1 00:00:02,202 --> 00:00:04,137 (平岡円四郎) いたずらに幕府を倒すために➡ 2 00:00:04,137 --> 00:00:10,978 命を投げ出したところで それが本当に 国のためになるのかどうか➡ 3 00:00:10,978 --> 00:00:14,414 おめえたちはまだ そこんとこを分かっちゃいねぇ。➡ 4 00:00:14,414 --> 00:00:17,417 どうだ? 5 00:00:19,253 --> 00:00:22,055 一橋の 家来になれ。 6 00:00:32,132 --> 00:00:38,005 (渋沢栄一)ご親切なお申し出 まことに感佩の至りでございます。 7 00:00:38,005 --> 00:00:41,808 しかし お察しどおり➡ 8 00:00:41,808 --> 00:00:44,711 すっかんぴんの身の上では ございますものの➡ 9 00:00:44,711 --> 00:00:47,314 いやしくも我々には志があります。 10 00:00:47,314 --> 00:00:49,983 ん ん ん ん ん? はぁ? 11 00:00:49,983 --> 00:00:51,919 断る気か? 12 00:00:51,919 --> 00:00:56,657 仕えるのか とっ捕まるのか どっちかしかねぇんだぞ! 13 00:00:56,657 --> 00:01:00,394 ははっ。 このような中 そのようなご厚情を頂き➡ 14 00:01:00,394 --> 00:01:02,930 まことに ありがたいことではございますが…。 15 00:01:02,930 --> 00:01:06,800 (渋沢喜作) いやしくも我々の志に関することゆえ➡ 16 00:01:06,800 --> 00:01:10,404 軽率には返答いたしかねます。 17 00:01:10,404 --> 00:01:14,274 2人でとくと相談した上 否か応かお返事いたしたく…。 18 00:01:14,274 --> 00:01:16,276 あ~… 分かった。 19 00:01:16,276 --> 00:01:19,413 もうよい。 さっさと帰れ。 20 00:01:19,413 --> 00:01:21,415 ははっ。ははっ。 21 00:01:24,284 --> 00:01:31,959 ♬~ 22 00:01:31,959 --> 00:01:38,732 はぁ… 本当のバカだぜ。 23 00:01:38,732 --> 00:01:42,436 川村。 (川村恵十郎)はっ。 24 00:01:42,436 --> 00:01:46,640 一応 公儀の役人への返事は 引き延ばしとけ。 25 00:01:46,640 --> 00:01:49,543 しかし あのように剛情なやつらを…。 26 00:01:49,543 --> 00:01:53,146 見つけてきたのはおめえだろ。 27 00:01:53,146 --> 00:01:57,818 大丈夫だ。 俺の読みどおり あの渋沢は…➡ 28 00:01:57,818 --> 00:02:02,656 まあ特に あの小さい方はバカだが ただのバカじゃねぇ。 29 00:02:02,656 --> 00:02:09,096 いろいろ教えてやれば きっと 今の世を正しく理解できるようになる。 30 00:02:09,096 --> 00:02:11,598 ありえねぇ話だい! 31 00:02:11,598 --> 00:02:14,267 昨日まで幕府を潰すと言っておきながら➡ 32 00:02:14,267 --> 00:02:17,771 今日んなって徳川方の一橋に 仕官するなんて…。 33 00:02:17,771 --> 00:02:22,976 命が惜しくなって志を曲げたと 後ろ指をさされるに決まってる。 34 00:02:24,945 --> 00:02:28,415 そのとおりだ。 35 00:02:28,415 --> 00:02:33,420 いっそ ここで命を絶つか? 36 00:02:35,188 --> 00:02:39,793 マゴマゴしてるうちに 縛られて獄につながれるより➡ 37 00:02:39,793 --> 00:02:46,099 その方がきっと 志を貫いた潔い男と言われる。 38 00:02:51,304 --> 00:02:57,644 あぁ 俺たちは草莽の志士として…。 39 00:02:57,644 --> 00:03:03,450 言われるかもしれねぇが 俺はごめんだ。 40 00:03:03,450 --> 00:03:07,754 いっくら潔いとか志があるとか 言われようが➡ 41 00:03:07,754 --> 00:03:11,258 気位だけ高くて 少しも世の役に立たねぇうちに➡ 42 00:03:11,258 --> 00:03:16,596 一身を終えるなんて 俺は決してそんなことはしたくねぇ! 43 00:03:16,596 --> 00:03:21,101 世のために利を出さねば何にもならねぇ。 44 00:03:21,101 --> 00:03:26,907 生きてさえいれば 今 卑怯と言われようが➡ 45 00:03:26,907 --> 00:03:32,612 志を曲げたと後ろ指をさされようが この先の己のやることで➡ 46 00:03:32,612 --> 00:03:35,649 いくらでも まことの心を示すことができる…。 47 00:03:35,649 --> 00:03:39,786 はぁ? 冗談じゃねぇ! あにぃたちに何と言う? 48 00:03:39,786 --> 00:03:46,293 いいや 今 仕官すれば 俺たちはもう ただの逃げ回る百姓じゃねぇ。 49 00:03:46,293 --> 00:03:49,629 幕府からの嫌疑は消え➡ 50 00:03:49,629 --> 00:03:53,333 あるいは長七郎を救い出す手だてが 見つかるかもしれねぇ。 51 00:03:56,503 --> 00:04:00,140 ただ生き延びるためだけじゃねぇ。 52 00:04:00,140 --> 00:04:03,910 平岡様が開いてくれたこの仕官の道は…➡ 53 00:04:03,910 --> 00:04:10,917 よぉく考えれば 一挙両得の上策だと俺は思うんだい! 54 00:04:14,387 --> 00:04:17,757 おめえ… 何かわくわくしてねぇか? 55 00:04:17,757 --> 00:04:21,094 いいや わくわくなどしてねぇ。 ただ…➡ 56 00:04:21,094 --> 00:04:23,764 ぐるぐる どくどくして…➡ 57 00:04:23,764 --> 00:04:28,401 そう! あの方の言葉を借りれば➡ 58 00:04:28,401 --> 00:04:31,304 おかしれぇ。 59 00:04:31,304 --> 00:04:34,274 おかしれぇって気持ちだ。 60 00:04:34,274 --> 00:07:25,278 ♬~ 61 00:07:27,914 --> 00:07:30,817 2人でとくと相談いたしました。 