1 00:01:27,472 --> 00:01:28,340 2 00:01:28,340 --> 00:01:42,354 ♬~ 3 00:01:42,354 --> 00:01:56,354 ♬~ 4 00:01:58,337 --> 00:02:03,342 ♬~ 5 00:02:03,342 --> 00:02:07,346 (千代の母)<美濃で いちばんの 美人と うたわれた千代が➡ 6 00:02:07,346 --> 00:02:10,349 織田家の家中で 僅か50石➡ 7 00:02:10,349 --> 00:02:14,353 「ぼろぼろ伊右衛門」とまで あだ名されている貧乏侍➡ 8 00:02:14,353 --> 00:02:19,358 山内伊右衛門一豊さまのもとへ 嫁いだのは➡ 9 00:02:19,358 --> 00:02:24,296 永禄10年 9月半ばのことでございました> 10 00:02:24,296 --> 00:02:27,299 <「この千代が 一豊さまを➡ 11 00:02:27,299 --> 00:02:31,303 きっと 一国一城の主に してさし上げます」という➡ 12 00:02:31,303 --> 00:02:34,306 初夜の床での誓いの言葉のとおり 13 00:02:34,306 --> 00:02:38,310 一豊さまは みるみるうちに ご出世> 14 00:02:38,310 --> 00:02:42,314 <2000石となられたうえに 嫁入りの際 千代が➡ 15 00:02:42,314 --> 00:02:46,318 隠し金として 持ってきていた黄金10枚によって 16 00:02:46,318 --> 00:02:49,321 天下の名馬を手に入れ➡ 17 00:02:49,321 --> 00:02:57,329 馬代として 信長さまから 更に 200石を賜ったのでございました> 18 00:02:57,329 --> 00:03:02,334 <唐獅子と名付けられた悍馬を得て 一豊さまは➡ 19 00:03:02,334 --> 00:03:07,339 この中国征伐で 大いに お働きになったのでございます> 20 00:03:07,339 --> 00:03:09,339 (一豊)アッ! 21 00:03:20,352 --> 00:03:22,354 ンッ! (刺す音) 22 00:03:22,354 --> 00:03:27,292 (刺す音) 23 00:03:27,292 --> 00:03:29,292 (宍戸)ウウッ… 24 00:03:32,297 --> 00:03:37,302 山内伊右衛門 宍戸修理を討ち取ったり! 25 00:03:37,302 --> 00:03:40,305 ≪(ほら貝の音) 吉兵衛! 新右衛門! 26 00:03:40,305 --> 00:03:44,309 わしの槍を知らんか? 槍を (吉兵衛)槍でございますか? 27 00:03:44,309 --> 00:03:49,309 亡き父上の たったひとつの 形見の槍! 捜せ捜せ! 28 00:03:58,323 --> 00:04:01,323 ンッ… クッ! 29 00:04:10,335 --> 00:04:13,338 (吉兵衛)まだ ござりませんか? ないわ! 30 00:04:13,338 --> 00:04:16,341 ≪(新右衛門)あった あった 殿! 31 00:04:16,341 --> 00:04:18,343 (吉兵衛)あっ! 32 00:04:18,343 --> 00:04:21,346 (新右衛門)アア… 殿! 33 00:04:21,346 --> 00:04:25,283 どこだ? どこだ? あそこでござる あそこでござる 34 00:04:25,283 --> 00:04:27,283 あっ… 35 00:04:30,288 --> 00:04:32,288 (新右衛門)アアッ! 36 00:04:34,292 --> 00:04:37,292 (新右衛門)殿! とても無理です! 37 00:04:39,297 --> 00:04:43,301 (吉兵衛)やむをえませぬ 討ち取った宍戸修理の持ち槍を➡ 38 00:04:43,301 --> 00:04:46,304 ぶんどってまいりましょう! なに? 39 00:04:46,304 --> 00:04:51,309 (秀吉) おお… 来国俊とは驚いたのぅ 40 00:04:51,309 --> 00:04:54,312 これを戦場で拾うたか? はっ! 41 00:04:54,312 --> 00:04:57,315 敵将 宍戸修理の 持ち槍にございました 42 00:04:57,315 --> 00:05:00,318 (秀吉)ほう… 43 00:05:00,318 --> 00:05:04,322 ウ~ン… なるほど いや 織田家の家中でも➡ 44 00:05:04,322 --> 00:05:07,325 これほどの名槍を持っておる者は まず少なかろう 45 00:05:07,325 --> 00:05:11,329 いや 信長さまでさえ 来国俊の太刀は持っておられるが 46 00:05:11,329 --> 00:05:15,333 槍はお持ちでない かねがね 欲しいと仰せられておった 47 00:05:15,333 --> 00:05:18,336 されば 献上いたしましょうか? 48 00:05:18,336 --> 00:05:22,340 伊右衛門… そりゃ おべっかというものじゃ 49 00:05:22,340 --> 00:05:27,279 信長さまは喜ばれん それより この槍をもって➡ 50 00:05:27,279 --> 00:05:31,283 いよいよ功名をあらわすことこそ 侍の道じゃ 51 00:05:31,283 --> 00:05:33,283 ははっ! 52 00:05:38,290 --> 00:05:43,295 う~む… ひと押ししてみて 手応えは どうじゃった? 53 00:05:43,295 --> 00:05:46,298 はっ… それが なかなかの… 54 00:05:46,298 --> 00:05:50,302 清水宗治と申す男 敵ながら あっぱれな城主 55 00:05:50,302 --> 00:05:56,302 う~む… やはり力攻めは無理じゃのぅ 56 00:05:58,310 --> 00:06:02,314 来月は梅雨じゃのぅ 伊右衛門 57 00:06:02,314 --> 00:06:05,317 はっ… 梅雨でございます 58 00:06:05,317 --> 00:06:10,317 川の水かさが増えるのぅ さようでございます 59 00:06:12,324 --> 00:06:14,324 絵図 (家臣たち)はっ! 60 00:06:17,329 --> 00:06:21,333 見ろ 伊右衛門 ここに土手を築いてのぅ 61 00:06:21,333 --> 00:06:24,269 この辺りに溝を掘って➡ 62 00:06:24,269 --> 00:06:29,274 足守川の水を 城の周りに流し込むと… 63 00:06:29,274 --> 00:06:32,274 高松城は どうなる? 64 00:06:35,280 --> 00:06:39,284 水に浮くのぅ? 