1 00:00:33,696 --> 00:00:36,265 (武田耕雲斎)烈公の尊王攘夷のお心を➡ 2 00:00:36,265 --> 00:00:39,769 朝廷にお見せするための上洛じゃ。➡ 3 00:00:39,769 --> 00:00:45,908 京には そのお心を一番よく知る 一橋様がいらっしゃる。 4 00:00:45,908 --> 00:00:51,280 決して我らのことを 見殺しにはいたすまい。 5 00:00:51,280 --> 00:00:55,618 耕雲斎を首領とした 天狗党 1, 000人余りが➡ 6 00:00:55,618 --> 00:00:59,922 慶喜を頼り 京へと向かっていました。 7 00:00:59,922 --> 00:01:03,626 (永井尚志)一橋様 どうなされますか? 8 00:01:03,626 --> 00:01:09,132 (徳川慶喜)京を守るのが私の役目だ。➡ 9 00:01:09,132 --> 00:01:12,632 天狗どもを 京に入れるわけにはいかぬ。 10 00:01:14,637 --> 00:01:18,508 私の手で… 天狗党を討伐する。 11 00:01:18,508 --> 00:01:24,814 (原 市之進)天狗党討伐のため 兵を挙げることとなった。➡ 12 00:01:24,814 --> 00:01:29,318 篤太夫は 集めた兵を連れて黒川殿につき 出兵の支度をせよ。 13 00:01:29,318 --> 00:01:31,654 成一郎は別用がある。 来い。 14 00:01:31,654 --> 00:01:35,525 (渋沢成一郎)ははっ。 15 00:01:35,525 --> 00:01:44,767 ♬~ 16 00:01:44,767 --> 00:01:52,442 (渋沢篤太夫)俺たちが… 天狗党を討伐? 17 00:01:52,442 --> 00:01:56,612 お主は あの東湖先生のお子じゃねぇか! 18 00:01:56,612 --> 00:01:58,915 (藤田小四郎)今に見てろ。 19 00:01:58,915 --> 00:02:03,786 俺は 父をも超える大義をなしてみせる! 20 00:02:03,786 --> 00:02:07,786 おう 頼もしい! そうだ その意気だい! 21 00:02:18,134 --> 00:02:22,472 一橋慶喜と 弟 昭徳の軍勢は➡ 22 00:02:22,472 --> 00:02:27,472 天狗党討伐のために京を出発しました。 23 00:02:32,081 --> 00:02:34,781 一方…。 24 00:02:41,424 --> 00:02:50,433 慶喜の密命を受け 天狗党の陣営に たどりついた成一郎が 目にしたのは…➡ 25 00:02:50,433 --> 00:02:57,433 既に 幕府追討軍との戦いに 疲れ果てた姿でした。 26 00:03:03,012 --> 00:03:05,448 腹減ったなぁ。 27 00:03:05,448 --> 00:03:10,319 あぁ… 腹減った。 28 00:03:10,319 --> 00:03:14,457 腹減った…。 29 00:03:14,457 --> 00:03:29,005 ♬~ 30 00:03:29,005 --> 00:03:33,409 何? 一橋様よりの密書だと? 31 00:03:33,409 --> 00:03:35,444 ははっ。 32 00:03:35,444 --> 00:03:45,988 ♬~ 33 00:03:45,988 --> 00:03:47,957 これは…。 34 00:03:47,957 --> 00:03:54,430 (慶喜)「武器を手に京へ入ることは 天子様の御心に背く行いである。➡ 35 00:03:54,430 --> 00:03:59,902 上洛は諦め 三々五々国元へ落ちよ。➡ 36 00:03:59,902 --> 00:04:07,702 さもなくば追討の軍を指揮せねばならず 戦場で相まみえることとなろう」。 37 00:04:11,113 --> 00:04:13,049 なんと。 38 00:04:13,049 --> 00:04:18,854 一橋様は 烈公のご意志を踏みにじるのか! 39 00:04:18,854 --> 00:04:24,293 烈公のご子息でありながら 国を思う我らを切り捨て➡ 40 00:04:24,293 --> 00:04:27,930 身の安泰を図るとは なんという日和見の小者! 41 00:04:27,930 --> 00:04:32,730 違う! 分からぬのか。 42 00:04:34,737 --> 00:04:44,037 我らが これほどまでに 一橋様を追い詰めてしまったことを…。 43 00:04:49,218 --> 00:04:52,418 もはや これまでじゃ。 44 00:04:56,892 --> 00:07:47,563 ♬~ 45 00:07:47,563 --> 00:07:51,363 渋沢殿と申したか。 46 00:07:54,069 --> 00:07:57,940 ご苦労をおかけいたした。 47 00:07:57,940 --> 00:08:05,247 否。 ご公儀に下られるとのこと 承りました。 48 00:08:05,247 --> 00:08:13,956 主君とも等しき一橋様や昭徳様に 敵することは決して望まぬ。 49 00:08:13,956 --> 00:08:17,656 (小四郎) フッ… そんなこと どうでもいい。 50 00:08:19,595 --> 00:08:23,895 俺たちは ただ負けたんだ。 51 00:08:29,605 --> 00:08:32,374 小四郎様。 52 00:08:32,374 --> 00:08:36,712 一橋様も 原 市之進様も➡ 53 00:08:36,712 --> 00:08:43,385 ほかの国による討伐だけは 避けたいと案じておられた。 54 00:08:43,385 --> 00:08:46,722 栄一も小四郎様を…。 栄一? 55 00:08:46,722 --> 00:08:53,395 ハハハハ… ハハハッ。 あいつが言ったんだ! 56 00:08:53,395 --> 00:08:57,395 東湖の子であるこの俺が このままでよいのかと! 57 00:09:00,870 --> 00:09:03,570 くそ…。 58 00:09:11,881 --> 00:09:14,583 兵を下げる? (黒川嘉兵衛)そうだ。 59 00:09:14,583 --> 00:09:17,486 天狗党が下り この件は片づいた。 60 00:09:17,486 --> 00:09:24,293 京の情勢はいまだ不穏ゆえ 殿は急ぎ戻らねばならぬ。 61 00:09:24,293 --> 00:09:26,295 そうですか…。 62 00:09:26,295 --> 00:09:28,295 では。 