1 00:00:02,202 --> 00:00:07,040 こんばんは。 徳川家康です。 2 00:00:07,040 --> 00:00:13,814 明治2年も末になったというのに まだ新政府は名ばかりだ。 3 00:00:13,814 --> 00:00:19,953 薩摩も長州も 我が徳川との戦を終えた兵たちが➡ 4 00:00:19,953 --> 00:00:25,759 その後の処遇に不満を抱いて 内輪もめを起こしましてね。 5 00:00:25,759 --> 00:00:31,298 その対応に手いっぱいだったのです。 6 00:00:31,298 --> 00:00:35,969 維新の主役がこのありさまだ。 7 00:00:35,969 --> 00:00:41,842 いまだ制度も整わず 外国には 文句の言われ放題。 8 00:00:41,842 --> 00:00:44,645 金もない。 9 00:00:44,645 --> 00:00:50,851 新政府どころか 日本そのものが危機でした。 10 00:00:52,386 --> 00:00:56,823 そこへ助け船を出したのが…➡ 11 00:00:56,823 --> 00:01:02,129 皮肉にも 我が徳川の家臣です。 12 00:01:06,099 --> 00:01:11,104 (徳川慶喜) 渋沢 この先は日本のために尽くせ。 13 00:01:12,973 --> 00:01:15,609 (渋沢栄一)目の前のことをこなすことに 精いっぱいで➡ 14 00:01:15,609 --> 00:01:20,948 東照大権現様のように この先 5年 10年 100年先の日本が➡ 15 00:01:20,948 --> 00:01:23,617 どうなるかを考えて励んでる者が 一人もいない。 16 00:01:23,617 --> 00:01:25,652 (岩倉具視)は? (大久保利通)おい おはんは何を! 17 00:01:25,652 --> 00:01:28,789 まことに新しい国を作るなら➡ 18 00:01:28,789 --> 00:01:33,427 民部・大蔵省に 新しき一柱を立てていただきたい。 19 00:01:33,427 --> 00:01:37,297 (大隈重信)改正掛ねえ。 20 00:01:37,297 --> 00:01:40,968 はい。 今 既にある部署とは別に➡ 21 00:01:40,968 --> 00:01:44,838 大蔵省や民部省や外務省などの 垣根を越え➡ 22 00:01:44,838 --> 00:01:48,709 この掛で 広く日本に必要な物事を考え➡ 23 00:01:48,709 --> 00:01:52,145 決定事項を 即 実行できるようにいたしたいのです。 24 00:01:52,145 --> 00:01:55,983 面白かばってん 人員は どがんすっと? 25 00:01:55,983 --> 00:02:00,153 某を含め 各省から兼務といたしましょう。 26 00:02:00,153 --> 00:02:06,259 また静岡藩から 更に人材を召し抱えたい。 27 00:02:06,259 --> 00:02:13,133 急ぎ入り用なのは 経済や外交や技術の 新しき知識を持つ者ですが➡ 28 00:02:13,133 --> 00:02:15,936 今の新政府には そういった人材がいねぇ。 29 00:02:15,936 --> 00:02:19,606 何ば言うか。 佐賀は日本一ん洋学通ぞ! 30 00:02:19,606 --> 00:02:22,643 異国帰りの旧幕臣は百をくだりません。 31 00:02:22,643 --> 00:02:26,780 皆が 新しき世をまとめようと学んでいた。 32 00:02:26,780 --> 00:02:31,284 まことに「直参なめんなよ この野郎」 だったのでございやす。 33 00:02:31,284 --> 00:02:33,286 な… なめんなよ? 34 00:02:33,286 --> 00:02:35,288 (伊藤博文) わしゃええと思うよ 大隈さん。 35 00:02:35,288 --> 00:02:39,026 わしゃ もう長州じゃ薩摩じゃあいう くくりは どうでもええんよ。 36 00:02:39,026 --> 00:02:42,295 もう藩も藩主も無用と思うちょる。 37 00:02:42,295 --> 00:02:46,166 あねなもんがあるけぇ 余計に手間も金もかかるんじゃ。 38 00:02:46,166 --> 00:02:49,436 年寄り連中のうだうだした話し合いも バカらしい。 39 00:02:49,436 --> 00:02:51,805 一個も新しゅうない。 40 00:02:51,805 --> 00:02:55,976 確かに… 公家や大名は だいぶ削られたとはいえ➡ 41 00:02:55,976 --> 00:02:59,446 あがん気長では 何年たってん 何も変わらん。 42 00:02:59,446 --> 00:03:02,749 メリケンは いくつもの州が境を超えて➡ 43 00:03:02,749 --> 00:03:06,086 ユナイテッドステイトっちゅう でっかい政府を開いたんじゃ。➡ 44 00:03:06,086 --> 00:03:08,121 わしゃ感心した。 45 00:03:08,121 --> 00:03:13,960 しかるにいわんや この日本が 神代より連綿と続く天子様を戴きながら➡ 46 00:03:13,960 --> 00:03:16,096 藩やら徳川やらに とらわれて➡ 47 00:03:16,096 --> 00:03:18,932 人心を一致できんのは いよっいよ恥ずかしい。 48 00:03:18,932 --> 00:03:23,103 しかり! 出自にかかわらず 人心一致し➡ 49 00:03:23,103 --> 00:03:25,605 新しき日本を打ち立てねばなりませぬ。 50 00:03:25,605 --> 00:03:28,642 そうじゃ。 わしら若いもんが やっちゃらんとな! 51 00:03:28,642 --> 00:03:30,777 あぁ。 52 00:03:30,777 --> 00:03:35,982 かぁ~ 岩倉様や大久保さんに 文句言わるっとは おいばい。 53 00:03:38,518 --> 00:03:43,957 こうして 大隈重信や伊藤博文の賛同を得て➡ 54 00:03:43,957 --> 00:03:46,793 明治二年十一月➡ 55 00:03:46,793 --> 00:03:49,296 改正掛を設置。 56 00:03:49,296 --> 00:03:57,037 栄一は 大蔵省に勤めながら その掛をまとめることになりました。 57 00:03:57,037 --> 00:03:59,005 (玉乃世履)納得できんのう。➡ 58 00:03:59,005 --> 00:04:02,943 何で掛をまとめるんが旧幕臣なんじゃ。 59 00:04:02,943 --> 00:04:07,948 (郷 純造)玉乃殿 これは大隈様が決められたことにて…。 60 00:04:10,250 --> 00:04:13,153 (杉浦 譲)渋沢! 杉浦! 61 00:04:13,153 --> 00:04:16,923 前島殿。 おぉ 赤松君も。 ハハ…。 62 00:04:16,923 --> 00:04:19,259 よく来てくれた。 あぁ。 63 00:04:19,259 --> 00:04:22,262 共に幕臣の意地を見せに参りました。 64 00:04:22,262 --> 00:04:26,032 しかし9等出仕とは 身分が低すぎる。 65 00:04:26,032 --> 00:04:28,969 (小声で)僕なんか准11等だ。 