1 00:00:02,202 --> 00:00:08,609 (渋沢成一郎) 俺は はあ 攘夷などどうでもいい。 2 00:00:08,609 --> 00:00:13,313 この先は殿を… 一橋を守るために生きる。 3 00:00:15,282 --> 00:00:17,217 おめえはどうする? 4 00:00:17,217 --> 00:00:21,788 (渋沢篤太夫)一橋の懐具合を ととのえたいのでございます。 5 00:00:21,788 --> 00:00:25,659 (徳川慶喜)ならば やってみよ。 6 00:00:25,659 --> 00:00:28,295 お主の腕を見せてみよ。 7 00:00:28,295 --> 00:00:30,297 ははっ! 8 00:00:30,297 --> 00:00:38,005 篤太夫は 一橋家の懐を豊かにするために 動き始めました。 9 00:00:38,005 --> 00:00:43,777 見てのとおり 当家ご領内の年貢米は 格段に出来がよい。 10 00:00:43,777 --> 00:00:47,147 (崎玉清兵衛) ただ 量に限りがあるがゆえ➡ 11 00:00:47,147 --> 00:00:51,985 入札により 一番高い値をつけたものに 売ることにした。 12 00:00:51,985 --> 00:00:55,022 (業者たち)入札? 13 00:00:55,022 --> 00:00:58,158 さぁ どうする? さぁ 考えてくれ。 14 00:00:58,158 --> 00:01:03,163 備中では 火薬の製造を始めました。 15 00:01:07,968 --> 00:01:12,272 こんなくっせえ土から 火薬の材料がとれるとは➡ 16 00:01:12,272 --> 00:01:14,575 本当に こんなんで鉄砲が撃てるんか? 17 00:01:19,146 --> 00:01:21,615 (発砲音) 18 00:01:21,615 --> 00:01:25,953 おおっ… これはすげぇ! 19 00:01:25,953 --> 00:01:32,125 そして 幕府にも 懐を豊かにしようとする男が。 20 00:01:32,125 --> 00:01:35,028 (小栗忠順)フランスから軍艦を買うか…。 21 00:01:35,028 --> 00:01:38,999 さすれば長州など一気に潰せる。 22 00:01:38,999 --> 00:01:46,640 時宜に応じて薩摩も討ってしまえば 公儀に刃向かう大名はもうおるまい。 23 00:01:46,640 --> 00:01:54,448 日の本は… 上様を王とする一つの国となる。 24 00:01:56,316 --> 00:01:58,618 (栗本鋤雲)ハハハハハハ…。 25 00:02:01,755 --> 00:02:06,927 今の上様は まさに 王と呼ばれるに ふさわしいお方。 26 00:02:06,927 --> 00:02:11,264 して…➡ 27 00:02:11,264 --> 00:02:15,268 このフランスの誘い どうなさる? 28 00:02:15,268 --> 00:02:17,604 (小栗)2年後のパリの博覧会か…。 29 00:02:17,604 --> 00:02:19,639 無論 参加だ。 30 00:02:19,639 --> 00:02:22,275 今 公儀の懐は火の車。 31 00:02:22,275 --> 00:02:25,278 交易によって利を得るため➡ 32 00:02:25,278 --> 00:02:30,784 世界に 我が国の優れた産物を 見せつけねばならぬ。 33 00:02:30,784 --> 00:02:36,123 されば 兵庫の港も 急ぎ開きたいものですな。 34 00:02:36,123 --> 00:02:39,426 そのためにもコンパニーじゃ。 35 00:02:39,426 --> 00:02:44,264 横浜の港の失敗でよく分かった。 36 00:02:44,264 --> 00:02:48,969 交易で 異国に いいようにされぬためには➡ 37 00:02:48,969 --> 00:02:51,972 公儀もコンパニーを持つのが肝要…。 38 00:02:56,643 --> 00:03:00,914 こんばんは。 徳川家康です。 39 00:03:00,914 --> 00:03:08,588 この小栗忠順の家は 私の頃から代々仕える旗本の名門です。 40 00:03:08,588 --> 00:03:12,759 彼は 初めて公式にアメリカへ渡った➡ 41 00:03:12,759 --> 00:03:17,597 幕府の使節団の一人となりました。 42 00:03:17,597 --> 00:03:23,403 小栗は 現地の最新技術に目をみはった。 43 00:03:23,403 --> 00:03:29,109 そして「いつか日本も これを超える技術を」と➡ 44 00:03:29,109 --> 00:03:33,780 造船所で作られていた ネジを持ち帰りました。 45 00:03:33,780 --> 00:03:38,952 今や優秀な勘定奉行だ。 46 00:03:38,952 --> 00:03:41,788 我ら武家は長らく➡ 47 00:03:41,788 --> 00:03:46,960 「金は卑しいもの」と 嫌っていましたがね➡ 48 00:03:46,960 --> 00:03:54,301 新たな世は 経済の知識なしには乗り切れなかった。 49 00:03:54,301 --> 00:04:00,107 そしてそんな人材は こんなところにも…。 50 00:04:03,910 --> 00:04:06,813 (新納刑部)ほいで 話っちゅうとは。 51 00:04:06,813 --> 00:04:10,083 ベルギー国と コンパニーの約定を結びもした。 52 00:04:10,083 --> 00:04:13,120 ほうか。 ようやってくれた。 53 00:04:13,120 --> 00:04:16,389 小松様は銭がなかち嘆いちょいもしたが➡ 54 00:04:16,389 --> 00:04:20,927 こいで 薩摩ん富国強兵は うまくいきもんそ。 55 00:04:20,927 --> 00:04:26,266 次は国父様に願い出て 再来年のパリん万国博覧会に➡ 56 00:04:26,266 --> 00:04:29,936 薩摩んよか品を たくさん出そうち思っちょいもす。 57 00:04:29,936 --> 00:04:33,406 じゃっどん そん手筈は どげんすっとじゃ? 58 00:04:33,406 --> 00:04:38,411 モンブラン殿に万事の指揮は任せもす。 59 00:04:42,616 --> 00:04:47,821 ほして… 薩摩が幕府ん先を行くとじゃ。 60 00:04:49,389 --> 00:06:31,758 ♬~ 61 00:06:31,758 --> 00:07:40,093 ♬~ 62 00:07:40,093 --> 00:07:47,767 これは 俺が大坂で買った ここ 播磨一橋領今市村の白木綿と➡ 63 00:07:47,767 --> 00:07:51,938 隣の姫路の白木綿だ。 