1 00:00:03,170 --> 00:00:05,772 (渋沢栄一)承服できん。 2 00:00:05,772 --> 00:00:11,778 承服できん! 承服できん! 3 00:00:15,282 --> 00:00:18,952 500両 持ってまいりました。 4 00:00:18,952 --> 00:00:21,788 (利根吉春)そうか。 下がれ。 5 00:00:21,788 --> 00:00:26,126 恐れながら! 6 00:00:26,126 --> 00:00:29,963 それが我々百姓の銭にございます! 7 00:00:29,963 --> 00:00:33,834 朝から晩まで働き その小さな銭が…。 8 00:00:33,834 --> 00:00:46,980 ♬~ 9 00:00:46,980 --> 00:00:50,317 承服できん! 承服できん! 10 00:00:50,317 --> 00:00:53,987 承服できんぞ! ばかばかしい! 11 00:00:53,987 --> 00:00:56,490 (尾高惇忠)どうした 栄一。 12 00:01:02,095 --> 00:01:04,298 (惇忠)話を聞こうか? 13 00:01:05,933 --> 00:01:09,403 惇忠あにぃ…。 14 00:01:09,403 --> 00:01:12,272 ほほう。 岡部の代官がそのようなことを…。 15 00:01:12,272 --> 00:01:17,945 あぁ 承服できねぇ。 承服できねぇだけじゃねぇ。 16 00:01:17,945 --> 00:01:24,618 胸ん中がムベムベして それが腹に下って… あ~! 17 00:01:24,618 --> 00:01:28,422 どうにも情けなくて治まんねぇ。 18 00:01:28,422 --> 00:01:32,125 俺は いまちっとんとこで あのお代官を殴りつけてやるとこだった! 19 00:01:32,125 --> 00:01:35,028 (渋沢喜作)は? 何言ってんだ。 20 00:01:35,028 --> 00:01:38,432 お代官様なんか殴っちまったら おめぇが斬られっちまうだんべぇ。 21 00:01:38,432 --> 00:01:41,802 だけどよう 俺は…。 22 00:01:41,802 --> 00:01:48,141 そうか。 お前もまさに「悲憤慷慨」だな。 23 00:01:48,141 --> 00:01:50,077 悲憤慷慨? 24 00:01:50,077 --> 00:01:57,451 「慷慨」とは 正義の気持ちを持ち 世の不正に憤り 嘆くことを言うんだ。 25 00:01:57,451 --> 00:02:03,256 今 この世にはお前のように 悲憤慷慨するものが多く生まれている。 26 00:02:03,256 --> 00:02:05,926 俺もそうだ。 27 00:02:05,926 --> 00:02:08,261 え? あにぃもか? 28 00:02:08,261 --> 00:02:11,765 あにぃは 何に憤って 嘆いておられるんだい? 29 00:02:11,765 --> 00:02:15,102 そうだなぁ。 30 00:02:15,102 --> 00:02:17,037 この世だ。 31 00:02:17,037 --> 00:02:19,039 この世? 32 00:02:20,774 --> 00:02:23,977 この世の中そのものだ。 33 00:02:25,946 --> 00:02:30,784 お前も一度 これを読んでみるといい。 34 00:02:30,784 --> 00:02:37,290 このままでは我が日の本も… この清国のように夷狄に踏みにじられる。 35 00:02:48,969 --> 00:02:52,305 これは…。 36 00:02:52,305 --> 00:02:55,976 徳川家康です。 37 00:02:55,976 --> 00:02:59,179 今日も出てきましたよ。 38 00:03:00,747 --> 00:03:09,389 彼らが悲憤慷慨しているこの世とは 私の作った江戸幕府のことですからね。 39 00:03:09,389 --> 00:03:18,932 我が徳川の世は 僅か7%ほどの武士が その他の人々を支配していました。 40 00:03:18,932 --> 00:03:22,402 昔 江戸時代の身分制度は➡ 41 00:03:22,402 --> 00:03:28,208 士農工商と習った方も いると思います。 42 00:03:28,208 --> 00:03:33,146 もう教科書に その言葉はありません。 43 00:03:33,146 --> 00:03:38,418 私は武士の世を 長く続けるために➡ 44 00:03:38,418 --> 00:03:42,289 ここに厳重に線を引いた。 45 00:03:42,289 --> 00:03:49,162 支配する側の武士か される側のその他か…。 46 00:03:49,162 --> 00:03:59,306 しかし このころになって 圧倒的に人数の多いこちら側まで➡ 47 00:03:59,306 --> 00:04:05,078 徳川の世を疑い始めました。 48 00:04:05,078 --> 00:04:11,585 惇忠や栄一だけでなく 日本各地にそういう人物が現れ➡ 49 00:04:11,585 --> 00:04:17,591 厳しく引いたはずの線が 揺らぎ始めます。 50 00:04:24,764 --> 00:04:46,786 (清兵が英兵に殺される声や音) 51 00:04:46,786 --> 00:04:49,422 (渋沢なか)栄一 まだ読んでるん? 52 00:04:49,422 --> 00:04:53,293 油がもったいねぇよ。 53 00:04:53,293 --> 00:04:56,296 うん… どっか出てたんか。 54 00:04:56,296 --> 00:05:00,567 おていが 表でキツネの鳴き声が したっていうから見てきたに。 55 00:05:00,567 --> 00:05:04,371 な? 何もいなかったけんどな。 (渋沢てい)うん。 56 00:05:06,239 --> 00:05:08,542 (なか)聞いとらん。 57 00:05:11,912 --> 00:05:14,247 (渋沢市郎右衛門)栄一はどうしている? 58 00:05:14,247 --> 00:05:16,917 (渋沢ゑい)変わりねえですよ。 59 00:05:16,917 --> 00:05:21,388 陣屋から戻ってきたら 繭を出すのを手伝ってくれて…。 60 00:05:21,388 --> 00:05:26,092 今はまた 尾高から借りた本を 夢中になって読んでいます。 