1 00:00:07,140 --> 00:00:10,611 将軍 徳川家茂が逝去。 2 00:00:10,611 --> 00:00:17,284 慶喜が 徳川宗家を 相続することとなりました。 3 00:00:17,284 --> 00:00:23,090 (渋沢篤太夫) ここを出りゃ 殿はもう上様です。 4 00:00:23,090 --> 00:00:27,394 二度と じかに建言なんか届かねぇや。 5 00:00:30,631 --> 00:00:32,833 (徳川慶喜)パリか…。 6 00:00:35,302 --> 00:00:37,604 市之進よ。 (原 市之進)ははっ。 7 00:00:39,172 --> 00:00:42,175 渋沢はどうしておる? 8 00:00:42,175 --> 00:00:46,647 原様 お久しゅうございます。 うん。 9 00:00:46,647 --> 00:00:50,817 殿は… 殿は今 どのようにお過ごしで。 10 00:00:50,817 --> 00:00:54,521 殿は 今では「上様」と呼ばれている。 11 00:00:56,456 --> 00:00:59,993 上様… てことは もう将軍に…。 12 00:00:59,993 --> 00:01:04,965 まだだ。 しかし お主を呼び出したのは このような問答をするためではない。 13 00:01:04,965 --> 00:01:08,702 火急の用だ。 少し口をつぐめ。 14 00:01:08,702 --> 00:01:10,904 ははっ。 15 00:01:14,408 --> 00:01:18,779 内々の話であるが 来る卯の年➡ 16 00:01:18,779 --> 00:01:22,416 フランスのパリにて 博覧会という催しが開かれる。 17 00:01:22,416 --> 00:01:24,952 はくらん? 18 00:01:24,952 --> 00:01:30,424 (市之進)何でも 西洋東洋の万国が 己の国の自慢の物産を持ち寄り➡ 19 00:01:30,424 --> 00:01:33,627 「これはいい」「あれはいい」などと 品定めをする会だそうだ。 20 00:01:33,627 --> 00:01:36,964 おぉ 物産会か。 異国に物産会があるとは…。 21 00:01:36,964 --> 00:01:41,435 その会に 我が国も 初めて公に参加することとなった。 22 00:01:41,435 --> 00:01:44,338 おぉ! それはご英断でございまする! 23 00:01:44,338 --> 00:01:47,641 まあ確かに 異国には優れた品もありますが➡ 24 00:01:47,641 --> 00:01:50,677 日の本とて 優れたものは存分にございますので➡ 25 00:01:50,677 --> 00:01:53,981 それを夷狄に見せつける好機! 26 00:01:53,981 --> 00:01:56,316 話を最後まで聞けい! 27 00:01:56,316 --> 00:01:59,219 ははっ。 28 00:01:59,219 --> 00:02:04,758 その博覧会には 国の威信をかけ 各国の王族が集まる。 29 00:02:04,758 --> 00:02:07,594 王…? それゆえ➡ 30 00:02:07,594 --> 00:02:11,765 フランスは 我が国からも 王族を送るよう求めておる。 31 00:02:11,765 --> 00:02:14,601 天子様は異国に行くなど もっての外ゆえ➡ 32 00:02:14,601 --> 00:02:18,939 上様の弟君の 民部公子をお送りすることとなった。 33 00:02:18,939 --> 00:02:20,874 民部公子。 34 00:02:20,874 --> 00:02:26,413 (市之進)民部公子は 会津松平家に ご養子に入られることになっていたが…➡ 35 00:02:26,413 --> 00:02:32,285 この度 上様のご意向により 清水家をご相続された。 36 00:02:32,285 --> 00:02:36,089 これほどの身分のお方が 国を出るのは初めてのこと。 37 00:02:36,089 --> 00:02:39,960 しかし おつきの水戸の者が反対し➡ 38 00:02:39,960 --> 00:02:43,296 「行くなら30人はついてまいる」と 言いだす始末。 39 00:02:43,296 --> 00:02:51,038 どうにか数は減らしたが 異人とみれば 斬ってかかるような連中ばかりだ。 40 00:02:51,038 --> 00:02:57,444 それゆえ 上様が 内々におっしゃられたのだ。 41 00:02:57,444 --> 00:03:03,250 渋沢であれば 公儀との間を取り持つのに 適任ではないかと。 42 00:03:03,250 --> 00:03:10,924 つまり お主に頼みたいのは…➡ 43 00:03:10,924 --> 00:03:14,227 一行の一員として パリへ参ることだ。 44 00:03:18,098 --> 00:03:21,134 俗事や会計を務めながら 水戸侍を見張ることは➡ 45 00:03:21,134 --> 00:03:24,871 大変な務めではあるが 上様の思し召しゆえ➡ 46 00:03:24,871 --> 00:03:27,808 よく考えてから返事をせよ。 あぁ…。 47 00:03:27,808 --> 00:03:35,615 はぁ まことに たまげたことだい。 48 00:03:37,484 --> 00:03:43,623 某は 数年前にも道に詰まり…➡ 49 00:03:43,623 --> 00:03:49,429 その時に たまげた道を 開いてくださったのが平岡様だった。 50 00:03:49,429 --> 00:03:52,332 (平岡円四郎)どうだ? 51 00:03:52,332 --> 00:03:54,634 一橋の 家来になれ。 52 00:03:54,634 --> 00:04:01,074 それを今度は 殿が開いてくださるとは…。 53 00:04:01,074 --> 00:04:06,246 これは僥倖。 54 00:04:06,246 --> 00:04:08,582 僥倖? 55 00:04:08,582 --> 00:04:10,517 参ります。 今 何と言った? 56 00:04:10,517 --> 00:04:13,253 ははっ。 参ります。 行がせてください! 57 00:04:13,253 --> 00:04:15,188 待て! 待て 待て 待て。 58 00:04:15,188 --> 00:04:18,759 もっとよく考えろ。 お主も元来は攘夷だろう。 59 00:04:18,759 --> 00:04:21,261 それがなぜ それほど すらりと受け入れられる? 