63 00:09:32,368 --> 00:09:39,141 (伝蔵)あ~ぁ。 戦になれば稽古の見せどころだったにい。 64 00:09:39,141 --> 00:09:45,941 こうして 篤太夫の初陣は 戦うことなく終わりました。 65 00:09:53,389 --> 00:09:55,724 「お千代殿へ。➡ 66 00:09:55,724 --> 00:10:02,398 先頃は久しぶりに会えたが… さぞさぞ名残惜しいことと存じます。➡ 67 00:10:02,398 --> 00:10:04,898 私も同様です」。 68 00:10:08,871 --> 00:10:14,743 「私はその後も まことに丈夫で 無事にご奉公しています」。 69 00:10:14,743 --> 00:10:19,081 四条の辺りで 浪士たちの不穏な動きが あるとの知らせがありますが…。 70 00:10:19,081 --> 00:10:25,587 「また この度 小十人並という 立派な身分を仰せつけられました。➡ 71 00:10:25,587 --> 00:10:28,490 喜んでください。➡ 72 00:10:28,490 --> 00:10:32,761 近頃は一橋家のつきあい事を任され…➡ 73 00:10:32,761 --> 00:10:39,268 今夜は筑前黒田様にごちそう 明夕は加賀前田様のご招待と➡ 74 00:10:39,268 --> 00:10:43,605 毎晩のように 重役の宴会のお供をしています。➡ 75 00:10:43,605 --> 00:10:47,276 一度など 黒川様がひとり身を案じ➡ 76 00:10:47,276 --> 00:10:50,312 『女を一人取り持ってやる』と 言われましたが…」。 77 00:10:50,312 --> 00:10:55,451 女など結構! 某には 国に大事な妻がおります! 78 00:10:55,451 --> 00:10:58,921 おぉ! これは失礼した。 79 00:10:58,921 --> 00:11:01,790 「私が えらく立腹しましたもので➡ 80 00:11:01,790 --> 00:11:05,627 『存外に真面目である』と 感心されました」。 81 00:11:05,627 --> 00:11:07,930 もう あっちばっかり。 82 00:11:07,930 --> 00:11:11,133 ハハハ… いやいや いやいや。 83 00:11:11,133 --> 00:11:15,637 「ただ… 着物も多く入り用になり➡ 84 00:11:15,637 --> 00:11:19,508 足袋や下帯などもすぐに汚れてしまい 本当に困っております」。 85 00:11:19,508 --> 00:11:22,144 よし… あぁ! 86 00:11:22,144 --> 00:11:25,814 いっ… いってぇ~。 87 00:11:25,814 --> 00:11:30,652 「そういうわけで 衣類一つ 織紺3反を送ります。➡ 88 00:11:30,652 --> 00:11:34,623 できれば足袋に仕立て 10足ほどお送りください」。 89 00:11:34,623 --> 00:11:37,426 (渋沢てい)はい ねえさま。 (渋沢千代)あぁ ありがとう。 90 00:11:37,426 --> 00:11:39,895 (渋沢ゑい) 綿入れも 送った方がいいだんべねぇ。 91 00:11:39,895 --> 00:11:43,265 (渋沢よし)はい。 あと 干し芋と草鞋も。 92 00:11:43,265 --> 00:11:46,965 うちの人は使い方が荒っぺぇから すぐに傷んじまうんで。 93 00:11:50,139 --> 00:11:53,776 「うたは大切にしてください。➡ 94 00:11:53,776 --> 00:11:58,447 何か 気をもむことがあったら 尾高の兄さんに相談してください」。 95 00:11:58,447 --> 00:12:00,482 (尾高惇忠) お勇は糸繰りがうまくなったなぁ。 96 00:12:00,482 --> 00:12:02,618 (尾高きせ)そうなんです。 97 00:12:02,618 --> 00:12:06,455 お勇 これ 千代さんがお前にって。 ありがとうね。 98 00:12:06,455 --> 00:12:09,358 (尾高 勇)ありがとう。 フフフ… いいえ。 99 00:12:09,358 --> 00:12:12,327 私の古いのを仕立て直しただけだに。 100 00:12:12,327 --> 00:12:14,329 ≪(尾高平九郎)え~い! 101 00:12:14,329 --> 00:12:18,529 (平九郎)えい! えい! 102 00:12:21,804 --> 00:12:25,674 「とにかく ままならぬことばかりですが➡ 103 00:12:25,674 --> 00:12:28,477 いずれ 必ずこちらに呼びます。➡ 104 00:12:28,477 --> 00:12:34,583 どうか それを楽しみに 暮らしてくださるよう頼み入ります。➡ 105 00:12:34,583 --> 00:12:40,783 まずは あらあら めでたくかしく。 篤太夫」。 106 00:12:45,294 --> 00:12:49,898 天狗党の反乱は いわば水戸の身内の戦い。 107 00:12:49,898 --> 00:12:54,436 武田耕雲斎らは できれば こちらで引き受けたい。 108 00:12:54,436 --> 00:13:01,610 (田沼意尊)天下の公論もございますゆえ それは できかねまする。 109 00:13:01,610 --> 00:13:08,117 こちらで引き取り 公儀にて 公平な処置をいたしますゆえ➡ 110 00:13:08,117 --> 00:13:11,917 どうかお任せいただきたい。 111 00:13:14,289 --> 00:13:18,927 そうか。 公平な処置であるというならば 不服はない。 112 00:13:18,927 --> 00:13:23,765 ははっ 承知いたしました。 113 00:13:23,765 --> 00:13:27,636 フン… 一橋め。 114 00:13:27,636 --> 00:13:30,939 200年以上 戦をしてこなかったご公儀が➡ 115 00:13:30,939 --> 00:13:35,739 この水戸の騒乱で どれほど迷惑を被ったことか…。 116 00:13:38,247 --> 00:13:41,083 天狗どもを敦賀のニシン蔵に監禁せよ。 117 00:13:41,083 --> 00:13:46,955 取り調べと裁きは… この私がやる。 118 00:13:46,955 --> 00:13:48,957 (家臣)はっ。 119 00:13:48,957 --> 00:13:56,457 天狗党征討総督の田沼により 慶喜の願いは ことごとく無視され…。 