66 00:04:28,969 --> 00:04:33,406 それでも 新しい世の一端を担えるのなら➡ 67 00:04:33,406 --> 00:04:37,110 徳川の名を辱めぬよう励みたい。 68 00:04:37,110 --> 00:04:40,781 うむ。 頼りにしておる! 69 00:04:40,781 --> 00:04:45,085 何じゃ。 旧幕のくせに…。 70 00:04:48,522 --> 00:04:52,025 早速始めたいが まずは…。 71 00:04:54,294 --> 00:04:58,131 ここにいる全員が 天子様に仕える者として➡ 72 00:04:58,131 --> 00:05:02,102 上下の別なく 闊達に 意見を交わしたいと思っております。 73 00:05:02,102 --> 00:05:05,739 そのことは どうか ご理解いただきたい。 74 00:05:05,739 --> 00:05:08,441 あぁ 理解しとっ。 75 00:05:10,610 --> 00:05:15,749 では まずは この国に急ぎ入り用なものとは? 76 00:05:15,749 --> 00:05:18,251 第一は税のことじゃ。 77 00:05:18,251 --> 00:05:20,921 新政府は とにかく金がない。 78 00:05:20,921 --> 00:05:23,824 税を正しく確実に集めるすべを 作らにゃならん。 79 00:05:23,824 --> 00:05:25,792 租税の改正。 80 00:05:25,792 --> 00:05:30,263 う~ん… そんためには 今のバラバラの貨幣ば まとめんばならん。 81 00:05:30,263 --> 00:05:32,265 貨幣。 82 00:05:42,842 --> 00:05:46,279 また肝要なのは 正しい丈量でございましょう。➡ 83 00:05:46,279 --> 00:05:51,952 洋式の測量器械と三角測量法を用いて 全国的に行わねばなりませぬ。 84 00:05:51,952 --> 00:05:54,287 測量といえば小野友五郎様です。 85 00:05:54,287 --> 00:05:56,790 長崎湾や江戸湾の測量もされている。 86 00:05:56,790 --> 00:06:00,227 よし 出仕してもらおう。 87 00:06:00,227 --> 00:06:03,230 諸藩の測量は 民部省でできるのだろうか? 88 00:06:03,230 --> 00:06:05,732 藩に測らせればできるはずです。 89 00:06:05,732 --> 00:06:09,069 藩によって 呉服尺も曲尺も秤もバラバラじゃ。 90 00:06:09,069 --> 00:06:11,004 升の大きさも違うき。 91 00:06:11,004 --> 00:06:13,240 (佐藤政養)そうじゃ。 度量衡を調べねば。 92 00:06:13,240 --> 00:06:17,110 いっそ早う 西洋流の統一国家を 目指すんならメートルじゃ。 93 00:06:17,110 --> 00:06:19,112 メートリックを試してみたらええ! 94 00:06:19,112 --> 00:06:23,750 いいや 統一国家に入り用なのは駅逓です! 95 00:06:23,750 --> 00:06:28,088 (岡本健三郎)はぁ? 駅逓より税収を見込むがが先じゃろう。 96 00:06:28,088 --> 00:06:31,925 いや 国の命を迅速に 確実に府藩県に伝え➡ 97 00:06:31,925 --> 00:06:34,261 また報告させるには 駅逓は不可欠だ。 98 00:06:34,261 --> 00:06:39,599 そう。 駅逓を定め 新しき飛脚の制度を立てましょう。 99 00:06:39,599 --> 00:06:43,103 そして次には 税の米を運ぶ海運…。 100 00:06:43,103 --> 00:06:45,605 (江口純三郎)お前ら 金もないのに そんなことができるか! 101 00:06:45,605 --> 00:06:48,508 そのためにも まずは租税のために測量を…。 102 00:06:48,508 --> 00:06:51,278 人民を把握せんと税は取れん。 おいおい…。 103 00:06:51,278 --> 00:06:53,213 まずは戸籍の編纂じゃき。 104 00:06:53,213 --> 00:06:55,148 税だけには頼れませぬ。➡ 105 00:06:55,148 --> 00:06:57,617 この先の大事は殖産興業だ。 106 00:06:57,617 --> 00:06:59,552 しょ… しょくさんこうぎょうとは 何のことぜよ。 107 00:06:59,552 --> 00:07:03,056 (前島)飛脚の制度が整えば 電信も欲しい。 鐵道も! 108 00:07:03,056 --> 00:07:07,360 まずは議会の整備が肝要だろう! 租税の改正や! 109 00:07:07,360 --> 00:07:10,230 伝えるためには駅逓がいるじゃろうが! 110 00:07:10,230 --> 00:07:13,533 お~ いいぞ もっとだ! もっと来い! 111 00:07:15,101 --> 00:07:17,370 あの会議は何か! 112 00:07:17,370 --> 00:07:23,076 あの渋沢やらいう旧幕は 百姓上がりと聞いた。 113 00:07:23,076 --> 00:07:27,247 わしらが命をかけ 死ぬる思いをして 幕府を倒したっちゅうのに➡ 114 00:07:27,247 --> 00:07:31,251 そのわしらの力を信用せんと なして幕臣なんぞ。 115 00:07:31,251 --> 00:07:33,386 そうだ! そのとおりじゃ! 116 00:07:33,386 --> 00:07:37,090 あねえな男の下じゃあ 金輪際働く気はありゃあせん! 117 00:07:37,090 --> 00:07:41,928 うむ。 気持ちは分かぁ。 ばってん…。 118 00:07:41,928 --> 00:07:44,264 失礼つかまつります。 ん? 119 00:07:44,264 --> 00:07:46,933 渋沢! 早速ですが…。何用だ! 120 00:07:46,933 --> 00:07:51,771 早速ですが 各藩で発行している 藩札の調査を行います。 121 00:07:51,771 --> 00:07:55,108 租税も統一通貨も まずはそこからだ。 122 00:07:55,108 --> 00:07:59,612 その上で度量衡を調べ 全国測量の支度にかかります。 123 00:07:59,612 --> 00:08:04,217 ばってん 府県はともかく 諸藩の測量はどがんすっ? 124 00:08:04,217 --> 00:08:10,090 天保の頃 公儀が作った絵図を配り 各藩に急ぎ地図の改正を命じます。 125 00:08:10,090 --> 00:08:13,226 また同時に 租税の勘定帳のつけ方についても➡ 126 00:08:13,226 --> 00:08:16,229 改正を命じ 統一を図らねばなりません。 127 00:08:16,229 --> 00:08:21,101 鐵道敷設予定の東京 横浜間の測量は 春に実行します。 128 00:08:21,101 --> 00:08:25,238 あ また今のように 各省バラバラではなく➡ 129 00:08:25,238 --> 00:08:27,240 一ところで働くための建物も入り用だ。 130 00:08:27,240 --> 00:08:32,011 これについては大隈様より 一刻も早く 太政官に進言をお願いしたい。 131 00:08:32,011 --> 00:08:33,947 では 失礼。 