60 00:04:21,261 --> 00:04:23,930 はぁ なぜでございましょうか。 61 00:04:23,930 --> 00:04:28,602 某は今 まことに 胸がぐるぐるとしておりまする。 62 00:04:28,602 --> 00:04:33,774 詰まっちまった道に 思わぬ一条の光がさし➡ 63 00:04:33,774 --> 00:04:37,410 ぐるぐるして はぁおかしろくて たまらねぇんでございまする。 64 00:04:37,410 --> 00:04:39,346 おかしろいとは何事だ! 65 00:04:39,346 --> 00:04:41,281 行くのは長崎や蝦夷地ではない。 66 00:04:41,281 --> 00:04:43,283 異国の地だ! フランスだ! 67 00:04:43,283 --> 00:04:45,786 後で やはり行きたくないなどと 言われては困るのだぞ! 68 00:04:45,786 --> 00:04:48,788 そのようなことは決して申しませぬ。 69 00:04:51,291 --> 00:04:53,960 どのような艱苦も厭いません。 70 00:04:53,960 --> 00:04:57,831 何とぞ 某をパリに行がせてください! 71 00:04:57,831 --> 00:07:48,835 ♬~ 72 00:07:50,937 --> 00:07:55,408 (永井尚志)異国に出る際には 公儀から旅費を前貸しする。➡ 73 00:07:55,408 --> 00:08:00,113 帰国したら それぞれ何にいくら 使用したかを報告し➡ 74 00:08:00,113 --> 00:08:03,350 そなたが勘定を仕上げなければならぬ。 75 00:08:03,350 --> 00:08:05,719 おぉ 承知しました。 76 00:08:05,719 --> 00:08:07,654 しかし 永井様。 77 00:08:07,654 --> 00:08:11,224 異国で必要なものを売り買いするにしても どのような手だてで…。 78 00:08:11,224 --> 00:08:15,562 外国方から通詞を同行させるので 差し支えない。 79 00:08:15,562 --> 00:08:19,733 医師や髪結いも共に参る。 80 00:08:19,733 --> 00:08:22,369 見立て養子はどうする? 81 00:08:22,369 --> 00:08:24,904 見立て養子? 82 00:08:24,904 --> 00:08:29,576 国を出る時には その者の家を断絶させぬため➡ 83 00:08:29,576 --> 00:08:33,580 先に跡継ぎを定めることと決まっておる。 84 00:08:35,382 --> 00:08:39,252 家の者や友には もう報せたのか? 85 00:08:39,252 --> 00:08:44,924 あぁ いや… 無二の友に話して 後のことを決めたいのですが➡ 86 00:08:44,924 --> 00:08:49,796 今 ちょうど江戸に御用に行っております。 87 00:08:49,796 --> 00:08:53,933 そのころ 御用を終えた成一郎は…。 88 00:08:53,933 --> 00:08:59,806 (渋沢成一郎)上様は 幕府を 再び よみがえらせようとのお考えだ。 89 00:08:59,806 --> 00:09:04,344 幕府は大きく変わる。 90 00:09:04,344 --> 00:09:06,413 (尾高平九郎)幕府が変わる? 91 00:09:06,413 --> 00:09:08,882 あぁ。 92 00:09:08,882 --> 00:09:17,223 倒幕の心積もりだった俺たちが 幕臣に転じるなどとはあまりに変節だと。 93 00:09:17,223 --> 00:09:26,232 しかし… 今 俺は幕臣として 上様を支えたいと思っている。 94 00:09:28,935 --> 00:09:30,937 (尾高惇忠)そうか。 95 00:09:33,373 --> 00:09:36,176 俺は…。 96 00:09:38,745 --> 00:09:44,918 今や 一橋様のお考えに異論なしだ。 97 00:09:44,918 --> 00:09:48,788 国を開くことで 日の本を貶めるのではなく➡ 98 00:09:48,788 --> 00:09:55,395 かえって国威をあげるのであれば これぞ まさに水戸様の教え。 99 00:09:55,395 --> 00:09:59,265 あぁ~ よかった。 100 00:09:59,265 --> 00:10:01,768 あにぃがそう言うなら安堵した。 101 00:10:01,768 --> 00:10:04,804 ハハ… 何だい 喜作さん 気後れしてたんかい? 102 00:10:04,804 --> 00:10:06,940 はぁ そらそうだい。 103 00:10:06,940 --> 00:10:11,811 ほかの者には 何を言われても構わねぇが➡ 104 00:10:11,811 --> 00:10:16,316 あにぃにだけは 道が違うと言われたくなかった。 105 00:10:22,422 --> 00:10:25,725 あにぃも 来ねぇか? 106 00:10:28,294 --> 00:10:30,296 平九郎もだ。 107 00:10:30,296 --> 00:10:32,632 え…。 108 00:10:32,632 --> 00:10:38,805 平岡様も亡くなられ 上様が求めていらっしゃるのは➡ 109 00:10:38,805 --> 00:10:42,008 優秀な頭 軍師だ。 110 00:10:44,444 --> 00:10:48,148 あにぃにならば それができる。 111 00:10:48,148 --> 00:10:58,158 ♬~ 112 00:10:58,158 --> 00:11:02,395 (渋沢よし)お前様。 おう…。 113 00:11:02,395 --> 00:11:05,298 お千代も。 (渋沢千代)喜作さん…。 114 00:11:05,298 --> 00:11:07,600 私が呼んだんだに。 115 00:11:07,600 --> 00:11:11,771 いつもお千代ちゃんと一緒に お前様たちのことを案じてるんだかんな。 116 00:11:11,771 --> 00:11:15,408 そうか。 よしが世話になっているな。 117 00:11:15,408 --> 00:11:19,612 いいえ。 年の近いおよしちゃんが 近くにいてくれて➡ 118 00:11:19,612 --> 00:11:23,483 どんなに頼りになることか。 うむ。 119 00:11:23,483 --> 00:11:28,288 名残惜しいが もう行かねばならぬ。 