61 00:05:26,092 --> 00:05:29,129 (市郎右衛門)そうか…。 62 00:05:29,129 --> 00:05:34,267 でも やっぱり あの剛情っぱりは困りもんだいね。 63 00:05:34,267 --> 00:05:38,772 お上に刃向かうなんて…。 64 00:05:38,772 --> 00:05:41,675 私が甘やかしたんかいねぇ。 65 00:05:41,675 --> 00:05:48,481 いいや。 あいつの理屈には もっともなとこもある。 66 00:05:48,481 --> 00:05:53,620 だけんど どんなに理屈が通っても➡ 67 00:05:53,620 --> 00:05:58,959 治めるものと治められるものの あんばいが崩れれば➡ 68 00:05:58,959 --> 00:06:02,262 どんな目に遭うか分からねぇ。 69 00:06:04,364 --> 00:06:10,170 それに ほかの者へ迷惑がかかる。 70 00:06:12,572 --> 00:06:15,775 理屈だけじゃあいがねぇんだ。 71 00:06:17,444 --> 00:06:19,946 そうですね…。 72 00:06:22,749 --> 00:06:26,052 それから お前さん。 73 00:06:31,925 --> 00:06:39,633 もう一つ ちっと困ったことがあるんです。 74 00:06:42,636 --> 00:08:15,362 ♬~ 75 00:08:15,362 --> 00:09:33,072 ♬~ 76 00:09:35,575 --> 00:09:38,077 まことにたまげた。 77 00:09:38,077 --> 00:09:43,383 この本には俺が生まれた頃の 清国とエゲレスの戦のことが書いてある。 78 00:09:43,383 --> 00:09:47,587 あの なっからでけえはずの清国は どうしてエゲレスに敗れちまったんだい? 79 00:09:47,587 --> 00:09:52,392 それがなぁ まあいろいろあるが まずは交易だ。 80 00:09:52,392 --> 00:09:57,597 エゲレスはまず鴉片という 人から生気を奪うおっかねぇ毒を➡ 81 00:09:57,597 --> 00:10:01,768 清国にいっぺぇ持ち込んで 清国人の魂を奪ったんだ。 82 00:10:01,768 --> 00:10:04,104 なんと! 魂が奪われんのか! 83 00:10:04,104 --> 00:10:09,409 そうよ。 そして ふぬけになったところを 軍鑑で襲い 無理やりに国を開かせたんだ。 84 00:10:09,409 --> 00:10:12,946 (尾高長七郎)この日の本も危ないぞ。 85 00:10:12,946 --> 00:10:15,782 メリケンは もう 日の本に足を踏み入れてる。 86 00:10:15,782 --> 00:10:18,418 え? メリケン人はもう入ってきてんのか! 87 00:10:18,418 --> 00:10:20,787 はあ なんてこった。 88 00:10:20,787 --> 00:10:23,122 それじゃあ いつメリケンの連中が➡ 89 00:10:23,122 --> 00:10:26,426 俺たちの魂を奪おうとするか 分かんねぇに。 90 00:10:26,426 --> 00:10:29,629 そうだよな。 あぁ。 91 00:10:31,264 --> 00:10:37,070 俺は とうとう生きる道を見つけた。 92 00:10:37,070 --> 00:10:40,640 なぜ俺たちが剣を学ぶか。 93 00:10:40,640 --> 00:10:43,977 それは…。 94 00:10:43,977 --> 00:10:46,479 え~い! 95 00:10:57,991 --> 00:10:59,926 敵を斬るためだ。 96 00:10:59,926 --> 00:11:03,930 敵を斬る? 97 00:11:07,667 --> 00:11:11,938 「俺は生きる道を見つけた」だとよ。 98 00:11:11,938 --> 00:11:14,841 長七郎め 粋がりおって。 99 00:11:14,841 --> 00:11:18,711 あぁ。 大したもんよ。 100 00:11:18,711 --> 00:11:21,648 それに比べて俺は…。 101 00:11:21,648 --> 00:11:24,117 (尾高平九郎)お~い お~い。 102 00:11:24,117 --> 00:11:26,786 おう。 103 00:11:26,786 --> 00:11:29,289 お千代。 油売りの帰りか。 (尾高千代)へぇ。 104 00:11:29,289 --> 00:11:34,794 平九郎も手伝って 偉えなあ。うん。 105 00:11:34,794 --> 00:11:38,631 いいなぁ。 俺も早く剣術がしてみてえなぁ。 106 00:11:38,631 --> 00:11:42,502 おう 握ってみるか。 うん! 107 00:11:42,502 --> 00:11:45,972 やわらかく… 握る。 108 00:11:45,972 --> 00:11:48,308 剣術剣術って➡ 109 00:11:48,308 --> 00:11:51,811 何事も兄のまねばかりしたがって。 110 00:11:51,811 --> 00:11:56,015 そりゃあ あの長七郎と あのあにぃの弟だもんなぁ。 111 00:12:00,520 --> 00:12:04,090 あの このご本は 兄の…? 112 00:12:04,090 --> 00:12:07,393 あぁ お借りしておった。 お千代も読んだんか? 113 00:12:07,393 --> 00:12:11,764 私? あぁ こんな難しげな本は読めません。 114 00:12:11,764 --> 00:12:16,269 なんの。 うちのとっさまは 小せぇ頃からお千代を褒めておったぞ。 115 00:12:16,269 --> 00:12:19,572 覚えがよくて字も美しいと。 いいえ。 116 00:12:21,140 --> 00:12:26,412 それに… このご本を読む時の兄さまたちは➡ 117 00:12:26,412 --> 00:12:31,250 いつも何だかおっかねえ顔をしてて。 え? 118 00:12:31,250 --> 00:12:37,557 このままでは この日の本も… この清国のように夷狄に踏みにじられる。 119 00:12:39,292 --> 00:12:42,128 そうか。 120 00:12:42,128 --> 00:12:46,933 あ~ あ~ 平九郎 みっともねえやつだに。 