132 00:08:33,947 --> 00:08:36,449 あぁ… うむ。 133 00:08:38,385 --> 00:08:43,089 さてと 時が足りねぇ! 134 00:08:43,089 --> 00:09:16,723 ♬~ 135 00:09:16,723 --> 00:11:34,027 ♬~ 136 00:11:35,795 --> 00:11:38,831 (渋沢うた)うわぁ 広い! 137 00:11:38,831 --> 00:11:43,136 うわぁ 広い! 138 00:11:43,136 --> 00:11:45,438 お庭もある! 139 00:11:45,438 --> 00:11:48,641 (渋沢千代)えぇ もったいねぇこと。 140 00:11:48,641 --> 00:11:51,678 (須永伝蔵)おいおい… おい そっちじゃねぇ。 こっちだ。 141 00:11:51,678 --> 00:11:55,315 へえ! 142 00:11:55,315 --> 00:11:57,250 あにきは すげぇのう。➡ 143 00:11:57,250 --> 00:12:00,920 道中 宿場の役人どもが へいこらしておった。 144 00:12:00,920 --> 00:12:02,855 (うた)でも疲れちゃった。 145 00:12:02,855 --> 00:12:05,258 もうお引っ越しは嫌だい。 146 00:12:05,258 --> 00:12:08,094 おはるさん お水。 (おはる)へぇ。 147 00:12:08,094 --> 00:12:12,398 うた。 驕ってはなりませんよ。 148 00:12:12,398 --> 00:12:15,101 うたは お姫様でも何でもねぇ。 149 00:12:15,101 --> 00:12:18,004 百姓の娘ではありませんか。 150 00:12:18,004 --> 00:12:19,973 それを とっさまの御威光で➡ 151 00:12:19,973 --> 00:12:23,610 あのように立派なお輿で 箱根の山を越えておきながら➡ 152 00:12:23,610 --> 00:12:26,112 疲れたとは何事です。 153 00:12:30,483 --> 00:12:36,956 私たちは つらい思いも のみ込んで お役につかれた父上を守り➡ 154 00:12:36,956 --> 00:12:39,425 支えるのが務めです。 155 00:12:39,425 --> 00:12:44,797 驕るような態度をとって とっさまに恥をかかせてはなりません。 156 00:12:44,797 --> 00:12:47,834 はい! 157 00:12:47,834 --> 00:12:50,436 お~い 帰ったぞ。 158 00:12:50,436 --> 00:12:53,306 とっさま! お帰りなさいませ。 159 00:12:53,306 --> 00:12:56,209 お~ ハハ。 みんな お疲れさん。 160 00:12:56,209 --> 00:12:59,112 お千代も うたも疲れたんべな。 161 00:12:59,112 --> 00:13:02,015 はい。 でもワクワクしました。 ん? 162 00:13:02,015 --> 00:13:11,691 どこに行っても「渋沢そぜいのかみさま ご家族のお通り~」って。 163 00:13:11,691 --> 00:13:13,626 ハハハ そうか。 164 00:13:13,626 --> 00:13:18,398 とっさまは自慢のとっさまだに! おぉ~ そうか。 165 00:13:18,398 --> 00:13:23,102 おめぇはかわいいな ハハハハハ…。 166 00:13:23,102 --> 00:13:25,605 よし。 栄一は➡ 167 00:13:25,605 --> 00:13:29,776 譲り受けた元旗本屋敷を住まいとし…。 168 00:13:29,776 --> 00:13:33,112 具合はどうだい? 任せてください。 169 00:13:33,112 --> 00:13:36,149 あぁ。 気張ってけい。 170 00:13:36,149 --> 00:13:44,290 改正掛では 次々と 皆のアイデアを立案 実行していきました。 171 00:13:44,290 --> 00:13:47,293 そちらはどうじゃ。 手をつけることが多すぎる。 172 00:13:47,293 --> 00:13:51,064 くそ! 時が足りん! お~ よい出来じゃねえか。 173 00:13:51,064 --> 00:13:54,367 あぁ。 早速掛けよう。 あぁ。 174 00:13:57,303 --> 00:14:00,106 うん いい塩梅だ。 175 00:14:05,111 --> 00:14:07,914 杉浦さん エゲレスからの書物が届きました。 176 00:14:07,914 --> 00:14:09,949 ありがとう。 そこに置いてくれ。 はい。 177 00:14:09,949 --> 00:14:14,387 おぉ 2人とも見違えたのう。 どうだ 似合っているだろう。 178 00:14:14,387 --> 00:14:17,757 ん? ハハハハ…。 179 00:14:17,757 --> 00:14:22,395 ほう~ がばい たまがったあ! 180 00:14:22,395 --> 00:14:24,330 いかがですか 大隈様。 181 00:14:24,330 --> 00:14:26,933 あぁ よか! 182 00:14:26,933 --> 00:14:33,606 改正掛は 夜も大隈邸に集まり 意見を交わしました。 183 00:14:33,606 --> 00:14:36,943 (重信)まぁた横浜のフランス商人に 文句ば言われた。 184 00:14:36,943 --> 00:14:41,114 日本の生糸は 質が悪かて。 185 00:14:41,114 --> 00:14:45,418 貿易上 国産品随一の生糸ん信用がなかとは➡ 186 00:14:45,418 --> 00:14:47,353 がばい困っとばい。 187 00:14:47,353 --> 00:14:53,159 マルセイユの紡績工場を見学しましたが 日本の糸繰りは手作業ですからね。 188 00:14:53,159 --> 00:14:57,964 そうたい。 早う日本にも工場ば建てれと 矢の催促やが➡ 189 00:14:57,964 --> 00:15:03,236 ばってん そもそも虫から どがんして糸が出くっとか。 190 00:15:03,236 --> 00:15:07,573 へ? 工学であるか 化学であるか? 191 00:15:07,573 --> 00:15:12,745 確か 白き虫を鍋で湯がき…。 192 00:15:12,745 --> 00:15:16,616 何を言っておるのか! ん? 193 00:15:16,616 --> 00:15:22,121 杉浦も大隈様も お蚕様を育てたことがないのですか? 194 00:15:24,257 --> 00:15:28,127 お お蚕… 様? あるわけなかじゃろう。 195 00:15:28,127 --> 00:15:32,131 お蚕様は卵からかえると こう 最初のうちは こんなもんだが➡ 196 00:15:32,131 --> 00:15:36,602 桑の葉を サアサア サアサア食べて ひとつきで これほどになり➡ 197 00:15:36,602 --> 00:15:38,938 口から糸を吐き始める。 198 00:15:38,938 --> 00:15:42,608 え? 口から糸!? わいは おいに ほらば吹く気か!? 