1 00:00:01,871 --> 00:00:05,374 その つま先に 接吻したかったが 2 00:00:05,374 --> 00:00:08,874 それすら 許されないのは わかっていた」。 3 00:00:10,863 --> 00:00:12,863 う~ん…。 4 00:00:14,884 --> 00:00:19,188 (榎村/女性)「そして お前は やっと知るのだろう」。 5 00:00:19,188 --> 00:00:22,375 ムチも 傷も 痛みも…。 6 00:00:22,375 --> 00:00:25,544 (榎村/女性)「どれほど 愛に満ちていたかと…」。 7 00:00:25,544 --> 00:00:33,853 ♪~ 8 00:00:33,853 --> 00:00:35,888 「嫌です。 9 00:00:35,888 --> 00:00:39,542 見放さないで 懇願します…」。 10 00:00:39,542 --> 00:00:42,242 (玄関チャイム) 11 00:00:50,986 --> 00:00:53,389 どうも~ トラネコ宅配便で~す! 12 00:00:53,389 --> 00:00:55,708 鬼女島くん! 鬼女島です! 13 00:00:55,708 --> 00:00:59,061 今日は 何ですか? 千葉からみたいですけど…。 14 00:00:59,061 --> 00:01:01,063 九十九里といえば? 15 00:01:01,063 --> 00:01:03,566 え~。 16 00:01:03,566 --> 00:01:05,566 サーフィンですか? 17 00:01:08,387 --> 00:01:10,556 あ あ… あれ…? 18 00:01:10,556 --> 00:01:14,543 《九十九里といえば… サーディンだろ! 19 00:01:14,543 --> 00:01:18,714 刺身や なめろう 南蛮漬けに つみれ。 20 00:01:18,714 --> 00:01:21,550 無限の可能性を持つ イワシという食材。 21 00:01:21,550 --> 00:01:23,886 しかし 怒とうの締め切りで 22 00:01:23,886 --> 00:01:26,255 疲弊しきった この体が 欲しているのは 23 00:01:26,255 --> 00:01:28,391 深く 濃ゆい一品! 24 00:01:28,391 --> 00:01:30,876 それが これだ! 25 00:01:30,876 --> 00:01:34,176 留蔵の プレミアムオイルサーディン!》 26 00:01:37,550 --> 00:01:39,552 《年に 数回しか取れない 27 00:01:39,552 --> 00:01:42,037 九十九里近海の 真イワシを 使っているだけあって 28 00:01:42,037 --> 00:01:45,237 大きさも形も 実に立派だ!》 29 00:01:47,393 --> 00:01:50,880 《あぁ… 国産唐辛子と自家製ハーブ。 30 00:01:50,880 --> 00:01:54,880 そして ニンニクの刺激的な香りが なんとも 食欲をそそる!》 31 00:01:56,886 --> 00:01:58,871 《あ~ いかん いかん…。 32 00:01:58,871 --> 00:02:00,873 そのまま食べても もちろん うまいだろうが 33 00:02:00,873 --> 00:02:05,711 今日は 熱く 刺激的な逸品が食べたい!》 34 00:02:05,711 --> 00:02:12,885 (バイブ音) 35 00:02:12,885 --> 00:02:14,887 《キタ キタ キター!》 (トースターの終了音) 36 00:02:14,887 --> 00:02:16,887 はぁ…。 37 00:02:18,874 --> 00:02:20,874 あっつ! 38 00:02:32,538 --> 00:02:36,876 《お~ 舌の上で じわっとあふれる イワシの風味! 39 00:02:36,876 --> 00:02:40,062 ほろっと崩れる イワシの食感。 40 00:02:40,062 --> 00:02:42,414 身が ぎゅっと詰まっていて 41 00:02:42,414 --> 00:02:46,202 口腔内の満足度が… すごい! 42 00:02:46,202 --> 00:02:50,556 そして この苦みこそ イワシ料理の だいご味! 43 00:02:50,556 --> 00:02:52,591 苦手な人も 多いだろうが 44 00:02:52,591 --> 00:02:56,629 下処理も すべて職人が丁寧に行い 雑みと臭みを なくしたうえで 45 00:02:56,629 --> 00:03:00,716 堪能できる この苦みは まさに 大人のぜいたくだ》 46 00:03:00,716 --> 00:03:05,871 あ~っ 大満足! 47 00:03:05,871 --> 00:03:10,376 《作家というのは とかく 家を出ない生き物である。 