00:29:09,323 --> 00:29:13,927 (藤田東湖)えぇ。 七郎君は 肝の据わり方があっぱれです。➡ 273 00:29:13,927 --> 00:29:16,830 やがて 名将となられることでしょう。 (耕雲斎)ええ。 274 00:29:16,830 --> 00:29:23,130 しかし… 育て方を間違えれば 手に余ることになるやもしれませぬ。 275 00:29:33,747 --> 00:29:37,418 見事じゃ 七郎麻呂。 276 00:29:37,418 --> 00:29:39,918 はっ! 277 00:29:42,890 --> 00:29:45,426 (斉昭)よいか 七郎麻呂。➡ 278 00:29:45,426 --> 00:29:55,926 長命の秘訣は 毎日黒豆を100粒ずつ食べ 牛乳を飲むを一生続けること。 279 00:29:57,604 --> 00:29:59,540 えい! 280 00:29:59,540 --> 00:30:01,775 (斉昭)湯茶は飲むな。 えい! 281 00:30:01,775 --> 00:30:06,914 果物のような水ものも極力控えよ。 282 00:30:06,914 --> 00:30:11,118 当主たるもの 常に乾いておらねばならぬ。 283 00:30:11,118 --> 00:30:15,456 湿る ぬれるは万病のもと。 284 00:30:15,456 --> 00:30:20,294 常にカラカラ カサカサに 乾いておらねばならぬ。 285 00:30:20,294 --> 00:30:22,229 えい! 286 00:30:22,229 --> 00:30:32,306 また こうして中指を立て 肛門を打てば➡ 287 00:30:32,306 --> 00:30:35,209 一生 痔を患うことはない…。 288 00:30:35,209 --> 00:30:38,946 はっ。 289 00:30:38,946 --> 00:30:46,320 そなたには 人の上に立つ器量がある。 290 00:30:46,320 --> 00:30:56,497 いずれは この父より 更に多くのものの上に立ち➡ 291 00:30:56,497 --> 00:31:03,370 その命運を担うことになるかもしれぬ。 292 00:31:03,370 --> 00:31:06,507 太平の世は終わった。 そなたは…。 293 00:31:06,507 --> 00:31:08,442 (耕雲斎)殿! 294 00:31:08,442 --> 00:31:13,180 殿 一大事でございます。 何じゃ! 295 00:31:13,180 --> 00:31:17,518 公儀より使いが参りまして 即刻江戸へ上れとのこと。 296 00:31:17,518 --> 00:31:19,818 何じゃと? 297 00:31:21,855 --> 00:31:24,858 (松平頼胤)「水戸中納言殿御家政向…」。 298 00:31:24,858 --> 00:31:31,298 幕府は斉昭に 大砲を連発して 世の中を騒がせたとして➡ 299 00:31:31,298 --> 00:31:36,169 隠居 謹慎を申しつけました。 300 00:31:36,169 --> 00:31:42,669 過激ともいえる思想を持つ斉昭は 幕府から警戒されていたのです。 301 00:31:44,811 --> 00:31:51,685 (阿部正弘)追鳥狩のみならず 寺からも公儀に訴えがあったのです。 302 00:31:51,685 --> 00:31:56,685 鐘や仏像を召し上げ 大筒を作るとは何事かと。 303 00:31:58,825 --> 00:32:04,965 全ては日の本を守りたいがためのこと。 304 00:32:04,965 --> 00:32:10,337 「水戸に謀反の企てあり」との密告も ありましたぞ。 305 00:32:10,337 --> 00:32:17,210 謀反!? 何をバカな。 306 00:32:17,210 --> 00:32:25,185 この私が どれだけ 日の本のことを案じておるか➡ 307 00:32:25,185 --> 00:32:29,685 なぜ上様には分かっていただけぬのか。 308 00:32:36,463 --> 00:32:40,300 (井上甚三郎) これは お父上の命にございます。