199 00:15:42,608 --> 00:15:46,946 ほらではありませぬ! こう口から ほわぁ~っと白い糸を吐き➡ 200 00:15:46,946 --> 00:15:49,982 その糸で体を覆い繭になる。 201 00:15:49,982 --> 00:15:53,286 その繭を よぉく乾かしてから煮て➡ 202 00:15:53,286 --> 00:15:56,122 こう 刷毛でちょいちょいとやって 糸口を出す。 203 00:15:56,122 --> 00:15:59,959 それを何本も何本も繰り合わせて 糸車で ぐるぐるぐる~っとやって➡ 204 00:15:59,959 --> 00:16:02,228 ようやく糸になるんです。 205 00:16:02,228 --> 00:16:05,731 (大隈綾子) 絹とは そうやって出来るのですか。 206 00:16:05,731 --> 00:16:09,235 小さな虫から このように美しいものが。 207 00:16:09,235 --> 00:16:16,742 よい桑の葉を食べ 丹念に育てれば お蚕様は よい繭を作ります。 208 00:16:16,742 --> 00:16:19,779 ちっとでも手ぇ抜いたら よい糸は取れねぇ。 209 00:16:19,779 --> 00:16:23,382 …ったく。 生糸の何たるかも知らねぇで➡ 210 00:16:23,382 --> 00:16:27,920 よくもまぁ「国産品随一の生糸」などと 申されたものだ! 211 00:16:27,920 --> 00:16:39,098 ♬~ 212 00:16:39,098 --> 00:16:43,769 よし。 官の中で 養蚕のことば一番知っとるとは渋沢や。 213 00:16:43,769 --> 00:16:47,073 養蚕のことは 君に任す! 214 00:16:48,641 --> 00:16:50,943 分かりました。 やってやりましょう! 215 00:16:50,943 --> 00:16:54,780 (赤松)やはり工場を造るなら 養蚕の盛んな地域にすべきです。 216 00:16:54,780 --> 00:16:57,683 あぁ。 外国に負けねぇ規模にしたい。 217 00:16:57,683 --> 00:17:00,219 そのとおりです! 精が出るのう。 218 00:17:00,219 --> 00:17:04,223 で 肝心の工場は どねな様子にするんじゃ。 219 00:17:04,223 --> 00:17:06,559 それは…。 オランダ商会の➡ 220 00:17:06,559 --> 00:17:09,362 ガイセンハイメルに話を聞こう。 カイゼナイモか。 221 00:17:09,362 --> 00:17:11,297 (赤松)なるほど。 質を上げるためには➡ 222 00:17:11,297 --> 00:17:14,100 西洋の工場を 参考にするのが一番ですしね。 223 00:17:16,068 --> 00:17:21,374 幕臣の登用は 実に うもういったのう。 ハハハハハハ…。 224 00:17:21,374 --> 00:17:23,442 (戸が開く音) 225 00:17:23,442 --> 00:17:27,747 やや 大久保さん。 鹿児島からお帰りやったか。 226 00:17:27,747 --> 00:17:29,682 岩倉様に聞いたど。 227 00:17:29,682 --> 00:17:34,387 おいが東京を離れちょった間に 太政官に十分に話し合うこともせず➡ 228 00:17:34,387 --> 00:17:37,189 ほんのこて勝手なこつを しちょったようじゃな。 229 00:17:38,925 --> 00:17:46,265 しかも そいをやっちょっとが 旧幕臣とは たまがった。 230 00:17:46,265 --> 00:17:50,136 ははっ。 反省しとります。 231 00:17:50,136 --> 00:17:53,606 一日も早う欧米に近づこうと 政策の改正ば先行し…。 232 00:17:53,606 --> 00:17:57,777 そいが出過ぎたことち 言っちょっとじゃ。 233 00:17:57,777 --> 00:18:02,615 中央に権力を保つには 一刻も早う 政府と諸省が➡ 234 00:18:02,615 --> 00:18:07,887 手足んごとく 一身のごとく 一体となるこっが肝要じゃ。 235 00:18:07,887 --> 00:18:11,357 こげなこつをして 和を乱すとは何事じゃ。 236 00:18:11,357 --> 00:18:16,896 しかし 政府に金がないのは周知の事実。 237 00:18:16,896 --> 00:18:21,067 天子様の御代となって 2年がたちましたが➡ 238 00:18:21,067 --> 00:18:25,237 税収は安定せず 頼みの太政官札は信用が薄い。 239 00:18:25,237 --> 00:18:32,011 僅か3年で瓦解した 建武の中興の二の舞とならぬためには➡ 240 00:18:32,011 --> 00:18:35,748 新政府の懐を守るのが肝要。 241 00:18:35,748 --> 00:18:41,954 我らは そのために 粉骨砕身しておるのでございます。 242 00:18:50,930 --> 00:18:55,134 こい以上 出過ぎたまねはすんな! 243 00:19:06,345 --> 00:19:08,347 春になり…。 244 00:19:11,050 --> 00:19:13,352 (渋沢市郎右衛門)本当にここか? 245 00:19:13,352 --> 00:19:18,557 市郎右衛門とゑいが 栄一の家を訪れました。 246 00:19:20,726 --> 00:19:24,230 (渋沢ゑい)お前さん ここだよ! 247 00:19:24,230 --> 00:19:27,133 (市郎右衛門)お前が おことか。➡ 248 00:19:27,133 --> 00:19:29,101 なんと愛らしい。 249 00:19:29,101 --> 00:19:32,371 うたも はあ 姉さまだいねぇ。 へぇ。 250 00:19:32,371 --> 00:19:36,909 しかし… 上等な家だい。 251 00:19:36,909 --> 00:19:41,580 えぇ。 でも栄一さんは まっさかお忙しそうで➡ 252 00:19:41,580 --> 00:19:44,917 なかなか家で ゆっくりすることもできねぇんです。 253 00:19:44,917 --> 00:19:48,587 今は お蚕様の工場のことまで なさっているとか。 254 00:19:48,587 --> 00:19:50,623 (ゑい)あれま お蚕様の? 255 00:19:50,623 --> 00:19:52,758 そうか。 256 00:19:52,758 --> 00:19:56,929 まぁ 栄一が忙しいのはいいんだ。 257 00:19:56,929 --> 00:19:59,598 ことの顔が見られれば。 258 00:19:59,598 --> 00:20:01,634 うたにも会いたかったしね。 259 00:20:01,634 --> 00:20:03,936 (市郎右衛門)うん…。 260 00:20:03,936 --> 00:20:10,709 だけんど これから 栄一などと呼び捨てにしてはならねぇど。 261 00:20:10,709 --> 00:20:12,945 あ? 262 00:20:12,945 --> 00:20:16,782 あぁ 奥様も。 茶など 己でいれまする。 263 00:20:16,782 --> 00:20:19,285 え? お義父様 いえ 私が…。 264 00:20:19,285 --> 00:20:21,620 いや。 えっ… お義父様…。 