1 00:01:27,463 --> 00:01:28,330 2 00:01:28,330 --> 00:01:42,344 ♬~ 3 00:01:42,344 --> 00:01:56,344 ♬~ 4 00:01:58,327 --> 00:02:05,334 ♬~ 5 00:02:05,334 --> 00:02:09,338 (千代の母) <元亀元年 織田さまの軍勢は➡ 6 00:02:09,338 --> 00:02:12,341 近江の浅井さまを姉川に破り➡ 7 00:02:12,341 --> 00:02:19,341 さしたる功名もない一豊さままで 200石から400石となりました> 8 00:02:22,351 --> 00:02:26,288 <ところが 続く城攻めでは➡ 9 00:02:26,288 --> 00:02:30,292 浅井勢の立てこもる小谷城を 攻めあぐね➡ 10 00:02:30,292 --> 00:02:34,292 そのまま1年が過ぎるという始末> 11 00:02:38,300 --> 00:02:51,313 ♬~ 12 00:02:51,313 --> 00:02:55,317 <一豊さまも出陣したきり➡ 13 00:02:55,317 --> 00:02:58,320 いつになったら 帰ってくるものやら➡ 14 00:02:58,320 --> 00:03:01,323 見当もつかぬという ありさまでございます> 15 00:03:01,323 --> 00:03:10,332 ♬~ 16 00:03:10,332 --> 00:03:15,337 (芳野)まあ 千代さま 「雀が すとんと転んだ」やなんて 17 00:03:15,337 --> 00:03:18,340 また たあいもないこと書きんさって 18 00:03:18,340 --> 00:03:21,343 それやったら もっと殿さまの➡ 19 00:03:21,343 --> 00:03:25,281 励みになるようなこと 書きんさったら どうやろうかねえ 20 00:03:25,281 --> 00:03:30,286 (千代)例えば どんなこと? そやねえ う~ん… 21 00:03:30,286 --> 00:03:36,292 まあ… 「一番乗りの先陣を 買って出るような心構えやないと 22 00:03:36,292 --> 00:03:40,296 名のある大将の首は 取れんがね」っていうような まあ 23 00:03:40,296 --> 00:03:43,299 そんな面白くもないこと 私は書きたくありません 24 00:03:43,299 --> 00:03:45,301 まあ… 25 00:03:45,301 --> 00:03:49,305 (千代)私が書きたいのは 皆が楽しくなるようなこと 26 00:03:49,305 --> 00:03:54,310 これを読んで 皆が たあいもなく 笑ってくれれば それでよいのです 27 00:03:54,310 --> 00:03:57,313 笑えば 家来たちの心が ひとつになります 28 00:03:57,313 --> 00:04:00,316 ひとつになって 一豊さまを助けてくれます 29 00:04:00,316 --> 00:04:04,320 そやけど そんな のんきなこと言っとっては 30 00:04:04,320 --> 00:04:10,320 いつまでたっても うちの殿さま ご出世なさらんと思いますわ 31 00:04:14,330 --> 00:04:17,330 (馬のいななき) 32 00:04:22,338 --> 00:04:27,276 (吉兵衛)なんじゃ 旦那さま また奥方に手紙を書いてるのか 33 00:04:27,276 --> 00:04:30,279 (新右衛門)男が綿々と 故郷に便りなど出さぬもんですぞ 34 00:04:30,279 --> 00:04:34,283 (一豊)お前たち 遊女を 求めに行ったのではなかったのか 35 00:04:34,283 --> 00:04:37,286 (新右衛門)いや それは そのつもりでござったが… 36 00:04:37,286 --> 00:04:41,286 (吉兵衛)途中で 思いがけぬ御仁に 出くわしましてな 37 00:04:43,292 --> 00:04:47,292 (女性)((吉兵衛 新右衛門 この私を見忘れたのですか?)) 38 00:04:49,298 --> 00:04:53,302 (小りん) ((伊右衛門さまは お元気?)) 39 00:04:53,302 --> 00:04:55,304 ((わりゃ 小りんではないか!)) 40 00:04:55,304 --> 00:04:59,308 ((この女狐め また 人をたぶらかしに出おったか!)) 41 00:04:59,308 --> 00:05:02,311 ((違う違う 今日は お2人にお願いがあって➡ 42 00:05:02,311 --> 00:05:06,315 わざわざ やって来たのです)) 43 00:05:06,315 --> 00:05:09,318 ((お願い 伊右衛門さまに会わせて)) 44 00:05:09,318 --> 00:05:13,322 ((何を抜かすか わりゃ 浅井の間者ではないか)) 45 00:05:13,322 --> 00:05:17,326 ((お前のように尻尾の生えた娘を 主に会わせられるか!)) 46 00:05:17,326 --> 00:05:21,326 ((尻尾など生えていません ほら ねっ?)) 47 00:05:23,332 --> 00:05:29,332 ((お願い 吉兵衛さん ねっ? お願い ねっ?)) 48 00:05:31,273 --> 00:05:36,278 俺は会わぬ! 会わぬぞ ハァ… 49 00:05:36,278 --> 00:05:41,283 のう 新右衛門よ あの小りんという娘 50 00:05:41,283 --> 00:05:45,287 こたびの近江攻めで 親兄弟 ことごとく討ち死にし 51 00:05:45,287 --> 00:05:49,291 帰る家とてない身の上だと いうではないか 52 00:05:49,291 --> 00:05:55,297 うむ… 小娘が 戦乱の世に たったひとり投げ出されて 53 00:05:55,297 --> 00:05:59,301 食うに困って 浅井の城に 籠城しておったというではないか 54 00:05:59,301 --> 00:06:01,303 哀れよのぅ 吉兵衛 55 00:06:01,303 --> 00:06:06,308 アア… かわいそうで たまらん! (新右衛門)のう? 56 00:06:06,308 --> 00:06:09,311 ンンッ… うるさい うるさい うるさい うるさい! 57 00:06:09,311 --> 00:06:12,311 もう うるそうて かなわぬ ハァ… 58 00:06:15,317 --> 00:06:21,317 (吉兵衛) 旦那さま 山を下った竹林ですぞ 59 00:06:38,273 --> 00:06:40,273 ≪(錫杖の音) 60 00:06:45,280 --> 00:06:48,283 ご坊 この辺りで 女子を見かけなんだか? 61 00:06:48,283 --> 00:06:52,287 (六平太) 女子というのは おのれの女か? 62 00:06:52,287 --> 00:06:57,292 余計なことは聞かずともよい どうなのじゃ? 見かけたのか? 63 00:06:57,292 --> 00:07:02,297 おぬしが捜しているのは 小りんであろう? 64 00:07:02,297 --> 00:07:04,299 なぜ それを知っておるのじゃ? 