1 00:00:02,202 --> 00:00:04,137 (一橋慶喜)渋沢篤太夫よ。 2 00:00:04,137 --> 00:00:06,607 (渋沢篤太夫)はっ。 3 00:00:06,607 --> 00:00:09,109 よくやった。 4 00:00:09,109 --> 00:00:11,144 ははっ! 5 00:00:11,144 --> 00:00:15,983 この道で 更なるお役に立てるよう 精進してまいります! 6 00:00:15,983 --> 00:00:19,419 一橋家の財政立て直しに➡ 7 00:00:19,419 --> 00:00:24,124 自分の居場所を見つけた 篤太夫でしたが…。 8 00:00:24,124 --> 00:00:27,794 (徳川家茂)う…。 (板倉勝静)上様?➡ 9 00:00:27,794 --> 00:00:30,130 上様… 上様! 10 00:00:30,130 --> 00:00:35,335 その運命が大きく 変わろうとしていました。 11 00:00:49,149 --> 00:00:52,452 一橋殿か? 12 00:00:52,452 --> 00:00:54,388 ははっ。 13 00:00:54,388 --> 00:00:56,990 老中らから 私とお会いになれば➡ 14 00:00:56,990 --> 00:01:00,761 病が嵩じると 追いやられておりましたが➡ 15 00:01:00,761 --> 00:01:04,264 ようやくお目通りがかないました。 16 00:01:04,264 --> 00:01:06,199 お好きな梨と葡萄をお持ち…。 17 00:01:06,199 --> 00:01:09,136 一橋殿➡ 18 00:01:09,136 --> 00:01:12,439 私は まだ死ねぬのじゃ。 19 00:01:14,975 --> 00:01:23,417 今の徳川を残して死んでは 先の上様…➡ 20 00:01:23,417 --> 00:01:30,624 またあの時 命をかけて私を立てた 井伊に面目が立たぬ。 21 00:01:30,624 --> 00:01:33,427 上様! お体に障りまする。 22 00:01:36,797 --> 00:01:39,833 それだけではない。 23 00:01:39,833 --> 00:01:44,438 私は 天子様の妹君を御台に頂きながら➡ 24 00:01:44,438 --> 00:01:47,641 攘夷が果たせなかった! 25 00:01:47,641 --> 00:01:54,147 だからこそ 天子様の憎む 長州だけは倒さねばならぬのだ! 26 00:01:56,149 --> 00:01:58,852 あなたに その覚悟はあるか! 27 00:02:10,664 --> 00:02:17,771 先の上様や掃部頭殿のお目は 確かであった。 28 00:02:17,771 --> 00:02:26,980 ですから… 必ずやご本復の後 徳川をお守りください。 29 00:02:33,954 --> 00:02:42,963 私はずっと… あなたとこうして 腹を割って話してみたかった。 30 00:02:48,802 --> 00:02:53,640 (荒い息遣い) 31 00:02:53,640 --> 00:02:56,309 一橋様 恐れながら…。 32 00:02:56,309 --> 00:02:58,512 (典医)湯を! (家臣)はっ。 33 00:03:01,148 --> 00:03:11,258 この3日後 第十四代将軍 徳川家茂は亡くなりました。 34 00:03:11,258 --> 00:03:13,193 ご注進! ご注進! 35 00:03:13,193 --> 00:03:15,996 大坂より ご注進! 36 00:03:17,931 --> 00:03:21,401 (猪飼勝三郎)何! 上様が身罷られた!? 37 00:03:21,401 --> 00:03:24,104 あっ ちょ… 猪飼様! 38 00:03:27,107 --> 00:03:30,610 猪飼様… 今 何と? 39 00:03:35,615 --> 00:03:39,419 しばらく喪は伏せるとのこと。 誰にも言うなよ。 40 00:03:39,419 --> 00:03:42,622 ははっ。 しかし…。 41 00:03:42,622 --> 00:03:47,794 (小声で)公方様は いまだお若く お世継ぎもおられなかったはず。 42 00:03:47,794 --> 00:03:51,298 これから先 将軍家はどうなるのですか? 43 00:03:51,298 --> 00:03:53,233 ひょっとすると…➡ 44 00:03:53,233 --> 00:03:56,803 いや ひょっとなどせずとも ほかに人はおらぬ。 45 00:03:56,803 --> 00:04:01,608 我が殿が 将軍になるやもしれぬ。 46 00:04:03,577 --> 00:04:05,512 え!? 47 00:04:05,512 --> 00:06:56,783 ♬~ 48 00:06:56,783 --> 00:07:01,621 こんばんは。 徳川家康です。 49 00:07:01,621 --> 00:07:10,230 今までも何度も言いましたが 徳川の世は長らく戦のない時代だった。 50 00:07:10,230 --> 00:07:16,569 徳川将軍14人の中で 戦の陣で亡くなったのは➡ 51 00:07:16,569 --> 00:07:21,241 この家茂ただ一人です。 52 00:07:21,241 --> 00:07:27,747 ご苦労。 本当にご苦労さんだった。 53 00:07:27,747 --> 00:07:33,253 そして家茂の死によって 徳川の運命も➡ 54 00:07:33,253 --> 00:07:40,126 また 篤太夫の運命も 大きく動き出します。 55 00:07:40,126 --> 00:07:42,762 殿! 建白を! 56 00:07:42,762 --> 00:07:46,266 (猪飼)やめよ。 殿は急ぎ大坂に下られると 申したであろう。 57 00:07:46,266 --> 00:07:50,937 しかし 今言わねぇと 次いつ申し上げられるか分かりませぬ。 58 00:07:50,937 --> 00:07:53,606 殿! おい! 59 00:07:53,606 --> 00:07:56,643 将軍家をお継ぎになってはなりませぬ! 60 00:07:56,643 --> 00:08:00,213 止めよ! 