1 00:00:33,113 --> 00:00:35,048 (平岡円四郎) いたずらに幕府を倒すために➡ 2 00:00:35,048 --> 00:00:41,888 命を投げ出したところで それが本当に 国のためになるのかどうか➡ 3 00:00:41,888 --> 00:00:45,325 おめえたちはまだ そこんとこを分かっちゃいねぇ。➡ 4 00:00:45,325 --> 00:00:48,325 どうだ? 5 00:00:50,163 --> 00:00:52,963 一橋の 家来になれ。 6 00:01:03,043 --> 00:01:08,915 (渋沢栄一)ご親切なお申し出 まことに感佩の至りでございます。 7 00:01:08,915 --> 00:01:12,719 しかし お察しどおり➡ 8 00:01:12,719 --> 00:01:15,622 すっかんぴんの身の上では ございますものの➡ 9 00:01:15,622 --> 00:01:18,225 いやしくも我々には志があります。 10 00:01:18,225 --> 00:01:20,894 ん ん ん ん ん? はぁ? 11 00:01:20,894 --> 00:01:22,829 断る気か? 12 00:01:22,829 --> 00:01:27,567 仕えるのか とっ捕まるのか どっちかしかねぇんだぞ! 13 00:01:27,567 --> 00:01:31,304 ははっ。 このような中 そのようなご厚情を頂き➡ 14 00:01:31,304 --> 00:01:33,840 まことに ありがたいことではございますが…。 15 00:01:33,840 --> 00:01:37,711 (渋沢喜作) いやしくも我々の志に関することゆえ➡ 16 00:01:37,711 --> 00:01:41,314 軽率には返答いたしかねます。 17 00:01:41,314 --> 00:01:45,185 2人でとくと相談した上 否か応かお返事いたしたく…。 18 00:01:45,185 --> 00:01:47,187 あ~… 分かった。 19 00:01:47,187 --> 00:01:50,323 もうよい。 さっさと帰れ。 20 00:01:50,323 --> 00:01:52,323 ははっ。 ははっ。 21 00:01:55,195 --> 00:02:02,869 ♬~ 22 00:02:02,869 --> 00:02:09,643 はぁ… 本当のバカだぜ。 23 00:02:09,643 --> 00:02:13,346 川村。 (川村恵十郎)はっ。 24 00:02:13,346 --> 00:02:17,551 一応 公儀の役人への返事は 引き延ばしとけ。 25 00:02:17,551 --> 00:02:20,453 しかし あのように剛情なやつらを…。 26 00:02:20,453 --> 00:02:24,057 見つけてきたのはおめえだろ。 27 00:02:24,057 --> 00:02:28,728 大丈夫だ。 俺の読みどおり あの渋沢は…➡ 28 00:02:28,728 --> 00:02:33,567 まあ特に あの小さい方はバカだが ただのバカじゃねぇ。 29 00:02:33,567 --> 00:02:40,006 いろいろ教えてやれば きっと 今の世を正しく理解できるようになる。 30 00:02:40,006 --> 00:02:42,509 ありえねぇ話だい! 31 00:02:42,509 --> 00:02:45,178 昨日まで幕府を潰すと言っておきながら➡ 32 00:02:45,178 --> 00:02:48,682 今日んなって徳川方の一橋に 仕官するなんて…。 33 00:02:48,682 --> 00:02:53,882 命が惜しくなって志を曲げたと 後ろ指をさされるに決まってる。 34 00:02:55,855 --> 00:02:59,326 そのとおりだ。 35 00:02:59,326 --> 00:03:04,326 いっそ ここで命を絶つか? 36 00:03:06,099 --> 00:03:10,704 マゴマゴしてるうちに 縛られて獄につながれるより➡ 37 00:03:10,704 --> 00:03:17,004 その方がきっと 志を貫いた潔い男と言われる。 38 00:03:22,215 --> 00:03:28,555 あぁ 俺たちは草莽の志士として…。 39 00:03:28,555 --> 00:03:34,361 言われるかもしれねぇが 俺はごめんだ。 40 00:03:34,361 --> 00:03:38,665 いっくら潔いとか志があるとか 言われようが➡ 41 00:03:38,665 --> 00:03:42,168 気位だけ高くて 少しも世の役に立たねぇうちに➡ 42 00:03:42,168 --> 00:03:47,507 一身を終えるなんて 俺は決してそんなことはしたくねぇ! 43 00:03:47,507 --> 00:03:52,012 世のために利を出さねば何にもならねぇ。 44 00:03:52,012 --> 00:03:57,817 生きてさえいれば 今 卑怯と言われようが➡ 45 00:03:57,817 --> 00:04:03,523 志を曲げたと後ろ指をさされようが この先の己のやることで➡ 46 00:04:03,523 --> 00:04:06,559 いくらでも まことの心を示すことができる…。 47 00:04:06,559 --> 00:04:10,697 はぁ? 冗談じゃねぇ! あにぃたちに何と言う? 48 00:04:10,697 --> 00:04:17,203 いいや 今 仕官すれば 俺たちはもう ただの逃げ回る百姓じゃねぇ。 49 00:04:17,203 --> 00:04:20,540 幕府からの嫌疑は消え➡ 50 00:04:20,540 --> 00:04:24,240 あるいは長七郎を救い出す手だてが 見つかるかもしれねぇ。 51 00:04:27,414 --> 00:04:31,051 ただ生き延びるためだけじゃねぇ。 52 00:04:31,051 --> 00:04:34,821 平岡様が開いてくれたこの仕官の道は…➡ 53 00:04:34,821 --> 00:04:41,821 よぉく考えれば 一挙両得の上策だと俺は思うんだい! 54 00:04:45,298 --> 00:04:48,668 おめえ… 何かわくわくしてねぇか? 55 00:04:48,668 --> 00:04:52,005 いいや わくわくなどしてねぇ。 ただ…➡ 56 00:04:52,005 --> 00:04:54,674 ぐるぐる どくどくして…➡ 57 00:04:54,674 --> 00:04:59,312 そう! あの方の言葉を借りれば➡ 58 00:04:59,312 --> 00:05:02,215 おかしれぇ。 59 00:05:02,215 --> 00:05:05,185 おかしれぇって気持ちだ。 60 00:05:05,185 --> 00:07:56,185 ♬~ 61 00:07:58,825 --> 00:08:01,728 2人でとくと相談いたしました。 62 00:08:01,728 --> 00:08:04,163 このような窮地におる我らに➡ 63 00:08:04,163 --> 00:08:07,066 仕官の道をお開きくださる というご沙汰は➡ 64 00:08:07,066 --> 00:08:10,036 実に思いもかけねぇご厚意であります。 