48 00:03:10,376 --> 00:03:13,712 そんな人間を 家に いながらにして 49 00:03:13,712 --> 00:03:17,600 時には大自然へ 時には大都会へ 50 00:03:17,600 --> 00:03:21,871 そして時には… 地球の裏側にまで 連れていってくれる 51 00:03:21,871 --> 00:03:24,890 究極の娯楽がある。 52 00:03:24,890 --> 00:03:26,876 それこそが…》 53 00:03:26,876 --> 00:03:28,876 おとりよせだ! 54 00:04:33,893 --> 00:04:36,962 (岩石)榎村先生 原稿 届きました~。 55 00:04:36,962 --> 00:04:39,281 いつも 締め切り 守ってくださって 56 00:04:39,281 --> 00:04:41,317 感謝です。 57 00:04:41,317 --> 00:04:43,202 作家として 当然です。 58 00:04:43,202 --> 00:04:46,872 たとえ どんな ムチャな締め切りを 設定されたとしてもね。 59 00:04:46,872 --> 00:04:49,291 さすがです~。 60 00:04:49,291 --> 00:04:51,894 たとえ 引っ越して 1か月たっても 61 00:04:51,894 --> 00:04:53,862 近隣に 挨拶にも行けないほど 62 00:04:53,862 --> 00:04:55,881 ムチャな 締め切りだったとしてもです。 63 00:04:55,881 --> 00:04:57,883 それで 本題なんですが…。 64 00:04:57,883 --> 00:05:02,538 あぁ… 週末の サイン会のことでしょ? 65 00:05:02,538 --> 00:05:05,224 いや 別件なんですけど~。 66 00:05:05,224 --> 00:05:08,711 そうですか… なんでしょう? 67 00:05:08,711 --> 00:05:13,365 先生に 漫画原作のお話が来てまして。 68 00:05:13,365 --> 00:05:15,884 いや… さっきの話 聞いてました? 69 00:05:15,884 --> 00:05:18,370 今で 手いっぱいです! そうですか…。 70 00:05:18,370 --> 00:05:23,876 作画候補の漫画家さんも かなり 乗り気なんですが…。 71 00:05:23,876 --> 00:05:28,213 漫画家? はい 中田みるく先生です。 72 00:05:28,213 --> 00:05:33,218 中田… みるく? 73 00:05:33,218 --> 00:05:36,889 ご存じないですかね? うちの漫画誌の看板の。 74 00:05:36,889 --> 00:05:38,891 中田みるく!? 75 00:05:38,891 --> 00:05:43,412 えっ あっ ちょ ちょ ちょ…。 76 00:05:43,412 --> 00:05:46,298 よければ 一度 顔合わせだけでも…。 77 00:05:46,298 --> 00:05:49,401 顔合わせ… ハッ! 78 00:05:49,401 --> 00:05:52,071 《まさか… 中田みるく先生への 79 00:05:52,071 --> 00:05:54,223 献上品を おとりよせできる日がくるとは…。 80 00:05:54,223 --> 00:05:56,592 やはり ここは 甘いもの… 気になっていた ワッフルか? 81 00:05:56,592 --> 00:05:58,577 あっ いや でも 82 00:05:58,577 --> 00:06:00,696 この前 頼んだ フルーツ大福も よかったな》 83 00:06:00,696 --> 00:06:02,665 もしもし? 《定番のイチゴもいいが 84 00:06:02,665 --> 00:06:04,900 キウイやビワも なかなか うまそうだ。 85 00:06:04,900 --> 00:06:07,886 いや 待て… でも どちらも 食べにくくはないか? 86 00:06:07,886 --> 00:06:10,406 慎重に選べ 慎重に!》 87 00:06:10,406 --> 00:06:23,952 ♪~ 88 00:06:23,952 --> 00:06:25,952 はい。 89 00:06:31,060 --> 00:06:33,078 どうもありがとう。 90 00:06:33,078 --> 00:06:35,614 《いよいよ 明日だ…。 91 00:06:35,614 --> 00:06:38,614 明日 会える… 中田みるくに…》 92 00:06:44,373 --> 00:06:46,875 《艶やかに流れる髪。 