121 00:12:48,901 --> 00:12:50,903 よし。 122 00:12:52,839 --> 00:12:57,143 おい 姉さまは嫁に行がせねえぞ。 123 00:12:57,143 --> 00:12:59,078 (栄一 千代 喜作)ん? 124 00:12:59,078 --> 00:13:01,981 姉さまは 俺の嫁になるんだかんな。 125 00:13:01,981 --> 00:13:05,385 はぁ? バ… バカ言ってんじゃねぇよ おめぇ! 126 00:13:05,385 --> 00:13:07,920 弟と姉さまは めおとに なれねぇんだに! 127 00:13:07,920 --> 00:13:09,956 そうだ! おめぇ うちの姉さまだって おめぇ…。 128 00:13:09,956 --> 00:13:13,726 何をむきに。 子供の戯言だに。 129 00:13:13,726 --> 00:13:16,596 フフフ…。 130 00:13:16,596 --> 00:13:20,266 ん? うわさをすれば おめぇの姉さまじゃねぇか。 131 00:13:20,266 --> 00:13:23,603 おぉ 姉さまだ。 お~い 姉さま! 132 00:13:23,603 --> 00:13:25,805 (平九郎)お~い! 133 00:13:27,473 --> 00:13:31,344 ん? どうかしたのか? 元気ねぇなぁ。 134 00:13:31,344 --> 00:13:37,150 いや 今朝方も麦の汁までお代わりして 元気いっぺぇだったんになぁ。 135 00:13:41,020 --> 00:13:44,290 (渋沢まさ)だからやめた方がいいんに 決まってるだんべぇ。 136 00:13:44,290 --> 00:13:49,629 でも もうお蚕様が落ち着いたら 嫁入りの日取りを決めべぇって➡ 137 00:13:49,629 --> 00:13:52,131 向こうさんとも話してるしねぇ。 あぁ。 138 00:13:52,131 --> 00:13:56,002 (まさ)今ならまだ間に合うって。 今すぐ断りな。 な? 139 00:13:56,002 --> 00:13:58,905 断る? どうしたんだい? 140 00:13:58,905 --> 00:14:06,079 いや なかの縁談の相手の家が… どうやら つきもの筋でな。 141 00:14:06,079 --> 00:14:08,915 つきもの筋? 142 00:14:08,915 --> 00:14:11,384 (まさ)そうだよ。 オサキモチさ。 143 00:14:11,384 --> 00:14:13,920 杉沢村のもんが言ってたんだよ。 144 00:14:13,920 --> 00:14:17,790 あの家にはオサキギツネがついてるって。 145 00:14:17,790 --> 00:14:20,259 オサキギツネ…。 146 00:14:20,259 --> 00:14:22,261 おぉ 馬琴の本に出てきた。 147 00:14:22,261 --> 00:14:26,132 美しいおなごに化けて悪さをするっていう 尾っぽの裂けたキツネだいなぁ。 148 00:14:26,132 --> 00:14:30,603 そう それだよ! そんなの ただの言い伝えじゃないか。 149 00:14:30,603 --> 00:14:34,474 はぁそうですよ。 優しくていい方ですよ。 150 00:14:34,474 --> 00:14:39,112 お家だって 杉沢村の商家で一番栄えてるって。 151 00:14:39,112 --> 00:14:42,148 (宗助)つきもの筋の相手と結ばれるとな➡ 152 00:14:42,148 --> 00:14:45,985 つきものに縁のねぇ家まで キツネがついてきて➡ 153 00:14:45,985 --> 00:14:51,124 みぃんな オサキモチになっちまうってんだ。 154 00:14:51,124 --> 00:14:54,026 つまりこの渋沢の家まで…。 155 00:14:54,026 --> 00:14:56,629 ハハハ。 キツネがついてくるって…。 156 00:14:56,629 --> 00:15:00,900 栄一。 さっきからうるさいよ。 子供は引っ込んでな。 157 00:15:00,900 --> 00:15:04,737 (宗助)わしは金輪際反対だかんな。 158 00:15:04,737 --> 00:15:07,240 (まさ)そうだよ。 159 00:15:07,240 --> 00:15:12,111 ♬「お蚕様の ご馳走の」 160 00:15:12,111 --> 00:15:19,385 ♬「桑の葉 頂く ありがたさ ありがたさ」 161 00:15:19,385 --> 00:15:22,288 ♬「ヨィヨィ」 162 00:15:22,288 --> 00:15:26,926 ♬「血洗島の桑葉は」 163 00:15:26,926 --> 00:15:32,098 お~い おてい。 うんまげな桑の実だんべ。 164 00:15:32,098 --> 00:15:36,402 お~! こりゃあ うんまげだに。 165 00:15:36,402 --> 00:15:39,405 あらぁ 本当だねぇ。 166 00:15:41,240 --> 00:15:43,609 (てい 平九郎)あ。 167 00:15:43,609 --> 00:16:02,094 ♬~ 168 00:16:02,094 --> 00:16:04,897 なかに つきものがついただと? 169 00:16:04,897 --> 00:16:10,069 あぁ 見たんだよ 裏のふちで じっと水面に見入ったり➡ 170 00:16:10,069 --> 00:16:12,905 かと思ったら急におっかねぇ顔で 石っころ投げ込んだり。 171 00:16:12,905 --> 00:16:14,841 なぁにバカなことを言ってんだ。 172 00:16:14,841 --> 00:16:18,377 でも… 今朝方も起きてきなかったしなあ。 173 00:16:18,377 --> 00:16:23,082 あんなに明るい子が 近頃はあまり口も利かねぇし…。 174 00:16:23,082 --> 00:16:25,017 ほぉら見ない。 175 00:16:25,017 --> 00:16:28,387 もうこれは キツネのたたりをおはらいする➡ 176 00:16:28,387 --> 00:16:30,456 拝み屋を呼んだ方がいいって。 177 00:16:30,456 --> 00:16:33,960 バカな! 拝み屋なんか呼んでどうする! 178 00:16:36,762 --> 00:16:38,764 あ 姉さま。 