浮きますな 65 00:06:39,284 --> 00:06:44,289 力攻めに攻めたところで 人の命を損なうばかりじゃ 66 00:06:44,289 --> 00:06:49,294 敵であれ 味方であれ わしはのぅ 人の命を傷つけるのが嫌いでのぅ 67 00:06:49,294 --> 00:06:53,298 では 水攻めを本気で? どう思う? 68 00:06:53,298 --> 00:06:56,301 しかし それは途方もない… 69 00:06:56,301 --> 00:07:00,305 途方もないことをやるのが戦よ ハハハッ… 70 00:07:00,305 --> 00:07:05,310 急ぐことはない 水攻めをやり 敵が降伏するのを待つほうが➡ 71 00:07:05,310 --> 00:07:08,313 敵味方とも けが人が少なくて済もう 72 00:07:08,313 --> 00:07:11,316 のう? フフフッ… ハハハハッ… 73 00:07:11,316 --> 00:07:17,322 <信長さまは火攻め 秀吉さまは水攻めといわれます> 74 00:07:17,322 --> 00:07:24,322 <こういう人徳が 秀吉さまに 天下を取らせたとも言えましょう> 75 00:07:26,264 --> 00:07:28,266 この水攻めの大成功で➡ 76 00:07:28,266 --> 00:07:31,269 敵将 清水宗治も 白旗を掲げるでしょうな 77 00:07:31,269 --> 00:07:36,274 あのお人には 天が お味方についているらしい 78 00:07:36,274 --> 00:07:39,277 (吉兵衛) 「古来 天下を取る人には➡ 79 00:07:39,277 --> 00:07:42,280 器量だけでなく そういう不思議がある」 80 00:07:42,280 --> 00:07:49,287 「不思議のない人は英雄ではない」 …と奥方さまは申されました 81 00:07:49,287 --> 00:07:53,291 まるで軍師のような… 千代が そんなこと言ったのか? 82 00:07:53,291 --> 00:07:57,295 「侍は運よき大将を選べ」とも 申されましたぞ 83 00:07:57,295 --> 00:08:00,298 だから わしは羽柴どのを選んだ 84 00:08:00,298 --> 00:08:03,301 ああいうお人の下に いるということが➡ 85 00:08:03,301 --> 00:08:06,304 そもそも わしに 運がついているということじゃ 86 00:08:06,304 --> 00:08:10,308 そのわしの 譜代の家来である そちたちも➡ 87 00:08:10,308 --> 00:08:13,311 運よく 生まれついたというわけじゃ 88 00:08:13,311 --> 00:08:16,314 まったく 殿は… 何だ? 89 00:08:16,314 --> 00:08:20,318 いやいや 運だけは… のう? 新右衛門 90 00:08:20,318 --> 00:08:22,320 のう? 吉兵衛 91 00:08:22,320 --> 00:08:26,257 <けれども 秀吉さまのご武運は➡ 92 00:08:26,257 --> 00:08:30,261 この雨のことばかりでは ございませんでした> 93 00:08:30,261 --> 00:08:34,265 <天正10年の6月2日未明> 94 00:08:34,265 --> 00:08:38,269 <京において 文字どおり 天下の覆るような事件が➡ 95 00:08:38,269 --> 00:08:41,269 勃発していたのでございます> 96 00:08:50,281 --> 00:08:54,285 ≪(女性の笑い声) 97 00:08:54,285 --> 00:08:58,289 (女性) その傷じゃ とても毛利さまの 本陣までは行けないよ 98 00:08:58,289 --> 00:09:04,289 (山賊)女狐! 山陽道をず~っと 付け狙っていたのは貴様か! 99 00:09:13,304 --> 00:09:17,308 ンンーッ! ヤーッ! 100 00:09:17,308 --> 00:09:19,308 ターッ! 101 00:09:22,313 --> 00:09:24,313 ウワッ! 102 00:09:26,251 --> 00:09:28,253 (殴る音) ウワッ! 103 00:09:28,253 --> 00:09:30,253 おのれ! 104 00:09:34,259 --> 00:09:36,259 ウウッ! 105 00:10:06,291 --> 00:10:11,296 (六平太)信長が死んだ… 106 00:10:11,296 --> 00:10:18,303 明智日向守から 毛利方への密書だ 107 00:10:18,303 --> 00:10:25,243 毛利は今 秀吉に対して 和議を進めているが 108 00:10:25,243 --> 00:10:30,248 これを手に入れれば 話が違ってくる 109 00:10:30,248 --> 00:10:33,248 光秀と手を結んで… 110 00:10:35,253 --> 00:10:40,258 秀吉を挟み撃ちに 討ち滅ぼすであろう 111 00:10:40,258 --> 00:10:46,258 (小りん)秀吉が手に入れたら? (六平太)天下を取る 112 00:10:48,266 --> 00:10:52,270 織田家の武将 数あれど 113 00:10:52,270 --> 00:10:58,276 1万余の明智勢に 直ちに追討の軍を起こせるのは➡ 114 00:10:58,276 --> 00:11:04,282 今 毛利と対峙している 2万6000の秀吉軍だけだ 115 00:11:04,282 --> 00:11:11,289 ♬~ 116 00:11:11,289 --> 00:11:19,297 任せよう 毛利か羽柴か 天下は おぬしの手の内にある 117 00:11:19,297 --> 00:11:28,297 ♬~ 118 00:11:33,311 --> 00:11:36,314 信長公… 119 00:11:36,314 --> 00:11:44,322 明智日向守の謀反により 本能寺にて ご自害なされた 120 00:11:44,322 --> 00:11:46,324 (家臣)なに!? 121 00:11:46,324 --> 00:11:52,330 (秀吉) すぐさま 毛利方との和議を整えよ だが 弱みを見せてはならん 122 00:11:52,330 --> 00:11:56,334 あくまで 勝者として尊大に振る舞うのじゃ 123 00:11:56,334 --> 00:12:02,340 こたびは 秀吉にとり 一世一代の大舞台 124 00:12:02,340 --> 00:12:07,345 即刻 京に引き返し 乾坤一擲の勝負に出る! 125 00:12:07,345 --> 00:12:09,347 (家臣たち)はっ! 126 00:12:09,347 --> 00:12:14,352 <秀吉さまが 「中国大返し」という 離れ業を演じて➡ 127 00:12:14,352 --> 00:12:21,359 明智光秀さまを打ち破ったのは 歴史に残るところでございます> 128 00:12:21,359 --> 00:12:29,300 <「三日天下」という言葉を残して 山崎の合戦に敗れた明智さまは➡ 129 00:12:29,300 --> 00:12:35,300 小栗栖の山中で 農民の槍に 刺されて 亡くなられたのでした> 130 00:12:39,310 --> 00:12:44,315 馬鹿な話じゃ 合戦は お味方の 「押し 押し 押し」でな 131 00:12:44,315 --> 00:12:48,319 わしは 槍を抱えて 夢中で駆け回っていただけじゃ 132 00:12:48,319 --> 00:12:53,324 気がついてみれば 戦は終わっていた 133 00:12:53,324 --> 00:12:58,329 槍働きもできず よき敵にも巡り合えなんだわ 134 00:12:58,329 --> 00:13:02,333 しかし まあ 僅かながらも加増して3000石 135 00:13:02,333 --> 00:13:06,337 しかも 秀吉どのが築かれた長浜の城を➡ 136 00:13:06,337 --> 00:13:10,341 お預かりすることにもなった ありがたいことじゃ 137 00:13:10,341 --> 00:13:12,343 ハハハハッ… (よねの笑い声) 138 00:13:12,343 --> 00:13:15,346 よね よね姫! 139 00:13:15,346 --> 00:13:17,348 そら! ハハハハッ… 140 00:13:17,348 --> 00:13:21,352 父上はご城主さまだ! ご城主さまになるぞ 141 00:13:21,352 --> 00:13:23,354 ハハハッ… そら! 142 00:13:23,354 --> 00:13:26,290 <ご城主さまではなく 城番です> 143 00:13:26,290 --> 00:13:31,295 <最初の夢の 一国一城の主には程遠いのです> 144 00:13:31,295 --> 00:13:34,298 <「この人は まだまだ 作り上げてさし上げねば➡ 145 00:13:34,298 --> 00:13:40,298 そこまではゆけぬ」… 千代は しみじみと そう思いました> 146 00:13:42,306 --> 00:13:47,311 お召し上げ? 