120 00:11:30,256 --> 00:11:32,625 足りねぇもんはありませんか? 121 00:11:32,625 --> 00:11:37,130 足りぬものといえば… そうだな。 122 00:11:37,130 --> 00:11:39,065 おめえと作太郎だけだ。 123 00:11:39,065 --> 00:11:41,634 はぁ そんなこと。 ハハ…。 124 00:11:41,634 --> 00:11:45,305 あの… 栄一さんは今? 125 00:11:45,305 --> 00:11:50,176 あぁ… 栄一とはお役目を違えた。 126 00:11:50,176 --> 00:11:53,179 (よし)え? あいつは今➡ 127 00:11:53,179 --> 00:11:58,017 「何で こんなことになっちまったんだ」と 世をすねておる。 128 00:11:58,017 --> 00:12:01,387 俺とは少し考えが違う。 129 00:12:01,387 --> 00:12:05,258 そうでしたか。 130 00:12:05,258 --> 00:12:09,095 あ いや…。 もう! 131 00:12:09,095 --> 00:12:12,899 いや お千代…。 132 00:12:20,807 --> 00:12:26,279 そして 孝明天皇の強い希望もあり➡ 133 00:12:26,279 --> 00:12:32,085 慶喜は 第十五代将軍の座に就きました。 134 00:12:33,786 --> 00:12:38,291 こうなったからには 外国公使との接見を急ぎたい。 135 00:12:38,291 --> 00:12:40,226 ははっ。 136 00:12:40,226 --> 00:12:42,295 天子様への謁見は願い出たか? 137 00:12:42,295 --> 00:12:49,302 はっ。 ご挨拶に伺いたいと申したところ 今宵は内侍所の御神楽ゆえ➡ 138 00:12:49,302 --> 00:12:53,106 別の日にとのことでございました。 139 00:13:02,949 --> 00:13:06,386 (中川宮朝彦親王) お上 ご無理はなさらん方が…。 140 00:13:06,386 --> 00:13:12,592 神事をおろそかにして 何が帝か。 141 00:13:16,396 --> 00:13:22,769 この寒空でのお務めは さぞお疲れになろう。 142 00:13:22,769 --> 00:13:31,110 天皇は 国の安寧を祈るため 4時間以上に及ぶ御神楽に参列しました。 143 00:13:31,110 --> 00:13:47,960 ♬~ 144 00:13:47,960 --> 00:13:50,263 睦仁。 145 00:13:52,298 --> 00:13:55,601 来るなと申したであろう。 146 00:13:57,170 --> 00:14:00,740 (睦仁親王)ご案じなされませんように。 147 00:14:00,740 --> 00:14:05,078 私は既に 種痘を受けております。 148 00:14:05,078 --> 00:14:10,283 どうか早く治られまするように。 149 00:14:14,587 --> 00:14:16,889 種痘? 150 00:14:21,094 --> 00:14:28,901 そうか… 種痘か…。 151 00:14:35,274 --> 00:14:41,080 この数日後… 天皇は崩御しました。 152 00:14:42,782 --> 00:14:45,284 (永井)ここからが朝廷と一丸となり➡ 153 00:14:45,284 --> 00:14:48,788 公儀を盛り上げる 好機だったと申しますのに…。 154 00:14:48,788 --> 00:14:52,959 間もなく祐宮様が践祚なされる。 155 00:14:52,959 --> 00:14:55,294 まずいのう。 156 00:14:55,294 --> 00:14:58,131 祐宮様の後ろについているのは➡ 157 00:14:58,131 --> 00:15:03,336 先の帝に追い出された 公儀に刃向かう公家ばかりじゃ。 158 00:15:05,738 --> 00:15:08,374 何でや。 159 00:15:08,374 --> 00:15:11,911 何でお上がお隠れになられた? 160 00:15:11,911 --> 00:15:14,247 病は治ると言うてはったやないか! 161 00:15:14,247 --> 00:15:17,750 (トメ)おやめくだされ。 やめときって! 162 00:15:17,750 --> 00:15:20,253 あんた もう帰り! へ… へぇ。 163 00:15:23,623 --> 00:15:31,931 お上は 後醍醐帝以来の帝による政を なさるはずのお方やったんや。 164 00:15:31,931 --> 00:15:39,105 あぁ わしがおそばにおったら…。 165 00:15:39,105 --> 00:15:42,408 はぁ… こんなことしてる場合やあらへんわ。 166 00:15:42,408 --> 00:15:46,779 ばあさん わしはそろそろ 表に出ないかんわ。 167 00:15:46,779 --> 00:15:49,415 はい? 168 00:15:49,415 --> 00:15:56,189 わしが幼帝をお守りし 今度こそ帝の世を➡ 169 00:15:56,189 --> 00:16:00,693 王政復古を果たします。 170 00:16:05,932 --> 00:16:10,636 上様のおなり~。 171 00:16:19,912 --> 00:16:22,248 (慶喜)面を上げよ。 172 00:16:22,248 --> 00:16:24,550 ははっ…。 173 00:16:32,258 --> 00:16:34,193 そんな顔をするな。 174 00:16:34,193 --> 00:16:37,930 先日 フランスの皇帝 第三代 ナポレオンが➡ 175 00:16:37,930 --> 00:16:40,399 私にと下さったものだ。 176 00:16:40,399 --> 00:16:42,935 不似合いとは分かっておる。 177 00:16:42,935 --> 00:16:48,608 あぁ いや… ちっとんべ たまげただけでございまする。 178 00:16:48,608 --> 00:16:55,481 昭武 これが明日より そなたに同行する渋沢だ。 179 00:16:55,481 --> 00:16:58,784 渋沢でございます。 以後 お見知りおきを。 180 00:16:58,784 --> 00:17:01,554 (徳川昭武)うむ。 よろしく頼む。 ははっ。 181 00:17:01,554 --> 00:17:05,892 昭武よ。 