65 00:08:10,036 --> 00:08:13,673 あぁ そうだ。 そうだろうよ。 66 00:08:13,673 --> 00:08:18,311 しかしながら私どもは 百姓の出ではございますものの➡ 67 00:08:18,311 --> 00:08:21,214 一人の志士であることを 自ら任じておりました。 68 00:08:21,214 --> 00:08:24,183 あぁ もうそれは分かった。 69 00:08:24,183 --> 00:08:26,853 で どうすんだ? 70 00:08:26,853 --> 00:08:30,690 一橋様に 愚説ではございますが➡ 71 00:08:30,690 --> 00:08:33,593 我々の考えた意見を 建白いたしたいのです。 72 00:08:33,593 --> 00:08:36,129 殿に建白だと? ははっ。 73 00:08:36,129 --> 00:08:40,466 もし天下に事あらば 主君として我々を役立てたいと➡ 74 00:08:40,466 --> 00:08:45,805 そう思し召しいただけるのであれば 是非ともお召し抱えいただきたい。 75 00:08:45,805 --> 00:08:50,677 それならば草履取りだろうが 役目が重い軽いなど厭いません。 76 00:08:50,677 --> 00:08:56,282 是非とも私どもの愚説を 一橋様に建白した上で➡ 77 00:08:56,282 --> 00:08:59,986 お召し抱えということに していただきてぇ。 78 00:08:59,986 --> 00:09:03,986 その愚説ってのは一体何なんだ? 79 00:09:07,860 --> 00:09:09,996 こちらです。 80 00:09:09,996 --> 00:09:11,931 中身は? 81 00:09:11,931 --> 00:09:17,170 この国の一大事に 一橋様が御三卿の御身でありながら➡ 82 00:09:17,170 --> 00:09:20,506 天子様のおわす京に入られ 政に携わられますは…。 83 00:09:20,506 --> 00:09:25,011 長そうだな。 俺はこう見えても忙しいんだ。 84 00:09:25,011 --> 00:09:30,316 しかたねぇ。 しからばこれを 殿へご覧に入れるよう努力しよう。 85 00:09:30,316 --> 00:09:32,785 あ いいえ! 是非一度 拝謁を! 86 00:09:32,785 --> 00:09:36,255 一橋様に 是非これを じかにお耳に入れたいのです! 87 00:09:36,255 --> 00:09:41,628 はぁ? おめえら 殿に じかに口を利きてぇってのか? 88 00:09:41,628 --> 00:09:46,928 ははっ。 いやぁ そりゃ無理な話だ。 89 00:09:49,268 --> 00:09:53,068 …ったく まぁ~。 90 00:09:56,643 --> 00:10:00,480 こんばんは。 徳川家康です。 91 00:10:00,480 --> 00:10:05,818 今 栄一は「慶喜にじかに会わせろ」と 言っていましたが➡ 92 00:10:05,818 --> 00:10:09,288 いやぁ とんでもない。 93 00:10:09,288 --> 00:10:14,127 このころの慶喜は大変だったんです。 94 00:10:14,127 --> 00:10:21,300 先週 京の都に朝議参与が出来ました。 95 00:10:21,300 --> 00:10:23,236 覚えていますか? 96 00:10:23,236 --> 00:10:27,840 私はちょっとお休みしましたがね。 97 00:10:27,840 --> 00:10:33,179 このメンバーが 帝の御前での会議に参加し➡ 98 00:10:33,179 --> 00:10:36,516 政に意見をするようになった。 99 00:10:36,516 --> 00:10:45,858 これは 京を追い払われた長州に代わり 権力を得ようとする薩摩の提案でした。 100 00:10:45,858 --> 00:10:47,894 参与諸侯の中でも➡ 101 00:10:47,894 --> 00:10:52,532 薩摩の島津久光をはじめとする外様が➡ 102 00:10:52,532 --> 00:10:57,403 幕府に対抗する力を持ち始めていました。 103 00:10:57,403 --> 00:11:00,273 そこに 将軍 家茂と➡ 104 00:11:00,273 --> 00:11:05,878 我が幕府の老中たちも 勝手をさせてはなるものかと➡ 105 00:11:05,878 --> 00:11:08,578 江戸からやって来た。 106 00:11:10,750 --> 00:11:13,219 朝議参与でありながら➡ 107 00:11:13,219 --> 00:11:20,560 幕府の将軍後見職でもある 複雑な立場の慶喜は➡ 108 00:11:20,560 --> 00:11:24,063 その板挟みになったのです。 109 00:11:24,063 --> 00:11:31,063 そう 慶喜はピンチだったのです。 110 00:11:32,672 --> 00:11:40,172 幕府では 横浜の港を閉じるか否かを巡り 意見が分かれていました。 111 00:11:41,848 --> 00:11:45,685 江戸でその儀につき よくよく話しましたが…➡ 112 00:11:45,685 --> 00:11:51,023 今や薩摩も 港は閉じぬ方がよいと 申しておるとのこと。 113 00:11:51,023 --> 00:11:53,860 (円四郎)エゲレスと戦を起こした薩摩は➡ 114 00:11:53,860 --> 00:11:57,697 ようやく「攘夷は無謀」と 家中の考えを変え…。 115 00:11:57,697 --> 00:12:03,035 薩摩の説に 公儀は従うわけにはまいりませぬ。 116 00:12:03,035 --> 00:12:08,341 はぁ!? (酒井)昨年は長州に迫られ攘夷を約束し➡ 117 00:12:08,341 --> 00:12:13,713 こたびは薩摩に港は閉じるなと言われ 鎖港を引き下げるのでは➡ 118 00:12:13,713 --> 00:12:20,052 公儀は薩長に振り回され 少しも一定の見識を持たぬことになる。 119 00:12:20,052 --> 00:12:23,356 さよう。 こっちは横浜の港を閉じるために➡ 120 00:12:23,356 --> 00:12:26,893 既に西洋に 使節まで遣わしておるのです。 121 00:12:26,893 --> 00:12:28,828 (徳川慶喜)それでは…。 122 00:12:28,828 --> 00:12:32,665 (酒井)薩摩が港を 「閉じるな」と申すのなら➡ 123 00:12:32,665 --> 00:12:38,838 公儀は「閉じよ」でございまする。 124 00:12:38,838 --> 00:12:42,838 今更 港を閉じよなんて…。 125 00:12:46,179 --> 00:12:53,853 今更 港を閉じっとが よか策とは思いもはん。 