65 00:07:04,299 --> 00:07:08,299 (六平太)俺は おぬしのことは何でも知っている 66 00:07:10,305 --> 00:07:16,311 おぬしは 木下藤吉郎配下の 山内伊右衛門一豊 67 00:07:16,311 --> 00:07:20,315 千代という女房が岐阜にいる 68 00:07:20,315 --> 00:07:24,253 おのれ… 何者じゃ!? 69 00:07:24,253 --> 00:07:30,259 俺の名は望月六平太 間者として 浅井に雇われている 70 00:07:30,259 --> 00:07:36,265 いわば おぬしは敵じゃな 71 00:07:36,265 --> 00:07:38,267 ンッ! 72 00:07:38,267 --> 00:07:45,274 ♬~ 73 00:07:45,274 --> 00:07:47,274 ウッ… おのれ! 74 00:07:50,279 --> 00:07:52,281 (足を払う音) ウワッ! 75 00:07:52,281 --> 00:07:55,284 小りんが見込んだ山内伊右衛門 76 00:07:55,284 --> 00:07:59,288 どれほどの男かと思うて 楽しみにしておったが 77 00:07:59,288 --> 00:08:01,288 存外 弱いな 78 00:08:04,293 --> 00:08:09,298 しかし まあ とりあえず小りんは くれてやろう 79 00:08:09,298 --> 00:08:27,249 ♬~ 80 00:08:27,249 --> 00:08:29,249 (小りん)ンッ… 81 00:08:36,258 --> 00:08:38,258 (縄を切る音) 82 00:08:45,267 --> 00:08:50,272 どうした? 動けないのか? 83 00:08:50,272 --> 00:08:52,274 ウワッ… おい おい… 84 00:08:52,274 --> 00:08:56,278 離せ 離せ 離せ… 85 00:08:56,278 --> 00:08:58,280 アアッ! 86 00:08:58,280 --> 00:09:02,280 おい お… あれ? 87 00:09:05,287 --> 00:09:09,291 分からん 俺のような男の どこが よくて わざわざ会いに来た? 88 00:09:09,291 --> 00:09:13,295 伊右衛門さまの そういう素直で平凡な所が好き 89 00:09:13,295 --> 00:09:17,295 小りんの手の中で ころころ転がせそうな… 90 00:09:19,301 --> 00:09:21,301 小りん… 91 00:09:25,240 --> 00:09:30,245 私 伊右衛門さまを連れて➡ 92 00:09:30,245 --> 00:09:33,248 この戦場から逃げてゆきたい 93 00:09:33,248 --> 00:09:38,253 「逃げる」? 私が食べさせてあげます 94 00:09:38,253 --> 00:09:44,259 あっ それがお嫌なら 野伏せりの 頭領にしてさし上げます 95 00:09:44,259 --> 00:09:48,263 俺を山賊の親玉にするつもりか? 96 00:09:48,263 --> 00:09:52,267 同じ世を渡るなら 織田家に仕えて あくせく働くより 97 00:09:52,267 --> 00:09:55,270 野伏せりになって 気楽に暮らすほうが➡ 98 00:09:55,270 --> 00:09:59,274 幸せではありませぬか うむ… 確かにな 99 00:09:59,274 --> 00:10:02,277 「功名 功名」といって 血眼になって生きてると➡ 100 00:10:02,277 --> 00:10:05,280 時には 何もかも放り出して➡ 101 00:10:05,280 --> 00:10:08,283 逃げてしまいたいと思うことが ないこともないが… 102 00:10:08,283 --> 00:10:13,288 うれしい! 一緒に逃げてくださるのですね? 103 00:10:13,288 --> 00:10:17,292 そ… それはできぬ! 104 00:10:17,292 --> 00:10:22,297 俺は 一国一城の主になる 母どのに そう誓った 105 00:10:22,297 --> 00:10:25,234 そんな夢のようなことが かなうと思ってるの? 106 00:10:25,234 --> 00:10:30,239 俺には武運がついている 武運が 俺を守っている 107 00:10:30,239 --> 00:10:34,243 千代が そう申していた 千代? 108 00:10:34,243 --> 00:10:38,243 小りん もう二度と会うまい 109 00:10:45,254 --> 00:10:48,257 ≪(笑い声) 110 00:10:48,257 --> 00:10:50,259 小りんよ 111 00:10:50,259 --> 00:10:55,264 あやつ 案外 あれしきの分際で 終わる男ではないかもしれんな 112 00:10:55,264 --> 00:10:58,267 少々 見直さねばなるまい 113 00:10:58,267 --> 00:11:04,273 ≪(ほら貝の音) 114 00:11:04,273 --> 00:11:06,275 (ほら貝の音) 115 00:11:06,275 --> 00:11:08,275 旦那さま! 116 00:11:11,280 --> 00:11:13,282 (吉兵衛)お急ぎ召されい 117 00:11:13,282 --> 00:11:16,282 (新右衛門) 敵もまた間の悪いときに… 118 00:11:19,288 --> 00:11:21,290 馬引け! 馬! (家臣)はっ! 119 00:11:21,290 --> 00:11:30,299 ♬~ 120 00:11:30,299 --> 00:11:33,302 (鬨の声) 121 00:11:33,302 --> 00:11:35,304 (馬のいななき) 122 00:11:35,304 --> 00:11:38,307 走れー! 走らぬか この臆病者めが! 123 00:11:38,307 --> 00:11:41,310 (吉兵衛)あまり乱暴に蹴ると 馬が弱ってしまいますぞ 124 00:11:41,310 --> 00:11:44,313 (新右衛門)この馬 人間ならば とっくに隠居してる年です 125 00:11:44,313 --> 00:11:47,313 それをお忘れ召されるな アアッ… 126 00:11:49,318 --> 00:11:52,321 続けー! (新右衛門)旦那さま 旦那… 127 00:11:52,321 --> 00:11:54,323 (馬のいななき) 128 00:11:54,323 --> 00:11:56,323 旦那さま! 129 00:12:05,334 --> 00:12:09,338 (笑い声) 130 00:12:09,338 --> 00:12:14,338 旦那さま 奥方さまは 何て書いてこられた? 131 00:12:16,345 --> 00:12:20,345 新右衛門 これ何て書いてある? 