➡ 309 00:32:40,300 --> 00:32:44,137 七郎君は 人の上に立たれる身。➡ 310 00:32:44,137 --> 00:32:48,008 お休みの時もお気を緩めることなく 鍛錬されねば…。 311 00:32:48,008 --> 00:32:53,647 うるさい。 下がれ。 312 00:32:53,647 --> 00:32:55,647 (甚三郎)ははっ。 313 00:33:06,226 --> 00:33:15,502 (斉昭)「七郎よ ひとときも 天命を忘れることなく備えねばならん。➡ 314 00:33:15,502 --> 00:33:25,178 いつか日の本を守る役目を果たすため 父は全てをそなたに授ける。➡ 315 00:33:25,178 --> 00:33:32,978 この身は離れていようとも 心は近くにある」。 316 00:33:39,292 --> 00:33:42,929 (2人)「人の初め…」。 6歳となった栄一は➡ 317 00:33:42,929 --> 00:33:48,929 父 市郎右衛門から 読み書きを 教えてもらうようになっていました。 318 00:33:50,637 --> 00:33:54,437 …教えずんば 性乃ち遷る。 319 00:33:58,512 --> 00:34:00,512 (ゑい)頼まいね。 320 00:34:18,665 --> 00:34:21,334 あれまぁ 栄一。 はぁ 覚えちまったんかい? 321 00:34:21,334 --> 00:34:23,270 へぇ かっさま。 322 00:34:23,270 --> 00:34:27,841 「きみをいたす」とは 卵ん黄身だけ食べる という意味じゃねえんだで。 323 00:34:27,841 --> 00:34:29,776 当たりめえだ。 324 00:34:29,776 --> 00:34:37,918 「君を致す」とは 上が正しい政をし 皆に幸せをもたらすということだ。 325 00:34:37,918 --> 00:34:40,787 上とは 金太郎ですか。 326 00:34:40,787 --> 00:34:43,457 お代官様ですか。 公方様か。 327 00:34:43,457 --> 00:34:49,930 公方様でも 親でも師匠でも 人の上に立つものは 皆 上だ。 328 00:34:49,930 --> 00:34:54,468 上に立つものは下のものへの責任がある。 329 00:34:54,468 --> 00:34:56,503 せきにんとは何だい? 330 00:34:56,503 --> 00:35:03,143 ほうだな。 大事なものを守るつとめだ。 331 00:35:03,143 --> 00:35:05,078 大事なもの…。 332 00:35:05,078 --> 00:35:09,483 (なか)何なん 栄一が先に 「三字経」を覚えちまうなんて。 333 00:35:09,483 --> 00:35:13,353 あぁ 立派だいねぇ。 この栄一がねぇ。 334 00:35:13,353 --> 00:35:16,156 そりゃ とっさまのげんこつが おっかねえから➡ 335 00:35:16,156 --> 00:35:19,960 一生懸命に覚えただけだい。 行ってくんべ。 336 00:35:19,960 --> 00:35:24,960 (女中)行ってらっしゃいまし。 まぁ また あんなそんぶりを。 337 00:35:31,104 --> 00:35:34,141 負けるもんか~! や~! 338 00:35:34,141 --> 00:35:37,611 え~い! 339 00:35:37,611 --> 00:35:39,913 や~! 340 00:35:39,913 --> 00:35:42,783 強すぎるんだよ 長七郎。 341 00:35:42,783 --> 00:35:45,619 よ~し。 負けるもんか~! 342 00:35:45,619 --> 00:35:48,288 (長七郎)おっ 体当たりはよせ。 343 00:35:48,288 --> 00:35:53,794 (朔兵衛)て~っ! 岡部のお代官様だ! お代官様が通るど~! 344 00:35:53,794 --> 00:35:55,729 え? おい おしめえだ。 345 00:35:55,729 --> 00:35:59,132 かがめ かがめ かがめ…。 346 00:35:59,132 --> 00:36:01,932 何やってんだ…。 