64 00:07:51,938 --> 00:07:56,810 うん どちらも実に品がよく 水の吸いもよい。 65 00:07:56,810 --> 00:08:01,614 しかし どちらも品がよいにもかかわらず➡ 66 00:08:01,614 --> 00:08:05,051 この白木綿は 1反35文➡ 67 00:08:05,051 --> 00:08:12,359 一方 姫路の白木綿は 1反70文の値であった。 68 00:08:12,359 --> 00:08:15,161 (治郎作)はぁ? 69 00:08:17,197 --> 00:08:19,132 おんなじや。➡ 70 00:08:19,132 --> 00:08:22,902 おんなじ播磨の品で 出来も何も違うてないのに➡ 71 00:08:22,902 --> 00:08:25,238 何で姫路だけ 倍も高く売れるんや。 72 00:08:25,238 --> 00:08:27,574 俺も なぜかと探ってみた。 73 00:08:27,574 --> 00:08:32,746 すると姫路では 領地で出来た木綿を いっぺん 皆 ご城下に集め➡ 74 00:08:32,746 --> 00:08:36,383 そこで まとめて晒しにしたものを…➡ 75 00:08:36,383 --> 00:08:41,254 「姫路の木綿でござい! 姫路特産の白木綿でござい!」と➡ 76 00:08:41,254 --> 00:08:44,090 いかにも名物の特産として売ってる。 77 00:08:44,090 --> 00:08:49,262 だから「おっ 姫路の木綿か。 それは品がいいに違えねぇ」と➡ 78 00:08:49,262 --> 00:08:52,165 たとえ高値であっても ありがたがられる。 79 00:08:52,165 --> 00:08:54,134 (百姓たち)おお…。 80 00:08:54,134 --> 00:08:57,003 一方 この村では 出来た木綿を➡ 81 00:08:57,003 --> 00:09:00,206 おのおのが織ったり売ったりして 商いをしてる。 82 00:09:00,206 --> 00:09:03,109 きっと今まで 大坂のあきんどに➡ 83 00:09:03,109 --> 00:09:06,413 買いたたかれることも 多くあったであろう。 84 00:09:08,882 --> 00:09:10,817 そこでだ。 85 00:09:10,817 --> 00:09:17,057 俺は一橋家で 皆の木綿を まとめて買い入れようと思っておる。 86 00:09:17,057 --> 00:09:19,893 (三郎作)え? 一橋様でまとめて? 87 00:09:19,893 --> 00:09:26,232 そして一橋家で 「いやんばいす! 播磨一橋領の木綿でござい!」➡ 88 00:09:26,232 --> 00:09:33,573 「品は確か。 さらりと滑らか 真っ白な名物 一橋の白木綿でござい!」と➡ 89 00:09:33,573 --> 00:09:35,508 大仕掛けで売り出すのだ。 90 00:09:35,508 --> 00:09:38,077 (百姓たち)おお~! さすれば きっと➡ 91 00:09:38,077 --> 00:09:41,748 姫路にも負けねぇ評判となる。 92 00:09:41,748 --> 00:09:44,651 せやけど そないなことが ホンマにできますのか? 93 00:09:44,651 --> 00:09:46,619 そしたら どうなるんや? 94 00:09:46,619 --> 00:09:49,255 俺らが もうかるってことか? 95 00:09:49,255 --> 00:09:52,091 そうだ。 (歓声) 96 00:09:52,091 --> 00:09:55,595 一橋家が 今よりずっと高い値で買い上げる! 97 00:09:55,595 --> 00:09:59,766 (多呂作)何言うてんねや! おい! 98 00:09:59,766 --> 00:10:03,937 こないな口車に乗ったらあかん。 お役人が わしら百姓を➡ 99 00:10:03,937 --> 00:10:06,773 もうけさせようなんて 思うはずあるかいな。 100 00:10:06,773 --> 00:10:09,609 は? そやろ。 101 00:10:09,609 --> 00:10:11,544 そうや。 そうやわ。 102 00:10:11,544 --> 00:10:14,280 どうせ百姓から搾れるだけ搾って➡ 103 00:10:14,280 --> 00:10:18,284 お家だけ もうけさせようとしてんねや。 そうや! 104 00:10:18,284 --> 00:10:20,420 (伝蔵) あにきが そんなことするはずがねえ! 105 00:10:20,420 --> 00:10:23,289 あ~ もう やめろ やめろ やめろ…。 106 00:10:23,289 --> 00:10:28,995 信じてくれ! 一橋を信じてくれ! 107 00:10:31,030 --> 00:10:33,933 おい おまえら… おい 落ち着け。 108 00:10:33,933 --> 00:10:39,439 そのころ 海の上のイギリス船では…。 109 00:11:55,315 --> 00:11:58,985 (松前崇広)パークスは 勅許が取れねば公儀を無視して➡ 110 00:11:58,985 --> 00:12:02,255 じかに朝廷と話をすると申しております。 111 00:12:02,255 --> 00:12:06,125 (徳川家茂)しかし 天子様が 今更 勅許などなさるはずがない。 112 00:12:06,125 --> 00:12:08,595 (阿部正外)ははっ。 これまで➡ 113 00:12:08,595 --> 00:12:10,930 どうにか ぶらかしてまいりましたゆえ➡ 114 00:12:10,930 --> 00:12:14,267 もうちいっとは どうにかならぬものかと…。 115 00:12:14,267 --> 00:12:17,604 (永井尚志)しかし 兵庫の開港は 苦難に苦難を重ね➡ 116 00:12:17,604 --> 00:12:20,506 どうにかこうにか 5年引き延ばしておりまする。 117 00:12:20,506 --> 00:12:22,475 これ以上は無理かと…。 118 00:12:22,475 --> 00:12:25,945 (阿部)フランスは かばってくれぬのか? 119 00:12:25,945 --> 00:12:29,616 申しはしましたが エゲレスの新しい公使 パークスが➡ 120 00:12:29,616 --> 00:12:34,821 まことに強硬なため これ以上は守れぬと…。 121 00:12:36,956 --> 00:12:38,958 そうか…。 122 00:12:40,627 --> 00:12:45,131 しかし 僭越ながら➡ 123 00:12:45,131 --> 00:12:49,435 まことに勅許など入り用でしょうか。 