132 00:12:23,352 --> 00:12:25,287 いやさ 133 00:12:25,287 --> 00:12:31,293 お屋敷の つくばいのそばに 毎日 雀が3羽来るそうな 134 00:12:31,293 --> 00:12:36,298 …で ある日 奥方どのは 米粒をまいてやったそうじゃ 135 00:12:36,298 --> 00:12:38,300 すると 4羽来た 136 00:12:38,300 --> 00:12:44,306 この4羽目の雀は… 吉兵衛に よく似た顔をしていたそうじゃ 137 00:12:44,306 --> 00:12:47,309 ほう… わしに似ていたのか ハハハハッ… 138 00:12:47,309 --> 00:12:53,315 似ていたどころか 吉兵衛そっくりの粗忽者で 139 00:12:53,315 --> 00:12:58,320 米粒をついばもうとして 慌てて すとんと転んでしまったそうじゃ 140 00:12:58,320 --> 00:13:01,323 (笑い声) 141 00:13:01,323 --> 00:13:04,326 奥方さまも変わったお方よ 142 00:13:04,326 --> 00:13:07,329 飛脚にかかる金も ばかにはなるまいに➡ 143 00:13:07,329 --> 00:13:12,334 たあいのないことばかりを書いて およこしになられる 144 00:13:12,334 --> 00:13:14,336 その たあいのない手紙を➡ 145 00:13:14,336 --> 00:13:16,338 誰よりも心待ちにしておるのは おぬしであろうが? 146 00:13:16,338 --> 00:13:19,341 いや そのとおりじゃ ほかに何が書いてある? 147 00:13:19,341 --> 00:13:21,343 うんうん ちょっと待て… 148 00:13:21,343 --> 00:13:25,280 おお… 岐阜に残してきた皆の 女房や子供のことが書いてあるぞ 149 00:13:25,280 --> 00:13:27,282 (伊作) わしの母のことは何とあります? 150 00:13:27,282 --> 00:13:29,284 (家臣)新右衛門さま うちの子は? 151 00:13:29,284 --> 00:13:32,287 まあ 待て待て 順番じゃ 順番 152 00:13:32,287 --> 00:13:36,291 え~ まず 伊作の女房のことが書いてあるぞ 153 00:13:36,291 --> 00:13:39,294 (新右衛門) 伊作の女房は元気じゃが➡ 154 00:13:39,294 --> 00:13:44,294 坊主が近所に迷惑をかけて 苦情ばっかり… 155 00:13:51,306 --> 00:13:56,311 (藤吉郎)ンンッ… 伊右衛門! 156 00:13:56,311 --> 00:14:00,315 どうじゃ? 岐阜の恋女房は 元気でおられるかのぅ? 157 00:14:00,315 --> 00:14:02,317 はっ… まずは 158 00:14:02,317 --> 00:14:08,323 おお 一別以来 何年がたつ? ざっと1年半になりまする 159 00:14:08,323 --> 00:14:13,328 おお… それでは 子づくりに励む暇もあるまい 160 00:14:13,328 --> 00:14:16,331 ハッ… ハハハハッ! 161 00:14:16,331 --> 00:14:21,336 いや 実はのぅ 急なお召しで 一両日 岐阜へ帰ることになった 162 00:14:21,336 --> 00:14:26,274 ついてこんか? それがしを 岐阜へのお供に? 163 00:14:26,274 --> 00:14:30,278 うむ… たまには女房孝行してやれ 164 00:14:30,278 --> 00:14:33,281 ははっ! 165 00:14:33,281 --> 00:14:36,284 (笑い声) 166 00:14:36,284 --> 00:14:39,287 ンッ… ハァ… (家臣)はっ… 167 00:14:39,287 --> 00:14:45,293 ンッ… よっ… アア… 168 00:14:45,293 --> 00:14:48,293 ≪(鎧擦れの音) 169 00:14:54,302 --> 00:14:58,306 (藤吉郎)どうした? 伊右衛門 170 00:14:58,306 --> 00:15:02,310 せっかくながら 持ち場を 離れるわけにはまいりませぬ! 171 00:15:02,310 --> 00:15:04,312 なに!? 172 00:15:04,312 --> 00:15:07,315 武士の宝は敵陣にござる 173 00:15:07,315 --> 00:15:11,319 それを見捨てて 岐阜に帰るわけにはまいりませぬ 174 00:15:11,319 --> 00:15:15,323 伊右衛門… 「功名 功名」もよいが 175 00:15:15,323 --> 00:15:20,328 少しは ゆとりを持ったら どうじゃ? 176 00:15:20,328 --> 00:15:24,266 <これには訳がございます> 177 00:15:24,266 --> 00:15:27,269 《一豊さま ご運というものは➡ 178 00:15:27,269 --> 00:15:30,272 えてして時外れに 来るものでございますゆえ➡ 179 00:15:30,272 --> 00:15:34,276 千代が恋しくても 岐阜へ帰ろうなどと思わず➡ 180 00:15:34,276 --> 00:15:39,281 片ときも持ち場を お離れあそばしませぬように》 181 00:15:39,281 --> 00:15:42,284 <この千代の手紙に従って➡ 182 00:15:42,284 --> 00:15:46,288 一豊さまは 持ち場に とどまったのでございますが➡ 183 00:15:46,288 --> 00:15:51,293 それが思わぬ幸運を呼びました> 184 00:15:51,293 --> 00:15:54,296 <木下さまの留守を狙って➡ 185 00:15:54,296 --> 00:16:00,302 にわかに 浅井の軍勢が総攻撃を かけてまいったのでございます> 186 00:16:00,302 --> 00:16:04,306 (兵士)敵だー! (兵士)敵襲だー! 187 00:16:04,306 --> 00:16:08,310 (吉兵衛)敵の御大将 長政の首を 我らの手で取るんじゃ! 188 00:16:08,310 --> 00:16:12,310 されば 抜け駆けするか! 皆 来い! (家臣たち)オーッ! 189 00:16:14,316 --> 00:16:18,320 <木下さまの 留守を預かる指揮官は➡ 190 00:16:18,320 --> 00:16:21,320 竹中半兵衛重治さま> 191 00:16:23,325 --> 00:16:26,261 (半兵衛)おお… 一番乗りは… 192 00:16:26,261 --> 00:16:29,264 それがし 山内伊右衛門一豊と申しまする! 193 00:16:29,264 --> 00:16:31,266 存じ上げてる 194 00:16:31,266 --> 00:16:35,270 時々 お内儀から 面白い手紙をちょうだいしてる 195 00:16:35,270 --> 00:16:39,274 雀が すとんと転んだそうでござるな 196 00:16:39,274 --> 00:16:41,276 これはまた… 197 00:16:41,276 --> 00:16:48,283 夜明けを待って 全軍 打って出る 山内どの 一番槍をおつけなされ 198 00:16:48,283 --> 00:16:52,287 これは ありがたきお言葉! 199 00:16:52,287 --> 00:16:58,293 <いかがです? 