かがめよ 早く ほら。 347 00:36:04,938 --> 00:36:09,776 ≪脇へ寄れぃ。 ≪脇へ寄れぃ。 348 00:36:09,776 --> 00:36:14,576 ≪脇へ寄れぃ。 ≪脇へ寄れぃ。 349 00:36:16,550 --> 00:36:21,154 脇へ寄れぃ。 350 00:36:21,154 --> 00:36:23,824 脇へ寄れぃ。 351 00:36:23,824 --> 00:36:26,827 脇へ寄れぃ。 脇へ寄れぃ。 352 00:36:26,827 --> 00:36:30,597 脇へ寄れぃ。 脇へ寄れぃ。 353 00:36:30,597 --> 00:36:32,597 頭下げんか。 354 00:36:34,901 --> 00:36:38,772 (利根吉春)ふん たるんどるな。 355 00:36:38,772 --> 00:36:41,472 よう励め。 356 00:36:43,443 --> 00:36:46,243 脇へ寄れぃ。 357 00:36:48,315 --> 00:36:51,117 脇へ寄れぃ。 358 00:36:51,117 --> 00:36:53,317 脇へ寄らんか。 359 00:36:56,923 --> 00:37:12,305 ♬~ 360 00:37:12,305 --> 00:37:14,305 おい! 361 00:37:27,787 --> 00:37:31,091 最後のかご ありゃ何だんべ? 362 00:37:31,091 --> 00:37:35,262 (長七郎)江戸から来た罪人だ。 罪人? 363 00:37:35,262 --> 00:37:38,298 ご陣屋の牢に入れられるんだんべ。 364 00:37:38,298 --> 00:37:42,769 牢に入れられて どうなるん? 365 00:37:42,769 --> 00:37:47,641 それは… むち打ちか 打ち首か。 366 00:37:47,641 --> 00:37:53,113 打ち首…。 何で? 何で打ち首になるん? 367 00:37:53,113 --> 00:37:55,048 そんなん分かるか。 368 00:37:55,048 --> 00:37:57,784 きっと鬼みてえなやつに違えねえ。 369 00:37:57,784 --> 00:38:01,288 おう 鬼じゃ。 370 00:38:01,288 --> 00:38:05,088 (長七郎)栄一 さあ そろそろ帰るべ。 371 00:38:11,798 --> 00:38:14,134 えい! えい! 372 00:38:14,134 --> 00:38:19,306 ここ 尾高の家は 渋沢の親戚にあたります。 373 00:38:19,306 --> 00:38:22,943 えい! えい! 374 00:38:22,943 --> 00:38:26,813 (尾高やへ)お千代 お前もういいから 遊んでおいで。 375 00:38:26,813 --> 00:38:28,815 いいえ。 376 00:38:28,815 --> 00:38:31,115 ありがとうね。 377 00:38:33,887 --> 00:38:37,424 (宗助)水戸様の追鳥狩は そのように立派であったか。 378 00:38:37,424 --> 00:38:40,760 はい。 まっさか胸が震えました。 379 00:38:40,760 --> 00:38:45,265 あの大筒の響き…。 380 00:38:45,265 --> 00:38:51,604 一方 道中では「水戸様があれだけ 国を守ることをお考えなのに➡ 381 00:38:51,604 --> 00:38:55,909 江戸の公方様は何もせず 太平の眠りについたままだ」➡ 382 00:38:55,909 --> 00:38:59,446 という不平も耳にしました。 383 00:38:59,446 --> 00:39:02,282 (宗助)公方様のう。 384 00:39:02,282 --> 00:39:04,784 水戸様はすばらしい! 385 00:39:04,784 --> 00:39:08,655 私も これからは水戸の教えを学び➡ 386 00:39:08,655 --> 00:39:13,927 自分なりに 日の本のことを考えたいんです。 387 00:39:13,927 --> 00:39:16,830 新五郎あにぃは立派だな。 