1 00:00:02,202 --> 00:00:07,407 (岩崎弥太郎)三井 小野が それほど 政府の言うことを聞かんなら…➡ 2 00:00:07,407 --> 00:00:11,712 少し 灸を据えたら どうですやろう? 3 00:00:13,280 --> 00:00:17,417 (井上 馨)大蔵省が 「この先 無利子無担保で便宜は図れん。➡ 4 00:00:17,417 --> 00:00:19,486 担保を出せ」と言い始めちょる。 5 00:00:19,486 --> 00:00:23,290 (渋沢栄一)小野組への貸付金は130万…。 6 00:00:23,290 --> 00:00:25,626 は? 7 00:00:25,626 --> 00:00:27,661 その貸付金を取りはぐれたら? 8 00:00:27,661 --> 00:00:32,132 巻き添えで…➡ 9 00:00:32,132 --> 00:00:35,435 第一国立銀行は 破産する! 10 00:00:41,441 --> 00:00:44,811 (足音) 11 00:00:44,811 --> 00:00:47,714 大隈さん あんまりではありませんか! 12 00:00:47,714 --> 00:00:50,150 何じゃ いきない。 13 00:00:50,150 --> 00:00:52,085 小野組や三井組に いきなり➡ 14 00:00:52,085 --> 00:00:55,322 政府の預け金 全額の担保を 申しつけたことですよ。 15 00:00:55,322 --> 00:00:57,824 元来 小野組や三井組に➡ 16 00:00:57,824 --> 00:01:00,160 政府が無担保で 金を貸し付けていたのは➡ 17 00:01:00,160 --> 00:01:03,063 彼らが御一新の際に貢献したからだ。 18 00:01:03,063 --> 00:01:06,400 それを急に全額の担保を差し出せとは…。 19 00:01:06,400 --> 00:01:09,269 三井や小野を 取り潰してしまうおつもりですか。 20 00:01:09,269 --> 00:01:13,273 フン。 おい一人で決めたことではなか。 21 00:01:13,273 --> 00:01:16,610 そいに… そがんこっで潰れるようなとこに➡ 22 00:01:16,610 --> 00:01:20,113 政府ん金ば預くっことん方が 危なかじゃなかか。 23 00:01:20,113 --> 00:01:26,620 大蔵省としては 今んうちに 担保ば押さえておくことは道理たい。 24 00:01:29,623 --> 00:01:34,795 三井や小野が 我が第一国立銀行の 大株主であることは➡ 25 00:01:34,795 --> 00:01:37,698 もちろんご存じのはず。 26 00:01:37,698 --> 00:01:42,302 銀行まで 今潰れれば この先 日本の経済は…。 27 00:01:42,302 --> 00:01:44,237 何が日本の経済じゃ! 28 00:01:44,237 --> 00:01:46,807 勝手に大蔵省ば去ったくせに。 29 00:01:46,807 --> 00:01:51,144 佐賀ん戦や台湾や 何もかんも金のかかっ中➡ 30 00:01:51,144 --> 00:01:56,016 おいは一人 寂しか懐で どがんじゃい やりくりばしとうばい! 31 00:01:56,016 --> 00:01:58,018 はぁ? 32 00:01:58,018 --> 00:02:00,587 そんな私情で国を動かされては困る! 33 00:02:00,587 --> 00:02:04,257 だけん おいのみで決めたわけじゃなかて 言うとろうが! 34 00:02:04,257 --> 00:02:08,095 お帰りじゃ。 渋沢のお帰りであ~る! 35 00:02:08,095 --> 00:02:10,998 お前様 「大声でどなるな。 せっかちは厳禁。➡ 36 00:02:10,998 --> 00:02:12,966 嫌いな人とも きちんとつきあえ」! 37 00:02:12,966 --> 00:02:14,968 もう よか! 38 00:02:14,968 --> 00:02:16,970 いいや ならば結構! 39 00:02:22,943 --> 00:02:24,945 フン! 40 00:02:32,619 --> 00:02:38,125 急に全額の担保を出せとは 無理な話や。 41 00:02:39,793 --> 00:02:44,798 渋沢様 どうぞ助けてください。 42 00:02:51,138 --> 00:02:53,340 いいや。 43 00:02:54,975 --> 00:02:59,646 小野組が潰れても この銀行を潰すわけにはいかない。 44 00:02:59,646 --> 00:03:02,616 政府よりも先に 当銀行へ➡ 45 00:03:02,616 --> 00:03:05,752 貸し付けた分の担保を 差し出していただきたい。 46 00:03:05,752 --> 00:03:10,390 そんな殺生な! 私は この銀行を守らねばならないんだ! 47 00:03:10,390 --> 00:03:17,097 ここが潰れれば 日本に銀行を作るなど 絵空事だと思われる。 48 00:03:17,097 --> 00:03:21,401 育てねばならねぇ産業も商業も ますます遅れ➡ 49 00:03:21,401 --> 00:03:26,606 今 崖っぷちの日本の経済そのものが 崩れちまうんだ! 50 00:03:28,175 --> 00:03:30,877 渋沢様。 51 00:03:38,819 --> 00:03:40,821 これは…。 52 00:03:40,821 --> 00:03:44,658 小野組が 第一国立銀行から借りた金のうち➡ 53 00:03:44,658 --> 00:03:48,295 多くは 私がやっている支店への貸し出し。 54 00:03:48,295 --> 00:03:52,299 渋沢様は 私を信用して 無担保で貸してくださった。 55 00:03:52,299 --> 00:03:58,004 そのご恩に報いるためにも 出せるものは全て差し出します。 56 00:03:58,004 --> 00:04:02,576 あ~ あかんあかん… あかんで! なんてことするんや 古河! 57 00:04:02,576 --> 00:04:07,748 頭取 もうどうやっても 小野は助かりません。 58 00:04:07,748 --> 00:04:11,918 どうせなら 一方的に見捨てようとする政府より➡ 59 00:04:11,918 --> 00:04:17,724 信用してくださった渋沢様や 市井のお客様にお返ししましょう。 60 00:04:17,724 --> 00:04:20,093 さあ…。 