長浜の城は お召し上げでござりますか? 147 00:13:47,311 --> 00:13:51,315 あ… ああ… 長浜一帯の領地と長浜城は➡ 148 00:13:51,315 --> 00:13:57,321 飛び領地として 柴田勝家に譲ることにいたした 149 00:13:57,321 --> 00:14:02,326 いや… 不本意だろうが 致し方ない 150 00:14:02,326 --> 00:14:06,330 勝家めがのぅ ここんところ ご機嫌斜めでのぅ 151 00:14:06,330 --> 00:14:09,333 なだめてやらねばならんのじゃ 152 00:14:09,333 --> 00:14:13,337 うん 奴は 雪深い越前が本拠 153 00:14:13,337 --> 00:14:18,342 近江 長浜に足場を持つとなれば 大喜びするであろう 154 00:14:18,342 --> 00:14:22,346 はぁ… それは さようでござりましょうな 155 00:14:22,346 --> 00:14:28,286 伊右衛門 そのような顔をいたすな 156 00:14:28,286 --> 00:14:32,290 のう? その代わり そちには播州の印南をやろう 157 00:14:32,290 --> 00:14:37,295 のう? それで勘弁してくれ ええ… 158 00:14:37,295 --> 00:14:41,299 なあ 分かってくれ このとおりじゃ! 159 00:14:41,299 --> 00:14:44,302 まったく ひどい話じゃ 160 00:14:44,302 --> 00:14:48,306 だがな こうなったのは 羽柴どのご自身のせいだ 161 00:14:48,306 --> 00:14:51,309 (千代)どういうことなので ございましょう? 162 00:14:51,309 --> 00:14:53,311 実はな 明智を退治て以来 163 00:14:53,311 --> 00:14:57,315 羽柴どのは もう天下を 取ったような顔をなされている 164 00:14:57,315 --> 00:15:01,319 織田家筆頭の柴田どのが 怒らんはずはない 165 00:15:01,319 --> 00:15:03,321 わしは そのとばっちりだ 166 00:15:03,321 --> 00:15:07,325 (千代)よいではございませぬか 167 00:15:07,325 --> 00:15:09,327 何がよいのだ? 168 00:15:09,327 --> 00:15:12,330 秀吉さまは お芝居をなさっているのです 169 00:15:12,330 --> 00:15:15,333 明智さまを倒された今が正念場 170 00:15:15,333 --> 00:15:18,336 ただ単に 織田家の武将のひとりが➡ 171 00:15:18,336 --> 00:15:20,338 信長さまの敵を 討ったと思わせるか 172 00:15:20,338 --> 00:15:24,275 それとも 天下取りになられたと思わせるか 173 00:15:24,275 --> 00:15:28,279 一世一代の 大芝居でございましょう 174 00:15:28,279 --> 00:15:32,283 織田家筆頭の柴田さまは 今や最大の敵 175 00:15:32,283 --> 00:15:36,287 秀吉さまは その扱いに 苦慮しておられるのです 176 00:15:36,287 --> 00:15:39,290 長浜のお城のことも そのひとつ 177 00:15:39,290 --> 00:15:43,294 こだわりなく 進んで 返上すればよいではありませぬか 178 00:15:43,294 --> 00:15:47,298 う~む… 確かに それは そなたの言うとおりだ 179 00:15:47,298 --> 00:15:51,302 当面の敵は柴田さまであろう 180 00:15:51,302 --> 00:15:53,304 だからこそじゃ! 181 00:15:53,304 --> 00:15:58,309 播州などという西国にいては どうにもならんではないか! 182 00:15:58,309 --> 00:16:01,312 知行地には 誰か代官をおやりになって➡ 183 00:16:01,312 --> 00:16:04,315 お屋敷は京にいただくように お願いしてはいかがでしょう? 184 00:16:04,315 --> 00:16:08,319 なに? 羽柴どののお膝元にか? 185 00:16:08,319 --> 00:16:11,322 ええ そうすれば 秀吉さまの号令のもとで➡ 186 00:16:11,322 --> 00:16:14,325 いつでも 自在に動けるではありませぬか 187 00:16:14,325 --> 00:16:16,327 (ため息) 188 00:16:16,327 --> 00:16:21,332 (秀吉)妙案じゃ! うむ! 正に妙案じゃ! 189 00:16:21,332 --> 00:16:27,271 うむ… 実は この秀吉ものぅ いずれは 大名 小名の屋敷を➡ 190 00:16:27,271 --> 00:16:31,275 我が膝元に集めておきたいと 考えておったところでのぅ 191 00:16:31,275 --> 00:16:36,280 いや 伊右衛門どのの才覚 まったく恐れ入った 192 00:16:36,280 --> 00:16:38,282 もったいなきお言葉にござります 193 00:16:38,282 --> 00:16:41,285 しかしのぅ 伊右衛門 その儀は しばし待て 194 00:16:41,285 --> 00:16:45,289 わしはのぅ 京よりも大坂を考えておる 195 00:16:45,289 --> 00:16:49,293 大坂に城を築き 大小名の屋敷を 集めようと思うておる 196 00:16:49,293 --> 00:16:54,298 それまでは 安土城下の 空き屋敷にでも入っておれ 197 00:16:54,298 --> 00:16:56,300 仰せのままに… 198 00:16:56,300 --> 00:16:59,303 いやぁ しかし 京 大坂の違いこそあれ➡ 199 00:16:59,303 --> 00:17:01,305 このわしの考えと ぴたりと一致するとはのぅ 200 00:17:01,305 --> 00:17:08,305 大したものじゃ のう? 大したものじゃ ハハハハッ… 201 00:17:14,352 --> 00:17:19,357 <やがて 秀吉さまと柴田さまとの 合戦が始まりました> 202 00:17:19,357 --> 00:17:27,357 <一豊さまは またもや単身赴任の 戦場の人となったのでございます> 203 00:17:29,300 --> 00:17:31,302 (芳野)お手紙は おつけにならないのですか? 