1 00:00:34,862 --> 00:00:37,464 (渋沢栄一)承服できん。 2 00:00:37,464 --> 00:00:43,464 承服できん! 承服できん! 3 00:00:46,974 --> 00:00:50,644 500両 持ってまいりました。 4 00:00:50,644 --> 00:00:53,480 (利根吉春)そうか。 下がれ。 5 00:00:53,480 --> 00:00:57,818 恐れながら! 6 00:00:57,818 --> 00:01:01,655 それが我々百姓の銭にございます! 7 00:01:01,655 --> 00:01:05,526 朝から晩まで働き その小さな銭が…。 8 00:01:05,526 --> 00:01:18,672 ♬~ 9 00:01:18,672 --> 00:01:22,009 承服できん! 承服できん! 10 00:01:22,009 --> 00:01:25,679 承服できんぞ! ばかばかしい! 11 00:01:25,679 --> 00:01:28,179 (尾高惇忠)どうした 栄一。 12 00:01:33,787 --> 00:01:35,987 (惇忠)話を聞こうか? 13 00:01:37,625 --> 00:01:41,095 惇忠あにぃ…。 14 00:01:41,095 --> 00:01:43,964 ほほう。 岡部の代官がそのようなことを…。 15 00:01:43,964 --> 00:01:49,637 あぁ 承服できねぇ。 承服できねぇだけじゃねぇ。 16 00:01:49,637 --> 00:01:56,310 胸ん中がムベムベして それが腹に下って… あ~! 17 00:01:56,310 --> 00:02:00,114 どうにも情けなくて治まんねぇ。 18 00:02:00,114 --> 00:02:03,817 俺は いまちっとんとこで あのお代官を殴りつけてやるとこだった! 19 00:02:03,817 --> 00:02:06,720 (渋沢喜作)は? 何言ってんだ。 20 00:02:06,720 --> 00:02:10,124 お代官様なんか殴っちまったら おめぇが斬られっちまうだんべぇ。 21 00:02:10,124 --> 00:02:13,494 だけどよう 俺は…。 22 00:02:13,494 --> 00:02:19,833 そうか。 お前もまさに「悲憤慷慨」だな。 23 00:02:19,833 --> 00:02:21,769 悲憤慷慨? 24 00:02:21,769 --> 00:02:29,143 「慷慨」とは 正義の気持ちを持ち 世の不正に憤り 嘆くことを言うんだ。 25 00:02:29,143 --> 00:02:34,948 今 この世にはお前のように 悲憤慷慨するものが多く生まれている。 26 00:02:34,948 --> 00:02:37,618 俺もそうだ。 27 00:02:37,618 --> 00:02:39,953 え? あにぃもか? 28 00:02:39,953 --> 00:02:43,457 あにぃは 何に憤って 嘆いておられるんだい? 29 00:02:43,457 --> 00:02:46,794 そうだなぁ。 30 00:02:46,794 --> 00:02:48,729 この世だ。 31 00:02:48,729 --> 00:02:50,729 この世? 32 00:02:52,466 --> 00:02:55,666 この世の中そのものだ。 33 00:02:57,638 --> 00:03:02,476 お前も一度 これを読んでみるといい。 34 00:03:02,476 --> 00:03:08,976 このままでは我が日の本も… この清国のように夷狄に踏みにじられる。 35 00:03:20,661 --> 00:03:23,997 これは…。 36 00:03:23,997 --> 00:03:27,668 徳川家康です。 37 00:03:27,668 --> 00:03:30,868 今日も出てきましたよ。 38 00:03:32,439 --> 00:03:41,081 彼らが悲憤慷慨しているこの世とは 私の作った江戸幕府のことですからね。 39 00:03:41,081 --> 00:03:50,624 我が徳川の世は 僅か7%ほどの武士が その他の人々を支配していました。 40 00:03:50,624 --> 00:03:54,094 昔 江戸時代の身分制度は➡ 41 00:03:54,094 --> 00:03:59,900 士農工商と習った方も いると思います。 42 00:03:59,900 --> 00:04:04,838 もう教科書に その言葉はありません。 43 00:04:04,838 --> 00:04:10,110 私は武士の世を 長く続けるために➡ 44 00:04:10,110 --> 00:04:13,981 ここに厳重に線を引いた。 45 00:04:13,981 --> 00:04:20,854 支配する側の武士か される側のその他か…。 46 00:04:20,854 --> 00:04:30,998 しかし このころになって 圧倒的に人数の多いこちら側まで➡ 47 00:04:30,998 --> 00:04:36,770 徳川の世を疑い始めました。 48 00:04:36,770 --> 00:04:43,277 惇忠や栄一だけでなく 日本各地にそういう人物が現れ➡ 49 00:04:43,277 --> 00:04:49,277 厳しく引いたはずの線が 揺らぎ始めます。 50 00:04:56,457 --> 00:05:18,479 (清兵が英兵に殺される声や音) 51 00:05:18,479 --> 00:05:21,114 (渋沢なか)栄一 まだ読んでるん? 52 00:05:21,114 --> 00:05:24,985 油がもったいねぇよ。 53 00:05:24,985 --> 00:05:27,988 うん… どっか出てたんか。 54 00:05:27,988 --> 00:05:32,259 おていが 表でキツネの鳴き声が したっていうから見てきたに。 55 00:05:32,259 --> 00:05:36,059 な? 何もいなかったけんどな。 (渋沢てい)うん。 56 00:05:37,931 --> 00:05:40,231 (なか)聞いとらん。 57 00:05:43,604 --> 00:05:45,939 (渋沢市郎右衛門)栄一はどうしている? 58 00:05:45,939 --> 00:05:48,609 (渋沢ゑい)変わりねえですよ。 59 00:05:48,609 --> 00:05:53,080 陣屋から戻ってきたら 繭を出すのを手伝ってくれて…。 60 00:05:53,080 --> 00:05:57,784 今はまた 尾高から借りた本を 夢中になって読んでいます。 61 00:05:57,784 --> 00:06:00,821 (市郎右衛門)そうか…。 62 00:06:00,821 --> 00:06:05,959 でも やっぱり あの剛情っぱりは困りもんだいね。 63 00:06:05,959 --> 00:06:10,464 お上に刃向かうなんて…。 