388 00:39:16,830 --> 00:39:20,300 何が俺たちと違うんだがね? 389 00:39:20,300 --> 00:39:23,636 俺はともかく お前は寂しがりだし➡ 390 00:39:23,636 --> 00:39:27,941 甘ったれだし 相撲も弱えし しかたねえだんべ。 391 00:39:27,941 --> 00:39:31,811 なぬ? 体当たりなら負けねえ! 392 00:39:31,811 --> 00:39:37,083 それに そもそもおしゃべりな男は おなごに好かれねぇだに。 393 00:39:37,083 --> 00:39:39,753 男は黙っているのがいいんだかんな。 394 00:39:39,753 --> 00:39:44,090 まことか! そうだに。 そうに決まってるだんべ。 395 00:39:44,090 --> 00:39:48,261 お千代! お千代もおしゃべりな男は嫌なん? 396 00:39:48,261 --> 00:39:50,897 おい! 何でもない! 397 00:39:50,897 --> 00:39:54,267 (小声で)男同士の話だかんな。 そうなん? 398 00:39:54,267 --> 00:39:56,267 そうなんだ。 399 00:40:00,607 --> 00:40:06,413 お千代。 お千代は あまりしゃべらねぇなぁ。 400 00:40:06,413 --> 00:40:09,115 俺とは反対だ。 401 00:40:09,115 --> 00:40:12,152 へぇ。 402 00:40:12,152 --> 00:40:14,287 よぉし お千代。 来ない! 403 00:40:14,287 --> 00:40:16,287 え? どご行ぐん? 404 00:40:19,125 --> 00:40:21,795 どれ好き? う~ん これかな。 405 00:40:21,795 --> 00:40:24,130 そうやんね。 私も好きなん。 406 00:40:24,130 --> 00:40:28,001 こっちもきれいだいね。 ね…。 407 00:40:28,001 --> 00:40:30,701 影で見えるかな。 ね 見えるかな。 408 00:40:36,643 --> 00:40:38,943 あっ。 くしが! 409 00:40:43,316 --> 00:40:48,016 あ~ぁ 行っちまったい。 残念だけど…。 410 00:40:50,190 --> 00:40:52,826 ん? お千代? (なか)お千代! 411 00:40:52,826 --> 00:40:55,526 お千代 危ねえからよしなって! 412 00:40:59,165 --> 00:41:01,835 駄目だで。 危ねえことしちゃあ。 413 00:41:01,835 --> 00:41:03,770 すんません。 でも… あれは➡ 414 00:41:03,770 --> 00:41:07,770 死んだとっさまが買ってくれた たった一つのもので…。 415 00:41:13,179 --> 00:41:17,517 栄一? 栄一さん! どこ行くん 栄一! 416 00:41:17,517 --> 00:41:19,853 (千代)栄一さん! (なか)栄一 どこ行くん! 417 00:41:19,853 --> 00:41:21,788 (千代)栄一さん! (なか)栄一! 418 00:41:21,788 --> 00:41:25,525 (千代)栄一さん! (なか)栄一 戻っておいで! 栄一! 419 00:41:25,525 --> 00:41:29,725 (なか)栄一 戻っておいで! (千代)もういいから! 420 00:41:34,934 --> 00:41:37,634 栄一さん もういいから! 421 00:41:41,474 --> 00:41:45,645 (なか)栄一! どこ行くん 栄一! 戻ってこい! 422 00:41:45,645 --> 00:41:49,949 危ねえよ! 戻ってこい! 423 00:41:49,949 --> 00:41:58,324 ♬~ 424 00:41:58,324 --> 00:42:01,161 栄一さん! 425 00:42:01,161 --> 00:42:05,665 栄一さん 千代は一人で捜せます。 426 00:42:05,665 --> 00:42:07,865 栄一さんはもう…。 