124 00:12:51,638 --> 00:12:56,442 日の本を東照大権現様の御代より 長らく守ってきたのは公儀でございます。 125 00:12:56,442 --> 00:12:58,978 国の差配は公儀がするもの。 126 00:12:58,978 --> 00:13:00,947 (松前)そのとおり。➡ 127 00:13:00,947 --> 00:13:05,585 天子様も朝廷も世のことなど 全く分かっておりませぬ。 128 00:13:05,585 --> 00:13:10,757 さよう。 こうなれば上様 公儀の権威にかけて➡ 129 00:13:10,757 --> 00:13:16,396 勅許などなくとも 兵庫の港を 開くべきでございまする! 130 00:13:16,396 --> 00:13:19,098 そのとおりじゃ…。 131 00:13:19,098 --> 00:13:21,301 (慶喜)たわけたことを申されるな! 132 00:13:23,603 --> 00:13:26,639 公儀の専断による条約など 不可に決まっておりまする。 133 00:13:26,639 --> 00:13:30,943 このような大きな事柄は 朝廷の勅許があってこそ収まる。➡ 134 00:13:30,943 --> 00:13:35,748 その前提を無視されれば 国の根源が崩れますぞ。 135 00:13:40,620 --> 00:13:44,791 (阿部)ならば禁裏御守衛総督様は どうなさるおつもりか?➡ 136 00:13:44,791 --> 00:13:48,661 エゲレスのパークスは もう今にも京に入るのだぞ! 137 00:13:48,661 --> 00:13:51,130 勅許などいらぬ。 138 00:13:51,130 --> 00:13:54,634 朝廷など どうせ口を出すばかりで 何もせぬのだ。➡ 139 00:13:54,634 --> 00:13:58,137 無視すればよい。 140 00:13:58,137 --> 00:14:00,440 (阿部)しかり! 141 00:14:06,379 --> 00:14:09,582 (孝明天皇)慶喜よ。➡ 142 00:14:09,582 --> 00:14:13,086 公儀が 朕の許しもなしに➡ 143 00:14:13,086 --> 00:14:17,790 港を開くつもりであるというは まことか? 144 00:14:22,395 --> 00:14:24,764 なんと…。 145 00:14:24,764 --> 00:14:28,401 (中川宮朝彦親王) これは明らかなる違勅でございまする! 146 00:14:28,401 --> 00:14:32,105 (正親町三条実愛) お上を侮辱するとは許せぬ! 147 00:14:32,105 --> 00:14:39,278 「勅許をいらぬ」と言うた 老中の阿部 松前両名は罷免させなはれ! 148 00:14:39,278 --> 00:14:42,115 正親町三条様 それは…! (正親町三条実愛)何じゃ。 149 00:14:42,115 --> 00:14:44,417 不服と申すか。 150 00:14:48,421 --> 00:14:56,963 松前様 阿部様を罷免いたすよう 朝廷よりの仰せがございました。 151 00:14:56,963 --> 00:14:58,898 罷免? 152 00:14:58,898 --> 00:15:02,235 (泣き声) 153 00:15:02,235 --> 00:15:05,738 これも一橋の陰謀。 154 00:15:05,738 --> 00:15:09,909 京と組み このような仕打ちを…。 155 00:15:09,909 --> 00:15:14,213 いいや。 これは全て私の責。 156 00:15:15,782 --> 00:15:20,553 そなたらは私を助け まことによくやってくれた。 157 00:15:20,553 --> 00:15:23,756 私の力が足りず…。 158 00:15:23,756 --> 00:15:26,259 (栗本)否。 159 00:15:26,259 --> 00:15:30,463 上様ゆえに ここまで来られたのでございます。 160 00:15:32,932 --> 00:15:40,740 朝廷や一橋様がこうした挙に出るならば ご先祖様への面目もなし。 161 00:15:49,482 --> 00:15:54,620 かくなる上は… 速やかに➡ 162 00:15:54,620 --> 00:15:59,792 征夷大将軍の大任を 辞してはいかがでしょうか。➡ 163 00:15:59,792 --> 00:16:05,598 もし上様がお辞めになるならば… 朝廷など どうせ何もできますまい。 164 00:16:05,598 --> 00:16:08,601 (永井)栗本…。 京だけで日の本を回せると思うなら➡ 165 00:16:08,601 --> 00:16:12,071 やってみたらいいのだ! 166 00:16:12,071 --> 00:16:16,242 (家茂)いいや…➡ 167 00:16:16,242 --> 00:16:20,913 あるいは 一橋殿ならできるのかもしれぬ。 168 00:16:20,913 --> 00:16:24,383 そのようなことは決してございませぬ。 169 00:16:24,383 --> 00:16:28,754 一橋様も あくまで 上様をお支えしたいと申しておいでです。 170 00:16:28,754 --> 00:16:30,690 そんな言が信じられるものか! 171 00:16:30,690 --> 00:16:32,692 (家茂)もうよい。 172 00:16:36,929 --> 00:16:44,804 私はこれより 将軍職を一橋慶喜殿に譲り➡ 173 00:16:44,804 --> 00:16:47,807 江戸に戻る。 174 00:17:28,915 --> 00:17:31,384 上様! 上様! 175 00:17:31,384 --> 00:17:33,319 上様! お待ちください…。 176 00:17:33,319 --> 00:17:36,522 よい! 下がっておれ。 177 00:17:43,763 --> 00:17:47,266 上様 なぜ このようなことを…。 178 00:17:50,636 --> 00:17:58,444 知ってのとおり 私は攘夷を果たすことも 勅許を得ることもできぬ。 179 00:18:00,546 --> 00:18:02,481 あなたならば計らうこともできましょう。 180 00:18:02,481 --> 00:18:04,417 お待ちくだされ。 181 00:18:04,417 --> 00:18:08,220 勅許は私が 命をかけて頂いてまいりまする。 182 00:18:08,220 --> 00:18:12,892 それゆえ どうか 将軍職辞職は思いとどまりください。 183 00:18:12,892 --> 00:18:20,066 今 旗本8万騎の臣下を 動かしておられるのは上様でございます。 