64 00:06:10,464 --> 00:06:13,367 私が甘やかしたんかいねぇ。 65 00:06:13,367 --> 00:06:20,173 いいや。 あいつの理屈には もっともなとこもある。 66 00:06:20,173 --> 00:06:25,312 だけんど どんなに理屈が通っても➡ 67 00:06:25,312 --> 00:06:30,651 治めるものと治められるものの あんばいが崩れれば➡ 68 00:06:30,651 --> 00:06:33,951 どんな目に遭うか分からねぇ。 69 00:06:36,056 --> 00:06:41,856 それに ほかの者へ迷惑がかかる。 70 00:06:44,264 --> 00:06:47,464 理屈だけじゃあいがねぇんだ。 71 00:06:49,136 --> 00:06:51,636 そうですね…。 72 00:06:54,441 --> 00:06:57,741 それから お前さん。 73 00:07:03,617 --> 00:07:11,317 もう一つ ちっと困ったことがあるんです。 74 00:07:14,328 --> 00:08:47,054 ♬~ 75 00:08:47,054 --> 00:10:04,754 ♬~ 76 00:10:07,267 --> 00:10:09,770 まことにたまげた。 77 00:10:09,770 --> 00:10:15,075 この本には俺が生まれた頃の 清国とエゲレスの戦のことが書いてある。 78 00:10:15,075 --> 00:10:19,279 あの なっからでけえはずの清国は どうしてエゲレスに敗れちまったんだい? 79 00:10:19,279 --> 00:10:24,084 それがなぁ まあいろいろあるが まずは交易だ。 80 00:10:24,084 --> 00:10:29,289 エゲレスはまず鴉片という 人から生気を奪うおっかねぇ毒を➡ 81 00:10:29,289 --> 00:10:33,460 清国にいっぺぇ持ち込んで 清国人の魂を奪ったんだ。 82 00:10:33,460 --> 00:10:35,796 なんと! 魂が奪われんのか! 83 00:10:35,796 --> 00:10:41,101 そうよ。 そして ふぬけになったところを 軍鑑で襲い 無理やりに国を開かせたんだ。 84 00:10:41,101 --> 00:10:44,638 (尾高長七郎)この日の本も危ないぞ。 85 00:10:44,638 --> 00:10:47,474 メリケンは もう 日の本に足を踏み入れてる。 86 00:10:47,474 --> 00:10:50,110 え? メリケン人はもう入ってきてんのか! 87 00:10:50,110 --> 00:10:52,479 はあ なんてこった。 88 00:10:52,479 --> 00:10:54,815 それじゃあ いつメリケンの連中が➡ 89 00:10:54,815 --> 00:10:58,118 俺たちの魂を奪おうとするか 分かんねぇに。 90 00:10:58,118 --> 00:11:01,318 そうだよな。 あぁ。 91 00:11:02,956 --> 00:11:08,762 俺は とうとう生きる道を見つけた。 92 00:11:08,762 --> 00:11:12,332 なぜ俺たちが剣を学ぶか。 93 00:11:12,332 --> 00:11:15,669 それは…。 94 00:11:15,669 --> 00:11:18,169 え~い! 95 00:11:29,683 --> 00:11:31,618 敵を斬るためだ。 96 00:11:31,618 --> 00:11:35,618 敵を斬る? 97 00:11:39,359 --> 00:11:43,630 「俺は生きる道を見つけた」だとよ。 98 00:11:43,630 --> 00:11:46,533 長七郎め 粋がりおって。 99 00:11:46,533 --> 00:11:50,403 あぁ。 大したもんよ。 100 00:11:50,403 --> 00:11:53,340 それに比べて俺は…。 101 00:11:53,340 --> 00:11:55,809 (尾高平九郎)お~い お~い。 102 00:11:55,809 --> 00:11:58,478 おう。 103 00:11:58,478 --> 00:12:00,981 お千代。 油売りの帰りか。 (尾高千代)へぇ。 104 00:12:00,981 --> 00:12:06,486 平九郎も手伝って 偉えなあ。 うん。 105 00:12:06,486 --> 00:12:10,323 いいなぁ。 俺も早く剣術がしてみてえなぁ。 106 00:12:10,323 --> 00:12:14,194 おう 握ってみるか。 うん! 107 00:12:14,194 --> 00:12:17,664 やわらかく… 握る。 108 00:12:17,664 --> 00:12:20,000 剣術剣術って➡ 109 00:12:20,000 --> 00:12:23,503 何事も兄のまねばかりしたがって。 110 00:12:23,503 --> 00:12:27,703 そりゃあ あの長七郎と あのあにぃの弟だもんなぁ。 111 00:12:32,212 --> 00:12:35,782 あの このご本は 兄の…? 112 00:12:35,782 --> 00:12:39,085 あぁ お借りしておった。 お千代も読んだんか? 113 00:12:39,085 --> 00:12:43,456 私? あぁ こんな難しげな本は読めません。 114 00:12:43,456 --> 00:12:47,961 なんの。 うちのとっさまは 小せぇ頃からお千代を褒めておったぞ。 115 00:12:47,961 --> 00:12:51,261 覚えがよくて字も美しいと。 いいえ。 116 00:12:52,832 --> 00:12:58,104 それに… このご本を読む時の兄さまたちは➡ 117 00:12:58,104 --> 00:13:02,943 いつも何だかおっかねえ顔をしてて。 え? 118 00:13:02,943 --> 00:13:09,243 このままでは この日の本も… この清国のように夷狄に踏みにじられる。 119 00:13:10,984 --> 00:13:13,820 そうか。 120 00:13:13,820 --> 00:13:18,620 あ~ あ~ 平九郎 みっともねえやつだに。 121 00:13:20,593 --> 00:13:22,593 よし。 122 00:13:24,531 --> 00:13:28,835 おい 姉さまは嫁に行がせねえぞ。 123 00:13:28,835 --> 00:13:30,770 (栄一 千代 喜作)ん? 124 00:13:30,770 --> 00:13:33,673 姉さまは 俺の嫁になるんだかんな。 125 00:13:33,673 --> 00:13:37,077 はぁ? バ… バカ言ってんじゃねぇよ おめぇ! 126 00:13:37,077 --> 00:13:39,612 弟と姉さまは めおとに なれねぇんだに! 