止めよ! 今の公儀は➡ 61 00:08:00,213 --> 00:08:04,551 いくら賢明な殿が 一 二の修繕を加えようが➡ 62 00:08:04,551 --> 00:08:06,586 倒壊を免れることはできませぬ! 63 00:08:06,586 --> 00:08:09,723 (原 市之進)あやつ またあのような…。 64 00:08:09,723 --> 00:08:12,225 (猪飼)渋沢 やめよ! 65 00:08:12,225 --> 00:08:16,896 そしてそうなれば 非難は必ずや 殿のご一身に集まりましょう。 66 00:08:16,896 --> 00:08:22,369 かつての某のような 血の気の多い者が国中から集まり➡ 67 00:08:22,369 --> 00:08:26,072 「殿を倒せ 倒せ」と 立ち上がるに決まっておる。 68 00:08:28,241 --> 00:08:30,910 かように危ねぇと分かっている道を➡ 69 00:08:30,910 --> 00:08:33,613 あえて進まれることわりが どこにございましょうか。 70 00:08:42,622 --> 00:08:44,824 言いたいことは それだけか? 71 00:08:52,932 --> 00:08:54,968 ははっ。 72 00:08:54,968 --> 00:08:57,771 今となってはもう それ一つ➡ 73 00:08:57,771 --> 00:09:01,541 それのみにてございまする。 74 00:09:01,541 --> 00:09:07,747 どうか どうか一橋にお残りください。 75 00:09:09,282 --> 00:09:16,723 そして某に あなた様を支えさせてください。 76 00:09:16,723 --> 00:09:41,748 ♬~ 77 00:09:41,748 --> 00:09:44,384 (松平乗謨) 老中の多くが一橋様を推しており…。 78 00:09:44,384 --> 00:09:48,388 (天璋院)ならぬ! 一橋はならぬ。 79 00:09:51,091 --> 00:09:56,096 跡目のことは私が… 上様から じかに伺っておる。 80 00:09:57,764 --> 00:10:00,967 私に万が一のことがあらば…。 81 00:10:05,939 --> 00:10:10,276 田安の亀之助殿を 跡目に定めていただきたいのです。 82 00:10:10,276 --> 00:10:12,779 え? 83 00:10:12,779 --> 00:10:17,650 「田安亀之助殿と定めよ」との お言葉であった。 84 00:10:17,650 --> 00:10:20,520 (乗謨)しかし 亀之助様はまだ幼く…。 85 00:10:20,520 --> 00:10:23,289 控えよ! ご遺命であるぞ! 86 00:10:23,289 --> 00:10:25,291 (乗謨)ははっ! 87 00:10:32,432 --> 00:10:37,270 (天璋院)次の将軍は 慶喜殿がお世継ぎになるがよいと➡ 88 00:10:37,270 --> 00:10:40,640 申されたとは まことでございまするか? 89 00:10:40,640 --> 00:10:44,511 (和宮)天璋院様。 90 00:10:44,511 --> 00:10:47,213 ご覧くださいませ。 91 00:10:49,315 --> 00:10:59,626 お城にお戻りになられた 上様の亡骸と共に これが…。 92 00:11:07,600 --> 00:11:13,273 (天璋院)まぁ 美しい唐織。 93 00:11:13,273 --> 00:11:23,082 織物など 上様がおられればこそのもの。 94 00:11:24,884 --> 00:11:29,122 今はもう…。 95 00:11:29,122 --> 00:11:37,797 (泣き声) 96 00:11:37,797 --> 00:11:41,100 慶喜が継げばよい。 97 00:11:43,670 --> 00:11:51,811 将軍など… 将軍にさえならなければ➡ 98 00:11:51,811 --> 00:11:58,818 上様が あれほどお苦しみになることは あらしゃられませなんだ。 99 00:12:01,487 --> 00:12:09,095 次は… 次は慶喜が苦しめばよいのです。 100 00:12:09,095 --> 00:12:18,805 ♬~ 101 00:12:18,805 --> 00:12:21,608 (板倉)急ぎ 一橋様には➡ 102 00:12:21,608 --> 00:12:26,412 将軍職ご相続のご決断を 頂かねばなりませぬ。 103 00:12:26,412 --> 00:12:29,616 (松平定敬)朝廷も我々も 一橋様以外おらぬと思っております。 104 00:12:29,616 --> 00:12:34,120 しかり。 越前様も「紀州公 水戸公は頼りなく➡ 105 00:12:34,120 --> 00:12:38,625 田安公では幼すぎ 一橋様のほかにはおらぬ」と申されておる。 106 00:12:41,995 --> 00:12:46,699 徳川の世は もはや滅亡するよりないのかもしれぬ。 107 00:12:46,699 --> 00:12:49,302 (板倉)滅亡!? なんと! 108 00:12:49,302 --> 00:12:52,105 それは あまりのお言葉。 さようでございます。 109 00:12:54,173 --> 00:12:57,176 (永井尚志)そ…➡ 110 00:12:57,176 --> 00:13:00,980 相続は 先の上様のご遺命でございまする! 111 00:13:11,924 --> 00:13:15,395 上様は 病の中おっしゃられた。 112 00:13:15,395 --> 00:13:22,101 この先 政務を一橋様に委任し ご自分は養生に専念したいと! 113 00:13:25,605 --> 00:13:27,640 板倉。 はっ。 114 00:13:27,640 --> 00:13:31,477 (慶喜)まことか。 115 00:13:31,477 --> 00:13:34,614 ははっ…。 116 00:13:34,614 --> 00:13:39,485 一橋様とて 実のところはお分かりのはずです。 117 00:13:39,485 --> 00:13:43,690 日の本を救うには これよりほかに道はないのだと! 