120 00:13:58,267 --> 00:14:00,302 耕雲斎が…。 121 00:14:00,302 --> 00:14:03,772 (市之進)ははっ。 耕雲斎様のみならず➡ 122 00:14:03,772 --> 00:14:06,108 小四郎ら幹部から下々の志士に至るまで➡ 123 00:14:06,108 --> 00:14:08,908 352人が首を斬られました。 124 00:14:11,980 --> 00:14:15,280 烈公…。 125 00:14:17,119 --> 00:14:20,622 今 おそばに…。 126 00:14:20,622 --> 00:14:35,571 ♬~ 127 00:14:35,571 --> 00:14:41,743 敦賀で獄につながれていた 天狗党の面々が➡ 128 00:14:41,743 --> 00:14:44,746 首をはねられた。 129 00:14:44,746 --> 00:14:49,084 何だと。 武田様や小四郎様の首は➡ 130 00:14:49,084 --> 00:14:51,887 塩漬けにして水戸で晒された。 131 00:14:51,887 --> 00:14:55,424 なぜだ? 132 00:14:55,424 --> 00:14:58,760 なぜ そんなむごいことになった? 戦は終わったでねえか! 133 00:14:58,760 --> 00:15:00,960 幕府に侮られたんだ! 134 00:15:08,103 --> 00:15:13,275 一橋家は今 満足な兵もいねぇ。 135 00:15:13,275 --> 00:15:18,447 しかし天狗党を生かしておけば いずれ殿がそれを取り込み➡ 136 00:15:18,447 --> 00:15:23,747 幕府を潰す火種になると考え 皆殺しにしたんだ。 137 00:15:29,625 --> 00:15:35,925 そんなことのために 国を思う者を無駄死にさせるとは…。 138 00:15:40,569 --> 00:15:44,569 いや… いや。 139 00:15:48,310 --> 00:15:51,010 俺のせいだ。 140 00:15:55,117 --> 00:16:01,590 俺は 小四郎様をたきつけたんだ。 141 00:16:01,590 --> 00:16:06,261 東湖先生の息子のおめえが なぜ立ち上がらねぇんだと…。 142 00:16:06,261 --> 00:16:08,461 うぬぼれるんでねぇ! 143 00:16:10,899 --> 00:16:15,199 おめえなんかが言わずとも 水戸は立ち上がった! 144 00:16:19,107 --> 00:16:21,777 俺は見たんだい。 145 00:16:21,777 --> 00:16:26,615 あの誇り高きはずの水戸の兵が 飢えてやせ細り➡ 146 00:16:26,615 --> 00:16:29,415 寒さにガタガタと震えておった。 147 00:16:31,853 --> 00:16:36,725 あれが…➡ 148 00:16:36,725 --> 00:16:41,225 俺たちの信じた攘夷の成れの果てだ。 149 00:16:45,400 --> 00:16:53,600 俺は はあ 攘夷などどうでもいい。 150 00:16:56,411 --> 00:17:02,211 この先は殿を… 一橋を守るために生きる。 151 00:17:06,888 --> 00:17:08,888 おめえはどうする? 152 00:17:37,219 --> 00:17:40,255 戦は終わったでねえか! 幕府に侮られたんだ! 153 00:17:40,255 --> 00:17:44,755 一橋家は今 満足な兵もいねぇ。 154 00:17:47,229 --> 00:17:52,868 (平岡円四郎)優秀な家臣や兵を 増やさねばとは常々思っている。 155 00:17:52,868 --> 00:17:56,068 しかし… 金がねぇ。 156 00:18:05,747 --> 00:18:10,419 こんばんは。 徳川家康です。 157 00:18:10,419 --> 00:18:17,759 こうして日本中の若者に 大きな影響を及ぼした尊王攘夷は➡ 158 00:18:17,759 --> 00:18:22,097 多大な犠牲を払って終わりました。 159 00:18:22,097 --> 00:18:25,133 驚いたのは そのあとだ。 160 00:18:25,133 --> 00:18:30,806 少し前まで「外国人を殺せ」と言っていた 外様の武士らが➡ 161 00:18:30,806 --> 00:18:34,709 一気に 外国に頼り始めた。 162 00:18:34,709 --> 00:18:43,218 長州はイギリスにすり寄り 薩摩の留学生もイギリスへと旅立った。 163 00:18:43,218 --> 00:18:47,055 何という変わり身だ! 164 00:18:47,055 --> 00:18:51,393 今や 彼らの敵は外国ではない。 165 00:18:51,393 --> 00:18:54,296 徳川です。 166 00:18:54,296 --> 00:18:59,067 こんな はめになるとは…。 167 00:18:59,067 --> 00:19:08,567 しかし 我が徳川も このままでは済ませませんぞ。 168 00:19:10,412 --> 00:19:12,447 (徳川家茂)これが造船所か。 169 00:19:12,447 --> 00:19:17,586 (小栗忠順) ははっ。 ただいま フランスの公使と➡ 170 00:19:17,586 --> 00:19:23,758 造船所 製鉄所を作るべく 横須賀の実地検分を行っております。 171 00:19:23,758 --> 00:19:30,098 また 上様がお望みであれば 本国より陸軍教師を招き➡ 172 00:19:30,098 --> 00:19:35,370 公儀の軍勢を西洋のごとく 強き軍勢に変革することに➡ 173 00:19:35,370 --> 00:19:37,706 力を貸したいと申しております。 174 00:19:37,706 --> 00:19:41,576 (家茂)是非とも頼みたい。 175 00:19:41,576 --> 00:19:44,479 しかし金が…。 176 00:19:44,479 --> 00:19:48,416 軍備のみならず 薩摩や長州の賠償金までが➡ 177 00:19:48,416 --> 00:19:50,418 公儀の懐を苦しめております…。 178 00:19:50,418 --> 00:19:55,123 某は勘定奉行でございます。 179 00:19:55,123 --> 00:19:58,994 既に 公儀の懐を富ませるため➡ 180 00:19:58,994 --> 00:20:03,694 フランスと コンパニー設立の策を練っております。 