127 00:13:39,612 --> 00:13:41,648 そうだ! おめぇ うちの姉さまだって おめぇ…。 128 00:13:41,648 --> 00:13:45,418 何をむきに。 子供の戯言だに。 129 00:13:45,418 --> 00:13:48,288 フフフ…。 130 00:13:48,288 --> 00:13:51,958 ん? うわさをすれば おめぇの姉さまじゃねぇか。 131 00:13:51,958 --> 00:13:55,295 おぉ 姉さまだ。 お~い 姉さま! 132 00:13:55,295 --> 00:13:57,495 (平九郎)お~い! 133 00:13:59,165 --> 00:14:03,036 ん? どうかしたのか? 元気ねぇなぁ。 134 00:14:03,036 --> 00:14:08,836 いや 今朝方も麦の汁までお代わりして 元気いっぺぇだったんになぁ。 135 00:14:12,712 --> 00:14:15,982 (渋沢まさ)だからやめた方がいいんに 決まってるだんべぇ。 136 00:14:15,982 --> 00:14:21,321 でも もうお蚕様が落ち着いたら 嫁入りの日取りを決めべぇって➡ 137 00:14:21,321 --> 00:14:23,823 向こうさんとも話してるしねぇ。 あぁ。 138 00:14:23,823 --> 00:14:27,694 (まさ)今ならまだ間に合うって。 今すぐ断りな。 な? 139 00:14:27,694 --> 00:14:30,597 断る? どうしたんだい? 140 00:14:30,597 --> 00:14:37,771 いや なかの縁談の相手の家が… どうやら つきもの筋でな。 141 00:14:37,771 --> 00:14:40,607 つきもの筋? 142 00:14:40,607 --> 00:14:43,076 (まさ)そうだよ。 オサキモチさ。 143 00:14:43,076 --> 00:14:45,612 杉沢村のもんが言ってたんだよ。 144 00:14:45,612 --> 00:14:49,482 あの家にはオサキギツネがついてるって。 145 00:14:49,482 --> 00:14:51,951 オサキギツネ…。 146 00:14:51,951 --> 00:14:53,953 おぉ 馬琴の本に出てきた。 147 00:14:53,953 --> 00:14:57,824 美しいおなごに化けて悪さをするっていう 尾っぽの裂けたキツネだいなぁ。 148 00:14:57,824 --> 00:15:02,295 そう それだよ! そんなの ただの言い伝えじゃないか。 149 00:15:02,295 --> 00:15:06,166 はぁそうですよ。 優しくていい方ですよ。 150 00:15:06,166 --> 00:15:10,804 お家だって 杉沢村の商家で一番栄えてるって。 151 00:15:10,804 --> 00:15:13,840 (宗助)つきもの筋の相手と結ばれるとな➡ 152 00:15:13,840 --> 00:15:17,677 つきものに縁のねぇ家まで キツネがついてきて➡ 153 00:15:17,677 --> 00:15:22,816 みぃんな オサキモチになっちまうってんだ。 154 00:15:22,816 --> 00:15:25,718 つまりこの渋沢の家まで…。 155 00:15:25,718 --> 00:15:28,321 ハハハ。 キツネがついてくるって…。 156 00:15:28,321 --> 00:15:32,592 栄一。 さっきからうるさいよ。 子供は引っ込んでな。 157 00:15:32,592 --> 00:15:36,429 (宗助)わしは金輪際反対だかんな。 158 00:15:36,429 --> 00:15:38,932 (まさ)そうだよ。 159 00:15:38,932 --> 00:15:43,803 ♬「お蚕様の ご馳走の」 160 00:15:43,803 --> 00:15:51,077 ♬「桑の葉 頂く ありがたさ ありがたさ」 161 00:15:51,077 --> 00:15:53,980 ♬「ヨィヨィ」 162 00:15:53,980 --> 00:15:58,618 ♬「血洗島の桑葉は」 163 00:15:58,618 --> 00:16:03,790 お~い おてい。 うんまげな桑の実だんべ。 164 00:16:03,790 --> 00:16:08,094 お~! こりゃあ うんまげだに。 165 00:16:08,094 --> 00:16:11,094 あらぁ 本当だねぇ。 166 00:16:12,932 --> 00:16:15,301 (てい 平九郎)あ。 167 00:16:15,301 --> 00:16:33,786 ♬~ 168 00:16:33,786 --> 00:16:36,589 なかに つきものがついただと? 169 00:16:36,589 --> 00:16:41,761 あぁ 見たんだよ 裏のふちで じっと水面に見入ったり➡ 170 00:16:41,761 --> 00:16:44,597 かと思ったら急におっかねぇ顔で 石っころ投げ込んだり。 171 00:16:44,597 --> 00:16:46,533 なぁにバカなことを言ってんだ。 172 00:16:46,533 --> 00:16:50,069 でも… 今朝方も起きてきなかったしなあ。 173 00:16:50,069 --> 00:16:54,774 あんなに明るい子が 近頃はあまり口も利かねぇし…。 174 00:16:54,774 --> 00:16:56,709 ほぉら見ない。 175 00:16:56,709 --> 00:17:00,079 もうこれは キツネのたたりをおはらいする➡ 176 00:17:00,079 --> 00:17:02,148 拝み屋を呼んだ方がいいって。 177 00:17:02,148 --> 00:17:05,648 バカな! 拝み屋なんか呼んでどうする! 178 00:17:08,454 --> 00:17:10,454 あ 姉さま。 179 00:17:13,092 --> 00:17:18,292 (まさ)ほぉら あんな生気のねぇ顔して…。 180 00:17:19,966 --> 00:17:22,835 栄一 お前ついてげ。 181 00:17:22,835 --> 00:17:26,973 え 俺? 俺 この桑切り終わったら 道場に剣術の稽古に…。 182 00:17:26,973 --> 00:17:29,673 いいから行がねぇか! 183 00:17:32,245 --> 00:17:34,581 え~。 184 00:17:34,581 --> 00:17:40,081 姉さま! おい 姉さま! 185 00:17:41,921 --> 00:17:44,424 姉さま。 186 00:17:44,424 --> 00:18:13,286 ♬~ 187 00:18:13,286 --> 00:18:16,789 姉さま 危ねえって…。 