93 00:06:46,875 --> 00:06:49,795 大きな目に 小さな鼻。 94 00:06:49,795 --> 00:06:53,916 控えめで はかなげなほほ笑み》 95 00:06:53,916 --> 00:06:55,901 お名前は? 96 00:06:55,901 --> 00:07:00,723 《そして 何より あの肉感的 抜群プロポーション。 97 00:07:00,723 --> 00:07:02,725 胸元の 3つのほくろが 98 00:07:02,725 --> 00:07:05,894 ひときわに 至高の官能…。 99 00:07:05,894 --> 00:07:11,283 あれこそ 俺の理想そのもの…》 100 00:07:11,283 --> 00:07:13,302 どうもありがとう。 ありがとうございます。 101 00:07:13,302 --> 00:07:15,320 お願いしま~す。 102 00:07:15,320 --> 00:07:17,239 お名前は? 103 00:07:17,239 --> 00:07:20,692 《いや… 中田みるくは 俺の神 104 00:07:20,692 --> 00:07:22,694 女神なのだ! 105 00:07:22,694 --> 00:07:25,894 その女神に ついに 明日…!》 106 00:07:27,883 --> 00:07:30,052 中田みるくです。 107 00:07:30,052 --> 00:07:32,952 中田み…。 108 00:07:35,908 --> 00:07:37,908 中田? 109 00:07:46,385 --> 00:07:48,385 お名前は? 110 00:07:50,355 --> 00:07:53,876 中田… みるくです。 111 00:07:53,876 --> 00:08:04,937 ♪~ 112 00:08:04,937 --> 00:08:06,937 中田…。 113 00:08:08,974 --> 00:08:11,274 中田みるくです。 114 00:08:17,583 --> 00:08:19,618 オッサンじゃねえか! 115 00:08:19,618 --> 00:08:22,704 あっ 中田先生! 顔合わせは明日ですよ! 116 00:08:22,704 --> 00:08:24,857 うん… サプライズしたかったんだけど…。 117 00:08:24,857 --> 00:08:27,259 君は… 誰だ! 118 00:08:27,259 --> 00:08:31,196 あっ 中田みるく先生の担当編集 稲本です。 119 00:08:31,196 --> 00:08:34,683 あっ 明日の顔合わせメンバー そろっちゃいましたね。 120 00:08:34,683 --> 00:08:38,237 あっ じゃあ いっそ このあと 打ち合わせ いかがですか? 121 00:08:38,237 --> 00:08:40,437 はぁ? 122 00:08:42,925 --> 00:08:44,893 このたび 弊社から 123 00:08:44,893 --> 00:08:48,547 新感覚アンビバレンツ コミックマガジン 『クロフネ ターボ』が 124 00:08:48,547 --> 00:08:50,549 創刊されることになりまして。 125 00:08:50,549 --> 00:08:53,185 そこでですね ビジュアルイメージの 126 00:08:53,185 --> 00:08:57,856 強い作風を お持ちの官能小説家 榎村先生に 原作を。 127 00:08:57,856 --> 00:09:00,209 (稲本) そして 美少女キャラを描いたら 128 00:09:00,209 --> 00:09:04,279 当代随一の漫画家 中田先生に 作画を お願いして 129 00:09:04,279 --> 00:09:06,365 夢のコラボを。 実現して 130 00:09:06,365 --> 00:09:09,201 『クロフネ ターボ』の看板作品を 生み出してほしいんでしょ? 131 00:09:09,201 --> 00:09:11,537 それは もう聞きました。 いかがでしょう? 132 00:09:11,537 --> 00:09:13,872 いかがでしょう ってね… やるわけないでしょ! 133 00:09:13,872 --> 00:09:15,858 どうしてです? 134 00:09:15,858 --> 00:09:19,027 ウソをつくような人とは 仕事はできません。 135 00:09:19,027 --> 00:09:21,864 ウソ? えぇ オッサ…。 136 00:09:21,864 --> 00:09:26,935 はぁ~ 男性 なのに 女性だとウソをつくような人とは…。 137 00:09:26,935 --> 00:09:29,188 今 オッサンって 言おうとしましたよね? 138 00:09:29,188 --> 00:09:33,208 はぁ? してませんが。 