204 00:17:31,302 --> 00:17:33,304 いいえ 別に 205 00:17:33,304 --> 00:17:36,307 若狭のするめ おいしそうだから 送ってさし上げるだけです 206 00:17:36,307 --> 00:17:41,312 <千代が手紙をつけなかったのは 本当に気まぐれ> 207 00:17:41,312 --> 00:17:45,316 <決して 深い理由などございませんでした> 208 00:17:45,316 --> 00:17:49,320 <けれども このことが のちに大変な事態を➡ 209 00:17:49,320 --> 00:17:53,324 引き起こしてしまったので ございます> 210 00:17:53,324 --> 00:17:55,326 <一豊さまは そのころ➡ 211 00:17:55,326 --> 00:18:01,332 柴田さまの最大の同盟軍である 滝川一益さまを打ち倒すべく➡ 212 00:18:01,332 --> 00:18:05,332 伊勢の亀山城を 囲んでおられました> 213 00:18:08,339 --> 00:18:11,342 手紙はなかったか? (新右衛門)はっ… ござりませぬな 214 00:18:11,342 --> 00:18:14,345 ない? されば 何か言づては? 215 00:18:14,345 --> 00:18:17,348 (吉兵衛) いや 別にござりませなんだ 216 00:18:17,348 --> 00:18:20,351 さあさあ 奥方からの心尽くしじゃ 217 00:18:20,351 --> 00:18:23,287 皆で分け合うて 今宵は酒を飲もうぞ 218 00:18:23,287 --> 00:18:26,290 (兵士たち)ははっ! いただきます 219 00:18:26,290 --> 00:18:28,290 なぜ手紙がない? 220 00:18:30,294 --> 00:18:32,296 おかしいではないか 221 00:18:32,296 --> 00:18:37,296 千代は これまで 一度も 手紙を欠かしたことなどない 222 00:18:39,303 --> 00:18:45,309 殿… そう気になさるな たまには 手紙のないこともござろう 223 00:18:45,309 --> 00:18:49,313 さよう 「便りのないのは よい便り」と申しましてな 224 00:18:49,313 --> 00:18:52,316 お知らせすべき さしたる出来事も なかったんでございましょう 225 00:18:52,316 --> 00:18:54,318 いや そうではなかろう 226 00:18:54,318 --> 00:18:59,323 千代め 山崎の合戦で さしたる手柄もなかったため➡ 227 00:18:59,323 --> 00:19:02,326 こたびの陣で 必死に働けということを➡ 228 00:19:02,326 --> 00:19:07,331 暗に悟らせようとしておるのじゃ さようでござりましょうか? 229 00:19:07,331 --> 00:19:09,333 そうに決まっておる 230 00:19:09,333 --> 00:19:13,337 この滝川攻め 次いで 柴田攻めが終われば➡ 231 00:19:13,337 --> 00:19:16,340 天下分け目の大合戦は ほぼ終わってしまう 232 00:19:16,340 --> 00:19:19,343 この瀬戸際の合戦に 功名を立てねば➡ 233 00:19:19,343 --> 00:19:24,281 もはや 一国一城の 主になる機会はないであろう 234 00:19:24,281 --> 00:19:27,284 千代は そう言いたいのじゃ 235 00:19:27,284 --> 00:19:29,284 (ため息) 236 00:19:33,290 --> 00:19:35,292 (新右衛門)のう 吉兵衛 237 00:19:35,292 --> 00:19:42,299 思えば わしら 共に戦場に出て 長い年月を数えるが 238 00:19:42,299 --> 00:19:46,299 わしらの働きは これで良かったのであろうか? 239 00:19:49,306 --> 00:19:52,309 いずれの合戦においても➡ 240 00:19:52,309 --> 00:19:56,313 命を惜しまず働いたと 言い切れるであろうか? 241 00:19:56,313 --> 00:20:00,313 いや 決して言えまい 242 00:20:02,319 --> 00:20:09,319 我らが心底 働いておれば 殿は まだまだ出世しておられた 243 00:20:11,328 --> 00:20:16,333 今 この合戦を前に あのような焦りを➡ 244 00:20:16,333 --> 00:20:19,336 覚えられることは なかったはずじゃ 245 00:20:19,336 --> 00:20:24,336 おぬしも そう思うか (吉兵衛)思わいでか 246 00:20:26,277 --> 00:20:32,283 奥方さまの無言のお叱りは 我らに向けられたものよ 247 00:20:32,283 --> 00:20:35,286 正にな 248 00:20:35,286 --> 00:20:38,289 素直で お優しいお人柄… 249 00:20:38,289 --> 00:20:45,296 また 幼いころから 我が子同然に お育て申し上げたことに慣れて 250 00:20:45,296 --> 00:20:50,301 命をささげる主従であることを 忘れておったわ 251 00:20:50,301 --> 00:20:57,301 こたびの合戦は 殿の武門が 興るか興らぬかの瀬戸際 252 00:20:59,310 --> 00:21:04,315 新右衛門 火の出るように働こうぞ 253 00:21:04,315 --> 00:21:10,321 知れたこと 必ず 共に骨になるまでな 254 00:21:10,321 --> 00:21:15,326 (鬨の声) 255 00:21:15,326 --> 00:21:22,333 ♬~ 256 00:21:22,333 --> 00:21:39,350 ♬~ 257 00:21:39,350 --> 00:21:43,354 伊右衛門め やるわ やるわ! ハハハハッ… 258 00:21:43,354 --> 00:21:52,363 ♬~ 259 00:21:52,363 --> 00:21:56,367 (笑い声) 260 00:21:56,367 --> 00:22:00,371 おお! やりおるわ やりおるわ! おう 勘右衛門 勘右衛門! 261 00:22:00,371 --> 00:22:04,375 (勘右衛門)はっ! 御前に… 262 00:22:04,375 --> 00:22:07,378 (秀吉)すぐに駆けていって 伊右衛門に伝えよ ハハハッ… 263 00:22:07,378 --> 00:22:09,380 勘右衛門 早よう行かんか! 264 00:22:09,380 --> 00:22:11,382 (勘右衛門)何と お伝え申すのでございまする? 265 00:22:11,382 --> 00:22:14,385 あっ そうか まだ言わなんだか うん 266 00:22:14,385 --> 00:22:16,387 ウワッ! (家臣たち)殿! 267 00:22:16,387 --> 00:22:21,325 ハハハハッ! このとおり申し伝えよ オホホッ… 268 00:22:21,325 --> 00:22:23,327 (勘右衛門) どのとおりでございます? 269 00:22:23,327 --> 00:22:25,329 おう や… やよ よいか? 270 00:22:25,329 --> 00:22:30,334 「秀吉 大喜び 躍り上がり 躍り上がり 躍り上がり➡ 271 00:22:30,334 --> 00:22:34,338 とうとう尻餅をつき候」ぞ 272 00:22:34,338 --> 00:22:37,338 (鬨の声) 273 00:22:39,343 --> 00:22:42,346 (武将)ええい どきやがれ! 