62 00:07:30,817 --> 00:07:33,253 このような窮地におる我らに➡ 63 00:07:33,253 --> 00:07:36,156 仕官の道をお開きくださる というご沙汰は➡ 64 00:07:36,156 --> 00:07:39,125 実に思いもかけねぇご厚意であります。 65 00:07:39,125 --> 00:07:42,762 あぁ そうだ。 そうだろうよ。 66 00:07:42,762 --> 00:07:47,400 しかしながら私どもは 百姓の出ではございますものの➡ 67 00:07:47,400 --> 00:07:50,303 一人の志士であることを 自ら任じておりました。 68 00:07:50,303 --> 00:07:53,273 あぁ もうそれは分かった。 69 00:07:53,273 --> 00:07:55,942 で どうすんだ? 70 00:07:55,942 --> 00:07:59,779 一橋様に 愚説ではございますが➡ 71 00:07:59,779 --> 00:08:02,682 我々の考えた意見を 建白いたしたいのです。 72 00:08:02,682 --> 00:08:05,218 殿に建白だと? ははっ。 73 00:08:05,218 --> 00:08:09,556 もし天下に事あらば 主君として我々を役立てたいと➡ 74 00:08:09,556 --> 00:08:14,894 そう思し召しいただけるのであれば 是非ともお召し抱えいただきたい。 75 00:08:14,894 --> 00:08:19,766 それならば草履取りだろうが 役目が重い軽いなど厭いません。 76 00:08:19,766 --> 00:08:25,372 是非とも私どもの愚説を 一橋様に建白した上で➡ 77 00:08:25,372 --> 00:08:29,075 お召し抱えということに していただきてぇ。 78 00:08:29,075 --> 00:08:33,079 その愚説ってのは一体何なんだ? 79 00:08:36,950 --> 00:08:39,085 こちらです。 80 00:08:39,085 --> 00:08:41,020 中身は? 81 00:08:41,020 --> 00:08:46,259 この国の一大事に 一橋様が御三卿の御身でありながら➡ 82 00:08:46,259 --> 00:08:49,596 天子様のおわす京に入られ 政に携わられますは…。 83 00:08:49,596 --> 00:08:54,100 長そうだな。 俺はこう見えても忙しいんだ。 84 00:08:54,100 --> 00:08:59,406 しかたねぇ。 しからばこれを 殿へご覧に入れるよう努力しよう。 85 00:08:59,406 --> 00:09:01,875 あ いいえ! 是非一度 拝謁を! 86 00:09:01,875 --> 00:09:05,345 一橋様に 是非これを じかにお耳に入れたいのです! 87 00:09:05,345 --> 00:09:10,717 はぁ? おめえら 殿に じかに口を利きてぇってのか? 88 00:09:10,717 --> 00:09:16,022 ははっ。 いやぁ そりゃ無理な話だ。 89 00:09:18,358 --> 00:09:22,162 …ったく まぁ~。 90 00:09:25,732 --> 00:09:29,569 こんばんは。 徳川家康です。 91 00:09:29,569 --> 00:09:34,908 今 栄一は「慶喜にじかに会わせろ」と 言っていましたが➡ 92 00:09:34,908 --> 00:09:38,378 いやぁ とんでもない。 93 00:09:38,378 --> 00:09:43,216 このころの慶喜は大変だったんです。 94 00:09:43,216 --> 00:09:50,390 先週 京の都に朝議参与が出来ました。 95 00:09:50,390 --> 00:09:52,325 覚えていますか? 96 00:09:52,325 --> 00:09:56,930 私はちょっとお休みしましたがね。 97 00:09:56,930 --> 00:10:02,268 このメンバーが 帝の御前での会議に参加し➡ 98 00:10:02,268 --> 00:10:05,605 政に意見をするようになった。 99 00:10:05,605 --> 00:10:14,948 これは 京を追い払われた長州に代わり 権力を得ようとする薩摩の提案でした。 100 00:10:14,948 --> 00:10:16,983 参与諸侯の中でも➡ 101 00:10:16,983 --> 00:10:21,621 薩摩の島津久光をはじめとする外様が➡ 102 00:10:21,621 --> 00:10:26,493 幕府に対抗する力を持ち始めていました。 103 00:10:26,493 --> 00:10:29,362 そこに 将軍 家茂と➡ 104 00:10:29,362 --> 00:10:34,968 我が幕府の老中たちも 勝手をさせてはなるものかと➡ 105 00:10:34,968 --> 00:10:37,670 江戸からやって来た。 106 00:10:39,839 --> 00:10:42,308 朝議参与でありながら➡ 107 00:10:42,308 --> 00:10:49,649 幕府の将軍後見職でもある 複雑な立場の慶喜は➡ 108 00:10:49,649 --> 00:10:53,153 その板挟みになったのです。 109 00:10:53,153 --> 00:11:00,159 そう 慶喜はピンチだったのです。 110 00:11:01,761 --> 00:11:09,269 幕府では 横浜の港を閉じるか否かを巡り 意見が分かれていました。 111 00:11:10,937 --> 00:11:14,774 江戸でその儀につき よくよく話しましたが…➡ 112 00:11:14,774 --> 00:11:20,113 今や薩摩も 港は閉じぬ方がよいと 申しておるとのこと。 113 00:11:20,113 --> 00:11:22,949 (円四郎)エゲレスと戦を起こした薩摩は➡ 114 00:11:22,949 --> 00:11:26,786 ようやく「攘夷は無謀」と 家中の考えを変え…。 115 00:11:26,786 --> 00:11:32,125 薩摩の説に 公儀は従うわけにはまいりませぬ。 116 00:11:32,125 --> 00:11:37,430 はぁ!? (酒井)昨年は長州に迫られ攘夷を約束し➡ 117 00:11:37,430 --> 00:11:42,802 こたびは薩摩に港は閉じるなと言われ 鎖港を引き下げるのでは➡ 118 00:11:42,802 --> 00:11:49,142 公儀は薩長に振り回され 少しも一定の見識を持たぬことになる。 119 00:11:49,142 --> 00:11:52,445 さよう。 