嫌や… 嫌や 嫌や! 61 00:04:20,093 --> 00:04:22,129 頭取! 嫌や 嫌や! 62 00:04:22,129 --> 00:04:29,769 御一新を乗り越えて ようやく ここまで来たゆうのに➡ 63 00:04:29,769 --> 00:04:34,641 何で… 何で こないなことに なってしもたんやぁ。 64 00:04:34,641 --> 00:04:39,479 嫌や 嫌や…。 65 00:04:39,479 --> 00:04:45,952 栄一は 小野組の犠牲で この危機を乗り切りました。 66 00:04:45,952 --> 00:05:19,586 ♬~ 67 00:05:19,586 --> 00:06:25,252 ♬~ 68 00:06:25,252 --> 00:07:36,957 ♬~ 69 00:07:36,957 --> 00:07:40,760 この銀行も 首の皮一枚つながっただけだ。 70 00:07:42,595 --> 00:07:44,531 俺が悪い。 71 00:07:44,531 --> 00:07:48,335 どんどん経済を育てねばと 金を貸し過ぎた。 72 00:07:50,337 --> 00:07:54,641 (佐々木勇之助) 総監役 三井の使いが これを。 73 00:08:03,917 --> 00:08:12,058 「第一国立銀行と三井組と扱いの方法」? 74 00:08:12,058 --> 00:08:16,930 (三野村利左衛門) 「大株主 小野組の破産に伴い➡ 75 00:08:16,930 --> 00:08:19,366 以下の改正を願う。➡ 76 00:08:19,366 --> 00:08:30,377 一つ 株主と相談の上 全ての株は三井組が譲り受ける。➡ 77 00:08:30,377 --> 00:08:39,919 一つ 渋沢公のみ 上限10万に限り 株の保有を許可し…。➡ 78 00:08:39,919 --> 00:08:44,591 一つ 銀行の利益 配当金は…。 銀行事務 月給もこれまでどおりとする。➡ 79 00:08:44,591 --> 00:08:49,396 一つ 銀行で抱えていた手代は 全て三井組へ…」。 80 00:08:49,396 --> 00:08:52,265 何だ これは! 81 00:08:52,265 --> 00:08:54,934 今月の売り上げは10万…。 82 00:08:54,934 --> 00:08:57,437 (ドアが開く音) ⚟渋沢様! お待ちください! 83 00:08:59,105 --> 00:09:01,541 これは どういう意味ですか! 84 00:09:01,541 --> 00:09:04,444 おやおや 渋沢様。 こんな書状を書いてよこすとは…。 85 00:09:04,444 --> 00:09:09,883 いや ご存じのとおり 私は字が書けませぬゆえ➡ 86 00:09:09,883 --> 00:09:12,786 つぶやいたことを 手代に書かせましたが…。 87 00:09:12,786 --> 00:09:17,290 第一国立銀行を 三井組に取り込むおつもりか。 88 00:09:19,359 --> 00:09:23,897 あなたは初めから 三井のみの銀行を作りたがっていた。 89 00:09:23,897 --> 00:09:28,768 ええ。 大蔵省にいたあなた様に止められました。 90 00:09:28,768 --> 00:09:34,908 まあ今思えば 最初から そうすべきだったんだ。 91 00:09:34,908 --> 00:09:42,382 あなたもね 官を辞めた時 三井に入ってれば ようござんしたよ。 92 00:09:42,382 --> 00:09:48,254 まあ遠回りしましたが… おい 下がってもいいぜ。 93 00:09:48,254 --> 00:09:51,391 こうなるのが成り行きでござんすよ。 94 00:09:51,391 --> 00:09:56,096 第一国立銀行は あくまで合本銀行だ。 95 00:09:56,096 --> 00:09:58,998 合本…。 96 00:09:58,998 --> 00:10:04,804 多くの人々の力を合わせ よどみない大河の流れを作るのが目的だ。 97 00:10:04,804 --> 00:10:10,610 それを… 株は全て三井が譲り受けるだと? 98 00:10:10,610 --> 00:10:14,280 配当金も人員も…。 99 00:10:14,280 --> 00:10:20,487 混乱に乗じて そんな横暴を言いだすとは 承服しかねる! 100 00:10:25,291 --> 00:10:29,629 私は 三井の一支配人になるつもりはない。 101 00:10:29,629 --> 00:10:31,564 株も要らねぇ。 102 00:10:31,564 --> 00:10:36,803 どうしても乗っ取るというのなら こっちにも覚悟があります。 103 00:10:36,803 --> 00:10:38,738 覚悟? 104 00:10:38,738 --> 00:10:41,441 大蔵省に洗いざらい調べてもらい➡ 105 00:10:41,441 --> 00:10:44,644 銀行の在り方として どちらの方が正しいのか➡ 106 00:10:44,644 --> 00:10:46,579 判断を仰ぐんです。 107 00:10:46,579 --> 00:10:49,315 あら… ハッ… 洗いざらい? 108 00:10:49,315 --> 00:10:53,520 ハハハハハハ… 大した自信だ。 109 00:10:55,121 --> 00:10:59,325 しかし いいんでしょうかねぇ。 110 00:10:59,325 --> 00:11:03,096 ん? そんなことをしちまって。 111 00:11:03,096 --> 00:11:05,598 ん? 112 00:11:12,405 --> 00:11:17,944 大蔵省は 第一国立銀行に シャンドを派遣し➡ 113 00:11:17,944 --> 00:11:25,251 日本で初めての 本格的な西洋式銀行検査を行いました。 114 00:11:29,422 --> 00:11:31,424 おい。 115 00:11:33,960 --> 00:11:35,962 はい。 116 00:11:38,831 --> 00:11:42,635 おやおや すごいね。 はい ごめんなすって。 117 00:11:45,672 --> 00:11:47,974 おや。 118 00:11:59,185 --> 00:12:02,989 シャンドの報告では 小野組の破綻により➡ 119 00:12:02,989 --> 00:12:08,261 抵当もなく回収できない貸し付けが➡ 120 00:12:08,261 --> 00:12:12,599 71万円にも達していた。 