126 00:12:53,853 --> 00:12:56,322 (松平春嶽)さよう。 127 00:12:56,322 --> 00:12:59,692 私も先日の勅諚を踏まえ➡ 128 00:12:59,692 --> 00:13:06,332 横浜の鎖港の算段はすぐにも中止し 開国の道を開くべきと考えます。 129 00:13:06,332 --> 00:13:09,035 (伊達宗城)至極同意。 130 00:13:09,035 --> 00:13:12,705 (久光)ハハハ… 大体➡ 131 00:13:12,705 --> 00:13:20,213 今のご公儀の方針は できもせんことを 朝廷に気に入らるっため➡ 132 00:13:20,213 --> 00:13:25,718 舌先三寸でうそぶくだけの まさに姑息なご処置。 133 00:13:25,718 --> 00:13:28,754 ハハハハ…。 姑息? 134 00:13:28,754 --> 00:13:34,427 半年前までは「攘夷」と言っていた 姑息な男は一体誰であったか。 135 00:13:34,427 --> 00:13:47,306 ♬~ 136 00:13:47,306 --> 00:13:49,242 (円四郎)やっぱり無理だ。 137 00:13:49,242 --> 00:13:51,177 (2人)えぇ! 138 00:13:51,177 --> 00:13:55,181 こんな大変な時に おめえらの話なんかできるかってんだ。 139 00:13:55,181 --> 00:13:57,683 はい? 140 00:13:57,683 --> 00:14:07,183 いや。 ご当主に見ず知らずの者の拝謁を 許すわけにはどうしてもいかぬ。 141 00:14:14,867 --> 00:14:18,204 しかし… こうなれば俺も意地だ。➡ 142 00:14:18,204 --> 00:14:22,208 どうにかこうにか 拝謁の工夫をつけてやる。➡ 143 00:14:22,208 --> 00:14:26,913 あ~ 見ず知らずじゃいけねぇってんなら➡ 144 00:14:26,913 --> 00:14:29,916 そう 一度でいい。 145 00:14:29,916 --> 00:14:34,287 遠くからでも姿をお見せして 「己が何某でござる!」と➡ 146 00:14:34,287 --> 00:14:37,657 とにもかくにも 知っていただくような工夫をするんだ。 147 00:14:37,657 --> 00:14:39,657 なるほど。 148 00:14:41,527 --> 00:14:45,164 幸い明日 松ヶ崎で御乗切りがある。 149 00:14:45,164 --> 00:14:49,001 御乗切り? (円四郎)おめえらはその途中で出てきて➡ 150 00:14:49,001 --> 00:14:52,701 どうにか顔をお見かけしてもらえ。 151 00:14:56,876 --> 00:14:59,076 お… 来たど! 152 00:15:04,317 --> 00:15:07,517 よし 行ぐで! おぉ! 153 00:15:09,155 --> 00:15:12,155 渋沢栄一でございます! 154 00:15:18,331 --> 00:15:20,831 渋沢栄一でございます! 155 00:15:22,535 --> 00:15:27,735 しかし 一橋様は 馬にお乗りなんですよね? 156 00:15:31,644 --> 00:15:33,579 おい! 157 00:15:33,579 --> 00:15:36,148 (いななき) 158 00:15:36,148 --> 00:15:40,019 (円四郎)だからおめえらは 馬に負けねぇよう駆けろ。 159 00:15:40,019 --> 00:15:42,488 え!? え!? 160 00:15:42,488 --> 00:15:48,294 走って走って どうにか姿をお見せして 名を名乗れ。 161 00:15:48,294 --> 00:15:53,594 某は渋沢栄一でございます! 162 00:15:55,668 --> 00:15:58,504 渋沢栄一でございます! 163 00:15:58,504 --> 00:16:02,842 某は渋沢喜作と申します! 164 00:16:02,842 --> 00:16:12,551 ♬~ 165 00:16:12,551 --> 00:16:17,189 既に! 今 既に 徳川のお命は尽きてございます! 166 00:16:17,189 --> 00:16:19,692 バカ 余計なことを! 167 00:16:19,692 --> 00:16:23,892 いかに取り繕おうとも 既にお命は… ああっ。 168 00:16:51,157 --> 00:16:53,159 そなた今 何と申した? 169 00:16:53,159 --> 00:16:57,859 既に 徳川のお命は尽きてございます。 170 00:17:00,299 --> 00:17:04,670 あなた様は 賢明なる水戸烈公の御子。 171 00:17:04,670 --> 00:17:08,307 もし もし天下に事のあった時➡ 172 00:17:08,307 --> 00:17:11,510 あなた様が その大事なお役目を 果たされたいとお思いならば➡ 173 00:17:11,510 --> 00:17:17,210 どうか どうか この渋沢をお取り立てくださいませ! 174 00:17:18,851 --> 00:17:20,851 面を上げよ。 175 00:17:28,527 --> 00:17:30,463 言いたいことは それだけか。 176 00:17:30,463 --> 00:17:33,499 否! まだ山ほどございまする! 177 00:17:33,499 --> 00:17:36,969 バカ! 178 00:17:36,969 --> 00:17:40,005 円四郎 そなたの仕業か。 179 00:17:40,005 --> 00:17:42,141 はっ! 180 00:17:42,141 --> 00:17:45,811 (慶喜)この者たちを 明日 邸へ呼べ。 181 00:17:45,811 --> 00:17:49,682 これ以上 馬の邪魔をされては困る。 182 00:17:49,682 --> 00:17:52,485 ははっ! 183 00:17:52,485 --> 00:17:57,785 (いななき) 184 00:18:01,494 --> 00:18:03,996 そして この数日後…➡ 185 00:18:03,996 --> 00:18:10,296 栄一と喜作は 一橋慶喜に拝謁を許されました。 186 00:18:13,005 --> 00:18:15,908 (小声で)質素だいな。 187 00:18:15,908 --> 00:18:20,880 水戸は質素を重んじると聞いたが… 一橋様も存外だい。 188 00:18:20,880 --> 00:18:25,017 (小声で)あぁ。 しかし あれを見ろ。 189 00:18:25,017 --> 00:18:27,319 何だ あの鏡のようなもんは。 190 00:18:27,319 --> 00:18:29,388 異国の絵か? 191 00:18:29,388 --> 00:18:33,792 ハッ… 西洋かぶれとは けしからんな。 