こっちは横浜の港を閉じるために➡ 120 00:11:52,445 --> 00:11:55,982 既に西洋に 使節まで遣わしておるのです。 121 00:11:55,982 --> 00:11:57,917 (徳川慶喜)それでは…。 122 00:11:57,917 --> 00:12:01,754 (酒井)薩摩が港を 「閉じるな」と申すのなら➡ 123 00:12:01,754 --> 00:12:07,927 公儀は「閉じよ」でございまする。 124 00:12:07,927 --> 00:12:11,931 今更 港を閉じよなんて…。 125 00:12:15,268 --> 00:12:22,942 今更 港を閉じっとが よか策とは思いもはん。 126 00:12:22,942 --> 00:12:25,411 (松平春嶽)さよう。 127 00:12:25,411 --> 00:12:28,781 私も先日の勅諚を踏まえ➡ 128 00:12:28,781 --> 00:12:35,421 横浜の鎖港の算段はすぐにも中止し 開国の道を開くべきと考えます。 129 00:12:35,421 --> 00:12:38,124 (伊達宗城)至極同意。 130 00:12:38,124 --> 00:12:41,794 (久光)ハハハ… 大体➡ 131 00:12:41,794 --> 00:12:49,302 今のご公儀の方針は できもせんことを 朝廷に気に入らるっため➡ 132 00:12:49,302 --> 00:12:54,807 舌先三寸でうそぶくだけの まさに姑息なご処置。 133 00:12:54,807 --> 00:12:57,844 ハハハハ…。 姑息? 134 00:12:57,844 --> 00:13:03,516 半年前までは「攘夷」と言っていた 姑息な男は一体誰であったか。 135 00:13:03,516 --> 00:13:16,396 ♬~ 136 00:13:16,396 --> 00:13:18,331 (円四郎)やっぱり無理だ。 137 00:13:18,331 --> 00:13:20,266 (2人)えぇ! 138 00:13:20,266 --> 00:13:24,270 こんな大変な時に おめえらの話なんかできるかってんだ。 139 00:13:24,270 --> 00:13:26,773 はい? 140 00:13:26,773 --> 00:13:36,282 いや。 ご当主に見ず知らずの者の拝謁を 許すわけにはどうしてもいかぬ。 141 00:13:43,956 --> 00:13:47,293 しかし… こうなれば俺も意地だ。➡ 142 00:13:47,293 --> 00:13:51,297 どうにかこうにか 拝謁の工夫をつけてやる。➡ 143 00:13:51,297 --> 00:13:56,002 あ~ 見ず知らずじゃいけねぇってんなら➡ 144 00:13:56,002 --> 00:13:59,005 そう 一度でいい。 145 00:13:59,005 --> 00:14:03,376 遠くからでも姿をお見せして 「己が何某でござる!」と➡ 146 00:14:03,376 --> 00:14:06,746 とにもかくにも 知っていただくような工夫をするんだ。 147 00:14:06,746 --> 00:14:08,748 なるほど。 148 00:14:10,616 --> 00:14:14,253 幸い明日 松ヶ崎で御乗切りがある。 149 00:14:14,253 --> 00:14:18,091 御乗切り? (円四郎)おめえらはその途中で出てきて➡ 150 00:14:18,091 --> 00:14:21,794 どうにか顔をお見かけしてもらえ。 151 00:14:25,965 --> 00:14:28,167 お… 来たど! 152 00:14:33,406 --> 00:14:36,609 よし 行ぐで! おぉ! 153 00:14:38,244 --> 00:14:41,247 渋沢栄一でございます! 154 00:14:47,420 --> 00:14:49,922 渋沢栄一でございます! 155 00:14:51,624 --> 00:14:56,829 しかし 一橋様は 馬にお乗りなんですよね? 156 00:15:00,733 --> 00:15:02,668 おい! 157 00:15:02,668 --> 00:15:05,238 (いななき) 158 00:15:05,238 --> 00:15:09,108 (円四郎)だからおめえらは 馬に負けねぇよう駆けろ。 159 00:15:09,108 --> 00:15:11,577 え!? え!? 160 00:15:11,577 --> 00:15:17,383 走って走って どうにか姿をお見せして 名を名乗れ。 161 00:15:17,383 --> 00:15:22,688 某は渋沢栄一でございます! 162 00:15:24,757 --> 00:15:27,593 渋沢栄一でございます! 163 00:15:27,593 --> 00:15:31,931 某は渋沢喜作と申します! 164 00:15:31,931 --> 00:15:41,641 ♬~ 165 00:15:41,641 --> 00:15:46,279 既に! 今 既に 徳川のお命は尽きてございます! 166 00:15:46,279 --> 00:15:48,781 バカ 余計なことを! 167 00:15:48,781 --> 00:15:52,985 いかに取り繕おうとも 既にお命は… ああっ。 168 00:16:20,246 --> 00:16:22,248 そなた今 何と申した? 169 00:16:22,248 --> 00:16:26,953 既に 徳川のお命は尽きてございます。 170 00:16:29,388 --> 00:16:33,759 あなた様は 賢明なる水戸烈公の御子。 171 00:16:33,759 --> 00:16:37,396 もし もし天下に事のあった時➡ 172 00:16:37,396 --> 00:16:40,600 あなた様が その大事なお役目を 果たされたいとお思いならば➡ 173 00:16:40,600 --> 00:16:46,305 どうか どうか この渋沢をお取り立てくださいませ! 174 00:16:47,940 --> 00:16:49,942 面を上げよ。 175 00:16:57,617 --> 00:16:59,552 言いたいことは それだけか。 176 00:16:59,552 --> 00:17:02,588 否! まだ山ほどございまする! 177 00:17:02,588 --> 00:17:06,058 バカ! 178 00:17:06,058 --> 00:17:09,095 円四郎 そなたの仕業か。 179 00:17:09,095 --> 00:17:11,230 はっ! 180 00:17:11,230 --> 00:17:14,901 (慶喜)この者たちを 明日 邸へ呼べ。 181 00:17:14,901 --> 00:17:18,771 これ以上 馬の邪魔をされては困る。 