121 00:12:12,599 --> 00:12:15,501 しかし… さまざまな努力んより➡ 122 00:12:15,501 --> 00:12:21,274 結果 損失は 1万9,000円に抑えられとった。➡ 123 00:12:21,274 --> 00:12:24,978 こいは評価すべきこつばい。 124 00:12:26,779 --> 00:12:29,415 そいよりも問題は…➡ 125 00:12:29,415 --> 00:12:35,288 大口の貸し付けば 三井組のみにしとるこつや。 126 00:12:35,288 --> 00:12:42,495 一つんとこに偏るんは 合本銀行として 実に不健全であっとである。 127 00:12:44,897 --> 00:12:50,837 以上の指摘により 大蔵省は 第一国立銀行に➡ 128 00:12:50,837 --> 00:12:56,976 三井組への特権の剥奪ば命ず。 129 00:12:56,976 --> 00:13:03,583 更に 渋沢の総監役ば廃し…➡ 130 00:13:03,583 --> 00:13:05,518 頭取に任ずっ。 131 00:13:05,518 --> 00:13:09,722 え? 渋沢様が頭取に! 132 00:13:11,324 --> 00:13:14,761 わいが始めたんじゃ。 しっかり立て直せ。 133 00:13:14,761 --> 00:13:35,415 ♬~ 134 00:13:35,415 --> 00:13:37,717 (アラン・シャンド)ミスター シブサワ。 135 00:13:52,799 --> 00:13:57,970 (弥太郎)けんどこれは 大隈様の筋書きどおりながでは?➡ 136 00:13:57,970 --> 00:14:00,239 ハハ さあ…。 137 00:14:00,239 --> 00:14:04,577 生意気な古い豪商らぁを潰し➡ 138 00:14:04,577 --> 00:14:11,751 政府に必要な銀行だけは 灸を据えながらも どうにか生かすとは。 139 00:14:11,751 --> 00:14:17,256 ハハハハ…。そがん人ば悪者にすんな。 おいも必死たい。 140 00:14:17,256 --> 00:14:20,093 悪者? まさか。 141 00:14:20,093 --> 00:14:22,995 三菱は大隈様のおかげで➡ 142 00:14:22,995 --> 00:14:28,768 三井の郵便蒸気船会社をしのぐほどの利を あげておりますきに。 143 00:14:28,768 --> 00:14:31,604 大隈様は神様や! 144 00:14:31,604 --> 00:14:34,273 アッハッハッハッハ…。 145 00:14:34,273 --> 00:14:38,611 また そがん寒気のすっお世辞ば。➡ 146 00:14:38,611 --> 00:14:44,117 こん先も また いつ戦になってん おかしゅうなかぞ。 147 00:14:44,117 --> 00:14:51,791 ほう そうかえ。 それはそれは…。 148 00:14:51,791 --> 00:14:54,994 ほんで時に 大久保様は? 149 00:14:57,663 --> 00:15:03,436 (五代友厚)渋沢君の銀行が 潰れんかったとは めでたかことです。 150 00:15:03,436 --> 00:15:09,208 (大久保利通)おはんは あん騒動でも もうけたち聞いたど。 151 00:15:09,208 --> 00:15:14,580 小野組の第一国立銀行の株 25万円を➡ 152 00:15:14,580 --> 00:15:18,885 潰れる前に 己のもんにしたそうじゃなかか。 153 00:15:20,453 --> 00:15:26,159 台湾への出兵で もうけた 岩崎ほどではなか。 154 00:15:27,927 --> 00:15:32,765 ん? はぁ こっちをやらるっとは。 155 00:15:32,765 --> 00:15:37,403 「彼を攻めるには我を顧みよ」。 156 00:15:37,403 --> 00:15:42,608 攻める時はまず 己の弱みを顧みるべし。 157 00:15:42,608 --> 00:15:45,945 弱みか…。 158 00:15:45,945 --> 00:15:47,947 顧みたくはなか。 159 00:15:49,615 --> 00:15:52,285 一蔵さぁは立派じゃっどん➡ 160 00:15:52,285 --> 00:15:56,289 いっちょん人望がなかとは 弱みを見せんからじゃ。 161 00:15:56,289 --> 00:16:00,493 は? なんちゅうことを言うか。 162 00:16:06,799 --> 00:16:14,073 そげんモジャモジャしたひげで 優しかお顔まで隠してしもて。 163 00:16:14,073 --> 00:16:18,377 明治の男たるもん ひげ面であるべしじゃ。 164 00:16:18,377 --> 00:16:21,581 おはんこそ生やさんか。 165 00:16:21,581 --> 00:16:24,617 ツルツルじゃなか。 ハハハハハハ…。 166 00:16:24,617 --> 00:16:28,254 お断りしもす。 167 00:16:28,254 --> 00:16:33,593 じゃっどん 一蔵さぁの目指す日本を作るには➡ 168 00:16:33,593 --> 00:16:38,297 もっと多くの味方が必要じゃ。 169 00:16:41,934 --> 00:16:47,406 おはんには かなわん。 170 00:16:47,406 --> 00:16:57,416 ♬~ 171 00:16:57,416 --> 00:17:00,319 仕事が少し落ち着いた栄一は➡ 172 00:17:00,319 --> 00:17:03,055 静岡を訪れました。 173 00:17:03,055 --> 00:17:04,991 (猪飼勝三郎)廃藩となってから➡ 174 00:17:04,991 --> 00:17:07,727 当家も すっかり懐が乏しくなり➡ 175 00:17:07,727 --> 00:17:10,062 奉公人が減らされてのう。 176 00:17:10,062 --> 00:17:14,734 側女中も5人から2人になった。 177 00:17:14,734 --> 00:17:20,072 いやしかし 徳川宗家は 東京の千駄ヶ谷に移られました。 178 00:17:20,072 --> 00:17:22,975 なぜ当家は 共に移られなかったのです? 179 00:17:22,975 --> 00:17:26,746 勝 海舟殿が進言したのだ。 180 00:17:26,746 --> 00:17:33,519 まだ遺恨もあるゆえ 御前様は 静岡にとどまるのがよいと。 181 00:17:33,519 --> 00:17:37,924 遺恨…。 