181 00:20:05,400 --> 00:20:07,736 コンパニー? 182 00:20:07,736 --> 00:20:14,075 250年余り 代々 ご公儀のご恩を 蒙ってきた某には➡ 183 00:20:14,075 --> 00:20:21,816 その恩も忘れ暴れ回る長州や薩摩 また 京の朝廷が許せませぬ。 184 00:20:21,816 --> 00:20:28,256 その者どもの動き 封じてしまいましょう。 185 00:20:28,256 --> 00:20:36,431 小栗は軍事だけでなく 財政や経済こそが 重要だと いち早く気付き➡ 186 00:20:36,431 --> 00:20:39,931 幕府に提言しました。 187 00:20:43,305 --> 00:20:46,441 そして ここにも…。 188 00:20:46,441 --> 00:20:48,376 提言とは何だ? 189 00:20:48,376 --> 00:20:53,615 ははっ。 先日 関東より兵を連れ戻りましたが➡ 190 00:20:53,615 --> 00:20:57,118 平岡様のお望みだった 殿に 十分なお役目を➡ 191 00:20:57,118 --> 00:21:03,118 果たしていただくための数には まだ到底満たぬと思われます。 192 00:21:05,460 --> 00:21:09,297 新たな歩兵の組み立てと その兵を集める御用を➡ 193 00:21:09,297 --> 00:21:14,097 何とぞ 某に 仰せつけいただけませぬでしょうか。 194 00:21:15,937 --> 00:21:19,140 お主に? 195 00:21:19,140 --> 00:21:26,881 某は 平岡様に拾っていただき 百姓から今日の身柄となりました。 196 00:21:26,881 --> 00:21:29,784 西のご領地8万石を丁寧に回れば➡ 197 00:21:29,784 --> 00:21:34,089 きっと某のように 天下の役に立ちてぇと思う百姓が➡ 198 00:21:34,089 --> 00:21:37,759 まだ100人 いや 200 300はおりましょう。 199 00:21:37,759 --> 00:21:45,259 ならば 薩摩やご公儀にも侮られぬ 歩兵隊を お作りいたしたいのです。 200 00:21:49,771 --> 00:21:52,774 分かった。➡ 201 00:21:52,774 --> 00:21:58,074 そなたを 軍制御用掛 歩兵取立御用掛に任命する。 202 00:22:03,284 --> 00:22:05,787 すげぇ。 203 00:22:05,787 --> 00:22:11,292 あにきには… 似合わねぇな。 あ? 204 00:22:11,292 --> 00:22:18,092 篤太夫は まず 備中にある一橋領へと向かいました。 205 00:22:19,801 --> 00:22:26,574 先年来 政は京に移り その京の警護を 我が一橋のお家が任されておる。 206 00:22:26,574 --> 00:22:30,311 よって一橋家でも 兵備充実のため➡ 207 00:22:30,311 --> 00:22:33,581 歩兵組み立てを決定した。 208 00:22:33,581 --> 00:22:39,254 ご領内村々の次男三男にて 志あるものを速やかに召し連れてほしい。 209 00:22:39,254 --> 00:22:42,290 (稲垣練造)ははっ。 しからば この庄屋どもに➡ 210 00:22:42,290 --> 00:22:46,428 村々の子弟を呼び出すよう 申しつけまする。 211 00:22:46,428 --> 00:22:48,363 ちゃんとやるんど。 212 00:22:48,363 --> 00:22:50,363 (庄左衛門)は ははっ。 213 00:22:55,770 --> 00:23:00,642 もはやこの日の本に 武士と百姓の別はない! 214 00:23:00,642 --> 00:23:05,942 民も一丸となり国のために尽くす 千載一遇の好機である。 215 00:23:10,618 --> 00:23:15,457 お役目や俸禄などについても 遠慮なく尋ねられよ。 216 00:23:15,457 --> 00:23:18,293 ん? 尋ねられよ。 217 00:23:18,293 --> 00:23:20,628 何を聞いたっていいんだ。 218 00:23:20,628 --> 00:23:23,531 ちなみに俸禄は あまりよろしくはない。 219 00:23:23,531 --> 00:23:28,369 既にこの世は 波風立たぬ泰平無事ではない! 220 00:23:28,369 --> 00:23:32,574 ひとたび戦が始まれば 「俺は百姓だから関わりねぇ」などと➡ 221 00:23:32,574 --> 00:23:34,509 安閑とはしておられぬぞ! 222 00:23:34,509 --> 00:23:37,445 器量次第で立身出世ができるんだ! 223 00:23:37,445 --> 00:23:40,749 ここは一番奮起しようとは思わねぇのか! 224 00:23:40,749 --> 00:23:43,752 おい 何か申せ! 225 00:23:43,752 --> 00:23:45,887 何か申せ! 226 00:23:45,887 --> 00:23:50,759 おい… おい どこへ行く? 待て! 227 00:23:50,759 --> 00:23:57,098 篤太夫は 日々 村人を呼び出し 熱心に演説をしましたが➡ 228 00:23:57,098 --> 00:24:02,437 希望する者は一人も現れませんでした。 229 00:24:02,437 --> 00:24:06,107 なぜだ! なぜ一人も出てこぬ? 230 00:24:06,107 --> 00:24:09,911 拙者の一橋家家臣としての威厳が 足りぬと申すか! 231 00:24:09,911 --> 00:24:14,783 ああ こんな大事な御用を 任せていただいたというのに…➡ 232 00:24:14,783 --> 00:24:17,452 もう時がねぇ! 233 00:24:17,452 --> 00:24:22,624 時がねぇ? 嵐の前の藍葉の刈り取りみてぇにか? 234 00:24:22,624 --> 00:24:26,294 違わい。 俺が今 背負ってんのは一橋のお家だぞ。 235 00:24:26,294 --> 00:24:29,631 日の本の行く末だい! 236 00:24:29,631 --> 00:24:32,600 とはいえ あん時も まっさか焦ったのう。 