してました! ひどい…。 139 00:09:33,208 --> 00:09:37,362 なんで そんな… 一度ならず 二度までも…。 140 00:09:37,362 --> 00:09:39,698 ひどすぎる~! いったい どんなキャラなんだ! 141 00:09:39,698 --> 00:09:43,218 正直 戸惑う! 中田先生は フェミニン男子なんです! 142 00:09:43,218 --> 00:09:47,289 雰囲気は 中性的ですけど 中身は 女王様に罵られたい 143 00:09:47,289 --> 00:09:49,708 まっとうな中年男性です! それは まっとうとは言わない! 144 00:09:49,708 --> 00:09:51,693 だいたい なんで私が ウソをつかないといけないんですか。 145 00:09:51,693 --> 00:09:53,695 ウソでしょ 立派な! 146 00:09:53,695 --> 00:09:56,064 こちとら キツネに つままれたような気分ですよ。 147 00:09:56,064 --> 00:09:58,617 もはや 絶望です! ずいぶん 大げさね! 148 00:09:58,617 --> 00:10:00,886 大げさじゃない! 149 00:10:00,886 --> 00:10:02,871 中田みるくといえば 150 00:10:02,871 --> 00:10:06,375 キャラクター造形と 絵柄の完成度が高い 151 00:10:06,375 --> 00:10:08,360 萌え度限界突破作品を描く 逸材でありながら 152 00:10:08,360 --> 00:10:10,379 何より この 153 00:10:10,379 --> 00:10:12,431 この… 見ろ! この! 154 00:10:12,431 --> 00:10:14,433 かわいげで はかなげな 155 00:10:14,433 --> 00:10:16,368 著者近影イラスト! 156 00:10:16,368 --> 00:10:18,370 萌え系っていったら 157 00:10:18,370 --> 00:10:21,273 だいたい さえない野郎が 描いているのが 相場なところを 158 00:10:21,273 --> 00:10:24,526 てっきり 中田みるくだけは 一輪のエーデルワイスだと信じて…。 159 00:10:24,526 --> 00:10:26,545 えっ!? 160 00:10:26,545 --> 00:10:28,530 それなのに! 161 00:10:28,530 --> 00:10:30,699 相場 そのまんまの オッサンが出てきて! 162 00:10:30,699 --> 00:10:32,701 今度は はっきり言った! 163 00:10:32,701 --> 00:10:35,037 俺の夢は 踏みにじられ 希望は 握りつぶされ 164 00:10:35,037 --> 00:10:37,089 ユートピアは 消滅した! 165 00:10:37,089 --> 00:10:39,124 俺の 中田みるくを返せ! 166 00:10:39,124 --> 00:10:42,878 大ファンだったんですね! こっちだってね! 167 00:10:42,878 --> 00:10:46,882 退廃的で たん美的な 官能小説を書く 榎村遥華は 168 00:10:46,882 --> 00:10:51,036 鬼才でクールだと思っていたのに こんなに失礼で 小うるさくて 169 00:10:51,036 --> 00:10:54,206 夢見がちな 変態オタク野郎だとは 思ってもなかったわ! 170 00:10:54,206 --> 00:10:56,208 言い過ぎだ! 仮にも 自分のファンだぞ! 171 00:10:56,208 --> 00:11:00,362 榎村遥華の書く 女王様キャラに ず~っと 毎日 想像して 172 00:11:00,362 --> 00:11:02,364 あ~ こんな目に 173 00:11:02,364 --> 00:11:06,518 殺されたいって ず~っと 願い続けてきたのに…。 174 00:11:06,518 --> 00:11:10,205 ハッ! 私が バカだった そんな私が バカだった! 175 00:11:10,205 --> 00:11:12,874 お二人 両思いだったんですね~。 176 00:11:12,874 --> 00:11:14,874 ちょっと その言い方 やめてくれる! 177 00:11:16,878 --> 00:11:22,301 あっ! また あれですか~? 178 00:11:22,301 --> 00:11:24,202 えぇ まあ そちらの方に 179 00:11:24,202 --> 00:11:27,189 ご挨拶がてら 皆さんで 食べてもらおうかなと思って…。 180 00:11:27,189 --> 00:11:29,875 まさか! 181 00:11:29,875 --> 00:11:33,028 おとりよせですか? 