1 00:00:33,656 --> 00:00:36,592 こんばんは。 徳川家康です。 2 00:00:36,592 --> 00:00:41,064 さて 明治になりましたよ。 3 00:00:41,064 --> 00:00:45,568 ん? まだ出てくるのかって? 4 00:00:45,568 --> 00:00:47,603 ハハハ…。 5 00:00:47,603 --> 00:00:52,341 もしかしたら多くの方が すっぱり徳川の世は終わり➡ 6 00:00:52,341 --> 00:00:57,580 新しい世が始まったと 思っているのかもしれない。 7 00:00:57,580 --> 00:01:01,084 しかし 実際は まだまだ。 8 00:01:01,084 --> 00:01:07,957 各地で戦は収まらず 薩長新政府は 政権を奪いはしたものの➡ 9 00:01:07,957 --> 00:01:15,264 金もなく 内政も外交も 課題が山積みでグラグラだ。 10 00:01:15,264 --> 00:01:18,601 民の多くも まだピンと来ず➡ 11 00:01:18,601 --> 00:01:23,906 すぐ もとの世に戻るだろうと思う者も 少なくなかった。➡ 12 00:01:23,906 --> 00:01:32,706 篤太夫たちは そんなさなかに帰ってきたのです。 13 00:01:46,863 --> 00:01:48,798 (杉浦愛蔵)いた! 渋沢君! 14 00:01:48,798 --> 00:01:52,068 (渋沢篤太夫)杉浦殿! よく無事で戻ったのう。 15 00:01:52,068 --> 00:01:55,738 (加治権三郎)民部公子様! 16 00:01:55,738 --> 00:01:57,673 小舟にお乗り換えを。 17 00:01:57,673 --> 00:02:01,611 このまま横浜に上がれば 薩長方に 無礼な扱いをされるかもしれませぬ。 18 00:02:01,611 --> 00:02:06,082 小舟にて神奈川に参り 品川の宿にてお過ごしいただきたく。 19 00:02:06,082 --> 00:02:08,017 (井坂泉太郎)何じゃと? (菊池平八郎)は?➡ 20 00:02:08,017 --> 00:02:10,419 なぜ若君が そのように こそこそと! 21 00:02:10,419 --> 00:02:13,756 (徳川昭武)菊池 よい。 22 00:02:13,756 --> 00:02:15,956 分かった。 23 00:02:27,904 --> 00:02:31,904 庶務を終えましたら 必ず参上いたします。 24 00:02:34,544 --> 00:02:38,848 ご息災をお祈りいたします。 25 00:02:38,848 --> 00:02:40,783 うむ。 26 00:02:40,783 --> 00:02:55,431 ♬~ 27 00:02:55,431 --> 00:03:03,406 (山髙信離) そうか。 本当に公儀はなくなったのだな。 28 00:03:03,406 --> 00:03:07,606 いや まだ終わってはおらぬ。 29 00:03:09,212 --> 00:03:13,883 話したいことは山ほどあるが とりあえず 今より新政府の役人に➡ 30 00:03:13,883 --> 00:03:16,786 身分や持ち物を いちいち尋ねられることになる。 31 00:03:16,786 --> 00:03:19,786 どうか短気を起こさぬように。 32 00:03:21,757 --> 00:03:24,527 へっ かわいそうに。 33 00:03:24,527 --> 00:03:31,267 海ば越えて戻れば 主も既におらんとは➡ 34 00:03:31,267 --> 00:03:34,767 まさに浦島太郎ばい。 35 00:03:39,976 --> 00:03:41,911 ごゆるりと。 36 00:03:41,911 --> 00:03:44,714 横浜の宿に入った篤太夫は➡ 37 00:03:44,714 --> 00:03:48,217 日本を留守にしていた間の出来事を➡ 38 00:03:48,217 --> 00:03:50,853 聞くこととなりました。 39 00:03:50,853 --> 00:03:56,058 (田辺太一) 正月が過ぎて しばらくたった頃だ。 40 00:03:56,058 --> 00:04:02,932 突然 上様が 大坂から戻られたと報せが入った。 41 00:04:02,932 --> 00:04:06,569 (家臣)上様のおなりじゃ! 42 00:04:06,569 --> 00:04:08,604 上様! 上様! 43 00:04:08,604 --> 00:04:12,375 (板倉勝静)何か 上様が お召し上がりになるものを! はっ! 44 00:04:12,375 --> 00:04:15,745 (小栗忠順)上様!➡ 45 00:04:15,745 --> 00:04:19,445 いかがなされました? 大坂のお城は? 46 00:04:21,250 --> 00:04:23,753 まさか…➡ 47 00:04:23,753 --> 00:04:27,623 戦からお逃げに なられたわけではございますまい。 48 00:04:27,623 --> 00:04:30,092 何故…。 (板倉)小栗! 49 00:04:30,092 --> 00:04:38,367 (福地源一郎)そこで初めて 御城内の俺たちは 鳥羽伏見で…。 