237 00:24:32,600 --> 00:24:35,436 もう風が吹き始めて 時がねぇって時に限って➡ 238 00:24:35,436 --> 00:24:40,241 お代官様に入り用だと呼び出され…。 239 00:24:40,241 --> 00:24:44,241 あ はぁ…。 240 00:24:46,581 --> 00:24:49,484 まあ そりゃそうか。 241 00:24:49,484 --> 00:24:54,284 この地の百姓だって 暮らしがあるんだいなあ。 242 00:24:56,758 --> 00:24:59,093 (伝蔵)そりゃそうだいねぇ。 243 00:24:59,093 --> 00:25:02,897 あにき一人が大変なんではねぇで。 244 00:25:02,897 --> 00:25:06,601 みぃんなが大変なんだでぇ。 245 00:25:06,601 --> 00:25:09,270 かっさまみてぇな口ぶりすんな。 246 00:25:09,270 --> 00:25:11,606 何だ おめえ。 247 00:25:11,606 --> 00:25:17,906 まあ しかし… おめえの言うとおりだ。 248 00:25:20,615 --> 00:25:26,615 うむ… ゆっくりいぐべ。 249 00:25:29,791 --> 00:25:35,230 そのころ 横浜に イギリスの新しい公使➡ 250 00:25:35,230 --> 00:25:38,430 ハリー・パークスが来日しました。 251 00:26:07,762 --> 00:26:10,765 (阿部)長州が エゲレスに近づいている? 252 00:26:10,765 --> 00:26:16,271 (柴田剛中)ははっ。 下関にて怪しい動きをしておると。 253 00:26:16,271 --> 00:26:22,971 今まで さんざん攘夷と言っていた長州が なぜ自ら異国に近づくのだ? 254 00:26:25,780 --> 00:26:27,715 まさか…。 255 00:26:27,715 --> 00:26:32,854 ははっ。 公儀に盾つく企てでございましょう。 256 00:26:32,854 --> 00:26:39,354 こうなれば 完膚なきまで打ち潰すしかありますまい。 257 00:26:41,596 --> 00:26:48,296 幕府は 2度目の長州征伐へと 向かうこととなりました。 258 00:26:50,872 --> 00:26:54,172 (和宮)またも西に行かはるとは…。 259 00:26:55,743 --> 00:27:00,415 おそばにおられず申し訳ない。 260 00:27:00,415 --> 00:27:09,090 私は武家の棟梁でありながら 何かと争うよりも➡ 261 00:27:09,090 --> 00:27:14,390 あなた様と ずっとこうしておりたいと 心の奥で願ってしまう。 262 00:27:17,432 --> 00:27:21,632 どうか どうかご無事で。 263 00:27:24,605 --> 00:27:26,605 はい。 264 00:27:31,713 --> 00:27:36,050 土産は何がよろしいか。 265 00:27:36,050 --> 00:27:42,824 ほな… 西陣織をお願いします。 266 00:27:42,824 --> 00:27:49,824 上様に それをまとった妾を 見ていただきたいんどす。 267 00:27:51,599 --> 00:27:54,869 承知した。➡ 268 00:27:54,869 --> 00:27:59,741 きっと あなた様に似合うものを 選んでまいりましょう。 269 00:27:59,741 --> 00:28:03,611 ♬~ 270 00:28:03,611 --> 00:28:23,431 ♬~ 271 00:28:23,431 --> 00:28:30,104 (天璋院) まぁ なんと立派なお姿でございますこと。 272 00:28:30,104 --> 00:28:34,104 先の上様にもお見せしたかった。 273 00:28:36,711 --> 00:28:41,382 お体だけは どうかお気を付けくだされ。 274 00:28:41,382 --> 00:28:44,719 ははっ。 275 00:28:44,719 --> 00:28:47,622 ただ 天璋院様。 276 00:28:47,622 --> 00:28:53,861 もし この征討で 私に万が一のことがあらば…。 277 00:28:53,861 --> 00:29:04,505 ♬~ 278 00:29:04,505 --> 00:29:06,505 え? 279 00:29:10,445 --> 00:29:14,082 (阪谷朗廬)「即ち是此れなり➡ 280 00:29:14,082 --> 00:29:17,952 学と者(は)此れを学ぶのみ」。 281 00:29:17,952 --> 00:29:20,955 (塾生たち)「即ち是此れなり➡ 282 00:29:20,955 --> 00:29:23,758 学と者(は)此れを学ぶのみ」。 283 00:29:23,758 --> 00:29:30,264 (朗廬)「而してその以て之を学ぶ所の序。 また五有り」。 284 00:29:30,264 --> 00:29:34,702 (塾生たち) 「而してその以て之を学ぶ所の序…」。 285 00:29:34,702 --> 00:29:40,374 このような小さな塾に 一橋家ご家臣様がいらっしゃるとは➡ 286 00:29:40,374 --> 00:29:42,310 まことに恐懼の至り。 287 00:29:42,310 --> 00:29:48,049 いえ。 拙者も もとは武州の百姓です。 288 00:29:48,049 --> 00:29:49,984 (塾生たち)え? 289 00:29:49,984 --> 00:29:52,854 ほう 武州でございますか。 290 00:29:52,854 --> 00:29:59,560 はい。 かつては ここよりずっと狭い いとこの塾にて 漢学を学んでおりました。 291 00:29:59,560 --> 00:30:04,065 そこで 論語に朱子学 また水戸の攘夷の心を学び…。 292 00:30:04,065 --> 00:30:06,968 攘夷? 293 00:30:06,968 --> 00:30:09,871 それは異なこと。 294 00:30:09,871 --> 00:30:15,409 一橋のご家臣でありながら攘夷を語るとは 感心できませぬな。 295 00:30:15,409 --> 00:30:19,580 拙者の塾のみならず 江戸や京の名だたる漢学者は➡ 296 00:30:19,580 --> 00:30:22,083 皆 攘夷鎖港論でありましたぞ。 297 00:30:22,083 --> 00:30:25,953 私は 港は開くべきと教えています。 