192 00:18:33,792 --> 00:18:37,129 (足音) 193 00:18:37,129 --> 00:18:50,476 ♬~ 194 00:18:50,476 --> 00:18:52,776 (円四郎)面を上げよ。 195 00:19:04,823 --> 00:19:08,160 そ 某は…。 名乗りはもうよい。 196 00:19:08,160 --> 00:19:12,498 意見書も既に手渡しておる。 197 00:19:12,498 --> 00:19:18,003 殿はお忙しく時がないゆえ 簡潔に申し上げよ。 198 00:19:18,003 --> 00:19:20,503 ははっ。 199 00:19:23,309 --> 00:19:26,011 先日も申し上げましたとおり➡ 200 00:19:26,011 --> 00:19:31,617 幕府の命は もはや 積み重ねた卵のように危うく➡ 201 00:19:31,617 --> 00:19:34,417 いつ崩れたって おかしかねぇありさまです。 202 00:19:38,123 --> 00:19:41,026 ですから一橋様におかれましては➡ 203 00:19:41,026 --> 00:19:45,464 なまじ そんな幕府を取り繕おうとは お考えにならねぇ方がよいと存じます。 204 00:19:45,464 --> 00:19:49,969 なぜなら 今のまんまじゃ 幕府が潰れりゃ➡ 205 00:19:49,969 --> 00:19:53,806 御三卿であるこの一橋のお家もろとも 潰れちまうからです。 206 00:19:53,806 --> 00:19:55,741 (猪飼勝三郎)お主ら 殿に何と…。 207 00:19:55,741 --> 00:19:58,978 猪飼 出かける支度をせよ。 208 00:19:58,978 --> 00:20:01,778 は… ははっ。 209 00:20:06,852 --> 00:20:11,290 そ… それゆえ 私どもが建白いたしたいのは➡ 210 00:20:11,290 --> 00:20:16,128 まずは この一橋家そのものの勢いを 盛り上げることです。 211 00:20:16,128 --> 00:20:18,163 ふん。 212 00:20:18,163 --> 00:20:24,670 そのためには 我々のような天下の志士を 広くお集めになることが第一の急務。 213 00:20:24,670 --> 00:20:26,605 国を治める手綱が緩めば➡ 214 00:20:26,605 --> 00:20:29,508 天下を乱そうとするものが 続々と出てまいりますが➡ 215 00:20:29,508 --> 00:20:32,544 いっそ その乱そうとするほど 力の有り余った者を➡ 216 00:20:32,544 --> 00:20:36,849 ことごとく家臣に召しましたならば もうほかに乱す者はいねぇ! 217 00:20:36,849 --> 00:20:38,884 ふん。 218 00:20:38,884 --> 00:20:43,522 天下の志士が集まれば この一橋が生き生きするに違いねぇ。 219 00:20:43,522 --> 00:20:49,028 しかしその一方 幕府や大名たちからは 「一橋は何をしている?」と疑われ➡ 220 00:20:49,028 --> 00:20:52,898 「一橋を成敗だ!」なんて話も 生まれっちまうかもしれません。 221 00:20:52,898 --> 00:20:57,536 万が一そうなったら… やむをえねぇ。 222 00:20:57,536 --> 00:20:59,571 やっちまいましょう! 223 00:20:59,571 --> 00:21:04,310 戦はあえて好むことではございませぬが 国のためならしかたねぇ。 224 00:21:04,310 --> 00:21:08,047 それにもし 幕府を倒すことになったとしても➡ 225 00:21:08,047 --> 00:21:13,919 いっそ衰えちまった日の本を盛り上げる いいきっかけになるかもしれません。 226 00:21:13,919 --> 00:21:16,722 そうだい これだ! その時こそ➡ 227 00:21:16,722 --> 00:21:20,222 この一橋が天下を治めるのです! 228 00:21:34,006 --> 00:21:41,513 という え~… 私どもの建白を➡ 229 00:21:41,513 --> 00:21:45,317 深くおもんばかっていただきたい。 230 00:21:45,317 --> 00:21:50,689 臆病風に吹かれ 天子様の勅命を斥けたり➡ 231 00:21:50,689 --> 00:21:54,489 大名たちに背中を見せるのではなく…。 232 00:21:59,198 --> 00:22:03,535 私どもがこの一橋に仕えるにあたり➡ 233 00:22:03,535 --> 00:22:08,207 あなた様に 水戸烈公の御子である一橋様に➡ 234 00:22:08,207 --> 00:22:12,407 是非 大きくなっていただきたい! 235 00:22:18,217 --> 00:22:20,417 ふん。 236 00:22:26,725 --> 00:22:31,563 話が終わったようだ。 出るぞ。 ははっ。 237 00:22:31,563 --> 00:22:34,263 え…? 238 00:22:39,671 --> 00:22:47,012 ♬~ 239 00:22:47,012 --> 00:22:49,047 殿 お手間を取らせまして…。 240 00:22:49,047 --> 00:22:52,518 うむ。 特に聞くべき目新しい意見もなかった。 241 00:22:52,518 --> 00:22:57,022 ははっ。 まだ無知で不作法ではございますが…。 242 00:22:57,022 --> 00:22:59,324 そうだな。 243 00:22:59,324 --> 00:23:02,624 そなたとの出会いを少し思い出した。 へ? 244 00:23:05,697 --> 00:23:08,333 (慶喜)あの時ほどには驚かなかったぞ。 245 00:23:08,333 --> 00:23:10,702 あ はぁ~。 246 00:23:10,702 --> 00:23:14,573 もう あのころのことは どうかご勘弁を。 247 00:23:14,573 --> 00:23:17,042 (足音) 248 00:23:17,042 --> 00:23:20,546 殿 支度が整いましてございます。 249 00:23:20,546 --> 00:23:23,348 二条城に戻る。 老中たちを待たせている。 250 00:23:23,348 --> 00:23:25,548 ははっ。 251 00:23:27,219 --> 00:23:30,055 それでは あの者たちは…。 252 00:23:30,055 --> 00:23:57,850 ♬~ 253 00:23:57,850 --> 00:23:59,785 はぁ。 254 00:23:59,785 --> 00:24:06,024 俺の知ってる限り 分かりやすく話をしてやろう。 