50 00:04:38,367 --> 00:04:43,039 「伏見 鳥羽をはじめ 昼夜を問わず戦となり…」。 51 00:04:43,039 --> 00:04:46,375 公儀が薩長に負けたのだと知った。 52 00:04:46,375 --> 00:04:48,311 バカな! 53 00:04:48,311 --> 00:04:52,715 薩長軍は 錦の御旗を掲げ進軍していた。➡ 54 00:04:52,715 --> 00:04:56,585 それに敵対すれば 上様は朝敵となる。➡ 55 00:04:56,585 --> 00:04:59,488 それを恐れたのだろうと。 56 00:04:59,488 --> 00:05:02,688 (菊池)あろうことか上様が朝敵とは! 57 00:05:09,565 --> 00:08:00,202 ♬~ 58 00:08:00,202 --> 00:08:07,943 上様は城に戻られると すぐに 先の天子様の妹君であられる➡ 59 00:08:07,943 --> 00:08:12,915 静寛院宮様に拝謁を願われたが…。 60 00:08:12,915 --> 00:08:21,056 (天璋院)静寛院宮が顔を合わせぬと 申すのは もっともなこと。 61 00:08:21,056 --> 00:08:24,727 お逃げになられたとは何事じゃ。 62 00:08:24,727 --> 00:08:26,662 (徳川慶喜)ははっ。 63 00:08:26,662 --> 00:08:32,334 しかし某は 断じて朝廷に刃向かう気はございませぬ。 64 00:08:32,334 --> 00:08:36,334 どうかその心だけでも 宮様にお伝えいたしたく…。 65 00:08:40,676 --> 00:08:59,695 ♬~ 66 00:08:59,695 --> 00:09:06,695 まっこて こげん ちゃちなお方じゃったとは。 67 00:09:10,339 --> 00:09:17,112 私はかつて父に 徳川の世のため➡ 68 00:09:17,112 --> 00:09:22,718 そなたを将軍後継に推すよう申しつかって 江戸へ参りました。 69 00:09:22,718 --> 00:09:29,858 そのころから 皆がそれほど言うには どれほどご立派なお方かと➡ 70 00:09:29,858 --> 00:09:33,058 思いをはせておりましたが…。 71 00:09:34,997 --> 00:09:41,197 そうですか。 これが…。 72 00:09:50,346 --> 00:09:55,684 (天璋院)徳川のため 宮様には 私からお話しいたしましょう。 73 00:09:55,684 --> 00:10:00,189 ですから そなたは…➡ 74 00:10:00,189 --> 00:10:06,889 武士の棟梁として 潔くお腹を召されませ。 75 00:10:11,900 --> 00:10:17,706 (静寛院宮) 「慶喜のことは 身から出た錆であり➡ 76 00:10:17,706 --> 00:10:23,712 どのように処分をされても構いませぬ。➡ 77 00:10:23,712 --> 00:10:32,721 しかし この徳川家が 慶喜一人のために朝敵の汚名を受け➡ 78 00:10:32,721 --> 00:10:42,865 お家断絶となるならば その徳川家に嫁いだ妾も➡ 79 00:10:42,865 --> 00:10:46,565 死を選ぶしかございません」。 80 00:10:50,739 --> 00:10:53,539 宮様…。 81 00:10:59,315 --> 00:11:01,815 (西郷吉之助)天璋院様…。 82 00:11:03,585 --> 00:11:09,892 (天璋院)「私が生きていながら 徳川に万一のことがあれば➡ 83 00:11:09,892 --> 00:11:14,096 私は亡き上様に申し訳が立ちません。➡ 84 00:11:14,096 --> 00:11:21,970 どうか あなたから 徳川家の存続を 朝廷におとりなしください。➡ 85 00:11:21,970 --> 00:11:27,109 お家の存続は 私の命を救うことなどよりも➡ 86 00:11:27,109 --> 00:11:35,551 はるかにありがたく 亡き父 斉彬公への 何よりの孝行にもなりましょう」。 87 00:11:35,551 --> 00:11:40,051 ははぁ 参ったのう。 88 00:11:42,057 --> 00:11:44,727 (杉浦)その後 上様は➡ 89 00:11:44,727 --> 00:11:49,027 上野 寛永寺にて 謹慎された。 90 00:11:54,069 --> 00:11:59,569 (杉浦)江戸の城は戦もなく 薩長軍に明け渡された。 91 00:12:04,413 --> 00:12:09,752 上様は あくまで恭順を示されたのですね。 92 00:12:09,752 --> 00:12:13,422 そうだ。 93 00:12:13,422 --> 00:12:17,593 くそぅ… なぜだ? 94 00:12:17,593 --> 00:12:20,893 多くの者があれほど 戦えば勝てると申しておったのに。 95 00:12:22,898 --> 00:12:26,268 (杉浦)罷免された上野介様は…➡ 96 00:12:26,268 --> 00:12:33,842 官軍総督府を名乗る者たちに 首を斬られた。 