182 00:17:18,771 --> 00:17:21,574 ははっ! 183 00:17:21,574 --> 00:17:26,879 (いななき) 184 00:17:30,583 --> 00:17:33,085 そして この数日後…➡ 185 00:17:33,085 --> 00:17:39,392 栄一と喜作は 一橋慶喜に拝謁を許されました。 186 00:17:42,094 --> 00:17:44,997 (小声で)質素だいな。 187 00:17:44,997 --> 00:17:49,969 水戸は質素を重んじると聞いたが… 一橋様も存外だい。 188 00:17:49,969 --> 00:17:54,106 (小声で)あぁ。 しかし あれを見ろ。 189 00:17:54,106 --> 00:17:56,409 何だ あの鏡のようなもんは。 190 00:17:56,409 --> 00:17:58,477 異国の絵か? 191 00:17:58,477 --> 00:18:02,882 ハッ… 西洋かぶれとは けしからんな。 192 00:18:02,882 --> 00:18:06,218 (足音) 193 00:18:06,218 --> 00:18:19,565 ♬~ 194 00:18:19,565 --> 00:18:21,867 (円四郎)面を上げよ。 195 00:18:33,913 --> 00:18:37,249 そ 某は…。 名乗りはもうよい。 196 00:18:37,249 --> 00:18:41,587 意見書も既に手渡しておる。 197 00:18:41,587 --> 00:18:47,093 殿はお忙しく時がないゆえ 簡潔に申し上げよ。 198 00:18:47,093 --> 00:18:49,595 ははっ。 199 00:18:52,398 --> 00:18:55,101 先日も申し上げましたとおり➡ 200 00:18:55,101 --> 00:19:00,706 幕府の命は もはや 積み重ねた卵のように危うく➡ 201 00:19:00,706 --> 00:19:03,509 いつ崩れたって おかしかねぇありさまです。 202 00:19:07,213 --> 00:19:10,116 ですから一橋様におかれましては➡ 203 00:19:10,116 --> 00:19:14,553 なまじ そんな幕府を取り繕おうとは お考えにならねぇ方がよいと存じます。 204 00:19:14,553 --> 00:19:19,058 なぜなら 今のまんまじゃ 幕府が潰れりゃ➡ 205 00:19:19,058 --> 00:19:22,895 御三卿であるこの一橋のお家もろとも 潰れちまうからです。 206 00:19:22,895 --> 00:19:24,830 (猪飼勝三郎)お主ら 殿に何と…。 207 00:19:24,830 --> 00:19:28,067 猪飼 出かける支度をせよ。 208 00:19:28,067 --> 00:19:30,870 は… ははっ。 209 00:19:35,941 --> 00:19:40,379 そ… それゆえ 私どもが建白いたしたいのは➡ 210 00:19:40,379 --> 00:19:45,217 まずは この一橋家そのものの勢いを 盛り上げることです。 211 00:19:45,217 --> 00:19:47,253 ふん。 212 00:19:47,253 --> 00:19:53,759 そのためには 我々のような天下の志士を 広くお集めになることが第一の急務。 213 00:19:53,759 --> 00:19:55,695 国を治める手綱が緩めば➡ 214 00:19:55,695 --> 00:19:58,597 天下を乱そうとするものが 続々と出てまいりますが➡ 215 00:19:58,597 --> 00:20:01,634 いっそ その乱そうとするほど 力の有り余った者を➡ 216 00:20:01,634 --> 00:20:05,938 ことごとく家臣に召しましたならば もうほかに乱す者はいねぇ! 217 00:20:05,938 --> 00:20:07,973 ふん。 218 00:20:07,973 --> 00:20:12,611 天下の志士が集まれば この一橋が生き生きするに違いねぇ。 219 00:20:12,611 --> 00:20:18,117 しかしその一方 幕府や大名たちからは 「一橋は何をしている?」と疑われ➡ 220 00:20:18,117 --> 00:20:21,987 「一橋を成敗だ!」なんて話も 生まれっちまうかもしれません。 221 00:20:21,987 --> 00:20:26,625 万が一そうなったら… やむをえねぇ。 222 00:20:26,625 --> 00:20:28,661 やっちまいましょう! 223 00:20:28,661 --> 00:20:33,399 戦はあえて好むことではございませぬが 国のためならしかたねぇ。 224 00:20:33,399 --> 00:20:37,136 それにもし 幕府を倒すことになったとしても➡ 225 00:20:37,136 --> 00:20:43,008 いっそ衰えちまった日の本を盛り上げる いいきっかけになるかもしれません。 226 00:20:43,008 --> 00:20:45,811 そうだい これだ! その時こそ➡ 227 00:20:45,811 --> 00:20:49,315 この一橋が天下を治めるのです! 228 00:21:03,095 --> 00:21:10,603 という え~… 私どもの建白を➡ 229 00:21:10,603 --> 00:21:14,406 深くおもんばかっていただきたい。 230 00:21:14,406 --> 00:21:19,778 臆病風に吹かれ 天子様の勅命を斥けたり➡ 231 00:21:19,778 --> 00:21:23,582 大名たちに背中を見せるのではなく…。 232 00:21:28,287 --> 00:21:32,625 私どもがこの一橋に仕えるにあたり➡ 233 00:21:32,625 --> 00:21:37,296 あなた様に 水戸烈公の御子である一橋様に➡ 234 00:21:37,296 --> 00:21:41,500 是非 大きくなっていただきたい! 235 00:21:47,306 --> 00:21:49,508 ふん。 236 00:21:55,814 --> 00:22:00,653 話が終わったようだ。 出るぞ。 ははっ。 237 00:22:00,653 --> 00:22:03,355 え…? 238 00:22:08,761 --> 00:22:16,101 ♬~ 239 00:22:16,101 --> 00:22:18,137 殿 お手間を取らせまして…。 240 00:22:18,137 --> 00:22:21,607 うむ。 特に聞くべき目新しい意見もなかった。 241 00:22:21,607 --> 00:22:26,111 ははっ。 まだ無知で不作法ではございますが…。 