持つべきものは よき妻です> 200 00:16:58,293 --> 00:17:04,299 <ここまで後押しされて 奮い立たない夫はございますまい> 201 00:17:04,299 --> 00:17:07,302 <浅井家39万石は滅び➡ 202 00:17:07,302 --> 00:17:14,309 木下さまは そのうちの 22万石を賜って 大名となられて 203 00:17:14,309 --> 00:17:21,309 その名も 羽柴筑前守秀吉と お改めになられました> 204 00:17:24,319 --> 00:17:28,323 (せみの鳴き声) 205 00:17:28,323 --> 00:17:31,326 <一豊さまは千代の手紙のおかげで 206 00:17:31,326 --> 00:17:33,328 功名の機会を拾い➡ 207 00:17:33,328 --> 00:17:37,332 400石から1000石に ご加増> 208 00:17:37,332 --> 00:17:39,334 フフッ… 千代… 209 00:17:39,334 --> 00:17:44,339 <けれども 戦場では よほど寂しかったと見えて➡ 210 00:17:44,339 --> 00:17:49,344 岐阜へ帰って以来 ず~っと この調子でございます> 211 00:17:49,344 --> 00:17:52,347 かまわぬではないか 人が来ますものを 212 00:17:52,347 --> 00:17:57,352 俺の守り神を抱こうが拝もうが 誰に遠慮が要るか 213 00:17:57,352 --> 00:18:00,355 千代は 神さまなどではございませぬ 214 00:18:00,355 --> 00:18:03,355 (ため息) 215 00:18:07,362 --> 00:18:12,367 羽柴さまは 琵琶湖のほとりの 長浜という所に➡ 216 00:18:12,367 --> 00:18:17,372 新しく お城をお築きに なられるそうでございますね 217 00:18:17,372 --> 00:18:21,309 それが どうかしたのか? はい 218 00:18:21,309 --> 00:18:25,313 そこに住んでみとうございます 219 00:18:25,313 --> 00:18:27,315 長浜に? 220 00:18:27,315 --> 00:18:35,323 だって 千代の父上も いっとき 長浜に住んでいたのですもの 221 00:18:35,323 --> 00:18:40,323 ほう… 亡き舅どのが? 222 00:18:42,330 --> 00:18:49,337 ですから 長浜と聞いて 何やら とても懐かしい気がして 223 00:18:49,337 --> 00:18:54,342 それだけの理由で 長浜に住みたいのか? 224 00:18:54,342 --> 00:18:58,346 あっ う~ん… 225 00:18:58,346 --> 00:19:03,351 よし ほかならぬ千代の頼み 226 00:19:03,351 --> 00:19:07,355 羽柴さまにお願いして 屋敷地を拝領してやろう 227 00:19:07,355 --> 00:19:09,355 ハハハッ… 228 00:19:12,360 --> 00:19:14,362 <本音を申せば➡ 229 00:19:14,362 --> 00:19:19,367 「いち早く長浜に はせ参じて 織田家第1の出頭人たる➡ 230 00:19:19,367 --> 00:19:22,303 羽柴さまの ご機嫌を取っておけ」…> 231 00:19:22,303 --> 00:19:25,306 <…と言いたいところなので ございますが➡ 232 00:19:25,306 --> 00:19:29,306 そう露骨に申せば 角が立ちましょう> 233 00:19:32,313 --> 00:19:36,317 <かくして 山内家は 近江国 長浜にも➡ 234 00:19:36,317 --> 00:19:40,317 屋敷を持つことに なったのでございますが…> 235 00:19:43,324 --> 00:19:45,324 (六平太)ごめんくだされ 236 00:19:50,331 --> 00:19:52,333 (吉兵衛)貴僧は どなたでござる? 237 00:19:52,333 --> 00:19:57,338 ご存じの空也僧と言ってもらえば ご当家の殿には分かるはずだ 238 00:19:57,338 --> 00:20:03,344 殿は お城に上がっておられる さあ 帰られい 戻られよ さあ 239 00:20:03,344 --> 00:20:08,349 吉兵衛 そのご坊は どなたです? 240 00:20:08,349 --> 00:20:12,353 なるほど… 評判のとおり➡ 241 00:20:12,353 --> 00:20:18,353 奥方さまは 織田家家中きっての 美人であられますな 242 00:20:21,296 --> 00:20:23,298 ご当家は1000石に➡ 243 00:20:23,298 --> 00:20:26,301 ご加増相なったそうで ござりますな 244 00:20:26,301 --> 00:20:29,304 加増されれば 家来も要ろう 245 00:20:29,304 --> 00:20:34,304 わしを召し抱えぬかと 殿にお伝えくだされ 246 00:20:38,313 --> 00:20:41,316 なに? 空也僧が訪ねて来たと? 247 00:20:41,316 --> 00:20:45,320 何者でございます? う… うん 248 00:20:45,320 --> 00:20:50,325 望月六平太とか申す甲賀者だ 249 00:20:50,325 --> 00:20:55,330 では 忍びでございますか 浅井の間者をしておったが 250 00:20:55,330 --> 00:20:58,333 小谷城が落ちてのち 天下に身を寄せる所がなく➡ 251 00:20:58,333 --> 00:21:03,338 わしを頼ってきたのであろう フフッ… 252 00:21:03,338 --> 00:21:08,343 忍びは 己の主でさえも 平気で裏切ると聞いております 253 00:21:08,343 --> 00:21:10,345 そのような輩は➡ 254 00:21:10,345 --> 00:21:13,348 なるべくお近づけにならぬほうが よろしいのではござりませぬか? 255 00:21:13,348 --> 00:21:16,351 う… うむ! ≪(笑い声) 256 00:21:16,351 --> 00:21:27,362 ♬~ 257 00:21:27,362 --> 00:21:29,364 そなたは何者です? 258 00:21:29,364 --> 00:21:34,369 今朝方は 戯れに老人になって 参上いたしましたが 259 00:21:34,369 --> 00:21:37,372 これが紛れもない素顔 260 00:21:37,372 --> 00:21:42,377 奥方さま ゆくゆく 一国一城の主を心がけるお人なら 261 00:21:42,377 --> 00:21:46,381 手元に 忍びを置くのは心得でござるぞ 262 00:21:46,381 --> 00:21:49,384 いかがじゃ? わしを買わぬか? 263 00:21:49,384 --> 00:21:52,387 出てゆきなさい 人を呼びまするぞ! 264 00:21:52,387 --> 00:21:57,392 奥方よ ひと言 断っておくが わしほどの技を持つ忍びは➡ 265 00:21:57,392 --> 00:22:01,396 どこの大名家を探しても 見つかるものではない 266 00:22:01,396 --> 00:22:03,398 それが たかが1000石の➡ 267 00:22:03,398 --> 00:22:06,401 山内伊右衛門どのに お仕え申そうというのは➡ 268 00:22:06,401 --> 00:22:09,404 よくよく 見込んだがためでござるぞ 269 00:22:09,404 --> 00:22:13,404 こやつ… 言わせておけば! 270 00:22:15,410 --> 00:22:18,413 ンンッ… 271 00:22:18,413 --> 00:22:20,415 旦那さま うん? 272 00:22:20,415 --> 00:22:24,352 なぜ あのような者と お近づきになられたのです? 