188 00:18:16,789 --> 00:18:19,089 姉さま 危ねえって。 189 00:18:41,114 --> 00:18:47,814 その後 なかの縁談は破談となりました。 190 00:18:50,590 --> 00:18:58,264 そのころ 江戸でも 黒船の来航により多くの疫病が流行。 191 00:18:58,264 --> 00:19:01,764 さまざまな迷信が はやるようになりました。 192 00:19:04,137 --> 00:19:09,442 (徳川斉昭) 「流言飛語の類いが人心を惑わせ➡ 193 00:19:09,442 --> 00:19:15,615 時勢も悪しく相なり候…。➡ 194 00:19:15,615 --> 00:19:21,487 メリケン船が下田へ エゲレス船が長崎へ来たるよしにて➡ 195 00:19:21,487 --> 00:19:26,287 年々 夷狄の毒も深く相なり候」。 196 00:19:28,094 --> 00:19:31,798 (徳川慶喜)夷狄の毒か。 197 00:19:31,798 --> 00:19:35,598 父上がやり過ぎぬとよいが。 198 00:19:37,603 --> 00:19:40,907 (斉昭)なんと ぶざまな! 199 00:19:40,907 --> 00:19:49,582 メリケンの次はエゲレスと和親を結び 今度はヲロシアもと申すか! 200 00:19:49,582 --> 00:19:53,419 この事態 天子様はご存じなのか? 201 00:19:53,419 --> 00:19:56,756 (阿部正弘)無論 某がお伝えいたしました。 202 00:19:56,756 --> 00:20:04,497 ならばあえて徳川三家であり 東照神君の血を引くこの斉昭が言上する。 203 00:20:04,497 --> 00:20:09,469 今は天子様を我が国の要と成しまつり➡ 204 00:20:09,469 --> 00:20:14,774 この日の本の精神を 統一ならしめることこそ肝要。 205 00:20:14,774 --> 00:20:25,418 その前に安易に国を開けば たちまち清国のような隷属国となるぞ! 206 00:20:25,418 --> 00:20:29,789 隷属国にならぬよう 我らが日々心身を労していることが➡ 207 00:20:29,789 --> 00:20:32,458 どうしてお分かりいただけぬのか! 黙れ 黙れ 黙れ! 208 00:20:32,458 --> 00:20:35,495 (阿部)万が一 今 異国より戦端を切られたとして➡ 209 00:20:35,495 --> 00:20:39,098 このままの防備で 日の本が無事で済むと本気でお思いか! 210 00:20:39,098 --> 00:20:42,969 黙らんか! (藤田東湖)失礼ながら言上奉ります。 211 00:20:42,969 --> 00:20:45,872 伊勢守様のご苦労はご老公も承知のこと。 212 00:20:45,872 --> 00:20:49,842 ただ伊勢守様のために 何かできぬかと思い➡ 213 00:20:49,842 --> 00:20:52,642 励んでおるのでございます。 214 00:20:57,517 --> 00:20:59,519 (伝令)下田より急報! 215 00:20:59,519 --> 00:21:02,519 昨日巳の刻 大地震発生。 216 00:21:14,000 --> 00:21:16,502 (伝令)その後 大津波が湾を襲い➡ 217 00:21:16,502 --> 00:21:22,141 和親の交渉中のヲロシア船が 転覆したとのこと! 218 00:21:22,141 --> 00:21:25,678 ヲロシアの船が転覆? 快なり!➡ 219 00:21:25,678 --> 00:21:28,714 下田に神風が吹いたのだ! 220 00:21:28,714 --> 00:21:34,287 500人のヲロシア人どもを 一思いに皆殺しにせよ! 221 00:21:34,287 --> 00:21:36,222 ご老公! 何じゃい! 222 00:21:36,222 --> 00:21:40,960 天災に遭うものを不意打ちとは 人の道を外れたこと。 223 00:21:40,960 --> 00:21:43,863 何を? これを機に殺戮を行えば➡ 224 00:21:43,863 --> 00:21:47,467 我が国に悪しき評判が立ち ヲロシアはもちろん➡ 225 00:21:47,467 --> 00:21:50,369 異国は皆 絶好の口実を得て 攻め寄せることでしょう。 226 00:21:50,369 --> 00:21:53,339 (斉昭)黙れ! 227 00:21:53,339 --> 00:21:58,811 川路様は? 応接掛の皆々様はご無事でござろうか。 228 00:21:58,811 --> 00:22:01,811 (阿部)詳しくは別室にて…。 229 00:22:07,487 --> 00:22:10,389 いろいろと失礼を申しました。 230 00:22:10,389 --> 00:22:13,889 少し疲れておるのです。 231 00:22:15,661 --> 00:22:19,332 また詳しきことが分かり次第 ご報告に参りまする。 232 00:22:19,332 --> 00:22:23,332 さっさと床に入って寝てしまえ! 233 00:22:31,944 --> 00:22:35,815 (東湖)異国人とて 国には親や友がありましょう。 234 00:22:35,815 --> 00:22:40,953 ましてや かのヲロシア人どもは 敵ながら国の使命を果たすため➡ 235 00:22:40,953 --> 00:22:44,957 何か月も船に揺られ やって来た いわば忠臣。 236 00:22:44,957 --> 00:22:47,727 どうかお気をお鎮めください。 237 00:22:47,727 --> 00:22:52,098 夷狄の親や友のことなど知るか! 238 00:22:52,098 --> 00:22:59,839 しかし… 誰しも 掛けがえのなきものを 天災で失うは耐え難きこと。 239 00:22:59,839 --> 00:23:03,109 また今となっては夷狄を打ち払うよりも➡ 240 00:23:03,109 --> 00:23:07,313 いかにして日の本の誇りを守るかが 肝要でございます。 241 00:23:07,313 --> 00:23:12,118 3, 000万の精神を凝結一致ならしめれば 必ずや富国強兵につながり➡ 242 00:23:12,118 --> 00:23:14,053 さすれば国を開いたとしても➡ 243 00:23:14,053 --> 00:23:16,956 必ずや我が国は 異国に敬われることとなるでしょう。 244 00:23:16,956 --> 00:23:19,992 そんなことは分かっておる! 245 00:23:19,992 --> 00:23:23,129 ご老公のご心中 この東湖が一番よく存じております。 