255 00:24:06,024 --> 00:24:14,333 天子様は今… 三条や長州らが京から消え 心から安堵されている。 256 00:24:14,333 --> 00:24:20,038 そして 「従来どおり任せねば治まらぬ」と➡ 257 00:24:20,038 --> 00:24:25,711 再び徳川へ政をお任せになった。 258 00:24:25,711 --> 00:24:29,548 ご公儀はその命に従い 今 異国に➡ 259 00:24:29,548 --> 00:24:35,153 「横浜港を閉じるのを許可してほしい」と 談判する使節を送っている。 260 00:24:35,153 --> 00:24:38,824 幕吏が異国に使節を? 261 00:24:38,824 --> 00:24:40,859 いやしかし 敵に尾っぽを振るようなまねを…。 262 00:24:40,859 --> 00:24:43,495 いや… まあ聞け。 263 00:24:43,495 --> 00:24:46,532 俺だって初めは攘夷だったぜ。➡ 264 00:24:46,532 --> 00:24:53,005 しかし俺が思うに もう古くせえ「攘夷」って考えは➡ 265 00:24:53,005 --> 00:24:56,675 この世から消える。 266 00:24:56,675 --> 00:24:59,711 これからは異国を追い払うんじゃねぇ。 267 00:24:59,711 --> 00:25:07,019 我が日本も 国を国として きっちり談判するんだ。 268 00:25:07,019 --> 00:25:11,189 まあ俺の目から見りゃあ 攘夷攘夷と異人を殺したり➡ 269 00:25:11,189 --> 00:25:17,863 勝手やったやつらの尻ぬぐいをしながら 必死に国を守ろうとしてんのが➡ 270 00:25:17,863 --> 00:25:21,700 おめえらが憎んでるご公儀だ。 271 00:25:21,700 --> 00:25:25,871 徳川の直参なめんなよ この野郎。 272 00:25:25,871 --> 00:25:30,542 我が殿も 臆病風が吹くどころか➡ 273 00:25:30,542 --> 00:25:36,348 朝廷や公方様や老中や 薩摩や越前やら➡ 274 00:25:36,348 --> 00:25:44,990 毎日 一切合財を相手にしながら 一歩も後へ退かねぇ剛情もんだ。➡ 275 00:25:44,990 --> 00:25:53,498 力を持ち過ぎると疑われ 今じゃ身動きも取れねぇ。➡ 276 00:25:53,498 --> 00:25:55,834 どうだ?➡ 277 00:25:55,834 --> 00:25:59,134 ちいっとは この世のことが分かったかい? 278 00:26:01,506 --> 00:26:03,442 ははっ。 279 00:26:03,442 --> 00:26:08,142 よぉし。 分かったなら…。 280 00:26:16,989 --> 00:26:24,189 この先は 一橋のためにきっちり働けよ。 281 00:26:28,033 --> 00:26:32,270 しかし驚いたのう。 282 00:26:32,270 --> 00:26:40,145 御三卿の一橋様が お上品どころか そんな剛情もんだったとは…。 283 00:26:40,145 --> 00:26:44,282 仕官なんてとんでもねぇと思っていたが➡ 284 00:26:44,282 --> 00:26:49,655 俺は俄然 一橋様に興味が湧いてきた。 285 00:26:49,655 --> 00:26:55,855 しかし 平岡様がおっしゃる 攘夷が消えるってのはピンと来ねぇ…。 286 00:26:58,163 --> 00:27:00,165 おい どうした? 287 00:27:00,165 --> 00:27:02,834 おめえみてぇなおしゃべりが ずっと黙り込んで。 288 00:27:02,834 --> 00:27:08,334 あ? あぁ うむ…。 289 00:27:11,009 --> 00:27:14,509 目からうろこが落ちたみてぇだった。 290 00:27:16,815 --> 00:27:22,320 京に来てからも とんとピンと来なかったが➡ 291 00:27:22,320 --> 00:27:29,094 天子様というのは確かにこの京にいて 周りには公家がいて➡ 292 00:27:29,094 --> 00:27:38,594 今は 公方様や老中や薩摩や 皆がここに集まって政をしてる。 293 00:27:41,673 --> 00:27:45,473 その真ん中にいるのが一橋様だ。 294 00:27:51,983 --> 00:27:55,654 何つうか…➡ 295 00:27:55,654 --> 00:28:00,854 ぐるぐるもするが ゾッともする。 296 00:28:02,828 --> 00:28:07,999 今まで思い浮かべていただけのもんが➡ 297 00:28:07,999 --> 00:28:11,299 目の前で 本当に動いてんだ。 298 00:28:20,712 --> 00:28:29,012 こうして 栄一と喜作は 一橋家で働き始めることとなりました。 299 00:28:36,628 --> 00:28:40,499 うぉ~ 何だいね ここは…。 300 00:28:40,499 --> 00:28:47,272 この一橋家の朝廷やご公儀 諸藩との取り引きの手筈をするところだ。 301 00:28:47,272 --> 00:28:53,478 はあ~… なっから人がおる。 302 00:28:53,478 --> 00:28:57,149 何だい? この丸ぃのは…。 303 00:28:57,149 --> 00:28:59,985 お? おぉ…。 ハハハ…。 304 00:28:59,985 --> 00:29:01,920 (恵十郎)何をぼ~っとしておる。 305 00:29:01,920 --> 00:29:04,720 はっ! 早くしろ。 こっちだ。 306 00:29:12,164 --> 00:29:14,164 え? 307 00:29:16,668 --> 00:29:20,505 これを持っていけ。 (栄一 喜作)ははっ。 308 00:29:20,505 --> 00:29:23,542 どこに…? 書物蔵に決まっておるだろ。 309 00:29:23,542 --> 00:29:26,678 ははっ! 310 00:29:26,678 --> 00:29:29,514 違う! 書物蔵はあっちだ! 311 00:29:29,514 --> 00:29:31,483 (栄一 喜作)ははっ! 312 00:29:31,483 --> 00:29:33,485 うわっ…。 313 00:29:33,485 --> 00:29:36,685 (原 市之進)どこ見てんだ! (栄一 喜作)すみません! 314 00:29:38,323 --> 00:29:41,323 あ これはこれは。 うん。 315 00:29:47,265 --> 00:29:50,765 ここが お主らの住処だ。 316 00:29:52,637 --> 00:29:54,573 (小声で)こんな狭えとこで2人…。 317 00:29:54,573 --> 00:29:56,573 (小声で)ぶつくさ言うない。 