184 00:18:20,066 --> 00:18:23,936 上様あってこそ臣下は懸命に励むのです。 185 00:18:23,936 --> 00:18:27,940 私が将軍になったところで 誰もついてはこぬ。 186 00:18:27,940 --> 00:18:30,142 国は亡びましょう。 187 00:18:35,247 --> 00:18:39,051 将軍は あなた様でなくてはならぬのです。 188 00:18:43,956 --> 00:18:46,459 一橋殿…。 189 00:18:51,263 --> 00:18:55,601 公儀が調印いたした 条約の勅許をお願いいたしまする。➡ 190 00:18:55,601 --> 00:19:02,208 勅許を頂けねば 兵隊は天子様をも憚らず 京に入ることとなりましょう。 191 00:19:02,208 --> 00:19:06,212 夷狄が御所に? そんなことがあってはならん! 192 00:19:06,212 --> 00:19:10,082 何としても お上は勅許いたしませぬ。 193 00:19:10,082 --> 00:19:15,888 こうなった責任を取り 将軍は辞職しなはれ。 194 00:19:18,057 --> 00:19:20,726 正親町三条様。 195 00:19:20,726 --> 00:19:25,231 将軍を辞職されよとは どなたのご意見か? 196 00:19:25,231 --> 00:19:30,736 某は あなたのもとに薩摩の者どもが 出入りしていることを存じておる。 197 00:19:30,736 --> 00:19:35,574 これほどの大事を 誰かに唆されたとあっては➡ 198 00:19:35,574 --> 00:19:37,877 そのままでは済ませぬぞ。 199 00:19:44,583 --> 00:19:49,088 なるほど。 これほど申し上げても お許しがないのであれば…➡ 200 00:19:49,088 --> 00:19:52,591 某は責を取り 切腹いたす以外にございませぬ。 201 00:19:52,591 --> 00:19:55,928 (中川宮) 一橋殿。 またそのようなお戯れを…。 202 00:19:55,928 --> 00:19:57,930 戯れではござらぬ! 203 00:19:59,765 --> 00:20:02,601 また某も不肖ながら 多少の兵を持っております。 204 00:20:02,601 --> 00:20:04,637 腹を切った後に家臣どもが➡ 205 00:20:04,637 --> 00:20:07,106 おのおの方に いかなることを しでかすかは➡ 206 00:20:07,106 --> 00:20:10,009 責を負いかねますゆえ ご覚悟を。 207 00:20:10,009 --> 00:20:12,011 そ それは…。 208 00:20:15,414 --> 00:20:17,917 (孝明天皇)二条…。 209 00:20:19,618 --> 00:20:21,554 人払いを。 210 00:20:21,554 --> 00:20:26,792 (二条斉敬)ははっ。 人払いを。 211 00:20:26,792 --> 00:20:48,080 ♬~ 212 00:20:48,080 --> 00:20:51,383 近う寄れ。 ははっ。 213 00:20:56,655 --> 00:21:04,396 朕は 決して家茂や公儀を憎んではいない。 214 00:21:04,396 --> 00:21:07,600 憎きは長州じゃ。 215 00:21:07,600 --> 00:21:10,936 いまだ降参せぬとは何事ぞ。 216 00:21:10,936 --> 00:21:12,938 ははっ。 217 00:21:15,274 --> 00:21:20,780 (孝明天皇)外国のことは 慶喜がそこまで言うのであれば…➡ 218 00:21:20,780 --> 00:21:28,087 朕は 慶喜の言うことを信じよう。 219 00:21:30,956 --> 00:21:33,626 幕府は 7年越しに➡ 220 00:21:33,626 --> 00:21:39,331 修好通商条約の勅許を 得ることができました。 221 00:21:46,972 --> 00:21:49,008 そうか! 222 00:21:49,008 --> 00:21:53,813 ようやく天子様も お認めになったか…。 223 00:21:56,982 --> 00:22:00,953 (佐登)やすさんが参られましたよ。 おお ハハハ…。 224 00:22:00,953 --> 00:22:04,790 (やす)今日は随分とご機嫌なご様子で。 あぁ。 225 00:22:04,790 --> 00:22:08,494 はい。 おお ハハハハ…。 226 00:22:10,529 --> 00:22:16,769 一橋様のおかげで あのころの苦労が ようやっと報われた。 227 00:22:16,769 --> 00:22:22,107 俺はプチャーチンをぶらかし ハルリスを上様に目通りさせ…➡ 228 00:22:22,107 --> 00:22:26,779 そうよ 俺は国なんか 早く開いちまえと思ってたのさ。 229 00:22:26,779 --> 00:22:30,115 フフ。 長崎へは東湖殿に頼まれ➡ 230 00:22:30,115 --> 00:22:32,618 原 市之進を供に連れてってよ。 231 00:22:32,618 --> 00:22:36,488 一橋様のところには円四郎を推挙して…。 232 00:22:36,488 --> 00:22:40,793 えぇえぇ。 あの人 本当にうれしそうに➡ 233 00:22:40,793 --> 00:22:44,797 人が変わったみたいに よく働いて…。 234 00:22:47,433 --> 00:22:49,735 あんなことに。 235 00:22:51,303 --> 00:22:56,175 うん… うん。 236 00:22:56,175 --> 00:23:00,913 寂しいことだが やす 俺はな➡ 237 00:23:00,913 --> 00:23:06,719 みんなの分まで 新しい徳川の夜明けを見届けるまで➡ 238 00:23:06,719 --> 00:23:09,622 くたばるわけにはいかねえよ。 239 00:23:09,622 --> 00:23:13,259 えぇ 長生きしてくださいまし。 240 00:23:13,259 --> 00:23:15,761 ああ。 241 00:23:17,263 --> 00:23:23,769 一橋様がおられれば きっと徳川は大丈夫だ。 242 00:23:25,771 --> 00:23:28,407 (大久保一蔵) 幕府は もはや追い詰められ➡ 243 00:23:28,407 --> 00:23:31,944 血に狂うたとしか思えもはん。➡ 244 00:23:31,944 --> 00:23:35,781 フランスと組んで長州を潰し➡ 245 00:23:35,781 --> 00:23:41,587 そんあとは 我が薩摩をも 潰す気に違いあいもはん。 