97 00:12:33,842 --> 00:12:37,546 (役人)何か言いたいことがあれば申せ。 98 00:12:37,546 --> 00:12:52,394 ♬~ 99 00:12:52,394 --> 00:12:56,865 (杉浦)長らく公儀で 要職を務められた川路様も➡ 100 00:12:56,865 --> 00:13:01,065 江戸の御城に 官軍が入るというその日に…。 101 00:13:04,406 --> 00:13:06,742 ♬~(「トコトンヤレ節」) 102 00:13:06,742 --> 00:13:11,246 (佐登)まぁまぁ やすさん。 こんな物騒な折に…。 103 00:13:11,246 --> 00:13:14,082 (やす)いえね ご機嫌伺いに。 104 00:13:14,082 --> 00:13:16,885 ♬~(「トコトンヤレ節」) 105 00:13:16,885 --> 00:13:19,755 何が「トコトンヤレ」だって➡ 106 00:13:19,755 --> 00:13:23,592 川路様も 頭にきてなさるんじゃないかって。 107 00:13:23,592 --> 00:13:39,541 ♬~ 108 00:13:39,541 --> 00:13:45,241 (川路聖謨)徳川 万歳。 109 00:13:46,849 --> 00:13:50,219 (銃声) 110 00:13:50,219 --> 00:13:52,554 お前様? 111 00:13:52,554 --> 00:13:56,058 お前様! お前様!➡ 112 00:13:56,058 --> 00:13:59,758 ああ お前様…。 113 00:14:01,930 --> 00:14:07,736 (川村恵十郎) 成一郎は… 伏見の戦で肩を撃たれ➡ 114 00:14:07,736 --> 00:14:12,241 兵を退いて大坂に戻れば 上様はおらず 城は燃え➡ 115 00:14:12,241 --> 00:14:19,581 それで 残った兵の世話をしてから ようやく2月に江戸に出た。 116 00:14:19,581 --> 00:14:21,517 怪我の具合は? 117 00:14:21,517 --> 00:14:23,452 (須永虎之助)大事はねぇ。 118 00:14:23,452 --> 00:14:28,290 上野には 上様をお守りしようと あまたの兵が集まっていた。 119 00:14:28,290 --> 00:14:33,990 それで… 俺たちが成一郎さんに頼んだんだい。 120 00:14:35,697 --> 00:14:38,534 (渋沢成一郎)俺に頭取になれと? 121 00:14:38,534 --> 00:14:41,036 (虎之助) 薩長の言うなりになってたまるかい。 122 00:14:41,036 --> 00:14:46,909 俺たち家臣で 一味同心して立ち上がんべぇ。 123 00:14:46,909 --> 00:14:48,911 そうだ! そうじゃ! 124 00:14:48,911 --> 00:14:53,549 (天野八郎) 渋沢殿は 上様の覚えめでたきご側近。 125 00:14:53,549 --> 00:14:58,053 (伴 門五郎)頭となっていただければ 兵の心も纏まりまする。 126 00:14:58,053 --> 00:15:01,553 (尾高惇忠)そうだ。 成一郎殿。 127 00:15:05,561 --> 00:15:10,866 忠を尽くして主に報いるは 武士の常。 128 00:15:10,866 --> 00:15:15,066 (渋沢平九郎) 必ずや 奸賊 薩摩を殲滅いたしましょう。 129 00:15:24,246 --> 00:15:28,116 今や黙すべき時にあらず。 130 00:15:28,116 --> 00:15:35,524 家臣の我らが身命をなげうって 上様のご無念を晴らす! 131 00:15:35,524 --> 00:15:38,026 (一同)お~! 132 00:15:38,026 --> 00:15:42,726 平九郎も加わっていたのか? そうだ。 133 00:15:45,367 --> 00:15:48,667 義をあらわす…。 134 00:15:50,706 --> 00:15:57,579 我ら彰義隊はこの江戸で 命をかけて上様をお守りし➡ 135 00:15:57,579 --> 00:16:00,415 その真心を世に示すのだ! 136 00:16:00,415 --> 00:16:03,285 お~! 137 00:16:03,285 --> 00:16:07,556 えい えい…。 (一同)お~! 138 00:16:07,556 --> 00:16:12,227 (虎之助)えい えい…。 (一同)お~! 139 00:16:12,227 --> 00:16:18,867 (虎之助)しかし… 上様は 江戸の町を出て 水戸に移ると決められた。 140 00:16:18,867 --> 00:16:20,802 上様! 上様! 上様! 141 00:16:20,802 --> 00:16:25,002 上様! 上様! 上様! 142 00:16:27,609 --> 00:16:29,611 上様! 上様! 上様! 143 00:16:29,611 --> 00:16:32,414 上様! 上様! 上様! 144 00:16:32,414 --> 00:16:37,214 上様のご無念は 必ずや我らが晴らしまする! 