182 00:11:33,028 --> 00:11:35,030 ええ まあ…。 183 00:11:35,030 --> 00:11:37,049 んっ? 184 00:11:37,049 --> 00:11:39,418 栗? ええ。 185 00:11:39,418 --> 00:11:45,040 殻付きの… 甘栗です。 186 00:11:45,040 --> 00:11:48,860 この場に 殻付き甘栗? 187 00:11:48,860 --> 00:11:50,862 ハハハハ…! フフフ… 何か? 188 00:11:50,862 --> 00:11:54,032 いいえ… 初対面の場に 189 00:11:54,032 --> 00:11:57,419 あえて食べにくい 殻付き甘栗を 用意するなんて 190 00:11:57,419 --> 00:12:00,205 不思議な感性を お持ちだな~と 思っただけです! 191 00:12:00,205 --> 00:12:02,557 はぁ? あの~ 落ち着いて! 192 00:12:02,557 --> 00:12:06,211 もう一度 お話を…。 いえ その必要は ありません。 193 00:12:06,211 --> 00:12:10,911 やはり このお話は なかったことに! 194 00:13:51,883 --> 00:13:55,203 (玄関チャイム) 195 00:13:55,203 --> 00:13:58,373 あれ? 同じお菓子 6個ですか? 196 00:13:58,373 --> 00:14:01,693 ああ 引っ越しの挨拶で配る菓子だ。 197 00:14:01,693 --> 00:14:05,030 あと 明日の顔合わせ用に…。 198 00:14:05,030 --> 00:14:07,199 顔合わせ? 199 00:14:07,199 --> 00:14:10,368 あっ いや…。 200 00:14:10,368 --> 00:14:13,968 あっ… ちょっと待ってて。 あっ はい。 201 00:14:19,261 --> 00:14:21,313 はい。 202 00:14:21,313 --> 00:14:24,182 えっ? くれるんですか!? 203 00:14:24,182 --> 00:14:26,201 やった~! 204 00:14:26,201 --> 00:14:29,037 自分 タダで もらえるものが いっちばん好きです! 205 00:14:29,037 --> 00:14:34,359 あぁ… もう 必要ないからな。 206 00:14:34,359 --> 00:14:36,359 あっ ありがとうございました! 207 00:14:38,713 --> 00:14:42,400 アンタ 管理人の隣なんて やりにくいでしょ~? 208 00:14:42,400 --> 00:14:45,554 運の悪い男だね~! あぁ… そんなことは…。 209 00:14:45,554 --> 00:14:48,240 あぁ それより あの ご挨拶 遅れて すみません。 210 00:14:48,240 --> 00:14:50,225 あら ありがとう。 211 00:14:50,225 --> 00:14:53,612 運の悪い男ついでに 顔色も悪いよ~。 212 00:14:53,612 --> 00:14:56,548 ねぇ ほっそいけど ちゃんと食べてる? 213 00:14:56,548 --> 00:15:00,418 人に食べ物 配って歩いてる場合じゃないよ? 214 00:15:00,418 --> 00:15:02,954 ねぇ! まあ 今は 若いからいいけど…。 えぇ…。 215 00:15:02,954 --> 00:15:06,725 まあ そのうち ちょっ… あっ… そう若くもないか。 216 00:15:06,725 --> 00:15:12,380 アッハハハハハハ…! 217 00:15:12,380 --> 00:15:15,884 ハハハハハ…! [℡] 218 00:15:15,884 --> 00:15:17,886 あっ あれ? [℡] 219 00:15:17,886 --> 00:15:19,888 うち? あぁ たぶん はい…。 [℡] 220 00:15:19,888 --> 00:15:21,890 あっ うちか。 [℡] 221 00:15:21,890 --> 00:15:25,043 はいはいはい はい…。 [℡] 222 00:15:25,043 --> 00:15:28,230 (玄関チャイム) 223 00:15:28,230 --> 00:15:31,216 ≪は~い。 224 00:15:31,216 --> 00:15:34,916 ≪はい はい は~い。 もう 出ますよ~。 225 00:15:37,722 --> 00:15:40,041 (2人)うわぁ~! 226 00:15:40,041 --> 00:15:43,545 えっ? な 何の用ですか!? 