274 00:22:42,346 --> 00:22:44,348 (武将)行けー! 275 00:22:44,348 --> 00:22:46,350 (柴田軍武将)ひけひけ! 276 00:22:46,350 --> 00:22:48,350 (斬る音) アアッ! 277 00:22:50,354 --> 00:22:52,356 (柴田軍武将)おい 戻るぞ! 278 00:22:52,356 --> 00:22:55,359 (銃声) 279 00:22:55,359 --> 00:23:00,364 (岩を落とす音) 280 00:23:00,364 --> 00:23:02,364 アアーッ! 281 00:23:09,373 --> 00:23:11,375 ンンッ! 282 00:23:11,375 --> 00:23:13,375 (兵士)ウワッ! 283 00:23:16,380 --> 00:23:23,380 山内伊右衛門一豊が家来 五藤吉兵衛 一番乗り! 284 00:23:26,323 --> 00:23:28,323 (刺す音) 285 00:23:31,328 --> 00:23:33,330 吉兵衛! 286 00:23:33,330 --> 00:23:37,330 殿! 殿 これにおつかまりなされ 287 00:23:39,336 --> 00:23:44,341 新右衛門 吉兵衛を助けよ 吉兵衛を死なすな! 288 00:23:44,341 --> 00:23:48,345 心得ました! ヤーッ! 289 00:23:48,345 --> 00:23:51,348 吉兵衛 今行くぞ! 殿は なりませぬ! 290 00:23:51,348 --> 00:23:53,350 吉兵衛! 吉兵衛! 291 00:23:53,350 --> 00:24:00,357 ♬~ 292 00:24:00,357 --> 00:24:02,357 吉兵衛! 293 00:24:04,361 --> 00:24:06,363 (刺す音) アアッ! 294 00:24:06,363 --> 00:24:11,368 ♬~ 295 00:24:11,368 --> 00:24:13,370 吉兵衛! 296 00:24:13,370 --> 00:24:22,312 ♬~ 297 00:24:22,312 --> 00:24:25,315 (兵士)ウワーッ! (兵士)ハアーッ! 298 00:24:25,315 --> 00:24:27,317 (刺す音) アアッ! 299 00:24:27,317 --> 00:24:29,317 吉兵衛! 300 00:24:34,324 --> 00:24:36,326 吉兵衛! 301 00:24:36,326 --> 00:24:42,326 ♬~ 302 00:24:44,334 --> 00:24:47,337 吉兵衛! (新右衛門)吉兵衛! 303 00:24:47,337 --> 00:24:50,340 吉兵衛 しっかりしろ! 304 00:24:50,340 --> 00:24:54,344 あっぱれ ようやった よう一番乗りを果たしてくれた! 305 00:24:54,344 --> 00:24:57,347 我が家の誉れぞ! 306 00:24:57,347 --> 00:25:02,352 殿… もう いかぬ 307 00:25:02,352 --> 00:25:04,354 情けないことを言うな 吉兵衛! 308 00:25:04,354 --> 00:25:07,357 あまたの戦場を 駆け抜けてきた強者ではないか! 309 00:25:07,357 --> 00:25:09,359 なんだ これぐらいの傷! 310 00:25:09,359 --> 00:25:15,365 吉兵衛 そちの妻子は言うに及ばず 子々孫々に至るまで➡ 311 00:25:15,365 --> 00:25:19,369 山内家の続くかぎり おろそかにはせぬぞ! 312 00:25:19,369 --> 00:25:26,310 国持大名になりなされ 313 00:25:26,310 --> 00:25:30,310 奥方さまとのお約束… 314 00:25:32,316 --> 00:25:38,322 必ず お果たしくだされ 315 00:25:38,322 --> 00:25:40,324 なるとも 316 00:25:40,324 --> 00:25:47,324 なって… なって そちの子や孫を 必ず… 必ず家老にする! 317 00:25:49,333 --> 00:25:54,338 吉兵衛… 吉兵衛! 吉兵衛! 318 00:25:54,338 --> 00:25:57,341 吉兵衛! 319 00:25:57,341 --> 00:26:03,347 <この日 亀山城は落ちました> 320 00:26:03,347 --> 00:26:08,352 <五藤吉兵衛さまのご遺体は 陣中で荼毘に付され➡ 321 00:26:08,352 --> 00:26:12,356 その遺骨は 千代のもとへ届けられました> 322 00:26:12,356 --> 00:26:14,358 (磬子の音) 323 00:26:14,358 --> 00:26:27,304 (読経) 324 00:26:27,304 --> 00:26:40,304 (読経) 325 00:26:43,320 --> 00:26:47,324 ((よい奥方じゃ)) 326 00:26:47,324 --> 00:26:52,329 ((こんな奥方を おもらいになるとは➡ 327 00:26:52,329 --> 00:26:56,329 旦那さまは なんと果報者よ)) 328 00:26:59,336 --> 00:27:03,340 ((奥方さま 奥方さま)) 329 00:27:03,340 --> 00:27:09,346 ((わしの顔は 雀に似ておりまするか?)) 330 00:27:09,346 --> 00:27:14,351 ((すとんと転んだ慌て者の 雀に似ておりまするか?)) 331 00:27:14,351 --> 00:27:27,297 ♬~ 332 00:27:27,297 --> 00:27:30,300 (泣き声) 333 00:27:30,300 --> 00:27:35,305 ♬~ 334 00:27:35,305 --> 00:27:40,310 <一豊さまのお約束のとおり 五藤吉兵衛さまの子孫は➡ 335 00:27:40,310 --> 00:27:47,310 土佐24万石のご家老となって 明治維新まで続きました> 336 00:27:53,357 --> 00:27:59,363 <越前 北ノ庄が落城し 柴田勝家さまが自害なさったのは 337 00:27:59,363 --> 00:28:05,369 天正11年 4月24日のことでございます> 338 00:28:05,369 --> 00:28:13,377 <論功行賞が行われたのは 近江の坂本城内でございました> 339 00:28:13,377 --> 00:28:20,317 (虎之助)こたびの合戦に勝利して 残る強敵は徳川家康のみ 340 00:28:20,317 --> 00:28:26,323 上さまは まず 天下さまに なられたと考えてもよろしかろう 341 00:28:26,323 --> 00:28:31,328 …となると 山内さまも いよいよ大名でござりますな 342 00:28:31,328 --> 00:28:34,331 いやいや それは どうでござろうか 343 00:28:34,331 --> 00:28:36,333 なんの なんの 344 00:28:36,333 --> 00:28:40,337 山内さまは最古参 亀山城一番乗りの手柄もござるし 345 00:28:40,337 --> 00:28:43,340 たとえ1万石といえども➡ 346 00:28:43,340 --> 00:28:47,344 大名を望まれて 不思議はござりますまい 347 00:28:47,344 --> 00:28:52,349 いや しかし それは 上さまのお心ひとつのことゆえ… 348 00:28:52,349 --> 00:28:57,354 虎之助どのこそ 若いに似合わぬ立派なお働き 349 00:28:57,354 --> 00:29:01,358 賎ヶ岳七本槍の武勇 お聞きしてますぞ 350 00:29:01,358 --> 00:29:05,362 いやいや この加藤虎之助清正 351 00:29:05,362 --> 00:29:09,366 いつまでも お小姓上がりの 200石ではござりませぬぞ 352 00:29:09,366 --> 00:29:14,371 こたびは頑張りました ハハハハッ… 353 00:29:14,371 --> 00:29:18,308 ハハハハッ! ≪(杉原)山内伊右衛門一豊どの 354 00:29:18,308 --> 00:29:21,311 はっ! 355 00:29:21,311 --> 00:29:26,316 (杉原)山内どのには 500石の加増でござる 356 00:29:26,316 --> 00:29:31,316 500石? さよう 合わせて3500石 357 00:29:37,327 --> 00:29:41,327 うん? どうかなされましたかな? 