265 00:20:21,620 --> 00:20:24,523 奥様の手を煩わせるわけにはいがねぇ。 おくさま? 266 00:20:24,523 --> 00:20:28,494 奥様とは誰のことですか。いいから…。 私がやりますから…。 267 00:20:28,494 --> 00:20:32,631 尾高の一家は 村に戻ったんかい? 268 00:20:32,631 --> 00:20:35,434 (ゑい)あぁ もう 一家で励んでるよ。 269 00:20:35,434 --> 00:20:40,239 村のもめ事も 惇忠がうまく収めてくれてねぇ。 270 00:20:41,974 --> 00:20:45,811 おゆうも 惇忠について よく働いてるよ。 271 00:20:45,811 --> 00:20:50,316 そうですか。 おゆうも もうそんな年に。 272 00:20:50,316 --> 00:20:54,153 こないだも お蚕様のことで訪ねてきてくれてね。 273 00:20:54,153 --> 00:20:57,189 え? 274 00:20:57,189 --> 00:20:59,458 (ゑい)夏のお蚕様? (尾高惇忠)はい。 275 00:20:59,458 --> 00:21:01,393 夏蚕をしておる土地は➡ 276 00:21:01,393 --> 00:21:05,264 この辺りより半分の日にちで 繭が取れるんです。 277 00:21:05,264 --> 00:21:07,766 (渋沢てい)へぇ それはうらやましいにぃ。 278 00:21:07,766 --> 00:21:10,669 (吉岡なか)でも 夏まで お蚕様やる余裕は なかんべぇ。 279 00:21:10,669 --> 00:21:16,475 あ いや 春でも 蚕棚を火鉢で 下から十分に暖めてやれば➡ 280 00:21:16,475 --> 00:21:20,279 半分の手間で 繭が取れるようになるはずなんだ。 281 00:21:20,279 --> 00:21:24,283 まぁ そしたら 藍葉の刈り取りにも かぶらんねぇ。 282 00:21:24,283 --> 00:21:28,154 はい。 うちでも早速 試してみんべぇと 母が。 283 00:21:28,154 --> 00:21:30,422 (てい)へぇ。 助かるにぃ。 284 00:21:30,422 --> 00:21:32,491 祭りにも早く精を出せるだんべ。 285 00:21:32,491 --> 00:21:34,627 うちらも やってみんべぇかね。 286 00:21:34,627 --> 00:21:38,130 そうだいねぇ。 惇忠の言うことなら間違いねぇ。 287 00:21:38,130 --> 00:21:40,966 それは どうやってやるんだいね? 教えてくらい。 288 00:21:40,966 --> 00:21:49,308 ああ。 まず部屋を暖かくするのは 蚕箔に触れて少しぬくいぐらい。 289 00:21:49,308 --> 00:21:54,180 (ゑい)なかや ていも 惇忠とあんなに 話したことがねえって驚いてたよ。 290 00:21:54,180 --> 00:22:00,386 そうか。 あにぃも生糸を…。 291 00:22:00,386 --> 00:22:06,192 惇忠は 武州のよい生糸で 国を富ませたいと話しております。 292 00:22:06,192 --> 00:22:14,266 国を富ませ 今度こそ 己の手で 日本を異国に負けねぇ国にするべぇと➡ 293 00:22:14,266 --> 00:22:20,940 宗助あにぃに頭を下げて 養蚕についての本もまとめております。 294 00:22:20,940 --> 00:22:25,778 あぁ… そうか。 さすがあにぃだ。 295 00:22:25,778 --> 00:22:33,652 なぁに。 かつての惇忠の志どおり 今は天子様の御代になったんだ。 296 00:22:33,652 --> 00:22:36,488 世を憚ることは何もねぇ。 297 00:22:36,488 --> 00:22:43,295 ですから… 殿様も奥様も 故郷のことは何一つ心配なさらぬよう。 298 00:22:43,295 --> 00:22:45,431 殿様? 299 00:22:45,431 --> 00:22:49,301 おぉ… とっさま さっきから何なんだい。 そんな変な話し方して。 300 00:22:49,301 --> 00:22:53,806 そうです お義父様。 なぜ 以前のように お千代と呼んでくださらないのですか。 301 00:22:53,806 --> 00:22:56,308 いいんだよ 勝手に言ってるんだから。 302 00:22:56,308 --> 00:23:03,749 今や天子様の政府に仕え給うお方を 軽々しく名などで呼んでいいものか。 303 00:23:03,749 --> 00:23:05,784 いや しかし…。 さぁ どうぞ 殿様。 304 00:23:05,784 --> 00:23:07,920 あぁ あぁ… 自分でやらい。 305 00:23:07,920 --> 00:23:12,391 お前さん もう みんな嫌がってるんですから。 306 00:23:12,391 --> 00:23:16,762 何だ。 俺が考えに考えて そう呼ぶと決めたのに➡ 307 00:23:16,762 --> 00:23:18,697 何で咎めるんだい。 308 00:23:18,697 --> 00:23:22,568 ほれ 知ったとおりの頑固者だ。 309 00:23:22,568 --> 00:23:25,938 まぁ これも親孝行だと思って 辛抱しとくれぇ。 310 00:23:25,938 --> 00:23:27,973 辛抱できませぬ。 311 00:23:27,973 --> 00:23:32,611 ハハハハハハ…。 とっさまの剛情にはかなわねぇのう。 312 00:23:32,611 --> 00:23:37,416 お前に剛情呼ばわりされてたまるか! 313 00:23:37,416 --> 00:23:41,287 あ… えっ いや…。 314 00:23:41,287 --> 00:23:44,623 殿様に そうおっしゃられては 困るのでございます…。 315 00:23:44,623 --> 00:23:49,428 ハハハハハハ… もう勘弁してくれ。 316 00:23:49,428 --> 00:23:54,133 (笑い声) 317 00:23:54,133 --> 00:24:05,844 ♬~ 318 00:24:07,379 --> 00:24:11,750 はぁ 素直に泊まらせてもらえば よかったんに。 319 00:24:11,750 --> 00:24:14,253 こっちは百姓だ。 320 00:24:14,253 --> 00:24:18,257 あんなぜいたくな布団で寝られるか。 321 00:24:18,257 --> 00:24:21,927 知り合いから安く買ったと言ってたよ。 322 00:24:21,927 --> 00:24:23,862 いいんだ。 323 00:24:23,862 --> 00:24:27,800 俺は 分不相応なものは 一切身につけたくねぇ。 324 00:24:27,800 --> 00:24:31,503 それに ほら。 325 00:24:33,405 --> 00:24:36,709 気持ちのいい夜じゃねぇか。 326 00:24:39,278 --> 00:24:41,480 そうだいねぇ。 327 00:24:43,615 --> 00:24:56,295 ♬~ 328 00:24:56,295 --> 00:24:58,430 まだ 終わらぬのですか? 329 00:24:58,430 --> 00:25:00,432 あぁ。 