昨日の謝罪か何か!? 227 00:15:43,545 --> 00:15:46,531 謝罪? なんで 俺が? じゃあ いったい 何!? 228 00:15:46,531 --> 00:15:51,369 引っ越しの ご挨拶だ! はっ? 229 00:15:51,369 --> 00:15:54,873 隣に越してきた 榎村だ! 230 00:15:54,873 --> 00:15:57,392 はぁ!? 231 00:15:57,392 --> 00:15:59,911 挨拶の品だ。 いらないよ。 232 00:15:59,911 --> 00:16:01,913 受け取れ! いらないってば! 233 00:16:01,913 --> 00:16:04,549 これは 本来なら 今日 行うはずだった 234 00:16:04,549 --> 00:16:07,235 おたくとの顔合わせ用に 用意したものだ! 235 00:16:07,235 --> 00:16:09,235 あっ そう。 あっ ちょちょちょ…! 236 00:16:11,222 --> 00:16:13,241 この 琥珀という菓子はな 237 00:16:13,241 --> 00:16:15,243 1946年に 京都で創業し 238 00:16:15,243 --> 00:16:18,380 以来 数々の賞も受賞してきた 老舗中の老舗 239 00:16:18,380 --> 00:16:20,565 永楽屋の看板商品 かつ 人気商品なんだ! 240 00:16:20,565 --> 00:16:24,052 今まで おとりよせしてきた 何百といえるスイーツの中から 241 00:16:24,052 --> 00:16:26,221 厳選に厳選を重ねた一品だ! 242 00:16:26,221 --> 00:16:28,540 何百って… ずいぶん 大げさじゃない。 243 00:16:28,540 --> 00:16:31,109 だから 大げさじゃない! 244 00:16:31,109 --> 00:16:33,895 おたくも 少々 おとりよせを かじっているようだが 245 00:16:33,895 --> 00:16:36,231 その程度で でかい顔をされちゃ 困る! 246 00:16:36,231 --> 00:16:38,266 いや 別に してないけど。 247 00:16:38,266 --> 00:16:42,721 俺は おとりよせ歴 11年だが おたくは? 248 00:16:42,721 --> 00:16:45,223 5年くらいだけど…。 ハッハッ…。 249 00:16:45,223 --> 00:16:47,892 俺は ひと品 選ぶのに 映画1本分の時間を費やすが 250 00:16:47,892 --> 00:16:49,894 おたくは? 251 00:16:49,894 --> 00:16:52,247 10分くらいだけど。 カァーッ。 252 00:16:52,247 --> 00:16:55,283 俺は 初めての原稿料で おとりよせしたが 253 00:16:55,283 --> 00:16:58,536 おたくは 何を買った? 254 00:16:58,536 --> 00:17:00,555 本だけど。 255 00:17:00,555 --> 00:17:03,191 ほらな 歴然とした差だ! 熱量が違う! 256 00:17:03,191 --> 00:17:06,711 ふ~ん で? 昨日の甘栗 どうしたの? 257 00:17:06,711 --> 00:17:09,864 んっ? いや ちゃっかり 持って帰ってたけど 258 00:17:09,864 --> 00:17:11,866 どうだったの? 259 00:17:11,866 --> 00:17:16,388 いや…。 えっ? まだ 食べてないの? 260 00:17:16,388 --> 00:17:21,376 えっ? まさか…。 261 00:17:21,376 --> 00:17:23,595 そのまま 腐らせるつもり? 262 00:17:23,595 --> 00:17:25,964 それは…。 あぁ… そんなふうに 263 00:17:25,964 --> 00:17:28,233 作り手の思いを むげにしといて 264 00:17:28,233 --> 00:17:31,720 偉そうに おとりよせのこと 語ってほしくないんだけど! 265 00:17:31,720 --> 00:17:35,707 あの あの甘栗を作ってる 林万昌堂さんはね 266 00:17:35,707 --> 00:17:38,193 とことん 素材にこだわって 吟味して吟味して 267 00:17:38,193 --> 00:17:41,046 一粒一粒 愛を込めて 仕上げてんの! 268 00:17:41,046 --> 00:17:43,531 誠実を売り 信頼を得る っていう 社長さんの言葉に 269 00:17:43,531 --> 00:17:45,533 ここが 響いたのよ! 