そなたが パリの博覧会に出ることで➡ 182 00:17:05,892 --> 00:17:10,062 日の本も ようやく 世界の表舞台に立つこととなる。 183 00:17:10,062 --> 00:17:15,568 その門出を前に そなたに5つの心得を話したい。➡ 184 00:17:15,568 --> 00:17:20,239 一つ 会が終わった後は 条約を結んでおる➡ 185 00:17:20,239 --> 00:17:25,111 エゲレス オランダ プロシア ベルギー イタリー スイスの各国を訪れ➡ 186 00:17:25,111 --> 00:17:28,381 その地の王に挨拶をすること。 ははっ。 187 00:17:28,381 --> 00:17:33,219 二つ それが終われば フランスにて学問を修めること。 188 00:17:33,219 --> 00:17:38,925 3年から5年。 まだ足りぬ時は 更に長く学んでも一向に構わぬ。 189 00:17:38,925 --> 00:17:43,262 ははっ。 三つ 学んでいる間は➡ 190 00:17:43,262 --> 00:17:47,767 師を必ず重んじよ。 (昭武)ははっ。 191 00:17:47,767 --> 00:17:52,939 四つ… もしも日の本に 常ならぬ事変が起きたと➡ 192 00:17:52,939 --> 00:17:56,943 風聞を耳にすることがあっても 決してみだりに動かぬこと。 193 00:17:58,611 --> 00:18:05,418 そして五つ… この度の渡欧の一行は 一和に 円満に努めること。➡ 194 00:18:05,418 --> 00:18:08,888 よいな。 (昭武)ははっ。 195 00:18:08,888 --> 00:18:14,060 上様のお申しつけを固く守り 精いっぱい つとめてまいりまする。 196 00:18:14,060 --> 00:18:16,896 (慶喜) うむ。 支度もあろう。 下がってよい。 197 00:18:16,896 --> 00:18:21,367 兄は 今少し渋沢と話がある。 ほかの者も人払いを。 198 00:18:21,367 --> 00:18:24,570 ははっ。 失礼いたしまする。 199 00:18:40,386 --> 00:18:42,755 久しぶりだな 渋沢。 200 00:18:42,755 --> 00:18:46,258 ははっ。 201 00:18:46,258 --> 00:18:49,762 どうする? もう将軍になってしまった。 202 00:18:52,131 --> 00:18:54,333 ははっ。 203 00:18:59,605 --> 00:19:04,443 あれほど おなりにならないでほしいと 申しておりましたのに…➡ 204 00:19:04,443 --> 00:19:09,882 こうして見ると 存外に その座がお似合いなことが➡ 205 00:19:09,882 --> 00:19:12,551 何とも言えぬ心持ちでございます。 206 00:19:12,551 --> 00:19:18,057 ハハ。 市之進は 父の願いがかなったと泣いておった。 207 00:19:18,057 --> 00:19:21,093 あるいは 円四郎も喜んでおるやもしれぬ。 208 00:19:21,093 --> 00:19:27,767 しかし 内外多難の今 かように重き荷を負っても➡ 209 00:19:27,767 --> 00:19:32,071 もはや私の力などでは及ばぬことも 分かりきっておる。 210 00:19:34,507 --> 00:19:39,745 ゆえに行く末は 欧州にて じかに広き世を見知った若き人材に➡ 211 00:19:39,745 --> 00:19:42,248 将軍の座を継がせたい。 212 00:19:42,248 --> 00:19:45,051 それには あの昭武がふさわしい。 213 00:19:46,919 --> 00:19:49,955 清水家は 将軍を出せる家名。 214 00:19:49,955 --> 00:19:54,593 昭武にこれを継がせ 徳川を称させることにした。 215 00:19:54,593 --> 00:20:01,267 昭武が戻れば もし私に子があっても 昭武を世継ぎに推す所存だ。 216 00:20:01,267 --> 00:20:05,104 まさか そのようなお考えだったとは…。 217 00:20:05,104 --> 00:20:09,408 それより問題は… 昭武が一人前となって戻るまで➡ 218 00:20:09,408 --> 00:20:13,212 私が公儀を潰さずにおられるかどうかだ。 219 00:20:14,947 --> 00:20:17,283 しかし… こうなった以上➡ 220 00:20:17,283 --> 00:20:20,186 私もやすやすと 潰されるわけにはまいらぬ。 221 00:20:20,186 --> 00:20:22,988 ははっ。 222 00:20:26,425 --> 00:20:31,630 「人の一生は 重荷を負うて遠き道を行くがごとし」。 223 00:20:34,633 --> 00:20:37,303 「急ぐべからず…」。 224 00:20:37,303 --> 00:20:41,974 「不自由を常と思えば不足なし➡ 225 00:20:41,974 --> 00:20:46,178 心に望みおこらば 困窮したる時を思い出すべし」。 226 00:20:50,149 --> 00:20:54,820 「堪忍は無事長久のもとい」。 227 00:20:54,820 --> 00:20:57,656 「怒りは敵と思え」。 228 00:20:57,656 --> 00:21:01,393 (2人)「勝事ばかり知りて 負くることを知らざれば➡ 229 00:21:01,393 --> 00:21:03,329 害その身にいたる。➡ 230 00:21:03,329 --> 00:21:06,765 己を責めて人を責むるな。➡ 231 00:21:06,765 --> 00:21:10,970 及ばざるは過ぎたるよりまされり」。 232 00:21:13,272 --> 00:21:17,276 はぁ ハハハハハハ…。 233 00:21:17,276 --> 00:21:22,615 いや… ハハハハハハ。 234 00:21:22,615 --> 00:21:28,287 人の一生とは なんと 摩訶不思議なことでございましょう。 235 00:21:28,287 --> 00:21:34,093 上様と大権現様のご遺訓を 唱えることがかなうとは…。 236 00:21:36,428 --> 00:21:39,331 渋沢。 ははっ。 237 00:21:39,331 --> 00:21:44,336 遠き道 苦も多くあろうが 弟を頼んだぞ。 