179 00:16:41,400 --> 00:16:46,606 (まさ)ほぉら あんな生気のねぇ顔して…。 180 00:16:48,274 --> 00:16:51,143 栄一 お前ついてげ。 181 00:16:51,143 --> 00:16:55,281 え 俺? 俺 この桑切り終わったら 道場に剣術の稽古に…。 182 00:16:55,281 --> 00:16:57,984 いいから行がねぇか! 183 00:17:00,553 --> 00:17:02,889 え~。 184 00:17:02,889 --> 00:17:08,394 姉さま! おい 姉さま! 185 00:17:10,229 --> 00:17:12,732 姉さま。 186 00:17:12,732 --> 00:17:41,594 ♬~ 187 00:17:41,594 --> 00:17:45,097 姉さま 危ねえって…。 188 00:17:45,097 --> 00:17:47,400 姉さま 危ねえって。 189 00:18:09,422 --> 00:18:16,128 その後 なかの縁談は破談となりました。 190 00:18:18,898 --> 00:18:26,572 そのころ 江戸でも 黒船の来航により多くの疫病が流行。 191 00:18:26,572 --> 00:18:30,076 さまざまな迷信が はやるようになりました。 192 00:18:32,445 --> 00:18:37,750 (徳川斉昭) 「流言飛語の類いが人心を惑わせ➡ 193 00:18:37,750 --> 00:18:43,923 時勢も悪しく相なり候…。➡ 194 00:18:43,923 --> 00:18:49,795 メリケン船が下田へ エゲレス船が長崎へ来たるよしにて➡ 195 00:18:49,795 --> 00:18:54,600 年々 夷狄の毒も深く相なり候」。 196 00:18:56,402 --> 00:19:00,106 (徳川慶喜)夷狄の毒か。 197 00:19:00,106 --> 00:19:03,909 父上がやり過ぎぬとよいが。 198 00:19:05,911 --> 00:19:09,215 (斉昭)なんと ぶざまな! 199 00:19:09,215 --> 00:19:17,890 メリケンの次はエゲレスと和親を結び 今度はヲロシアもと申すか! 200 00:19:17,890 --> 00:19:21,727 この事態 天子様はご存じなのか? 201 00:19:21,727 --> 00:19:25,064 (阿部正弘)無論 某がお伝えいたしました。 202 00:19:25,064 --> 00:19:32,805 ならばあえて徳川三家であり 東照神君の血を引くこの斉昭が言上する。 203 00:19:32,805 --> 00:19:37,777 今は天子様を我が国の要と成しまつり➡ 204 00:19:37,777 --> 00:19:43,082 この日の本の精神を 統一ならしめることこそ肝要。 205 00:19:43,082 --> 00:19:53,726 その前に安易に国を開けば たちまち清国のような隷属国となるぞ! 206 00:19:53,726 --> 00:19:58,097 隷属国にならぬよう 我らが日々心身を労していることが➡ 207 00:19:58,097 --> 00:20:00,766 どうしてお分かりいただけぬのか! 黙れ 黙れ 黙れ! 208 00:20:00,766 --> 00:20:03,803 (阿部)万が一 今 異国より戦端を切られたとして➡ 209 00:20:03,803 --> 00:20:07,406 このままの防備で 日の本が無事で済むと本気でお思いか! 210 00:20:07,406 --> 00:20:11,277 黙らんか! (藤田東湖)失礼ながら言上奉ります。 211 00:20:11,277 --> 00:20:14,180 伊勢守様のご苦労はご老公も承知のこと。 212 00:20:14,180 --> 00:20:18,150 ただ伊勢守様のために 何かできぬかと思い➡ 213 00:20:18,150 --> 00:20:20,953 励んでおるのでございます。 214 00:20:25,825 --> 00:20:27,827 (伝令)下田より急報! 215 00:20:27,827 --> 00:20:30,830 昨日巳の刻 大地震発生。 216 00:20:42,308 --> 00:20:44,810 (伝令)その後 大津波が湾を襲い➡ 217 00:20:44,810 --> 00:20:50,449 和親の交渉中のヲロシア船が 転覆したとのこと! 218 00:20:50,449 --> 00:20:53,986 ヲロシアの船が転覆? 快なり!➡ 219 00:20:53,986 --> 00:20:57,022 下田に神風が吹いたのだ! 220 00:20:57,022 --> 00:21:02,595 500人のヲロシア人どもを 一思いに皆殺しにせよ! 221 00:21:02,595 --> 00:21:04,530 ご老公! 何じゃい! 222 00:21:04,530 --> 00:21:09,268 天災に遭うものを不意打ちとは 人の道を外れたこと。 223 00:21:09,268 --> 00:21:12,171 何を? これを機に殺戮を行えば➡ 224 00:21:12,171 --> 00:21:15,774 我が国に悪しき評判が立ち ヲロシアはもちろん➡ 225 00:21:15,774 --> 00:21:18,677 異国は皆 絶好の口実を得て 攻め寄せることでしょう。 226 00:21:18,677 --> 00:21:21,647 (斉昭)黙れ! 227 00:21:21,647 --> 00:21:27,119 川路様は? 応接掛の皆々様はご無事でござろうか。 228 00:21:27,119 --> 00:21:30,122 (阿部)詳しくは別室にて…。 229 00:21:35,794 --> 00:21:38,697 いろいろと失礼を申しました。 230 00:21:38,697 --> 00:21:42,201 少し疲れておるのです。 231 00:21:43,969 --> 00:21:47,640 また詳しきことが分かり次第 ご報告に参りまする。 232 00:21:47,640 --> 00:21:51,644 さっさと床に入って寝てしまえ! 233 00:22:00,252 --> 00:22:04,123 (東湖)異国人とて 国には親や友がありましょう。 234 00:22:04,123 --> 00:22:09,261 ましてや かのヲロシア人どもは 敵ながら国の使命を果たすため➡ 235 00:22:09,261 --> 00:22:13,265 何か月も船に揺られ やって来た いわば忠臣。 