273 00:22:24,352 --> 00:22:29,357 うむ… まあ ふとしたことでな 274 00:22:29,357 --> 00:22:33,361 <「さる女を通じて」などとは➡ 275 00:22:33,361 --> 00:22:37,361 無論 口が裂けても言えませんもの> 276 00:22:41,369 --> 00:22:45,373 何だ? 考えていたのです 277 00:22:45,373 --> 00:22:50,378 毒も 用い方によっては 薬になると申します 278 00:22:50,378 --> 00:22:54,382 毒? あの甲賀者のこと 279 00:22:54,382 --> 00:22:58,386 ああ… そのことであったか あのような者でも➡ 280 00:22:58,386 --> 00:23:02,390 用い方によっては 重宝なこともございましょう 281 00:23:02,390 --> 00:23:06,394 お召し抱えになっても よろしいのではございませぬか? 282 00:23:06,394 --> 00:23:09,397 ≪(笑い声) 283 00:23:09,397 --> 00:23:17,405 ♬~ 284 00:23:17,405 --> 00:23:20,408 これは かたじけのうござる 285 00:23:20,408 --> 00:23:26,408 ♬~ 286 00:23:31,352 --> 00:23:35,356 六平太 何か魂胆があって 当家に来たのではあるまいな? 287 00:23:35,356 --> 00:23:38,359 別に子細はない 288 00:23:38,359 --> 00:23:42,363 ただ 奥方の顔を 拝見しに来ただけのこと 289 00:23:42,363 --> 00:23:44,363 小りんの… 290 00:23:47,368 --> 00:23:50,371 小りんのことは おくびにも漏らすな よいな? 291 00:23:50,371 --> 00:23:54,375 殿は馬をご所望だとか 話をそらすな 292 00:23:54,375 --> 00:23:58,379 斎藤伊勢守どのが 近ごろ 馬を売りに出されているが 293 00:23:58,379 --> 00:24:01,379 なかなかの名馬なそうでござるな 294 00:24:20,401 --> 00:24:23,337 (新右衛門)旦那さま うん? ああ… 295 00:24:23,337 --> 00:24:27,341 いかほどとな? それが ちとお高うござる 296 00:24:27,341 --> 00:24:31,341 黄金1枚ならと申しておりました あっ… 297 00:24:38,352 --> 00:24:40,352 (吉兵衛)御免 298 00:24:42,356 --> 00:24:48,362 殿… これを馬代の足しにしてくだされ 299 00:24:48,362 --> 00:24:52,366 これしきの銭では 尻尾代にもなるまいが 300 00:24:52,366 --> 00:24:58,372 それはいかん 志はありがたいが このようなことをされては… 301 00:24:58,372 --> 00:25:02,376 (新右衛門)何を申される 殿が 馬でご苦労なされていることは➡ 302 00:25:02,376 --> 00:25:05,379 我らが いちばん存じ上げておる (吉兵衛)ご遠慮は無用じゃ 303 00:25:05,379 --> 00:25:10,384 我らが扶持を削ってでも あの馬をお求めなされよ 304 00:25:10,384 --> 00:25:25,333 ♬~ 305 00:25:25,333 --> 00:25:31,339 <嫁入りのとき 不破家の伯父上が 持たせた黄金10枚は➡ 306 00:25:31,339 --> 00:25:35,343 まだ 手付かずのまま残っております> 307 00:25:35,343 --> 00:25:40,348 ♬~ 308 00:25:40,348 --> 00:25:42,348 一豊さま 309 00:25:44,352 --> 00:25:48,356 千代は一大決心をいたしました 馬を買いましょう 310 00:25:48,356 --> 00:25:52,360 いや もうよい 311 00:25:52,360 --> 00:25:54,362 いかがなさいました? 312 00:25:54,362 --> 00:26:00,368 もう遅い あの馬は ついさっき売れてしまった 313 00:26:00,368 --> 00:26:08,376 ♬~ 314 00:26:08,376 --> 00:26:10,378 (柏手) 315 00:26:10,378 --> 00:26:18,386 <この当時 千代にも 別の大きな悩みがございました> 316 00:26:18,386 --> 00:26:24,325 私には 子ができぬのでしょうか? 317 00:26:24,325 --> 00:26:26,325 分からんな 318 00:26:30,331 --> 00:26:35,331 ひょっとすると 一豊さまのほうが お悪いのかもしれませぬ 319 00:26:38,339 --> 00:26:40,339 一豊さま 320 00:26:44,345 --> 00:26:51,352 大身になられ 城主 国主になられても➡ 321 00:26:51,352 --> 00:26:55,356 御側女などをお置きになっては 嫌でございますよ 322 00:26:55,356 --> 00:27:00,361 ♬~ 323 00:27:00,361 --> 00:27:02,361 一豊さま 324 00:27:05,366 --> 00:27:07,366 ちゃんとご返事… 325 00:27:09,370 --> 00:27:13,370 分かった そのようにする 326 00:27:15,376 --> 00:27:20,376 末々まで子ができぬ場合は もらい子などをすればよい 327 00:27:22,316 --> 00:27:25,316 気に病まぬことじゃ 328 00:27:28,322 --> 00:27:30,324 <この年の5月> 329 00:27:30,324 --> 00:27:35,324 <再び陣触れの太鼓が 2人を引き離しました> 330 00:27:37,331 --> 00:27:43,337 <敵は 日本最強を誇る甲斐の武田軍団> 331 00:27:43,337 --> 00:27:45,339 <今度ばかりは➡ 332 00:27:45,339 --> 00:27:51,345 一豊さまも 討ち死にの覚悟で 戦場に臨んだのでございます> 333 00:27:51,345 --> 00:27:54,348 (鬨の声) 334 00:27:54,348 --> 00:28:01,355 (銃声) 335 00:28:01,355 --> 00:28:08,355 (銃声) 336 00:28:10,364 --> 00:28:12,366 いやぁ 驚いた驚いた 337 00:28:12,366 --> 00:28:15,369 まず 一段目の1000挺の鉄砲が 一斉に撃つ 338 00:28:15,369 --> 00:28:18,372 それが引いて 弾を込めている間に 二段目が撃つ 339 00:28:18,372 --> 00:28:20,374 三段目が撃ち終わるころには➡ 340 00:28:20,374 --> 00:28:23,311 最初の鉄砲隊の弾込めが 既に終わっている 341 00:28:23,311 --> 00:28:27,315 これを繰り返せば 射撃が途切れることがない 342 00:28:27,315 --> 00:28:30,318 これには さしもの武田の騎馬隊も➡ 343 00:28:30,318 --> 00:28:32,320 