時折 かつての家臣らが挨拶に参るが➡ 182 00:17:37,924 --> 00:17:39,859 ほとんどお会いにならぬ。 183 00:17:39,859 --> 00:17:45,264 しかし お主が来るのは 楽しみにされておった。 184 00:17:45,264 --> 00:17:48,067 ハハハハハ…。 185 00:17:52,138 --> 00:17:54,140 (徳川慶喜)渋沢。 186 00:17:55,908 --> 00:17:57,910 御前様! 187 00:18:05,351 --> 00:18:07,553 奥方様。 188 00:18:09,722 --> 00:18:18,431 ♬~ 189 00:18:18,431 --> 00:18:21,233 (徳川美賀子)はい。 190 00:18:21,233 --> 00:18:26,906 奥方様は お子様たちがかわいくて しかたのないご様子だ。 191 00:18:26,906 --> 00:18:30,743 そなたはどうだ? 東京の暮らしは。 192 00:18:30,743 --> 00:18:36,248 はい。 十数年前まで百姓の身分であった某が➡ 193 00:18:36,248 --> 00:18:41,921 驚くべきことに 天皇陛下や 皇后陛下の前に出ることもあり…。 194 00:18:41,921 --> 00:18:46,592 そう お二人は いろいろなことにご興味をお持ちで➡ 195 00:18:46,592 --> 00:18:50,930 先日は観測天覧を。 金星を観測されておりました。 196 00:18:50,930 --> 00:18:52,965 ほう 天体の観測を。 197 00:18:52,965 --> 00:18:55,601 ははっ。 198 00:18:55,601 --> 00:19:01,340 太政大臣の三条様もご一緒でしたが いや~ はぁ…➡ 199 00:19:01,340 --> 00:19:06,879 三条様はなぁ 人はいいが 己の意見ってものがない。 200 00:19:06,879 --> 00:19:10,349 全く政治向きではありません。 201 00:19:10,349 --> 00:19:15,721 大久保さんは… いや~ 大久保さんは偉いかもしれねぇが➡ 202 00:19:15,721 --> 00:19:20,559 何を考えているのかさっぱり分からぬ 不気味なお人で➡ 203 00:19:20,559 --> 00:19:23,596 西郷様や木戸さんも 大久保さんとは意見が合わず➡ 204 00:19:23,596 --> 00:19:26,098 政府を去ってしまい…。 205 00:19:34,573 --> 00:19:38,377 まあ とにかく 政府を辞めて すっきりとし…➡ 206 00:19:38,377 --> 00:19:42,748 あぁ そうだい。 私も男の子が生まれました。 207 00:19:42,748 --> 00:19:45,651 おぉ そうか。 ははっ。 208 00:19:45,651 --> 00:19:50,623 ちょうど 鏡子様と同じ年頃です。 209 00:19:50,623 --> 00:19:54,360 そうか。 いつか それは是非 会ってみたいのう。 210 00:19:54,360 --> 00:19:57,363 ハハハハハハハ…。 是非。 211 00:20:02,768 --> 00:20:06,472 昨年 ひやり事がござりました。 212 00:20:08,641 --> 00:20:12,778 平岡円四郎殿の奥方が来たのや。 213 00:20:12,778 --> 00:20:14,714 (やす)お目通りできるまで帰らないよ! 214 00:20:14,714 --> 00:20:18,284 あたしゃ どうしても 先の上様に じかに言ってやりたいことがあるんだ! 215 00:20:18,284 --> 00:20:21,487 あの奥方様が? 216 00:20:24,156 --> 00:20:29,995 平岡は亡くなる前に こう書き残したんですよ。 217 00:20:29,995 --> 00:20:34,834 「我が殿は きっと新しい日本を作る。➡ 218 00:20:34,834 --> 00:20:37,636 それを見る日が楽しみでならない」と。 219 00:20:37,636 --> 00:20:39,572 それが何だい。 220 00:20:39,572 --> 00:20:42,308 あの上様は 旗本8万騎を見捨て➡ 221 00:20:42,308 --> 00:20:47,179 尻尾を巻いて 逃げ出したっていうじゃないか。 222 00:20:47,179 --> 00:20:52,451 そのせいで たくさんの人たちが死んだ。 223 00:20:52,451 --> 00:20:55,354 世の中だって もうめちゃくちゃだよ。 224 00:20:55,354 --> 00:21:01,060 町には 職にあぶれたお侍や病人や 親のない子が あふれかえってさ。 225 00:21:03,929 --> 00:21:07,933 こんな世にするために みんな死んでったのかって…。 226 00:21:10,803 --> 00:21:14,573 許せないね。 何もかも自分のせいだっていうのに。 227 00:21:14,573 --> 00:21:16,642 何にもなかったような顔して 隠居暮らしなんかされちゃ➡ 228 00:21:16,642 --> 00:21:19,778 困るってんだよ! 229 00:21:19,778 --> 00:21:21,714 さもありなん。 230 00:21:21,714 --> 00:21:25,584 御一新で没落したものからすれば➡ 231 00:21:25,584 --> 00:21:32,792 恨みをぶつける相手は 我が御前しかおらん。 232 00:21:32,792 --> 00:21:38,297 御前も… それは 分かっておられる。 233 00:21:39,965 --> 00:21:49,275 (美賀子)今でも寝所に 刀や銃を置き それでも よく眠れぬご様子。 234 00:21:55,314 --> 00:21:59,652 妾は できることなら 御前に➡ 235 00:21:59,652 --> 00:22:03,522 英明な将軍であらねば ならなかった時より➡ 236 00:22:03,522 --> 00:22:08,727 今の方が幸せと思うていただきたい。 237 00:22:10,296 --> 00:22:13,265 はい。 238 00:22:13,265 --> 00:22:18,971 フフッ… あなたが来ると楽しそうや。 239 00:22:26,111 --> 00:22:32,318 ⚟「子曰く 富と貴きとは 是れ人の欲する所なり」。 