246 00:23:23,129 --> 00:23:28,668 ここしばらくはどうか どうかお心をお鎮めください。 247 00:23:28,668 --> 00:23:30,868 殿! 248 00:23:34,774 --> 00:23:39,278 しっかりしろ! 249 00:23:39,278 --> 00:23:41,948 (森山栄之助) あちらで急ぎ暖をとらせるのじゃ。 はっ! 250 00:23:41,948 --> 00:23:44,784 (川路聖謨) 森山 炊き出しの米が足りておらぬ! 251 00:23:44,784 --> 00:23:46,719 急ぎ運ばせよ! はっ。 252 00:23:46,719 --> 00:23:49,455 いや これ以上夷狄に…。 253 00:23:49,455 --> 00:23:52,358 このような時に 異国も何もあるか! 254 00:23:52,358 --> 00:23:54,358 はっ。 255 00:24:03,302 --> 00:24:06,302 誰か持ってってあげて! はい! 256 00:24:23,489 --> 00:24:27,126 (藤田小四郎)父上 お帰りなさいませ。 257 00:24:27,126 --> 00:24:29,495 小四郎 どなたかお越しか? 258 00:24:29,495 --> 00:24:31,530 (平岡円四郎)東湖様。 ん? 259 00:24:31,530 --> 00:24:34,333 平岡? お主どうしてここに? 260 00:24:34,333 --> 00:24:36,633 (円四郎)我が殿がお待ちでござんす。 261 00:24:39,605 --> 00:24:42,942 今日も客がひっきりなしだったようだな。 262 00:24:42,942 --> 00:24:49,448 はい。 薩摩の西郷吉之助に越前の橋本左内…➡ 263 00:24:49,448 --> 00:24:52,485 多忙でこの一年めっきり白髪も増え➡ 264 00:24:52,485 --> 00:24:57,323 一度に年を4つ5つ取ったかのごとき 心地でございます。 265 00:24:57,323 --> 00:24:59,458 して今日は? 266 00:24:59,458 --> 00:25:03,629 夷狄について尋ねに来た。 ほう。 267 00:25:03,629 --> 00:25:09,101 夷狄の武器は船にせよ大筒にせよ 我が国のものより数段上と聞く。 268 00:25:09,101 --> 00:25:12,004 そなたも知ってのとおり 私は元来 武芸を好む。 269 00:25:12,004 --> 00:25:14,306 是非これについて学んでみたい。 270 00:25:14,306 --> 00:25:20,479 すばらしきお考え。 きっとお父上も喜ばれましょう。 271 00:25:20,479 --> 00:25:25,279 そうか? 夷狄嫌いの父の機嫌を損ねぬとよいが。 272 00:25:26,986 --> 00:25:32,792 ご老公は孫子の「彼を知り己れを知れば 百戦して殆うからず」の言葉どおり➡ 273 00:25:32,792 --> 00:25:36,595 かねてより西洋兵術を学ばれた。 274 00:25:36,595 --> 00:25:40,466 7つのあなた様が 千波ヶ原の訓練にいらした時も➡ 275 00:25:40,466 --> 00:25:44,336 どれほど誇らしいお顔を しておられたことか。 276 00:25:44,336 --> 00:25:48,074 見事じゃ 七郎麻呂。 277 00:25:48,074 --> 00:25:50,074 はっ! 278 00:25:52,778 --> 00:25:57,950 ご老公は元来決して 了見の狭いお方ではございませぬ。 279 00:25:57,950 --> 00:26:02,455 国を守りたいという思いが 誰よりお強いだけ。 280 00:26:02,455 --> 00:26:06,625 伊勢守様もそれはよくご存じです。 281 00:26:06,625 --> 00:26:10,496 たとえ仲たがいがあろうと 伊勢守様はきっとまた➡ 282 00:26:10,496 --> 00:26:13,296 ご老公を頼ってまいりましょう。 283 00:26:15,801 --> 00:26:18,471 そうか。 284 00:26:18,471 --> 00:26:20,771 ははっ。 285 00:26:23,109 --> 00:26:26,979 諍臣ってぇのはよ➡ 286 00:26:26,979 --> 00:26:30,479 おめぇのおとっさんみてぇなことを 言うんだろうなぁ。 287 00:26:32,585 --> 00:26:35,385 はい? はい? 288 00:26:37,423 --> 00:26:41,293 ハハ。 ひと味違いますぞ 水戸の茶は。 289 00:26:41,293 --> 00:26:43,593 ハハハハ…。 290 00:27:04,450 --> 00:27:07,286 おい 栄一。 今日も来ねぇんか? 291 00:27:07,286 --> 00:27:09,221 いや 今はちっと…。 292 00:27:09,221 --> 00:27:11,624 ついてこないでって言ってるでしょう! 293 00:27:11,624 --> 00:27:13,559 ほっといてくれって言ってんだよ。 294 00:27:13,559 --> 00:27:15,961 道場でも岡部でも 好きな所に行げばいいじゃあねぇか! 295 00:27:15,961 --> 00:27:18,964 おい ねえさま? 栄一は心配して…。 296 00:27:18,964 --> 00:27:22,301 はぁ? うるせぇんだ 喜作! 小僧のくせに! 297 00:27:22,301 --> 00:27:24,236 へ? は? 298 00:27:24,236 --> 00:27:27,640 すまん 喜作。 今はちょっと…。 また必ず稽古 行ぐから。 299 00:27:27,640 --> 00:27:32,611 姉さま…。 離せ! やめろ! やめろ 離せ! 300 00:27:32,611 --> 00:27:36,749 キツネにつかれたってうわさは まことだったのか。 301 00:27:36,749 --> 00:27:42,549 なんという腰抜けだ。 国の一大事に家の者の面倒を見るとは。 302 00:27:44,623 --> 00:27:49,261 おい 長七郎 待てよ。 あいつは腰抜けだよ! 303 00:27:49,261 --> 00:27:51,561 来るな! 304 00:27:57,770 --> 00:28:00,439 へえ 確かに。 また頼まいね。 305 00:28:00,439 --> 00:28:04,610 へえ お願いします。 306 00:28:04,610 --> 00:28:25,410 ♬~ 307 00:28:28,467 --> 00:28:32,338 俺は キツネがついたなんて思っちゃいねぇ。 