槍を交えることができずに➡ 344 00:28:32,320 --> 00:28:35,323 全滅してしまったというわけじゃ ハハハハッ… 345 00:28:35,323 --> 00:28:37,325 一豊さまが 無事お戻りになられたのも➡ 346 00:28:37,325 --> 00:28:40,328 皆 信長さまの おかげでございますね 347 00:28:40,328 --> 00:28:45,333 フフッ… ハハッ… 千代 飲め 348 00:28:45,333 --> 00:28:47,335 とにかく こたびの合戦は➡ 349 00:28:47,335 --> 00:28:51,339 一にも二にも 信長さまおひとりのお手柄じゃ 350 00:28:51,339 --> 00:28:57,345 あれだけの大勝利ではあったが 大したご加増は望めまい 351 00:28:57,345 --> 00:29:01,345 でも 千代には お手柄がございましたよ 352 00:29:04,352 --> 00:29:07,355 どうした? 353 00:29:07,355 --> 00:29:10,358 お分かりになりませぬか? 354 00:29:10,358 --> 00:29:19,367 ♬~ 355 00:29:19,367 --> 00:29:21,367 生まれるのか? 356 00:29:23,304 --> 00:29:28,309 千代 まさしく手柄じゃ! これは途方もないご加増じゃ! 357 00:29:28,309 --> 00:29:30,311 ハハハハッ… 358 00:29:30,311 --> 00:29:35,316 おっと! 飲んではいかん おなかの子に障る 359 00:29:35,316 --> 00:29:41,322 <けれども この喜びも つかの間> 360 00:29:41,322 --> 00:29:48,329 <一豊さまは またしても出陣し 合戦に次ぐ合戦のうちに➡ 361 00:29:48,329 --> 00:29:52,329 月日は飛ぶように 過ぎていったのでございます> 362 00:29:54,335 --> 00:29:56,337 ≪(新右衛門)殿! 363 00:29:56,337 --> 00:29:59,340 長浜より六平太が戻りました 364 00:29:59,340 --> 00:30:01,342 奥は達者か? 365 00:30:01,342 --> 00:30:04,345 (六平太)はっ… 至って お肥立ちも およろしいようです 366 00:30:04,345 --> 00:30:07,345 では 生まれたのか? 367 00:30:11,352 --> 00:30:16,357 男であろうな? いや 娘御でござる 368 00:30:16,357 --> 00:30:19,357 娘か… 369 00:30:21,295 --> 00:30:23,295 (ため息) 370 00:30:33,307 --> 00:30:40,314 無理もない 待ちに待ったお子が娘御ではな 371 00:30:40,314 --> 00:30:43,317 娘か… 372 00:30:43,317 --> 00:30:49,323 (笑い声) 373 00:30:49,323 --> 00:30:53,327 伊右衛門どの ウッ… な… 何じゃ? 374 00:30:53,327 --> 00:30:58,332 そろそろ お暇を 申し上げねばならない 375 00:30:58,332 --> 00:31:02,336 どこへ行くつもりだ? 毛利へ行く 376 00:31:02,336 --> 00:31:09,343 ♬~ 377 00:31:09,343 --> 00:31:13,343 ご内室より言づてを頼まれた 378 00:31:15,349 --> 00:31:17,351 何と? 379 00:31:17,351 --> 00:31:21,355 子に名前を付けてほしいとのこと 380 00:31:21,355 --> 00:31:25,359 名か… よい名を付けてやれ 381 00:31:25,359 --> 00:31:29,363 きっと ご内室そっくりの 美しい姫君になる 382 00:31:29,363 --> 00:31:39,373 ♬~ 383 00:31:39,373 --> 00:31:45,379 <考え抜いたあげくに 一豊さまが娘に付けた名は➡ 384 00:31:45,379 --> 00:31:50,379 「よね」という 恐ろしく 平凡な名前でございました> 385 00:31:56,323 --> 00:31:58,325 千代 帰ったぞ! 386 00:31:58,325 --> 00:32:02,329 ハハハッ… よねを見せろ よねを 387 00:32:02,329 --> 00:32:07,334 ♬~ 388 00:32:07,334 --> 00:32:09,336 ハハハハッ… よね 389 00:32:09,336 --> 00:32:11,338 (芳野) およねさまが驚かれますがね 390 00:32:11,338 --> 00:32:13,340 アア… うるさい うるさい 391 00:32:13,340 --> 00:32:15,342 フフッ… おお… ホホホホッ… 392 00:32:15,342 --> 00:32:17,344 (芳野)旦那さま 393 00:32:17,344 --> 00:32:21,282 おお… ホホッ… ほ~ら! 394 00:32:21,282 --> 00:32:25,286 ほっ! ほっほっ! ハハハッ… 395 00:32:25,286 --> 00:32:29,290 ハハハハッ… よね わしは働くぞ (よねの泣き声) 396 00:32:29,290 --> 00:32:34,295 働いて働いて 必ず お前を よね姫と呼ばれる身分にしてやる 397 00:32:34,295 --> 00:32:36,297 ほらほら ほら どうした どうした? 398 00:32:36,297 --> 00:32:41,302 ハハハッ… 千代 ハハッ… 次は男の子を産め 399 00:32:41,302 --> 00:32:43,304 いや 男でも女でも かまわん 400 00:32:43,304 --> 00:32:45,306 とにかく どんどん産め なっ? ハハハッ… 401 00:32:45,306 --> 00:32:50,311 <めでたいことは重なるものなので ございましょうか> 402 00:32:50,311 --> 00:32:52,313 <それから しばらくして➡ 403 00:32:52,313 --> 00:32:56,317 一豊さまは 羽柴さまの正式な家来となり➡ 404 00:32:56,317 --> 00:33:01,317 1000石から2000石に 加増されたのでございます> 405 00:33:04,325 --> 00:33:10,331 <やがて 一豊さまは毛利攻めに 加わり またしてもご出陣> 406 00:33:10,331 --> 00:33:14,335 <…が 今度の戦は苦戦の連続で➡ 407 00:33:14,335 --> 00:33:19,273 結局 毛利の領国に 1歩も足を踏み込むことができず 408 00:33:19,273 --> 00:33:22,273 長浜へ戻ってまいりました> 409 00:33:24,278 --> 00:33:26,278 よいしょ 410 00:33:32,286 --> 00:33:37,291 おかえりなさいませ また 馬が疲れたのでございますか? 