270 00:17:45,533 --> 00:17:47,535 どんだけ 賞をとってるかも 271 00:17:47,535 --> 00:17:49,521 そりゃ 確かに 大事かもしれないけど 272 00:17:49,521 --> 00:17:51,873 作り手の思いだって だ…。 273 00:17:51,873 --> 00:17:55,877 作り手の思いだって だ…。 なぜ 泣く! 274 00:17:55,877 --> 00:18:01,266 作り手の思いだって 大事でしょ… 私が うっ…。 275 00:18:01,266 --> 00:18:03,868 私が うぅ…。 276 00:18:03,868 --> 00:18:06,371 な… なんだ? 277 00:18:06,371 --> 00:18:09,424 私が 泣かされたいのは 278 00:18:09,424 --> 00:18:11,693 女王様にだけ…。 279 00:18:11,693 --> 00:18:16,893 うっ うぅ…。 280 00:20:56,908 --> 00:20:59,908 おとりよせに 罪はないよね~。 281 00:21:05,884 --> 00:21:09,384 《永楽屋の 琥珀 柚子》 282 00:21:18,396 --> 00:21:20,398 《んっ? 283 00:21:20,398 --> 00:21:25,069 この箱 1枚の紙を 折り紙みたいに 折ってるんだ。 284 00:21:25,069 --> 00:21:27,238 細部まで楽しめる工夫。 285 00:21:27,238 --> 00:21:29,938 おもてなしの心だ》 286 00:21:31,910 --> 00:21:37,282 《林万昌堂の… 木箱入り甘栗。 287 00:21:37,282 --> 00:21:39,317 確かに この特別感は 288 00:21:39,317 --> 00:21:43,017 人に もらうことで より 増すのかもしれない》 289 00:21:44,889 --> 00:21:47,225 《かなりの 大粒だな…。 290 00:21:47,225 --> 00:21:49,377 それに 量も多い》 291 00:21:49,377 --> 00:21:52,880 (においを嗅ぐ声) 292 00:21:52,880 --> 00:21:54,916 《甘く こうばしい香り。 293 00:21:54,916 --> 00:21:56,901 これは 294 00:21:56,901 --> 00:21:59,070 出来たてで 箱詰めしているからこそ 295 00:21:59,070 --> 00:22:01,970 閉じ込めることができる香りだ》 296 00:22:06,978 --> 00:22:09,747 きれい…。 297 00:22:09,747 --> 00:22:13,134 《ガラス細工みたいに ほんのり 透き通ってて 298 00:22:13,134 --> 00:22:17,422 本当に 宝石の琥珀みたい》 299 00:22:17,422 --> 00:22:19,422 いただきます。 300 00:22:26,898 --> 00:22:28,883 《んっ? 301 00:22:28,883 --> 00:22:32,920 寒天の周りを 砂糖で コーティングしてるの? 302 00:22:32,920 --> 00:22:35,056 サクッとした表面の歯触りに 303 00:22:35,056 --> 00:22:38,076 滑らかな寒天の舌触りが 最高! 304 00:22:38,076 --> 00:22:40,078 まるで シーンによって 305 00:22:40,078 --> 00:22:42,547 タッチが変わるような 美しい構成力。 306 00:22:42,547 --> 00:22:44,582 そして なんといっても 307 00:22:44,582 --> 00:22:46,751 口の中に 目いっぱい広がる 308 00:22:46,751 --> 00:22:50,251 柚子 柚子 柚子!》 309 00:22:52,540 --> 00:22:54,540 《んっ?》 310 00:22:56,711 --> 00:22:59,213 《これで 殻を割るのか…》 311 00:22:59,213 --> 00:23:09,557 ♪~ 312 00:23:09,557 --> 00:23:11,909 《スルスルむける この高揚感は 313 00:23:11,909 --> 00:23:15,046 まるで 女の服を脱がす快感と…。 314 00:23:15,046 --> 00:23:17,946 あ~ いやいや違う違う なんでもない!》 315 00:23:20,868 --> 00:23:22,868 完璧だ…。 