236 00:22:13,265 --> 00:22:16,035 どうかお気をお鎮めください。 237 00:22:16,035 --> 00:22:20,406 夷狄の親や友のことなど知るか! 238 00:22:20,406 --> 00:22:28,147 しかし… 誰しも 掛けがえのなきものを 天災で失うは耐え難きこと。 239 00:22:28,147 --> 00:22:31,417 また今となっては夷狄を打ち払うよりも➡ 240 00:22:31,417 --> 00:22:35,621 いかにして日の本の誇りを守るかが 肝要でございます。 241 00:22:35,621 --> 00:22:40,426 3,000万の精神を凝結一致ならしめれば 必ずや富国強兵につながり➡ 242 00:22:40,426 --> 00:22:42,361 さすれば国を開いたとしても➡ 243 00:22:42,361 --> 00:22:45,264 必ずや我が国は 異国に敬われることとなるでしょう。 244 00:22:45,264 --> 00:22:48,300 そんなことは分かっておる! 245 00:22:48,300 --> 00:22:51,437 ご老公のご心中 この東湖が一番よく存じております。 246 00:22:51,437 --> 00:22:56,976 ここしばらくはどうか どうかお心をお鎮めください。 247 00:22:56,976 --> 00:22:59,178 殿! 248 00:23:03,082 --> 00:23:07,586 しっかりしろ! 249 00:23:07,586 --> 00:23:10,256 (森山栄之助) あちらで急ぎ暖をとらせるのじゃ。 はっ! 250 00:23:10,256 --> 00:23:13,092 (川路聖謨) 森山 炊き出しの米が足りておらぬ! 251 00:23:13,092 --> 00:23:15,027 急ぎ運ばせよ! はっ。 252 00:23:15,027 --> 00:23:17,763 いや これ以上夷狄に…。 253 00:23:17,763 --> 00:23:20,666 このような時に 異国も何もあるか! 254 00:23:20,666 --> 00:23:22,668 はっ。 255 00:23:31,610 --> 00:23:34,613 誰か持ってってあげて! はい! 256 00:23:51,797 --> 00:23:55,434 (藤田小四郎)父上 お帰りなさいませ。 257 00:23:55,434 --> 00:23:57,803 小四郎 どなたかお越しか? 258 00:23:57,803 --> 00:23:59,838 (平岡円四郎)東湖様。 ん? 259 00:23:59,838 --> 00:24:02,641 平岡? お主どうしてここに? 260 00:24:02,641 --> 00:24:04,944 (円四郎)我が殿がお待ちでござんす。 261 00:24:07,913 --> 00:24:11,250 今日も客がひっきりなしだったようだな。 262 00:24:11,250 --> 00:24:17,756 はい。 薩摩の西郷吉之助に越前の橋本左内…➡ 263 00:24:17,756 --> 00:24:20,793 多忙でこの一年めっきり白髪も増え➡ 264 00:24:20,793 --> 00:24:25,631 一度に年を4つ5つ取ったかのごとき 心地でございます。 265 00:24:25,631 --> 00:24:27,766 して今日は? 266 00:24:27,766 --> 00:24:31,937 夷狄について尋ねに来た。 ほう。 267 00:24:31,937 --> 00:24:37,409 夷狄の武器は船にせよ大筒にせよ 我が国のものより数段上と聞く。 268 00:24:37,409 --> 00:24:40,312 そなたも知ってのとおり 私は元来 武芸を好む。 269 00:24:40,312 --> 00:24:42,614 是非これについて学んでみたい。 270 00:24:42,614 --> 00:24:48,787 すばらしきお考え。 きっとお父上も喜ばれましょう。 271 00:24:48,787 --> 00:24:53,592 そうか? 夷狄嫌いの父の機嫌を損ねぬとよいが。 272 00:24:55,294 --> 00:25:01,100 ご老公は孫子の「彼を知り己れを知れば 百戦して殆うからず」の言葉どおり➡ 273 00:25:01,100 --> 00:25:04,903 かねてより西洋兵術を学ばれた。 274 00:25:04,903 --> 00:25:08,774 7つのあなた様が 千波ヶ原の訓練にいらした時も➡ 275 00:25:08,774 --> 00:25:12,644 どれほど誇らしいお顔を しておられたことか。 276 00:25:12,644 --> 00:25:16,382 見事じゃ 七郎麻呂。 277 00:25:16,382 --> 00:25:18,384 はっ! 278 00:25:21,086 --> 00:25:26,258 ご老公は元来決して 了見の狭いお方ではございませぬ。 279 00:25:26,258 --> 00:25:30,763 国を守りたいという思いが 誰よりお強いだけ。 280 00:25:30,763 --> 00:25:34,933 伊勢守様もそれはよくご存じです。 281 00:25:34,933 --> 00:25:38,804 たとえ仲たがいがあろうと 伊勢守様はきっとまた➡ 282 00:25:38,804 --> 00:25:41,607 ご老公を頼ってまいりましょう。 283 00:25:44,109 --> 00:25:46,779 そうか。 284 00:25:46,779 --> 00:25:49,081 ははっ。 285 00:25:51,417 --> 00:25:55,287 諍臣ってぇのはよ➡ 286 00:25:55,287 --> 00:25:58,791 おめぇのおとっさんみてぇなことを 言うんだろうなぁ。 287 00:26:00,893 --> 00:26:03,695 はい? はい? 288 00:26:05,731 --> 00:26:09,601 ハハ。 ひと味違いますぞ 水戸の茶は。 289 00:26:09,601 --> 00:26:11,904 ハハハハ…。 290 00:26:32,758 --> 00:26:35,594 おい 栄一。 今日も来ねぇんか? 291 00:26:35,594 --> 00:26:37,529 いや 今はちっと…。 292 00:26:37,529 --> 00:26:39,932 ついてこないでって言ってるでしょう! 293 00:26:39,932 --> 00:26:41,867 ほっといてくれって言ってんだよ。 