411 00:33:37,291 --> 00:33:39,291 わしも疲れた 412 00:33:41,295 --> 00:33:44,298 あの馬は 1町も駆けさすと息切れをする 413 00:33:44,298 --> 00:33:47,301 敵の首を取るどころではない 414 00:33:47,301 --> 00:33:53,307 せめて 敵の馬でも取ろうとしたが それも果たせなんだ ハァ… 415 00:33:53,307 --> 00:33:59,313 ♬~ 416 00:33:59,313 --> 00:34:03,313 <安土城下の馬市でございます> 417 00:34:14,328 --> 00:34:17,331 (ため息) 418 00:34:17,331 --> 00:34:20,267 ≪(片桐)おう 伊右衛門どの うん? 419 00:34:20,267 --> 00:34:23,267 これは 片桐どの 420 00:34:27,274 --> 00:34:30,277 (片桐)伊右衛門どのも 買いに見えられましたか 421 00:34:30,277 --> 00:34:34,281 ハハッ… いや 今日の馬市は逸物ぞろいで➡ 422 00:34:34,281 --> 00:34:36,283 我らが分際では とても買えませぬ 423 00:34:36,283 --> 00:34:42,289 それにしても 手前の馬は 人に見られるだに恥ずかしい 424 00:34:42,289 --> 00:34:44,291 (武士)駿馬じゃ! (武士)おお まさしく駿馬じゃ! 425 00:34:44,291 --> 00:34:47,294 (武士)見事な馬じゃそうな おお あれじゃ あれじゃ 426 00:34:47,294 --> 00:34:50,297 (武士たち)御免 御免! 427 00:34:50,297 --> 00:34:54,301 (武士)黄金4枚! (武士)黄金5枚! 428 00:34:54,301 --> 00:34:56,303 (商人) 今 いくらと申されましたかな? 429 00:34:56,303 --> 00:34:59,306 (武士)黄金5枚じゃ 430 00:34:59,306 --> 00:35:02,309 5枚? ハハハハッ! (武士)これ! 431 00:35:02,309 --> 00:35:07,314 わしは 明智日向守さまの命により 馬を買いに来ておる 432 00:35:07,314 --> 00:35:10,317 無礼をいたすな! (商人)ハハッ… こりゃ恐れ入った 433 00:35:10,317 --> 00:35:15,322 天下の織田家じゃと思うて はるばる奥州南部から まいったが 434 00:35:15,322 --> 00:35:18,258 この分じゃと 西へ下って➡ 435 00:35:18,258 --> 00:35:24,258 毛利さまのご城下へでも 行かねばなるまいのぅ ハハハッ… 436 00:35:31,271 --> 00:35:34,274 おやじ いくらなら売るのだ? 437 00:35:34,274 --> 00:35:37,277 そりゃ こっちが聞きたい 438 00:35:37,277 --> 00:35:40,280 このやつがれ 馬喰をして50年になる 439 00:35:40,280 --> 00:35:43,283 …したが これほどの名馬は➡ 440 00:35:43,283 --> 00:35:47,283 扱ったこともなければ 見たこともない 441 00:35:52,292 --> 00:35:55,295 黄金10枚 442 00:35:55,295 --> 00:35:57,297 (武士たち)10枚!? 443 00:35:57,297 --> 00:36:03,303 よくぞ申された しかし… 444 00:36:03,303 --> 00:36:07,307 買いなさるのかな? 445 00:36:07,307 --> 00:36:09,309 (せきばらい) 446 00:36:09,309 --> 00:36:29,263 ♬~ 447 00:36:29,263 --> 00:36:49,283 ♬~ 448 00:36:49,283 --> 00:37:01,295 ♬~ 449 00:37:01,295 --> 00:37:12,306 ♬~ 450 00:37:12,306 --> 00:37:15,309 おかえりなさいませ 451 00:37:15,309 --> 00:37:21,248 ♬~ 452 00:37:21,248 --> 00:37:26,248 <こんなお顔を見るのは 初めてのことでした> 453 00:37:36,263 --> 00:37:38,263 一豊さま 454 00:37:40,267 --> 00:37:43,270 ちょうどいいところに お戻りになられました 455 00:37:43,270 --> 00:37:46,273 千代は お酒が飲みたいと 思っていたところです 456 00:37:46,273 --> 00:37:50,277 ンッ… お前は酒飲みだな 457 00:37:50,277 --> 00:37:52,279 ええ いただくと陽気になって➡ 458 00:37:52,279 --> 00:37:57,284 世の中全部が ぱ~っと 花景色に見えてくるんですもの 459 00:37:57,284 --> 00:38:01,288 ンンッ… お前は のんきでいいな 460 00:38:01,288 --> 00:38:04,288 ええ 私は のんき者 461 00:38:11,298 --> 00:38:14,301 ウッ… 千代 462 00:38:14,301 --> 00:38:19,239 今日 馬を見た 竜のような馬だった 463 00:38:19,239 --> 00:38:23,243 お歴々のご家来衆が 主命を受けて こぞって買いにまいられたが 464 00:38:23,243 --> 00:38:27,243 あの馬には 恥をかいただけであった 465 00:38:29,249 --> 00:38:32,252 値は いかほどでございます? 466 00:38:32,252 --> 00:38:35,255 聞くな また虫が起きる 467 00:38:35,255 --> 00:38:39,259 そうおっしゃらずに 教えてくださいませ 468 00:38:39,259 --> 00:38:41,261 驚くな 黄金10枚 469 00:38:41,261 --> 00:38:45,265 (せきこみ) 470 00:38:45,265 --> 00:38:50,270 ハハハハッ… 肝がつぶれたか? ええ 少し 471 00:38:50,270 --> 00:38:52,270 ハハハハッ… 472 00:38:56,276 --> 00:38:58,278 買いましょう その馬を 473 00:38:58,278 --> 00:39:02,282 (せきこみ) 474 00:39:02,282 --> 00:39:08,288 ♬~ 475 00:39:08,288 --> 00:39:10,290 千代さま? 476 00:39:10,290 --> 00:39:16,296 ♬~ 477 00:39:16,296 --> 00:39:19,232 どうしんさるおつもりですか? 478 00:39:19,232 --> 00:39:23,236 このお金で 一豊さまの馬を買います 479 00:39:23,236 --> 00:39:25,238 馬… 480 00:39:25,238 --> 00:39:30,243 いけませんがね 黄金が10枚もありましたら➡ 481 00:39:30,243 --> 00:39:33,246 立派なお屋敷が まあ 3軒も建ちますがね 482 00:39:33,246 --> 00:39:37,250 それを馬ごときに… もったいないことですがね 483 00:39:37,250 --> 00:39:41,254 いいのです 私は もう決めました 484 00:39:41,254 --> 00:39:47,260 その黄金は 一大事の時以外は 使ってはならぬという➡ 485 00:39:47,260 --> 00:39:51,264 お母上さまのお言葉を 忘れんさったですか? 