240 00:23:09,255 --> 00:23:11,257 (渋沢千代)「論語」でございますか? 241 00:23:11,257 --> 00:23:13,926 あぁ。 242 00:23:13,926 --> 00:23:16,395 せっかく習っておったのに➡ 243 00:23:16,395 --> 00:23:21,934 途中で 尊王攘夷に かぶれちまったからな。 244 00:23:21,934 --> 00:23:24,270 えぇ。 245 00:23:24,270 --> 00:23:26,572 フフ…。 246 00:23:28,140 --> 00:23:32,411 パリにいた頃 フランス陸軍中佐の婦人から➡ 247 00:23:32,411 --> 00:23:34,480 急に文が届いてな。 248 00:23:34,480 --> 00:23:39,285 何かと思えば 「今年の冬は 特に寒いから➡ 249 00:23:39,285 --> 00:23:42,788 パリの貧民たちを 少しでも温かくしたい。➡ 250 00:23:42,788 --> 00:23:47,660 よって 慈善会を開くので 何か買ってくれ」とのことだった。 251 00:23:47,660 --> 00:23:50,429 何か買ってくれ? あぁ。 252 00:23:50,429 --> 00:23:57,970 よく話を聞けば ご婦人方で 志の篤い紳士から義捐金を集め➡ 253 00:23:57,970 --> 00:24:01,373 貧しき者に寄付をしているという。 254 00:24:01,373 --> 00:24:05,577 まぁ ご婦人方が そのようなことを…。 255 00:24:05,577 --> 00:24:07,880 うむ。 256 00:24:09,448 --> 00:24:12,451 かっさまを思い出した。 257 00:24:15,254 --> 00:24:17,923 えぇ。 258 00:24:17,923 --> 00:24:22,795 お義母様は いつも 己より人のことばかりで。 259 00:24:22,795 --> 00:24:25,664 うむ。 260 00:24:25,664 --> 00:24:32,771 東京府でも 貧民や親のいない子を集める 養育院というのが出来たんだ。 261 00:24:32,771 --> 00:24:40,112 しかし 年々 人数が増え 費用に困っておるらしい。 262 00:24:40,112 --> 00:24:45,417 俺は その養育院を 預かろうかと思うんだい。 263 00:24:48,420 --> 00:24:51,957 大事なのは民だ。 264 00:24:51,957 --> 00:24:55,294 今のような世のままでは➡ 265 00:24:55,294 --> 00:25:01,500 先に命を落とした人たちに 胸を張れねぇ。 266 00:25:14,246 --> 00:25:18,951 頭取! 金が どんどん引き換えられています! 267 00:25:20,586 --> 00:25:23,255 また円の価値が下がったのか。 268 00:25:23,255 --> 00:25:27,092 その上 機械や綿織物の輸入が おびただしく増え➡ 269 00:25:27,092 --> 00:25:30,095 金貨や銀貨が 大量に外国に流れております。 270 00:25:31,764 --> 00:25:36,602 あ~ もう! 俺が無知だった。 271 00:25:36,602 --> 00:25:38,937 銀行が出来りゃ 理想がかなうと思ってたのは➡ 272 00:25:38,937 --> 00:25:40,873 大間違いだったんだ! 273 00:25:40,873 --> 00:25:42,808 (渋沢喜作)栄一。 274 00:25:42,808 --> 00:25:45,711 悪ぃが 横浜の異人もどうにかしてくれ。 275 00:25:45,711 --> 00:25:48,280 はぁ? 276 00:25:48,280 --> 00:25:54,420 夏から蚕卵紙を売っているが 一つも買い入れる外国商館がねぇ。 277 00:25:54,420 --> 00:25:56,355 (伊藤博文)まずいのう。 278 00:25:56,355 --> 00:25:58,791 横浜の港じゃ 破産した種屋が➡ 279 00:25:58,791 --> 00:26:01,693 海に身投げしたり 首をくくったりしちょるらしい。 280 00:26:01,693 --> 00:26:04,596 ただでさえ輸入超過じゃっちゅうとに➡ 281 00:26:04,596 --> 00:26:09,234 蚕卵紙の輸出が そげんことでは 国の危機じゃ! 282 00:26:09,234 --> 00:26:11,904 急ぎ対策を講じんといかん。 283 00:26:11,904 --> 00:26:16,241 蚕卵紙は お国の大切な輸出品じゃないか。 何で…。 284 00:26:16,241 --> 00:26:21,380 外国商人らが 口裏を合わせ 蚕卵紙にケチをつけ買い控えてんだ。 285 00:26:21,380 --> 00:26:24,583 値が崩れるのを待ってんだい。 286 00:26:24,583 --> 00:26:26,919 なんと…。 287 00:26:26,919 --> 00:26:29,388 ばってん どげん対策ば? 288 00:26:29,388 --> 00:26:33,926 分からん。 じゃっどん 政府が動くしか…。 289 00:26:33,926 --> 00:26:35,961 駄目じゃ。 政府が手を下しゃあ➡ 290 00:26:35,961 --> 00:26:39,731 通商条約を盾に 外国から苦情が来るに決まっちょる。 291 00:26:39,731 --> 00:26:43,635 こりゃあ あくまで民が解決せにゃならん。 292 00:26:43,635 --> 00:26:46,638 民? 293 00:26:46,638 --> 00:26:48,841 民で そいが でくっとは…。 294 00:26:50,476 --> 00:26:53,612 渋沢か。 295 00:26:53,612 --> 00:26:55,647 カ~ッ! 296 00:26:55,647 --> 00:26:57,950 おいは あいには金輪際 頭ば下げんばい。 297 00:26:57,950 --> 00:26:59,985 また そねえな心の狭いことを。 298 00:26:59,985 --> 00:27:02,221 ばってん 嫌なものは嫌ばい! 299 00:27:02,221 --> 00:27:04,156 五代さんに どやされるよ! 300 00:27:04,156 --> 00:27:06,458 おい どこ行くんじゃ! 301 00:27:14,566 --> 00:27:20,873 横浜の蚕卵紙について 対策をしたか。 