308 00:28:32,338 --> 00:28:37,276 とっさまもだ。 おはらいなんかする気もねぇ。 309 00:28:37,276 --> 00:28:43,276 でもな どうやったら 姉さまの気が晴れんのか分かんねぇんだ。 310 00:28:45,417 --> 00:28:49,755 縁談のお相手を 好いておられたのでしょうか。 311 00:28:49,755 --> 00:28:52,057 いや 別に恋仲だったわけでもねえ。 312 00:28:52,057 --> 00:28:56,595 一度か二度お会いしただけのお人だに。 313 00:28:56,595 --> 00:29:04,270 それでも… 何となく心が通じて お人柄にひかれることもございましょう? 314 00:29:04,270 --> 00:29:07,172 そうか? へぇ。 315 00:29:07,172 --> 00:29:13,946 縁談が決まられてから おなかさんはどんどん美しくなられて…➡ 316 00:29:13,946 --> 00:29:22,955 嫁入りとは それほど心華やぐことかと 羨ましく思っておりましたゆえ。 317 00:29:22,955 --> 00:29:25,958 そうか。 318 00:29:25,958 --> 00:29:29,828 もしそうなら 姉さまみてぇな気の強えおなごまで➡ 319 00:29:29,828 --> 00:29:35,528 こんなことになっちまうたぁ 恋心とは おっかねぇもんだなぁ。 320 00:29:41,240 --> 00:29:43,240 そうですか。 321 00:29:45,044 --> 00:29:48,044 おっと。 そんじゃまたな。 322 00:29:51,250 --> 00:29:55,950 (千代)強く見えるものほど 弱きものです。 323 00:29:58,023 --> 00:30:01,760 弱きものとて強いところもある。 324 00:30:01,760 --> 00:30:05,931 人は一面ではございません。 325 00:30:05,931 --> 00:30:39,832 ♬~ 326 00:30:39,832 --> 00:30:42,835 (市郎右衛門)なか。➡ 327 00:30:42,835 --> 00:30:50,309 たまには とっさまと出かけてみねぇか? 328 00:30:50,309 --> 00:31:03,822 ♬~ 329 00:31:03,822 --> 00:31:06,859 翌日 市郎右衛門は➡ 330 00:31:06,859 --> 00:31:12,131 藍玉の集金回りに なかを連れていくことにしました。 331 00:31:12,131 --> 00:31:15,831 なか 行ぐど。 332 00:31:23,509 --> 00:31:25,809 気を付いてな。 333 00:31:45,464 --> 00:31:49,334 姉さま 大丈夫なんかなぁ。 334 00:31:49,334 --> 00:31:53,639 なかはあんたと違って旅なんて初めてだ。 335 00:31:53,639 --> 00:31:56,475 いい気晴らしになるといいねぇ。 336 00:31:56,475 --> 00:31:58,977 あぁ。 337 00:31:58,977 --> 00:32:01,480 (まさ)おゑいさん。 338 00:32:01,480 --> 00:32:03,816 おねえさん。 339 00:32:03,816 --> 00:32:06,852 市郎右衛門さん 昨日から出かけてるんだって?➡ 340 00:32:06,852 --> 00:32:10,589 ちょうどよかった。 これは好都合だ。 341 00:32:10,589 --> 00:32:15,527 この人たちは…。 こちらの方々は修験者様だよ。 342 00:32:15,527 --> 00:32:18,130 おはらいをしてくださるというんだ。 343 00:32:18,130 --> 00:32:20,499 おはらい? 344 00:32:20,499 --> 00:32:22,835 ささ どうぞお入りください。 345 00:32:22,835 --> 00:32:24,870 ちょっと…。 お邪魔する! 346 00:32:24,870 --> 00:32:28,140 散らかっておりますが…。 何言ってんだ かっさま。 347 00:32:28,140 --> 00:32:32,778 まさおばさん 祈祷なんかいらねぇ。 この家にたたりなんかあるもんか。 348 00:32:32,778 --> 00:32:34,713 また あんたの減らず口かい。 349 00:32:34,713 --> 00:32:38,083 大体な 長男のあんたが頼りねぇから こんなことになっちまったんだよ。 350 00:32:38,083 --> 00:32:41,453 俺が頼りねえのと 姉さまの乱心は 関わりのねえことだ。 351 00:32:41,453 --> 00:32:43,789 そもそもな まさおばさんが キツネだとか何だとか➡ 352 00:32:43,789 --> 00:32:46,692 言いだすのが悪いんじゃねえか。 何を言うんだい もう。 353 00:32:46,692 --> 00:32:52,892 子供は黙ってな! さささ 皆もどうぞ どうぞ。 354 00:32:55,968 --> 00:32:59,168 もう… 帰れ お前ら! 帰れ! 355 00:33:24,496 --> 00:33:30,369 これが神の声を伝える 口寄せでございます。 356 00:33:30,369 --> 00:33:33,605 では 始める。 357 00:33:33,605 --> 00:33:39,405 かしこみ かしこみ申す。 358 00:33:44,950 --> 00:33:48,954 はらい給え 清め給え。 359 00:33:48,954 --> 00:33:56,962 はらい給え 清め給え。 はらい給え 清め給え。 360 00:33:56,962 --> 00:34:00,465 はらい給え 清め給え。 361 00:34:00,465 --> 00:34:05,637 おぉ! おお おいでなすった。 362 00:34:05,637 --> 00:34:10,937 いずれの神のご降臨にや お告げを被りたし。 363 00:34:14,112 --> 00:34:27,125 この家には… 金神と井戸の神がたたっておる。 364 00:34:27,125 --> 00:34:29,661 えぇ!? 365 00:34:29,661 --> 00:34:40,305 また この家に無縁仏ありて この家をたたっておるなり。 366 00:34:40,305 --> 00:34:42,941 (まさ)ほぉら 見てみない。➡ 367 00:34:42,941 --> 00:34:48,280 前にじっさまから聞いたよ。 昔この家からお伊勢さまに出て➡ 368 00:34:48,280 --> 00:34:50,949 それっきり 帰ってきなかった人がいるんだ。