118 00:13:51,064 --> 00:13:54,634 なるほど。 119 00:13:54,634 --> 00:13:59,439 もしその言が まことであるならば➡ 120 00:13:59,439 --> 00:14:07,747 私はこの先 私の思うように 徳川に大鉈を振るうやもしれぬが➡ 121 00:14:07,747 --> 00:14:11,384 それで構わぬのだな? 122 00:14:11,384 --> 00:14:13,386 ははっ。 123 00:14:15,254 --> 00:14:17,256 はっ。 124 00:14:25,398 --> 00:14:27,333 数日後…➡ 125 00:14:27,333 --> 00:14:31,938 慶喜が 徳川宗家を相続。 126 00:14:31,938 --> 00:14:37,744 次の将軍となることが 事実上決まりました。 127 00:14:37,744 --> 00:14:42,648 (孝明天皇)家茂に代わり 速やかに追討の功を奏し➡ 128 00:14:42,648 --> 00:14:45,952 誠忠を励むべし。 129 00:14:45,952 --> 00:14:50,423 御剣一腰これを与う。 130 00:14:50,423 --> 00:14:53,926 必ず長州を討て。 131 00:14:57,964 --> 00:15:00,566 ははっ。 132 00:15:00,566 --> 00:15:04,370 殿がご宗家をお継ぎになるそうじゃ! おお! 133 00:15:04,370 --> 00:15:09,575 俺たちがご直参の士になるとは! のう! こんな誉れはない! のう! 134 00:15:09,575 --> 00:15:12,078 おお! そりゃすげぇ! 135 00:15:14,747 --> 00:15:18,251 (渋沢成一郎)喜んでる場合ではねぇ! 136 00:15:18,251 --> 00:15:22,755 幕吏 幕吏と言っていた俺たちが 直臣とは…。 137 00:15:22,755 --> 00:15:26,392 おい 騒いでる場合ではないぞ。 138 00:15:26,392 --> 00:15:30,096 殿がご宗家を継いだからには 先の公方様に代わり➡ 139 00:15:30,096 --> 00:15:34,400 長州を征討するのも このお家ということになる。 140 00:15:34,400 --> 00:15:38,271 我らは直ちに大坂城に入り 長州を討つ。 141 00:15:38,271 --> 00:15:40,773 長州を討つ? 142 00:15:42,775 --> 00:15:46,979 (市之進)出陣の軍勢 部署 名を申し伝える。 143 00:15:49,949 --> 00:15:52,618 お! あった! 144 00:15:52,618 --> 00:15:57,123 俗事役で出陣だ。 喜作さんも一緒だと。 145 00:15:59,492 --> 00:16:03,062 で 俗事役って何だい? 146 00:16:03,062 --> 00:16:06,265 戦う兵たちのあれこれを助ける役だ。 147 00:16:07,934 --> 00:16:12,238 (川村恵十郎)篤太夫 お主はこっちだ。 148 00:16:17,577 --> 00:16:19,512 御用人手附? 149 00:16:19,512 --> 00:16:23,449 そうだ。 お主も御用人方の補佐として本営に入れ。 150 00:16:23,449 --> 00:16:27,086 本営に… 渋沢! 大出世ではないか! 151 00:16:27,086 --> 00:16:30,590 いや しかし 某には勘定の役目が…。 152 00:16:30,590 --> 00:16:32,925 (市之進)殿直々の命だ。 153 00:16:32,925 --> 00:16:37,763 あれほど失礼を申したというのに 殿は お主を入り用と申されておる。➡ 154 00:16:37,763 --> 00:16:40,800 心して戦の支度をせよ。➡ 155 00:16:40,800 --> 00:16:44,504 皆も同様じゃ! (家臣たち)おお! 156 00:16:47,473 --> 00:16:50,343 「一筆申し上げます。➡ 157 00:16:50,343 --> 00:16:57,149 あなた様をこちらへ呼ぶ日を楽しみにし 度々手紙を送っておりましたが…➡ 158 00:16:57,149 --> 00:17:03,956 この度 長州へ出陣される 殿のお供をするよう命じられました」。 159 00:17:06,225 --> 00:17:08,527 (渋沢ゑい)長州に出陣? 160 00:17:10,229 --> 00:17:14,901 「武士となった上は 戦は常なること。➡ 161 00:17:14,901 --> 00:17:19,372 致し方ありません。➡ 162 00:17:19,372 --> 00:17:27,747 送った一包みは 私の形見のつもりの懐剣です」。 163 00:17:27,747 --> 00:17:30,383 (ゑい)形見って…。 164 00:17:30,383 --> 00:17:45,264 ♬~ 165 00:17:45,264 --> 00:17:50,136 (渋沢市郎右衛門) 栄一は侍となったんだ。➡ 166 00:17:50,136 --> 00:17:54,607 死ぬ覚悟なんだんべ。 167 00:17:54,607 --> 00:17:57,944 そんな…。 168 00:17:57,944 --> 00:18:02,548 (市郎右衛門)あいつは百姓じゃなく➡ 169 00:18:02,548 --> 00:18:12,224 志士として この国のために 命をささげる覚悟で出ていったんだい。➡ 170 00:18:12,224 --> 00:18:19,732 一橋の殿様のお供となるとは 誉れなことじゃねぇか。 171 00:18:19,732 --> 00:18:21,734 何が誉れだい。 172 00:18:23,903 --> 00:18:28,574 こんなことになるんだったら やっぱり行がせなけりゃよかったんだ…。 173 00:18:28,574 --> 00:18:31,477 (渋沢てい)かっさま しかたねぇんだ。➡ 174 00:18:31,477 --> 00:18:37,083 兄さまが己で選んだ道なんだから。 175 00:18:37,083 --> 00:18:41,587 (渋沢うた)かっさま どうしたん? 