246 00:23:41,587 --> 00:23:47,493 老中なども「大名を潰し 徳川が国をじかに治める」と➡ 247 00:23:47,493 --> 00:23:49,795 堂々と論じておるとのこと。 248 00:23:49,795 --> 00:23:56,135 (松平春嶽) しかし 将軍が日の本一家の主となり➡ 249 00:23:56,135 --> 00:24:06,378 全国の力を集中させるというのは 本を正せば 左内の考えだ。 250 00:24:06,378 --> 00:24:10,249 (橋本左内) まず 一橋様という優れた公方様を定め➡ 251 00:24:10,249 --> 00:24:15,387 それを親藩 譜代 外様の差別なく 有為のお方が支えます。 252 00:24:15,387 --> 00:24:21,260 例えば 事務宰相は 我が殿と水戸のご老公➡ 253 00:24:21,260 --> 00:24:24,930 そして 島津殿の3人。 254 00:24:24,930 --> 00:24:28,400 外国宰相には佐賀の鍋島閑叟様…。 255 00:24:28,400 --> 00:24:33,105 (春嶽)左内が今の世に生きておれば…。 256 00:24:35,107 --> 00:24:42,414 幕府にも もはや 左内殿の夢をかなえるもんはなか。 257 00:24:42,414 --> 00:24:46,952 我が国父様や薩摩ん殿は➡ 258 00:24:46,952 --> 00:24:52,658 そろそろ 幕府を見限るべきかと 考えちょいもす。 259 00:24:54,293 --> 00:24:57,196 幕府を見限る? 260 00:24:57,196 --> 00:25:02,735 越前様。 どうか京にお上りを。 261 00:25:02,735 --> 00:25:05,637 ほして 才知あるもんで➡ 262 00:25:05,637 --> 00:25:09,942 異国に堂々と立ち向かえる日本を 作いもんそ。 263 00:25:19,251 --> 00:25:22,087 え? 殿が寝込んでいらっしゃる? 264 00:25:22,087 --> 00:25:25,958 (猪飼勝三郎) うむ。 もう大事はないと思うが➡ 265 00:25:25,958 --> 00:25:30,796 大坂の務めで よほどお疲れになったものと思われる。 266 00:25:30,796 --> 00:25:33,399 そうでしたか。 267 00:25:33,399 --> 00:25:37,102 提言をと思っていましたが…。 268 00:25:37,102 --> 00:25:41,407 またか。 そなたは話が長いゆえ➡ 269 00:25:41,407 --> 00:25:44,943 お疲れの殿には 会わせるわけにはまいらぬ。 270 00:25:44,943 --> 00:25:48,414 ならば聞いてください。 271 00:25:48,414 --> 00:25:50,349 物産所のことです。 うん…。 272 00:25:50,349 --> 00:25:54,620 某は 播磨の木綿を一括して売り買いする 物産所を設けました。 273 00:25:54,620 --> 00:25:56,955 おお…。 ああっ! この先 木綿を➡ 274 00:25:56,955 --> 00:25:58,991 一橋の名物とするためには➡ 275 00:25:58,991 --> 00:26:01,927 こしらえる百姓から それを なるたけ高く買い取り➡ 276 00:26:01,927 --> 00:26:05,230 そして それを なるたけ安く売る工夫が必要となります。 277 00:26:05,230 --> 00:26:07,733 うむ… ん? いや 待て。 278 00:26:07,733 --> 00:26:12,371 高く買って安く売るのでは… 物産所が もうからぬのではないか? 279 00:26:12,371 --> 00:26:14,306 物産所で もうけようとは 思っておりません。 280 00:26:14,306 --> 00:26:18,177 しかし…。 某は 幼ぇ頃から藍葉を買いに➡ 281 00:26:18,177 --> 00:26:20,746 信州や上州を回っておりました。 282 00:26:20,746 --> 00:26:23,382 (渋沢市郎右衛門)いやんばいす。 283 00:26:23,382 --> 00:26:30,089 その時 父は… いつもよい葉を見極め 必ず高く買い付けた。 284 00:26:30,089 --> 00:26:33,759 すると その百姓は 「次もよい葉を作るべぇ」と➡ 285 00:26:33,759 --> 00:26:35,794 必ず励んでくれます。 286 00:26:35,794 --> 00:26:39,631 安く買われた百姓も 「次こそは」と皆で競い➡ 287 00:26:39,631 --> 00:26:43,268 よい葉をたくさん作ってくれた。 288 00:26:43,268 --> 00:26:46,939 父が手を抜かず よい藍を作っていたおかげで➡ 289 00:26:46,939 --> 00:26:51,810 一度手にすれば 買った値以上の 値打ちがあることを分かってもらえる。 290 00:26:51,810 --> 00:26:57,649 よい品が安いとあらば 以降は 必ずよく売れるようになります。 291 00:26:57,649 --> 00:27:01,453 ん…? 一体 何が言いたいのだ? 292 00:27:01,453 --> 00:27:05,157 はぁ… まあ つまり… 293 00:27:14,900 --> 00:27:19,771 仁をもって得た利でなくては 意味を為さねぇ。 294 00:27:19,771 --> 00:27:24,910 上に立つものだけが もうけるなら 御用金を取り立てりゃ早ぇ話です。 295 00:27:24,910 --> 00:27:28,747 しかし それじゃあ どん詰まりだ。 296 00:27:28,747 --> 00:27:34,086 誰かが苦しみ 不平を持てば そこで流れが よどんじまう。 297 00:27:34,086 --> 00:27:39,258 そのために必要なのが 物産所なんですけども これがなかなか…。 298 00:27:39,258 --> 00:27:41,760 おっ… 殿! あ…。 299 00:27:41,760 --> 00:27:45,931 相変わらず息災のようだな。 ははっ。 300 00:27:45,931 --> 00:27:48,767 殿はその あまり息災ではねぇご様子で…。 301 00:27:48,767 --> 00:27:50,702 (猪飼)こら また余計な…。 302 00:27:50,702 --> 00:27:53,405 (原 市之進)殿はお疲れなのだ。 殿 お部屋にお戻りを。 