145 00:16:40,022 --> 00:16:47,722 薩賊を討って 必ずや上様の紛うことなき 尊王のお心を世に示しまする! 146 00:17:08,850 --> 00:17:11,219 上様! 上様! 上様! 147 00:17:11,219 --> 00:17:14,723 上様! 上様! 上様! 148 00:17:14,723 --> 00:17:17,523 上様! 149 00:17:19,227 --> 00:17:22,864 (虎之助)その後 彰義隊は分裂し…➡ 150 00:17:22,864 --> 00:17:29,064 俺たちは振武軍と名乗って 秩父の山に移った。 151 00:17:35,444 --> 00:17:37,444 あれは何だ? 152 00:17:45,020 --> 00:17:48,890 (平九郎) 上野だ… 上野の山が燃えている! 153 00:17:48,890 --> 00:17:51,890 まさか もう薩長が…。 154 00:17:54,029 --> 00:17:56,698 行くぞ! 155 00:17:56,698 --> 00:18:37,672 ♬~ 156 00:18:37,672 --> 00:18:43,545 (銃声) 157 00:18:43,545 --> 00:18:47,182 伏せろ! 158 00:18:47,182 --> 00:18:50,218 平九郎 危ねぇ! 159 00:18:50,218 --> 00:18:52,354 下がれ! 160 00:18:52,354 --> 00:19:00,095 (銃声) 161 00:19:00,095 --> 00:19:04,833 下がれ! 下がれ! 162 00:19:04,833 --> 00:19:06,833 下がれ! 163 00:19:09,037 --> 00:19:11,537 こっちだ 早く…。 164 00:19:14,843 --> 00:19:16,778 (惇忠)囲まれたか。 165 00:19:16,778 --> 00:19:18,778 どこにおる? 166 00:19:30,058 --> 00:19:33,495 う… うわ~! おい! 167 00:19:33,495 --> 00:19:37,195 (銃声) 168 00:19:42,003 --> 00:19:44,039 うっ…。 平九郎! 169 00:19:44,039 --> 00:19:48,777 ううっ… う…。 170 00:19:48,777 --> 00:19:50,712 おのれ 卑怯な…。 171 00:19:50,712 --> 00:19:53,412 引くぞ。 172 00:19:57,552 --> 00:20:00,252 平九郎! 平九郎! 173 00:20:03,191 --> 00:20:05,126 (銃声) 174 00:20:05,126 --> 00:20:11,366 皆 懸命に戦ったが…➡ 175 00:20:11,366 --> 00:20:17,366 我ら振武軍は あっという間に負けた! 176 00:20:21,543 --> 00:20:23,845 大丈夫か? しっかりしろ! 177 00:20:23,845 --> 00:20:30,619 (虎之助)惇忠さんも成一郎さんも 俺たちを引っ張ってくれたが…。 178 00:20:30,619 --> 00:20:33,521 平九郎は? 平九郎は? 179 00:20:33,521 --> 00:20:35,590 平九郎はどうした? 180 00:20:35,590 --> 00:20:38,390 平九郎はどうした? え? 181 00:20:47,869 --> 00:20:52,707 (虎之助)平九郎! 平九郎! 182 00:20:52,707 --> 00:20:55,243 平九郎…。 183 00:20:55,243 --> 00:20:57,178 平九郎…! 184 00:20:57,178 --> 00:20:59,378 平九郎…。 185 00:21:01,416 --> 00:21:03,351 平九郎! 186 00:21:03,351 --> 00:21:06,087 言え! 平九郎はどうした!? 187 00:21:06,087 --> 00:21:11,960 ♬~ 188 00:21:11,960 --> 00:21:21,160 ♬~ 189 00:22:06,081 --> 00:22:09,781 徳川の脱走兵か? 190 00:22:25,266 --> 00:22:27,966 よく聞け。 191 00:22:37,545 --> 00:22:42,384 中には 我が同志が60名おる。 192 00:22:42,384 --> 00:22:46,684 俺が今 声を出せば お前らなど皆殺しだ。 193 00:22:55,864 --> 00:22:58,064 どうする? 194 00:23:20,422 --> 00:23:23,622 (銃声) 195 00:23:26,294 --> 00:23:29,130 うっ…。 196 00:23:29,130 --> 00:23:32,033 追え! 逃がすな! 197 00:23:32,033 --> 00:23:34,069 (銃声) 198 00:23:34,069 --> 00:23:53,721 ♬~ 199 00:23:53,721 --> 00:23:57,021 うっ…。 200 00:24:00,061 --> 00:24:02,097 かたじけない。 