298 00:30:25,953 --> 00:30:29,590 ん? 貴公は➡ 299 00:30:29,590 --> 00:30:33,261 寛永の昔の浜田弥兵衛を ご存じありませぬか。 300 00:30:33,261 --> 00:30:36,297 弥兵衛? 301 00:30:36,297 --> 00:30:39,767 おぉ タイオワンで貿易をした弥兵衛! 302 00:30:39,767 --> 00:30:47,441 そう! 今日異国が通商を望むのも 異国の魂を広めるためではなく➡ 303 00:30:47,441 --> 00:30:50,344 互いの利のため。 304 00:30:50,344 --> 00:30:54,782 それを我が日本が盗賊に対するように 無下に掃おうというのは➡ 305 00:30:54,782 --> 00:31:01,282 人の道に外れるのみならず 世界の流れとも相反することになる。 306 00:31:04,458 --> 00:31:07,128 なるほど。 307 00:31:07,128 --> 00:31:12,466 拙者は 今もってなお 攘夷の心構えではありますが➡ 308 00:31:12,466 --> 00:31:16,304 先生のお話は まことにおかしれぇ。 309 00:31:16,304 --> 00:31:20,641 お… おかしれぇ? 310 00:31:20,641 --> 00:31:23,144 それは江戸の言葉か? 311 00:31:23,144 --> 00:31:26,047 ハハッ…。 312 00:31:26,047 --> 00:31:29,016 貴公も常の役人ではないようだ。 313 00:31:29,016 --> 00:31:33,254 ハハハハハハハハ…。 ハハハ。 314 00:31:33,254 --> 00:31:35,590 いええ~い! 315 00:31:35,590 --> 00:31:42,390 篤太夫は 何日も通い詰め 塾生たちと交流を深めました。 316 00:31:45,099 --> 00:31:47,134 えい! えい! 317 00:31:47,134 --> 00:31:50,605 え~い! 318 00:31:50,605 --> 00:31:52,605 ああ~! 319 00:31:54,475 --> 00:31:56,475 (関根)参った。 320 00:31:59,914 --> 00:32:02,614 関根先生を負かすたぁ! あぁ。 321 00:32:05,119 --> 00:32:09,457 (阪谷シオ) お待たせしました。 笠岡の鯛ですよ。 322 00:32:09,457 --> 00:32:13,794 おぉ わしらとお役人様でとった鯛じゃ。 あぁ。 323 00:32:13,794 --> 00:32:15,796 貴公も沖に出られたのか? 324 00:32:15,796 --> 00:32:20,468 はい。 お役人様が どねんしても 笠岡沖の鯛網をやってみてぇいうんで➡ 325 00:32:20,468 --> 00:32:22,403 一緒にとってめえりゃした。 326 00:32:22,403 --> 00:32:24,639 かぁ~ これはうんめぇ! 327 00:32:24,639 --> 00:32:27,541 ハハ… おとといは畑で 昨日は海。 328 00:32:27,541 --> 00:32:31,512 貴公は この地の何もかもを 知りたいご様子だ。 329 00:32:31,512 --> 00:32:34,882 (山本三四郎)あの~ お役人様。➡ 330 00:32:34,882 --> 00:32:39,420 帰京の際にゃあ 是非わしらも一緒に 連れてってください! 331 00:32:39,420 --> 00:32:43,758 (山本五六郎)わしらぁ京で 一橋家でご奉公したいんです! 332 00:32:43,758 --> 00:32:48,429 おぉ! まことか? それはありがてぇ。 333 00:32:48,429 --> 00:32:51,265 わしらも是非! お連れくだせぇ! 334 00:32:51,265 --> 00:32:56,904 おお そうか! あぁ。 335 00:32:56,904 --> 00:33:02,109 そうだ。 悪ぃがその志を 書面にまとめてもらえねぇか? 336 00:33:02,109 --> 00:33:04,609 はい! はい! 337 00:33:06,981 --> 00:33:12,453 お役人様。 急ぎのお話たあ…。 338 00:33:12,453 --> 00:33:18,326 拙者のもとに かような願いを出すものがあった。 339 00:33:18,326 --> 00:33:20,328 あ…。 340 00:33:20,328 --> 00:33:27,301 同じ備中岡山で 拙者が会った僅かな中に 5人もの志願があるのに➡ 341 00:33:27,301 --> 00:33:30,938 数十の村 数百人の男の中に➡ 342 00:33:30,938 --> 00:33:34,408 一人も望む者がいねぇという道理は あるめぇ。 343 00:33:34,408 --> 00:33:40,081 してみるとこれは どっかで何者かが あれこれと邪魔立てし➡ 344 00:33:40,081 --> 00:33:44,281 志願したい者がおっても できぬようにしておるのではないか? 345 00:33:50,758 --> 00:33:53,761 お… お代官様が 内々におっしゃったんです! 346 00:33:53,761 --> 00:33:56,897 「この度の一橋の役人は成り上がりで➡ 347 00:33:56,897 --> 00:34:00,267 従来 お家にゃあ ねぇことを いろいろ思いつき➡ 348 00:34:00,267 --> 00:34:05,106 面倒を言うてきとるが 今度の歩兵取立のことも➡ 349 00:34:05,106 --> 00:34:09,977 『嫌でござる。 一人も志願する者ぁおらん』と言やあ➡ 350 00:34:09,977 --> 00:34:13,280 それで済む」と…。 351 00:34:13,280 --> 00:34:15,580 お代官…。 352 00:34:18,152 --> 00:34:23,457 念のため 代官殿に いま一度申し上げる。 353 00:34:23,457 --> 00:34:30,631 貴殿は 殿の今のご職任が 禁裏御守衛総督であることはご存じだな。 354 00:34:30,631 --> 00:34:34,402 はぁ もちろん…。 355 00:34:34,402 --> 00:34:38,873 ならば 兵がなくては その職を尽くせぬことも➡ 356 00:34:38,873 --> 00:34:42,076 無論 承知であろう。 