427 00:42:15,175 --> 00:42:18,077 俺は お千代が大事だ。 428 00:42:18,077 --> 00:42:21,514 お千代を幸せにしてぇ。 429 00:42:21,514 --> 00:42:27,214 俺が年も上だから 上に立って きっとお千代を守ってやんべ。 430 00:42:59,652 --> 00:43:02,652 やめろ! お千代に近づくな! 431 00:43:16,836 --> 00:43:21,507 ≪(役人)いたぞ! 逃がすな! ≪(役人)急げ! 432 00:43:21,507 --> 00:43:24,978 ≪(役人)追え! 急げ! 433 00:43:24,978 --> 00:43:30,978 待て! 高島秋帆 観念せえ! 434 00:43:37,290 --> 00:43:39,490 捕らえい! (役人たち)はっ! 435 00:43:45,932 --> 00:43:49,232 引っ立てい! (役人たち)はっ! 436 00:43:54,140 --> 00:43:58,478 あれは 逃げた鬼かい? 437 00:43:58,478 --> 00:44:01,178 いいえ。 いいお方です。 438 00:44:15,028 --> 00:44:18,028 お願いいたします。 439 00:44:21,167 --> 00:44:26,667 江戸幕府第十二代将軍 徳川家慶です。 440 00:44:28,908 --> 00:44:34,447 このころ 幕府は 外国の脅威を恐れていただけでなく➡ 441 00:44:34,447 --> 00:44:37,917 内側にも大きな心配を抱えていました。 442 00:44:37,917 --> 00:44:41,717 (歌橋)家祥様は ほんにお料理がお上手じゃ。 443 00:44:43,456 --> 00:44:45,391 まあ…。 444 00:44:45,391 --> 00:44:53,191 息子 家祥に子ができず このままでは 将軍を継ぐ者がいなくなるのでした。 445 00:45:01,641 --> 00:45:03,676 (御典医)お隠れあそばされました。 446 00:45:03,676 --> 00:45:06,512 (直子)ああ… 殿! 447 00:45:06,512 --> 00:45:11,317 将軍に最も近い家柄といえる一橋家でも➡ 448 00:45:11,317 --> 00:45:15,188 跡継ぎのないまま 当主が亡くなることが続き➡ 449 00:45:15,188 --> 00:45:19,388 家の存続が危ぶまれておりました。 450 00:45:21,494 --> 00:45:23,429 (阿部)つきましては➡ 451 00:45:23,429 --> 00:45:28,835 水戸様のご子息を 一橋家のお世継ぎに推挙いたします。 452 00:45:28,835 --> 00:45:31,738 (徳川家慶)斉昭の子じゃと? 453 00:45:31,738 --> 00:45:39,238 まさか。 一橋の跡継ぎを いや 水戸から選ぶことなどありえぬ。 454 00:45:41,414 --> 00:45:45,118 水戸から選ぶわけではございません。 455 00:45:45,118 --> 00:45:53,626 武芸に秀で英邁と専らご評判の 七郎麻呂様を選びたいのでございます。 456 00:45:53,626 --> 00:45:55,626 七郎麻呂? 457 00:45:57,797 --> 00:45:59,797 お断りいたす。 458 00:46:05,538 --> 00:46:15,738 私は常々 七郎だけは養子には出さず 手元に置くと所望しておる。 459 00:46:17,817 --> 00:46:26,159 しかし… 七郎麻呂様に限るとは 上様の思し召し。 460 00:46:26,159 --> 00:46:29,061 上様のご尊慮と申すか。 461 00:46:29,061 --> 00:46:33,900 (阿部)さよう。 上様は ほかのご子息ではなく➡ 462 00:46:33,900 --> 00:46:38,600 七郎麻呂様でなければと 仰せなのでございます。 463 00:46:45,278 --> 00:46:47,278 あい分かった。 464 00:46:49,782 --> 00:46:51,982 御免。 