294 00:26:41,867 --> 00:26:44,269 道場でも岡部でも 好きな所に行げばいいじゃあねぇか! 295 00:26:44,269 --> 00:26:47,272 おい ねえさま? 栄一は心配して…。 296 00:26:47,272 --> 00:26:50,609 はぁ? うるせぇんだ 喜作! 小僧のくせに! 297 00:26:50,609 --> 00:26:52,544 へ? は? 298 00:26:52,544 --> 00:26:55,948 すまん 喜作。 今はちょっと…。 また必ず稽古 行ぐから。 299 00:26:55,948 --> 00:27:00,919 姉さま…。 離せ! やめろ! やめろ 離せ! 300 00:27:00,919 --> 00:27:05,057 キツネにつかれたってうわさは まことだったのか。 301 00:27:05,057 --> 00:27:10,863 なんという腰抜けだ。 国の一大事に家の者の面倒を見るとは。 302 00:27:12,931 --> 00:27:17,569 おい 長七郎 待てよ。 あいつは腰抜けだよ! 303 00:27:17,569 --> 00:27:19,872 来るな! 304 00:27:26,078 --> 00:27:28,747 へえ 確かに。 また頼まいね。 305 00:27:28,747 --> 00:27:32,918 へえ お願いします。 306 00:27:32,918 --> 00:27:53,705 ♬~ 307 00:27:56,775 --> 00:28:00,646 俺は キツネがついたなんて思っちゃいねぇ。 308 00:28:00,646 --> 00:28:05,584 とっさまもだ。 おはらいなんかする気もねぇ。 309 00:28:05,584 --> 00:28:11,590 でもな どうやったら 姉さまの気が晴れんのか分かんねぇんだ。 310 00:28:13,725 --> 00:28:18,063 縁談のお相手を 好いておられたのでしょうか。 311 00:28:18,063 --> 00:28:20,365 いや 別に恋仲だったわけでもねえ。 312 00:28:20,365 --> 00:28:24,903 一度か二度お会いしただけのお人だに。 313 00:28:24,903 --> 00:28:32,578 それでも… 何となく心が通じて お人柄にひかれることもございましょう? 314 00:28:32,578 --> 00:28:35,480 そうか? へぇ。 315 00:28:35,480 --> 00:28:42,254 縁談が決まられてから おなかさんはどんどん美しくなられて…➡ 316 00:28:42,254 --> 00:28:51,263 嫁入りとは それほど心華やぐことかと 羨ましく思っておりましたゆえ。 317 00:28:51,263 --> 00:28:54,266 そうか。 318 00:28:54,266 --> 00:28:58,136 もしそうなら 姉さまみてぇな気の強えおなごまで➡ 319 00:28:58,136 --> 00:29:03,842 こんなことになっちまうたぁ 恋心とは おっかねぇもんだなぁ。 320 00:29:09,548 --> 00:29:11,550 そうですか。 321 00:29:13,352 --> 00:29:16,355 おっと。 そんじゃまたな。 322 00:29:19,558 --> 00:29:24,263 (千代)強く見えるものほど 弱きものです。 323 00:29:26,331 --> 00:29:30,068 弱きものとて強いところもある。 324 00:29:30,068 --> 00:29:34,239 人は一面ではございません。 325 00:29:34,239 --> 00:30:08,140 ♬~ 326 00:30:08,140 --> 00:30:11,143 (市郎右衛門)なか。➡ 327 00:30:11,143 --> 00:30:18,617 たまには とっさまと出かけてみねぇか? 328 00:30:18,617 --> 00:30:32,130 ♬~ 329 00:30:32,130 --> 00:30:35,167 翌日 市郎右衛門は➡ 330 00:30:35,167 --> 00:30:40,439 藍玉の集金回りに なかを連れていくことにしました。 331 00:30:40,439 --> 00:30:44,142 なか 行ぐど。 332 00:30:51,817 --> 00:30:54,119 気を付いてな。 333 00:31:13,772 --> 00:31:17,642 姉さま 大丈夫なんかなぁ。 334 00:31:17,642 --> 00:31:21,947 なかはあんたと違って旅なんて初めてだ。 335 00:31:21,947 --> 00:31:24,783 いい気晴らしになるといいねぇ。 336 00:31:24,783 --> 00:31:27,285 あぁ。 337 00:31:27,285 --> 00:31:29,788 (まさ)おゑいさん。 338 00:31:29,788 --> 00:31:32,124 おねえさん。 339 00:31:32,124 --> 00:31:35,160 市郎右衛門さん 昨日から出かけてるんだって?➡ 340 00:31:35,160 --> 00:31:38,897 ちょうどよかった。 これは好都合だ。 341 00:31:38,897 --> 00:31:43,835 この人たちは…。 こちらの方々は修験者様だよ。 342 00:31:43,835 --> 00:31:46,438 おはらいをしてくださるというんだ。 343 00:31:46,438 --> 00:31:48,807 おはらい? 344 00:31:48,807 --> 00:31:51,143 ささ どうぞお入りください。 345 00:31:51,143 --> 00:31:53,178 ちょっと…。 お邪魔する! 346 00:31:53,178 --> 00:31:56,448 散らかっておりますが…。 何言ってんだ かっさま。 347 00:31:56,448 --> 00:32:01,086 まさおばさん 祈祷なんかいらねぇ。 この家にたたりなんかあるもんか。 348 00:32:01,086 --> 00:32:03,021 また あんたの減らず口かい。 349 00:32:03,021 --> 00:32:06,391 大体な 長男のあんたが頼りねぇから こんなことになっちまったんだよ。 350 00:32:06,391 --> 00:32:09,761 俺が頼りねえのと 姉さまの乱心は 関わりのねえことだ。 351 00:32:09,761 --> 00:32:12,097 そもそもな まさおばさんが キツネだとか何だとか➡ 352 00:32:12,097 --> 00:32:14,100 言いだすのが悪いんじゃねえか。 