238 00:21:46,438 --> 00:21:51,243 ははっ! 必ずや民部公子をお支えいたします! 239 00:21:56,115 --> 00:22:01,253 翌日 昭武の一行は京を出発。 240 00:22:01,253 --> 00:22:05,057 船で 横浜に到着しました。 241 00:22:15,601 --> 00:22:17,636 (栗本鋤雲)民部公子様。 242 00:22:17,636 --> 00:22:20,472 お疲れのところ 大変恐縮にてございまするが➡ 243 00:22:20,472 --> 00:22:24,276 お目にかけたきものが多々おりまする。 さぁさぁ。 244 00:22:28,781 --> 00:22:30,816 (小笠原長行) 小笠原壱岐守にてございまする。 245 00:22:30,816 --> 00:22:33,118 (立花種恭)立花出雲守でございます。 246 00:22:33,118 --> 00:22:35,621 (滝川具挙)滝川播磨守にてございまする。 247 00:22:35,621 --> 00:22:38,290 うむ。 ご苦労であった。 248 00:22:38,290 --> 00:22:42,962 勘定奉行 小栗上野介でございまする。 249 00:22:42,962 --> 00:22:45,631 あれが小栗様…。 250 00:22:45,631 --> 00:22:47,833 (栗本)おぉ いらした いらした! 251 00:22:49,435 --> 00:22:51,437 (栗本・フランス語で) 252 00:22:57,309 --> 00:23:00,746 (栗本) フランス公使のロッシュでございます。 253 00:23:00,746 --> 00:23:05,251 オメニ カカレテ コウエイニ ゴザイマス。 254 00:23:05,251 --> 00:23:09,088 こちらこそ よろしく頼む。 255 00:23:09,088 --> 00:23:14,260 ♬~ 256 00:23:14,260 --> 00:23:18,097 なんと なれなれしい…。 257 00:23:18,097 --> 00:23:20,299 さあ では あちらの方へ。 258 00:23:22,268 --> 00:23:24,937 (杉浦愛蔵)お主が渋沢殿か? 259 00:23:24,937 --> 00:23:26,872 医師の高松殿は…。 260 00:23:26,872 --> 00:23:28,807 (高松凌雲)私だ。 261 00:23:28,807 --> 00:23:32,278 高松凌雲だ。 (杉浦)そうですか。 262 00:23:32,278 --> 00:23:34,780 では こちらへ。 へ? 263 00:23:36,282 --> 00:23:38,784 僕は外国方の杉浦です。 264 00:23:38,784 --> 00:23:44,957 あと 外国方から行くのは 外国奉行の向山様 組頭の田辺様。 265 00:23:44,957 --> 00:23:48,427 田辺様と僕は フランスの地を踏むのは2度目です。 266 00:23:48,427 --> 00:23:52,798 2度目? (福沢諭吉)おぉ 高松ではないか! 267 00:23:52,798 --> 00:23:55,701 福沢殿! お久しぶりです。 268 00:23:55,701 --> 00:24:00,606 渋沢殿 福沢諭吉さんに 福地源一郎さんだ。 269 00:24:00,606 --> 00:24:03,409 ほう お主が渋沢殿か。 270 00:24:06,078 --> 00:24:10,916 向こうに行ったら モンブランという フランス人には気を付けろよ。 271 00:24:10,916 --> 00:24:14,586 もんぶら? 公儀の使節が異国に行く度に➡ 272 00:24:14,586 --> 00:24:17,089 交わりを求めてくるのだ。 273 00:24:17,089 --> 00:24:20,959 何度も断っておったら 次は薩摩に近づいておる。 274 00:24:20,959 --> 00:24:24,263 薩摩に? 薩摩も西洋に行っておるのか? 275 00:24:24,263 --> 00:24:27,599 何か たくらんでるかもしれねぇと 奉行様に申し上げたが➡ 276 00:24:27,599 --> 00:24:29,535 ほっておけと言われた。 277 00:24:29,535 --> 00:24:32,471 あぁ。 気がかりだなあ。 278 00:24:32,471 --> 00:24:36,942 博覧会の事務についてはレセップに➡ 279 00:24:36,942 --> 00:24:41,947 財務や交渉に関しては フリュリ・エラールに万事依頼しておる。 280 00:24:44,116 --> 00:24:49,788 また徳川の高貴なお方が パリに入られることで友好が深まれば➡ 281 00:24:49,788 --> 00:24:55,661 この先の通商やコンパニーも 必ずや有利に働くことになろう。 282 00:24:55,661 --> 00:24:57,963 (山髙 田辺)ははっ。 283 00:24:57,963 --> 00:25:03,736 (小声で)小栗様は 異国との貿易や 税の交渉を一手に受けている。➡ 284 00:25:03,736 --> 00:25:10,242 豪商の三井を引き入れ 横浜の 荷物為替組合を結成させたのも小栗様だ。 285 00:25:10,242 --> 00:25:17,116 茶や生糸の売り買いにまでも詳しく いつも感服させられる。 286 00:25:17,116 --> 00:25:22,955 この度のフランス行きの もう一つの大きな目当ては➡ 287 00:25:22,955 --> 00:25:25,257 600万ドルの借款だ。 288 00:25:25,257 --> 00:25:28,460 600万どる? しゃっかん? 289 00:25:32,765 --> 00:25:35,667 そうなりますと 600万ドルとは➡ 290 00:25:35,667 --> 00:25:40,506 およそ150万ポンド 450万両となりまするな。 291 00:25:40,506 --> 00:25:43,275 飲み込みが早い。 292 00:25:43,275 --> 00:25:47,146 借款の手筈も書いておいたゆえ 船出までによく読んでおくとよい。 293 00:25:47,146 --> 00:25:50,149 ははっ。 294 00:25:50,149 --> 00:25:54,420 もう一つ お伺いしたき儀がございまする。 295 00:25:54,420 --> 00:25:56,488 民部公子は 物産会の後➡ 296 00:25:56,488 --> 00:26:00,893 彼の地にて 3年から5年にわたり 洋学を学ばれるとのこと。 