465 00:47:01,294 --> 00:47:04,197 吉子。 聞いたか。 466 00:47:04,197 --> 00:47:09,635 七郎が一橋家に入れば➡ 467 00:47:09,635 --> 00:47:19,345 我が息子は 水戸から初めて出る 征夷大将軍になれるやもしれぬぞ! 468 00:47:19,345 --> 00:47:25,184 (吉子)えぇ えぇ。 ハハハハ… 快なり! 469 00:47:25,184 --> 00:47:28,184 快なり 快なり 快なり! 470 00:47:44,470 --> 00:47:46,670 よっこらせっと…。 471 00:47:49,275 --> 00:47:55,615 (長七郎)あ~ あのかごの罪人は 今頃どうしておるだろう。 472 00:47:55,615 --> 00:47:59,785 もう打ち首になったかなあ。 473 00:47:59,785 --> 00:48:05,458 なぁ 長七郎 岡部のご陣屋に忍び込んで のぞいてきてみねえか。 474 00:48:05,458 --> 00:48:08,127 岡部? (長七郎)おう 行ぐべえ 行ぐべえ! 475 00:48:08,127 --> 00:48:11,464 鬼は岡部にいるんか。 俺も行ぐ! 476 00:48:11,464 --> 00:48:13,933 おめえはちっちぇえから駄目だ。 477 00:48:13,933 --> 00:48:17,303 そうそう。 お役人が いっぺえいんだから。 478 00:48:17,303 --> 00:48:21,807 そうだいな~。 そんなら夜はどうだい? 479 00:48:21,807 --> 00:48:26,646 今夜は満月だから ぬすっとみてえに 月明かりで忍び込むべ。 480 00:48:26,646 --> 00:48:29,949 おお。 それはいいにい。 よし そうすんべえ! 481 00:48:29,949 --> 00:48:33,819 は? だからお前はちっちぇえから…。 俺が言ったんだかんな。 482 00:48:33,819 --> 00:48:36,119 俺も連れていがなきゃなんねえだんべ! 483 00:49:07,687 --> 00:49:10,122 遅いぞ。 あ~ すまねえ。 484 00:49:10,122 --> 00:49:13,322 (長七郎)よし 行くべ。 おう。 485 00:49:17,296 --> 00:49:21,801 お化けが出そうだい。 何だ おっかねんか? 486 00:49:21,801 --> 00:49:24,101 おっかなくなんかねぇ。 487 00:49:27,673 --> 00:49:32,445 あ へびい踏んだ! ひえ~ くわばら くわばら。 488 00:49:32,445 --> 00:49:35,247 (長七郎)よっ。 489 00:49:35,247 --> 00:49:37,247 あぁ~。 490 00:50:02,475 --> 00:50:05,775 ここが岡部のご陣屋か。 491 00:50:11,150 --> 00:50:14,150 ここに鬼がおるんか。 492 00:50:17,790 --> 00:50:21,627 あれは 逃げた鬼かい? 493 00:50:21,627 --> 00:50:24,827 (千代)いいえ。 いいお方です。 494 00:50:27,433 --> 00:50:29,733 栄一。 495 00:50:32,138 --> 00:50:34,640 気い付けろ。 496 00:50:34,640 --> 00:50:38,144 (犬の鳴き声) 497 00:50:38,144 --> 00:50:40,644 (役人)何やつじゃ? 498 00:50:42,648 --> 00:50:44,684 (役人)曲者じゃ! 499 00:50:44,684 --> 00:50:55,161 ♬~ 500 00:50:55,161 --> 00:50:57,830 おらぬ。 501 00:50:57,830 --> 00:50:59,830 あちらか。 502 00:51:12,378 --> 00:51:19,178 喜作。 長七郎。 503 00:51:22,521 --> 00:52:04,130 ≪(小さな声) 504 00:52:04,130 --> 00:52:10,630 ≪(オランダ語) 505 00:52:17,676 --> 00:52:27,176 (オランダ語) 506 00:52:29,388 --> 00:52:34,794 何だい? お念仏かい? 