318 00:29:59,277 --> 00:30:05,150 あの そろそろ夕時ですが 飯の支度は…。 319 00:30:05,150 --> 00:30:10,822 飯? そりゃ 釜や鍋で おのおの支度するがよい。 320 00:30:10,822 --> 00:30:13,491 おのおの? 釜や鍋? 321 00:30:13,491 --> 00:30:16,995 何だ 鍋を持っておらぬのか? 322 00:30:16,995 --> 00:30:20,031 (栄一 喜作)ははっ。 はぁ しかたあるまい。 323 00:30:20,031 --> 00:30:23,668 今日は貸してやろう。 明日にでも買ってくるがよい。 324 00:30:23,668 --> 00:30:27,505 あ それがその…➡ 325 00:30:27,505 --> 00:30:32,310 買う金がございませぬ。 何? 326 00:30:32,310 --> 00:30:36,181 ここに来るまでにおった 宿の代金を払いましたら➡ 327 00:30:36,181 --> 00:30:40,051 蓄えが尽き果てて すっからかんになってしまいました…。 328 00:30:40,051 --> 00:30:43,688 なんてこった。 お主ら そんな体たらくのくせに➡ 329 00:30:43,688 --> 00:30:47,525 殿にあんな口をたたいていたとは あきれ果てる。 330 00:30:47,525 --> 00:30:49,861 今すぐ買ってくるがよい。 331 00:30:49,861 --> 00:30:55,333 わしとて子が多く 決して楽ではないのだ。 332 00:30:55,333 --> 00:30:58,033 ふん。 あっ…。 333 00:31:00,205 --> 00:31:05,543 あ~… いつか必ず返せよ。 334 00:31:05,543 --> 00:31:08,043 ははっ 必ず! 335 00:31:09,714 --> 00:31:15,220 2人は借りたお金で 鍋や 朝夕の食事を買い出し…➡ 336 00:31:15,220 --> 00:31:20,091 初めて自分たちで ごはんを炊きました。 337 00:31:20,091 --> 00:31:22,894 よ~! 338 00:31:22,894 --> 00:31:25,797 何だい これ。 339 00:31:25,797 --> 00:31:30,568 粥みてぇじゃねぇか。 かぁ~ せっかくの飯が…。 340 00:31:30,568 --> 00:31:34,005 おい おめぇのせいだぞ! おめぇが 水入れ過ぎたんだい。 341 00:31:34,005 --> 00:31:37,876 あ そういや この辺に 食えそうな草があったような…。 342 00:31:37,876 --> 00:31:41,179 (伊之吉)お主ら さっきから うるさいぞ。 343 00:31:41,179 --> 00:31:44,849 (栄一 喜作)すみません! どうすんだい これ…。 344 00:31:44,849 --> 00:31:48,186 あ ちなみに その草はまずいぞ。 ああ…。 345 00:31:48,186 --> 00:31:50,121 あ それうまい。 あ! セリ! 346 00:31:50,121 --> 00:31:52,057 セリ? 入れちまえ! 347 00:31:52,057 --> 00:31:55,860 また 布団を借りるのにもお金がかかり…。 348 00:31:55,860 --> 00:32:00,532 あ~ おめぇ引っ張んなよ。 ああ…。 349 00:32:00,532 --> 00:32:04,402 あぁ 腹減った。 350 00:32:04,402 --> 00:32:07,902 かっさまの飯が恋しいのう~。 351 00:32:12,877 --> 00:32:17,749 そのころ 京へ向かう途中 人を斬ってしまった長七郎は➡ 352 00:32:17,749 --> 00:32:22,354 捕らえられ 牢に入れられていました。 353 00:32:22,354 --> 00:32:25,256 (尾高惇忠)何度も番人に掛け合ったが…➡ 354 00:32:25,256 --> 00:32:31,062 話どころか 長七郎の顔を見ることすら かないませんでした。 355 00:32:31,062 --> 00:32:33,031 (渋沢市郎右衛門)そうか…。 356 00:32:33,031 --> 00:32:37,869 (渋沢ゑい) それで 栄一たちから何か便りは…。 357 00:32:37,869 --> 00:32:40,369 いえ それもまだ…。 358 00:32:46,511 --> 00:32:51,016 はぁ寒かったんべぇ。 食べていぎな。 359 00:32:51,016 --> 00:32:53,316 はい…。 360 00:33:03,028 --> 00:33:05,930 (久光)今ん公方様ではもういかん。 361 00:33:05,930 --> 00:33:10,535 こん際は 我らと共に➡ 362 00:33:10,535 --> 00:33:15,874 一橋様にも 憤発してもらわねばないもはん。 363 00:33:15,874 --> 00:33:21,674 私に憤発し… また将軍になれとでも申されるのか。 364 00:33:25,884 --> 00:33:30,755 ん~にゃ。 こい以上は申しもはん。 365 00:33:30,755 --> 00:33:43,168 ♬~ 366 00:33:43,168 --> 00:33:46,671 薩摩は 天皇の信頼の厚い➡ 367 00:33:46,671 --> 00:33:49,307 中川宮に取り入ることで➡ 368 00:33:49,307 --> 00:33:54,512 朝廷への影響力を 強めようと画策していました。 369 00:33:54,512 --> 00:33:56,848 (大久保一蔵)新たなる世のため➡ 370 00:33:56,848 --> 00:34:00,518 どうぞよろしゅうお頼み申しゃげもす。 371 00:34:00,518 --> 00:34:04,318 (中川宮朝彦親王)はい 承知した。 372 00:34:08,393 --> 00:34:11,696 そして 薩摩の思惑どおり➡ 373 00:34:11,696 --> 00:34:18,570 参与諸侯は 天皇から 幕府の政へ参加を認められましたが➡ 374 00:34:18,570 --> 00:34:23,208 慶喜は薩摩への不信を強めていました。 375 00:34:23,208 --> 00:34:27,545 (近習)上様のおなりにござりまする。 376 00:34:27,545 --> 00:34:29,481 (春嶽)おぉ! 377 00:34:29,481 --> 00:34:32,181 こいはこいは公方様! 378 00:34:39,157 --> 00:34:42,494 この度はまことに頼もしく思う。 379 00:34:42,494 --> 00:34:44,829 これからもよろしく頼む。 380 00:34:44,829 --> 00:34:47,329 (参与たち)ははっ。 381 00:35:25,470 --> 00:35:28,406 (小声で)何をなさっているのですか 上様。 