297 00:26:00,893 --> 00:26:05,564 初めは公儀より 当面の金子を預かるものの➡ 298 00:26:05,564 --> 00:26:09,902 その後は いかになされる 見込みでございましょうか。 299 00:26:09,902 --> 00:26:12,371 ハハ…。➡ 300 00:26:12,371 --> 00:26:15,274 それは おかしいのう。 301 00:26:15,274 --> 00:26:22,915 確かお主は つい近頃まで 高崎城を乗っ取り 横浜を焼き討ち➡ 302 00:26:22,915 --> 00:26:27,386 攘夷倒幕を唱えておったとか。 303 00:26:27,386 --> 00:26:34,259 そのような男が ご公儀の3年先 5年先を案じてくれるなどというのは➡ 304 00:26:34,259 --> 00:26:36,929 おかしなことではないか。 305 00:26:36,929 --> 00:26:39,598 昔の話でございまする。 306 00:26:39,598 --> 00:26:42,935 ほんの1~2年前の話であろう。 307 00:26:42,935 --> 00:26:50,109 あ… 確かに命を捨て 日の本のため 攘夷倒幕を考えたこともございました。 308 00:26:50,109 --> 00:26:52,144 しかし 今は違います。 309 00:26:52,144 --> 00:26:56,949 今は なんとか生きて 日の本の役に立ちてぇと思っております。 310 00:27:02,221 --> 00:27:04,723 冗談だ。 311 00:27:04,723 --> 00:27:08,560 ハハハハハ… ただの戯言だ。 312 00:27:08,560 --> 00:27:12,064 お主の 一橋の勘定所での働きは存じておる。 313 00:27:12,064 --> 00:27:16,935 金は いやしくも不肖小栗が 勘定奉行の職にある間は➡ 314 00:27:16,935 --> 00:27:21,373 間違いなく送るゆえ 案じることはない。 315 00:27:21,373 --> 00:27:24,910 ははっ。 ありがとうございます。 316 00:27:24,910 --> 00:27:28,580 しかし 公儀については➡ 317 00:27:28,580 --> 00:27:36,088 5年はおろか 3年先 1年先も分からぬ。 318 00:27:36,088 --> 00:27:39,124 え? 319 00:27:39,124 --> 00:27:43,262 私がメリケンに行ったのは6年前だ。 320 00:27:43,262 --> 00:27:49,268 公用のあと いろいろと見学をしたが 驚いたのは造船所だ。 321 00:27:50,936 --> 00:27:53,605 蒸気機関の仕掛けで➡ 322 00:27:53,605 --> 00:27:57,943 重い鉄の骨組みや木の板が 軽々と持ち上げられ➡ 323 00:27:57,943 --> 00:28:00,746 巨大な船を造っていた。 324 00:28:07,553 --> 00:28:09,555 これは? 325 00:28:11,890 --> 00:28:13,825 ネジだ。 326 00:28:13,825 --> 00:28:16,061 ネジ。 327 00:28:16,061 --> 00:28:21,867 船も蒸気機関も ネジにより組み立てられている。 328 00:28:21,867 --> 00:28:25,237 このネジまでもが メリケンでは➡ 329 00:28:25,237 --> 00:28:30,075 機械によって 驚くべき速さで作られていた。 330 00:28:30,075 --> 00:28:33,912 我が国は何も勝てぬのだと知った。 331 00:28:33,912 --> 00:28:38,584 しかし 心意気だけは負けるわけにはいかぬ。 332 00:28:38,584 --> 00:28:43,388 今すぐにでも 日本に あのような造船所を造らねばと思った。 333 00:28:45,090 --> 00:28:49,261 今更 造船所が出来たところで➡ 334 00:28:49,261 --> 00:28:53,131 その時分に 公儀がどうなっておるかは分からぬ。 335 00:28:53,131 --> 00:28:58,770 しかし いつか公儀のしたことが 日本の役に立ち➡ 336 00:28:58,770 --> 00:29:05,978 「徳川のおかげで助かった」と言われるなら それもお家の名誉となろう。 337 00:29:08,046 --> 00:29:10,549 小栗様…。 338 00:29:10,549 --> 00:29:16,421 お主なら嫌いな異国からでも 多くのことを学べよう。 339 00:29:16,421 --> 00:29:20,225 無事に戻れば 共に励もうぞ。 340 00:29:24,062 --> 00:29:26,264 ははっ。 341 00:29:36,642 --> 00:29:39,244 「一筆申し上げます。➡ 342 00:29:39,244 --> 00:29:43,081 さてこちらは 結構な命を仰せつけられ➡ 343 00:29:43,081 --> 00:29:46,918 民部公子とおっしゃる 上様の弟君に付き添って➡ 344 00:29:46,918 --> 00:29:49,821 フランスへ行くこととなりました。➡ 345 00:29:49,821 --> 00:29:54,793 今回 フランスへ行くことについては 見立て養子を出さねばならぬため➡ 346 00:29:54,793 --> 00:29:59,097 そのことは成一郎に相談し…」。 347 00:30:01,933 --> 00:30:05,604 杉浦殿。 ん? どうした? 348 00:30:05,604 --> 00:30:07,939 明日朝には戻りますので➡ 349 00:30:07,939 --> 00:30:10,942 ちっとんべぇ 江戸に行ってきてもよろしいでしょうか。 350 00:30:13,111 --> 00:30:17,616 おっ… あぁ すまねぇ。 すまねぇ。 351 00:30:17,616 --> 00:30:22,287 渋沢成一郎殿なら もう京に戻ったはずだ。 352 00:30:22,287 --> 00:30:28,794 そうですか… 一足遅かった。 353 00:30:37,135 --> 00:30:40,972 それでよかろう。 はっ。 354 00:30:40,972 --> 00:30:44,309 失礼する。 渋沢と申す。 355 00:30:44,309 --> 00:30:48,647 また来なすったか。 