242 00:22:26,111 --> 00:22:28,414 そうだな。 243 00:22:28,414 --> 00:22:31,717 そなたとの出会いを少し思い出した。 へ? 244 00:22:34,787 --> 00:22:37,423 (慶喜)あの時ほどには驚かなかったぞ。 245 00:22:37,423 --> 00:22:39,792 あ はぁ~。 246 00:22:39,792 --> 00:22:43,662 もう あのころのことは どうかご勘弁を。 247 00:22:43,662 --> 00:22:46,131 (足音) 248 00:22:46,131 --> 00:22:49,635 殿 支度が整いましてございます。 249 00:22:49,635 --> 00:22:52,438 二条城に戻る。 老中たちを待たせている。 250 00:22:52,438 --> 00:22:54,640 ははっ。 251 00:22:56,308 --> 00:22:59,144 それでは あの者たちは…。 252 00:22:59,144 --> 00:23:26,939 ♬~ 253 00:23:26,939 --> 00:23:28,874 はぁ。 254 00:23:28,874 --> 00:23:35,114 俺の知ってる限り 分かりやすく話をしてやろう。 255 00:23:35,114 --> 00:23:43,422 天子様は今… 三条や長州らが京から消え 心から安堵されている。 256 00:23:43,422 --> 00:23:49,128 そして 「従来どおり任せねば治まらぬ」と➡ 257 00:23:49,128 --> 00:23:54,800 再び徳川へ政をお任せになった。 258 00:23:54,800 --> 00:23:58,637 ご公儀はその命に従い 今 異国に➡ 259 00:23:58,637 --> 00:24:04,243 「横浜港を閉じるのを許可してほしい」と 談判する使節を送っている。 260 00:24:04,243 --> 00:24:07,913 幕吏が異国に使節を? 261 00:24:07,913 --> 00:24:09,948 いやしかし 敵に尾っぽを振るようなまねを…。 262 00:24:09,948 --> 00:24:12,584 いや… まあ聞け。 263 00:24:12,584 --> 00:24:15,621 俺だって初めは攘夷だったぜ。➡ 264 00:24:15,621 --> 00:24:22,094 しかし俺が思うに もう古くせえ「攘夷」って考えは➡ 265 00:24:22,094 --> 00:24:25,764 この世から消える。 266 00:24:25,764 --> 00:24:28,801 これからは異国を追い払うんじゃねぇ。 267 00:24:28,801 --> 00:24:36,108 我が日本も 国を国として きっちり談判するんだ。 268 00:24:36,108 --> 00:24:40,279 まあ俺の目から見りゃあ 攘夷攘夷と異人を殺したり➡ 269 00:24:40,279 --> 00:24:46,952 勝手やったやつらの尻ぬぐいをしながら 必死に国を守ろうとしてんのが➡ 270 00:24:46,952 --> 00:24:50,789 おめえらが憎んでるご公儀だ。 271 00:24:50,789 --> 00:24:54,960 徳川の直参なめんなよ この野郎。 272 00:24:54,960 --> 00:24:59,631 我が殿も 臆病風が吹くどころか➡ 273 00:24:59,631 --> 00:25:05,437 朝廷や公方様や老中や 薩摩や越前やら➡ 274 00:25:05,437 --> 00:25:14,079 毎日 一切合財を相手にしながら 一歩も後へ退かねぇ剛情もんだ。➡ 275 00:25:14,079 --> 00:25:22,588 力を持ち過ぎると疑われ 今じゃ身動きも取れねぇ。➡ 276 00:25:22,588 --> 00:25:24,923 どうだ?➡ 277 00:25:24,923 --> 00:25:28,227 ちいっとは この世のことが分かったかい? 278 00:25:30,596 --> 00:25:32,531 ははっ。 279 00:25:32,531 --> 00:25:37,236 よぉし。 分かったなら…。 280 00:25:46,078 --> 00:25:53,285 この先は 一橋のためにきっちり働けよ。 281 00:25:57,122 --> 00:26:01,360 しかし驚いたのう。 282 00:26:01,360 --> 00:26:09,234 御三卿の一橋様が お上品どころか そんな剛情もんだったとは…。 283 00:26:09,234 --> 00:26:13,372 仕官なんてとんでもねぇと思っていたが➡ 284 00:26:13,372 --> 00:26:18,744 俺は俄然 一橋様に興味が湧いてきた。 285 00:26:18,744 --> 00:26:24,950 しかし 平岡様がおっしゃる 攘夷が消えるってのはピンと来ねぇ…。 286 00:26:27,252 --> 00:26:29,254 おい どうした? 287 00:26:29,254 --> 00:26:31,924 おめえみてぇなおしゃべりが ずっと黙り込んで。 288 00:26:31,924 --> 00:26:37,429 あ? あぁ うむ…。 289 00:26:40,099 --> 00:26:43,602 目からうろこが落ちたみてぇだった。 290 00:26:45,904 --> 00:26:51,410 京に来てからも とんとピンと来なかったが➡ 291 00:26:51,410 --> 00:26:58,183 天子様というのは確かにこの京にいて 周りには公家がいて➡ 292 00:26:58,183 --> 00:27:07,693 今は 公方様や老中や薩摩や 皆がここに集まって政をしてる。 293 00:27:10,762 --> 00:27:14,566 その真ん中にいるのが一橋様だ。 294 00:27:21,073 --> 00:27:24,743 何つうか…➡ 295 00:27:24,743 --> 00:27:29,948 ぐるぐるもするが ゾッともする。 296 00:27:31,917 --> 00:27:37,089 今まで思い浮かべていただけのもんが➡ 297 00:27:37,089 --> 00:27:40,392 目の前で 本当に動いてんだ。 298 00:27:49,801 --> 00:27:58,110 こうして 栄一と喜作は 一橋家で働き始めることとなりました。 299 00:28:05,717 --> 00:28:09,588 うぉ~ 何だいね ここは…。 300 00:28:09,588 --> 00:28:16,361 この一橋家の朝廷やご公儀 諸藩との取り引きの手筈をするところだ。 301 00:28:16,361 --> 00:28:22,568 はあ~… なっから人がおる。 