358 00:29:44,334 --> 00:29:49,339 ありがたき幸せにござります 359 00:29:49,339 --> 00:29:59,349 ♬~ 360 00:29:59,349 --> 00:30:05,355 《500石… たったの500石》 361 00:30:05,355 --> 00:30:10,360 《あれほど働いて 吉兵衛まで亡くして➡ 362 00:30:10,360 --> 00:30:14,360 3000と500石…》 363 00:30:18,301 --> 00:30:25,308 ((山内伊右衛門一豊が家来 五藤吉兵衛 一番乗り!)) 364 00:30:25,308 --> 00:30:28,311 吉兵衛… 365 00:30:28,311 --> 00:30:31,314 ≪(虎之助) 馬鹿な! かようなものは要らぬ! 366 00:30:31,314 --> 00:30:34,314 ≪ 人をこけにするのも いいかげんにされい! 367 00:30:37,320 --> 00:30:40,323 虎之助どの どうなされた? 368 00:30:40,323 --> 00:30:45,328 いや どうにもこうにも話にならぬ 3000石に加増だというのだ 369 00:30:45,328 --> 00:30:49,332 3000石? 200石から 一気に3000石? 370 00:30:49,332 --> 00:30:53,336 さよう それならば 何も文句は… 371 00:30:53,336 --> 00:30:55,338 とんでもござらん! 372 00:30:55,338 --> 00:30:59,342 賎ヶ岳で共に働いた福島市松は 5000石ですぞ 373 00:30:59,342 --> 00:31:04,347 5000石!? 市松が? 馬鹿にするにも程がある! 374 00:31:04,347 --> 00:31:09,352 市松と わしとは功名も同じ 元の石高も 200石で同じでござる 375 00:31:09,352 --> 00:31:12,355 なのに なぜ2000石の差を? 376 00:31:12,355 --> 00:31:15,358 一様に100石の加増でもよい 377 00:31:15,358 --> 00:31:20,363 平等こそ当然であるのに 殊更に差をつけるとは何事 378 00:31:20,363 --> 00:31:26,369 我が武勇を辱めたも同然でござる 朱印状を突き返してまいりました 379 00:31:26,369 --> 00:31:33,376 虎之助どのが3000 市松が5000石… 380 00:31:33,376 --> 00:31:38,381 (笑い声) 381 00:31:38,381 --> 00:31:40,383 山内さま… 382 00:31:40,383 --> 00:31:43,383 (笑い声) 383 00:31:45,388 --> 00:31:51,388 (笑い声) 384 00:31:53,396 --> 00:31:57,396 わしは浪人する 385 00:32:00,403 --> 00:32:05,408 馬鹿げている 何もかもだ 386 00:32:05,408 --> 00:32:09,412 命まで捨てて 働いてくれた吉兵衛の忠節が➡ 387 00:32:09,412 --> 00:32:14,417 まるで報われぬ 何ひとつ分かってもらえぬ 388 00:32:14,417 --> 00:32:18,355 つくづく嫌になった 389 00:32:18,355 --> 00:32:20,357 どうぞ 390 00:32:20,357 --> 00:32:24,361 千代 聞こえんのか? 391 00:32:24,361 --> 00:32:28,365 聞こえておりますけど まず お茶をどうぞ 392 00:32:28,365 --> 00:32:30,365 浪人するのだぞ わしは 393 00:32:34,371 --> 00:32:36,373 別の生き方をする 394 00:32:36,373 --> 00:32:42,379 風月を楽しみつつ 世を安気に暮らしてみたい 395 00:32:42,379 --> 00:32:46,383 刀や槍を売り払って 田を買うのだ 396 00:32:46,383 --> 00:32:50,387 わしも耕す 千代も草を刈れ 397 00:32:50,387 --> 00:32:54,391 春になったら よね姫を連れて 若菜を摘みに行け 398 00:32:54,391 --> 00:32:58,395 わしは 山に分け入って いわなでも釣って➡ 399 00:32:58,395 --> 00:33:03,400 ともどもに 夕餉の膳に載せよう 400 00:33:03,400 --> 00:33:06,400 そういう暮らしを してみたいのじゃ 401 00:33:08,405 --> 00:33:12,409 何がおかしい? フフッ… 402 00:33:12,409 --> 00:33:15,412 うれしいのでございます うれしい? 403 00:33:15,412 --> 00:33:19,349 そなたも変わっている なぜ うれしいのじゃ? 404 00:33:19,349 --> 00:33:23,353 もう飽きましたもの 何が? 405 00:33:23,353 --> 00:33:28,358 ここ十数年 起き臥し 功名 手柄のことばかり 406 00:33:28,358 --> 00:33:33,363 よねの手を引いて 若菜を摘みとうございます 407 00:33:33,363 --> 00:33:37,367 では かまわんのか? 身分を捨てても 408 00:33:37,367 --> 00:33:42,372 ええ お心のままに 一豊さまのなさることでしたら➡ 409 00:33:42,372 --> 00:33:46,376 どんなことにでも 千代は ついてまいります 410 00:33:46,376 --> 00:33:49,379 本気か? 千代 411 00:33:49,379 --> 00:33:52,382 嘘ではないのか? 412 00:33:52,382 --> 00:33:57,387 ハハッ… かたじけない かたじけない! 413 00:33:57,387 --> 00:34:00,390 アア… どうなさったのです? 414 00:34:00,390 --> 00:34:03,393 浪人なさることが そんなに うれしゅうございますか 415 00:34:03,393 --> 00:34:10,400 いや 実はな このこと 決して そなたは許すまいと思った 416 00:34:10,400 --> 00:34:14,404 約束どおり 一国一城の主になるまでは➡ 417 00:34:14,404 --> 00:34:18,341 そなたは 決して手綱を緩めまいと 418 00:34:18,341 --> 00:34:23,341 吉兵衛だとて そのために死んだのだから 419 00:34:25,348 --> 00:34:29,352 どういうことなのでございます? 