あなた様も大概に…。 356 00:30:48,647 --> 00:30:53,452 おや? 昨日までの渋沢様と お顔が違うようだが…。 357 00:30:53,452 --> 00:30:56,154 失礼する。 渋沢だ。 358 00:30:56,154 --> 00:30:59,658 今日こそは 尾高長七郎に 目通りを願いたい。 359 00:30:59,658 --> 00:31:04,096 あぁ…! おお! 360 00:31:04,096 --> 00:31:07,933 喜作! おぉ 栄一! 361 00:31:07,933 --> 00:31:10,769 お前 捜したぞ! おぉ そうか! 362 00:31:10,769 --> 00:31:14,106 喜作 何してたんだよ 喜作! おぉ…。 363 00:31:14,106 --> 00:31:18,410 お前! ハハハハハハ…。 何だ…。 364 00:31:23,115 --> 00:31:26,785 はぁ? フランス? 何でそんな…。 365 00:31:26,785 --> 00:31:28,820 まぁだから なぜかと言うと殿が…➡ 366 00:31:28,820 --> 00:31:32,290 あ いや 民部公子が物産会に…➡ 367 00:31:32,290 --> 00:31:38,630 水戸侍もおって 三代目のナポレオンが…。 あ~ ちっと訳が分からねぇ。 368 00:31:38,630 --> 00:31:41,666 俺も訳が分からねぇ。 369 00:31:41,666 --> 00:31:45,504 しかし この先はきっと➡ 370 00:31:45,504 --> 00:31:49,808 もっと訳の分からねぇところに 飛び込むことになるんだい。 371 00:31:55,814 --> 00:32:02,387 おめえ ちっと わくわくしてねぇか? 372 00:32:02,387 --> 00:32:04,322 わくわくなどしてねぇ お前! 373 00:32:04,322 --> 00:32:08,927 日の本のために行くんだい。 374 00:32:08,927 --> 00:32:13,598 3年から5年は戻ってこられねぇ。 375 00:32:13,598 --> 00:32:21,339 あさってには船が出るから 故郷には文で報せるしかねぇが➡ 376 00:32:21,339 --> 00:32:26,344 お前にはその前に 何としても会っておきたかった。 377 00:32:30,949 --> 00:32:35,787 長七郎もだ。 ずっと顔を見てねぇ。 378 00:32:35,787 --> 00:32:40,659 あぁ 俺もだ。 379 00:32:40,659 --> 00:32:44,429 江戸に出てから 何度も 金を持って通っておるが➡ 380 00:32:44,429 --> 00:32:47,632 具合が悪いと会わせてもらえぬ。 381 00:32:49,301 --> 00:32:52,971 (役人)渋沢様。 382 00:32:52,971 --> 00:32:56,174 今宵はよろしきようです。 383 00:33:11,756 --> 00:33:13,758 長七郎? 384 00:33:24,769 --> 00:33:30,075 (尾高長七郎)あぁ… 喜作? 385 00:33:32,410 --> 00:33:36,781 おぉ 喜作! 386 00:33:36,781 --> 00:33:39,985 あぁ 栄一も! 387 00:33:44,422 --> 00:33:48,126 やっと会えた! あぁ…。 388 00:33:48,126 --> 00:33:51,796 長七郎! 体は大丈夫かい? 389 00:33:51,796 --> 00:33:58,003 薬や金子のことは恩に着る。 390 00:33:59,971 --> 00:34:03,842 あにぃや おじ上にも…。 391 00:34:03,842 --> 00:34:08,346 大丈夫だ。 こっちのことは案ずるな。 392 00:34:10,081 --> 00:34:12,284 うむ。 393 00:34:14,920 --> 00:34:19,124 今も思い出していた。 394 00:34:20,792 --> 00:34:29,000 満月の夜に お前たちと 陣屋の牢をのぞきに行ったことを。 395 00:34:34,940 --> 00:34:38,143 ここが岡部のご陣屋か。 396 00:34:43,648 --> 00:34:46,651 ここに鬼がおるんか。 397 00:34:52,791 --> 00:34:55,293 (小声で)いつか出られる。 398 00:34:55,293 --> 00:35:00,565 いつかは出られるぞ。 望みは捨てるな。 399 00:35:00,565 --> 00:35:02,567 (長七郎)あぁ…。 400 00:35:11,576 --> 00:35:17,882 ここは 生きたまま死んでるみてぇだ。 401 00:35:23,588 --> 00:35:32,597 捨てるべきだった命も 捨てることのできねぇまま…➡ 402 00:35:32,597 --> 00:35:42,607 今宵も こうして 月を思い浮かべるしかねぇ。 403 00:35:42,607 --> 00:36:05,730 ♬~ 404 00:36:05,730 --> 00:36:09,901 旅立つ前に顔を見られてよかったが…。 405 00:36:09,901 --> 00:36:17,075 あぁ。 俺はこの先も なるべく顔を見に行く。 406 00:36:17,075 --> 00:36:22,380 しかし おめえがそのような 公儀の大事な一行に加わるとはのう。 407 00:36:22,380 --> 00:36:28,920 ハハ。 ただ いくつか心配事が残ってる。 408 00:36:28,920 --> 00:36:31,823 一つは 見立て養子のことだ。 409 00:36:31,823 --> 00:36:37,829 俺は市太郎を亡くしてから 息子がいねぇ。 410 00:36:42,400 --> 00:36:44,769 そこでだ…➡ 411 00:36:44,769 --> 00:36:49,107 尾高の平九郎を見立て養子にできねぇかと 思うんだが どう思う? 412 00:36:49,107 --> 00:36:51,142 平九郎を? あぁ。 413 00:36:51,142 --> 00:36:56,414 俺の養子になりゃ 幕臣として 堂々と お千代やうたと共に➡ 414 00:36:56,414 --> 00:37:00,218 江戸か京に出てくることができる。 415 00:37:00,218 --> 00:37:04,889 俺も あにぃや平九郎を 徳川に呼びたいと思っておった。 