382 00:35:28,406 --> 00:35:32,644 征夷大将軍ともあろうあなた様が 外様に酌などをされては➡ 383 00:35:32,644 --> 00:35:34,979 徳川の威信に関わりますぞ。 384 00:35:34,979 --> 00:35:40,485 (小声で)朝廷より 参与諸侯を入れて 国事を話し合えと促されたのです。 385 00:35:40,485 --> 00:35:42,685 しかたがあるまい。 386 00:35:50,662 --> 00:35:54,299 (宗城) 我らを手なずける御主意とはいえ…。 387 00:35:54,299 --> 00:36:01,172 (山内容堂)ハハハハ… 葵の御威光も失われたけのう。 388 00:36:01,172 --> 00:36:05,677 (久光)おぉ ほうじゃ 一橋様。 389 00:36:05,677 --> 00:36:13,551 先日 ご公儀が 横浜ん港を閉める覚悟を 明言しておらんと➡ 390 00:36:13,551 --> 00:36:18,022 朝廷が疑うておった という話でございもすが➡ 391 00:36:18,022 --> 00:36:26,531 中川宮様に聞いた話では そん疑いは もう撤回するとのことでございもした。 392 00:36:26,531 --> 00:36:29,867 それは…。 朝廷は もはや➡ 393 00:36:29,867 --> 00:36:35,974 「必ずや港を閉じよ」とは 思し召しておられぬということですな。 394 00:36:35,974 --> 00:36:42,747 (宗城)ほっほう。 ようやく 攘夷は無謀と分かっていただけたか。 395 00:36:42,747 --> 00:36:45,547 (容堂)安堵しましたき。 396 00:36:48,987 --> 00:36:51,823 島津殿…。 (久光)はい。 397 00:36:51,823 --> 00:36:56,294 そうおっしゃったのは 中川宮様で間違いございませぬな? 398 00:36:56,294 --> 00:36:58,663 はぁ? 399 00:36:58,663 --> 00:37:01,566 どのような朝議により 突然 そのようなことを言いだしたのか➡ 400 00:37:01,566 --> 00:37:04,002 了解しかねる。 401 00:37:04,002 --> 00:37:06,504 じかに話を聞いてまいります。 402 00:37:06,504 --> 00:37:08,504 お待ちくだされ! 403 00:37:10,675 --> 00:37:15,546 ですから… そのようなことは覚えがございません。 404 00:37:15,546 --> 00:37:19,384 では 島津殿が うそを言ったと申されるのか? 405 00:37:19,384 --> 00:37:26,524 い… いや 確かに 薩摩の方とはしゃべったが➡ 406 00:37:26,524 --> 00:37:33,331 そのような偽りを申したかどうかは 覚えておらず…。 407 00:37:33,331 --> 00:37:35,967 何をブツブツと。 408 00:37:35,967 --> 00:37:38,002 宮様一人が欺かれれば➡ 409 00:37:38,002 --> 00:37:41,802 このように大事に至るということは 覚えておいていただきたい。 410 00:37:46,611 --> 00:37:49,480 今や薩摩の奸計は天下も知るところ。 411 00:37:49,480 --> 00:37:55,286 お返事によっては御一命を頂戴し 私自身も腹を切る覚悟で参りました。 412 00:37:55,286 --> 00:38:00,124 朝廷の意見が薩摩の工作ごときで こうも ころころと変化し➡ 413 00:38:00,124 --> 00:38:06,030 人を欺くのであれば もう誰が朝廷の言うことなど聞くものか。 414 00:38:06,030 --> 00:38:09,867 公儀は 横浜の鎖港を断固やる。 415 00:38:09,867 --> 00:38:11,869 港は断固閉じる。 416 00:38:11,869 --> 00:38:14,706 あ… はぁ それは…。 417 00:38:14,706 --> 00:38:17,508 一橋様 なんという暴論を…。 418 00:38:17,508 --> 00:38:21,379 暴論ついでに 宮様に いまひとつ 暴論を申し上げましょう。 419 00:38:21,379 --> 00:38:25,249 ここにおります3名は 天下の大愚物。 420 00:38:25,249 --> 00:38:28,049 天下の大悪党にてございます! 421 00:38:31,456 --> 00:38:36,260 宮様はなぜ このような者を信用されるのか…。 422 00:38:36,260 --> 00:38:41,966 あぁ 島津殿に 台所を任せておられるからか? 423 00:38:41,966 --> 00:38:45,803 ならば明日からは 私がお世話いたしますゆえ➡ 424 00:38:45,803 --> 00:38:48,272 私にお味方いただきたい。 425 00:38:48,272 --> 00:38:52,143 (春嶽)一橋様 酔っておられるのか? 426 00:38:52,143 --> 00:38:56,647 天下の後見職が 大愚物同様に見られては困る。 427 00:38:56,647 --> 00:39:00,518 私の申し上げたことが 心得違いと申されるなら➡ 428 00:39:00,518 --> 00:39:02,987 明日からは参内いたしませぬ。 429 00:39:02,987 --> 00:39:05,289 もし心得違いでないならば➡ 430 00:39:05,289 --> 00:39:09,994 先ほど言った横浜の儀を 是非 天子様に斡旋していただきたい。 431 00:39:09,994 --> 00:39:11,994 では。 432 00:39:21,005 --> 00:39:23,908 くそが! 433 00:39:23,908 --> 00:39:28,408 誰が将軍後見職にしてやったと 思うちょっとか! 434 00:39:41,259 --> 00:39:45,797 フッ… ハハハハ ハハハハハ…。 435 00:39:45,797 --> 00:39:48,597 ハハハハハハハ…。 436 00:39:55,139 --> 00:39:59,143 天下の志士が集まれば この一橋が生き生きするに違いねぇ。 437 00:39:59,143 --> 00:40:01,813 やむをえねぇ。 やっちまいましょう! 438 00:40:01,813 --> 00:40:04,849 そうだい これだ! その時こそ➡ 439 00:40:04,849 --> 00:40:08,152 この一橋が天下を治めるのです! 440 00:40:08,152 --> 00:40:12,824 ハハハハハハハ…。 441 00:40:12,824 --> 00:40:16,294 (円四郎)ハハハハハハハ…。 442 00:40:16,294 --> 00:40:19,994 とうとう やっちまいましたな。 443 00:40:23,000 --> 00:40:26,304 一橋様。 