302 00:27:23,242 --> 00:27:27,546 政府は これに打つ手を知らん。 303 00:27:29,114 --> 00:27:31,116 なんとかしてほしか。 304 00:27:31,116 --> 00:27:36,922 ご存じだと思いますが 銀行も今 正念場を迎えております。 305 00:27:38,790 --> 00:27:41,093 片手間で 引き受けるわけにはまいりません。 306 00:27:41,093 --> 00:27:43,395 これは国の一大事だ。 307 00:27:43,395 --> 00:27:47,199 政府が どうにかすべきことでは ありませんか。 308 00:27:52,404 --> 00:27:55,407 う~ん。 309 00:27:58,210 --> 00:28:03,348 おはんも ツルッツルじゃな。 310 00:28:03,348 --> 00:28:06,251 はい? 311 00:28:06,251 --> 00:28:11,056 いや 正直に言う。 312 00:28:11,056 --> 00:28:14,927 おいは 経済のこつは いっちょん分からん。 313 00:28:14,927 --> 00:28:20,732 じゃっで… おいを助けるとじゃなか。 314 00:28:20,732 --> 00:28:26,071 国を助けると思うて…➡ 315 00:28:26,071 --> 00:28:29,875 味方になってくれんか。 316 00:28:48,927 --> 00:28:50,862 一つ 手があります。 317 00:28:50,862 --> 00:28:54,399 政府には 蚕卵紙に使う紙を売り上げた代金➡ 318 00:28:54,399 --> 00:28:56,768 8万5,000円の蓄えがあるはず。 319 00:28:56,768 --> 00:28:58,704 あぁ 手はつけちょらん。 320 00:28:58,704 --> 00:29:04,509 その政府の資金を使うことを お許しいただけますでしょうか。 321 00:29:04,509 --> 00:29:07,713 横浜の貿易商と話をしてまいります。 322 00:29:11,049 --> 00:29:13,252 渋沢。 323 00:29:16,221 --> 00:29:18,223 頼んだど。 324 00:29:20,225 --> 00:29:23,428 おかしれぇ。 やってやりましょう。 325 00:29:28,934 --> 00:29:32,237 ここにいる横浜の生糸商人で手を組み➡ 326 00:29:32,237 --> 00:29:38,043 売れずに困っている蚕卵紙を 全て買い上げてもらいたい。 327 00:29:38,043 --> 00:29:39,978 量はどのくらいになると思う? 328 00:29:39,978 --> 00:29:43,582 50万から100万枚はあるだろう。 329 00:29:43,582 --> 00:29:49,087 50万枚買い上げるとして 1枚17銭…➡ 330 00:29:49,087 --> 00:29:51,990 いや 20銭は出せる。 どうだ? 331 00:29:51,990 --> 00:29:55,961 (尾高惇忠) 今は上物も 5銭に買いたたかれている。 332 00:29:55,961 --> 00:30:00,098 応じるだろう。 しかし買い上げる金は…。 333 00:30:00,098 --> 00:30:04,269 金は 内々に政府に用意してもらった。 334 00:30:04,269 --> 00:30:06,204 (商人たち)おぉ…。 335 00:30:06,204 --> 00:30:12,411 しかし あくまで表向きは 民の力のみで解決したい。 336 00:30:12,411 --> 00:30:15,280 それで どうする? 337 00:30:15,280 --> 00:30:19,951 買い上げた蚕卵紙は 全て燃やす。 338 00:30:19,951 --> 00:30:22,621 燃やす? そうだ。 339 00:30:22,621 --> 00:30:24,556 外国商人が音をあげて➡ 340 00:30:24,556 --> 00:30:29,294 向こうから取り引きを申し入れてくるまで 焼き続けるんだ。 341 00:30:29,294 --> 00:30:33,799 買い控えを逆手に取り 売り控えるのか? 342 00:30:33,799 --> 00:30:40,005 そして その旨を新聞に載せ 世間に広く報せる。 343 00:30:41,540 --> 00:30:44,309 しかし こんな長ったらしい文の広告➡ 344 00:30:44,309 --> 00:30:46,311 我が「東京日日」でも載せたことがない。➡ 345 00:30:46,311 --> 00:30:48,647 社内で物議を醸す。 346 00:30:48,647 --> 00:30:52,150 (栗本鋤雲)物議を醸して何が悪い!➡ 347 00:30:52,150 --> 00:30:56,021 世論を動かしてこその ニュースペイパーだ! 348 00:30:56,021 --> 00:30:59,324 栗本さん! ハハハハハハ…。 349 00:30:59,324 --> 00:31:05,263 渋沢 徳川はパリで 新聞に泣かされた。 350 00:31:05,263 --> 00:31:09,000 しかし新聞には 世論を動かす力があり➡ 351 00:31:09,000 --> 00:31:14,272 その世論には 政府をも動かす力もあることを知った。 352 00:31:14,272 --> 00:31:17,275 今度は 外国を見返すのだ。 353 00:31:17,275 --> 00:31:19,945 (商人たち)おぉ。 354 00:31:19,945 --> 00:31:25,417 この広告 我が「郵便報知」が掲載する! 355 00:31:25,417 --> 00:31:28,320 ありがとうございます! 356 00:31:28,320 --> 00:31:31,623 なんと。 新聞へのパッションなら➡ 357 00:31:31,623 --> 00:31:33,959 俺とて 栗本さんに負けるわけにはいかぬ。 358 00:31:33,959 --> 00:31:35,894 「東京日日」も掲載しよう! 359 00:31:35,894 --> 00:31:40,832 おぉ 福地! 恩に着る! おう。 360 00:31:40,832 --> 00:31:43,969 焼き討ちだい…。 361 00:31:43,969 --> 00:31:46,671 焼き討ちだい。 362 00:31:49,641 --> 00:31:55,514 10年越しの… 俺たちの横浜焼き討ちだい! 