330 00:25:04,570 --> 00:25:08,240 なぁ お千代。 331 00:25:08,240 --> 00:25:16,582 あにぃは 俺が新政府で働いてると知ったら…➡ 332 00:25:16,582 --> 00:25:18,617 どう思うだろうな。 333 00:25:18,617 --> 00:25:40,105 ♬~ 334 00:25:40,105 --> 00:25:43,142 おい 古沢 ちっと来てくれ。 (古沢良成)おう。 335 00:25:43,142 --> 00:25:45,611 輸出用の蚕卵紙の準備が 間に合わねえ者には➡ 336 00:25:45,611 --> 00:25:49,281 本年に限り 追加の申請を許可すると 府県に進達してくれ。 337 00:25:49,281 --> 00:25:54,953 承知! けんど さんらんしとは何ぜよ? 338 00:25:54,953 --> 00:25:57,623 お蚕様の卵がついた紙のことだい! 339 00:25:57,623 --> 00:25:59,958 …ったく もう そんなことも分かんねぇとは…。 340 00:25:59,958 --> 00:26:02,227 まぁいいや 俺がやる。 (古沢)すまねえな。 341 00:26:02,227 --> 00:26:06,565 …ったく もう。 急ぎ製糸工場に 取りかからねばならねえのに➡ 342 00:26:06,565 --> 00:26:10,436 雑務が多すぎて ちっとも進まねぇや。 343 00:26:10,436 --> 00:26:12,738 我がこと成れり! 344 00:26:12,738 --> 00:26:14,673 どうした? 345 00:26:14,673 --> 00:26:17,075 見よ。 346 00:26:17,075 --> 00:26:20,879 政府が飛脚問屋に 通信用に支払った金額だ。 347 00:26:24,249 --> 00:26:28,086 月に1千500両も払ってんのか? 348 00:26:28,086 --> 00:26:32,591 東京 京都間の信書を早飛脚に頼むと➡ 349 00:26:32,591 --> 00:26:38,097 人足賃に23両 賊よけに12両 計35両を要し➡ 350 00:26:38,097 --> 00:26:42,401 そこに 差込便の上乗せを加えれば 1か月で1千200両余り。➡ 351 00:26:42,401 --> 00:26:47,406 これに大阪間の300両が加えられ この値段だ。 352 00:26:49,108 --> 00:26:55,981 私が考える 飛脚便制度開設にかかる金額は…➡ 353 00:26:55,981 --> 00:26:58,117 これよりずっと低い。 354 00:26:58,117 --> 00:27:00,085 何? 355 00:27:00,085 --> 00:27:06,225 月1千500両を費やせば 東京から京都 更に大阪までの区間に➡ 356 00:27:06,225 --> 00:27:12,030 毎日一定の時刻 各1便の政府の飛脚便を 仕立てることができる。 357 00:27:12,030 --> 00:27:14,366 それは ええわい! また 同時に➡ 358 00:27:14,366 --> 00:27:21,240 一般の通信も取り扱うことにすれば 送達料を取ることができるゆえ➡ 359 00:27:21,240 --> 00:27:24,743 その1千500両は そのまま➡ 360 00:27:24,743 --> 00:27:27,646 ほかの線路を拡張する基金に 回すことができる。 361 00:27:27,646 --> 00:27:29,915 おお! 362 00:27:29,915 --> 00:27:35,387 うまくいけば じきに 日本中に配達の道を広げられる。 363 00:27:35,387 --> 00:27:37,756 おお! 364 00:27:37,756 --> 00:27:40,259 政府は出す金を抑えようとするが➡ 365 00:27:40,259 --> 00:27:45,764 元来 飛脚に払わねばならねぇ費用を そのまま使うんだから文句はねぇはずだ。 366 00:27:45,764 --> 00:27:50,269 おぉ… すばらしい! 建議書を書いてくれ。 367 00:27:53,272 --> 00:27:58,777 政府たるものが 飛脚屋の商いを横取りするとは。 368 00:27:58,777 --> 00:28:03,749 西洋においても 飛脚の権は政府が行っとります。 369 00:28:03,749 --> 00:28:09,221 こいは日本政府として 是非とも やらんばならんのであります! 370 00:28:09,221 --> 00:28:12,724 (三条実美)ハハハハハ…。 371 00:28:12,724 --> 00:28:17,930 (伊達宗城)しかし改正掛は よくまとまり 仕事が早いですな。 372 00:28:20,232 --> 00:28:22,568 福沢殿の「西洋事情」にも➡ 373 00:28:22,568 --> 00:28:26,438 西洋の飛脚は 政府の飛脚印を用いるとあった。 374 00:28:26,438 --> 00:28:29,441 政府で「飛脚印」と名付けた印刷を作り➡ 375 00:28:29,441 --> 00:28:33,078 これを貼ることで 運ぶ料金を先に納めるんだ。 376 00:28:33,078 --> 00:28:35,747 うん これのことだな。 377 00:28:35,747 --> 00:28:39,251 (前島)この飛脚印にあるは何だ? 378 00:28:39,251 --> 00:28:43,121 汚れじゃねえか? そうか。 379 00:28:43,121 --> 00:28:47,392 しかし悩ましいのは この新事業の名前だ。 380 00:28:47,392 --> 00:28:50,295 漢学者の使う文字で この字はどうだろう。 381 00:28:50,295 --> 00:28:52,264 「郵」…。 382 00:28:52,264 --> 00:28:55,767 公用文書の中継ぎを行う宿場のことか。 383 00:28:55,767 --> 00:28:58,670 まあ 使い慣れねぇ字ではあるが。 384 00:28:58,670 --> 00:29:03,875 宿場の「郵」に 便りの「便」で 「郵便」。 385 00:29:03,875 --> 00:29:08,547 郵便か…。 郵便…。 386 00:29:08,547 --> 00:29:13,218 あぁ 郵便か。 まあ 言い慣れればよいかもしれん。 387 00:29:13,218 --> 00:29:16,722 じゃあ 郵便だな。 388 00:29:16,722 --> 00:29:18,724 郵便だ。 389 00:29:21,226 --> 00:29:25,897 私は 日本の郵便の父になる! 390 00:29:25,897 --> 00:29:27,833 おぉ! ハハハ! 391 00:29:27,833 --> 00:29:31,770 ほんなら わしは戸籍の父じゃ! ハハハ…。 392 00:29:31,770 --> 00:29:35,240 私は測量の父だな。 おお! 393 00:29:35,240 --> 00:29:38,744 造船の父! そしたら わしは海軍ぜよ! 394 00:29:38,744 --> 00:29:42,614 しかし その数日後…。 395 00:29:42,614 --> 00:29:49,921 郵便実施に向けて動き出す この時に! 396 00:29:52,291 --> 00:29:59,131 前島は 鐵道借款の処理を命じられ イギリスに渡ることとなり➡ 397 00:29:59,131 --> 00:30:02,601 杉浦に後を託しました。 