302 00:28:22,568 --> 00:28:26,238 何だい? この丸ぃのは…。 303 00:28:26,238 --> 00:28:29,074 お? おぉ…。 ハハハ…。 304 00:28:29,074 --> 00:28:31,009 (恵十郎)何をぼ~っとしておる。 305 00:28:31,009 --> 00:28:33,812 はっ! 早くしろ。 こっちだ。 306 00:28:41,253 --> 00:28:43,255 え? 307 00:28:45,757 --> 00:28:49,595 これを持っていけ。 (栄一 喜作)ははっ。 308 00:28:49,595 --> 00:28:52,631 どこに…? 書物蔵に決まっておるだろ。 309 00:28:52,631 --> 00:28:55,767 ははっ! 310 00:28:55,767 --> 00:28:58,604 違う! 書物蔵はあっちだ! 311 00:28:58,604 --> 00:29:00,572 (栄一 喜作)ははっ! 312 00:29:00,572 --> 00:29:02,574 うわっ…。 313 00:29:02,574 --> 00:29:05,777 (原 市之進)どこ見てんだ! (栄一 喜作)すみません! 314 00:29:07,412 --> 00:29:10,415 あ これはこれは。 うん。 315 00:29:16,355 --> 00:29:19,858 ここが お主らの住処だ。 316 00:29:21,727 --> 00:29:23,662 (小声で)こんな狭えとこで2人…。 317 00:29:23,662 --> 00:29:25,664 (小声で)ぶつくさ言うない。 318 00:29:28,367 --> 00:29:34,239 あの そろそろ夕時ですが 飯の支度は…。 319 00:29:34,239 --> 00:29:39,911 飯? そりゃ 釜や鍋で おのおの支度するがよい。 320 00:29:39,911 --> 00:29:42,581 おのおの? 釜や鍋? 321 00:29:42,581 --> 00:29:46,084 何だ 鍋を持っておらぬのか? 322 00:29:46,084 --> 00:29:49,121 (栄一 喜作)ははっ。 はぁ しかたあるまい。 323 00:29:49,121 --> 00:29:52,758 今日は貸してやろう。 明日にでも買ってくるがよい。 324 00:29:52,758 --> 00:29:56,595 あ それがその…➡ 325 00:29:56,595 --> 00:30:01,400 買う金がございませぬ。 何? 326 00:30:01,400 --> 00:30:05,270 ここに来るまでにおった 宿の代金を払いましたら➡ 327 00:30:05,270 --> 00:30:09,141 蓄えが尽き果てて すっからかんになってしまいました…。 328 00:30:09,141 --> 00:30:12,778 なんてこった。 お主ら そんな体たらくのくせに➡ 329 00:30:12,778 --> 00:30:16,615 殿にあんな口をたたいていたとは あきれ果てる。 330 00:30:16,615 --> 00:30:18,950 今すぐ買ってくるがよい。 331 00:30:18,950 --> 00:30:24,423 わしとて子が多く 決して楽ではないのだ。 332 00:30:24,423 --> 00:30:27,125 ふん。 あっ…。 333 00:30:29,294 --> 00:30:34,633 あ~… いつか必ず返せよ。 334 00:30:34,633 --> 00:30:37,135 ははっ 必ず! 335 00:30:38,804 --> 00:30:44,309 2人は借りたお金で 鍋や 朝夕の食事を買い出し…➡ 336 00:30:44,309 --> 00:30:49,181 初めて自分たちで ごはんを炊きました。 337 00:30:49,181 --> 00:30:51,983 よ~! 338 00:30:51,983 --> 00:30:54,886 何だい これ。 339 00:30:54,886 --> 00:30:59,658 粥みてぇじゃねぇか。 かぁ~ せっかくの飯が…。 340 00:30:59,658 --> 00:31:03,095 おい おめぇのせいだぞ! おめぇが 水入れ過ぎたんだい。 341 00:31:03,095 --> 00:31:06,965 あ そういや この辺に 食えそうな草があったような…。 342 00:31:06,965 --> 00:31:10,268 (伊之吉)お主ら さっきから うるさいぞ。 343 00:31:10,268 --> 00:31:13,939 (栄一 喜作)すみません! どうすんだい これ…。 344 00:31:13,939 --> 00:31:17,275 あ ちなみに その草はまずいぞ。 ああ…。 345 00:31:17,275 --> 00:31:19,211 あ それうまい。 あ! セリ! 346 00:31:19,211 --> 00:31:21,146 セリ? 入れちまえ! 347 00:31:21,146 --> 00:31:24,950 また 布団を借りるのにもお金がかかり…。 348 00:31:24,950 --> 00:31:29,621 あ~ おめぇ引っ張んなよ。 ああ…。 349 00:31:29,621 --> 00:31:33,492 あぁ 腹減った。 350 00:31:33,492 --> 00:31:36,995 かっさまの飯が恋しいのう~。 351 00:31:41,967 --> 00:31:46,838 そのころ 京へ向かう途中 人を斬ってしまった長七郎は➡ 352 00:31:46,838 --> 00:31:51,443 捕らえられ 牢に入れられていました。 353 00:31:51,443 --> 00:31:54,346 (尾高惇忠)何度も番人に掛け合ったが…➡ 354 00:31:54,346 --> 00:32:00,152 話どころか 長七郎の顔を見ることすら かないませんでした。 355 00:32:00,152 --> 00:32:02,120 (渋沢市郎右衛門)そうか…。 356 00:32:02,120 --> 00:32:06,958 (渋沢ゑい) それで 栄一たちから何か便りは…。 357 00:32:06,958 --> 00:32:09,461 いえ それもまだ…。 358 00:32:15,600 --> 00:32:20,105 はぁ寒かったんべぇ。 食べていぎな。 359 00:32:20,105 --> 00:32:22,407 はい…。 360 00:32:32,117 --> 00:32:35,020 (久光)今ん公方様ではもういかん。 361 00:32:35,020 --> 00:32:39,624 こん際は 我らと共に➡ 362 00:32:39,624 --> 00:32:44,963 一橋様にも 憤発してもらわねばないもはん。 