420 00:34:29,352 --> 00:34:34,357 亀山城攻めの折の 獅子奮迅の戦いぶりは➡ 421 00:34:34,357 --> 00:34:37,360 そなたから手紙のなかったことを 422 00:34:37,360 --> 00:34:41,364 無言の励ましと 受け取ってのことだったのだ 423 00:34:41,364 --> 00:34:44,367 ハァ… しかし これで ようやく➡ 424 00:34:44,367 --> 00:34:48,371 十数年間 背負うてきた重荷が 落ちた ハハハハッ… 425 00:34:48,371 --> 00:34:52,375 ほっとしたぞ ハハハハッ… 426 00:34:52,375 --> 00:35:08,391 ♬~ 427 00:35:08,391 --> 00:35:14,391 そんな嫌な女だったのでしょうか 私が そんなに… 428 00:35:16,399 --> 00:35:20,337 夫に手柄を求めて 出世を求めて… 429 00:35:20,337 --> 00:35:23,340 それが あの方の 重荷になっていたとしたら 430 00:35:23,340 --> 00:35:26,340 私は 一体 なんという女でしょう 431 00:35:29,346 --> 00:35:37,354 少女のころ もし嫁げば 夫を一国一城の主にしてみたいと 432 00:35:37,354 --> 00:35:41,358 それのみが夢でした (芳野)少年も そうです 433 00:35:41,358 --> 00:35:44,361 でも そのような子供の夢を➡ 434 00:35:44,361 --> 00:35:48,365 大人になってまで持ち続けるのは 滑稽で不幸なこと 435 00:35:48,365 --> 00:35:52,369 その上 そんな たあいのない夢が➡ 436 00:35:52,369 --> 00:35:57,374 あれほどまでに 一豊さまを 苦しめていたかと思うと… 437 00:35:57,374 --> 00:36:01,378 切なくて 申し訳なくて… 438 00:36:01,378 --> 00:36:07,384 (芳野)千代さま 今の世の中 侍と生まれて➡ 439 00:36:07,384 --> 00:36:11,388 出世を望まぬ男が ございましょうかね 440 00:36:11,388 --> 00:36:16,393 一豊さまやっても同じこと なにも お嬢さまが➡ 441 00:36:16,393 --> 00:36:20,330 無理強いなさったわけでは ありませんがね 442 00:36:20,330 --> 00:36:23,333 それは そうですけど… 443 00:36:23,333 --> 00:36:26,336 千代さまが なさったのは応援 444 00:36:26,336 --> 00:36:28,338 その甲斐あって➡ 445 00:36:28,338 --> 00:36:35,345 僅か50石の ぼろぼろさまが 3500石の侍大将にまで➡ 446 00:36:35,345 --> 00:36:39,349 ご出世あそばしたじゃ ございませんか そうでしょう? 447 00:36:39,349 --> 00:36:41,351 ええ そうです 448 00:36:41,351 --> 00:36:47,357 それを重荷だの 苦しいだの… 情けないがね 男ですか 449 00:36:47,357 --> 00:36:50,360 一豊さまは甘えてらっしゃる 450 00:36:50,360 --> 00:36:53,363 ただ逃げようと なさってるだけなんです 451 00:36:53,363 --> 00:36:56,366 本当に世を捨てたかったら➡ 452 00:36:56,366 --> 00:37:01,371 荒行したり 妻や子と縁を切ったりしなくては 453 00:37:01,371 --> 00:37:04,374 「風月を友にしたい」? 454 00:37:04,374 --> 00:37:07,377 (笑い声) 455 00:37:07,377 --> 00:37:09,379 そうですねえ 456 00:37:09,379 --> 00:37:15,385 この度のことも 子供が だだをこねてるのと同じことがね 457 00:37:15,385 --> 00:37:18,321 まあ そんなこと いちいち 気に留めたり 悩んだりせずに➡ 458 00:37:18,321 --> 00:37:23,326 やりたいように させたげたらええですわ 459 00:37:23,326 --> 00:37:25,326 分かりました 460 00:37:33,336 --> 00:37:35,338 (ため息) 461 00:37:35,338 --> 00:37:38,341 なるほど 浪人するぐらいなら➡ 462 00:37:38,341 --> 00:37:42,345 いっそのこと 出家して 坊主になれというのか 463 00:37:42,345 --> 00:37:46,349 そのほうが徹底して 男らしゅうございましょう? 464 00:37:46,349 --> 00:37:51,354 うむ… 千代も よねも捨てるというわけか 465 00:37:51,354 --> 00:37:54,357 もちろんでございます 466 00:37:54,357 --> 00:37:59,357 千代は それでよいのか? よろしゅうございますとも 467 00:38:01,364 --> 00:38:07,370 しかしな わしが出家したあと そなたは どうするのだ? 468 00:38:07,370 --> 00:38:09,372 尼になります 469 00:38:09,372 --> 00:38:14,372 そうか そなたも出家するのか 470 00:38:16,379 --> 00:38:20,316 でも 千代は 入道します以上は ただの沙弥ではなく➡ 471 00:38:20,316 --> 00:38:24,320 五戒を守る きちんとした出家に なりたいと思います 472 00:38:24,320 --> 00:38:28,324 ですから よねは美濃の不破家に預けて➡ 473 00:38:28,324 --> 00:38:32,328 大和の尼寺へ入りとうございます 474 00:38:32,328 --> 00:38:38,334 ああ… わしと夫婦でなくなるのじゃな 475 00:38:38,334 --> 00:38:44,340 フフッ… 頭の丸い夫婦など 聞いたことがございませぬ 476 00:38:44,340 --> 00:38:47,343 ああ… そうか 477 00:38:47,343 --> 00:38:49,343 フフッ… 478 00:38:53,349 --> 00:38:59,355 <千代は かねてより知り合いの 禅僧 法源寺の笑厳さまのもとへ➡ 479 00:38:59,355 --> 00:39:02,355 一豊さまを行かせました> 480 00:39:08,364 --> 00:39:11,367 御免 481 00:39:11,367 --> 00:39:14,370 (笑厳)おう 来たか まあまあ こっちへ上がんなさい 482 00:39:14,370 --> 00:39:16,370 はぁ… 483 00:39:18,308 --> 00:39:23,313 年は取っても 食い気と色気だけは まだ若い者には負けんからな 484 00:39:23,313 --> 00:39:28,318 ハハハッ… ああ おぬしも食わんか? 485 00:39:28,318 --> 00:39:30,320 いや… 結構でござる そう 486 00:39:30,320 --> 00:39:33,323 じゃ すぐに済ますから 487 00:39:33,323 --> 00:39:38,323 そこに耳だらいと かみそりがある こっちへ持ってきてくれんか? 488 00:39:47,337 --> 00:39:50,340 ご坊が頭を剃られるので? 489 00:39:50,340 --> 00:39:55,345 いいや あんただよ えっ… もう? 490 00:39:55,345 --> 00:40:00,345 ああ… 早いほうがよかろう? 491 00:40:12,362 --> 00:40:14,364 さあ 剃ろう 492 00:40:14,364 --> 00:40:19,302 ご… ご坊 まずは その前に ご法話をお聞かせ願えまいか? 