303 00:27:53,405 --> 00:27:59,111 いや 渋沢よ。 話の続きを聞かせろ。 304 00:28:01,713 --> 00:28:03,649 銀札を作る? 305 00:28:03,649 --> 00:28:08,220 年貢米と硝石については 滞りなく進めておりますが➡ 306 00:28:08,220 --> 00:28:10,722 木綿がうまくいきません。 307 00:28:10,722 --> 00:28:18,063 そこで 売り買いの流れをよくするために 一橋の銀札を作りたいのです。 308 00:28:18,063 --> 00:28:22,868 昨今 西の方では このような札は 盛んに作られております。 309 00:28:24,570 --> 00:28:27,072 銭は重たい。 310 00:28:27,072 --> 00:28:32,244 某も商いの際はこう 懐に 銀の切餅を入れて山道を歩きましたが➡ 311 00:28:32,244 --> 00:28:34,580 まっさか難儀いたしました。 312 00:28:34,580 --> 00:28:40,252 紙ならば軽いし 気軽に多くのものを売り買いできる。 313 00:28:40,252 --> 00:28:45,924 いやしかし これらの多くは値打ちが低い。 314 00:28:45,924 --> 00:28:47,960 札に書いてある値打ちはおろか➡ 315 00:28:47,960 --> 00:28:51,730 束で持ってっても 豆腐一つ買えねぇ なんてこともあるほどです。 316 00:28:51,730 --> 00:28:55,601 それは なぜか? いやぁ 気持ちは分かる。 317 00:28:55,601 --> 00:28:59,104 銭ではなく こんな 風吹いたら飛んでっちまいそうな➡ 318 00:28:59,104 --> 00:29:01,073 くしゃみ出たら はな かんじまいそうな紙っ切れに➡ 319 00:29:01,073 --> 00:29:05,711 「これは5分の値打ちがある」 「これは10文だ」など言われても➡ 320 00:29:05,711 --> 00:29:08,413 そう スッとは信用できません。 321 00:29:10,882 --> 00:29:14,219 そう。 信用! 322 00:29:14,219 --> 00:29:16,722 銀札を ただの紙切れではなく➡ 323 00:29:16,722 --> 00:29:20,559 きちんと銭と思ってもらうに 入り用なのは信用だ! 324 00:29:20,559 --> 00:29:25,430 しかるに 一橋が責任を持ってこれを作り これで木綿の売り買いをさせ➡ 325 00:29:25,430 --> 00:29:29,067 真心を持って きちんと値打ちどおりの銀を支払えば➡ 326 00:29:29,067 --> 00:29:35,073 きっと商人も百姓も これを信用し 大いに役立てるように…。 327 00:29:36,808 --> 00:29:39,244 あ 殿…➡ 328 00:29:39,244 --> 00:29:43,582 某の今の話 お分かりになりましたでしょうか? 329 00:29:43,582 --> 00:29:48,387 否。 途中からお主の顔に見入り 聞いていなかった。 330 00:29:50,088 --> 00:29:53,392 なんと! お主は 円四郎ふうに言えば➡ 331 00:29:53,392 --> 00:29:55,460 まこと おかしろい。 332 00:29:55,460 --> 00:30:00,932 このひとつき 実に不毛なことばかりに 気をすり減らせていたゆえ➡ 333 00:30:00,932 --> 00:30:04,136 お主を見て 少しばかり気鬱がなおった。 334 00:30:08,674 --> 00:30:11,877 「仁をもって為す」か…。 335 00:30:13,512 --> 00:30:16,415 お主がまことに信用のできる札を作り➡ 336 00:30:16,415 --> 00:30:19,618 民をも 喜ばせることができるというならば➡ 337 00:30:19,618 --> 00:30:22,954 是非 見てみたいものだ。 338 00:30:22,954 --> 00:30:26,425 あ…。 339 00:30:26,425 --> 00:30:29,928 ははっ! 必ずや やってみせます! 340 00:30:38,036 --> 00:30:42,641 そこだ! そこんとこ もうちっと なんとかなんねぇかい。 341 00:30:42,641 --> 00:30:45,977 まだやんのか? いや これ以上は…。 342 00:30:45,977 --> 00:30:50,449 頼む! この模様が 一橋の信用を左右するんだ。 343 00:30:50,449 --> 00:30:53,452 頼む! あんたの力 出し切ってくれ! 344 00:30:55,287 --> 00:30:57,289 分かったよ…。 345 00:31:04,963 --> 00:31:10,268 よし これを3つに割ってくれ。 え!? 346 00:31:10,268 --> 00:31:16,074 これが 3つそろわねぇと…。 347 00:31:18,009 --> 00:31:20,278 刷れねぇんだい。 348 00:31:20,278 --> 00:31:23,949 はぁ… こら ここ以外では作れへんな。 349 00:31:23,949 --> 00:31:43,301 ♬~ 350 00:31:43,301 --> 00:31:48,140 うお~! ハハハハハ! 351 00:31:48,140 --> 00:31:50,442 おぉ! 352 00:31:50,442 --> 00:31:56,248 お~ ええ出来や! ああ。 ハハハハ…。 353 00:31:58,183 --> 00:32:00,118 (役人)しばらくお待ちを。 354 00:32:00,118 --> 00:32:07,592 こうして篤太夫は 半年をかけて銀札引換所を設立。 355 00:32:07,592 --> 00:32:22,140 ♬~ 356 00:32:22,140 --> 00:32:25,944 ホンマに値打ちどおりの銀に 換えてもらったど。 357 00:32:25,944 --> 00:32:31,750 助かった。 これで ぎょうさん飯食うて また働けるな。 358 00:32:31,750 --> 00:32:35,253 よし わしも行くわ。 359 00:32:38,123 --> 00:32:46,431 おぉ こんなに木綿を作ってくれたとは まことに頭が下がる。 360 00:32:46,431 --> 00:32:51,269 あ… 悪かったのう ひどいこと言うて。 361 00:32:51,269 --> 00:32:53,271 悪かった。 362 00:32:55,140 --> 00:32:59,444 これからも頼む。 頼りにしてんだかんな。 363 00:32:59,444 --> 00:33:02,247 おう 任しとけ。 