何を言うんだい もう。 353 00:32:14,100 --> 00:32:21,206 子供は黙ってな! さささ 皆もどうぞ どうぞ。 354 00:32:24,276 --> 00:32:27,479 もう… 帰れ お前ら! 帰れ! 355 00:32:52,804 --> 00:32:58,677 これが神の声を伝える 口寄せでございます。 356 00:32:58,677 --> 00:33:01,913 では 始める。 357 00:33:01,913 --> 00:33:07,719 かしこみ かしこみ申す。 358 00:33:13,258 --> 00:33:17,262 はらい給え 清め給え。 359 00:33:17,262 --> 00:33:25,270 はらい給え 清め給え。 はらい給え 清め給え。 360 00:33:25,270 --> 00:33:28,773 はらい給え 清め給え。 361 00:33:28,773 --> 00:33:33,945 おぉ! おお おいでなすった。 362 00:33:33,945 --> 00:33:39,251 いずれの神のご降臨にや お告げを被りたし。 363 00:33:42,420 --> 00:33:55,433 この家には… 金神と井戸の神がたたっておる。 364 00:33:55,433 --> 00:33:57,969 えぇ!? 365 00:33:57,969 --> 00:34:08,613 また この家に無縁仏ありて この家をたたっておるなり。 366 00:34:08,613 --> 00:34:11,249 (まさ)ほぉら 見てみない。➡ 367 00:34:11,249 --> 00:34:16,588 前にじっさまから聞いたよ。 昔この家からお伊勢さまに出て➡ 368 00:34:16,588 --> 00:34:19,257 それっきり 帰ってきなかった人がいるんだ。➡ 369 00:34:19,257 --> 00:34:23,094 無縁仏はその人に違いあるめぇ。 370 00:34:23,094 --> 00:34:28,967 そのせいで なかがあんな恐ろしげな病に あっちまったんだよ。➡ 371 00:34:28,967 --> 00:34:32,604 やっぱり たたりだったんだいね。 372 00:34:32,604 --> 00:34:39,377 神様 ありがとうございます。 ありがとうございます。 373 00:34:39,377 --> 00:34:42,080 (ゑい)ありがとうございます。 374 00:34:44,215 --> 00:34:49,054 (まさ)このたたりをはらうには どうしたらよいのでしょう。 375 00:34:49,054 --> 00:34:53,792 (修験者)このたたりを清めるには いかようにせば可ならん。 376 00:34:53,792 --> 00:35:01,366 ほこらを建立し あがめ奉るべし。 377 00:35:01,366 --> 00:35:08,073 聞いたかい。 ほこらですね ほこら ほこら…。 378 00:35:08,073 --> 00:35:11,743 一つお伺いしたい。 379 00:35:11,743 --> 00:35:14,379 先ほど 無縁仏と申されたが➡ 380 00:35:14,379 --> 00:35:18,750 その無縁仏が出たのは およそ何年前のことでございましょうか。 381 00:35:18,750 --> 00:35:21,086 口を出すんじゃないって言ってるだんべ。 382 00:35:21,086 --> 00:35:27,759 いいや。 ほこらを建てるにも供養するにも その年月知らなかったら困るだんべぇ。 383 00:35:27,759 --> 00:35:34,065 (修験者)フッ よかろう。 無縁仏が出たその年は? 384 00:35:35,934 --> 00:35:43,675 おおよそ60年ほど前のことなり。 385 00:35:43,675 --> 00:35:48,680 60年? ということは そのころの年号は? 386 00:35:53,485 --> 00:35:59,290 天保3年なり。 387 00:35:59,290 --> 00:36:03,361 天保3年は23年前だで? 388 00:36:03,361 --> 00:36:05,430 おい どういうことでえ…。 389 00:36:05,430 --> 00:36:09,067 偉ぇ神様が 無縁仏の有り無しは知ってて➡ 390 00:36:09,067 --> 00:36:11,903 年号を知らねぇなんてことあるはずねぇ。 391 00:36:11,903 --> 00:36:14,572 (ゑい)ちょっと 栄一…。 だってそうだに。 392 00:36:14,572 --> 00:36:18,910 人にまつられるはずの神様が こんなこともお分かりにならねぇとは➡ 393 00:36:18,910 --> 00:36:24,082 金神だか井戸の神だが知らねぇが 所詮大した神様じゃねぇだんべぇ。 394 00:36:24,082 --> 00:36:27,118 何てこと言うんだい… 天罰が当たるよ! 395 00:36:27,118 --> 00:36:30,855 しかし 栄一の言うことも もっともだい。 そうだいのう…。 396 00:36:30,855 --> 00:36:34,592 修験者様 これ どういうことだい? 397 00:36:34,592 --> 00:36:39,397 こ これは…➡ 398 00:36:39,397 --> 00:36:44,936 おおかた 神を偽った野ギツネでも来たのであろう。 399 00:36:44,936 --> 00:36:48,406 野ギツネ? あぁ だったら➡ 400 00:36:48,406 --> 00:36:51,309 いたずらギツネに 立派なほこらなんか必要ねぇに。 401 00:36:51,309 --> 00:36:53,945 そうだな? まさおばさん。 402 00:36:53,945 --> 00:36:58,249 そうだねぇ。 そういうことになりますかねぇ。 403 00:37:00,552 --> 00:37:03,588 (修験者) なんと。 神をも畏れぬ不届きものめ!➡ 404 00:37:03,588 --> 00:37:08,293 お前にはいずれ 偉大なる神の大きな罰が下るであろう! 405 00:37:10,228 --> 00:37:13,231 野ギツネだか何だか知らねぇが…➡ 406 00:37:13,231 --> 00:37:17,569 俺は人の弱みにつけ込む神様なんか これっぽっちも怖かねぇ。 407 00:37:17,569 --> 00:37:20,071 うちの姉さまだってそんなに弱かねぇぞ。 