493 00:40:19,302 --> 00:40:24,307 法話? 頭を剃るのに 余計な法話なんか要らんじゃろう 494 00:40:24,307 --> 00:40:28,307 では それがしの話を聞いてくだされ 495 00:40:31,314 --> 00:40:34,317 では 聞こう されば… 496 00:40:34,317 --> 00:40:39,322 それがし 織田家に仕えて あまたの戦場を往来してきた 497 00:40:39,322 --> 00:40:41,324 また こたび 羽柴どのが➡ 498 00:40:41,324 --> 00:40:45,328 天下を定めるについても 大いに働いたつもりじゃ 499 00:40:45,328 --> 00:40:50,333 しかしながら 羽柴どのは 一向に それに報いてはくださらぬ 500 00:40:50,333 --> 00:40:53,333 それが腹に据えかねるのじゃ 501 00:40:55,338 --> 00:40:58,341 それだけか? 502 00:40:58,341 --> 00:41:01,344 いかにも それだけでござる 503 00:41:01,344 --> 00:41:05,348 ふ~ん… 愚痴じゃな えっ? 504 00:41:05,348 --> 00:41:09,352 世を捨てるというから どれほどの訳があると思うてな 505 00:41:09,352 --> 00:41:14,357 いや わしも 修行になると思うて聞いてみたが 506 00:41:14,357 --> 00:41:19,362 ハハハハッ… あ~あ… ただの愚痴か 507 00:41:19,362 --> 00:41:21,364 愚弄なさるか 508 00:41:21,364 --> 00:41:26,369 いやいや 愚弄はせぬよ 愚痴が積もったあまりに➡ 509 00:41:26,369 --> 00:41:31,374 坊主にまでなろうとしたお気持ち 奇特なことじゃ 510 00:41:31,374 --> 00:41:35,378 たかが愚痴ひとつでな 511 00:41:35,378 --> 00:41:37,380 たかが愚痴と申されるが 512 00:41:37,380 --> 00:41:40,383 我が身にとっては 愚痴では済まされませぬ 513 00:41:40,383 --> 00:41:43,386 それで出家か 514 00:41:43,386 --> 00:41:47,390 思い切って そうしてみようと ふと思うただけでござる 515 00:41:47,390 --> 00:41:52,395 はぁはぁはぁ… ああ… 「ふと」な 516 00:41:52,395 --> 00:41:56,399 されば どうじゃ? そこまで決意されたのなら➡ 517 00:41:56,399 --> 00:42:00,403 いま1歩 進めてみる気はないか? いま1歩? 518 00:42:00,403 --> 00:42:06,409 おお 頭を丸めるよりも もっと徹底した解脱の法がある 519 00:42:06,409 --> 00:42:08,411 おお! どんな? 520 00:42:08,411 --> 00:42:11,414 首をはねてしんぜよう えっ!? 521 00:42:11,414 --> 00:42:14,417 その刀を貸しなされ わしが介錯してやる 522 00:42:14,417 --> 00:42:17,420 浮世から逃げようというなら そのほうが手っとり早い 523 00:42:17,420 --> 00:42:20,356 待った! いいや 待てん! 524 00:42:20,356 --> 00:42:24,360 ウワッ… ンンッ! 525 00:42:24,360 --> 00:42:26,360 こら 待たんか! 526 00:42:28,364 --> 00:42:31,367 この腑抜けが! 527 00:42:31,367 --> 00:42:33,369 アアッ! ンンッ! 528 00:42:33,369 --> 00:42:37,373 覚悟せい こここ… 殺すな! 529 00:42:37,373 --> 00:42:43,379 フン… これしきの技で よくも 3500石の禄がもらえたな ええ? 530 00:42:43,379 --> 00:42:47,383 ウウッ… 負けじゃ負けじゃ 許せ許せ のう? のう? 531 00:42:47,383 --> 00:42:49,385 伊右衛門 そのほう➡ 532 00:42:49,385 --> 00:42:52,388 浮世から逃げるために 坊主になろうとしたのであろう? 533 00:42:52,388 --> 00:42:55,391 ならば いっそのこと 命をしまえばよいではないか 534 00:42:55,391 --> 00:42:57,393 命だけは… 勘弁してもらいたいか? 535 00:42:57,393 --> 00:43:00,396 ああ… それでは理屈に合わんぞ 536 00:43:00,396 --> 00:43:02,398 あ~ 分かった 分かった 分かった 537 00:43:02,398 --> 00:43:07,403 わしは逃げぬ 浮世に踏みとどまる 538 00:43:07,403 --> 00:43:10,406 白刃を突きつけられて やっと分かった 539 00:43:10,406 --> 00:43:13,409 浮世とは 生きて戦うしか しかたのないとこじゃと➡ 540 00:43:13,409 --> 00:43:16,412 やっと分かった 分かったか 541 00:43:16,412 --> 00:43:22,351 それが悟りというものじゃ 逃げずに浮世の主になれ 542 00:43:22,351 --> 00:43:25,354 我が我が身の主になれ 543 00:43:25,354 --> 00:43:30,359 禅宗に 随所に 「主となれ」という 言葉があるのじゃ 544 00:43:30,359 --> 00:43:32,359 相分かった 545 00:43:34,363 --> 00:43:37,366 フゥ… ハハハハッ… 546 00:43:37,366 --> 00:43:41,370 ハハハハッ… 547 00:43:41,370 --> 00:43:44,370 ハァハァ… うん? 548 00:43:46,375 --> 00:43:49,378 笑厳どの うん? 549 00:43:49,378 --> 00:43:51,378 (殴る音) 550 00:43:56,385 --> 00:44:00,389 ハハハハッ… 見たか 笑厳! 551 00:44:00,389 --> 00:44:05,389 ハァハァハァ… 当分 伸びてろ この坊主! 552 00:44:22,345 --> 00:44:24,347 ンンッ… 553 00:44:24,347 --> 00:44:29,352 <男の方同士でなさることは なんだか よく分かりません> 554 00:44:29,352 --> 00:44:31,354 <別に こうしてほしいと➡ 555 00:44:31,354 --> 00:44:35,358 千代が 坊さまに 頼んでいたわけではないのです> 556 00:44:35,358 --> 00:44:39,362 ほっ! そら! (芳野)上手やねえ 557 00:44:39,362 --> 00:44:41,364 <けれども 一豊さまは➡ 558 00:44:41,364 --> 00:44:48,371 それ以来 浪人したいなどとは 一切 口になさらなくなりました> 559 00:44:48,371 --> 00:44:51,371 ほっ! アアッ… 560 00:44:57,380 --> 00:45:17,400 ♬~ 561 00:45:17,400 --> 00:45:37,353 ♬~ 562 00:45:37,353 --> 00:45:57,373 ♬~ 563 00:45:57,373 --> 00:46:12,388 ♬~ 564 00:46:12,388 --> 00:46:26,388 ♬~