ああ。 364 00:33:02,247 --> 00:33:04,549 のう! (百姓たち)おぉ! 365 00:33:06,117 --> 00:33:10,589 一橋家は 額面どおりの銀と引き換えたことで➡ 366 00:33:10,589 --> 00:33:14,759 広く信用を得ました。 367 00:33:14,759 --> 00:33:23,268 そして 篤太夫は 一橋家の勘定組頭に抜擢されました。 368 00:33:23,268 --> 00:33:26,104 瞬く間に一橋の懐が安定したと➡ 369 00:33:26,104 --> 00:33:30,275 京のみならず 江戸の家中も驚き 喜んでおる。 370 00:33:30,275 --> 00:33:33,278 ははっ。 371 00:33:33,278 --> 00:33:40,285 領内の民たちも 今はようやく安堵し 紙は使いやすいと喜んでおりまする。 372 00:33:40,285 --> 00:33:47,959 しかし 物産所も硝石の製造所も まだまだこれから。 373 00:33:47,959 --> 00:33:52,264 これからが 腕の見せどころでございまする。 374 00:33:54,833 --> 00:33:56,835 渋沢篤太夫よ。 375 00:33:59,304 --> 00:34:02,207 はっ。 376 00:34:02,207 --> 00:34:04,209 よくやった。 377 00:34:06,745 --> 00:34:08,680 ははっ! 378 00:34:08,680 --> 00:34:13,385 この道で 更なるお役に立てるよう 精進してまいります! 379 00:34:15,086 --> 00:34:21,593 成一郎は 軍制所調役組頭に昇進。 380 00:34:21,593 --> 00:34:26,932 2人は 別々の場所で暮らすことになりました。 381 00:34:26,932 --> 00:34:30,802 金はまた小石川の牢に送るか。 382 00:34:30,802 --> 00:34:33,805 こうして間を空けず送り続けていれば➡ 383 00:34:33,805 --> 00:34:39,411 長七郎も 牢から出る望みを 捨てねぇでいてくれるかもしれねぇ。 384 00:34:39,411 --> 00:34:41,713 うむ。 385 00:34:43,281 --> 00:34:48,954 しかし 身分が上がったとはいえ 勘定方とはな。 386 00:34:48,954 --> 00:34:50,889 ん? 387 00:34:50,889 --> 00:34:54,626 断れなかったんか? 388 00:34:54,626 --> 00:34:56,561 なぜだ? なぜ断る? 389 00:34:56,561 --> 00:35:01,733 せっかく武士になったというのに 勘定もあるめぇ。 390 00:35:01,733 --> 00:35:05,570 百姓や商人相手に 金のことばかり こつこつやるんでは➡ 391 00:35:05,570 --> 00:35:09,240 村にいた頃と変わらぬ。 392 00:35:09,240 --> 00:35:15,380 うむ。 まぁ 俺もそうも思ったが➡ 393 00:35:15,380 --> 00:35:18,583 俺には こっちの方が 合ってるのかもしれねぇ。 394 00:35:20,752 --> 00:35:23,254 殿にお褒めいただいて➡ 395 00:35:23,254 --> 00:35:30,395 おぉ 俺は一橋のお役に立ってんのかと 胸がぐるぐるした。 ハハハ。 396 00:35:30,395 --> 00:35:33,098 お そうだ。 それに聞いた話じゃ➡ 397 00:35:33,098 --> 00:35:40,271 幕府の勘定奉行は今 小栗上野介様という えらくやり手なお方だそうじゃねぇか。 398 00:35:40,271 --> 00:35:43,775 俺は一橋の勘定方として➡ 399 00:35:43,775 --> 00:35:47,479 幕府の勘定方にも負けねぇ差配を してやんべぇ。 400 00:35:49,581 --> 00:35:58,623 勘定勘定というが お主は 殿のまことの苦しみを知らぬ。 401 00:35:58,623 --> 00:36:01,059 あ? 402 00:36:01,059 --> 00:36:05,897 今 幕府は いつ長州を討つかで 一触即発の時分だ。 403 00:36:05,897 --> 00:36:12,070 しかも その長州征討に 薩摩は兵を出さぬと言ってきた。 404 00:36:12,070 --> 00:36:18,376 その薩摩の動きを見て 阿波と尾張も出兵を断ってきた。 405 00:36:18,376 --> 00:36:22,580 そんな中で ご公儀は戦うのだ。 406 00:36:22,580 --> 00:36:24,516 一橋は出兵するのか? 407 00:36:24,516 --> 00:36:27,218 いいや。 まだだ。 408 00:36:30,255 --> 00:36:35,093 この先 一橋がどうなるか分からぬが➡ 409 00:36:35,093 --> 00:36:40,298 俺は 命をかけて殿のために戦う。 410 00:36:46,104 --> 00:36:48,907 命をかけて…。 411 00:36:53,978 --> 00:36:57,615 時々 思うんだ。 412 00:36:57,615 --> 00:36:59,951 俺たちは あの時…➡ 413 00:36:59,951 --> 00:37:02,754 長七郎を 行かせてやるべきだったんじゃねえか。 414 00:37:05,757 --> 00:37:11,896 (尾高長七郎)一介の百姓のこの俺が 老中を斬って名を遺すのだ。 415 00:37:11,896 --> 00:37:13,832 これ以上何を望む? 416 00:37:13,832 --> 00:37:19,571 長七郎が志士として名を残す好機を➡ 417 00:37:19,571 --> 00:37:22,073 俺たちは奪っちまったんだ。 418 00:37:26,077 --> 00:37:29,948 しかし 死んじまったら何にもならねぇ。 は? 419 00:37:29,948 --> 00:37:33,751 死んじまったら何にもならねぇって 言ったんだい! 420 00:37:33,751 --> 00:37:50,602 ♬~ 421 00:37:50,602 --> 00:37:53,805 それは己が決めることだ。 422 00:37:55,473 --> 00:38:01,880 俺はいつか 長七郎とそろって一橋家の雄となる。 423 00:38:01,880 --> 00:38:05,750 おめえは 懐でも守っておれ。 424 00:38:05,750 --> 00:38:08,653 何? 425 00:38:08,653 --> 00:38:11,222 おう 守ってやんべぇじゃねぇか! 