363 00:32:44,963 --> 00:32:50,769 私に憤発し… また将軍になれとでも申されるのか。 364 00:32:54,973 --> 00:32:59,845 ん~にゃ。 こい以上は申しもはん。 365 00:32:59,845 --> 00:33:12,257 ♬~ 366 00:33:12,257 --> 00:33:15,760 薩摩は 天皇の信頼の厚い➡ 367 00:33:15,760 --> 00:33:18,396 中川宮に取り入ることで➡ 368 00:33:18,396 --> 00:33:23,602 朝廷への影響力を 強めようと画策していました。 369 00:33:23,602 --> 00:33:25,937 (大久保一蔵)新たなる世のため➡ 370 00:33:25,937 --> 00:33:29,608 どうぞよろしゅうお頼み申しゃげもす。 371 00:33:29,608 --> 00:33:33,411 (中川宮朝彦親王)はい 承知した。 372 00:33:37,482 --> 00:33:40,785 そして 薩摩の思惑どおり➡ 373 00:33:40,785 --> 00:33:47,659 参与諸侯は 天皇から 幕府の政へ参加を認められましたが➡ 374 00:33:47,659 --> 00:33:52,297 慶喜は薩摩への不信を強めていました。 375 00:33:52,297 --> 00:33:56,635 (近習)上様のおなりにござりまする。 376 00:33:56,635 --> 00:33:58,570 (春嶽)おぉ! 377 00:33:58,570 --> 00:34:01,273 こいはこいは公方様! 378 00:34:08,246 --> 00:34:11,583 この度はまことに頼もしく思う。 379 00:34:11,583 --> 00:34:13,919 これからもよろしく頼む。 380 00:34:13,919 --> 00:34:16,421 (参与たち)ははっ。 381 00:34:54,559 --> 00:34:57,495 (小声で)何をなさっているのですか 上様。 382 00:34:57,495 --> 00:35:01,733 征夷大将軍ともあろうあなた様が 外様に酌などをされては➡ 383 00:35:01,733 --> 00:35:04,069 徳川の威信に関わりますぞ。 384 00:35:04,069 --> 00:35:09,574 (小声で)朝廷より 参与諸侯を入れて 国事を話し合えと促されたのです。 385 00:35:09,574 --> 00:35:11,776 しかたがあるまい。 386 00:35:19,751 --> 00:35:23,388 (宗城) 我らを手なずける御主意とはいえ…。 387 00:35:23,388 --> 00:35:30,261 (山内容堂)ハハハハ… 葵の御威光も失われたけのう。 388 00:35:30,261 --> 00:35:34,766 (久光)おぉ ほうじゃ 一橋様。 389 00:35:34,766 --> 00:35:42,640 先日 ご公儀が 横浜ん港を閉める覚悟を 明言しておらんと➡ 390 00:35:42,640 --> 00:35:47,112 朝廷が疑うておった という話でございもすが➡ 391 00:35:47,112 --> 00:35:55,620 中川宮様に聞いた話では そん疑いは もう撤回するとのことでございもした。 392 00:35:55,620 --> 00:35:58,957 それは…。 朝廷は もはや➡ 393 00:35:58,957 --> 00:36:05,063 「必ずや港を閉じよ」とは 思し召しておられぬということですな。 394 00:36:05,063 --> 00:36:11,836 (宗城)ほっほう。 ようやく 攘夷は無謀と分かっていただけたか。 395 00:36:11,836 --> 00:36:14,639 (容堂)安堵しましたき。 396 00:36:18,076 --> 00:36:20,912 島津殿…。 (久光)はい。 397 00:36:20,912 --> 00:36:25,383 そうおっしゃったのは 中川宮様で間違いございませぬな? 398 00:36:25,383 --> 00:36:27,752 はぁ? 399 00:36:27,752 --> 00:36:30,655 どのような朝議により 突然 そのようなことを言いだしたのか➡ 400 00:36:30,655 --> 00:36:33,091 了解しかねる。 401 00:36:33,091 --> 00:36:35,593 じかに話を聞いてまいります。 402 00:36:35,593 --> 00:36:37,595 お待ちくだされ! 403 00:36:39,764 --> 00:36:44,636 ですから… そのようなことは覚えがございません。 404 00:36:44,636 --> 00:36:48,473 では 島津殿が うそを言ったと申されるのか? 405 00:36:48,473 --> 00:36:55,613 い… いや 確かに 薩摩の方とはしゃべったが➡ 406 00:36:55,613 --> 00:37:02,420 そのような偽りを申したかどうかは 覚えておらず…。 407 00:37:02,420 --> 00:37:05,056 何をブツブツと。 408 00:37:05,056 --> 00:37:07,092 宮様一人が欺かれれば➡ 409 00:37:07,092 --> 00:37:10,895 このように大事に至るということは 覚えておいていただきたい。 410 00:37:15,700 --> 00:37:18,570 今や薩摩の奸計は天下も知るところ。 411 00:37:18,570 --> 00:37:24,375 お返事によっては御一命を頂戴し 私自身も腹を切る覚悟で参りました。 412 00:37:24,375 --> 00:37:29,214 朝廷の意見が薩摩の工作ごときで こうも ころころと変化し➡ 413 00:37:29,214 --> 00:37:35,120 人を欺くのであれば もう誰が朝廷の言うことなど聞くものか。 414 00:37:35,120 --> 00:37:38,957 公儀は 横浜の鎖港を断固やる。 415 00:37:38,957 --> 00:37:40,959 港は断固閉じる。 416 00:37:40,959 --> 00:37:43,795 あ… はぁ それは…。 417 00:37:43,795 --> 00:37:46,598 一橋様 なんという暴論を…。 418 00:37:46,598 --> 00:37:50,468 暴論ついでに 宮様に いまひとつ 暴論を申し上げましょう。 419 00:37:50,468 --> 00:37:54,339 ここにおります3名は 天下の大愚物。 420 00:37:54,339 --> 00:37:57,142 天下の大悪党にてございます! 421 00:38:00,545 --> 00:38:05,350 宮様はなぜ このような者を信用されるのか…。 