398 00:30:02,601 --> 00:30:06,938 これを新式郵便の仕法として 太政官に提出しようと思う。 399 00:30:06,938 --> 00:30:12,110 切手の印刷については? あぁ 今から大蔵省と協議して…。 400 00:30:12,110 --> 00:30:15,981 大ごとじゃ 渋沢! 伊藤さん。 401 00:30:15,981 --> 00:30:18,283 大隈さんが民部省から追い出された。 402 00:30:18,283 --> 00:30:20,786 大隈さんが? 403 00:30:20,786 --> 00:30:23,622 まさか大久保さんに にらまれて…。 404 00:30:23,622 --> 00:30:28,427 分からん。 じゃが これで 大隈さんの後ろ盾が のうなった。 405 00:30:28,427 --> 00:30:32,964 改正掛も いつまで自由に動けるか分からんぞ。 406 00:30:32,964 --> 00:30:39,771 くそ! 国をまとめねばならぬ時に いたずらに争って威信をなくすとは! 407 00:30:41,440 --> 00:30:44,342 何が八百万の神だ! 408 00:30:44,342 --> 00:30:51,450 ♬~ 409 00:30:51,450 --> 00:30:53,819 (うた)とっさま! 410 00:30:53,819 --> 00:30:56,855 おぉ… ハハ。 お帰りなさいませ。 411 00:30:56,855 --> 00:30:59,858 ただいま。 ハハハ。 412 00:31:05,097 --> 00:31:07,399 あにぃ! 413 00:31:07,399 --> 00:31:09,601 栄一。 414 00:31:14,606 --> 00:31:18,410 横浜の商いの途中に ことを見に来てくれて。 415 00:31:18,410 --> 00:31:20,912 そうか。 416 00:31:22,948 --> 00:31:27,786 よかった。 今日は泊まってってくれ。 417 00:31:27,786 --> 00:31:30,822 いや。 驚いたぞ。 418 00:31:30,822 --> 00:31:34,526 お前が 新政府に出仕したと聞いて。 419 00:31:42,801 --> 00:31:45,637 すぐ村に戻らねばならねぇ。 420 00:31:45,637 --> 00:31:48,673 邪魔したな。 お主らも息災で。 421 00:31:48,673 --> 00:31:50,809 あにぃ。 422 00:31:50,809 --> 00:31:57,015 あにぃも 新政府に来てくれないか。 423 00:31:59,818 --> 00:32:05,257 民業の模範とするため 大蔵省で 製糸場を建てることになった。 424 00:32:05,257 --> 00:32:08,927 ただ 政府には 詳しいものがいねぇもんで➡ 425 00:32:08,927 --> 00:32:12,597 指導に来たフランス人も 不満を抱えている。 426 00:32:12,597 --> 00:32:14,533 あにぃなら誰よりも蚕に詳しい…。 427 00:32:14,533 --> 00:32:18,403 平九郎は新政府に殺されたんだ! 428 00:32:18,403 --> 00:32:25,610 首を斬られ 晒され いまだ亡骸も見つからねぇ。 429 00:32:27,145 --> 00:32:31,950 その政府に手を貸すなど 平九郎に どう顔向けしろというんだ? 430 00:32:34,286 --> 00:32:39,991 お前はよくても 俺にはそんなことはできねぇ。 431 00:32:43,428 --> 00:32:49,935 俺たちだって 異人を焼き殺そうとしたじゃねぇか。 432 00:32:53,104 --> 00:32:58,810 戦は… 一人一人は決して悪くねぇ人間も➡ 433 00:32:58,810 --> 00:33:03,248 敵だと思い込めば簡単に憎み➡ 434 00:33:03,248 --> 00:33:07,052 無残に殺してやりてぇという気持ちが 生まれちまう。 435 00:33:11,389 --> 00:33:17,095 もう 侍の世はごめんだ。 436 00:33:20,098 --> 00:33:24,402 壊すんじゃねえ。 作るんだ。 437 00:33:29,608 --> 00:33:37,616 俺は 平九郎に顔向けできなくても できることをする。 438 00:33:39,951 --> 00:33:48,460 己の手で この国を救えるんなら 何だってやる。 439 00:33:54,132 --> 00:33:56,067 (千代)お前様…。 440 00:33:56,067 --> 00:33:58,270 (惇忠)いいんだ。 441 00:34:05,243 --> 00:34:16,588 (算盤をはじく音) 442 00:34:16,588 --> 00:34:18,623 貨幣を どねえかせにゃあならんのに➡ 443 00:34:18,623 --> 00:34:20,759 今のままじゃ どねえしてバンクを建てるか➡ 444 00:34:20,759 --> 00:34:22,694 どねえな紙幣を造り どねえして利を得るんか➡ 445 00:34:22,694 --> 00:34:24,930 そねえなことも 一個もよう分からん。 446 00:34:24,930 --> 00:34:26,965 メリケンで 十分なる取り調べをしたいんじゃ。 447 00:34:26,965 --> 00:34:31,269 「伊藤博文に メリケンの出張が必要じゃ」 という建議を書いてくれ。 448 00:34:31,269 --> 00:34:34,105 承知しました。 (井上 馨)伊藤!➡ 449 00:34:34,105 --> 00:34:36,408 また異国に行くんか。 450 00:34:36,408 --> 00:34:39,110 おお! 井上さん! (井上)ハハハ。 451 00:34:39,110 --> 00:34:43,415 国内外で手を組んで 本格的な財政改革を せんにゃあならんからなぁ。 452 00:34:43,415 --> 00:34:47,285 井上さん? てことは 今度 大蔵少輔になられた…。 453 00:34:47,285 --> 00:34:50,288 おう お主が渋沢か。 454 00:34:50,288 --> 00:34:52,958 詳しいことは大隈さんから聞いとる。 455 00:34:52,958 --> 00:34:57,295 この先 わしがお主の上役じゃ。 ハハハハ…。 456 00:34:57,295 --> 00:35:00,131 あぁ… また癖のありそうな。 457 00:35:00,131 --> 00:35:02,067 皆も よろしゅう頼む。 458 00:35:02,067 --> 00:35:05,370 わしに任しちょけ! ハハハハハ…。 459 00:35:05,370 --> 00:35:08,239 そして 年が明け…➡ 460 00:35:08,239 --> 00:35:10,575 明治四年。 461 00:35:10,575 --> 00:35:13,611 すいません! すいません! 462 00:35:13,611 --> 00:35:17,615 ついに郵便が開始されました。 463 00:35:20,919 --> 00:35:22,854 すまねぇな。 ちっといいか。 失礼。 464 00:35:22,854 --> 00:35:26,591 すまねぇ。 