486 00:39:51,264 --> 00:39:57,270 一豊さまにとっては 今が一大事の時なのです 487 00:39:57,270 --> 00:39:59,270 千代 488 00:40:09,282 --> 00:40:11,284 千代さま… 489 00:40:11,284 --> 00:40:14,287 お下がりなさい 芳野 そやけど… 490 00:40:14,287 --> 00:40:18,287 いいから よねのとこに 行っておいで はい… 491 00:40:26,233 --> 00:40:28,235 千代 492 00:40:28,235 --> 00:40:33,235 お前という女は なんという かわいげのない奴だ 493 00:40:35,242 --> 00:40:39,246 お前は わしが年中 馬で 苦労しているのを知っていながら 494 00:40:39,246 --> 00:40:44,251 今まで 見て見ぬふりをしていたのか 495 00:40:44,251 --> 00:40:46,253 いいえ 決して そのようなこと… 496 00:40:46,253 --> 00:40:51,258 ならば 以前 わしが 馬を求めようとしていたとき 497 00:40:51,258 --> 00:40:56,263 なぜ この金のことを隠していたんだ? 498 00:40:56,263 --> 00:41:00,267 あのときは なかなか決心がつかず 499 00:41:00,267 --> 00:41:03,270 ひと足遅れで 買い逃してしまいました 500 00:41:03,270 --> 00:41:06,273 ですから 今度はあのようなことが あってはならぬと思い… 501 00:41:06,273 --> 00:41:09,273 もうよい 言うな 502 00:41:13,280 --> 00:41:16,283 お前は賢すぎる 503 00:41:16,283 --> 00:41:22,283 心が幾重にも分かれていて 表からは見通せぬ 504 00:41:26,293 --> 00:41:28,295 <ああ 困りました> 505 00:41:28,295 --> 00:41:32,299 <一豊さまが おっしゃるとおりの 女であることは➡ 506 00:41:32,299 --> 00:41:36,303 千代自身が いちばん よく知っておりました> 507 00:41:36,303 --> 00:41:40,303 <はてさて どうすればよいのでしょう> 508 00:41:44,311 --> 00:41:51,318 (泣き声) 509 00:41:51,318 --> 00:41:55,322 千代… 少し言い過ぎたかもしれん 510 00:41:55,322 --> 00:41:59,326 あまりに驚いて 戸惑ってしまったのだ 511 00:41:59,326 --> 00:42:02,329 喜ぶべきところを 腹を立ててしまった 512 00:42:02,329 --> 00:42:06,333 アア… こ… 困る… 困る 泣かれては 513 00:42:06,333 --> 00:42:08,335 (泣き声) 514 00:42:08,335 --> 00:42:12,339 泣かせたのは どなたでございます うんうんうん! 515 00:42:12,339 --> 00:42:17,344 千代 悪かった! 悪かった 千代! 千代! 516 00:42:17,344 --> 00:42:23,344 <千代さん この辺で勘弁しておあげなさい> 517 00:42:27,287 --> 00:42:30,287 フフッ… 518 00:42:34,294 --> 00:42:41,301 (笑い声) 519 00:42:41,301 --> 00:42:44,304 ハァ… フフッ… 520 00:42:44,304 --> 00:42:47,304 (2人の笑い声) 521 00:42:49,309 --> 00:42:52,312 い… 伊右衛門が あの馬を買うたと? 522 00:42:52,312 --> 00:42:56,312 (片桐)はっ… 黄金10枚をもって 523 00:42:58,318 --> 00:43:01,321 うむ… 伊右衛門がのぅ 524 00:43:01,321 --> 00:43:04,324 助作 (片桐)はっ… 525 00:43:04,324 --> 00:43:06,326 わしを 担いでいるんではあるまいのぅ? 526 00:43:06,326 --> 00:43:09,329 (片桐)とんでもござりませぬ 527 00:43:09,329 --> 00:43:13,333 なんでも お内儀が馬代を工面なされたとか 528 00:43:13,333 --> 00:43:19,272 千代どのか? おお! アハハハッ! 529 00:43:19,272 --> 00:43:24,277 そうか! いや さすがは 長浜一の しっかり者よのぅ 530 00:43:24,277 --> 00:43:31,284 うむ… 黄金10枚もの大金を ようも潔う はたいたものよのぅ 531 00:43:31,284 --> 00:43:34,287 うむ… アハハハッ… 532 00:43:34,287 --> 00:43:36,287 うむ… ハハハッ… ほら 食え 533 00:43:38,291 --> 00:43:40,291 どうじゃ? どうじゃ? ハハハハッ… 534 00:43:43,296 --> 00:43:45,296 さあさあさあ… 535 00:43:50,303 --> 00:43:52,305 千代さま… 536 00:43:52,305 --> 00:43:58,311 あの馬に 本当に黄金10枚の 値打ちがございますの? 537 00:43:58,311 --> 00:44:02,315 そんなことが この私に分かるものですか 538 00:44:02,315 --> 00:44:07,320 それやったら 得体の知れん馬なぞ買わず➡ 539 00:44:07,320 --> 00:44:12,325 黄金は およねさまのために 取っておいたらええがね 540 00:44:12,325 --> 00:44:19,266 買ったのは馬ではありません 評判を買ったのです 541 00:44:19,266 --> 00:44:22,269 馬は どんな名馬でも いずれ死にます 542 00:44:22,269 --> 00:44:26,273 でも 黄金10枚で 馬を買ったという評判は➡ 543 00:44:26,273 --> 00:44:31,278 死ぬことはありません 武士は名が大事 544 00:44:31,278 --> 00:44:37,284 一豊さまの名は きっと織田家の 家中に鳴り渡ることでしょう 545 00:44:37,284 --> 00:44:39,286 <千代の言葉のとおり➡ 546 00:44:39,286 --> 00:44:43,290 この評判は 瞬く間に織田家の家中に広まり➡ 547 00:44:43,290 --> 00:44:46,293 天正9年の馬ぞろえでは➡ 548 00:44:46,293 --> 00:44:51,298 信長公が 一豊さまと この馬を あっぱれとおぼし召され➡ 549 00:44:51,298 --> 00:44:56,303 馬代として 200石を下しおかれました> 550 00:44:56,303 --> 00:45:16,323 ♬~ 551 00:45:16,323 --> 00:45:36,276 ♬~ 552 00:45:36,276 --> 00:45:56,296 ♬~ 553 00:45:56,296 --> 00:46:16,316 ♬~ 554 00:46:16,316 --> 00:46:26,316 ♬~