176 00:18:41,587 --> 00:18:52,765 ♬~ 177 00:18:52,765 --> 00:18:55,768 戦か…。 178 00:18:59,271 --> 00:19:03,876 しかし 北九州で 善戦していた幕府軍が➡ 179 00:19:03,876 --> 00:19:08,547 小倉城を失って 逃げ出す事態となり…➡ 180 00:19:08,547 --> 00:19:13,352 幕府の敗北は決定的になりました。 181 00:19:15,321 --> 00:19:18,524 もはやここまでだ。 引き際であろう。 182 00:19:20,893 --> 00:19:23,796 まだ終わっておりませぬ。 進発いたしましょう。 183 00:19:23,796 --> 00:19:27,233 (定敬)さよう。 天子様に節刀を賜りながら 兵を出さぬとは…。 184 00:19:27,233 --> 00:19:31,070 今や天子様以外 誰もこの戦を望んでおらぬのだ。 185 00:19:31,070 --> 00:19:33,739 天子様にもお分かりいただかねばならぬ。 186 00:19:33,739 --> 00:19:37,610 和睦の勅命をくださるよう 関白殿下にとりなしを頼め。 187 00:19:37,610 --> 00:19:40,246 はっ。 長州に密使も送りたい。 188 00:19:40,246 --> 00:19:44,050 (板倉)ははっ。 軍艦奉行の勝 麟太郎に行かせまする。 189 00:19:54,760 --> 00:19:56,762 兄上…。 190 00:19:59,398 --> 00:20:02,268 (孝明天皇)しかし何も思うようにならぬ。 191 00:20:02,268 --> 00:20:07,073 国を閉ざすこともかなわず 長州を倒すこともできず…。 192 00:20:09,141 --> 00:20:11,644 岩倉はどうしておる? 193 00:20:14,613 --> 00:20:19,485 (二条斉敬)岩倉は 和宮様を徳川に嫁がせた賊臣にて…。 194 00:20:19,485 --> 00:20:27,193 否。 岩倉には 朝廷を思う まことの心があった。 195 00:20:27,193 --> 00:20:29,962 後醍醐帝以来の力を取り戻すには➡ 196 00:20:29,962 --> 00:20:34,834 公儀を取り込むがよいと 教えてくれたのも岩倉じゃ。 197 00:20:34,834 --> 00:20:39,305 岩倉はどうしておるのか…。 198 00:20:39,305 --> 00:20:43,642 お上は… 夷狄が来てから 急に➡ 199 00:20:43,642 --> 00:20:47,513 日の本中の耳目を 集められることになった。➡ 200 00:20:47,513 --> 00:20:52,151 神風起こしてくれやら 尊王攘夷やら…。 201 00:20:52,151 --> 00:20:57,823 けど あいにくお上は あんたんとこの国父様と違うて➡ 202 00:20:57,823 --> 00:21:01,594 兵も金も何にも持ってない。 203 00:21:01,594 --> 00:21:04,630 わしは 公儀をお上の踏み台にして➡ 204 00:21:04,630 --> 00:21:10,102 お上に それに見合うお力を つけて差し上げたかった。 205 00:21:10,102 --> 00:21:15,274 ただ わしら公家は日本一頭が古い。 206 00:21:15,274 --> 00:21:17,209 頑迷固陋で変わることを恐れ➡ 207 00:21:17,209 --> 00:21:20,112 見て見ぬふりして 蹴鞠をするのが精いっぱい。 208 00:21:20,112 --> 00:21:24,784 (トメ) せやのにこのお方 見て見ぬふりが苦手で。 209 00:21:24,784 --> 00:21:28,120 やかましいな! ヒ~ッヒッヒ! 210 00:21:28,120 --> 00:21:30,790 (岩倉)はぁ しかし将軍がな…。 211 00:21:30,790 --> 00:21:32,725 (大久保一蔵)岩倉様。 212 00:21:32,725 --> 00:21:37,429 我が薩摩は うんにゃ 長州も既に幕府を捨て➡ 213 00:21:37,429 --> 00:21:41,634 天子様を戴く世を 作りたかち考えちょいもす。 214 00:21:44,203 --> 00:21:49,175 そうか! よう言うてくだされた! 215 00:21:49,175 --> 00:21:52,311 今こそ この長いこと続いた 武家の世を終わらせて➡ 216 00:21:52,311 --> 00:21:56,015 お上が王政復古を果たすのじゃ! 217 00:21:59,084 --> 00:22:02,755 慶喜が徳川宗家を継いだことで…➡ 218 00:22:02,755 --> 00:22:09,094 一橋家家臣の一部は 将軍家に召し抱えられる運びとなり➡ 219 00:22:09,094 --> 00:22:15,968 篤太夫や成一郎らは 一橋家を離れることになりました。 220 00:22:15,968 --> 00:22:19,471 銀札のことは…。 221 00:22:25,277 --> 00:22:29,114 (猪飼)渋沢。 おお 猪飼様…。 222 00:22:29,114 --> 00:22:31,116 ちっといいか。 223 00:22:33,953 --> 00:22:39,758 私は 江戸の一橋家に戻ることとなった。 224 00:22:39,758 --> 00:22:41,827 そうですか…。 225 00:22:41,827 --> 00:22:44,129 何だ そんな顔をして。 226 00:22:44,129 --> 00:22:48,634 お主は宗家の御家人となるのだ。 もっと喜べ。 227 00:22:48,634 --> 00:22:52,137 ははっ。 228 00:22:52,137 --> 00:22:55,808 ここに仕えて2年半➡ 229 00:22:55,808 --> 00:23:04,083 身分は低くとも 平岡様や猪飼様に 身に余るご温情を頂きました。 230 00:23:04,083 --> 00:23:07,953 うむ。 金も きちんと返してくれたしな。 