201 00:24:02,097 --> 00:24:04,232 (山口常左衛門)いや よいのです。 202 00:24:04,232 --> 00:24:08,069 ここは もともと一橋様のご領地。 203 00:24:08,069 --> 00:24:13,569 わしらは徳川様に 二百年の恩がございまする。 204 00:24:24,619 --> 00:24:29,619 これ以上長居しては ご迷惑となります。 205 00:24:38,032 --> 00:24:44,532 (山口たへ) もう少し… もう少しいてください。 206 00:24:49,544 --> 00:24:52,044 これは…。 207 00:24:56,317 --> 00:24:58,253 お蚕様…。 208 00:24:58,253 --> 00:25:02,056 (たへ)へ? 209 00:25:02,056 --> 00:25:07,356 (平九郎)私の村でも お蚕様を大事にしておりました。 210 00:25:17,071 --> 00:25:26,080 ♬~ 211 00:25:26,080 --> 00:25:29,117 (恵十郎)辺りの村の者の風聞では➡ 212 00:25:29,117 --> 00:25:34,355 平九郎殿は 中山道に向かって進んでいたらしい。➡ 213 00:25:34,355 --> 00:25:37,192 ふるさとを目指したのであろう。 214 00:25:37,192 --> 00:26:09,123 ♬~ 215 00:26:09,123 --> 00:26:13,861 ≪おい こっちだ! 216 00:26:13,861 --> 00:26:16,731 ≪捜せ! 217 00:26:16,731 --> 00:26:32,814 ♬~ 218 00:26:32,814 --> 00:26:34,882 おてい…。 219 00:26:34,882 --> 00:26:37,185 (渋沢てい)これ。 220 00:26:37,185 --> 00:27:06,714 ♬~ 221 00:27:06,714 --> 00:27:10,414 う…。 ≪いたぞ! 222 00:27:12,053 --> 00:27:15,053 うっ…。 223 00:27:17,392 --> 00:27:20,692 (銃声) 224 00:27:31,673 --> 00:27:33,608 ううっ…。 225 00:27:33,608 --> 00:27:51,059 (銃声) 226 00:27:51,059 --> 00:27:53,061 うっ…。 227 00:27:53,061 --> 00:28:03,861 (荒い息遣い) 228 00:28:26,828 --> 00:28:29,628 ここまでか…。 229 00:28:52,520 --> 00:28:57,220 う…。 230 00:28:59,394 --> 00:29:03,094 御旗本 渋沢篤太夫…。 (銃声) 231 00:29:11,706 --> 00:29:15,006 (吐血) 232 00:29:19,847 --> 00:29:25,052 御旗本 渋沢篤太夫が嫡男 渋沢平九郎! 233 00:29:25,052 --> 00:29:31,352 (銃声) 234 00:29:47,809 --> 00:29:51,509 花と散らん。 235 00:30:04,692 --> 00:30:08,529 (恵十郎)ちょうど そのころ➡ 236 00:30:08,529 --> 00:30:13,401 越生宿の郷境の梟首台に➡ 237 00:30:13,401 --> 00:30:21,542 名札もなく首が晒され 犬がくわえていったと聞いた。➡ 238 00:30:21,542 --> 00:30:24,742 恐らく…。 239 00:30:31,219 --> 00:30:34,722 平九郎…。 240 00:30:34,722 --> 00:30:37,558 うう! (恵十郎)嘆くな! 241 00:30:37,558 --> 00:30:45,733 多くは果てたが 成一郎と尾高殿は 横手村に落ちて逃げ延びた。 242 00:30:45,733 --> 00:30:48,069 (虎之助)そうだ。 243 00:30:48,069 --> 00:30:52,369 成一郎さんは今や 箱館で戦っておる。 244 00:30:58,579 --> 00:31:07,255 (永井尚志)主君に朝敵の汚名を着せられ 黙って路頭に迷っておられようか。 245 00:31:07,255 --> 00:31:10,157 (兵たち)おお! それゆえ➡ 246 00:31:10,157 --> 00:31:16,264 我らは この蝦夷の地を 徳川の新天地とするため➡ 247 00:31:16,264 --> 00:31:20,768 ここに奮起する! (兵たち)お~! 248 00:31:20,768 --> 00:31:24,272 (板倉)しかり。 そして 時満ちれば➡ 249 00:31:24,272 --> 00:31:29,143 御譜代 旗本 総がかりで 奸賊を打ちのめす! 250 00:31:29,143 --> 00:31:32,380 (兵たち)お~! そうよ。 251 00:31:32,380 --> 00:31:37,218 徳川の力で 新しき大日本を立ち起こせ! 252 00:31:37,218 --> 00:31:40,254 (兵たち)お~! 253 00:31:40,254 --> 00:31:46,727 えい えい…。 (兵たち)お~! 254 00:31:46,727 --> 00:31:49,564 さぁて 行くとするか。 255 00:31:49,564 --> 00:31:51,499 もう一人の渋沢よ。 256 00:31:51,499 --> 00:31:53,434 おう。 257 00:31:53,434 --> 00:31:56,237 (恵十郎)お主の帰る5日前に➡ 258 00:31:56,237 --> 00:32:00,107 土方隊が箱館府兵を破り 五稜郭を攻め落とした。 259 00:32:00,107 --> 00:32:08,249 あぁ 今も徳川の威光を取り戻してぇと 箱館に向かう者が なっからいる。 260 00:32:08,249 --> 00:32:10,751 あにきが行ぐんなら 俺も一緒に…。 261 00:32:10,751 --> 00:32:13,251 俺は行かねぇ! 262 00:32:27,602 --> 00:32:30,102 して上様は 今は? 263 00:32:32,840 --> 00:32:37,678 水戸から駿府に移られ 謹慎なさっている。 264 00:32:37,678 --> 00:32:49,857 ♬~ 265 00:32:49,857 --> 00:32:52,226 「成一郎殿。➡ 266 00:32:52,226 --> 00:32:57,565 顔を合わせ 話ができるのを楽しみに 帰国したところ➡ 267 00:32:57,565 --> 00:33:02,737 お主が箱館に行ったと聞き 遺憾千万だ。➡ 268 00:33:02,737 --> 00:33:09,610 主もなく 残された烏合の衆が いくら集まろうとも勝てるわけがない。➡ 269 00:33:09,610 --> 00:33:15,449 こうなっては もはや互いに 生きて会うことはかなわぬだろう。➡ 270 00:33:15,449 --> 00:33:19,587 潔く死を遂げろ。 篤太夫」。 271 00:33:19,587 --> 00:33:22,490 フン あいつらしい。 272 00:33:22,490 --> 00:33:26,260 申し上げます! 何じゃ。 273 00:33:26,260 --> 00:33:28,896 蟠龍が福山港に入り砲撃! 274 00:33:28,896 --> 00:33:33,200 土方隊が一気に松前城を陥落させました。 275 00:33:33,200 --> 00:33:36,237 よし! 俺たちもどんどん行くぞ! 276 00:33:36,237 --> 00:33:38,537 はっ! 277 00:33:45,546 --> 00:33:47,481 (渋沢市郎右衛門)おい! おい! 278 00:33:47,481 --> 00:33:49,417 (渋沢ゑい)どうしたんだい お前さん。 279 00:33:49,417 --> 00:33:52,853 栄一が… 栄一が横浜に着いたと! 280 00:33:52,853 --> 00:33:55,389 え? 横浜って それじゃあ…。 281 00:33:55,389 --> 00:34:00,227 戻ってきたんだい。 見ろ。 栄一の文だ。 282 00:34:00,227 --> 00:34:05,099 8月にパリを出て 今月 横浜に着いたと書いてある! 283 00:34:05,099 --> 00:34:07,401 (ゑい)まぁ! 284 00:34:07,401 --> 00:34:11,572 (渋沢千代)あぁ… よかった…。 285 00:34:11,572 --> 00:34:15,743 よかった…。 286 00:34:15,743 --> 00:34:20,243 仕事が片づいたら 村に帰ってくるとよ。 287 00:34:22,083 --> 00:34:24,752 お千代 尾高にも報せといで。 288 00:34:24,752 --> 00:34:27,655 尾高のみんなも きっと気に病んでおられるから。 289 00:34:27,655 --> 00:34:32,827 へぇ… ありがとうございます! 290 00:34:32,827 --> 00:34:37,031 行ってらっしゃいませ! かっさま うれしそう。 291 00:34:37,031 --> 00:34:39,231 (ゑい)そうだいねぇ。 292 00:34:43,904 --> 00:34:47,541 尾高はどうだ? 293 00:34:47,541 --> 00:34:52,847 それが… 長七郎が やっと帰ってきたと思ったら➡ 294 00:34:52,847 --> 00:34:58,385 あんな様子だもんだから その上 平九郎のことも…。 295 00:34:58,385 --> 00:35:05,885 (市郎右衛門)そうか。 惇忠が戻ったのが せめてもの救いだ。 296 00:35:14,835 --> 00:35:16,771 (尾高長七郎)栄一が? 297 00:35:16,771 --> 00:35:22,071 (惇忠)あぁ 栄一が パリから戻ってくる。 298 00:35:25,412 --> 00:35:27,412 あぁ…。 299 00:35:29,884 --> 00:35:32,787 兄さま。 300 00:35:32,787 --> 00:35:35,689 兄さまのおかげだに。 301 00:35:35,689 --> 00:35:41,495 栄一さんが 命を捨てるのを踏みとどまったのも➡ 302 00:35:41,495 --> 00:35:46,995 今の道を歩まれたのも 兄さまのおかげだい…。 