422 00:38:05,350 --> 00:38:11,055 あぁ 島津殿に 台所を任せておられるからか? 423 00:38:11,055 --> 00:38:14,893 ならば明日からは 私がお世話いたしますゆえ➡ 424 00:38:14,893 --> 00:38:17,362 私にお味方いただきたい。 425 00:38:17,362 --> 00:38:21,232 (春嶽)一橋様 酔っておられるのか? 426 00:38:21,232 --> 00:38:25,737 天下の後見職が 大愚物同様に見られては困る。 427 00:38:25,737 --> 00:38:29,607 私の申し上げたことが 心得違いと申されるなら➡ 428 00:38:29,607 --> 00:38:32,076 明日からは参内いたしませぬ。 429 00:38:32,076 --> 00:38:34,379 もし心得違いでないならば➡ 430 00:38:34,379 --> 00:38:39,083 先ほど言った横浜の儀を 是非 天子様に斡旋していただきたい。 431 00:38:39,083 --> 00:38:41,085 では。 432 00:38:50,094 --> 00:38:52,997 くそが! 433 00:38:52,997 --> 00:38:57,502 誰が将軍後見職にしてやったと 思うちょっとか! 434 00:39:10,348 --> 00:39:14,886 フッ… ハハハハ ハハハハハ…。 435 00:39:14,886 --> 00:39:17,689 ハハハハハハハ…。 436 00:39:24,229 --> 00:39:28,233 天下の志士が集まれば この一橋が生き生きするに違いねぇ。 437 00:39:28,233 --> 00:39:30,902 やむをえねぇ。 やっちまいましょう! 438 00:39:30,902 --> 00:39:33,938 そうだい これだ! その時こそ➡ 439 00:39:33,938 --> 00:39:37,242 この一橋が天下を治めるのです! 440 00:39:37,242 --> 00:39:41,913 ハハハハハハハ…。 441 00:39:41,913 --> 00:39:45,383 (円四郎)ハハハハハハハ…。 442 00:39:45,383 --> 00:39:49,087 とうとう やっちまいましたな。 443 00:39:52,090 --> 00:39:55,393 一橋様。 444 00:39:55,393 --> 00:39:57,929 あなたはなんという剛情公だ! 445 00:39:57,929 --> 00:40:02,267 鼻高殿 私はようやく決心がつきましたぞ。 446 00:40:02,267 --> 00:40:08,573 私はあくまで徳川を 公方様をお守りします。 447 00:40:10,408 --> 00:40:14,946 二百余年もの間 日本を守った徳川に➡ 448 00:40:14,946 --> 00:40:18,416 政権の返上など決してさせませぬ。 449 00:40:18,416 --> 00:40:30,161 ♬~ 450 00:40:30,161 --> 00:40:32,630 今宵は痛快の至り! 451 00:40:32,630 --> 00:40:35,300 とうとう薩摩に一泡吹かせてやった。 452 00:40:35,300 --> 00:40:38,970 さぁ 皆の者 無礼講だ。 453 00:40:38,970 --> 00:40:41,806 今宵は大いに飲むがよい。 454 00:40:41,806 --> 00:40:43,741 (歓声) 455 00:40:43,741 --> 00:40:46,678 ありがとうございます。 ありがとうございます。 456 00:40:46,678 --> 00:40:51,316 (泣き声) 457 00:40:51,316 --> 00:40:54,319 おう どうした? 市之進殿。 458 00:40:54,319 --> 00:41:00,325 はぁ 烈公の魂が乗り移られたかと…。 459 00:41:03,594 --> 00:41:05,596 はい。 460 00:41:11,269 --> 00:41:13,204 快なり! 461 00:41:13,204 --> 00:41:16,407 (家来たち)おお~! 462 00:41:16,407 --> 00:41:18,343 (徳川斉昭)快なり 快なり! 463 00:41:18,343 --> 00:41:23,181 快なり! (家来たち)おお~! 464 00:41:23,181 --> 00:41:34,792 ♬~ 465 00:41:34,792 --> 00:41:37,128 (戸が開く音) おい 起きろ。 466 00:41:37,128 --> 00:41:40,164 え? ははっ! 467 00:41:40,164 --> 00:41:46,137 殿より 家臣皆に酒を振る舞えとの命だ。 468 00:41:46,137 --> 00:41:48,072 飲め。 469 00:41:48,072 --> 00:41:50,375 ありがとうございます! 470 00:41:56,147 --> 00:41:59,183 この日をきっかけに➡ 471 00:41:59,183 --> 00:42:04,255 参与たちによる会議は 消滅することとなり…➡ 472 00:42:04,255 --> 00:42:09,761 京での政治主導権は 幕府の手に戻りました。 473 00:42:14,399 --> 00:42:17,301 おお~…。 あぁ~ ハハハハ。 474 00:42:17,301 --> 00:42:20,204 (2人)うんめえ! 475 00:42:20,204 --> 00:42:23,775 何だい これ。 あ~。 476 00:42:23,775 --> 00:42:28,579 一橋家の酒か。 くぅ~ ハハハハハ…。 477 00:42:30,281 --> 00:42:32,617 隠密だ。 隠密!? 478 00:42:32,617 --> 00:42:34,652 渋沢篤太夫と申します。 篤太夫…。 479 00:42:34,652 --> 00:42:36,788 篤太夫。 篤太夫? 480 00:42:36,788 --> 00:42:39,424 薩摩の西郷…。 薩摩から引き抜きたい。 481 00:42:39,424 --> 00:42:43,294 2人を二度とこの村に入れるなと…。 長七郎! 482 00:42:43,294 --> 00:42:47,131 つまり この日の本に もう一つの政府が出来ると同じ。 483 00:42:47,131 --> 00:42:49,066 何としても止めねばならぬ。 484 00:42:49,066 --> 00:42:52,937 一橋が! 薩摩が治めっとじゃいけもはんか? 485 00:42:52,937 --> 00:42:56,941 薩摩の今のお殿様には その徳は おありですか?