316 00:23:26,557 --> 00:23:30,211 《栗そのものの 自然な風味が 鼻に抜けて 317 00:23:30,211 --> 00:23:32,880 まろやかなうまみと 上品な甘み 318 00:23:32,880 --> 00:23:34,882 そして パサパサ感がなく 319 00:23:34,882 --> 00:23:38,870 しっとりとした食感が 舌を 優しく包み込んでくれる。 320 00:23:38,870 --> 00:23:43,057 何より 大粒ならではの食べ応えが 抜群だ! 321 00:23:43,057 --> 00:23:47,257 これは… 何個でもいけるぞ!》 322 00:23:55,870 --> 00:23:57,870 うん…。 323 00:24:06,514 --> 00:24:08,533 悔しいけど…。 324 00:24:08,533 --> 00:24:10,535 これは 確かに…。 325 00:24:10,535 --> 00:24:14,422 (2人)うまい! 326 00:24:14,422 --> 00:24:35,593 ♪~ 327 00:24:35,593 --> 00:24:37,912 ((俺は 初めての原稿料で おとりよせをしたが 328 00:24:37,912 --> 00:24:39,947 おたくは 何を買った? 329 00:24:39,947 --> 00:24:42,884 本だけど)) 330 00:24:42,884 --> 00:24:54,195 ♪~ 331 00:24:54,195 --> 00:24:57,495 あの見た目で これを 描いているとはな…。 332 00:25:02,386 --> 00:25:06,886 見た目だけじゃ その本質は わからないということか…。 333 00:25:08,876 --> 00:25:13,197 改めまして 今回のコラボに 関してですが…。 334 00:25:13,197 --> 00:25:15,550 断ったはずですが? そうですよ。 335 00:25:15,550 --> 00:25:18,069 今回は 無理だって言ったはずでしょう。 336 00:25:18,069 --> 00:25:20,204 《確かに 食の趣味はいいが 337 00:25:20,204 --> 00:25:22,373 それとこれとは 話が別だ》 338 00:25:22,373 --> 00:25:24,876 《まあ おとりよせのセンス なかなかだけどね。 339 00:25:24,876 --> 00:25:28,546 だからって コラボを受ける理由にはならない》 340 00:25:28,546 --> 00:25:30,715 (稲本)それが 編集長が 341 00:25:30,715 --> 00:25:32,884 お二人のコラボを 諦めきれないようで…。 342 00:25:32,884 --> 00:25:34,886 いやいや いや… 編集長とか言われても…。 343 00:25:34,886 --> 00:25:38,272 そうですよ 編集長に 出てきてもらったところで…。 344 00:25:38,272 --> 00:25:40,272 (ドアが開く音) 345 00:25:52,486 --> 00:25:55,072 ((ムチも 傷も 痛みも…。 346 00:25:55,072 --> 00:25:58,972 どれほど 愛に満ちていたかを…)) 347 00:26:04,148 --> 00:26:06,551 遅れて すみません。 348 00:26:06,551 --> 00:26:15,893 ♪~ 349 00:26:15,893 --> 00:26:21,032 編集長の 九堂今日子です。 350 00:26:21,032 --> 00:26:25,353 《理想的肉感ボディーが 動いている》 351 00:26:25,353 --> 00:26:30,041 《理想的女王様フェースが しゃべってる》 352 00:26:30,041 --> 00:26:34,195 『クロフネ ターボ』は 私の 念願の企画ですから 353 00:26:34,195 --> 00:26:41,369 今回は 編集長という立場を超えて お二人の コラボ作品に 354 00:26:41,369 --> 00:26:44,522 とことん 携わっていきたいと 思ってるんです。 355 00:26:44,522 --> 00:26:47,191 いち 編集者としても 356 00:26:47,191 --> 00:26:49,694 私 個人としても…。 357 00:26:49,694 --> 00:26:51,696 で 358 00:26:51,696 --> 00:26:55,099 本当に お受け いただけないのでしょうか? 359 00:26:55,099 --> 00:26:57,635 (稲本)あの~ 編集長。 360 00:26:57,635 --> 00:27:00,871 やはり お二人とも 今回のコラボは…。 361 00:27:00,871 --> 00:27:05,843 (2人)やります! えっ? 今 なんと!? 362 00:27:05,843 --> 00:27:07,843 (2人)やります!