357 00:34:42,076 --> 00:34:48,582 拙者は… かように重大な役目で はるばる来たからには➡ 358 00:34:48,582 --> 00:34:52,887 御用を果たせぬとあれば 生きては戻れぬ。 359 00:34:52,887 --> 00:34:56,590 生きては? 360 00:34:56,590 --> 00:34:59,493 ハハハハ… そんな大げさな。 361 00:34:59,493 --> 00:35:02,463 ハハハハハハ…。 362 00:35:02,463 --> 00:35:11,138 また所領の村人に そのお役目の薫陶すらできぬ器の代官➡ 363 00:35:11,138 --> 00:35:19,138 つまり貴殿も 拙者と同罪でございまする。 364 00:35:20,781 --> 00:35:23,451 いやいやいや 私は…。 365 00:35:23,451 --> 00:35:27,288 拙者は 明後日には出立いたします。 366 00:35:27,288 --> 00:35:33,988 どうか よくお考えの上 ご結論をいただきたい。 367 00:35:42,570 --> 00:35:49,443 翌日 代官が再び庄屋たちに 話を持ちかけると…。 368 00:35:49,443 --> 00:35:53,643 (伝蔵)な~んてこったい。 こんなにも集まるとは。 369 00:35:55,282 --> 00:36:00,282 どこの国も 代官というのは厄介だのう。 370 00:36:08,696 --> 00:36:12,266 (慶喜)大役を仕遂げ 大儀であった。➡ 371 00:36:12,266 --> 00:36:14,768 褒美だ。 取っておけ。 372 00:36:14,768 --> 00:36:17,438 ははっ。 373 00:36:17,438 --> 00:36:20,638 ありがとうございます。 374 00:36:24,211 --> 00:36:29,617 しかし 兵が増えるのは喜ばしいことですが➡ 375 00:36:29,617 --> 00:36:34,388 その分 兵を賄う金も 入り用になると存じます。 376 00:36:34,388 --> 00:36:38,225 何を言うか。 武士なら賄い金など案じるでない。 377 00:36:38,225 --> 00:36:42,062 (猪飼勝三郎)さよう。 殿がお役目を果たすために入り用な金だ。 378 00:36:42,062 --> 00:36:44,565 ご公儀に借り どうにか都合をつけよう。 379 00:36:44,565 --> 00:36:49,365 いや 借りた金では 懐は豊かになりません。 380 00:36:51,438 --> 00:36:53,438 何が言いたい? 381 00:36:56,744 --> 00:36:59,747 武士とて金は入り用。 382 00:36:59,747 --> 00:37:04,418 某は 水戸天狗党が あのような結果になったのも➡ 383 00:37:04,418 --> 00:37:09,089 それを怠ったからかと存じます。 384 00:37:09,089 --> 00:37:14,962 いかに高尚な忠義を掲げようが 戦に出れば 腹は減る。 385 00:37:14,962 --> 00:37:21,769 腹が減り 食い物や金を奪えば それはもう盗賊だ。 386 00:37:21,769 --> 00:37:30,069 小四郎様たちは 忠義だけを尊び 懐をととのえることを怠った。 387 00:37:32,713 --> 00:37:35,013 両方なければ駄目なのです。 388 00:37:37,585 --> 00:37:39,587 それゆえ 某は…➡ 389 00:37:39,587 --> 00:37:43,857 一橋の懐具合を ととのえたいのでございます。 390 00:37:43,857 --> 00:37:47,728 懐具合? ははっ。 391 00:37:47,728 --> 00:37:53,601 この度の御用で領内を回るうちに いくつか 利を得る道を見つけました。 392 00:37:53,601 --> 00:37:57,801 まずは米です。 393 00:37:59,740 --> 00:38:03,077 摂津や播磨は土がいい。 394 00:38:03,077 --> 00:38:08,882 百姓もよく工夫をしており まっさか よい米が出来ております。 395 00:38:08,882 --> 00:38:15,255 これを より価値の分かる者に より高く買ってくれる者に売るのです。 396 00:38:15,255 --> 00:38:18,158 つまり 入札払いにするということか? 397 00:38:18,158 --> 00:38:20,127 そうです。 398 00:38:20,127 --> 00:38:23,897 入札払いにし いま少し高く売れば➡ 399 00:38:23,897 --> 00:38:28,602 安く見積もっても 5千両ほどの利を 得ることができましょう。 400 00:38:28,602 --> 00:38:30,638 ご… 5千両!? 401 00:38:30,638 --> 00:38:34,208 そして2つ目に 播磨の木綿。 402 00:38:34,208 --> 00:38:37,244 これも今は 何の工夫もなく売られていますが➡ 403 00:38:37,244 --> 00:38:42,716 売り方次第で 相当の利を得ることができましょう。 404 00:38:42,716 --> 00:38:47,554 そして3つ目に 備中のこれでございます。 405 00:38:47,554 --> 00:38:50,858 何だ? これへ。 はっ。 406 00:38:50,858 --> 00:38:55,562 ♬~ 407 00:38:55,562 --> 00:39:06,874 ♬~ 408 00:39:06,874 --> 00:39:09,576 なるほど。 硝石か。 409 00:39:09,576 --> 00:39:11,512 ははっ。 410 00:39:11,512 --> 00:39:14,748 実はお見せしたいものがあるんです。 おお。 411 00:39:14,748 --> 00:39:17,248 お役に立つと思うんですが。 412 00:39:19,586 --> 00:39:22,489 これですわ。 ほう…。 413 00:39:22,489 --> 00:39:26,093 ここでも あっちでも ぎょうさん とれよんです。 414 00:39:26,093 --> 00:39:32,700 備中では 古い家の下の土から 硝石を作り出せます。 415 00:39:32,700 --> 00:39:36,203 火薬の材料は 今一番の入り用の品。 416 00:39:36,203 --> 00:39:40,841 必ずや求められることになります。 