408 00:37:20,071 --> 00:37:25,744 こんなえたいの知れねぇもんで 一家を惑わすのは金輪際御免被る。 409 00:37:25,744 --> 00:37:29,914 とっとと帰れ! 410 00:37:29,914 --> 00:37:33,918 お待ちを お待ちを 修験者様…。 411 00:37:45,463 --> 00:37:53,104 ハハハハ… 栄一のおしゃべりも たまには役に立つ。 412 00:37:53,104 --> 00:37:55,406 二度と来んな このニセモンが。 413 00:37:57,942 --> 00:38:16,728 ♬~ 414 00:38:16,728 --> 00:38:18,663 栄一! 415 00:38:18,663 --> 00:38:20,965 お 帰ってきたんか。 416 00:38:22,600 --> 00:38:24,602 ふむ。 顔色もいいじゃねぇか。 417 00:38:24,602 --> 00:38:28,239 とっさまと山ん中 歩いてるうちに 気分も晴れたわ。 418 00:38:28,239 --> 00:38:31,743 花もきれいで…。 そうか。 419 00:38:31,743 --> 00:38:34,579 ふうん…。 420 00:38:34,579 --> 00:38:38,082 お千代が姉さまを美しいと言っていたが➡ 421 00:38:38,082 --> 00:38:43,955 キツネの妖怪といえば国を滅ぼすほど 美しいといわれた玉藻の前だ。 422 00:38:43,955 --> 00:38:47,091 姉さまなんかに とりつくはずがねぇだんべ。 423 00:38:47,091 --> 00:38:51,596 何だって? この要らぬ口め。 滅ぼしてやるぞ! 424 00:38:51,596 --> 00:38:55,400 こら! こら! 痛っ! 痛い 痛い…。 425 00:38:55,400 --> 00:38:59,771 やっぱりキツネより 姉さまの方がおっかねえ。 426 00:38:59,771 --> 00:39:01,706 栄一。 ん? 427 00:39:01,706 --> 00:39:04,909 ありがとうね。 428 00:39:10,882 --> 00:39:12,817 くっさ! え? 429 00:39:12,817 --> 00:39:15,220 姉さま 旅のアカが落ちてねえんじゃねえか。 430 00:39:15,220 --> 00:39:18,122 はあ? 汗流した方がいいだんべ。 ほら。 431 00:39:18,122 --> 00:39:20,358 ひゃ~! 栄一 こら! 432 00:39:20,358 --> 00:39:39,577 ♬~ 433 00:39:39,577 --> 00:39:43,281 そして その年の秋…。 434 00:40:08,106 --> 00:40:10,041 殿! 円四郎! 435 00:40:10,041 --> 00:40:12,043 急ぎお屋敷の外に! 436 00:40:17,815 --> 00:40:20,618 上様 お急ぎなさいませ! 437 00:40:22,654 --> 00:40:26,958 (徳川家定)お おお… なんと…! 438 00:40:26,958 --> 00:40:31,629 (歌橋)上様~! 上様~! 439 00:40:31,629 --> 00:40:34,432 上様! 歌橋! 440 00:40:41,806 --> 00:40:46,311 (井伊直弼) 上様はご無事! 上様はご無事じゃ! 441 00:40:48,680 --> 00:40:53,484 上様はご無事。 吹上御庭にお渡りになった。 442 00:40:55,653 --> 00:40:59,157 こりゃあ ひでぇありさまだ。 父上! 母上! 443 00:40:59,157 --> 00:41:01,092 (斉昭)東湖! (武田耕雲斎)東湖殿!東湖はどこじゃ! 444 00:41:01,092 --> 00:41:03,027 父上! (耕雲斎)よくぞご無事で。 445 00:41:03,027 --> 00:41:05,763 御簾中様もご無事でございます。 それは何より。 446 00:41:05,763 --> 00:41:07,699 そんなことより東湖じゃ! 447 00:41:07,699 --> 00:41:11,936 東湖はどこじゃ!東湖殿! 東湖! 東湖! 448 00:41:11,936 --> 00:41:19,243 ⚟(小四郎)父上! 父上…。 449 00:41:21,946 --> 00:41:24,415 父上…。 450 00:41:24,415 --> 00:41:29,253 東湖… 東湖! 451 00:41:29,253 --> 00:41:31,255 東湖! 452 00:41:32,957 --> 00:41:35,159 ああ…。 453 00:41:38,763 --> 00:41:41,966 東湖! 東湖! 454 00:41:41,966 --> 00:41:46,437 東湖! 東湖! 東湖! 455 00:41:46,437 --> 00:41:50,808 異国人とて 国には親や友がありましょう。 456 00:41:50,808 --> 00:41:56,014 誰しも 掛けがえのなきものを 天災で失うは耐え難きこと。 457 00:41:58,683 --> 00:42:03,388 わしは掛けがえのなき友を…➡ 458 00:42:03,388 --> 00:42:09,093 掛けがえのなき友を亡くしてしまった…。 459 00:42:09,093 --> 00:42:13,965 東湖…。 460 00:42:13,965 --> 00:42:21,472 東湖! 東湖! 東湖…! 461 00:42:30,281 --> 00:42:33,184 大変だ 兄貴! 道場破りだに! 462 00:42:33,184 --> 00:42:36,087 新しい世が始まろうとしているのです。 463 00:42:36,087 --> 00:42:39,791 ええっ! 何故じゃ! 464 00:42:39,791 --> 00:42:43,127 あたしゃ あなた様を 武士のもぐらと見ておりますんで。 465 00:42:43,127 --> 00:42:45,797 千代はそんな栄一さんを お慕い申しておるんだに! 466 00:42:45,797 --> 00:42:49,133 はら さようでございもすか。 467 00:42:49,133 --> 00:42:51,803 あぁ 分かんねぇ! 468 00:42:51,803 --> 00:42:55,306 本当に男は戦が好きだいねぇ。