すまねぇな。 465 00:35:26,591 --> 00:35:29,394 よし…。 466 00:35:29,394 --> 00:35:45,410 ♬~ 467 00:35:49,614 --> 00:35:53,318 それごと持ってくのかい。 ごめんよ 前 ごめんよ。 468 00:36:01,893 --> 00:36:03,928 いよいよだな。 469 00:36:03,928 --> 00:36:10,135 ああ。 うまく届けば 3日後に弟から返事が来る。 470 00:36:15,240 --> 00:36:17,442 持ってまいりました! 471 00:36:22,013 --> 00:36:26,751 (杉浦)皆 行き先に誤りがないよう よろしく頼みます。 472 00:36:26,751 --> 00:36:29,087 (局員たち)はっ! 473 00:36:29,087 --> 00:36:45,537 ♬~ 474 00:36:45,537 --> 00:36:48,940 どうだ? まだだ。 475 00:36:48,940 --> 00:36:52,243 計算だと もう届くはずだが…。 476 00:36:55,280 --> 00:36:57,282 ⚟杉浦さ~ん! 477 00:37:03,021 --> 00:37:05,890 郵便です。 478 00:37:05,890 --> 00:37:09,360 (杉浦)来た! 来たな! 479 00:37:09,360 --> 00:37:12,564 切手も剥がれてない。 480 00:37:12,564 --> 00:37:14,599 ちゃんと判も押してある。 481 00:37:14,599 --> 00:37:18,736 届いた。 482 00:37:18,736 --> 00:37:22,907 届いたぞ! (歓声) 483 00:37:22,907 --> 00:37:26,778 ♬~ 484 00:37:26,778 --> 00:37:31,282 よ~し 次だ 次! (一同)おお! 485 00:38:01,045 --> 00:38:05,884 (渋沢平九郎) 御旗本 渋沢篤太夫が嫡男 渋沢平九郎! 486 00:38:05,884 --> 00:38:07,819 (銃声) 487 00:38:07,819 --> 00:38:14,893 (尾高長七郎)俺たちは 何のために 生まれてきたんだんべなぁ? 488 00:38:14,893 --> 00:38:21,232 この恥を胸に刻んで… いま一度 前に進みたい。 489 00:38:21,232 --> 00:38:25,236 生きている限り…。 490 00:38:34,245 --> 00:38:36,247 きせ…。 491 00:38:40,585 --> 00:38:42,787 話がある。 492 00:38:47,091 --> 00:38:49,093 (玉乃)渋沢! 493 00:38:51,763 --> 00:38:55,266 玉乃さん。 どうしました。 494 00:38:57,635 --> 00:39:04,342 認めとうなかったが認めざるをえん。 495 00:39:04,342 --> 00:39:14,018 貴公は 仕事の早さにしろ 気概にしろ 実に得難い徳川秘蔵の臣じゃ。 496 00:39:14,018 --> 00:39:20,825 今まで無礼もあったかもしれんが 実に相すまぬと 謝りに参った。 497 00:39:22,560 --> 00:39:26,731 これからは力を合わせたい。 498 00:39:26,731 --> 00:39:32,904 それはわざわざ ありがとうございまする。 499 00:39:32,904 --> 00:39:35,573 百姓上がりと見くびっちょったが➡ 500 00:39:35,573 --> 00:39:41,079 貴公の親族である尾高殿とて 才もあり 学もあり➡ 501 00:39:41,079 --> 00:39:44,382 登用するにふさわしいお方じゃ。 502 00:39:47,385 --> 00:39:52,090 あにぃ… 来てくれたのか! 503 00:39:58,029 --> 00:40:03,334 そうか。 そうか…。 504 00:40:10,275 --> 00:40:13,778 製糸場の顧問のブリュナだ。 505 00:40:13,778 --> 00:40:15,980 (栄一・フランス語で) 506 00:40:39,437 --> 00:40:41,439 よろしく。 507 00:40:43,308 --> 00:40:45,810 おおおお… オンションテ。 508 00:40:45,810 --> 00:40:49,013 ハハハハハ…。 509 00:40:54,819 --> 00:41:02,627 「前様 某は新政府にて 改正掛という掛を新設しました。➡ 510 00:41:02,627 --> 00:41:07,465 この郵便をはじめ 日本を新しく生まれ変わらせるために➡ 511 00:41:07,465 --> 00:41:10,468 粉骨砕身してまいります」。 512 00:41:14,272 --> 00:41:17,608 福沢殿の度量衡の講釈は ちっとも分かんねぇな。 513 00:41:17,608 --> 00:41:21,279 はい。 物事の仕組みを作るのが これほど大変とは。 514 00:41:21,279 --> 00:41:23,481 ハハハハ…。 515 00:41:27,418 --> 00:41:31,956 改正掛は 潰してしまわねばないもはん。 516 00:41:31,956 --> 00:41:36,794 国家ん大事を ほんの一握りの若手が 勝手に立案し➡ 517 00:41:36,794 --> 00:41:39,297 勝手に進めておいもす。 518 00:41:39,297 --> 00:41:41,232 こいで よかはずがあいもはん。 519 00:41:41,232 --> 00:41:46,437 (岩倉) それより 西郷はまだ出てきぃひんのか? 520 00:41:46,437 --> 00:41:51,976 薩摩しかり 長州しかり➡ 521 00:41:51,976 --> 00:41:56,447 はぁ 武士というのが これほど まとまらへんものとは あきれたことや。 522 00:41:56,447 --> 00:42:03,588 それを思えば 徳川は よくもまぁ あんなに長いことやっていたもんです。 523 00:42:03,588 --> 00:42:07,258 うんにゃ。 我らも 必ずや まとまってみせもす。 524 00:42:07,258 --> 00:42:11,129 いや 今度は わしも参りまひょ。 525 00:42:11,129 --> 00:42:18,603 これ以上 ずるずると まとまらへんかったら➡ 526 00:42:18,603 --> 00:42:22,106 お上の世は また潰れてしまう。 527 00:42:23,941 --> 00:42:26,244 ははっ。 528 00:42:30,281 --> 00:42:34,285 日本は 必ずまた戦になる。 戦じゃ! 529 00:42:34,285 --> 00:42:37,055 まことに新政府を ぶち壊す気かもしれねぇ。 530 00:42:37,055 --> 00:42:38,990 ええ~。 531 00:42:38,990 --> 00:42:42,860 あんたは もう お国の大事なお役人様なんだから。 532 00:42:42,860 --> 00:42:45,830 おはんのおる場所も そこでよかとか? 533 00:42:45,830 --> 00:42:48,666 心残りはねぇ。 534 00:42:48,666 --> 00:42:55,173 俺は 渋沢栄一の父だ。