416 00:37:04,889 --> 00:37:06,825 おぉ! 417 00:37:06,825 --> 00:37:12,630 よし。 中の家と尾高には 俺からも話す。 418 00:37:12,630 --> 00:37:16,434 あ… ほかに心配事というのは何だ? 419 00:37:21,740 --> 00:37:28,613 去年から何度も文を出してはいるが…➡ 420 00:37:28,613 --> 00:37:30,915 お千代から一度も返事がねぇ。 421 00:37:30,915 --> 00:37:35,386 は? 文にはいつも返事をくれと書いたし➡ 422 00:37:35,386 --> 00:37:38,289 長州の征討の時なんか 形見の懐剣まで送ってんだ。 423 00:37:38,289 --> 00:37:42,260 なのに 何も返事がねぇ。 424 00:37:42,260 --> 00:37:45,597 おめえも知ってのとおり お千代はあの器量よしだ。 425 00:37:45,597 --> 00:37:47,532 なっから女盛りでもある。 426 00:37:47,532 --> 00:37:53,104 そんな女を己の都合で 長え間 ほったらかしにして…。 427 00:37:53,104 --> 00:37:56,975 もしや… もしや お千代は今頃…。 428 00:37:56,975 --> 00:38:00,712 アハハハハハハハ…。 429 00:38:00,712 --> 00:38:05,216 おい なぜ笑う! 俺が真剣に言ってんだい! 430 00:38:05,216 --> 00:38:09,888 (小声で)いや~ お千代が あれほど思っておるというのに…。 431 00:38:09,888 --> 00:38:13,558 ん? いやいや 何でもねぇ。 432 00:38:13,558 --> 00:38:17,061 お千代には 俺がしっかり伝えておいてやる。 433 00:38:17,061 --> 00:38:20,098 くれぐれも節操は守れよと。 434 00:38:20,098 --> 00:38:22,800 おぉ 頼んだぞ。 おう! 435 00:38:30,375 --> 00:38:37,382 おめえが戻る頃には 日の本は 一体 どのようになっておるのかのう。 436 00:38:39,083 --> 00:38:45,256 あぁ。 ちっとんばっかりの間に➡ 437 00:38:45,256 --> 00:38:48,760 こんだけ いろんなことが変わっていぐんだ。 438 00:38:48,760 --> 00:38:54,098 ちっとやそっとじゃ 思い浮かべることもできねぇ。 439 00:38:54,098 --> 00:39:01,806 ただ… 今よりきっと よい世になっていると願いてぇ。 440 00:39:03,341 --> 00:39:10,648 おう。 俺たちが よい世にしていくんだい。 441 00:39:12,550 --> 00:39:17,355 あぁ。 負けらんねぇ。 442 00:39:17,355 --> 00:39:33,671 ♬~ 443 00:39:35,773 --> 00:39:48,753 ♬~ 444 00:39:48,753 --> 00:39:51,389 (渋沢ゑい) 栄一が まぁた どっか行っちまうって? 445 00:39:51,389 --> 00:39:54,592 はい。 「フランス」と…。 (渋沢てい)異国だに! 446 00:39:54,592 --> 00:39:57,495 (渋沢市郎右衛門) フランスといえば この日の本から➡ 447 00:39:57,495 --> 00:40:00,265 幾千里も西にあるはずだで。 448 00:40:00,265 --> 00:40:04,769 ひょっとしたら はあこの世で 顔を見ることもできねぇんだんべか。 449 00:40:04,769 --> 00:40:09,607 あぁ そうかもしれねぇ。 ちっと読ませてくれい。 450 00:40:09,607 --> 00:40:12,110 はい…。 451 00:40:12,110 --> 00:40:16,114 あぁ 栄一…。 (てい)かっさま。 452 00:40:27,659 --> 00:40:30,428 「突然 思いもかけぬことになり➡ 453 00:40:30,428 --> 00:40:35,133 一家の皆も さぞ驚いていることでしょう。➡ 454 00:40:35,133 --> 00:40:41,639 しかし私は 決して お千代を忘れる日はありません。➡ 455 00:40:41,639 --> 00:40:46,144 お千代殿へ。 篤太夫より」。 456 00:40:46,144 --> 00:41:00,591 ♬~ 457 00:41:00,591 --> 00:41:05,263 気をつけ! 担え! 458 00:41:05,263 --> 00:41:07,265 前へ進め! 459 00:41:09,767 --> 00:41:12,070 左へ向け! 460 00:41:14,105 --> 00:41:16,140 左へ向け! 461 00:41:16,140 --> 00:41:30,955 ♬~ 462 00:41:30,955 --> 00:41:35,126 (高島秋帆) このままでは この国は終わる。➡ 463 00:41:35,126 --> 00:41:40,331 誰かが守らなくてはな この国は…。 464 00:41:42,633 --> 00:41:46,137 俺が守ってやんべぇ この国を。 465 00:41:46,137 --> 00:42:01,386 ♬~ 466 00:42:01,386 --> 00:42:06,691 (徳川家康)さぁ いよいよ慶応3年だ。 467 00:42:08,259 --> 00:42:15,400 慶喜は征夷大将軍となり 篤太夫は日本を飛び出しました。 468 00:42:15,400 --> 00:42:23,775 篤太夫が その一家が そして 我が徳川の世はどうなるのか➡ 469 00:42:23,775 --> 00:42:29,580 この先も しかと見届けていただきたい。 470 00:42:31,282 --> 00:42:33,584 これが… パリ! 471 00:42:35,153 --> 00:42:39,424 何日かけても見切れねえ品ばかりだ。 472 00:42:39,424 --> 00:42:43,628 「日本は一つの国家ではなく連邦国」と 書いてあります。 473 00:42:43,628 --> 00:42:46,664 公儀を貶める薩摩とモンブランの策略だ! 474 00:42:46,664 --> 00:42:49,133 ゴダイ。 ゴダイ…? 475 00:42:49,133 --> 00:42:52,637 消滅した。 ふざけるな 渋沢!