507 00:52:34,794 --> 00:52:37,463 (高島秋帆)そこに誰かおるのか? 508 00:52:37,463 --> 00:52:39,763 誰もおらん。 509 00:52:41,801 --> 00:52:45,671 ≪(秋帆)そうか。 誰もおらぬか。 510 00:52:45,671 --> 00:52:52,511 あ だけんど… 髪飾りをありがとう。 511 00:52:52,511 --> 00:52:55,648 何で逃げてたん? 512 00:52:55,648 --> 00:52:58,317 牢の戸が開いておってな。 513 00:52:58,317 --> 00:53:02,188 少しこの地を見物して そっと戻ろうと思ったのだ。➡ 514 00:53:02,188 --> 00:53:05,191 海でも見えはせぬかと…。 515 00:53:05,191 --> 00:53:08,661 岡部に海はねえぞ。 516 00:53:08,661 --> 00:53:13,966 ≪(秋帆)そうだな。 何にもない所だな ここは。 517 00:53:13,966 --> 00:53:19,505 それは失礼な話だに。 お蚕さまがいるだんべ。 518 00:53:19,505 --> 00:53:27,246 フフ… この国はどうなるのだろうなぁ。 519 00:53:27,246 --> 00:53:30,916 この国とは何だい? 武蔵国か? 520 00:53:30,916 --> 00:53:34,620 日の本だ。 521 00:53:34,620 --> 00:53:37,122 ひのもと? 522 00:53:37,122 --> 00:53:39,925 (秋帆)私は長崎で生まれた。 523 00:53:39,925 --> 00:53:42,461 出島で砲術を学び➡ 524 00:53:42,461 --> 00:53:45,798 シーボルトやスチュルレルから ナポレオンの話を聞き➡ 525 00:53:45,798 --> 00:53:48,701 ゲベール銃や モルチール砲を取り寄せ➡ 526 00:53:48,701 --> 00:53:54,901 肥後や薩摩 ひいては江戸でも オンテレーレンした。 527 00:53:59,645 --> 00:54:04,483 このままでは この国は終わる。 528 00:54:04,483 --> 00:54:08,821 何で? 何で日の本は終わるんだ? 529 00:54:08,821 --> 00:54:10,756 どうしたら助けられる? 530 00:54:10,756 --> 00:54:14,493 それは私にも分からぬ。 531 00:54:14,493 --> 00:54:20,366 皆がそれぞれ 自分の胸に聞き 動くしかないのだ。 532 00:54:20,366 --> 00:54:28,674 むね? おぉ ここか。 533 00:54:28,674 --> 00:54:35,474 そうだ。 誰かが守らなくてはな この国は…。 534 00:54:40,286 --> 00:54:42,221 ここに聞きな。 535 00:54:42,221 --> 00:54:47,927 あんたがうれしいだけじゃなくて みぃんながうれしいのが一番なんだで。 536 00:54:47,927 --> 00:54:54,300 (市郎右衛門) 上に立つものは下のものへの責任がある。 537 00:54:54,300 --> 00:54:57,800 大事なものを守るつとめだ。 538 00:55:02,641 --> 00:55:04,941 ≪(秋帆)行け! 539 00:55:08,147 --> 00:55:13,018 俺が守ってやんべぇ この国を。 540 00:55:13,018 --> 00:55:20,659 ♬~ 541 00:55:20,659 --> 00:55:27,159 (オランダ語で) 542 00:55:46,285 --> 00:56:01,767 ♬~ 543 00:56:01,767 --> 00:56:05,304 どうした? 544 00:56:05,304 --> 00:56:11,176 見てみない… 夜明けだで! 545 00:56:11,176 --> 00:56:13,176 (喜作 長七郎)おお。 