363 00:31:55,514 --> 00:31:57,716 おう! 364 00:32:03,755 --> 00:32:08,593 「国の蚕種は 貿易上 最も大事な商品。➡ 365 00:32:08,593 --> 00:32:12,764 その衰退を挽回し 価値を保たねばならない。➡ 366 00:32:12,764 --> 00:32:17,402 そのためには 停滞した巨万の蚕卵紙を 一挙に買い上げ➡ 367 00:32:17,402 --> 00:32:23,608 全て焼き捨て 今後の禍根を断つ」。 368 00:32:23,608 --> 00:32:27,112 (商人)よ~し 積め! 369 00:32:27,112 --> 00:32:36,421 ♬~ 370 00:32:36,421 --> 00:32:38,356 どいた どいた~! 371 00:32:38,356 --> 00:32:45,430 ♬~ 372 00:32:45,430 --> 00:33:02,914 ♬~ 373 00:33:19,297 --> 00:33:24,135 燃えろ! どんどん燃えろ! 374 00:33:24,135 --> 00:33:45,957 ♬~ 375 00:33:45,957 --> 00:33:49,761 (惇忠)天まで届きそうな炎だ…。 376 00:33:52,297 --> 00:33:54,799 見てるか…。 377 00:33:54,799 --> 00:34:00,605 真田 長七郎 平九郎。 378 00:34:00,605 --> 00:34:23,828 ♬~ 379 00:34:23,828 --> 00:34:29,601 ♬「どちらが長いか 子の日の小松」 380 00:34:29,601 --> 00:34:36,107 ♬「どちらが長いか 子の日の小松」 381 00:34:36,107 --> 00:34:39,945 でっかくなったのう。 ハハハ…。 382 00:34:39,945 --> 00:34:42,414 何だか 毎日があっという間だい。 383 00:34:42,414 --> 00:34:46,952 えぇ。 今年もよい年にいたしましょうね。 384 00:34:46,952 --> 00:34:50,288 うむ。 385 00:34:50,288 --> 00:34:53,291 (おはる)旦那様 お客様が…。 386 00:34:56,161 --> 00:34:59,631 明けましておめでとうございます! 387 00:34:59,631 --> 00:35:01,900 三野村さん? 388 00:35:01,900 --> 00:35:04,369 え~… ここ! 389 00:35:04,369 --> 00:35:06,304 えっ そこじゃないんだけど。 390 00:35:06,304 --> 00:35:08,606 左目 左目…。 391 00:35:11,076 --> 00:35:13,011 こう。 こうか… こうだ。 はい。 392 00:35:13,011 --> 00:35:15,246 口。 口。これが口? 393 00:35:15,246 --> 00:35:17,749 違う! そうじゃない! 394 00:35:17,749 --> 00:35:19,684 ん? ん? ん? 395 00:35:19,684 --> 00:35:22,253 なんてこった。 396 00:35:22,253 --> 00:35:26,257 みんな すっかり 懐いちまってるじゃねぇか。 397 00:35:26,257 --> 00:35:31,262 三野村様は 亡くなられた 先の勘定奉行様のお子様も➡ 398 00:35:31,262 --> 00:35:33,264 お育てだそうですよ。 399 00:35:33,264 --> 00:35:38,136 先の勘定奉行… 小栗様か? なぜ!? 400 00:35:38,136 --> 00:35:44,809 (千代)もとは小栗家の奉公人だったのを 小栗様に 理財の才を見いだされ➡ 401 00:35:44,809 --> 00:35:49,948 それで 三井とご縁が出来たのだと。 402 00:35:49,948 --> 00:35:53,251 しめしめ。 子供に勝てたぞ…。 403 00:35:56,621 --> 00:36:01,126 まことに 人は一面ではねぇのう。 404 00:36:10,735 --> 00:36:15,607 横浜を よう纏めたと 大久保さんが感謝しとったど。 405 00:36:15,607 --> 00:36:18,910 そういうのは じかに言ってもらいてぇもんだ。 406 00:36:18,910 --> 00:36:20,945 あ それに 五代さんこそ。 407 00:36:20,945 --> 00:36:23,748 大久保さんと木戸さんの仲を取り持って➡ 408 00:36:23,748 --> 00:36:26,651 政府を纏めたのは 五代さんだと聞きましたぞ。 409 00:36:26,651 --> 00:36:31,489 あぁ。 おいは 大阪で碁の会を開いただけじゃ。 410 00:36:31,489 --> 00:36:34,459 ハハハ…。 あなたも不思議なお人だ。 411 00:36:34,459 --> 00:36:39,097 しかし 萩や鹿児島では いよいよ挙兵しそうだとか。 412 00:36:39,097 --> 00:36:42,600 今 戦が始まれば いよいよ政府は転覆するんでねぇか。 413 00:36:42,600 --> 00:36:45,270 戦なんかに 金や時を使ってる場合じゃねぇぞ。 414 00:36:45,270 --> 00:36:49,607 しかし 戦は 我ら商人にとって好機でもあります。 415 00:36:49,607 --> 00:36:52,644 三菱は 既に てぐすね引いて待っているとか。 416 00:36:52,644 --> 00:36:58,316 (福地)そうなれば いよいよ俺は 自ら戦地に赴き 記事を書こう。 417 00:36:58,316 --> 00:37:00,552 まぁた お前は…。 418 00:37:00,552 --> 00:37:05,356 お! 懐かしい。 「論語」でねぇか。 419 00:37:05,356 --> 00:37:07,659 あぁ ハハハハ…。 420 00:37:09,227 --> 00:37:13,098 今までの俺の働きは まあ何やかんやと➡ 421 00:37:13,098 --> 00:37:18,369 一橋や公儀や政府に守られていた。 422 00:37:18,369 --> 00:37:22,907 しかし 今や俺が頭取だ。 423 00:37:22,907 --> 00:37:27,579 これからは 俺自らが 多くの者の命運を引き受け➡ 424 00:37:27,579 --> 00:37:33,785 でっけぇ海を渡るんだと考えたら 急にゾッとしたんだい。 