➡ 369 00:34:50,949 --> 00:34:54,786 無縁仏はその人に違いあるめぇ。 370 00:34:54,786 --> 00:35:00,659 そのせいで なかがあんな恐ろしげな病に あっちまったんだよ。➡ 371 00:35:00,659 --> 00:35:04,296 やっぱり たたりだったんだいね。 372 00:35:04,296 --> 00:35:11,069 神様 ありがとうございます。 ありがとうございます。 373 00:35:11,069 --> 00:35:13,769 (ゑい)ありがとうございます。 374 00:35:15,907 --> 00:35:20,746 (まさ)このたたりをはらうには どうしたらよいのでしょう。 375 00:35:20,746 --> 00:35:25,484 (修験者)このたたりを清めるには いかようにせば可ならん。 376 00:35:25,484 --> 00:35:33,058 ほこらを建立し あがめ奉るべし。 377 00:35:33,058 --> 00:35:39,765 聞いたかい。 ほこらですね ほこら ほこら…。 378 00:35:39,765 --> 00:35:43,435 一つお伺いしたい。 379 00:35:43,435 --> 00:35:46,071 先ほど 無縁仏と申されたが➡ 380 00:35:46,071 --> 00:35:50,442 その無縁仏が出たのは およそ何年前のことでございましょうか。 381 00:35:50,442 --> 00:35:52,778 口を出すんじゃないって言ってるだんべ。 382 00:35:52,778 --> 00:35:59,451 いいや。 ほこらを建てるにも供養するにも その年月知らなかったら困るだんべぇ。 383 00:35:59,451 --> 00:36:05,751 (修験者)フッ よかろう。 無縁仏が出たその年は? 384 00:36:07,626 --> 00:36:15,367 おおよそ60年ほど前のことなり。 385 00:36:15,367 --> 00:36:20,367 60年? ということは そのころの年号は? 386 00:36:25,177 --> 00:36:30,982 天保3年なり。 387 00:36:30,982 --> 00:36:35,053 天保3年は23年前だで? 388 00:36:35,053 --> 00:36:37,122 おい どういうことでえ…。 389 00:36:37,122 --> 00:36:40,759 偉ぇ神様が 無縁仏の有り無しは知ってて➡ 390 00:36:40,759 --> 00:36:43,595 年号を知らねぇなんてことあるはずねぇ。 391 00:36:43,595 --> 00:36:46,264 (ゑい)ちょっと 栄一…。 だってそうだに。 392 00:36:46,264 --> 00:36:50,602 人にまつられるはずの神様が こんなこともお分かりにならねぇとは➡ 393 00:36:50,602 --> 00:36:55,774 金神だか井戸の神だが知らねぇが 所詮大した神様じゃねぇだんべぇ。 394 00:36:55,774 --> 00:36:58,810 何てこと言うんだい… 天罰が当たるよ! 395 00:36:58,810 --> 00:37:02,547 しかし 栄一の言うことも もっともだい。 そうだいのう…。 396 00:37:02,547 --> 00:37:06,284 修験者様 これ どういうことだい? 397 00:37:06,284 --> 00:37:11,089 こ これは…➡ 398 00:37:11,089 --> 00:37:16,628 おおかた 神を偽った野ギツネでも来たのであろう。 399 00:37:16,628 --> 00:37:20,098 野ギツネ? あぁ だったら➡ 400 00:37:20,098 --> 00:37:23,001 いたずらギツネに 立派なほこらなんか必要ねぇに。 401 00:37:23,001 --> 00:37:25,637 そうだな? まさおばさん。 402 00:37:25,637 --> 00:37:29,937 そうだねぇ。 そういうことになりますかねぇ。 403 00:37:32,244 --> 00:37:35,280 (修験者) なんと。 神をも畏れぬ不届きものめ!➡ 404 00:37:35,280 --> 00:37:39,980 お前にはいずれ 偉大なる神の大きな罰が下るであろう! 405 00:37:41,920 --> 00:37:44,923 野ギツネだか何だか知らねぇが…➡ 406 00:37:44,923 --> 00:37:49,261 俺は人の弱みにつけ込む神様なんか これっぽっちも怖かねぇ。 407 00:37:49,261 --> 00:37:51,763 うちの姉さまだってそんなに弱かねぇぞ。 408 00:37:51,763 --> 00:37:57,436 こんなえたいの知れねぇもんで 一家を惑わすのは金輪際御免被る。 409 00:37:57,436 --> 00:38:01,606 とっとと帰れ! 410 00:38:01,606 --> 00:38:05,606 お待ちを お待ちを 修験者様…。 411 00:38:17,155 --> 00:38:24,796 ハハハハ… 栄一のおしゃべりも たまには役に立つ。 412 00:38:24,796 --> 00:38:27,096 二度と来んな このニセモンが。 413 00:38:29,634 --> 00:38:48,420 ♬~ 414 00:38:48,420 --> 00:38:50,355 栄一! 415 00:38:50,355 --> 00:38:52,655 お 帰ってきたんか。 416 00:38:54,292 --> 00:38:56,294 ふむ。 顔色もいいじゃねぇか。 417 00:38:56,294 --> 00:38:59,931 とっさまと山ん中 歩いてるうちに 気分も晴れたわ。 418 00:38:59,931 --> 00:39:03,435 花もきれいで…。 そうか。 419 00:39:03,435 --> 00:39:06,271 ふうん…。 420 00:39:06,271 --> 00:39:09,774 お千代が姉さまを美しいと言っていたが➡ 421 00:39:09,774 --> 00:39:15,647 キツネの妖怪といえば国を滅ぼすほど 美しいといわれた玉藻の前だ。 422 00:39:15,647 --> 00:39:18,783 姉さまなんかに とりつくはずがねぇだんべ。 423 00:39:18,783 --> 00:39:23,288 何だって? この要らぬ口め。 滅ぼしてやるぞ! 424 00:39:23,288 --> 00:39:27,092 こら! こら! 痛っ! 痛い 痛い…。 425 00:39:27,092 --> 00:39:31,463 やっぱりキツネより 姉さまの方がおっかねえ。 426 00:39:31,463 --> 00:39:33,398 栄一。 ん? 427 00:39:33,398 --> 00:39:36,598 ありがとうね。 