426 00:38:11,222 --> 00:38:13,224 懐だって大事だい! 427 00:38:13,224 --> 00:38:23,568 ♬~ 428 00:38:23,568 --> 00:38:33,244 道は違えるが… 互いに身ぃしめて 一橋を強くすんべぇ。 429 00:38:33,244 --> 00:38:53,565 ♬~ 430 00:38:53,565 --> 00:38:56,768 このころ 薩摩は➡ 431 00:38:56,768 --> 00:39:01,539 朝敵である長州と 薩長同盟を締結。 432 00:39:01,539 --> 00:39:05,043 一蔵さあ! (一蔵)才助! おぉ よお戻ったのう。➡ 433 00:39:05,043 --> 00:39:08,546 まあまあ 座らんか。 はい。 434 00:39:08,546 --> 00:39:11,449 いよいよ 我が薩摩を富ませねばないもはん。 435 00:39:11,449 --> 00:39:14,419 まずは富国強兵。 金銀の山を開いて…。 436 00:39:14,419 --> 00:39:18,223 うんにゃ。 そいよりまず おはんの親しいグラバーじゃ。 437 00:39:18,223 --> 00:39:22,060 長州が エゲレスの武器を 大量に買いたいっちゅうとる。 438 00:39:22,060 --> 00:39:24,896 こん先は おいに任せっくいやんせ。 439 00:39:24,896 --> 00:39:27,565 グラバーと話はついちょいもす。 440 00:39:27,565 --> 00:39:32,770 バーミンガムのショルト商会からも ミニエー銃が手に入りもす。 441 00:39:34,439 --> 00:39:42,747 ほうじゃ。 おいは今から京に行き あるお方に会ってくる。 442 00:39:42,747 --> 00:39:45,049 そいは誰でごわすか? 443 00:39:46,918 --> 00:39:49,954 (岩倉具視)こんなものではあかん! 444 00:39:49,954 --> 00:39:54,259 くそぉ! くそぉ! 445 00:39:54,259 --> 00:39:58,463 どうしたら王政復古 果たせるのか…。 446 00:40:01,032 --> 00:40:04,269 あのお方は ホンマに もとはお公家さんか? 447 00:40:04,269 --> 00:40:09,140 必ず攘夷をしろと申しつけるのです。 448 00:40:09,140 --> 00:40:11,943 (村人)まるで山賊の親分じゃ。 449 00:40:11,943 --> 00:40:15,280 あ~! あ~ くそぉ! 450 00:40:15,280 --> 00:40:17,215 何でや~! 451 00:40:17,215 --> 00:40:25,290 そして幕府は いよいよ 2度目の長州征討を始めました。 452 00:40:25,290 --> 00:40:27,292 しかし…。 453 00:40:29,294 --> 00:40:33,164 なぜだ? なぜ これほど苦戦する? 454 00:40:33,164 --> 00:40:39,304 長州は従来の戦と違い 農兵たちは大将の指図なく➡ 455 00:40:39,304 --> 00:40:41,973 それぞれが銃を持って 駆け回っております! 456 00:40:41,973 --> 00:40:44,442 しかも ゲベール銃よりも弾の飛ぶ 新たな銃で➡ 457 00:40:44,442 --> 00:40:48,646 大勢が一気に攻め込んでくるのです! 458 00:40:48,646 --> 00:40:51,149 ミニエー銃か? 459 00:40:52,817 --> 00:40:56,020 そんなものを どこで大量に手に入れた? 460 00:40:58,323 --> 00:41:00,258 まさか…。 461 00:41:00,258 --> 00:41:04,595 (板倉勝静)はっ。 薩摩のしわざとの話も。 462 00:41:04,595 --> 00:41:08,766 阿部殿 井伊殿の兵の多くは弾丸に倒れ➡ 463 00:41:08,766 --> 00:41:11,469 撤退しておるとのこと。 464 00:41:15,273 --> 00:41:21,079 (荒い息遣い) 465 00:41:21,079 --> 00:41:25,283 う…。 (板倉)上様? 466 00:41:25,283 --> 00:41:29,287 大丈夫だ。 大事ない…。 467 00:41:32,156 --> 00:41:34,625 (板倉)上様… 上様!➡ 468 00:41:34,625 --> 00:41:39,297 誰か! 誰か医者を! 469 00:41:39,297 --> 00:41:41,799 上様! 470 00:41:44,435 --> 00:41:50,808 (永井)申し上げます! 大坂城にて 公方様がご不例とのこと! 471 00:41:50,808 --> 00:41:52,744 何!? 472 00:41:52,744 --> 00:41:57,982 よし 右から順に 撃て! 473 00:41:57,982 --> 00:42:00,885 (銃声) 474 00:42:00,885 --> 00:42:02,820 姿勢を崩すな! 475 00:42:02,820 --> 00:42:07,258 矢部殿 矢部殿は陸軍奉行所から 証文の写しを借りてきてください。 476 00:42:07,258 --> 00:42:11,095 (矢部)はっ。 残りは 私が引き受けます。 477 00:42:11,095 --> 00:42:13,998 よし みんな 頑張るべ! 478 00:42:13,998 --> 00:42:16,901 (部下たち)はっ! 479 00:42:16,901 --> 00:42:21,272 時は慶応2年7月…。 480 00:42:21,272 --> 00:42:25,276 ようやく居場所を見つけた 篤太夫の運命も➡ 481 00:42:25,276 --> 00:42:30,281 また大きく変わろうとしていました。 482 00:42:30,281 --> 00:42:33,184 将軍家をお継ぎになってはなりませぬ! 483 00:42:33,184 --> 00:42:36,788 あなたとこうして 腹を割って話してみたかった。 484 00:42:36,788 --> 00:42:41,659 もはやここまでだ。 この一橋も どれほど寂しくなることかと。 485 00:42:41,659 --> 00:42:43,661 いっそ もう辞めちまうか。 486 00:42:45,430 --> 00:42:48,299 お主と違って後悔は少しもない。 487 00:42:48,299 --> 00:42:51,302 次は慶喜が苦しめばよいのです。 488 00:42:51,302 --> 00:42:55,106 殿は 遠い遠いお方になっちまった。