231 00:23:07,953 --> 00:23:11,824 あ~ ハハハハ…。 232 00:23:11,824 --> 00:23:16,662 殿にも 何度も建白をさせていただき➡ 233 00:23:16,662 --> 00:23:23,669 艱難辛苦しながらも お家の懐をととのえさせていただいて…。 234 00:23:28,274 --> 00:23:30,276 これからだい。 235 00:23:30,276 --> 00:23:36,415 これからもっと 一橋のお役に立つべえと 思っていたのに➡ 236 00:23:36,415 --> 00:23:41,620 それを なげうって 行かねばならねぇとは…。 237 00:23:41,620 --> 00:23:43,555 (猪飼)やむをえまい。 238 00:23:43,555 --> 00:23:48,394 そなたならきっと 宗家でも殿を助け よい働きができる。 239 00:23:48,394 --> 00:23:51,964 いいや もう駄目だい。 240 00:23:51,964 --> 00:23:57,436 ここを出りゃ 殿はもう上様です。 241 00:23:57,436 --> 00:24:01,740 二度と じかに建言なんか届かねぇや。 242 00:24:01,740 --> 00:24:05,244 もう… ああ~。 243 00:24:05,244 --> 00:24:10,449 (猪飼)泣くな。 ほら 泣くな。 244 00:24:17,957 --> 00:24:23,262 (徳信院)公儀の都合とはいえ ホッといたしました。➡ 245 00:24:23,262 --> 00:24:29,068 慶喜殿がお出になられ 美賀君まで大奥に入られては➡ 246 00:24:29,068 --> 00:24:35,841 この一橋も どれほど寂しくなることかと 案じておりましたゆえ。 247 00:24:35,841 --> 00:24:44,283 (美賀君)妾に御台所として 3,000人の女を束ねるなど土台無理な話。 248 00:24:44,283 --> 00:24:50,622 それに たとえ大奥に入ったところで➡ 249 00:24:50,622 --> 00:24:55,427 殿は 京よりお戻りにはなられませぬ。 250 00:25:04,069 --> 00:25:14,380 この先 もう共に暮らすことは あらしゃられませんのやろな。 251 00:25:14,380 --> 00:25:23,088 ♬~ 252 00:25:23,088 --> 00:25:26,759 (足音) 253 00:25:26,759 --> 00:25:29,395 栄一 行くぞ。 254 00:25:29,395 --> 00:25:32,097 おう。 255 00:25:32,097 --> 00:25:58,891 ♬~ 256 00:26:09,234 --> 00:26:13,072 幕府に勤めることとなった篤太夫たちは➡ 257 00:26:13,072 --> 00:26:18,377 陸軍奉行所の書記官として 働き始めました。 258 00:26:18,377 --> 00:26:22,247 (平岡準蔵)おぅい 書付はどうした? 259 00:26:22,247 --> 00:26:25,083 おぅい 書付はどうした? 260 00:26:25,083 --> 00:26:27,019 おい あの書付は? 261 00:26:27,019 --> 00:26:29,254 書付 どうなった。 262 00:26:29,254 --> 00:26:32,558 (森 新十郎) おい新入り 早く持ってまいれ。 263 00:26:34,393 --> 00:26:36,695 ははっ。 264 00:26:38,263 --> 00:26:43,602 やはりもう お目見えもかなわねぇ。 265 00:26:43,602 --> 00:26:47,406 殿は 遠い遠いお方になっちまった。 266 00:26:47,406 --> 00:26:53,612 あぁ。 面白くねぇなぁ。 267 00:26:56,415 --> 00:27:00,419 いっそ もう辞めちまうか。 268 00:27:00,419 --> 00:27:05,123 しかし辞めたところでどうする? 269 00:27:07,559 --> 00:27:09,595 俺は 臣下として➡ 270 00:27:09,595 --> 00:27:15,067 殿をお守りしたいという志には 変わりはねぇ。 271 00:27:15,067 --> 00:27:20,739 もう少し ここにおって… 何ができるかを考えてみたい。 272 00:27:20,739 --> 00:27:24,910 フン。 粋がりおって。 273 00:27:24,910 --> 00:27:28,780 はあ? 粋がってなどおらぬ。 274 00:27:28,780 --> 00:27:34,253 元来 お主は 男のくせに口ばかり達者で 武士には向いておらぬ。 275 00:27:34,253 --> 00:27:39,124 辞めるなり 村で百姓に戻るなり 好きにせよ。 276 00:27:39,124 --> 00:27:42,961 おめえ… 実は やっかんでんだんべ。 277 00:27:42,961 --> 00:27:46,265 はあ? ヘッ そうか。 278 00:27:46,265 --> 00:27:50,135 長州征討の時も おめえより俺の方が ちっとんべ重宝がられておったもんな。 279 00:27:50,135 --> 00:27:52,137 バ… バカ言うな! 280 00:27:52,137 --> 00:27:54,940 なぜそんなことで 俺がお主をやっかむ? 281 00:27:54,940 --> 00:27:56,875 何が「お主」だい。 282 00:27:56,875 --> 00:28:00,546 生意気に似合わねぇ武家言葉など 使いおって。 283 00:28:00,546 --> 00:28:02,581 似合わねぇだと? 284 00:28:02,581 --> 00:28:06,718 おめえ… お主こそ 仕官して2年もたつのに➡ 285 00:28:06,718 --> 00:28:09,755 いつまで だんべぇ だんべぇ 言い続けるつもりだい。 286 00:28:09,755 --> 00:28:12,057 はあ? だんべぇ だんべぇなんか 言ってねぇだんべぇ! 287 00:28:12,057 --> 00:28:13,992 あ~ 言ってるだんべぇ! 