546 00:56:35,100 --> 00:56:37,136 徳信院でございます。 547 00:56:37,136 --> 00:56:42,441 どうぞこの私を 本当の母と思い➡ 548 00:56:42,441 --> 00:56:45,778 何事もお話しくださいますよう。 549 00:56:45,778 --> 00:56:49,778 面を上げよ。 550 00:56:55,788 --> 00:57:02,561 ほう。 そなた 初之丞によう似ておる。➡ 551 00:57:02,561 --> 00:57:10,135 いや 14で亡くなったわしの息子じゃ。 552 00:57:10,135 --> 00:57:16,909 一橋家に入った七郎麻呂は 将軍 家慶の「慶」の字を賜り➡ 553 00:57:16,909 --> 00:57:20,709 徳川慶喜となりました。 554 00:57:24,650 --> 00:57:30,522 さて 時は江戸時代 1847年。 555 00:57:30,522 --> 00:57:35,094 今からたった 174年前…。 556 00:57:35,094 --> 00:57:39,898 ええ色だいね。 やあ~! 557 00:57:39,898 --> 00:57:43,698 (市郎右衛門)こら! やあ~! 558 00:57:46,605 --> 00:57:51,477 栄一の物語は まだまだ始まったばかりです。 559 00:57:51,477 --> 00:57:55,781 もう 栄一。 560 00:57:55,781 --> 00:57:59,281 この日の本は きっと もっとよい国になるはずだ。 561 00:58:01,453 --> 00:58:03,489 渋沢栄一。 562 00:58:03,489 --> 00:58:05,624 黒船来たり! 563 00:58:05,624 --> 00:58:08,660 私にはこの先 将軍になる望みはございませぬ。 564 00:58:08,660 --> 00:58:16,268 幕末から 明治 大正 昭和を駆け抜ける その破天荒な人生。 565 00:58:16,268 --> 00:58:19,805 俺は 己の力で立っている。 566 00:58:19,805 --> 00:58:22,641 青い天に拳を突き上げている。 567 00:58:22,641 --> 00:58:26,941 大河ドラマ「青天を衝け」 ご期待ください。 568 00:58:33,318 --> 00:58:38,157 渋沢栄一が生まれ育った 中の家。 569 00:58:38,157 --> 00:58:41,827 現在の母屋は 明治時代に建てられたもので➡ 570 00:58:41,827 --> 00:58:47,127 晩年の栄一が 寝泊まりをした部屋が残されています。 571 00:58:50,536 --> 00:58:54,840 栄一は23歳まで この地で暮らし➡ 572 00:58:54,840 --> 00:58:59,540 父 市郎右衛門のもとで商才を磨きました。 573 00:59:04,983 --> 00:59:08,854 深谷駅前に立つ 栄一の像。 574 00:59:08,854 --> 00:59:15,194 年に一度 電力会社が 清掃作業を行っています。 575 00:59:15,194 --> 00:59:21,533 この会社は 明治になってから 栄一が設立した企業でした。 576 00:59:21,533 --> 00:59:26,405 みんなが幸せになることを 目指した栄一は➡ 577 00:59:26,405 --> 00:59:33,178 電気 ガス 水道 銀行 鉄道など➡ 578 00:59:33,178 --> 00:59:39,318 私たちの暮らしを支える 大切な企業を興しました。 579 00:59:39,318 --> 00:59:43,518 その数は 500社に及びます。 580 00:59:45,123 --> 00:59:47,659 時代の転換期を駆け抜け➡ 581 00:59:47,659 --> 00:59:52,497 今につながる確かなものを残した 栄一の生涯を➡ 582 00:59:52,497 --> 00:59:56,297 1年間見守っていきましょう。 583 01:00:31,770 --> 01:01:00,070 ♬~