444 00:40:26,304 --> 00:40:28,840 あなたはなんという剛情公だ! 445 00:40:28,840 --> 00:40:33,177 鼻高殿 私はようやく決心がつきましたぞ。 446 00:40:33,177 --> 00:40:39,477 私はあくまで徳川を 公方様をお守りします。 447 00:40:41,319 --> 00:40:45,857 二百余年もの間 日本を守った徳川に➡ 448 00:40:45,857 --> 00:40:49,327 政権の返上など決してさせませぬ。 449 00:40:49,327 --> 00:41:01,072 ♬~ 450 00:41:01,072 --> 00:41:03,541 今宵は痛快の至り! 451 00:41:03,541 --> 00:41:06,210 とうとう薩摩に一泡吹かせてやった。 452 00:41:06,210 --> 00:41:09,881 さぁ 皆の者 無礼講だ。 453 00:41:09,881 --> 00:41:12,717 今宵は大いに飲むがよい。 454 00:41:12,717 --> 00:41:14,652 (歓声) 455 00:41:14,652 --> 00:41:17,588 ありがとうございます。 ありがとうございます。 456 00:41:17,588 --> 00:41:22,226 (泣き声) 457 00:41:22,226 --> 00:41:25,229 おう どうした? 市之進殿。 458 00:41:25,229 --> 00:41:31,229 はぁ 烈公の魂が乗り移られたかと…。 459 00:41:34,505 --> 00:41:36,505 はい。 460 00:41:42,179 --> 00:41:44,115 快なり! 461 00:41:44,115 --> 00:41:47,318 (家来たち)おお~! 462 00:41:47,318 --> 00:41:49,253 (徳川斉昭)快なり 快なり! 463 00:41:49,253 --> 00:41:54,091 快なり! (家来たち)おお~! 464 00:41:54,091 --> 00:42:05,703 ♬~ 465 00:42:05,703 --> 00:42:08,039 (戸が開く音) おい 起きろ。 466 00:42:08,039 --> 00:42:11,075 え? ははっ! 467 00:42:11,075 --> 00:42:17,048 殿より 家臣皆に酒を振る舞えとの命だ。 468 00:42:17,048 --> 00:42:18,983 飲め。 469 00:42:18,983 --> 00:42:21,283 ありがとうございます! 470 00:42:27,058 --> 00:42:30,094 この日をきっかけに➡ 471 00:42:30,094 --> 00:42:35,166 参与たちによる会議は 消滅することとなり…➡ 472 00:42:35,166 --> 00:42:40,666 京での政治主導権は 幕府の手に戻りました。 473 00:42:45,309 --> 00:42:48,212 おお~…。 あぁ~ ハハハハ。 474 00:42:48,212 --> 00:42:51,115 (2人)うんめえ! 475 00:42:51,115 --> 00:42:54,685 何だい これ。 あ~。 476 00:42:54,685 --> 00:42:59,485 一橋家の酒か。 くぅ~ ハハハハハ…。 477 00:43:01,192 --> 00:43:03,527 隠密だ。 隠密!? 478 00:43:03,527 --> 00:43:05,563 渋沢篤太夫と申します。 篤太夫…。 479 00:43:05,563 --> 00:43:07,698 篤太夫。 篤太夫? 480 00:43:07,698 --> 00:43:10,334 薩摩の西郷…。 薩摩から引き抜きたい。 481 00:43:10,334 --> 00:43:14,205 2人を二度とこの村に入れるなと…。 長七郎! 482 00:43:14,205 --> 00:43:18,042 つまり この日の本に もう一つの政府が出来ると同じ。 483 00:43:18,042 --> 00:43:19,977 何としても止めねばならぬ。 484 00:43:19,977 --> 00:43:23,848 一橋が! 薩摩が治めっとじゃいけもはんか? 485 00:43:23,848 --> 00:43:27,848 薩摩の今のお殿様には その徳は おありですか? 486 00:43:33,991 --> 00:43:38,496 京都市の中心部に位置する京都御苑。 487 00:43:38,496 --> 00:43:44,696 明治時代に公園として整備され 市民に開放されました。 488 00:43:46,671 --> 00:43:50,307 およそ100ヘクタールの広大な敷地には➡ 489 00:43:50,307 --> 00:43:52,243 かつて 御所を中心に➡ 490 00:43:52,243 --> 00:43:55,179 140を超える 宮家や公家の邸宅が➡ 491 00:43:55,179 --> 00:43:58,379 立ち並んでいました。 492 00:44:02,319 --> 00:44:08,619 屋敷の跡や庭園の遺構が 当時の姿をしのばせています。 493 00:44:13,330 --> 00:44:16,701 関白を輩出した名家 近衞家は➡ 494 00:44:16,701 --> 00:44:22,206 薩摩藩と深いつながりを 持った公家の一つです。 495 00:44:22,206 --> 00:44:27,344 さまざまな思惑が巡る朝廷の中で 実権を握るため➡ 496 00:44:27,344 --> 00:44:32,650 公家たちは 大名家とのつながりを大切にしました。 497 00:44:32,650 --> 00:44:39,824 中川宮の屋敷も 御苑内にあったといいます。 498 00:44:39,824 --> 00:44:42,293 参与会議の解体により➡ 499 00:44:42,293 --> 00:44:49,166 慶喜と島津久光の対立は 決定的なものとなりました。 500 00:44:49,166 --> 00:44:53,304 今は市民の憩いの場である京都御苑も➡ 501 00:44:53,304 --> 00:44:57,504 歴史的事件の現場の一つだったのです。 502 00:45:36,046 --> 00:45:38,048 (お信)縁談ですか? 503 00:45:38,048 --> 00:45:40,518 麟太郎も 22歳。 504 00:45:40,518 --> 00:45:42,853 そろそろ身を固めてもよい頃です。 505 00:45:42,853 --> 00:45:44,889 もう そんな年か…。 506 00:45:44,889 --> 00:45:48,325 嫁のことなんて考えてなかったな。 ええ まだ先のことかと。 507 00:45:48,325 --> 00:45:50,261 あきれた。 508 00:45:50,261 --> 00:45:52,863 麟太郎は 勝家の跡取りですよ。 509 00:45:52,863 --> 00:45:57,034 親が嫁の心配をしなくて どうするんです!