303 00:35:51,839 --> 00:35:54,539 いいや お千代。 304 00:35:57,044 --> 00:36:00,344 俺は死に損なったのみ。 305 00:36:04,718 --> 00:36:14,728 このまま生きても 母さまや あにぃに迷惑をかけるだけだ。 306 00:36:14,728 --> 00:36:17,231 そんなことはねぇ。 307 00:36:17,231 --> 00:36:22,403 お前が戻ってくれて 俺や母さまが どれだけ救われたか…。 308 00:36:22,403 --> 00:36:38,886 ♬~ 309 00:36:38,886 --> 00:36:41,086 あにぃ。 310 00:36:44,358 --> 00:36:52,032 俺たちは 何のために 生まれてきたんだんべなぁ? 311 00:36:52,032 --> 00:37:02,042 ♬~ 312 00:37:02,042 --> 00:37:04,545 兄さま…。 313 00:37:04,545 --> 00:37:25,399 ♬~ 314 00:37:25,399 --> 00:37:27,334 スナイドル銃か。 315 00:37:27,334 --> 00:37:32,334 はっ。 水戸へのお土産としてお持ちください。 316 00:37:41,181 --> 00:37:44,818 先日 天子様にお会いした。 317 00:37:44,818 --> 00:37:46,754 天子様に? 318 00:37:46,754 --> 00:37:50,524 そして朝廷より 水戸に戻り次第➡ 319 00:37:50,524 --> 00:37:56,697 箱館の榎本軍との戦いに 兵を出せとの命を受けた。 320 00:37:56,697 --> 00:37:59,600 そんな…。 321 00:37:59,600 --> 00:38:03,470 箱館にいるのは もとは公儀の忠臣たち。 322 00:38:03,470 --> 00:38:09,410 それを 民部公子様に成敗せよとは…。 323 00:38:09,410 --> 00:38:14,114 渋沢 いま一度頼む。 324 00:38:14,114 --> 00:38:17,614 この先も 水戸で私を支えてほしい。 325 00:38:22,823 --> 00:38:24,823 ははっ。 326 00:38:26,560 --> 00:38:32,760 それにもまずは ご主君のご意志を 伺わねばならぬと思っております。 327 00:38:35,169 --> 00:38:38,869 そうか。 兄か。 328 00:38:40,507 --> 00:38:46,707 上様に 民部公子様ご帰国のご報告を 致したいと存じます。 329 00:38:50,517 --> 00:38:57,317 私も兄に会いたいが 水戸を継いだ以上 朝敵に会うことは許されぬ。 330 00:39:00,527 --> 00:39:02,563 文を書くゆえ 届けてくれ。 331 00:39:02,563 --> 00:39:08,263 そして必ず 兄の返事を私に届けてほしい。 332 00:39:10,704 --> 00:39:12,904 ははっ。 333 00:39:15,209 --> 00:39:17,845 ご苦労さん。 へぇ。 334 00:39:17,845 --> 00:39:24,645 篤太夫は 数か月かけて 旅の残務整理をしました。 335 00:39:28,055 --> 00:39:32,326 フランスまで行かせてもらいながら…➡ 336 00:39:32,326 --> 00:39:36,826 何もなしえないまま 幕府は終わっちまった。 337 00:39:39,500 --> 00:39:41,535 (大黒屋六兵衛)あぁ 渋沢様。 338 00:39:41,535 --> 00:39:43,804 荷物の引き渡し書でございまする。 339 00:39:43,804 --> 00:39:46,804 あぁ 世話になった。 340 00:39:48,675 --> 00:39:53,180 これは紙幣か? あ へえ。 341 00:39:53,180 --> 00:39:58,819 (三野村利左衛門)新政府様が出した 太政官札でございますよ。 342 00:39:58,819 --> 00:40:02,019 太政官札? 343 00:40:04,625 --> 00:40:06,825 ほう…。 344 00:40:08,562 --> 00:40:15,402 あたしら三井や小野 島田が 為替方となって扱っておりますがね➡ 345 00:40:15,402 --> 00:40:19,706 これが ちっとも信用がない。 346 00:40:19,706 --> 00:40:21,708 信用がない? 347 00:40:21,708 --> 00:40:28,048 金もねぇのに 御一新をしちまったもんで いろいろ必死なんでござんすよ。 348 00:40:28,048 --> 00:40:35,222 大坂でも 鴻池や加島屋が ひでえ目に遭ってる。 349 00:40:35,222 --> 00:40:40,922 紙幣を出すのは 勘定奉行 小栗様の悲願でござんしたなぁ。 350 00:40:43,564 --> 00:40:46,400 貴公は…。 え? 351 00:40:46,400 --> 00:40:51,900 ははっ。 