425 00:37:38,923 --> 00:37:41,826 それで この「論語」だ。 426 00:37:41,826 --> 00:37:48,266 「論語」には 己を修め 人に交わる常日頃の教えが説いてある。 427 00:37:48,266 --> 00:37:53,138 俺は この「論語」を胸に 商いの世を闘いてぇ。 428 00:37:53,138 --> 00:37:55,773 ふ~ん。 429 00:37:55,773 --> 00:37:59,611 まことに奥様は 目利きでいらっしゃる。 430 00:37:59,611 --> 00:38:01,579 あ… いいえ。 431 00:38:01,579 --> 00:38:06,217 絵もね 道具も 見かけ倒しのものはなく➡ 432 00:38:06,217 --> 00:38:10,555 本当によいものだけが見抜けるようだ。 433 00:38:10,555 --> 00:38:14,359 いいえ。 好みに合う 丈夫なものを選んでいるだけです。 434 00:38:14,359 --> 00:38:17,729 いやいや。 目利きがね 選んだだけ…。 435 00:38:17,729 --> 00:38:20,565 三野村さん。 あ… あ? 436 00:38:20,565 --> 00:38:22,500 こっちで共に飲みませんか。 437 00:38:22,500 --> 00:38:25,069 ありがとうございます… ちょいと控えておりまして。 438 00:38:25,069 --> 00:38:27,739 あぁ そうですか。 439 00:38:27,739 --> 00:38:31,376 三井銀行開業 おめでとうございます。 440 00:38:31,376 --> 00:38:34,746 あぁ いやいや いやいや… ありがとうございます。 441 00:38:34,746 --> 00:38:41,085 いや~ 三井も ようやく 日本初の私立銀行をこさえまして。 442 00:38:41,085 --> 00:38:43,988 私もこれで 悔いなく死ねます。 443 00:38:43,988 --> 00:38:48,760 また そんなことを。 ハハハハハ…。 444 00:38:48,760 --> 00:38:54,098 しかし… 小栗様が 今の世をご覧になったら➡ 445 00:38:54,098 --> 00:38:56,034 どうお思いでしょうな。 446 00:38:56,034 --> 00:39:01,339 小栗様は カンパニーも紙幣もバンクも➡ 447 00:39:01,339 --> 00:39:05,543 小栗様は 10年前に 作ろうとなさっていらした。 448 00:39:05,543 --> 00:39:10,348 今更作ったのかと お笑いになっているやもしれませんね。 449 00:39:10,348 --> 00:39:15,220 ハハハハハハ… そうかもしれませんな。 450 00:39:15,220 --> 00:39:19,057 ただ怖いのはね 渋沢様。 451 00:39:19,057 --> 00:39:25,263 あまりにも 金中心の世の中に なってきたってことですよ。 452 00:39:27,565 --> 00:39:30,235 (三野村)金を卑しむ武士の世が終わり➡ 453 00:39:30,235 --> 00:39:34,572 今や 誰もが金を崇拝し始めちまっている。 454 00:39:34,572 --> 00:39:36,874 金だ 金だ 金だ…。 455 00:39:41,446 --> 00:39:50,121 こりゃ あたしら 開けてはならぬ扉を 開けちまったかもしれませんぜ。 456 00:39:50,121 --> 00:39:52,957 フン…。 457 00:39:52,957 --> 00:39:57,962 さぁて どんな世になりますかねぇ。 458 00:40:02,267 --> 00:40:04,769 存分に励んでください。 459 00:40:06,271 --> 00:40:11,943 どうも 改めまして うちの益田が…。 460 00:40:11,943 --> 00:40:22,587 ♬~ 461 00:40:22,587 --> 00:40:29,894 翌年 三野村利左衛門は 病で亡くなりました。 462 00:40:47,145 --> 00:40:49,647 西郷様…。 463 00:40:51,649 --> 00:40:55,520 (西郷隆盛)チェスト! ハハハハ…。 464 00:40:55,520 --> 00:41:07,131 ♬~ 465 00:41:07,131 --> 00:41:10,134 なんとバカらしい! 466 00:41:21,412 --> 00:41:28,119 かぁ~ 戦争とは なんと多くの金が動くことか。 467 00:41:28,119 --> 00:41:34,792 あ~ 巨万の利を得た上に 大久保や大隈からの信頼は…。 468 00:41:34,792 --> 00:41:38,663 (岩崎弥之助)兄さん! 兄さん! 469 00:41:38,663 --> 00:41:41,966 大変じゃ。 何じゃ? 470 00:41:41,966 --> 00:41:45,436 大久保卿が 殺されたと。➡ 471 00:41:45,436 --> 00:41:52,143 不平士族に襲われて めった刺しにされたと! 472 00:41:52,143 --> 00:41:54,178 はぁ!? 473 00:41:54,178 --> 00:41:57,015 (笑い声) 474 00:41:57,015 --> 00:42:10,261 ♬~ 475 00:42:10,261 --> 00:42:17,935 日本は 新しい時代に向けて 歩み始めました。 476 00:42:17,935 --> 00:42:22,140 (行員たち)行ってらっしゃいませ。 477 00:42:24,108 --> 00:42:28,813 (三野村) さぁて どんな世になりますかねぇ。 478 00:42:30,615 --> 00:42:33,651 貧しい者が多いのは政治のせいだ。 479 00:42:33,651 --> 00:42:36,421 是非 民の声を。 民の声…。 480 00:42:36,421 --> 00:42:39,957 経済には勝つ者と 負ける者がある。 481 00:42:39,957 --> 00:42:41,893 見損ないましたよ! 482 00:42:41,893 --> 00:42:43,828 痛かったら泣いてもいいんだ。 483 00:42:43,828 --> 00:42:45,830 きっと いい世にしておくれよ。 484 00:42:45,830 --> 00:42:49,300 欲のあるき人間が前進する。 485 00:42:49,300 --> 00:42:55,306 才覚のある者同士で この国を動かすがじゃき。