428 00:39:42,574 --> 00:39:44,509 くっさ! え? 429 00:39:44,509 --> 00:39:46,912 姉さま 旅のアカが落ちてねえんじゃねえか。 430 00:39:46,912 --> 00:39:49,814 はあ? 汗流した方がいいだんべ。 ほら。 431 00:39:49,814 --> 00:39:52,050 ひゃ~! 栄一 こら! 432 00:39:52,050 --> 00:40:11,269 ♬~ 433 00:40:11,269 --> 00:40:14,969 そして その年の秋…。 434 00:40:39,798 --> 00:40:41,733 殿! 円四郎! 435 00:40:41,733 --> 00:40:43,733 急ぎお屋敷の外に! 436 00:40:49,507 --> 00:40:52,307 上様 お急ぎなさいませ! 437 00:40:54,346 --> 00:40:58,650 (徳川家定)お おお… なんと…! 438 00:40:58,650 --> 00:41:03,321 (歌橋)上様~! 上様~! 439 00:41:03,321 --> 00:41:06,121 上様! 歌橋! 440 00:41:13,498 --> 00:41:17,998 (井伊直弼) 上様はご無事! 上様はご無事じゃ! 441 00:41:20,372 --> 00:41:25,172 上様はご無事。 吹上御庭にお渡りになった。 442 00:41:27,345 --> 00:41:30,849 こりゃあ ひでぇありさまだ。 父上! 母上! 443 00:41:30,849 --> 00:41:32,784 (斉昭)東湖! (武田耕雲斎)東湖殿! 東湖はどこじゃ! 444 00:41:32,784 --> 00:41:34,719 父上! (耕雲斎)よくぞご無事で。 445 00:41:34,719 --> 00:41:37,455 御簾中様もご無事でございます。 それは何より。 446 00:41:37,455 --> 00:41:39,391 そんなことより東湖じゃ! 447 00:41:39,391 --> 00:41:43,628 東湖はどこじゃ! 東湖殿! 東湖! 東湖! 448 00:41:43,628 --> 00:41:50,928 ≪(小四郎)父上! 父上…。 449 00:41:53,638 --> 00:41:56,107 父上…。 450 00:41:56,107 --> 00:42:00,945 東湖… 東湖! 451 00:42:00,945 --> 00:42:02,945 東湖! 452 00:42:04,649 --> 00:42:06,849 ああ…。 453 00:42:10,455 --> 00:42:13,658 東湖! 東湖! 454 00:42:13,658 --> 00:42:18,129 東湖! 東湖! 東湖! 455 00:42:18,129 --> 00:42:22,500 異国人とて 国には親や友がありましょう。 456 00:42:22,500 --> 00:42:27,700 誰しも 掛けがえのなきものを 天災で失うは耐え難きこと。 457 00:42:30,375 --> 00:42:35,080 わしは掛けがえのなき友を…➡ 458 00:42:35,080 --> 00:42:40,785 掛けがえのなき友を亡くしてしまった…。 459 00:42:40,785 --> 00:42:45,657 東湖…。 460 00:42:45,657 --> 00:42:53,157 東湖! 東湖! 東湖…! 461 00:43:01,973 --> 00:43:04,876 大変だ 兄貴! 道場破りだに! 462 00:43:04,876 --> 00:43:07,779 新しい世が始まろうとしているのです。 463 00:43:07,779 --> 00:43:11,483 ええっ! 何故じゃ! 464 00:43:11,483 --> 00:43:14,819 あたしゃ あなた様を 武士のもぐらと見ておりますんで。 465 00:43:14,819 --> 00:43:17,489 千代はそんな栄一さんを お慕い申しておるんだに! 466 00:43:17,489 --> 00:43:20,825 はら さようでございもすか。 467 00:43:20,825 --> 00:43:23,495 あぁ 分かんねぇ! 468 00:43:23,495 --> 00:43:26,995 本当に男は戦が好きだいねぇ。 469 00:43:35,640 --> 00:43:39,811 道場に漂う緊張感。 470 00:43:39,811 --> 00:43:43,011 神道無念流の稽古場です。 471 00:43:44,649 --> 00:43:49,988 渋沢家や尾高家の人々が学んだ 神道無念流。 472 00:43:49,988 --> 00:43:53,324 剣術のみならず 学問を重んじ➡ 473 00:43:53,324 --> 00:43:58,524 後に明治時代に活躍する人材を 輩出しました。 474 00:44:01,199 --> 00:44:04,936 (掛け声) 475 00:44:04,936 --> 00:44:07,839 試合の記録には➡ 476 00:44:07,839 --> 00:44:12,139 栄一や喜作 惇忠の名前が残されています。 477 00:44:14,012 --> 00:44:19,212 長七郎は江戸へ遊学し 剣の腕を磨きました。 478 00:44:20,885 --> 00:44:25,356 大川平兵衛が開いた 神道無念流の道場があった➡ 479 00:44:25,356 --> 00:44:28,056 埼玉県坂戸市。 480 00:44:29,694 --> 00:44:37,435 平兵衛は ここから血洗島に出向き 栄一たちに剣術の指導を行いました。 481 00:44:37,435 --> 00:44:42,640 栄一が通った道場は 鹿島神社の近くにあったといい➡ 482 00:44:42,640 --> 00:44:46,940 境内では試合が行われたと 伝わっています。 483 00:44:48,513 --> 00:44:52,116 ひたむきに剣術をきわめた若者たちは➡ 484 00:44:52,116 --> 00:44:56,816 やがて 幕末の動乱に 身を投じていきました。 485 00:45:33,892 --> 00:45:37,161 (仁左衛門) 話が うまくでき過ぎてると? 486 00:45:37,161 --> 00:45:42,967 <安部式部率いる火付盗賊改方は 一旦 捕らえながらも➡ 487 00:45:42,967 --> 00:45:48,306 雲霧一党によって 奪い返された 因果小僧六之助を➡ 488 00:45:48,306 --> 00:45:51,509 再び 捕らえんと 策を巡らした。➡ 489 00:45:51,509 --> 00:45:54,979 しかし 今度も また 煮え湯を飲まされ➡ 490 00:45:54,979 --> 00:45:58,616 その必死の探索も 実を結ばなかった>