417 00:39:40,841 --> 00:39:46,714 実は… 某は そもそも当家に➡ 418 00:39:46,714 --> 00:39:53,420 公儀に代わって 某の願う攘夷を 果たしていただけねぇものかと…➡ 419 00:39:53,420 --> 00:40:00,194 いわば様子見の 腰掛けのつもりで 仕官いたしました。 420 00:40:00,194 --> 00:40:03,063 こ… 腰掛け!? 何ということ…。 421 00:40:03,063 --> 00:40:10,738 しかし 今改めて この壊れかけた日の本を再び纏め➡ 422 00:40:10,738 --> 00:40:15,238 お守りいただけるのは 殿しかおらぬと。 423 00:40:16,877 --> 00:40:22,577 そのために この一橋のお家を もっと強くしたい。 424 00:40:33,327 --> 00:40:38,298 懐を豊かにし その土台を頑丈にする。 425 00:40:38,298 --> 00:40:45,498 軍事よりはむしろ そのような御用こそ 己の長所でございまする。 426 00:40:50,444 --> 00:40:53,144 父を思い出すのう。 427 00:40:54,782 --> 00:40:58,652 父も 水戸の懐をどうにかせねばと➡ 428 00:40:58,652 --> 00:41:05,125 林やガラスや茶畑を作らせ 蜂の蜜を集めさせておった。 429 00:41:05,125 --> 00:41:09,930 蜂の蜜? あの烈公が そのようなことを…。 430 00:41:09,930 --> 00:41:14,430 百姓のことも必ず「お百姓様」と呼び 尊んでおった。 431 00:41:16,470 --> 00:41:20,808 それは… 大変失礼いたしました。 432 00:41:20,808 --> 00:41:25,946 某は今の今まで烈公を 我が父にも負けぬ とんでもねぇ石頭の➡ 433 00:41:25,946 --> 00:41:29,149 風神雷神のようなお方かと 思っておりました。 434 00:41:29,149 --> 00:41:32,586 渋沢! お主 また何ということを! 435 00:41:32,586 --> 00:41:35,622 はっ…。 436 00:41:35,622 --> 00:41:40,260 (慶喜)ハハ ハハハハハハ…。 437 00:41:40,260 --> 00:41:44,431 ハハハハハハハ…。 438 00:41:44,431 --> 00:41:46,767 駄目だ。 耐え切れぬ。 439 00:41:46,767 --> 00:41:49,436 雷神となった父を思い浮かべてしまった。 440 00:41:49,436 --> 00:41:51,772 ハハハハハハ…。 441 00:41:51,772 --> 00:41:54,274 申し訳ございませぬ! 442 00:41:54,274 --> 00:41:59,474 円四郎め。 まことに不思議な者を押しつけおった。 443 00:42:05,285 --> 00:42:07,921 渋沢よ。 444 00:42:07,921 --> 00:42:09,990 もはや腰掛けではあるまいな? 445 00:42:09,990 --> 00:42:13,794 へ? は… ははっ! 446 00:42:13,794 --> 00:42:16,294 (慶喜)ならば やってみよ。 447 00:42:20,300 --> 00:42:23,337 そこまで申したのだ。 448 00:42:23,337 --> 00:42:25,637 お主の腕を見せてみよ。 449 00:42:31,311 --> 00:42:33,311 ははっ! 450 00:42:37,417 --> 00:42:42,417 (円四郎)おめえは おめえのまま生き抜け。 451 00:42:45,158 --> 00:42:47,158 必ずだ。 452 00:42:50,597 --> 00:42:54,268 こうして篤太夫は…➡ 453 00:42:54,268 --> 00:42:59,768 一橋家を豊かにするために 動き出したのです。 454 00:43:01,441 --> 00:43:05,312 一橋の白木綿でござい! 455 00:43:05,312 --> 00:43:07,781 入り用なのは信用だ! 456 00:43:07,781 --> 00:43:10,684 慶喜の言うことを信じよう。 457 00:43:10,684 --> 00:43:13,120 薩摩が幕府ん先を行くとじゃ。 458 00:43:13,120 --> 00:43:15,455 あかん! 私が将軍になったところで➡ 459 00:43:15,455 --> 00:43:18,926 誰もついてはこぬ。 命をかけて殿のために戦う。 460 00:43:18,926 --> 00:43:20,861 死んじまったら何にもならねぇ。 461 00:43:20,861 --> 00:43:22,796 一橋殿。 462 00:43:22,796 --> 00:43:26,596 上様! 上様! 上様! 463 00:43:36,276 --> 00:43:42,476 農兵募集のために栄一が訪れた 一橋領の一つです。 464 00:43:46,453 --> 00:43:52,953 陣屋跡に残る白壁や井戸が 当時の面影をしのばせています。 465 00:43:59,800 --> 00:44:07,474 この稲荷神社は 今も変わらず かつての陣屋の敷地内に鎮座しています。 466 00:44:07,474 --> 00:44:10,811 山陽道沿いにあった池田邸で➡ 467 00:44:10,811 --> 00:44:15,482 栄一は 地元の剣術家と手合わせをし 勝利を収め➡ 468 00:44:15,482 --> 00:44:20,153 その名を とどろかせたといいます。 469 00:44:20,153 --> 00:44:25,959 栄一が交流を深めた漢学者 阪谷朗廬。 470 00:44:25,959 --> 00:44:29,830 人材育成に尽力した阪谷が開いた塾には➡ 471 00:44:29,830 --> 00:44:35,435 全国から 志士が集まり 大変にぎわいました。 472 00:44:35,435 --> 00:44:45,112 阪谷が 初代館長を務めた興譲館には 2人が対談した建物が残っています。 473 00:44:45,112 --> 00:44:50,450 200人もの農兵を集めることに 成功した栄一は➡ 474 00:44:50,450 --> 00:44:54,950 慶喜に認められ 躍進していくのでした。 475 00:45:38,098 --> 00:45:42,798 <草木も眠る丑三つ時> 476 00:45:50,444 --> 00:45:54,444 ≪(物音)