288 00:28:13,992 --> 00:28:15,928 毎日なっから言ってるだんべぇ! 289 00:28:15,928 --> 00:28:17,930 おい! 誰か止めよ! 290 00:28:17,930 --> 00:28:22,568 何だと おめえ…。 おい… おい! 291 00:28:22,568 --> 00:28:25,270 おい 来いよ! 勝負すっか! 292 00:28:39,585 --> 00:28:41,520 (新十郎)謀反人でございまするか? 293 00:28:41,520 --> 00:28:45,390 (溝口勝如) あぁ。 京都町奉行から掛け合いが来た。 294 00:28:45,390 --> 00:28:50,929 京に滞留しておる大沢という御書院番士が 兵器鉄砲を多くととのえ➡ 295 00:28:50,929 --> 00:28:53,398 謀反の嫌疑ありとのこと。 296 00:28:53,398 --> 00:28:58,604 ついてはこの大沢を捕縛するため 誰か わしの名代を務めよ。 297 00:28:58,604 --> 00:29:01,206 そんな恐ろしい男を捕らえるなどとは。 298 00:29:01,206 --> 00:29:03,875 (準蔵) 新選組にでもやらせたらどうですか。 299 00:29:03,875 --> 00:29:09,214 新選組を護衛にはつけるが 大沢は この陸軍支配のもの。 300 00:29:09,214 --> 00:29:12,050 ここより名代を 出さぬわけにはまいらぬ。➡ 301 00:29:12,050 --> 00:29:14,086 新選組局長に急ぎ報せねばならぬのだ。 302 00:29:14,086 --> 00:29:19,358 そうだ。 手前の組に元浪人がおりまする。 303 00:29:19,358 --> 00:29:23,061 攘夷かぶれの気性の激しい男で➡ 304 00:29:23,061 --> 00:29:28,066 大坂の代官も 頭が上がらなかったとの風聞…。 305 00:29:33,071 --> 00:29:35,073 ん? 306 00:29:37,242 --> 00:29:42,748 それでは 大沢源次郎という者を訪ね 「ご不審の筋があるゆえ➡ 307 00:29:42,748 --> 00:29:45,651 奉行の名代をもって 捕縛し糺問する」と伝え➡ 308 00:29:45,651 --> 00:29:47,619 捕縛すればよろしいのですね。 309 00:29:47,619 --> 00:29:49,621 間もなく護衛の新選組が…。 310 00:29:49,621 --> 00:29:51,757 (土方歳三)失礼する。➡ 311 00:29:51,757 --> 00:29:54,793 拙者 新選組副長 土方歳三。 312 00:29:54,793 --> 00:30:00,399 ひ… 土方殿が じかに参られるとは。➡ 313 00:30:00,399 --> 00:30:03,268 あ… これが渋沢じゃ。 314 00:30:03,268 --> 00:30:05,203 では 頼んだぞ。 315 00:30:05,203 --> 00:30:07,773 へ? いや…。 316 00:30:07,773 --> 00:30:12,277 渋沢殿 貴殿を護衛する命を受けた。➡ 317 00:30:12,277 --> 00:30:15,080 はばかりながらご安心くだされたい。 318 00:30:17,115 --> 00:30:19,051 うむ。 319 00:30:19,051 --> 00:30:22,988 ただいま 探索の者を遣わしてござる。 320 00:30:22,988 --> 00:30:26,825 大沢が戻ればすぐに踏み込み 我らがひっ捕らえるゆえ➡ 321 00:30:26,825 --> 00:30:29,428 その上にて ご自分のご使命を達せられよ。 322 00:30:29,428 --> 00:30:32,964 ん? いや それはいかん。 323 00:30:32,964 --> 00:30:37,469 まずは先に 私が大沢に 奉行の命を伝えるのが筋であろう。 324 00:30:39,137 --> 00:30:41,807 まだ罪があるかどうかも分からぬ者を➡ 325 00:30:41,807 --> 00:30:44,843 有無も言わさず縛り上げるは 道理に外れておる。 326 00:30:44,843 --> 00:30:48,580 さような卑怯な振る舞いはできませぬ。 327 00:30:48,580 --> 00:30:50,515 (新選組たちの笑い声) 328 00:30:50,515 --> 00:30:53,518 立派な御説ではあるが➡ 329 00:30:53,518 --> 00:30:56,321 向こうが剣を振り上げてきたら 何とされる? 330 00:30:56,321 --> 00:31:01,259 なんの。 それならば この渋沢にも腕はある。 331 00:31:01,259 --> 00:31:05,764 しかし…。 さほどのこともお分かりにならねぇなら➡ 332 00:31:05,764 --> 00:31:08,800 護衛など要らぬ。 一人で出向きまする。 333 00:31:08,800 --> 00:31:11,603 (隊士)おい 勝手なことをするな! 334 00:31:19,945 --> 00:31:23,148 (隊士)ここのようです。 うむ。 335 00:31:24,783 --> 00:31:26,818 まことに一人でよろしいのだな? 336 00:31:26,818 --> 00:31:30,122 男に 二言はない。 337 00:31:37,295 --> 00:31:39,798 しからば ご油断なく。 338 00:32:07,592 --> 00:32:09,594 頼もう! 339 00:32:13,398 --> 00:32:19,204 拙者 陸軍奉行支配調役 渋沢篤太夫と申すもの。 340 00:32:19,204 --> 00:32:22,407 大沢殿とご面会いたしたい。 341 00:32:24,943 --> 00:32:27,846 (書生)主人は もはや 床につきましてございますが。 342 00:32:27,846 --> 00:32:32,417 いや 奉行所より 火急の御用で参ったとお取り次ぎを。 343 00:32:32,417 --> 00:32:37,789 (大沢源次郎)おい どうした? 344 00:32:37,789 --> 00:32:39,991 大沢殿か。 