三井の番頭 三野村利左衛門と申しまする。 352 00:40:58,979 --> 00:41:02,679 まことの戦はこれからざんすよ。 353 00:41:05,752 --> 00:41:09,452 わしら商人の戦いは。 354 00:41:13,260 --> 00:41:16,163 フッフフフ…。 355 00:41:16,163 --> 00:41:22,603 ♬~ 356 00:41:22,603 --> 00:41:27,908 無事に帰国したとのこと 同慶の至りだ。 357 00:41:27,908 --> 00:41:32,713 俺は今 己の全てをかけて戦っている。 358 00:41:32,713 --> 00:41:37,384 命に代えて 徳川と上様をお守りする所存だ。 359 00:41:37,384 --> 00:41:42,884 お前は 上様の本当の心根を 分かっておらぬ。 360 00:41:45,058 --> 00:41:49,863 徳川の家臣として 朝敵の汚名を雪ぐことなく➡ 361 00:41:49,863 --> 00:41:53,567 この先 どうして生きていけよう。 362 00:41:53,567 --> 00:41:57,437 俺は 俺の道を行く。 363 00:41:57,437 --> 00:42:00,741 もう会うこともなかろう。 364 00:42:00,741 --> 00:42:04,241 さらばだ 篤太夫。 365 00:42:08,415 --> 00:42:10,715 あ~! (銃声) 366 00:42:18,892 --> 00:42:21,261 土方殿! 367 00:42:21,261 --> 00:42:23,197 銃の腕もおありとは。 368 00:42:23,197 --> 00:42:25,766 お主の剣も なかなかのものだ。 369 00:42:25,766 --> 00:42:31,266 しかし せっかく鍛えたこの腕も 銃にはかなわぬ。 370 00:42:32,839 --> 00:42:37,211 俺は潔く旧来の戦い方は捨てた。 371 00:42:37,211 --> 00:42:39,246 行くぞ 同志よ。 372 00:42:39,246 --> 00:42:41,246 おう! 373 00:42:43,550 --> 00:42:47,550 行くぞ! (兵たち)お~! 374 00:42:53,060 --> 00:42:56,396 篤太夫は6年ぶりに➡ 375 00:42:56,396 --> 00:43:01,735 故郷 血洗島へと向かいました。 376 00:43:01,735 --> 00:43:03,670 とっさま! 377 00:43:03,670 --> 00:43:06,573 毎日 指折り数えて待ってたんだよ。 378 00:43:06,573 --> 00:43:08,508 何だい 自分だけ帰ってきて。 379 00:43:08,508 --> 00:43:10,444 合わせる顔がねぇのは俺だ。 380 00:43:10,444 --> 00:43:14,448 生き残った者には なすべき定めがあると お前が言ったんだ。 381 00:43:14,448 --> 00:43:18,285 お前の父親だと 胸を張っていられる。 382 00:43:18,285 --> 00:43:21,421 新しい世のために できることはきっとある。 383 00:43:21,421 --> 00:43:23,757 礼を申す。 384 00:43:23,757 --> 00:43:25,757 上様! 385 00:43:33,734 --> 00:43:39,734 渋沢喜作率いる振武軍は 能仁寺に本営を置きました。 386 00:43:45,078 --> 00:43:50,884 新政府軍の総攻撃を受け 激戦地となった能仁寺。 387 00:43:50,884 --> 00:43:56,089 本堂を含むほとんどの建物が 焼き払われました。 388 00:43:56,089 --> 00:44:00,427 この扁額は 庭の池に沈めていたため➡ 389 00:44:00,427 --> 00:44:04,927 焼失を免れたと 寺に伝わっています。 390 00:44:08,168 --> 00:44:12,773 飯能では 民家200戸余りが焼失。 391 00:44:12,773 --> 00:44:17,110 僅か数時間で 勝敗が決まったといいます。 392 00:44:17,110 --> 00:44:20,614 振武軍は ちりぢりとなり➡ 393 00:44:20,614 --> 00:44:26,119 渋沢平九郎は 現在の越生町にたどりつきました。 394 00:44:26,119 --> 00:44:33,393 顔振峠から山を下る途中 新政府軍と鉢合わせた平九郎は➡ 395 00:44:33,393 --> 00:44:38,193 激闘の末 この地で命を絶ちました。 396 00:44:40,734 --> 00:44:45,872 その亡骸は すぐ近くにあった全洞院に葬られ➡ 397 00:44:45,872 --> 00:44:50,744 後に栄一も この地を訪れています。 398 00:44:50,744 --> 00:44:53,613 平九郎の死は 栄一の心に➡ 399 00:44:53,613 --> 00:44:57,413 深い傷を残しました。 400 00:45:33,653 --> 00:45:47,053 ♬~