345 00:32:41,660 --> 00:32:43,962 ご不審の筋があるゆえ➡ 346 00:32:43,962 --> 00:32:49,434 陸軍奉行 溝口伊勢守様の名代をもって 捕縛し糺問いたす。 347 00:32:49,434 --> 00:32:51,937 捕縛…? 348 00:32:55,140 --> 00:32:57,142 待て! 349 00:32:59,811 --> 00:33:03,782 幕臣のようじゃが 斬ってもよろしいですか。 350 00:33:03,782 --> 00:33:06,485 構わぬ。 やれ! 351 00:33:12,257 --> 00:33:14,192 や~! あ~! 352 00:33:14,192 --> 00:33:16,194 や~! 353 00:33:29,274 --> 00:33:31,276 (歳三)や~! 354 00:33:34,145 --> 00:33:36,615 し… 新選組! (歳三)しかり。 355 00:33:36,615 --> 00:33:39,651 神妙に縛に就け。 356 00:33:39,651 --> 00:34:00,372 ♬~ 357 00:34:00,372 --> 00:34:02,307 土方殿…。 358 00:34:02,307 --> 00:34:04,309 あっ あ… あ~! 359 00:34:13,385 --> 00:34:16,087 大事はござらんか 渋沢殿。 360 00:34:16,087 --> 00:34:18,290 ああ…。 361 00:34:20,926 --> 00:34:23,228 (隊士)ほら! 362 00:34:26,398 --> 00:34:28,767 ご苦労であった。 363 00:34:28,767 --> 00:34:31,069 うむ。 364 00:34:33,104 --> 00:34:36,942 結局 働かせていただくことになりましたな。 365 00:34:36,942 --> 00:34:39,277 うむ。 366 00:34:39,277 --> 00:34:43,782 ただ もうちっと早く来るかと思ったぞ。 367 00:34:43,782 --> 00:34:46,284 早く来る? 368 00:34:46,284 --> 00:34:50,155 お… お主らのお役目は 俺を守ることだ。 369 00:34:50,155 --> 00:34:52,157 俺が斬られでもすりゃあ➡ 370 00:34:52,157 --> 00:34:55,860 天下にとどろく新選組の面目が 丸つぶれだ。 371 00:34:57,629 --> 00:35:00,432 そうか。 うむ。 372 00:35:03,234 --> 00:35:12,377 しかし 先ほどの貴殿のお覚悟は 武士として まことにごもっともの御説。 373 00:35:12,377 --> 00:35:16,915 この土方 心服いたした。 374 00:35:16,915 --> 00:35:20,251 これは貴殿の功。 褒美でも受け取られるがよい。 375 00:35:20,251 --> 00:35:27,058 いや 本音を言えば 名代などバカらしい話だ。 376 00:35:29,761 --> 00:35:34,633 こんなもん お奉行様が じかに大沢に会い➡ 377 00:35:34,633 --> 00:35:37,936 腹割って真偽問いただせば それで済むんだい。 378 00:35:37,936 --> 00:35:44,642 それを幕吏というのは まこと旧弊を引きずり風通しが悪ぃ。 379 00:35:46,644 --> 00:35:51,783 そんなところに己も入っちまうとは! 380 00:35:51,783 --> 00:35:54,819 俺たちもこうして ただ禄を食んでるうちに➡ 381 00:35:54,819 --> 00:35:56,821 亡国の臣となるんだい。 382 00:35:58,556 --> 00:36:02,427 亡国の臣だと? 貴様 ご直参のくせに何を! 383 00:36:02,427 --> 00:36:04,429 構やしねぇだんべぇ。 384 00:36:04,429 --> 00:36:08,133 明日には もう辞めておるやもしれぬ。 ハハ。 385 00:36:09,901 --> 00:36:14,239 俺は もとは武州の百姓だ。 386 00:36:14,239 --> 00:36:17,909 百姓? あぁ そうだ。 387 00:36:17,909 --> 00:36:26,084 志を持って草莽の志士になるつもりが 一橋に仕官することになり➡ 388 00:36:26,084 --> 00:36:29,754 戦う覚悟を決めたかと思えば 戦はねぇし➡ 389 00:36:29,754 --> 00:36:34,926 やっとお役に立てる道を 見つけたかと思えば その道も途絶え➡ 390 00:36:34,926 --> 00:36:39,264 今じゃ 大っ嫌いだったはずの幕臣だで。 391 00:36:39,264 --> 00:36:41,566 ハハハハ…。 392 00:36:43,134 --> 00:36:47,005 喜作の言うとおりかもしんねぇな。 393 00:36:47,005 --> 00:36:51,709 俺には お武家様など 合ってなかったのかもしれねぇ。 394 00:36:53,411 --> 00:36:56,114 なるほど。 395 00:36:56,114 --> 00:36:58,917 それで先ほどから さような言葉であったのか。 396 00:37:00,952 --> 00:37:04,722 ハッ… ハハハハハハ。 397 00:37:04,722 --> 00:37:08,893 ハハハハ…。 398 00:37:08,893 --> 00:37:11,196 合点がいった。 399 00:37:13,364 --> 00:37:15,300 俺は 武州多摩の百姓だい。 400 00:37:15,300 --> 00:37:20,905 なぬ? そう 多摩か! おう。おぉ 俺は岡部だい。 401 00:37:20,905 --> 00:37:24,742 おぉ 熊谷の北の。 薬の行商で行ったぞ。 402 00:37:24,742 --> 00:37:28,079 多摩の地では 何が育つんだい? 403 00:37:28,079 --> 00:37:31,116 忘れた。 404 00:37:31,116 --> 00:37:34,753 俺は畑を耕し 行商をする暮らしに飽き足らず➡ 405 00:37:34,753 --> 00:37:37,589 この道を選んだんだ。 406 00:37:37,589 --> 00:37:39,791 そうか。 407 00:37:41,392 --> 00:37:47,599 武士となって 国のために戦うのが目当てであった。 408 00:37:47,599 --> 00:37:51,102 お主と違って 後悔は少しもない。 409 00:37:54,773 --> 00:38:00,345 日の本のために 潔く命を捨てるその日まで➡ 410 00:38:00,345 --> 00:38:03,047 ひたすら前を向くのみだ。 411 00:38:05,183 --> 00:38:08,486 潔く命を捨てる? 412 00:38:10,088 --> 00:38:15,093 この手で何十人と命を奪ってきた。 413 00:38:18,563 --> 00:38:21,866 己の命に みじんも未練はない。 414 00:38:24,435 --> 00:38:32,110 そうか。 はぁ 俺とは違ぇな。 415 00:38:32,110 --> 00:38:36,814 俺は 行く手に詰まったり 迷ったりしてばかりだ。 416 00:38:38,883 --> 00:38:45,790 でもまあ 日の本を守りたいという思いは 俺も同じだ。 417 00:38:45,790 --> 00:38:50,295 それだけは俺も曲げねぇ。 418 00:38:56,301 --> 00:38:58,303 うむ。 419 00:39:03,074 --> 00:39:07,345 拙者はこれより報告に戻る。 420 00:39:07,345 --> 00:39:09,647 しからば御免。 421 00:39:15,053 --> 00:39:21,259 俺も… 土方殿と話せてよかった。 422 00:39:23,228 --> 00:39:26,064 武州の風を思い出した。 423 00:39:26,064 --> 00:39:30,869 あのころの 己の気持ちを。 424 00:39:33,571 --> 00:39:36,074 いつかまた会った時に恥じぬよう➡ 425 00:39:36,074 --> 00:39:40,378 俺もなるたけ 前を向いて生きてみることにすんべぇ。 426 00:39:41,946 --> 00:39:46,751 まあ百姓に戻ってるか何になってるかは 分かんねぇけんどな。 427 00:39:49,587 --> 00:39:53,091 「生きる」か…。 428 00:39:56,094 --> 00:40:00,265 あぁ いつか必ず。 429 00:40:00,265 --> 00:40:20,952 ♬~ 430 00:40:20,952 --> 00:40:24,622 この度はご苦労であった。 ははっ。 431 00:40:24,622 --> 00:40:26,658 渋沢成一郎。 はっ。 432 00:40:26,658 --> 00:40:29,127 そなたが大沢を江戸に連れてまいれ。 433 00:40:29,127 --> 00:40:31,629 ははっ。 434 00:40:34,299 --> 00:40:38,303 なんと… そこもとも渋沢と申されるか。 435 00:40:38,303 --> 00:40:40,805 ん? 436 00:40:40,805 --> 00:40:42,807 フッ… ハハ。 437 00:40:45,643 --> 00:40:50,448 (小栗忠順)紀州や大奥も 「一橋に将軍宣下を」と➡ 438 00:40:50,448 --> 00:40:54,319 朝廷に進言しておるようだ。 439 00:40:54,319 --> 00:41:00,124 こうなれば 一橋が将軍になることは避けられまい。 440 00:41:02,126 --> 00:41:04,629 (栗本鋤雲)ええい! 441 00:41:06,397 --> 00:41:11,602 まさか あのような男が 武家の棟梁とは…。 442 00:41:11,602 --> 00:41:19,344 いや かくなる上は 我らは公儀を守るのみ。 443 00:41:19,344 --> 00:41:23,948 あの男を盾に お家を守るしかなかろう。 しかし! 444 00:41:23,948 --> 00:41:28,286 (向山一履) 小栗殿 パリの博覧会はどうする? 445 00:41:28,286 --> 00:41:31,789 (田辺太一)ロッシュ殿より そろそろ公儀から誰を送るか➡ 446 00:41:31,789 --> 00:41:34,292 返事が欲しいとの催促にてございまする。 447 00:41:34,292 --> 00:41:40,965 しかたあるまい。 一橋… いや➡ 448 00:41:40,965 --> 00:41:45,269 上様になられるであろうお方に 相談してみよう。 449 00:41:54,979 --> 00:41:57,181 (慶喜)パリか…。 450 00:42:03,254 --> 00:42:05,556 市之進よ。 ははっ。 451 00:42:07,125 --> 00:42:10,128 渋沢はどうしておる? 452 00:42:10,128 --> 00:42:18,736 ♬~ 453 00:42:18,736 --> 00:42:22,106 このあと訪れる転機を➡ 454 00:42:22,106 --> 00:42:26,911 篤太夫は まだ知りませんでした。 455 00:42:30,281 --> 00:42:33,117 お主に頼みたいのは パリへ参ることだ。 456 00:42:33,117 --> 00:42:35,153 はぁ? フランス? 457 00:42:35,153 --> 00:42:37,789 精いっぱい勤めてまいりまする。 458 00:42:37,789 --> 00:42:39,724 杉浦と呼び捨てでも構わぬぞ。 459 00:42:39,724 --> 00:42:41,659 フランス人には気を付けろよ。 460 00:42:41,659 --> 00:42:45,530 確かお主は 攘夷倒幕を唱えておったとか。 461 00:42:45,530 --> 00:42:49,967 ひょっとしたら この世で 顔を見ることもできねぇんだんべか。 462 00:42:49,967 --> 00:42:52,870 己を責めて人を責むるな。 463 00:42:52,870 --> 00:42:55,173 某をパリに行がせてください!